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技術 印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法

出願人 株式会社リコー
発明者 松本博好中井順二吉田雅一
出願日 2013年9月12日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2013-189636
公開日 2014年5月1日 (5年6ヶ月経過) 公開番号 2014-076658
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(インク供給、その他) インクジェット記録方法及びその記録媒体
主要キーワード 強酸性液 短パルス電圧 大気圧非平衡プラズマ 先塗り pH測定 近接ドット 酸性化処理 設置電極
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

コスト上昇を抑えつつ高画質印刷物を製造する。

解決手段

印刷装置は、被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物20表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備える。

概要

背景

従来のインクジェット記録装置では、ヘッドが紙やフィルムに代表される記録媒体幅方向往復するシャトル方式が中心であるため、高速印刷によるスループットの向上が困難であった。そこで近年では、高速印刷に対応するために、記録媒体の幅全体を網羅するように複数のヘッドを並べて、一度に記録する1パス方式が提案されている。

しかし、1パス方式は高速化には有利ではあるが、隣接ドット打滴する時間的間隔が短く、先に打滴されたインクが記録媒体に浸透する前に隣接ドットが打滴されるため、隣接ドットの合一(以下、打滴干渉と呼ぶ)が起こり、画質が低下してしまうという、ビーディングブリードなどの問題が存在した。

また、インクジェット方式印刷装置にて、フィルムやコート紙などの非浸透メディア・緩浸透メディア印刷する場合、隣接するインクドット流動・合一し、ビーディングやブリードという画像不良をもたらすという問題も存在する。これを解決する従来技術としては、上記印刷メディアに予め先塗り剤を塗布し、インクの凝集性定着性を高めることで対策する方法や、UV硬化型インクを使用する方法が既に知られている。

概要

コスト上昇を抑えつつ高画質印刷物を製造する。印刷装置は、被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物20表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備える。

目的

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コスト上昇を抑えつつ高画質な印刷物を製造することが可能な印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備えることを特徴とする印刷装置

請求項2

前記酸性化処理手段は、複数の放電電極を含み、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記複数の放電電極のうちプラズマ処理に使用する放電電極の数を調節することで、前記プラズマエネルギーを調節することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項3

前記酸性化処理手段は、高周波高圧電源と放電電極とを含み、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記高周波高圧電源から前記放電電極へ供給するパルス電圧周波数および電圧値を調節することで、前記プラズマエネルギーを調節することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項4

前記プラズマ処理は、大気圧非平衡プラズマ処理であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項5

前記検出手段は、非接触型固体pH測定器であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項6

前記記録手段は、前記被処理物表面のpH値が前記所定値以下である場合、前記インクジェット記録を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項7

前記記録手段は、前記被処理物表面のpH値が前記所定値以下である場合、該被処理物表面のpH値が前記所定値より大きい場合と比較して低い吐出電圧で、前記インクジェット記録を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

請求項8

印刷対象の画像データのラスタデータを生成する印刷制御装置と、前記印刷制御装置から入力された前記ラスタデータを被処理物に印刷する印刷装置とを備え、前記印刷装置は、前記被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備えることを特徴とする印刷システム

請求項9

インクジェット記録によって画像が形成された印刷物を製造するための製造方法であって、被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理工程と、前記酸性化処理工程による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出工程と、前記検出工程による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理工程のプラズマエネルギーを調節する制御工程と、前記酸性化処理工程による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録工程と、を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、印刷装置印刷ステムおよび印刷物の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来のインクジェット記録装置では、ヘッドが紙やフィルムに代表される記録媒体幅方向往復するシャトル方式が中心であるため、高速印刷によるスループットの向上が困難であった。そこで近年では、高速印刷に対応するために、記録媒体の幅全体を網羅するように複数のヘッドを並べて、一度に記録する1パス方式が提案されている。

0003

しかし、1パス方式は高速化には有利ではあるが、隣接ドット打滴する時間的間隔が短く、先に打滴されたインクが記録媒体に浸透する前に隣接ドットが打滴されるため、隣接ドットの合一(以下、打滴干渉と呼ぶ)が起こり、画質が低下してしまうという、ビーディングブリードなどの問題が存在した。

0004

また、インクジェット方式の印刷装置にて、フィルムやコート紙などの非浸透メディア・緩浸透メディアに印刷する場合、隣接するインクドット流動・合一し、ビーディングやブリードという画像不良をもたらすという問題も存在する。これを解決する従来技術としては、上記印刷メディアに予め先塗り剤を塗布し、インクの凝集性定着性を高めることで対策する方法や、UV硬化型インクを使用する方法が既に知られている。

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上述した印刷メディアに予め先塗り剤を塗布する方法では、インクの水分以外に先塗り剤の水分も蒸発・乾燥させる必要があり、より多くの乾燥時間や大型の乾燥装置が必要になる。また、先塗り剤がサプライ品であるため、印刷コスト引き上げ要因ともなる。さらに、処理液自体が強酸性液である場合には、その刺激臭も問題になる。さらにまた、UV硬化型インクを使用する方法では、UV硬化型インクのコストが水性インクより高いため、印刷コストをさらに引き上げる要因となるだけでなく、UV硬化型インク自体が化学反応を起こして定着するため、耐候性がよく剥離にも強くなる一方で、反応の制御に高い精度が要求され、取り扱いが難しくなるという問題が存在した。

0006

そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コスト上昇を抑えつつ高画質な印刷物を製造することが可能な印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備えることを特徴とする。

0008

また、本発明にかかる印刷システムは、印刷対象の画像データのラスタデータを生成する印刷制御装置と、前記印刷制御装置から入力された前記ラスタデータを被処理物に印刷する印刷装置とを備え、前記印刷装置は、前記被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理手段のプラズマエネルギーを調節する制御手段と、前記酸性化処理手段による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録手段と、を備えることを特徴とする。

0009

また、本発明にかかる印刷物の製造方法は、インクジェット記録によって画像が形成された印刷物を製造するための製造方法であって、被処理物表面をプラズマ処理することで酸性化する酸性化処理工程と、前記酸性化処理工程による酸性化後の前記被処理物表面のpH値を検出する検出工程と、前記検出工程による検出結果に基づいて前記被処理物表面のpH値が所定値以下となるように前記酸性化処理工程のプラズマエネルギーを調節する制御工程と、前記酸性化処理工程による酸性化後の前記被処理物表面にインクジェット記録を実行する記録工程と、を含むことを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、コスト上昇を抑えつつ高画質な印刷物を製造することが可能な印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本発明の実施形態にかかるプラズマ処理の一例を説明するための図である。
図2は、実施形態にかかるインクの粘度とインクのpH値との関係例を示す図である。
図3は、本発明の実施形態1にかかる印刷装置の概略構成例を示す模式図である。
図4は、実施形態1で採用される酸性化処理の概略を説明するための模式図である。
図5は、実施形態1にかかるプラズマ処理を施していない被処理物に対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図である。
図6は、図5に示す印刷物における画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。
図7は、実施形態1にかかるプラズマ処理を施した被処理物に対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図である。
図8は、図7に示す印刷物における画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。
図9は、実施形態1にかかるプラズマエネルギーと濡れ性、ビーディング、pH値および浸透性との関係を示すグラフである。
図10は、実施形態1にかかるプラズマエネルギーとpHとの関係を示すグラフである。
図11は、実施形態1にかかる印刷装置における酸性化処理手段としてのプラズマ処理装置からインクジェット記録装置までの構成の詳細を示す模式図である。
図12は、実施形態1にかかる酸性化処理を含む印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図13は、実施形態2にかかる印刷装置における酸性化処理手段としてのプラズマ処理装置の構成の詳細を示す模式図である。
図14は、実施形態2にかかる酸性化処理を含む印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図15は、実施形態1または2にかかるインク吐出量画像濃度との関係を示すグラフである。

実施例

0012

以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。

0013

以下の実施形態では、被処理物(記録媒体または印刷メディアともいう)にインクが着弾した直後にインク顔料の分散を防止しつつ顔料凝集させるために、被処理物表面を酸性化させる。酸性化する手段としては、プラズマ処理を例示する。

0014

また、以下の実施形態では、被処理物表面の酸性度(pH値)が目標の範囲となるようにプラズマエネルギーをコントロールすることで、インクドット(以下、単にドットという)の真円度を向上させるとともに、ドットの合一を防止してドットの鮮鋭度色域を拡げる。これにより、ビーディングやブリードといった画像不良を解決して、高品質な画像が形成された印刷物を得ることができる。また、印刷メディア上の顔料の凝集厚みを薄く均一にすることにより、インク液滴量を削減して、インク乾燥エネルギーの低減および印刷コストの低減を図ることも可能にする。

0015

酸性化処理手段(工程)としてのプラズマ処理では、被処理物に大気中のプラズマ照射を行うことによって、被処理物表面の高分子を反応させ、親水性官能基を形成する。詳細には、図1に示すように、放電電極から放出された電子eが電界中で加速されて、大気中の原子分子励起イオン化する。イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が増加し、その結果、ストリーマ放電プラズマ)が発生する。このストリーマ放電による高エネルギーの電子によって、被処理物20(たとえばコート紙)表面の高分子結合(コート紙のコート層21は炭酸カルシウムバインダーとして澱粉で固められているが、その澱粉が高分子構造を有している)が切断され、気相中の酸素ラジカルO*やオゾンO3と再結合する。これにより、被処理物20の表面に水酸基カルボキシル基等の極性官能基が形成される。その結果、被処理物20の表面に親水性や酸性化が付与される。

0016

被処理物上で隣接したドットが、親水性が上がることにより濡れ拡がって合一することで、ドット間の混色が発生するのを防ぐためには、着色剤(例えば顔料や染料)をドット内で凝集させることや、ビヒクルが濡れ拡がるよりも早くビヒクルを乾燥させたり被処理物内へ浸透させたりすることが重要であることも分かった。そこで、実施形態1では、着色剤を凝集したり、ビヒクルを被処理物内へ浸透させたりするために、インクジェット記録処理の前処理として、被処理物表面を酸性化する酸性化処理を実行する。

0017

本説明における酸性化とは、インクに含まれる顔料が凝集するpH値まで印刷媒体表面のpH値を下げることを意味する。pH値を下げるとは、物体中水素イオンH+濃度を上昇させることである。被処理物表面に触れる前のインク中の顔料はマイナス帯電し、ビヒクル中で顔料が分散している。図2に、インクのpH値とインクの粘度との関係の一例を示す。図2に示すように、インクは、そのpH値が低いほど、その粘度が上昇する。これは、インクの酸性度が高くなるほど、インクのビヒクル中でマイナスに帯電している顔料が電気的に中和され、その結果、顔料同士が凝集するためである。したがって、たとえば図2に示すグラフにおいてインクのpH値が必要な粘度と対応する値となるように印刷媒体表面のpH値を下げることで、インクの粘度を上昇させることが可能である。これは、インクが酸性である印刷媒体表面に付着した際、顔料が印刷媒体表面の水素イオンH+によって電気的に中和された結果、顔料同士が凝集するためである。それにより、隣接したドット間の混色を防止するとともに、顔料が印刷媒体の奥深く(さらには裏面まで)浸透するのを防止することが可能となる。ただし、必要な粘度と対応するpH値となるようにインクのpH値を下げるためには、印刷媒体表面のpH値を必要な粘度と対応するインクのpH値よりも低くしておく必要がある。

0018

また、インクを必要な粘度とするためのpH値は、インクの特性によって異なる。すなわち、図2のインクAに示すように、比較的中性に近いpH値で顔料が凝集して粘度が上がるインクもあれば、インクAとは異なる特性を持つインクBに示すように、顔料を凝集させるためにインクAよりも低いpH値が必要なインクも存在する。

0019

着色剤がドット内で凝集する挙動や、ビヒクルの乾燥速度や被処理物内への浸透速度は、ドットの大きさ(小滴、中滴、大滴)によって変わる液滴量や、印刷メディアの種類などによって異なる。そこで以下の実施形態では、プラズマ処理におけるプラズマエネルギーを、印刷メディアの種類や印刷モード(液滴量)などに応じて最適な値に制御してもよい。

0020

(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1にかかる印刷装置、印刷システムおよび印刷物の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。

0021

なお、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド記録ヘッドインクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、これらの吐出ヘッドに限定されない。すなわち、グリーン(G)、レッド(R)及びその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有してもよいし、ブラック(K)のみの吐出ヘッドを有していてもよい。ここで、以後の説明において、K、C、M及びYは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。

0022

また、本実施形態では、被処理物として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、ロール紙という)を用いるが、これに限定されものではなく、たとえばカット紙など、画像を形成できる記録媒体であればよい。そして、紙の場合その種類としては例えば、普通紙、上質紙再生紙、薄紙、厚紙、コート紙等を用いることができる。また、OHPシート合成樹脂フィルム金属薄膜及びその他表面にインク等で画像を形成することができるものも被処理物として用いることができる。被処理物がコート紙のような非浸透、緩浸透紙の場合、本実施形態はより効果を発揮する。ここで、ロール紙は、切断可能なミシン目所定間隔で形成された連続紙(連帳紙連続帳票)であってよい。その場合、ロール紙におけるページ(頁)とは、例えば所定間隔のミシン目で挟まれる領域とする。

0023

図3に示すように、印刷装置(システム)1は、被処理物20(ロール紙)を搬送経路D1に沿って搬入(搬送)する搬入部30と、搬入された被処理物20に対して前処理としてのプラズマ処理を施すプラズマ処理装置100と、プラズマ処理された被処理物20の表面に画像を形成する画像形成部40とを有する。画像形成部40は、プラズマ処理された被処理物20にインクジェット処理により画像を形成するインクジェットヘッド170を含む。また、画像形成部40は、画像が形成された被処理物20を後処理する後処理部180を含んでもよい。さらに、印刷装置(システム)1は、後処理された被処理物20を乾燥する乾燥部50と、画像形成された(場合によってはさらに後処理された)被処理物20を搬出する搬出部60とを有してもよい。さらにまた、印刷装置(システム)1は、各部の動作を制御する制御部(不図示)を有する。この制御部は、たとえば印刷対象の画像データからラスタデータを生成する印刷制御装置に接続されてもよい。印刷制御装置は、印刷装置(システム)1の内部に設けられても、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した外部に設けられてもよい。

0024

実施形態1では、図3に示す印刷装置(システム)1において、上述したように、インクジェット記録処理の前に、被処理物の表面を酸性化する酸性化処理が実行される。この酸性化処理には、たとえば誘電体バリア放電を利用した大気圧非平衡プラズマ処理を採用することができる。大気圧非平衡プラズマによる酸性化処理は、電子温度が極めて高く、ガス温度常温付近であるため、記録媒体などの被処理物に対するプラズマ処理方法として好ましい方法の1つである。

0025

大気圧非平衡プラズマを広範囲に安定して発生させるには、ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電を採用した大気圧非平衡プラズマ処理を実行するとよい。ストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電は、たとえば誘電体被覆された電極間交番する高電圧印加することで得ることが可能である。

0026

なお、大気圧非平衡プラズマを発生させる方法としては、上述したストリーマ絶縁破壊形式の誘電体バリア放電以外にも、種々の方法を用いることができる。たとえば、電極間に誘電体等の絶縁物を挿入する誘電体バリア放電、細い金属ワイヤ等に著しい不平等電界を形成するコロナ放電短パルス電圧を印加するパルス放電などを適用することが可能である。また、これらの方法を2つ以上組み合わせることも可能である。

0027

図4は、実施形態1で採用される酸性化処理の概略を説明するための模式図である。図4に示すように、実施形態1で採用される酸性化処理には、放電電極11と、接地電極14と、誘電体12と、高周波高圧電源15とを備えたプラズマ処理装置10が用いられる。プラズマ処理装置10において、誘電体12は、放電電極11と接地電極14との間に配置される。高周波高圧電源15は、放電電極11と接地電極14との間に高周波・高電圧のパルス電圧を印加する。このパルス電圧の電圧値は、たとえば約10kV(キロボルト)程度である。また、その周波数は、たとえば約20kHz(キロヘルツ)とすることができる。このような高周波・高電圧のパルス電圧を2つの電極間に供給することで、放電電極11と誘電体12との間に大気圧非平衡プラズマ13が発生する。被処理物20は、大気圧非平衡プラズマ13の発生中に放電電極11と誘電体12との間を通過する。これにより、被処理物20の放電電極11側の表面がプラズマ処理される。

0028

なお、図4に例示したプラズマ処理装置10では、回転型の放電電極11とベルトコンベア型の誘電体12とが採用されている。被処理物20は、回転する放電電極11と誘電体12との間で挟持搬送されることで、大気圧非平衡プラズマ13中を通過する。これにより、被処理物20の表面が大気圧非平衡プラズマ13に接触し、これに一様なプラズマ処理が施される。

0029

ここで、図5図8を用いて、実施形態1にかかるプラズマ処理を施した場合と施していない場合との印刷物の違いを説明する。図5は、実施形態1にかかるプラズマ処理を施していない被処理物に対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図であり、図6は、図5に示す印刷物における画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。図7は、実施形態1にかかるプラズマ処理を施した被処理物に対してインクジェット記録処理を行うことで得られた印刷物の画像形成面を撮像して得られた画像の拡大図であり、図8は、図7に示す印刷物における画像形成面に形成されたドットの例を示す模式図である。なお、図5および図7に示す印刷物を得るにあたり、デスクトップ型のインクジェット記録装置を用いた。また、被処理物20には、コート層21(図1参照)を備える一般的なコート紙を用いた。

0030

実施形態1にかかるプラズマ処理を施していないコート紙は、コート紙表面にあるコート層21の濡れ性が悪い。そのため、プラズマ処理を施していないコート紙に対してインクジェット記録処理にて形成した画像では、たとえば図5および図6に示すように、ドットの着弾時にコート紙の表面に付着したドットの形状(ビヒクルCT1の形状)が歪になる。また、表面の濡れ性が悪い場合、ビヒクルCT1の表面張力によってドットが高さのある形状となり、その乾燥に比較的長い時間を要してしまう。ドットの乾燥が十分でない状態で近接ドットを形成すると、図5および図6に示すように、コート紙への近接ドットの着弾時にビヒクルCT1およびCT2同士が合一し、これによりドット間で顔料P1およびP2の移動(混色)が起き、その結果、ビーディング等による濃度ムラが生じてしまう場合がある。

0031

一方、実施形態1にかかるプラズマ処理を施したコート紙は、コート紙表面にあるコート層21の濡れ性が改善されている。そのため、プラズマ処理を施したコート紙に対してインクジェット記録処理にて形成した画像では、たとえば図7に示すように、ビヒクルCT1がコート紙の表面に比較的平坦な真円状に広がる。これにより、図8のようにドットが平坦な形状となる。また、プラズマ処理で形成された極性官能基によってコート紙表面が酸性になるため、インク顔料が電気的に中和され、顔料P1が凝集してインクの粘性が上がる。これにより、図8のようにビヒクルCT1及びCT2が合一した場合にも、ドット間の顔料P1およびP2の移動(混色)が抑制される。さらに、コート層21内部にも極性官能基が生成されるため、ビヒクルCT1の浸透性が上がる。これによりビヒクルが被処理物20内部へ浸透し、比較的短時間で乾燥することが出来る。濡れ性向上により真円状に広がったドットが、浸透しながら凝集することにより、顔料P1が高さ方向に均等に凝集され、ビーディング等による濃度ムラの発生を抑えることが可能となる。なお、図6および図8は模式図であり、実際には図8の場合にも顔料は層になって凝集している。

0032

このように、実施形態1にかかるプラズマ処理を施した被処理物20では、プラズマ処理によって極性官能基が形成された結果、表面が酸性になる。それにより、マイナスに帯電した顔料が被処理物20表面で中和されることにより、顔料が凝集して粘性が上がり、結果的にドットが合一したとしても顔料の移動を抑制することが可能となる。また、被処理物20表面に形成されたコート層21内部にも極性官能基が生成されることで、ビヒクルが速やかに被処理物20内部に浸透し、これにより、乾燥時間を短縮することが出来る。つまり、濡れ性が上がることで真円状に広がったドットは、凝集によって顔料の移動が抑えられた状態で浸透することで真円に近い形状を保つことが可能となる。

0033

図9は、実施形態1にかかるプラズマエネルギーと被処理物表面の濡れ性、ビーディング、pH値および浸透性との関係を示すグラフである。図9では、被処理物20としてコート紙へ印刷した場合の表面特性(濡れ性、ビーディング、pH値、浸透性(吸液特性))がプラズマエネルギーに依存してどのように変化するかが示されている。なお、図9に示す評価を得るにあたり、インクには、顔料が酸により凝集する特性の水性顔料インク(マイナスに帯電した顔料が分散されているアルカリ性インク)を使用した。

0034

図9に示すように、コート紙表面の濡れ性は、プラズマエネルギーが低い値(たとえば0.2J/cm2程度以下)で急激に良くなり、それ以上エネルギーを増加させてもあまり改善はしない。一方、コート紙表面のpH値は、ある程度まではプラズマエネルギーを高めることにより低下していく。ただし、プラズマエネルギーがある値(たとえば4J/cm2程度)を超えたところで飽和状態になる。また、浸透性(吸液特性)は、pHの低下が飽和したあたり(たとえば4J/cm2程度)から急激に良くなっている。ただし、この現象は、インクに含まれている高分子成分に依存して異なる。

0035

この結果として、浸透性(吸液特性)がよくなり始めて(例えば4J/cm2程度)からビーディング(粒状度)の値が非常に良い状態となっている。ここでのビーディング(粒状度)とは、画像のざらつき感を数値で表したものであり、濃度のばらつきを平均濃度標準偏差で表したものである。図9では、2色以上のドットからなる色のベタ画像の濃度を複数サンプリングし、その濃度の標準偏差をビーディング(粒状度)として表している。このように実施形態1にかかるプラズマ処理を施したコート紙に吐出されたインクが真円上に広がりかつ凝集しながら浸透するため、画像のビーディング(粒状度)が改善される。

0036

上述したように、被処理物20表面の特性と画像品質との関係では、表面の濡れ性が向上することにより、ドットの真円度が向上している。この理由としては、プラズマ処理により生成された親水性の極性官能基によって被処理物20表面の濡れ性が向上するとともにこれが均一化したことに加え、ゴミや油分や炭酸カルシウムなどの撥水要因がプラズマ処理によって除外されたことによると考えられる。被処理物20表面の濡れ性が向上した結果、液滴が円周方向に均等に拡がり、ドットの真円度が向上する。

0037

また、被処理物20表面を酸性化(pHの低下)させることにより、インク顔料の凝集、浸透性の向上、ビヒクルのコート層内部への浸透などが生じる。これらにより、被処理物20表面の顔料濃度が上昇するため、ドットが合一したとしても、顔料の移動を抑えることが可能となり、その結果、顔料の混濁が抑制し、顔料を均一に印刷メディア表面に沈降凝集させることが可能となる。ただし、顔料混濁の抑制効果は、インクの成分やインクの滴量に依存して異なる。たとえばインクの適量が小滴の場合、大滴の場合に比べて、ドットの合一による顔料の混濁は発生し難い。それは、ビヒクル量が小滴の場合の方が、ビヒクルがより早く乾燥・浸透するためであり、少しのpH反応で顔料を凝集することができるためである。なお、プラズマ処理の効果は、被処理物20の種類や環境(湿度など)によって変動する。そこで、プラズマ処理の際のプラズマエネルギーを最適な値とすることで、被処理物20の表面改質効率が向上するため、さらなる省エネを達成することが可能となる。

0038

また、図10は、実施形態1にかかるプラズマエネルギーとpHとの関係を示すグラフである。通常、pHは溶液中で測定するのが一般的であるが、近年では、固体表面のpHの測定が可能である。その測定器としては、たとえば堀場製作所製のpHメーターB−211等が存在する。

0039

図10において、実線はコート紙のpH値のプラズマエネルギー依存性を示し、点線PETフィルムのpH値のプラズマエネルギー依存性を示す。図10に示すように、コート紙と比べてPETフィルムは、少ないプラズマエネルギーで酸性化する。ただし、コート紙においても、酸性化する際のプラズマエネルギーは3J/cm2程度以下であった。そして、pH値が5以下となった被処理物20にアルカリ性の水性顔料インクを吐出するインクジェット処理装置画像記録した場合、形成された画像のドットは真円に近い形状となった。また、ドットの合一による顔料の混濁もなく、にじみのない良好な画像が得られた(図7参照)。

0040

そこで実施形態1では、酸性化処理手段の下流側に固体用のpH検出手段を設け、被処理物表面のpHに関する情報をpH検出手段で読み取る。また、読み取ったpHに関する情報に基づいて酸性化処理手段をフィードバック制御またはフィードフォワード制御することで、被処理物の表面のpH値が所定の値(たとえば5以下)を維持する。図11に、実施形態1にかかる印刷装置における酸性化処理手段としてのプラズマ処理装置からインクジェット記録装置までの構成の詳細を示す。その他の構成は、図3に示す印刷装置(システム)1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。

0041

図11に示すように、印刷装置(システム)1は、搬送経路D1の上流側に配置されたプラズマ処理装置100と、搬送経路D1におけるプラズマ処理装置100よりも下流側に配置されたインクジェットヘッド170と、プラズマ処理装置100の各部を制御する制御部160とを含む。インクジェットヘッド170は、上流側に配置されたプラズマ処理装置100によって表面が酸性化された被処理物20にインクを吐出して画像形成を行う。なお、インクジェットヘッド170は、別に設けられた制御部(不図示)によって制御されてもよいし、制御部160によって制御されてもよい。

0042

プラズマ処理装置100は、搬送経路D1に沿って配列された複数の放電電極111〜116と、各放電電極111〜116に高周波・高電圧のパルス電圧を供給する高周波高圧電源151〜156と、複数の放電電極111〜116に対して共通に設けられた接地電極141と、放電電極111〜116と設置電極141との間を搬送経路D1に沿って流れるように配置されたベルトコンベア型の無端状の誘電体121およびローラ122と、搬送経路D1上における複数の放電電極111〜116とインクジェットヘッド170との間に配置されたpHセンサ131と、を備える。搬送経路D1に沿って配列する複数の放電電極111〜116を用いる場合には、図10に示すように、誘電体121に無端状のベルトが用いられることが好適である。

0043

制御部160は、不図示の上位装置からの指示に基づいてローラ122を駆動することで、誘電体121を巡回させる。被処理物20は、上流の搬入部30(図3参照)から誘電体121上に搬入されると、誘電体121の巡回によって搬送経路D1を通過する。

0044

高周波高圧電源151〜156は、それぞれ制御部160からの指示にしたがって、高周波・高電圧のパルス電圧を放電電極111〜116に供給する。パルス電圧は、すべての放電電極111〜116に供給されてもよいし、放電電極111〜116のうち被処理物20の表面を所定のpH値以下とするのに必要な数の放電電極に供給されてもよい。または、制御部160は、各高周波高圧電源151〜156から供給されるパルス電圧の周波数および電圧値(プラズマエネルギーに相当。以下、プラズマエネルギーという)を、被処理物20の表面を所定のpH値以下とするのに必要となるプラズマエネルギーに調整してもよい。

0045

pHセンサ131は、たとえば被処理物20の表面のpH値を非接触により測定する。測定されたpH値は、制御部160に入力される。制御部160は、入力されたpH値に基づいて、駆動する放電電極111〜116の数、および/または、各高周波高圧電源151〜156から各放電電極111〜116へ供給するパルス電圧のプラズマエネルギーを調整する。

0046

ここで、被処理物20表面の酸性化に必要なプラズマエネルギーを得る方法の1つとしては、プラズマ処理の時間を長くすることが考えられる。これは、たとえば被処理物20の搬送速度を遅くすることで実現可能である。ただし、被処理物20へ高速で画像記録を行う場合には、プラズマ処理の時間を短くすることが望まれる。プラズマ処理時間を短くする方法としては、上述のように、放電電極111〜116を複数備え、印刷速度および必要なpH値に応じて必要な数の放電電極111〜116を駆動する方法や、各放電電極111〜116に与えるプラズマエネルギーの強度を調整する方法などが考えられる。ただし、これらに限定されるものではなく、これらを組み合わせた方法や、その他の方法など、適宜変更することが可能である。

0047

図11に示すように、インクジェットヘッド170としては、複数の同色ヘッド(4色×4ヘッド)を備えてもよい。これにより、インクジェット記録処理の高速化が可能になる。その際、たとえば高速で1200dpiの解像度を達成するためには、インクジェットヘッド170における各色のヘッドは、インクを吐出するノズルとノズルとの間隔を補正するようにずらして固定されている。さらに、各色のヘッドには、そのノズルから吐出されるインクのドットが大/中/小滴と呼ばれる3種類の容量に対応するように、いくつかのバリエーションを持った駆動周波数駆動パルスが入力される。

0048

制御部160は、複数の高周波高圧電源151〜156を個別にオンオフすることが可能であり、たとえば印刷速度情報に比例して高周波高圧電源151〜156の駆動数を選択するか、各放電電極111〜116に与えるパルス電圧のプラズマエネルギーの強度を調整する。また、制御部160は、被処理物20の種類(たとえばコート紙やPETフィルムなど)に応じて、高周波高圧電源151〜156の駆動数、および/または、各放電電極111〜116に与えるプラズマエネルギーを調整してもよい。

0049

また、複数の放電電極111〜116を備えることは、被処理物20の表面を均一に酸性化する点においても有効である。すなわち、たとえば同じ搬送速度(または印刷速度)とした場合、1つの放電電極で酸性化処理を行う場合よりも複数の放電電極で酸性化処理を行う場合の方が被処理物20がプラズマの空間を通過する時間を長くすることが可能となる。その結果、より均一に被処理物20の表面に酸性化処理を施すことが可能となる。

0050

図12は、実施形態1にかかる酸性化処理を含む印刷処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12では、図11に示す印刷装置(システム)1を用いてカット紙(所定の大きさにカットされた記録媒体)を被処理物20として印刷する場合を例に挙げる。なお、カット紙に限らず、ロール状に巻かれたロール紙に対しても、同様の印刷処理を適用可能である。

0051

図12に示すように、印刷処理では、まず、制御部160がローラ122を駆動して誘電体121を巡回させることで、上流側から誘電体121上に流れてきた被処理物20をプラズマ処理装置100内に搬入する(ステップS101)。つぎに、制御部160が高周波高圧電源151〜156を駆動して放電電極111〜116にパルス電圧を供給することで、プラズマ処理を実行する(ステップS102)。なお、プラズマ処理では、pHセンサ131からの検出結果が入力されていない場合、制御部160は、所定強度のプラズマエネルギーを放電電極111〜116に供給するが、pHセンサ131から検出結果が入力されている場合、制御部160は、検出されたpH値に基づいて駆動する高周波高圧電源151〜156の数を調節する。その際、各放電電極111〜116に与えるプラズマエネルギーを調節してもよい。

0052

つぎに、制御部160は、pHセンサ131から入力された検出結果に基づいて、被処理物20表面のpH値が所定の値(たとえば5)以下であるか否かを判定する(ステップS103)。pH値が所定の値以下で無い場合(ステップS103;NO)、制御部160は、高周波高圧電源151〜156のうちオンされていない高周波高圧電源151〜156をオンし(ステップS106)、ステップS102へリターンする。これにより、被処理物20に対するプラズマエネルギーが増加するため、その後のプラズマ処理後の被処理物20表面のpH値が低下する。

0053

また、pH値が所定の値以下である場合(ステップS103;YES)、制御部160は、インクジェットヘッド170を駆動することでプラズマ処理後の被処理物20に対するインクジェット記録処理を実行し(ステップS104)、その後、被処理物20をインクジェットヘッド170より下流側に搬出して(ステップS105)、処理を終了する。

0054

なお、ステップS103でpH値が所定の値以下で無い場合、被処理物20を不図示の迂回経路迂回させることで、再度、同一の被処理物20にプラズマ処理(ステップS102)を実行してもよい。これにより、無駄な被処理物20の発生を回避できる。また、被処理物20として性状の異なる数種類の記録媒体が混在していても、同様の流れで処理することが可能となる。

0055

一方、被処理物20としてロール紙を用いた場合、ステップS103では、不図示の給紙装置より導かれた紙の先端部分を使ってプラズマ処理後のpH値を測定するとよい。ロール紙を用いた場合では、1つのロールで性状がほとんど変わらないため、先端部分を使ってプラズマエネルギーを調整した後は、そのままの設定で安定して連続印刷が可能となる。ただし、ロール紙を使い切らずに長期間停止した場合、紙の性状が変化する可能性があるため、印刷再開前に同様に先端部分を使ってプラズマ処理後のpH値を測定すればよい。また、先端部分を使ってプラズマ処理後のpH値を測定してプラズマエネルギーを調整した後に、定期的または連続してpH値を測定してプラズマエネルギーを調整してもよい。これにより、より詳細に安定した制御を行うことが可能となる。

0056

以上のように、実施形態1によれば、先塗り液を使用することなく高画質な印刷品を提供することが可能となる。また、被処理物の性状を変更したり印刷速度を変更したりしても、安定した酸性化処理を行うことが可能であるため、良好な画像記録を安定して実現することが可能となる。

0057

(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態における構成と同様の構成については、同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。

0058

図13は、実施形態2にかかる印刷装置における酸性化処理手段としてのプラズマ処理装置の構成の詳細を示す。その他の構成は、図3または図11に示す構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。

0059

図13に示すように、プラズマ処理装置200は、各放電電極111〜116の下流側にpHセンサ231〜236を備える。ただし、これに限定されず、pHセンサ231〜236は、放電電極111〜116までの間のいずれかの箇所と、最下流に位置する放電電極116とインクジェットヘッド170との間との少なくとも2箇所に設けられていればよい。

0060

pHセンサ231〜236で検出されたpHに関する情報は、制御部260に入力される。制御部260は、各pHセンサ231〜236から入力された情報から得られたpH値に基づいて、下流側の高周波高圧電源151〜156を駆動する。たとえば、制御部260は、最上流に位置するpHセンサ231で得られた検出結果に基づいて、これよりも下流側に位置する高周波高圧電源(たとえば高周波高圧電源152)を制御して、放電電極(たとえば放電電極112)に供給するプラズマエネルギーを調節する。これにより、被処理物20表面のpH値が目標のpH値以下に制度良く制御される。

0061

図14は、実施形態2にかかる酸性化処理を含む印刷処理の一例を示すフローチャートである。なお、図14では、図13に示すプラズマ処理装置200を備えた印刷装置を用いてカット紙(所定の大きさにカットされた記録媒体)を被処理物20として印刷する場合を例に挙げる。なお、カット紙に限らず、ロール状に巻かれたロール紙に対しても、同様に印刷可能である。

0062

図14に示すように、印刷処理では、まず、制御部260がローラ122を駆動して誘電体121を巡回させることで、上流側から誘電体121上に流れてきた被処理物20をプラズマ処理装置100内に搬入する(ステップS101)。つぎに、制御部260は、高周波高圧電源151〜156の上流側からの順番に対応する値kに‘1’を代入し(ステップS201)、つづいて、高周波高圧電源151を駆動して放電電極111にパルス電圧を供給することで、第1プラズマ処理を実行する(ステップS202)。

0063

つぎに、制御部260は、上流側からk番目(ここでは1番目)のpHセンサ231から入力された検出結果に基づいて、被処理物20表面のpH値が所定の値(たとえば5)以下であるか否かを判定する(ステップS203)。pH値が所定の値以下で無い場合(ステップS203;NO)、制御部260は、値kに1を加算し(ステップS204)、この値(k=k+1)が高周波高圧電源151〜156の数に相当するn(ここでは6)よりも大きいか否かを判定する(ステップS205)。

0064

値kがn以下である場合(ステップS205;NO)、制御部260は、上流側からk番目の高周波高圧電源(たとえば高周波高圧電源152)をオンし(ステップS206)、ステップS202へリターンする。これにより、被処理物20に対する総プラズマエネルギーが増加するため、被処理物20表面のpH値が低下する。

0065

また、pH値が所定の値以下である場合(ステップS203;YES)、または、値kがnより大きい場合(ステップS205;YES)、制御部260は、インクジェットヘッド170を駆動することでプラズマ処理後の被処理物20に対するインクジェット記録処理を実行し(ステップS104)、その後、被処理物20をインクジェットヘッド170より下流側に搬出して(ステップS105)、処理を終了する。

0066

以上のように、実施形態2によれば、実施形態1と比較してより制度良く被処理物20表面のpH値を目標のpH値以下に制御することが可能となる。なお、その他の構成、動作および効果は、上述した実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。

0067

上記した実施形態では、主として被処理物の酸性化処理としてプラズマ処理を適用した場合を説明したが、先述の通り、プラズマ処理を行うと被処理物に対するインクの濡れ性が向上する。その結果、インクジェット記録時に付着させるドットが拡がるので、未処理の被処理物に対してイメージ展開した場合と異なる画像が記録される可能性がある。そこで、プラズマ処理した記録媒体に印刷する際は、たとえばインクジェット記録を行う際のインクの吐出電圧を下げてインクの滴量を少なくすることで対応することが可能である。その結果、インク滴量を削減することが可能となるため、コストダウンすることが可能となる。

0068

図15は、実施形態1または2にかかるインク吐出量と画像濃度との関係を示すグラフである。図15において、実線C1は上述した実施形態にかかるプラズマ処理を施していない被処理物に対してインクジェット記録処理を行った際のインク吐出量と画像濃度との関係を示し、破線C2は上述した実施形態にかかるプラズマ処理を施した被処理物に対してインクジェット記録処理を行った際のインク吐出量と画像濃度との関係を示す。また、一点破線C3は、実線C1に対する破線C2のインク低減率を示す。

0069

図15における実線C1と破線C2との比較、ならびに、一点破線C3から分かるように、上述した実施形態にかかるプラズマ処理をインクジェット記録処理の前に被処理物20に施しておくことで、ドットの真円度の向上、ドットの拡大、顔料のドット内の濃度均一化などの効果により、同一画像濃度を得るために必要となるインク吐出量が低減される。

0070

また、上述した実施形態にかかるプラズマ処理をインクジェット記録処理の前に被処理物20に施しておくことで、被処理物20に付着した顔料の厚みが薄くなるため、彩度が向上し、色域も拡がる効果を得ることができる。さらに、インク量が低減された結果、そのインクの乾燥エネルギーも低減可能であるため、省エネ効果も得ることが可能である。

0071

また、上記した実施形態では、被処理物20表面の目標pH値の一例として5以下を挙げたが、これは単なる一例に過ぎない。たとえばインクの成分や種類や被処理物の変更等によって、各々の被処理物の濡れ性や浸透性、インク顔料の凝集性が向上する理想的なpH値があると考えられる。そこで、インクの種類や被処理物の種類ごとに最適条件であるプラズマエネルギーもしくは目標pH値をあらかじめ求めておき、これを制御部260に登録しておいてもよい。

0072

なお、インクジェット記録処理の前に、放電により雰囲気ガス電離させてなる放電プラズマ被印刷物表面に施すように構成してもよい。このように、インクジェット記録処理の前に被印刷物表面に親水化処理を施すことで、被処理物表面の濡れ性がよくなるため、インクジェット記録処理で形成されるドットの真円度を向上することが可能になる。また、ビヒクルの乾燥時間を短縮することも可能となるため、ビーディングの発生を低減することも可能になる。

0073

以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

0074

1印刷装置
10、100、200プラズマ処理装置
11、111〜116放電電極
12、121誘電体
122ローラ
13大気圧非平衡プラズマ
14、141接地電極
15、151〜156高周波高圧電源
131、231〜236 pHセンサ
160、260 制御部
170インクジェットヘッド
30搬入部
40画像形成部
50乾燥部
60搬出部

先行技術

0075

特開2009−279796号公報

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