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技術 走行糸条の検査方法、糸条の製造方法および糸条パッケージ

出願人 東レ株式会社
発明者 入江慧中田安則柴悠太
出願日 2012年9月27日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2012-213697
公開日 2014年4月17日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2014-066668
状態 未査定
技術分野 光学的手段による材料の調査の特殊な応用
主要キーワード 塊形状 位置距離 Y座標 幅方向座標 重心位置間 画像処理ライブラリ 糸たるみ 点検修理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年4月17日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

走行する複数の糸条オンラインで同時に検査し、糸条に含まれる「毛玉」や「毛羽」や「捌け」といった欠陥の有無や状態を糸条毎の欠陥情報として精度よく検出できる走行糸条検査方法を提供すること。

解決手段

糸条の走行面に対して、照明手段と撮像手段を設けて、照明手段によって生じる糸条の走行面での反射光を撮像手段で撮像し、得られた画像データから、走行方向に所定の期間の糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出し、抽出したデータに順次データ処理を加えて、欠陥(「毛玉」、「毛羽」、「捌け」など)の有無を判定する。

概要

背景

単繊維群からなる糸条を製造する製糸工程においては、糸条を構成する単繊維群の一部が切れることで生じる毛羽毛玉、あるいは切れた単繊維群により糸条の一部が切れて抜けることなどにより生じる糸幅欠陥糸割れ、あるいは糸条を構成する単繊維が全て切れる糸切れなどの糸条に発生する欠陥が、製糸工程中の張力変動熱処理温度変動などによって糸条の外部および内部構造が変化することにより生じる。また、これらの原因で発生した毛羽や毛玉が、一旦糸条から外れて空気中に浮遊、あるいは製造装置に付着した後に、再度糸条に付着して欠陥となることもある。

このような糸条の欠陥の形状特徴として、「毛玉」は糸条を構成する単繊維群の一部が切れた部分が、走行中に製糸工程内ロールガイドに接触することで縮れ絡合され、球状の形状となった欠陥である。また、「毛羽」は糸条を構成する単繊維群の一部が切れて、その部分が糸条から広がった形状の欠陥である。糸条を木のとして例えると、「毛羽」はその幹から伸びた枝に相当する形状である。また「毛羽」は単繊維が切れた本数が多い場合には糸条から広がった部分が太い捌け毛羽や、切れる本数が少ない場合には糸条から広がった部分が細い単繊維切れ毛羽といった特徴が見られ、糸条を構成する単繊維群のうち、その一部が製造工程内を走行中に単繊維群から広がって離れる「捌け」が生じる場合がある。

また、糸条が走行すると糸条近傍には糸条の走行方向に平行な方向に気流が生じるため、走行糸条に欠陥が生じると、気流によって欠陥が押し流されることで形状が変形することがある。欠陥の中でも「毛羽」の場合は、気流によって押し流されることで、欠陥内部の単繊維群の配列が糸条の走行方向に平行な方向に近づく傾向が見られる。

このような糸条の欠陥は、糸条自体の品質および糸条によって形成される繊維製品の品質に大きく影響する。従って、糸条の欠陥を精度良く検出し、これを把握することは、糸条自体ならびに糸条によって形成される繊維製品の品質管理上非常に重要なことである。加えて、糸条の製糸工程における走行糸条の状態を常時モニタし早期にプロセス条件の変動に起因する糸条の状態の変化や欠陥の多発を把握することができれば、糸条の製糸工程における歩留まりの向上を図ることができる。よって、オンラインで走行糸条の欠陥を把握することが非常に重要である。

糸条の製糸工程の多くは、複数本の糸条を並列に走行させ、複数本の糸条を同時に製造する方式が採用されている。このような製造方式においては、並列して走行している複数本の糸条を同時に検査し、かつ、糸条毎に欠陥を検出して糸条毎に欠陥の情報を把握することが、糸条自体ならびに製造された糸条を巻き取った糸条パッケージの品質管理において重要となる。

製糸工程内を走行する糸条の走行速度は、糸条を巻き取る際に毎分300mを越える速度となる場合も多く、このような工程で走行糸条の全長をオンラインで検査して糸条の欠陥を検出するためには、複数の形状を持つ糸条の欠陥を精度良く検出することに加えて、糸条の走行速度に遅れなく糸条の全長を検査することが課題である。

従来、糸条の状態を常時モニタし、糸条に生じた欠陥を検出する方法として、投光手段により糸条幅を超える大きさの検査領域に光を照射し、走行糸条が検査領域を通過することで糸条に生じる透過光および反射光の光量を受光手段にて検出して、その光量の変化から糸条に生じた欠陥を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の検査方法では、1本の糸条に対して少なくとも1つの受光部を必要する検査方法であるため、複数本の走行糸条、例えば200本の糸条を同時に製造する製糸工程では、200個の受光部が必要となる。よって、この検査方法を用いて複数本の糸条を検査するためには莫大コストを必要とするといった問題があった。

また、複数の走行糸条をオンラインで検査し糸条の欠陥を検出する方法として、走行糸条がなす走行面に対して、走行面を挟んで上側および下側に照明手段を設けて検査領域を照明し、走行面に対して垂直な位置に撮像手段を設けて、走行糸条が検査領域を通過することで糸条に生じる透過光および反射光を受光し、得られた受光データデータ処理することで欠陥を検出する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に記載の走行糸条の検査方法では、糸条の走行速度が高速化した場合、例えば毎分300mを超える速度になった場合には、データ処理において受光データと直前の受光データとの差分演算するデータ処理手順で各画素差分計算を要することから処理時間が長時間化するために、データ処理時間による遅延が生じる恐れがある。よって、データ処理装置高性能化が必要となるため、高性能化によるコスト高が問題となる恐れがある。

また、複数の走行糸条をオンラインで検査する他の検査方法として、走行糸条がなす走行面に対して照明手段を設置して検査領域を照明し、検査領域を通過した際に生じる糸条の反射光を受光する撮像手段を設けて撮像し、得られた撮像画像において糸条の欠陥の有無によって糸条部分に明暗差が生じることを利用して、糸条の欠陥の輪郭部を抽出するデータ処理を行うことで糸条の欠陥を検出する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載の走行糸条の検査方法では、糸条の欠陥のうち、「毛玉」は検出可能なものの、「毛羽」は検出困難である。「毛玉」は、切れた単繊維群の一部が絡合しているために、欠陥内部の単繊維群は走行糸条内部の単繊維群の配列方向とは異なる方向に配列されている。よって、「毛玉」が検査領域を通過した場合には、走行糸条とは異なる方向に反射光が生じるため、撮像画像では走行糸条と「毛玉」の間が生じ、特許文献3に記載の検査方法で検出可能である。一方、「毛羽」は、走行糸条周辺の気流によって「毛羽」が押し流されることで、欠陥内部の単繊維群の配列が糸条の走行方向に平行な方向に近づく傾向にあるため、毛羽が検査領域を通過した場合に欠陥で生じる反射光は走行糸条の反射光の方向と平行になる場合があり、この場合では欠陥と走行糸条の間で明暗差は生じにくく、特許文献3に記載の検査方法では検出できないといった問題があった。

このような問題に対して、糸条の走行面に対して、照明手段と撮像手段を設けて、照明手段によって生じる糸条の走行面での反射光を撮像手段で撮像し、得られた画像データから、走行糸条と糸条に含まれる欠陥を抽出し、得られた抽出部データから抽出部の輪郭部を抽出し、得られた輪郭部データから糸条の走行方向に平行な線分を除去して、得られた残存部データを予め設定した閾値と比較することで、欠陥の有無を判定する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、実際には欠陥でないものを欠陥と誤分類してしまうことや、欠陥とは認識するものの別の欠陥と誤分類してしまうことが少なからずあり、糸条自体ならびに糸条によって形成される繊維製品の品質管理上、欠陥の検出精度のさらなる向上が望まれていた。

概要

走行する複数の糸条をオンラインで同時に検査し、糸条に含まれる「毛玉」や「毛羽」や「捌け」といった欠陥の有無や状態を糸条毎の欠陥情報として精度よく検出できる走行糸条の検査方法を提供すること。糸条の走行面に対して、照明手段と撮像手段を設けて、照明手段によって生じる糸条の走行面での反射光を撮像手段で撮像し、得られた画像データから、走行方向に所定の期間の糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出し、抽出したデータに順次データ処理を加えて、欠陥(「毛玉」、「毛羽」、「捌け」など)の有無を判定する。

目的

製糸工程内を走行する糸条の走行速度は、糸条を巻き取る際に毎分300mを越える速度となる場合も多く、このような工程で走行糸条の全長をオンラインで検査して糸条の欠陥を検出するためには、複数の形状を持つ糸条の欠陥を精度良く検出することに加えて、糸条の走行速度に遅れなく糸条の全長を検査することが課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

走行する糸条撮像する撮像手段を備えた走行糸条検査方法であって、前記撮像手段により得られた画像データをデータ処理するデータ処理手段が、(a)前記画像データから、走行方向に所定の期間の糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出し、抽出部データを得る第1のデータ処理手順と、(b)前記第1のデータ処理手順により抽出された抽出部データの輪郭部を抽出し、輪郭部データを得る第2のデータ処理手順と、(c)前記第2のデータ処理手順により抽出された輪郭部データから、糸条の走行方向に平行な線分を除去し、残存部データを得る第3のデータ処理手順と、(d)前記第3のデータ処理手順により得られた残存部データを、予め設定した第1の閾値と比較し欠陥の有無を判定し、欠陥データを得る第4のデータ処理手順と(e)前記欠陥データを欠陥ごとに分類する第5のデータ処理手順とからなる走行糸条の検査方法。

請求項2

前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの糸条の走行方向に輝度分布を取得する第6のデータ処理手順と、前記第6のデータ処理手順で得られた輝度分布データを糸条の走行方向に微分して得られる前記輝度分布データの微分値を、予め設定した第2の閾値と比較判定して前記輝度分布データの微分値のピークカウントし、前記ピークの数を予め設定した個数と比較判定して欠陥データを更新する第7のデータ処理手順とをさらに含む請求項1に記載の走行糸条の検査方法

請求項3

前記残存部データが少なくとも2個以上存在し、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データのそれぞれの重心位置を算出する第8のデータ処理手順と、前記残存部データの重心位置間の距離を算出する第9のデータ処理手順と、前記重心間距離を、予め設定した第3の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第10のデータ処理手順とをさらに含む請求項1に記載の走行糸条の検査方法。

請求項4

前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの走行糸条方向および糸条幅方向における始点と終点との位置関係を算出する第11のデータ処理手順と、前記第11のデータ処理手順で得られた残存部データの始点と終点の位置関係を予め設定した第4の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第12のデータ処理手順とをさらに含む請求項1に記載の走行糸条の検査方法。

請求項5

前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データについて、前記第6および第7のデータ処理手順、前記第8、第9および第10のデータ処理手順、前記第11および第12のデータ処理手順を、この順に行う請求項1に記載の走行糸条の検査方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の検査方法を用いて、走行糸条を検査する検査工程を有する、糸条の製造方法。

請求項7

請求項6に記載の糸条の製造方法において、前記検査工程で得られた検査結果を基に、製造工程に生じた異常を特定し、製造工程の条件を変更する操作手順を含んでいる、糸条の製造方法。

請求項8

請求項6または7の方法で製造された糸条からなる糸条パッケージ

技術分野

0001

本発明は、単繊維群からなる糸条を製造する製糸工程において、同一平面内に並列して走行する複数本走行糸条に対して、糸条に生じる欠陥の有無あるいは欠陥(例えば、毛羽毛玉など)の状態を、光学的手段を用いて得られたデータを処理することにより把握される走行糸条の検査方法に関する。

背景技術

0002

単繊維群からなる糸条を製造する製糸工程においては、糸条を構成する単繊維群の一部が切れることで生じる毛羽、毛玉、あるいは切れた単繊維群により糸条の一部が切れて抜けることなどにより生じる糸幅欠陥、糸割れ、あるいは糸条を構成する単繊維が全て切れる糸切れなどの糸条に発生する欠陥が、製糸工程中の張力変動熱処理温度変動などによって糸条の外部および内部構造が変化することにより生じる。また、これらの原因で発生した毛羽や毛玉が、一旦糸条から外れて空気中に浮遊、あるいは製造装置に付着した後に、再度糸条に付着して欠陥となることもある。

0003

このような糸条の欠陥の形状特徴として、「毛玉」は糸条を構成する単繊維群の一部が切れた部分が、走行中に製糸工程内ロールガイドに接触することで縮れ絡合され、球状の形状となった欠陥である。また、「毛羽」は糸条を構成する単繊維群の一部が切れて、その部分が糸条から広がった形状の欠陥である。糸条を木のとして例えると、「毛羽」はその幹から伸びた枝に相当する形状である。また「毛羽」は単繊維が切れた本数が多い場合には糸条から広がった部分が太い捌け毛羽や、切れる本数が少ない場合には糸条から広がった部分が細い単繊維切れ毛羽といった特徴が見られ、糸条を構成する単繊維群のうち、その一部が製造工程内を走行中に単繊維群から広がって離れる「捌け」が生じる場合がある。

0004

また、糸条が走行すると糸条近傍には糸条の走行方向に平行な方向に気流が生じるため、走行糸条に欠陥が生じると、気流によって欠陥が押し流されることで形状が変形することがある。欠陥の中でも「毛羽」の場合は、気流によって押し流されることで、欠陥内部の単繊維群の配列が糸条の走行方向に平行な方向に近づく傾向が見られる。

0005

このような糸条の欠陥は、糸条自体の品質および糸条によって形成される繊維製品の品質に大きく影響する。従って、糸条の欠陥を精度良く検出し、これを把握することは、糸条自体ならびに糸条によって形成される繊維製品の品質管理上非常に重要なことである。加えて、糸条の製糸工程における走行糸条の状態を常時モニタし早期にプロセス条件の変動に起因する糸条の状態の変化や欠陥の多発を把握することができれば、糸条の製糸工程における歩留まりの向上を図ることができる。よって、オンラインで走行糸条の欠陥を把握することが非常に重要である。

0006

糸条の製糸工程の多くは、複数本の糸条を並列に走行させ、複数本の糸条を同時に製造する方式が採用されている。このような製造方式においては、並列して走行している複数本の糸条を同時に検査し、かつ、糸条毎に欠陥を検出して糸条毎に欠陥の情報を把握することが、糸条自体ならびに製造された糸条を巻き取った糸条パッケージの品質管理において重要となる。

0007

製糸工程内を走行する糸条の走行速度は、糸条を巻き取る際に毎分300mを越える速度となる場合も多く、このような工程で走行糸条の全長をオンラインで検査して糸条の欠陥を検出するためには、複数の形状を持つ糸条の欠陥を精度良く検出することに加えて、糸条の走行速度に遅れなく糸条の全長を検査することが課題である。

0008

従来、糸条の状態を常時モニタし、糸条に生じた欠陥を検出する方法として、投光手段により糸条幅を超える大きさの検査領域に光を照射し、走行糸条が検査領域を通過することで糸条に生じる透過光および反射光の光量を受光手段にて検出して、その光量の変化から糸条に生じた欠陥を検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の検査方法では、1本の糸条に対して少なくとも1つの受光部を必要する検査方法であるため、複数本の走行糸条、例えば200本の糸条を同時に製造する製糸工程では、200個の受光部が必要となる。よって、この検査方法を用いて複数本の糸条を検査するためには莫大コストを必要とするといった問題があった。

0009

また、複数の走行糸条をオンラインで検査し糸条の欠陥を検出する方法として、走行糸条がなす走行面に対して、走行面を挟んで上側および下側に照明手段を設けて検査領域を照明し、走行面に対して垂直な位置に撮像手段を設けて、走行糸条が検査領域を通過することで糸条に生じる透過光および反射光を受光し、得られた受光データデータ処理することで欠陥を検出する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に記載の走行糸条の検査方法では、糸条の走行速度が高速化した場合、例えば毎分300mを超える速度になった場合には、データ処理において受光データと直前の受光データとの差分演算するデータ処理手順で各画素差分計算を要することから処理時間が長時間化するために、データ処理時間による遅延が生じる恐れがある。よって、データ処理装置高性能化が必要となるため、高性能化によるコスト高が問題となる恐れがある。

0010

また、複数の走行糸条をオンラインで検査する他の検査方法として、走行糸条がなす走行面に対して照明手段を設置して検査領域を照明し、検査領域を通過した際に生じる糸条の反射光を受光する撮像手段を設けて撮像し、得られた撮像画像において糸条の欠陥の有無によって糸条部分に明暗差が生じることを利用して、糸条の欠陥の輪郭部を抽出するデータ処理を行うことで糸条の欠陥を検出する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3に記載の走行糸条の検査方法では、糸条の欠陥のうち、「毛玉」は検出可能なものの、「毛羽」は検出困難である。「毛玉」は、切れた単繊維群の一部が絡合しているために、欠陥内部の単繊維群は走行糸条内部の単繊維群の配列方向とは異なる方向に配列されている。よって、「毛玉」が検査領域を通過した場合には、走行糸条とは異なる方向に反射光が生じるため、撮像画像では走行糸条と「毛玉」の間が生じ、特許文献3に記載の検査方法で検出可能である。一方、「毛羽」は、走行糸条周辺の気流によって「毛羽」が押し流されることで、欠陥内部の単繊維群の配列が糸条の走行方向に平行な方向に近づく傾向にあるため、毛羽が検査領域を通過した場合に欠陥で生じる反射光は走行糸条の反射光の方向と平行になる場合があり、この場合では欠陥と走行糸条の間で明暗差は生じにくく、特許文献3に記載の検査方法では検出できないといった問題があった。

0011

このような問題に対して、糸条の走行面に対して、照明手段と撮像手段を設けて、照明手段によって生じる糸条の走行面での反射光を撮像手段で撮像し、得られた画像データから、走行糸条と糸条に含まれる欠陥を抽出し、得られた抽出部データから抽出部の輪郭部を抽出し、得られた輪郭部データから糸条の走行方向に平行な線分を除去して、得られた残存部データを予め設定した閾値と比較することで、欠陥の有無を判定する走行糸条の検査方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、実際には欠陥でないものを欠陥と誤分類してしまうことや、欠陥とは認識するものの別の欠陥と誤分類してしまうことが少なからずあり、糸条自体ならびに糸条によって形成される繊維製品の品質管理上、欠陥の検出精度のさらなる向上が望まれていた。

先行技術

0012

特開平7−300280号公報
特開2008−308335号公報
特許第3976697号公報
特開2012−092477号公報

発明が解決しようとする課題

0013

本発明の目的は、多数の単繊維群からなる糸条を製造する製糸工程において、並列に走行する複数の糸条をオンラインで同時にかつ、走行する糸条の全長を検査して、「毛玉」や「毛羽」に代表される糸条の欠陥をさらに精度良く検出し、糸条毎の欠陥の情報を得ることにより、糸条および糸条パッケージの品質管理を行う、走行糸条の検査方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

上記目的を達成するために、本発明は次の方法を採用する。すなわち、走行する糸条を撮像する撮像手段を有した走行糸条の検査方法であって、前記撮像手段により得られた画像データをデータ処理するデータ処理手段が、
(a)前記画像データから、走行方向に所定の期間の画像データから前記糸条部分と前記糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して前記糸条部分を抽出し、抽出部データを得る第1のデータ処理手順と、
(b)前記第1のデータ処理手順により抽出された抽出部データの輪郭部を抽出し、輪郭部データを得る第2のデータ処理手順と、
(c)前記第2のデータ処理手順により抽出された輪郭部データから、糸条の走行方向に平行な線分を除去し、残存部データを得る第3のデータ処理手順と、
(d)前記第3のデータ処理手順により得られた残存部データを、予め設定した閾値と比較し欠陥の有無を判定し、欠陥データを得る第4のデータ処理手順と
(e)前記欠陥データを欠陥ごとに分類する第5のデータ処理手順と
を有してなる走行糸条の検査方法である。

0015

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの糸条の走行方向に輝度分布を取得する第6のデータ処理手順と、前記第6のデータ処理手順で得られた輝度分布データを糸条の走行方向に微分して得られる前記輝度分布データの微分値を、予め設定した第2の閾値と比較判定して前記輝度分布データの微分値のピークカウントし、前記ピークの数を予め設定した個数と比較判定して欠陥データを更新する第7のデータ処理手順とをさらに含んでいるとよい。

0016

また、本発明の走行糸条の検査方法において、前記残存部データが少なくとも2個以上存在し、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データのそれぞれの重心位置を算出する第8のデータ処理手順と、前記残存部データの重心位置間の距離を算出する第9のデータ処理手段と、前記重心間距離を、予め設定した第3の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第10のデータ処理手順とをさらに含んでいるとよい。

0017

また、本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順により得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの走行糸条方向および糸条幅方向における始点と終点との位置関係を算出する第11のデータ処理手順と、前記第11のデータ処理手順で得られた残存部データの始点と終点の位置関係を予め設定した第4の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第12のデータ処理手順とをさらに含んでいるとよい。

0018

また、本発明の走行糸条の検査方法において、前記第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データについて、前記第6および第7のデータ処理手順は、前記第8、第9および第10のデータ処理手順、前記第11および第12のデータ処理手順を、この順に行うことが好ましい。

0019

本発明の走行糸条の検査方法において、走行する糸条を照明する照明手段が、糸条の走行面に対して前記撮像手段と同じ側の位置に設けられていること、さらに、前記撮像手段が前記照明手段によって糸条の走行面で生じる正反射光を撮像する位置に設けられていることが好ましい。

0020

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第4のデータ処理手順は、前記第3のデータ処理手順により得られた残存部データを膨張させて膨張データを得る第13のデータ処理手順と、得られた膨張データと前記第2のデータ処理手順により得られた輪郭部データが、前記照明手段で照明した部分を通過した時刻と糸条の幅方向が一致する領域を抽出する第14のデータ処理手順を含むと好ましい。

0021

また、前記第5のデータ処理手順において、走行中の糸条に含まれる欠陥として糸条を構成する単繊維群においてその一部の単繊維が切れた部分や捌けた部分の有無を判定するようにし、欠陥が含まれる糸条を特定して欠陥データを更新するのが好ましい。

0022

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順により得られた欠陥データから、欠陥を含んだ周辺部の画像データを記録するようにしていると好ましい。

0023

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、得られた欠陥データから、走行中の糸条に含まれる欠陥として糸条を構成する単繊維群の一部が切れて塊となった部分の有無を判定して欠陥データを更新する第15のデータ処理手順を有してしていると好ましい。

0024

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、得られた欠陥データが、糸条の明るさと欠陥の明るさを判別できるものであり、前記第15のデータ処理手順において、前記第4のデータ処理手順により得られた欠陥データにおいて、糸条の明るさと欠陥の明るさの差、さらに欠陥データ内の糸条周辺部の背景部分の明るさと欠陥の明るさの差から該欠陥の形状を判定して欠陥データを更新する第16のデータ処理手順を含んでいると好ましい。

0025

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順により得られた欠陥データから、走行糸条の間で形成される背景部分に生じる浮遊物を抽出して欠陥データを更新する第17のデータ処理手順を有していると好ましい。

0026

本発明の走行糸条の検査方法において、前記第5のデータ処理手順は、前記第4のデータ処理手順により得られた欠陥データから、糸条を構成する単繊維群の一部が単繊維群から離間して走行している部分を抽出して欠陥データを更新する第18のデータ処理手順を有していると好ましい。

0027

また、本発明の糸条の製造方法は、前記走行糸条の検査方法を用いて、走行糸条を検査する検査工程を有すること、さらに、前記検査工程で得られた検査結果を基に、製造工程に生じた異常を特定し、製造工程の条件を変更する操作手順を含んでいることが好ましく、かかる方法で製造された糸条を用いて、糸条パッケージとすることができる。

発明の効果

0028

本発明によれば、多数の単繊維群からなる糸条を製造する製糸工程において、並列に走行する複数の糸条をオンラインで同時にかつ、走行する糸条の全長を検査して、糸条の欠陥である「毛玉」と「毛羽」、品質上の欠陥ではないが「捌け」の検出精度の向上が図られるとともに、糸条毎の欠陥の情報を得ることにより、プロセス条件の変動等の工程異常を早期に発見し歩留まりを改善でき、また、糸条および糸条パッケージの品質管理を行うことができる。

0029

すなわち、本発明の走行糸条の検査方法によると、多数の単繊維群からなる糸条の複数本が、走行面内に並列平行して走行している状態に対して、光学的手段により得られた画像データをデータ処理することで、複数本の糸条各々で欠陥の有無もしくは欠陥の状態をオンラインで精度よく把握することが可能となる。また、これらの糸条が高速に走行する、例えば毎分300mを越える速度においても、撮像した画像データをデータ処理するデータ処理手段に用いる装置を廉価なデータ処理装置、例えば、パーソナルコンピュータを用いることで、走行速度に遅れること無く、同時に複数本の糸条の全長を検査し、糸条各々で欠陥の有無もしくは欠陥の状態をオンラインで把握することが可能となる。

0030

さらに、本発明の走行糸条の検査方法を用いることにより、複数本の糸条を同時に製造する糸条の製糸工程により製造された糸条各々の品質管理を適切に、かつ迅速に実施することが可能となる。

図面の簡単な説明

0031

本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる画像データ取得処理装置の概略側面図である。
本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる画像データ取得処理装置の概略鳥瞰図である。
本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる画像データ取得後に、画像データを処理するデータ処理手段の概略図である。
複数本の糸条が走行し、各々が正常な糸条である場合を撮像して得られた画像データの模式図である。
複数本の糸条が走行し、その内の1本の糸条に欠陥があり、欠陥の種類が毛玉である場合の模式図である。
複数本の糸条が走行し、その内の1本の糸条に欠陥があり、欠陥の種類が毛羽である場合の模式図である。
図4の模式図に示す画像データが、図3に示すデータ処理手段によってデータ処理されて、糸条の輪郭部を抽出した時の輪郭部データの模式図である。
図5の模式図に示す画像データが、図3に示すデータ処理手段によってデータ処理されて、糸条ならびに毛玉を含んだ糸条の輪郭部を抽出した時の輪郭部データの模式図である。
図6の模式図に示す画像データが、図3に示すデータ処理手段によってデータ処理されて、糸条ならびに毛羽を含んだ糸条の輪郭部を抽出した時の輪郭部データの模式図である。
図7の模式図に示す輪郭部データが、図3に示すデータ処理手段により糸条の走行方向に平行な線分が除去された時の残存部データの模式図である。
図8の模式図に示す輪郭部データが、図3に示すデータ処理手段により糸条の走行方向に平行な線分が除去された時の残存部データの模式図である。
図9の模式図に示す輪郭部データが、図3に示すデータ処理手段により糸条の走行方向に平行な線分が除去された時の残存部データの模式図である。
図5の模式図に示す画像データにおいて、そのうちの1本の糸条の周辺に、単繊維群の一部が糸条から離間して走行している場合の模式図である。
図5の模式図に示す画像データにおいて、そのうちの2本の走行糸条間に形成された背景部分に浮遊物が浮遊している場合の模式図である。
複数本の糸条が走行し、その内の1本の糸条に欠陥があり、欠陥の種類が毛玉である場合の模式図である。
複数本の糸条が走行し、そのうちの1本が糸のたるみによる糸ゆれが発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。
図16の模式図に示す画像データのうちの、糸のたるみによる糸ゆれが発生している糸条の画像データの模式図である。
図17の模式図に示す画像データの輝度分布を示す図とその微分値を示す図である。
図5の模式図に示す画像データのうちの、毛玉が発生している糸条の画像データの模式図である。
図19の模式図に示す画像データの輝度分布を示す図とその微分値を示す図である。
複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に捌けが発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。
複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に毛羽が発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。
図21の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。
図22の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。
複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に捌けが発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。
図25の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。
図6の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。

0032

本発明の走行糸条の検査方法が適用される糸条としては、例えば、ポリアクリル繊維ポリアミド繊維ポリエステル繊維ポリアラミド繊維等の合成繊維糸条ガラス繊維等の無機繊維糸条、炭素繊維糸条がある。本発明の走行糸条の検査方法は、走行糸条が検査領域を通過した時に糸条の反射光の光強度が大きいほど、走行糸条と糸条間に形成される背景部分との輝度差を大きくなることから、素材自体がより明度の高い糸条の検査に好ましく用いられる。

0033

本発明の走行糸条の検査方法が適用される糸条は、多数の単繊維群からなる。単繊維群を構成する単繊維は、通常、10〜1,000,000程度の本数からなる。

0034

本発明の走行糸条の検査方法は、糸条の欠陥を把握することが必要な種々の糸条の製糸工程において用いることができる。合成繊維の製造工程においては、例えば、油剤付与工程や延伸工程等がある。炭素繊維の製造工程においては、耐炎化工程や炭化工程などがあり、さらには、炭素繊維前躯体としてアクリル繊維等が好ましく用いられることから、炭素繊維前躯体の製造工程、例えば、油剤付与工程や延伸工程などに本発明の走行糸条の検査方法を用いることができる。

0035

また、合成繊維や炭素繊維前駆体の製造工程において、糸条の欠陥が生じる位置には、口金から凝固浴を経て紡糸される部分で口金の詰まり等に起因して生じる場合もあるが、紡糸後水洗工程や乾燥工程を経た後に、製品として巻き取る直前に高速に糸条を延伸する後延伸工程があり、工程の中でも特に糸条の欠陥が生じやすい。ここで、高速とは、例えば後延伸工程を経て、巻取り工程に向かうまでの間で糸条が走行する速度として毎分300mを超える速度をいう。後延伸工程に入った糸条において、糸条を構成する単繊維群の中に不良な単繊維、例えば単繊維の表面に疵や凹凸がある等の不良が含まれていると、高速に延伸される際に、こうした不良に起因して単繊維が切れ、糸条の欠陥を生じることがある。従って、こうした糸条の製造工程における糸条の品質管理では、高速に延伸された後での糸条の状態について、高速走行する糸条をオンラインで精度よく検査することが必須の課題であった。

0036

これに対して、従来、糸条の製造工程において、例えば毎分300mで走行する紡糸直後の糸条を検査することが可能とされているが、本発明の走行糸条の検査方法を用いることで、本来糸条の欠陥が顕著に生じやすい後延伸工程以降での精度よい検査が実施可能となり、糸条の品質管理としてさらなる高品質糸条の確保が可能となる。

0037

<本発明の第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。

0038

本発明の走行糸条の検査方法においては、撮像手段により得られた画像データをデータ処理するデータ処理手段を有してなる。

0039

データ処理手段におけるデータ処理は、第1のデータ処理手順と、第2のデータ処理手順と、第3のデータ処理手順と、第4のデータ処理手順と、第5のデータ処理手順の5つのデータ処理手順によって行われる。第1のデータ処理手順、第2のデータ処理手順、第3のデータ処理手順、第4のデータ処理手順ならびに、第5のデータ処理手順とは、以下の通りのデータ処理手順である。

0040

第1のデータ処理手順とは、走行方向に所定の期間の画像データから糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出し、抽出部データを得るデータ処理手順である。

0041

第2のデータ処理手順とは、第1のデータ処理手順により抽出された抽出部データの輪郭部を抽出し、輪郭部データを得るデータ処理手順である。

0042

第3のデータ処理手順とは、第2のデータ処理手順により抽出された輪郭部データから、糸条の走行方向に平行な線分を除去し、残存部データを得るデータ処理手順である。

0043

第4のデータ処理手順とは、第3のデータ処理手順により得られた残存部データを、予め閾値と比較し、欠陥の有無を判定し、欠陥データを得るデータ処理手順である。

0044

第5のデータ処理手順とは、第4のデータ処理手順で得られた欠陥データを欠陥ごとに分類するデータ処理手順である。

0045

第1のデータ処理手順D1では、撮像手段により得られた画像データに検査領域における糸条部分、糸条に含まれる欠陥部分、糸条周辺部に形成する背景部分が撮像されており、この中から走行方向に所定の期間の画像データから糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出する。この処理では、例えば、一般的な画像処理方法として2値化処理があり、予め設定した画素値と比べ、これを上回るものを明部として抽出する。本発明の走行糸条の検査方法では、糸条および糸条に含まれる欠陥に生じる反射光を撮像することで、糸条および糸条に含まれる欠陥を糸条周辺部に形成する背景部分よりも明るく撮像できることから、上記の2値化処理が適用できる。こうした処理を画像データの全画素で実施し、抽出処理を実施する。また、画像データにおいて画像ノイズが含まれる場合は、上記の抽出処理を実施する前に、平均化フィルタガウスフィルタメディアンフィルタなどのフィルタ処理を施して画像ノイズを低減することが好ましい。

0046

第2のデータ処理手順D2では、第1のデータ処理手順で抽出された抽出部データに対して、抽出した明部の輪郭部を抽出する。ここで輪郭部とは、抽出した明部の画素のうち周囲の暗部の画素と隣接した画素を抽出した部分をいう。例えば、抽出した明部から輪郭部に該当する画素を探索する方法として、探索対象の1画素に対して隣接する周囲8近傍の画素が1つ以上暗部の画素がある場合は探索対象の1画素を明部として輪郭部とする。また、探索対象の1画素に対して隣接する周囲8近傍の画素全てが明部の画素であれば、探索対象の1画素を明部から暗部に置き換える。このような手順を実施することで、輪郭部を抽出できる。

0047

第3のデータ処理手順D3では、第2のデータ処理手順により抽出された輪郭部データから糸条の走行方向に平行な線分を除去して残存部データを得る。ここで、糸条に平行な線分を除去する処理とは、欠陥を含まない走行糸条の輪郭部では糸条の走行方向に平行な線分を形成する。一方、欠陥を含む場合は、その状態に応じて走行糸条の輪郭部のうち、欠陥が発生した部分で形状が変化する。例えば「毛玉」であれば球状もしくは塊形状が糸条の幅方向や走行方向に広がった形状となるため、輪郭部としても糸条の走行方向に平行な線分から、曲線や糸条の走行方向と角度を持つ輪郭部となる。このような形状の違いから、この第3のデータ処理手順によって、糸条の走行方向に平行な線分を輪郭部から除去することで、糸条に含まれた欠陥部分を抽出することができる。

0048

第4のデータ処理手順D4では、得られた残存部データを予め設定した閾値と比較し、欠陥の有無を判定して、欠陥データを得る。このデータ処理手順では、残存部データには糸条に含まれる欠陥である可能性が高い部分が抽出されていることから、予め決めていた検出すべき欠陥の形状特徴に応じて閾値を設定して、この閾値と残存部を比較し、残存部が閾値を超えるあるいは、閾値以下であるといった条件を設定して、糸条の欠陥である残存部を判別し、欠陥データを作成する。形状特徴に応じた閾値として、例えば、残存部の糸条の幅方向の長さが適用できる。糸条の幅方向の長さを算出し、予め設定した閾値以上の長さの部分は欠陥として検出することができる。

0049

第5のデータ処理手順D5では、第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データを、形状特徴に応じた欠陥の分類がなされる。形状特徴に応じた閾値として、例えば、欠陥データの明るさ、走行方向の長さ、糸条の幅方向の長さ、面積が適用できる。第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データに対して、明るさ、走行方向の長さ、糸条の幅方向の長さ、面積を算出し予め設定した閾値と比較することで、欠陥データを欠陥ごとに分類をすることができる。

0050

本発明の走行糸条の検査方法は、走行する糸条を照明する照明手段が、糸条の走行面に対して前記撮像手段と同じ側の位置であり、かつ、前記撮像手段が前記照明手段によって糸条の走行面で生じる正反射光を撮像する位置に設けられていることが好ましい。

0051

すなわち、本発明の走行糸条の検査方法において、撮像手段は、照明手段によって生じる糸条および糸条に含まれる欠陥で生じる反射光を受光する位置で、かつ、照明手段によって生じる糸条の正反射光を生じる位置に撮像手段を設けることが好ましい。正反射光とは、照明手段から照射される光の主光線が糸条の走行面に対してなす角度θ1とした時に、糸条の走行面が凹凸の無い理想的な鏡面平面であったと仮定すると、糸条の走行面に対する反射光は主光線の反射光と糸条の走行面がなす角、すなわち反射角θ2がθ1と等しい角度となって反射する反射光である。

0052

本発明の好ましい走行糸条の検査方法において、「糸条の走行面」とは以下に説明されるとおりである。すなわち、1本の糸条が2本の糸条搬送ロールに接触して走行している場合に、糸条がロールに接触している部分で糸条を構成する単繊維群が糸条の走行方向に対して横切る方向、すなわち糸条の幅方向にロールの表面に沿って単繊維群が広がることで、糸条が帯形状をなして2本の糸条搬送ロール間を走行する。この時に、この帯形状を含む平面を糸条の走行面とする。また、2本以上の糸条が走行する場合においても、1本の場合と同様にロール間を走行すると、この帯形状の糸条が互いに間隔をあけて並列し、かつ互いに平行に走行することで、これら複数の帯形状を含む糸条の走行面を形成して、糸条の製糸工程を走行することになるため、これらの糸条を含む平面も糸条の走行面となる。

0053

本発明の好ましい走行糸条の検査方法において、走行する糸条を照明する照明手段が、糸条の走行面に前記撮像手段と「同じ側の位置」に設けられるとは、走行糸条周辺の空間を糸条の走行面を境界にして、片方の領域を第1の側、残る片方の領域を第2の側と位置づけた時に、照明手段が第1の側に設けられた場合には、撮像手段も同じ第1の側に設けるとすることを意味し、この場合、照明手段が糸条の走行面に対して前記撮像手段と「同じ側の位置」ということができる。

0054

本発明の走行糸条の検査方法における照明手段としては、走行糸条に対して糸条の幅方向に均一に照明することができれば良い。複数本の糸条が並列して走行する場合にも、各糸条を幅方向に均一に照明できれば良い。幅方向における照明の光量差は、20%以内とすることが好ましい。また、照明手段の照度は、糸条および糸条の欠陥からの十分な反射光量を確保できるものであれば、照明光の強度や波長はともに限定されない。撮像手段の受光感度から、糸条および糸条の欠陥からの反射光を0.1lx以上の照度で撮像手段に入射可能な照明光の強度を持つ照明手段であることが好ましい。

0055

また、照明手段としては、照射部分がライン状である、高周波点灯式の蛍光灯メタルハライドランプハロゲンランプLED等が使用できる。照明手段の形状としては、ほかにハロゲンランプやLED等の光源の光を複数の光ファイバをライン状に配置したライトガイドで導き照明する照明手段、円柱状のロッドレンズの端面に光を照明する照明手段、あるいは前面にシリンドリカルレンズを設けた照明手段なども用いることができる。コストや保守性の観点では、高周波点灯式の蛍光灯が好ましい。しかしながら、走行速度が速く、例えば毎分300mを越える速度でかつ、糸条の欠陥においても毛羽、中でも単繊維切れ毛羽を高精度に検出することを必要とする場合には、LEDやメタルハライドランプなど高輝度の照明手段を用いることが好ましい。撮像手段が走行速度に合わせた速度で撮像することで、走行速度が増速することにともなって、撮像手段で受光する糸条および糸条の欠陥からの反射光量が減少し、糸条の欠陥を検出する能力が低下するおそれがある。

0056

本発明の走行糸条の検査方法における撮像手段とは、光を受光する撮像素子(画素)、例えばCCDやCMOSが直線的、もしくは2次元的に配列され、各画素が受光した明暗のデータを画像として構成するセンサを言う。撮像手段としては、受光素子が直線的に配列されたラインセンサが好ましい。

0057

撮像手段としてラインセンサカメラが好ましいとする根拠は、2次元の画像データを得る手段として、幅方向分解能に優れている点、また広範囲の撮像が可能である点の2点である。

0058

ラインセンサの画素数としては、複数本の糸条が並列して走行する場合、走行する糸条の本数によって必要な検査領域の幅方向長さが長くなることから、これに高い分解能で対応するためには少なくとも2,000画素以上の画素数が好ましい。また、ラインセンサの受光感度としては、糸条および糸条の欠陥からの反射光を受光可能とするため、10〜1,000V/lx・s程度のものが好ましい。上記に該当するラインセンサには、日本エレクトロセンサデバイス(株)、システム機器(株)、Basler社、DALSA社等のメーカー製品が使用できる。

0059

以下、本発明の走行糸条の検査方法について、図面を参照しながら説明する。

0060

図1は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる画像データを取得し、これを処理する画像データ取得処理装置IDの概略側面図である。また、図2図1の概略鳥瞰図である。

0061

図1および図2において、画像データ処理装置IDは、互いに平行で間隔を置いて位置する2本の糸条搬送ロールR1、R2を有する。複数本の糸条YT1−YTnが、間隔B2−Bnを有して並列し、糸条搬送ロールR1、R2に接触して、矢印YCDに示す方向に走行している。また、走行している複数本の糸条YT1−YTnにより、糸条の走行面YCPが形成されている。各糸条は、この糸条の走行面YCP、すなわち、同一の面内に位置している。

0062

糸条の走行面YCPを挟んで、第1の側P1に照明手段2および撮像手段1が設けられている。撮像手段1は、照明手段2により照明され、糸条の走行面で生じた正反射光を受光する位置に設けられている。図2において、照明手段2が糸条の走行面YCPとなす角度θ1と、撮像手段1が糸条の走行面YCPとなす角度θ2については、θ1とθ2が等しくなる位置に、撮像手段1および照明手段2が設けられている。

0063

撮像手段1によって撮像された画像データは、データ処理手段3に導かれ、データ処理手段3によって、走行糸条の欠陥の有無や状態を判定する。

0064

図3は、本発明の走行糸条の検査方法の実施に用いられる画像データ取得後に、画像データを処理するデータ処理手段の概略図である。

0065

図3において、データ処理手段3では、得られた画像データに対して、第1のデータ処理手順D1で画像データから走行方向に所定の期間の画像データから糸条部分と糸条周辺部の背景部分との差を鮮明化して糸条部分を抽出し、次に第2のデータ処理手順D2では、抽出した部分からその輪郭部を抽出し、次に第3のデータ処理手順D3では、輪郭部から糸条の走行方向に平行な線分を除去し、次に第4のデータ処理手順D4では、残存した部分を予め設定した閾値と比較することで、糸条の欠陥の有無を判定して欠陥データが得られ、次に第5のデータ処理手順D5では、形状特徴に応じた欠陥ごとに欠陥データが分類される。

0066

また、撮像手段1によって得られた画像データとして、図4は、複数本の糸条が走行し、各々が正常な糸条である場合、図5は、複数本の糸条が走行し、その内の1本の糸条に欠陥があり、欠陥の種類が「毛玉」である場合、図6、は複数本の糸条が走行し、その内の1本の糸条に欠陥があり、欠陥の種類が「毛羽」である場合の各々の場合の模式図である。

0067

図4図5図6において、各々を第2のデータ処理手順D2を経ることで、正常な糸条の場合では図7、「毛玉」が含まれる場合では図8、「毛羽」が含まれる場合では図9に示す輪郭部データが得られる。

0068

また、図7図8図9において、各々を第3のデータ処理手順D3を経ることで、正常な糸条の場合では図10、「毛玉」が含まれる場合では図11、「毛羽」が含まれる場合では図12に示す残存部データが得られる。図10において正常な糸条の場合では、残存部が無く、糸条は欠陥が含まれていないことが判る。図11ならびに図12では、各々で残存部42、残存部52が含まれており、糸条の欠陥を抽出できていることが判る。これらの残存部に対して、第4のデータ処理手順D4で予め設定した第1の閾値と残存部を比較することで欠陥の有無を判定する。例えば、毛玉残存部42もしくは毛羽残存部52に対して、各残存部が持つ明部の画素数をカウントし、設定した画素数の閾値と比較して、閾値を越える残存部は糸条の欠陥と判定するといった方法が挙げられる。あるいは、残存部各々に外接する矩形を算出して、外接矩形糸条走行方向の長さと糸条幅方向の寸法、さらに残存部の面積を閾値に設定し、閾値を超える残存部が糸条の欠陥と判定するといった方法でも実施可能である。

0069

前記第4のデータ処理手順D4は、第3のデータ処理手順D3により得られた残存部データを膨張させて膨張データを得る第13のデータ処理手順と、得られた膨張データと前記第2のデータ処理手順により得られた輪郭部データが、前記照明手段で照明した部分を通過した時刻と糸条の幅方向が一致する領域を抽出する第14のデータ処理手順を含むと好ましい。

0070

すなわち、前記第4のデータ処理手順D4は、第3のデータ処理手順D3により、輪郭部から糸条の走行方向に平行な線分を除去して残存した部分を膨張させる第13のデータ処理手順D13を経ると良い。得られた画像データの中で、抽出した糸条に含まれる「毛羽」の形状によっては、本来、「毛羽」自体は一つの塊として形成しているにも関わらず、データ処理後の残存した部では複数の明部が散在しているような状況が生じる場合がある。散在した明部の大きさによっては、明部各々を「毛羽」として検出するために、本来は一つの塊として形成している同じ「毛羽」を重複して検出する恐れがある。そこで、第13のデータ処理手段D13として残存した部分を膨張させることで、相互に近い位置にある明部は膨張によって連結され、一つの塊として取扱うことができ、同じ「毛羽」を重複して検出することを回避できる。

0071

さらに、膨張させる第13のデータ処理手順D13を経た後に得られた膨張部と、第2のデータ処理手順D2により得られた輪郭部を照合し、元となった画像データが得られた時刻、すなわち、糸条が照明した部分を通過した時刻と、糸条の幅方向での位置が一致する部分を探索して抽出する第14のデータ処理手順D14を経るとよい。残存部データや膨張部データを用いることで、予め設定した閾値と比較して欠陥の有無を判定することは可能であるが、残存部データや膨張部データでは、欠陥の形状の一部のみしか表現していない場合があり、精度良く欠陥の有無の判定が困難なことがある。そこで、第13のデータ処理手順D13により得られた膨張部データと、第2のデータ処理手順D2により得られた輪郭部データを照合し、重なり合った明部を抽出することで、欠陥部分全体の輪郭を抽出することができ、精度良く欠陥の有無を判定することができる。例えば、ある時刻に撮像した画像データに対して、抽出部を白画素、背景部分を黒画素としてデータ処理された膨張部データと輪郭部データを作成する。同じ画素の位置で膨張部データと輪郭部データを比較し、膨張部データと輪郭部データともに白画素であれば白画素、いずれか一方でのデータが黒画素であれば黒画素として、全ての画素位置で比較し、その結果を欠陥部分照合データとして記録する。得られた欠陥部分照合データには、輪郭部データで抽出された糸条および糸条に含まれる欠陥の形状を示す抽出部のうち、糸条に含まれる欠陥の抽出部が選択的に抽出され、欠陥の形状を精度良く把握でき、欠陥の有無の判定に活用できる。

0072

第5のデータ処理手順D5では、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データについて、欠陥データ内の欠陥に糸条を構成する単繊維群の一部が切れて塊となった部分(「毛玉」)が含まれているか否かを判定し、これに基づいて欠陥データが分類されると好ましい(第15のデータ処理手順)。判定方法として、欠陥データ内の糸条の明るさと欠陥の明るさの差、さらに欠陥データ内の糸条周辺部の背景部分の明るさと欠陥の明るさの差を持って判定するとよい(第16のデータ処理手順)。本発明の走行糸条の検査方法においては、前記第1のデータ処理手順D1により抽出されたデータは、糸条と該糸条に含まれる欠陥部分の双方が、走行糸条間に形成される背景部分に対して、糸条、欠陥部分がそれぞれ明るさの異なった映像となる。該糸条に含まれた欠陥において、単繊維群の一部が切れた部分から様々な形状となり得る。切れた部分が工程内のロールなどと接触し、擦過することで塊状となった「毛玉」の場合には、欠陥部分の形状が糸条の走行面に対して不規則な凹凸を持った形状となることで、欠陥部分では糸条の走行面とは異なる反射光の挙動となる。前記画像データでは、糸条と欠陥の間での明るさの差が大きく、前記撮像手段が前記照明手段によって糸条の走行面で生じる正反射光を撮像する位置に設けられている場合には、さらに顕著な明るさの差となる。さらに、糸条周辺部の背景部分の明るさと欠陥の明るさにも差が生じる。このことから、前記欠陥データの糸条の明るさと欠陥の明るさの差、さらに欠陥データ内の糸条周辺部の背景部分の明るさと欠陥の明るさの差から「毛玉」が糸条に含まれているか否かを判定することができる。糸条パッケージに「毛玉」が含まれていた場合には、糸条パッケージを使ってシート等に加工する際に糸条パッケージから糸条を巻き出す操作において、該欠陥を起点に周辺の糸条が絡まることで巻き出した糸条の形状が崩れたり、巻き出した糸条に「毛玉」が残ることで加工時の寸法が異なってしまうおそれがある。よって、糸条の品質としては、様々な欠陥の形状の中でも「毛玉」は事前に検出し、糸条パッケージには含まれていない状態とすることが望ましい。

0073

また、第5のデータ処理手順D5では、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データについて、走行中の糸条に含まれる欠陥として糸条を構成する単繊維群においてその一部の単繊維群が切れた部分(「毛羽」)が含まれているか否かを判定し、これに基づいて欠陥データが分類されると好ましい。「毛羽」は製造工程内を走行中に、搬送用のロールや設備の一部に接触することで摩擦や縮れを生じて「毛玉」に変形する場合があり、糸条の品質が低下する可能性がある。よって、糸条の品質管理をする上で、「毛羽」を精度よく分類することが重要である。具体的な方法としては、欠陥データ内の糸条周辺部の背景部分の明るさと欠陥の明るさの差を持って判定するとよい。さらに、欠陥データに対して、走行方向の長さ、糸条の幅方向の長さ、面積を算出し予め設定した閾値と比較することで判定するとよい。例えば、「毛羽」は「毛玉」に比べて欠陥の面積が小さいことから、前記欠陥データから、こうした形状特徴を抽出することで、分類することができる。

0074

また、第5のデータ処理手順D5では、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データから、糸条を構成する単繊維群の一部が糸条から離間して走行している部分(「捌け」)を抽出し、これに基づいて欠陥データが分類されると好ましい(第18のデータ処理手順)。糸条の製造工程において、糸条によって複数の単繊維が束状になって構成されている場合に、走行中に単繊維群の一部が糸条から離間し、糸条と並走する場合がある。単繊維群の一部が糸条から離間して並走している場合、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データには、単繊維群の一部が離間して並走している部分も品質への影響はないが欠陥として抽出されている場合がある。単繊維群の一部が離間して並走している部分は、走行している糸条の撚り集束状態によって表れることがあるが、一時的に離間して走行していても、工程内のガイドロールを走行することで、糸条から離間していた単繊維群の一部が再び糸条に集束されるため、糸条の品質に影響を与える欠陥には該当しない場合がある。そこで、前記欠陥データから、単繊維群の一部が糸条から離間して並走している「捌け」を、前記欠陥データから抽出し、糸条に含まれる欠陥(「毛玉」と「毛羽」)と分けておくほうが良い。具体的な方法としては、例えば、「捌け」は、「毛玉」と「毛羽」に比べて欠陥の糸条走行方向の長さが長いことから、前記欠陥データから、こうした形状特徴を抽出することで、分類することができる。

0075

また、第5のデータ処理手順D5では、前記第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データにおいて、欠陥データ内の欠陥から走行中の糸条の間に形成された背景部分に生じる浮遊物を抽出し、これに基づいて欠陥データが分類されると好ましい(第17のデータ処理手順)。糸条の製造工程においては、糸条の欠陥や設備への接触に起因して走行中に糸条が切れてしまった場合に、糸条の切端から前記塊状の欠陥などが工程内の空間に浮遊する場合がある。浮遊した欠陥は糸条に含まれていないため、浮遊物が糸条の品質に影響しない場合があり、この場合、検査結果から、浮遊した欠陥は糸条の品質に影響を与える欠陥として取り扱わないなどの対応をすることが望ましい。例えば、前記画像データにおいて走行している糸条は例えば、図4のytに示すように、糸条幅方向に短く、糸条走行方向に長い矩形状の部分であるといった形状や画像データにおける糸条と背景部分の明るさの差から、背景部分を抽出し、抽出した背景部分と前記欠陥データを照合して、背景部分に存在する欠陥は糸条に含まれる欠陥とは異なる浮遊物として抽出するといった方法がある。

0076

また、第5のデータ処理手順D5では、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データから、欠陥が含まれる糸条を特定してあり、これに基づいて欠陥データが分類されると好ましい。糸条の製造工程では複数の糸条が同時に製造されており、本発明においても、複数の糸条を同時に検査することが可能な検査方法である。欠陥データから欠陥が含まれる糸条を特定することで、糸条毎に発生した欠陥数をカウントすることができ、糸条毎の欠陥の発生数を基準として製品の品位を判定する、例えば、1つの糸条パッケージのうち、欠陥が10個を超えるとこの糸条パッケージを製品として不合格品とするといった方法で、精度良く糸条の品質管理を行うことができる。欠陥が含まれる糸条を特定する具体的な方法としては、例えば、各糸条が走行する位置は予め決められている場所で本発明を適用することで、撮像した画像データに映る糸条は画像データでの幅方向の位置が決まることから、予め撮像した画像データから糸条を抽出した抽出部データを用いて、各糸条の重心点を算出し、重心点の幅方向座標{Xn}を各糸条の位置を表す座標として予め設定する。欠陥を検出した場合には、欠陥データを用いて欠陥の重心点を算出し、重心点の幅方向座標xと予め設定した各糸条の座標{Xn}と比較して、xと{Xn}の差が最も小さいXnに該当する糸条を欠陥が含まれた糸条とすることで、欠陥が含まれた糸条を特定することができる。

0077

また、前記第4のデータ処理手順D4により得られた欠陥データから、欠陥を含んだ周辺部の画像データを記録し、これに基づいて第5のデータ処理手順で欠陥データが分類されると好ましい。糸条の製造工程では、走行速度が高速であることから、走行糸条を目視で確認して欠陥の形状や糸条の状態を把握することは困難である。よって、欠陥を検出した部分の画像を保存しておくことで、目視では確認できなかった、実際の糸条ならびに欠陥の状態を映像として把握することができ、製造工程の改善や製品の品質向上に活用できる。具体的な方法としては、欠陥データから欠陥の重心点を算出し、重心点を中心に画像長手方向および画像幅方向に、例えば100画素ずつの範囲で、画像データを切り出し、画像データをビットマップ形式やJPEG形式といった画像ファイル形式でデータ処理手段を含んだ装置に保存する。例えば、パーソナルコンピュータのハードディスク画像ファイル(例:欠陥画像.bmp)を保存することで、欠陥を含んだ周辺部の画像データを記録することができる。

0078

<本発明の第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態は、前述の本発明の第1の実施形態に加えて、第5のデータ処理手順D5は、前記第4のデータ処理手順D4で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの糸条の走行方向に輝度分布を取得する第6のデータ処理手順と、前記第6のデータ処理手順で得られた輝度分布データを糸条の走行方向に微分して得られる前記輝度分布データの微分値を、予め設定した第2の閾値と比較判定して前記輝度分布データの微分値のピークをカウントし、前記ピークの数を予め設定した個数と比較判定して欠陥データを更新する第7のデータ処理手順とをさらに含んでいる。

0079

糸条の製造工程では、機械振動(例えば、糸条搬送ローラーの回転、トラバース往復運動)や生産工程中の張力変動や熱処理温度変動などの原因により、糸のたるみが発生する場合がある。糸のたるみが発生した場合は、糸条に糸条の走行方向に明部と暗部が連続して現れることがあり、糸条のエッジががたついた画像となる。その結果、糸のたるみを欠陥(特に「毛玉」)として誤検出してしまうことがある。そこで、糸のたるみを欠陥(とくに「毛玉」)とは分けて分類することが重要である。図16は、複数本の糸条が走行し、そのうちの1本が糸のたるみによる糸ゆれが発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。また、図17は、糸のたるみによる糸ゆれが発生している糸条の画像データの模式図である。

0080

「毛玉」は、単繊維群の一部が切れた部分が製造工程内の糸条搬送ロールや糸条の走行位置を整頓するガイドロールなどと接触し、擦過することで塊状となったものであるが、後延伸の前工程では、糸条搬送ロールやガイドロールなどが多いことから、「毛玉」は後延伸の前工程にて発生する可能性が高い。ここで、後延伸工程後の糸条走行速度を300〜700m/分、後延伸工程後の糸条の走行方向の検査範囲を100mm(走行時間に換算すると約0.01〜0.02秒となる)とすると、後延伸工程後の糸条は後延伸工程前の3〜10倍に延伸されることから、後延伸工程前における糸条の長さでは約10〜30mmに相当する。この範囲に複数の「毛玉」が連続して発生する可能性は低く、糸条の走行方向の輝度変化(明から暗もしくは暗から明)は1つであると考えることが出来る。具体的には、糸条の走行方向の一定の期間における画像データについて、データ処理手順D4で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの糸条の走行方向の輝度分布を取得し、得られた輝度分布データを糸条の走行方向に微分して得られる輝度分布データの微分値を、予め設定した第2の閾値と比較判定して前記輝度分布データの微分値のピークの数をカウントし、予め設定した個数と比較し、ピークの個数が1個であれば「毛玉」、2個以上であれば「糸たるみ」と判定することで、「毛玉」と糸のたるみによる糸ゆれを分類することができる。図17のAで図示している部分(糸条の画像データの端部)の輝度分布と、その微分値を図18に示している。また、図19は、図5の「毛玉」が発生している糸条の画像データの模式図である。図19のAで図示している部分(糸条の画像データの端部)の輝度分布と、その微分値を図20に示している。図18および図20において輝度分布の微分値を第2の閾値(TH2)と比較することで、糸のたるみによる糸ゆれが発生している糸条の画像データと「毛玉」が発生している糸条の画像データとを分類することができる。

0081

<本発明の第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態は、前述の本発明の第1の実施形態に加えて、第5のデータ処理手順D5は、前記第4のデータ処理手順D4で得られた欠陥データと関連づけられた複数個の残存部データのそれぞれの重心位置を算出する第8のデータ処理手順D8と、前記残存部データの重心位置間の距離を算出する第9のデータ処理手段と、前記重心間距離を、予め設定した第3の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第10のデータ処理手順とをさらに含んでいる。

0082

「捌け」は、糸条を構成する単繊維群の一部が糸条から離間し糸条に並走しているものであるが、図21に示すように、糸条から離間した部分の一部が平面からたるんで、その一部が暗く撮像されて画像に現れない場合がある。この場合の「捌け」は前記第5のデータ処理手順D5では正しく分類ができず、図22に示すような糸条の走行方向に連続して発生した「毛羽」と誤分類される場合がある。そこで、糸条から離間した部分の一部が暗い「捌け」と糸条の走行方向に連続して発生した「毛羽」とを分類することが重要である。

0083

「毛羽」は、単繊維群が工程内の糸条搬送ロールや糸条の走行位置を整頓するガイドロールなどと接触し擦過することで一部が切れたものであるが、糸条搬送ロールやガイドロールやガイドピンなどは後延伸の前工程に多いことから、「毛羽」は後延伸の前工程にて発生する可能性が高い。ここで、後延伸工程後の糸条走行速度を300〜700m/分、後延伸工程後の糸条の走行方向の検査範囲を100mm(走行時間に換算すると約0.01〜0.02秒となる)とすると、後延伸工程後の糸条は後延伸工程前の3〜10倍に延伸されることから、後延伸工程前における糸条の長さでは約10〜30mmに相当する。この範囲に複数の「毛羽」が発生する可能性は低いため、糸条走行方向に連続して発生した「毛羽」の糸条走行方向の間隔は30mmよりも広いと考えることができる。一方で、糸条から離間した部分の一部が平面からたるんで、その一部が暗い「捌け」の残像部データの間隔は狭い。したがって、残存部データのそれぞれの重心位置距離を算出し、予め定めた閾値と比較することで、閾値より大きければ糸条走行方向に連続して発生した「毛羽」、閾値より小さければ糸条から離間した部分の一部が平面からたるんで、その一部が暗い「捌け」と、分類することができる。

0084

図21は、複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に「捌け」が発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。また、図23は、図21の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。図21において、重心位置間距離(L)は汎用画像処理ソフトを用いて算出される。

0085

図22は、複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に「毛羽」が発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。また、図24は、図22の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。図22において、重心位置間距離(L)は汎用の画像処理ソフトを用いて算出される。

0086

<本発明の第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態は、前述の本発明の第1の実施形態に加えて、第5のデータ処理手順D5は、前記第4のデータ処理手順D4で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データの走行糸条方向および糸条幅方向における始点と終点との位置関係を算出する第11のデータ処理手順と、前記第11のデータ処理手順で得られた残存部データの始点と終点の位置関係を予め設定した第4の閾値と比較判定して欠陥データを更新する第12のデータ処理手順とをさらに含んでいる。

0087

「捌け」は単繊維群の一部が工程内のロールなどと接触し擦過、離間して並走しているものであるが、単繊維群の一部は切れてはいないものである。つまり、残存部データの始点と終点は単繊維群に接しており、画像の糸条走行方向をY座標、幅方向をX座標とすると、残存部データの始点X座標と終点X座標は糸条に接している(始点X座標と終点X座標はほぼ等しい)と考えることが出来る。

0088

図25は、複数本の糸条が走行し、そのうちの1本の糸条に「捌け」が発生している場合を撮像して得られた画像データの模式図である。また、図26は、図25の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。図26には、説明の都合で残存部データには現れない糸条部分を点線で図示している。残存部データの始点(Ps)と終点(Pe)の座標が算出される。

0089

一方で、「毛羽」は、単繊維群が工程内のロールなどと接触し擦過することで一部が切れたものであり、残存部データの始点X座標もしくは終点X座標のどちらか一方のみが糸条の上にある(始点X座標と終点X座標とは一致しない)と考えることが出来る。

0090

図27は、図6の模式図に示す画像データに対応する残存部データの模式図である。図27には、説明の都合で残存部データには現れない糸条部分を点線で図示している。残存部データの始点(Ps)と終点(Pe)の座標が算出される。

0091

そこで、残存部データの始点と終点とのX座標の差を予め設定した第4の閾値と比較し、残存部データの始点と終点とのX座標の差が第4の閾値より小さければ残存部データの始点と終点は糸条に接していると判断して「捌け」、残存部データの始点と終点とのX座標の差が第4の閾値より大きければ残存部データの始点と終点のどちらか一方のみが糸条に接していると判断して「毛羽」と分類することができる。

0092

<本発明の第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態は、前述の本発明の第1の実施形態に加えて、第5のデータ処理手順D5は、前述の本発明の第2の実施形態、前述の本発明の第3の実施形態、前述の本発明の第4の実施形態を、この順に実行するデータ処理手順をさらに含んでいる。すなわち、本発明の第5の実施形態は、第5のデータ処理手順が、第4のデータ処理手順で得られた欠陥データと関連づけられた残存部データについて、(i)第6および第7のデータ処理手順、(ii)第8、第9および第10のデータ処理手順、(iii)第11および第12のデータ処理手順を、この順に行うことを特徴としている。

0093

製糸工程にて発生する欠陥である「毛羽」と「毛玉」の有無は、糸条自体の品質および糸条によって形成される繊維製品の品質に大きく影響する。特に「毛玉」は単繊維群の一部が切れて塊状になった比較的大きな欠陥となることが多く、糸条自体の品質および製品の品質に大きく影響するため、欠陥のなかでも「毛玉」を精度良く検出する必要がある。そこで、第5のデータ処理手順D5は、初めに前述の本発明の第2の実施形態にて「毛玉」と「糸たるみ」との分類を実行する。ここで、前述の本発明の第2の実施形態にて「毛玉」として分類されなかった欠陥については、次に「毛羽」の分類を実行する。第5のデータ処理手順D5における「毛羽」と「捌け」の分類では、例えば、図22に示すような「毛羽」と図26に示すような「捌け」の分類は、まず前述の本発明の第3の実施形態を実行し、続いて前述の本発明の第4の実施形態を実行することで初めて正しく分類が可能となる。このように、第5のデータ処理手段D5はまず、本発明の第2の実施形態、次に本発明の第3の実施形態、つづいて本発明の第4の実施形態を実行することで、欠陥検出の精度が一層向上する。

0094

本発明の走行糸条の検査方法を検査工程に含んだ糸条の製造方法において、検査工程で検出した欠陥の個数、場所から検査工程の異常を特定し、製造工程の条件を変更する操作手順を含んでいても良い。糸条の製造工程において、本発明の走行糸条の検査方法を用いて検出した欠陥の数を、単位時間当たり、例えば1時間あたりに、走行している糸条の場所ごとで、時間的な変化をカウントした場合に、糸条の製造工程で、糸条走行用のロールや、糸条の走行位置を整頓するガイドロールの表面が損傷すると、損傷箇所に糸条が接触していると、損傷箇所の位置に該当する場所の糸条に欠陥が増大する傾向があり、欠陥数の時間的な変化にも特徴的な増加傾向が現れる。複数の糸条であれば、糸条の場所ごとに欠陥個数の時間的な変化を検査工程で監視し、例えば、単位時間当たりの欠陥個数に閾値となる個数を超えた時に、製造工程に異常を知らせる警報を発令し、糸条の製造工程を点検して異常個所修理することで、未然に糸条に欠陥が含まれる時間を短縮でき、糸条の製造工程の稼動時間に対して、欠陥が無い、もしくは少ない糸条を実施前に比べてより多く製造できることとなる。よって、本発明の走行糸条の検査方法を検査工程に含んだ糸条の製造方法において、欠陥の個数を基準に製造工程に生じた異常を特定し、製造工程の条件を変更する操作手順を含むことが望ましい。

0095

このような方法で製造された糸条を用いて得られる糸条パッケージは、本発明の走行糸条の検査方法により、パッケージ内の糸条に含まれる欠陥の個数や全長に対する欠陥の位置情報が事前に把握できていることから、例えば、糸条パッケージを後の工程で巻き出して使用する場合に、欠陥の無い品位良好な糸条のみを使用することができ、従来、欠陥に起因して発生していた後の工程のトラブルを未然に防止し、本発明の走行糸条の検査方法を使用する前に比べて、歩留まりを向上させることができる。

0096

以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。

0097

図1または図2の画像データ取得処理装置IDを元に、実施例において用いた走行糸条の検査装置の構成を以下に示す。

0098

照明手段:LEDバー型照明(300W,長さ1600mm,CCS社製HLND−1600SW2−R)
撮像手段:ラインセンサカメラ(8192画素、DALSA社製P2−43−8K−40)
糸条の走行面と照明手段がなす角度θ1:50°
糸条の走行面と撮像手段がなす角度θ2:50°
糸条の走行速度:400m/分
照明手段と糸条の走行面の距離WD:100mm。

0099

上記の構成により、同一面内に20糸条、並列して400m/分の速度で走行させて、欠陥の検出を実施した。欠陥の検出においては、「毛羽」、「毛玉」、「捌け」および「糸たるみ」の検出とその分類を実施した。

0100

ここで用いたデータ処理は以下の仕様とした。

0101

データ処理手段に用いた演算装置:パーソナルコンピュータ1台
CPU:IntelCore2Duo E7300(2.66GHz)
メモリ:2GB
OS:“WindowsXP(登録商標)”
画像処理ライブラリソフト:HALCON(Ver.9.0、MVTec社製)
テストに用いた画像データ:8192×1000画素8bitモノクロ
上記の構成で走行糸条を撮像し、欠陥の分類精度を比較した。

0102

[実施例1]
実施例1として、前記第1のデータ処理手順D1、前記第2のデータ処理手順D2、前記第3のデータ処理手順D3、前記第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データに対して、前記第5のデータ処理手順D5を用いて欠陥の分類を行った。

0103

前記第5のデータ処理手順D5は、「欠陥部分の明るさ」および「欠陥部分の糸条走行方向の長さ」および「欠陥部分の糸条幅方向の長さ」および「欠陥部分の面積」をそれぞれ組み合わせて用いた。具体的には、第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データに対して、「欠陥部分の明るさ」については、欠陥部分の明るさを算出し、予め設定した閾値と比較し、閾値を超えた場合は欠陥とした。欠陥部分の明るさの閾値には、10〜50(画素値)の範囲の任意の固定値を使用した。また、「欠陥部分の糸条走行方向の長さ」については、欠陥部の糸条の走行方向の長さを算出し、あらかじめ設定した閾値と比較し、閾値を超えた場合は「捌け」、閾値を超えない場合は「毛羽」とした。欠陥部分の糸条走行方向の長さの閾値には、15〜60mmの範囲の任意の固定値を使用した。また、「欠陥部分の糸条幅方向の長さ」については、欠陥部の糸条の幅方向の長さを算出し、あらかじめ設定した閾値と比較し、閾値を超えた場合は欠陥とした。欠陥部の糸条の幅方向の長さの閾値には、1mm〜5mmの任意の固定値を使用した。「欠陥部分の面積」については、欠陥部の面積を算出し、あらかじめ設定した閾値と比較し、閾値を超えない場合は「毛羽」とした。欠陥部の面積の閾値には、3mm2〜150mm2の任意の固定値を使用した。

0104

ここで、前記第5のデータ処理手順には、「毛玉」と「糸たるみ」の分類(前記第6のデータ処理手順および、前記第7のデータ処理手順)は含まない。また、「毛羽」と「捌け」の分類(前記第8のデータ処理手順、前記第9のデータ処理手順、前記第10のデータ処理手順および前記第11のデータ処理手順、前記第12のデータ処理手順)は含まない。

0105

[比較例]
比較例として、特許文献4のデータ処理手順を用いて、同様に欠陥の分類を行った。特許文献4のデータ処理手順では、「欠陥部分の明るさ」および「欠陥部分の糸条走行方向の長さ」および「欠陥部分の糸条幅方向の長さ」を用いた。ここで、特許文献4に記載のない「欠陥部分の面積」は欠陥分類には用いていない。

0106

[実施例2]
実施例2として、前記第1のデータ処理手順D1、前記第2のデータ処理手順D2、前記第3のデータ処理手順D3、前記第4のデータ処理手順D4、前記第5のデータ処理手順D5(前記第6のデータ処理手順および前記第7のデータ処理手順を含む)を用いてデータ処理を行った。

0107

前記第4のデータ処理手順によって得られた欠陥データに対して、糸条の両端(左側と右側)の輝度分布を糸条走行方向に渡って取得した。具体的には、糸条の走行方向の長さ100mmの範囲で、糸条の両端1mmずつの輝度分布を取得した。得られた輝度分布を微分して、あらかじめ設定した閾値と比較することでピークのカウントを行い、さらに、あらかじめ設定した個数の閾値と比較した。具体的には、糸条の走行方向の長さ100mmの範囲に、ピークの個数が1個であれば「毛玉」、2個以上であれば「糸たるみ」とした。

0108

ここで、前記第5のデータ処理手順には、「毛羽」と「捌け」の分類(前記第8のデータ処理手順、前記第9のデータ処理手順、前記第10のデータ処理手順および前記第11のデータ処理手順、前記第12のデータ処理手順)は含まない。

0109

[実施例3]
実施例3として、前記第1のデータ処理手順D1、前記第2のデータ処理手順D2、前記第3のデータ処理手順D3、前記第4のデータ処理手順D4、前記第5のデータ処理手順D5(前記第8のデータ処理手順、前記第9のデータ処理手順および前記第10のデータ処理手順を含む)を用いてデータ処理を行った。

0110

前記第4のデータ処理手順D4によって得られた欠陥データが2個以上存在した場合に、それぞれの欠陥データの重心位置を算出した。得られた各重心位置に対して、糸条の走行方向の長さ(重心位置間距離L)を算出し、さらに、あらかじめ設定した閾値と比較し、重心位置間距離Lが閾値を超えた場合は「毛羽」、閾値を超えない場合は「捌け」とした。具体的には、欠陥部分の糸条走行方向の長さの閾値には、30〜60mmの範囲の任意の固定値を使用した。

0111

ここで、前記第5のデータ処理手順D5には、「毛玉」と「糸たるみ」の分類(前記第6のデータ処理手順および、前記第7のデータ処理手順)は含まない。また、「毛羽」と「捌け」の分類(前記第11のデータ処理手順、前記第12のデータ処理手順)は含まない。

0112

[実施例4]
実施例4として、第1のデータ処理手順D1、第2のデータ処理手順D2、第3のデータ処理手順D3、第4のデータ処理手順D4、第5のデータ処理手順D5(第11のデータ処理手順、第12のデータ処理手順を含む)を用いてデータ処理を行った。

0113

前記第4のデータ処理手順によって得られた欠陥データに対して、走行糸条方向および糸条幅方向における始点(Ps)と終点(Pe)との位置関係を算出する第11のデータ処理手順と、前記第11のデータ処理手順により得られた残存部データの始点と終点の位置関係を予め設定した第4の閾値と比較判定して、閾値を超えた場合は「毛羽」、閾値を超えない場合は「捌け」とした。

0114

具体的には、残存部データの始点と終点のX座標閾値には、1〜3mmの範囲の任意の固定値を使用した。

0115

[実施例5]
実施例5−1として、(i)第6および第7のデータ処理手順、(ii)第8、第9および第10のデータ処理手順、(iii)第11および第12のデータ処理手順の順序でデータ処理した。

0116

実施例5−2として、(ii)第8、第9および第10のデータ処理手順、(iii)第11および第12のデータ処理手順、(i)第6および第7のデータ処理手順の順序でデータ処理した。

0117

実施例5−3として、(i)第6および第7のデータ処理手順、(iii)第11および第12のデータ処理手順、(ii)第8、第9および第10のデータ処理手順の順序でデータ処理した。

0118

「毛玉」、「毛羽」といった欠陥と「捌け」、「糸のたるみ」とを含むデータ100個を、実施例1〜5および比較例で欠陥分類し、「毛玉」と「毛羽」および「捌け」それぞれが適切に分類されているかどうかを調べた。分類精度の高い順にA、B、C、D、Eの5段階評価した結果を表に示す。ここで、分類精度90%以上をA、分類精度80%以上90%未満をB、分類精度70%以上80%未満をC、分類精度60%以上70%未満をD、分類精度60%未満をEとした。

0119

0120

実施例1〜5および比較例に示す結果から、高速に走行する糸条をオンラインで検査することにおいても従来の検査方法に比べて、本発明の走行糸条の検査方法では、「毛玉」や「毛羽」といった欠陥と「捌け」あるいは「糸のたるみ」とをさらに高い精度で検出することができることが明らかになった。

実施例

0121

また、本発明の走行糸条の検査方法を検査工程に含む糸条の製造方法において、前記検査工程で得られた検査結果を基に、製造工程に生じた異常を特定し、検査結果から迅速に工程点検修理を行うことで製造した糸条パッケージの歩留まりを向上させることができた。

0122

本発明によれば、並列に走行する多数の糸条をオンラインで同時に検査し、欠陥の検出を精度よく行い、糸条毎の欠陥の情報を得ることにより、糸条および糸条パッケージの品質管理を行うことができるため、糸条の製造工程および糸条の処理・加工工程に好適に用いられるが、その応用範囲がこれに限られるものではない。

0123

1:撮像手段
2:照明手段
3:データ処理手段
40:毛玉が第1のデータ処理手順によって抽出された毛玉抽出部
41:毛玉抽出部40から第2のデータ処理手順によって輪郭部が抽出された毛玉輪郭部
42:毛玉輪郭部41から第3のデータ処理手順によって抽出された毛玉残存部
50:毛羽が第1のデータ処理手順によって抽出された毛羽抽出部
51:毛羽抽出部50から第2のデータ処理手順によって輪郭部が抽出された毛羽輪郭部
52:毛羽輪郭部51から第3のデータ処理手順によって抽出された毛羽残存部
60A:単繊維群の一部が糸条から離間して走行している形態が、第1のデータ処理手順によって抽出された抽出部
60B:単繊維群の一部が糸条から離間して並走しているが単繊維群の一部は切れてはいない形態が、第1のデータ処理手順によって抽出された抽出部
60C:単繊維群の一部が糸条から離間して並走しているが単繊維群の一部は切れてはいない形態が、第1のデータ処理手順によって抽出された抽出部
61:走行糸条間に形成された背景部分に浮遊する浮遊物が、第1のデータ処理手順によって抽出された抽出部
B{B1〜Bn+1}:走行糸条間と走行糸条の外側に形成された背景部分
b{b1〜bn+1}:背景部分Bが第1のデータ処理手順によって抽出された対応部
ID:画像データ取得処理装置
L:重心位置間距離
P1:第1の側
P2:第2の側
R1、R2:糸条搬送ロール
TH2:第2の閾値
YCD:糸条の走行方向
YCP:糸条の走行面
YT{YT1〜YTn}:走行糸条
yt{yt1〜ytn}:走行糸条YTが第1のデータ処理手順によって抽出された対応部分
WD:照明手段と糸条の走行面の距離
θ1:糸条の走行面と照明手段がなす角度
θ2:糸条の走行面と撮像手段がなす角度

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    【課題】繊維含有部材を検査する際の検査精度を向上する。【解決手段】繊維含有部材である検査対象物100の一面102側に光を照射して、他面104側に透過する光の量を検知することで、検査対象物100を検査す... 詳細

  • 株式会社メタルワンの「 鉄スクラップ検品方法および鉄スクラップ検品システム」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】非鉄物質、および密閉された密閉物を含む禁忌物を、トラックの荷台に山積みされた鉄スクラップ群のなかから効率よく検出する。【解決手段】鉄スクラップヤード設備と連携させ、トラック停車位置30に停車し... 詳細

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