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技術 ポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維

出願人 東海染工株式会社
発明者 今井一輝伊藤高廣
出願日 2012年9月28日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2012-215418
公開日 2014年4月21日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2014-070295
状態 特許登録済
技術分野 染色
主要キーワード 物理作用 連続熱処理装置 アニオン系染料 高性能繊維 ボックス装置 光散乱係数 染色試験機 マイグレーション防止剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年4月21日)のものです。
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課題

ポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される実用的な染色濃度に染色され、また、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラが生じることがなく、更に、染色された染色物染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供する。

解決手段

ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、極性溶媒を含有する処理液でポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程と、この溶媒処理工程後に、必要によりポリアリレート繊維を熱処理する熱処理工程とを有しており、これらの各工程の組合せからなる染色操作を1回以上備えている。

概要

背景

全芳香族ポリエステル繊維は、ポリアリレート繊維ともいわれ、高強力、高弾性率を有すると共に、耐熱性難燃性耐薬品性、耐切創性などに優れている。また、下記特許文献1には、耐屈曲疲労性耐摩耗性に優れた高強度ポリアリレート繊維が提案されている。このポリアリレート繊維は、同じ高機能・高性能繊維であるアラミド繊維に比べ、吸湿性がほとんど無いことから乾湿強度に差がなく、更に、耐酸性はアラミド繊維よりも良好である。そこで、このポリアリレート繊維は、特に高強力、高弾性率などを有することからロープネット漁網ベルトなどの産業用資材として、また、特に耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐切創性などに優れることから各種防護作業服として使用されている。

一方、このポリアリレート繊維は、剛直な分子構造と高い結晶性を有しており、一般の繊維と同様の染色方法では実用的な染色濃度を得ることができず、また、得られた染色物染色堅牢度が実用的に十分なものといえない。そこで、実際には、原着繊維紡糸工程前の段階で着色剤を添加して作られる繊維)として製造し使用されている。このような原着繊維は、色相が限られるため、各種防護作業服或いはポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される豊富な色相に十分に対応できないという問題があった。

そこで、ポリアリレート繊維の実用的な新規染色方法が検討されている。例えば、下記特許文献2には、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体カチオン化剤により予め処理し、次いで、直接染料などのアニオン基を有する染料により染色する方法が提案されている。

概要

ポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される実用的な染色濃度に染色され、また、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラが生じることがなく、更に、染色された染色物の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供する。ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、極性溶媒を含有する処理液でポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程と、この溶媒処理工程後に、必要によりポリアリレート繊維を熱処理する熱処理工程とを有しており、これらの各工程の組合せからなる染色操作を1回以上備えている。なし

目的

本発明は、以上のようなことに対処して、ポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される実用的な染色濃度に染色され、また、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラが生じることがなく、更に、染色された染色物の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

ポリアリレート繊維建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、極性溶媒を含有する処理液で前記ポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程と、この溶媒処理工程後に、必要により前記ポリアリレート繊維を熱処理する熱処理工程とを有しており、下記に示す2つの染色操作、染色操作1:染料付与工程→溶媒処理工程、染色操作2:染料付与工程→溶媒処理工程→熱処理工程、のうち少なくとも1つの染色操作を1回以上備えていることを特徴とするポリアリレート繊維の染色方法

請求項2

前記極性溶媒は、溶解度パラメーター(δ)の値が18〜32(MPa)1/2の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレート繊維の染色方法。

請求項3

前記極性溶媒は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルスルホキシドベンジルアルコールジエチレングリコールトリエチレングリコール硫酸ギ酸乳酸シュウ酸からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレート繊維の染色方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリアリレート繊維の染色方法と、当該染色方法の前に行う前染色工程又は後に行う後染色工程とを有しており、前記前染色工程又は前記後染色工程において、前記ポリアリレート繊維が建染染料及び硫化染料以外の染料で染色されてなることを特徴とするポリアリレート繊維の染色方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリアリレート繊維の染色方法により染色されてなることを特徴とする染色されたポリアリレート繊維。

請求項6

L*a*b*表色系における明度(L*値)が35以下であることを特徴とする請求項5に記載の染色されたポリアリレート繊維。

技術分野

0001

本発明は、ポリアリレート繊維染色方法、特に、ポリアリレート繊維を実用的な染色濃度に染色することのできる染色方法に関するものである。また、本発明は、この方法により染色されたポリアリレート繊維に関するものである。

背景技術

0002

全芳香族ポリエステル繊維は、ポリアリレート繊維ともいわれ、高強力、高弾性率を有すると共に、耐熱性難燃性耐薬品性、耐切創性などに優れている。また、下記特許文献1には、耐屈曲疲労性耐摩耗性に優れた高強度ポリアリレート繊維が提案されている。このポリアリレート繊維は、同じ高機能・高性能繊維であるアラミド繊維に比べ、吸湿性がほとんど無いことから乾湿強度に差がなく、更に、耐酸性はアラミド繊維よりも良好である。そこで、このポリアリレート繊維は、特に高強力、高弾性率などを有することからロープネット漁網ベルトなどの産業用資材として、また、特に耐熱性、難燃性、耐薬品性、耐切創性などに優れることから各種防護作業服として使用されている。

0003

一方、このポリアリレート繊維は、剛直な分子構造と高い結晶性を有しており、一般の繊維と同様の染色方法では実用的な染色濃度を得ることができず、また、得られた染色物染色堅牢度が実用的に十分なものといえない。そこで、実際には、原着繊維紡糸工程前の段階で着色剤を添加して作られる繊維)として製造し使用されている。このような原着繊維は、色相が限られるため、各種防護作業服或いはポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される豊富な色相に十分に対応できないという問題があった。

0004

そこで、ポリアリレート繊維の実用的な新規染色方法が検討されている。例えば、下記特許文献2には、ポリアリレート繊維からなる繊維構造体カチオン化剤により予め処理し、次いで、直接染料などのアニオン基を有する染料により染色する方法が提案されている。

先行技術

0005

特開2004−107826号公報
特開2011−111696号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、上記特許文献2の染色方法によれば、多様な色相の染色物を得ることができる。ここで、上記特許文献2の染色方法は、繊維表面に吸着したカチオン化剤(上記特許文献2の段落番号0015参照)のカチオン基に染料のアニオン基が相互作用する(上記特許文献2の段落番号0020参照)ことにより染着する。つまり、カチオン化剤とアニオン系染料とがイオン結合した状態でポリアリレート繊維表面上に固着しているものと考えられる。

0007

このような場合には、アニオン系染料の親水基ブロックされているので洗濯堅牢度汗堅牢度が比較的良好となることが考えられる(上記特許文献2の実施例の表1参照)。しかし、染料が本来の染着機構で固着していないので、耐光堅牢度が弱くなるという問題がある。また、本来は耐光堅牢度の良好な建染染料硫化染料を使用した場合でも、これらの染料が還元された状態でハイドロキノン型のフェノラート基がカチオン化剤と相互作用している(上記特許文献2の段落番号0020参照)。このような状態では、建染染料や硫化染料が酸化状態にある本来の状態と異なり、良好な耐光堅牢度を維持することができないという問題がある。

0008

また、織編物に対してカチオン化剤をパッドドライ法で付与した場合には(上記特許文献2の段落番号0017参照)、織編物の幅方向の端部と中央部でカチオン化剤の付与量に差が生じ、染色濃度のバラツキから染色ムラが発生するという問題がある。更に、カチオン化剤をパッド・ドライ法で付与した後の乾燥で、織編物の表面と内部、或いは、織編物の表と裏でカチオン化剤のマイグレーションによる濃度差が生じ、この場合にも染色ムラが発生するという問題がある。

0009

そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、ポリアリレート繊維の新たな用途展開に要求される実用的な染色濃度に染色され、また、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラが生じることがなく、更に、染色された染色物の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、鋭意研究の結果、ポリアリレート繊維を染色するにあたり、耐光堅牢度の良好な建染染料又は硫化染料を採用し、これらの染料をポリアリレート繊維上に付与する工程と、ポリアリレート繊維を極性溶媒で処理する工程とを組み合わせることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明の完成に至った。

0011

即ち、本発明に係るポリアリレート繊維の染色方法は、請求項1の記載によると、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、
極性溶媒を含有する処理液で前記ポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程と、
この溶媒処理工程後に、必要により前記ポリアリレート繊維を熱処理する熱処理工程とを有しており、下記に示す2つの染色操作
染色操作1:染料付与工程→溶媒処理工程、
染色操作2:染料付与工程→溶媒処理工程→熱処理工程、
のうち少なくとも1つの染色操作を1回以上備えていることを特徴とする。

0012

また、本発明は、請求項2の記載によると、請求項1に記載のポリアリレート繊維の染色方法において、前記極性溶媒は、溶解度パラメーター(δ)の値が18〜32(MPa)1/2の範囲内にあることを特徴とする。

0013

また、本発明は、請求項3の記載によると、請求項1に記載のポリアリレート繊維の染色方法において、前記極性溶媒は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルスルホキシドベンジルアルコールジエチレングリコールトリエチレングリコール硫酸ギ酸乳酸シュウ酸からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。

0014

また、本発明に係るポリアリレート繊維の染色方法は、請求項4の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリアリレート繊維の染色方法と、
当該染色方法の前に行う前染色工程又は後に行う後染色工程とを有しており、
前記前染色工程又は前記後染色工程において、前記ポリアリレート繊維が建染染料及び硫化染料以外の染料で染色されてなることを特徴とする。

0015

また、本発明に係る染色されたポリアリレート繊維は、請求項5の記載によると、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリアリレート繊維の染色方法により染色されてなることを特徴とする。

0016

また、本発明は、請求項6の記載によると、請求項5に記載の染色されたポリアリレート繊維において、L*a*b*表色系における明度(L*値)が35以下であることを特徴とする。

発明の効果

0017

本発明によれば、ポリアリレート繊維を実用的な染色濃度に染色することができる。また、本発明によれば、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラが生じることがない。更に、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好な建染染料又は硫化染料を本来の酸化された状態で使用するので、染色されたポリアリレート繊維の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好となる。

0018

また、使用する建染染料又は硫化染料の使用濃度と色相を変化させることにより、淡色から濃色まで、且つ、豊富な色相の染色物を得ることができる。特に、本発明によれば、ポリアリレート繊維をブラックやネイビーブルーなどの極濃色に染色することができる。

0019

ここで、ブラックやネイビーブルーなどの極濃色を評価する一つの方法として、1976年に国際照明委員会CIE)で規格化され、日本でもJIS Z8729において採用されている、L*a*b*表色系における明度(L*値)がある。このL*値は、100(白)〜0(黒)の範囲で表され、L*値が小さいほど濃色であると評価できる。

0020

例えば、本発明においては、L*値が35以下で極濃色と判断できる。本発明においては、原着法でなく染色法によってポリアリレート繊維を極濃色に染色することができる。

0021

また、本発明に係るポリアリレート繊維の染色方法の前後工程として、建染染料及び硫化染料以外の染料による前染色工程、又は、後染色工程を行うことができる。これらの染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維自体の染色品位と染色濃度が更に向上する。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維である場合には、これらの染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維と当該他の繊維との色相を統一することができ、染色物の染色品位と染色濃度が更に向上する。

0022

よって、本発明によれば、染色された染色物に染色ムラがなく、且つ、染色物の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好であり、色相が豊富で実用的な染色濃度を有するポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供することができる。このことは、ポリアリレート繊維の新たな用途展開に有効である。

0023

本発明に係る染色方法で染色するポリアリレート繊維は、一般にポリアリレート溶融方性ポリマーから構成される。このポリアリレート繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーとしては、例えば、上記特許文献1の明細書中に化1及び化2の(1)〜(11)に示す繰り返し構成単位組合せからなるポリマーが挙げられる(上記特許文献1の段落番号0007参照)。市販のポリアリレート繊維としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシナフトエ酸との共重合ポリマーから構成される株式会社クラレのベクトラン登録商標)を挙げることができる。

0024

本発明において、ポリアリレート繊維の形態はどのようなものであってもよく、フィラメントファイバーステープルファイバーなどの繊維の状態であってもよく、或いは、フィラメント糸紡績糸織物、編物、不織布、ロープ、網などの繊維構造物の状態であってもよい。また、ポリアリレート繊維の単独であってもよく、又は、ポリアリレート繊維と他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維の状態であってもよい。

0025

本発明においては、ポリアリレート繊維を建染染料又は硫化染料で染色する。これらの建染染料又は硫化染料は、いずれも染色堅牢度が良好な染料であって、特に耐光堅牢度に優れている。

0026

ここで、建染染料とは、通常は綿などの染色に使用され、本来は水に不溶性の染料であるが、亜二チオン酸ナトリウムなどの還元剤により還元されてバット酸或いはロイコ塩の形で繊維に吸着し、その後、酸化されて再び水に不溶性の染料として繊維に染着する。

0027

一方、硫化染料とは、分子中に硫黄原子を含む染料であって、通常は綿などの染色に使用される。この硫化染料も本来は水に不溶性の染料であるが、硫化ナトリウムなどの還元剤により還元されて水溶性となり繊維に吸着し、その後、酸化されて再び水に不溶性の染料として繊維に染着する。

0028

しかし、本発明においては、ポリアリレート繊維に対して、建染染料又は硫化染料を還元せずに水に不溶性の染料のまま染色する。建染染料又は硫化染料は、そのままの状態では、ポリアリレート繊維に対して染着する程の強い親和性を有していない。また、建染染料又は硫化染料を還元して水溶性にすると更にポリアリレート繊維に対する親和性が低下する。

0029

しかし、本発明においては、ポリアリレート繊維に対する極性溶媒による溶媒処理と組み合わせることにより、建染染料又は硫化染料のポリアリレート繊維への染着性発現するものと考えられる。更に、溶媒処理後に必要により熱処理を行うと、建染染料又は硫化染料のポリアリレート繊維への染着性がより向上する場合がある。但し、現時点においては、本発明における建染染料又は硫化染料のポリアリレート繊維に対する染着機構は明確ではない。

0030

以下、本発明に係るポリアリレート繊維の染色方法について各実施形態により説明する。
(1)第1実施形態
本第1実施形態に係る染色方法は、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、極性溶媒を含有する処理液でポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程とを有している。本第1実施形態においては、まず、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を非還元状態で付与する染料付与工程を行い、続いて、建染染料又は硫化染料が付与されたポリアリレート繊維に対して極性溶媒を含有する処理液で処理する溶媒処理工程を行う。

0031

本第1実施形態において、これら一連の工程を総称して「染色操作1」という。なお、この染色操作1(染料付与工程→溶媒処理工程)は、1回のみ行うようにしてもよく、或いは、必要により複数回繰り返すようにしてもよい。この染色操作1を複数回繰り返すことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。

0032

A.染料付与工程
この染料付与工程で使用される建染染料は、通常、綿などの染色に使用される染料を使用することができる。また、本発明においては、染色液に分散させた状態で平均分散粒子径が数μm以下、好ましくは、1μm以下のスーパーファイン染料を使用することがよい。また、これらの建染染料の中でも特に、C.I.Vat Yellow 33、C.I.Vat Brown 1、C.I.Vat Red 1、C.I.Vat Violet 9、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6、C.I.Vat Blue 20、C.I.Vat Green 1、C.I.Vat Green 3、C.I.Vat Black 8、C.I.Vat Black 25などの各染料を使用することがより好ましい。

0033

一方、この染料付与工程で使用される硫化染料は、通常、綿などの染色に使用される染料を使用することができる。また、これらの硫化染料の中でも特に、C.I.Sulphur Yellow 16、C.I.Sulphur Orange 1、C.I.Sulphur Red 6、C.I.Sulphur Blue 7、C.I.Sulphur Blue 15、C.I.Sulphur Black 11などの各染料を使用することがより好ましい。

0034

ポリアリレート繊維への染料付与の段階においては、建染染料又は硫化染料は還元された状態になく、水に対して不溶性の染料である。従って、染料付与工程におけるポリアリレート繊維への染料の付与には、建染染料又は硫化染料を水中に分散した染色液を使用する。この染色液には、建染染料又は硫化染料が非還元分散状態で含有されており、必要によりマイグレーション防止剤を併用する。この染色液の付与には、どのような方法を採用してもよく、単なる浸漬、浸漬と搾液、或いは、スプレーインクジェットなどによる付与であってもよい。

0035

染色液を付与されたポリアリレート繊維は、その後、必要により乾燥される。このポリアリレート繊維の乾燥は、どのような温度で行ってもよいが、通常、80℃〜130℃程度の温度で乾燥すればよい。また、ポリアリレート繊維を乾燥してから更に高温で熱処理(後述の熱処理工程とは異なる処理)を行うようにしてもよい。又は、染色液を付与されたポリアリレート繊維を130℃〜180℃程度の温度或いはそれ以上の高温で乾燥を兼ねた熱処理を行うようにしてもよい。

0036

この乾燥温度が80℃より低い場合には、ポリアリレート繊維の乾燥に時間を要する。一方、処理温度が180℃より高く、ポリアリレートポリマーのガラス転移点を越える温度での熱処理は物性低下の原因となる。また、極度に高温で処理すると建染染料又は硫化染料が分解することがあり、色相が大きく変化する。

0037

一方、乾燥時間は、ポリアリレート繊維の種類や形態、乾燥温度により適宜選定すればよく、特に問題とはならない。通常、乾燥時間は、30秒〜30分程度の時間でよい。例えば、ポリアリレート繊維が布帛である場合には、105℃〜130℃の乾燥温度の場合に、1分〜10分程度の乾燥時間が好ましい。

0038

この乾燥を終えた段階では、ポリアリレート繊維上に建染染料又は硫化染料が均一に付与された状態にある。但し、ポリアリレート繊維は建染染料又は硫化染料により完全に染色された状態にはない。しかし、この段階で建染染料又は硫化染料は、染着には至らないまでも、ある程度の親和性をもってポリアリレート繊維に付着している。ここで、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料が付着する理由は明確ではないが、これらの染料は、非還元の水不溶性の状態において、分子間力などの物理作用でポリアリレート繊維の表面に付着するものと考えられる。

0039

ここで、ポリアリレート繊維が布帛状である場合には、その長手方向に布帛を走行させながら一連の処理を行うことができる。この場合には、走行するポリアリレート繊維布帛は、まず、染色液を充填した浴中に浸漬される。続いてマングルなどの搾液手段により、このポリアリレート繊維布帛から余剰の染色液を搾液する。このようにして、所定量の染色液が均一に付与されたポリアリレート繊維布帛を得る。次に、搾液後のポリアリレート繊維布帛は、走行しながらピンテンターなどの熱処理装置に導入されて乾燥される。

0040

B.溶媒処理工程
染料付与工程後のポリアリレート繊維は、洗浄することなく続く溶媒処理工程に投入される。この溶媒処理工程においては、ポリアリレート繊維が極性溶媒で処理される。本発明においては、極性溶媒を広く解釈し、溶媒分子構造中に極性官能基を有する物質をいうものとする。例えば、極性溶媒のうち非プロトン性極性溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトフェノンメチルエチルケトン、N−ブチルフタルイミド、N−イソプロピルフタルアミド、N-メチルホルムアニリドなどを挙げることができる。これらの非プロトン性極性溶媒は、単独で使用してもよく、或いは、2種以上配合して、又は、後述のプロトン性極性溶媒と配合して使用するようにしてもよい。これらの非プロトン性極性溶媒の中で、ポリアリレート繊維の収縮や物性低下を起こしにくく、且つ、建染染料又は硫化染料の染着に特に有効な溶媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましい。

0041

また、極性溶媒のうちプロトン性極性溶媒としては、硫酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸などのプロトン酸類、1−プロパノール、1−オクタノール、ベンジルアルコール、DL−β−エチルフェネチルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、2−ニトロベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、2−メチルフェネチルアルコール、3−メチルフェネチルアルコール、4−メチルフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−ヨードベンジルアルコール、ケイ皮アルコール、p−アニシルアルコールベンズヒドロール、2−(4−クロロフェノキシエタノール、2−(4−クロロフェノキシエトキシ)エタノール、2−(ジクロロフェノキシ)エタノールなどのアルコール類エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、PEG200、PEG400、PEG600、プロピレングリコールポリプロピレングリコールなどのグリコール類、更に、エチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノエチルエーテルジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、セロソルブn−ブチルセロソルブ、アクリル酸ヒドロキシエチルなどのグリコール類のモノエーテル或いはモノエステルなどを挙げることができる。これらのプロトン性極性溶媒は、単独で使用してもよく、或いは、2種以上配合して、又は、上述の非プロトン性極性溶媒と配合して使用するようにしてもよい。これらのプロトン性極性溶媒の中で、ポリアリレート繊維の収縮や物性低下を起こしにくく、且つ、建染染料又は硫化染料の染着に特に有効な溶媒としては、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、硫酸、ギ酸、乳酸、シュウ酸が好ましい。

0042

また、本発明に使用される極性溶媒の極性を表す定量的な指標として、溶解度パラメーター(δ)を使用することができる。本発明においては、溶解度パラメーターの値が、δ=18〜32(MPa)1/2の範囲内にある極性溶媒を使用することが好ましい。ここで、例えば、ポリアリレート繊維の溶解度パラメーターの値は、δ=19(MPa)1/2であるとされている(例えば、特開2003−89920に記載の値(cal/cm3)1/2を単位換算)。従って、極性溶媒の溶解度パラメーターの値が上記範囲にあり、ポリアリレート繊維の溶解度パラメーターの値に近い、或いは若干大きいことにより、ポリアリレート繊維への極性溶媒の作用が生じるものと思われる。このことにより、建染染料又は硫化染料のポリアリレート繊維への染着性が向上し、より実用的な染色濃度を有するアラミド繊維を得ることができる。

0043

これらの極性溶媒は、上述のように単独で使用してもよく、或いは、2種以上の溶媒を混合して使用してもよい。また、溶媒処理に使用する極性溶媒の濃度は、処理するポリアリレート繊維の形状、及び処理温度によって適宜選定すればよいが、通常、40重量%〜100重量%含有することが好ましく、更に、50重量%〜100重量%含有することがより好ましい。但し、シュウ酸は、通常、結晶水を有する固体であり、その溶解度も小さい。そこで、シュウ酸に関しては、10重量%程度の水溶液として使用することが好ましい。

0044

一方、硫酸に関しては、その使用濃度をより狭く設定する必要がある。本溶媒処理工程においては、90重量%以上の濃度の硫酸水溶液を使用することが好ましい。

0045

極性溶媒の濃度が上述の範囲にある場合には、染色濃度が比較的安定した範囲内となり、極性溶媒の濃度が若干変動した場合にも染色濃度が大きく変化することが少ない。よって、極性溶媒の濃度が上述の範囲にあることで、安定した工業生産が可能となる。

0046

ここで、極性溶媒の希釈剤は、使用する極性溶媒と相溶性のある溶媒であればどのようなものを使用してもよいが、一般には水を使用する。ある種の極性溶媒、例えば、N−メチルピロリドンなどの場合には、ある程度の水分を混合することにより、より濃色の染色物を得ることができる。一方、極性溶媒の濃度が上述の範囲より低くなり溶媒処理液中の水分量が増加すると、染料付与工程でポリアリレート繊維に付着した建染染料又は硫化染料が溶媒処理液中に脱落する場合があり好ましくない。このような場合には、水溶性の塩を添加することにより染料の脱落を防止することも可能である。

0047

極性溶媒の処理温度は、処理するポリアリレート繊維の形状及び処理時間によって適宜選定すればよいが、通常、0℃〜70℃の温度で処理される。また、10℃〜60℃の温度であることが好ましい。但し、硫酸を使用する場合には、硫酸水溶液の温度は、0℃以上50℃以下の温度であればよく、更に、0℃以上30℃以下の温度であることがより好ましい。

0048

極性溶媒の温度が上述の範囲にある場合には、染色濃度が比較的安定した範囲内となり、極性溶媒の温度が若干変動した場合にも染色濃度が大きく変化することが少ない。よって、極性溶媒の温度が上述の範囲にあることで、安定した工業生産が可能となる。一方、極性溶媒の温度が上述の範囲より高い場合には、ポリアリレート繊維の物性低下や極端な収縮が生じることがある。また、極性溶媒の温度が若干変動することにより染色濃度が大きく変化することがある。これは、高温の極性溶媒がポリアリレート繊維の分子構造に大きな変化をもたらすためと考えられる。

0049

また、溶媒処理の処理時間は、極性溶媒の濃度と温度によって適宜選定され、通常、0.1秒〜30分程度の時間で処理される。更に、溶媒処理の処理時間は、1秒〜5分程度の時間であることが好ましい。溶媒処理の処理時間は、1秒程度の時間であっても溶媒処理の効果は維持される。このように、溶媒処理の処理時間が1秒〜30分程度の時間である場合には、処理時間が若干変動した場合にも染色濃度が大きく変化することが少なく、実用的な染色濃度に染色することができる。

0050

このように、溶媒処理の処理時間は所定の範囲内で制御されることが好ましい。従って、極性溶媒で処理されたポリアリレート繊維は、速やかに洗浄されることが好ましい。また、硫酸で処理する場合には、速やかに中和洗浄されることが好ましい。ここで、ポリアリレート繊維の洗浄は、水洗或いは湯洗を行えばよいが、ポリアリレート繊維の表面に付着した未染着の建染染料又は硫化染料を除去するために還元洗浄を行うようにしてもよい。

0051

ここで、ポリアリレート繊維が布帛状である場合には、その長手方向に走行させながら溶媒処理を行うことができる。この場合には、走行するポリアリレート繊維布帛は、まず、極性溶媒を含有した処理液を充填した浴中に浸漬される。続いてマングルなどの搾液手段により、このポリアリレート繊維布帛から余剰の処理液を搾液する。次に、搾液後のポリアリレート繊維布帛は、走行しながら連続洗浄機に導入され、洗浄、中和洗浄或いは還元洗浄される。これら一連の処理が連続して行われる場合には、浸漬から洗浄、中和洗浄或いは還元洗浄までの時間を安定に制御することができる。このことにより、浸漬処理の処理時間を好ましいタイミングで維持し均一な溶媒処理を行うことができる。

0052

なお、これらの溶媒処理の作用については明確ではないが、上述の濃度の極性溶媒でポリアリレート繊維を処理することにより、剛直な分子構造と高い結晶性を有するポリアリレート繊維の分子間結合が部分的に緩み、微細な空隙が多く生じることが考えられる。一方、これらの極性溶媒が染料分子に作用することも考えられる。このようにして、染料付与工程で繊維表面に付着した建染染料又は硫化染料は、溶媒処理工程によりポリアリレート繊維の微細な空隙に強固に染着するものと考えられる。

0053

本第1実施形態においては、上述したように、特に耐光堅牢度が良好な建染染料又は硫化染料を使用する。このようにして、一連の染色操作1(染料付与工程→溶媒処理工程)を経ることにより、実用的な染色濃度を有し、且つ、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色物を得ることができる。特に、本発明に係る染色方法は、従来の染色方法にない特有の染色方法であり、建染染料又は硫化染料の本来の染着機構である還元による吸着という手法を用いることがない。

0054

また、上述の染色操作1(染料付与工程→溶媒処理工程)を複数回繰り返すことにより、ポリアリレート繊維の染色濃度を向上させることができる。すなわち、上述の方法による1回の染色操作1で染色されたポリアリレート繊維に対して、再度、2回目の染色操作1を行うことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。更に、同様の染色操作1を再度繰り返すことにより、染色濃度を更に向上させることができる。このようにして濃色に染色した染色物の染色堅牢度は、良好な状態を維持することができる。
(2)第2実施形態
本第2実施形態に係る染色方法は、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を付与する染料付与工程と、極性溶媒を含有する処理液でポリアリレート繊維を処理する溶媒処理工程と、溶媒処理工程後のポリアリレート繊維を熱処理する熱処理工程とを有している。本第2実施形態において、これら一連の工程を総称して「染色操作2」という。なお、この染色操作2(染料付与工程→溶媒処理工程→熱処理工程)は、1回のみ行うようにしてもよく、或いは、必要により複数回繰り返すようにしてもよい。この染色操作2を複数回繰り返すことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。

0055

A.染料付与工程
本第2実施形態における染料付与工程は、上記第1実施形態における染料付与工程と同様の操作を行う。

0056

B.溶媒処理工程
本第2実施形態における溶媒処理工程は、上記第1実施形態における溶媒処理工程と同様の操作を行う。但し、本第2実施形態においては、溶媒処理後のポリアリレート繊維は、洗浄、中和洗浄或いは還元洗浄されることなく、続く熱処理工程に導入される。

0057

C.熱処理工程
上述の溶媒処理工程後のポリアリレート繊維においては、建染染料又は硫化染料は既に染着している。ここで、熱処理を行うことにより、ポリアリレート繊維に対する建染染料又は硫化染料の染着が更に進行し染色物がより堅牢となると考えられる。但し、極性溶媒として硫酸を使用した場合には、繊維強度が大きく低下するので熱処理を行うことができない。

0058

この熱処理は、乾熱処理であっても湿熱処理であってもよいが、通常、乾熱処理が好ましい。この熱処理は、50℃以上180℃以下の温度で行うことが好ましい。熱処理工程においては、ポリアリレート繊維に極性溶媒が付与された状態で処理されるため、180℃より高い場合には、ポリアリレート繊維の物性低下が生じることが考えられ好ましくない。また、極度に高温で処理すると建染染料又は硫化染料が分解することがあり、色相が大きく変化する。

0059

一方、熱処理の処理時間は、ポリアリレート繊維の種類や形態、使用する建染染料又は硫化染料の種類などとの関係で適宜選定すればよく、特に問題とはならないが、通常、30秒〜30分程度の時間で行われる。更に、熱処理の処理時間は、30秒〜5分程度の時間であることが好ましい。熱処理の処理時間は、30秒程度の時間であっても熱処理の効果は維持される。このように、熱処理の処理時間が30秒〜30分程度の時間である場合には、処理時間が若干変動した場合にも染色濃度が大きく変化することが少なく、実用的な染色濃度に染色することができる。

0060

ここで、ポリアリレート繊維が布帛状である場合には、上述の溶媒処理工程後のポリアリレート繊維布帛を走行させながら連続熱処理装置に導入して熱処理するようにしてもよい。上述の溶媒処理工程から熱処理工程に至る一連の処理が連続して行われる場合には、溶媒浸漬から熱処理までの処理時間を安定に制御することができ、溶媒処理と熱処理の処理時間を好ましいタイミングで維持し、均一な溶媒処理と熱処理を行うことができる。

0061

ここで、これらの溶媒処理と熱処理とを組み合わせたときの作用については明確ではないが、上述の濃度の極性溶媒でポリアリレート繊維を処理し、且つ、上述の温度で熱処理することにより、剛直な分子構造と高い結晶性を有するポリアリレート繊維の分子間結合が溶媒処理単独のときより更に緩み、微細な空隙がより多く生じることが考えられる。一方、極性溶媒の染料分子への作用が熱処理により増大することも考えられる。このようにして、溶媒処理工程でポリアリレート繊維に染着した建染染料又は硫化染料は、溶媒処理工程後の熱処理工程によりポリアリレート繊維の微細な空隙に更に強固に染着するものと考えられる。

0062

次に、熱処理工程後のポリアリレート繊維は、残留する極性溶媒を除去するために洗浄される。この洗浄としては、水洗或いは湯洗を行えばよいが、ポリアリレート繊維の表面に付着した未染着の建染染料又は硫化染料を除去するために還元洗浄を行うようにしてもよい。

0063

本第2実施形態においては、上述したように、特に耐光堅牢度が良好な建染染料又は硫化染料を使用する。このようにして、一連の染色操作2(染料付与工程→溶媒処理工程→熱処理工程)を経ることにより、実用的な染色濃度を有し、且つ、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色物を得ることができる。特に、本発明に係る染色方法は、従来の染色方法にない特有の染色方法であり、建染染料又は硫化染料の本来の染着機構である還元による吸着という手法を用いることがない。

0064

また、上述の染色操作2(染料付与工程→溶媒処理工程→熱処理工程)を複数回繰り返すことにより、ポリアリレート繊維の染色濃度を向上させることができる。すなわち、上述の方法による1回の染色操作2で染色されたポリアリレート繊維に対して、再度、2回目の染色操作2を行うことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。更に、同様の染色操作2を再度繰り返すことにより、染色濃度を更に向上させることができる。このようにして濃色に染色した染色物の染色堅牢度は、良好な状態を維持することができる。
(3)第3実施形態
本第3実施形態に係る染色方法は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態において説明した染色操作1又は染色操作2の前に、ポリアリレート繊維を建染染料及び硫化染料以外の染料により染色する前染色工程を有している。なお、前染色工程の後に行う上記染色操作1又は染色操作2は、1回のみ行うようにしてもよく、或いは、必要により複数回繰り返すようにしてもよい。この染色操作1又は染色操作2を複数回繰り返すことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。

0065

D1.前染色工程
本第3実施形態に係る染色方法においては、まず、未染色のポリアリレート繊維に対して前染色工程を行う。この前染色工程においては、建染染料及び硫化染料以外の染料を含有する染色液を使用する。この前染色工程の染色方法は、どのような方法であってもよいが、主として浸染による染色が行われる。この前染色工程で使用する染色液の処方は、使用される染料における通常の染色方法と同様にすればよい。従って、ポリアリレート繊維自体を染色する場合には、キャリヤなどを併用するようにしてもよい。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維であって、これら他の繊維を染色する場合には、当該他の繊維に対する通常の染色方法を行うようにすればよい。

0066

この前染色工程でポリアリレート繊維自体を染色する場合には、使用される染料は、ポリアリレート繊維に対して親和性を有する染料であれば使用することができる。例えば、分散染料などを使用することが好ましい。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維であって、これら他の繊維を染色する場合には、当該他の繊維に適切な染料を使用すればよい。例えば、当該他の繊維が通常のポリエステル繊維ポリエチレンテレフタレート繊維)である場合には分散染料を使用する。また、当該他の繊維が綿又はレーヨン繊維である場合には、反応染料或いは直接染料などを使用する。

0067

ポリアリレート繊維自体を染色する場合には、染料を含有する染色液にポリアリレート繊維を投入し、この染色液の温度を染色温度まで昇温し、この染色温度に所定時間維持することにより行われる。この染色温度は、ポリアリレート繊維の形態、及び、使用する染料の種類と染色濃度によって調整されるが、通常、80℃〜150℃の温度であればよい。また、100℃〜140℃の温度であることが好ましく、120℃〜135℃の温度であることがより好ましい。100℃を越える温度による染色の場合には、高温高圧染色機を使用する。

0068

ポリアリレート繊維自体を染色する場合には、染色温度が80℃より低い場合には、十分な染色濃度を得ることができず、一方、染色温度が、150℃より高い場合には、一般に使用される高温高圧染色機に比べ特殊な仕様の装置が必要となり、また、エネルギーコストも大きくなる。

0069

一方、昇温後の染色時間は、染料の種類、染色温度及び染色装置との関係で適宜選定すればよく、例えば、分散染料を使用した135℃の染色温度においては、10分間〜90分間の範囲内が好ましい。また、染色の浴比は、特に限定するものではなく、例えば、1:5〜1:100などの範囲内であってもよい。染色後のポリアリレート繊維には、通常の方法による洗浄が行われる。また、従来の分散染料による染色工程と同様にして還元洗浄を行うようにしてもよい。

0070

本第3実施形態においては、上述の前染色工程を行ったポリアリレート繊維に対して、続いて下記の染色操作を行う。

0071

A.染料付与工程
本第3実施形態における染料付与工程は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態における染料付与工程と同様の操作を行う。

0072

B.溶媒処理工程
本第3実施形態における溶媒処理工程は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態における溶媒処理工程と同様の操作を行う。

0073

C.熱処理工程
本第3実施形態においては、必要により熱処理工程を行うようにしてもよい。なお、第3実施形態において熱処理工程を行う場合には、上記第2実施形態における熱処理工程と同様の操作を行う。

0074

本第3実施形態においては、上述したように、前染色工程を行った後に一連の染色操作1又は染色操作2を経ることにより、実用的な染色濃度を有し、且つ、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色物を得ることができる。

0075

更に、本第3実施形態においては、上記前染色工程を行うことにより、次のような作用効果を奏することができる。まず、ポリアリレート繊維自体に対しては、例えば、分散染料による前染色工程を行うことにより、アラミド繊維自体の染色品位と染色濃度が更に向上する。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維である場合には、これら他の繊維を染色可能な染料による前染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維と当該他の繊維との色相を統一することができ、染色物の染色品位と染色濃度が更に向上する。
(4)第4実施形態
本第4実施形態に係る染色方法は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態において説明した染色操作1又は染色操作2の後に、ポリアリレート繊維を建染染料及び硫化染料以外の染料により染色する後染色工程を有している。なお、後染色工程の前に行う上記染色操作1又は染色操作2は、1回のみ行うようにしてもよく、或いは、必要により複数回繰り返すようにしてもよい。この染色操作を複数回繰り返すことにより、より濃色のポリアリレート繊維を得ることができる。

0076

A.染料付与工程
本第4実施形態における染料付与工程は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態における染料付与工程と同様の操作を行う。

0077

B.溶媒処理工程
本第4実施形態における溶媒処理工程は、上記第1実施形態又は上記第2実施形態における溶媒処理工程と同様の操作を行う。

0078

C.熱処理工程
本第4実施形態においては、必要により熱処理工程を行うようにしてもよい。なお、第4実施形態において熱処理工程を行う場合には、上記第2実施形態における熱処理工程と同様の操作を行う。

0079

D2.後染色工程
本第4実施形態における後染色工程は、上記第3実施形態において説明した前染色工程と同様の操作を行う。但し、後染色工程で染色するポリアリレート繊維は、上記第3実施形態の前染色工程と異なり、上記染色操作1又は上記染色操作2により既に建染染料又は硫化染料で染色されている。

0080

本第4実施形態においては、上述したように、一連の染色操作1又は染色操作2を行った後に後染色工程を経ることにより、実用的な染色濃度を有し、且つ、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好なポリアリレート繊維の染色物を得ることができる。

0081

更に、本第4実施形態においては、上記後染色工程を行うことにより、次のような作用効果を奏することができる。まず、ポリアリレート繊維自体に対しては、例えば、分散染料による後染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維自体の染色品位と染色濃度が更に向上する。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維である場合には、これら他の繊維を染色可能な染料による後染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維と当該他の繊維との色相を統一することができ、染色物の染色品位と染色濃度が更に向上する。

0082

以下、上記各実施形態に基づいて、ポリアリレート繊維に対して、次のような各実施例及び比較例の染色を行った。

0083

実施例1は、ベンジルアルコールを極性溶媒として使用し、上述の第1実施形態に基づいてポリアリレート繊維からなる目付632g/m2のダブルフェイス編物(以下「ポリアリレート編物」という)を染色した。このポリアリレート編物は、通常の方法で精練してから使用した。なお、実施例1においては、ポリアリレート編物に対して下記に示す染料付与工程及び溶媒処理工程を組み合わせた染色操作を行ったものを1回とした。更に、この1回の染色操作を行ったポリアリレート編物に対して同様の染色操作を繰り返して合計2回及び合計3回の染色操作を行った。なお、実施例1においては、還元洗浄は行っていない。

0084

A.染料付与工程
染料付与は連続法で行い、試験用マングル装置を使用し、ポリアリレート編物に建染染料を含有する染色液をパッド・ニップして建染染料を付与した。このときのピックアップ率は、58重量%であった。染色液には、建染染料:Mikethren Blue BC super−fine(ダイスタージャパン株式会社製建染染料、C.I.Vat Blue 6:以下「Blue BC」という)50g/Lを非還元の状態で分散し、マイグレーション防止剤として、GERMADYE AM−X(RAON CHEMICAL株式会社製)10g/Lを併用した。

0085

乾燥は、試験用ベーキングボックス装置を使用し、染色液付与後のポリアリレート編物を130℃で2分間乾燥し、建染染料をポリアリレート編物の繊維表面に付着させた。乾燥後のポリアリレート編物は、洗浄或いは還元洗浄を行うことなく、そのまま、続く溶媒処理工程(ベンジルアルコール処理工程)に投入した。

0086

B.溶媒処理工程(ベンジルアルコール処理工程)
実施例1においては、極性溶媒として、ベンジルアルコール(99.5%品)を希釈せずに使用した。処理液の付与には試験用マングル装置を使用し、染料付与工程後のポリアリレート編物に連続法で溶媒処理を行った。このときの処理温度は30℃であった。処理はポリアリレート編物を処理液に1秒間浸漬し直ぐにマングルで搾液した。このときのピックアップ率は、61重量%であった。この溶媒処理工程後のポリアリレート編物に対して、湯洗、水洗を行って乾燥し、実用的な染色濃度を有するブルーに染色された実施例1のポリアリレート編物(染色操作1回)を得た。

0087

次に、この染色操作1回後のポリアリレート編物に対して、上述の染色操作を複数回繰り返した。具体的には、更に染料付与工程及び溶媒処理工程を組み合わせた染色操作を繰り返して合計2回及び合計3回の染色操作を行い、更に濃色のブルーに染色された実施例1のポリアリレート編物(染色操作2回及び3回)を得た。

0088

上記実施例1に対して、ポリアリレート編物に染料付与工程のみを行い溶媒処理工程を行わないものを比較例1とした。具体的には、上記実施例1と同一の条件で染料付与を1回のみ行い、建染染料付与後のポリアリレート編物に対して湯洗、水洗を行って乾燥し、比較例1のポリアリレート編物を得た。

0089

以上のようにして染色した実施例1及び比較例1の染色されたポリアリレート編物を以下のようにして評価した。

0090

染色濃度(トータルK/S値):
染色されたポリアリレート編物の表面染色濃度をトータルK/S値として表わした。トータルK/S値が大きいほど、ポリアリレート編物が濃色に染まっていることを示す。トータルK/S値とは、波長400nm〜700nmの測定範囲で20nm間隔に測定した16波長のK/S値16個を合計した値である。K/S値は、下記のKubelka−Munk式により、各波長における反射率Rから求められる。ここで、Kは吸光係数、Sは光散乱係数を表す。

0091

K/S=(1−R)2/2R
なお、各波長における反射率Rの値は、積分球を搭載した分光光度計UV−3100(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。ポリアリレート編物に対して、上式により計算して求めたトータルK/S値を表1に示す。

0092

明度(L*値):
染色されたポリアリレート編物の濃色の度合いを上述のL*a*b*表色系における明度(L*値)で評価した。L*値は、100(白)〜0(黒)の範囲で表され、L*値が小さいほど濃色であると評価する。なお、L*値は、色彩色差計CR−200(ミノルタカメラ株式会社製)を用いて測定した。求めたポリアリレート編物のL*値を表1に示す。

0093

染色堅牢度:
上記染色濃度(トータルK/S値)及び明度(L*値)以外に染色物の基本的評価項目として染色堅牢度を確認した。特にポリアリレート編物の染色堅牢度で問題とされる耐光堅牢度(JIS L0842)を評価した。ポリアリレート編物の耐光堅牢度は、光照射による染料の変退色に加え、繊維自身の黄褐変が重なり評価しづらいことから、次のようにして評価した。ポリアリレート編物に対してブルースケールの4級照射を行い、その変化を変退色用グレースケールで級判定した。なお、級判定は、1級(不良)から5級(良好)の5段階に加え、各級の中間の評価も行った。例えば、3級と4級の間の評価は、3−4級とした。その評価結果を表1に示す。

0094

表1から分かるように、実施例1においては、各ポリアリレート編物のいずれにおいても、実用的な染色濃度(トータルK/S値)、明度(L*値)及び良好な耐光堅牢度を有している。また、染色操作の回数が増すにつれ染色濃度(トータルK/S値)が大きく向上し、更に濃色のポリアリレート編物を得ることができた。特に、各ポリアリレート編物の明度(L*値)は35以下であり、いずれも極濃色であった。

0095

更に、表1には示していないが、実施例1の染色された各ポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例1においては、実施例1に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0096

実施例2は、上記実施例1と同様にベンジルアルコールを極性溶媒として使用し、上述の第1実施形態に基づいてポリアリレート編物を上記実施例1とは異なる建染染料で染色した。このポリアリレート編物は、通常の方法で精練してから使用した。

0097

A.染料付与工程
実施例2においては、使用する染料を建染染料:Indanthren Brilliant Pink R(ダイスタージャパン株式会社製建染染料、C.I.Vat Red 1:以下「Pink R」という)に変更した以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。このときのピックアップ率は58重量%であった。

0098

乾燥は、上記実施例1と同様の工程で染色液付与後のポリアリレート編物を130℃で2分間乾燥し、建染染料をポリアリレート編物の繊維表面に付着させた。乾燥後のポリアリレート編物は、洗浄或いは還元洗浄を行うことなく、そのまま、続く溶媒処理工程(ベンジルアルコール処理工程)に投入した。

0099

B.溶媒処理工程(ベンジルアルコール処理工程)
実施例2においては、ベンジルアルコールによる溶媒処理工程の操作条件は、上記実施例1と同様にして行った。このとき、溶媒処理工程でのピックアップ率は61重量%であった。この溶媒処理工程後のポリアリレート編物に対して、湯洗、水洗を行って乾燥し、実用的な染色濃度を有するレッドに染色された実施例2のポリアリレート編物(染色操作1回)を得た。

0100

次に、この染色操作1回後のポリアリレート編物に対して、上述の染色操作を複数回繰り返した。具体的には、更に染料付与工程及び溶媒処理工程を組み合わせた染色操作を繰り返して合計2回及び合計3回の染色操作を行い、更に濃色のレッドに染色された実施例2のポリアリレート編物(染色操作2回及び3回)を得た。

0101

上記実施例2に対して、ポリアリレート編物に染料付与工程のみを行い溶媒処理工程を行わないものを比較例2とした。具体的には、上記実施例2と同一の条件で染料付与を1回のみ行い、建染染料付与後のポリアリレート編物に対して湯洗、水洗を行って乾燥し、比較例2のポリアリレート編物を得た。

0102

以上のようにして染色した実施例2及び比較例2の染色されたポリアリレート編物を上記実施例1と同様にして評価した。染色濃度を評価するトータルK/S値、濃色の度合いを評価する明度(L*値)及び耐光堅牢度の評価結果を表2に示す。

0103

表2から分かるように、実施例2においては、各ポリアリレート編物のいずれにおいても、実用的な染色濃度(トータルK/S値)、明度(L*値)及び良好な耐光堅牢度を有している。また、染色操作の回数が増すにつれ染色濃度(トータルK/S値)が大きく向上し、更に濃色のポリアリレート編物を得ることができた。

0104

一方、明度(L*値)は35より大きいが、これは使用した染料が「Pink R」であることによる。実施例2は、鮮やかなレッドを染色する処方であり、濃色のネイビーブルー或いはブラックを目的とする処方ではないからである。

0105

また、表2には示していないが、実施例2の染色された各ポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例2においては、実施例2に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0106

実施例3は、3種類の極性溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、DL−乳酸及びシュウ酸をそれぞれ使用し、上述の第2実施形態に基づいて上記実施例1と同様のポリアリレート編物を染色した。このポリアリレート編物は、通常の方法で精練してから使用した。

0107

A.染料付与工程
実施例3においては、上記実施例1と同様に建染染料:Blue BCを使用し、上記実施例1と同様の操作を行った。このときのピックアップ率は58重量%であった。乾燥も、上記実施例1と同様の操作を行った。乾燥後のポリアリレート編物は、洗浄或いは還元洗浄を行うことなく、そのまま、続く各溶媒処理工程に投入した。

0108

B.溶媒処理工程
実施例3においては、N−メチル−2−ピロリドン(98%品)は、水で希釈し60重量%水溶液として使用した。DL−乳酸(90%品)は、希釈せずに使用した。シュウ酸(2水和物)は、水で溶解し10重量%水溶液として使用した。処理液の付与には試験用マングル装置を使用し、染料付与工程後のポリアリレート編物に連続法で溶媒処理を行った。このときの処理温度は、いずれも30℃であった。処理はポリアリレート編物を処理液に1秒間浸漬し直ぐにマングルで搾液した。このときの各極性溶媒のピックアップ率は、それぞれ、N−メチル−2−ピロリドン水溶液72重量%、DL−乳酸81重量%、シュウ酸水溶液75重量%であった。

0109

C.熱処理工程
熱処理には試験用ベーキングボックス装置を使用し、各溶媒処理後のポリアリレート編物(各溶媒が付与された状態)に130℃で2分間の乾熱処理を行って建染染料をポリアリレート編物に染着した。この熱処理工程後のポリアリレート編物に対して、湯洗、水洗を行って乾燥し、実用的な染色濃度を有するブルーに染色された実施例3の各ポリアリレート編物(染色操作1回)を得た。

0110

次に、この染色操作1回後のポリアリレート編物に対して、上述の染色操作を複数回繰り返した。具体的には、更に染料付与工程、溶媒処理工程及び熱処理工程を組み合わせた染色操作を繰り返して合計2回及び合計3回の染色操作を行い、更に濃色のブルーに染色された実施例3の各ポリアリレート編物(染色操作2回及び3回)を得た。

0111

上記実施例3に対して、ポリアリレート編物に染料付与工程のみを行い溶媒処理工程及び熱処理工程を行わないものを比較例3とした。具体的には、上記実施例1と同一の条件で染料付与を1回のみ行い、建染染料付与後のポリアリレート編物に対して湯洗、水洗を行って乾燥し、比較例3のポリアリレート編物を得た。

0112

以上のようにして染色した実施例3及び比較例3の染色されたポリアリレート編物を上記実施例1と同様にして評価した。染色濃度を評価するトータルK/S値、濃色の度合いを評価する明度(L*値)及び耐光堅牢度の評価結果を表3に示す。

0113

表3から分かるように、実施例3においては、各ポリアリレート編物のいずれにおいても、実用的な染色濃度(トータルK/S値)、明度(L*値)及び良好な耐光堅牢度を有している。また、染色操作の回数が増すにつれ染色濃度(トータルK/S値)が大きく向上し、更に濃色のポリアリレート編物を得ることができた。

0114

更に、表3には示していないが、実施例3の染色された各ポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例3においては、実施例3に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0115

実施例4は、上記実施例3と同様に3種類の極性溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、DL−乳酸及びシュウ酸をそれぞれ使用し、上述の第2実施形態に基づいてポリアリレート編物を上記実施例3とは異なる建染染料で染色した。このポリアリレート編物は、通常の方法で精練してから使用した。

0116

A.染料付与工程
実施例4においては、使用する染料を建染染料:Pink Rに変更した以外は、上記実施例3と同様の操作を行った。このときのピックアップ率は58重量%であった。

0117

乾燥は、上記実施例1と同様の工程で染色液付与後のポリアリレート編物を130℃で2分間乾燥し、建染染料をポリアリレート編物の繊維表面に付着させた。乾燥後のポリアリレート編物は、洗浄或いは還元洗浄を行うことなく、そのまま、続く各溶媒処理工程に投入した。

0118

B.溶媒処理工程
実施例4においては、各極性溶媒による溶媒処理工程の操作条件は、上記実施例3と同様にして行った。このときの各極性溶媒のピックアップ率は、それぞれ、N−メチル−2−ピロリドン水溶液72重量%、DL−乳酸81重量%、シュウ酸水溶液75重量%であった。

0119

C.熱処理工程
実施例4においては、熱処理工程の操作条件は、上記実施例3と同様にして行い建染染料をポリアリレート編物に染着した。この熱処理工程後のポリアリレート編物に対して、湯洗、水洗を行って乾燥し、実用的な染色濃度を有するレッドに染色された実施例4の各ポリアリレート編物(染色操作1回)を得た。

0120

次に、この染色操作1回後のポリアリレート編物に対して、上述の染色操作を複数回繰り返した。具体的には、更に染料付与工程、溶媒処理工程及び熱処理工程を組み合わせた染色操作を繰り返して合計2回及び合計3回の染色操作を行い、更に濃色のレッドに染色された実施例4の各ポリアリレート編物(染色操作2回及び3回)を得た。

0121

上記実施例4に対して、ポリアリレート編物に染料付与工程のみを行い溶媒処理工程及び熱処理工程を行わないものを比較例4とした。具体的には、上記実施例2と同一の条件で染料付与を1回のみ行い、建染染料付与後のポリアリレート編物に対して湯洗、水洗を行って乾燥し、比較例4のポリアリレート編物を得た。

0122

以上のようにして染色した実施例4及び比較例4の染色されたポリアリレート編物を上記実施例1と同様にして評価した。染色濃度を評価するトータルK/S値、濃色の度合いを評価する明度(L*値)及び耐光堅牢度の評価結果を表3に示す。

0123

表4から分かるように、実施例4においては、各ポリアリレート編物のいずれにおいても、実用的な染色濃度(トータルK/S値)、明度(L*値)及び良好な耐光堅牢度を有している。また、染色操作の回数が増すにつれ染色濃度(トータルK/S値)が大きく向上し、更に濃色のポリアリレート編物を得ることができた。

0124

一方、明度(L*値)は35より大きいが、これは使用した染料が「Pink R」であることによる。実施例4は、鮮やかなレッドを染色する処方であり、濃色のネイビーブルー或いはブラックを目的とする処方ではないからである。

0125

また、表4には示していないが、実施例4の染色された各ポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例4においては、実施例4に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0126

実施例5は、4種類の極性溶媒、ベンジルアルコール、N−メチル−2−ピロリドン、DL−乳酸及びシュウ酸をそれぞれ使用し、上述の第3実施形態(分散染料による先染色→建染染料による染色)に基づいてポリアリレート編物を染色した。実施例5においては、ポリアリレート編物に対して、まず、分散染料により先染色工程を行った。次に、この先染色工程後のポリアリレート編物に対して、各極性溶媒を使用して上記実施例1又は実施例3と同様の染色操作を行った。

0127

D1.分散染料による先染色工程
未染色のポリアリレート編物を通常の方法で精練してから、分散染料による染色を行った。染色は浸染法で行い、高温高圧染色試験機ミニカラー(株式会社テクサム技研製)を使用してポリアリレート編物を染色した。染色液には、Dianix Blue E−R 150%(ダイスタージャパン株式会社製分散染料、C.I.Disperse Blue 56:以下「Blue E−R」という)5.0%owfを使用し、pH5の酢酸酢酸ナトリウム緩衝液を使用して染色した。

0128

染色は、浴比1:20とし、135℃で60分間の条件で高温高圧染色を行った。染色後のポリアリレート編物は、通常のポリエステル繊維の分散染料による染色と同様にして還元洗浄を行った。還元洗浄は、還元剤として亜二チオン酸ナトリウム5g/Lに水酸化ナトリウム5g/Lを併用して80℃で1分間の条件とし、この還元洗浄を2回繰り返した。その後、湯洗、水洗を行って乾燥し、分散染料による前染色を行ったポリアリレート編物を得た。

0129

次に、分散染料による前染色を行ったポリアリレート編物に対して、上記実施例1と同様にして、ベンジルアルコールを極性溶媒として使用する染色操作を1回のみ行った。また、同様に分散染料による前染色を行ったポリアリレート編物に対して、上記実施例3と同様にして、3種類の極性溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、DL−乳酸及びシュウ酸をそれぞれ使用する染色操作を1回のみ行った。このようにして、極濃色のブルーに染色された実施例5の各ポリアリレート編物を得た。

0130

上記実施例5に対して、ポリアリレート編物に分散染料による前染色のみを行い上記実施例1又は実施例3と同様の染色操作を行わないものを比較例5とした。また、ポリアリレート編物に分散染料による前染色を行った後に上記実施例1と同様の染料付与工程のみを行い溶媒処理工程及び熱処理工程を行わないものを比較例6とした。

0131

以上のようにして染色した実施例5、比較例5及び比較例6の染色されたポリアリレート編物を上記実施例1と同様にして評価した。染色濃度を評価するトータルK/S値、濃色の度合いを評価する明度(L*値)及び耐光堅牢度の評価結果を表5に示す。

0132

表5から分かるように、建染染料のみで染色された上記実施例1(表1参照)又は上記実施例3(表3参照)に比べ、分散染料による前染色がなされた実施例5においては、いずれも、染色濃度(トータルK/S値)が大きく向上し、また明度(L*値)が35以下と小さくなり、極濃色のポリアリレート編物を得ることができた。この極濃色のポリアリレート編物は、表5に示すように、非常に良好な耐光堅牢度を有している。

0133

また、実施例5のポリアリレート編物においては、編物の表面品位がより向上していた。更に、表5には示していないが、実施例5の染色されたポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例5及び比較例6においては、実施例5に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0134

実施例6は、極性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン又はDL−乳酸をそれぞれ使用し、上述の第2実施形態に基づいてポリアリレート編物を硫化染料で染色した。このポリアリレート編物は、通常の方法で精練してから使用した。

0135

A.染料付与工程
実施例6においては、使用する染料を硫化染料:Asathio Blue RC200(旭化学工業株式会社製硫化染料、C.I.Sulphur Blue 7:以下「Blue RC200」という)、Asathiosol Bordeaux S−3B(旭化学工業株式会社製硫化染料、C.I.Sulphur Red 6:以下「Bord. S−3B」という)又はAsathiosol Indigo Green S−BG(旭化学工業株式会社製硫化染料、C.I.Sulphur Blue 15:以下「Green S−BG」という)に変更した以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。このときのピックアップ率は56重量%であった。

0136

乾燥は、上記実施例1と同様の工程で染色液付与後のポリアリレート編物を130℃で2分間乾燥し、硫化染料をポリアリレート編物の繊維表面に付着させた。乾燥後のポリアリレート編物は、洗浄或いは還元洗浄を行うことなく、そのまま、続く各溶媒処理工程に投入した。

0137

B.溶媒処理工程
実施例6においては、極性溶媒N−メチル−2−ピロリドン又はDL−乳酸による溶媒処理工程の操作条件は、上記実施例3と同様にして行った。このときの各極性溶媒のピックアップ率は、それぞれ、N−メチル−2−ピロリドン水溶液72重量%、DL−乳酸81重量%であった。

0138

C.熱処理工程
実施例6においては、熱処理工程の操作条件は、上記実施例3と同様にして行い硫化染料をポリアリレート編物に染着した。この熱処理工程後のポリアリレート編物に対して、湯洗、水洗を行って乾燥し、実用的な染色濃度を有する染色された実施例6の各ポリアリレート編物(染色操作1回のみ)を得た。

0139

上記実施例6に対して、ポリアリレート編物に染料付与工程のみを行い溶媒処理工程及び熱処理工程を行わないものを比較例7とした。具体的には、上記実施例6と同一の条件で染料付与を1回のみ行い、硫化染料付与後のポリアリレート編物に対して湯洗、水洗を行って乾燥し、比較例7のポリアリレート編物を得た。

0140

以上のようにして染色した実施例6及び比較例7の染色されたポリアリレート編物を上記実施例1と同様にして評価した。染色濃度を評価するトータルK/S値、濃色の度合いを評価する明度(L*値)及び耐光堅牢度の評価結果を表6に示す。

0141

表6から分かるように、硫化染料を使用した場合にも、各ポリアリレート編物は実用的な染色濃度(トータルK/S値)、明度(L*値)及び良好な耐光堅牢度を有している。更に、表6には示していないが、実施例6の染色された各ポリアリレート編物においては、染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることなく、実用的な高性能繊維の性質を維持していた。一方、比較例7においては、実施例6に比べポリアリレート編物の染色濃度、明度及び耐光堅牢度が不十分なものであった。

0142

上述の実施例1〜実施例6のように、本発明によれば、ポリアリレート繊維を実用的な染色濃度に染色することができる。また、本発明によれば、染色後のポリアリレート繊維に染色ムラや寸法変化、或いは、物性低下が大きく生じることがない。更に、染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好な建染染料又は硫化染料を使用するので、染色されたポリアリレート繊維の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好となる。

0143

また、使用する建染染料又は硫化染料の使用濃度と色相を変化させることにより、淡色から濃色まで豊富な色相の染色物を得ることができる。特に、本発明によれば、これまで困難とされたポリアリレート繊維をブラックやネイビーブルーなどの極濃色(例えば、L*値が35以下)に染色することができる。

0144

また、本発明に係るポリアリレート繊維の染色方法の前後工程として、建染染料及び硫化染料以外の染料による前染色工程などを行うことにより、ポリアリレート繊維自体の染色品位が良好となり、更に染色濃度が向上する。一方、ポリアリレート繊維が他の化学繊維或いは天然繊維との混合繊維である場合には、これらの染色工程を行うことにより、ポリアリレート繊維と当該他の繊維との色相を統一することができ、染色物の染色品位と染色濃度が更に向上する。

0145

よって、本発明によれば、染色された染色物に染色ムラがなく、且つ、染色物の染色堅牢度、特に耐光堅牢度が良好であり、色相が豊富で実用的な染色濃度を有するポリアリレート繊維の染色方法及び染色されたポリアリレート繊維を提供することができる。このことは、ポリアリレート繊維の新たな用途展開に有効である。

実施例

0146

なお、本発明の実施にあたり、上記各実施例に限らず次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記各実施例においては、ポリアリレート繊維に建染染料又は硫化染料を含有する染色液を付与した後に当該ポリアリレート繊維を乾燥するが、これに限ることはなく、染色液を付与した後にポリアリレート繊維を乾燥することなく溶媒処理工程に投入するようにしてもよい。
(2)上記各実施例においては、染料付与工程で建染染料又は硫化染料を付与したポリアリレート繊維を洗浄することなく続く溶媒処理工程に投入した。しかし、染料付与工程後の建染染料又は硫化染料は、ある程度の親和性をもってポリアリレート繊維に付着している。従って、染料付与工程後のポリアリレート繊維を洗浄してから溶媒処理工程に投入するようにしてもよい。
(3)上記各実施例においては、染色操作後に還元洗浄を行っていないが、必要により還元洗浄を行うようにすればよく、また、還元洗浄の処方はアルカリ系に限るものではなく、酸性系の還元処方による還元洗浄を行うようにしてもよい。
(4)上記実施例3〜実施例6においては、極性溶媒として光学異性体の混合したDL‐乳酸を使用したが、これに限るものではなく、D‐乳酸或いはL‐乳酸を使用するようにしてもよい。
(5)上記実施例5においては、分散染料の染色にキャリヤ或いは濃染剤を使用していない。本発明においては、前染色或いは後染色は、あくまでも補助的な染色であり、キャリヤなどを使用しなくてもよいが、必要により各種キャリヤなどを併用して、更に濃色に染色するようにしてもよい。
(6)上記実施例5においては、上記第3実施形態に基づいて分散染料の染色を建染染料による染色操作前に前染色工程として行ったが、これに限るものではなく、上記第4実施形態に基づいて分散染料の染色を建染染料による染色操作後に後染色工程として行うようにしてもよい。
(7)上記各実施例においては、ポリアリレート編物に対して染色を行ったが、これに限るものではなく、織物、不織布などであってもよく、或いは、糸、ワタなどであってもよい。

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