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技術 飲食品のねっとり感の評価方法

出願人 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
発明者 石原清香中尾理美礒野舞
出願日 2013年8月27日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2013-175487
公開日 2014年4月10日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2014-062897
状態 特許登録済
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード 広辞苑 官能評価法 破断歪み かたさ 最大荷重値 スワロー 本評価法 破壊片
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図面 (10)

課題

客観性、再現性が高く、かつ簡便なねっとり感の評価方法を提供する。

解決手段

飲食品のねっとり感を評価する方法であって、飲食品の試料口腔内に入れた後の食塊形成過程における上下運動サイクルに要する時間の平均値を測定する工程と飲食品のかたさを測定する工程を含む方法。

概要

背景

用語「ねっとり」は、日常的にも、飲食品食感の評価に使用される用語の一つであり、食品の美味しさを構成する要素として、「ねっとり感」は非常に重要な食感である。
例えば、特許文献1では、ねっとり感を好ましい食感として捉え、ねっとり感がないか或いは不足している魚卵卵液にねっとり感を付与し或いは増大させる技術が開示されている。
一方、特許文献2では、ねっとり感を好ましくない食感として捉え、ねっとり感の少ない鳥獣肉を提供する肉質改良方法が開示されている。
用語「ねっとり」とは、広辞苑第6版(発行所 岩波書店)によれば「粘りけのあるさま。くっつくさま。」、また大辞林第二版(発行所 三省堂)によれば、「ものの粘りが強いさま。」であり、従って、一般に粘度及び付着性と関係する性質として把握されていると言える。
このため、機器によって測定された食品の粘度又は付着性の値に基づいて「ねっとり感」を評価する試みがなされているが、ヒトの官能評価の結果と一致しない場合が多い。これは、ヒトが「ねっとり感」を感じ喫食時の状況を再現できていないこと、及び「ねっとり感」が、粘度及び/または付着性のみによって定まるものではなく、様々な因子(例、脂肪含量等に関係すると予測される口腔内粘膜及び/又はとの親和性、食品の密度など)を総合した食感であることに起因しているものと推測される。

従って、実際には、「ねっとり感」の評価においては、ヒトの感覚視覚聴覚味覚嗅覚触覚)を使って対象物を評価する方法である官能評価が採用されている。
官能評価は、ヒト(パネリスト)の感覚に基づいて、試料官能的な特徴や物性の定量、相違同一性などを明らかにする分析型官能評価と、試料に対する好みや許容度を判定するのに使われ、嗜好調査イメージ調査として製品開発市場調査などに用いられる嗜好型官能評価に大別される。
「ねっとり感」は試料の官能的な特徴であるので、これを官能評価によって評価する場合は、分析型官能評価によって行われる。
分析型官能評価は専門家又は訓練したパネルで行われる。また、評価の実施に際しては、再現性のある信憑性の高い官能評価を行うために、下記のこと等に留意する必要がある。
(1)官能評価の実施目的を明確にする。
(2)官能評価の実施目的にあったパネリストを選択する。
(3)実施目的にあった官能評価手法を選択する。
(4)パネリストが適切な評価を行えるような環境を整える。
(5)統計的解析手法を適用する。
しかし、官能評価においては、少人数であれば訓練により評価基準統一させることが可能であっても、このことは多人数では難しい。また、官能評価には、訓練されたパネリストの養成コストや時間がかかる、煩雑な統計処理などの手間がかかる、一回あたりに評価できる試料数が限られるといった問題がある。したがって、食品開発の現場では高頻度で実施することが難しく、開発の律速となる場合もある。
加えて、「ねっとり感」の評価は、他の味や食感の評価よりも困難である。すなわち、甘さのように、万人が共通認識を有している味覚や、食品の「かたさ」のように、その物性の測定方法確立している食感とは異なり、「ねっとり感」は様々な因子を総合した食感であるので、既存の測定手法では評価が困難であった。
これらの課題を解決するために、客観的で再現性が高く、かつ簡便に「ねっとり感」を定量化できる方法が求められていた。

概要

客観性、再現性が高く、かつ簡便なねっとり感の評価方法を提供する。飲食品のねっとり感を評価する方法であって、飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程における舌の上下運動サイクルに要する時間の平均値を測定する工程と飲食品のかたさを測定する工程を含む方法。なし

目的

一方、特許文献2では、ねっとり感を好ましくない食感として捉え、ねっとり感の少ない鳥獣肉を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

飲食品のねっとり感を評価する方法であって、飲食品の試料口腔内に入れた後の食塊形成過程における上下運動サイクルに要する時間の平均値(T値)を測定する工程と飲食品のかたさの値(H値)を測定する工程を含む方法。

請求項2

前記食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさの値(H値)によって除した値(S値)を決定する工程、及び当該飲食品のS値がより高い場合に、当該飲食品のねっとり感がより大きいとする工程を含む請求項1に記載の方法。

請求項3

前記飲食品のかたさの値(H値)が、飲食品を圧縮板圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)である請求項2に記載の方法。

請求項4

前記舌の上下運動が、舌の上下運動に起因して口蓋に付加される圧力の変化の測定によって検出される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記口蓋に付加される圧力の変化が口蓋上に配置された圧力センサーを用いて測定される請求項4に記載の方法。

請求項6

前記飲食品が、当該飲食品を圧縮板で圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)が0.01〜1.0Nである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記飲食品が、食品である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記食品が、プリンゼリーヨーグルト、又はごま豆腐である請求項7に記載の方法。

請求項9

請求項2に記載の方法で評価された食品であって、測定されたS値が低いことに基づき、ねっとり感が低いと評価された食品。

請求項10

S値が4.0N−1以下である請求項9に記載の食品。

技術分野

0001

本発明は、飲食品のねっとり感の評価方法に関する。

背景技術

0002

用語「ねっとり」は、日常的にも、飲食品の食感の評価に使用される用語の一つであり、食品の美味しさを構成する要素として、「ねっとり感」は非常に重要な食感である。
例えば、特許文献1では、ねっとり感を好ましい食感として捉え、ねっとり感がないか或いは不足している魚卵卵液にねっとり感を付与し或いは増大させる技術が開示されている。
一方、特許文献2では、ねっとり感を好ましくない食感として捉え、ねっとり感の少ない鳥獣肉を提供する肉質改良方法が開示されている。
用語「ねっとり」とは、広辞苑第6版(発行所 岩波書店)によれば「粘りけのあるさま。くっつくさま。」、また大辞林第二版(発行所 三省堂)によれば、「ものの粘りが強いさま。」であり、従って、一般に粘度及び付着性と関係する性質として把握されていると言える。
このため、機器によって測定された食品の粘度又は付着性の値に基づいて「ねっとり感」を評価する試みがなされているが、ヒトの官能評価の結果と一致しない場合が多い。これは、ヒトが「ねっとり感」を感じ喫食時の状況を再現できていないこと、及び「ねっとり感」が、粘度及び/または付着性のみによって定まるものではなく、様々な因子(例、脂肪含量等に関係すると予測される口腔内粘膜及び/又はとの親和性、食品の密度など)を総合した食感であることに起因しているものと推測される。

0003

従って、実際には、「ねっとり感」の評価においては、ヒトの感覚視覚聴覚味覚嗅覚触覚)を使って対象物を評価する方法である官能評価が採用されている。
官能評価は、ヒト(パネリスト)の感覚に基づいて、試料官能的な特徴や物性の定量、相違同一性などを明らかにする分析型官能評価と、試料に対する好みや許容度を判定するのに使われ、嗜好調査イメージ調査として製品開発市場調査などに用いられる嗜好型官能評価に大別される。
「ねっとり感」は試料の官能的な特徴であるので、これを官能評価によって評価する場合は、分析型官能評価によって行われる。
分析型官能評価は専門家又は訓練したパネルで行われる。また、評価の実施に際しては、再現性のある信憑性の高い官能評価を行うために、下記のこと等に留意する必要がある。
(1)官能評価の実施目的を明確にする。
(2)官能評価の実施目的にあったパネリストを選択する。
(3)実施目的にあった官能評価手法を選択する。
(4)パネリストが適切な評価を行えるような環境を整える。
(5)統計的解析手法を適用する。
しかし、官能評価においては、少人数であれば訓練により評価基準統一させることが可能であっても、このことは多人数では難しい。また、官能評価には、訓練されたパネリストの養成コストや時間がかかる、煩雑な統計処理などの手間がかかる、一回あたりに評価できる試料数が限られるといった問題がある。したがって、食品開発の現場では高頻度で実施することが難しく、開発の律速となる場合もある。
加えて、「ねっとり感」の評価は、他の味や食感の評価よりも困難である。すなわち、甘さのように、万人が共通認識を有している味覚や、食品の「かたさ」のように、その物性の測定方法確立している食感とは異なり、「ねっとり感」は様々な因子を総合した食感であるので、既存の測定手法では評価が困難であった。
これらの課題を解決するために、客観的で再現性が高く、かつ簡便に「ねっとり感」を定量化できる方法が求められていた。

先行技術

0004

特開平6−181720号公報
特開平7−23740号公報

発明が解決しようとする課題

0005

従って、本発明は、客観性、再現性が高く、かつ簡便な「ねっとり感」の評価方法を提供すること、また本評価法を用いて様々な喫食者にとって最適な「ねっとり感」をもった飲食品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程において、舌の上下運動サイクルに要する時間の平均値を飲食品のかたさで除した値と、官能評価における「ねっとり感」とが相関することを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。

0007

すなわち、本発明は、下記の態様を含む。

0008

項1.
飲食品のねっとり感を評価する方法であって、
飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を測定する工程と飲食品のかたさの値(H値)を測定する工程を含む方法。
項2.
前記食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさの値(H値)によって除した値(S値)を決定する工程、及び
当該飲食品のS値が高い場合は当該飲食品のねっとり感が高いと評価し、及び当該飲食品のS値が低い場合は当該飲食品のねっとり感が低いと評価する工程を含む項1に記載の方法。
項3.
前記飲食品のかたさの値(H値)が、飲食品を圧縮板圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)である項2に記載の方法。
項4.
前記舌の上下運動が、舌の上下運動に起因して口蓋に付加される圧力の変化の測定によって検出される項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
項5.
前記口蓋に付加される圧力の変化が口蓋上に配置された圧力センサーを用いて測定される項4に記載の方法。
項6.
前記飲食品が、当該飲食品を圧縮板で圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)が0.01〜1.0Nである項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
項7.
前記飲食品が、食品である項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
項8.
前記食品が、プリンゼリーヨーグルト又はごま豆腐である項7に記載の方法。
項9.
項2に記載の方法で評価された食品であって、測定されたS値が低いことに基づき、ねっとり感が低いと評価された食品。
項10.
S値が4.0N−1以下である項9に記載の食品。

発明の効果

0009

本発明の方法により、既存の方法では評価できない「ねっとり感」を評価することができる。従来の力学測定等では評価できなかった、官能評価の結果に近い「ねっとり感」の評価が可能である。さらには、本評価方法を用いて、様々な喫食者にとって最適な「ねっとり感」をもった飲食品を提供すること、特に高齢者用に「ねっとり感」が抑えられたゼリー、プリン、ヨーグルト、及びごま豆腐などを製造し、提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

ゲル状試料のねっとり感の官能評価の結果を示すグラフである。
ゲル状試料のS値を示すグラフである。
舌の上下運動を測定するために口蓋上に配置された圧力センサーの写真である。
試料#1の喫食時において、口蓋上に配置された圧力センサーで測定された圧力(5つの感圧点での測定値の合計)の時間変化を示すグラフである。
プリンのねっとり感の官能評価の結果を示すグラフである。
プリンのS値を示すグラフである。
ヨーグルトのねっとり感の官能評価の結果を示すグラフである。
ヨーグルトのS値を示すグラフである。
ごま豆腐のねっとり感の官能評価の結果を示すグラフである。
ごま豆腐のS値を示すグラフである。

0011

摂食嚥下は、一般に、次の5期:
(1)先行期:飲食物を認識する時期
(2)準備期:飲食物を口腔へ取り込み、飲食物から食塊(飲み込みやすい塊)を形成する時期
(3)口腔期:食塊を口腔から咽頭送り込む時期
(4)咽頭期:食塊を咽頭から食道に送り込む時期
(5)食道期:食塊を食道からに送り込む時期
に分けて把握される。
本発明の、飲食品のねっとり感を評価する方法は、飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を計測する工程と飲食品のかたさの値(H値)を測定する工程を含む。
本発明における「食塊形成過程」とは、前記摂食嚥下の準備期において食塊を形成する過程である。すなわち、これは、飲食品の試料を口腔内に入れた後、舌と口蓋で飲食品を押し潰したり、押し潰しにより破壊された飲食品の破壊片をまとめたりする過程に該当する。この過程では、舌の上下運動を含む様々な舌の動きがみられる。
なお、以降、本明細書中、特に記載の無い場合に限り、「舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値」とは、飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間を意味する。
前述の通り、食塊形成過程では様々な舌の動きがみられるが、本発明における「舌の上下運動」とは、飲食品の試料を口腔内に入れた後、舌と口蓋で飲食品を押し潰したり、押し潰しにより破壊された飲食品の破壊片をまとめたりする運動(すなわち、舌による食塊形成の運動)であって、飲食品を歯で咀嚼する過程などにおけるの上下運動に伴う舌の微細な運動や嚥下過程(咽頭期)における飲食品を舌で咽頭に押し込むときの舌の運動を含まない。
また、本明細書中、「平均値」とは、特に記載の無い限り、算術平均値を意味する。

0012

舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさの値(H値)で除した値(S値)と、飲食品のねっとり感とは相関し、飲食品のかたさが同程度である場合、試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)が大きいほど(すなわち、一定時間内に舌が上下運動する回数が少ないほど)、飲食品のねっとり感は高い傾向がある。

0013

ここで、舌の上下運動は、通常の喫食時と同様に、飲食品を押し潰したり、押し潰しにより破壊された飲食品の破壊片をまとめたりするために自然に行われる舌の動きである。言い換えれば、舌の上下運動は、喫食者が飲食品のねっとり感を評価しようとして意図的に行うものではない。
このことにより、本発明の方法によれば、測定者や喫食者の熟練に拠らず客観性、再現性が高い評価結果を得ることが可能になる。

0014

舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)は、当該飲食品のかたさに影響される。
従って、本発明の方法では、飲食品のねっとり感は、舌の上下運動1サイクルに要する時間を飲食品のかたさの値(H値)によって標準化して得られる値に基づいて評価される。
具体的には好ましくは、本発明の方法では、前記食塊形成過程における舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさの値(H値)によって除した値(S値)によって、飲食品のねっとり感を評価する。ここで、S値が大きいほど飲食品のねっとり感がより高いと評価する。言い換えれば、S値が小さいほど飲食品のねっとり感がより低いと評価する。

0015

飲食品のかたさの値(H値)は、好ましくは、例えば、飲食品を圧縮板で圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)である。Hp値は、具体的には、例えば、飲食品を平らな圧縮板(プランジャー)を有する一軸圧縮試験機で押したときにプランジャーにかかる荷重値を測定することによって得られる。このとき、飲食品をどの程度歪ませるかによって測定値が異なるが、本発明においては、飲食品試料を50%歪ませたときの最大荷重値をもって飲食品のかたさの値とすることが好ましい。ここで、飲食品の歪みは、歪ませる前の飲食品の高さをL0、プランジャーの移動距離をL1とした場合、次式によって定義される。
飲食品の歪み(%)=L1/L0×100

0016

舌の上下運動は、好ましくは、例えば、舌の上下運動に起因して口蓋に付加される圧力の変化の測定によって検出される。
これによれば、舌と口蓋で飲食品を押し潰したり、押し潰しにより破壊された飲食品の破壊片をまとめたりするための舌の上下運動を検出できる。なお、顎の上下運動に伴う舌の微細な動きや嚥下に伴う舌の動きは、本発明の方法において測定される「舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値」における舌の上下運動から除外される。
顎の上下運動に伴う舌の微細な動きは、口蓋の圧力変動として検知されず、嚥下に伴う舌の動きは、口蓋の圧力変化として検知されるが、例えば、同時に嚥下音を測定し、嚥下音と同じタイミングで検出された圧力変化を除外することによって、舌と口蓋で飲食品を押し潰したり、押し潰しにより破壊された飲食品の破壊片をまとめたりするための舌の上下運動のみを抽出できる。

0017

飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程において、舌の上下運動に起因して口蓋に付加される圧力には、舌が直接口蓋を押す圧力、及び舌が飲食品の試料を介して口蓋を押す圧力などが含まれる。
本明細書中、舌の上下運動に起因して口蓋に付加される圧力を単に舌圧と称する場合がある。

0018

当該口蓋に付加される圧力の変化は、好ましくは、例えば、口蓋上に配置された圧力センサーを用いて測定される。

0019

このような圧力センサーとしては、例えば、特許第4575510号公報に記載の、咀嚼及び嚥下時における口蓋に対する舌の接触圧を計測するための舌圧センサーが好適に用いられる。
このような舌圧センサーは商業的に入手可能である(商品スワロースキャン、ニッタ株式会社)。

0020

当該圧力センサー(感圧点)は、好ましくは、口蓋上の複数箇所(例えば、2〜10箇所、好ましくは4〜6箇所、特に好ましくは5箇所)に配置される。

0021

舌が上下運動したことは、例えば、当該複数の圧力センサー(感圧点)における圧力の合計値(または平均値)が所定の閾値を超え、その後所定の閾値未満になったことによって認定できる。

0022

当該閾値は、例えば、舌の上に何も載せなくても測定される圧力の最大値(測定機器の暗ノイズ)を基準にして設定する。

0023

当該閾値は、複数の圧力センサー(感圧点)における圧力の合計値を用いる場合、例えば、暗ノイズの平均値の5倍に設定できる。

0024

舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)は、舌の上下運動の所定数のサイクル(Fa)に要した時間(Ta)に基づいて、Ta/Faの値として算出してもよく、あるいは当該T値は所定時間(Tb)内における、舌の上下運動のサイクル数(Fb)に基づいてTb/Fbの値として算出してもよい。
ここで、Ta又はTbの始点は、飲食品の試料を口腔内に入れた後の食塊形成過程において、初めて舌の上下運動が検出された時点である。
所定数Faは、好ましくは1〜10回、より好ましくは1回〜5回に設定される。
所定時間Tbは、好ましくはFbが1〜10回、より好ましくは1回〜5回になるように設定される。

0025

飲食品の試料を口腔内に入れることは、喫食者が、通常の喫食と同様に、自分で行うことができる。

0026

飲食品の試料の量は、通常、喫食時に舌の上に載せる量と同程度が好ましい。具体的には、重量として通常1〜20g、体積として通常1〜20ml、好ましくは重量として3〜15g、体積として3〜15mlである。

0027

本明細書中、飲食品とは、ねっとり感を評価する可能性がある、あらゆる飲料及び食品を含む。
本発明の方法は、好ましくは、食品のねっとり感の測定のために使用できる。
本明細書中、食品とは、喫食時に固形(もしくは固体)または半固形であり、経口摂取されるものを意味する。従って、本明細書中の食品は、医薬品等であってもよい。

0028

飲料の例としては、とろみのついた飲料、ドリンクゼリー等が挙げられ、食品の例としては、プリン、ゼリー、ヨーグルト、ごま豆腐、水ようかん、及びもち等のゲル状食品マッシュポテトカスタードクリーム及び餡子等のペースト状食品;並びに嚥下困難者用食品等の舌で押し潰して食することができる食品等が挙げられる。
本発明の方法は、なかでも、好ましくは、例えば、プリン、ゼリー、ヨーグルト、及びごま豆腐等のゲル状の食品に好適に使用できる。

0029

本発明の方法は、例えば、飲食品を圧縮板で圧縮して50%まで歪ませたときの圧縮板にかかる荷重値を経時的に測定したときの荷重値の最大値(Hp値)が0.01〜1.0N、好ましくは0.01〜0.5Nの範囲内である食品のねっとり感の評価に好適に使用できる。当該測定は、具体的には、次の測定方法Hに従って行うことができる。

0030

[測定方法H]
飲食品試料を直径約65mm、高さ約25mmの樹脂製容器充填し、この試料を直径6mmの円柱型圧縮板(プランジャー)を装着した一軸圧縮式の力学測定装置であるテクスチャーアナライザー(商品名 TA−XT plus、Stable Micro Systems社)を用いて圧縮した。プランジャーの移動速度は1mm/sとし、測定温度は20℃とする。
飲食品の歪みが50%になるまで飲食品を圧縮し、飲食品試料の圧縮によってプランジャーにかかる荷重値を経時的に測定したときの最大荷重値(Hp値)を飲食品のかたさとする。
なお、飲食品の歪みとは、歪ませる前の飲食品の高さをL0、プランジャーの移動距離をL1とした場合、下式によって定義される。
飲食品の歪み(%)=L1/L0×100

0031

本発明の方法、特にHp値を用いた本発明の方法において、測定されたS値が4.0N−1以下であることに基づき、ねっとり感が低いと評価された食品は、本発明の一態様である。
ここで、高齢者にとって、ゼリー、プリン、ヨーグルト、及びごま豆腐等は、ねっとり感を軽減したものが喫食しやすいとされている。具体的には、Hp値を用いた本発明の方法において測定されたS値が4.0N−1以下である食品は高齢者が喫食しやすいと判断される。

0032

以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0033

実施例1(ゲル状試料のねっとり感の評価)

0034

(1)ゲル状試料の作成
ゲル化剤として、ジェランガム製剤(商品名:ゲルアップ登録商標)K−S、三栄源エフエフアイ株式会社)、及びキサンタンガムローカストビーンガム混合製剤(商品名:ゲルアップ(登録商標)SA−3C、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)を用いて、表1の組成の試料を作成した。表中の数値の単位は%(w/w)である。

0035

(2)試料の破断荷重及び破断歪みの測定
後記の測定条件で、測定前の試料の高さ(L0)および試料の表面が破断するまでのプランジャーの移動距離(L2)から、次式に基づき、試料の破断歪みを算出した。測定結果を表2に示す。
試料の破断歪み(%)=L2/L0×100
また、試料の表面が破断したときの荷重を試料の破断荷重とした。
[測定条件]
試料:直径約65mm、高さ約25mmの樹脂製容器に充填
試料温度:20℃
測定機器:テクスチャーアナライザー(商品名 TA−XT plus、Stable Micro Systems社)
プランジャー:直径6mm円柱型(ステンレス製
圧縮速度:1mm/s

0036

0037

(3)従来の官能評価法によるねっとり感の評価
後記の従来の官能評価法により、(1)で調製したゲル状試料のねっとり感を評価した。結果を図1に示す。
[官能評価法]
段階1.20℃の試料10gを、各6名の被験者に全量口に含ませた後、自由に摂食させた。
段階2.試料摂食後に、被験者に長さ100mmの直線上に、試料のねっとり感を示す位置に線を引かせた。直線の左端を0点、右端を100点とし、被験者が評価した位置から点数を求めた。
点数は、次の基準で採点させた。
0点:全くねっとりしていない
100点:小さめの一口サイズでゲル状食品を食べるときの想像しうる最もねっとりしている状態
結果を図1に示す。

0038

(4)本発明の方法によるねっとり感の評価
後記の測定法Sにより、(1)で調製したゲル状試料の、「舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさの値(H値)によって除した値(S値)」を得た。
ここで、飲食品のかたさの値(H値)は、飲食品の歪みが50%となるまで以下の測定条件Hに従って飲食品をプランジャーで等速一軸圧縮したときにプランジャーにかかる最大荷重値(Hp値)とした。この場合、Hp値は表2の破断荷重に等しい。
結果を図2に示す。
[測定条件H]
試料:直径約65mm、高さ約25mmの樹脂製容器に充填
試料温度:20℃
測定機器:テクスチャーアナライザー(商品名 TA−XT plus、Stable Micro Systems社)
プランジャー:直径6mm円柱型(ステンレス製)
圧縮速度:1mm/s

0039

[測定法S]
段階1.図3に示すように、喫食者の口蓋に、圧力センサー(感圧点)5個(CH1〜CH5)を備える舌圧センサー(商品名スワロースキャン、ニッタ株式会社)を装着し、5つの感圧点における圧力(すなわち、舌圧)の測定を開始した。
段階2. 20℃の試料10gを、各3名の被験者に全量口に含ませた後、自由に摂食させた。
段階3. 舌圧の測定後、5つの感圧点における圧力の合計値の経時変化を調べた。
段階4. 圧力の合計値が初めて舌圧の閾値(暗ノイズの5倍)を超えてから、その後当該閾値未満になるまでの領域を舌圧の1つのピークとした。
段階5. 1番目のピークの始点から6番目のピークの始点までの時間を読み取り、これを当該期間内のピークの個数である5で割って、1ピークあたりの時間を求め、これを舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)とした。なお、被験者間の摂食様式の違いの影響を最小化するため、T値は試料#1の値により標準化している。
段階6. 段階5で求めたT値を、飲食品のかたさの値(Hp値)で除して、S値を得た。

0040

図4に、試料#1についての前記段階3の結果を例示する。なお、矢印部は、前記段階5の「1番目のピークの始点」及び「6番目のピークの始点」を示す。

0041

(1)結果
図1図2の対比から明らかなように、本発明に用いられる測定法で得られた、舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさ(Hp値)で除した値(S値)は、従来の官能評価法によるねっとり感と相関し、当該値によってねっとり感を評価できることが確認された。

0042

実施例2(プリンのねっとり感の評価)
プリン4種(試料A〜D)について、実施例1と同様にねっとり感を評価した。
試料の破断荷重及び破断歪みの測定の結果を表3に示す。
これから理解されるように、当該プリン4種は、様々な破断荷重及び破断歪みを有する。

0043

従来の従来の官能評価法によるねっとり感の評価結果を図5に示す。
本発明に用いられる測定法により得た、舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさ(Hp値)で除した値(S値)を図6に示す。なお、この場合、Hp値は表3の破断荷重に等しい。また、被験者間の摂食様式の違いの影響を最小化するため、T値は実施例1の試料#1の値により標準化している。
図5図6の対比から明らかなように、本発明に用いられる測定法で得られた、S値は、従来の官能評価法によるねっとり感と相関し、様々な破断荷重及び破断歪みを有する実際の飲食品についても、当該値によってねっとり感を評価できることが確認された。

0044

実施例3(ヨーグルトのねっとり感の評価)
ヨーグルト2種類(試料E、F)について、実施例1と同様にねっとり感を評価した。
試料の破断荷重及び破断歪みの測定の結果を表4に示す。
これから理解されるように、当該ヨーグルト2種は、異なる破断荷重及び破断歪みを有する。

0045

前記の従来の官能評価法によるねっとり感の評価結果を図7に示す。
本発明に用いられる測定法により得た、舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさ(Hp値)で除した値(S値)を図8に示す。なお、この場合、Hp値は表4の破断荷重に等しい。また、被験者間の摂食様式の違いの影響を最小化するため、T値は実施例1の試料#1の値により標準化している。
図7図8の対比から明らかなように、本発明に用いられる測定法で得られた、S値は、従来の官能評価法によるねっとり感と相関し、異なる破断荷重及び破断歪みを有する実際の飲食品についても、当該値によってねっとり感を評価できることが確認された。

0046

実施例4(ごま豆腐のねっとり感の評価)
ごま豆腐2種類(試料G、H)について、実施例1と同様にねっとり感を評価した。
試料の破断荷重及び破断歪みの測定の結果を表5に示す。
これから理解されるように、当該ごま豆腐2種は、異なる破断荷重及び破断歪みを有する。

実施例

0047

前記の従来の官能評価法によるねっとり感の評価結果を図9に示す。
本発明に用いられる測定法により得た、舌の上下運動1サイクルに要する時間の平均値(T値)を飲食品のかたさ(Hp値)で除した値(S値)を図10に示す。なお、この場合、Hp値は表5の破断荷重に等しい。また、被験者間の摂食様式の違いの影響を最小化するため、T値は実施例1の試料#1の値により標準化している。
図9図10の対比から明らかなように、本発明に用いられる測定法で得られた、S値は、従来の官能評価法によるねっとり感と相関し、異なる破断荷重及び破断歪みを有する実際の飲食品についても、当該値によってねっとり感を評価できることが確認された。

0048

本発明の方法は、飲食品のねっとり感の評価に使用できる。

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