図面 (/)

技術 ボイラ用メンブレンパネルの溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社
発明者 柳田信義
出願日 2013年8月9日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2013-165953
公開日 2014年3月27日 (6年3ヶ月経過) 公開番号 2014-055760
状態 特許登録済
技術分野 蒸気ボイラの細部 アーク溶接一般 処理全般、補助装置、継手、開先形状 突合せ溶接及び特定物品の溶接
主要キーワード ひずみ履歴 応力履歴 メンブレンパネル クリープひずみ メンブレンバー 腐食対策 溶接過程 溶接面積
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年3月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

ボイラ火炉水壁を形成するボイラメンブレンパネル配管周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保したボイラ用メンブレンパネル溶接部予防保全補修方法を提供する。

解決手段

ボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法は、ボイラ用メンブレンパネル20の配管1に貫通き裂が生じている場合に、配管1に生じた貫通き裂を削り取って補修開先を形成し、この補修部開先に肉盛り溶接して補修部肉盛溶接部8を形成し、次に前記溶接部を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面の両面に対して全面的に外面肉盛溶接部10をそれぞれ形成する肉盛溶接を行うようにした。

概要

背景

ボイラ装置を構成するボイラ火炉水壁を形成するボイラメンブレンパネルは、内部をボイラ水または蒸気が流れる伝熱管である複数本配管と、これらの配管を所定間隔溶接によって接合した所定の形状を有するメンブレンバーとから構成されており、この所定の形状を有する複数枚のメンブレンパネルが、配管の両端で相互に突合せ溶接されることによってボイラ火炉の水壁を形成する構造となっている。

このボイラ火炉の水壁を形成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル同士を接合する場合には、各メンブレンバーの両端の一部を切り欠いて配管の端部を突合せ溶接する際の溶接作業空間部として隙間を形成して前記配管の端部を突合せ溶接した後に、補助メンブレンバーを前記隙間に挿入して隙間を塞ぎ、補助メンブレンバーとメンブレンバーの端部及び配管とを溶接して複数枚のメンブレンパネル同士を接合し、ボイラ火炉の水壁を形成している。

上記した構成のボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの製作方法は公知であり、例えば、特開2007−64608号公報には前記したボイラ用メンブレンパネルの製作方法に関する技術が開示されている。

上記したボイラ火炉の水壁を構成する複数枚のメンブレンパネル同士の接合は、通常、ボイラ装置を設置する現地で実施される。

ところで、ボイラ火炉の水壁を構成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル同士を接合した溶接部には、溶接による溶接残留応力が発生する。

ボイラ用メンブレンパネル同士を接合した溶接後には、一般に前記溶接部に対して溶接後熱処理が実施され、溶接部に発生した溶接残留応力を低減している。

一方、溶接部位の寸法、形状および材料が特定の条件を満たしていれば、溶接部に溶接後熱処理を実施しない場合がある。この場合には、溶接部と該溶接部の熱影響部には溶接により発生した引張応力残留する。

また、供用運転中のボイラ装置では、ボイラ火炉の水壁内面側は燃料燃焼して発生した燃焼ガスに曝されるため腐食が生じることがある。

この腐食の対策としてニッケル基合金耐食性材料肉盛溶接金属として用いて前記ボイラ用メンブレンパネルの全面を覆うように均一の肉厚肉盛溶接する方法が適用されている。

ところで、ボイラ火炉の水壁内面側となるボイラ用メンブレンパネルの内面側のみにニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接すると、肉盛溶接後の溶接金属収縮によってニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接した前記ボイラ用メンブレンパネルの肉盛溶接部に溶接変形が発生することになる。

そこで、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの内面側にニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接したことによる肉盛溶接部の溶接変形の発生を回避するため、特開平10−238706号公報には、ボイラ用メンブレンパネルを構成するメンブレンバーを配管の断面の中央部よりも該配管の頂部側となるボイラ内面側にずらした位置で前記配管1とメンブレンバーを接合する隅肉溶接を行って肉盛溶接時溶接面積を減少させ、肉盛溶接に要する溶接時間の短縮と溶接金属量の減少を図る方法が提案されている。

また、特開2007−155233号公報には、ボイラ用メンブレンパネルを構成する配管とメンブレンバーとを接合する隅肉溶接を行い、ボイラ火炉の水壁内面側となるボイラ用メンブレンパネルの内面側の表面全体に耐食性材料を肉盛溶接することによって溶接変形を抑制する方法が提案されている。

概要

ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法を提供する。ボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法は、ボイラ用メンブレンパネル20の配管1に貫通き裂が生じている場合に、配管1に生じた貫通き裂を削り取って補修開先を形成し、この補修部開先に肉盛り溶接して補修部肉盛溶接部8を形成し、次に前記溶接部を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面の両面に対して全面的に外面肉盛溶接部10をそれぞれ形成する肉盛溶接を行うようにした。

目的

本発明の目的は、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ボイラ火炉水壁を形成する複数の伝熱管となる配管と、これらの配管を接合した複数のメンブレンバーとを有したボイラメンブレンパネル複数枚備えてボイラ火炉の水壁を形成し、これらのボイラ用メンブレンパネルの配管同士を溶接したボイラ用メンブレンパネル溶接部予防保全補修方法において、前記ボイラ用メンブレンパネルの配管に貫通き裂が生じている場合に、前記配管に生じた貫通き裂を削り取って補修開先を形成し、この配管に形成した前記補修部開先に肉盛り溶接して補修部肉盛溶接部を形成し、次に前記配管の溶接部を含むボイラ用メンブレンパネルの表面及び裏面の両面に対して全面的に外面肉盛溶接部をそれぞれ形成する肉盛溶接を行うようにしたことを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項2

ボイラ火炉の水壁を形成する複数の伝熱管となる配管と、これらの配管を接合した複数のメンブレンバーとを有したボイラ用メンブレンパネルを複数枚備えてボイラ火炉の水壁を形成し、これらのボイラ用メンブレンパネルの配管同士を溶接したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記ボイラ用メンブレンパネルの配管に未貫通き裂が生じている場合に、前記配管に生じた未貫通き裂を残したまま、前記配管の溶接部を含むボイラ用メンブレンパネルの表面及び裏面の両面にわたって、全面的に外面肉盛溶接部を形成する肉盛溶接を施すようにしたことを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部を形成する肉盛溶接の溶接金属として、前記配管、メンブレンバー及びボイラ用メンブレンパネルと同種の材料となる低合金鋼を用いることを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項4

請求項1又は請求項2に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部を形成する肉盛溶接の溶接金属として、前記配管、メンブレンバー及びボイラ用メンブレンパネルと同種の材料となる炭素鋼を用いることを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項5

請求項1又は2に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部を形成する肉盛溶接の溶接金属として、前記配管、メンブレンバー及びボイラ用メンブレンパネルと異種の材料となる、ニッケル基合金を用いることを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項6

請求項1又は請求項2に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部を肉盛溶接する範囲は、配管の平均半径をR、厚さをtとした場合に、配管同士を溶接して形成した周方向の配管溶接部を中心として、配管の軸方向に沿って片側が、(Rt)1/2の2.5倍以上で10倍以下となる範囲に、それぞれ肉盛溶接することを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項7

請求項1又は請求項2に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部は、配管の厚さをtとした場合に、配管の厚さtの1倍以上で2倍以下の厚さとなるように肉盛溶接することを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項8

請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部の肉盛溶接中は前記配管内面冷却媒体を満たしていることを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項9

請求項8に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記外面肉盛溶接部の肉盛溶接中に前記配管内面に満たす冷却媒体として水を用いることを特徴とするボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法。

請求項10

請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法によりボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修が行われたことを特徴とするボイラ装置

技術分野

0001

本発明は、ボイラ火炉水壁を構成するメンブレンパネル溶接部を含む構造の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置に関するものである。

背景技術

0002

ボイラ装置を構成するボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルは、内部をボイラ水または蒸気が流れる伝熱管である複数本配管と、これらの配管を所定間隔溶接によって接合した所定の形状を有するメンブレンバーとから構成されており、この所定の形状を有する複数枚のメンブレンパネルが、配管の両端で相互に突合せ溶接されることによってボイラ火炉の水壁を形成する構造となっている。

0003

このボイラ火炉の水壁を形成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル同士を接合する場合には、各メンブレンバーの両端の一部を切り欠いて配管の端部を突合せ溶接する際の溶接作業空間部として隙間を形成して前記配管の端部を突合せ溶接した後に、補助メンブレンバーを前記隙間に挿入して隙間を塞ぎ、補助メンブレンバーとメンブレンバーの端部及び配管とを溶接して複数枚のメンブレンパネル同士を接合し、ボイラ火炉の水壁を形成している。

0004

上記した構成のボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの製作方法は公知であり、例えば、特開2007−64608号公報には前記したボイラ用メンブレンパネルの製作方法に関する技術が開示されている。

0005

上記したボイラ火炉の水壁を構成する複数枚のメンブレンパネル同士の接合は、通常、ボイラ装置を設置する現地で実施される。

0006

ところで、ボイラ火炉の水壁を構成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル同士を接合した溶接部には、溶接による溶接残留応力が発生する。

0007

ボイラ用メンブレンパネル同士を接合した溶接後には、一般に前記溶接部に対して溶接後熱処理が実施され、溶接部に発生した溶接残留応力を低減している。

0008

一方、溶接部位の寸法、形状および材料が特定の条件を満たしていれば、溶接部に溶接後熱処理を実施しない場合がある。この場合には、溶接部と該溶接部の熱影響部には溶接により発生した引張応力残留する。

0009

また、供用運転中のボイラ装置では、ボイラ火炉の水壁内面側は燃料燃焼して発生した燃焼ガスに曝されるため腐食が生じることがある。

0010

この腐食の対策としてニッケル基合金耐食性材料肉盛溶接金属として用いて前記ボイラ用メンブレンパネルの全面を覆うように均一の肉厚肉盛溶接する方法が適用されている。

0011

ところで、ボイラ火炉の水壁内面側となるボイラ用メンブレンパネルの内面側のみにニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接すると、肉盛溶接後の溶接金属収縮によってニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接した前記ボイラ用メンブレンパネルの肉盛溶接部に溶接変形が発生することになる。

0012

そこで、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの内面側にニッケル基合金の耐食性材料を肉盛溶接したことによる肉盛溶接部の溶接変形の発生を回避するため、特開平10−238706号公報には、ボイラ用メンブレンパネルを構成するメンブレンバーを配管の断面の中央部よりも該配管の頂部側となるボイラ内面側にずらした位置で前記配管1とメンブレンバーを接合する隅肉溶接を行って肉盛溶接時溶接面積を減少させ、肉盛溶接に要する溶接時間の短縮と溶接金属量の減少を図る方法が提案されている。

0013

また、特開2007−155233号公報には、ボイラ用メンブレンパネルを構成する配管とメンブレンバーとを接合する隅肉溶接を行い、ボイラ火炉の水壁内面側となるボイラ用メンブレンパネルの内面側の表面全体に耐食性材料を肉盛溶接することによって溶接変形を抑制する方法が提案されている。

先行技術

0014

特開2007− 64608号公報
特開平10−238706号公報
特開2007−155233号公報

発明が解決しようとする課題

0015

背景技術に記載したようにボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネル同士の溶接部では、溶接部位の寸法、形状および材料が特定の条件を満たしていればボイラ用メンブレンパネル同士の溶接部に対して溶接後熱処理を実施しない場合がある。

0016

そして、ボイラ用メンブレンパネル同士の溶接部に対して溶接後熱処理が実施されない場合には、ボイラ用メンブレンパネル同士の溶接部および該溶接部の熱影響部には、溶接による引張応力が残留する。

0017

溶接部および該溶接部の熱影響部に残留した引張応力は応力腐食割れ発生因子である。溶接部および該溶接部の熱影響部に応力腐食割れの発生を抑制させるためには、この引張残留応力を低減した方が良い。さらに好ましくは、溶接部および該溶接部の熱影響部に圧縮残留応力を付与した方が良い。

0018

ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネル同士の溶接では、メンブレンパネルを構成する配管同士を接合する周溶接と、メンブレンパネルを構成する補助メンブレンと配管とを接合する溶接が行われる。

0019

ボイラ装置では、ボイラ火炉の水壁を形成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル同士を溶接して溶接部を形成させた後に、ボイラ用メンブレンパネル同士を溶接したこれらの溶接部に対してヒータ保温材を設置して前記溶接部の溶接後熱処理を施工するので、前記溶接部の溶接後熱処理に多くの工数が必要となる。

0020

また、ボイラ用メンブレンパネル同士を溶接した溶接部の溶接後熱処理では、クリープひずみの発生によって溶接部に残留する溶接残留応力を緩和させるため、残留応力の絶対値は漸近するが、前記溶接部に圧縮残留応力の付与には至らない。

0021

ところで、既設のボイラ装置のボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの配管溶接部においては、仮に溶接部に応力腐食割れが発生して配管から内部流体漏洩が発生したような場合には、内部流体が漏洩した配管に生じたき裂の除去、および前記き裂を除去して形成した開先に肉盛溶接する補修が行われる。

0022

一般に、配管に生じたき裂を除去して形成した開先に肉盛溶接する補修を施工した場合に、補修した肉盛溶接の部位に引張残留応力が発生する。そのため、配管に生じたき裂を補修した肉盛溶接の部位から再度、応力腐食割れが発生する可能性がある。

0023

ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの配管溶接部に、配管に生じたき裂を肉盛溶接した補修部位信頼性を向上させるためには、補修後に前記肉盛溶接の部位に発生する引張残留応力を低減させることが良い。さらに好ましくは、補修後の前記肉盛溶接の部位に圧縮残留応力を付与した方が良い。

0024

しかしながら、上記した従来のボイラ用メンブレンパネル同士を溶接した溶接部の溶接後熱処理方法では、ボイラ用メンブレンパネルの配管溶接部に応力腐食割れの発生を抑制するため、ボイラ用メンブレンパネルを接合した配管の周溶接部に溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与し得る溶接部の予防保全補修方法を見出すことが課題となっていた。

0025

本発明の目的は、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0026

本発明のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法は、ボイラ火炉の水壁を形成する複数の伝熱管となる配管と、これらの配管を接合した複数のメンブレンバーとを有したボイラ用メンブレンパネルを複数枚備えてボイラ火炉の水壁を形成し、これらのボイラ用メンブレンパネルの配管同士を溶接したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記ボイラ用メンブレンパネルの配管に貫通き裂が生じている場合に、前記配管に生じた貫通き裂を削り取って補修部開先を形成し、この配管に形成した前記補修部開先に肉盛り溶接して補修部肉盛溶接部を形成し、次に前記配管の溶接部を含むボイラ用メンブレンパネルの表面及び裏面の両面に対して全面的に外面肉盛溶接部をそれぞれ形成する肉盛溶接を行うようにしたことを特徴とする。

0027

また、本発明のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法は、ボイラ火炉の水壁を形成する複数の伝熱管となる配管と、これらの配管を接合した複数のメンブレンバーとを有したボイラ用メンブレンパネルを複数枚備えてボイラ火炉の水壁を形成し、これらのボイラ用メンブレンパネルの配管同士を溶接したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法において、前記ボイラ用メンブレンパネルの配管に未貫通き裂が生じている場合に、前記配管に生じた未貫通き裂を残したまま、前記配管の溶接部を含むボイラ用メンブレンパネルの表面及び裏面の両面にわたって、全面的に外面肉盛溶接部を形成する肉盛溶接を施すようにしたことを特徴とする。

発明の効果

0028

本発明によれば、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保することを可能したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置が実現できる。

図面の簡単な説明

0029

本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法が適用されるメンブレンパネルと、メンブレンパネルを構成する配管の端部を突合せ溶接した周方向の溶接部を含む配管を示す部分断面図。
本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法の施工の一部である配管に形成した補修部開先と、補修部肉盛り溶接を設けた状況を示すメンブレンパネル及び配管の部分断面図。
本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法の施工の一部である配管の溶接部を含むメンブレンパネルの表面及び裏面の両側に外面肉盛溶接を施した状況を示すメンブレンパネル及び配管の部分断面図。
本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法による溶接過程における応力ひずみ履歴を示した説明図。
本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法の外面肉盛溶接による収縮変形を模式的に示した説明図。
本発明の第2実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法の施工の一部である配管の溶接部を含むメンブレンパネルの表面及び裏面の両側に外面肉盛溶接を施した状況を示すメンブレンパネル及び配管の部分断面図。

0030

本発明の実施例であるボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法ついて図面を用いて説明する。

0031

本発明の第1実施例であるボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法について、図1図5を用いて説明する。

0032

本件実施例であるボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法について説明すると、
図1に示したように、本実施例であるボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法が適用されるボイラ装置のボイラ火炉の水壁を形成しているボイラ用メンブレンパネル20は低合金鋼を用いて製造されている。

0033

そして、このボイラ用メンブレンパネル20は、内部をボイラ水または蒸気が流れる伝熱管である複数本の配管1と、これらの配管1を所定間隔で接合した複数本のメンブレンバー2とを配管1の軸方向に交互に配設されるように隅肉溶接部12で溶接することによって、前記ボイラ用メンブレンパネル20を構成しており、前記配管1とメンブレンバー2の材料、及び隅肉溶接部12の溶接金属にもボイラ用メンブレンパネル20と同じ低合金鋼が用いられている。

0034

前記ボイラ用メンブレンパネル20は、図2に示したように、隣接する配管1同士を突合せ溶接した配管1の周方向の配管溶接部3と、補助メンブレン5により接合されて、ボイラ火炉の水壁を形成している。

0035

これらの配管1の周方向を溶接する配管溶接部3の溶接金属及び補助メンブレン5の材料にもボイラ用メンブレンパネル20と同じ低合金鋼が用いられている。

0036

本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法では、ボイラ装置を一定期間運転した後のボイラ用メンブレンパネル20であって、このメンブレンパネル20を構成する配管1に該配管1の内面から外面に貫通した貫通き裂4が発生しており、更に、前記配管1の内面にき裂は生じているが該配管1の外面までは貫通していない未貫通き裂6が検出された状況下のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法について説明する。

0037

本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法では、メンブレンパネル20を構成する配管1に、該配管1の内面から外面に貫通した貫通き裂4が発生しており、更に前記配管1の内面にき裂が生じているが該配管1の外面までは貫通していない未貫通き裂6が検出された場合に実施するボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法として、最初に、図2に示すように、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1に貫通き裂4が発生し、前記き裂が貫通した前記配管1の部分を切削手段のグラインダを用いて部分的に削り取り、補修部開先7を前記配管1に形成した状態を示している。

0038

次に、配管1に形成した前記補修部開先7に溶接を施して貫通き裂4が発生した前記配管1の箇所に、図2に示したように低合金鋼の溶接金属で補修部肉盛溶接部8を形成する。

0039

ボイラ用火炉の水壁を形成する複数のボイラ用メンブレンパネル2を構成する配管1、メンブレンバー2、及び補助メンブレン5の各材料と、隅肉溶接部12と補修部肉盛溶接部8の溶接金属には、前記ボイラ用メンブレンパネル20の材料と同種の低合金鋼が用いられている。

0040

前記配管1に形成した補修部開先7を補修する補修部肉盛溶接部8の肉盛溶接では、配管1の内部9の冷却は実施しない。配管1にグラインダによる切削によって補修部開先7を形成することにより、配管1の内面から外面に貫通した貫通き裂4が除去される。

0041

そして、この配管1に局所的に切削されて形成した補修部開先7に前記したように肉盛溶接して補修部肉盛溶接部8を設けるため、この配管1に設けた補修部肉盛溶接部8には引張残留応力が発生する。

0042

次に、ボイラ用メンブレンパネル20の溶接部である配管1に、記配管1の内面にき裂が生じているが該配管1の外面までは貫通していない未貫通き裂6に対して実施するボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法として、前記配管1と該配管1に接合されているメンブレンバー2を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に、ボイラ用メンブレンパネル20と同じ低合金鋼の溶接金属を用いてボイラ用メンブレンパネル20の全面に亘って均一厚さの肉盛溶接を施して外面肉盛溶接部10をそれぞれ形成する。

0043

ボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に外面肉盛溶接部10を形成する肉盛溶接は、図3に示すように、相互に接合される一方の配管1と他方の配管1とを突合せ溶接して形成された前記配管1の周方向の配管溶接部3を中心として、この配管溶接部3から前記一方の配管1に向かって図中に一方のLで示す片側の範囲と、この配管溶接部3から前記他方の配管1に向かって図中に他方のLで示す反対側の片側の範囲との双方の範囲Lに亘って、それぞれ低合金鋼の溶接金属を用いて前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接が施されることになる。

0044

ここで、外面肉盛溶接部10が施される前記範囲Lは、配管1の平均半径をR、厚さをtとした場合に、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、(Rt)1/2の2.5倍以上で10倍以下、となる範囲に設定する。

0045

外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、配管溶接部3を中心として(Rt)1/2の2.5倍以上に設定する理由は、溶接部に残留応力が発生する領域が(Rt)1/2の2.5倍程度であるので、この残留応力が発生する領域を外面肉盛溶接部10でカバーするために設定したものである。

0046

外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、配管溶接部3を中心として(Rt)1/2の10倍以下に設定する理由は、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接の作業工数の増加を抑制する上限値として設定したものである。

0047

また、外面肉盛溶接部10の厚さは、配管1の厚さtの1倍以上で2倍以下の厚さとなるように形成にする。

0048

この外面肉盛溶接部10の厚さを配管1の厚さtの1倍以上に設定する理由は、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接するボイラ用メンブレンパネル20の強度を確保するためであり、また、外面肉盛溶接部10の厚さを配管1の厚さtの2倍以下の厚さに設定する理由は、外面肉盛溶接部10の肉盛溶接の作業工数の増加を抑制するためである。

0049

前記外面肉盛溶接部10の溶接金属としては、ボイラ用メンブレンパネル2を構成する配管1、メンブレンバー2、及び補助メンブレン5の各材料と、隅肉溶接部12と補修部肉盛溶接部8の溶接金属と同様に、ボイラ用メンブレンパネル20の材料と同種の低合金鋼を用いる。

0050

また、前記外面肉盛溶接部10の溶接金属には、低合金鋼だけでなく炭素鋼でも適用可能であるが、外面肉盛溶接部10の溶接金属に炭素鋼を用いる場合には、ボイラ用メンブレンパネル2、ボイラ用メンブレンパネル2を構成する配管1、メンブレンバー2、及び補助メンブレン5の各材料と、隅肉溶接部12と補修部肉盛溶接部8の溶接金属にも、同種の炭素鋼を用いることになる。

0051

そして、ボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に全面に亘って溶接する前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接は、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1の内部9を水で満たしながら実施する。

0052

配管1の内部9を水で満たしてボイラ用メンブレンパネル20を構成する該配管1の外面を肉盛溶接すると、溶接過程では配管1の内面は低温となり、配管1の外面は高温となって、配管1の内面側には引張応力が発生する。

0053

前記配管1に、該配管の内面にき裂が生じているが該配管1の外面までは貫通していない未貫通き裂6が残っている場合には、この未貫通き裂6の先端には引張応力が発生する。

0054

そしてこの引張応力によって前記未貫通き裂6のき裂先端に引張の塑性ひずみが発生し、配管1の肉盛溶接後にこの溶接部の全体が均一な温度になった場合に、前記未貫通き裂6のき裂先端の残留応力は圧縮応力になり、き裂の進展を抑制する効果が生じる。

0055

ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1同士を溶接する周方向の配管溶接部3と、前記配管1及び該配管1に接合されているメンブレンバー2を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面と裏面との双方に全面に亘って外面肉盛溶接部10の肉盛溶接を施した場合の前記外面肉盛溶接部10に発生する応力の履歴について図4を用いて説明する。

0056

図4はボイラ用メンブレンパネル20に施す外面肉盛溶接部10に発生する応力の履歴を示すものである。図4に示したように、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1の周方向の配管溶接部3では、溶接入熱過程で溶接の局所的な入熱による局所的な温度上昇によって体積膨張が周囲の領域に拘束されることによって圧縮応力が発生する。

0057

図4中で、経路O→a→bと移動する応力が配管1の周方向の配管溶接部3における加熱過程応力履歴であり、圧縮の塑性ひずみが発生する。

0058

この配管1の周方向の配管溶接部3は溶接後に温度が下がって冷却されるが、図4中で、経路b→cと移動する応力が冷却過程の応力履歴であり、図4中で点cが配管1の周方向の配管溶接部3における溶接後の残留応力である。

0059

配管1の内部9を冷却しながら配管1及びメンブレンバー2を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面の両面に全面に亘って外面肉盛溶接部10を形成する肉盛溶接を施すと、この外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接に伴う温度上昇によって外面肉盛溶接部10の膨張が周囲に拘束されることにより、配管1の内面には引張応力が発生し、引張側の塑性ひずみが発生する。

0060

この外面肉盛溶接部10を肉盛溶接中の配管1の内面の応力は、図4中で点dとなる。

0061

そして、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接に伴う溶接入熱が終わり、外面肉盛溶接部10の全体が均一な温度になる過程では、応力は図4中で、dからeに移動する。図4中で点eが外面肉盛溶接部10を肉盛溶接した後の配管1の内面の残留応力である。

0062

図3に示したように、配管1及びメンブレンバー2を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面の両面に、全面に亘って肉盛外面肉盛溶接部10の肉盛溶接を施すが、この肉盛外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する範囲は、配管1を接続した周方向の配管溶接部3を中心として、この配管溶接部3から配管1の軸方向に沿って、一方の配管1に向かって図中に一方のLで示す片側の範囲と、他方の配管1に向かって図中に他方のLで示す反対側の片側の範囲との双方の範囲Lに亘って、それぞれ低合金鋼の溶接金属を用いて前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接が施されることになる。

0063

ここで、外面肉盛溶接部10が施される前記範囲Lは、配管1の平均半径をR、厚さをtとした場合に、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、(Rt)1/2の2.5倍以上で10倍以下、となる範囲に設定する。

0064

また、外面肉盛溶接部10の厚さは、配管1の厚さtの1倍以上で2倍以下の厚さとなるように形成にする。

0065

前記外面肉盛溶接部10の溶接金属としては低合金鋼の溶接金属を用いているが、この低合金鋼だけでなく炭素鋼でも適用可能である。前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接は、前述したように、ボイラ用メンブレンパネル20の配管1の内部9を水で満たしながら実施する。

0066

ボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に範囲Lに亘って前記外面肉盛溶接部10を肉盛溶接することにより、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1の周方向の配管溶接部3および前記溶接部の熱影響部は溶接金属の収縮により径方向に収縮変形を受ける。

0067

このとき、肉盛溶接した外面肉盛溶接部10の周囲には引張応力が発生する。一方、既存の溶接金属部および該溶接金属部の溶接熱影響部の領域は溶接金属からの収縮変形により圧縮応力が発生する。

0068

図5は、本実施例であるボイラ用メンブレンパネルの熱処理方法の外面肉盛溶接部である図3に示す配管1を接続した周方向の配管溶接部3を含んだ配管1の外周側に外面肉盛溶接部10を肉盛溶接した配管1の部分断面図である。

0069

図5に示したように、外面肉盛溶接部10の収縮力によって配管1には径方向の収縮変形が発生する。この収縮変形により配管1の内表面の残留応力は圧縮応力になる。

0070

なお、配管1の内部9に冷却媒体を満たしていない場合であっても、外面肉盛溶接部10の溶接金属の周方向および軸方向の収縮変形により配管1の内面側に生じる引張残留応力を低減できる。

0071

さらに、外面肉盛溶接部10の肉盛溶接の厚さを、配管1の厚さtの1倍以上で2倍以下の厚さに形成することにより、仮に、配管1の内面に未貫通き裂6が残っていた場合であっても、外面肉盛溶接部10の肉盛溶接によって配管1の厚さと同程度以上の厚さの溶接部を確保できるため、ボイラ用メンブレンパネルの構造物の強度を確保することができる。

0072

ボイラ用火炉の水壁を形成する複数枚のボイラ用メンブレンパネル20は、内面側のみに肉盛溶接を行った場合には肉盛溶接を行った水壁の内面側が凹になるように変形する。

0073

そこで、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法では、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1と該配管1に接合されているメンブレンバー2との表面及び裏面を含んだボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面の両面に、全面に亘って肉盛溶接を施して外面肉盛溶接部10をそれぞれ形成しているため、この外面肉盛溶接部10を施した水壁を形成するボイラ用メンブレンパネル20に曲がり変形が発生することが抑制される。

0074

また、ボイラ用メンブレンパネル20に設けた外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接金属としてニッケル基合金を用いた場合には、ボイラ火炉の水壁内面側が曝される燃焼ガスによる腐食の対策としても有効となる。

0075

以上に述べたように、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法を上記した手順にて施工することにより、ボイラ用メンブレンパネルを構成する配管に生じた貫通き裂の除去、残存した未貫通き裂に圧縮応力の発生、外面肉盛溶接を形成する肉盛溶接部による必要な強度の厚さの確保、及び腐食対策を実施することができる。

0076

また、ボイラ用火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの表面と裏面との双方に全面に亘って外面肉盛溶接部を肉盛溶接することによって、肉盛溶接によるボイラ用メンブレンパネルの曲がり変形の発生を抑制できる。

0077

この結果、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法を施工することにより、ボイラ装置の信頼性の高い運転の継続が可能になる。

0078

本実施例によれば、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保することを可能したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置が実現できる。

0079

本発明の第2実施例であるボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法について、図6を用いて説明する。

0080

本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法は、図1図5に示した第1実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法と基本的な構成は同じなので、両者に共通する説明は省略し、相違する部分についてのみ以下に説明する。

0081

図6に示したように、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法が第1実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法と相違しているのは、ボイラ水壁を形成するボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1の周方向を溶接する配管溶接部3、または前記配管溶接部3による溶接熱影響部に貫通き裂4や未貫通き裂6が発生していない状況下における、ボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法であるということである。

0082

したがって、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法では、配管1にグラインダによって貫通き裂4を切削して補修部開先7を形成する工程と、この補修部開先7に肉盛溶接して補修部肉盛溶接部8を設ける工程はそれぞれ不要である。

0083

本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法においても、配管1と該配管1に接合されているメンブレンバー2とを含むボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に、全面に亘って肉盛溶接を施して外面肉盛溶接部10をそれぞれ形成する。

0084

本実施例における外面肉盛溶接部10を形成する肉盛溶接は、第1実施例で図3に示した場合と同様に、図6に示すように、相互に接合される一方の配管1と他方の配管1とを突合せ溶接して形成された前記配管1の周方向の配管溶接部3を中心として、この配管溶接部3から前記一方の配管1に向かって図中に一方のLで示す片側の範囲と、この配管溶接部3から前記他方の配管1に向かって図中に他方のLで示す反対側の片側の範囲との双方の範囲Lに亘って、それぞれ低合金鋼の溶接金属を用いて前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接が施されることになる。

0085

ここで、外面肉盛溶接部10が施される前記範囲Lは、第1実施例の場合と同様に、配管1の平均半径をR、厚さをtとした場合に、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、(Rt)1/2の2.5倍以上で10倍以下、となる範囲に設定する。

0086

外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、配管溶接部3を中心として(Rt)1/2の2.5倍以上に設定する理由は、溶接部に残留応力が発生する領域が(Rt)1/2の2.5倍程度であるので、この残留応力が発生する領域を外面肉盛溶接部10でカバーするために設定したものである。

0087

外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する前記範囲Lを、配管溶接部3を中心として(Rt)1/2の10倍以下に設定する理由は、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接の作業工数の増加を抑制する上限値として設定したものである。

0088

また、外面肉盛溶接部10の厚さは、配管1の厚さtの1倍以上で2倍以下の厚さとなるように形成にする。

0089

この外面肉盛溶接部10の厚さを配管1の厚さtの1倍以上に設定する理由は、外面肉盛溶接部10を肉盛溶接するボイラ用メンブレンパネル20の強度を確保するためであり、また、外面肉盛溶接部10の厚さを配管1の厚さtの2倍以下の厚さに設定する理由は、外面肉盛溶接部10の肉盛溶接の作業工数の増加を抑制するためである。

0090

前記外面肉盛溶接部10の溶接金属としては、ボイラ用メンブレンパネル2を構成する配管1、メンブレンバー2、及び補助メンブレン5の各材料と、隅肉溶接部12と補修部肉盛溶接部8の溶接金属と同様に、ボイラ用メンブレンパネル20の材料と同種の低合金鋼を用いる。

0091

本実施例で、ボイラ用メンブレンパネル20に設けた外面肉盛溶接部10を肉盛溶接する溶接金属としてニッケル基合金を用いた場合には、ボイラ火炉の水壁内面側が曝される燃焼ガスによる腐食の対策としても有効となる。

0092

また、前記外面肉盛溶接部10の溶接金属には、低合金鋼だけでなく炭素鋼でも適用可能であるが、外面肉盛溶接部10の溶接金属に炭素鋼を用いる場合には、ボイラ用メンブレンパネル2、ボイラ用メンブレンパネル2を構成する配管1、メンブレンバー2、及び補助メンブレン5の各材料と、隅肉溶接部12と補修部肉盛溶接部8の溶接金属にも、同種の炭素鋼を用いることになる。

0093

そして、ボイラ用メンブレンパネル20の表面及び裏面との両面に全面に亘って溶接する前記外面肉盛溶接部10の肉盛溶接は、ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1の内部9を水で満たしながら実施する。

0094

配管1の内部9を水で満たしてボイラ用メンブレンパネル20を構成する該配管1の外面を肉盛溶接すると、溶接過程では配管1の内面は低温となり、配管1の外面は高温となって、配管1の内面側には引張応力が発生する。

0095

前記配管1に、該配管の内面にき裂が生じているが該配管1の外面までは貫通していない未貫通き裂6が残っている場合には、この未貫通き裂6の先端には引張応力が発生する。

0096

そしてこの引張応力によって前記未貫通き裂6のき裂先端に引張の塑性ひずみが発生し、配管1の肉盛溶接後にこの溶接部の全体が均一な温度になった場合に、前記未貫通き裂6のき裂先端の残留応力は圧縮応力になり、き裂の進展を抑制する効果が生じる。

0097

ボイラ用メンブレンパネル20を構成する配管1同士を溶接する周方向の配管溶接部3と、前記配管1及び該配管1に接合されているメンブレンバー2を含むボイラ用メンブレンパネル20の表面と裏面との双方に全面に亘って外面肉盛溶接部10の肉盛溶接を施した場合の前記外面肉盛溶接部10に発生する応力の履歴については、第1実施例で図4を用いて説明した内容と同様なので、ここでの説明は省略する。

0098

以上に述べたように、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法を上記した手順にて施工することにより、ボイラ用メンブレンパネルを構成する配管に仮に未貫通き裂が残存していてもこの亀裂に圧縮応力の発生、外面肉盛溶接を形成する肉盛溶接部による必要な強度の厚さの確保、及び腐食対策を実施することができる。

0099

また、ボイラ用火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネルの表面と裏面との双方に全面に亘って外面肉盛溶接部を肉盛溶接することによって、肉盛溶接によるボイラ用メンブレンパネルの曲がり変形の発生を抑制できる。

0100

この結果、本実施例のボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法を施工することにより、ボイラ装置の信頼性の高い運転の継続が可能になる。

実施例

0101

本実施例によれば、ボイラ火炉の水壁を形成するボイラ用メンブレンパネの配管の周溶接部の内表面に圧縮残留応力を付与すると共にボイラ用メンブレンパネルに曲がり変形の発生を抑制し、強度を確保することを可能したボイラ用メンブレンパネル溶接部の予防保全補修方法およびこの予防保全補修を実施したボイラ装置が実現できる。

0102

1:配管、2:メンブレンバー、3:配管溶接部、4:貫通き裂、5:補助メンブレン、6:未貫通き裂、7:補修部開先、8:補修部肉盛溶接部、9:配管内部、10:外面肉盛溶接部、12:隅肉溶接部、20:ボイラ用メンブレンパネル。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社ムラタ溶研の「 縦型突合せ溶接装置」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】 幅方向を垂直にして搬送される帯状金属薄板の突合せ溶接を行え、また、帯状金属薄板の溶接部を垂直姿勢の状態で圧延加工できる。【解決手段】 幅方向を垂直にして搬送される先行の帯状金属薄板W1及... 詳細

  • 三浦工業株式会社の「 排水再利用装置及びボイラシステム」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】従来よりも早期に膜劣化を検知することが可能な排水再利用装置及びボイラシステムを提供する。【解決手段】排水再利用装置2は、排水処理槽から回収される1次処理水から、ろ過膜によって懸濁物質を除去する... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 アーク溶接部材」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】ワイヤと鋼板とがガスシールドアーク溶接された、アーク溶接部が高い疲労強度を有するアーク溶接部材を提供することを目的とする。【解決手段】Si、Mn及びNiを含むワイヤと熱間圧延鋼板とがガスシール... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ