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技術 液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

出願人 国立大学法人東北大学
発明者 宮本明大串巧太郎畠山望鈴木愛三浦隆治越川尚清
出願日 2012年9月4日 (8年3ヶ月経過) 出願番号 2012-193670
公開日 2014年3月17日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-049054
状態 拒絶査定
技術分野 特定用途計算機
主要キーワード 液滴合体 時刻ステップ ミスト流 表面積分 収束解 メトロポリス 微小重力環境 初期分布
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年3月17日)のものです。
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図面 (5)

課題

液滴の物性や初期分布から液滴の粒径空間分布時間変化を精度良く推定することができる液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。

解決手段

入力手段11により、液滴の粒径、物性、分布と、液滴に作用する外力と、流体の物性とを含む初期情報を入力し、液滴計算手段12により、所定の経過時間後の液滴の粒径と分布とを計算し、出力手段13により、計算された液滴の粒径と分布とを出力する。液滴計算手段12は、運動方程式に基づいて液滴の分布を計算する運動計算手段12aと、その液滴の分布から液滴が合体成長する確率を求め、液滴の合体処理を行って液滴の粒径を求める液滴合体手段12bとを有している。

概要

背景

種材料の溶液を用いた製造プロセスの設計を行うにあたり、各種液滴に関する粒成長すなわち液滴の粒径分布時間変化推定する必要がある。従来、液滴に関する時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションとして、自動車フロントガラス上の水滴シミュレーションを行って水滴マップを生成することにより、雨滴による視界の悪化をリアル表現することができるシミュレーション装置(例えば、特許文献1参照)や、燃料電池ガスチャンネルを流れる反応ガス流動解析を行うにあたり、反応ガスを気液二相流とみなして水滴の挙動解析し、数値演算発散することなく確実に収束解を得ることができるシミュレーション方法(例えば、特許文献2参照)、燃料電池のガスチャンネルを流れる反応ガスの流動状態ミスト流またはやや大きめの液滴であることに着目し、水滴をすべて球体として取り扱ってラグランジュ的シミュレーション解析を行うことにより、数値演算が発散することなく確実に収束解を得ることができるシミュレーション方法(例えば、特許文献3参照)がある。

なお、液滴の合体を検討する方法として、界面曲率を考慮したモデル構築し、そのモデルに基づいて液滴の合体成長を検討する方法が提供されている(例えば、非特許文献1または2参照)。

概要

液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができる液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。入力手段11により、液滴の粒径、物性、分布と、液滴に作用する外力と、流体の物性とを含む初期情報を入力し、液滴計算手段12により、所定の経過時間後の液滴の粒径と分布とを計算し、出力手段13により、計算された液滴の粒径と分布とを出力する。液滴計算手段12は、運動方程式に基づいて液滴の分布を計算する運動計算手段12aと、その液滴の分布から液滴が合体成長する確率を求め、液滴の合体処理を行って液滴の粒径を求める液滴合体手段12bとを有している。

目的

このように、これらの従来の装置や方法は、液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を推定するものではなく、液滴の粒径や空間分布の時間変化を推定する技術の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

流体中の液滴の粒径分布時間変化推定するための液滴成長シミュレーション装置であって、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段と、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段とを有し、前記液滴計算手段は、下記の(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、下記の(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする液滴成長シミュレーション装置。

請求項2

前記初期情報は、前記液滴に作用する外力が重力のみであり、前記流体の流速がゼロであることを特徴とする請求項1記載の液滴成長シミュレーション装置。

請求項3

前記運動計算手段は、前記液滴間に働く相互作用として、ファンアワールス相互作用と静電相互作用とを考慮することを特徴とする請求項1または2記載の液滴成長シミュレーション装置。

請求項4

前記液滴合体手段は、前記(2)式の表面自由エネルギーGを、下記の(3)式に基づいて、単純な表面積の変化によるエネルギー変化のうち、減少する表面積分の項G1、増加する表面積分の項G2、曲がっていることによるエネルギー変化G3、ガウス曲率Ggに分けて算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液滴成長シミュレーション装置。

請求項5

前記液滴合体手段は、自発曲率H0および表面エネルギーγが、下記の(4)式および(5)式で表されることを特徴とする請求項4記載の液滴成長シミュレーション装置。

請求項6

流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーション方法であって、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力工程と、前記入力工程で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算工程と、前記液滴計算工程で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力工程とを有し、前記液滴計算工程は、下記の(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算工程と、前記運動計算工程で計算された前記液滴の分布から、下記の(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体工程とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算工程と前記液滴合体工程とを繰り返すことを特徴とする液滴成長シミュレーション方法。

請求項7

流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションプログラムであって、コンピュータを、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段として機能させ、前記液滴計算手段は、下記の(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、下記の(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする液滴成長シミュレーションプログラム。

請求項8

流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータを、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段として機能させ、前記液滴計算手段は、下記の(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、下記の(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、流体中の液滴の粒径分布時間変化推定するための液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。

背景技術

0002

種材料の溶液を用いた製造プロセスの設計を行うにあたり、各種液滴に関する粒成長すなわち液滴の粒径や分布の時間変化を推定する必要がある。従来、液滴に関する時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションとして、自動車フロントガラス上の水滴シミュレーションを行って水滴マップを生成することにより、雨滴による視界の悪化をリアル表現することができるシミュレーション装置(例えば、特許文献1参照)や、燃料電池ガスチャンネルを流れる反応ガス流動解析を行うにあたり、反応ガスを気液二相流とみなして水滴の挙動解析し、数値演算発散することなく確実に収束解を得ることができるシミュレーション方法(例えば、特許文献2参照)、燃料電池のガスチャンネルを流れる反応ガスの流動状態ミスト流またはやや大きめの液滴であることに着目し、水滴をすべて球体として取り扱ってラグランジュ的シミュレーション解析を行うことにより、数値演算が発散することなく確実に収束解を得ることができるシミュレーション方法(例えば、特許文献3参照)がある。

0003

なお、液滴の合体を検討する方法として、界面曲率を考慮したモデル構築し、そのモデルに基づいて液滴の合体成長を検討する方法が提供されている(例えば、非特許文献1または2参照)。

0004

特開2009−070215号公報
特開2005−135813号公報
特開2005−135814号公報

先行技術

0005

A. Kabalnov, H. Wennerstrom, “Macroemulsion Stability: TheOriented Wedge Theory Revisited”, Langmuir, 1996, 12, p.276-292
H. Wennerstrom, U. Olsson, “Microemulations as modelsystems”, C. R. Chimie, 2009, 12, p.4-17

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1に記載のシミュレーション装置は、ドライブシミュレータにおける画像処理に関する技術であり、特許文献2および3に記載のシミュレーション方法は、燃料電池シミュレータにおけるガスチャネルでの気液二相流の収束計算に関するモデリング技術に関する技術である。このように、これらの従来の装置や方法は、液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を推定するものではなく、液滴の粒径や空間分布の時間変化を推定する技術の開発が望まれていた。

0007

本発明は、このような課題に着目してなされたもので、液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができる液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置は、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーション装置であって、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段と、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段とを有し、前記液滴計算手段は、下記の(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、



前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、下記の(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、



前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする。

0009

本発明に係る液滴成長シミュレーション方法は、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーション方法であって、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力工程と、前記入力工程で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算工程と、前記液滴計算工程で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力工程とを有し、前記液滴計算工程は、(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算工程と、前記運動計算工程で計算された前記液滴の分布から、(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体工程とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算工程と前記液滴合体工程とを繰り返すことを特徴とする。

0010

本発明に係る液滴成長シミュレーションプログラムは、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションプログラムであって、コンピュータを、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段として機能させ、前記液滴計算手段は、(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする。

0011

本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定するための液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータを、前記液滴の粒径、物性、分布と、前記液滴に作用する外力と、前記流体の物性とを含む初期情報を入力する入力手段、前記入力手段で入力された前記初期情報に基づいて、所定の経過時間後の前記液滴の粒径と分布とを計算する液滴計算手段、前記液滴計算手段で計算された前記液滴の粒径と分布とを出力する出力手段として機能させ、前記液滴計算手段は、(1)式の運動方程式に基づいて、前記液滴の分布を計算する運動計算手段と、前記運動計算手段で計算された前記液滴の分布から、(2)式の表面自由エネルギーGに基づいて、前記液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、前記液滴の合体処理を行って前記液滴の粒径を求める液滴合体手段とを有し、前記所定の経過時間になるまで、所定の時間間隔で前記運動計算手段と前記液滴合体手段とを繰り返すことを特徴とする。

0012

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ブラウン運動を考慮した(1)式のStokesの抵抗法則を用いて液滴の運動を算出して液滴の分布を計算するだけでなく、(2)式のHookeanの方程式を用いて液滴が合体成長する確率を求めることにより、液滴の物性や初期分布から、液滴の移動および合体による粒成長の挙動を考慮して、液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができる。

0013

なお、(2)式のHookeanの方程式は、非特許文献1および2に記載のように、界面曲率を考慮したモデルに基づいて液滴の合体成長を検討することにより求められた式であり、本来、運動を伴う液滴を対象とするものではない。しかし、本発明者等は、鋭意努力の結果、(2)式を(1)式の運動方程式と組み合わせることにより、液滴の移動および合体による粒成長の挙動を取り入れたシミュレーションを構築することに初めて成功し、本発明に想到した。

0014

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で、前記初期情報は、前記液滴に作用する外力が重力のみであり、前記流体の流速がゼロであってもよい。この場合、重力以外の外力が作用せず、流体の流速がゼロの条件下でのシミュレーションを高速で行うことができる。

0015

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で、前記運動計算手段または前記運動計算工程は、前記液滴間に働く相互作用として、ファンアワールス相互作用と静電相互作用とを考慮することが好ましい。この場合、(1)式の運動方程式での計算過程で、ファンデアワールス相互作用および静電相互作用以外の相互作用を考慮しないため、高速でシミュレーションを行うことができる。また、ファンデアワールス相互作用のみ、または静電相互作用のみを考慮した場合に比べて、高精度でシミュレーションを行うことができる。比較的影響が大きいファンデアワールス相互作用および静電相互作用のみを考慮するため、高速で高精度なシミュレーションを行うことができる。

0016

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体で、前記液滴合体手段または前記液低合体工程は、前記(2)式の表面自由エネルギーGを、下記の(3)式に基づいて、単純な表面積の変化によるエネルギー変化のうち、減少する表面積分の項G1、増加する表面積分の項G2、曲がっていることによるエネルギー変化G3、ガウス曲率Ggに分けて算出することが好ましい。

0017

(3)式は非特許文献1および2で得られた式であり、これを使用する場合、精度良く液滴の合体成長の確率を計算することができる。また、この場合、高速でシミュレーションを行うために、ガウス曲率Ggがガウスボンネット定理により曲面位相的性質のみに依存し、オイラー標数が2であることが好ましい。

0018

さらに、(3)式を使用する場合、前記液滴合体手段または前記液低合体工程は、自発曲率H0および表面エネルギーγが、下記の(4)式および(5)式で表されることが好ましい。(4)式および(5)式により、高精度かつ高速でシミュレーションを行うことができる。

発明の効果

0019

本発明によれば、液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができる液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置を示すブロック図である。
本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション方法のフローチャートである。
本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置および液滴成長シミュレーション方法による、油滴の濃度が360mMおよび480mMの2通りの場合についてのシミュレーション結果の、経過時刻と油滴の大きさの平均値との関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置および液滴成長シミュレーション方法による、重力加速度が(a)1μGおよび(b)1Gの2通りの場合についてのシミュレーション結果の、経過時刻毎の油滴の分布状態を示す側面図である。

0021

以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を示している。

0022

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10は、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化(時間発展)を推定するための液滴成長シミュレーション装置10であって、コンピュータから成っている。図1に示すように、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10は、入力手段11と液滴計算手段12と出力手段13とを有している。

0023

なお、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要で、アプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。

0024

入力手段11は、キーボードマウスなどから成り、初期状態での液滴の数、粒径、密度動粘度などの物性、分布(座標)、液滴に作用する重力加速度および重力の方向、流体の物性、温度、シミュレーションにおける計算のステップ数、積分時間(経過時間)、セルサイズなどの初期情報を入力するよう構成されている。入力手段11は、コンピュータに備え付けられたモニタに写し出された入力画面で初期情報を直接入力するよう構成されていてもよく、入力ファイルを用いて初期情報を一括入力するよう構成されていてもよい。

0025

液滴計算手段12は、コンピュータに内蔵されたCPUやメモリ等から成り、入力手段11で入力された初期情報に基づいて、所定の経過時間後の液滴の粒径と分布とを計算するよう構成されている。液滴計算手段12は、液滴の分布を計算する運動計算手段12aと、液滴の粒径を求める液滴合体手段12bとを有している。

0026

運動計算手段12aは、(1)式の運動方程式に基づいて、液滴の分布を計算するよう構成されている。運動計算手段12aは、入力手段11で入力された初期情報のうちの各液滴の位置情報や、所定の時刻での各液滴の位置情報から、(1)式に基づいて時刻ステップΔt経過後の各液滴の位置情報を算出するようになっている。具体的には、運動計算手段12aは、液滴に働く外力を重力のみとし、流体の抵抗が十分大きく流速を無視することができる(流速ゼロ)と仮定して、(1)式から(6)式を求め、時刻ステップΔt経過後の液滴の座標を(6)式に従って求めるよう構成されている。

0027

0028

また、運動計算手段12aは、液滴間に働く相互作用として、分子シミュレーションの分野などで用いられるポテンシャルを考慮可能に構成されている。具体的には、運動計算手段12aは、DLVO理論(Derjaguin,Landau,Verwey,Overbeek theory)に基づいて、相互作用の全エネルギーが、ファンデアワールス相互作用によるエネルギーと静電相互作用によるエネルギーとの和で与えられるものとして計算するよう構成されている。運動計算手段12aは、ファンデアワールス相互作用によるエネルギーVVDW(H)を、(7)式に示す方程式に従って計算し、静電相互作用によるエネルギーVelを、(8)式に示す方程式に従って計算するようになっている。

0029

0030

液滴合体手段12bは、運動計算手段12aで計算された液滴の分布から、メトロポリス法を利用して、(2)式の表面自由エネルギーGから液滴が合体成長する確率を求め、その確率に基づいて、液滴の合体処理を行って液滴の粒径を求めるよう構成されている。このとき、液滴合体手段12bは、(2)式の表面自由エネルギーGを、(3)式に基づいて、単純な表面積の変化によるエネルギー変化のうち、減少する表面積分の項G1、増加する表面積分の項G2、曲がっていることによるエネルギー変化G3、ガウス曲率Ggに分けて算出するようになっている。さらに、液滴合体手段12bは、(3)式中のガウス曲率Ggがガウス・ボンネットの定理により曲面の位相的性質のみに依存し、オイラー標数が2であると仮定して計算するようになっている。また、(3)式中の自発曲率H0が温度と比例関係にあり、表面エネルギーγが温度の自乗と比例関係にあると仮定して、それぞれを(4)式および(5)式で計算するようになっている。

0031

液滴計算手段12は、所定の経過時間になるまで、すなわち入力手段11で入力された初期情報のうち、計算のステップ数の数だけ、運動計算手段12aと液滴合体手段12bとを繰り返すよう構成されている。
出力手段13は、モニタやプリンタなどから成り、液滴計算手段12で計算された液滴の数と粒径と分布(座標)とを出力するよう構成されている。

0032

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10は、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション方法により、流体中の液滴の粒径や分布の時間変化を推定することができる。図2に示すように、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション方法は、まず、入力手段11により、初期状態での液滴の数、粒径、密度や動粘度などの物性、分布(座標)、液滴に作用する重力加速度および重力の方向、流体の物性、温度、シミュレーションにおける計算のステップ数、積分時間(経過時間)、セルサイズなどの初期情報を入力する(ステップ21)。なお、図2では、液滴として油滴についてシミュレーションする場合が記載されている。

0033

初期情報を入力したならば、その初期情報から、シミュレーションに使用する各種の初期値を設定する(ステップ22)。液滴計算手段12により、ブラウン運動の計算を行うために乱数を発生させ(ステップ23)、運動計算手段12aにより全ての液滴についてΔt経過後の位置を計算する(ステップ24)。全ての液滴の位置を計算した後、液滴合体手段12bにより液滴の合体処理を行い、液滴の粒径を計算する(ステップ25)。所定の経過時間になるまで、時刻ステップΔt毎に運動計算手段12aと液滴合体手段12bとを繰り返す(ステップ26)。所定の経過時間後、出力手段13により、液滴の座標(分布)、粒径、数などを出力する(ステップ27)。

0034

なお、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーションプログラムは、図1に示す液滴成長シミュレーション装置10を構成するコンピュータを、図2に示すフローに従って機能させるプログラムから成っている。また、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーションプログラムは、例えば、CD(CD−ROM、CD−R、CD−RWなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RWなど)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。この場合、コンピュータは、その記録媒体から液滴成長シミュレーションプログラムを読み取ってコンピュータの内部記憶装置または外部記憶装置転送し、格納して用いることができる。また、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーションプログラムを、例えば、磁気ディスク光ディスク光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようになっていてもよい。

0035

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーションプログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。なお、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク、CD、DVD、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクのほか、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)、外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読み取り可能な種々の媒体を利用することもできる。

0036

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ブラウン運動を考慮した(1)式のStokesの抵抗法則を用いて液滴の運動を算出して液滴の分布を計算するだけでなく、(2)式のHookeanの方程式を用いて液滴が合体成長する確率を求めることにより、液滴の物性や初期分布から、液滴の移動および合体による粒成長の挙動を考慮して、液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができる。

0037

また、(1)式の運動方程式での計算過程で、(7)式のファンデアワールス相互作用および(8)式の静電相互作用以外の相互作用を考慮しないため、高速でシミュレーションを行うことができる。また、ファンデアワールス相互作用のみ、または静電相互作用のみを考慮した場合に比べて、高精度でシミュレーションを行うことができる。比較的影響が大きいファンデアワールス相互作用および静電相互作用のみを考慮するため、高速で高精度なシミュレーションを行うことができる。また、(3)式を使用することにより、精度良く液滴の合体成長の確率を計算することができる。(4)式〜(6)式により、高精度かつ高速でシミュレーションを行うことができる。

0038

本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10および液滴成長シミュレーション方法を用いて、鉛直方向に細長容器内における、水中での油滴(TMB;1,3,5−トリメチルベンゼン)の粒径や分布の時間変化についてシミュレーションを行った。初期情報を、以下のように設定した。
系の温度 40[℃]
TMBの濃度 360[mM],480[mM],600[mM]
TMB粒子初期粒径120[μm]
セルの初期サイズ120×120×600[μm]
重力加速度1[G],1[μG]
TMB粒子の合体確率 1
流体の粘度 6.55×10−4[Pa・s]
流体の密度1.00×103[g/L]
TMBの比重0.8637
重力の方向 鉛直下方:(x,y,z)=(0,0,−1)

0039

また、重力加速度が1Gのとき、実際は容器の高さが有限であるため、油滴が容器上面に溜まると思われるが、今回の計算ではそのように扱わず、容器上面に達した油滴はそのまま上昇していく(計算上では消滅する)ものとした。

0040

また、(2)〜(5)式の液滴合体手段12bで使用するパラメータを、以下のように設定した。
曲げ係数κ:1.0×10−20[J]
鞍状係数 :8.0×10−21[J]
δ=−1.0×107[m−1K−1]
T0=31.8[℃]
κ’α2=3.6×10−7[Jm−1K−1]

0041

また、(7)式および(8)式の相互作用の計算で使用するパラメータを、以下のように設定した。
電解質濃度: c=13.5[mM]
Stern電位: ΨS=−32.0[mV
イオン価: Z=1
Hamaker定数: A=0.410×10−20[J]
溶液の比誘電率: 80.4

0042

まず、重力加速度を1Gとし、油滴の濃度が360mMおよび480mMの2通りの場合についてシミュレーションを行った。このときの経過時刻と油滴の大きさの平均値との関係を、図3に示す。図3に示すように、油滴の濃度が480mMの方が、360mMの場合に比べて、経過時刻に従って油滴が大きく成長していく様子が確認できる。これは、油滴の濃度が高いほど、油滴が合体して成長する頻度が高くなるためであると考えられる。

0043

次に、油滴の濃度を600mMとし、重力加速度が1μGおよび1Gの2通りの場合についてシミュレーションを行った。このときのそれぞれの油滴の初期配置(0h)、4時間経過後の油滴の分布状態(4h)および8時間経過後の油滴の分布状態(8h)を、図4(a)および(b)に示す。図4に示すように、重力加速度が1Gの方が、1μGの場合に比べて、油滴が早く上昇していることが確認できる。これは、重力加速度が大きいほど油滴に働く浮力が大きくなるためであると考えられる。

実施例

0044

図3および図4に示すように、本発明の実施の形態の液滴成長シミュレーション装置10および液滴成長シミュレーション方法によれば、実際の液滴の挙動に調和するシミュレーション結果が得られることから、液滴の物性や初期分布から液滴の粒径や空間分布の時間変化を精度良く推定することができるといえる。

0045

本発明に係る液滴成長シミュレーション装置、液滴成長シミュレーション方法、液滴成長シミュレーションプログラムおよび、液滴成長シミュレーションプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、宇宙ステーションなどの微小重力環境などで発生する特殊な液滴の粒成長や、地上での通常の重力環境下での油滴を含む各種液滴に関する粒成長シミュレーションに使用することができる。また、各種材料の溶液を用いた製造プロセスの設計に利用することもできる。

0046

10液滴成長シミュレーション装置
11入力手段
12 液滴計算手段
12a運動計算手段
12b液滴合体手段
13 出力手段

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