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技術 液体燃料電池

出願人 オリンパス株式会社
発明者 赤木利正岸田尚之
出願日 2012年10月18日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2012-230741
公開日 2014年5月8日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2014-082159
状態 未査定
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 通気防水シート 膜状部材 アノード室側 PVAスポンジ 活性化エネルギ 密着面積 アノード液 アノード室内
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年5月8日)のものです。
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図面 (8)

課題

部品加工精度組み立て精度に依存することなく安定した出力を得る。

解決手段

燃料酸化反応を促進する触媒担持したアノード6と、燃料と電解液とを混合したアノード液を収容し、アノード6を浸漬状態に配置するアノード室3と、空気中の酸素還元反応を促進する触媒を担持したカソード7と、アノード室3とカソード7とを隔離するアニオン交換膜5と、該アニオン交換膜5とアノード6とを相互に密着する方向に付勢する付勢手段8と、アニオン交換膜5とカソード7との間に、アルカリ性電解液充満させる電解液充満手段8とを備える液体燃料電池1を提供する。

概要

背景

従来、アノードカソードとの間にアニオン交換膜を配置し、アノード側の空間に中性または酸性糖燃料液を収容した液体燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この液体燃料電池においては、アノードおよびカソードがアニオン交換膜に接する位置に配置されている。

概要

部品加工精度組み立て精度に依存することなく安定した出力を得る。燃料酸化反応を促進する触媒担持したアノード6と、燃料と電解液とを混合したアノード液を収容し、アノード6を浸漬状態に配置するアノード室3と、空気中の酸素還元反応を促進する触媒を担持したカソード7と、アノード室3とカソード7とを隔離するアニオン交換膜5と、該アニオン交換膜5とアノード6とを相互に密着する方向に付勢する付勢手段8と、アニオン交換膜5とカソード7との間に、アルカリ性電解液充満させる電解液充満手段8とを備える液体燃料電池1を提供する。

目的

本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、部品の加工精度や組み立て精度に依存することなく安定した出力を得ることができる液体燃料電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

燃料酸化反応を促進する触媒担持したアノードと、前記燃料と電解液とを混合したアノード液を収容し、前記アノードを浸漬状態に配置するアノード室と、空気中の酸素還元反応を促進する触媒を担持したカソードと、前記アノード室と前記カソードとを隔離するアニオン交換膜と、該アニオン交換膜と前記アノードとを相互に密着する方向に付勢する付勢手段と、前記アニオン交換膜と前記カソードとの間に、アルカリ性電解液充満させる電解液充満手段とを備える液体燃料電池

請求項2

前記電解液充満手段が、前記アニオン交換膜に密着させられる親水性多孔質部材である請求項1に記載の液体燃料電池。

請求項3

前記アニオン交換膜が可撓性を有し、前記付勢手段が、前記多孔質部材を介して前記アニオン交換膜を前記アノードに付勢する請求項2に記載の液体燃料電池。

請求項4

前記多孔質部材が弾性を有し、前記付勢手段が、前記多孔質部材の弾性復元力により、前記アニオン交換膜を前記アノードに付勢する請求項3に記載の液体燃料電池。

請求項5

前記多孔質部材が、ポリビニルアルコールスポンジである請求項3に記載の液体燃料電池。

請求項6

前記多孔質部材が前記アニオン交換膜に接触する範囲は、前記アニオン交換膜を挟んで対向する前記アノードが前記アニオン交換膜に接触する範囲を包含する請求項3または請求項4に記載の液体燃料電池。

請求項7

前記アニオン交換膜が可撓性を有し、前記電解液充満手段が、前記カソードと前記アニオン交換膜との間に、前記アルカリ性電解液を満たす密閉空間を備え、前記付勢手段が、前記密閉空間内のアルカリ性電解液を加圧する請求項1に記載の液体燃料電池。

請求項8

前記付勢手段が、前記アノードを前記アニオン交換膜に付勢する請求項1に記載の液体燃料電池。

請求項9

前記アノード液がグルコースリン酸緩衝液との混合液である請求項1から請求項8のいずれかに記載の液体燃料電池。

技術分野

0001

本発明は、液体燃料電池に関するものである。

背景技術

0002

従来、アノードカソードとの間にアニオン交換膜を配置し、アノード側の空間に中性または酸性糖燃料液を収容した液体燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この液体燃料電池においては、アノードおよびカソードがアニオン交換膜に接する位置に配置されている。

先行技術

0003

特開2012−124148号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、糖を燃料とした液体燃料電池の場合、アノードの糖酸化反応の活性化エネルギ引き下げるために必要とされるOH−イオンが、アルカリ性電解液で構成したカソード液側からアニオン交換膜を介してアノード側に供給されるが、アニオン交換膜からアノードへのイオン移動抵抗は、アノードとアニオン交換膜との接触状態によって左右され、アノードとアニオン交換膜との接触状態によっては電池の出力が低下するという問題がある。そして、アノードとアニオン交換膜とを単に接触状態に配置するだけでは、アノードとアニオン交換膜との接触状態は部品加工精度および組立精度に依存し、液体燃料電池ごとに出力がばらつくことが考えられる。

0005

本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、部品の加工精度や組み立て精度に依存することなく安定した出力を得ることができる液体燃料電池を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、燃料の酸化反応を促進する触媒担持したアノードと、前記燃料と電解液とを混合したアノード液を収容し、前記アノードを浸漬状態に配置するアノード室と、空気中の酸素還元反応を促進する触媒を担持したカソードと、前記アノード室と前記カソードとを隔離するアニオン交換膜と、該アニオン交換膜と前記アノードとを相互に密着する方向に付勢する付勢手段と、前記アニオン交換膜と前記カソードとの間に、アルカリ性電解液を充満させる電解液充満手段とを備える液体燃料電池を提供する。

0007

本態様によれば、アノードとカソードとの間に負荷が接続されると、カソード側に設けられた電解液充満手段によりカソードとアニオン交換膜との間に充満させられたアルカリ性電解液内のOH−がアニオン交換膜を透過してアノード室内に移動し、アニオン交換膜に接触させられているアノードにおいて燃料の酸化反応が促進され、燃料から電子が奪われて外部の負荷で仕事が行われカソード側に戻る。カソード側では、空気中の酸素が還元されてOH−が生成される。この酸化、還元反応が繰り返されることにより、発電が行われる。

0008

この場合において、付勢手段が,アニオン交換膜とアノードとを相互に密着する方向に付勢するので、アノードとアニオン交換膜とが安定した接触状態で接触させられ、アニオン交換膜からアノードへのイオン移動の抵抗が低減される。その結果、部品の加工精度および組立精度に関わらず、電池の出力を向上することができる。

0009

上記態様においては、前記電解液充満手段が、前記アニオン交換膜に密着させられる親水性多孔質部材であってもよい。
このようにすることで、多孔質部材にアルカリ性電解液が含浸された状態でアニオン交換膜に密着させられることにより、アルカリ性電解液をカソードとアニオン交換膜との間に簡易に充満させることができる。

0010

また、上記態様においては、前記アニオン交換膜が可撓性を有し、前記付勢手段が、前記多孔質部材を介して前記アニオン交換膜を前記アノードに付勢してもよい。
このようにすることで、多孔質部材をアニオン交換膜に押しつけると、アニオン交換膜が撓んでアノード側に移動し、アノードに容易に密着させることができる。

0011

また、上記態様においては、前記多孔質部材が弾性を有し、前記付勢手段が、前記多孔質部材の弾性復元力により、前記アニオン交換膜を前記アノードに付勢してもよい。
このようにすることで、多孔質部材にアルカリ性電解液を含浸させてカソードとアニオン交換膜との間に充満させつつ、多孔質部材の弾性を付勢手段として利用して、多孔質部材の弾性復元力によってアニオン交換膜をアノード側に撓ませ、アニオン交換膜とアノードとを容易に密着させることができる。

0012

また、上記態様においては、前記多孔質部材が、ポリビニルアルコールスポンジであってもよい。
このようにすることで、アルカリ性電解液を含浸してアニオン交換膜に供給する電解液充満手段と、アニオン交換膜をアノードに密着させる付勢手段とを、多孔質部材によって簡易に構成することができる。

0013

また、上記態様においては、前記多孔質部材が前記アニオン交換膜に接触する範囲は、前記アニオン交換膜を挟んで対向する前記アノードが前記アニオン交換膜に接触する範囲を包含してもよい。
このようにすることで、アノード全域イオン伝導の領域で包含することができ、アノードを少しも無駄にすることなく発電に効率的に利用することができる。

0014

また、上記態様においては、前記アニオン交換膜が可撓性を有し、前記電解液充満手段が、前記カソードと前記アニオン交換膜との間に、前記アルカリ性電解液を満たす密閉空間を備え、前記付勢手段が、前記密閉空間内のアルカリ性電解液を加圧する加圧手段であってもよい。
このようにすることで、密閉空間にアルカリ性電解液を満たすことにより、カソードとアニオン交換膜との間にアルカリ性電解液を充満させ、付勢手段によって密閉空間内のアルカリ性電解液を加圧することにより、アニオン交換膜をアノード側に変形させてアノードに圧力により簡易に密着させることができる。

0015

また、上記態様においては、前記付勢手段が、前記アノードを前記アニオン交換膜に付勢してもよい。
このようにすることによっても、アノードとアニオン交換膜とを密着させて、出力を向上することができる。

0016

また、上記態様においては、前記アノード液がグルコースリン酸緩衝液との混合液であってもよい。
このようにすることで、カソード側にアルカリ性電解液を収容しながらも、アノード側に移動したOH−をリン酸緩衝液の緩衝作用によって取り込むような中性のアノード液を構成することができる。

発明の効果

0017

本発明によれば、部品の加工精度や組み立て精度に依存することなく安定した出力を得ることができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0018

本発明の一実施形態に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第1の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第2の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第3の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第4の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第5の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。
図1の第6の変形例に係る液体燃料電池を示す縦断面図である。

実施例

0019

本発明の一実施形態に係る液体燃料電池1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る液体燃料電池1は、図1に示されるように、筐体2と、筐体2内をアノード室3とカソード室4とに区画するように配置された可撓性を有するアニオン交換膜5と、アノード室3に配置されたアノード6と、カソード室4に配置されたカソード7と、アニオン交換膜5とアノード6とを相互に密着する方向に付勢する付勢手段(電解液充満手段)8とを備えている。

0020

カソード室4は、アルカリ性電解液からなるカソード液を収容可能な空間であり、カソード液を注入するための注入口4aおよびカソード液を排出するための排出口4bを備えている。注入口4aおよび排出口4bは、取り外し可能な栓体4c,4dによって密封されている。

0021

カソード室4には、その壁面に貫通形成された開口部9を閉塞するように通気防水シート10が取り付けられており、カソード7は通気防水シート10に接合されて、筐体2に固定されている。
カソード7は、酸化マンガン炭素粉体を、PTFEを結着材として、ステンレス金網に担持させることにより構成されている。

0022

アノード室3は、糖とリン酸緩衝液との混合液からなるアノード液を収容可能な空間であり、アノード液を注入するための注入口3aおよびアノード液を排出するための排出口3bを備えている。注入口3aおよび排出口3bも取り外し可能な栓体3c,3dによって密封されている。

0023

アノード6は、アニオン交換膜5のアノード室側の表面に密着する位置に配置され、筐体2に固定されている。アノード6は、カーボンペーパー金微粒子触媒を担持させて構成されている。

0024

アニオン交換膜5は、膜内陰イオン交換基を有し、陰イオンを移動・伝達させることができる高分子の膜である。陰イオン交換基を有する素材としては、アンモニウム基ピリジニウム基イミダゾリウム基ホスホニウム基スルホニウム基があり、これらのいずれかを基材として構成する高分子化合物で構成されている。このような構成を有することで、アニオン交換膜5は、カソード室4内で生成されたOH−イオンをアノード室3側へ透過させるようになっている。

0025

付勢手段8は、弾性を有する親水性のPVAスポンジ(以下、PVAスポンジ8ともいう。)により構成されている。PVAスポンジ8は、ポリビニルアルコール(PVA)を、触媒に酸を用いてホルムアルデヒドと結合させるホルマール反応によって生成されるPVFMポリビニルホルマール)によって形成されているスポンジ状の物質である。
PVAスポンジ8は、親水性の多孔質材料であるためカソード室4内のカソード液を含浸して、接触しているアニオン交換膜5に満遍なく供給することができるようになっている。したがって、PVAスポンジ8によって、電解液充満手段も構成されている。

0026

PVAスポンジ8は、カソード7とアニオン交換膜5との間に圧縮された状態で配置されている。これにより、PVAスポンジ8は、弾性復元力によって拡張する方向に付勢されるので、カソード7およびアニオン交換膜5の両方に押しつけられる。カソード7は筐体2に固定された固体であり、アニオン交換膜5は可撓性を有する膜状部材であるので、PVAスポンジ8は、その弾性復元力によってアニオン交換膜5をアノード室3側に撓ませるように機能する。

0027

また、本実施形態においては、PVAスポンジ8がアニオン交換膜5に接触する範囲は、アニオン交換膜5を挟んで対向するアノード6がアニオン交換膜5に接触する範囲を包含している。

0028

アニオン交換膜5のアノード室3側には固体からなるアノード6が近接配置されているので、撓んだアニオン交換膜5はアノード6の表面に全面にわたって押しつけられる。これにより、アニオン交換膜5とアノード6との安定した接触状態が達成されるようになっている。

0029

図中、符号11は液体燃料電池1の負極端子を構成するアノード集電板である。アノード集電板11は、例えば、アノード6と筐体2との間に挟持された薄い導電性金属板を含み、例えば、銅箔金メッキが施された部材である。アノード集電板11は筐体2の一部を水密に貫通し筐体2外部に露出している。

0030

また、図中、符号12は液体燃料電池1の正極端子を構成するカソード集電板である。カソード集電板12は、例えば、カソード7を構成しているステンレス金網の一部を延長して構成され、筐体2の一部を水密に貫通して筐体2外部に露出している。

0031

このように構成された本実施形態に係る液体燃料電池1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る液体燃料電池1を用いて発電させるには、カソード室4の注入口4aの栓体4cを取り外して水酸化カリウム水溶液を注入し、閉栓する。また、アノード室3の注入口3aの栓体3cを取り外して、グルコースとリン酸緩衝液との混合液を注入し、閉栓する。

0032

そして、正極端子を構成するカソード集電板12と負極端子を構成するアノード集電板11との間に負荷装置13を電気的に接続することにより、発電を開始させる。
ここで、カソード領域およびアノード領域で行われる化学反応について以下に説明する。

0033

一般的に、燃料であるグルコースから、どれだけの電子を奪える(=酸化できる)かによって、液体燃料電池1の放電容量が大きく異なる。その反応式は、最小放電容量となる2個の電子を奪う反応から、最大放電容量となる24個の電子を奪う反応にまで至り、これらの間の6個、12個、18個の電子を奪う反応も想定される。その中で、最小の2個の電子を奪う反応をケース1、最大の24個の電子を奪う反応をケース2として以下にそれぞれ説明する。

0034

ケース1は、グルコースから2電子酸化を行い、グルコノラクトンが生じる反応である。
ケース2は、グルコースから24電子酸化を行い、二酸化炭素が生じる反応である。これは食物であるグルコースを酸素と共に体内完全分解し、二酸化炭素を排出する動物呼吸系と同じ反応である。

0035

<ケース1:2個の電子を奪う(酸化)場合>
(1)液体燃料電池1全体としての反応
C6H12O6+1/2O2→C6H10O6+H2O
(2)アノード6(−極)での反応
C6H12O6+2OH−→C6H10O6+2H2O+2e−
(3)カソード7(+極)での反応
1/2O2+(H2O)+2e−→2OH−

0036

<ケース2:24個の電子を奪う(酸化)場合>
(1)液体燃料電池1全体としての反応
C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O
(2)アノード6(−極)での反応
C6H12O6+24OH−→6CO2+18H2O+24e−
(3)カソード7(+極)での反応
6O2+(12H2O)+24e−→24OH−

0037

アニオン移動型の液体燃料電池1において、ケース1およびケース2の反応を得るには、ケース1、ケース2ともカソード7の理論反応電位が、水素標準電極電位(=±0V)に対して約+0.4Vとなる。同様に、ケース1のアノード6の反応電位が−0.79V、ケース2のアノード6の反応電位が−0.84Vとなる。このため、液体燃料電池1としての起電力は、両電極電位差となるため、ケース1が1.19V(=0.4+0.79)、ケース2が1.24V(=0.4+0.84)となる。このように、いずれのケースも水の理論電気分解電位1.5Vより小さくなるため、水を溶液とした燃料を利用して電力を得ることが可能となる。

0038

ここで、触媒に酵素を利用する場合は、それぞれの酵素は限定した反応しか行わない(いわゆる反応選択性が高い。)。例えば、グルコースオキシターゼでは、グルコースの酸化反応は行っても、他の糖類の酸化反応は全く行わない。反応する糖と酵素の型が決まっているためである。

0039

これに対して、本実施形態において主に利用する金属粒子触媒を坦持した電極では、糖との型があるわけではないため、反応の選択性が低い。すなわち、グルコースを酸化できる電極は、他の糖類を酸化することも可能である。具体的には、還元性を有する糖類であれば、全て酸化反応を行うことができる。

0040

ここで、単糖類は全て還元性があり、二糖類も還元性がある糖は活用できる。
具体的な単糖類としては、トリオース三炭糖)、テトロース(四炭糖)、ペントース五炭糖)、ヘキソース六炭糖)、ヘプトース七炭糖)に分類され、トリオースはグリセルアルデヒドジヒドロキシアセトンが、テトロースはエリトローストレオースエリトルロースが、ペントースはリボースリキソースキシロースアラビノースアピオースが、ヘキソースはアロースタロースグロース、グルコース、アルトロースマンノースガラクトースイドースプシコースフルクトースソルボースタガトースが、ヘプトースはセドヘプツロースコリオースが挙げられる。

0041

同様に、二糖類としては、マルトースラクトースセロビオースが挙げられる。
また、デンプングリコーゲンセルロースのような多糖類や多糖類よりは分子量が小さなオリゴ糖は、単糖類がグルコシド結合した糖であるため、加水分解することで還元性を有する単糖類を生じることができる。このため、多糖類やオリゴ糖は、加水分解することで、単糖類化して燃料として利用が可能となる。
同様に、二糖類のスクロースショ糖)も単糖類のグルコースとフルクトースの結合した糖であり、多糖類やオリゴ糖と同様に加水分解することで、燃料として利用することが可能である。

0042

本実施形態に係る液体燃料電池1によれば、カソード室4側からアニオン交換膜5を透過してアノード室3側に移動したOH−イオンは、アノード液のリン酸緩衝液による緩衝作用を受けるが、PVAスポンジ8によってアニオン交換膜5がアノード6の表面に密着させられているので、OH−イオンが緩衝作用を受ける前に、アノード6に到達して金触媒上にOH−基として吸着される機会を増やすことができる。

0043

また、PVAスポンジ8によってアニオン交換膜5をアノード6に押しつけているので、略等分布加重によってアニオン交換膜5をアノード6に押しつけるとともに、親水性に富むPVAスポンジ8に含浸された潤沢なカソード液をアニオン交換膜5の表面に充満させて、アノード6に満遍なくOH−イオンを到達させることができ、ばらつきのない安定した出力を得ることができる。

0044

また、PVAスポンジ8がアニオン交換膜5に接触する範囲が、アニオン交換膜5を挟んで対向するアノード6がアニオン交換膜5に接触する範囲を包含しているので、アノード6全域にOH−イオンを到達させることができ、最大限の出力を得ることができる。

0045

また、圧縮したPVAスポンジ8の弾性復元力によってアニオン交換膜5をアノード6に密着させるので、製造時におけるアニオン交換膜5とアノード6との位置決め精度をそれほど必要とせず、製造を簡易にすることができる。そして、特に、アノード液にリン酸緩衝液を用いる場合にその緩衝作用、あるいは、アノード液に酸性電解質を用いる場合にその中和作用が発生する場合においても、バラツキのない安定した出力を得ることができるという利点がある。

0046

なお、本実施形態においては、電解液充満手段として、親水性を有するPVAスポンジ8を例示し、付勢手段として、PVAスポンジ8の弾性復元力を例示したが、これに代えて、図2に示されるように、電解液充満手段を、アニオン交換膜5のカソード室4側の表面に接触させられる固体の多孔質部材14により構成し、付勢手段をコイルバネのようなスプリング15により構成してもよい。多孔質部材14およびスプリング15は、例えば、PEEK樹脂により構成すればよい。

0047

このような構成によっても、上記実施形態と同様に、スプリング15によって多孔質部材14がアニオン交換膜5側に付勢され、アニオン交換膜5が撓んでアノード6の表面に密着させられる。多孔質部材14に含浸されたカソード液がアニオン交換膜5に潤沢に供給されるとともに、アニオン交換膜5とアノード6の表面との安定した接触状態を維持し、バラツキのない安定した出力を得ることができる。

0048

また、本実施形態においては、カソード室4側からアニオン交換膜5を押してアノード6の表面に密着させる場合について説明したが、これに代えて、図3に示されるように、アノード室3側からアノード6をアニオン交換膜5に押し付けることにしてもよい。
すなわち、図3の液体燃料電池1においては、アノード室3側に、アノード6に密着して配置された多数の透孔16aを有する押圧板16と、該押圧板16と筐体2との間に配置されたスプリング17とからなる付勢手段18を備えている。図中、符号19は、弾性を有するPVAスポンジ8の代わりにカソード7とアニオン交換膜5との間に配置された比較的硬質な和紙からなる電解質充満手段である。押圧板16およびスプリング17は、例えば、PEEK樹脂により構成されている。

0049

このように構成された液体燃料電池1によれば、スプリング17の弾発力によって押圧板16がアノード6をアニオン交換膜5に押し付けるので、バラツキのない安定した出力を得ることができる。また、スポンジに代えて和紙からなる電解質充満手段19を用いることで、カソード室4の厚さを減らすことができ、省スペースを図ることができる。逆に、筐体2の全容量を一定にした場合には、筐体2の全容量に占めるアノード室3の容積を大きくすることができ、アノード液量を増大させて発電持続性を向上することができるという利点がある。

0050

また、本実施形態においては、PVAスポンジ8によってアニオン交換膜5をアノード6側に押し付けることとしたが、これに代えて、図4に示されるように、付勢手段として、カソード室4内の圧力を増大させるシリンジ20を採用し、カソード7とアニオン交換膜5との間の空間に充満させたカソード液の液圧を増大させることでアニオン交換膜5をアノード6側に付勢してもよい。シリンジ20は筐体2に設けられた雌ねじ締結していくことにより、カソード室4の容積を縮小することでカソード液の圧力を増大させるようになっている。図中、符号21はOリングである。

0051

このようにすることで、アニオン交換膜5にPVAスポンジ8が密着していないので、イオン移動の抵抗となり得るものが存在せず、出力を向上することができるという利点がある。

0052

また、図5に示されるように、2枚のアニオン交換膜5によって筐体2内の空間を3つに区画し、中央に配置したアノード室3の両側にそれぞれアニオン交換膜5を挟んで配置される2つのカソード室4を有する構造を採用してもよい。
このようにすることで、アノード6は、アニオン交換膜5と筐体2との間に挟まれるのではなく、それぞれPVAスポンジ8によって押される2枚のアニオン交換膜5の間に挟まれる。2つのPVAスポンジ8の圧縮量と弾性復元力を同等に設定しておくことにより、2枚のアニオン交換膜5をそれぞれアノード6の表面に密着させることができる。
そして、これにより、カソードの有効面積、アニオン交換膜とアノードとの密着面積倍増させることができ、出力の向上を図ることができるという利点がある。

0053

また、付勢手段としてPVAスポンジ8を例示して説明したが、これに代えて、図6に示されるように、アノード6をカーボンフェルトに金微粒子を担持させた弾性体により構成し、その弾性復元力によってアノード6をアニオン交換膜5に押し付けることにしてもよい。これにより、部品点数を減らして、構成を簡素化することができる。

0054

さらに、図7に示されるように、アニオン交換膜5として、例えば、株式会社トクヤマ製の陰イオン交換膜ネオセプタ商標AHA」(厚さ0.22mm)のように、厚さ方向に弾性を有するものを採用してもよい。アノード6とカソード7によってアニオン交換膜5を挟み、厚さ方向に圧縮するように組み立てることにより、アニオン交換膜5自体の弾性復元力によって、アニオン交換膜5をアノード6に密着させることができる。これによっても、部品点数を減らして構成を簡素化することができる。

0055

また、本実施形態においては、アノード液としてグルコースとリン酸緩衝液との混合液としたが、グルコースと混合する電解液はリン酸緩衝液に限定されるものではなく、例えば、塩酸のように、酸性の電解液でもよい。酸性の電解液を使用する場合、カソード室4側からアニオン交換膜5を透過してくるOH−イオンは中和作用を受けるが、本発明の実施形態に係る液体燃料電池1によれば、中和作用を受ける前にアノード6に到達する機会が増えており、安定した出力を得ることができる。電解液としてアルカリ性の電解液を用いてもよいことは言うまでもない。

0056

また、糖を溶解したアノード液に代えて、酸化反応を得ることができる液体燃料を用いてもよい。例えば、液体燃料電池として実績のある物質として、メタノールエタノールヒドラジン、あるいはアンモニア等を採用してもよい。

0057

また、アノード6の触媒としては、金微粒子に代えて、白金等の他の金属微粒子を採用してもよい。また、貴金属微粒子触媒に限定することなく、特開2011−258393号公報に開示されているように、アノード6やカソード7の表面に酸化還元酵素を担持して、グルコースやエタノールを燃料とする燃料電池に、適用してもよい。

0058

1液体燃料電池
3アノード室
5アニオン交換膜
6アノード
7カソード
8PVAスポンジ(付勢手段、電解液充満手段、多孔質部材)
14押圧板(多孔質部材)
18 付勢手段
20シリンジ(付勢手段)

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