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技術 放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料

出願人 グンゼ株式会社
発明者 平野昌一下村昭二上田琴美
出願日 2012年9月4日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2012-194350
公開日 2014年3月17日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2014-047455
状態 特許登録済
技術分野 肌着、産着類、ハンカチ、下着の材料 編地 繊維製品の化学的、物理的処理 繊維製品への有機化合物の付着処理 織物
主要キーワード バインダ樹脂層 サーモカメラ 試験生地 背骨領域 定温度制御 レッグカバー フライス編み 生地面
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年3月17日)のものです。
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図面 (7)

課題

既存の生地であっても効果的に放熱特性発現させることができ、風合いを損なうことがない良好な放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料を提供する。

解決手段

放熱性生地は、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマー浸透された浸透層編地2の一表面2aから他表面2bに向けて所定の厚み範囲に形成された領域を含み、浸透層3の厚みtの範囲が編地2の厚みTを基準として一表面側から30%<(t/T)×100≦90%の範囲に設定されている。

概要

背景

近年、夏季用の肌着として、清涼感に優れた繊維及び該繊維を用いた繊維製品が研究されている。このような接触冷感に優れた繊維を得る方法として、例えば、繊維の吸水性を向上させたり、繊維の熱伝導性を向上させたりする方法等が採用されていた。

吸水性を向上させた繊維として、例えば、カルボキシル基水酸基等の親水性基を導入した樹脂からなる繊維等が挙げられる。熱伝導性を向上させた繊維として、例えば、熱伝導性の高いフィラー練り込んだ樹脂からなる繊維や表面にメッキ処理を施した繊維等が挙げられる。

しかし、このような繊維を用いると、理論的には接触冷感が得られることが期待できるものの、実際にヒトによる官能試験を行うと、ほとんど未処理のものと変わるところがなく、接触冷感を実感できることはなかった。

これに対して、特許文献1及び特許文献2には、ポリアミドエラストマーを含有する繊維が開示されている。これらの繊維では、清涼感を与える機能の他にも、常湿下では吸水せずサラリとしている一方で、をかいて高湿状態になったときには汗を素早く吸水できるという吸放湿特性に関する機能、つまり吸水した汗を素早く拡散して乾燥する拡散特性に関する機能等を有しており、接触冷感、吸放湿特性及び拡散特性をバランス良く実現することが可能となっている。

概要

既存の生地であっても効果的に放熱特性発現させることができ、風合いを損なうことがない良好な放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料を提供する。放熱性生地は、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマー浸透された浸透層編地2の一表面2aから他表面2bに向けて所定の厚み範囲に形成された領域を含み、浸透層3の厚みtの範囲が編地2の厚みTを基準として一表面側から30%<(t/T)×100≦90%の範囲に設定されている。

目的

特開2004−270075号公報
特開2005−036361号公報






しかし、全ての生地にこのような冷感素材となる繊維を用いるのは困難であり、吸水性、速乾性に優れた疎水性繊維や、吸湿性に優れた綿やレーヨン等のセルロース系繊維を用いた生地が汎用されているのが実情であり、そのような一般的な生地に対して二次加工的に良好な放熱特性を持たせる技術が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマー浸透された浸透層編地の一表面から他表面に向けて所定の厚み範囲に形成された領域を含む放熱性生地

請求項2

前記浸透層の厚みtの範囲が前記編地の厚みTを基準として一表面側から30%<(t/T)×100≦90%の範囲に設定されている請求項1記載の放熱性生地。

請求項3

前記浸透層は、前記熱可塑性エラストマーが前記編地の目付けに対して30重量%〜200重量%の範囲で浸透されている請求項1または2記載の放熱性生地。

請求項4

前記熱可塑性エラストマーにポリアミド系エラストマー及び/またはポリエステル系エラストマーが含まれる請求項1から3の何れかに記載の放熱性生地。

請求項5

前記熱可塑性エラストマーにポリエーテルブロックアミド共重合体が含まれる請求項1から4の何れかに記載の放熱性生地。

請求項6

前記浸透層が線状または点状に分散形成され、若しくは面状に形成されている請求項1から5の何れかに記載の放熱性生地。

請求項7

所定粒径の熱可塑性エラストマーをバインダに分散させたプリント剤を編地に浸透させる浸透工程と、浸透された編地を所定温度乾燥処理する乾燥工程とを含む請求項1から6の何れかに記載された放熱性生地の製造方法。

請求項8

請求項1から6の何れかに記載の放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体発汗により水分が浸潤しやすい部位に配置されている衣料

請求項9

請求項1から6の何れかに記載の放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい内領域に配置されている下半身用肌着

請求項10

請求項1から6の何れかに記載の放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい肩甲骨から背骨領域に配置されている上半身用の肌着。

技術分野

0001

本発明は、放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料に関する。

背景技術

0002

近年、夏季用の肌着として、清涼感に優れた繊維及び該繊維を用いた繊維製品が研究されている。このような接触冷感に優れた繊維を得る方法として、例えば、繊維の吸水性を向上させたり、繊維の熱伝導性を向上させたりする方法等が採用されていた。

0003

吸水性を向上させた繊維として、例えば、カルボキシル基水酸基等の親水性基を導入した樹脂からなる繊維等が挙げられる。熱伝導性を向上させた繊維として、例えば、熱伝導性の高いフィラー練り込んだ樹脂からなる繊維や表面にメッキ処理を施した繊維等が挙げられる。

0004

しかし、このような繊維を用いると、理論的には接触冷感が得られることが期待できるものの、実際にヒトによる官能試験を行うと、ほとんど未処理のものと変わるところがなく、接触冷感を実感できることはなかった。

0005

これに対して、特許文献1及び特許文献2には、ポリアミドエラストマーを含有する繊維が開示されている。これらの繊維では、清涼感を与える機能の他にも、常湿下では吸水せずサラリとしている一方で、をかいて高湿状態になったときには汗を素早く吸水できるという吸放湿特性に関する機能、つまり吸水した汗を素早く拡散して乾燥する拡散特性に関する機能等を有しており、接触冷感、吸放湿特性及び拡散特性をバランス良く実現することが可能となっている。

先行技術

0006

特開2004−270075号公報
特開2005−036361号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、全ての生地にこのような冷感素材となる繊維を用いるのは困難であり、吸水性、速乾性に優れた疎水性繊維や、吸湿性に優れた綿やレーヨン等のセルロース系繊維を用いた生地が汎用されているのが実情であり、そのような一般的な生地に対して二次加工的に良好な放熱特性を持たせる技術が望まれていた。

0008

本発明の目的は、上述の背景に基づき、既存の生地であっても効果的に放熱特性を発現させることができ、風合いを損なうことがない良好な放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料を提供する点にある。

課題を解決するための手段

0009

上述の目的を達成するため、本発明による放熱性生地の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマー浸透された浸透層編地の一表面から他表面に向けて所定の厚み範囲に形成された領域を含む点にある。

0010

通常、編地の編み目間に形成された空隙には空気が存在する。空気の熱伝導率は0.0241W/(m・K)と小さいため、この空気層保温層となって肌面からの熱の放散阻害される傾向にある。特に空気の流れがない状況では、その傾向が顕著に現れる。本願発明者らは、この空隙に熱可塑性エラストマーを浸透させることにより、空気層による断熱効果を阻害し、放熱性を高めることができるという従来にない発想に基づき本発明に想到した。

0011

種々の熱可塑性エラストマーが存在するが、総じて空気の熱伝導率よりも一桁大きな値であるため、熱伝導による放熱が促進されて清涼感に優れた冷感生地が得られる。そして、熱可塑性エラストマーが浸透された浸透層が生地の一表面から他表面に向けて所定の厚み範囲に形成されることにより、生地の風合いを損なうことなく、放熱効果を高めることができることが明らかになった。浸透層の厚さが一表面側に近い薄い層であれば、空気による断熱効果が低減できず、他表面側に到ると肌との摩擦で不快に感じて生地の風合いを損なうためである。

0012

同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記浸透層の厚みtの範囲が前記編地の厚みTを基準として一表面側から30%<(t/T)×100≦90%の範囲に設定されている点にある。

0013

上述の範囲に浸透層が形成されると、空気による断熱作用を効果的に抑制でき、しかも肌に接する裏面に浸透層が到っていないため、生地の風合いを損なうこともない。

0014

同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記浸透層は、前記熱可塑性エラストマーが前記編地の目付けに対して30重量%〜200重量%の範囲で浸透されている点にある。

0015

この範囲であれば、生地に良好な放熱効果が発現し、風合いを損なうことがない生地が得られる。

0016

同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記熱可塑性エラストマーにポリアミド系エラストマー及び/またはポリエステル系エラストマーが含まれる点にある。

0017

ポリアミド系エラストマーやポリエステル系エラストマーは、本来的に接触冷感に優れた素材であり、良好な放熱特性を確保しながら接触冷感をも発現させることができるようになる。

0018

同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記熱可塑性エラストマーにポリエーテルブロックアミド共重合体が含まれる点にある。

0019

ポリエーテルブロックアミド共重合体は、極めて優れた接触冷感を与える繊維が得られ、紡糸性に優れ、肌着等に好適な繊維として用いられる。このようなエラストマーを編み目間に形成される空隙に浸透させることで、放熱効果とともに極めて優れた接触冷感が得られるようになる。尚、第四及び第五の特徴構成では、他の樹脂と併用することで、熱可塑性エラストマーの特性である湿潤時のべたつき感を防止することができる。

0020

同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記浸透層が線状または点状に分散形成され、若しくは面状に形成されている点にある。

0021

浸透層が線状または点状に分散形成されると、流動する外気と接触する場合等にある程度の通気性が確保されて肌への清涼感がさらに良好になり、また生地に本来備わっている伸縮性が生かされるので、締付感を感じることもない。浸透層が面状に形成されると、高い放熱効果が得られる。

0022

本発明による放熱性生地の製造方法の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述した第一から第六の何れかの特徴構成を備えた放熱性生地の製造方法であって、所定粒径の熱可塑性エラストマーをバインダに分散させたプリント剤を編地に浸透させる浸透工程と、浸透された編地を所定温度乾燥処理する乾燥工程とを含む点にある。

0023

浸透工程で編地の表側面から裏面に向けて所定の厚み範囲にバインダ及び熱可塑性エラストマーが浸透され、乾燥工程で編地に浸透したプリント剤の溶剤成分や水分が気化されて、目的とする生地が得られる。

0024

本発明による衣料の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述した第一から第六の何れかの特徴構成を備えた放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体発汗により水分が浸潤しやすい部位に配置されている点にある。

0025

熱可塑性樹脂露出していない生地の他表面が肌側面になるので、生地本体の良好な肌触りが維持でき、浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい部位に配置されるので、発熱しやすい肌部位が効果的に放熱される。尚、人体の発汗による水分とは、液体状の汗だけでなく、水蒸気も含む。

0026

本発明による下半身用の肌着の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述した第一から第六の何れかの特徴構成を備えた放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい内領域に配置されている点にある。

0027

放熱性生地を下半身用の肌着に構成する場合には、内腿領域に浸透層を配置することで、大腿部で感じやすいべたつき感が効果的に低減される。

0028

本発明による上半身用の肌着の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述した第一から第六の何れかの特徴構成を備えた放熱性生地を用いて、前記他表面が肌側面になるように構成され、少なくとも前記浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい肩甲骨から背骨領域に配置されている点にある。

0029

放熱性生地を上半身用の肌着に構成する場合には、肩甲骨から背骨領域に浸透層を配置することで、発汗しやすい肩部から脊柱に沿ってべたつき感が効果的に低減される。

発明の効果

0030

以上説明した通り、本発明によれば、既存の生地であっても効果的に放熱特性を発現させることができ、風合いを損なうことがない良好な放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料を提供することができるようになった。

図面の簡単な説明

0031

(a)は放熱性生地の説明図、(b),(c)は放熱性生地の製造方法の説明図
放熱性生地の製造方法の説明図
(a)から(e)は浸透層のパターンの説明図
放熱性生地を用いた男性用下肌着の説明図
(a),(b)は放熱性生地を用いた男性用上肌着の説明図
(a),(b)は放熱性生地を用いた女性用上肌着の説明図、(c),(d)は浸透層のパターンの説明図

実施例

0032

以下、本発明を適用した放熱性生地、放熱性生地の製造方法、及び放熱性生地を用いた衣料を説明する。
図1(a)に示すように、放熱性生地1は、少なくともポリエステル等の疎水性繊維を含む繊維を用いて編成された編地2に、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマーが浸透された浸透層3が編地2の一表面2aから他表面2bに向けて所定の厚み範囲tに形成された領域を含む。編み目間に形成される空隙とは、互いに交絡して編み目を構成する繊維間に形成される空間であって、編地の厚み方向に形成される空間をいう。

0033

浸透層3は、バインダ樹脂層3bと、当該バインダ樹脂層3bに分散された熱可塑性エラストマー粒子3aで構成され、その厚みtの範囲は編地の厚みTを基準として一表面側から30%<(t/T)×100≦90%の範囲に設定されている。当該厚みは、50%<(t/T)×100≦70%の範囲に設定されていることがより好ましく、50%<(t/T)×100≦60%の範囲に設定されていることがさらに好ましい。浸透層の厚さが一表面側に近い薄い層であれば、空気による断熱効果が低減できず、他表面側に到ると肌との摩擦で不快に感じて生地の風合いが損なわれるためである。尚、浸透層の厚み範囲は、図1(a)に示すように、放熱性生地1の断面を電子顕微鏡で観察して得られる編地2の厚みT、及び熱可塑性エラストマー(バインダ樹脂層3bと、当該バインダ樹脂層3bに分散された熱可塑性エラストマー粒子3a)で構成される浸透層3の厚みtの値を、数式(t/T)×100に代入することによって求まる値である。

0034

種々の熱可塑性エラストマーが存在するが、総じて空気の熱伝導率よりも一桁大きな値であるため、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマーを浸透させると、熱伝導による放熱が促進されて清涼感に優れた放熱性生地が得られる。例えば、空気の熱伝導率が0.0241W/(m・K)であるのに対して、ナイロン6の熱伝導率は0.25W/(m・K)、アクリルゴムの熱伝導率は0.27W/(m・K)である。

0035

そして、熱可塑性エラストマーが浸透された浸透層が編地の一表面から他表面に向けて所定の厚み範囲に形成されることにより、風合いを損なうことなく、放熱効果を高めた生地を得ることができる。

0036

編地に浸透される熱可塑性エラストマーは特に限定されず、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー等を好適に用いることができ、単独または混合いずれの態様で用いてもよい。熱可塑性エラストマーは、肌から蒸散される水分を吸収して外部に放散するために、特に親水性官能基を備えていることが好ましい。

0037

ポリアミド系エラストマーは特に限定されず、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリエーテルアミド共重合体ポリエステルアミド共重合体等を用いることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。

0038

ポリアミド系エラストマーのうち市販されているものとして、例えば、ペバックスアルケマ社製)、UBEナイロン(宇部興産社製)、グリロンELX、グリルアミドELY(以上、エムス昭和電工社製)、ダイアミド、ベスタミド(以上、ダイセルデクサ社製)等が挙げられる。

0039

ポリエステル系エラストマーは特に限定されず、例えば、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0040

これらのポリエステル系エラストマーのうち市販されているものとして、例えば、グリラックス(大日本インキ化学工業社製)、ヌーベラン(帝人化成社製)、ペルプレン東洋紡績社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、プリマロイ(三菱化学社製)等が挙げられる。

0041

これらの熱可塑性エラストマーのなかでも、下記(化1)式で表されるポリエーテルブロックアミド共重合体は、極めて優れた接触冷感が得られるとともに、吸湿性が得られ、比重も軽いため、生地、衣料、肌着に特に好適である。このようなポリエーテルブロックアミド共重合体のうち市販されているものとしては、例えば、ペバックス(アルケマ社製)等が挙げられる。(化1)式で、PAはポリアミドを表し、PEはポリエーテルを表す。

0042

ウレタン系エラストマーは、特に限定されず、ポリエステル系のポリウレタンエラストマーポリカプロラクトン系のポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート系ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル系のウレタン系エラストマー等を用いることができる。

0043

図2に示すように、冷感生地は、所定粒径の熱可塑性エラストマーをバインダに分散させたプリント剤を生成するプリント剤準備工程と、生成されたプリント剤を編地に浸透させる浸透工程と、浸透された編地を所定温度で乾燥処理する乾燥工程と、乾燥後の編地をガラス転移温度以下の所定温度で熱プレスする熱プレス工程を経て製造される。

0044

プリント剤準備工程では、熱可塑性エラストマーのペレットを、冷凍粉砕法等を用いて80μmから200μm程度の粒径粉砕し、粉砕した熱可塑性エラストマーをバインダ樹脂に添加し、攪拌することによりプリント剤が生成される。さらに、後の乾燥工程でバインダ樹脂の架橋反応が進行するように、必要に応じてプリント剤に架橋剤や触媒が添加され、また耐候性の調整等の機能調整のための添加剤や、色づけ等デザイン性を向上させるための添加剤を混入することも可能である。尚、熱可塑性エラストマーの粒径は80μmから200μmに限定されることは無く、適宜設定される値である。

0045

浸透工程では、例えばスクリーン捺染法を用いて、スクリーンで規定される所定パターンで熱可塑性エラストマー及びバインダ樹脂が編地に捺染される。スクリーン捺染法以外の捺染法を採用することも可能である。さらに、プリント剤をスプレーノズルから編地面に吹き付けるスプレー法等を採用することができる。

0046

バインダ樹脂に熱可塑性エラストマーの微粒子が分散されたプリント剤を用いる態様に替えて、有機溶剤等にバインダ樹脂及び熱可塑性エラストマーを溶解させて、浸透させる態様を採用することも可能であり、加熱により熱可塑性エラストマーを液状にしてホットスタンプ法を採用して浸透させる態様を採用してもよい。

0047

乾燥工程では、150℃で約1分熱風乾燥され、編地に捺染されたバインダ樹脂の溶剤成分である水分等が揮散されるとともに樹脂層の架橋反応が進行する。

0048

図1(b)には、乾燥工程を経た後の編地2の断面状態が示されている。この状態で浸透層3を構成するバインダの樹脂層が周辺で上方に歪む反りが生じ、また、熱可塑性エラストマーの粒子凸凹状態で樹脂層の表面から突出しているため、肌触り、風合いが損なわれた状態になる場合もある。

0049

そこで、そのような場合には、浸透層3の歪みを取り、凹凸の両面を平坦成形するために、熱プレス工程が実行される。熱プレス工程では、150℃で約20秒の間、加熱プレートプレスされる。尚、縫製処理が終了し、最終形状に仕上がった段階で熱プレス工程が実行されるように構成してもよい。また、機械式の熱プレスに替えて、アイロン等を用いた手動による熱プレスでもよい。機械式の熱プレスによる皺の発生を回避するためである。尚、乾燥工程、熱プレス工程での温度条件は、使用されるバインダや熱可塑性エラストマーに応じて適時設定される値である。

0050

乾燥工程を経た後の編地2の肌触りや風合いに特段の問題がない場合には、熱プレス工程は不要である。

0051

このようにして、編地2に浸透層3が線状または点状に分散形成され、若しくは面状に形成された放熱特性を備えた生地1が生成される。

0052

図3には、Tシャツに縫製された放熱性生地に形成された浸透層3の平面視のパターンが例示されている。図3(a)はボーダー線状パターン図3(b)は線状パターンが縦横に交差する格子状パターン図3(c)は真円、楕円または長円等の円形状のドットが配列されたドットパターン図3(d)は角状のドットが配列されたパターン、図3(e)は面状に浸透されたパターンである。線状パターンは縦、横、斜め何れの方向であってもよい。角状のドットは方形矩形ひし形六角形等を採用でき、何れの形状であってもよい。また、これらの形状の長さ、太さ、面積等のサイズは使用目的、デザイン性に応じて適宜設定すればよく、これらの形状を組み合わせてもよい。例えば、線状パターンの内部に円形状のドットが配列されてもよい。また、各パターンの間隔も適宜設定すればよく、特に制限されることはない。

0053

編地2として、天竺編み平編み)、フライス編みゴム編み)、スムース編み、パール編み等のヨコ編地(丸編地を含む)、トリコット編みラッセル編み等のタテ編地の何れにも適用することができる。

0054

編地2を構成する繊維も特に制限されることは無く、綿や等の天然繊維、レーヨンやキュプラのような再生繊維アセテート等の半合成繊維、ナイロンやポリエステルのような合成繊維、さらには、ポリウレタン等の弾性伸縮繊維をもちいてもよい。弾性伸縮繊維とその他の繊維を交編すると、伸縮性に富んだ編地が得られる。

0055

ポリエステル繊維等の疎水性繊維が交編された編地に上述の浸透層を形成すると、肌面に発汗した水分が疎水性繊維同士の隙間を伝う毛細管現象によって素早く吸収されて生地面に分散され、生地表面から蒸散されるので速やかに乾燥して濡れ感が軽減される。このような効果と浸透層による放熱効果によって、極めて優れた清涼感が得られるようになる。

0056

疎水性繊維とは、JIS L1018で規定する公定水分率が5%以下の繊維で、ポリエステル繊維の他にナイロン繊維アクリル繊維等が例示でき、各繊維の単糸繊度フィラメント数等に特段の制限はない。

0057

また、柔らかさや吸湿性等を持たせるため、綿や麻の植物性天然繊維レーヨンやキュプラのような再生繊維またはアセテート等の半合成繊維と疎水性繊維とを交編してもよい。

0058

このような放熱性生地1を用いて衣料を構成する場合には、生地1の裏面が肌側面になるように構成される。そして、少なくとも浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい部位に配置されることが好ましい。

0059

図4には、当該放熱性生地1を用いて構成される下半身用の肌着が示されている。当該肌着は、ロングボクサータイプの男性用パンツであり、少なくともドット状の浸透層3が発汗により水分が浸潤しやすい大腿部内側領域に配置されている。

0060

図5(a),(b)には、当該放熱性生地1を用いて構成される上半身用の肌着が示されている。当該肌着は、男性用の半袖肌着、ノースリーブ肌着であり、少なくともドット状の浸透層が人体の発汗により水分が浸潤しやすい肩甲骨から背骨領域に配置されている。

0061

図6(a),(b)には、当該放熱性生地1を用いて構成される上半身用の肌着が示されている。当該肌着は、女性用のキャミソールタンクトップ半袖シャツが示されている。図6(a)に示すようにそれぞれの背中上部にドット状の浸透層が形成され、図6(b)に示すように吸汗用の脇パッド部にもドット状の浸透層が形成されている。図6(c)には背中上部に形成されたドット状の浸透層が示され、図6(d)には脇パッドに形成されたドット状の浸透層が示されている。本例では、脇パッドに形成された浸透層のドット形状及び密度の方が、背中上部に形成された浸透層のドット形状及び密度よりも大きくなるように設定されている。

0062

浸透工程で用いるプリント剤に顔料染料を混入することにより、浸透層を着色でき、デザイン性に富んだ製品を実現することも可能である。

0063

本発明が適用される衣類として、ショーツガードルスパッツタイツブラジャーパンツ、タンクトップ、シャツ等の上下肌着に限定されず、Tシャツ、スポーツウェア水着ズボン上着下、ストッキング帽子汗取りパッドアームカバーレッグカバー等の様々な衣類が例示できる。

0064

以下に実験例を説明する。バインダ樹脂100g、水17g、架橋剤3gに対して、熱可塑性樹脂ペバックス(アルケマ社製)粉末を10g、20g、30g添加した三種類のプリント剤A,B,Cを生成した。尚、バインダ樹脂として、商品名UNIBINDERUMS-3C(ユニ化成株式会社製)のウレタン樹脂を用い、架橋剤として商品名リアクタントE-8(ユニ化成株式会社製)のブロックイソシアネートを用いた。

0065

次に、レーヨン63%、ポリエステル37%の鹿の子編み生地に、プリント剤を、メッシュサイズ50のスクリーンを介してスキージを用いて生地の表面に塗布することにより浸透させ、150℃の熱風で1分乾燥し、同じく150℃で20秒熱プレスした。

0066

ドットサイズ2×3mmの矩形形状を、1mmの間隔で配列し、全ドットのサイズが全面積の50%となる捺染パターンである。

0067

プリント剤Aでは、元生地重量6.70g、塗布後重量13.89g、乾燥後重量9.31gであり、元生地重量に対してペバックスを含む全熱可塑性樹脂重量比が約39.0重量%となる。
プリント剤Bでは、元生地重量6.79g、塗布後重量14.38g、乾燥後重量9.64gであり、元生地重量に対してペバックスを含む全熱可塑性樹脂の重量比が約42.0%となる。
プリント剤Cでは、元生地重量6.82g、塗布後重量15.27g、乾燥後重量9.97gであり、元生地重量に対してペバックスを含む全熱可塑性樹脂の重量比が約46.2%となる。

0068

上述の三種類の試験生地と未処理の生地に対して、36℃に定温度制御された熱板上に1分間放置して、その後サーモカメラ撮影し、表面平均温度を計測したところ、未処理の生地の表面温度が33.0度であったのに対して、プリント剤A,B,Cに対応した生地の表面温度は、それぞれ33.6℃、34℃、34.3℃と高くなり、放熱性が高まること、ペバックスの混入率が大きくなるほど放熱効果が高まることが確認された。

0069

実験では、バインダ樹脂としてウレタン樹脂を用いたが、他にアクリル樹脂シリコーン樹脂等を用いることも可能である。また、架橋反応でポリマー化されたバインダ樹脂の弾性の調整及び浸透層のドットパターンのピッチ等のサイズ調整により、生地の伸縮性を調整することも可能である。例えば、ポリウレタンを交編した伸縮性生地に弾性が少ないバインダ樹脂を浸透させると、部分的に緊締力が強い領域が形成でき、そのような部位は肌面に当接するため、本発明による放熱特性が効果的に利用できる。

0070

上述した実施形態では、編み目間に形成される空隙に熱可塑性エラストマーが浸透された浸透層が、バインダ樹脂と別途の熱可塑性エラストマー(例えばペバックス)の微粒子で構成される例を説明したが、バインダ樹脂そのものが本発明の熱伝導率を向上させるための熱可塑性エラストマーとして機能し、別途の熱可塑性エラストマーの微粒子を含まない構成であってもよい。

0071

本発明による放熱性生地で良好な放熱効果を得るために、熱可塑性エラストマーが編地の目付けに対して30重量%〜200重量%の範囲で浸透された浸透層3を備えていればよく、50重量%〜150重量%の範囲であれば浸透層3でより好ましい放熱効果が発現し、80重量%〜100重量%の範囲であれば浸透層3でさらに好ましい放熱効果が発現する。また、この範囲であれば、バインダ樹脂にペバックスのような冷感素材を添加することで、放熱生地に冷感を発現させることも可能になる。

0072

上述した実施形態は、何れも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成(生地を構成する編地の種類、糸種、太さ、浸透層のパターン、熱可塑性エラストマーの種類、浸透方法等)は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。

0073

本発明は、清涼感に優れた放熱性生地及び放熱性生地を用いた様々な衣料として、好適に使用できる。

0074

1:放熱性生地
2:編地
2a:一表面
2b:他表面
3:浸透層
3a:熱可塑性エラストマー粒子
3b:バインダ樹脂層

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