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技術 官能化ポリマー、ゴム組成物及び空気入りタイヤ

出願人 ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
発明者 リーナ・ネブハニ
出願日 2013年10月10日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2013-212584
公開日 2014年5月8日 (6年6ヶ月経過) 公開番号 2014-080613
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般 高分子組成物 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 粘性ポリマー溶液 硬化パラメータ 硬化補助剤 土工機械 硬化コンパウンド 歪依存性 物理吸収 添加剤材料
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図面 (8)

課題

ゴム状リビングポリマーカーボンブラック及び/又はシリカ等の充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段を提供する。前記改質ポリマーを使用する低レベルのタイヤ転がり抵抗を提供する。

解決手段

式Iで示される末端基官能化したジエンリビングエラストマー。[R1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシ;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素;そしてPはジエン系エラストマー、nは1又は2]

概要

背景

周期表のI及びII族の金属は、モノマーからポリマーへの重合を開始するのに一般に使用されている。例えば、リチウムバリウムマグネシウムナトリウム、及びカリウムは、そのような重合に頻繁に利用される金属である。この種の開始剤系は、立体規則ポリマーの製造に使用できるので商業的に重要である。例えば、リチウム開始剤は、イソプレンから合成ポリイソプレンゴムへのアニオン重合を開始したり、又は1,3−ブタジエンから所望の微細構造を有するポリブタジエンゴムへの重合を開始するのに利用できる。

そのような重合で形成されたポリマーは、重合開始に使用された金属をそれらのポリマー鎖成長末端に有しており、リビングポリマーと呼ばれることもある。それらがリビングポリマーと呼ばれるのは、末端金属開始剤を含有するそれらのポリマー鎖が、すべての利用可能なモノマーが使い果たされるまで成長し続ける又は生き続けるからである。そのような金属開始剤を利用して製造されたポリマーは、通常本質的に線形の構造を有し、通常大量の枝分れを含有しない。

リビング重合技術によって製造されたゴム状ポリマーは、典型的には、硫黄、促進剤、劣化防止剤充填剤、例えばカーボンブラックシリカ又はデンプン、及びその他の所望のゴム薬品と配合された後、加硫又は硬化されて有用な物品、例えばタイヤ又はパワートランスミッションベルトの形になる。そのような硬化ゴム物理的性質は、充填剤がゴム全体に均一に分散されている程度に依存することが確立されている。これは、すなわち、充填剤が特定のゴム状ポリマーに対して有する親和性のレベルと関連する。このことは、そのようなゴム組成物を利用して製造されるゴム物品物理的特性の改良に実際的に重要となりうる。例えば、タイヤの転がり抵抗及び牽引特性は、それに利用されるゴム状ポリマーに対するカーボンブラック及び/又はシリカの親和性を改良することによって改良できる。従って、所与のゴム状ポリマーの、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤に対する親和性を改良することが非常に望ましいであろう。

タイヤトレッド配合物(tire tread formulations)において、充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は低いヒステリシスをもたらし、その結果、そのようなゴム配合物を用いて製造されたタイヤは低い転がり抵抗を有する。60℃における低いタンデルタ値は低いヒステリシスの指標であるので、60℃における低いタンデルタ値を有するそのようなゴム配合物を利用して製造されたタイヤは、通常低い転がり抵抗を示す。タイヤトレッド配合物中の充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は、典型的には0℃における高いタンデルタ値ももたらす。これは良好な牽引特性の指標である。

ゴムとカーボンブラック間の相互作用は、カーボンブラック表面上の酸素含有官能基とゴムとの間の物理吸収(physical absorption)(ファンデルワールス力)及び化学吸着(chemisorption)の組合せによるものである(D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968)並びにA.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968)参照)。ポリマー−充填剤相互作用を改良してヒステリシス損を低減するための様々なその他の化学変性技術も、特に溶液重合によって製造されたスチレンブタジエンゴム(S−SBR)に関し、報告されている。これらの技術の一つにおいて、溶液ゴム鎖末端アミノベンゾフェノン変性される。これは、ポリマーとカーボンブラック表面上の酸素含有基との間の相互作用を非常に改良する(N.Nagata,Nippon Gomu Kyokaishi,62,630(1989)参照)。アニオン溶液ポリマーのスズカップリングは、別のよく使用される鎖末端変性法で、おそらくはカーボンブラック表面上のキノン基との反応の増大を通じてポリマー−充填剤相互作用を補助している。この相互作用の効果はカーボンブラック粒子間凝集を削減することで、それが分散の改良につながり、最終的にヒステリシスを低減する。

概要

ゴム状リビングポリマーのカーボンブラック及び/又はシリカ等の充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段を提供する。前記改質ポリマーを使用する低レベルのタイヤ転がり抵抗を提供する。式Iで示される末端基官能化したジエンリビングエラストマー。[R1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシ;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素;そしてPはジエン系エラストマー、nは1又は2]

目的

D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968)
A.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968)
N.Nagata,Nippon Gomu Kyokaishi,62,630(1989)





主題発明は、ゴム状リビングポリマーの末端基を官能化して、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

式I:の官能化エラストマーであって、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;R5はC2アルカンジイルであり;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素であり;そしてPはジエン系エラストマーであり、nは1又は2であることを特徴とする官能化エラストマー。

請求項2

シリカ及び請求項1に記載の官能化エラストマーを含むゴム組成物

請求項3

請求項5に記載のゴム組成物を含む空気入りタイヤ

請求項4

官能化エラストマーの製造法であって、A)金属末端ジエン系エラストマーのリビングポリマーを、エチレンスルフィド又はエチレンオキシドからなる群から選ばれる第一の停止剤と反応させて、第一の停止ポリマーを形成させ;そしてB)第一の停止ポリマーを、式III:[式中、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;そしてQはハロゲンである]の第二の停止剤と反応させるステップを含む方法。

請求項5

第一の停止剤がエチレンスルフィドであり、第二の停止剤がクロロトリエトキシシランであり、そしてジエン系エラストマーがイソプレン及びブタジエンの少なくとも一つと任意にスチレンから誘導されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、官能化ポリマーゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。

背景技術

0002

周期表のI及びII族の金属は、モノマーからポリマーへの重合を開始するのに一般に使用されている。例えば、リチウムバリウムマグネシウムナトリウム、及びカリウムは、そのような重合に頻繁に利用される金属である。この種の開始剤系は、立体規則ポリマーの製造に使用できるので商業的に重要である。例えば、リチウム開始剤は、イソプレンから合成ポリイソプレンゴムへのアニオン重合を開始したり、又は1,3−ブタジエンから所望の微細構造を有するポリブタジエンゴムへの重合を開始するのに利用できる。

0003

そのような重合で形成されたポリマーは、重合開始に使用された金属をそれらのポリマー鎖成長末端に有しており、リビングポリマーと呼ばれることもある。それらがリビングポリマーと呼ばれるのは、末端金属開始剤を含有するそれらのポリマー鎖が、すべての利用可能なモノマーが使い果たされるまで成長し続ける又は生き続けるからである。そのような金属開始剤を利用して製造されたポリマーは、通常本質的に線形の構造を有し、通常大量の枝分れを含有しない。

0004

リビング重合技術によって製造されたゴム状ポリマーは、典型的には、硫黄、促進剤、劣化防止剤充填剤、例えばカーボンブラックシリカ又はデンプン、及びその他の所望のゴム薬品と配合された後、加硫又は硬化されて有用な物品、例えばタイヤ又はパワートランスミッションベルトの形になる。そのような硬化ゴム物理的性質は、充填剤がゴム全体に均一に分散されている程度に依存することが確立されている。これは、すなわち、充填剤が特定のゴム状ポリマーに対して有する親和性のレベルと関連する。このことは、そのようなゴム組成物を利用して製造されるゴム物品物理的特性の改良に実際的に重要となりうる。例えば、タイヤの転がり抵抗及び牽引特性は、それに利用されるゴム状ポリマーに対するカーボンブラック及び/又はシリカの親和性を改良することによって改良できる。従って、所与のゴム状ポリマーの、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤に対する親和性を改良することが非常に望ましいであろう。

0005

タイヤトレッド配合物(tire tread formulations)において、充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は低いヒステリシスをもたらし、その結果、そのようなゴム配合物を用いて製造されたタイヤは低い転がり抵抗を有する。60℃における低いタンデルタ値は低いヒステリシスの指標であるので、60℃における低いタンデルタ値を有するそのようなゴム配合物を利用して製造されたタイヤは、通常低い転がり抵抗を示す。タイヤトレッド配合物中の充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は、典型的には0℃における高いタンデルタ値ももたらす。これは良好な牽引特性の指標である。

0006

ゴムとカーボンブラック間の相互作用は、カーボンブラック表面上の酸素含有官能基とゴムとの間の物理吸収(physical absorption)(ファンデルワールス力)及び化学吸着(chemisorption)の組合せによるものである(D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968)並びにA.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968)参照)。ポリマー−充填剤相互作用を改良してヒステリシス損を低減するための様々なその他の化学変性技術も、特に溶液重合によって製造されたスチレンブタジエンゴム(S−SBR)に関し、報告されている。これらの技術の一つにおいて、溶液ゴム鎖末端アミノベンゾフェノン変性される。これは、ポリマーとカーボンブラック表面上の酸素含有基との間の相互作用を非常に改良する(N.Nagata,Nippon Gomu Kyokaishi,62,630(1989)参照)。アニオン溶液ポリマーのスズカップリングは、別のよく使用される鎖末端変性法で、おそらくはカーボンブラック表面上のキノン基との反応の増大を通じてポリマー−充填剤相互作用を補助している。この相互作用の効果はカーボンブラック粒子間凝集を削減することで、それが分散の改良につながり、最終的にヒステリシスを低減する。

先行技術

0007

D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968)
A.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968)
N.Nagata,Nippon Gomu Kyokaishi,62,630(1989)

0008

主題発明は、ゴム状リビングポリマー末端基官能化して、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段を提供する。そのような官能化ポリマーは、改良されたポリマー/充填剤相互作用が望ましいタイヤ及びその他のゴム製品の製造に有益に使用できる。タイヤトレッドコンパウンドにおいて、これは低いポリマーヒステリシスをもたらすことができ、ひいては低レベルのタイヤ転がり抵抗を提供することができる。

0009

本発明は、さらに詳しくは、式I:

0010

0011

[式中、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;R5はC2アルカンジイルであり;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素であり;そしてPはジエン系エラストマーであり、nは1又は2である]の官能化エラストマーに向けられる。

0012

さらに、前記官能化エラストマーを含むゴム組成物、前記ゴム組成物を含む空気入りタイヤ、及び前記官能化エラストマーの製造法も開示する。

図面の簡単な説明

0013

図1は、様々なポリマーサンプルのGPC分布グラフを示す。
図2は、シランカップリング剤入りのノンプロダクティブサンプルのG’、G”及びタンデルタ対歪のグラフを示す。
図3は、シランカップリング剤なしのノンプロダクティブサンプルのG’、G”及びタンデルタ対歪のグラフを示す。
図4は、シランカップリング剤入りのプロダクティブバッチの、7%歪で得られた硬化曲線を示す。
図5は、シランカップリング剤入りのプロダクティブサンプルのG’、G”及びタンデルタ対歪のグラフを示す。
図6は、シランカップリング剤なしのプロダクティブバッチの、7%歪で得られた硬化曲線を示す。
図7は、シランカップリング剤なしのプロダクティブサンプルのG’、G”及びタンデルタ対歪のグラフを示す。

0014

式I:

0015

0016

[式中、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;R5はC2アルカンジイルであり;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素であり;そしてPはジエン系エラストマーであり、nは1又は2である]の官能化エラストマーを開示する。

0017

一態様において、Xは硫黄であり、R1、R2及びR3はエトキシ基であり、R4はエタンジイルである。

0018

一態様において、nは1である。

0019

一態様において、nは2である。

0020

一態様において、Pは少なくとも一つのジエンモノマーと任意に少なくとも一つのビニル芳香族モノマーから誘導される。

0021

一態様において、Pはイソプレン及びブタジエンの少なくとも一つと任意にスチレンから誘導される。

0022

一態様において、Pはブタジエンとスチレンから誘導される。

0023

さらに、官能化エラストマーを含むゴム組成物、前記ゴム組成物を含む空気入りタイヤ、及び前記官能化エラストマーの製造法も開示する。

0024

主題発明は、官能化ポリマーと、ゴム状リビングポリマーの、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための末端基官能化法とを提供する。本発明の方法は、周期表のI又はII族の金属で終端されたあらゆるリビングポリマーの官能化に使用できる。これらのポリマーは当業者に周知の技術を利用して製造できる。本発明に従って第一及び第二の停止剤で官能化できる金属末端ゴム状ポリマーは、一般構造式P−M(式中、Pはジエン系エラストマーのポリマー鎖を表し、MはI又はII族の金属を表す)を有する一官能性開始剤を利用して製造できる。そのような金属末端ポリマーの合成に利用される金属開始剤は多官能性有機金属化合物であってもよい。例えば、二官能性有機金属化合物がそのような重合を開始するのに利用できる。そのような二官能性有機金属化合物を開始剤として利用すると、一般的に、一般構造式M−P−M(式中、Pはジエン系エラストマーのポリマー鎖を表し、MはI又はII族の金属を表す)を有するポリマーの形成がもたらされる。両鎖末端がI又はII族の金属で終端されているそのようなポリマーも、それらの鎖末端の両方を官能化するために第一及び第二の停止剤と反応させることができる。ポリマー鎖の両端を停止剤で官能化できるように二官能性開始剤を利用することは、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤との相互作用をさらに改良できると考えられる。

0025

本発明に従って官能化されるリビングゴム状ポリマーの合成に使用される重合を開始するために使用される開始剤は、典型的には、バリウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群から選ばれる。リチウム及びマグネシウムは、そのような金属末端ポリマー(リビングポリマー)の合成に最も一般的に利用される金属である。通常、リチウム開始剤がより好適である。

0026

有機リチウム化合物はそのような重合に利用するための好適な開始剤である。開始剤として利用される有機リチウム化合物は通常有機モノリチウム化合物である。開始剤として好適な有機リチウム化合物は、式:R−Li(式中、Rは1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビルラジカルを表す)によって表すことができる一官能性化合物である。一般的に、そのような一官能性有機リチウム化合物は、1〜約10個の炭素原子を含有する。いくつかの好適な代表例は、ブチルリチウム、secブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、1−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、p−トリルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−ブチルシクロヘキシルリチウム、及び4−シクロヘキシルブチルリチウムである。sec−ブチルリチウムが非常に好適な有機リチウム開始剤である。2ミクロン未満の平均粒径を有する超微粉リチウムも、本発明に従って第一及び第二の停止剤で官能化できるリビングゴム状ポリマー合成のための開始剤として使用できる。米国特許第4,048,420号(引用によってその全文を本明細書に援用する)に、微粉リチウムを開始剤として利用するリチウム末端リビングポリマーの合成が記載されている。リチウムアミドもリビングポリジエンゴムの合成における開始剤として使用できる(米国特許第4,935,471号参照。その教示は、リビングゴム状ポリマーの合成の開始剤として使用できるリチウムアミドに関し、引用によって本明細書に援用する)。

0027

利用される有機リチウム開始剤の量は、合成されるゴム状ポリマーに所望される分子量のほか、使用される正確な重合温度によっても変動する。所望分子量のポリマーを製造するのに必要とされる有機リチウム化合物の正確な量は、当業者であれば容易に求めることができる。しかしながら、通則として、0.01〜1phm(100重量部のモノマーあたりの部)の有機リチウム開始剤が利用されることになろう。ほとんどの場合、0.01〜0.1phmの有機リチウム開始剤が利用され、0.025〜0.07phmの有機リチウム開始剤を利用するのが好適である。

0028

炭素炭素二重結合を含有する多くの種類の不飽和モノマーが、そのような金属触媒を用いてポリマーに重合できる。エラストマー性又はゴム状ポリマーは、このタイプの金属開始剤系を利用してジエンモノマーを重合することによって合成できる。合成ゴム状ポリマーに重合できるジエンモノマーは、共役ジオレフィン又は非共役ジオレフィンのいずれでもよい。4〜8個の炭素原子を含有する共役ジオレフィンモノマーが一般的には好適である。ビニル置換芳香族モノマーも、一つ又は複数のジエンモノマーと共重合させてゴム状ポリマー、例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)にすることができる。ゴム状ポリマーに重合できる共役ジエンモノマーのいくつかの代表例は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンなどである。ゴム状ポリマーの合成に利用できるビニル置換芳香族モノマーのいくつかの代表例は、スチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ドデシルスチレン、3−メチル−5−ノルマルヘキシルスチレン、4−フェニルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、3,5−ジフェニルスチレン、2,3,4,5−テトラエチルスチレン、3−エチル−1−ビニルナフタレン、6−イソプロピル−1−ビニルナフタレン、6−シクロヘキシル−1−ビニルナフタレン、7−ドデシル−2−ビニルナフタレン、α−メチルスチレンなどである。

0029

本発明に従って第一及び第二の停止剤で官能化される金属末端ゴム状ポリマーは、一般的に、飽和脂肪族炭化水素芳香族炭化水素、又はエーテルなどの不活性有機溶媒を利用する溶液重合によって製造される。そのような溶液重合に使用される溶媒は、通常1分子あたり約4〜約10個の炭素原子を含有し、重合条件下液体である。適切な有機溶媒のいくつかの代表例は、ペンタンイソオクタンシクロヘキサン、ノルマル−ヘキサンベンゼントルエンキシレンエチルベンゼンテトラヒドロフランなどで、これらを単独で又は混合して使用する。例えば、溶媒は異なるヘキサン異性体の混合物であってよい。そのような溶液重合はポリマーセメント(高粘性ポリマー溶液)の形成をもたらす。

0030

本発明の実施に利用される金属末端リビングゴム状ポリマーは、実質的に任意の分子量であってよい。しかしながら、リビングゴム状ポリマーの数平均分子量は、典型的には約50,000〜約500,000の範囲内であろう。そのようなリビングゴム状ポリマーは、100,000〜250,000の範囲内の数平均分子量を有するのが、より典型的である。

0031

官能化エラストマーは、金属末端リビングゴム状ポリマーをカスケード反応で二つの停止剤と反応させることによって形成される。すなわち、スキーム1に示されているような連続二反応カスケードで、P−M又はM−P−Mを第一の停止剤と反応させた後、第二の停止剤と反応させる。第一の停止反応で、金属末端リビングゴム状ポリマー(P−Mと示される)を第一の停止剤と反応させる。適切な第一の停止剤は、エチレンスルフィドエチレンオキシド、又はより一般的には、式II:

0032

0033

[式中、Xは硫黄又は酸素である]の第一の停止剤を含む。

0034

第二の停止反応では、第一の停止反応の生成物を、式III:

0035

0036

[式中、R1、R2、R3及びR4は、式Iで定義の通りであり、Qはハロゲンである]の第二の停止剤と反応させる。一態様において、Qは塩素である。適切な第二の停止剤の一例はクロロトリエトキシシランである。

0037

0038

金属末端リビングゴム状ポリマーは、単に化学量論量の第一及び第二の停止剤を添加することによって官能化することができる。その場合、第一の停止剤をゴム状ポリマーの溶液(リビングポリマーのゴムセメント)添加し、第一の停止反応後に第二の停止剤を加える。言い換えれば、リビングゴム状ポリマーの末端金属基モルあたりそれぞれ約1モルの第一及び第二の停止剤を添加する。そのようなポリマーの金属末端基のモル数は、開始剤に利用された金属のモル数であると推定される。当然ながら、化学量論量より多い第一及び第二の停止剤を添加することも可能である。しかしながら、より多量の利用は最終的なポリマーの性質に有益でない。それでも、多くの場合、少なくとも化学量論量が実際に使用されるのを確保するため又は官能化反応の化学量論を制御するために、わずかに過剰の第一及び第二の停止剤を利用するのが望ましいであろう。ほとんどの場合、処理されるリビングポリマー中の金属末端基1モルあたり約0.8〜約1.1モルの第一及び第二の停止剤が利用される。万一ゴム状ポリマーのすべての金属末端鎖端を官能化することが所望でない場合、当然ながら、より少量の第一及び第二の停止剤を利用することもできる。

0039

第一及び第二の停止剤は、金属末端リビングゴム状ポリマーと非常に広い温度範囲にわたって反応する。実践的理由から、そのようなリビングゴム状ポリマーの官能化は通常0℃〜150℃の範囲内の温度で実施される。反応速度を増大するために、ほとんどの場合、20℃〜100℃の範囲内の温度を利用するのが好適で、50℃〜80℃の範囲内の温度が最も好適である。キャッピング反応は非常に迅速で、通常0.5〜4時間の範囲内のごく短い反応時間しか必要としない。しかしながら、場合によっては、最大変換を確実にするために約24時間までの反応時間を使用することもある。

0040

官能化反応の完了後、残存しているリビングポリジエン鎖があれば、それを“止める(kill)”のが通常望ましいであろう。これは、メタノール又はエタノールなどのアルコールを官能化反応の完了後にポリマーセメントに添加し、第一及び第二の停止剤との反応によって消費されなかった何らかのリビングポリマーを除去することによって達成できる。その後、末端基官能化ポリジエンゴムは、標準技術を用いて溶液から回収できる。

0041

官能化ポリマーは配合されてゴム組成物にすることができる。

0042

ゴム組成物は、任意に、官能化ポリマーの他にオレフィン性不飽和を含有する一つ又は複数のゴム又はエラストマーを含んでいてもよい。“オレフィン性不飽和を含有するゴム又はエラストマー”又は“ジエン系エラストマー”という語句は、天然ゴム及びその各種未加工形及び再生形、並びに各種合成ゴムのどちらも含むものとする。本発明の記載において、“ゴム”及び“エラストマー”という用語は、別段の規定のない限り互換的に使用されうる。“ゴム組成物”、“配合ゴム”及び“ゴムコンパウンド”という用語は、各種成分及び材料とブレンド又は混合されているゴムのことを言うのに互換的に使用され、そのような用語はゴム混合又はゴム配合分野の当業者には周知である。代表的な合成ポリマーは、ブタジエン及びその同族体及び誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン及びペンタジエンのホモ重合生成物、並びにブタジエン又はその同族体もしくは誘導体とその他の不飽和モノマーとから形成されるようなコポリマーである。後者に含まれるものとしては、アセチレン、例えばビニルアセチレンオレフィン、例えばイソブチレン(イソプレンと共重合してブチルゴムを形成する);ビニル化合物、例えばアクリル酸アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する)、メタクリル酸及びスチレン(後者の化合物はブタジエンと重合してSBRを形成する)のほか、ビニルエステル及び各種不飽和アルデヒドケトン及びエーテル、例えばアクロレインメチルイソプロペニルケトン及びビニルエチルエーテルなどが挙げられる。合成ゴムの具体例は、ネオプレンポリクロロプレン)、ポリブタジエン(シス−1,4−ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(シス−1,4−ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴム又はブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3−ブタジエン又はイソプレンとスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートなどのモノマーとのコポリマー、並びにエチレン/プロピレンターポリマー(エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られる)、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーなどである。使用できるゴムの追加例は、アルコキシ−シリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR及びSIBR)、ケイ素結合及びスズ結合星状枝分れポリマーなどである。好適なゴム又はエラストマーはポリイソプレン(天然又は合成)、ポリブタジエン及びSBRである。

0043

一側面において、少なくとも一つの追加ゴムは、好ましくはジエン系ゴムの少なくとも二つである。例えば、シス1,4−ポリイソプレンゴム(天然又は合成、ただし天然が好適)、3,4−ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化重合及び溶液重合由来スチレン/ブタジエンゴム、シス1,4−ポリブタジエンゴム及び乳化重合調製ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーなどの二つ以上のゴムの組合せが好適である。

0044

本発明の一側面において、約20〜約28パーセント結合スチレンという比較的従来的なスチレン含有量を有する乳化重合由来スチレン/ブタジエン(E−SBR)が使用されうる。又は用途によっては、中程度〜比較的高い結合スチレン含有量、すなわち約30〜約45パーセントの結合スチレン含有量を有するE−SBRが使用されうる。

0045

乳化重合調製E−SBRとは、スチレンと1,3−ブタジエンが水性エマルジョンとして共重合されることを意味する。そのようなことは当業者には周知である。結合スチレン含有量は、例えば、約5〜約50パーセントの間で変動しうる。一側面において、E−SBRは、アクリロニトリルも含有してE−SBARとしてターポリマーゴムを形成することもできる。その場合、ターポリマー中に例えば約2〜約30重量パーセントの量の結合アクリロニトリルが含有される。

0046

約2〜約40重量パーセントの結合アクリロニトリルをコポリマー中に含有する乳化重合調製スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムも、本発明で使用するためのジエン系ゴムとして想定されている。

0047

溶液重合調製SBR(S−SBR)は、典型的には、約5〜約50、好ましくは約9〜約36パーセントの範囲の結合スチレン含有量を有する。S−SBRは、例えば、有機炭化水素溶媒の存在下、有機リチウム触媒作用によって都合よく調製できる。

0048

一態様において、シス1,4−ポリブタジエンゴム(BR)が使用されうる。そのようなBRは、例えば、1,3−ブタジエンの有機溶液重合によって調製できる。BRは、例えば、少なくとも90パーセントのシス1,4−含有量を有することによって都合よく特徴付けできる。

0049

シス1,4−ポリイソプレン及びシス1,4−ポリイソプレン天然ゴムは、ゴム分野の当業者には周知である。

0050

明細書中で使用されている、従来の慣例による用語“phr”は、“100重量部のゴム、又はエラストマーあたりの各材料の重量部”を意味する。

0051

ゴム組成物は70phrまでのプロセス油も含みうる。プロセス油は、エラストマーを増量するために典型的に使用される増量油(extending oil)としてゴム組成物中に含まれていてもよい。プロセス油は、ゴム配合中に直接オイルを添加することによってゴム組成物中に含めることもできる。使用されるプロセス油は、エラストマー中に存在する増量油及び配合中に添加されるプロセス油の両方を含みうる。適切なプロセス油は、当該技術分野で知られている各種油、例えば芳香族油パラフィン系油ナフテン系油、植物油、及び低PCA油、例えばMES、TDAE、SRAE及び重ナフテン系油などである。適切な低PCA油は、IP346法による測定で多環芳香族含有量が3重量パーセント未満のものなどである。IP346法の手順は、英国石油学会(Institute of Petroleum)出版のStandard Methodsfor Analysis & Testing of Petroleum and Related Products 及び British Standard 2000 Parts、2003年、第62版に見ることができる。

0052

ゴム組成物は約10〜約150phrのシリカを含みうる。別の態様では、20〜80phrのシリカが使用されうる。

0053

ゴムコンパウンドに使用されうる一般的に用いられるケイ顔料は、従来型焼成(pyrogenic)及び沈降ケイ質顔料(シリカ)を含む。一態様においては沈降シリカが使用される。本発明で使用される従来型ケイ質顔料は、例えば、ケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩酸性化によって得られるような沈降シリカである。

0054

そのような従来型シリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定されたBET表面積を有することによって特徴付けされうる。一態様において、BET表面積は、1グラムあたり約40〜約600平方メートルの範囲でありうる。別の態様において、BET表面積は、1グラムあたり約80〜約300平方メートルの範囲でありうる。表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society、第60巻、304ページ(1930)に記載されている。

0055

従来型シリカは、約100〜約400、あるいは約150〜約300の範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによって特徴付けすることもできる。

0056

従来型シリカは、電子顕微鏡による測定で例えば0.01〜0.05ミクロンの範囲の平均極限粒径を有すると予想されうるが、シリカ粒子はサイズがさらに小さくても又はおそらくは大きくてもよい。

0057

様々な市販シリカが使用できる。例えば、本明細書における単なる例として及び制限なしに挙げると、PPGIndustries社から商標Hi−Sil、規格210、243などとして市販されているシリカ;Rhodia社から例えば規格Z1165MP及びZ165GRとして入手できるシリカ;及びDegussaAG社から例えば規格VN2及びVN3として入手できるシリカなどである。

0058

一般的に使用されるカーボンブラックが従来型充填剤として10〜150phrの範囲の量で使用できる。別の態様では20〜80phrのカーボンブラックが使用できる。そのようなカーボンブラックの代表例は、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990及びN991などである。これらのカーボンブラックは、9〜145g/kgの範囲のヨウ素吸収及び34〜150cm3/100gの範囲のDBP数を有している。

0059

他の充填剤もゴム組成物に使用できる。例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの粒状充填剤、米国特許第6,242,534号;6,207,757号;6,133,364号;6,372,857号;5,395,891号;又は6,127,488号(これらに限定されない)に開示されているような架橋粒状ポリマーゲル、及び米国特許第5,672,639号(これに限定されない)に開示されているような可塑化デンプン複合充填剤などであるが、これらに限定されない。そのようなその他の充填剤は1〜30phrの範囲の量で使用されうる。

0060

一態様において、ゴム組成物は従来型の硫黄含有有機ケイ素化合物を含有しうる。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビストリメトキシ又はトリエトキシシリルプロピルポリスルフィドである。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド及び/又は3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。

0061

別の態様において、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許第6,608,125号に開示されている化合物を含む。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、Momentive Performance Materials社からNXTTMとして市販されている3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン、CH3(CH2)6C(=O)−S−CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3を含む。

0062

別の態様において、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許公開第2003/0130535号に開示されているものを含む。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物はDegussa社製Si−363である。

0063

ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用されるその他の添加剤の量によって変動する。一般的に言えば、該化合物の量は0.5〜20phrの範囲であろう。一態様において、その量は1〜10phrの範囲であろう。

0064

当業者であれば、ゴム組成物は、ゴム配合分野で一般的に知られている方法によって配合されるであろうことは容易に分かるはずである。例えば、様々な硫黄加硫可能成分ゴムを、一般的に使用されている様々な添加剤材料、例えば、硫黄供与体硬化補助剤、例えば活性化剤及び遅延剤及び加工添加剤、例えばオイル、粘着付与樹脂を含む樹脂及び可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸酸化亜鉛ワックス抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤及びしゃく解剤などと混合する。当業者には分かる通り、硫黄加硫可能(sulfur vulcanizable)材料及び硫黄加硫(sulfur-vulcanized)材料(ゴム)の意図する使用に応じて、上記添加剤は選択され、従来量で一般的に使用される。硫黄供与体の代表例は、元素硫黄遊離硫黄)、アミンジスルフィド、ポリマー性ポリスルフィド及び硫黄オレフィン付加物などである。一態様において、硫黄加硫剤は元素硫黄である。硫黄加硫剤は、0.5〜8phrの範囲、あるいは1.5〜6phrの範囲の量で使用されうる。粘着付与樹脂の典型的な量は、使用される場合、約0.5〜約10phr、通常約1〜約5phrを含む。加工助剤の典型的な量は約1〜約50phrを含む。抗酸化剤の典型的な量は約1〜約5phrを含む。代表的抗酸化剤は、例えばジフェニル−p−フェニレンジアミン及びその他、例えばThe Vanderbilt Rubber Handbook(1978),344〜346ページに開示されているものであろう。オゾン劣化防止剤の典型的な量は約1〜5phrを含む。脂肪酸の典型的な量は、使用される場合、ステアリン酸などでありうるが、約0.5〜約3phrを含む。酸化亜鉛の典型的な量は約2〜約5phrを含む。ワックスの典型的な量は約1〜約5phrを含む。微晶質ワックスが使用されることが多い。しゃく解剤の典型的な量は約0.1〜約1phrを含む。典型的なしゃく解剤は、例えば、ペンタクロロチオフェノール及びジベンズアミドジフェニルジスルフィドであろう。

0065

促進剤は、加硫に要する時間及び/又は温度を制御するため、及び加硫物の性質を改良するために使用される。一態様において、単一促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されうる。一次促進剤(一つ又は複数)は、約0.5〜約4、あるいは約0.8〜約1.5phrの範囲の総量で使用されうる。別の態様では、活性化及び加硫物の性質を改良するために、一次及び二次促進剤の組合せが使用されうる。その場合、二次促進剤は少量、例えば約0.05〜約3phrの量で使用される。これらの促進剤の組合せは、最終性質に対して相乗効果をもたらすことが期待され、いずれかの促進剤を単独で使用して製造されたものよりも多少良好である。さらに、標準的な加工温度には影響されないが、通常の加硫温度満足のいく硬化をもたらす遅延作用促進剤を使用することもできる。加硫遅延剤も使用できる。本発明に使用されうる適切なタイプの促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジンチオウレアチアゾールチウラムスルフェンアミドジチオカルバメート及びキサンテートである。一態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。二次促進剤を使用する場合、二次促進剤は、グアニジン、ジチオカルバメート又はチウラム化合物であろう。

0066

ゴム組成物の混合は、ゴム混合分野の当業者に公知の方法によって達成できる。例えば、成分は典型的には少なくとも二つの段階、すなわち、少なくとも一つのノンプロダクティブ段階とそれに続くプロダクティブ混合段階で混合される。硫黄加硫剤を含む最終硬化剤は典型的には最終段階で混合される。この段階は従来、“プロダクティブ”混合段階と呼ばれ、そこでは混合が典型的にはその前のノンプロダクティブ混合段階(一つ又は複数)の混合温度より低い温度、又は極限温度で行われる。“ノンプロダクティブ”及び“プロダクティブ”混合段階という用語は、ゴム混合分野の当業者には周知である。ゴム組成物は、熱機械的混合ステップに付されてもよい。熱機械的混合ステップは、一般的に、ミキサー又は押出機内で、140℃〜190℃のゴム温度を生ずるために適切な時間の機械的作業を含む。熱機械的作業の適切な時間は、運転条件、並びに成分の体積及び性質に応じて変動する。例えば、熱機械的作業は1〜20分であろう。

0067

当該ゴム組成物は、タイヤの様々なゴム部品に組み込むことができる。例えば、ゴム部品は、トレッドトレッドキャップ及びトレッドベースを含む)、サイドウォールアペックスチェーファーサイドウォールインサートワイヤコート又はインナーライナーでありうる。一態様において、該部品はトレッドである。

0068

本発明の空気入りタイヤは、レース用タイヤ乗用車用タイヤ航空機用タイヤ農業用土工機械用、オフロード用、トラック用タイヤなどでありうる。一態様において、タイヤは乗用車又はトラック用タイヤである。タイヤはラジアルでもバイアスでもよい。

0069

本発明の空気入りタイヤの加硫は、一般的に約100℃〜200℃の範囲の従来温度で実施される。一態様において、加硫は約110℃〜180℃の範囲の温度で実施される。成形機又は金型内での加熱、過熱蒸気又は熱風による加熱といった通常の加硫プロセスのいずれも使用できる。そのようなタイヤは、当業者に公知の、そして容易に明らかな様々な方法によって構築成形(shaped)、成型(molded)及び硬化できる。

0070

本発明を以下の実施例によって例示するが、下記実施例は単に例示を目的としたものであって、本発明の範囲又はそれを実施しうる様式の制限と見なされてはならない。特に明記しない限り、部及びパーセンテージは重量によって示されている。

0071

実施例1.
スチレンとブタジエンの共重合
重合は、1ガロン反応器内65℃で実施した。スチレンとブタジエンのモノマープレミックスを反応器に装入し、次いで変性剤(TMEDA)及び開始剤(n−ブチルリチウム)を加えた。変換率が98%を超えたら、重合をイソプロパノールで停止させるか又はカスケード反応で最初にES、次いでクロロトリエトキシシランにより停止させる。ポリマーサンプルは、停止をエチレンスルフィドか又はクロロトリエトキシシランのいずれかを用いて実施する方法でも合成され、個別(の停止剤)より両停止剤からの官能性を有することの利点を調べた。

0072

官能化ポリマー並びに対照の合成を1ガロンバッチ反応器で実施した。得られたポリマーは、様々な技術、例えば、分子量の決定はGPC(様々なポリマーサンプルのGPC分布を図1に示す)、Tgの決定はDSC、シス、トランス、スチレン及びビニル含有量の決定はIR、及びムーニー粘度測定を用いて特徴付けされた(GPCの結果を表1に、ムーニー、FT−IR及びDSCの結果を表2に示す)。

0073

0074

1官能化溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。Styron社からSprintan(登録商標)SLR 4602として市販されている。

0075

2イソプロパノールを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。

0076

3エチレンスルフィド(ES)を用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0077

4クロロトリエトキシシラン(CTES)を用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0078

5エチレンスルフィドとクロロトリエトキシシランを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0079

0080

1官能化溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。Styron社からSprintan(登録商標)SLR 4602として市販されている。

0081

2イソプロパノールを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。

0082

3エチレンスルフィドを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0083

4クロロトリエトキシシランを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0084

5エチレンスルフィドとクロロトリエトキシシランを用いて停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。

0085

実施例2
混合の研究及びコンパウンド試験
官能化sSBR(ES、CTES及び両ES&CTESを用いて官能化されたもの、並びに対照(非官能化SBR)及び比較の官能化SBR)を、バンバリー(登録商標)ローターを備えた3ピースの75mL CWブラベンダー(登録商標)ミキサー内でシリカ及びオイルと混合した。

0086

sSBRサンプルを表3に示すように三段階の混合手順の中で添加剤と混合した。すべての量は100重量部のエラストマーあたりの重量部(phr)で示されている。第一のノンプロダクティブ混合段階で、コンパウンドを出発温度として140℃を用い、60rpmで4分間混合した。第二のノンプロダクティブ混合段階の前に全コンパウンドを圧縮成形機で1分間プレスした。第二のノンプロダクティブステップでは、混合条件は第一のノンプロダクティブステップと同一であったが、混合時間は3分間であった。プロダクティブ混合は、60℃の出発温度及び60rpmを用い、3分間の混合時間で実施した。

0087

0088

1シランカップリング剤は、使用される場合、第一のノンプロダクティブステップ中に添加された。

0089

Alpha Technology社製RPA2000(登録商標)を用いてコンパウンドのシリカ相互作用を試験した。グリーン(ノンプロダクティブ)コンパウンドをまず160℃に加熱し、トルクの増加を1Hz及び0.48%歪を用いて時間の関数としてモニターし、充填剤の“凝集(flocculation)”速度を決定した。その後、コンパウンドを40℃に冷却し、1Hzを用いて歪掃引(strain sweep)を実施し、ペイン効果(Payne effect)、すなわちG’、G”及びタンデルタの歪依存性を決定した。硬化は160℃で7%歪を用いて実施した。最初に硬化コンパウンド動的性質を、サンプルを160℃で30分間、静的硬化を模すために可能な限り低い歪で硬化することによって測定した。このサンプルを冷却後、ノンプロダクティブコンパウンドで示された様式で試験した。

0090

実施例3
サンプル6〜10を、表3に従い、シランカップリング剤を添加し、プロダクティブ混合ステップなしのノンプロダクティブコンパウンドとして製造した。

0091

図2に、RPAにて低歪160℃でサンプルを30分間熱処理した後、シランカップリング剤入りノンプロダクティブコンパウンドに対して40℃で実施された歪掃引の結果を示す。図2に示されているように、非官能化対照サンプルのG’及びタンデルタは、最も高い歪依存性を示している。官能化ポリマー(比較)サンプルは最も低い歪依存性を示している。ES&CTES官能化ポリマーサンプルは、低減された歪依存性を示しているが、これらのポリマーは比較と比べて高いタンデルタ値を有している。

0092

低振幅(0.48%歪)モジュラス(LAM)及び高振幅(100%歪)モジュラス(HAM)の比率は、ペイン効果の尺度で、表4に各種サンプルの結果を示す。LAM/HAM比が高いほどポリマー−充填剤相互作用は小さい。表4から分かるように、非官能化対照ポリマーサンプル2は最も高いLAM/HAM値を示し、ポリマー−充填剤相互作用が最小であることを示している。比較は最も低い歪依存性を示し、その他の官能化ポリマーは比較と非官能化の間である。

0093

0094

実施例4
サンプル11〜15を、表3に従い、シランカップリング剤を何ら添加せず、ノンプロダクティブコンパウンドとして製造した。

0095

図3に、RPAにて低歪160℃でサンプルを30分間熱処理した後、シランカップリング剤が何ら添加されていないノンプロダクティブコンパウンドに対して40℃で実施された歪掃引の結果を示す。この場合、ポリマー鎖末端と充填剤間の相互作用だけを評価するために、カップリング剤は添加しなかった。この場合、非官能化ポリマーサンプルもすべてのその他の官能化ポリマーサンプルも、最も高い歪依存性を示した。比較サンプル1(比較)は、低減された歪依存性を示している。

0096

低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表5に示す。シランカップリング剤を使用しない場合、ペイン効果は、シランカップリング剤を使用した場合に観察されたペイン効果と比べて増強されている。対照及びすべてのその他の官能化ポリマーは最も高いLAM/HAM値、すなわち相対的に高いペイン効果を示している。比較は最も低いペイン効果を示しているが、ES、CTES及びES&CTES官能化ポリマーは、非官能化ポリマーと比べて低いペイン効果を示してる。高いペイン効果の結果、対照及びその他の官能化ポリマーのタンデルタ値は比較より高い。

0097

0098

実施例5
サンプル16〜20を、表3に従い、プロダクティブ混合ステップでシランを添加し、プロダクティブコンパウンドとして製造した。

0099

ノンプロダクティブバッチ後、プロダクティブバッチでのシランの添加を示す。コンパウンドの混合は、第一のノンプロダクティブ混合段階、続いて第二のノンプロダクティブステップ、最後にプロダクティブステップを用いて実施された。シランカップリング剤の添加は第一のノンプロダクティブ混合段階中に行われた。

0100

シランカップリング剤入り7%歪で得られた硬化曲線を図4に示す。硬化パラメーターの最大トルクS’max及びトルクの変化デルタS’を表6に示す。

0101

0102

歪掃引は別々のRPA運転で実施した。これらの運転で、サンプルは、静的硬化を模すため及び充填剤−充填剤又は充填剤−ポリマー相互作用を変化させないために、可能な限り低い歪(0.28%)を用い、160℃で30分間硬化された。歪掃引硬化は40℃で得た。これを図5に示す。

0103

低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表7に示す。硬化コンパウンドに対して実施された歪掃引によれば、ES、CTES及びES&CTESに基づく官能化ポリマーは、比較より高いが非官能化ポリマーサンプルより低いペイン効果を示し、ポリマー−充填剤相互作用が、比較より低いが、非官能化よりは良好であることを示している。

0104

実施例6
本実施例では、シランを添加しないプロダクティブコンパウンドの混合を示す。サンプル21〜25を、表3に従い、シランを添加せず、プロダクティブコンパウンドとして製造した。コンパウンドの混合は、シランカップリング剤入りのプロダクティブバッチで使用されたのと同様に実施された。シランカップリング剤なしの7%歪におけるプロダクティブサンプルの硬化曲線を図6に示す。硬化パラメーターの最大トルクS’max及びトルクの変化デルタS’を表8に示す。

0105

0106

0107

歪掃引は別々のRPA運転で実施した。これらの運転で、サンプルは、静的硬化を模すため及び充填剤−充填剤又は充填剤−ポリマー相互作用を変化させないために、可能な限り低い歪(0.28%)を用い、160℃で30分間硬化された。低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表9に示す。歪掃引曲線は40℃で得た。これを図7に示す。

0108

0109

硬化コンパウンドに対して実施された歪掃引によれば、ES、CTES及びES&CTES官能化ポリマーは、非官能化ポリマーに比べて、確かにペイン効果の低減を示している。

0110

エチレンスルフィド及びクロロトリエトキシシランの使用は、シロキシ末端ポリマーの合成をもたらす。これは配合中にシリカと相互作用することができる。ES及びCTESに基づく官能化ポリマーはシランで保護された硫黄基を持つ。ES&CTES官能化ポリマーのポリマー鎖は、シロキシ基によりシリカと相互作用できる。しかしながら、配合中、一部の硫黄−シラン結合は切断されてチオール基が生成する可能性がある。切断の結果ポリマー鎖上に生成するチオール基は、ポリマー鎖の架橋に役立ちうる。非官能化ポリマーを対照として合成し、官能化ポリマー対非官能化ポリマーのシリカとの相互作用における挙動の違いを観察した。非官能化ポリマーサンプルは、すべての例で最も高いペイン効果を示した。これは、シリカと相互作用できる官能基がないために、シリカとの相互作用が最も低いことを意味する。しかしながら、カップリング剤を使用するとペイン効果の削減が観察される。

0111

主題発明を例示する目的で一定の代表的態様及び詳細を示してきたが、主題発明の範囲から逸脱することなく、その中で多様な変更及び修正が可能であることは当業者には明らかであろう。

0112

[発明の態様]
1.式I:

0113

0114

[式中、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;R5はC2アルカンジイルであり;Siはケイ素であり;Xは、硫黄又は酸素であり;そしてPはジエン系エラストマーであり、nは1又は2である]の官能化エラストマー。

0115

2.R1、R2及びR3が、それぞれC1〜C8アルコキシである、1記載の官能化エラストマー。

0116

3.nが1である、1記載の官能化エラストマー。

0117

4.nが2である、1記載の官能化エラストマー。

0118

5.Pが少なくとも一つのジエンモノマーと任意に少なくとも一つのビニル芳香族モノマーから誘導される、1記載の官能化エラストマー。

0119

6.Pがイソプレン及びブタジエンの少なくとも一つと任意にスチレンから誘導される、1記載の官能化エラストマー。

0120

7.Pがブタジエンとスチレンから誘導される、1記載の官能化エラストマー。

0121

8.Xが硫黄であり、R1、R2及びR3がエトキシ基であり、R4がC0であり、そしてR5がエタンジイルである、1記載の官能化エラストマー。

0122

9.1の官能化エラストマーを含むゴム組成物。

0123

10.さらにシリカを含む、10記載のゴム組成物。

0124

11.11記載のゴム組成物を含む空気入りタイヤ。

0125

12.官能化エラストマーの製造法であって、
A)金属末端ジエン系エラストマーのリビングポリマーを、エチレンスルフィド又はエチレンオキシドからなる群から選ばれる第一の停止剤と反応させて、第一の停止ポリマーを形成させ;そして
B)第一の停止ポリマーを、式III:

0126

0127

[式中、R1、R2及びR3は、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR1、R2及びR3の少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;R4は、C1〜C8アルカンジイル、C1〜C8アリーレン、C1〜C8アルキルアリーレン、C1〜C8アリールアルカンジイル、又は共有結合であり;そしてQはハロゲンである]の第二の停止剤と反応させる
ステップを含む方法。

0128

13.第一の停止剤がエチレンスルフィドである、12記載の方法。

0129

14.第二の停止剤がクロロトリエトキシシランである、12記載の方法。

0130

15.ジエン系エラストマーが少なくとも一つのジエンモノマーと任意に少なくとも一つのビニル芳香族モノマーから誘導される、12記載の方法。

0131

16.ジエン系エラストマーがイソプレン及びブタジエンの少なくとも一つと任意にスチレンから誘導される、12記載の方法。

実施例

0132

17.ジエン系エラストマーがブタジエンとスチレンから誘導される、12記載の方法。

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