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技術 円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法、および、表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を製造する方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 川井康裕高橋孝治市橋直晃小川英紀
出願日 2012年9月18日 (8年5ヶ月経過) 出願番号 2012-204267
公開日 2014年4月3日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-059439
状態 未査定
技術分野 電子写真における感光体
主要キーワード 除電エアー 凸凹加工 浮遊粒子濃度 レーザー変位センサー 表面全周 切り子 床近傍 変形層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

大量生産として円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成するに際し、リードタイムの短縮と、加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない、円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法を提供する。

解決手段

円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、円筒状電子写真感光体の表面層の表面を洗浄する工程と、所定の温度に調整する工程と、円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体を所定の温度に調整する工程と、挿入体を挿入する工程と、凸凹形状に対応する表面形状を表面に有する型部材を所定の温度に維持した状態で、円筒状電子写真感光体の表面層の表面に接触させ、型部材の表面の表面形状を円筒状電子写真感光体の表面層の表面に転写する工程と、円筒状電子写真感光体から挿入体を抜き取る工程と、抜き取られた挿入体の温度を所定の温度に下げる工程とを少なくとも有する。

概要

背景

電子写真感光体としては、感光層円筒状基体上に設けてなる円筒状電子写真感光体(以下、単に「電子写真感光体」ともいう。)が一般的である。また、電子写真感光体の中でも、光導電性物質電荷発生物質電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を設けてなる有機電子写真感光体が広く普及している。有機電子写真感光体としては、高感度および材料設計多様性の利点から、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層を有する電子写真感光体が主流である。

電子写真感光体は、画像形成プロセスにおいて、帯電露光現像転写クリーニングおよび除電の各工程の繰り返しサイクルにおいて用いられる。特に、転写工程後の電子写真感光体の表面に存在する残存トナーを除去するクリーニング工程は、鮮明な画像を得るうえで重要な工程である。このクリーニングの方法としては、ゴム製のクリーニングブレードを電子写真感光体に圧接し、残存トナーを掻き取る方法が一般的である。
しかしながら、優れたクリーニング性を示すクリーニングブレードは、電子写真感光体の表面との摩擦力が大きいため、駆動トルクの増大や、クリーニングブレードの微小振動によるトナーすり抜けや、クリーニングブレードの反転の問題が発生しやすい。また、近年の画像の高画質化の流れを受けたトナーの小粒径化および高機能化によるクリーニング性能への影響も、問題点として取り上げられている。

上述した問題点を解決する方法として、電子写真感光体の表面を適度に粗面化する方法がある。この方法は、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの接触面積を減少させ、摩擦力を低減することに有効である。
そして、このような電子写真感光体の表面の粗面化に関しては種々の方法が知られているが、特に効果的に摩擦力を低減する方法として、電子写真感光体の表面形状を凸凹形状とする方法がある。

一般に、樹脂フィルム樹脂成形品の表面に凸凹加工を施す従来技術は、特許文献1に記載されているように、以下のような工程によって行われており、この方法を電子写真感光体に応用することができる。
(1) 加工される樹脂を、樹脂のガラス転移温度以上に加熱する(該樹脂が熱変形しやすいように軟化させる工程)、
(2)型部材金型)を、前記樹脂のガラス転移温度以上に加熱し、加圧接触させる(該樹脂が型部材の微細形状内に侵入する工程)、
(3) 一定時間経過後、樹脂および型部材をガラス転移温度以下に冷却する(微細形状を固定化する工程)、
(4) 型部材を樹脂から離間する。

上記工程によれば、型部材の表面(円筒状電子写真感光体の表面に形成する凸凹形状に対応する表面形状(凹凸形状)の面)の面積に対応して微細形状の一括転写が可能であり、種々の被加工物を上記工程に従い、個別に加工する(バッチ方式)ことが可能である。また、シート状の被加工物においては、被加工物を移動させながら、型部材の表面(凹凸形状の面)の面積分の形状転写を繰り返し行うこと(ステップアンドリピート方式)が可能である。上記工程において、加熱および冷却工程は重要である。加熱温度が低い場合には、十分な形状転写ができなかったり、冷却が不十分な場合には、転写された形状が崩れたりする問題が発生しやすい。したがって、加熱および冷却工程における制御条件は、樹脂の諸特性に応じて詳細な最適化がなされることが好ましい。

また、型部材の表面(凹凸形状の面)の全面を被加工物に対して加圧するに際し、型部材の表面(凹凸形状の面)の面積内の当接圧力の均一化も重要な要素の1つである。円筒状電子写真感光体は、被加工面が曲率を有している。そして、弾性変形量が比較的小さく、かつ硬度のある円筒状基体上に形成された数μmから数十μmの厚さの樹脂層表面層)を加工対象としている。したがって、そのような表面と型部材の接触を精度よく行うことは難しい。

これについて、従来から、種々の工夫や改良がなされてきている。その方法の1つは、図5に示すような、平板状の支持部材12の上に板状の型部材5を貼り付け、被加工物である円筒状電子写真感光体1の内部に円柱形状である挿入体11を挿入する(挿通させる)方法である。この方法では、該挿入体の軸方向両端部に対して何らかの手段で型部材に向かう力(圧力)を加えることによって、円筒状電子写真感光体1の円筒状基体2の上の表面層3の軸方向全体を型部材5に押し付けて加圧する。
円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体の外径寸法は、被加工物である円筒状電子写真感光体の円筒状基体の内径寸法より小さくなくてはならない。そして、挿入体の円筒状基体に当接する部分の長さは、およそ円筒状電子写真感光体の円筒状基体の軸方向の長さに相当する長さが必要である。そのような条件を満たす挿入体の形状は細長くなる場合が多い。例えば、外径寸法が30mm程度の一般的な円筒状電子写真感光体の円筒状基体の内径寸法は28.5mm程度であり、かつA3用であれば全長が360mm程度になる。
こうした細長い挿入体の軸方向両端部に力を加えて、円筒状電子写真感光体の表面(外周面)を型部材に押し付けるような圧力を発生させると、その圧力は両端部付近に偏る傾向がある。その結果、円筒状電子写真感光体の表面に形成された凸凹形状の深さが、例えば、軸方向の中央部付近と端部付近とで差が生じることとなる。こうした圧力の端部への偏りを抑え、円筒状電子写真感光体の軸方向において均一な圧力を発生させるためには、挿入体は非常に強固な部材を用いることが好ましい。そして、挿入体を強固に構成するためには、鉄系の合金ステンレス鋼タングステンといった弾性係数や硬度の高い金属材料を用いることができる。さらに、挿入体の形状としては、より強度を確保するために、中空でない中実の円柱形状とするのが一般的である。

概要

大量生産として円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成するに際し、リードタイムの短縮と、加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない、円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法を提供する。円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、円筒状電子写真感光体の表面層の表面を洗浄する工程と、所定の温度に調整する工程と、円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体を所定の温度に調整する工程と、挿入体を挿入する工程と、凸凹形状に対応する表面形状を表面に有する型部材を所定の温度に維持した状態で、円筒状電子写真感光体の表面層の表面に接触させ、型部材の表面の表面形状を円筒状電子写真感光体の表面層の表面に転写する工程と、円筒状電子写真感光体から挿入体を抜き取る工程と、抜き取られた挿入体の温度を所定の温度に下げる工程とを少なくとも有する。

目的

本発明の目的は、大量生産として円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、リードタイムの短縮と、加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

円筒状基体および表面層を有する円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、該方法が、(A)該円筒状電子写真感光体の表面層の表面を洗浄する工程と、(B)該円筒状電子写真感光体を所定の温度に調整する工程と、(C)該円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体を所定の温度に調整する工程と、(D)該円筒状電子写真感光体に該挿入体を挿入する工程と、(E)該凸凹形状に対応する表面形状を表面に有する型部材を所定の温度に維持した状態で、該円筒状電子写真感光体の表面層の表面に接触させ、該型部材の表面の該表面形状を該円筒状電子写真感光体の表面層の表面に転写する工程と、(F)該円筒状電子写真感光体から該挿入体を抜き取る工程と、(G)該円筒状電子写真感光体から抜き取られた挿入体の温度を所定の温度に下げる工程を少なくとも有することを特徴とする、円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法。

請求項2

前記工程のうち、少なくとも該(E)の工程を浮遊粒子濃度が制限された雰囲気環境中で実行する請求項1に記載の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法。

請求項3

請求項1または2に記載の方法により円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成することを特徴とする、表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を製造する方法。

技術分野

0001

本発明は、円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法、および、表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を製造する方法に関する。

背景技術

0002

電子写真感光体としては、感光層円筒状基体上に設けてなる円筒状電子写真感光体(以下、単に「電子写真感光体」ともいう。)が一般的である。また、電子写真感光体の中でも、光導電性物質電荷発生物質電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を設けてなる有機電子写真感光体が広く普及している。有機電子写真感光体としては、高感度および材料設計多様性の利点から、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層を有する電子写真感光体が主流である。

0003

電子写真感光体は、画像形成プロセスにおいて、帯電露光現像転写クリーニングおよび除電の各工程の繰り返しサイクルにおいて用いられる。特に、転写工程後の電子写真感光体の表面に存在する残存トナーを除去するクリーニング工程は、鮮明な画像を得るうえで重要な工程である。このクリーニングの方法としては、ゴム製のクリーニングブレードを電子写真感光体に圧接し、残存トナーを掻き取る方法が一般的である。
しかしながら、優れたクリーニング性を示すクリーニングブレードは、電子写真感光体の表面との摩擦力が大きいため、駆動トルクの増大や、クリーニングブレードの微小振動によるトナーすり抜けや、クリーニングブレードの反転の問題が発生しやすい。また、近年の画像の高画質化の流れを受けたトナーの小粒径化および高機能化によるクリーニング性能への影響も、問題点として取り上げられている。

0004

上述した問題点を解決する方法として、電子写真感光体の表面を適度に粗面化する方法がある。この方法は、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの接触面積を減少させ、摩擦力を低減することに有効である。
そして、このような電子写真感光体の表面の粗面化に関しては種々の方法が知られているが、特に効果的に摩擦力を低減する方法として、電子写真感光体の表面形状を凸凹形状とする方法がある。

0005

一般に、樹脂フィルム樹脂成形品の表面に凸凹加工を施す従来技術は、特許文献1に記載されているように、以下のような工程によって行われており、この方法を電子写真感光体に応用することができる。
(1) 加工される樹脂を、樹脂のガラス転移温度以上に加熱する(該樹脂が熱変形しやすいように軟化させる工程)、
(2)型部材金型)を、前記樹脂のガラス転移温度以上に加熱し、加圧接触させる(該樹脂が型部材の微細形状内に侵入する工程)、
(3) 一定時間経過後、樹脂および型部材をガラス転移温度以下に冷却する(微細形状を固定化する工程)、
(4) 型部材を樹脂から離間する。

0006

上記工程によれば、型部材の表面(円筒状電子写真感光体の表面に形成する凸凹形状に対応する表面形状(凹凸形状)の面)の面積に対応して微細形状の一括転写が可能であり、種々の被加工物を上記工程に従い、個別に加工する(バッチ方式)ことが可能である。また、シート状の被加工物においては、被加工物を移動させながら、型部材の表面(凹凸形状の面)の面積分の形状転写を繰り返し行うこと(ステップアンドリピート方式)が可能である。上記工程において、加熱および冷却工程は重要である。加熱温度が低い場合には、十分な形状転写ができなかったり、冷却が不十分な場合には、転写された形状が崩れたりする問題が発生しやすい。したがって、加熱および冷却工程における制御条件は、樹脂の諸特性に応じて詳細な最適化がなされることが好ましい。

0007

また、型部材の表面(凹凸形状の面)の全面を被加工物に対して加圧するに際し、型部材の表面(凹凸形状の面)の面積内の当接圧力の均一化も重要な要素の1つである。円筒状電子写真感光体は、被加工面が曲率を有している。そして、弾性変形量が比較的小さく、かつ硬度のある円筒状基体上に形成された数μmから数十μmの厚さの樹脂層表面層)を加工対象としている。したがって、そのような表面と型部材の接触を精度よく行うことは難しい。

0008

これについて、従来から、種々の工夫や改良がなされてきている。その方法の1つは、図5に示すような、平板状の支持部材12の上に板状の型部材5を貼り付け、被加工物である円筒状電子写真感光体1の内部に円柱形状である挿入体11を挿入する(挿通させる)方法である。この方法では、該挿入体の軸方向両端部に対して何らかの手段で型部材に向かう力(圧力)を加えることによって、円筒状電子写真感光体1の円筒状基体2の上の表面層3の軸方向全体を型部材5に押し付けて加圧する。
円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体の外径寸法は、被加工物である円筒状電子写真感光体の円筒状基体の内径寸法より小さくなくてはならない。そして、挿入体の円筒状基体に当接する部分の長さは、およそ円筒状電子写真感光体の円筒状基体の軸方向の長さに相当する長さが必要である。そのような条件を満たす挿入体の形状は細長くなる場合が多い。例えば、外径寸法が30mm程度の一般的な円筒状電子写真感光体の円筒状基体の内径寸法は28.5mm程度であり、かつA3用であれば全長が360mm程度になる。
こうした細長い挿入体の軸方向両端部に力を加えて、円筒状電子写真感光体の表面(外周面)を型部材に押し付けるような圧力を発生させると、その圧力は両端部付近に偏る傾向がある。その結果、円筒状電子写真感光体の表面に形成された凸凹形状の深さが、例えば、軸方向の中央部付近と端部付近とで差が生じることとなる。こうした圧力の端部への偏りを抑え、円筒状電子写真感光体の軸方向において均一な圧力を発生させるためには、挿入体は非常に強固な部材を用いることが好ましい。そして、挿入体を強固に構成するためには、鉄系の合金ステンレス鋼タングステンといった弾性係数や硬度の高い金属材料を用いることができる。さらに、挿入体の形状としては、より強度を確保するために、中空でない中実の円柱形状とするのが一般的である。

先行技術

0009

特開2004−288784号公報

発明が解決しようとする課題

0010

被加工物としての円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する技術としては、先に述べたように被加工物の温度や型部材の温度、さらには型部材に円筒状電子写真感光体を押しつける圧力等の条件が重要である。しかしながら、大量生産として多数本の円筒状電子写真感光体を連続的に加工する生産活動を行う際には、これらの加工条件を短いリードタイムで、かつ正確に満たす状態を確保することが必要となる。加えて、設備投資を最小限に抑えることも重要である。さらに、円筒状電子写真感光体のような電子写真用部品に必要とされる、微細かつ正確に連続する表面形状を形成する上で、微小な異物等の混入を防止することも必要不可欠である。

0011

本発明は、上記の課題を解決すべく検討してなされたものである。本発明の目的は、大量生産として円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、リードタイムの短縮と、加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を製造する方法であって、リードタイムの短縮と、加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、円筒状基体および表面層を有する円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法であって、該方法が、
(A)該円筒状電子写真感光体の表面層の表面を洗浄する工程と、
(B)該円筒状電子写真感光体を所定の温度に調整する工程と、
(C)該円筒状電子写真感光体に挿入する挿入体を所定の温度に調整する工程と、
(D)該円筒状電子写真感光体に該挿入体を挿入する工程と、
(E)該凸凹形状に対応する表面形状を表面に有する型部材を所定の温度に維持した状態で、該円筒状電子写真感光体の表面層の表面に接触させ、該型部材の表面の該表面形状を該円筒状電子写真感光体の表面層の表面に転写する工程と、
(F)該円筒状電子写真感光体から該挿入体を抜き取る工程と、
(G)該円筒状電子写真感光体から抜き取られた挿入体の温度を所定の温度に下げる工程
を少なくとも有することを特徴とする、円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法に関する。
また、本発明は、上記の方法により円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成することによって、表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を製造する方法に関する。

発明の効果

0013

本発明によれば、大量生産として円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成するに際し、リードタイムを短縮し、かつ加工諸条件の正確性を確保し、かつ設備投資を抑え、かつ微小異物等の影響のない加工を行うことができる。

図面の簡単な説明

0014

円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法のフローチャートである。
円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法の一例として挿入体の形状とその効果を説明するための図である。
円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法の一例として弾性部材及びサポート部材とその効果を説明するための図である。
実施例で用いた型部材の表面(凹凸形状の面)の図である。
円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成する方法について従来技術を説明するための図である。

0015

以下、本発明の円筒状電子写真感光体(以下単に「ワーク」ともいう。)の表面(円筒状電子写真感光体の表面層の表面を意味する。)に凸凹形状を形成する方法(以下単に「凸凹形状形成方法」ともいう。)について、図を用いて説明する。
図1は、凸凹形状形成方法のフローチャートである。
ワーク投入工程は、図1にて図示しない前工程において、被加工物であるワークすなわち円筒状電子写真感光体を形成した後に、そのワークを図1に示す工程に投入する工程である。ワーク洗浄工程は、ワークの表面に付着している物質を除去する工程である。ワーク温調工程は、ワークの温度を所定の温度に調整する工程である。挿入体温調工程は、ワークに挿入する挿入体の温度を所定の温度に調整する工程である。挿入体挿入工程は、円筒体であるワークに前記挿入体を挿入する工程である。転写工程は、表面に凹凸形状を有する型部材(以下単に「型部材」ともいう。)の温度を所定の温度に調整した状態で、この型部材を、挿入体が挿入されて支持されたワークの表面に押し当て、型部材の凹凸形状をワークの表面に転写する工程である。挿入体離脱工程は、ワークから挿入体を抜き取って離脱させる工程である。挿入体冷却工程は、挿入体の温度を所定の温度に下げる工程である。ワーク排出工程は、図1に示す工程で加工されたワークを、図示しない後工程に向けて排出する工程である。

0016

(1)円筒状電子写真感光体を投入する工程(ワーク投入工程)
図1で示すワーク投入工程で投入されるワークは、前記のように前工程で円筒状電子写真感光体として形成されるが、その材料及び形成形態は、既に一般に知られている種々の材料及び形成形態を適用することができる。一般的には、円筒状基体としてはアルミニウム等の金属材料を用いることが多く、また導電性を付与した樹脂材料ガラス等の材料を用いることも知られている。さらに、円筒状基体上に形成する層としては、酸化被膜層下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、表面保護層等々が広く知られており、本発明は、これら円筒状基体及びその上に形成される各層のどれを用いてワークとしても効果を得ることができる。

0017

(2)円筒状電子写真感光体の表面層の表面を洗浄する工程(ワーク洗浄工程)
ワーク洗浄工程は、後続する工程にワークを供給するに際し、ワークの表面を洗浄するものである。ここで洗浄の対象とするのは、主にワークの表面に付着している、電子写真機能に寄与しない物質(以下単に「付着物質」ともいう。)であり、この付着物質をワーク表面から除去することを目的としている。付着物質としては、一般には微小な繊維や粉体等の固形物、あるいはオイル等の液体などである。これらの付着物質がワークの表面に付着している状態では、後続する各工程において汚染等の悪影響が生じる。例えば、ワーク温調工程においては、昇温方法として何らかの熱媒体をワークに接触させて熱交換する方法を用いた場合は、付着物質が熱媒体に移動又は転写することで、次に処理するワークに移動又は転写してしまうことがある。また、先に述べた転写工程においてもワーク表面の付着物質が型部材に移動又は転写することで、次に処理するワークに移動又は転写してしまうことがある。その付着物質がある程度以上の固さを有していた場合は、その付着物質の形状がワーク表面に転写形成されてしまうことがある。

0018

続いてワーク洗浄工程におけるワークの洗浄方法について述べる。例えばエアーブローによってワーク表面から付着物質を離脱させる方法や、粘着性を有するロール部材をワークと同期回転させて互いに当接させることで、付着物質をワーク表面から前記ロール部材に移動させる方法などが有効である。また、前記ロール部材に変えてブラシ又は布等を用いて付着物質を掻き取る方法も有効である。また、布をワーク表面に当接させた状態でワークを回転させ、その布のワークに当接した面と反対側の面に除電エアーを吹き付け、その除電エアーの風圧で布をワークに押し当てるようにして付着物質をワーク表面から布に移動させる方法も有効である。この除電エアーを用いる方法は、布とワーク表面との摩擦によって生じる静電気によって付着物質がワーク表面から離脱しにくくなることを防止する効果がある。

0019

(3)円筒状電子写真感光体を所定の温度に調整する工程(ワーク温調工程)
ワーク温調工程は、転写工程にてワーク表面に型部材が押しあてられる直前でのワーク温度(以下単に「転写ワーク温度」ともいう。)を所定の温度に調整する工程である。
続いてワーク温調工程における、ワークの温調方法について述べる。ワークの温調方法としては、熱媒体をワークに当接させるか又は近接させて熱交換する方法や、温調された風を吹き付ける方法などが有効である。また、ワークの温度を上昇させる方向で温調する場合は、円筒状基体が金属の場合は、ワーク近傍に誘導電流印加したコイルを設置して誘導加熱する方法も有効である。

0020

(4)挿入体を所定の温度に調整する工程(挿入体温調工程)
挿入体とは、前記転写工程にてワーク表面に型部材を押し当てるにあたり、ワークに挿入してワークを支持する部材である。材質としては特に限定されることはないが、変形を避ける目的から比較的強度の高い部材であることが好ましく、例えば鉄やステンレスを用いた金属、また、炭化タングステンコバルトなどを含有して構成した超硬合金などを用いるのが好ましい。さらには複数の部材を複合させて形成することも好ましい。
そして、この挿入体をワークに挿入して用いるに際して、前記のようにワーク温度を転写工程において転写ワーク温度にする目的から、挿入体も適切な温度に調整しておく必要がある。その温度は、ワーク温調工程で調整するワーク温度を、予め転写ワーク温度に対して転写工程までの雰囲気温度によって変化する分を見込んで設定している場合は、挿入体温調工程での設定温度はワーク温調工程でのワーク温度に近い温度を設定することが好ましい。そして、このようなワーク温調工程や挿入体温調工程での各温度設定は、ワークや挿入体をハンドリングする機構や形態によって生じる温度影響に合わせて適宜設定するべきである。

0021

続いて、挿入体温調工程における、挿入体の温調方法について述べる。挿入体温調方法としては、熱媒体を挿入体に当接させるか又は近接させて熱交換する方法や、温調された風を吹き付ける方法などが有効である。また、挿入体の温度を上昇させる方向で温調する場合は、挿入体が金属の場合は、挿入体近傍に誘導電流を印加したコイルを設置して誘導加熱する方法も有効である。

0022

(5)円筒状電子写真感光体に該挿入体を挿入する工程(挿入体挿入工程)
挿入体挿入工程は、円筒体であるワークに挿入体を挿入する工程である。挿入に際しては、ワークを固定部材で固定しておき、挿入体をワークの円筒軸方向に移動させて挿入してもよいし、挿入体を固定しておき、ワークを挿入体の円筒軸方向に移動させて挿入してもよい。さらには双方を互いに移動させるようにしてもよい。ただし、挿入体は前記のように強度の高い部材として構成することが好ましく、そのためには、形状としてワークに挿入可能な範囲でできるだけ太く設定することが多い。この場合、ワークの内径部分との隙間距離が短くなることで、挿入体とワーク内径部分の擦れによるキズの発生や切り子などの発塵を生じやすくなる。そしてこうした切り子などの発塵は前記の付着物質と同じ弊害をもたらすことになる。そのようなことを避けるためには、挿入機構の精度を高めるか、またはワークと挿入体の互いのズレ方向を検知して修正するような軌道修正機構を搭載することが有効である。

0023

(6)型部材の表面の表面形状を円筒状電子写真感光体の表面層の表面に転写する工程(転写工程)
転写工程は、型部材の温度を所定の温度に調整した状態で、この型部材を、挿入体が挿入されて支持されたワークの表面に押し当て、型部材の凹凸形状をワークの表面に転写する工程である。
ここで、転写工程においてワークと型部材を互いに押し当てるにあたり、挿入体と押しつけ力の印加の方法について、好ましい構成として一例をあげ、その作用について述べる。

0024

(6−1)挿入体
図2において、挿入体4は円筒状電子写真感光体(ワーク)1の円筒状基体2の内部に挿入して用いる部材(器具)である。挿入体4は、軸部7と、軸部7の径方向外側に位置し、挿入体4を円筒状基体2に挿入したときに円筒状基体2の内周面に接触する外周面を有する当接部6と、軸部7と当接部6を繋ぐ繋部8とを有する。そして、当接部6は、その軸方向両端部に軸部7の外周面と隙間10を介して対向する内周面を有している。また、繋部8は、当接部6および軸部7の軸方向の略中央に位置している。また、軸部7は、その軸方向両端部に当接部6の内周面と隙間10を介して対向する外周面を有している。

0025

(6−2)型部材
また、型部材5は、その表面(凹凸形状の面)がワーク1の表面(被加工面)に向かうように配置される。型部材5は、十分な厚みを有する変形しにくい強固な部材であることが好ましい。あるいは、型部材5がシート状であって比較的変形しやすい部材であれば、型部材5の裏面(凹凸形状の面でない側の面)を平板状の支持部材(不図示)で支持してもよい。この平板状の支持部材は、金属などの変形しにくい強固な部材であることが好ましい。また、ヒーターで型部材5を加熱するようにしてもよい。
なお、転写工程においては、軸部7と型部材5とが近づくように、軸部7の軸方向両端部および型部材5の少なくとも一方に、当接部6の外周面と円筒状基体2の内周面とが押し付けられる力(圧力)が加えられる。この力は、ワーク1の表面層3の表面(被加工面)と型部材5の表面(凹凸形状の面)とを互いに押し付けて(圧接させて)、型部材5の表面形状(凹凸形状)をワーク1の表面層3の表面(被加工面)に転写することを目的とする力である。したがって、例えば、型部材5が平板状の支持部材上に支持され、固定されている状態で、この力を軸部7の軸方向両端部に加えてもよい。逆に、軸部7を固定しておき、型部材5が支持部材上に支持されている状態で、この力を(支持部材を介して)型部材に加えてもよい。また、軸部7と型部材5の双方に力を加えてもよい。この力を軸部7の軸方向両端部や型部材5などのいずれの箇所に加えるかは、本発明の効果に影響を生じさせるものではないため、説明の便宜上、以後の説明においては、型部材5が固定されている状態で、力を軸部7の軸方向両端部に加える場合を例に挙げて行う。

0026

(6−3)当接部
当接部6には、軸方向の繋部8の端部に対応する位置から当接部6の端部までの部分として、上記のように軸部7の軸方向両端部に力が加えられた状態でも軸部7と接することがない部分が存在する。この部分は当接部6の一部であり、繋部8の位置と長さによって位置が特定される部分である。以下、この当接部6の軸方向の、繋部8の端部に対応する位置から当接部6の端部までの部分を、説明の便宜上、部分9ともいう。
まず、挿入体4において、上記力が軸方向両端部に加えられた軸部7が、その力を繋部8に伝達する。次に、繋部8に伝達された力は、当接部6の部分9に分散されて伝達される。これにより、軸部7の軸方向両端部に加えられた力は、当接部6の全体に均一に伝達されることになる。また、軸部7の軸方向両端部に力が加えられた際、部分9は軸部7と接触しないので、軸部7の軸方向両端部に力が加えられている間、部分9と軸部7との間には隙間10が維持される。ここで、軸部7の外径寸法は、軸部7の軸方向両端部に力が加えられる際に、軸部7の外周面と当接部6の部分9の内周面とが接触しないように設定される。

0027

多数本のワークを連続的に加工する際、個々のワークの円筒状基体の肉厚のばらつきが加工結果に影響しないようにするための要件は、次の2点である。1点目の要件は、挿入体が個々の円筒状基体の肉厚のばらつきを吸収しながら加える圧力をワークに伝達することであり、挿入体にはある程度の柔軟性が求められるという点である。2点目の要件は、加える圧力をワークの軸方向において均一に保つことである。

0028

まず、1点目の要件について述べる。図2に示す構成では、挿入体4に隙間10が設けられているので、軸部7が弾性的に屈曲することが可能である。軸部7が弾性的に屈曲することによって、挿入体4は、個々のワーク1の円筒状基体2の肉厚のばらつきを許容した状態で、ワーク1に対して圧力を加えることができる。例えば、多数本のワークを加工する中で、円筒状基体の肉厚が、所定のものよりも厚いワークを加工するときには、軸部7がそれに応じた屈曲をすることにより、圧力がより高くなることを抑える。

0029

次に、2点目の要件について述べる。図2に示す構成では、挿入体4は、当接部6と軸部7の間に隙間10を有しているため、軸部7の軸方向両端部に加えられた力が当接部6に伝達されるのは、当接部6の端部ではなく、繋部8の位置となる。より詳しくは、繋部8のうち、軸方向の最も当接部6の端部に近い位置である。そして、この力が伝達される位置から、ワーク1の軸方向における表面層3の塗布領域の端部に対応する位置までには、部分9が存在している。部分9は、隙間10によって軸部7からの力の伝達を直接は受けないから、上記位置(繋部8のうち、軸方向の最も当接部6の端部に近い位置)に伝達された軸部7からの力を、効果的に分散させることができる。これによって、当接部6は、ワーク1に加える圧力の特定の部位への集中を緩和させることができる。

0030

また、隙間10は、軸部7の弾性的な屈曲を可能にすることを目的としているので、必ずしも空間である必要はない。例えば、樹脂やゴムやスポンジといった、軸部7および当接部6の材料よりも弾性係数や硬度が十分に小さい部材を隙間10に配置しても、軸部7の弾性的な屈曲が可能であれば、本発明の効果を得ることができる。軸部7および当接部6の材料よりも弾性係数や硬度が十分に小さい部材を隙間10に配置することは、不要なゴミなどの侵入を抑えるなどの効果が期待できる。さらに、軸部7の弾性的な屈曲を可能にする目的から、隙間10の軸方向の距離や径方向の寸法は、上記力の強弱などから効果を維持できる範囲において適宜設定されるものである。

0031

(6−4)型部材の支持
次に、型部材の支持について述べる。型部材の形態は、平面形状であってもよく、あるいはロール形状であってもよい。
転写工程において平面状の型部材を使用する場合の支持について好ましい構成の一例をあげ、その作用について述べる。図3において、ベース部材15を設け、その上に弾性部材14を配設する。その弾性部材14の上にサポート部材13を配設し、その上に型部材5を配設する。弾性部材14を配設する目的は、ワーク1の長手方向の押しつけ力を中央部分から端部部分にわたってより均一に分散させることである。弾性部材14の材料としては、硬度の低い金属やゴム、スポンジなどが好ましい。サポート部材13を配設する目的は、型部材5と弾性部材14のみを配設するだけでは、押しつけによる圧力がワーク1の表面と型部材5とが当接する線上に集中するため、型部材5及び弾性部材14が大きく変形してしまうことを防ぐことである。サポート部材13の材料は、金属や強度の高い樹脂材料のような比較的硬い部材を用いることが好ましい。
そして、型部材5を支持し、回転自在に支持したワーク1と型部材5を互いに押しあてた状態で、ベース部材15又はワーク1の少なくともどちらか一方をワーク1の円筒軸に直交する方向に移動させる。このようにして、ワーク1の表面全周にわたって型部材5の表面の凹凸形状を転写することができる。

0032

(6−5)温度調節
また、型部材の温度調整方法としては、図3に示すベース部材15に棒状あるいは面状のヒーター、又は温調流体循環系統埋設させるなどの方法を用いることができる。
ここで、ワーク及び型部材の温度について必要な点について述べる。型部材の凹凸形状をワークに押し付けてその形状を転写する際に重要な温度は、ワーク表面に形成された層のうち、型部材の凹凸形状に従って変形を生じさせる層の温度である。その層は電子写真機能を満足させる限り特に限定されるものではないが、説明の便宜上、ここでは変形層と呼ぶこととする。また、ワークの表面に型部材の凹凸形状が押しつけられている時点の変形層の温度を変形到達温度と呼ぶこととする。そして、この変形層の変形到達温度は、変形層のガラス転移点以上、融点未満になるようにして加工することが好ましい。それは、転写工程において変形層の変形到達温度が変形層のガラス転移点以上であれば、押しつけの圧力を緩和することができ、また、ワークに形成した各層とその各接合面に対する不要なストレスを緩和することができる。この各層とその各接合面にストレスが生じた場合は、各層間の剥がれや、帯電における電位影響を引き起こすことがある。さらに、変形層の変形到達温度が変形層の融点未満であれば、型部材がワーク表面から離脱する時点で変形層に転写形成された凸凹形状が消失することを防止することができる。さらに、変形層の温度は、転写工程を終了した後にはガラス転移点未満に下がっていることが必要である。その理由は、変形層の温度がガラス転移点以上の状態では変形層の形状維持性が低く、次第に凸凹形状形成前の状態に戻ることがあるからである。

0033

このような理由から、ワークの転写ワーク温度は変形層のガラス転移点未満で、かつ型部材の温度は、転写時点で変形層の温度を一時的に変形層のガラス転移点以上かつ融点未満にまで引き上げるに十分な温度に調整する必要がある。
なお、前記のようにワーク温調工程で調整するワーク温度は、前記のように転写工程にてワーク表面に型部材が押しあてられる直前での転写ワーク温度が所定の温度になるように調整するべきである。したがって、もし工程内の雰囲気温度が所定の転写ワーク温度よりも低い場合は、このワーク温調工程で調整する温度を、ワークの工程間の移動に際して損失する温度分を予め加えて設定するべきである。また、ワーク温度及び挿入体の温度は転写時点で型部材とワークが当接することで型部材からの熱移動が生じ、転写前よりも僅かに上昇することがある。この場合、前記のように転写後における変形層の温度がガラス転移点以上になることで形状維持性の低い状態を引き起こすことのないように、ワークの転写ワーク温度を、前記熱移動分を考慮して低めに設定することが必要である。

0034

(7)挿入体を抜き取る工程(挿入体離脱工程)
挿入体離脱工程は、ワークから挿入体を離脱、すなわち抜き取る工程である。離脱に際しては、ワークを固定部材で固定しておき、挿入体をワークの円筒軸方向に移動させて離脱してもよいし、挿入体を固定しておき、ワークを挿入体の円筒軸方向に移動させて離脱してもよい。さらには双方を互いに移動させるようにしてもよい。ただし、挿入体は前記のように強度の高い部材として構成することが好ましく、そのためには、形状としてワークに挿入可能な範囲でできるだけ太く設定することが多い。この場合、ワークの内径部分との隙間距離が短くなることで、挿入体とワーク内径部分の擦れによるキズの発生や切り子などの発塵を生じやすくなる。そしてこうした切り子などの発塵は前記の付着物質と同じ弊害をもたらすことになる。そのようなことを避けるためには、挿入機構の精度を高めるか、またはワークと挿入体の互いのズレ方向を検知して修正する様な軌道修正機構を搭載することが有効である。
なお、ワークは前記挿入体離脱工程で挿入体と離脱した後に、図1に示すワーク排出工程から排出される。一方、挿入体は図1に示す挿入体冷却工程に移動する。

0035

(8)挿入体の温度を所定の温度に下げる工程(挿入体冷却工程)
挿入体冷却工程は、前記のようにワーク及び挿入体が転写時に型部材からの熱移動によって温度上昇が起こることに対し、挿入体の温度上昇分について冷却するものである。そして挿入体冷却方法としては、冷却媒体を挿入体に当接させるか又は近接させて熱交換する方法や、温調された風を吹き付ける方法などが有効である。なお、挿入体冷却工程で冷却された挿入体は、図1に示す挿入体温調工程に移動する。

0036

(9)表面に凸凹形状が形成された円筒状電子写真感光体を排出する工程(ワーク排出工程)
ワーク排出工程は、前記のようにして挿入体離脱工程で挿入体と離脱したワークを、後工程に向けて排出する工程である。
(10)雰囲気環境
次に、これまで述べてきた図1に示す各工程の雰囲気環境について述べる。雰囲気中に微小な繊維や粉体等の浮遊粒子が存在すると、特に転写工程では、浮遊粒子がある程度以上の固さを有していた場合は、その浮遊粒子の形状がワーク表面に転写形成されてしまうことがある。こうしたことから、凸凹形状を形成する方法の工程は、浮遊粒子濃度が制限された雰囲気環境中で実行されることが好ましい。そして浮遊粒子濃度が制限された環境を維持するためには、工程全体ブース化して囲い、HEPAフィルター等の塵埃除去機能のあるフィルターを通した空気を導入するなどの方法を用いることができる。

0037

以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(円筒状電子写真感光体の製造)
外径30mm、長さ357.5mm、肉厚0.7mmのアルミニウム合金(A3003)製のシリンダーを円筒状基体とした。
次に、表1に記載の材料をボールミルに入れて20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。

0038

0039

この導電層用塗布液を円筒状基体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度140℃で1時間熱硬化させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、共重合ナイロン商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部、および、メトキシメチル化6ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部およびn−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層(中間層)用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度100℃で30分間乾燥させることによって、膜厚が0.45μmの下引き層(中間層)を形成した。

0040

次に、CuKα特性X線回折ブラック角2θ±0.2°の7.3°および28.1°に強いピークを有する結晶形ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れて4時間分散処理した後、これに酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。

0041

0042

この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度80℃で15分間乾燥させることによって、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(2)で示される化合物(電荷輸送物質(正孔輸送性化合物))70部、および、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)100部を、モノクロロベンゼン600部およびメチラール200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。

0043

0044

この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を温度100℃で30分間乾燥させることによって、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。なお、この浸漬塗布に際して、円筒状基体に対する塗布上端未塗布幅を1.5mmとした。また、浸漬塗布後、塗膜乾燥前に塗布下端フッ素ゴムブレードで円筒状基体端から1.5mmの幅で剥離した。

0045

次に、潤滑剤用分散剤としてのフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)製)0.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)社製)30部および1−プロパノール30部の混合溶剤に溶解させた後、これに潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加え、これらを高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)に入れ、600kgf/cm2の圧力で4回の分散処理を施した。これをポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、潤滑剤分散液を得た。その後、得られた潤滑剤分散液に下記構造式(3)で示される化合物(正孔輸送性化合物)90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン60部および1−プロパノール60部を加え、これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、保護層用塗布液を調製した。

0046

0047

この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布した。なお、この浸漬塗布に際して、円筒状基体に対する塗布上端の未塗布幅を1.5mmとした。また、浸漬塗布後、塗膜乾燥前に塗布下端をフッ素ゴムブレードで円筒状基体端から1.5mmの幅で剥離した。
その後、得られた塗膜を、大気中において、温度50℃で10分間乾燥させた。その後、窒素中において、加速電圧150kV、ビーム電流3.0mAの条件で円筒状基体を200rpmで回転させながら1.6秒間塗膜に電子線を照射した。引き続いて窒素中において塗膜の温度を25℃から125℃まで30秒かけて昇温させながら塗膜の硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15kGyであった。また、電子線照射および加熱硬化反応雰囲気酸素濃度は15ppm以下であった。その後、大気中において、塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却した。その後、大気中において、塗膜を温度100℃で30分間加熱処理することによって、膜厚が5μmの保護層を形成した。
このようにして、表面層が保護層である円筒状電子写真感光体(表面層(保護層)の表面に凸凹形状が形成される前の円筒状電子写真感光体)を製造した。
以上の方法で、合計1000本の円筒状電子写真感光体、すなわちワークを製造した。

0048

(実施例1)
このようにして得られたワークを、図1に示す工程に従って順次加工を施した。以下、それぞれの工程での加工について述べる。
<洗浄工程>
先ず、洗浄工程ではワークを回転させた状態で、ワークの表面に東レ社製のトレシーを押し当て、ワーク表面の付着物質を拭き取るようにした。押し当てるに際しては、トレシーのワークに触れる面の反対側から3M社製イオナイズドエアーブロアーを用いて除電エアーをワーク方向に吹き付けることによる風圧で押し当てるようにした。

0049

<ワーク温調工程>
次に、ワーク温調工程では、ワークを回転させた状態でワーク近傍に誘導電流を印加したコイルを設置して誘導加熱するようにした。ワークの温度は、このワーク温調工程での処理を行う前ではおよそ23℃であり、誘導加熱を行った直後ではおよそ55℃になるようにした。

0050

<挿入体温調工程>
次に、挿入体として、外径38mmの図2に示すような断面形状の超硬合金を準備した。そして、挿入体温調工程では、熱媒体を挿入体に当接させて熱交換する方法を用いた。熱媒体はシリコンゴムブロックを用い、そのシリコンゴムブロックの中に温水循環させることでシリコンゴムブロックの温度をおよそ90℃に保つようにした。このシリコンゴムブロックを挿入体に当接させ、挿入体の温度がおよそ57℃になった時点で挿入体からシリコンゴムブロックを離した。

0051

<挿入体挿入工程>
次に挿入体挿入工程では、挿入体を円筒軸方向の鉛直方向に固定しておき、ワークを挿入体に向けて円筒軸方向に移動させてワークの内部に挿入体を挿入させた。このとき、挿入の擦れを避ける目的での挿入精度を確保するため、ワークと挿入体の互いのズレ方向を検知して修正するような軌道修正機構を用いた。この機構は、予めワークの内部に挿入体が挿入される直前の、挿入体に対するワークの水平方向の位置の変位量レーザー変位センサーで検知しておき、この変位量と同じ分だけ挿入体を水平方向に移動させるような機構を用いた。

0052

<転写工程>
次に、転写工程では、図3に示すような構成を用いた。ベース部材15は、枠体材質をSUS304製とし、内部に加熱用のヒーターを設置し、上面が略水平になるように設置した。ベース部材15の上には弾性部材14として厚さ6mmのシリコンゴム製の板を載置した。弾性部材14の上にはサポート部材13として厚さ1mmのSUS304製の板を載置した。型部材5は、図4の(A)、(B)および(C)に示したような円柱形状を有する厚さ300μmのニッケル材質のモールドを使用し、円柱の直径Yは50μm、高さZは6μm、ピッチXは50μmとした。この型部材をサポート部材13の上面に固定した。この状態でヒーターを昇温させ、型部材5の表面が温度150℃になるようにした。このように型部材5を支持し、挿入体4を回転自在に支持し、ワーク1と型部材5を互いに押しあてた状態で、ベース部材15をワーク1の円筒軸に直交する方向に移動させることで、ワーク1の表面全周にわたって型部材5の表面の凹凸形状を転写した。このとき、挿入体4を型部材5に向けて押しつける力は、6kNを維持するようにし、ベース部材15をワーク1の円筒軸に直交する方向に移動させる速度は、10mm/secとした。

0053

<挿入体離脱工程>
次に、挿入体離脱工程では、挿入体を円筒軸方向の鉛直方向に固定しておき、ワークを挿入体から離れる方向にかつ円筒軸方向に移動させて離脱させた。
このようにして、ワークすなわち円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成した。
なお、挿入体離脱工程を終了した5秒後のワーク温度は、およそ60℃であり、挿入体の温度はおよそ64℃であった。

0054

<挿入体冷却工程>
そして挿入体冷却工程では、冷却媒体を挿入体に当接させて熱交換する方法を用いた。冷却媒体はシリコンゴムブロックを用い、そのシリコンゴムブロックの中に水を循環させることでシリコンゴムブロックの温度をおよそ13℃に保つようにした。このシリコンゴムロックを挿入体に当接させ、挿入体の温度がおよそ55℃になった時点で挿入体からシリコンゴムブロックを離した。その後、挿入体は挿入体温調工程に移動させた。

0055

以下、同様にして合計1000本のワークすなわち円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成した。
なお、図1に示す工程を用いて1000本の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を付けるために要した時間は、660分であった。また、加工済みの円筒状電子写真感光体の表面を観察し、転写に使用した型部材の表面形状と違う形状が転写された部分がある円筒状電子写真感光体の本数をカウントしたところ、4本の円筒状電子写真感光体の表面に型部材の形状以外の転写の痕跡が認められた。

0056

(実施例2)
図1に示す工程のうち、転写工程をブースで囲うようにした。ブースは、転写工程の側面及び天井面を透明な塩化ビニールパネルで囲うような構造とした。また、ブース天井面の、型部材が設置された位置のほぼ真上に位置する部分にHEPAフィルターおよびファンユニットを設置し、ブース内にHEPAフィルターを通した風を流入させるようにした。そして、ブース側面の前記パネルの下方の床近傍に隙間を設け、流入させた風をブース外に放出させるようにした。このようにして、ブース内の雰囲気をパーティクルカウンター(浮遊粒子濃度を測定する装置)で測定したところ、浮遊粒子濃度は1立方メートルあたり1万個であった。

0057

このように転写工程を浮遊粒子濃度が制限された環境に保った以外は、全て実施例1と同様にして、1000本の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成した。
なお、実施例2において図1に示す工程を用いて1000本の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を付けるために要した時間は、660分であった。また、加工済みの円筒状電子写真感光体の表面を観察し、転写に使用した型部材の表面形状と違う形状が転写された部分がある円筒状電子写真感光体の本数をカウントしたところ、2本の円筒状電子写真感光体の表面に型部材の形状以外の転写の痕跡が認められた。

実施例

0058

(実施例3)
図1に示す工程のうち、ワーク投入工程とワーク排出工程以外の全ての工程を、実施例2と同様なブースで囲うようにした。それ以外はすべて実施例2と同様にして1000本の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を形成した。
なお、実施例3において図1に示す工程を用いて1000本の円筒状電子写真感光体の表面に凸凹形状を付けるために要した時間は、660分であった。また、加工済みの円筒状電子写真感光体の表面を観察し、転写に使用した型部材の表面形状と違う形状が転写された部分がある円筒状電子写真感光体の本数をカウントしたところ、全ての円筒状電子写真感光体の表面に型部材の形状以外の転写の痕跡が認められなかった。

0059

1円筒状電子写真感光体(ワーク)
2円筒状基体
3表面層
4挿入体
5型部材
6 当接部
7 軸部
8 繋部
9 当接部6の軸方向の、繋部8の端部に対向する位置から当接部6の端部までの部分
10 隙間
11 従来方法での挿入体
12 従来方法での支持部材
13サポート部材
14弾性部材15 ベース部材

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