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技術 電池用電極及び電池

出願人 株式会社デンソー
発明者 安達紀和加美謙一郎榊原伸義
出願日 2012年10月24日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2012-234904
公開日 2014年5月12日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2014-086305
状態 拒絶査定
技術分野 混成電池 触媒 無消耗性電極
主要キーワード X線回折法 フッ素樹脂板 タンマン管 配置距離 ニッケルワイヤ 炭素ナノ構造体 ピーク細孔径 Mg金属
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年5月12日)のものです。
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図面 (6)

課題

繰り返し充放電可能な空気電池に使用できる電池用電極及び空気電池を提供すること。

解決手段

本発明の電池用電極は、金属と酸素電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を近接した位置に配置していることを特徴とする。また、本発明の電池は、本発明の電池用電極を用いてなる。

概要

背景

近年、環境問題エネルギー危機の観点から、ハイブリッド車電気自動車への期待が高まりつつある。こうした背景踏まえ充放電を繰り返して使用でき、高エネルギー蓄電デバイスが求められている。

リチウムイオン二次電池は、有望な蓄電デバイスではあるが、蓄えられるエネルギー密度については、その電池構成から限界がある。リチウムイオン二次電池の限界を超えたエネルギー密度を期待できる蓄電デバイスとして、空気電池が知られている。

空気電池は、金属イオン吸蔵、放出可能な負極と、大気中などの酸素活物質として利用する正極と、を備えている。空気電池は、外部の大気から酸素を供給できるため、活物質を内蔵する必要がなく、単位体積当たりのエネルギー密度が高い電池となりうる。
この空気電池としては、たとえば、特許文献1〜2に記載された空気電池がある。

特許文献1には、金属リチウムにより形成されている負極と、マンガンを含み細孔径が4nm〜6nmの範囲にある細孔容積が0.005mL/g以上である触媒を備えている正極と、両極の間に介在する非水電解質と、を備えた空気電池が記載されている。

特許文献2には、粉末X線回折より求められる炭素面間の平均距離d002が0.37nm以上、0.42nm以下である炭素質物を含む正極と、金属イオンを放出する能力を有する負極活物質具備する負極と、両極に挟まれた非水電解質とを具備する非水電解質電池(空気電池)が記載されている。

しかしながら、特許文献1〜2に記載の空気電池は、放電時に酸素を取り入れ金属酸化物等が正極に形成された細孔の一部や粒子間の隙間に生成するが、正極の細孔を有効に使用することができなく、初期容量、及び繰り返し充放電する特性が低いという問題があった。
さらに、放電が進むと、生成した金属酸化物等が触媒の表面を覆い、電子イオンの移動を阻害し、以降の充電容量の低下を招くという問題もあった。

概要

繰り返し充放電可能な空気電池に使用できる電池用電極及び空気電池を提供すること。本発明の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を近接した位置に配置していることを特徴とする。また、本発明の電池は、本発明の電池用電極を用いてなる。なし

目的

本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、繰り返し充放電可能な空気電池に使用できる電池用電極及び空気電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

金属と酸素電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有し、該還元触媒と該酸化触媒とが、100nm以下の間隔で配置されたことを特徴とする電池用電極。

請求項2

前記酸化触媒は、前記還元触媒よりも前記電池用電極の対向極近接する位置に配される請求項1記載の電池用電極。

請求項3

前記還元触媒に前記酸化触媒が接触した請求項1〜2のいずれかに記載の電池用電極。

請求項4

前記電池用電極は、細孔を有し、該細孔の内部であって、該細孔の開口部からの距離が2nm以上100nm以下の範囲に、前記還元触媒と前記酸化触媒が配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の電池用電極。

請求項5

前記還元触媒は、基材の細孔内部に固定されている請求項1〜4のいずれかに記載の電池用電極。

請求項6

前記酸化触媒は、基材の細孔の外に固定されている請求項1〜5のいずれかに記載の電池用電極。

請求項7

前記還元触媒は、グラフェン層を有する炭素窒素(N)またはホウ素(B)をドープした炭素,Cr,Cr2O3,Fe,Co,CoO,Ni,NiO,Zn,Mo,Ru,Pd,PdO,Ptより選ばれる少なくとも一種よりなる請求項1〜6のいずれかに記載の電池用電極。

請求項8

前記還元触媒は、グラフェン層を備えた炭素からなり、2nm以上100nm以下の間隔でグラフェンの端面もしくは欠陥を有する請求項7記載の電池用電極。

請求項9

前記還元触媒は、N,Bより選ばれる1種をドープしたグラフェン層を備えた炭素からなり、ドープされる元素が、2nm以上100nm以下の間隔で配置される請求項1〜6のいずれかに記載の電池用電極。

請求項10

前記酸化触媒は、Ag,V2O5,Cr2O3,Mn,MnO2,Fe,FeO,Co3O4,Ni,NiO,MoO3,Ag,Ag2O,Pt,Auより選ばれる少なくとも一種よりなる請求項1〜9のいずれかに記載の電池用電極。

請求項11

前記還元触媒は、基材をなす請求項1〜10のいずれかに記載の電池用電極。

請求項12

前記還元触媒が基材をなし、該基材の表面上に前記酸化触媒を該基材からの距離が100nm以下の範囲に配置する請求項1〜11のいずれかに記載の電池用電極。

請求項13

金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有し、前記還元触媒が、グラフェン層を備えた炭素からなり、細孔を形成した形状を有し、前記酸化触媒が、該細孔の内部に配置されていることを特徴とする電池用電極。

請求項14

前記細孔は、細孔分布を測定したときのピーク細孔径が1〜30nmの範囲内にある請求項13記載の電池用電極。

請求項15

前記細孔は、細孔分布を測定したときの(ピーク細孔径の細孔容積)/(比表面積)で示される値が1〜30nmである請求項13〜14のいずれかに記載の電池用電極。

請求項16

前記細孔は、細孔分布を測定したときのピーク細孔容積が0.4cm3/g以上である請求項13〜15のいずれかに記載の電池用電極。

請求項17

前記グラフェン層を備えた炭素は、面間隔d002が0.41nm以下である請求項13〜16のいずれかに記載の電池用電極。

請求項18

前記酸化触媒は、Pt,Pd,Ir,Ru,Y,Co,Ni,Mn,Fe,Cuより選ばれる1種以上又はその酸化物からなる請求項13〜17のいずれかに記載の電池用電極。

請求項19

前記酸化触媒がその内部に配される前記細孔は、前記グラフェン層を備えた炭素により区画される殻からなる請求項13〜18のいずれかに記載の電池用電極。

請求項20

請求項1〜19のいずれかに記載の電池用電極を用いてなることを特徴とする電池。

請求項21

負極に、Li,Mg,Al,Caを用いた空気電池である請求項20記載の電池。

技術分野

0001

本発明は、酸素活物質として用いる電池に用いられる電極及び電池に関する。

背景技術

0002

近年、環境問題エネルギー危機の観点から、ハイブリッド車電気自動車への期待が高まりつつある。こうした背景踏まえ充放電を繰り返して使用でき、高エネルギー蓄電デバイスが求められている。

0003

リチウムイオン二次電池は、有望な蓄電デバイスではあるが、蓄えられるエネルギー密度については、その電池構成から限界がある。リチウムイオン二次電池の限界を超えたエネルギー密度を期待できる蓄電デバイスとして、空気電池が知られている。

0004

空気電池は、金属イオン吸蔵、放出可能な負極と、大気中などの酸素を活物質として利用する正極と、を備えている。空気電池は、外部の大気から酸素を供給できるため、活物質を内蔵する必要がなく、単位体積当たりのエネルギー密度が高い電池となりうる。
この空気電池としては、たとえば、特許文献1〜2に記載された空気電池がある。

0005

特許文献1には、金属リチウムにより形成されている負極と、マンガンを含み細孔径が4nm〜6nmの範囲にある細孔容積が0.005mL/g以上である触媒を備えている正極と、両極の間に介在する非水電解質と、を備えた空気電池が記載されている。

0006

特許文献2には、粉末X線回折より求められる炭素面間の平均距離d002が0.37nm以上、0.42nm以下である炭素質物を含む正極と、金属イオンを放出する能力を有する負極活物質具備する負極と、両極に挟まれた非水電解質とを具備する非水電解質電池(空気電池)が記載されている。

0007

しかしながら、特許文献1〜2に記載の空気電池は、放電時に酸素を取り入れ金属酸化物等が正極に形成された細孔の一部や粒子間の隙間に生成するが、正極の細孔を有効に使用することができなく、初期容量、及び繰り返し充放電する特性が低いという問題があった。
さらに、放電が進むと、生成した金属酸化物等が触媒の表面を覆い、電子イオンの移動を阻害し、以降の充電容量の低下を招くという問題もあった。

先行技術

0008

特開2009−80937号公報
特開2002−15782号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、繰り返し充放電可能な空気電池に使用できる電池用電極及び空気電池を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するために本発明者等は電極構造について検討を重ねた結果、放電時に活物質の酸素から金属酸化物の生成を促進する酸化触媒と、金属酸化物の分解を促進する還元触媒と、を同時に有する電極とすることで、上記課題を解決できることを見出した。

0011

すなわち、本発明の第一の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有し、還元触媒と酸化触媒とが、100nm以下の間隔で配置されたことを特徴とする。

0012

また、本発明の第二の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有し、還元触媒が、グラフェン層を備えた炭素からなり、細孔を形成した形状を有し、酸化触媒が、該細孔の内部に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の電池は、請求項1〜19のいずれかに記載の電池用電極を用いてなることを特徴とする。

発明の効果

0013

本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とが近接した位置に配置される。これにより、還元触媒により金属酸化物が生成され(粒成長し)ても、生成した金属酸化物が直ちに酸化触媒と接触でき、金属酸化物が分解されるようになる。生成する金属酸化物自身のサイズを制御できることで、電池用電極の電極反応時の電子,イオンの移動が阻害されなくなり、電池用電極を用いた電池の充電容量の低下を抑えることができる。

0014

さらに、本発明の電池用電極は、細孔構造を有し、その細孔内に還元触媒を配置することができる。この場合、還元触媒により生成する金属酸化物のサイズを制御することができ、電池用電極の電極反応時の電子,イオンの移動が阻害されなくなり、電極内での均一な反応が可能となり、放電容量の増加と充電容量の低下を抑えることができる。

0015

本発明の電池は、上記の効果を発揮する本発明の第一の又は第二の電池用電極を用いてなるものであり、放電容量の増加と充電容量の低下が抑えられたものとなっている。

図面の簡単な説明

0016

実施例で製造された空気電池の構成を模式的に示した断面図である。
実施例1のMn担持前の炭素質材料TEM写真である。
実施例1のMnが担持した炭素質材料のTEM写真である。
実施例2のMn担持前の炭素質材料のTEM写真である。
実施例2のMnが担持した炭素質材料のTEM写真である。
比較例1のMn担持前の炭素質材料のTEM写真である。

0017

(第一の電池用電極)

0018

本発明の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有する。
本発明の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる。この電池では、放電時には、酸素と金属イオンを反応させて、電気量の取り出し、貯蔵をおこなうものである。そして、放電時には、正極で酸素と金属イオンが反応して金属酸化物を生成し、生成した金属酸化物を正極の電極内で保持する。充電時には、金属酸化物を酸素と金属イオンに分解する。
そして、本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とを有する。

0019

酸化触媒は、酸化物の酸素を酸化する、すなわち、酸化物の分解を促進する触媒である。つまり、この酸化触媒は、電極反応により生成した金属酸化物の分解を促進する。
還元触媒は、酸素の還元を促進する、すなわち、酸化物の生成を促進する触媒である。つまり、この還元触媒は、電極反応により金属酸化物の生成を促進する。

0020

本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とを有することで、還元触媒により金属酸化物が生成されても、酸化触媒が金属酸化物を分解するようになる。この結果、本発明の電池用電極は、放電時に生じる電極反応により生じる金属酸化物が、充電時に分解して電極に過剰に存在しなくなり、生成した金属酸化物等が電子,イオンの移動を阻害することが抑えられる。

0021

そして、本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とが、100nm以下の間隔で配置される。還元触媒と酸化触媒とが、近接して配置されることで、還元触媒により金属酸化物が生成され(粒成長し)ても、充電時に酸化触媒と接触でき、触媒と金属酸化物の距離が100nm以下と近接することで金属酸化物が分解されるようになる。生成する金属酸化物自身のサイズ(粒径)を制御できることで、電池用電極の電極反応時の電子,イオンの移動が阻害されなくなり、電池用電極を用いた電池の充電容量の低下を抑えることができる。

0022

本発明では、還元触媒と酸化触媒とが100nm以下の間隔で配置される。100nm以下の間隔で配置されることで、特に電池の充電容量の低下を抑えることができる。なお、本発明において還元触媒と酸化触媒との間隔とは、両触媒の活性点の距離である。

0023

本発明の電池用電極において、酸化触媒は、還元触媒よりも電池用電極の対向極に近接する位置に配されることが好ましい。還元触媒よりも対向極に近接した位置に酸化触媒が配されていることで、放電時に還元触媒により生成する金属酸化物を、酸化触媒上に厚く堆積させることなく、有効な位置に配することができる。これにより、次の充電時に電子やイオンの移動を阻害することなく、金属酸化物を分解することができる。

0024

また、本発明の電池用電極では、酸化触媒が対向極に近接した位置に配されることで、金属酸化物を分解して生成される金属(イオン)が対向極に近接した位置で生成される。そして、この金属(イオン)は、電極反応の進行に伴って対向局側に移動する。本発明の電池用電極では、酸化触媒が対向極に近接した位置に配されることから、生成した金属(イオン)の移動が阻害されないため、電池の性能の低下が抑えられる。

0025

本発明の電池用電極において、酸化触媒と還元触媒との間隔は、100nm以下であれば限定されるものではないが、金属酸化物の粒径の粗大化を抑えることができることから近ければ近いほど好ましい。すなわち、還元触媒に酸化触媒が接触したことが好ましい。

0026

本発明の電池用電極において電池用電極は、細孔を有し、細孔の内部であって、細孔の開口部からの距離が2nm以上100nm以下の範囲に、還元触媒と酸化触媒が配置されていることが好ましい。

0027

電池用電極が細孔を有し、その内部に還元触媒と酸化触媒が配置されることで、金属酸化物が細孔の内部に生成されるようになる。この場合、電池用電極の表面が金属酸化物で被覆されなくなり、電池用電極の電極反応時の電子,イオンの移動が阻害されなくなり、放電容量と充電容量とが増加する。

0028

そして、細孔の開口部からの距離が2nm以上100nm以下の範囲に、還元触媒と酸化触媒が配置されることが好ましい。両触媒がこの範囲内に配置されることで、細孔内にサイズが制御された金属酸化物を生成することができる。開口部からの距離が2nm未満では、生成された金属酸化物が開口部を閉塞するようになり、金属酸化物を生成するための金属(イオン)及び酸素の供給が阻害される。また、100nmを超えると、放電時に生成する金属酸化物のサイズ(粒径)が大きくなり、電子とイオンの移動が困難となり、放電容量及び充電容量が低下する。

0029

還元触媒は、基材の細孔内部に固定されていることが好ましい。還元触媒を基材の細孔内部に固定することで、金属酸化物が細孔の内部で生成され、電極の表面が金属酸化物で被覆されなくなり、電池用電極の電極反応時の電子,イオンの移動が阻害されなくなる。

0030

酸化触媒は、基材の細孔の外に固定されていることが好ましい。酸化触媒を基材の細孔の外に固定することで、金属酸化物が生成しても、酸化触媒が金属酸化物で厚く被覆されなくなる。特に、細孔の内部から金属酸化物が生成する場合には、細孔内にサイズが制御された金属酸化物を生成することができる。

0031

還元触媒は、基材をなすことが好ましい。還元触媒が基材をなす場合、この基材に酸化触媒を配することができる。すなわち、酸化触媒を、還元触媒に近接した位置に配することができる。

0032

還元触媒が基材をなし、基材の表面上に酸化触媒を基材からの距離が100nm以下の範囲に配置することが好ましい。還元触媒よりなる基材の表面上に酸化触媒を配することで、還元触媒と酸化触媒とを100nm以下の近接した位置に配することができる。本発明において、表面上に配するとは、酸化触媒が還元触媒の表面に対してその位置が決定された状態となっていることを示す。また、表面上とは、酸化触媒が還元触媒の表面と当接していても、当接していなくても(両触媒が間隔を隔てていても)、いずれの状態も含む。すなわち、酸化触媒が還元触媒の表面に当接した状態で担持されていても、酸化触媒が還元触媒の表面に異なる物質を介して担持されていても、いずれでもよい。

0033

還元触媒は、酸素の還元を促進する、すなわち、電極反応により金属酸化物の生成を促進することができる触媒であれば限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。

0034

この還元触媒としては、グラフェン層を有する炭素,窒素(N)またはホウ素(B)をドープした炭素,Cr,Cr2O3,Fe,Co,CoO,Ni,NiO,Zn,Mo,Ru,Pd,PdO,Ptより選ばれる少なくとも一種をあげることができる。
還元触媒は、グラフェン層を備えた炭素からなり、2nm以上100nm以下の間隔でグラフェンの端面もしくは欠陥を有することが好ましい。

0035

グラフェン層を備えた炭素は、その端面もしくは欠陥部が、金属酸化物が生成する起点となる。そして、還元触媒では、この金属酸化物が生成する基点が、2nm以上100nm以下の間隔で配置されることで、サイズが制御された金属酸化物を生成することができる。基点間の距離が2nm未満では、生成された金属酸化物が近くなりすぎて、金属酸化物を生成するための金属(イオン)及び酸素の供給が阻害される。また、100nmを超えると、充電時に十分な量の金属酸化物の分解(十分な電極反応の進行)が阻害される。

0036

還元触媒は、N,Bより選ばれる1種をドープしたグラフェン層を備えた炭素からなり、ドープされる元素が、2nm以上100nm以下の間隔で配置されることが好ましい。

0037

N,Bより選ばれる1種をドープしたグラフェン層において、元素がドープした箇所は、金属酸化物が生成する起点となる。そして、還元触媒では、この金属酸化物が生成する基点が、2nm以上100nm以下の間隔で配置されることで、サイズが制御された金属酸化物を生成することができる。基点間の距離が2nm未満では、生成された金属酸化物が近くなりすぎて、金属酸化物を生成するための金属(イオン)及び酸素の供給が阻害される。また、100nmを超えると、生成する金属酸化物のサイズ(粒径)が大きくなり、電子やイオンの移動が困難となり、充電時に十分な量の金属酸化物の分解(十分な電極反応の進行)が阻害される。

0038

酸化触媒は、酸化物の酸素の酸化を促進する、すなわち、電極反応により金属酸化物の分解を促進することができる触媒であれば限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。

0039

この酸化触媒としては、触媒として機能する金属元素(M)や金属酸化物(MOx)をあげることができ、Ag,V2O5,Cr2O3,Mn,MnO2,Fe,FeO,Co3O4,Ni,NiO,MoO3,Ag,Ag2O,Pt,Auより選ばれる少なくとも一種を例示することができる。

0040

(第二の電池用電極)
本発明の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる電池用電極であって、酸素の還元を促進する還元触媒と、酸化物の酸素を酸化する酸化触媒と、を有する。

0041

本発明の電池用電極は、金属と酸素の電気化学反応を利用した電池に用いられる。この電池では、放電時には、酸素と金属イオンを反応させて、電気量の取り出し、貯蔵をおこなうものである。そして、放電時には、正極で酸素と金属イオンが反応して金属酸化物を生成し、生成した金属酸化物を正極の電極内で保持する。充電時には、金属酸化物を酸素と金属イオンに分解する。
そして、本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とを有する。

0042

酸化触媒は、酸化物の酸素を酸化する、すなわち、酸化物の分解を促進する触媒である。つまり、この酸化触媒は、電極反応により生成した金属酸化物の分解を促進する。
還元触媒は、酸素の還元を促進する、すなわち、酸化物の生成を促進する触媒である。つまり、この還元触媒は、電極反応により金属酸化物の生成を促進する。

0043

本発明の電池用電極は、還元触媒と酸化触媒とを有することで、還元触媒により金属酸化物が生成する放電が可能となる。また、酸化触媒により金属酸化物を分解して充電ができるようになる。

0044

そして、本発明の電池用電極は、還元触媒として機能する材料を基材とし、その基材の表面上に酸化触媒を配置した構成とすることが好ましい。還元触媒よりなる基材の表面上に酸化触媒を配することで、還元触媒と酸化触媒とを近接した位置に配することができる。

0045

この還元触媒として機能する材料としては、例えば、炭素材料を用いることができる。炭素材料は、細孔のサイズを制御された(多孔質の)基材を形成することや、細孔の内部に触媒活性の高くなるグラフェン層のエッジ部や欠陥部が位置するように形成すること、さらに、NやBに代表されるドーパントをドープすることが可能な材料である。

0046

グラフェン層を備えた炭素は、その端面もしくは欠陥部、NやB(ドーパント)をドープした位置が、金属酸化物が生成する起点となる。そして、還元触媒がこの炭素からなる細孔を有する形状となることで、細孔の内部にこの金属酸化物が生成する基点が位置するようになり、細孔の内部で金属酸化物が生成される。本発明では、細孔内に金属酸化物が生成しても、細孔により金属酸化物のサイズが制御される。また、還元触媒よりなる基材が細孔を有する形状であることから、基材自体触媒機能を有すると同時に、放電時の有効な反応面積が広くなり高い放電容量が得られる。

0047

そして、本発明の電池用電極は、細孔の内部又は外部に酸化触媒が配置される。すなわち、本発明の電池用電極は、放電時に細孔内で優先的に金属酸化物が生成し、放電深度を制御することで、その大きさは細孔サイズ以下の大きさとなる。充電時には、生成した金属酸化物が酸化触媒で分解される。

0048

本発明の電極において、細孔は、細孔分布を測定したときのピーク細孔径が1〜30nmの範囲内にあることが好ましい。ピーク細孔径がこの範囲内にあることで、細孔内に金属酸化物が生成したときに、金属酸化物のサイズを制御することができる。ピーク細孔径が1nm未満では、細孔が小さすぎてその内部に金属酸化物を生成することができず、30nmを超えると、細孔径が大きくなりすぎて、電子やイオンの移動が困難となるため、放電時の金属酸化物の生成と充電時の金属酸化物の分解(十分な電極反応の進行)が阻害される。

0049

本発明の電極において、細孔は、細孔分布を測定したときの(ピーク細孔径の細孔容積)/(比表面積)で示される値が1〜30nmであることが好ましい。細孔容積/比表面積で示される(求められる)値が1nm未満となることで、本発明の電極がイオンの移動に対して十分な大きさの細孔を有することができなくなる。求められる値が30nm以上では多孔質体に形成される細孔の大きさが小さく、細孔内に金属酸化物が生成する基点が形成されにくくなる。

0050

本発明の電極において、細孔は、細孔分布を測定したときのピーク細孔容積が0.4cm3/g以上(0.4×1021nm3/g以上)であることが好ましい。ピーク細孔容積が0.4cm3/g以上となることで、本発明の電極が放電時に金属酸化物を生成するのに十分な細孔の容積を有するようになる。

0051

本発明の電極において、グラフェン層を備えた炭素は、面間隔d002が0.41nm以下であることが好ましい。グラフェン層を備えた炭素の面間隔d002が0.41nmを超えると、炭素がグラフェン層を保つことが難しくなる。ここで、上記したように、グラフェン層を備えた炭素は、その端面が金属酸化物が生成する起点となる。そして、グラフェン層を保てなくなると、この金属酸化物が生成する起点となりにくくなる。つまり、面間隔d002が0.41nm以下となることで、この金属酸化物が生成する基点となりやすくなる。

0052

酸化触媒は、酸化物の酸素の酸化を促進する、すなわち、電極反応により金属酸化物の分解を促進することができる触媒であれば限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。

0053

本発明の電極において、酸化触媒は、Pt,Pd,Ir,Ru,Y,Co,Ni,Mn,Fe,Cuより選ばれる1種以上又はその酸化物からなることが好ましい。
本発明の電極において、

0054

本発明の電極において、酸化触媒がその内部に配される細孔は、グラフェン層を備えた炭素により区画される殻からなることが好ましい。グラフェン層を備えた炭素が殻を形成し、その内部に酸化触媒が配置されることで、酸化触媒を還元触媒の内部に配置することができる。

0055

(電池)
本発明の電池は、請求項1〜19のいずれかに記載の電池用電極を用いてなる。

0056

上記のように、本発明の電池用電極は、放電反応により生じる金属酸化物が電極に粒子サイズが大きな状態で存在しなくなり、生成した金属酸化物等の電子,イオンの移動を阻害することが抑えられる効果を発揮する。これにより、放電容量の増加と充電容量が増加する。本発明の電池は、この効果を発揮する電池用電極を用いてなるものであり、この効果を発揮する。

0057

本発明の電池は、正極活物質として酸素、負極活物質として金属を用いる電池であれば、その種類が限定されるものではない。
本発明の電池は、負極に、Li,Mg,Al,Caを用いた空気電池であることが好ましい。
本発明の電池の一つの形態である空気電池は、例えば、正極の集電体に、酸化及び還元の両触媒を含有する触媒層を配する構成とすることができる。

0058

また、正極は、酸素ガスを正極活物質とする空気極として形成されることが好ましい。具体的には、触媒層を配した集電体を有する正極は、酸素ガスを触媒層に拡散させるためのガス拡散層を介して、大気等の外部の酸素ガスを取り込み可能なガス室隣接配置され、空気極を構成することができる。なお、酸素ガスは、外部の大気中の酸素ガスに限らず、所定の方法で充填される酸素ガスで濃度が高いものでもよく、純酸素ガスであっても構わない。

0059

触媒層には、少なくとも酸化及び還元の両触媒が含有されていればよいが、電気化学反応がよりスムーズに行われるという観点から、酸化及び還元の両触媒自体や触媒層が高い導電性を有することが好ましい。そのために、酸化及び還元の両触媒に、導電材や、これらを結着する結着剤を添加して触媒層を形成することが好ましい。

0060

導電材としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料や、金属粉末等を挙げることができる。炭素材料としては、具体的には、グラファイトアセチレンブラックケッチェンブラックカーボンブラックカーボンファイバー等を挙げることができる。

0062

触媒層は、酸化及び還元の両触媒(基材に担持した両触媒)、必要に応じて、導電剤、結着剤等を適当な溶媒に懸濁させて混合し、スラリーとしたものを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥することで作製することができる。乾燥後にプレス等により圧縮してもよい。溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒等を用いることができるが、これに限られない。

0063

ガス拡散層は、放電反応時には、ガス室から取り込んだ酸素ガスを触媒層に拡散させ、充電反応時には、発生した酸素ガスをガス室に拡散させる機能を有する。ガス拡散層としては、炭素等からなる多孔性導電性シートを好適に使用することができ、具体的には、カーボンペーパカーボンクロスカーボンフェルト等を挙げることができる。

0064

集電体は、電気化学反応による集電を行う。集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばニッケルステンレス鋼白金アルミニウムチタン、カーボンファイバー等を使用できる。集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ状等を挙げることができるが、酸素ガスの拡散を担保するために、メッシュ形状のものを好適に使用できる。
本実施形態によれば、酸素ガスを正極の活物質とする空気極を形成することによって、体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。

0065

(負極)
負極は、金属酸化物を形成する金属イオンを吸蔵、放出可能な負極活物質層を配した負極を備えることが好ましい。

0066

負極の活物質としては、特に限定されずに従来公知の物質を使用でき、例えば、Li,Mg,Al,Caを好適に使用できる。また、他にも、これらの合金等の金属材料や、これらのイオンを吸蔵・離脱できる化合物を使用でき、又はこれらの物質を組み合わせて用いることもできる。

0067

また、これらの負極の活物質は、電池の性能に影響を及ぼさない程度の副成分(添加元素)を含有していても良い。この副成分の例としては、例えば、Mg空気電池においては、アルミニウム、亜鉛、マンガン、ケイ素カルシウム、鉄、銅、ニッケル等が挙げられる。

0068

金属イオンを吸蔵・離脱できる化合物としては、例えば、黒鉛などの容量を発現する物質を挙げることができ、短周期型周期表における4B族の金属元素、或いは半金属元素単体又は合金であるケイ素、スズ等を挙げることができる。より具体的には、ケイ素、スズ等を含有する合金材料、グラファイト、非晶質炭素等の炭素材料を挙げることができる。これらの化合物は活物質として単独で用いるだけでなく、複数種類混合して用いることもできる。

0069

なお、負極は、負極活物質の他に、導電材、結着剤等を含有する活物質層を有するものであってもよい。導電材等としては、正極と同様のものを用いることができる。例えば、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を含有する活物質層とすることができる。また、負極活物質が箔状である場合には、負極活物質のみからなる活物質層とすることもできる。

0070

負極が活物質層を有する場合は、これを集電体に塗布する等して負極を形成することができる。集電体としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、従来公知の銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルからなる箔、メッシュなどを用いることができ、また、これらを材料とする電池容器の一部を集電体として利用することもできる。

0071

イオン伝導体
本発明の電池に係る空気電池は、正極と負極の間に金属イオンの伝導をになうイオン伝導体を有する。このマグネシウムイオン伝導体は、正極と負極の間に介在して、正負極間の金属イオンの伝導を担う非水系の電解液であることが好ましい。

0072

非水系の電解液は、特に限定されるものではなく、金属イオンが正(負)極から負(正)極に移動する際の通り道となるものであればよく、従来公知の電解液を用いることができる。例えば、溶媒に支持塩を溶解させた溶液、自身が液体状であるイオン液体、そのイオン液体に対して更に支持塩を溶解させた溶液などが該当する。なお、本明細書中での「電解液」とは、上記の液体状のものだけでなく、公知の固体ないしゲル状の電解質等も含む。好ましくは、金属塩を含む非プロトン性有機溶媒からなる非水系の電解液とすることができる。

0073

有機溶媒としては、非水系の電解液に通常用いられているものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、従来の非水電解液二次電池に用いられる環状又は鎖状エステル鎖状又は環状エーテル、環状又は鎖状カーボネート、又はそれらの混合溶媒を用いることができる。

0074

具体的には、鎖状エーテル化合物としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が、環状エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン等が、環状カーボネート化合物としては、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等が、鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネートジエチルカーボネート等が挙げられる。溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるという観点から、上記の非プロトン性有機溶媒は、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。

0075

また、本発明の電池の実施形態に係るMg空気電池において、支持塩としては、グリニヤール試薬ベースとするマグネシウム化合物[Mg1+m(ZRnXq−n)m、Z;Al又はB、R;アルキル基アルキニル基アリル基フェニル基より選ばれる1種のラジカル、X;Br又はCl、n;0〜3、q;4]をあげることができる。

0076

また、マグネシウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(Mg〔N(CF3SO2)2〕、マグネシウムトリフルオロメタンスルホネート(Mg(CF3SO3)2)、マグネシウムフルオロブタンスルホネート(Mg(C4F9SO3)2)などの公知の支持塩を用いることができる。

0077

また、イオン液体としては、通常の二次電池の非水系の電解液に用いられるイオン液体であれば特に限定されない。例えば、カチオン成分としては、導電性の高い1−メチル−3−エチルイミダゾリウムカチオンジエチルメチルメトキシアンモニウムカチオン等が挙げられ、アニオン成分としは、BF4−、(SO2C2F5)2N−等をあげることができる。

0078

また、非水系の電解液には、上述した促進剤が分散されていても構わない。例えば、支持塩と同様に非プロトン性有機溶媒中に溶解させて、マグネシウムイオンに促進剤を作用させ、正極にて、MgOよりも、マグネシウムイオンと酸素に分解され易い酸化物の生成を促す方法が考えられる。

0079

本発明の電池の実施形態に係る空気電池は、上述の要素(正極、負極、イオン伝導体)以外に、その他の必要に応じた要素からなる。例えば、正極及び負極を電気的に絶縁し、非水系の電解液を保持する役割を果たすために、セパレータを用いることができる。正極と負極との絶縁を担保するため、正極及び負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。また、正極及び負極を電池容器に収納するときには、電池容器と各電極との接触を規制する部材として、セパレータを配していてもよい。

0080

セパレータとしては、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子ポリエチレンポリプロピレン)の多孔膜を好適に用いることができ、他には、樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を用いることができる。

0081

本発明に係る空気電池として、その正極は、空気極として形成されている形態について説明したが、本実施形態に係る活物質としての酸素の供給方法は、空気極を形成して行う方法に限られない。また、電気化学反応の結果、放電時に正極でマグネシウム酸化物が生成され、充電時にそのマグネシウム酸化物が分解され、電子を放出し、マグネシウムイオンが脱離されれば、二次電池として機能しうる。従って、正極の活物質は必ずしも酸素に限られず、所定の正極活物質を含有する活物質層を集電体に配する公知の正極の構成でも構わない。

0082

本発明に係る空気電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。また、電池の容器についても限定されるものではなく、金属製、樹脂製等のその外形を保持できる容器、ラミネートパック等の軟質の容器等、種々の形態の電池として使用できる。また、空気極を備える場合の電池容器は、大気開放型であっても、密閉型であってもよい。

0083

以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の実施例として、空気電池用正極及び空気電池を製造した。

0084

(実施例1〜2)
(空気電池用正極)
(実施例1の炭素材料の合成)
まず、CARBON47(2009)306−312に記載の方法で多孔質炭素を製造した。

0085

具体的には、まず、硝酸銀(I)をアンモニア水溶液に溶解し、アセチレンを50mL/minの流速で導入しながら、20kHzの超音波振動を付与した。これにより、白黄色の樹状の固体が生成された。

0086

濾過後、80℃で5時間,200℃で5分間の真空加熱処理し、硝酸及び純水を加えて洗浄して銀を分離する。その後、120℃で8時間の真空乾燥及び熱処理を施して、実施例1のグラフェン層を備えた炭素材料(多孔質炭素)を製造した。
(実施例2の炭素材料の合成)

0087

最初に、第一塩化銅を0.1mol/Lの濃度で含むアンモニア水溶液(5.5 %)をフラスコに用意し、これを激しく攪拌しながら窒素ガスで10%となるように希釈したメチルアセチレンガスを1L の溶液に対し200mL/minの流速で約120分間、回転する溶液の底部から吹き付けた。これにより、溶液中に銅メチルアセチリドワイヤー結晶が生成し、沈殿が生じた。

0088

次いで、前記沈殿物メンブレンフィルターで濾過した。ろ過の際に、前記ワイヤー結晶沈殿物をメタノールで洗浄した。ワイヤー結晶沈殿物は、反応時間を長くすることで、数百ミクロンの長さにまで成長させることができる。この操作を6回繰り返し、黄色のワイヤー結晶沈殿物を約50g得た。

0089

次いで、前記沈殿物50gを300mLの肉厚ビーカーに入れ、これを更に3Lの肉厚ビーカーに入れてこれにフッ素樹脂板を置いて蓋とした。フッ素樹脂板は4枚を積層して配されている。なお、フッ素樹脂板は、それぞれ10mmの厚さを持ち、それぞれに空気抜けの小さな穴が開いている。フッ素樹脂板は、この穴が重ならないように積層している。

0090

これを内径155mm,長さ300mmの肉厚5mmのステンレス製真空容器に入れ、一度、100Pa以下に減圧する。この状態で水素ガスを1L導入し、0.3気圧程度の圧力で、反応容器の温度を250℃にまで30分かけて昇温する。昇温により圧力が徐々に上がって来るが、250℃に保持していると2〜3時間後に急に圧力が1気圧強まで上昇する。圧力の急激な上昇後、これを冷却する。真空容器内部に黒い綿のような生成物が確認できる。この生成物を集めると、約500mLの風袋黒色綿状固形物が得られる。

0091

次いで、1Lの三角フラスコに、この綿状固形物を入れ、30〜40mass%の硝酸水溶液400mLを加えたところ、固形物は萎んで溶液中に分散すると同時に、赤褐色の二酸化窒素ガスを発生しながら銅を溶解していった。60℃程度で約30〜48時間加熱し、銅の溶解と不安定な炭素を酸化させた。

0092

これを濾過し、十分に洗浄乾燥させ、石英管に入れて1100℃で12時間程度真空加熱を行う。真空加熱を行うと、石英管の末端低温部の内壁に、まず有機物薄膜が、次いで銅が昇華沈着した。この沈着物から炭素部分のみを取り出し、再度、熱硝酸で残留銅を溶解し、これを乾燥の後、アルミナタンマン管に入れて1400℃で10時間加熱した。これにより、実施例2の炭素材料(多孔質炭素)を製造した。

0093

(マンガンの担持)
そして、実施例1〜2の炭素材料(グラフェン層を備えた多孔質炭素),過マンガン酸カリウム(KMnO4),硫酸超純水に溶解し、20kHzの超音波振動を付与しながら、70℃で4時間の還流を行った。還流後、固形物を濾別し、250℃で3時間の熱処理(焼成)を行い、マンガン酸化物(MnOx)を担持したグラフェン層を備えた多孔質炭素を製造した。

0094

マンガン酸化物(MnOx)を担持したグラフェン層を備えた多孔質炭素及びバインダのPTFEをエタノールに溶解,混練し、ペースト状にした。調整されたペーストを、圧延し、所定の形状に打ち抜いた。打ち抜かれたシートを、ニッケルメッシュの集電体上に載置した状態で、5MPa,180℃,3分の条件でプレスして厚着した。厚着後、120℃,8時間の真空乾燥を行い、本実施例の空気電池用正極が製造された。

0095

(Li空気電池)
上記の空気電池用正極,金属リチウムよりなる負極,非水電解液から本実施例のLi空気電池を製造した。
負極は、実施例の空気電池用正極と同様な形状に打ち抜いた金属リチウムを用いた。

0096

非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)30vol%と1,2−ジメトキシエタン(DME)70vol%の混合溶媒に、LiPF6を1モルリットルとなるように溶解させて調製された。
上記の正極、負極、非水系電解液等を用いて、図1に示すLi空気電池を以下の手順で組み立てた。

0097

まず、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、負極2の両面をガラス板のエッジで研削して、表面に形成されている酸化物を除去した。SUS製の下部ケーシング4に負極2を設置した。

0098

そして、厚さ0.025mmの多孔質膜(TOYO社製、GA−55)を2枚重ねてなるセパレータ7を介して、MnOxを担持したグラフェン層を備えた多孔質炭素を配した表面が、負極2に対向するように、正極1の集電体12をセットした。それから、上記のとおり調製した非水系の電解液3を正極の集電体12と負極2との間に注入した。

0099

その後、集電体12の上にPTFEが含浸した厚さ0.025mmのカーボンペーパー13(Toray社製、EC−TP1−H090T)を載せ、シール用Oリング6を介してSUS製の第1の上部ケーシング51を装着し、更に第2の上部ケーシング52を装着し、下部ケーシング4に組付けて、図示しないかしめジグによりセルを固定した。カーボンペーパー13は、ガス拡散層として使用される。

0100

また、第1の上部ケーシング51の内部の中空部に設けられたガス室14に、充填タンクから0.01MPaの圧力となるように純酸素ガスを充填した。その後、ガス室14を密閉した。正極1は、触媒シート11を配した集電体12、集電体12の上面を覆うカーボンペーパ13、カーボンペーパ13を介して集電体12と接触するガス室14中の酸素ガスによって形成される空気極である。

0101

なお、図示しないが、第2の上部ケーシング52には、集電体12に圧着されたニッケルワイヤを介して正極1と導通し、かつ第2の上部ケーシング52とは絶縁している端子が設けられている。また、同様に、下部ケーシング4には、負極2と導通し、かつ下部ケーシング4とは絶縁している端子が設けられている。

0102

(Mg空気電池)
本実施例は、負極及び非水電解液に下記のものを用いたこと以外は、上記のLi空気電池と同様にして製造されたMg空気電池である。
負極は、実施例の空気電池用正極と同様な形状に打ち抜いた金属マグネシウムを用いた。
非水電解液は、テトラヒドロフラン(THF)に、Mgカチオン濃度が0.25mol/LとなるようにMg(BPh2Bu2)2を添加して調整された。

0103

(比較例1〜3)
比較例1〜3は、正極に市販の炭素材料を用いてなる空気電池用正極である。
比較例1は、ケッチェンブラック(ライオン製,商品名:ECP600JD)と、電解MnO2(東ソー社製,商品名:FMH)と、の混合物を、マンガン酸化物(MnOx)を担持したグラフェン層を備えた多孔質炭素に替えたこと以外は、実施例と同様な正極及び空気電池である。

0104

比較例2は、ケッチェンブラックに替えて気相法炭素繊維(昭和電工社製,商品名:VGCF)を用いたこと以外は、比較例と同様な正極及び空気電池である。
比較例3は、ケッチェンブラックに替えて活性炭(二化学社製,商品名:SA1000)を用いたこと以外は、比較例と同様な正極及び空気電池である。

0105

(評価)
実施例及び比較例の空気電池用正極の評価として、Mnが担持した炭素質材料の特性を測定し、表1に示した。

0106

0107

(グラフェン層の確認)
各実施例及び各比較例のMnが担持した炭素質材料(あるいはMnと混合される前の炭素質材料)の顕微鏡写真(TEM写真)を撮影し、観察した。TEM写真を図2〜6に示した。図2は実施例1のMn担持前の炭素質材料、図3は実施例1のMnが担持した炭素質材料、図4は実施例2のMn担持前の炭素質材料、図5は実施例2のMnが担持した炭素質材料、図6は比較例1のMn担持前の炭素質材料、をそれぞれ示したTEM写真である。

0108

撮影されたTEM写真から、実施例1は1〜4層のグラフェン層が、実施例2では2〜7層のグラフェン層が、比較例2では数十層以上の多層のグラフェン層が確認出来た。また、図6に示したように、比較例1,3ではグラフェン層が確認出来なかった。

0109

ラマン分光法
炭素ナノ構造体の表面の結晶性を評価するためラマン分光法により、アルゴンレーザラマンスペクトルにおける1360cm−1付近に確認されるDバンドピーク強度と1580cm−1付近に確認されるGバンドのピーク強度の比であるD/G比をもとめた。

0110

結晶子サイズ
合成した炭素ナノ構造体の結晶子の大きさは、X線回折法により半値幅を測定し、Schrrerの式 D=K×λ/(β×cosθ)K:Schrrer定数、λ:使用X線管球波長、β:結晶子の大きさによる回折線拡がり、θ:回折角を用いて、求めた。

0111

(d002面間距離
合成した炭素ナノ構造体のバルクの結晶性を評価するためX線回折法により、c軸方向の平均面間隔は002回折線のピーク位置の回折角から求めた。

0112

(細孔径及び細孔容積)
細孔分布及び細孔容積測定は、日本ベル株式会社製「BELSORP 36 高精度全自動ガス吸着装置」を用いて、下記条件にて測定した。

0113

吸着ガス:N2,死容積:He,吸着温度液体窒素温度(77K),測定前処理:150℃真空脱気,測定モード:等温での吸着・脱離,測定範囲相対圧(P/P0)=0.00〜0.99,平衡時間:各平衡相対圧につき180sec,解析法:BJH法,細孔径範囲:2nm〜40nm,細孔容積は、等温線の相対圧1.0近傍の吸着量の液体換算

0114

表1及び図2〜6に示したように、各実施例の空気電池用正極は、グラフェン層を有する炭素と、MnO2と、が、多孔質炭素よりなる基材の表面に配置された構成を備えている。そして、グラフェン層を有する炭素が基材の細孔内に配され、開口部近傍にMnO2が、固定された構造を有している。
対して、各比較例の空気電池用正極は、多孔質の炭素材料とMnO2とが混合されたものであり、炭素材料とMnO2とが混在した構成を有している。

0115

(電池容量)
実施例及び比較例の空気電池の評価として、充電容量及び放電容量を測定した。測定結果を、表2に示した。

0116

具体的には、各空気電池を斗電工社製の充放電装置(HJ1001SM8A型)に接続し、正極1と負極2との間で定電流放電,10分間休止,低電流充電,10分間の休止を行い、定電流充放電時の電池容量(放電容量及び充電容量)を測定した。

0117

Li空気電池の定電流放電は、0.125mAの電流正極材料単位重量あたり0.025mA/cm2)を流し、2Vになるまで放電した。定電流充電は、0.125mAの電流(正極材料の単位重量あたり0.25mA/cm2)を流し、4.2Vになるまで放電した。

0118

Mg空気電池の定電流放電は、5μAの電流(正極材料の単位重量あたり0.01mA/cm2)を流し、0.5Vになるまで放電した。定電流充電は、5μAの電流(正極材料の単位重量あたり0.01mA/cm2)を流し、3.1Vになるまで放電した。

0119

0120

表2に示したように、Li空気電池及びMg空気電池のいずれの空気電池においても、各実施例の空気電池は、各比較例の空気電池と比較して、充電容量及び放電容量に優れたものとなっていることが確認出来る。

0121

これは、各実施例の空気電池用正極が、グラフェン層を有する炭素が基材の細孔内に配され、開口部近傍にMnOxが、固定された構造を有していることで、放電時に、正極において酸素と金属イオン(Liイオン又はMgイオン)が反応して金属酸化物を生成しても、生成した金属酸化物が正極内で保持でき、さらに、充電時に、金属酸化物を酸素と金属イオンに分解する。この結果、各実施例の空気電池用正極では、金属酸化物が残留することで生じる、イオンや電子の移動の阻害が抑えられ、充放電容量の低下が抑えられるだけでなく、繰り返しの充放電も可能になっている。

0122

(実施例3〜6,比較例4)
実施例3〜6及び比較例4は、酸化触媒の位置と充電容量の関係を求めるために、酸化触媒上に放電生成物の厚さを変えて作製した空気電池用正極である。

0123

電極基材には、φ15.5mmで厚さ0.5mmのSUS316を用い、基材の表面を研磨した後、スパッタ法で酸化触媒となるPdを5nmの厚さで成膜、さらにその上に、酸素が6%存在した雰囲気でMgをスパッタすることで、MgOx膜を生成した。このMgOx膜は、XPSで分析したところ、空気電池において実際に放電したときに生成する酸化物の組成と一致することが確認できた。なお、スパッタ時間を調整することで、MgOxの膜厚を、3,10,30,100nm(実施例3〜6),150nm(比較例4)の各膜厚とした。

0124

(評価)
実施例3〜6及び比較例4の電極から、充電時に分解できるMgOxの厚みを求め、酸化触媒の配置距離を求めた。

0125

具体的な評価は、実施例3〜5及び比較例4の電極を正極とし、実施例1〜2の空気電池に用いたものと同様のセパレータと電解液を介して、Mg金属と対向させた試験用コイン電池を作製し、充電時の容量と予め算出した放電容量との比を算出し、その比から評価を行った。なお、充電は、0.2mV/secの掃引速度で、2.6Vまで上昇させ、その時に流れる充電電気容量を測定した。放電容量は、MgOxの膜厚から計算により算出した。評価結果を表2にあわせて示した。

0126

表2に示したように、MgOxの膜厚が100nm以下となることで充電が可能となった。そして、膜厚が薄くなるほど容量の比が増加することが確認でき、膜厚が30nm以下にすることで、容量の比がより増加することが確認できた。

実施例

0127

表2の結果から、充電に用いる酸化触媒の有効な距離は、100nm以下であり、より好ましくは30nm以下であることがわかった。すなわち、放電時に放電生成物の発生起点となる還元触媒と酸化触媒の距離を100nm以下とすることで、充電が促進できることがわかった。

0128

C:空気電池
1:正極
11:触媒シート
2:負極
3:電解液

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