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技術 対象の造血系を増強させるための医薬組成物

出願人 プルリステムリミテッド
発明者 メレツキ,シャイアバーマン,ザミバーガー,オラ
出願日 2013年12月20日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2013-263148
公開日 2014年5月15日 (6年1ヶ月経過) 公開番号 2014-088408
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード マトリックスシート 分離用容器 支持条件 流量バルブ pH測定 三次元構成 支持スクリーン 連続撹拌槽
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

内因性造血系における内因性造血細胞再増殖誘導するための医薬の提供。

解決手段

放射線又は化学療法への暴露特定期間内に胎盤の外側で培養されたCD34−の胎盤由来接着性間質細胞治療効果的な量、及びCD34+の造血細胞の治療効果的な量の使用。

概要

背景

発展し続ける医療界では、成体幹細胞需要は、細胞移植および組織工学の目的のためにますます高まっている。加えて、成体幹細胞治療は、様々な状態(例えば、造血障害心臓疾患パーキンソン病アルツハイマー病、脳卒中、火傷筋ジストロフィー自己免疫障害糖尿病および関節炎など)を処置および治療するために絶え間なく発達し続けている。

造血幹細胞(HSC)は、骨髄細胞系列およびリンパ系列両者の血液細胞タイプのすべてを生じさせる前駆体細胞である。移植されたHSCによる造血生着および開始は、移植されたHSC細胞レシピエントのBMに向かい、レシピエントのBMにおいて増殖する能力に依存する。

幹細胞生体内では骨髄内の個々独立した陥凹部と密に結合し、全体としてその分化および自己再生を媒介する様々な分子シグナルを、細胞・細胞の接触または近距離の相互作用を介してもたらすことが広く受け入れられている。これらの陥凹部は、骨髄細胞(すなわち、マクロファージ線維芽細胞脂肪細胞および内皮細胞)から構成される「造血誘導微小環境」(HIM)の一部である。骨髄細胞は、HIMの機能的一体性を、細胞・細胞の接触を容易にする細胞外マトリックス(ECM)タンパク質および基底膜成分を提供することによって維持する。骨髄細胞はまた、造血細胞の制御された分化および増殖のために必要とされる様々な可溶性サイトカインまたは常在性サイトカインを提供する。

HSCと、間質との間での相互作用が、HSCの生存能を維持し、その分化を防止するために要求される。HSC移植後、移植されたHSCは、移植されたHSCが増殖および分化する前に骨髄(BM)の微小環境に向かい、適切な陥凹部に定着しなければならない。このホーミングプロセス中に、移植されたHSCは血流から離れ、BMの内皮細胞バリアの両端におけるサイトカインの勾配に従うことによって移動して、その専用の陥凹部に到達する。その場合、ドナーHSCは、HSC分裂のためのより好ましい微小環境と遭遇し、また、連続した物理的および化学的な接触が、HSCと、間葉系細胞、ECMおよび分泌された増殖因子との間で確立され得る造血性陥凹部の中に向かわなければならない。これらすべてのプロセスにおいて、複雑な配列の分子、例えば、サイトカイン、ケモカインホルモンステロイド細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、細胞間相互作用タンパク質、接着タンパク質およびマトリックスタンパク質などが関わる。

BM専用の陥凹部に生着する細胞の総数がHSC移植の成功基礎となる。生着を達成するために、血液循環に移植されるドナーHSCは、ドナーHSCが機能的な造血増殖巣をもたらすレシピエントの骨髄の中に向かわなければならない。この増殖巣の数は、輸血された総HSCにその生着効率を乗じた積として求められる。

HSC移植に関係する大きな問題の1つは、アクセプター系におけるこれらの細胞の生存率の低さである。静脈内に移植されたHSCは、その輸血後、数分以内に循環から除去され、BMにおいて可視化されることが広く報告されている。HSC移植後3〜5時間で、ドナー細胞はレシピエントの末梢血中に検出されない[Askenasy et al、2002、“Transplanted hematopoietic cells seed in clusters in recipient bone marrow in vivo.”、Stem Cells、20:301〜10]。移植された圧倒的多数の細胞が輸血後すぐに破壊される。結果として、レシピエントの骨髄におけるコロニー形成は効率が低く、輸血された細胞のほんの1〜5%が移植後2〜3日でレシピエントのBMにおいて検出されるにすぎない[Kerreet al.、2001、2001、“Both CD34+38+ and CD34+38− cells home specifically to the bone marrow of NOD/LtSZ scid/scid mice but show different kinetics in expansion.”、J Immunol、167:3692〜8;Jetmoreet al.、2002、2002、“Homing efficiency,cell cycle kinetics,and survival of quiescent and cycling human CD34(+) cells transplanted into conditioned NOD/SCID recipients.”、Blood、99:1585〜93]。

間葉系間質細胞MSC)は、種々のタイプの間葉成熟細胞に分化することができる細胞の不均一集団である。細網内皮細胞、線維芽細胞、脂肪細胞および骨形成性前駆体細胞へのこれらの細胞の分化は、様々な生物活性因子からの影響に依存する。

HSC生着を支持するためにMSCを使用することがこの分野では知られている。いくつかの刊行物により、間葉系幹細胞同時移植されたときにHSCの生着効率がより大きくなることが明らかになっている[Gurevitchet al.、1999、1999、“Transplantation of allogeneic or xenogeneic bone marrow within the donor stromal microenvironment.”、Transplantation、68:1362〜8;Fanet al.、2001、2001、“Successful allogeneic bone marrow transplantation (BMT) by injection of bone marrow cells via portal vein: stromal cells as BMT−facilitating cells.”、Stem Cells、19:144〜50]。ヒト・ヒツジ生着モデルにおけるヒト間葉系幹細胞の同時移植が動物におけるヒトHSCキメラBMの長期にわたる生着の強化をもたらしたこともまた明らかにされた[Almeida−Poradaet al.、2000]。免疫前胎児ヒツジへのヒト間質細胞前駆体の同時移植により、循環中のヒトドナー細胞が早期に出現し、移植後の様々な後の時点において、骨髄中の細胞レベルが高まる[Blood、95:3620〜7]。HSCと間葉系幹細胞との同時注入により造血が加速した[Zhanget al.、2004、Stem Cells、22:1256〜62]。近年では、これらの知見がより近縁動物モデルアカゲザル)に拡大された。ハプロタイプ一致のHSC細胞および間葉系幹細胞が同時移植されたとき、HSC生着が促進されることが明らかにされた[Liuet al.、2005、Zhonghua Xue Ye Xue Za Zhi、26:385〜8]。ヒトを対象としたHSCの生着を増進させるための間葉系幹細胞の使用も近年報告された[Koc ON、J Clin Oncol、2000、18:307〜316;Lazarus HM、Biol Blood Marrow Transplant、2005(May)、11(5):389〜98]。

明らかに、造血生着に対するMSC寄与は、移植されたHSCのホーミング能、自己再生能およびコミットメント能の媒介及び均衡に役立つHSC支持サイトカインを産生すること、HSCのホーミングおよび増殖のために必要とされる損傷した造血微小環境再構築すること、ならびに、移植片対宿主病(GvHD)を引き起こし得るドナー由来T細胞を阻害することにある[Charbord P.およびMoore,K.、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1044:159〜167(2005);米国特許第6010696号および同第6555374号]。例えば、Maitraによる研究[Maitra Bet al.、Bone Marrow Transplant、33(6):597〜604(2004)]では、ヒト間葉系幹細胞は、NOD−SCIDマウスモデルにおいて非関連のドナー造血幹細胞および抑制されたT細胞活性化を支持することが見出された。このことは、非関連のヒト骨髄由来MSCが同種移植の結果を改善し得ることを示している。

MSCを使用する際の1つの大きな障害は、これらの細胞の通常存在する集団を多量に単離することの困難さであり、そのような単離は、部分的には細胞の量が限られているために、技術的に困難であり、また、費用がかかる。MSCの最も明白な供給源は骨髄であるが、骨髄吸引物を得る際に伴う著しい不快さや生検リスクが、これらの方法に対する欠点となる。ヒトのおよび胎児は独立した生命を形成するという広く行き渡った考えは、既に存在するロジスティックな困難さに加えて、宗教的および倫理的な側面からヒトの胚を幹細胞供給源として問題あるものにしている。

幹細胞を集めるための代替供給源を見出すことが近年試みられている。そのような代替供給源は、例えば、脂肪組織毛嚢精巣、ヒト嗅粘膜胚性卵黄嚢胎盤思春期皮膚および血液(例えば、臍帯血月経血までも)である。しかしながら、幹細胞をそのような代替供給源から治療目的および研究目的のために十分な量で集めることは、例えば、細胞または組織をドナー対象者または患者から集めること、細胞をインビトロで培養および/または増殖すること、切開などを伴うので、依然として限定され、また、一般に労力を要する。

胎盤は、不快感または倫理的制約を何ら伴わない、幹細胞の最も入手しやすい供給源の1つであると考えられる。胎盤由来のMSCは、BM由来のMSCと類似する特性を有することが見出された。胎盤由来のMSCはプラスチック接着性であり、CD105、CD73およびCD90の膜マーカー発現し、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA−DRの表面分子を発現しない。しかしながら、BM由来のMSCとは異なり、インターフェロン−γにより処理された胎盤由来(PD)のMSCはHLA−DRの亢進をほぼ最小限に抑えた。そのうえ、PD−MSC細胞は、インターフェロン−γの存在下で強化される免疫抑制的性質を示す(Chang CJ、Yen ML、Chen YC、Chien CC、Huang HI、Bai CH、YenBL、“Placenta−derived Multipotent Cells exhibit immunosuppressive properties that are enhanced in the presence of interferon− gamma.”、Stem Cells、2006(Nov)、24(11):2466〜77)。

MSCマーカーに加えて、PD−MSCは、それが非常に原始的な細胞であり得ることを示唆する、SSEA−4、TRA−1−61およびTRA−1−80の特異なESC表面マーカーを呈示する(YenBL、Huang HI、Chien CC、Jui HY、KoBS、Yao M、Shun CT、Yen ML、Lee MC、Chen YC、“Isolation of multipotent cells from human term placenta.”、Stem Cells、2005、23(1):3〜9)。そのうえ、BM由来のMSCではなく、PD−MSC(胎児由来)は細胞内ヒト白血球抗原−G(HLA)陽性である?(Chang CJ、Yen ML、Chen YC、Chien CC、Huang HI、Bai CH、Yen BL、胎盤由来の多能性細胞は、インターフェロン−ガンマの存在下で強化される免疫抑制的性質を示す、Stem Cells、2006(Nov)、24(11):2466〜77)。

様々な研究は、PD−MSCの拡大能成体BM由来MSCの拡大能よりも著しく高かったことを示している(YenBL、Huang HI、Chien CC、Jui HY、KoBS、Yao M、Shun CT、Yen ML、Lee MC、Chen YC、ヒト満期胎盤からの多能性細胞の単離、Stem Cells、2005、23(1):3〜9;M.J.S.de Groot−Swings、Frans H.J.Claas、Willem E.FibbeおよびHumphrey H.H.Pieternella S.in‘t Anker、Sicco A.Scherjon、Carin Kleijburg−van der Keur、Godelieve、ヒトからの胎児起源または母体起源の間葉系幹細胞の胎盤分離、Sem Cells、2004、22:1338〜1345)。加えて、胎盤由来の接着性細胞は、骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨芽細胞に分化することができる。BM由来のMSCと同様に、胎盤由来のMSCは、臍帯血(UCB)のリンパ球増殖を抑制することが見出された。このことは、HSCおよび胎盤由来(PD)MSCの混合移植により、レシピエントにおける起こり得る移植片対宿主病(GvHD)が軽減され得ること[Li CDet al.、Cell Res、Jul:15(7):539〜47(2005)]、および、造血支持が強化され得ること[Zhang Yiet al.、Chinese Medical Journal、117(6):882〜887(2004)]を示唆する。羊膜上皮細胞のための供給源としての胎盤の使用が、例えば、国際特許出願公開WO00/73421に教示されているが、これらの細胞を得ることは依然として労働集約的であり、MSCの収率が非常に低い。

MSCの制限された量という問題を解決するための別の方法は、これらの細胞を、種々の培養条件を使用してエクスビボ拡大培養することである[例えば、米国特許第6326198号、同第6030836号、同第6555374号、同第6335195号、同第6338942号]。しかしながら、そのような方法の欠点は、そのような方法が要求する、時間がかかる特異的な選択手法および単離手法において依然として残っており、このことが、これらの方法を費用のかかる気むずかしい方法にしている。

細胞の三次元(3D)培養は、収率においてより効果的であることがいくつかの研究で見出された[Ma Tet al.、Biotechnology Progress.Biotechnol Prog、15:715〜24(1999);Yubing Xie、Tissue Engineering、7(5):585〜598(2001)]。MSCの天然環境を模倣する3D培養手法の使用は、これらの細胞を、ポリアクティブ発泡体を含有する灌流バイオリアクター播種すること[Wendt,D.et al.、Biotechnol Bioeng、84:205〜214(2003)]、“tubular poly−L−lactic acid (PLLA) porous scaffoldsin a Radial−flow perfusion bioreactor”[Kitagawaet al.、Biotechnology and Bioengineering、93(5):947〜954(2006)]、また、造血幹細胞の成長および拡大培養のためのプラグフローバイオリアクターに播種すること(米国特許第6911201号)に基づく。

間質細胞を付着させる三次元構造物が米国特許第6022743号において示唆され、また、海綿状コラーゲンがHosseinkhami,Het al.[Tissue Engineering、11(9−10):1476〜1488(2005)]において3Dマトリックスとして示唆された。しかしながら、HSC移植後のHSCのインビボ生着を支持するためにこれらの条件で成長させたMSCの使用は、これらのどの研究においても示唆されていない。同様に、特定の細胞タイプのための様々な条件(例えば、灌流条件)または様々な単離技術の時間のかかる最適化が必要であった。

MSCを培養するための3Dリアクターとしての灌流された出産後胎盤の使用が、米国特許第7045148号、ならびに、米国特許出願公開第20020123141号、同第20030032179号および同第2005011871号において示唆された。しかしながら、この手法は、胎盤が剥離された後の24時間までに限定され、また、灌流を伴うので、細胞の大量成長および長期にわたるその維持が不可能である。

従って、上記の制限を有しない、細胞を拡大培養する新規な方法、ならびに、そのような方法によって作製される細胞および馴化培地の治療のための使用が必要であることが広く認められており、従って、そのような方法および使用は非常に有益であると考えられる。

概要

内因性造血系における内因性造血細胞の再増殖誘導するための医薬の提供。放射線又は化学療法への暴露特定期間内に胎盤の外側で培養されたCD34−の胎盤由来の接着性間質細胞の治療効果的な量、及びCD34+の造血細胞の治療効果的な量の使用。なし

目的

骨髄細胞は、HIMの機能的一体性を、細胞・細胞の接触を容易にする細胞外マトリックス(ECM)タンパク質および基底膜成分を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

内因性造血系における内因性造血細胞再増殖誘導するための医薬を製造することにおける、胎盤の外側で培養されたCD34−の胎盤由来接着性間質細胞治療効果的な量、及びCD34+の造血細胞の治療効果的な量の使用。

請求項2

放射線又は化学療法への暴露後の特定期間内に、内因性造血系における内因性造血細胞の再増殖を強化するための医薬を製造することにおける、胎盤の外側で培養されたCD34−の胎盤由来の接着性間質細胞の第一の治療効果的な量、胎盤の外側で培養されたCD34−の胎盤由来の接着性間質細胞の第二の治療効果的な量、及びCD34+の造血細胞の治療効果的な量の使用。

技術分野

0001

本発明は、細胞拡大培養する方法、そのような方法によって作製される細胞の集団、および、そのような細胞の使用に関する。具体的には、本発明は、(本PCT全体に従って)胎盤組織または脂肪組織からの接着細胞を拡大培養する方法、および、その治療的使用(例えば、造血幹細胞移植のためのその治療的使用など)に関する。

背景技術

0002

発展し続ける医療界では、成体幹細胞需要は、細胞移植および組織工学の目的のためにますます高まっている。加えて、成体幹細胞治療は、様々な状態(例えば、造血障害心臓疾患パーキンソン病アルツハイマー病、脳卒中、火傷筋ジストロフィー自己免疫障害糖尿病および関節炎など)を処置および治療するために絶え間なく発達し続けている。

0003

造血幹細胞(HSC)は、骨髄細胞系列およびリンパ系列両者の血液細胞タイプのすべてを生じさせる前駆体細胞である。移植されたHSCによる造血生着および開始は、移植されたHSC細胞レシピエントのBMに向かい、レシピエントのBMにおいて増殖する能力に依存する。

0004

幹細胞生体内では骨髄内の個々独立した陥凹部と密に結合し、全体としてその分化および自己再生を媒介する様々な分子シグナルを、細胞・細胞の接触または近距離の相互作用を介してもたらすことが広く受け入れられている。これらの陥凹部は、骨髄細胞(すなわち、マクロファージ線維芽細胞脂肪細胞および内皮細胞)から構成される「造血誘導微小環境」(HIM)の一部である。骨髄細胞は、HIMの機能的一体性を、細胞・細胞の接触を容易にする細胞外マトリックス(ECM)タンパク質および基底膜成分を提供することによって維持する。骨髄細胞はまた、造血細胞の制御された分化および増殖のために必要とされる様々な可溶性サイトカインまたは常在性サイトカインを提供する。

0005

HSCと、間質との間での相互作用が、HSCの生存能を維持し、その分化を防止するために要求される。HSC移植後、移植されたHSCは、移植されたHSCが増殖および分化する前に骨髄(BM)の微小環境に向かい、適切な陥凹部に定着しなければならない。このホーミングプロセス中に、移植されたHSCは血流から離れ、BMの内皮細胞バリアの両端におけるサイトカインの勾配に従うことによって移動して、その専用の陥凹部に到達する。その場合、ドナーHSCは、HSC分裂のためのより好ましい微小環境と遭遇し、また、連続した物理的および化学的な接触が、HSCと、間葉系細胞、ECMおよび分泌された増殖因子との間で確立され得る造血性陥凹部の中に向かわなければならない。これらすべてのプロセスにおいて、複雑な配列の分子、例えば、サイトカイン、ケモカインホルモンステロイド細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、細胞間相互作用タンパク質、接着タンパク質およびマトリックスタンパク質などが関わる。

0006

BM専用の陥凹部に生着する細胞の総数がHSC移植の成功基礎となる。生着を達成するために、血液循環に移植されるドナーHSCは、ドナーHSCが機能的な造血増殖巣をもたらすレシピエントの骨髄の中に向かわなければならない。この増殖巣の数は、輸血された総HSCにその生着効率を乗じた積として求められる。

0007

HSC移植に関係する大きな問題の1つは、アクセプター系におけるこれらの細胞の生存率の低さである。静脈内に移植されたHSCは、その輸血後、数分以内に循環から除去され、BMにおいて可視化されることが広く報告されている。HSC移植後3〜5時間で、ドナー細胞はレシピエントの末梢血中に検出されない[Askenasy et al、2002、“Transplanted hematopoietic cells seed in clusters in recipient bone marrow in vivo.”、Stem Cells、20:301〜10]。移植された圧倒的多数の細胞が輸血後すぐに破壊される。結果として、レシピエントの骨髄におけるコロニー形成は効率が低く、輸血された細胞のほんの1〜5%が移植後2〜3日でレシピエントのBMにおいて検出されるにすぎない[Kerreet al.、2001、2001、“Both CD34+38+ and CD34+38− cells home specifically to the bone marrow of NOD/LtSZ scid/scid mice but show different kinetics in expansion.”、J Immunol、167:3692〜8;Jetmoreet al.、2002、2002、“Homing efficiency,cell cycle kinetics,and survival of quiescent and cycling human CD34(+) cells transplanted into conditioned NOD/SCID recipients.”、Blood、99:1585〜93]。

0008

間葉系間質細胞MSC)は、種々のタイプの間葉成熟細胞に分化することができる細胞の不均一集団である。細網内皮細胞、線維芽細胞、脂肪細胞および骨形成性前駆体細胞へのこれらの細胞の分化は、様々な生物活性因子からの影響に依存する。

0009

HSC生着を支持するためにMSCを使用することがこの分野では知られている。いくつかの刊行物により、間葉系幹細胞同時移植されたときにHSCの生着効率がより大きくなることが明らかになっている[Gurevitchet al.、1999、1999、“Transplantation of allogeneic or xenogeneic bone marrow within the donor stromal microenvironment.”、Transplantation、68:1362〜8;Fanet al.、2001、2001、“Successful allogeneic bone marrow transplantation (BMT) by injection of bone marrow cells via portal vein: stromal cells as BMT−facilitating cells.”、Stem Cells、19:144〜50]。ヒト・ヒツジ生着モデルにおけるヒト間葉系幹細胞の同時移植が動物におけるヒトHSCキメラBMの長期にわたる生着の強化をもたらしたこともまた明らかにされた[Almeida−Poradaet al.、2000]。免疫前胎児ヒツジへのヒト間質細胞前駆体の同時移植により、循環中のヒトドナー細胞が早期に出現し、移植後の様々な後の時点において、骨髄中の細胞レベルが高まる[Blood、95:3620〜7]。HSCと間葉系幹細胞との同時注入により造血が加速した[Zhanget al.、2004、Stem Cells、22:1256〜62]。近年では、これらの知見がより近縁動物モデルアカゲザル)に拡大された。ハプロタイプ一致のHSC細胞および間葉系幹細胞が同時移植されたとき、HSC生着が促進されることが明らかにされた[Liuet al.、2005、Zhonghua Xue Ye Xue Za Zhi、26:385〜8]。ヒトを対象としたHSCの生着を増進させるための間葉系幹細胞の使用も近年報告された[Koc ON、J Clin Oncol、2000、18:307〜316;Lazarus HM、Biol Blood Marrow Transplant、2005(May)、11(5):389〜98]。

0010

明らかに、造血生着に対するMSC寄与は、移植されたHSCのホーミング能、自己再生能およびコミットメント能の媒介及び均衡に役立つHSC支持サイトカインを産生すること、HSCのホーミングおよび増殖のために必要とされる損傷した造血微小環境再構築すること、ならびに、移植片対宿主病(GvHD)を引き起こし得るドナー由来T細胞を阻害することにある[Charbord P.およびMoore,K.、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1044:159〜167(2005);米国特許第6010696号および同第6555374号]。例えば、Maitraによる研究[Maitra Bet al.、Bone Marrow Transplant、33(6):597〜604(2004)]では、ヒト間葉系幹細胞は、NOD−SCIDマウスモデルにおいて非関連のドナー造血幹細胞および抑制されたT細胞活性化を支持することが見出された。このことは、非関連のヒト骨髄由来MSCが同種移植の結果を改善し得ることを示している。

0011

MSCを使用する際の1つの大きな障害は、これらの細胞の通常存在する集団を多量に単離することの困難さであり、そのような単離は、部分的には細胞の量が限られているために、技術的に困難であり、また、費用がかかる。MSCの最も明白な供給源は骨髄であるが、骨髄吸引物を得る際に伴う著しい不快さや生検リスクが、これらの方法に対する欠点となる。ヒトのおよび胎児は独立した生命を形成するという広く行き渡った考えは、既に存在するロジスティックな困難さに加えて、宗教的および倫理的な側面からヒトの胚を幹細胞供給源として問題あるものにしている。

0012

幹細胞を集めるための代替供給源を見出すことが近年試みられている。そのような代替供給源は、例えば、脂肪組織、毛嚢精巣、ヒト嗅粘膜胚性卵黄嚢胎盤思春期皮膚および血液(例えば、臍帯血月経血までも)である。しかしながら、幹細胞をそのような代替供給源から治療目的および研究目的のために十分な量で集めることは、例えば、細胞または組織をドナー対象者または患者から集めること、細胞をインビトロで培養および/または増殖すること、切開などを伴うので、依然として限定され、また、一般に労力を要する。

0013

胎盤は、不快感または倫理的制約を何ら伴わない、幹細胞の最も入手しやすい供給源の1つであると考えられる。胎盤由来のMSCは、BM由来のMSCと類似する特性を有することが見出された。胎盤由来のMSCはプラスチック接着性であり、CD105、CD73およびCD90の膜マーカー発現し、CD45、CD34、CD14、CD19およびHLA−DRの表面分子を発現しない。しかしながら、BM由来のMSCとは異なり、インターフェロン−γにより処理された胎盤由来(PD)のMSCはHLA−DRの亢進をほぼ最小限に抑えた。そのうえ、PD−MSC細胞は、インターフェロン−γの存在下で強化される免疫抑制的性質を示す(Chang CJ、Yen ML、Chen YC、Chien CC、Huang HI、Bai CH、YenBL、“Placenta−derived Multipotent Cells exhibit immunosuppressive properties that are enhanced in the presence of interferon− gamma.”、Stem Cells、2006(Nov)、24(11):2466〜77)。

0014

MSCマーカーに加えて、PD−MSCは、それが非常に原始的な細胞であり得ることを示唆する、SSEA−4、TRA−1−61およびTRA−1−80の特異なESC表面マーカーを呈示する(YenBL、Huang HI、Chien CC、Jui HY、KoBS、Yao M、Shun CT、Yen ML、Lee MC、Chen YC、“Isolation of multipotent cells from human term placenta.”、Stem Cells、2005、23(1):3〜9)。そのうえ、BM由来のMSCではなく、PD−MSC(胎児由来)は細胞内ヒト白血球抗原−G(HLA)陽性である?(Chang CJ、Yen ML、Chen YC、Chien CC、Huang HI、Bai CH、Yen BL、胎盤由来の多能性細胞は、インターフェロン−ガンマの存在下で強化される免疫抑制的性質を示す、Stem Cells、2006(Nov)、24(11):2466〜77)。

0015

様々な研究は、PD−MSCの拡大能成体BM由来MSCの拡大能よりも著しく高かったことを示している(YenBL、Huang HI、Chien CC、Jui HY、KoBS、Yao M、Shun CT、Yen ML、Lee MC、Chen YC、ヒト満期胎盤からの多能性細胞の単離、Stem Cells、2005、23(1):3〜9;M.J.S.de Groot−Swings、Frans H.J.Claas、Willem E.FibbeおよびHumphrey H.H.Pieternella S.in‘t Anker、Sicco A.Scherjon、Carin Kleijburg−van der Keur、Godelieve、ヒトからの胎児起源または母体起源の間葉系幹細胞の胎盤分離、Sem Cells、2004、22:1338〜1345)。加えて、胎盤由来の接着性細胞は、骨芽細胞、脂肪細胞および軟骨芽細胞に分化することができる。BM由来のMSCと同様に、胎盤由来のMSCは、臍帯血(UCB)のリンパ球増殖を抑制することが見出された。このことは、HSCおよび胎盤由来(PD)MSCの混合移植により、レシピエントにおける起こり得る移植片対宿主病(GvHD)が軽減され得ること[Li CDet al.、Cell Res、Jul:15(7):539〜47(2005)]、および、造血支持が強化され得ること[Zhang Yiet al.、Chinese Medical Journal、117(6):882〜887(2004)]を示唆する。羊膜上皮細胞のための供給源としての胎盤の使用が、例えば、国際特許出願公開WO00/73421に教示されているが、これらの細胞を得ることは依然として労働集約的であり、MSCの収率が非常に低い。

0016

MSCの制限された量という問題を解決するための別の方法は、これらの細胞を、種々の培養条件を使用してエクスビボ拡大培養することである[例えば、米国特許第6326198号、同第6030836号、同第6555374号、同第6335195号、同第6338942号]。しかしながら、そのような方法の欠点は、そのような方法が要求する、時間がかかる特異的な選択手法および単離手法において依然として残っており、このことが、これらの方法を費用のかかる気むずかしい方法にしている。

0017

細胞の三次元(3D)培養は、収率においてより効果的であることがいくつかの研究で見出された[Ma Tet al.、Biotechnology Progress.Biotechnol Prog、15:715〜24(1999);Yubing Xie、Tissue Engineering、7(5):585〜598(2001)]。MSCの天然環境を模倣する3D培養手法の使用は、これらの細胞を、ポリアクティブ発泡体を含有する灌流バイオリアクター播種すること[Wendt,D.et al.、Biotechnol Bioeng、84:205〜214(2003)]、“tubular poly−L−lactic acid (PLLA) porous scaffoldsin a Radial−flow perfusion bioreactor”[Kitagawaet al.、Biotechnology and Bioengineering、93(5):947〜954(2006)]、また、造血幹細胞の成長および拡大培養のためのプラグフローバイオリアクターに播種すること(米国特許第6911201号)に基づく。

0018

間質細胞を付着させる三次元構造物が米国特許第6022743号において示唆され、また、海綿状コラーゲンがHosseinkhami,Het al.[Tissue Engineering、11(9−10):1476〜1488(2005)]において3Dマトリックスとして示唆された。しかしながら、HSC移植後のHSCのインビボ生着を支持するためにこれらの条件で成長させたMSCの使用は、これらのどの研究においても示唆されていない。同様に、特定の細胞タイプのための様々な条件(例えば、灌流条件)または様々な単離技術の時間のかかる最適化が必要であった。

0019

MSCを培養するための3Dリアクターとしての灌流された出産後胎盤の使用が、米国特許第7045148号、ならびに、米国特許出願公開第20020123141号、同第20030032179号および同第2005011871号において示唆された。しかしながら、この手法は、胎盤が剥離された後の24時間までに限定され、また、灌流を伴うので、細胞の大量成長および長期にわたるその維持が不可能である。

0020

従って、上記の制限を有しない、細胞を拡大培養する新規な方法、ならびに、そのような方法によって作製される細胞および馴化培地の治療のための使用が必要であることが広く認められており、従って、そのような方法および使用は非常に有益であると考えられる。

0021

本発明の1つの態様によれば、胎盤組織または脂肪組織からの接着性細胞を、細胞の拡大培養を支持する三次元培養条件のもとで培養することを含む、細胞を拡大培養する方法を提供する。

0022

本発明の別の態様によれば、胎盤組織または脂肪組織からの接着性細胞を、細胞の拡大培養を可能にする三次元培養条件において培養すること、および、拡大培養された接着性細胞の馴化培地を集め、それにより、馴化培地を製造することを含む、馴化培地を製造する方法を提供する。

0023

本発明のさらに別の態様によれば、上記の方法に従って作製された細胞の集団を提供する。

0024

本発明のさらに別の態様によれば、SCF、IL−6およびFlt−3からなる群から選択される少なくとも1つの因子を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって分泌されるよりも高いレベルで分泌する、胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞を含む細胞の単離された集団を提供する。

0025

本発明のさらなる態様によれば、H2Aヒストンファミリー(H2AF)、アルデヒドデヒドロゲナーゼX(ALDHX)、真核生物翻訳伸長因子2(EEEF2)、レチクロカルビン3、EF−ハンドカルシウム結合ドメイン(RCN2)およびカルポニン塩基性平滑筋CNN1)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を、2D培養で成長させられた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって発現されるよりも高いレベルで発現する、胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞を含む細胞の単離された集団を提供する。

0026

本発明のさらなる態様によれば、ヘテロリボヌクレオタンパク質H1(Hnrph1)、CD44抗原イソ型2前駆体、3ホスホアデノシン5ホスホ硫酸シンターゼ2イソ型a(Papss2)およびリボソームタンパク質L7a(rpL7a)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって発現されるよりも低い発現レベルで発現する、胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞を含む細胞の単離された集団を提供する。

0027

本発明のさらなる態様によれば、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞よりも高い免疫抑制活性を特徴とする、胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞を含む細胞の単離された集団を提供する。

0028

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、免疫抑制活性はT細胞増殖の低下を含む。

0029

本発明のさらなる態様によれば、上記の方法に従って作製される細胞の集団を有効成分として含む医薬組成物を提供する。

0030

本発明のさらなる態様によれば、上記の方法に従って作製される馴化培地を有効成分として含む医薬組成物を提供する。

0031

本発明のさらなる態様によれば、上記による細胞の単離された集団を有効成分として含む医薬組成物を提供する。

0032

本発明のさらなる態様によれば、間質細胞移植の必要性のある対象において、それが有益である疾患を治療する方法であって、胎盤組織および脂肪組織からなる群から選択される組織の接着性細胞の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、対象において幹細胞移植が有益である疾患を治療することを含む方法を提供する。

0033

本発明のさらなる態様によれば、間質細胞移植の必要性のある対象において、それが有益である疾患を治療する方法であって、胎盤組織および脂肪組織からなる群から選択される組織に由来する接着性細胞の馴化培地の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、対象において幹細胞移植が有益である疾患を治療することを含む方法を提供する。

0034

本発明のさらなる態様によれば、免疫応答をその必要性のある対象において軽減する方法であって、当該方法が、請求項3、4、5、6または7に記載される細胞の単離された集団の治療効果的な量を対象に投与し、その結果、免疫応答を対象において軽減するようにすることを含む方法を提供する。

0035

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、対象は細胞療法により治療される。

0036

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、該方法はさらに、幹細胞を投与することを含む。

0037

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、幹細胞は造血幹細胞を含む。

0038

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、細胞が馴化培地または接着性細胞と同時に投与される。

0039

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、細胞が、馴化培地または接着性細胞を投与した後で投与される。

0040

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞が三次元培養から得られる。

0041

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞が二次元培養から得られる。

0042

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、疾患は、幹細胞欠乏、心臓疾患、パーキンソン病、癌、アルツハイマー病、脳卒中、火傷、組織の欠損、血液の喪失貧血自己免疫疾患、糖尿病、関節炎、多発性硬化症、移植片対宿主病(GvHD)、神経変性障害自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、全身性エリテマトーデスSLE)、リウマチ様関節炎全身性硬化症シェーグレン症候群、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症(MG)、ギランバレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎HT)、グレーヴズ病、インスリン依存性糖尿病(IDDM)および炎症性腸疾患からなる群から選択される。

0043

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、三次元培養は3Dバイオリアクターを含む。

0044

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、バイオリアクターが、栓流バイオリアクター、連続撹拌槽型バイオリアクターおよび定常床バイオリアクターからなる群から選択される。

0045

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、細胞培養培養培地連続流のもとで行う。

0046

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、三次元培養は、ポリエステルポリアルキレンポリフルオロクロロエチレンポリ塩化ビニルポリスチレンポリスルホン酢酸セルロースガラス繊維セラミック粒子マトリゲル細胞外マトリックス成分、コラーゲン、ポリL乳酸および不活性金属繊維からなる群から選択される接着性材料を含む。

0047

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、培養を少なくとも3日間行う。

0048

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、培養を少なくとも3日間行う。

0049

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、培養を、接着性細胞が少なくとも60%のコンフルエンスに達するまで行う。

0050

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、疾患には、造血幹細胞の生着促進が有益である。

0051

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞は、CD73、CD90、CD29およびCD105からなる群から選択される陽性のマーカー発現アレイを含む。

0052

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞は、CD45、CD80、HLA−DR、CD11b、CD14、CD19、CD34およびCD79からなる群から選択される陰性のマーカー発現アレイを含む。

0053

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞は、SCF、Flt−3およびIL−6からなる群から選択される少なくとも1つの因子を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織由来の接着性細胞によって分泌されるよりも高いレベルで分泌する。

0054

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞は、H2Aヒストンファミリー(H2AF)、アルデヒドデヒドロゲナーゼX(ALDHX)、真核生物翻訳伸長因子2(EEEF2)、レチクロカルビン3、EF−ハンドカルシウム結合ドメイン(RCN2)およびカルポニン1塩基性平滑筋(CNN1)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織由来の接着性細胞によって分泌されるよりも高いレベルで発現する。

0055

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞は、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質H1(Hnrph1)、CD44抗原イソ型2前駆体、3ホスホアデノシン5ホスホ硫酸シンターゼ2イソ型a(Papss2)およびリボソームタンパク質L7a(rpL7a)からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織由来の接着性細胞によって発現されるよりも低い発現レベルで発現する。

0056

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、接着性細胞または培地は、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞よりも大きい免疫抑制活性を特徴とする。

0057

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、免疫抑制活性はT細胞増殖における低下を含む。

0058

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、細胞は、間質幹細胞表現型を有する細胞を含む。

0059

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、間質幹細胞表現型はT細胞抑制活性を含む。

0060

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、間質幹細胞表現型は造血幹細胞支持活性を含む。

0061

記載される好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、上記で記載される細胞の集団は、移植のために特定される薬剤の製造のために用いられる。

0062

本発明は、細胞を拡大培養するための新規の方法ならびにその方法によって作製される細胞および馴化培地の治療のための使用を提供することにより、現在知られている構成の欠点に成功裡に対処している。

0063

別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。

図面の簡単な説明

0064

3 本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施形態を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。

0065

図1a〜gは、3D担体を含有するバイオリアクターシステムにおいて作製される骨様微小環境を示す。図1a〜bは、天然骨図1a)と、骨の微小環境を模倣する、接着性間質細胞(3D−ASC)を播種した7日後のPluriX(商標)3D担体の構造(図1b)との比較を示す電子顕微鏡写真である。図1c〜fは、骨髄から作製される3D−ASCが播種されたPluriX(商標)3Dマトリックスを播種後20日で示す電子顕微鏡写真(図1c〜d、それぞれ150倍および250倍に拡大)および播種後40日で示す電子顕微鏡写真(図1e〜f、それぞれ350倍および500倍に拡大)である。図1gは、個々の部分を数字で定義したPlurix3Dプラグフローバイオリアクターの略図である:培養培地リザーバー(1)、ガス混合物供給(2)、フィルター(3)、注入点(4)、3D担体が設置されるカラム(5)、流量モニター(6)、流量バルブ(6a)、分離用容器(7)、細胞成長分析計(8)、蠕動ポンプ(9)、サンプル採取点(10)、溶存O2測定電極(11)、pH測定電極(12)、制御システム(13)、新鮮成長培地(14)、使用後の成長培地(15)。

0066

図2は、バイオリアクターシステム内の3D成長条件で成長させた、胎盤由来の接着性間質細胞(3D−ASC)の異なる製造ロットロット5〜8)を示すグラフである。ASC(2×106個)を10000〜15000細胞/担体の密度でバイオリアクターに播種した。12日間の培養の後、3D−ASCは150000〜250000細胞/担体の密度、すなわち、150個の担体を含有するバイオリアクターにおいて22.5〜37.5×106個に達した。

0067

図3a〜bは、従来の2D培養条件で培養された胎盤細胞における膜マーカー(明紫色)に対して比較されたときの、胎盤由来の3D−ASCにおける発現した膜マーカー(暗紫色)の発現レベルにおける差を示す棒グラフである。接着性細胞をフラスコ(2D)において4〜6週間成長させ、または、ポリスチレン担体(3D)でバイオリアクターシステムにおいて2〜3週間成長させた。細胞をフラスコまたは担体のいずれかから集めた後、細胞をインキュベートし、MSCに特徴的な膜マーカー(図3a)または造血細胞に特徴的な膜マーカー(図3b)を認識するモノクローナル抗体(MAb)のパネルに結合させた。3D培養の接着性細胞において発現されるMSC膜マーカーと比較して、CD90、CD105、CD73およびCD29の膜マーカーについて示されるように、2D培養の細胞におけるMSC膜マーカーが著しく高く発現することに留意すべきである。特に、2D培養の細胞における87%に対して、CD105は3D培養の細胞において56%の発現を示した(図3a)。2Dおよび3D培養両者のASCは造血系の膜マーカーを何ら発現しなかった(図3b)。

0068

図4aは、2Dおよび3D条件のもとで培養された、胎盤から作製されるASC、または、そのようなASCの馴化培地におけるタンパク質レベルの比較を示す棒グラフである。図4aは、2Dおよび3D培養ASCの馴化培地においてELISAによって分析されたときの、1×106細胞/mlについて正規化された、Flt−3リガンドのレベル(図4a)をpg/ml単位で示す。結果は3回の独立した実験のうちの1つを表す。
図4bは、2Dおよび3D条件のもとで培養された、胎盤から作製されるASC、または、そのようなASCの馴化培地におけるタンパク質レベルの比較を示す棒グラフである。図4bは、2Dおよび3D培養ASCの馴化培地においてELISAによって分析されたときの、1×106細胞/mlについて正規化された、IL−6のレベル(図4b)をpg/ml単位で示す。結果は3回の独立した実験のうちの1つを表す。
図4cは、2Dおよび3D条件のもとで培養された、胎盤から作製されるASC、または、そのようなASCの馴化培地におけるタンパク質レベルの比較を示す棒グラフである。図4cは、2Dおよび3D培養ASCの馴化培地においてELISAによって分析されたときの、1×106細胞/mlについて正規化された、SCFのレベル(図4c)をpg/ml単位で示す。結果は3回の独立した実験のうちの1つを表す。
図4dは、2Dおよび3D条件のもとで培養された、胎盤から作製されるASC、または、そのようなASCの馴化培地におけるタンパク質レベルの比較を示す棒グラフである。図4dは、両者間で比較される、iTRAQ試薬により標識されたタンパク質サンプルを用いた質量分析法によって分析されたときの、種々の細胞タンパク質の発現レベルを示す。タンパク質サンプルを、2D条件下で成長させたASC(白色棒)、および、3D条件下で成長させたASC(灰色棒)から採取した。図は2つの反復実験の1つを表す。2Dおよび3D培養条件の細胞および馴化培地でのいくつかのタンパク質の発現レベルにおける差に留意すべきである。

0069

図5a〜dは、骨芽細胞への胎盤由来3D−ASCのインビトロ分化能を示す顕微鏡写真である。ヒトの胎盤由来ASCを、骨形成誘導培地(10%のFCS、100nMのデキサメタゾン、0.05mMのアスコルビン酸2−リン酸、10mMのB−グリセロリン酸を含有するDMEM)で3週間の期間、培養した。図5a〜bは、アリザリンレッドS染色によって示されるように、石灰化したマトリックスを発現する細胞を示す。図5c〜dは、骨形成誘導培地により処理されず、線維芽細胞様の表現型を維持したコントロール細胞を示し、石灰化を表していない。

0070

図6は、移植後3.5週間で化学療法(連続した2週間にわたる25mg/kgのブスルファン腹腔注入)により処置されたNOD−SCIDマウスの骨髄(BM)において検出されるヒトCD45+細胞の割合を示すグラフである。単核臍帯血由来細胞から精製されたCD34+細胞(100000個)だけを移植し(5匹のマウス、a)、または、2D条件で培養された0.5×106個の胎盤由来の接着性細胞(2D−ASC)と同時移植し(2匹のマウス、b)、または、pluriX(商標)バイオリアクターにおいて3D条件で培養された胎盤由来の接着性細胞(3D−ASC)と同時移植した(5匹のマウス、c)。その後、BMをマウスの大腿骨および脛骨から回収した。BMにおけるヒト細胞フローサイトメトリーによって検出した。CD45を発現するヒト細胞の割合を、細胞を抗ヒトCD45−FITCとインキュベートすることによって求めた。HSCだけにより処置されたマウス(a)におけるヒト細胞の割合と比較して、2D−ASCが同時移植されたマウス(b)、同様にまた、3D−ASCが同時移植されたマウス(c)の骨髄におけるヒト細胞(hCD45+)の割合がより高いことに留意すべきである。3D−ASC培養細胞により処置されたマウスにおいて、2D−ASC培養細胞により処置されたマウスと比較してより大きい生着が認められ、このことは、3D培養のASCに特有なより大きい治療上の利点を示している。

0071

図7a〜bは、脂肪組織由来のASCが同時移植された場合のCD34+細胞(図7b)と比較した、CD34+細胞のみが移植されたマウス(図7a)におけるヒト移植片のCD45+細胞のFACS分析である。ヒトCD34+だけにより処置されたマウス(7b、約12%)と比較して、脂肪組織由来のASCが同時移植されたマウスにおけるヒト造血集団(hCD45+)の割合が著しく高い(7a、約29%)ことに留意すべきである。

0072

図8は、ヒト臍帯血単核細胞(CB)と、等量の放射線照射(3000Rad)された臍帯血細胞(iCB)、ヒト末梢血由来単球(PBMC)、2D培養(2D)もしくは3D培養(3D)の胎盤ASC、または、PBMC、および2Dおよび3D培養の胎盤ASCの混合物(PBMC+2DおよびPBMC+3D)との間で行われた混合リンパ球反応を示すグラフである。CB細胞集団のサイズが、培養の最後の18時間の期間中に測定された(CPM単位で測定される)3H−チミジン取り込みによって表される。刺激されたCB細胞増殖が上昇するので、免疫応答のレベルがより大きくなる。接着性細胞とインキュベートされた細胞によって示される免疫応答レベルがより低くなること、および、特に、接着性細胞と同時インキュベートされたときにPBMCに対するCB免疫応答が低下することに留意すべきである。3回の反復がそれぞれの反応について行われた。

0073

本発明は、細胞を拡大培養するための新規の方法、ならびにその方法によって作製される細胞および馴化培地の、幹細胞に関連する治療、幹細胞生着、およびHSC支持のための使用の発明である。

0074

本発明の原理および作用が、図面および付随する説明を参照してより十分に理解されることができる。

0075

本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行される。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない。

0076

発展し続ける医療界では、幹細胞、より具体的には、間質幹細胞(「間葉系幹細胞」とも呼ばれる)の需要が臨床目的および研究目的のためにますます高まっている。MSCは、HSC移植およびHSCの生着を支持するために使用され、また、ますます多くの状態(例えば、心臓疾患、BM欠損、ニューロン関連疾患、および、臓器移植または組織移植を必要とする状態)を治療するためにも使用される。

0077

幹細胞を使用する際の様々な障害は、これらの細胞の数がほとんどの組織において限られること、幹細胞を得るための手法に伴う不快さおよび危険性、ならびに、現在の回収手法による記憶B細胞および造血幹細胞の付随する喪失のために、幹細胞または始原体細胞の通常的に存在する集団を多量に単離することの技術的困難さにある。細胞をヒトの胚から得ることは、宗教的および倫理的な側面を既に存在する技術的困難さに加える。

0078

骨髄由来の幹細胞のための代替供給源には、脂肪組織および胎盤が含まれる。しかしながら、現在、幹細胞をそのような組織から効率的に拡大培養するための方法がない。

0079

本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、胎盤組織または脂肪組織からの接着性細胞が3D培養条件で効率的に増殖し得ることを発見している。驚くべきことに、本発明者らは、そのような細胞が、MSCの特性と類似する機能的特性を含み、従って、これらの細胞、および、これらの細胞から作製される馴化培地が、治療目的のために、例えば、移植、組織再生およびインビボHSC支持などのために使用できることを発見した。

0080

本明細書中下記において、また、下記の実施例の節において例示されるように、本発明者らは、間質幹細胞の特性を3D環境において含む、脂肪および胎盤に由来する接着性細胞を拡大培養することができた。それに応じて拡大培養された細胞は、接着再増殖アッセイによって立証されるように、冷凍保存後生存可能であることが見出された(実施例1参照)。胎盤由来の接着性細胞のフローサイトメトリー分析では、異なったマーカー発現パターンが発見された(図3a〜b参照)。最も重要なことではあるが、2Dまたは3D環境で増殖した脂肪由来の接着性細胞および胎盤由来の接着性細胞はHSCの生着を支持することができた(実施例2を参照のこと)。このことは、間質幹細胞としての本発明の細胞の臨床での使用を実証する。

0081

従って、本発明の1つの態様によれば、細胞を拡大培養する方法が提供される。

0082

この方法は、胎盤組織または脂肪組織からの接着性細胞を、細胞の拡大培養を支持する三次元(3D)培養条件のもとで培養することを含む。

0083

本明細書中で使用される用語「拡大培養する」および用語「拡大培養」は、細胞および究極的には細胞成長を実質的な無分化で維持すること、すなわち、細胞集団の増大(例えば、少なくとも2倍)であって、そのような増大に付随する分化がないことを示す。

0084

本明細書中で使用される用語「維持する」および用語「維持」は、実質的な無分化での細胞再生、すなわち、実質的に定常的な細胞集団であって、そのような定常性に付随する分化がないことを示す。

0085

本明細書中で使用される表現「接着性細胞」は、足場依存的で、すなわち、インビトロで成長するために表面への付着を必要とする細胞の均一集団または不均一集団を示す。

0086

本明細書中で使用される表現「脂肪組織」は、脂肪細胞(fat cell、adipocyte)を含む結合組織を示す。

0087

本明細書中で使用される用語「胎盤組織」は、子宮壁の内側を覆い、妊娠期間中は胎児を包む、胎児が臍帯によって結び付けられる哺乳動物雌性器官の任意の部分を示す。出産後、胎盤は排出される(これは分娩後胎盤と呼ばれる)。

0088

本明細書中で使用される表現「三次元培養条件」は、細胞を、細胞成長との適合性を有し、一方で、細胞が2層以上で成長することを可能にする条件に配置することを示す。生きている生物(または組織)における細胞のインサイチュー環境は三次元構成であることが十分に理解される。細胞は他の細胞によって取り囲まれる。細胞は、様々な局所的微小環境の確立を可能にする、細胞外マトリックスのナノスケール繊維の複雑な網状組織において保持される。それらの細胞外リガンドは、基底膜への結合だけでなく、様々な血管およびリンパ管へのアクセスを媒介する。酸素、ホルモンおよび栄養分が細胞に運ばれ、老廃物が運び去られる。本発明の三次元培養条件は、下記でさらに例示されるように、そのような微小環境を模倣するように構成される。

0089

従って、本発明のこの態様の接着性細胞は脂肪組織または胎盤組織から回収される。

0090

胎盤の細胞を満期または早産の胎盤から得ることができる。胎盤は、好ましくは、胎盤が完全に放血されると集められる。胎盤は、好ましくは、残存する細胞を除くために十分な期間にわたって灌流される。本明細書中で使用される用語「灌流する」または用語「灌流」は、流体器官または組織に浴びせるか、または通すという行為を示す。胎盤組織は任意の哺乳動物に由来し得る。最も好ましくは、胎盤組織はヒト由来である。胎盤組織の好ましい供給源は分娩後の胎盤(例えば、1〜6時間)に由来する。しかしながら、胎盤組織もしくは胎盤細胞の供給源、または、胎盤組織を単離する方法は本発明にとって重要でない。

0091

胎盤由来の接着性細胞を胎盤の胎児部分(すなわち、羊膜または胎盤の内側部分、実施例1参照)および母体部分(すなわち、基底脱落膜および壁側脱落膜)の両方から得ることができる。組織試料生理学緩衝液[例えば、リン酸塩緩衝化生理的食塩水PBS)またはハンクス緩衝液]で洗浄される。単細胞懸濁物が、組織を消化酵素により処理すること(下記参照)、または/および、組織部分を細かく刻み、ナイロンフィルターに通すことによって、あるいは、洗浄媒体とともに穏やかなピペッティングすること(Falcon、Becton,Dickinson、San Jose、CA)によって作製される。

0092

脂肪組織由来の接着性細胞を、当業者に知られている様々な方法によって単離することができる。例えば、そのような方法が米国特許第6153432号に記載されている。脂肪組織は、大網内臓部位、乳房部位性腺部位または他の脂肪組織部位に由来し得る。脂肪組織の好ましい供給源は大網脂肪である。ヒトでは、脂肪は典型的には脂肪吸引によって単離される。

0093

脂肪組織からの単離された接着性細胞は、組織を消化酵素(例えば、コラゲナーゼトリプシンおよび/またはジスパーゼなど)、および/または、効果的な濃度のヒアルロニダーゼもしくはDNAse、および、エチレンジアミン四酢酸EDTA)により、25℃〜50℃の間での温度で10分〜3時間にわたって処理することによって取り出すことができる。その後、細胞は20ミクロン〜800ミクロンの間のナイロンまたはチーズクロスメッシュフィルターに通すことができる。その後、細胞は直接に媒体での分画遠心法に供されるか、あるいは、FicollまたはPercollまたは他の微粒子の勾配による分画遠心法に供される。細胞は100〜3000xgの間での速度において1分〜1時間にわたって4〜50℃の間の温度で遠心分離される(米国特許第7078230号参照)。

0094

胎盤組織または脂肪組織に由来する接着性細胞に加えて、本発明ではまた、(本明細書中下記においてさらに記載されるように)間質幹細胞表現型によって特徴づけられる他の細胞供給源からの接着性細胞の使用が想定される。接着性細胞を回収することができる組織供給源には、臍帯血、毛嚢[例えば、米国特許出願第20060172304号に記載されるように]、精巣[例えば、Guan K.et al.、Nature、2006(4月27日)、440(7088):1199〜203に記載されるように]、ヒト嗅粘膜[例えば、Marshall,CT.et al.、Histol Histopathol、2006(Jun)、21(6):633〜43に記載されるように]、胚性卵黄嚢[例えば、Geijsen N、Nature、2004(1月8日)、427(6970):148〜54に記載されるように]および羊水[Pieternellaet al.(2004)、Stem Cells、22:1338〜1345]が含まれるが、これらに限定されない。これらはすべて、間葉系幹細胞を含むことが知られている。これらの組織供給源からの接着性細胞は、細胞を接着性の表面で培養する。従って、接着性細胞を最初の集団における他の細胞から単離することによって単離することができる。

0095

起源(例えば、胎盤組織または脂肪組織)にかかわらず、細胞の回収は、好ましくは、無菌条件下で行われる。単離された細胞が得られると、単離された細胞は、接着性細胞をそれにより単離するために接着性材料(例えば、表面として構成される接着性材料)に接着させることができる。これは、3D培養条件での培養の前に行うことができ(実施例1参照)、または、3D培養条件での培養と同時に行うことができる。

0096

本明細書中で使用される「接着性材料」は、細胞を表面に保持することができる化学的構造(例えば、荷電を帯びた表面露出基)を有する細胞非毒性(すなわち、生物学的に適合した)材料の合成物天然物、または、それらの組合せを示す。

0097

本発明のこの態様に従って使用することができる接着性材料の例には、ポリエステル、ポリアルキレン、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸セルロース、ガラス繊維、セラミック粒子、マトリゲル、細胞外マトリックス成分(例えば、フィブロネクチンコンドロネクチンラミニン)、コラーゲン、ポリL乳酸および不活性金属繊維が含まれるが、これらに限定されない。

0098

間質幹細胞についての精製または富化のさらなる工程を、この分野では広く知られている方法を使用して、(例えば、本明細書中下記にさらに記載するように、間質幹細胞マーカーの発現を使用するFACSなどによって)行うことができる。

0099

本発明に従って培養することにおいて有用な基礎培地の限定されない例には、培地199、CMRL1415、CMRL1969、CMRL1066、NCTC135、MB75261、MAB8713、DM145、ウイリアムズG、ノイマン&タイテル、ヒグチ、MCDB301、MCDB202、MCDB501、MCDB401、MCDB411、MCDB153をはじめとして、数多くの中で、最少必須培地イーグルADC−1、LPM(ウシ血清アルブミン非含有)、F10(HAM)、F12(HAM)、DCCM1、DCCM2、RPMI1640、BGJ培地(フィトンジャソン改変を含む培地および含まない培地)、基礎培地イーグル(BME、アール塩基礎の添加を伴う培地)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM−血清非含有)、ヤマネ、IMEM−20、グラスゴー改変イーグル培地(GMEM)、ライボビッツL−15培地、マッコイ5A培地、培地M199(M199E、アール塩基礎を伴う)、培地M199(M199H、ハンクス塩基礎を伴う)、最少必須培地イーグル(MEM−E、アール塩基礎を伴う)、最少必須培地イーグル(MEM−H、ハンクス塩基礎を伴う)、および、最少必須培地イーグル(MEM−NAA、非必須アミノ酸を伴う)が含まれる。本発明において使用される好適な培地はDMEMである。これらの培地および他の有用な培地を、とりわけ、GIBCO(Grand Island、N.Y.、米国)およびBiological Industries(Bet HaEmek、イスラエル)から入手することができる。これらの培地のいくつかが、William B.JakobyおよびIra H.Pastanによって編集され、Academic Press,Inc.によって発行されるMethodsin Enzymology(第LVIII巻、“Cell Culture“、62頁〜72頁)に要約される。

0100

培地には、例えば、血清(例えば、ウシまたは他の種の胎児血清など)、ならびに、場合により、または、代替として、ピコグラム/ml〜ミリグラム/mlの間の濃度での増殖因子、サイトカインおよびホルモン(例えば、成長ホルモンエリスロポイエチントロンボポイエチンインターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン7、マクロファージコロニー刺激因子、c−kitリガンド/幹細胞因子オステオプロテゲリンリガンド、インスリンインスリン様増殖因子上皮増殖因子線維芽細胞増殖因子神経成長因子毛様体神経栄養因子血小板由来増殖因子および骨形態形成タンパク質)などを補充することができる。

0101

さらなる成分が培養培地に加えられ得ることがさらに認識される。そのような成分は、抗生物質抗真菌剤アルブミンアミノ酸、および、細胞の培養のためにこの分野で知られている他の成分であり得る。加えて、様々な成分を、必要とされるときには分化プロセスを強化するために加えることができる(さらには下記参照)。

0102

接着性細胞が得られると、接着性細胞は三次元環境継代培養することができる(下記の実施例の節の実施例1参照)。だが、当然のことながら、細胞は(上記で述べたように)単離後直ちに3D形態のマトリックスに移すことができる。

0103

従って、本発明のこの態様の接着性材料は3D培養のために構成され、それにより、間質細胞の接着のための利用可能な付着表面を実質的に増大させ、その結果、組織(例えば、胎盤)の構造基盤を模倣する成長マトリックスを提供する。

0104

例えば、高さが0.5mmの成長マトリックスについては、増大が、成長マトリックスの基部への突出によって計算されたとき、少なくとも5〜30倍である。約5〜30倍のそのような増大は単位層についてであり、積み重ねられるか、または、スペーサーなどにより隔てられる場合であっても、多数のそのような層が使用されるならば、5〜30倍の倍数がそれぞれのそのような構造体について適用される。マトリックスがシート形態(好ましくは、不織繊維シート、または、開口した細孔の発泡ポリマーシート)で使用されるとき、シートの好ましい厚さは約50μm〜1000μmまたはそれ以上であり、この場合、十分な多孔性が、細胞の進入、栄養分の進入のために、また、シートからの老廃物の除去のために提供される。好ましい実施形態によれば、細孔は10μm〜100μmの有効直径を有する。そのようなシートは、様々な厚さの繊維から調製することができ、この場合、好ましい繊維厚さ範囲または繊維直径範囲は約0.5μm〜20μmであり、一層より好ましい繊維は直径が10μm〜15μmの範囲にある。

0105

本発明の構造体は、寸法安定性および物理的強度を提供する多孔性の支持シートまたは支持スクリーンによって支持され得るか、あるいは、一層良好には、そのようなシートまたはスクリーンに結合される。

0106

そのようなマトリックスシートはまた、同じ程度の厚さ(約50μm〜1000μm)とともに、約0.2mm2〜約10mm2の程度の突出領域を有する粒子を提供するために、切断、穴開けまたは断片化することができる。

0107

本発明を実施に移すために使用された成長マトリックスの製造、使用および/または利点に関するさらなる詳細が、米国特許第5168085号、および、特に、米国特許第5266476号に記載されている(これらはともに参考文献として本明細書中に組み込まれる)。

0108

接着性表面は、正方形リング円盤および十字形からなる群から選択される形状を有することができる。

0109

規模製造のために、培養は好ましくは、3Dバイオリアクターにおいて行われる。

0110

そのようなバイオリアクターの例には、プラグフローバイオリアクター、連続撹拌槽型バイオリアクターおよび定常床バイオリアクターが含まれるが、これらに限定されない。

0111

実施例の節の実施例1において示されるように、三次元(3D)プラグフローバイオリアクター(米国特許第6911201号に記載されるようなバイオリアクター)は間質細胞の成長および長期間の維持を支持することができる。このバイオリアクターでは、間質細胞が、ポリエステルの不織布マトリックスから作製され、ガラスカラムに詰められ、それにより、大きな細胞数の増殖を比較的小さい体積で可能にするポロシブ(porrosive)担体に播種される。

0112

プラグフローバイオリアクターにおいて使用されるマトリックスは、シート形態、不織繊維シート、または、開口した細孔の発泡ポリマーのシートのものが可能であり、シートの好ましい厚さは約50μm〜1000μmまたはそれ以上であり、この場合、十分な多孔性が、細胞の進入、栄養分の進入のために、また、シートからの老廃物の除去のために提供される。

0113

本発明とともに使用され得る他の3Dバイオリアクターには、下記のバイオリアクターが含まれるが、これらに限定されない:時定数定常状態リアクター内で維持するために、培養培地がバイオリアクターに連続的に供給され、生成物が連続的に抜き取られる連続撹拌槽型バイオリアクター。繊維状床バスケットを有する撹拌槽型バイオリアクターを、例えば、New Brunswick Scientific Co.(Edison、NJ)から入手することができる。定常床バイオリアクター、エアーリフトバイオリアクター(このバイオリアクターでは、空気が、典型的には、中央通気管の底部に供給され、気泡を形成しながら上に流れ、排気ガスをカラムの上部から放出する)、ポリアクティブ発泡体を有する細胞播種灌流バイオリアクター[Wendt,D.et al.、Biotechnol Bioeng、84:205〜214(2003)に記載されるようなバイオリアクター]、ラジアルフロー灌流バイオリアクターにおける管状のポリL−乳酸(PLLA)の多孔性足場[Kitagawaet al.、Biotechnology and Bioengineering、93(5):947〜954(2006)に記載されるようなバイオリアクター]。本発明に従って使用することができる他のバイオリアクターが、米国特許第6277151号、同第6197575号、同第6139578号、同第6132463号、同第5902741号および同第5629186号に記載される。

0114

細胞の播種が、好ましくは、播種時において100000〜1500000細胞/mmで行われる。

0115

細胞は好ましくは、制御されない分化および老化を好ましくは避けながら、少なくとも約40%、60%または80%のコンフルエンスに到達すると集められる。

0116

培養は、少なくとも約2日間、3日間、5日間、10日間、20日間、1ヶ月間またはそれ以上行われる。当然のことながら、バイオリアクターにおける培養はこの期間を長くし得る。継代培養もまた、細胞数を増大させるために行うことができる。

0117

本発明の接着性細胞は、好ましくは、少なくとも1つの「間質幹細胞表現型」を含む。

0118

本明細書中で使用される「間質幹細胞表現型」は、骨髄由来の間質幹細胞(すなわち、間葉系幹細胞)に典型的な構造的表現型または機能的表現型を示す。

0119

本明細書中で使用される表現「幹細胞」は、最終分化していない細胞を示す。

0120

従って、例えば、細胞は紡錘体形状を有することができる。代替として、または、加えて、細胞は、間質幹細胞に典型的な1つのマーカーまたは一連のマーカー(例えば、表面マーカー)を発現することができる。間質幹細胞表面マーカー(陽性および陰性)の例には、CD105+、CD29+、CD44+、CD73+、CD90+、CD34−、CD45−、CD80−、CD19−、CD5−、CD20−、CD11B−、CD14−、CD19−、CD79−、HLA−DR−およびFMC7−が含まれるが、これらに限定されない。他の間質幹細胞マーカーには、チロシンヒドロキシナーゼ、ネスチンおよびH−NFが含まれるが、これらに限定されない。

0121

間質幹細胞に典型的な機能的表現型の例には、T細胞抑制活性(これはT細胞を刺激せず、逆に、T細胞を抑制する)、造血幹細胞支持活性、ならびに、脂肪生成性分化肝性分化、骨形成性分化および神経性分化が含まれるが、これらに限定されない。

0122

これらの構造的特徴または機能的特徴はどれも、本発明の細胞を適格とするために使用することができる(下記の実施例の節の実施例1〜2参照)。

0123

本発明の教示に従って作製された細胞の集団は、実施例の節の実施例1において示されるような特異なタンパク質発現プロフィルを特徴とする。従って、例えば、発明の教示に従って作製された胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞は、高いレベルの選択された因子を発現および/または分泌することができる。例えば、そのような細胞は、SCF、Flt−3、H2AFまたはALDHXを、2D培養で成長させられた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって発現または分泌されるレベルよりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、または、好ましくは12倍大きく発現または分泌する。加えて、または、代替として、本発明の細胞の集団は、IL−6、EEEF2、RCN2またはCNN1を、2D培養で成長させた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって発現または分泌されるレベルよりも少なくとも2倍、3倍または5倍大きいレベルで分泌または発現する。加えて、または、代替として、本発明の細胞の集団は、2D培養の細胞に対して比較されたとき、様々な他のタンパク質発現レベルがより低いことを特徴とする。従って、例えば、2D培養で成長させられた胎盤組織または脂肪組織の接着性細胞によって発現または分泌されるHnrph1、CD44抗原イソ型2前駆体、Papss2またはrpL7aの発現レベルの0.6、0.5、0.25または0.125未満を分泌または発現する。

0124

本発明を実施にさらに移しているとき、本発明者らは、接着性の間質細胞が、具体的には、3D−ASCが、免疫抑制活性を示したことに気付いている。下記の実施例の節の実施例3において示されるように、接着性の間質細胞、具体的には、3D−ASCは、ヒト臍帯血単核細胞の免疫反応をMLRアッセイにおいて抑制することが見出された。従って、本発明の細胞は、臨床において優先的に使用することができる生物学的活性(例えば、T細胞抑制活性、造血幹細胞支持活性)を含むことができる。

0125

本発明を実施にさらに移しているとき、本発明者らは、本発明の細胞の馴化培地が、臨床において優先的に使用することができる生物学的活性(例えば、T細胞抑制活性、造血幹細胞支持活性)を含み得ることに気付いている。

0126

従って、本発明ではさらに、馴化培地を集めること、および、そのままでのその使用、あるいは、この分野では広く知られている方法を使用する、濃縮、富化または分画化のさらなる工程の後でのその使用が想定される。好ましくは、本発明の馴化培地は、細胞の高い生存性の中期対数期培養から得られる。

0127

本明細書中上記で述べたように、本発明の細胞および馴化培地は間質幹細胞表現型を特徴とし、そのようなものとして、そのような細胞の使用が有益である任意の研究および臨床適用において使用することができる。

0128

移植されたHSCの生着および造血の開始は、内皮細胞バリアの両端におけるケモカインの勾配に従って、骨髄に向かい、適切な陥凹部に定着すること、一方で、移植された細胞、ECMおよび陥凹部の間葉系細胞の間での物理的接触を確立することを含む複雑なプロセスに依存する。これらすべてのプロセスにおいて、複雑な配列の分子、例えば、サイトカイン、ホルモン、ステロイド、細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、細胞間相互作用タンパク質および接着タンパク質、ならびに、マトリックスタンパク質などが関わる。

0129

輸血されたHSCのほんの1〜5%が移植後2〜3日でレシピエントのBMにおいて検出されるにすぎないことが知られている[Kerreet al.、J Immunol、167:3692〜8(2001);Jetmoreet al.、Blood、99:1585〜93(2002)]。

0130

造血生着に対するMSC寄与は、部分的には、移植片対宿主病(GvHD)を引き起こすドナー由来T細胞が生じることを阻害することによってであり[Charbord P.およびMoore,K.、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1044:159〜167(2005);Maitra B.et al.、Bone Marrow Transplant、33(6):597〜604(2004);米国特許第6010696号および同第6555374号]、また、部分的には、造血幹細胞(HSC)の支持を提供すること(すなわち、造血幹細胞の増殖、成熟化および/またはホーミングを持続し、助けること)によってある。

0131

下記の実施例の節の実施例2において示されるように、胎盤組織および脂肪組織に由来する接着性細胞は、驚くべきことに、HSCの生着を化学療法の後でさえ支持し得ることが見出された。

0132

これらの結果を考慮すると、本発明の細胞または培地は、間質幹細胞移植が使用される任意の臨床的適用において使用され得ることが考えられ得る。

0133

従って、本発明の別の態様によれば、間質幹細胞移植が有益である医学的状態(例えば、病理、疾患、症候群)をその必要性のある対象において処置する方法を提供する。

0134

本明細書中で使用される用語「処置する」は、病理の発達を阻害もしくは停止すること、および/または、病理の軽減、寛解もしくは退行を引き起こすことを示す。当業者は、様々な方法論およびアッセイが、病理の発達を評価するために使用され得ること、また、同様に、様々な方法論およびアッセイが、病理の軽減、寛解もしくは退行を評価するために使用され得ることを理解する。好ましくは、用語「処置する」は、ガン性疾患に[関連する症状を緩和または軽減することを示す。好ましくは、処置することにより、医学的状態に関連する症状が治り、例えば、実質的に除かれる。

0135

本明細書中で使用される「間質幹細胞移植が有益である医学的状態」は、本発明の細胞/培地の投与によって緩和され得る任意の医学的状態を示す。

0136

「移植」、「細胞置換」または「移植する」の用語または表現は、本明細書中では交換可能に使用され、本発明の細胞を目標の組織に導入することを示す。

0137

本明細書中で使用される用語「対象」は任意の対象(例えば、哺乳動物)を示し、好ましくは、ヒト対象を示す。

0138

本発明のこの態様の方法は、(本明細書中上記で記載される)本発明の細胞または培地の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、間質幹細胞移植が有益である医学的状態を対象において処置することを含む。

0139

本発明のこの態様に従って投与することができる細胞には、二次元環境または三次元環境のいずれかで培養され得る上記の接着性細胞、ならびに、その接着性細胞の間葉系および非間葉系の部分的に分化した誘導体または最終分化した誘導体が含まれる。

0140

系列特異的な細胞を本発明の間質幹細胞から誘導する様々な方法がこの分野では広く知られている。例えば、米国特許第5486359号、同第5942225号、同第5736396号、同第5908784号および同第5902741号参照。

0141

細胞は未感作であるか、または、目的とする系列を誘導するように遺伝子操作され得る(米国特許出願公開第20030219423号参照)。

0142

細胞および培地は、新鮮な調製物または凍結(例えば、冷凍保存)された調製物の自己供給源または非自己供給源(すなわち、同種または異種)のものであり得る。

0143

医学的状態に依存して、対象には、さらなる化学的薬物(例えば、免疫調節、化学療法など)または細胞が投与され得る。

0144

従って、例えば、幹細胞の生着を改善すること(例えば、レシピエントのBMにおける生存可能なHSCの数を増大させること、および、正常な白血球数を最適に改善すること)のために、本発明の細胞/培地を、HSC移植の前に、または、HSC移植と同時に、または、HSC移植の後で投与することができる。

0145

好ましくは、HSCおよび間質細胞は、共通するHLA抗原を互いに有する。好ましくは、HSCおよび間質細胞は1人の個体に由来する。代替として、HSCおよび間質細胞は異なる個体に由来する。

0146

「移植」、「細胞置換」または「移植する」の用語または表現は本明細書中では交換可能に使用され、本発明の細胞を目標の組織に導入することを示す。細胞はレシピエントに由来し得るか、あるいは、同種ドナーまたは異種ドナーに由来し得る。

0147

非自己細胞は、身体に投与されたとき、免疫反応を誘導する可能性があるので、いくつかの取り組みが、非自己細胞の拒絶の可能性を軽減するために開発されている。これらには、レシピエントの免疫系を抑制すること、または、非自己細胞を、移植前に、免疫隔離する半透膜カプセル化することのいずれかが含まれる。

0148

カプセル化技術は一般には、小さい球状賦形剤を伴うマイクロカプセル化)およびより大きいフラットシート膜および中空繊維膜を伴うマクロカプセル化分類される(Uludag,H.et al.、“Technology of mammalian cell encapsulation.”、Adv Drug Deliv Rev、2000、42:29〜64)。

0149

マイクロカプセルを調製する様々な方法がこの分野では知られており、これらには、例えば、Lu MZet al. “Cell encapsulation with alginate and alpha− phenoxycinnamylidene−acetylated poly(allylamine).“、Biotechnol Bioeng、2000、70:479〜83)、Chang TMおよびPrakash S”Procedures for microencapsulation of enzymes, cells and genetically engineered microorganisms.“、Mol Biotechnol、2001、17:249〜60)、および、Lu MZet al.”A novel cell encapsulation method using photosensitive poly(allylamine alpha−cyanocinnamylideneacetate).”、J Microencapsul、2000、17:245〜51)によって開示される方法が含まれる。

0150

例えば、マイクロカプセルが、修飾コラーゲンを、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルHEMA)、メタクリル酸(MAA)およびメタクリル酸メチル(MMA)のターポリマー外皮により複合体化し、これにより、2〜5μmのカプセル厚さを生じさせることによって調製される。そのようなマイクロカプセルはさらに、負荷電の滑らかな表面を与えるために、また、血漿タンパク質の吸収を最小限に抑えるために、2〜5μmのさらなるターポリマー外皮によりカプセル化することができる(Chia,S.M.et al.、“Multi−layered microcapsules for cell encapsulation“、Biomaterials、2002、23:849〜56)。

0151

他のマイクロカプセルはアルギン酸塩海洋多糖類)(Sambanis,A、“Encapsulated islets in diabetes treatment.“、Diabetes Technol.Ther.、2003、5:665〜8)またはその誘導体に基づく。例えば、マイクロカプセルを、塩化カルシウムの存在下における、ポリカチオンのポリ(メチレン−co−グアニジン塩酸塩との、ポリアニオンアルギン酸ナトリウムおよびセルロース硫酸ナトリウムの間での多電解質複合体化によって調製することができる。

0152

細胞のカプセル化は、より小さいカプセルが使用されるときには改善されることが理解される。従って、カプセルサイズが1mm〜400μmに減少したとき、カプセル化細胞品質管理機械的安定性、拡散特性およびインビトロ活性が改善された(Canaple L.et al.、“Improving cell encapsulation through size control.“、J Biomater Sci Polym Ed、2002、13:783〜96)。そのうえ、7nmもの小さい十分に制御された細孔サイズ、目的に合わせて調節された表面化学および精密な微小構造を有するナノ多孔性バイオカプセルは、細胞のための微小環境を首尾良く免疫隔離することが見出された(Williams D、”Small is beautiful: microparticle and nanoparticle technology in medical devices.”、Med Device Technol、1999、10:6〜9;Desai,T.A.、“Microfabrication technology for pancreatic cell encapsulation.“、Expert Opin Biol Ther、2002、2:633〜46)。

0154

本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて、細胞または培地はそれ自体で投与することができ、または、好ましくは、医薬的に許容され得る担体をさらに含む医薬組成物の一部として投与することができる。

0155

本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される化学的コンジュゲートの1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、医薬的に好適な担体および賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、対象に対する化合物の投与を容易にすることである。

0156

以降、用語「医薬的に許容され得る担体」は、対象に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しない担体または希釈剤を示す。担体の非限定的な例には、プロピレングリコール生理食塩水エマルジョンおよび有機溶媒と水の混合物がある。

0157

本明細書中において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウムリン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプンセルロース誘導体ゼラチン植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。

0158

本発明の好ましい実施形態によれば、医薬用担体は塩類水溶液である。

0159

薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に見出され得る。

0160

医薬組成物を(本明細書中上記に詳述されるように)全身的な方法で投与することができる。あるいは、例えば、患者の組織領域に直接的に医薬組成物の注射をすることによって、局所的に医薬組成物を投与することができる。

0161

本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒糖衣錠作製、研和乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。

0162

本発明に従って使用するための医薬組成物は活性な化合物を医薬として使用可能な製剤にする加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む一つ以上の医薬的に許容され得る担体を使用して従来のように配合されてもよい。適切な配合は選択された投与経路に依存する。

0163

注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る、緩衝液(例えば、ハンクス溶液リンゲル溶液、または生理学的な食塩水緩衝液など)において配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。

0164

本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療効果的な量または用量は、最初はインビトロでアッセイおよび細胞培養アッセイから推定することができる。好ましくは、用量は所望の濃度または滴定量を得るために動物モデルにおいて配合される。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。

0165

本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における、インビトロで標準的な薬学的手法によって、決定されることができる。

0166

これらのインビトロでの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する投薬量範囲を決定するために使用することができる。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(Fingl他、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照)。例えば、パーキンソン病の患者は、処置に対する肯定反応を示す改善された運動機能について症候的に監視されることができる。

0167

注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る、緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な食塩水緩衝液など)において配合することができる。

0168

投薬量および投薬間隔は、移植された細胞による神経伝達物質の合成を効果的に制御するために十分である有効成分のレベルまで個々に調節することができる。所望の効果を達成するために必要な投薬量は、個体の特徴、および、投与経路に依存する。検出アッセイを、血漿中濃度を決定するために使用することができる。

0169

処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬単回投与であることも複数回投与であることも可能であり、処置の経過が、数日から数週間まで、あるいは、疾患状態縮小が達成されるまで続く。

0170

投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、主治医の判断などに依存する。投薬量および投与のタイミングは、個々に変化する状態の慎重かつ継続的な監視に対応する。例えば、処置されているパーキンソン病の患者は、監視している徴候に基づいて、疾患の症状を緩和するのに十分な量の細胞を投与されるだろう。

0171

移植の後、本発明の細胞は好ましくは、治療効果が観察されるように、疾患領域においてある期間(例えば、少なくとも6ヶ月)にわたって生存する。

0172

適合し得る医薬用担体に配合された本発明の調製物を含む組成物はまた、適応される状態を処置するために、調製され、適切な容器に入れられ、かつ表示され得る。

0173

本発明の組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属箔またはプラスチック箔を含むことができ、例えば、ブリスターパックなどである。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴うことがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物についての米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。

0174

下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。

0175

本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学微生物学および組み換えDNA技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook他(1989);Ausubel,R.M.編「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994)、Ausubel他著;「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク(1988);Watson他、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birren他編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号および5272057号に記載される方法;Cellis,J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻(1994);Coligan,J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻(1994);Stites他編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methodsin Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている:米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号および5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」(1984);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」(1985);Hames,B.D.およびHiggins S.J.編「Transcription and Translation」(1984);Freshney,R.I.編「Animal Cell Culture」(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.著(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCRProtocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニアサンディエゴ(1990);Marshak他、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHLPress、(1996);なおこれらの文献の全ては、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。

0176

実施例1
骨髄、胎盤組織および脂肪組織からの接着性間質細胞(ASC)の作製および培養
接着性細胞を、3D担体を含有するバイオリアクターにおいて培養して、特異的な細胞マーカー発現プロフィルにより特徴づけられる3D−ASC細胞を作製した。成長効率細胞計数によって調べた。これらの細胞の分化能を、分化培地で培養することによって調べた。

0177

材料および実験手順
骨髄間質細胞−骨髄(BM)間質細胞を、開心術またはBM生検を受ける血液学的に健康なドナーの吸引された胸骨骨髄から得た。骨髄吸引物をハンクス平衡塩溶液(HBSS;GIBCOBRL/Invitrogen、Gaithersburg、MD)で3倍希釈し、Ficoll−Hypaque(Robbins Scientific Corp.、Sunnyvale、CA)密度勾配遠心分離に供した。その後、骨髄単核細胞(1.077gm/cm3未満)を集め、HBSSで3回洗浄し、成長培地[10%のFCS(GIBCO BRL)、10−4Mのメルカプトエタノール(Merck、White House Station、NJ)、Pen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml;Beit Ha’Emek)、2mMのL−グルタミン(Beit Ha’Emek)が補充されたDMEM(Biological Industries、Beit Ha’emek、イスラエル)]に再懸濁した。個々のドナーからの細胞を、培養培地を毎週交換しながら、37℃(5%CO2)で組織培養フラスコ(Corning、Acton、MA)において別々にインキュベートした。細胞を、0.25%トリプシン−EDTA(Beit Ha’Emek)を使用して3〜4日毎に剥がした。2〜40回の継代培養の後、60〜80%のコンフルエンスに達したとき、細胞を、分析のために、または、バイオリアクターにおける培養のために集めた。

0178

胎盤由来の間質細胞。満期出産胎盤の内側部分(Bnei Zionメディカルセンター、Haifa、イスラエル)を無菌条件下で切断し、ハンクス緩衝液により3回洗浄し、0.1%のコラゲナーゼ(1mg/ml組織;Sigma−Aldrich、St.Lewis、MO)とともに37℃で3時間インキュベートした。その後、穏やかなピペッティングを使用して、懸濁された細胞を、10%のFCS、Pen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml)および2mMのL−グルタミンが補充されたDMEMにより洗浄し、75cm2フラスコに播種し、5%CO2を伴う加湿条件のもとで組織培養インキュベーターにおいて37℃でインキュベートした。その後、細胞をプラスチック表面に72時間接着させ、その後、培地を3〜4日毎に交換した。60〜80%のコンフルエンスに達したとき(通常、10〜12日)、細胞を、0.25%トリプシン−EDTAを使用して成長フラスコから剥離し、新しいフラスコに播種した。その後、培養細胞を、分析のために、または、バイオリアクターにおける培養のために集めた。

0179

脂肪由来の間質細胞−間質細胞を脂肪吸引法のヒト脂肪組織から得た(Rambam Haifa、イスラエル)。脂肪組織を等体積のPBSにより徹底的に洗浄し、コラゲナーゼ(20mg/ml)により37℃で30分間消化した。その後、細胞を、10%のFCS、Pen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml)およびL−グルタミンを含有するDMEMにより洗浄し、1200rpmにおいてRTで10分間遠心分離し、溶解液(1:10;Biological Industries、Beit Ha’emek、イスラエル、赤血球を除くために)により再懸濁し、遠心分離し、10%のFCS、Pen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml)およびL−グルタミンを含有するDMEMにより再懸濁した。その後、洗浄された細胞を無菌組織培養培地フラスコに3〜10×107細胞/フラスコで播種した。翌日、細胞をPBSにより洗浄して、残留RBCおよび死細胞を除いた。細胞を、5%CO2を伴う加湿条件のもとで組織培養インキュベーターにおいて37℃で保った。培地を3〜4日毎に交換した。60〜80%のコンフルエンスで、細胞を、0.25%トリプシン−EDTAを使用して成長フラスコから剥離し、新しいフラスコに播種した。2〜40回の継代培養の後、60〜80%のコンフルエンスに達したとき、細胞を、分析のために、または、バイオリアクターにおける培養のために集めた。

0180

PluriX(商標)プラグフローバイオリアクター−PluriX(商標)プラグフローバイオリアクター(Pluristem、Haifa、イスラエル;図1gに例示されるようなもの;米国特許第6911201号もまた参照のこと)に、ポリエステルの不織布マトリックスから作製された1〜100mlの充填された3Dポロシブ担体(直径、4mm)を負荷した。これらの担体は大きい細胞数の増殖を比較的小さい体積において可能にする。ガラス器具はPluristemによって設計および製造された。バイオリアクターは37℃のインキュベーターにおいて維持され、流量がバルブ図1gにおける6a)および蠕動ポンプ(図1gにおける9)によって調節およびモニターされた。バイオリアクターは、細胞の連続した播種を可能にするサンプリングおよび注入点(図1gにおける4)を含有する。培養培地がリザーバー(図1gにおける1)からpH6.7〜7.4で供給された。リザーバーには、空気/CO2/O2を異なる割合で含有するろ過されたガス混合物(図1gにおける2、3)が、バイオリアクターにおける細胞密度に依存して供給された。O2の割合は、モニター(図1gにおける6)によって求められるバイオリアクターの出口での溶存O2のレベルに合わせられた。ガス混合物がシリコーンチューブまたはディフューザー(Degania Bet,Emek Hayarden、イスラエル)を介してリザーバーに供給された。培養培地は、循環している非接着性細胞捕集を可能にする分離用容器(図1gにおける7)に通された。培地の循環が蠕動ポンプ(図1gにおける9)によって得られた。バイオリアクターはさらに、さらなるサンプリング点図1gにおける10)、および、連続した培地交換のための容器を備えた。

0181

3D接着性間質細胞(3D−ASC)の作製−上記のように成長させた非コンフルエントな初代ヒト接着性2D細胞培養物トリプシン処理し、洗浄し、10%のFCS、Pen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml)および2mMのL−グルタミンが補充されたDMEMに再懸濁し、注入点を介して無菌のプラグフローバイオリアクター(図1g参照)における3D担体に播種した(103〜105細胞/ml)。接種前に、バイオリアクターはPBS−Ca−Mg(Biological Industries、Beit Ha’emek、イスラエル)で満たされ、オートクレーブ処理され(120℃、30分)、10%の熱不活化ウシ胎児血清およびPen−Strep−ナイスタチン混合物(100U/ml:100ug/ml:1.25un/ml)を含有するダルベッコ成長培地により洗浄された。流れが0.1〜5ml/分の速度で保たれた。播種プロセスでは、2〜48時間にわたる循環の中断が伴い、それにより、細胞が担体に留まることを可能になった。バイオリアクターは、無菌の空気およびCO2が必要に応じて供給されるインキュベーターを使用して、制御された温度(37℃)およびpH(pH=6.7〜7.4)の条件のもとで保たれた。成長培地を週に2〜3回取り替えた。循環培地を、4時間毎〜7日毎に、新鮮なDMEM培地により取り替えた。1×106〜1×107細胞/mlの密度で(12〜40日の成長の後)、全培地体積をバイオリアクターから取り出し、バイオリアクターおよび担体をPBSにより3〜5回洗浄した。その後、3D−ASC細胞をトリプシン−EDTA(Biological Industries、Beit Ha’emek、イスラエル;穏やかな撹拌とともに3〜15分、1〜5回)により担体から剥離し、その後、DMEMに再懸濁し、凍結保存した。

0182

3D−ASCの性状の生物学的アッセイ−凍結保存された3D−ASC細胞を解凍し、計数した。細胞生存能の評価のために、2×105個の細胞を150cm2組織培養フラスコに播種し、その接着能および再増殖を播種後7日以内に評価した。その後、3D−ASCの膜マーカー表現型を、蛍光モノクローナル抗体フローサイトメーター(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して分析した。

0183

フローサイトメトリーアッセイを使用する3D培養の接着性細胞および2D培養の接着性細胞の細胞膜マーカープロフィルの比較−2D培養および3Dフローシステム培養からの100000〜200000個の接着性細胞を5mlのチューブにおいて0.1mlの培養培地に懸濁し、下記MAb、FITCコンジュゲート化抗ヒトCD90(Chemicon International Inc.、Temecula、CA)、PEコンジュゲート化抗ヒトCD73(Bactlab Diagnostic、Ceasarea、イスラエル)、PEコンジュゲート化抗ヒトCD105(eBioscience、San Diego、CA)、FITCコンジュゲート化抗ヒトCD29(eBioscience、San Diego、CA)、Cy7−PEコンジュゲート化抗ヒトCD45(eBioscience)、PEコンジュゲート化抗ヒトCD19(IQProducts、Groningen、オランダ)、PEコンジュゲート化抗ヒトCD14 MAb(IQProducts)、FITCコンジュゲート化抗ヒトCD11b(IQProducts)およびPEコンジュゲート化抗ヒトCD34(IQProducts)のそれぞれの飽和濃度と、または、FITCコンジュゲート化抗ヒトHLA−DR MAb(IQProducts)とインキュベートした(4℃、30分、暗所)。インキュベート後、細胞を、1%の熱不活化FCSを含有する氷冷PBSで2回洗浄し、500μlホルムアルデヒド(0.5%)に再懸濁し、FC−500フローサイトメーター(Beckman Coulter、Fullerton、CA)を使用して分析した。

0184

質量分析法による分析を使用する3D培養の接着性細胞および2D培養の接着性細胞のタンパク質プロフィルの比較−2D由来培養手法および3D由来培養手法のASCを上記のように胎盤から作製した。簡単に記載すると、2D培養物を、0.3〜0.75×106個の細胞を、60〜80%のコンフルエンスに達するまで、加湿5%CO2雰囲気のもと、37℃で、175cm2フラスコにおいて4日間培養することによって作製した。2〜10×106細胞/mlを、2000個の担体を含有するバイオリアクターに播種し、18日間培養することによって、3D培養物を作製した。回収後、細胞を(3回)洗浄して、全血清を除き、ペレット化し、凍結した。タンパク質を製造者プロトコルに従ってペレットから単離した[Tri試薬キット(Sigma、Saint Louis、米国)を使用し、トリプシンにより消化し、iTRAQ試薬(Applied Biosciences、FosterCity、CA)により標識した]。簡単に記載すると、iTRAQ試薬は、非ポリマーの、等重核のタグ化試薬である。それぞれのサンプルに含まれるペプチドが、それらのN末端および/またはリシン側鎖を介して4つの等重核の同位体コードタグのうちの1つにより標識される。4つの標識されたサンプルが混合され、ペプチドが質量分析法により分析される。ペプチドがフラグメント化されたとき、それぞれのタグが、異なった質量レポーターイオンを放出する。従って、4つのレポーター比率により、サンプルにおける所与ペプチドの相対的な存在量が与えられる(http://docs.appliedbiosystems.com/pebiodocs/00113379.pdfにおける情報)。

0185

胎盤由来ASCの2D培養対3D培養のプロテオミックス分析を、QTOF−PremierでのLC−MS/MS(Waters、San Francisco、CA)を使用してSmolerプロテオミックセンター(Biology部門、Technion、Haifa、イスラエル)において行い、同定および分析をnrデータベースのヒト部分に対してPep−Minerソフトウエア[Beer,I.et al.、Proteomics、4、950〜60(2004)]によって行った。分析されたタンパク質は、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質H1(Hnrph1、GeneBankアクセション番号NP_005511)、H2Aヒストンファミリー(H2AF、GenBankアクセション番号NP_034566.1)、真核生物翻訳伸長因子2(EEEF2、GeneBankアクセション番号NP_031933.1)、レチクロカルビン3、EF−ハンドカルシウム結合ドメイン(RCN2、GeneBankアクセション番号NP_065701)、CD44抗原イソ型2前駆体(GeneBankアクセション番号NP_001001389)、カルポニン1塩基性平滑筋(CNN1、GeneBankアクセション番号NP_001290)、3ホスホアデノシン5ホスホ硫酸シンターゼ2イソ型a(Papss2、GeneBankアクセション番号NP_004661)、リボソームタンパク質L7a(rpL7a、GeneBankアクセション番号NP_000963)およびアルデヒドデヒドロゲナーゼX(ALDHX、GeneBankアクセション番号P47738)であった。すべての実験が2回行われた。分析の性質のために、すべてのタンパク質は、サンプルにおいて現れたペプチドの数に従って分析された(それぞれの分析において1つのタンパク質から2〜20個のペプチドが出現した)。

0186

ELISAを使用する3D培養の接着性細胞および2D培養の接着性細胞における分泌タンパク質の比較−胎盤から作製された2D由来培養手法および3D由来培養手法のASCを上記のように作製した(3D培養物は24日の期間にわたった)。その後、馴化培地を集め、Flt−3リガンド、IL−6、トロンボポエチンTPO)および幹細胞因子(SCF)について、3回の独立した実験で、ELISA(R&D Systems、Minneapolis、MN)を使用して分析した。結果を1×106細胞/mlについて正規化した。

0187

骨芽細胞分化培地−細胞を、10%のFCS、100nMのデキサメタゾン、0.05mMのアスコルビン酸2−リン酸、10mMのB−グリセロリン酸が補充されたDMEMを含有する骨芽細胞分化培地で3週間の期間、培養することによって、骨形成性分化を評価した。石灰化したマトリックスがアリザリンレッドS染色によって示され、アルカリホスファターゼがアルカリホスファターゼアッセイキットによって検出された(すべての試薬がSigma−Aldrich(St.Lewis、MO)から得られた)。

0188

結果
PluriX(商標)バイオリアクターシステムは生理学的な類似する微小環境をもたらす。
接着性細胞のための効率的な培養条件を与えるために、生理学的に類似する微小環境(図1aに示す)が、PluriX(商標)バイオリアクター(Pluristem、Haifa、イスラエル;担体が図1gに例示され、播種前が図1bに示される)を使用して人工的に作製された。図1c〜fに示されるように、播種後の20日(図1c〜d、それぞれ150倍および250倍に拡大)および40日(図1e〜f、それぞれ350倍および500倍に拡大)において、骨髄から作製された3D−ASC細胞が首尾良く培養され、3Dマトリックス上で拡大培養された。

0189

PluriXバイオリアクターシステムで成長させた細胞は著しく拡大培養された。胎盤由来3D−ASCの種々の製造ロットをPluriXバイオリアクターシステムで成長させた。播種密度は13300細胞/担体であった(合計で2×106細胞)。播種後14日で、細胞密度は15倍になり、およそ200000細胞/担体に達し(図2)、すなわち、150個の担体のバイオリアクターにおいて30×106個に達した。異なる実験において、細胞が1.5×104細胞/mlの密度でバイオリアクターに播種され、播種後30日で、担体は、50倍を超える大きい細胞数、すなわち、およそ0.5×106細胞/担体または0.5×107細胞/mlを含有した。成長カラムの様々なレベルでの担体上の細胞密度は一致していた。このことは、細胞への酸素および栄養分の均一な移動を示している。従って、この3D培養システムは、生着および成功した移植を支持するという目的のために十分な量に効率的に成長させることができる、高密度の間葉系細胞培養の成長および長期にわたる維持のための支持条件を提供することが判明した。

0190

3D−ASCは特異な膜マーカー特徴を示す。骨環境を模倣する3D培養手法によって行われたとき、可溶性分子の分泌プロフィルおよびタンパク質産生における違いを明確にするために、FACS分析を行った。図3aに示すように、細胞マーカーのFACS分析は、3D−ASCが、2D条件で成長させた接着性細胞とは異なるマーカー発現パターンを呈示することを示す。2D培養の細胞は、3D培養の細胞と比較して、陽性の膜マーカー(CD90、CD105、CD73およびCD29の膜マーカー)のレベルが著しく上昇した。例えば、CD105は、2D培養の細胞における87%に対して、3D培養の細胞では56%の発現を示した。2Dおよび3Dの両方の胎盤培養のASCは造血系の膜マーカーを何ら発現しなかった(図3b)。

0191

3D−ASCは可溶性因子の特異なプロフィルを示す。造血陥凹部は、大量のサイトカイン、ケモカインおよび増殖因子を産生するサポーター細胞を含む。2D培養のASCと、3D培養のASCとの違いをさらに明確にするために、2Dおよび3DのASC培養物の馴化培地における4つの主要な造血系分泌タンパク質のプロフィルをELISAによって行った。図4a〜cは、3D条件で成長させられた細胞が、より高いレベルのFlt−3リガンド(図4a)、IL−60(図4b)およびSCF(図4c)を含む馴化培地をもたらし、一方、低いレベルのIL−6、ゼロに近いレベルのFlt−3リガンドおよびSCFが2D培養物の馴化培地において検出されたことを示す。トロンボポエチン(TPO)の産生は両方の培養物において非常に低く、等しかった。

0192

3D−ASCは特異なタンパク質プロフィルを質量分析法による分析において示す。2D培養のASCと、3D培養のASCとの違いをさらに明確にするために、これらの細胞のタンパク質プロフィルを質量分析法によって分析した。図4dは、2D培養のASCおよび3D培養のASCが顕著に異なるタンパク質発現プロフィルを示すことを示す。下記の表1に示されるように、3D培養の細胞では、H2AFおよびALDHXの発現レベルがはるかにより大きいこと(それぞれ、9倍超および12倍超)、また、EEEF2、RCN2およびCNN1のタンパク質のレベルがより大きいこと(それぞれ、約3倍、2.5倍および2倍)が示される。加えて、3D培養の細胞では、Hnrph1およびCD44抗原イソ型2前駆体のタンパク質の発現レベルが約1/2であり、Papss2およびrpL7aの発現レベルが約1/3であることが示される。

0193

3D−ASCは、骨芽細胞に分化する能力を有する。−3D−ASCをさらに特徴づけるために、細胞を骨芽細胞分化培地で3週間の期間、培養した。その後、カルシウム沈殿を行った。分化した細胞は、カルシウム(これは図5a〜bにおいて赤色に示される)を産生することが示され、これに対して、コントロール細胞は線維芽細胞様の表現型を維持し、石灰化を示さなかった(図5c〜d)。これらの結果は、胎盤由来の3D−ASCが、骨芽細胞にインビトロで分化する能力を有することを示す。

0194

実施例2
HSCの生着を改善する胎盤由来の3D−ASCの能力の評価
3D−ASCがHSC生着を支持することを、亜致死量放射線照射された免疫欠損NOD−SCIDマウス、または、化学療法により前処理された免疫欠損NOD−SCIDマウスにおいて検出されるヒト造血細胞(hCD45+)のレベルによって評価した。

0195

材料および実験手順
CD34+細胞の単離−臍帯血サンプルを出産時に無菌条件下で採取し(Bnei Zion Medical Center、Haifa、イスラエル)、単核細胞を、Lymphoprep(Axis−Shield PoC As、Oslo、ノルウェー)密度勾配遠心分離を使用して分画し、冷凍保存した。解凍した単核細胞を洗浄し、抗CD34抗体とインキュベートし、midiMACS(Miltenyl Biotech、Bergish Gladbach、ドイツ)を使用して単離した。2つ以上のサンプルからの細胞を、所望の数(50000〜100000個の細胞)を達成するためにプールした。

0196

放射線照射マウスにおける移植細胞の検出−7週齢オスおよびメスのNOD−SCIDマウス(NOD−CB17−Prkdcscid/J;Harlan/Weizmann Inst.、Rehovot、イスラエル)を無菌の開放系ケージにおいて維持し、無菌のおよびオートクレーブ処理の酸性水が与えられた。マウスには、亜致死量の放射線(350cGy)が照射され、その後(放射線照射後48時間で)、50000〜100000個のhCD34+細胞が、胎盤組織または脂肪組織に由来するさらなるASC(0.5×106個〜1×106個)とともに、または、伴うことなく(それぞれの群において3〜7匹のマウス)、側尾静脈への静脈内注入によって移植された。移植後4〜6週間で、マウスを脱臼によって屠殺し、BMを、大腿骨および脛骨の両方をFACS緩衝液(50mlのPBS、5mlのFBS、0.5mlの5%アジ化ナトリウム)により洗い流すことによって集めた。マウスBMにおけるヒト細胞をフローサイトメトリーによって検出し、処置されたNOD−SCIDマウスにおけるヒトおよびマウスのCD45造血細胞マーカー発現細胞の割合を、細胞を抗ヒトCD45−FITC(IQProducts、Groningen、オランダ)とインキュベートすることによって求めた。明確なヒト生着についての最低閾値が0.5%で示された。

0197

化学療法により処置されたマウスにおける移植細胞の検出−6.5週齢のオスのNOD−SCIDマウス(NOD.CB17/JhkiHsd−scid;Harlan、Rehovot、イスラエル)を、放射線照射マウスについて本明細書中上記で記載されたように維持し、ブスルファンを腹腔内注射した(25mg/kg、2日間連続)。2回目のブスルファン注射の2日後、マウスには、CD34+細胞が単独で、または、胎盤から作製された0.5×106個のASCと一緒に注入された。移植後3.5週間で、マウスを屠殺し、ヒト造血細胞の存在を、放射線照射マウスについて本明細書中上記で記載されたように求めた。

0198

結果
3D−ASCは放射線照射マウスにおいてHSCの生着を改善した−ヒトCD34+造血細胞と、胎盤組織または脂肪組織に由来する3D−ASCとを、放射線照射されたNOD−SCIDマウスに同時移植した。生着効率を同時移植後4週間で評価し、HSCが単独で移植されたマウスと比較した。表2および図6に示すように、3D−ASCおよびUCB CD34+細胞の同時移植は、UCB CD34+細胞だけにより処置されたマウスと比較したとき、レシピエントマウスのBMにおける相当高い生着率およびより高いレベルのヒト細胞をもたらした。

0199

3D−ASCは、化学療法により処置されたマウスにおいてHSCの生着を改善した−ヒトCD34+造血細胞を、化学療法により前処置されたNOD−SCIDマウスに、胎盤に由来する500000個の2D−ASCまたは3D−ASCとともに同時移植した。生着効率を同時移植後3.5週間で評価し、HSCだけが移植されたマウスと比較した。表3に示すように、ASC細胞およびUCB CD34+細胞の同時移植は、UCB CD34+細胞の単独と比較したとき、レシピエントマウスのBMにおいてより高い生着レベルをもたらした。そのうえ、表3に示すように、生着の平均レベルが、PluriXバイオリアクターシステムで成長させた胎盤由来の接着性細胞(3D−ASC)が同時移植されたマウスの方が、従来の静的な2D培養条件(フラスコ)で成長させた、同じドナーからの細胞によるマウス同時移植の場合よりも大きかった。

0200

図7a〜bに示すFACS分析結果により、ASCをhHSCと同時移植することの利点(図7b)、および、ASCはHSC移植後の造血系の回復を改善することができることが明らかになる。

0201

まとめると、これらの結果は、ASCが、HSC移植(自家または同種)の後の造血回復を改善するための支持細胞として役立ち得ることを示す。HSC移植後の造血幹細胞および/または前駆体細胞の生着を高める3D−ASCの能力は、移植された細胞のホーミング能、自己再生能および増殖能を改善し得るHSC支持サイトカインを分泌する3D−ASCの能力から生じ得るか、または、移植可能なHSCのホーミングおよび増殖のために必要とされる損傷した造血微小環境を再建するそのような細胞の能力から生じ得る。

0202

実施例3
2D培養のASCおよび3D培養のASCによるリンパ球応答の抑制
接着性細胞、具体的には、3D−ASCは、ヒト臍帯血単核細胞の免疫反応をMLRアッセイにおいて抑制することが見出された。

0203

材料および実験手順
混合リンパ球反応(MLR)アッセイ−胎盤から作製された、2D由来培養手法のASCおよび3D由来培養手法のASCの免疫抑制特性および免疫特権特性を、応答(増殖性)細胞および刺激(非増殖性)細胞の混合培養における不適合リンパ球の増殖率によって行われるような、HLA座における組織適合性を測定するMLRアッセイによって求めた。ヒト臍帯血(CB)単核細胞(2×105個)を応答細胞として使用し、等量(105個)の放射線照射(3000Rad)されたヒト末梢血由来単球(PBMC)と、あるいは、胎盤から作製された2D培養もしくは3D培養の接着性細胞、または、接着性細胞およびPBMCの組合せと同時培養することによって刺激した。それぞれのアッセイを3回繰り返した。細胞を96ウエルプレートにおいてRPMI1640培地(20%のFBSを含有する)で(加湿5%CO2雰囲気のもと、37℃で)4日間にわたって同時培養した。プレートを、培養の最後の18時間、1μCの3H−チミジンによりパルス処理した。その後、細胞をガラス繊維フィルター上に集め、チミジンの取り込みをシンチレーションカウンターにより定量した。

0204

結果
図8は、PBMCにより刺激されたとき、これらの細胞の増殖の高まりによって表されるようなCB細胞の免疫応答を示す。これは、理論によって拘束されることはないが、おそらくは、HLA不適合性に対する応答におけるT細胞の増殖に関連する。しかしながら、相当低いレベルの免疫応答が、本発明の接着性細胞とインキュベートされたとき、これらの細胞によって示された。そのうえ、PBMCに対するCBの免疫応答が、これらの接着性細胞と同時インキュベートされたとき、実質的に減少した。従って、MSCに類似した様式で、ASCは、GvHDに典型的なドナー細胞のT細胞増殖を減少させる潜在的能力を有することが見出された。両方の培養物(2Dおよび3D)はリンパ球の免疫応答を減少させたが、また、本明細書中上記で記載される3D−ASCの他の利点と一致して、3D ASCはより免疫抑制的である。

0205

明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。

実施例

0206

本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願ならびにGenBankアクセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許もしくは特許願またはGenBankアクセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。

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