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技術 ポリ乳酸系樹脂組成物及び成形体

出願人 ユニチカ株式会社
発明者 石井成明竹谷豊上田一恵
出願日 2012年9月25日 (8年7ヶ月経過) 出願番号 2012-210967
公開日 2014年4月17日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2014-065794
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 生分解性ポリマー
主要キーワード カラープレート 測定用試料溶液 食品用フィルム 衝撃ヘッド 多層重合体 静置分離後 コアシェル型構造 社会的要求
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

透明性、耐衝撃性、柔軟性のいずれにも優れ、食品用フィルムなどにも用いることが可能なポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。

解決手段

ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)及び(メタアクリル酸エステル系重合体(C)を含有し、以下(イ)〜(ハ)の条件を満たすポリ乳酸系樹脂組成物。(イ)多層構造重合体(B)が、コア層シェル層とから構成され、コア層がアクリルゴムを含有し、シェル層がコア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。(ロ)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の重量平均分子量100万以上、1500万未満である。(ハ)(B)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である。

概要

背景

新聞雑誌食品などの包装材料として使用されるフィルムは、近年の環境保全に関する社会的要求の高まりに伴い、生分解性樹脂にて形成されることが望まれている。生分解性樹脂の中でもポリ乳酸は、自然界に広く存在し、動植物人畜に対してほとんど害がなく、融点が140〜175℃であって十分な耐熱性を有し、非常に高い透明性を有するとともに、比較的安価な熱可塑性樹脂であり、また植物由来原料から製造できるため、大きな注目を集めている。

しかしながら、ポリ乳酸からなるシートやフィルムは、そのままでは非常に固く脆い性質をもつために、柔軟性、耐衝撃性が必要とされる分野に使用することは困難であった。

ポリ乳酸の耐衝撃性、耐屈曲性を改良するために、種々の研究が行われている。例えば、特許文献1では、ポリ乳酸に、耐衝撃性が優れる透明樹脂であるポリカーボネ—トを混合し、有機ポリシロキサンポリカーボネート共重合体アクリルコアシェル型衝撃改良剤を含む組成物が開示されている。また、特許文献2では、ポリ乳酸とシリコーンアクリル複合ゴムを含有した混合樹脂からなる熱収縮フィルムが開示されている。さらに特許文献3では、ポリ乳酸にエポキシ化天然ゴムを添加することで、低温での耐衝撃性が改善されることが開示されている。

しかしながら、特許文献1、2、3記載の樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ポリ乳酸の長所である透明性が損なわれるため、透明性が求められる食品用フィルム工業用フィルムなどの用途に用いるには困難であった。

また、特許文献4では、ポリ乳酸との相溶性がよいアクリル系重合体と、ポリ乳酸と、ゴム質重合体ビニル系単量体グラフトしたグラフト共重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物は、透明性は良いものの、柔軟性に乏しく、風合いに劣り、耐衝撃性、耐屈曲性も不十分であった。

さらに、特許文献5では、ポリ乳酸と多層構造重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらの特許文献では、耐衝撃性、柔軟性、耐屈曲性に優れた樹脂組成物を得るために、実質的には一種類の多層構造重合体を少なくとも10質量%程度添加した樹脂組成物が示されている。つまり、樹脂組成物に一種類の多層構造重合体を10質量%程度添加しないと、耐衝撃性、耐屈曲性の向上効果発現しないが、多層構造重合体の添加量が多くなると、得られる樹脂組成物の透明性が低下するという問題があった。

特許文献6では、ポリ乳酸と、エポキシ変性シリコーンアクリルゴムと、メチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合ゴムとを含有する樹脂組成物が開示されている。上記特定の2種類のゴム成分を用いることによって、この樹脂組成物は、これら以外のゴム成分を同量用いた場合と比較して、耐衝撃性が向上する。

しかしながら、エポキシ変性シリコーン・アクリルゴムは、ポリ乳酸と反応し、ゲル化しやすくなるため、これを含有する樹脂組成物をシートやフィルムなどに成形すると、成形体にはゲル化した部分が目立ち、品位や透明性に劣るものしか得られないという問題があった。また、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合ゴムは、コアシェル型構造コア層がブタジエン・スチレン重合体であるため、得られる樹脂組成物や成形体の透明性が損なわれるという問題があった。

このように特許文献6に開示されている樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ゲル化しやすく、ポリ乳酸特有の優れた透明性も損なわれるという問題点があり、透明性が求められるシートやフィルム用途に用いることは困難であった。

概要

透明性、耐衝撃性、柔軟性のいずれにも優れ、食品用フィルムなどにも用いることが可能なポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)及び(メタアクリル酸エステル系重合体(C)を含有し、以下(イ)〜(ハ)の条件を満たすポリ乳酸系樹脂組成物。(イ)多層構造重合体(B)が、コア層とシェル層とから構成され、コア層がアクリルゴムを含有し、シェル層がコア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。(ロ)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の重量平均分子量100万以上、1500万未満である。(ハ)(B)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である。なし

目的

新聞・雑誌・食品などの包装材料として使用されるフィルムは、近年の環境保全に関する社会的要求の高まりに伴い、生分解性樹脂にて形成されることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)及び(メタアクリル酸エステル系重合体(C)を含有し、以下(イ)〜(ハ)の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。(イ)多層構造重合体(B)が、コア層シェル層とから構成され、コア層がアクリルゴムを含有し、シェル層がコア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。(ロ)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の重量平均分子量100万以上、1500万未満である。(ハ)多層構造重合体(B)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である。

請求項2

請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体

技術分野

0001

本発明は、透明性、柔軟性、耐衝撃性に優れるポリ乳酸系樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる成形体に関するものである。

背景技術

0002

新聞雑誌食品などの包装材料として使用されるフィルムは、近年の環境保全に関する社会的要求の高まりに伴い、生分解性樹脂にて形成されることが望まれている。生分解性樹脂の中でもポリ乳酸は、自然界に広く存在し、動植物人畜に対してほとんど害がなく、融点が140〜175℃であって十分な耐熱性を有し、非常に高い透明性を有するとともに、比較的安価な熱可塑性樹脂であり、また植物由来原料から製造できるため、大きな注目を集めている。

0003

しかしながら、ポリ乳酸からなるシートやフィルムは、そのままでは非常に固く脆い性質をもつために、柔軟性、耐衝撃性が必要とされる分野に使用することは困難であった。

0004

ポリ乳酸の耐衝撃性、耐屈曲性を改良するために、種々の研究が行われている。例えば、特許文献1では、ポリ乳酸に、耐衝撃性が優れる透明樹脂であるポリカーボネ—トを混合し、有機ポリシロキサンポリカーボネート共重合体アクリルコアシェル型衝撃改良剤を含む組成物が開示されている。また、特許文献2では、ポリ乳酸とシリコーンアクリル複合ゴムを含有した混合樹脂からなる熱収縮フィルムが開示されている。さらに特許文献3では、ポリ乳酸にエポキシ化天然ゴムを添加することで、低温での耐衝撃性が改善されることが開示されている。

0005

しかしながら、特許文献1、2、3記載の樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ポリ乳酸の長所である透明性が損なわれるため、透明性が求められる食品用フィルム工業用フィルムなどの用途に用いるには困難であった。

0006

また、特許文献4では、ポリ乳酸との相溶性がよいアクリル系重合体と、ポリ乳酸と、ゴム質重合体ビニル系単量体グラフトしたグラフト共重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物は、透明性は良いものの、柔軟性に乏しく、風合いに劣り、耐衝撃性、耐屈曲性も不十分であった。

0007

さらに、特許文献5では、ポリ乳酸と多層構造重合体とを含有する樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これらの特許文献では、耐衝撃性、柔軟性、耐屈曲性に優れた樹脂組成物を得るために、実質的には一種類の多層構造重合体を少なくとも10質量%程度添加した樹脂組成物が示されている。つまり、樹脂組成物に一種類の多層構造重合体を10質量%程度添加しないと、耐衝撃性、耐屈曲性の向上効果発現しないが、多層構造重合体の添加量が多くなると、得られる樹脂組成物の透明性が低下するという問題があった。

0008

特許文献6では、ポリ乳酸と、エポキシ変性シリコーンアクリルゴムと、メチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合ゴムとを含有する樹脂組成物が開示されている。上記特定の2種類のゴム成分を用いることによって、この樹脂組成物は、これら以外のゴム成分を同量用いた場合と比較して、耐衝撃性が向上する。

0009

しかしながら、エポキシ変性シリコーン・アクリルゴムは、ポリ乳酸と反応し、ゲル化しやすくなるため、これを含有する樹脂組成物をシートやフィルムなどに成形すると、成形体にはゲル化した部分が目立ち、品位や透明性に劣るものしか得られないという問題があった。また、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合ゴムは、コアシェル型構造コア層がブタジエン・スチレン重合体であるため、得られる樹脂組成物や成形体の透明性が損なわれるという問題があった。

0010

このように特許文献6に開示されている樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、ゲル化しやすく、ポリ乳酸特有の優れた透明性も損なわれるという問題点があり、透明性が求められるシートやフィルム用途に用いることは困難であった。

先行技術

0011

米国特許第7309730号明細書
特開2007−177140号公報
米国特許第6495631号明細書
国際公開第2005/85352号
特開2003−286396号公報
特開2009−263526号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、上記問題点を解決するものであって、透明性、耐衝撃性、柔軟性のいずれにも優れ、食品用フィルムなどにも用いることが可能なポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを技術的な課題とするものである。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは上記課題を解決するために研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂(A)に、特定の成分からなるコアシェル構造の多層構造重合体(B)と、高分子量の(メタアクリル酸エステル系重合体(C)とを添加することにより、両重合体が奏する効果(耐衝撃性と柔軟性の向上効果)が相乗的に発揮され、少量ずつの添加でも十分な効果を奏することが可能となり、その結果、透明性を損なうことなく、耐衝撃性、柔軟性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得ることが可能となることを見出し、本発明に到達した。

0014

すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)を含有し、以下(イ)〜(ハ)の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(イ)多層構造重合体(B)が、コア層とシェル層とから構成され、コア層がアクリルゴムを含有し、シェル層がコア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。
(ロ)(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の重量平均分子量100万以上、1500万未満である。
(ハ)多層構造重合体(B)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
(2)(1)に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなる成形体。

発明の効果

0015

本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)に、特定の成分からなるコアシェル構造の多層構造重合体(B)と、高分子量の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とを添加することにより、両重合体が奏する効果(耐衝撃性と柔軟性の向上効果)が相乗的に発揮され、少量ずつの添加でも十分な効果を奏することが可能となる。このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂が本来有する高い透明性を維持したうえで、耐衝撃性、柔軟性が向上したものとなる。
よって、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、フィルム、シート、射出成形体発泡体等の種々の成形体に成形することができ、各種の用途に広く用いることが可能となる。

0016

以下、本発明を詳細に説明する。
まず、ポリ乳酸樹脂(A)について説明する。本発明におけるポリ乳酸樹脂(A)としては、乳酸構造単位L−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、またはこれらの混合体が挙げられる。

0017

ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、12万〜20万であることがより好ましい。樹脂組成物の主成分であるポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量が10万未満であると、得られる成形体は機械的特性に劣るものになりやすい。一方、重量平均分子量が30万を超えると溶融粘度が高くなりすぎて、成形体を得る際の溶融押出が困難となりやすい。

0018

本発明で用いるポリ乳酸樹脂(A)としては、結晶性ポリ乳酸および非晶性ポリ乳酸のいずれを用いてもよいが、成形体とする際の安定性と耐熱性の確保を考慮すると、結晶性ポリ乳酸を使用することが好ましい。
なお、ここでいう結晶性ポリ乳酸とは、140〜175℃の範囲の融点を有するポリ乳酸を指し、非晶性ポリ乳酸とは、実質的に融点を有しないポリ乳酸を指す。

0019

ポリ乳酸樹脂(A)を結晶性ポリ乳酸とするためには、ポリ乳酸樹脂(A)中のD体含有量は、5モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましく、さらには1モル%以下であることが好ましい。D体含有量が5モル%を超えると、ポリ乳酸の結晶性が低下して、結晶核剤を添加したり、特定の熱処理を施しても十分に結晶化しなくなり、成形体を得る際の操業性が低下し、得られる成形体は耐熱性に劣るものとなりやすい。

0020

本発明に用いるポリ乳酸樹脂(A)としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂を用いることができ、異なる種類のものを組み合わせて用いることもできる。また、乳酸の環状2量体であるラクチド原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。

0021

また、ポリ乳酸樹脂(A)中の残留ラクチド量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが最も好ましい。残留ラクチド量が0.5質量%を超えると、成形体を得る際、例えばシートやフィルム製膜時に、発煙が著しく、ダイス近辺の装置が汚染されたり、製品の品位が低くなったり、操業性も低下しやすい。さらに、成形体の耐久性なども劣るために好ましくない。
残留ラクチド量を低減する方法としては、ポリ乳酸樹脂(A)を重合する際に融点以上の温度で減圧して除去する方法や、ポリ乳酸樹脂(A)重合後のペレット高温(60〜160℃)減圧下で処理して除去する方法や、温水中に浸漬して抽出除去する方法が挙げられる。

0022

本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)を主成分とするものであり、ポリ乳酸樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物全体の80〜99質量%であることが好ましく、85〜98質量%であることがより好ましく、90〜96質量%であることが最も好ましい。ポリ樹脂樹脂(A)の含有量が多くなりすぎると、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が少なくなりすぎ、耐衝撃性と柔軟性の向上効果に乏しいものとなる。一方、ポリ乳酸樹脂(A)の含有量が少ないと、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が多くなるため、樹脂組成物の透明性が低下する。

0023

なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物においては、効果を損なわない範囲であれば、ポリ乳酸樹脂(A)以外の他の樹脂を含有していてもよい。

0024

このような他の樹脂としては、ポリオレフィンポリエステルポリアミドポリカーボネートポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、液晶ポリマーポリアセタールなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレンポリプロピレン、などが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6Tなどが挙げられる。ポリエステルとしては、各種芳香族ポリエステル、各種脂肪族ポリエステルをはじめ多くのものが挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリアリレートポリブチレンアジペートテレフタレートなどが挙げられ、脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート−乳酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸などが挙げられる。

0025

この他のポリエステル系のものとしては、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリブチレンナフタレートポリエチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリブチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレートコテレフタレート、p−ヒドロキシ安息香酸残基とエチレンテレフタレート残基からなるコポリエステル植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリトリメチレンテレフタレート等などが挙げられる。ポリ乳酸樹脂(A)とこれらの樹脂を混合する方法は特に限定されない。

0026

次に、多層構造重合体(B)について説明する。
本発明における多層構造重合体(B)とは、コア層とそれを覆うシェル層から構成されるものであり、隣接し合う層は異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有する重合体である。そして、コア層、シェル層ともに層の数は1以上であり、2以上の複数の層を有するものであってもよい。

0027

多層構造重合体(B)のコア層はアクリルゴムを含有するものであるが、中でもコア層がアクリルゴムにより形成されているものが好ましい。シェル層は、コア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。
このような多層構造重合体(B)をポリ乳酸樹脂(A)に含有させることにより、得られる樹脂組成物の耐衝撃性や柔軟性を向上させることができる。

0028

多層構造重合体(B)のコア層が含有するアクリルゴムは、単量体としてアクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量は、アクリルゴムを構成する単量体の全質量の50〜100質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましく、65〜95質量%であることがさらに好ましい。アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量が50質量%未満では、最終的に得られる成形体の耐衝撃性や柔軟性が十分に向上せず、また成形体の透明性が低下する場合がある。

0029

アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、メチルアクリレートエチルアクリレート、n−プロピルアクリレートn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、トリデシルアクリレートエトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレートブチルメタクリレートラウリルメタクリレートステアリルメタクリレート等が挙げられ、中でもn−ブチルアクリレートが好ましい。

0030

アクリルゴムを構成する単量体としてアクリル酸アルキルエステル単量体のみを用いる場合以外は、アクリル酸アルキルエステル単量体と他の単量体とからなる混合物を重合することによりアクリルゴムを得る。他の単量体としては、芳香族ビニル単量体や、アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体と共重合可能ビニル単量体が挙げられる。また必要に応じて多官能性単量体を5質量%以下程度であれば含んでいてもよい。

0031

本発明において、多層構造重合体(B)のシェル層は、上記したコア層のアクリルゴムの存在下に、1種または2種以上のビニル系単量体を、コア層のアクリルゴムにグラフト重合させることにより得られるものである。このように多層構造重合体(B)は、アクリルゴムグラフト共重合体である。
ビニル系単量体としては、メチルメタクリレートを単独で用いるか、またはメチルメタクリレートに、スチレン、α−メチルスチレンビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等を併用して用いることができる。これら単量体の使用量はアクリルゴムグラフト共重合体の20質量%以下であることが好ましい。

0032

上記した多層構造重合体(B)の市販されているものとしては、ロームアンドハース社製「パライドBPM−500」、ロームアンドハース社製「パラロイドBPM−515」、三菱レイヨン社製「メタブレンW−450A」、三菱レイヨン社製「メタブレンW−600A」などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上併用して用いることができる。

0033

多層構造重合体(B)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが必要であり、中でも0.5〜10質量部であることが好ましく、1.0〜6質量部であることがより好ましい。多層構造重合体(B)の含有量が上記範囲より少ないと、耐衝撃性や柔軟性に優れた樹脂組成物を得ることが困難となる。一方、多層構造重合体(B)の含有量が上記範囲より多くなると、ポリ乳酸樹脂(A)の特徴である優れた透明性が損なわれ、得られる樹脂組成物は透明性に劣るものとなる。

0034

次に、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)について説明する。
本発明における(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、アクリル酸およびそのエステルメタクリル酸およびそのエステルなどの単量体で構成されたものがよく、これら単量体1種のみの単独重合体、または2種以上の単量体の共重合体の何れでもよく、共重合体においてはブロック共重合体ランダム共重合体、グラフト共重合体、あるいはこれらの組み合わせによるいずれの共重合体であっても良い。このような(メタ)アクリル酸およびそのエステルの単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデシニルなどが挙げられる。また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの置換スチレンなどの単量体を共重合させることもできる。

0035

上記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(C)の重合方法としては、特に制限はなく、溶液重合懸濁重合塊状重合等の公知の方法が用いられる。

0036

(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、重量平均分子量が100万以上、1500万未満であることが必要であるが、中でも150万〜1200万であることが好ましく、さらには300万〜1000万であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の重量平均分子量が100万未満であると、耐衝撃性や柔軟性向上効果が十分ではない。一方、重量平均分子量が1500万を超えると、得られる樹脂組成物の相溶性が損なわれたり、溶融粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になるという問題が生じる。

0037

このような(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)のうち、市販されているものとしては、例えば三菱レイヨン社製メタブレンPシリーズや、ローム・アンド・ハース社製のPARALOID Kシリーズ、またカネカ社製カネエースPAシリーズなどが挙げられる。

0038

上記の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、中でも0.3〜8質量部であることが好ましく、0.5〜6質量部であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が0.1質量部未満では、耐衝撃性や柔軟性に優れた樹脂組成物を得ることが困難となる。一方、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が10質量部を超えると、得られる樹脂組成物が透明性に劣るだけではなく、成形体を作製する際に流動性が大幅に低下するため好ましくない。

0039

本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記したようなポリ乳酸樹脂(A)と、多層構造重合体(B)と、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とを含有する樹脂組成物である。本発明においては、特定の成分からなるコアシェル構造の多層構造重合体(B)と高分子量の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とを選択し、かつ併用することが重要なポイントである。
このような多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)を併用することで、それぞれの効果(耐衝撃性と柔軟性の向上効果)が相乗的に発揮され、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とが樹脂組成物中に少量ずつの添加であっても、それぞれが有する効果が十分に発揮される。その結果、ポリ乳酸樹脂(A)の透明性を損なうことなく、耐衝撃性、柔軟性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得ることが可能となる。

0040

また、本発明において、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の合計含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、1〜16質量部であることが好ましく、中でも2〜10質量部であることが好ましく、2〜8質量部であることがより好ましい。
多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の合計含有量が1質量部未満であると、耐衝撃性と柔軟性の向上効果が乏しくなる。一方、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の合計含有量が16質量部を超えると、得られる樹脂組成物は透明性に劣るものとなるだけではなく、成形体を作製する際の操業性が悪くなったり、得られる成形体の耐熱性が低下する。

0041

また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中の多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の質量比は、90/10〜50/50であることが好ましい。このような比率で両重合体を含有することにより、より効果的に耐衝撃性と柔軟性が付与される。

0042

上記したように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いると、透明性、耐衝撃性、柔軟性に優れた成形体を得ることができる。本発明の樹脂組成物より得られる成形体については後述するが、その透明性を示す指標として、厚み100〜500μmのシートの場合で、ヘイズ値が10%以下とすることが可能である。中でもヘイズ値は7%未満であることが好ましく、さらには6%未満であることが好ましい。ヘイズ値が10%以上のフィルムであると、透明性が低下し、例えば包装材で使用した場合、内容物の確認が難しくなる。

0043

また、本発明における耐衝撃性、柔軟性はいずれも相互に関連のある性能である。そして、耐衝撃性を示す指標としては、厚み100〜500μmのシートの場合、衝撃強度(後述する実施例において測定方法を記載)は5kgf・cm/100μm以上とすることが可能であり、中でも8kgf・cm/100μm以上であることが好ましく、さらには、10kgf・cm/100μm以上であることが好ましい。

0044

透明性と耐衝撃性等の性能の両者ともに優れたポリ乳酸系樹脂組成物を得ることは、従来の技術では困難であった。しかし、本発明者らが検討する中で、コア層とシェル層が特定の成分からなるアクリルゴムグラフト共重合体である多層構造重合体(B)と、重量平均分子量が100万以上である高分子量の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とを選択し、両者を併用し、かつ特定量を含有させることにより、特異的にポリ乳酸樹脂の透明性と耐衝撃性等の両性能を向上させることがわかった。そのメカニズムは不明であるが、ポリ乳酸樹脂(A)と多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とは相溶性に優れており、樹脂組成物中のこれらの優れた分散性関与しているものと想定される。

0045

また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の3成分以外に以下に示すような添加剤が含有されていてもよい。例えば末端封鎖剤紫外線防止剤光安定剤防曇剤、防霧剤、帯電防止剤可塑剤難燃剤着色防止剤酸化防止剤充填材顔料離型剤防湿剤酸素バリア剤、結晶核剤等の各種添加剤が挙げられる。ただし、反応性を有する官能基エポキシ基アリル基等)を含有する成分は好ましくない。樹脂組成物中に反応性を有する官能基(エポキシ基やアリル基等)を含む場合、官能基がポリ乳酸と反応し、ポリ乳酸がゲル化しやすくなる。ポリ乳酸がゲル化すると、得られる成形体にゲル化した部分が生じ、品位が低下するとともに透明性も低下しやすくなる。

0046

次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法について説明する。
多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は粉末状態であることが多く、製造工程での供給ラインの汚染が問題になりやすい。このため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造に際しては、ポリ乳酸樹脂(A)中に多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とが高濃度に添加されたマスターバッチペレットを作製し、このマスターバッチペレットをポリ乳酸樹脂(A)で希釈することによりポリ乳酸系樹脂組成物を得る方法を採用することが好ましい。

0047

このようなマスターバッチペレットにおいて、多層構造重合体(B)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、中でも15〜50質量部であることが好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。多層構造重合体(B)の含有量が10質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を得る際にマスターバッチペレットの使用量が多くなり、多層構造重合体を高濃度に含有するマスターバッチペレットとは言えないものとなる。一方、含有量が50質量部を超えると、マスターバッチペレット作製時の操業性が低下し、多層構造重合体の分散性が低くなり、得られるマスターバッチペレットに濃度むらが生じる。

0048

このようなマスターバッチペレットにおける(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、中でも5〜20質量部であることが好ましく、7〜15質量部であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して3質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を得る際にマスターバッチペレットの使用量が多くなり、多層構造重合体を高濃度に含有するマスターバッチペレットとは言えないものとなる。一方、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)の含有量が20質量部を超えると、粘度が高くなりすぎてマスターバッチペレット作製時の操業性が低下し、多層構造重合体の分散性が低くなり、得られたマスターバッチペレットに濃度むらが生じる。

0049

次に、上記したような本発明のマスターバッチペレットを製造した後、ポリ乳酸樹脂(A)で希釈して、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を製造する方法について説明する。
まず、本発明のマスターバッチペレットの製造方法について説明する。押出機中に、ポリ乳酸樹脂(A)と、多層構造重合体(B)と、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)とを添加し、溶融混練する。このとき、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行い、シリンダー温度180〜230℃、ダイス温度190〜240℃に加熱し、樹脂組成物を溶融混練して押出して、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットする方法が好ましい。用いる押出機は混練能力から2軸押出機が好ましい。また、添加方法としては、多層構造重合体(B)および(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)を別フィーダーから添加する方法、ドライブレンドをしてホッパーから添加する方法など特に制限はないが、多層構造重合体(B)と(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)は、粒径が異なるうえに添加量も多いことから、それぞれ別フィーダーで計量して添加することが好ましい。

0050

そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記のようにして得られたマスターバッチペレットを用い、多層構造重合体(B)や(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)が所望の濃度となるように、ポリ乳酸樹脂(A)で希釈することにより得ることができる。具体的には、マスターバッチペレットとポリ乳酸樹脂(A)をドライブレンドした後、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行うことが好ましい。

0051

次に、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるものであり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を、押出成形射出成形ブロー成形インフレーション成形インジェクションブロー成形発泡シート成形、および、シート加工後の真空成形圧空成形真空圧空成形等の方法により成形されたものである。

0052

すなわち、本発明の成形体は、押出成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体、あるいは、射出成形してなる成形体、あるいは、ビーズ発泡押出発泡の成形体、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体などが挙げられる。中でも本発明の成形体としては、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の透明性に優れるという利点を生かして、押出成形してなるシートやシートを延伸してなるフィルムとすることが好ましい。

0053

次に、本発明の成形体の製造方法として、シート及びフィルムの製造方法について説明する。
シートの製造方法としては、Tダイ法、インフレーション法カレンダー法等が挙げられる。中でも、Tダイを用いて材料を溶融混練して押出すTダイ法、インフレーション法が好ましい。Tダイ法によりポリ乳酸系シートを製造する場合には、予め上記したようなマスターバッチペレットを作製しておき、マスターバッチペレットとポリ乳酸樹脂(A)とを製膜装置押出機ホッパーに供給することが好ましい。溶融混練に際しては、単軸押出機二軸押出機ロール混練機ブラベンダーなどの一般的な混練機を使用することができる。

0054

製膜時の温度条件としては、シリンダー温度は150〜250℃、Tダイ温度は160〜250℃とすることが好ましい。また、キャストロールは20〜50℃に制御されていることが好ましい。この方法によれば、厚み50〜2000μmのポリ乳酸系シートを得ることができる。

0055

次に、フィルムの製造方法としては、上記製造方法で作製したポリ乳酸系シートを一軸もしくは二軸延伸することが好ましい。延伸方法としては、ロール法テンター法等が挙げられ、一軸延伸法、逐次二軸延伸法あるいは同時二軸延伸法のいずれかを採用することが好ましい。延伸での面倍率は4〜16倍であることが好ましい。面倍率が4倍未満であると、得られるフィルムの機械物性、特に引張強度が低く、実用に耐えないことがある。また、面倍率が16倍を超えると、フィルムが延伸途中延伸応力に耐えきれず破断してしまうことがあるため好ましくない。

0056

延伸時のシート温度は、50〜110℃が好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。延伸温度が50℃未満であると、延伸のための熱量不足によりフィルムが延伸初期で破断する。また110℃を超えると、フィルムに熱が加わりすぎてドロー延伸となり延伸を多発する傾向がある。

0057

また、延伸フィルムに寸法安定性を付与する目的で、延伸後、熱弛緩処理を施してもよい。熱弛緩処理の方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる方法等が選択でき、均一に精度良く加熱できる点で熱風を吹き付ける方法が好ましい。その際、80〜160℃の範囲で1秒以上であることが好ましく、かつ、2〜8%のリラックス率の条件下で実施することが好ましい。

0058

次に実施例により本発明を具体的に説明する。実施例における各種の特性値の測定及び評価は以下のように行った。

0059

(1)ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)
示差屈折率検出器島津製作所社製、RID−10A)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(島津製作所社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として、流速1.0ml/min、40℃で測定した。カラムは、SHODEX KF−805L、KF−804L(昭和電工社製)を連結して用いた。サンプルは、ポリ乳酸樹脂(A)10mgをクロロホルム0.5mlに溶解後、THF5mlで希釈し、0.45μmのフィルターでろ過してから測定に供した。分子量はポリスチレン(Waters社製)を標準試料として換算した。

0060

(2)ポリ乳酸樹脂(A)のD体含有量(モル%)
ポリ乳酸樹脂(A)約0.3gを1N−水酸化カリウムメタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌し、ポリ乳酸を分解させた後、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、乳酸メチルエステルとした。このサンプル5ml、純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、孔径0.45μmのHPLCディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemでGC測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをD体含有量(モル%)とした。

0061

(3)ポリ乳酸樹脂(A)の残留ラクチド量
ポリ乳酸樹脂(A)0.5gにジクロロメタン10ml、100ppmの2,6−ジメチル−γ−ピロン内部標準液を0.5ml加えてシェーカー(150rpm×40分)により攪拌し溶解させて測定用試料溶液を作成した。そこへシクロヘキサンを添加し、ポリマー析出させ、HPLC用ディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過し、ガスクロマトグラフィーで測定した。標準物質は東京化成工業製のL−ラクチドを用いた。
ガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、HP−6890)は、ヘリウム(He)をキャリアガスとして、流速2.5ml/minで、オーブンプログラムは80℃で1分間保持し、20℃/minで200℃まで昇温し、30℃/minで280℃まで昇温し、5分間保持する条件で行った。カラムは、J&W社製DB−17(30m×0.25mm×0.25μm)を用い、検出器はFID(温度300℃)、内部標準法で測定した。

0062

(4)ポリ乳酸樹脂(A)の融点
示差走査型熱量計パーキンエルマー社製DSC装置 DSC7)を用い、ポリ乳酸樹脂(A)を20℃から250℃まで20℃/分で昇温させ、5分間保持した後、250℃から0℃まで20℃/分で冷却して、0℃で5分間保持し、さらに0℃から250℃まで20℃/分で再昇温して測定される融解ピーク温度(Tm)を融点とした。

0063

(5)ヘイズ(透明性)
得られたシートおよび延伸フィルムについて、JIS−K7105により、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を用いて測定した。このとき、それぞれサンプル数を5とし、これらの測定値平均値を測定値とした。

0064

(6)シートの耐衝撃性
得られた厚み250μmのシートを用い、東洋精機製作所社製フィルム衝撃試験機を使用し、20℃、65%RH雰囲気下において、緊張下で固定したシートに振り子容量30kgf・cmの衝撃ヘッド(0.5インチ半球形)を打ち付け、シートの貫通に要したエネルギーを測定した。

0065

(7)延伸フィルムの柔軟性
得られた延伸フィルムの風合いを触感にて以下の2段階で評価した。
○:柔軟性あり
×:柔軟性なし

0066

(8)射出成形体の耐衝撃性
シャルピー衝撃試験
得られた曲げ試験片(X)を用い、ISO 179-1に従ってノッチ付の試験片を作製し、シャルピー衝撃強度を測定した。
落錘衝撃試験
得られた射出成形体〔カラープレート(Y)〕を用い、ASTM−2794に従って衝撃強度を測定した。なお、評価に用いたストライカー撃心Rは1/8インチとし、試験回数5回毎の破壊状態目視観察し、全く破壊されない時の落錘高さ(cm)から衝撃強度(J)を算出した。

0067

次に、実施例、比較例において用いた各種原料を示す。
〔ポリ乳酸樹脂(A)〕
(A−1):ネイチャーワークス社製、品番:4032D、D体含有量1.4モル%、残留ラクチド量0.2質量%、重量平均分子量(Mw)16万、融点165℃
(A−2):ネイチャーワークス社製、品番:4042D、D体含有4.0モル%、残留ラクチド量0.2質量%、重量平均分子量(Mw)16万、融点150℃。

0068

〔多層構造重合体(B)〕
(B−1):ロームアンドハース社製「パラロイドBPM−500」、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・メチルメタクリレートをアクリルゴムにグラフト重合させたもの
(B−2):ロームアンドハース社製「パラロイドBPM−515」、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・メチルメタクリレートをアクリルゴムにグラフト重合させたもの
(B−3):三菱レイヨン社製「メタブレンW−600A」、コアシェル型、コア層・・・アクリルゴム、シェル層・・・メチルメタクリレート系共重合体をアクリルゴムにグラフト重合させたもの
〔その他の多層重合体
(X−1):三菱レイヨン社製「メタブレンC−223A」、コアシェル型、コア層・・・ブタジエンゴムシェル成分・・・(メタ)アクリル酸メチル重合体

0069

〔(メタ)アクリル酸エステル系重合体(C)〕
(C−1):三菱レイヨン社製メタブレンP−531A、重量平均分子量450万
(C−2):三菱レイヨン社製メタブレン P−530A、重量平均分子量310万
〔低分子量の(メタ)アクリル酸エステル系重合体〕
(Y−1):三菱レイヨン社製メタブレン P−501A、重量平均分子量80万
(Y−2):三菱レイヨン社製メタブレン P−570A、重量平均分子量25万

0070

製造例1〜3
二軸押出機(東機械社製TEM26SS型)を用い、ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)として、表1に示す種類のものを表1に示す割合となるように、それぞれ別フィーダーで計量して根元供給口から添加し、バレル温度190℃、スクリュー回転数150rpm、吐出15kg/hの条件で溶融混練した。溶融混練の後、0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押出して、ペレット状にカッティングし、ペレットを得た。得られたペレットを真空乾燥機(ヤマト科学社製、商品名「真空乾燥機DP83」)にて、温度60℃で48時間乾燥処理し、マスターバッチペレットM−1〜M−3を得た。

0071

0072

実施例1
〔樹脂組成物〕
製造例1で得られたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸樹脂(A−1)とを、質量比〔(M−1)/(A−1)〕10/90でドライブレンドして、下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。
〔シート〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸樹脂(A−1)とを、口径90mmの単軸押出機にてTダイ温度230℃で溶融押出し、35℃に温度制御されたキャストロールに密着させて冷却し、本発明の樹脂組成物からなる厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートの端部を、テンター式同時二軸延伸機クリップ把持し、81℃の予熱ゾーン走行させた後、温度79℃でMDに3.0倍、TDに3.3で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率5%として、温度140℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記のようにドライブレンドしたマスターバッチペレット(M−1)とポリ乳酸樹脂(A−1)とを、日精樹脂社製 NEX110型射出成形機を用いて、シリンダー温度200℃、金型表面温度を25℃に調整しながら、縦80mm、横10mm、厚さ4mmのISO曲げ試験片(X)、および縦85mm、横50mm、厚さ2mmのASTMカラープレート(Y)を作製した。

0073

実施例2
マスターバッチペレット(M−1)に変えて、製造例2で得られたマスターバッチペレット(M−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、シート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。

0074

実施例3
マスターバッチペレット(M−1)に変えて、製造例3で得られたマスターバッチペレット(M−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、シート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。

0075

実施例4〜17、比較例1〜14
表2および表3に示す組成(割合)でポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体、(メタ)アクリル酸エステル重合体をドライブレンドして二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS型)の根元供給口から供給し、バレル温度190℃、スクリュー回転数150rpm、吐出15kg/hの条件で溶融混練した。溶融混練の後、0.4mm径×3孔のダイスよりストランドを押出して、ペレット状にカッティングし、真空乾燥機(ヤマト科学社製、商品名「真空乾燥機DP83」)にて、温度60℃で48時間乾燥処理し、樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて下記に示すシート、延伸フィルム、射出成形体を製造した。
〔シート〕
上記で得られたペレットを、口径90mmの単軸押出機にてTダイ温度230℃で溶融押出し、35℃に温度制御されたキャストロールに密着させて冷却し、本発明の樹脂組成物からなる厚さ250μmのポリ乳酸系シートを得た。
〔延伸フィルム〕
得られたポリ乳酸系シートの端部を、テンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、81℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度79℃でMDに3.0倍、TDに3.3で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率5%として、温度140℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmのポリ乳酸系延伸フィルムを得た。
〔射出成形体〕
上記で得られたペレットを、日精樹脂社製 NEX110型射出成形機を用いて、シリンダー温度200℃、金型表面温度を25℃に調整しながら、縦80mm、横10mm、厚さ4mmのISO曲げ試験片(X)、および縦85mm、横50mm、厚さ2mmのASTMカラープレート(Y)を作製した。

0076

実施例1〜17で得られた樹脂組成物の組成、各種成形体の特性値を表2に、比較例1〜14で得られた樹脂組成物の組成、各種成形体の特性値を表3に示す。

0077

0078

実施例

0079

表2から明らかなように、実施例1〜17で得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)、多層構造重合体(B)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量が本発明の範囲内のものであったため、得られた各種の成形体は、透明性が高く、耐衝撃性、柔軟性に優れたものであった。
一方、表3から明らかなように、比較例1の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)を含有していないため、耐衝撃性と柔軟性に劣るものであった。比較例2の樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)を含有していないために、耐衝撃性と柔軟性に劣るものであった。比較例3の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)の含有量が本発明の範囲よりも多かったために、透明性に劣るものであった。比較例4の樹脂組成物は、多層構造重合体(B)を含有していないため、耐衝撃性と柔軟性に劣るものであった。比較例5〜9の樹脂組成物は、重合度の低い(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いていたため、耐衝撃性と柔軟性に劣るものであった。比較例10及び11の樹脂組成物は、本発明で規定する多層構造重合体を用いていなかったため、透明性に劣るものであった。比較例12の樹脂組成物は、本発明で規定する多層構造重合体及び重合度の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体を用いていなかったため、透明性、耐衝撃性、柔軟性ともに劣るものであった。比較例13及び14の樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(C)の含有量が多すぎたため、透明性に劣るものとなり、また各種成形体を製造する際に流動性が大幅に低下し、操業性にも劣るものであった。

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