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技術 ソーワイヤ用鋼の製造方法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 太田裕己
出願日 2012年8月31日 (8年3ヶ月経過) 出願番号 2012-191823
公開日 2014年3月17日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-047399
状態 未査定
技術分野 溶融状態での鋼の処理 炉の外套、ライニング、壁、天井(炉一般1)
主要キーワード 攪拌量 高温保持後 超微粒粉末 減圧槽内 側壁温度 線材圧延機 アルミナキャスタブル Siキルド鋼
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年3月17日)のものです。
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図面 (13)

課題

ソーワイヤ用鋼を製造することができるようにする。

解決手段

取鍋施工する耐火物に関し、耐火物の粗骨材質量割合は、原料の全量の40%以上60%以下、結晶径が100μm以下である粗骨材の体積割合は粗骨材の全体積の3%以下とする。結晶径が20〜60μmである微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の5%以下、結晶径が10μm以下である微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の40%以上とする。前精錬処理では、スラグ組成は、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%、スラグ原単位は5〜15kg/ton、攪拌量は65〜85kJ/ton、[sol.Al]を8ppm以下として鋼を溶製する。本精錬処理では、スラグ組成及びスラグ原単位を前精錬処理と同じ範囲内とし、攪拌量を40〜60kJ/tonとすると共に[sol.Al]を2ppm以下としてソーワイヤ鋼を溶製する。

概要

背景

従来より、転炉などで脱炭処理した溶鋼取鍋に出鋼し、当該取鍋を二次精錬ステーションに移動させて、二次精錬処理を行うことによって線材に用いられる高清浄度鋼を製造している。高清浄度鋼を製造する技術(精錬する技術)として、例えば、特許文献1〜5に示すものがある。
特許文献1では、精錬後の溶鋼を取鍋から排出して連続鋳造した後、取鍋を転炉に再び戻して溶鋼を受鋼する工程を1サイクルとする操業方法が開示されている。この操業では、複数の取鍋を組み合わせて循環使用しており、シリコンキルド鋼について連続して複数回繰り返すに際して、この繰り返しが終了するまでは、シリコンキルド鋼を受鋼する取鍋は、前回チャージで受鋼する鋼種がシリコンキルド鋼またはリムド鋼のみであることとしている。

特許文献2では、鋼線材の元となる溶鋼の精錬処理を行うにあたり、精錬処理は取鍋ガス攪拌精錬、減圧槽内取鍋ガス攪拌精錬、取鍋内電磁誘導攪拌精錬還流式脱ガス精錬のいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせたものとし、各精錬における攪拌動力に関する指標Eを800〜1500の範囲内にする技術を開示している。
特許文献3では、Cを0.60〜1.0質量%含有する高炭素鋼を製造するに当たり、取鍋精錬でのスラグ最終組成を、塩基度が0.7〜1.4、Al2O3が2〜10質量%となるようにし、CaOの質量がスラグ全体の20%以下とする技術を開示している。

特許文献4では、精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%に設定すると共に、精錬に使用するスラグの塩基度を前記溶鋼の[Si]に基づいて所定範囲内に設定し、攪拌精錬における攪拌動力量Eをスラグの塩基度に基づいて所定範囲内に設定する技術を開示している。
特許文献5では、最終鋼塊成分をC:0.3〜1.0%、Si:0.1〜2.5%,Mn:0.1〜1.5%とする共に、Alの含有量二次イオン質量分析法による測定値で2.3〜6ppmになる様に制御し、高清浄鋼の製造を行う技術を開示している。

さて、上述したように二次精錬処理では取鍋内の溶鋼に対して精錬処理を行うが、使用する取鍋内の耐火物に関する技術として、特許文献6〜8に示すものがある。
特許文献6に開示された不定形耐火混練物の製造方法では、平均粒径10μm以下の超微粒粉末を含む耐火性粉粒体分散剤とを混練して不定形耐火混練物を製造する方法であって、超微粒粉末の少なくとも一部と分散剤とを水に加えて、超微粒粉末/(超微粒粉末+水)の質量百分率が5質量%以上85質量%以下の超微粉分散液を得て、この超微粉分散液と耐火性粉粒体の残部とを混練している。

特許文献7に開示された耐火物では、電融アルミナ焼結アルミナ電融スピネル焼結スピネル,電融スピネル,電融マグネシアおよび焼結マグネシアの中から選ばれた1種または2種以上の主骨材100重量%に対し、分散剤0.05〜0.5重量%、平均粒径0.5μm以下の仮焼アルミナを3〜10重量%、Al2O3 +CaOの合量が99重量%以上の高純度アルミナセメントCaO量として1重量%を越えない範囲で添加し、さらに添加水分が4.5重量%以下としている。

特許文献8では、耐火物を構成する骨材が、焼結アルミナ、電融アルミナ、ボーキサイトムライトロー石シャモットアルミナマグネシアスピネル炭化珪素黒鉛無定形炭素ピッチ粉から選択される1種又は2種以上の原料からなることが開示されている。
この他にも取鍋などに施工する耐火物について特許文献9〜15に示すものがある。

概要

ソーワイヤ用鋼を製造することができるようにする。取鍋に施工する耐火物に関し、耐火物の粗骨材質量割合は、原料の全量の40%以上60%以下、結晶径が100μm以下である粗骨材の体積割合は粗骨材の全体積の3%以下とする。結晶径が20〜60μmである微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の5%以下、結晶径が10μm以下である微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の40%以上とする。前精錬処理では、スラグ組成は、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%、スラグ原単位は5〜15kg/ton、攪拌量は65〜85kJ/ton、[sol.Al]を8ppm以下として鋼を溶製する。本精錬処理では、スラグ組成及びスラグ原単位を前精錬処理と同じ範囲内とし、攪拌量を40〜60kJ/tonとすると共に[sol.Al]を2ppm以下としてソーワイヤ鋼を溶製する。

目的

本発明では、取鍋に施工する耐火物と精錬処理における条件との両面を考慮することにより介在物の生成を抑えることにより高強度なソーワイヤを製造でき且つ取鍋の寿命も向上させることができるソーワイヤ用鋼の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

取鍋にて溶鋼精錬処理を行うことでソーワイヤ用鋼を製造するに際し、前記精錬処理に使用する取鍋に施工する耐火物に関し、当該耐火物の原料は、1mm以上のアルミナ粒子からなる粗骨材と、1mm未満のアルミナ粒子からなる微細骨材とを有しており、前記粗骨材に関し、その質量割合は、耐火物の原料の全量の40%以上60%以下とし、結晶径が100μm以下である粗骨材の体積割合は粗骨材の全体積の3%以下とし、前記微細骨材に関し、結晶径が20〜60μmである微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の5%以下とし、結晶径が10μm以下である微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の40%以上としており、前記取鍋での精錬処理に関し、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理の1つ前に実施する精錬処理では、使用するスラグ組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、前記スラグの原単位を5〜15kg/tonとし、溶鋼の攪拌量を65〜85kJ/tonとすると共に、[sol.Al]を8ppm以下とし、前記精錬処理後に、空鍋状態にて取鍋の側壁温度を800〜1000℃の範囲で60〜90分間保持する温度管理を行った後、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理を行うこととし、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理では、使用するスラグの組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、前記スラグの原単位を5〜15kg/tonとし、溶鋼の攪拌量を40〜60kJ/tonとすると共に、[sol.Al]を2ppm以下としており、同一の取鍋において前記温度管理を行う比率を90%以上としていることを特徴とするソーワイヤ用鋼の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えば、シリコン太陽電池半導体シリコンウェハなどを精密に切断加工するための切断刃として使われるソーワイヤ元材となるソーワイヤ用鋼の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、転炉などで脱炭処理した溶鋼取鍋に出鋼し、当該取鍋を二次精錬ステーションに移動させて、二次精錬処理を行うことによって線材に用いられる高清浄度鋼を製造している。高清浄度鋼を製造する技術(精錬する技術)として、例えば、特許文献1〜5に示すものがある。
特許文献1では、精錬後の溶鋼を取鍋から排出して連続鋳造した後、取鍋を転炉に再び戻して溶鋼を受鋼する工程を1サイクルとする操業方法が開示されている。この操業では、複数の取鍋を組み合わせて循環使用しており、シリコンキルド鋼について連続して複数回繰り返すに際して、この繰り返しが終了するまでは、シリコンキルド鋼を受鋼する取鍋は、前回チャージで受鋼する鋼種がシリコンキルド鋼またはリムド鋼のみであることとしている。

0003

特許文献2では、鋼線材の元となる溶鋼の精錬処理を行うにあたり、精錬処理は取鍋ガス攪拌精錬、減圧槽内取鍋ガス攪拌精錬、取鍋内電磁誘導攪拌精錬還流式脱ガス精錬のいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせたものとし、各精錬における攪拌動力に関する指標Eを800〜1500の範囲内にする技術を開示している。
特許文献3では、Cを0.60〜1.0質量%含有する高炭素鋼を製造するに当たり、取鍋精錬でのスラグ最終組成を、塩基度が0.7〜1.4、Al2O3が2〜10質量%となるようにし、CaOの質量がスラグ全体の20%以下とする技術を開示している。

0004

特許文献4では、精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%に設定すると共に、精錬に使用するスラグの塩基度を前記溶鋼の[Si]に基づいて所定範囲内に設定し、攪拌精錬における攪拌動力量Eをスラグの塩基度に基づいて所定範囲内に設定する技術を開示している。
特許文献5では、最終鋼塊成分をC:0.3〜1.0%、Si:0.1〜2.5%,Mn:0.1〜1.5%とする共に、Alの含有量二次イオン質量分析法による測定値で2.3〜6ppmになる様に制御し、高清浄鋼の製造を行う技術を開示している。

0005

さて、上述したように二次精錬処理では取鍋内の溶鋼に対して精錬処理を行うが、使用する取鍋内の耐火物に関する技術として、特許文献6〜8に示すものがある。
特許文献6に開示された不定形耐火混練物の製造方法では、平均粒径10μm以下の超微粒粉末を含む耐火性粉粒体分散剤とを混練して不定形耐火混練物を製造する方法であって、超微粒粉末の少なくとも一部と分散剤とを水に加えて、超微粒粉末/(超微粒粉末+水)の質量百分率が5質量%以上85質量%以下の超微粉分散液を得て、この超微粉分散液と耐火性粉粒体の残部とを混練している。

0006

特許文献7に開示された耐火物では、電融アルミナ焼結アルミナ電融スピネル焼結スピネル,電融スピネル,電融マグネシアおよび焼結マグネシアの中から選ばれた1種または2種以上の主骨材100重量%に対し、分散剤0.05〜0.5重量%、平均粒径0.5μm以下の仮焼アルミナを3〜10重量%、Al2O3 +CaOの合量が99重量%以上の高純度アルミナセメントCaO量として1重量%を越えない範囲で添加し、さらに添加水分が4.5重量%以下としている。

0007

特許文献8では、耐火物を構成する骨材が、焼結アルミナ、電融アルミナ、ボーキサイトムライトロー石シャモットアルミナマグネシアスピネル炭化珪素黒鉛無定形炭素ピッチ粉から選択される1種又は2種以上の原料からなることが開示されている。
この他にも取鍋などに施工する耐火物について特許文献9〜15に示すものがある。

先行技術

0008

特開2003−034817号公報
特開2008−150683号公報
特開2002−332517号公報
特開2009−299168号公報
特開2000−345232号公報
特開2012−082117号公報
特開平06−256064号公報
特開平07−300370号公報
特開昭63−162579号公報
特開平10−330170号公報
特開2002−234776号公報
特開平11−79855号公報
特開平10−338577号公報
特開平09−183674号公報
特開平07−157370号公報

発明が解決しようとする課題

0009

特許文献1〜5では、精錬処理において、溶鋼の攪拌動力に関する指数、スラグの組成、溶鋼(鋼)の成分等を規定することによって介在物を制御し、高清浄度鋼を製造している。このような技術を用いると、バネなどの線材に用いる高清浄度鋼を製造することができるものの、近年、太陽電池用シリコンインゴット等の切断に用いられるソーワイヤなどの高性能な線材を製造することは難しいのが実情である。

0010

さて、上述した特許文献1〜5に示すように、精錬処理では、溶鋼の攪拌動力に関する指数、スラグの組成、溶鋼(鋼)の成分等の精錬条件を規定して溶鋼の介在物を制御することが考えられる。しかしながら、特許文献6〜15に示されるように、耐火物について様々な技術が開発されているが、いずれの技術も単に耐火物の耐食性を向上さて寿命を長くする技術であり、精錬処理と連動して耐火物によって精錬処理後の溶鋼内に生成する介在物を制御するような技術ではない。

0011

そこで、本発明では、取鍋に施工する耐火物と精錬処理における条件との両面を考慮することにより介在物の生成を抑えることにより高強度なソーワイヤを製造でき且つ取鍋の寿命も向上させることができるソーワイヤ用鋼の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
本発明の技術的手段は、取鍋にて溶鋼の精錬処理を行うことでソーワイヤ用鋼を製造するに際し、前記精錬処理に使用する取鍋に施工する耐火物に関し、当該耐火物の原料は、1mm以上のアルミナ粒子からなる粗骨材と、1mm未満のアルミナ粒子からなる微細骨材とを有しており、前記粗骨材に関し、その質量割合は、耐火物の原料の全量の40%以上60%以下とし、結晶径が100μm以下である粗骨材の体積割合は粗骨材の全体積の3%以下とし、前記微細骨材に関し、結晶径が20〜60μmである微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の5%以下とし、結晶径が10μm以下である微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の40%以上としており、前記取鍋での精錬処理に関し、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理の1つ前に実施する精錬処理では、使用するスラグの組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、前記スラグの原単位を5〜15kg/tonとし、溶鋼の攪拌量を65〜85kJ/tonとすると共に、[sol.Al]を8ppm以下とし、前記精錬処理後に、空鍋状態にて取鍋の側壁温度を800〜1000℃の範囲で60〜90分間保持する温度管理を行った後、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理を行うこととし、ソーワイヤ用鋼を精錬する処理では、使用するスラグの組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、前記スラグの原単位を5〜15kg/tonとし、溶鋼の攪拌量を40〜60kJ/tonとすると共に、[sol.Al]を2ppm以下としており、同一の取鍋において前記温度管理を行う比率を90%以上としていることを特徴とする。

発明の効果

0013

本発明によれば、高強度なソーワイヤ用鋼を溶製することができると共に、ソーワイヤ用鋼を溶製するのに用いた取鍋の寿命を向上させることができる。特に、溶鋼中に含まれるアルミナ介在物を低減することができるため、製造されたソーワイヤは、伸線時における断線回数が非常に少ないものとなる。

図面の簡単な説明

0014

ソーワイヤ用鋼を精錬処理する手順を示す図である。
取鍋の全体断面図を示した図である。
アルミナ系不定形耐火物の原料を示す図である。
粗骨材と微細骨材とについてまとめた図である。
浸食試験で用いた坩堝の説明図である。
浸食試験における電気炉(坩堝)の温度変化を示す図である。
取鍋の待機時間と側壁温度との変化を示す図である。
管理達成率と取鍋の側壁における溶損速度とを示す図である。
二次精錬ステーションから見た5つの取鍋の移り変わりを示した図である。
実施例及び比較例におけるソーワイヤの断線回数を示す図である。
前精錬処理における溶鋼の攪拌量とソーワイヤの断線回数との関係図である。
本精錬処理における溶鋼の攪拌量とソーワイヤの断線回数との関係図である。

実施例

0015

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、ソーワイヤ用の鋼を精錬処理する手順を示したものである。ソーワイヤとは、シリコン太陽電池、半導体シリコンウェハなどを精密に切断加工するための切断刃として使われるスチール鋼材のことである。以降、説明の便宜上、ソーワイヤを製造するための鋼のことをソーワイヤ鋼という。

0016

図1に示すように、ソーワイヤ鋼を製造するに際しては、まず、ソーワイヤ鋼を溶製する際に用いる取鍋1に対して所定の耐火物2を施工する(耐火物施工)。そして、ソーワイヤ鋼を溶製する1つ前の精錬処理(前精錬処理)では、取鍋1を用いてソーワイヤ鋼とは別の鋼を溶製する。前精錬処理の終了後、空鍋状態にて取鍋1の側壁温度(側壁の耐火物3の温度)を管理する取鍋の温度管理を実行する(温度管理工程)。温度管理工程後は、前精錬処理後に同一の取鍋1で本精錬処理にてソーワイヤ鋼を溶製する(本精錬処理)。

0017

図2は、ソーワイヤ鋼を溶製する取鍋の断面構造を示したものである。まず、取鍋の構造について説明する。なお、取鍋は図2に示したものに限定されない。
取鍋1は、本体を構成する上部が開放となった円柱状の鉄皮3を備えている。この鉄皮3の稼働面側(溶鋼が入る側)には、定形の耐火物2で構成された第1パーマ煉瓦2aが施工されている。鉄皮3内において、鉄皮3の胴部4に対応する部分には、第1パーマ煉瓦2aに続き、さらに当該第1パーマ煉瓦2aの内側に2層目となる第2パーマ煉瓦2bが施工されている。また、鉄皮3内において、鉄皮3の底部6及び鉄皮3の胴部4に対応する部分には、不定形の耐火物2であるキャスタブル2cが施工されている。

0018

詳しくは、鉄皮3の底部6に対応する第2パーマ煉瓦2bの稼働面にキャスタブル2cが流し込み施工されている。また、鉄皮3の胴部4(側壁)に対応する部分であって、底部6から上下方向中途部分までの溶鋼が接する部分にもキャスタブル2cが施工されている。言い換えれば、鉄皮3の胴部4(側壁)に施工した第2パーマ煉瓦2bの稼働面うち、スラグラインを除く稼働面側には、キャスタブル2cが施工されている。

0019

キャスタブル2cから上部側であって、スラグラインに対応する部分には、定形の耐火物9であるマグカーボン(MgO−C耐火物)が施工されている。なお、取鍋1の敷部6には、溶鋼を外部へ出鋼(排出)するための排出口8が設けられている。
さて、取鍋1の内部を見たとき、取鍋1の敷部6に施工されたキャスタブル2cや取鍋1の胴部4に施工されたキャスタブル2cは、運搬時や精錬処理時などに溶鋼が頻繁に接する部分(メタルライン)である。本発明では、溶鋼が頻繁に接するメタルラインの耐火物(キャスタブル2c)を、後述するような耐火物(アルミナ系不定形耐火物)にすることによって、精錬処理時に耐火物から溶鋼に混入する硬質のアルミナ介在物を低減することとしている。

0020

メタルラインに用いる耐火物は、主にアルミナ粒子が含有された原料で構成されたもので、アルミナ系不定形耐火物とされている。アルミナ系不定形耐火物の成分は、例えば、Al2O3が90〜95質量%、MgOが5〜8質量%、その他はSiO2などである。
図3は、アルミナ系不定形耐火物の原料を模したものである。
図3に示すように、アルミナ系不定形耐火物の主原料は、まず、1mm以上の粒子によって構成された粗骨材10と、1mm未満の粒子によって構成された微細骨材11とに分けられる。詳しくは、粗骨材10は多結晶体であって1mm以上のアルミナ粒子で構成されたもので、微細骨材11はほぼ単結晶であって1mm未満のアルミナ粒子によって構成されたものである。粗骨材10と微細骨材11とは、顕微鏡などを用いた観察により容易に選別することができる。特に、粗骨材10については、特開平07−300370号公報や特開2002−234776号公報に開示されているものであり、当業者であれば容易に認識することができる。

0021

粗骨材10の質量割合は主原料の合計(全量)の40%以上60%以下としている。粗骨材10は、主に耐火物の亀裂の伝搬を抑制する役割があり、亀裂の伝搬を抑制する観点からすれば、主原料に対する割合は多い方がよい。しかしながら、粗骨材10が主原料の全量に対して60質量%超えると、粗骨材10は他の材料(例えば、微細骨材11)に対して大きいため、粗骨材10と微細骨材11とを合わせたときの耐火物(全量)の充填率を見たとき、充填率が下がり空隙の部分が多くなるため、耐久性が減少する。一方、粗骨材10が主原料の全量に対して40質量%未満になると、十分に亀裂の伝搬を抑制することができない。このようなことから、上述したように、粗骨材10の重量割合は主原料の全量の40%以上60%以下にする必要がある。

0022

さて、取鍋1による精錬処理中に粗骨材10が溶鋼へ混入し、粗骨材10を構成する粒子(結晶)の分解が起きた場合、図2(b)に示すように、粗骨材10を構成する結晶(結晶径)12が大きいと、分解した結晶12が溶鋼中を浮上してスラグ等に吸着するため、分解した結晶12は溶鋼から除去することができる。一方、図2(a)に示すように、粗骨材10を構成する結晶12が小さいと、溶鋼中を浮上することが難しいため分解した結晶12を除去することが難しくなる。

0023

そこで、本発明では、粗骨材10に関して、結晶径が100μm以下の小さい粗骨材10の体積割合は、粗骨材(全ての粗骨材)10の全体積の3%以下として少なめとしている。言い換えれば、結晶径が100μm超の粗骨材10は、粗骨材の全体積の97体積%超とし、精錬処理などによって結晶が分解しても除去しやすいようにしている。
微細骨材11は、粗骨材10と合わせたとき、耐火物の充填率を上昇させ、空隙を少なくして溶鋼の浸潤を抑制して耐火物の耐久性を向上させる役割があり、粗骨材10とはバランス良く配合される。

0024

さて、ソーワイヤ鋼では、アルミナ介在物が溶鋼中に残ると線材の伸線時に断線を発生させる原因となることから、取鍋の精錬処理では出来る限りアルミナ介在物を低減することが必要である。
様々な実験等の検証の結果、結晶径が20〜60μmである微細骨材11が多く含まれるものを耐火物の材料とし、この耐火物を取鍋に施工して当該取鍋で精錬処理を行った場合、微細骨材11による影響でアルミナ介在物が生成され、ソーワイヤ鋼でソーワイヤを製造したときに、ソーワイヤの伸線時における断線回数に大きな影響を与えることが分かった。本発明では、取鍋に施工する耐火物(メタルラインに施工する耐火物)の材料として微細骨材11を使用する場合、結晶径が20〜60μmとなる微細骨材11の体積割合を、粗骨材10の全体積の3%以下とし、出来る限り少なくしている。

0025

微細骨材11において、結晶径が20〜60μmのものはソーワイヤの断線回数の増加に悪影響を与えてしまう可能性があるものの、これより小さく、結晶径が10μm以下のものは、ソーワイヤによる断線回数に悪影響を与えず、耐火物の充填率などに寄与することが様々な実験等により検知した。このようなことから、本発明では、微細骨材11に関し、結晶径が10μm以下である微細骨材の体積割合は微細骨材の全体積の40%以上としている。

0026

図4は、メタルラインに施工する耐火物に関して、粗骨材10と微細骨材11とについてまとめたものである。図4に示すように、耐火物を構成する主原料のうち、粗骨材10の重量割合は40%以上60%以下とし、残りを微細骨材11としている。また、全粗骨材のうち、100μm以下の結晶径のものを全体の3体積%以下とし、100μmを超える結晶径のものを全体の97体積%超としている。さらに、全微細骨材11のうち、20〜60μmの結晶径のものを全体の5体積%以下とし、10μm以下の結晶径のものを40体積%以上としている。

0027

このように、ソーワイヤ鋼を製造するに際しては、取鍋に施工する耐火物のうち、主に溶鋼が接するメタルラインに施工する耐火物を上述した材料で構成することとしている。
次に、ソーワイヤ鋼を溶製する精錬処理について説明する。
ソーワイヤ鋼を溶製する前に行う前精錬処理では、ソーワイヤ鋼とは別の鋼を溶製することによって、前精錬処理のスラグ等によってメタルラインに施工したアルミナ系不定形耐火物の稼働面を改質し、次に行うソーワイヤ鋼の溶製を行う当該精錬処理時に耐火物からアルミナ介在物の混入を抑制できるようにしている。

0028

詳しくは、図1に示すように、前精錬処理では、上述した耐火物2(2c)を施工した取鍋1に、転炉などで脱炭処理の終了した溶鋼20を装入し、この取鍋1を二次精錬設備21に移動させる。二次精錬設備21がLF装置である場合、電極加熱装置(電極アーク加熱装置)22を用いて、溶鋼20の温度を所定温度まで上昇させ、底吹き用プラグ23から不活性ガスを吹き込んで溶鋼20を攪拌すると共に、フラックス等の精錬剤供給装置から供給することによって、Siキルド鋼を溶製する。即ち、二次精錬設備21を用いて[sol.Al]が8ppm以下となるSiキルド鋼を溶製する。

0029

[sol.Al]が8ppmを超えた状態で前精錬処理を行ってしまうと、ソーワイヤ鋼を溶製する当該精錬処理へのアルミナ系介在物持ち込み量が増加するため、前精錬処理では[sol.Al]を8ppm以下にしている。また、前精錬処理におけるスラグ組成を、C/S(塩基度)=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%としている。

0030

前精錬処理においてスラグの塩基度(C/S)が高いと耐火物との反応が進み、アルミナ系不定形耐火物の稼働面の改質を進めるものの、塩基度が1.2を超えて高すぎると、反応が速すぎて構造スポーリング、即ち、耐火物の剥離が発生してしまう。一方、スラグの塩基度が0.5未満である場合、スラグと耐火物との反応が遅く、耐火物の改質が十分に進まない。このようなことから、塩基度は0.5〜1.2にする必要がある。

0031

また、前精錬処理においてスラグのAl2O3が少ないと、耐火物との反応が進み、アルミナ系不定形耐火物の稼働面の改質が進むものの、Al2O3が5質量%未満であると、耐火物の剥離が発生してしまう。一方、スラグのAl2O3が15質量%を超えてしまうと、スラグと耐火物との反応が遅く、耐火物の改質が十分に進まないばかりか、アルミナ介在物が増加してしまう可能性もある。このようなことから、スラグ中のAl2O3は5〜15質量%にする必要がある。

0032

前精錬処理においてスラグのMgOが少ないと、スラグラインの耐火物の溶損が進み当該スラグラインの耐火物を保護することができないことから、MgOを2質量%以上にすることがある。一方、スラグのMgOが15質量%を超えてしまうと、スラグラインの耐火物の保護はできるものの、スラグの粘度が上がり過ぎ、スラグによる耐火物の改質が遅くなる。このようなことから、スラグ中のMgOは2〜15質量%にする必要がある。

0033

上述したように前精錬処理ではスラグと耐火物との反応によってメタルラインに施工したアルミナ系不定形耐火物の稼働面を改質することとしているが、改質のためには、スラグ量も重要である。スラグ量が少なくスラグの原単位が5kg/tonの場合、耐火物を被覆するためのスラグ量が少なく十分に耐火物の改質が進まない。一方、スラグ量が多くスラグの原単位が15kg/tonを超えると耐火物の改質はできるものの、スラグの滓化に非常に長い時間を要したり、必要以上にスラグが多いため精錬処理が素早く進まない可能性がある。このようなことから、スラグ原単位は5〜15kg/tonとする必要がある。

0034

また、耐火物の改質を進めるためには、スラグ量だけでなく、溶鋼を適度に攪拌してスラグと耐火物との反応が進みやすくする必要がある。溶鋼の攪拌量が小さく65KJ/ton未満である場合、スラグと耐火物との反応性が低下して耐火物の改質が不足すると共に耐火物の稼働面に付着した付着物洗浄力が低下する。一方、溶鋼の攪拌量が大きく85kJ/tonを超える場合、耐火物の改質が進むものの、構造スポーリングが発生する。このようなことから、溶鋼の攪拌量は65〜85kJ/tonにする必要がある。

0035

なお、溶鋼の攪拌量は、攪拌動力密度に攪拌時間を掛け合わせることにより求めることができる(攪拌量=攪拌動力密度×攪拌時間)。攪拌動力密度は、特開2008−261014号公報に開示されているものと同じ式(1)で算出することができる。

0036

0037

なお、前精錬処理は、上述したLF装置による精錬に限定されず、CAS装置による精錬であってもよい。また、前精錬処理において、不活性ガスの吹き込みは、上方から上吹きランスを溶鋼内に挿入して上吹きランスにて不活性ガスを吹き込むものであってもよい。
次に、前精錬処理によって取鍋内のアルミナ系不定形耐火物の稼働面を改質後は、ソーワイヤ鋼の溶製を行う前に、取鍋の側壁温度(胴部の温度)を管理する温度管理工程(ソーワイヤ製造前温度管理工程)に移行する。このソーワイヤ製造前温度管理工程では、ソーワイヤ鋼を溶製する前に、適正に取鍋の温度管理することによって取鍋の寿命を向上させている。

0038

精錬処理後、取鍋の側壁の耐火物にはスラグや地金が残存する。スラグや地金などの付着物と耐火物とが接触すると、耐火物の溶損等が進み、最終的には、これら付着物が取鍋の寿命に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、発明者らは、付着物と耐火物との反応性について様々な観点から検証を行った。具体的には、図5に示すように、取鍋の側壁の耐火物と同じ素材であるキャスタブル(アルミナキャスタブル)を用いて坩堝を製作し、この坩堝内にスラグ等の付着物に相当する浸食剤を入れた後、坩堝の温度を変化させ、付着物とキャスタブルとの反応性(キャスタブルの溶損量及び浸潤量)を調べるための浸食試験を行った。

0039

浸食試験では、坩堝の高さを50mm、浸食剤を入れる凹部の深さを20mm、凹部の内径を30mm、坩堝の外径を70mmとした。また、浸食剤の組成を、CaO=35質量%、Al2O3=10質量%、SiO2=50質量%、MgO=5質量%とした。凹部への浸食剤の装入量は10gとした。
また、浸食試験では、浸食剤を装入した坩堝を電気炉に入れた後、図6に示すように、まず、初めに、電気炉内の温度を、10℃/minの昇温速度で1550℃まで上昇させる。電気炉内の温度が1550℃に達した後は、60分間保持する。即ち、電気炉(坩堝)を高温で保持する(高温保持)。

0040

次に、坩堝の高温保持後は、10又は20℃/minの冷却速度で、坩堝内(電気炉内)の温度を所定の温度(700℃〜1100℃)まで下げた後、坩堝(電気炉)の温度を40〜120分間、低温で保持した(低温保持)。浸食試験では、このような低温保持及び高温保持を3回繰り返した後、坩堝の凹部の底部におけるキャスタブルの溶損量及び浸潤量を測定した。溶損量及び浸潤量は、ノギスで測定した。

0041

表1は、浸食試験において、冷却速度が10℃/minである場合での保持温度と保持時間と、溶損量及び浸潤量の関係をまとめたものである。また、表2は、浸食試験において、冷却速度が20℃/minである場合での保持温度と保持時間と、溶損量及び浸潤量の関係をまとめたものである。

0042

0043

0044

表1に示すように、冷却速度が10℃/minである場合は、保持温度が900℃であり、その保持時間が80分であるときは、溶損量及び浸潤量は最も少なく、0.5mm以下である。表2に示すように、冷却速度が20℃/minである場合も、保持温度が900℃であり、その保持時間が80分であるときは、溶損量及び浸潤量は最も少なく、0.5mm以下である。このように、浸食試験によれば、保持温度を900℃とし且つその保持時間を80分としたとき、耐火物の溶損や浸潤を小さくすることができると考えられる。

0045

発明者らは、上述した浸食試験をふまえ、取鍋の側壁温度を900℃前後(900±100℃)とし、その保持時間を80分前後にしたときの側壁のキャスタブルの溶損量について、実操業での検証を行った。
実操業では、精錬処理後、取鍋を空鍋状態にして待機させ、取鍋の待機時に側壁温度を変化させた。図7は、取鍋の待機時間と側壁温度との変化をまとめたものであり、4つの温度パターン温度推移グラフ)が示されている。

0046

図7パターンA及びパターンBでは、取鍋の待機時にバーナーで取鍋の側壁のキャスタブルを加熱して取鍋の側壁温度の低下を抑制した。パターンCでは、取鍋の待機時に取鍋を自然冷却させた。パターンDでは、取鍋の待機時にバーナーで取鍋の側壁のキャスタブルを加熱後、途中で取鍋を自然冷却に切り換えた。各パターンとも同一の取鍋で精錬処理と取鍋の待機を10回繰り返した。

0047

表3は、取鍋の待機時において、側壁の耐火物(キャスタブル)の温度を800〜1000に保持した保持時間と、各パターンにおける溶損量とをまとめたものである。

0048

0049

表3に示すように、パターンAに示すように、保持時間が68分であったり、パターンDに示すように、85分であるとき、取鍋の側壁のキャスタブル(耐火物)の溶損量は3.0mm程度で、他のパターンBやパターンCよりも非常に小さくなった。このように、上述した浸食試験や実操業の結果を鑑みると、保持時間は60分以上で90分以下にすることにより、取鍋の側壁におけるキャスタブルの溶損量を小さくすることができる。本発明では、少なくとも、ソーワイヤ鋼を製造する直前のソーワイヤ製造前温度管理工程において、取鍋を空鍋状態にして待機させ、待機時の取鍋の側壁温度を800〜1000℃とし且つ保持時間を60〜90分間にする温度管理条件Aを満たせば、耐火物の溶損を抑制して取鍋の寿命を向上させることができる。

0050

さて、取鍋を使用するにあたって、ソーワイヤ鋼を溶製する本精錬処理と前精錬処理との間で行われるソーワイヤ製造前温度管理工程において、上述した温度管理条件A(側壁温度800〜100℃、保持時間60〜90分)を満たすことによって、取鍋の寿命を向上させることが期待できるが、本精錬処理と前精錬処理との間で行うソーワイヤ製造前温度管理工程に限らず、それ以外の精錬処理間で行う取鍋の温度管理工程でも、温度管理条件Aを満たすようにすれば、取鍋の寿命を向上させることができると考えられる。

0051

そこで、発明者らは、同一の取鍋において、その使用開始から使用終了までの全チャージ数と、全チャージ数の中で温度管理条件Aを満たした温度管理工程(ソーワイヤ製造前温度管理工程を含む)の達成チャージ数と、取鍋の側壁における溶損速度とについて調査を行った。
表4は、取鍋の全チャージ数(使用回数)と、全チャージ数に対する達成チャージ数の割合(管理達成率)と、取鍋の使用後の1チャージ当たりの溶損速度(mm/ch)とについてまとめたものである。達成チャージ数の割合は、同一の取鍋において、温度管理条件Aで温度管理工程を実施したチャージ数÷全チャージ数で求めることができる。

0052

0053

表4に示すように、実施例1〜23に示すように、管理達成率が90%以上であるとき、取鍋の溶損速度は0.50mm/chとなった。一方、比較例24〜52に示すように、管理達成率が90%未満であるとき、取鍋の溶損速度が0.50mm/chを超えることがあった。
図8は、上述した操業番号1〜52において、管理達成率と取鍋の側壁における溶損速度とをまとめたものである。図8に示すように、管理達成率が90%未満では、溶損速度にバラツキがあるものの、管理達成率を90%以上となった時点で、取鍋の溶損速度をバラツキ無く0.5mm/ch以下に安定的にすることができる。

0054

したがって、取鍋を使用するに際して、精錬処理間の温度管理工程において、温度管理条件Aを満たす割合[温度管理条件Aにて温度管理を行う比率(管理達成率)]を90%以上とすることによって、取鍋の寿命を確実に向上させることができる。なお、実操業では、全てのソーワイヤ製造前温度管理工程(本精錬処理の前に行う温度管理)において、温度管理条件Aを満たすことができないこともあるため、温度管理条件Aを満たすソーワイヤ製造前温度管理工程のチャージ数は、全てのソーワイヤ製造前温度管理工程のうち、上述した全体の精錬処理における管理達成率と同等である90%〜100%を満たすことが好ましい。

0055

次に、ソーワイヤ鋼の溶製する本精錬処理について説明する。本精錬処理では、前精錬処理と同様にLF精錬装置やCAS精錬装置などを用いて溶鋼の精錬を行う。
詳しくは、図1に示すように、本精錬処理では、前精錬処理が終了した取鍋1に溶鋼20を装入した後、二次精錬設備21がLF装置である場合は電極式加熱装置22を用いて、取鍋1内の溶鋼20の温度を所定温度まで上昇させ、底吹き用プラグ23から不活性ガスを吹き込んで溶鋼20を攪拌すると共に、フラックス等の精錬剤を供給装置から供給することによって、ソーワイヤ鋼を溶製する。本精錬処理では、前精錬処理よりも溶鋼に含まれるAlの量を少なくすることとしており、[sol.Al]が2ppm以下となるように精錬処理を行っている。

0056

[sol.Al]が2ppmを超えた状態で本精錬処理を行ってしまうと、溶鋼中のアルミナ系介在物が増加するため、本精錬処理では[sol.Al]を2ppm以下にしている。
また、本精錬処理では、前精錬処理と同様に、スラグ組成をC/S(塩基度)=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、スラグ原単位を5〜15kg/tonとしている。

0057

本精錬処理では、前精錬処理と同じようにスラグによって耐火物の改質を進めるという耐火物の改質の観点と、溶鋼中の介在物の除去との観点から、スラグ組成及びスラグ原単位を設定していて、これらのスラグ組成及びスラグ原単位を満たすことによって、溶鋼中のアルミナ介在物を少なくできるようにしている。なお、スラグ組成及びスラグ原単位の範囲の説明は前精錬処理と同じであるため説明を省略する。

0058

さて、ソーワイヤ鋼を溶製するに際してスラグ組成やスラグ原単位を上述した条件にすることが必要であるが、これに加えて、溶鋼の攪拌量を制御(調整)することによって、最終的に溶鋼中に存在するアルミナ介在物を十分に少なくすることが必要である。特に、溶鋼の攪拌量の大きさは、スラグによって行われる耐火物の改質と、耐火物から溶鋼へのアルミナ介在物の原因となる物質の混入と、スラグによるアルミナ介在物の捕獲とに影響を与え、特に、本精錬処理の段階では適正に設定しなければならない。様々な検証の結果、本精錬処理の攪拌量の上下限値は前精錬処理に比べて小さくする必要があり、本精錬処理の溶鋼の攪拌量は40〜60kJ/tonにする必要がある。

0059

以上のように、本発明では、まず、メタルラインに上述した耐火物を施工したうえで、前精錬処理では耐火物の改質を行う精錬を行ったうえで、本精錬処理では耐火物の改質などを行いつつソーワイヤ鋼の溶製を行うこととしている。
図9は、1カ所の二次精錬ステーションにおける5つの取鍋(A、B鍋、C鍋、D鍋、E鍋)の移り変わりを示したものである。図9に示すように、二次精錬ステーションではA鍋から順にE鍋まで精錬処理を繰り返し行うとする。

0060

B鍋でソーワイヤ鋼を溶製する場合、まず、1チャージ目のA鍋による精錬処理が終了した後、2チャージ目でB鍋にて前精錬処理を行い。前精錬処理終了後はB鍋内を連続鋳造工程などに搬送し、溶鋼を払い出しする。溶鋼の払い出し後、再びB鍋を二次精錬ステーションに戻し、6チャージ目のA鍋による精錬処理が終了した後、7チャージ目でB鍋にて本精錬処理を行い、ソーワイヤ鋼を溶製する。

0061

ここで、B鍋を用いて連続してソーワイヤ鋼を溶製する場合は、図9に示すように、7チャージ目に続く12チャージ目においてB鍋により本精錬処理を行うことが好ましい。即ち、同じ取鍋(この場合、B鍋)を用いてソーワイヤ鋼を連続して繰り返し溶製する場合は、1回目の本精錬処理を行う前に、当該本精錬処理を行う取鍋と同じ取鍋を用いて前精錬処理を少なくとも1回行っておき、その後、この取鍋にて本精錬処理を連続して行うことが好ましい。この場合は、「前精錬処理→本精錬処理→本精錬処理」の順となる。なお、同じ取鍋を用いて前精錬処理と本精錬処理とを繰り返し行ってソーワイヤ鋼を溶製しても良い。この場合は、「前精錬処理→本精錬処理→前精錬処理→本精錬処理」の順となる。また、同一の取鍋にて前精錬処理と本精錬処理とを繰り返し行う場合であって、前精錬処理と本精錬処理との間で温度管理工程を行うときは、当該温度管理工程にて温度管理条件A(側壁温度800〜100℃、保持時間60〜90分)を満たすようにすることが好ましい。さらには、同一の取鍋において、温度管理条件Aを満たすチャージ数は、同一の取鍋において使用した全チャージ数の90%以上にすることが好ましい。

0062

表5〜9は、本発明のソーワイヤの製造方法を行った実施例と、本発明のソーワイヤの製造方法とは異なる方法を行った比較例とをまとめたものである。このうち、表5は、ソーワイヤ鋼を連続して繰り返し溶製する場合についてまとめたものである。

0063

0064

0065

0066

0067

0068

まず、実施例及び比較例の精錬処理について説明する。表5〜9の実施例及び比較例では、ソーワイヤ鋼を溶製する取鍋に対して当該取鍋のメタルラインに上述した耐火物を施工し、その後、取鍋に転炉からの溶鋼を払い出し、前精錬処理を行った後、さらに、同一の取鍋に対して再び転炉からの溶鋼を払い出し、本精錬処理を行った。本精錬処理後に連続鋳造装置にて当業者常法通りに150mmのビレットを製造し、このビレットを線材圧延機にてφ6mmの丸棒に加工後、100μmの極細線伸線加工した。極細線の伸線時において、介在物が原因となる断線回数を計測した。断線回数の計測では、鋼材5トンごとの断線回数をカウントし、計約250トン(取鍋1杯分)の断線回数の平均と最大値及び最小値を求めた。

0069

表9の実施例及び比較例は、ソーワイヤ鋼を連続して繰り返し溶製した場合を示したもので、本精錬処理後に同一取鍋にて連続して本精錬処理を行ったものである。表中の「前ch実験」の欄は、同一取鍋に対して1つ前のチャージにおける実施例又は比較例の番号を示したものである。
転炉は、250tonクラス(粗鋼トンが250ton)のものを用いた。取鍋のスラグラインの耐火物はマグカーボン(MgO−C耐火物)とし、メタルラインに上述した耐火物を使用した。この耐火物の原料の粒度は、マイクロトラッキング装置にて測定を行った。耐火物の原料の結晶サイズ(粒度径)は、原料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察して求めた。SEMによる観察面積は3cm2とした。鋼(鋼材)の成分は、C:0.83〜0.85質量%、Si:0.18〜0.19質量%、Mn:0.48〜0.52質量%、P:0.007〜0.01質量%、S:0.004〜0.008質量%、Al:0.001〜0.002質量%とした。

0070

[sol.Al]の測定は、二次イオン質量分析計SIMS)で行った。溶鋼温度平均温度で1823Kとした。また、精錬処理後の取鍋の温度管理は、取鍋の側壁の温度(側壁の耐火物の温度)を、放射温度計などにより測定しながら管理することとし、必要に応じてガスバーナを用いて加熱を行った。
実施例1〜22では、粗骨材に関して、「粗骨材中、結晶径100μm以下の体積割合」の欄に示すように、結晶径が100μm以下のものは全粗骨材の3体積%以下であり、粗骨材の重量割合は主原料の40%以上60%以下である。また、実施例1〜22では、微細骨材に関して、「骨材(20〜60μm)の体積割合」の欄に示すように、結晶径が20〜60μmのものは全微細骨材の5体積%以下であり、「骨材(〜10μmの体積割合」の欄に示すように、結晶径が10μm以下のものは40体積%以上であった。

0071

実施例1〜22では、前精錬処理において、[sol.Al]を8ppm以下とし、スラグ組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、スラグ原単位を5〜15kg/tonとし、攪拌量を65〜85kJ/tonとしている。また、実施例1〜22では、本精錬処理において、[sol.Al]を2ppm以下とし、スラグ組成を、C/S=0.5〜1.2、Al2O3=5〜15質量%、MgO=2〜15質量%とし、スラグ原単位を5〜15kg/tonとし、攪拌量を40〜60kJ/tonとしている。さらに、実施例1〜22では、本精錬処理を行う前の取鍋の温度管理において、取鍋の側壁の耐火物の温度を、800〜1000℃に保持する保持時間を60分以上90分以下とした。

0072

実施例1〜22では、ソーワイヤ鋼を製造したとしても、「max」の欄に示すように、鋼材5ton当たりの断線回数が最大でも1回以下であり、「ave」の欄に示すように、断線回数の平均値も1回以下とすることができた。
なお、実施例23〜28及び201〜205に示すように、本精錬処理を連続的に行ってソーワイヤ鋼を溶製した場合でも、2回目の本精錬処理の条件が上述した規定範囲であれば、鋼材5ton当たりの断線回数を最大でも1回以下にすることができ、断線回数の平均値も1回以下とすることができる。

0073

一方、比較例29〜33では、粗骨材において、結晶径が100μm以下のものは全粗骨材の3体積%を超えていたため、鋼材5ton当たりの断線回数が最大で3回以上となると共に断線回数の平均値も2回以上となる結果となった。比較例34〜41では、粗骨材の重量割合が全原料の40%未満若しくは60%を超えていたため、鋼材5ton当たりの断線回数が最大で3回以上となると共に断線回数の平均値も2回以上となる結果となった。また、比較例42〜54では、微細骨材に関して、結晶径が20〜60μmのものが全微細骨材の5体積%を超えたり、結晶径が10μm以下のものは40体積%未満であったり、或いは、それ以外が上述した本発明の条件と外れていたため、実施例と比べて、鋼材5ton当たりの断線回数が大幅に増加した。

0074

比較例55〜88は、前精錬処理における条件が本発明に規定した条件から外れたものである。比較例55〜57では[sol.Al]が8ppmよりも大きく、比較例58〜63ではスラグの塩基度が0.5より小さいと共に1.2より大きく、比較例64〜69ではスラグのAl2O3が5質量%より小さいと共に15質量%より大きく、比較例70〜75ではスラグのMgOが2質量%小さいと共に15質量%より大きい。

0075

また、比較例76〜81ではスラグ原単位が5kg/tonより小さいと共に15kg/tonより大きく、比較例82〜88では、攪拌量が65kJ/tonより小さいと共に85kJ/tonより大きい。
これら比較例55〜88では、前精錬処理にて耐火物の改質等を十分に行うことができなかったため、実施例と比べて、鋼材5ton当たりの断線回数が大幅に増加した。

0076

比較例89〜122は、本精錬処理における条件が本発明に規定した条件から外れたものである。比較例89〜91では[sol.Al]が2ppmよりも大きく、比較例92〜97ではスラグの塩基度が0.5より小さいと共に1.2より大きく、比較例98〜103ではスラグのAl2O3が5質量%より小さいと共に15質量%より大きく、比較例104〜109ではスラグのMgOが2質量%小さいと共に15質量%より大きい。

0077

また、比較例110〜115ではスラグ原単位が5kg/tonより小さいと共に15kg/tonより大きく、比較例116〜122では、攪拌量が40kJ/tonより小さいと共に60kJ/tonより大きい。
これら比較例89〜122では、本精錬処理にて耐火物の改質等を十分に行うことができなかったため、実施例と比べて、鋼材5ton当たりの断線回数が大幅に増加した。

0078

さらに、比較例123〜130では、本精錬処理を連続的に行ってソーワイヤ鋼を溶製した場合、2回目の本精錬処理の条件が1つでも本発明に規定する条件を満たさなければ、当該2回目の本精錬処理で溶製したソーワイヤ鋼でソーワイヤを製造したときに、鋼材5ton当たりの断線回数が大幅に増加した。
図10は、実施例及び比較例における断線回数をまとめたものである。

0079

図10に示すように、粗骨材や微細骨材において、全材料に対する粗骨材の割合、粗骨材における100μm以下の結晶径の割合、微細骨材における20〜60μmの結晶径の割合、10μm以下の結晶径の割合が本発明に規定した数値を満たす実施例では、断線回数を比較例に比べて非常に小さくすることができた。一方、全材料に対する粗骨材の割合、粗骨材における100μm以下の結晶径の割合、微細骨材における20〜60μmの結晶径の割合、10μm以下の結晶径の割合のいずれか1つでも満たさない比較例は、実施例に比べて断線回数が非常に大きくなった。なお、前精錬処理における溶鋼の攪拌量と断線回数との関係をまとめると図11に示すようになり、本精錬処理における溶鋼の攪拌量と断線回数との関係をまとめると図12に示すようになる。

0080

以上、本発明によれば、取鍋に施工する耐火物によるアルミナ介在物の抑制、本精錬処理の前における耐火物の改質、本精錬処理における耐火物の改質及びアルミナ介在物の抑制に加え、精錬処理の間において取鍋の温度管理を適正に行っていることから、断線回数の少ない高強度なソーワイヤを製造することができると共に、取鍋の寿命を向上させることができる。

0081

なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件操業条件、各種パラメータ構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。

0082

1取鍋
2耐火物
2a 第1パーマ煉瓦
2b 第2パーマ煉瓦
2cキャスタブル
3鉄皮
4胴部
6 底部(敷部)
8 排出口
10粗骨材
11微細骨材
20溶鋼
21二次精錬設備
22電極式加熱装置
23 底吹き用プラグ

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