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技術 Ni基単結晶超合金部品の直接リサイクル法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 原田広史小林敏治横川忠晴小泉裕坂本正雄大澤真人
出願日 2012年9月28日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2012-215325
公開日 2014年4月21日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2014-070231
状態 特許登録済
技術分野 金属の製造または精製 固体廃棄物の処理 鋳型中の金属の処理
主要キーワード 金属鉱物 Mo基合金 製造済み ふく射 時効析出処理 整合界面 コップ形状 カザフスタン

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図面 (6)

課題

解決手段

セラミックを含む遮熱コーティング被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、遮熱コーティングの被覆層損壊し、又はNi基単結晶超合金に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基単結晶超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基単結晶超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型30の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、鋳型に溶解したNi基超合金注湯して、メルティングストック製造する、又はNi基単結晶超合金を成長させる工程と、鋳型から前記メルティングストック又はリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程とを有する。

背景

Ni基単結晶超合金部品は、例えばジェットエンジンガスタービンなどのタービン動翼タービンベーンとして利用されている。例えばジェットエンジンでは、タービン入口ガス温度が1000℃から1700℃と、ニッケル融点1453℃や鉄の融点1535℃に相当する高い温度となっている。一般にタービン入口ガス温度が高いほどエネルギー効率が高まり、燃料価格の上昇をエンジン効率の向上で相殺している。

ところで、タービン動翼やタービンベーンは通常、熱遮蔽コーティング及び内部空冷により超合金基材温度を1000℃以下に抑えて用いるにも関わらず、消耗品として扱われている。例えばジェット機離陸時に、砂塵などでジェットエンジン部品の熱遮蔽コーティングが剥離すると、タービン動翼やタービンベーンは飛行途中に損傷が進行する。損傷したタービン動翼やタービンベーンは、定期検査時交換される。交換したタービン動翼やタービンベーンは、損傷が軽度であれば修理(後述する特許文献1、2、3、4で述べられているような再生処理を含む場合もある)し、損傷が重度であれば廃棄している。繰り返し修理はせいぜい数回程度が限度であるため、現在ではすべてのタービン動翼やタービンベーンが最終的には廃棄されている。

そこで、特許文献1では、クリープ損傷を受けた鋳造多結晶Ni基超合金製タービン動翼やタービンベーンの再生方法が提案されている。(以降、部品修理を目的として行われる処理を再生、修理不能となった部品を再度部品化することを目的として行われる処理をリサイクルと呼ぶ)また、特許文献2では、高温使用により強度劣化した場合に、Ni基単結晶超合金材料に対して完全溶体化熱処理時効熱処理を行うことで、単結晶材料余寿命延長することが提案されている。
特許文献1、2の再生方法は、Ni基単結晶超合金材料に対して、再生熱処理によって金属組織を再生する方法である。再生熱処理は、劣化した金属ミクロ組織熱処理のみで元に戻す方法で、溶体化処理によって、劣化した組織をいったん消滅させた後、時効処理によって、再度健全微細析出組織を再生する。しかし、タービン動翼やタービンベーンの損傷の程度が大きい場合には再生熱処理では対処不可能となり、廃棄するしかなかった。

さらに、特許文献3では、Ni基単結晶超合金部品が高温使用により強度劣化した場合に、若返り処理・再生処理・補修を行うに際して、一旦耐熱性の保護層を除去して、腐食層酸化層腐食生成物酸化生成物の除去が行われると共に、耐熱性保護層クラックも修理される。その後、耐熱性の保護層の再被覆を行なうことが提案されている。
そして、Ni基単結晶超合金部品では、合金基材の磨耗やクラックに対して、例えば特許文献4に示す方法で、単結晶を維持しながら、磨耗やクラックの補修が行われている。
しかし、最終的に製品寿命が尽きて使用済み廃材になると、特許文献1、2、3、4に提案されたような再生処理では再生不能であり、例えば特許文献5に示す方法で、部品素材から高いコストをかけて一部の高価な元素のみ精製している。精製された元素は、Ni基超合金の製造に限らず一般的目的で使用されている。

一般にNi基超合金部品は、不純物元素混入に対する感受性が高いことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。実際、従来の鋳造多結晶タービン動翼やタービンベーンなどでは、再溶解によりリサイクルされた超合金のクリープ特性熱疲労特性耐環境特性保証できなかった。このため、一旦使用したNi基超合金部品の再溶解による、超合金の組成をほぼ維持したままのリサイクルは、製品であるジェットエンジンやガスタービンを所有する航空会社発電事業者においては、全く行われてこなかった。

Ni基超合金部品は、タンタルレニウムルテニウム等の高価で希少レアメタル含有している場合がある。レアメタルは、価格面の問題ばかりでなく、資源国が偏在しているため、供給先を安定的に確保することが困難な場合がある。このため、新しく製品を製造しようとする場合には、レアメタルの価格変動と供給リスクの影響を受けて、顧客との約定価格契約した納品時期に当該製品を提供するのが困難な事態がしばしば発生しており(例えば、2007年のカザフスタンのレニウム輸出停止措置、非特許文献2参照)、価格安定化および安定供給が強く求められている。

概要

Ni基単結晶超合金部品の直接リサイクル法を提供する。セラミックを含む遮熱コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、遮熱コーティングの被覆層損壊し、又はNi基単結晶超合金に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基単結晶超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基単結晶超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型30の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、鋳型に溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造する、又はNi基単結晶超合金を成長させる工程と、鋳型から前記メルティングストック又はリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程とを有する。

目的

このため、新しく製品を製造しようとする場合には、レアメタルの価格変動と供給リスクの影響を受けて、顧客との約定価格で契約した納品時期に当該製品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

セラミックを含む遮熱コーティング被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、前記遮熱コーティングの被覆層損壊し、又は前記Ni基単結晶超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、前記Ni基単結晶超合金の融点以上であって前記セラミックの融点未満の温度で、前記Ni基単結晶超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型の温度を前記Ni基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型に前記溶解したNi基超合金注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基単結晶超合金を成長させる工程と、前記メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程と、を備えるNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項2

請求項1に記載のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、前記Ni基単結晶超合金部品のボンドコーティングを除く遮熱コーティング、またはボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離する工程を有することを特徴とするNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項3

耐酸化コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品またはコーティングされていないNi基単結晶超合金部品であって、前記耐酸化コーティングの被覆層が損壊し、又は前記Ni基単結晶超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、前記Ni基単結晶超合金の融点以上で前記Ni基単結晶超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型の温度を前記Ni基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型に前記溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基単結晶超合金を成長させる工程と、前記メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程と、を備えるNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項4

請求項3に記載のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、前記耐酸化コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品の耐酸化コーティングを剥離する工程を有することを特徴とするNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項5

前記リサイクルNi基単結晶超合金の成長工程は、一方向凝固によって単結晶とする工程を含み、さらに、前記リサイクルNi基単結晶超合金部品の溶体化処理時効析出処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項6

さらに、前記リサイクルNi基単結晶超合金部品を、ボンドコーティングおよびセラミックを含む遮熱コーティングで被覆する工程または耐酸化コーティングで被覆する工程を有することを特徴とする請求項5に記載のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項7

前記リサイクルNi基単結晶超合金部品は、Ni基単結晶超合金のタービン動翼タービンベーン燃焼器ライナースプラッシュプレートダクトセグメント、又はタービンディスクの少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法。

請求項8

請求項1乃至7の何れか1項に記載のNi基合金に代えて、Co基合金Cr基合金Fe基合金Nb基合金、Ta基合金、W基合金Mo基合金貴金属基合金、各種セラミックスの少なくとも一種類よりなる単結晶材料を用いる単結晶部品のリサイクル方法。

請求項9

セラミックを含む遮熱コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品であって、前記遮熱コーティングの被覆層が損壊し、又は前記Ni基一方向凝固超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、前記Ni基一方向凝固超合金の融点以上であって前記セラミックの融点未満の温度で、前記Ni基一方向凝固超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型の温度を前記Ni基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型に前記溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基一方向凝固超合金を成長させる工程と、前記メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す工程と、を備えるNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項10

請求項9に記載のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、前記Ni基一方向凝固超合金部品のボンドコーティングを除く遮熱コーティング、またはボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離する工程を有することを特徴とするNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項11

耐酸化コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品またはコーティングされていないNi基一方向凝固超合金部品であって、前記耐酸化コーティングの被覆層が損壊し、又は前記Ni基一方向凝固超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、前記Ni基一方向凝固超合金の融点以上で前記Ni基一方向凝固超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型の温度を前記Ni基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型に前記溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基一方向凝固超合金を成長させる工程と、前記メルティングストック用鋳型または前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す工程と、を備えるNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項12

請求項11に記載のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、前記耐酸化コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品の耐酸化コーティングを剥離する工程を有することを特徴とするNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項13

さらに、前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品の溶体化処理と時効析出処理を行う工程を有することを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項14

さらに、前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品を、ボンドコーティングおよびセラミックを含む遮熱コーティングで被覆する工程または耐酸化コーティングで被覆する工程を有することを特徴とする請求項13に記載のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項15

前記リサイクルNi基一方向凝固超合金部品は、Ni基一方向凝固超合金のタービン動翼、タービンベーン、燃焼器ライナー、スプラッシュプレート、ダクトセグメント、又はタービンディスクの少なくとも一種類であることを特徴とする請求項9乃至14の何れか1項に記載のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法。

請求項16

請求項9乃至15の何れか1項に記載のNi基合金に代えて、Co基合金、Cr基合金、Fe基合金、Nb基合金、Ta基合金、W基合金、Mo基合金、貴金属基合金、各種セラミックスの少なくとも一種類よりなる一方向凝固材料を用いる一方向凝固部品のリサイクル方法。

技術分野

0001

本発明は、一旦使用したNi基単結晶超合金部品廃材を用いて、超合金を精製して合金元素回収することなく、再びNi基単結晶超合金としてジェットエンジンガスタービンなどのタービン動翼タービンベーンなどに使用する場合に用いて好適なNi基単結晶超合金部品の直接リサイクル法に関する。

背景技術

0002

Ni基単結晶超合金部品は、例えばジェットエンジンやガスタービンなどのタービン動翼やタービンベーンとして利用されている。例えばジェットエンジンでは、タービン入口ガス温度が1000℃から1700℃と、ニッケル融点1453℃や鉄の融点1535℃に相当する高い温度となっている。一般にタービン入口ガス温度が高いほどエネルギー効率が高まり、燃料価格の上昇をエンジン効率の向上で相殺している。

0003

ところで、タービン動翼やタービンベーンは通常、熱遮蔽コーティング及び内部空冷により超合金基材温度を1000℃以下に抑えて用いるにも関わらず、消耗品として扱われている。例えばジェット機離陸時に、砂塵などでジェットエンジン部品の熱遮蔽コーティングが剥離すると、タービン動翼やタービンベーンは飛行途中に損傷が進行する。損傷したタービン動翼やタービンベーンは、定期検査時交換される。交換したタービン動翼やタービンベーンは、損傷が軽度であれば修理(後述する特許文献1、2、3、4で述べられているような再生処理を含む場合もある)し、損傷が重度であれば廃棄している。繰り返し修理はせいぜい数回程度が限度であるため、現在ではすべてのタービン動翼やタービンベーンが最終的には廃棄されている。

0004

そこで、特許文献1では、クリープ損傷を受けた鋳造多結晶Ni基超合金製タービン動翼やタービンベーンの再生方法が提案されている。(以降、部品修理を目的として行われる処理を再生、修理不能となった部品を再度部品化することを目的として行われる処理をリサイクルと呼ぶ)また、特許文献2では、高温使用により強度劣化した場合に、Ni基単結晶超合金材料に対して完全溶体化熱処理時効熱処理を行うことで、単結晶材料余寿命延長することが提案されている。
特許文献1、2の再生方法は、Ni基単結晶超合金材料に対して、再生熱処理によって金属組織を再生する方法である。再生熱処理は、劣化した金属ミクロ組織熱処理のみで元に戻す方法で、溶体化処理によって、劣化した組織をいったん消滅させた後、時効処理によって、再度健全微細析出組織を再生する。しかし、タービン動翼やタービンベーンの損傷の程度が大きい場合には再生熱処理では対処不可能となり、廃棄するしかなかった。

0005

さらに、特許文献3では、Ni基単結晶超合金部品が高温使用により強度劣化した場合に、若返り処理・再生処理・補修を行うに際して、一旦耐熱性の保護層を除去して、腐食層酸化層腐食生成物酸化生成物の除去が行われると共に、耐熱性保護層クラックも修理される。その後、耐熱性の保護層の再被覆を行なうことが提案されている。
そして、Ni基単結晶超合金部品では、合金基材の磨耗やクラックに対して、例えば特許文献4に示す方法で、単結晶を維持しながら、磨耗やクラックの補修が行われている。
しかし、最終的に製品寿命が尽きて使用済み廃材になると、特許文献1、2、3、4に提案されたような再生処理では再生不能であり、例えば特許文献5に示す方法で、部品素材から高いコストをかけて一部の高価な元素のみ精製している。精製された元素は、Ni基超合金の製造に限らず一般的目的で使用されている。

0006

一般にNi基超合金部品は、不純物元素混入に対する感受性が高いことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。実際、従来の鋳造多結晶タービン動翼やタービンベーンなどでは、再溶解によりリサイクルされた超合金のクリープ特性熱疲労特性耐環境特性保証できなかった。このため、一旦使用したNi基超合金部品の再溶解による、超合金の組成をほぼ維持したままのリサイクルは、製品であるジェットエンジンやガスタービンを所有する航空会社発電事業者においては、全く行われてこなかった。

0007

Ni基超合金部品は、タンタルレニウムルテニウム等の高価で希少レアメタル含有している場合がある。レアメタルは、価格面の問題ばかりでなく、資源国が偏在しているため、供給先を安定的に確保することが困難な場合がある。このため、新しく製品を製造しようとする場合には、レアメタルの価格変動と供給リスクの影響を受けて、顧客との約定価格契約した納品時期に当該製品を提供するのが困難な事態がしばしば発生しており(例えば、2007年のカザフスタンのレニウム輸出停止措置、非特許文献2参照)、価格安定化および安定供給が強く求められている。

0008

特開昭61−119661号公報
特許第3069580号明細書
特表2010−520814号公報
米国特許第6024792号明細書
特表平10−508657号公報

先行技術

0009

High Temperature Alloys for Gas Turbines and Other Applications1986 (D. Reidel Publishing Company) D.p.787
レアメタルシリーズ2011レニウムの需要・供給及び価格の動向金属資源レポート独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構2011/11/30

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は上記課題を解決するもので、Ni基単結晶超合金部品のリサイクルコストの大幅削減とNi基単結晶超合金部品を使用した高効率ガスタービン機関ライフタイムコストの大幅な削減が可能な、Ni基単結晶超合金部品の直接リサイクル法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

すなわち、本発明者らは鋭意研究を行ない、Ni基超合金において、不純物元素の混入によりタービン動翼やタービンベーンなどに要求されるクリープ特性、熱疲労特性、耐環境特性が維持できなかった理由を考察した。Ni基超合金では、これら不純物元素の結晶粒界への偏析が結晶粒界の弱化を招き合金強度を低下させることが、タービン動翼やタービンベーンなどに要求されるクリープ特性を維持できない原因である。他方、Ni基単結晶超合金は不純物元素の偏析サイトとなり強度劣化につながる結晶粒界を持たないことから、不純物元素混入に対してむしろ鈍感である可能性に着目しリサイクル方法の研究を進めた。この結果、ジェットエンジン部品やガスタービン部品を、直接再溶解によりリサイクルする方法を発明した。

0012

本発明1のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、例えば図2に示すように、セラミックを含む遮熱コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、遮熱コーティングの被覆層損壊し、又はNi基単結晶超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基単結晶超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基単結晶超合金部品を溶解する工程(S104)と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程(S106)と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型に溶解したNi基単結晶超合金を注湯して、鋳造原材料として用いる合金インゴット(以後メルティングストックと呼ぶ)を製造する工程またはNi基単結晶超合金を成長させる工程(S108、S110)と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程(S112)と、を備える。

0013

このように構成された本発明1のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法では、回収したNi基単結晶超合金部品は、その表面に不純物存在する可能性があり、好ましくは洗浄を行う。ここで、遮熱コーティングの被覆層に生じる損壊には、剥がれ、浮き、欠損焼結溶融がある。Ni基単結晶超合金基材に生じる損傷には、クラック、変形、欠損、腐食、酸化層の生成、腐食生成物の付着、酸化生成物の付着、金属組織劣化、溶融の類型がある。
次に、Ni基単結晶超合金部品を溶解するが、溶解温度はNi基単結晶超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度とする。溶解温度の下限値は、Ni基超合金の融点である1350℃付近よりも高い必要があり、実用的な溶解速度が得られる温度、例えば1500℃〜1600℃とする。溶解温度の上限値は、セラミックがアルミナの場合の融点2050℃やジルコニアの融点2720℃よりも低い必要があり、他方で溶解温度を上げ過ぎると合金元素の蒸発激しくなり組成制御が困難になるため、2000℃以下が好ましい。溶解温度は、Ni基単結晶超合金部品の溶解速度が遅すぎないで、かつ、合金元素の蒸発が少なく組成制御が容易な範囲として、1400℃から1700℃の範囲がよく、特に好ましくは1500℃から1600℃の範囲である。
鋳型は、メルティングストック用またはリサイクルNi基単結晶超合金部品を鋳造するための形状を有する鋳型であって、単結晶部品鋳造にあたっては、Ni基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱しておく。単結晶部品用鋳型温度は、Ni基単結晶超合金を成長させるのに適した温度がよく、温度が高すぎると凝固の制御が困難になるから、Ni基超合金の融点と比較して若干高い程度がよく、例えば1400℃から1600℃の範囲とし、特に好ましくは1450℃から1500℃の範囲とする。
そして、鋳型に溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックとするか、あるいは単結晶部品とする。Ni基単結晶超合金は、母相であるγ相(Ni固溶体)中に、好ましくは60〜70vol%のγ’相(Ni3Alを基本組成とするL12規則相)が整合析出したミクロ組織を有し、整合界面転位の移動を抑止することにより強化している。続いて、鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す。

0014

本発明2のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、例えば図2に示すように、本発明1のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、Ni基単結晶超合金部品の遮熱コーティングを剥離する工程(S202)を有するとよい。好ましくは、本発明2のリサイクル方法では、Ni基単結晶超合金部品のボンドコーティングを除く遮熱コーティングを剥離しても、ボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離しても良い。
このように構成された本発明2のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法では、リサイクルに使用するNi基単結晶超合金部品について、遮熱コーティングが残留している場合は、これを剥離することで、遮熱コーティングに含まれるセラミックス又は金属元素の影響を低減している。

0015

本発明3のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、耐酸化コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品またはコーティングされていないNi基単結晶超合金部品であって、耐酸化コーティングの被覆層が損壊し、又はNi基単結晶超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基単結晶超合金の融点以上でNi基単結晶超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型に溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基単結晶超合金を成長させる工程と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す工程とを備える。

0016

本発明4のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、本発明3のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、耐酸化コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品の耐酸化コーティングを剥離する工程を有するとよい。

0017

好ましくは、本発明5のリサイクルNi基単結晶超合金部品は、Ni基単結晶超合金の成長工程は、一方向凝固によって単結晶とする工程を含み、さらに、Ni基単結晶超合金部品の溶体化処理と時効析出処理を行う工程(S122、S124)を有するとよい。溶体化処理は、合金強化相であるγ’相が、好ましくは完全に固溶体に溶解する温度以上に加熱して、十分な時間保持均質化を行うと共に、急冷して粗大なγ’相の析出を阻止する熱処理をいう。溶体化処理では、例えば、1250℃〜1380℃で0.5時間乃至20時間の熱処理後空冷する。時効析出処理は、硬さ、強さ又は耐食性などを増進させるために適切な温度で、溶体化処理(固溶化熱処理)済の製品を好ましくは均熱保持する熱処理をいう。時効処理として、例えば、1050℃〜1150℃で5時間乃至10時間程度保持し、空冷した後、さらに例えば850℃〜900℃で20時間保持した後空冷の2段階熱処理を施す。

0018

好ましくは、本発明6のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、さらに、リサイクルNi基単結晶超合金部品を、ボンドコーティングおよびセラミックを含む遮熱コーティングで被覆する工程または耐酸化コーティングで被覆する工程(S126)を有するとよい。遮熱コーティングは、熱伝導率の低いセラミックスのトップコートと、基材酸化を防止するボンドコーティングよりなる。ボンドコーティングには、Alを多く含む金属コーティングや、耐酸化性と基材に対する拡散を抑制した平衡コーティング等が用いられる。

0019

好ましくは、本発明7のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、Ni基単結晶超合金のタービン動翼、タービンベーン、燃焼器ライナースプラッシュプレートダクトセグメント、又はタービンディスクの少なくとも一種類に用いるとよい。

0020

本発明のリサイクル方法の原理は、結晶粒界を有さず不純物元素の粒界偏析を原理的に起こさない単結晶合金では合金強度の不純物感受性が低下するという性質であり、他の合金系やセラミックスにも同様に適用可能である。
好ましくは、本発明8のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法は、本発明1乃至7の何れか1に記載のNi基合金に代えて、Co基合金Cr基合金Fe基合金Nb基合金、Ta基合金、W基合金Mo基合金貴金属基合金、各種セラミックスの少なくとも一種類よりなる単結晶材料を用いる。

0021

主応力方向に結晶粒界を有さない一方向凝固材についても、主応力方向の合金強度の不純物感受性が低下するという性質が生かせるため、本発明のリサイクル方法が適用可能である。
本発明9のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、例えば図5に示すように、セラミックを含む遮熱コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品であって、遮熱コーティングの被覆層が損壊し、又はNi基一方向凝固超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基一方向凝固超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基一方向凝固超合金部品を溶解する工程(S304)と、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型の温度をNi基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する工程(S306)と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型に溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基一方向凝固超合金を成長させる工程(S308、S310)と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す工程(S312)とを備える。

0022

好ましくは、本発明10のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、例えば図5に示すように、本発明9のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、Ni基一方向凝固超合金部品のボンドコーティングを除く遮熱コーティング、またはボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離する工程(S402)を有するとよい。

0023

本発明11のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、耐酸化コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品またはコーティングされていないNi基一方向凝固超合金部品であって、耐酸化コーティングの被覆層が損壊し、又はNi基一方向凝固超合金基材に損傷が発生した場合の当該Ni基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、Ni基一方向凝固超合金の融点以上でNi基一方向凝固超合金部品を溶解する工程と、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型の温度をNi基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する工程と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型に溶解したNi基超合金を注湯して、メルティングストックを製造させ、またはNi基一方向凝固超合金を成長させる工程と、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型からメルティングストックまたはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す工程とを備える。

0024

好ましくは、本発明12のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、本発明11のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法であって、さらに、耐酸化コーティングで被覆されたNi基一方向凝固超合金部品の耐酸化コーティングを剥離する工程を有するとよい。

0025

好ましくは、本発明13のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、さらに、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品の溶体化処理と時効析出処理を行う工程(S322、S324)を有するとよい。

0026

好ましくは、本発明14のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、さらに、リサイクルNi基単結晶超合金部品を、ボンドコーティングおよびセラミックを含む遮熱コーティングで被覆する工程または耐酸化コーティングで被覆する工程を有するとよい。

0027

好ましくは、本発明15のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、Ni基一方向凝固超合金のタービン動翼、タービンベーン、燃焼器ライナー、スプラッシュプレート、ダクトセグメント、又はタービンディスクの少なくとも一種類に用いるとよい。

0028

好ましくは、本発明16のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法は、本発明9乃至15の何れか1に記載のNi基合金に代えて、Co基合金、Cr基合金、Fe基合金、Nb基合金、Ta基合金、W基合金、Mo基合金、貴金属基合金、各種セラミックスの少なくとも一種類よりなる一方向凝固材料を用いる。

発明の効果

0029

本発明のNi基単結晶超合金部品の直接再溶解によるリサイクル方法は、従来の特許文献5に示す精製による合金元素回収リサイクル方法よりもはるかに低コストである。そこで、Ni基単結晶超合金部品のライフタイムコストが低下し、製造コストが普通鋳造合金や一方向凝固と比較して高くても、リサイクルコストが低廉であるため、Ni基単結晶超合金部品の普及が促進される。

0030

また、既に製造済みのNi基単結晶超合金部品が、レアメタルの損耗なくリサイクルできるので、レアメタルの供給先確保の問題が緩和されると共に、超合金を精製して合金元素を回収する場合に多量に発生する産業廃棄物処理の問題も緩和される利点がある。さらに、本発明のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法の普及によって、レアメタル需要と価格が安定するため、ガスタービンの高効率化に必須のNi基単結晶超合金部品の普及が促進される。
また、本発明のNi基単結晶超合金部品の直接再溶解によるリサイクル方法は、Ni基一方向凝固超合金部品にも同様に適用される。

図面の簡単な説明

0031

図1は、真空高周波溶解装置の概略構成図である。
図2は、本発明のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法を説明する流れ図である。
図3は、引張試験クリープ試験試験片形状の概略構成図である。
図4は、正規材とリサイクル材の比較電子顕微鏡写真である。
図5は、本発明のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法を説明する流れ図である。

0032

以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は、真空高周波溶解装置の概略構成図である。図において、真空高周波溶解装置は、溶湯るつぼ10、鋳型加熱炉20、鋳型30、鋳型昇降機構(図示せず)、及び真空容器50を有している。
溶湯るつぼ10は、Ni基単結晶超合金部品を溶解するためのるつぼで、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックを素材としたるつぼが使用される。溶湯るつぼ10は、例えば注ぎ口を有するコップ形状をしており、外周部に加熱用高周波コイル12が設けられている。誘導加熱は、交流電源につながれたコイルの中に導体を挿入すると、コイルと導体は非接触にもかかわらず、導体が表面から加熱される現象を用いる加熱方法で、うず電流と導体の電気抵抗で発生するジュール熱を用いている。

0033

鋳型加熱炉20は、溶湯受け口21、蓋部断熱部22、蓋部発熱部23、周壁高周波コイル24、周壁断熱部25、周壁発熱部26、底周縁発熱部27、底周縁断熱部28、底面断熱部29を有している。溶湯受け口21は、溶湯るつぼ10から注がれる溶湯を、鋳型30に注ぎ込むための案内部である。蓋部発熱部23、周壁発熱部26、底周縁発熱部27は、鋳型加熱炉20の炉内温度を溶湯が維持される温度に加熱するための発熱体で、周壁高周波コイル24による誘導加熱を用いている。蓋部断熱部22、周壁断熱部25、底周縁断熱部28、底面断熱部29は、鋳型加熱炉20の炉内に設置される鋳型30をNi基単結晶超合金の溶解温度に保持するために用いる。

0034

鋳型30は、メルティングストック又はリサイクルNi基単結晶超合金部品を鋳造するための形状を有する鋳型であって、単結晶部品用鋳型はNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱しておく。メルティングストック用の場合は、鋳型30は通常の砂型でよいが、精密鋳造法ロストワックス法を用いてもよい。タービン動翼やタービンベーン用の場合では、出来上がった製品に格段に寸法精度、表面粗さが要求されるために、鋳型30は例えばロストワックス法のような精密鋳造法を用いて製作される。精密鋳造法は鋳型に金型を用いない方法で、鋳型材料流動性のよいスラリーとすることで、模型の複雑な形状を鋳造できる。ロストワックス法は、模型にろうを用い、模型を複数の耐火物層で包んだ後、模型のろうを溶出又は焼却して鋳型を作る方法である。

0035

セレクタ部32は、直径数mm程度の細長い管で、鋳型30とチルプレート冷却板)38の間に設けられており、一つ結晶方位だけを選択して成長させて、Ni基超合金の単結晶とする。鋳型内溶湯部34は、鋳型30内のNi基超合金の溶湯である。基部凝固部36は、チルプレート38によって凝固したリサイクルNi基単結晶超合金部品の基部である。チルプレート38は、例えば水冷銅盤を用いる。

0036

鋳型昇降機構は、チルプレート38に乗った鋳型30を昇降する。単結晶凝固したリサイクルNi基単結晶超合金部品は、鋳型加熱炉から鋳型を下方引出し、ふく射放熱冷却し、下部から上方に向かって凝固させる改良ブリッジマン法で製造される。冷却には、気体または液体と接触させることによる伝導冷却を併用しても良い。真空容器50は、溶湯るつぼ10、鋳型加熱炉20、鋳型30、鋳型昇降機構を収容する密閉容器で、リサイクルNi基単結晶超合金部品の鋳造を全て真空中で行なうことができる。

0037

リサイクルNi基単結晶超合金部品の凝固組織は、固液界面温度勾配凝固速度の組み合わせに影響される。健全な単結晶組織経済的に実現させるためには高速凝固法を採用する。この組み合わせを適正にすることで、粒界割れ等軸晶が発生せず、デンドライト間隔が細かい組織を得る。
リサイクルNi基単結晶超合金部品の鋳造では、温度勾配が小さいと、異結晶やフレッケル等の欠陥が発生するため、凝固界面での温度勾配をできるだけ大きくして、単結晶を安定して成長させる。

0038

このように構成された真空高周波溶解装置を用いて、リサイクルNi基単結晶超合金部品を製造する方法を次に説明する。
図2は、本発明のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法を説明する流れ図で、図1の装置を用いる場合を示している。まず、リサイクル対象となるNi基単結晶超合金部品を用意する(S100)。このリサイクル対象部品は、以下の類型のものである。
(i)セラミックを含む遮熱コーティングで被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、遮熱コーティングの被覆層が損壊し、又はNi基単結晶超合金基材に損傷が発生したもの、
(ii)耐酸化コーティングが被覆されたNi基単結晶超合金部品であって、耐酸化コーティングの被覆層が損壊し、またはNi基単結晶超合金基材に損傷が発生したもの、
(iii)コーティングされていないNi基単結晶超合金部品であって、Ni基単結晶超合金基材に損傷が発生したもの、
(iv)上記(i)〜(iii)に該当するものであって、ガスタービンでの継続使用が技術的・経済的に困難なもの、または修理するよりも本特許に示されているリサイクル法を用いる方が経済的に優位であると判断されるものである。

0039

まず、リサイクル対象部品であるNi基単結晶超合金部品の表面を好ましくは洗浄する(S102)。そしてリサイクル対象部品を乾燥させる。次に、リサイクル対象部品を溶湯るつぼ10に投入して、Ni基単結晶超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基単結晶超合金部品を溶解する(S104)。他方で、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型30を鋳型加熱炉20内に置き、鋳型加熱炉20によって鋳型30の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する(S106)。そして、溶湯るつぼ10の溶解したNi基超合金を鋳型30に注湯する(S108)。鋳型昇降機構とチルプレート38を用いて、鋳型30内でNi基単結晶超合金を成長させる(S110)。そして、鋳型30からリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す(S112)。メルティングストックへとリサイクルする場合は、上記鋳型加熱工程(S106)と単結晶成長工程(S110)を省略し、凝固したメルティングストックを取り出す(S112)ことができる。

0040

なお、リサイクル対象部品を前処理してもよい。すなわち、リサイクル対象部品の遮熱コーティングを剥離し(S202)、次にリサイクル対象部品の表面を洗浄する(S204)。続いて、上述のS104〜S112と同様の処理を続ける。即ち、リサイクル対象部品を溶湯るつぼ10に投入して、Ni基単結晶超合金の融点以上でNi基単結晶超合金部品を溶解する(S206)。他方で、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳型30を鋳型加熱炉20内に置き、鋳型加熱炉20によって鋳型30の温度をNi基単結晶超合金の溶解温度以上に加熱する(S208)。そして、溶湯るつぼ10の溶解したNi基超合金を鋳型30に注湯する(S210)。鋳型昇降機構とチルプレート38を用いて、鋳型30内でNi基単結晶超合金を成長させる(S212)。そして、鋳型30からリサイクルNi基単結晶超合金部品を取り外す(S214)。メルティングストックへとリサイクルする場合は、上記鋳型加熱工程(S208)と単結晶成長工程(S212)を省略し、凝固したメルティングストックを取り出す(S214)ことができる。

0041

このようにすると、リサイクル対象部品の遮熱コーティングの材質が、メルティングストックまたはリサイクルNi基単結晶超合金部品の性質に悪影響を与える場合でも、当該影響を少なくできる。このリサイクル方法では、ボンドコーティングを除く遮熱コーティングもしくはボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離しても良く、また、耐酸化コーティングのみを施してあるNi基単結晶超合金部品にそのまま、もしくは耐酸化コーティングを剥離して適用しても良く、コーティングされていないNi基単結晶超合金部品にそのまま適用しても良い。

0042

メルティングストックへとリサイクルする場合には、S112やS214で出来上がったメルティングストックを貯蔵する(S114、S216)。メルティングストックよりリサイクルNi基単結晶超合金部品を製造するには、目的とするタービン動翼やタービンベーンなどの形状に対応した鋳型を準備して、真空高周波溶解装置を用いて、再度溶湯るつぼ10で溶解して(S120)、一方向凝固させて単結晶とする。

0043

リサイクルNi基単結晶超合金部品が、Ni基単結晶超合金のタービン動翼やタービンベーンなどの場合には、リサイクルNi基単結晶超合金部品の溶体化処理を行い(S122)、次に時効析出処理(S124)を行う。この溶体化処理と時効析出処理により、強化相(γ′相)が適切なサイズ・形状になる。続いて、リサイクルNi基単結晶超合金部品を、必要に応じて、セラミックを含む遮熱コーティングもしくは耐酸化コーティングで被覆する(S126)。

0044

Ni基単結晶超合金の実施例として、PWA1484(登録商標)材製のジェットエンジン使用済みHPT動翼を真空中で直接高周波溶解し、単結晶試験片を鋳造した(以後リサイクル材と呼称する)。比較材として、Ni基単結晶超合金PWA1484材の純正メルティングストックを用いて単結晶試験片を鋳造した(以後純正材と呼称する)。
これらを用いて、機械強度比較のための引張試験、高温強度比較のためクリープ試験を行った。結果を表1および表2に示す。クリープ試験の試験片の形状は、図3に示すとおりである。即ち、試験片50はクリープ試験機に固定するための基部52と、両端の基部52に挟まれた中間部54を有している。中間部54は、長さLが20mmで、直径Dが4mmの丸棒形状である。

0045

0046

0047

表1の引張試験では、リサイクル材が純正材よりも高い引張強度伸び、および絞りを示した。表2のクリープ試験では、リサイクル材が純正材よりも高いクリープ寿命、および絞りを示した。また、リサイクル材の伸びは実用上十分な値を示している。これらの結果から、本発明のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法が有効であることが確認された。

0048

図4は、正規材とリサイクル材の比較電子顕微鏡写真で、倍率5000倍の図である。Ni基単結晶超合金は母相であるγ相(Ni固溶体)中にγ’相(L12規則相)が整合析出したミクロ組織を有しているが、正規材とリサイクル材でこのミクロ組織に大きな差異は見られない。
なお、実施例に用いたNi基単結晶超合金PWA1484材は、代表的なNi基単結晶超合金の一つであり、他の類似単結晶超合金、例えばCMSX−4(登録商標)、Rene−N6(登録商標)、CMSX−10(登録商標)等と同様の、添加元素、ミクロ組織、強化機構等を有している。

0049

続いて、本発明の実施の形態として、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品を製造する方法を次に説明する。リサイクルNi基一方向凝固超合金部品は、図1に示した真空高周波溶解装置を用いて製造する。なお、前述の真空高周波溶解装置の説明において、その性質に反しない限り、Ni基単結晶超合金とあるのをNi基一方向凝固超合金と読み替える。即ち、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型の形状は、リサイクルNi基単結晶超合金部品用鋳造と比較して、セレクタ部32の設けられていない点を除いて、同じである。
図5は、本発明のNi基一方向凝固超合金部品のリサイクル方法を説明する流れ図で、図1の装置を用いる場合を示している。まず、リサイクル対象となるNi基一方向凝固超合金部品を用意する(S300)。

0050

まず、リサイクル対象部品であるNi基一方向凝固超合金部品の表面を好ましくは洗浄する(S302)。そしてリサイクル対象部品を乾燥させる。次に、リサイクル対象部品を溶湯るつぼ10に投入して、Ni基一方向凝固超合金の融点以上であってセラミックの融点未満の温度で、Ni基一方向凝固超合金部品を溶解する(S304)。他方で、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型30を鋳型加熱炉20内に置き、鋳型加熱炉20によって鋳型30の温度をNi基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する(S306)。そして、溶湯るつぼ10の溶解したNi基超合金を鋳型30に注湯する(S308)。鋳型昇降機構とチルプレート38を用いて、鋳型30内でNi基一方向凝固超合金を成長させる(S310)。そして、鋳型30からリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す(S312)。メルティングストックへとリサイクルする場合は、上記鋳型加熱工程(S306)と単結晶成長工程(S310)を省略し、凝固したメルティングストックを取り出す(S312)ことができる。

0051

なお、リサイクル対象部品を前処理してもよい。すなわち、リサイクル対象部品の遮熱コーティングを剥離し(S402)、次にリサイクル対象部品の表面を洗浄する(S404)。続いて、上述のS304〜S312と同様の処理を続ける。即ち、リサイクル対象部品を溶湯るつぼ10に投入して、Ni基一方向凝固超合金の融点以上でNi基一方向凝固超合金部品を溶解する(S406)。他方で、メルティングストック用鋳型またはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品用鋳型30を鋳型加熱炉20内に置き、鋳型加熱炉20によって鋳型30の温度をNi基一方向凝固超合金の溶解温度以上に加熱する(S408)。そして、溶湯るつぼ10の溶解したNi基超合金を鋳型30に注湯する(S410)。鋳型昇降機構とチルプレート38を用いて、鋳型30内でNi基一方向凝固超合金を成長させる(S412)。そして、鋳型30からリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を取り外す(S414)。メルティングストックへとリサイクルする場合は、上記鋳型加熱工程(S408)と単結晶成長工程(S412)を省略し、凝固したメルティングストックを取り出す(S414)ことができる。

0052

このようにすると、リサイクル対象部品の遮熱コーティングの材質が、メルティングストックまたはリサイクルNi基一方向凝固超合金部品の性質に悪影響を与える場合でも、当該影響を少なくできる。このリサイクル方法では、ボンドコーティングを除く遮熱コーティングもしくはボンドコーティングを含む遮熱コーティングを剥離しても良く、また、耐酸化コーティングのみを施してあるNi基一方向凝固超合金部品にそのまま、もしくは耐酸化コーティングを剥離して適用しても良く、コーティングされていないNi基一方向凝固超合金部品にそのまま適用しても良い。

0053

メルティングストックへとリサイクルする場合には、S312やS414で出来上がったメルティングストックを貯蔵する(S314、S416)。メルティングストックよりリサイクルNi基一方向凝固超合金部品を製造するには、目的とするタービン動翼やタービンベーンなどの形状に対応した鋳型を準備して、真空高周波溶解装置を用いて、再度溶湯るつぼ10で溶解して(S320)、一方向凝固させて一方向凝固部品とする。

0054

リサイクルNi基一方向凝固超合金部品が、Ni基一方向凝固超合金のタービン動翼やタービンベーンなどの場合には、リサイクルNi基一方向凝固超合金部品の溶体化処理を行ない(S322)、次に時効析出処理(S324)を行う。この溶体化処理と時効析出処理により、強化相(γ′相)が適切なサイズ・形状になる。続いて、必要に応じて、セラミックを含む遮熱コーティングもしくは耐酸化コーティングで被覆する(S326)。

0055

上記実施の形態においては、実施例としてNi基単結晶超合金およびNi基一方向凝固超合金のリサイクル方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、Co基合金、Cr基合金、Fe基合金、Nb基合金、Ta基合金、W基合金、Mo基合金、貴金属基合金、各種セラミックス等の様々な単結晶材料および一方向凝固材料にも適用できる。これは、本発明のリサイクル方法の原理は、結晶粒界を有せず不純物元素の粒界偏析を原理的に起こさない単結晶超合金では合金強度の不純物感受性が低下するという性質であり、これらの合金系やセラミックスにも同様に適用可能なためである。

実施例

0056

また、上記実施の形態においては、メルティングストックへのリサイクル並びに、リサイクルNi基単結晶超合金部品としてタービン動翼又はタービンベーンの場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼器ライナー、スプラッシュプレート、又はタービンディスク等の、タービン動翼やタービンベーン、又はダクトセグメント等に比較して大型な部品であっても、真空高周波溶解装置を用いて単結晶部品や一方向凝固部品とすることで、適用可能である。

0057

本発明のNi基単結晶超合金部品のリサイクル方法によれば、初期の製造コストが普通鋳造合金や一方向凝固合金と比較して高くても、保守維持費に係るリサイクルコストが低廉であるため、Ni基単結晶超合金部品のライフタイムコストが低下し、Ni基単結晶超合金部品の普及が促進される。
また、既に製造済みのNi基単結晶超合金部品が、レアメタルの損耗なくリサイクルできるので、レアメタルの供給先確保の問題が緩和されると共に、超合金を精製して合金元素を回収する場合に多量に発生する産業廃棄物処理の問題も緩和される利点がある。
さらに、本発明のNi基単結晶超合金部品の直接再溶解によるリサイクル方法は、Ni基一方向凝固超合金部品、他の単結晶材料部品および他の一方向凝固材料部品にも同様に適用される。

0058

10溶湯るつぼ
20鋳型加熱炉
30 鋳型
50 真空容器

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