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技術 リビングカチオン重合開始剤系及びこれを用いた重合体の製造方法

出願人 国立大学法人福井大学丸善石油化学株式会社
発明者 杉原伸治
出願日 2012年8月31日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2012-191625
公開日 2014年3月17日 (6年7ヶ月経過) 公開番号 2014-047287
状態 特許登録済
技術分野 重合触媒 グラフト、ブロック重合体
主要キーワード 揮発性残渣 共役モノマー リニアモード 可逆的付加開裂連鎖移動重合 ポリイソブチルビニルエーテル 金属残渣 カチオン重合体 アルカンニトリル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

カチオン重合可能ビニル系モノマーラジカル重合可能ビニル系モノマーのブロック共重合体の製造。

解決手段

カチオン重合可能ビニル系モノマーのリビングカチオン重合に用いられる開始剤系で、プロトン酸(成分(A));及び式(1)のRAFカチオン剤、(R1は分岐しても良いC1〜10のアルキル基、R2は分岐してもよいC1〜4のアルキレン基、R3は置換可能アルキル基、アリール基アリールアルキル基アルキルチオ基アリールチオ基アリールアルキルチオ基又はアシルアミノ基、QはO又はS、pは0、1又は2)を含むリビングカチオン重合開始剤存在下、金属ルイス酸非存在下、カチオン重合した重合体に1種以上のビニル系モノマーをリビングラジカル重合する。

概要

背景

アルケニルエーテル、特にビニルエーテルは、電子供与性置換基を有するビニルモノマーであり、その重合体は、接着剤塗料潤滑剤、エラストマーグリースなどに用いられるため、有用なモノマーの一つである。そのビニルエーテルの重合体と異なる種類の重合体が繋ぎ合わさったブロック共重合体は、該ビニルエーテルの性質にもう一方の高分子の異なる性質を付与できるため、高分子界面活性剤熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、リソグラフィーテンプレート剤等として利用可能である。特に、カチオン重合可能なビニル系モノマーから製造される高分子の機能と、ラジカル重合系モノマーから製造される重合体の機能を合わせることができれば、より多種類のブロック共重合体を提供できるようになるため、その技術が求められている。

またカチオン重合では、一般に金属ルイス酸と呼ばれるハロゲン化金属を用い、重合活性化させるため、重合後に金属ルイス酸由来金属残渣の除去が必要となる。非特許文献1には、金属ルイス酸を用いた重合系がまとめられている。このような金属を用いる方法用いた場合、生成高分子中に微量金属残留する可能性が懸念され、電子材料には適さないという問題点がある。また、金属除去のために酸性水溶液による洗浄を必要とするため、排水汚染も懸念される。よって、金属ルイス酸を用いない方法が求められていた。

ところで、カチオン重合可能なビニルエーテルとラジカル重合可能なビニルモノマーとのブロック共重合体は、従来技術において、リビングカチオン重合法およびリビングラジカル重合法の組み合わせによって合成されている。特許文献1および非特許文献2では、カルボキシル基を有する可逆的付加開裂連鎖移動剤と金属ルイス酸である臭化スズまたは塩化亜鉛を用いたリビングカチオン重合によって、ビニルエーテル類の重合が行われ、その後、得られた重合体を可逆的付加開裂連鎖移動剤として用いる方法が開示されている。そしてこの方法で簡便にカチオン重合可能なビニルエーテルとラジカル重合可能なビニルモノマーとのブロック共重合体が得られるようになった。しかし、当該方法では第一段階のリビングカチオン重合において、金属ルイス酸を使用しなければならない。

また、非特許文献3には、イソブチルビニルエーテルを可逆的付加開裂連鎖移動剤の存在下にリビングカチオン重合する方法が報告されており、メチルメタアクリレートの可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)ラジカル重合と組み合わせることにより、ブロック共重合体が得られることが記載されている。しかしながら、当該方法においても、リビングカチオン重合は塩化スズ等の金属ルイス酸の存在下で実施されており、金属除去の課題を有している。

一方非特許文献4およびと非特許文献5では、プロトン酸である塩化水素エーテル類に溶解させ、それを用いたビニルエーテル類のリビングカチオン重合が開示されている。この方法では、金属ルイス酸を使用しないため、このリビングカチオン重合はメタルフリーリビングカチオン重合と呼ばれる。しかし、当該方法により得られる重合体の両末端は、使用したプロトン酸由来の水素原子停止剤に用いたメタノール由来のメトキシ基が導入され、両末端を制御する方法は記載されていない。よって、ラジカル重合と組み合わせてブロック共重合体を合成することは困難である。

このように、金属ルイス酸を用いることなく、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体を得る簡便な方法は、これまで見出されていない。

概要

カチオン重合可能ビニル系モノマーとラジカル重合可能ビニル系モノマーのブロック共重合体の製造。カチオン重合可能ビニル系モノマーのリビングカチオン重合に用いられる開始剤系で、プロトン酸(成分(A));及び式(1)のRAFTカチオン剤、(R1は分岐しても良いC1〜10のアルキル基、R2は分岐してもよいC1〜4のアルキレン基、R3は置換可能アルキル基、アリール基アリールアルキル基アルキルチオ基アリールチオ基アリールアルキルチオ基又はアシルアミノ基、QはO又はS、pは0、1又は2)を含むリビングカチオン重合開始剤存在下、金属ルイス酸の非存在下、カチオン重合した重合体に1種以上のビニル系モノマーをリビングラジカル重合する。なし

目的

本発明は、金属ルイス酸を用いることなく、プロトン酸でカチオン重合を行う方法により、ラジカル重合可能な可逆的付加開裂連鎖移動剤となる重合体を製造する方法を提供し、また、当該方法により得られる重合体およびその重合体からラジカル重合可能なビニル系モノマーを重合させるブロック共重合体の製造方法を提供し、更にカチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

カチオン重合可能なビニル系モノマーリビングカチオン重合に用いられる開始剤系であって、下記の成分(A)及び(B):(A)エーテル類に溶解したプロトン酸;及び(B)下記式(1)(式中、R1は分岐を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、R2は分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R3は置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアリールアルキル基、置換又は非置換のアルキルチオ基、置換又は非置換のアリールチオ基、置換又は非置換のアリールアルキルチオ基、又は、置換又は非置換のアシルアミノ基を示し、Qは各々独立に酸素原子又は硫黄原子であり、pは0、1又は2である)で表されるRAFカチオン剤を含むリビングカチオン重合開始剤系。

請求項2

プロトン酸が塩化水素である、請求項1記載のリビングカチオン重合開始剤系。

請求項3

プロトン酸の使用量が、RAFTカチオン剤1モルに対して0.001モル以上、1モル未満である請求項1又は2記載のリビングカチオン重合開始剤系。

請求項4

請求項1又は2記載のリビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸非存在下、1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製造方法。

請求項5

カチオン重合可能なビニル系モノマーが、下記式(4)(式中、R4は、水素原子メチル基又はエチル基を示し、R5は、ケイ素又は15族から17族の元素のうち少なくとも一つの原子を含んでいてもよい1価の有機基を示す)で表されるアルケニルエーテルである、請求項4記載の重合体の製造方法。

請求項6

下記工程(i)及び(ii): (i)請求項1又は2記載のリビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合して、末端に前記RAFTカチオン剤(B)由来の構造を有するカチオン重合体を得る工程;及び(ii)前記リビングカチオン重合工程(i)で得られたカチオン重合体及びラジカル重合開始剤の存在下、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合する工程を順次行う、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーのブロック共重合体の製造方法。

請求項7

カチオン重合可能なビニル系モノマーが、下記式(4)(式中、R4は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R5は、ケイ素又は15族から17族の元素のうち少なくとも一つの原子を含んでいてもよい1価の有機基を示す)で表されるアルケニルエーテルである、請求項6記載のブロック共重合体の製造方法。

請求項8

ラジカル重合可能なビニル系モノマーが、スチレンスチレン誘導体、(メタアクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6又は7記載のブロック共重合体の製造方法。

請求項9

前記ラジカル重合開始剤がアゾ化合物である、請求項6〜8のいずれか一項記載のブロック共重合体の製造方法。

請求項10

前記RAFTカチオン剤(B)において、式(1)中、Qが硫黄原子である、請求項6〜9のいずれか一項記載のブロック共重合体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、カチオン重合可能なビニル系モノマーラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、金属ルイス酸を用いることなく、プロトン酸でカチオン重合を行うメタルフリーリビングカチオン重合により、ラジカル重合可能な可逆的付加開裂連鎖移動剤となるポリマーを製造する方法、当該方法により得られるポリマーおよびその重合体からラジカル重合可能なビニル系モノマーを重合させるブロック共重合体の製造方法に関する。

背景技術

0002

アルケニルエーテル、特にビニルエーテルは、電子供与性置換基を有するビニルモノマーであり、その重合体は、接着剤塗料潤滑剤、エラストマーグリースなどに用いられるため、有用なモノマーの一つである。そのビニルエーテルの重合体と異なる種類の重合体が繋ぎ合わさったブロック共重合体は、該ビニルエーテルの性質にもう一方の高分子の異なる性質を付与できるため、高分子界面活性剤熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、リソグラフィーテンプレート剤等として利用可能である。特に、カチオン重合可能なビニル系モノマーから製造される高分子の機能と、ラジカル重合系モノマーから製造される重合体の機能を合わせることができれば、より多種類のブロック共重合体を提供できるようになるため、その技術が求められている。

0003

またカチオン重合では、一般に金属ルイス酸と呼ばれるハロゲン化金属を用い、重合を活性化させるため、重合後に金属ルイス酸由来金属残渣の除去が必要となる。非特許文献1には、金属ルイス酸を用いた重合系がまとめられている。このような金属を用いる方法用いた場合、生成高分子中に微量金属残留する可能性が懸念され、電子材料には適さないという問題点がある。また、金属除去のために酸性水溶液による洗浄を必要とするため、排水汚染も懸念される。よって、金属ルイス酸を用いない方法が求められていた。

0004

ところで、カチオン重合可能なビニルエーテルとラジカル重合可能なビニルモノマーとのブロック共重合体は、従来技術において、リビングカチオン重合法およびリビングラジカル重合法の組み合わせによって合成されている。特許文献1および非特許文献2では、カルボキシル基を有する可逆的付加開裂連鎖移動剤と金属ルイス酸である臭化スズまたは塩化亜鉛を用いたリビングカチオン重合によって、ビニルエーテル類の重合が行われ、その後、得られた重合体を可逆的付加開裂連鎖移動剤として用いる方法が開示されている。そしてこの方法で簡便にカチオン重合可能なビニルエーテルとラジカル重合可能なビニルモノマーとのブロック共重合体が得られるようになった。しかし、当該方法では第一段階のリビングカチオン重合において、金属ルイス酸を使用しなければならない。

0005

また、非特許文献3には、イソブチルビニルエーテルを可逆的付加開裂連鎖移動剤の存在下にリビングカチオン重合する方法が報告されており、メチルメタアクリレートの可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)ラジカル重合と組み合わせることにより、ブロック共重合体が得られることが記載されている。しかしながら、当該方法においても、リビングカチオン重合は塩化スズ等の金属ルイス酸の存在下で実施されており、金属除去の課題を有している。

0006

一方非特許文献4およびと非特許文献5では、プロトン酸である塩化水素エーテル類に溶解させ、それを用いたビニルエーテル類のリビングカチオン重合が開示されている。この方法では、金属ルイス酸を使用しないため、このリビングカチオン重合はメタルフリーリビングカチオン重合と呼ばれる。しかし、当該方法により得られる重合体の両末端は、使用したプロトン酸由来の水素原子停止剤に用いたメタノール由来のメトキシ基が導入され、両末端を制御する方法は記載されていない。よって、ラジカル重合と組み合わせてブロック共重合体を合成することは困難である。

0007

このように、金属ルイス酸を用いることなく、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体を得る簡便な方法は、これまで見出されていない。

0008

特開2010−059231

先行技術

0009

Chemical Review、109、5245-5287(2009)
Macromolecules、45、794-804 (2012)
Macromolecules、43、7523-7531 (2010)
Journalof Polymer Science Part A: Polymer Chemistry、46、 1913-1918 (2008)
Polymer Bulletin、64、209-220(2010)

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、金属ルイス酸を用いることなく、プロトン酸でカチオン重合を行う方法により、ラジカル重合可能な可逆的付加開裂連鎖移動剤となる重合体を製造する方法を提供し、また、当該方法により得られる重合体およびその重合体からラジカル重合可能なビニル系モノマーを重合させるブロック共重合体の製造方法を提供し、更にカチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体の製造方法を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、カチオン重合可能なビニル系モノマーをRAFTカチオン剤存在下にてメタルフリーリビングカチオン重合させ、得られたリビングポリマーにラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させることで、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとの重合体が、ブロック共重合体として得られることを見出し、本発明を完成した。

0012

すなわち本願の第1の発明は、
カチオン重合可能なビニル系モノマーのリビングカチオン重合に用いられる開始剤系であって、下記の成分(A)及び(B):
(A)エーテル類に溶解したプロトン酸;及び
(B)下記式(1)



(式中、R1は分岐を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、R2
は分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R3は置換
は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアリ
ルアルキル基、置換又は非置換のアルキルチオ基、置換又は非置換のアリー
チオ基、置換又は非置換のアリールアルキルチオ基、又は、置換又は非置換
アシルアミノ基を示し、Qは各々独立に酸素原子又は硫黄原子であり、pは
0、1又は2である)
で表されるRAFTカチオン剤
を含むリビングカチオン重合開始剤系を提供するものである。

0013

また、本願の第2の発明は、当該リビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製造方法を提供するものである。

0014

更に本願の第3の発明は、下記工程(i)及び(ii):
(i)前記リビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、
1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合して、末
端に前記RAFTカチオン剤(B)由来の構造を有するカチオン重合体を得る工
程;及び
(ii)前記リビングカチオン重合工程(i)で得られたカチオン重合体及びラジカ
重合開始剤の存在下、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビン
グラカル重合する工程
を順次行う、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーのブロック共重合体の製造方法を提供するものである。

発明の効果

0015

本発明の製造法によれば、金属を含まない重合法により、カチオン重合可能なビニルエーテルから、ポリビニルエーテルを合成できる。さらに、該ポリマーの合成にRAFTカチオン剤を用い、該ポリマーの末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位が導入できる。そのため、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体を提供することができ、得られるブロック共重合体は、高分子界面活性剤、インキ、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、高分子樹脂への添加剤改質剤)、リソグラフィーのテンプレート剤等の用途にも有用である。

図面の簡単な説明

0016

合成例1で得られた酢酸1−(2−メトキシエトキシエチルの1HNMR分析結果を示す図である。
合成例2で得られた安息香酸1−(2−メトキシエトキシ)エチルの1H NMR分析結果を示す図である。
合成例3で得られたジチオ酢酸1−(2−メトキシエトキシ)エチルの1H NMR分析結果を示す図である。
実施例1で得られたイソブチルビニルエーテルポリマーの1H NMR分析結果を示す図である。
実施例1で得られたイソブチルビニルエーテルポリマーのMALDI−TOF−MSスペクトル分析結果を示す図である。
実施例3で得られたイソブチルビニルエーテルポリマーの1H NMR分析結果を示す図である。
実施例4で得られたイソブチルビニルエーテルポリマーの1H NMR分析結果を示す図である。
実施例5で得られたポリイソブチルビニルエーテルポリアクリル酸エチルから成るブロック共重合体の1H NMR分析結果を示す図である。

0017

[1]リビングカチオン重合開始剤系
まずはじめに、第1の発明である本発明のリビングカチオン重合開始剤系について説明する。

0018

本発明のリビングカチオン開始剤系は下記成分:
(A)エーテル類に溶解したプロトン酸と、
(B)前記式(1)で表されるRAFTカチオン剤
とを含むものである。

0019

成分(A)において、プロトン酸を溶解させるエーテル類としては、プロトン酸を解離させる能力があれば特に限定されないが、テトラヒドロフランジオキサンジプロピルエーテルシクロペンチルメチルエーテルジイソプロピルエーテルジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等が挙げられる。このうち、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサンが好ましく使用される。

0020

また、プロトン酸としては、強酸であれば特に限定されないが、塩化水素、トリフルオロメタンスルホン酸トリフルオロ酢酸が好ましく、塩化水素が特に好ましい。

0021

一方、成分(B)のRAFTカチオン剤において、式(1)中、R1で示される分岐を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基エチル基、n−プロピル基n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソプロピル基イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。

0022

また、R2で示される分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。

0023

更に、式(1)中、R3で示される置換又は非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−へプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシルチオ基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の分岐状アルキル基シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、3−メトキシシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、シクロヘプチル基またはシクロオクチル基などの環状アルキル基など等が挙げられる。

0024

置換又は非置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メトキシ−1一ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。

0025

置換又は非置換のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、ナフチルメチル基トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基等が挙げられる。

0026

置換又は非置換のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−へキシルチオ基、n−へプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−へプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−エイコシルチオ基等の直鎖状アルキルチオ基;イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の分岐状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、3−メチルシクロペンチルチオ基、3−メトキシシクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、4−メチルシクロヘキシルチオ基、4−メトキシシクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基またはシクロオクチルチオ基などの環状アルキルチオ基など等が挙げられる。

0027

置換又は非置換のアリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、2,4−キシリルチオ基、2,5−キシリルチオ基、3,4−キシリルチオ基、3,5−キシリルチオ基、o−トリルチオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、3−メトキシフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、4−メチル−1−ナフチルチオ基、4−メトキシ−1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラニルチオ基、9−アントラセニルチオ基等が挙げられる。

0028

置換又は非置換のアリールアルキルチオ基としては、例えば、ベンジルチオ基、4−メチルベンジルチオ基、4−フェニルベンジルチオ基、ナフチルメチルチオ基、トリフェニルメチルチオ基、トリフェニルエチルチオ基等が挙げられる。

0029

置換又は非置換のアシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等が挙げられる。

0030

上記のうち、好ましいR3としては、直鎖又は分岐状のアルキル基、置換又は非置換のフェニル基もしくは置換又は非置換のベンジル基が挙げられ、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ベンジル基が好ましい。

0031

また、式(1)中、Qは各々独立に酸素原子または硫黄原子であるが、ラジカル重合を引き続き行うためには、Qは酸素原子よりもむしろ硫黄原子が好ましい。

0032

なお、上記式(1)で示されるRAFTカチオン剤は、下記式(2)



(式中、R1、R2及びpは、前記式(1)と同義である)
で示されるビニルエーテルと、下記式(3)



(式中、R3及びQは、前記式(1)と同義である)
で示される化合物を反応させることにより得ることができる。

0033

本発明のリビングカチオン開始剤系において、成分(A)のプロトン酸は、開始反応を引き起こし、さらに、一部重合を開始させた生長カチオンがカチオンRAFT剤(B)に作用し、可逆的付加開裂連鎖移動カチオン重合が進行する。そのため、上述のプロトン酸の使用量は、RAFTカチオン剤(B)より必ず少ない量でなければならない。つまり、プロトン酸の使用量は、RAFTカチオン剤1モルに対して0.001モル以上、1モル未満であるのが好ましく、0.01モル以上、1モル未満であるのがより好ましく、0.1モル以上、1モル未満であるのが更に好ましい。

0034

本発明のリビングカチオン重合開始剤系は、金属ルイス酸の非存在下でカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させることができため、反応後の金属除去工程が不要となる。また、得られたポリマーは、末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位を有することから、ラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体の製造に好適に用いることができる。

0035

[2]カチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製
造方法
次に、第2の発明であるカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合させる重合体の製造方法について説明する。

0036

本発明では、カチオン重合可能なビニル系モノマーを第1の発明であるリビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下にリビングカチオン重合させる(以下、「メタルフリーリビングカチオン重合」という)。これにより該ポリマーの末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位を導入することができ、後述するように、得られたリビングポリマーにラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させ、該カチオン重合可能なビニル系モノマーと該ラジカル重合可能なビニル系モノマーとブロック共重合体を得ることができる。

0037

このメタルフリーリビングカチオン重合における、前記リビングカチオン重合開始剤系の使用量は、必ずカチオン重合可能なビニル系モノマーよりもRAFTカチオン剤(B)が少なくなるようにする必要がある。具体的には、カチオン重合可能なビニル系モノマー1モルに対してRAFTカチオン剤(B)が0.001モル以上、1モル未満となるように用いることが好ましい。

0038

また、前記リビングカチオン重合開始剤系において、成分(A)として含まれるエーテル類の量は、カチオン重合可能なビニル系モノマー1モルに対して0.01〜100モルであるのが好ましい。また、溶媒としてエーテル類を用いても構わないが、エーテル類の総量が上記範囲を超えて多くなると重合速度が遅くなる。

0039

メタルフリーリビングカチオン重合に用いられるモノマーは、カチオン重合可能なビニル系モノマーであれば特に限定されないが、アルケニルエーテル、インデンN−ビニルカルバゾールスチレン類が挙げられる。好適には、スチレンメトキシスチレン(o、m、p体)、メチルスチレン(o、m、p体)、クロロスチレン(o、m、p体)等のスチレン類及び下記式(4)



(式中、R4は、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、R5は、ケイ素又は15
族から17族の元素のうち少なくとも一つの原子を含んでいてもよい1価の有機
基を示す)
で示されるアルケニルエーテルが好ましく使用される。

0040

上記式(4)中、R5で示される1価の有機基基本骨格としては、炭素数1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が挙げられる。また、15族から17族の元素としては、酸素窒素リンイオウハロゲン等が挙げられ、さらに酸素、窒素、イオウ、ハロゲンが好ましく、特に酸素、ハロゲンが好ましい。このうち、酸素を含む置換基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。また、ケイ素を含む置換基としては、アルキルシリル基ジアルキルシリル基トリアルキルシリル基が挙げられる。ハロゲンとしてはフッ素が特に好ましい。

0041

R5の好ましい例としては、フッ素原子又はアルコキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜24の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基が好ましい。ここで、炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜14のアリールアルキル基が好ましい。

0042

上記式(4)においてR5で示される1価の有機基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基であって全部又は一部の水素がフッ素に置換されたフルオロアルキル基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は下記式(5)



(ここで、qは0、1、2又は3であり、Yは未置換のフェニル基、又は、一つ又は
それ以上の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基、1〜4の直鎖又は分岐鎖ア
キル基であって全部又は一部の水素がフッ素に置換されたフルオロアルキル基、
炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されたフェニル基で
ある)
で表されるアリール基又はアリールアルキル基を挙げることができる。

0043

具体的には、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−アミル基、イソアミル基等が挙げられ、炭素数1〜6のフルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられ、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としてはメトキシ基メチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、メチルフェニル基エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、フルオロベンジル基、トリフルオロメチルベンジル基等が挙げられる。

0044

上述した前記式(4)で示されるアルケニルエーテルの具体例として、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;トリフルオロメチルビニルエーテル、ペンタフルオロエチルビニルエーテル、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル類;2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル、2−テトラヒドロピラニルビニルエーテル、2−テトラヒドロフラニルビニルエーテル等のアルコキシアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘプチルビニルエーテル、シクロオクチルビニルエーテル、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルビニルエーテル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチルビニルエーテル、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、4−メチルフェニルビニルエーテル、4−トリフルオロメチルフェニルビニルエーテル、4−フルオロフェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル類;ベンジルビニルエーテル、4−フルオロベンジルビニルエーテル等のアリールアルキルビニルエーテル類等が挙げられる。この中でも特に、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル等の低級アルキルビニルエーテル類を好ましく用いることができる。

0045

カチオン重合性可能なビニル系モノマーは、上記モノマーの中から1種類を選んで使用してもよいし、2種以上を混合して用いても良い。

0046

またメタルフリーリビングカチオン重合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒は、反応に不活性なものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゼントルエン等の芳香族炭化水素塩化メチル塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素ニトロメタンニトロエタン等のニトロ化合物、へキサンヘプタンオクタンノナン等の飽和炭化水素等、又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、中でも、ヘキサン及びトルエンが好ましく使用される。

0047

メタルフリーリビングカチオン重合の温度は、通常、−40〜100℃の間、好ましくは0〜35℃の間である。これらは、使用するエーテル類の沸点を超えてはならない。

0048

メタルフリーリビングカチオン重合時間は特に限定されず、カチオン重合可能なビニル系モノマーやRAFTカチオン剤の種類や使量等により調製できる。メタルフリーリビングカチオン重合により目的のカチオン重合可能なビニル系モノマーのリビングポリマーが得られた後に、反応液アルコールや水を加え、重合を停止することができる。

0049

重合停止に用いるアルコールの具体例としては、メタノール、エタノールプロパノールイソプロピルアルコールブタノールイソブタノール等であり、中でもメタールが好んで使用される。重合停止剤の使用量はルイス酸1モルに対して、1モル〜100モル使用するのが好ましい。

0050

このように重合すると、メタルフリーリビングカチオン重合が進行すると同時に、可逆的付加開裂連鎖移動重合機構がカチオン重合に導入されるため、上記式(1)の構造を両末端に配置したカチオン重合可能なビニル系モノマーのリビングポリマーが得られる。すなわち、アルケニルエーテルを表す上記式(4)を利用して記載すると下記式(6)

0051

(式中、R1、R2、R3、Q及びpは、式(1)と同義であり、R4及びR5は、式
(4)と同義であり、nは各構造単位繰り返し数を表す)
で表される該ポリマーが得られる。

0052

得られたポリマーは、メタルフリーポリマーとして、或いは、ラジカル重合可能なビニル系モノマー重合との共重合原料として使用することができる。

0053

[3]カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーの
ブロック共重合体の製造方法
最後に、第3の発明であるブロック共重合体の製造方法について述べる。

0054

本発明のブロック共重合体の製造方法は、下記工程(i)及び(ii):
(i)前記リビングカチオン重合開始剤系の存在下、かつ金属ルイス酸の非存在下、
1種以上のカチオン重合可能なビニル系モノマーをリビングカチオン重合して、末
端に前記RAFTカチオン剤(B)由来の構造を有するカチオン重合体を得る工
程;及び
(ii)前記リビングカチオン重合工程(i)で得られたカチオン重合体及びラジカ
ル重合開始剤の存在下、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビン
グラジカル重合する工程
を順次行うものであり、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーのブロック共重合体が得られる。

0055

リビングカチオン重合工程(i)は、前記第2の発明にて説明したとおりであり、本発明では、次に、得られたカチオン重合可能なビニル系モノマーからのリビングポリマー、つまり前記式(6)に示されるポリマーから、リビングラジカル重合の一つである可逆的付加開裂連鎖移動重合を行い、1種以上のラジカル重合可能なビニル系モノマー重合させる。

0056

ラジカル重合可能なビニル系モノマーを、前記式(6)で表されるリビングポリマーから可逆的付加開裂連鎖移動重合させて合成する工程(ii)は、前記式(6)で表されるリビングポリマーにラジカル重合可能なビニル系モノマー及びラジカル重合開始剤を加え、加温することで達成される。

0057

ここで、可逆的付加開裂連鎖移動重合を行うためには、一般式(6)においてQが硫黄原子である化合物が望ましい。

0058

ラジカル重合可能なビニル系モノマーは、ラジカル重合可能なものであれば特に限定されないが、一般式(7)で示される物が好ましい。

0059

(式中、R6、R7及びR8は、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン置換もしくは
非置換の低級アルキルを示し、R9は有機基を示す)

0060

具体的には、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリルイソプレン、1,3−ブタジエンエチレン酢酸ビニル塩化ビニル塩化ビニリデン、N−ビニルインドール、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。

0061

なかでも、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体等のラジカル重合可能な共役モノマーが好ましい。

0062

スチレン及びその誘導体としては、具体的には、スチレン、tert−ブチルスチレン(o、m、p体)、tert−ブトキシスチレン(o、m、p体)、アセトキシスチレン(o、m、p体)、ヒドロキシスチレン(o、m、p体)、イソプロペニルフェノール(o、m、p体)、α−メチルスチレンビニルトルエンクロルスチレン(o、m、p体)、スチレンスルホン酸(o、m、p体)及びその塩等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、tert−ブチルスチレン、tert−ブトキシスチレンがより好ましく使用される。

0063

(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等がより好ましく使用される。

0064

(メタ)アクリルアミド及びその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド等が挙げられ、なかでもN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等がより好ましく使用される。

0065

ラジカル重合可能なビニル系モノマーは、上記モノマーの中から1種類を選んで使用しても良いし、2種以上を混合して用いても良い。

0066

ラジカル重合開始剤としては、任意の適切なラジカル重合開始剤を採用し得る。好ましくは、熱によりラジカルを発生する開始剤である。このようなラジカル重合開始剤として代表的なものとして、種々のアゾ化合物及び有機過酸化物を挙げることができる。

0067

アゾ化合物としては、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルAIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの2,2’−アゾビスブチロニトリル類;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などの2,2’−アゾビスバレロニトリル類;2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2、2’−アゾビスプロピオニトリル類;1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などの1,1’−アゾビス−1−アルカンニトリル類;2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等を挙げることができる。

0068

有機過酸化物としては、具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイドジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシルプロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレートなどのパーオキシケタール類;クメンヒドロパーオキサイドジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルシクロヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイドデカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ビス(t−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類等を挙げることができる。

0069

これらの中でも、アゾ化合物が好ましく、特に入手と取り扱いが容易なのはAIBNまたは2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルである。

0070

本発明に係わる可逆的付加開裂連鎖移動重合を行うに当たっては、溶媒を使用しても、また使用しなくても良い。使用できる溶媒としては、重合反応阻害しないものであれば何れでも良いが、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒;クロロベンゼンジクロロベンゼントリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム四塩化炭素及びテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノールイソプロパノールn−ブタノール、sec−ブタノール及びtert−ブタノールなどのアルコール系溶媒アセトンメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒酢酸エチル及びジメチルフタレート等のエステル系溶媒ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒とすることもできる。これらの溶媒は、単独もしくは2種以上を混合して使用してもよい。

0071

可逆的付加開裂連鎖移動重合反応の反応温度は、好ましくは20〜120℃であり、より好ましくは40〜100℃である。上記反応の反応時間は、試薬量、反応温度によって異なるが、好ましくは2〜50時間であり、より好ましくは2〜24時間である。

0072

反応混合物からのブロック共重合体の回収は、重合の反応温度を下げること等で重合を停止させた後、反応混合物から揮発分を留去する方法、又は大量の貧溶媒を添加し、ポリマーを沈殿させ分離する方法、又は水溶性ポリマーの場合は、水中での透析等にて行われる。

0073

本発明の製造法により製造されるブロック共重合体の数平均分子量は、可逆的付加開裂連鎖移動剤と加えたモノマーの比率にもよるが、1,000〜5,000,000であるのが好ましく、さらには2,000〜3,000,000であるのが好ましい。

0074

本発明の製造法により得られるブロック共重合体は、高分子界面活性剤、インキ、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、高分子樹脂への添加剤(改質剤)、リソグラフィーのテンプレート等の用途にも有用である。また、本発明の製造法を用いることで、金属を含有しないポリビニルエーテルを得ることができる。さらに、得られるポリマーの両末端にRAFTカチオン開始剤を導入することができ、そのポリマーを用いることで、様々なカチオン重合性モノマーラジカル重合性モノマーのブロック共重合体を提供できる。

0075

次に実施例及び合成例により本発明を一層詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各測定法は次の方法に従った。

0076

(1)数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ポリスチレンゲル換算ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定した[RI検出器カラム(東ソー(株)製TSKgelカラムGHR−M×3)、溶離液はテトラヒドロフラン]。

0077

(2)1H NMRは、JEOL社製JMN AL−300を用い、サンプルを重クロロホルムに溶解して測定した。

0078

(3)フーリエ変換性外分光高度計(FT−IR)測定には、Varian社製FTS3000を用い、フッ化カルシウム板にサンプルを挟み、液膜法にて測定した。

0079

(4)MALDI−TOF−MS測定には、Bruker Daltonics社製のAutoflex Spectrometerを用いた。測定にはマトリックスとしてジスラノールを用い、イオン化剤としてトリフルオロ酢酸ナトリウムを用い、リニアモードにて測定した。

0080

合 成 例 1
酢酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MOEA)の合成
200mlのナスフラスコに、2−メトキシエチルビニルエーテル25.6mL(0.23mol)および酢酸8.7mL(0.15mol)を加え、70℃で10時間還流させた。得られた粗生成物分液ロート中にて水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で予備乾燥した後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、58℃(5mmHg)でMOEAを得た。1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(8)のように構造が推定された。

0081

0082

図1に、合成例1で得られたMOEAの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0083

合 成 例 2
安息香酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MOBA)の合成
200mlのナスフラスコに、2−メトキシエチルビニルエーテル22.9mL(0.20mol)および安息香酸12.2g(0.1mol)を加え、90℃で10時間還流させた。その後室温まで放冷した。得られた粗生成物を分液ロート中にて1.0M水酸化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、中性になるまで水洗した後、無水硫酸ナトリウム上で予備乾燥した。その後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、98℃(1mmHg)でMOBAを得た。1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(9)のように構造が推定された。

0084

0085

図2に、合成例2で得られたMOBAの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0086

合 成 例 3
ジチオ酢酸1−(2−メトキシエトキシ)エチル(MO−RAFT)の合成
還流冷却器付丸底フラスコに、3.0Mメチルマグネシウムクロリド/テトラヒドロフラン溶液Aldrich社製)60mLおよびテトラヒドロフラン30mLを加え、40℃に温めた。次に、同じ容器中に、二硫化炭素10.9mL(0.12mol)を15分かけて滴下した。1時間後、室温まで放冷し、150mLの氷水を150mL加え、さらにジエチルエーテル(以下、Et2O)を100mL加え撹拌した。その後、撹拌を止めると水層エーテル層に分離されるため、そのエーテル層を取り除き保管した(a)。

0087

残った水層にEt2Oを100mL加え、少量の塩酸を加えて水層のpHを約2とし、激しく撹拌し、得られたエーテル層を分離し保管した(b)。

0088

(a)と(b)の両方をフラスコに入れ、Et2Oを中心とする低沸点成分エバポレートしたところ、ジチオ酢酸が得られた。このジチオ酢酸3.0
g(0.033mol)と2−メトキシエチルビニルエーテル4.3g(0.42mol)をフラスコに入れ、70℃で6時間撹拌し反応させた。放冷後、水素化カルシウム存在下で減圧蒸留精製し、60℃(5.25mmHg)でMO−RAFTを得た。1H NMRおよびFT−IR測定により下記式(10)のように構造が推定された。

0089

0090

図3に、合成例3で得られたMO−RAFTの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0091

実 施 例 1
MOEA(40.0mM)およびジエチルエーテルに溶解した塩化水素(以下、
HCl・Et2O)を用いたイソブチルビニルエーテル(以下、IBVE)の
メタルフリーリビングカチオン重合(1)
重合は、乾燥条件下の三方活栓試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例1で合成したMOEAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(2.97mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOEA(1mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]0=0.8M、[MOEA]0=40.0mM、[HCl]0=2.8mM、[Et2O]0=0.96Mである)。

0092

24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=2300、Mw/Mn=1.38であった。また構造は、1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より、下記式(11)のように決定した。

0093

(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)

0094

図4に、実施例1で得られたポリマーの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。また図5に、実施例1で得られたポリマーのMALDI−TOF−MSスペクトルを示した。

0095

実 施 例 2
MOEA(6.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニルエ
テル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合(2)
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例1で合成したMOEAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.67mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOEA(0.3mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]0=0.8M、[MOEA]0=6.0mM、[HCl]0=2.8mM、[Et2O]0=0.96Mである)。

0096

0.33、1、2、3.5、10、16、24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。いずれも式(11)と同じ構造を有することを1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より決定した。また、各重合時間に対するMnおよびMw/Mnは表1記載の通りであった。

0097

0098

実 施 例 3
MOBA(20.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニル
エーテル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。
まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例2で合成したMOBAをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.47mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMOBA(0.5mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、ここにHCl・Et2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]0=0.8M、[MOBA]0=20.0mM、[HCl]0=2.8mM、[Et2O]0=0.96Mである)。

0099

24時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=11000、Mw/Mn=1.34であった。また構造は、1H NMRおよびMALDI−TOF−MAS測定より、下記式(12)のように決定した。

0100

(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)

0101

図6に、実施例3で得られたポリマーの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0102

実 施 例 4
MO−RAFT(6.0mM)およびHCl・Et2Oを用いたイソブチルビニ
ルエーテル(IBVE)のメタルフリーリビングカチオン重合
重合は、乾燥条件下の三方活栓付試験管中で、下記の操作により行った。まず、開始剤の成分(A)として1M(ファクター=0.975)のHCl(0.3mL)をEt2O10mLで希釈し、0℃に冷却してHCl・Et2Oを調製した。また、開始剤の成分(B)として合成例3で合成したMO−RAFTをヘキサンで溶解し、200mMに希釈した。次に、試験管の中にヘキサン(3.67mL)、IBVE(0.53mL)、200mMのMO−RAFT(0.3mL)を添加した。その後、試験管を0℃に冷却し、HCl・Et2Oを0.5mL添加して重合を開始させた。(重合濃度は全体として、[IBVE]0=0.8M、[MOEA]0=6.0mM、[HCl]0=2.8mM、[Et2O]0=0.96Mである)。

0103

10時間後に試験管にメタノールを3mL以上加え、分液漏斗に移し、ヘキサン25mL加え、5mLのイオン交換水で2回洗浄し、減圧下80℃でエバポレーションを行い、揮発性残渣を除去し精製した。その後室温、減圧下にて乾燥させた。得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=12000、Mw/Mn=1.20であった。また構造は、1HNMR測定より、下記式(13)のように決定した。

0104

(式中、nは各構造単位の繰り返し数を表す)

0105

図7に、実施例4で得られたポリマーの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0106

実 施 例 5
ポリイソブチルビニルエーテルとポリアクリル酸エチルから成るブロック共
合体の合成
実施例4で得られたポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)とアクリル酸エチル(EA)とAIBNを三方活栓付試験管に入れ、トルエンを加えて3.0mLに調製した。この時の各モル濃度比は、[PIBVE]:[EA]:[AIBN]=1:200:0.2とし、EA濃度が全体の15質量%なるように調製した。その試験管を脱気した後、窒素下70℃で重合した。

0107

24時間後、氷水中で試験管を冷却し、空気を入れ、重合を停止した。EAの転化率は98%であり、得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=25000、Mw/Mn=1.80であった。また構造は、1HNMR測定より、下記式(14)のように決定した。

0108

(式中、nおよびmは各構造単位の繰り返し数を表す)

0109

図8に、実施例5で得られたポリマーの1H NMR[CDCl3]の結果を示した。

0110

実 施 例 6
ポリイソブチルビニルエーテルとポリスチレンから成るブロック共重合体の合

実施例4で得られたポリイソブチルビニルエーテル(PIBVE)とスチレン(St)とAIBNを三方活栓付試験管に入れ、トルエンを加えて3.0mLに調製した。この時の各モル濃度比は、[PIBVE]:[St]:[AIBN]=1:200:0.2とし、St濃度が全体の15質量%なるように調製した。その試験管を脱気した後、窒素下70℃で重合した。

0111

24時間後、氷水中で試験管を冷却し、空気を入れ、重合を停止した。Stの転化率は80%であり、得られた重合体の数平均分子量Mn及び重量平均分子量と数平均分子量の比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)は、Mn=17000、Mw/Mn=1.53であった。また構造は、実施例5と同様にして下記式(15)のように決定した。

実施例

0112

(式中、nおよびmは各構造単位の繰り返し数を表す)

0113

本発明の製造法によれば、カチオン重合可能なビニルエーテルから合成されるポリビニルエーテルを、金属を含まない重合法により合成できる。さらに、該ポリマーの合成にRAFTカチオン剤を用い、該ポリマーの末端にラジカル重合に有効な可逆的付加開裂連鎖移動可能な部位が導入できる。そのため、カチオン重合可能なビニル系モノマーとラジカル重合可能なビニル系モノマーとのブロック共重合体を提供することができる。

0114

そして、この方法により得られるブロック共重合体は、高分子界面活性剤、インキ、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、高分子樹脂への添加剤(改質剤)、リソグラフィーのテンプレート剤等の広い用途に有用なものである。

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