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技術 線維状構造分析に基づく肌状態の鑑別法

出願人 ポーラ化成工業株式会社
発明者 水越興治平山賢哉
出願日 2013年8月26日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-174317
公開日 2014年4月17日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2014-064896
状態 特許登録済
技術分野 診断用測定記録装置 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定
主要キーワード 高速フーリエ変換解析 評価材料 内部構造情報 相対スコア 水平断面画像 皮膚紋理 対象物形状 対象形状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

真皮における線維状構造と肌状態との相関関係を明らかにし、簡便かつ高精度に、また非侵襲的に肌状態を推定することができる、肌状態の鑑別法を提供することを目的とする。

解決手段

線維状構造情報指標として肌状態を推定することにより、肌状態を鑑別する。

概要

背景

素肌を美しく保ったり化粧を施したりするために、スキンケアメークアップの方法を検討したり、化粧品を選択したりするに際して、肌の表面や内部の状態、例えば肌のハリ・弾力、色、角層の状態、老化度キメシワ毛穴等を的確に把握することは重要である。
これまでに、皮膚から得たレプリカ画像や皮膚の拡大写真評価材料として、これらに画像処理を施して得た情報を利用して、シワやキメを鑑別する技術が開示されている(特許文献1、2)。
また、皮膚を直接的に計測して、その内部構造情報を得て、肌の状態の鑑別に供する方法も開発されている。特に、厚みのある生体試料非侵襲的に観察することを可能とした共焦点レーザー顕微鏡により得た画像に基づいて、肌の状態を鑑別する方法が注目されている(特許文献3、4)。

ところで、皮膚構造支持体として機能し、また力学的役割を担っている真皮は、その90%以上がコラーゲン線維、数%がエラスチン線維からなる組織である。真皮において、これらの線維タンパク質は、束化した線維会合体として存在し、真皮のほぼ全層に絡み合って網目のような線維状構造を形成している。一般に加齢とともに真皮層は薄くなったり緩んだりするが、これは上記線維タンパク質の減少によるものであると考えられている。また、コラーゲン線維やエラスチン線維は紫外線などの光によってもダメージを受け(光老化)、存在量が減少するほか、断裂したり会合体が崩壊するなど質的にも変化したりする。
これらの線維状タンパク質は、肌の弾力性シワ形成に大きな影響を与え得ると考えられており、シワの進度予測のために皮膚の近赤外吸収スペクトルを用いて真皮コラーゲン存在量を定量する方法が知られている(特許文献5)。また逆に、キメや肌色などの皮膚表面情報指標として、コラーゲン様構造の等方性や線維の太さ等の皮膚内部構造推定する方法(特許文献6)も開示されている。

概要

真皮における線維状構造と肌状態との相関関係を明らかにし、簡便かつ高精度に、また非侵襲的に肌状態を推定することができる、肌状態の鑑別法を提供することを目的とする。線維状構造情報を指標として肌状態を推定することにより、肌状態を鑑別する。

目的

本発明は、かかる状況に鑑み、簡便かつ高精度に、また非侵襲的に、肌状態を高い精度で推定することができる、肌状態の鑑別法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

線維構造情報指標として肌状態推定することを特徴とする肌状態の鑑別法

請求項2

前記線維状構造情報が、鮮明度、方向性、及び太さから選択される線維状構造特徴量一種又は二種以上で表される、請求項1に記載の鑑別法。

請求項3

前記線維状構造特徴量が、共焦点レーザー顕微鏡を用いて計測されたものである、請求項2に記載の鑑別法。

請求項4

前記線維状構造特徴量が、皮膚表面情報に基づいて推定されたものである、請求項2に記載の鑑別法。

請求項5

前記肌状態が、ハリ・弾力、タルミ、肌色、キメ及び毛穴から選択される一種又は二種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鑑別法。

請求項6

前記肌状態の推定が、多変量解析によって得られた推定式を用いて行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鑑別法。

技術分野

0001

本発明は、皮膚の線維状構造の分析に基づいて肌状態鑑別する方法に関する。

背景技術

0002

素肌を美しく保ったり化粧を施したりするために、スキンケアメークアップの方法を検討したり、化粧品を選択したりするに際して、肌の表面や内部の状態、例えば肌のハリ・弾力、色、角層の状態、老化度キメシワ毛穴等を的確に把握することは重要である。
これまでに、皮膚から得たレプリカ画像や皮膚の拡大写真評価材料として、これらに画像処理を施して得た情報を利用して、シワやキメを鑑別する技術が開示されている(特許文献1、2)。
また、皮膚を直接的に計測して、その内部構造情報を得て、肌の状態の鑑別に供する方法も開発されている。特に、厚みのある生体試料非侵襲的に観察することを可能とした共焦点レーザー顕微鏡により得た画像に基づいて、肌の状態を鑑別する方法が注目されている(特許文献3、4)。

0003

ところで、皮膚構造支持体として機能し、また力学的役割を担っている真皮は、その90%以上がコラーゲン線維、数%がエラスチン線維からなる組織である。真皮において、これらの線維タンパク質は、束化した線維会合体として存在し、真皮のほぼ全層に絡み合って網目のような線維状構造を形成している。一般に加齢とともに真皮層は薄くなったり緩んだりするが、これは上記線維タンパク質の減少によるものであると考えられている。また、コラーゲン線維やエラスチン線維は紫外線などの光によってもダメージを受け(光老化)、存在量が減少するほか、断裂したり会合体が崩壊するなど質的にも変化したりする。
これらの線維状タンパク質は、肌の弾力性シワ形成に大きな影響を与え得ると考えられており、シワの進度予測のために皮膚の近赤外吸収スペクトルを用いて真皮コラーゲン存在量を定量する方法が知られている(特許文献5)。また逆に、キメや肌色などの皮膚表面情報指標として、コラーゲン様構造の等方性や線維の太さ等の皮膚内部構造推定する方法(特許文献6)も開示されている。

先行技術

0004

特開2004−230117号公報
特開2008−61892号公報
特開2004−337317号公報
特開2004−97436号公報
特開2005−083901号公報
特開2011−101738号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、線維状構造情報と肌状態との相関関係についての詳細な検討は十分になされていないのが現状であり、線維状構造情報を指標とした場合にこれがどのような場合に肌がどのような状態にあるかを、定量的に推定することを利用した鑑別法は知られていなかった。
本発明は、かかる状況に鑑み、簡便かつ高精度に、また非侵襲的に、肌状態を高い精度で推定することができる、肌状態の鑑別法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、真皮における線維状構造が明瞭に存在している場合やその線維の配置する向きがそろっていない程度が高い場合は肌の状態が良く、線維状構造が不明瞭な場合や明瞭に存在していても線維の向きがそろっている場合は肌の状態が悪いという相関関係があることを見出した。そして、線維状構造情報を指標として肌状態を推定し、その推定結果に基づいて肌の状態の良し悪しを鑑別することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、コラーゲン線維だけでなく、エラスチン線維等をも含めた線維状タンパク質に着目して、かつ、その存在の有無や単なる量ではなく、線維状構造を鑑別の判断材料とするのは、本願発明者らが初めてである。

0007

すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]線維状構造情報を指標として肌状態を推定することを特徴とする肌状態の鑑別法。[2] 前記線維状構造情報が、鮮明度、方向性、及び太さから選択される線維状構造特徴量一種又は二種以上で表される、[1]に記載の鑑別法。
[3] 前記線維状構造特徴量が、共焦点レーザー顕微鏡を用いて計測されたものである、[2]に記載の鑑別法。
[4] 前記線維状構造特徴量が、皮膚表面情報に基づいて推定されたものである、[2]に記載の鑑別法。
[5] 前記肌状態が、ハリ・弾力、タルミ、肌色、キメ、及び毛穴から選択される一種又は二種以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の鑑別法。
[6] 前記肌状態の推定が、多変量解析によって得られた推定式を用いて行われる、[1]〜[5]のいずれかに記載の鑑別法。

発明の効果

0008

本発明により、簡便かつ高精度に、定量的に、また非侵襲的に、肌状態を鑑別する方法が提供される。これにより、個人に合わせた肌の手入れ化粧方法を検討・選択・決定する際に有用な情報を得ることができ、該情報を肌の手入れや化粧方法に関するカウンセリングにも利用できる。

図面の簡単な説明

0009

共焦点レーザー顕微鏡にて撮影した、鮮明度が様々な程度である線維状構造を示す写真である。
共焦点レーザー顕微鏡にて撮影した、方向性が様々な程度である線維状構造を示す写真である。
十字2値化及び短直線マッチング法による線維状構造の方向性の解析例を示す図である。
鮮明度(実測値)と皮膚粘弾物性との相関関係を表すグラフである。
鮮明度(実測値)と皮膚色との相関関係を表すグラフである。
鮮明度の実測値と推定値との相関関係を表すグラフである。
鮮明度(推定値)と皮膚粘弾物性との相関関係を表すグラフである。
鮮明度(推定値)と皮膚色との相関関係を表すグラフである。

0010

本発明の肌状態の鑑別法は、線維状構造情報を指標として肌状態を推定することを特徴とする。
本明細書において線維状構造とは、真皮においてコラーゲン、エラスチン等の線維状タンパク質が束化した線維会合体が形成する網目構造のことをいう。
本明細書において、線維状構造情報とは、線維状構造の状態や配置等を特徴づける鮮明
度や方向性、太さなどの線維状構造特徴量で表される。本発明の鑑別法においては、通常には、上記線維状構造特徴量の一種又は二種以上を指標として用いる。

0011

本発明において線維状構造特徴量の取得方法は、特に限定されるものではなく、侵襲的又は非侵襲的に線維状構造を実際に観察して線維状構造特徴量を測定してもよいし、あるいは線維状構造特徴量を推定式によって推定された値を本発明に用いてもよい。
線維状構造を実際に観察する方法としては、例えば共焦点レーザー顕微鏡を用いてパラメータを計測する方法が挙げられる。共焦点レーザー顕微鏡は、対象物に対して同じ深さの箇所の像を観察できるため、得られた線維状構造の等高イメージ水平断面画像)から線維状構造特徴量を算出することができる。また、生体材料に対してもin vivoで非侵襲的に観察を行えるため有用である。共焦点レーザー顕微鏡は、オリンパス社やLucid社等から市販されているものを特に制限なく使用できる。

0012

線維状構造特徴量を推定する方法は、例えば皮膚表面情報に基づいて推定する方法が挙げられる。皮膚表面情報としては、例えば皮膚の凹凸や肌色等が挙げられ、これらを特徴づける皮膚凹凸パラメータや肌色パラメータ等を用いて表される推定式により線維状構造特徴量を推定することができる(特開2011−101738号参照)。皮膚凹凸パラメータは、例えば表皮組織定量化法(特開2008−061892号公報参照)を用いて得られる、皮溝面積、皮溝平均太さ、皮溝太さのバラツキ、皮溝の平均間隔、皮溝の平行度歪度(90〜180°)、皮溝太さ最頻数、及び連結数合計等が挙げられる。また、肌色パラメータは、RGB、マンセル明度色相彩度)、L*a*b、XYZ、L*C*h、及びハンターLab等の表色系が挙げられる。
なお、皮膚表面情報に基づいて推定した線維状構造特徴量を本発明の鑑別法に用いる場合、推定される肌状態は、線維状構造特徴量の推定に用いた皮膚表面情報とは通常異なる。具体的には、例えば、皮膚凹凸パラメータを用いて推定した線維状構造特徴量を本発明の鑑別法に用いる場合は、皮膚の凹凸以外の肌状態(後述する、ハリ・弾力、タルミ、肌色、毛穴等)を推定する。

0013

以下に、上記線維状構造特徴量について説明する。
線維状構造の鮮明度とは、真皮の線維状構造を同一条件撮像した場合の線維状構造が検出されない部分とのコントラスト大きさの程度であり、これを後述する測定方法等で数値化したものを本発明に適用できる。この値の違いは線維状タンパク質の状態、すなわち線維状構造の量や線維束成熟度等に起因し、前記コントラストの大きさの程度が大きいことは線維状構造が明瞭に存在していることを示す。
図1を参照して説明すると、肌の状態が良い場合は線維状構造の鮮明度が高く、網目構造が明瞭に認められるパターンだが(図1a)、加齢や諸々のダメージによりコラーゲン線維が崩壊したりソーラーエラストーシスが生じたりして線維状構造が変化すると、次第に図1b→c→dと推移して、いずれぼんやりした不明瞭なパターンとなり肌の状態の悪化を表す(図1e)。例えば図1abc、特に図1abであることが好ましい状態である。

0014

鮮明度の測定方法について一例を説明する。
測定対象者測定部位について一定基準選定した「特定の深さ平面」を、共焦点レーザー顕微鏡で撮像し、得られた画像について目視スコア化したものを鮮明度としてもよいし、あるいは得られた画像における画像の濃淡に対して高速フーリエ変換FFT)解析を行い、任意のサイクル平均強度を鮮明度とすることができる。また、全測定対象者間で前記平均値並び替えたときの順位を、鮮明度の相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。これらのスコア値が良いことや、FFT解析値が大きいことは、前述のコントラストの大きさの程度が大きいことを表し、すなわち線維状構造が明瞭に存在していることを示す。例えば、図1の各画像でFFT解析を行った場合の20〜50サ
イクルにおける解析強度の平均値は、好ましい肌の状態を表す図1abcでは3.0、より好ましい状態を表す図1abではより大きな値の3.1である。

0015

線維状構造の方向性とは、線維状構造を形成する線維束の向きがそろっている程度である。
以下、図2を参照して説明するが、図中の赤矢印は線維束の向きを表す。肌の状態が良い場合は線維束が種々の方向に配向しており異方性が高いパターンだが(図2a)、加齢や諸々のダメージにより線維状構造が変化すると、次第に図2b→cのように線維束が同じ方向へそろうようになり、いずれ線維束が等方性を示すようになって肌の状態の悪化を表す(図2e)。

0016

方向性の測定方法について一例を説明する。
例えば、特開2008−061892号公報や国際公開公報2009/142069に記載された十字二値化処理及び短直線マッチング処理を含む画像処理により、方向性のスコアを取得することができる。まず、撮像した画像(図3a)において二値化処理により背景と対象(線維状構造)とを分離し、対象を形として抽出する。これにより、太くて明瞭な線維状構造から微細な線維状構造まで、画面全体からムラなく高精度の二値化画像を得られる(図3b)。次いで、該二値化画像中の対象物形状物理量を、短直線マッチング方法で算出する。具体的には、複数画素から構成される単位短直線(幅:1画素、長さ数〜数十画素)を対象形状に当てはめて短直線の始点と終点との連結を繰り返すことで対象領域を短直線で覆うこれにより、種々の方向性を有する線維状構造の短直線マッチング画像が得られる(図3c)。当てはめた全短直線の本数や角度等を計測し、線維状構造の物理量、例えば平行度を取得し、方向性のスコアを算出する。例えば、角度毎の短直線の本数をカウントして本数についての角度間の標準偏差は平行度を表すので、これを方向性の指標とすることができる。また、全測定対象者で前記標準偏差を並び替えたときの順位を、方向性の相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。線維状構造の方向性が存在しその程度が高い場合即ち等方性が高い場合は一定の角度に短直線が集中するので標準偏差が小さくなり、平行度が低い場合即ち異方性が高い場合は種々の方向に短直線が分散するので標準偏差が大きくなる。
線維状構造の異方性が高い場合の肌は好ましい状態にあり、例えば図2ab、特に図2aを好ましい例に挙げられる。また、例えば、算出した測定対象者の方向性スコアを、20〜60代女性50名以上の標準パネラーにおいて取得した共焦点画像の線維状構造の方向性スコアの順位付けに照らし合わせたときに、上位30%以上、より好ましくは20%以上に相当する場合、肌状態が好ましいことを表すといえる。

0017

線維状構造の太さとは、線維状構造を形成する線維束の太さ(線維方向に対して垂直方向の幅)であり、通常には真皮の線維状構造を同一条件で撮像した場合の撮像範囲における平均値で表すことができる。
肌の状態が良い場合の線維束は全体的に細いが、加齢や諸々のダメージにより線維状構造が変化すると、次第に細かさを失い、一方向に太くなり肌の状態の悪化を表す。

0018

線維状構造の太さの測定方法について一例を説明する。
測定対象者の測定部位について一定基準で選定した「特定の深さ平面」を、共焦点レーザー顕微鏡で撮像し、撮像範囲内任意数サンプリングし、それらの線維方向に対して垂直方向の幅の平均値を線維束の太さとすることができる。また、全測定対象者で前記平均値を並び替えたときの順位を、太さの相対スコアとして本発明に用いる指標とすることもできる。これら平均値が小さいことやスコア値が良いことは、肌が好ましい状態であることを示す。

0019

本発明の鑑別法により推定される肌状態は、例えばハリ・弾力、タルミ、肌色、キメ、
及び毛穴であり、通常には、上記肌状態の一種または2種以上である。なお、ここでいう肌の部位は顔面四肢頸部胴部等特に限定されないが、通常は顔面の肌状態について鑑別を行う。以下に種々の肌状態と、それに線維状構造が及ぼす影響について説明する。

0020

「ハリ・弾力」は、肌が水平方向または垂直方向に加えられた力に対して押し返す性質、あるいは変形するがその力が除かれれば元に戻ろうとする(復元する)性質である。例えば、皮膚の粘弾物性で表される。
線維状構造の鮮明度が高い、すなわち線維状構造が明瞭に存在している場合や、線維束の異方性が高く、また細かく存在している場合、クッションとしての機能が高く、弾力性・伸縮性富むため、その肌はハリ・弾性に富み、若々しい肌であるといえる。線維状構造の異方性が高い場合も、表皮支える真皮のクッションとしての機能も高いため、その肌はハリ・弾力に富む。一方、線維状構造の鮮明度が低かったり、線維状構造が等方性を示したり、線維束が太く結束して線維状構造が貧弱だと、真皮の弾力性が乏しいため、その肌は応力に対して復元できず、ハリ・弾性に乏しい。

0021

「タルミ」は、加齢等の要因により皮膚のハリ・弾力が失われた結果発生する皮膚の重力方向への形状の変化である。一般的には、VECTRA M3(キャンフィールドイメージングシステムズ CANFIELD Imaging Systems)等の画像処理システムを用いて、直立姿勢での顔面と斜めに傾斜した姿勢での顔面とを撮影し、姿勢の違いによる顔面形状の差分を得ることにより評価される。
線維状構造の鮮明度が高い、すなわち線維状構造が明瞭に存在している場合や、線維状構造の異方性が高い場合、線維束が細かい場合は、前述のように肌はハリ・弾力に富み、重力方向の形状変化に抗うことができるのでタルミが生じにくい。

0022

「肌色」は、肌の色味や明るさによって、若々しさや健康的な印象を左右する肌の状態の要素である。一般には、分光測色計や色彩色差計などで測定され、例えばRGB、マンセル(明度、色相、彩度)、L*a*b、XYZ、L*C*h、ハンターLab等の表色系で表示できる。
肌色には、表皮のメラニンや表皮直下の毛細血管の存在が大きく影響するが、線維状構造の鮮明度が高かったり、異方性が高かったり、線維束が細かかったりする場合は、コラーゲン線維束がきめ細かく真皮に満ちているため、肌表面から入った光の散乱が均一になり、いわゆる肌の内側から輝くような明るい肌色になる。一方、線維状構造の鮮明度が低かったり、等方性が高かったり、線維束が太かったりすると、肌色は不均一となるので肌のくすみを生じさせる。

0023

「キメ」は、皮膚表面の形態を指し、皮溝(皮膚表面を縦横放射状に走る細かく浅い溝)や皮丘(皮溝で囲まれた微小隆起)からなる皮膚紋理の細かさ/粗さ、整/歪により、良し悪しが評価される。種々の表示方法が知られているが、例えば、表皮組織定量化法(特開2008−61892号公報)で得るキメパラメータで表される。
線維状構造の鮮明度が高かったり、異方性が高かったり、線維束が細かかったりすると、真皮の伸縮性ひいては表皮の伸縮性が高まり、キメが細かくそろった肌状態となる。一方、線維状構造の鮮明度が低かったり、等方性が高かったり、線維束が太かったりすると、真皮・表皮は伸縮性に乏しく、キメは粗く歪んだ状態となる。

0024

「毛穴」は、皮膚表面にある、毛の生えている箇所の小さな穴(くぼみ)である。例えば観察範囲における毛穴の総面積や毛穴の形状などで評価され、毛穴の存在が目立たない方が若々しい肌の印象を与える。
一般に顔面では加齢に伴い、毛穴の面積は増加し(いわゆる毛穴の開き)、また表面から見た毛穴の形状は長くなる傾向にある。これは、加齢によるタルミによって皮膚が伸長するのに伴い、その伸長方向に毛穴も引っ張られるためと考えられる。したがって、線維
状構造の鮮明度が高かったり、線維状構造の異方性が高かったり、線維束が細かかったりすると、前述のように肌のタルミは生じにくく、毛穴の面積は小さく、円形状である。一方、線維状構造の鮮明度が低かったり、等方性が高かったり、線維束が太かったりすると、毛穴の面積は大きく、長い形状となる。

0025

本発明の鑑別法では、測定や推定により得た線維状構造特徴量を、多変量解析によって得られた推定式に当てはめることにより、肌状態を表すパラメータを導くことによって解析を行うことが好ましい。前記推定式は、多変量解析のソフトウェアを利用して、線維状構造特徴量と肌状態パラメータとの相関分析及び回帰分析を行って作成できる。そのようなソフトウェアとして、装置に付属したソフトウェア、SPSS社やSAS社等の市販されているソフトウェアあるいはフリーソフトなどを用いることができ、特に制限されない。
また、推定式を作成するに際して測定標準となるパネラーは、特に限定されないが、好ましくは30名以上、より好ましくは50名以上、さらに好ましくは100名以上であることが、解析の正確性を確保するため好ましい。また、年齢は20〜60代というように広範囲偏りなく分布させることが好ましく、必要によっては年齢の要素を加味した推定式を作成してもよい。また、性別人種もそろえて、例えば黄色人種の女性とすることが好ましい。

0026

以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

0027

<実施例1>線維状構造の鮮明度に基づくハリ・弾力の鑑別
(1)線維状構造の鮮明度の測定
20〜60代の90名の日本人女性被験者頬部について、1mm×1mmの観察範囲における鮮明度を測定した。測定は共焦点レーザー顕微鏡(VivaScope 1500Plus;米国Lucid社製)を用いて、頬部にプローブを置き、3μm深さステップで180μm深さまでの計測を行い全対象者に対して「前後の深さと比較し、線維状構造が最も鮮明に観察される深さ平面」という基準で「特定の深さ平面」を選定して計測した。取得した画像に対して、高速フーリエ変換解析を1〜512サイクル行い、20〜50サイクルの積算値で並び替えて順位付けした値を鮮明度の相対スコアとした。
(2)皮膚粘弾物性の測定
前記被検者の線維状構造の鮮明度を測定したのと同じ頬部位における、皮膚粘弾性物性値を測定した。具体的には、皮膚粘弾性(弾力)測定装置キュートメーターMPA580(登録商標)(独国Courage+Khazaka社製)を用いて、該装置の中央に直径2mmの穴があいたプローブを測定対象部位の皮膚表面に当て、陰圧でプローブ開口部に引き込んだ皮膚の高さの全量(最終伸張:Uf)、及び陰圧解放直後の皮膚の戻り量(即時的収縮:Ur)を、赤外線センサーを用いて精度0.01mmで光学的に測定した。測定は、450ミリヘクトパスカルの陰圧をかけて皮膚を変形、2秒間維持後陰圧を解除、2秒間緩和という基本操作工程からなる時間−応力モードで行った。UrをUfで除した値(戻り率)をハリ・弾力を表す皮膚粘弾物性値(Ur/Uf)とした。この値が1に近いほど、皮膚が垂直方向の変形に対して復元する性質に優れ、肌のハリ・弾力が大きいことを示す。
(3)解析
上記測定した線維状構造の鮮明度(相対スコア)と皮膚粘弾物性値を用いて、JMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析及び回帰分析を行った(図4)。これより、線維状構造の鮮明度と皮膚粘弾物性値との間に有意な相関関係の存在が認められ、線維状構造の鮮明度を指標として肌のハリ・弾力に関する状態を推定できることがわかる。

0028

<実施例2>線維状構造の鮮明度に基づく肌色の鑑別
(1)線維状構造の鮮明度の測定
実施例1と同様に、被検者の線維状構造の鮮明度(相対スコア)を測定した。
(2)皮膚の測色
前記被検者の線維状構造の鮮明度を測定したのと同じ頬部位における皮膚の色を、分光測色計(CM−2600d;コニカミノルタ社製)により測定し、皮膚の測色b*値を得た。この値は肌色の黄色度合いを示し、小さいほどいわゆる若々しい肌色であることを示す。
(3)解析
上記測定した線維状構造の鮮明度と皮膚の測色b*値を用いて、JMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析及び回帰分析を行った(図5)。これより、線維状構造の鮮明度と皮膚の測色b*値との間に有意な相関関係の存在が認められ、線維状構造の鮮明度を指標として肌の色の状態、特に若々しさの程度を推定できることがわかる。

0029

<実施例3>推定された線維状構造の鮮明度に基づくハリ・弾力の鑑別
(1)線維状構造の鮮明度の推定
まず、線維状構造特徴量(鮮明度)を推定する式を、特開2011−101738に準じて作成した。具体的には、あらかじめ、推定式を得るための被験者(パネラー)において、共焦点レーザー顕微鏡を用いて皮膚表面情報(凹凸情報色情報)と、線維状構造特徴量のパラメータ(鮮明度)とを測定した。皮膚状面情報のうち凹凸情報については、例えば特開2008−061892記載の表皮組織定量化法などを用いて、凹凸情報に関わるパラメータを、色情報については、各種表色系のデータに変換するなどして色情報に関わるパラメータとした。これらパラメータと鮮明度とをデータとし、JMP ver.6.0(SAS)を用いて相関分析及び重回帰分析により、肌表面情報から線維状構造特徴量(鮮明度)を推定する推定式を決定した。
被験対象者において測定した肌表面情報をこれらの推定式に代入して得た鮮明度の推定値と、該被験対象者の同じ観察範囲で実施例1と同様に実測した線維状構造の鮮明度とについて相関分析を行ったところ、両者に有意な相関関係が認められたため(図6)、以降の解析に線維状構造の鮮明度の推定値を供した。
(2)皮膚粘弾物性の測定
実施例1と同様に、前記被検者の線維状構造の鮮明度を推定したのと同じ頬部位における、ハリ・弾力を表す皮膚粘弾物性値を測定した。
(3)解析
上記推定された線維状構造の鮮明度と上記測定した皮膚粘弾物性値とを用いて、JMPver.6.0(SAS)を使用して、相関分析及び回帰分析を行った(図7)。これより、線維状構造の鮮明度と皮膚粘弾物性値との間に有意な相関関係の存在が認められ、推定された線維状構造の鮮明度を指標としても、肌のハリ・弾力に関する状態を推定できることがわかる。

実施例

0030

<実施例4>推定された線維状構造の鮮明度に基づく肌色の鑑別
(1)線維状構造の鮮明度の推定
実施例3と同様に、被検者の線維状構造の鮮明度を推定した。
(2)皮膚の測色
実施例2と同様に、前記被検者の線維状構造の鮮明度を推定したのと同じ頬部位における、皮膚の色を、皮膚の測色b*値を測定した。
(3)解析
上記推定された線維状構造の鮮明度と上記測定した皮膚の測色b*値とを用いて、JMP ver.6.0(SAS)を使用して、相関分析及び回帰分析を行った(図8)。これより、線維状構造の鮮明度の推定値と皮膚の測色b*値との間に有意な相関関係の存在が認められ、推定された線維状構造の鮮明度を指標としても、肌の色の状態、特に若々しさ
の程度を推定できることがわかる。

0031

本発明により、簡便かつ高精度に、また非侵襲的に、肌状態を推定することができる。これにより、肌の手入れや化粧方法を検討・選択・決定する際に有用な情報を得ることができ、該情報を肌の手入れや化粧方法に関するカウンセリングにも利用できるため、産業上非常に有用である。

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