図面 (/)

技術 低水素系被覆アーク溶接棒

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 片野洋平佐藤統宣
出願日 2012年8月20日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2012-181415
公開日 2014年2月27日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-036992
状態 特許登録済
技術分野 溶接用非金属材料(フラックス)
主要キーワード 被覆筒 被覆剤層 原料全質量 拡散水 炭酸石灰 保護筒 すみ肉 MPa級高張力鋼
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年2月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

従来用いられている生産設備を変更することなく、溶接金属中拡散性水素量を低減することが可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供する。

解決手段

炭素鋼からなる心線被覆剤被覆した低水素系被覆アーク溶接棒について、被覆剤の被覆率溶接棒全質量あたり25〜40質量%とし、被覆剤を、該被覆剤全質量あたり、炭酸石灰:20〜60質量%、蛍石:5〜25質量%、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%を含有すると共に、MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下、金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下に規制した成分組成にする。また、炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子を40質量%以上とし、蛍石は、粒径が100μm以上の粒子を40質量%以上とする。

概要

背景

近年、構造物等の大型化に伴い、鋼板高強度化及び厚板化しており、その溶接部に良好な耐割れ性を確保するため、さらなる低水素系溶加材が要求されている。種々の溶加材のなかでも、低水素系被覆アーク溶接棒は、例えば、鋼心線炭酸石灰蛍石等を主成分とする被覆剤被覆した構成であり、靭性、耐割れ性をはじめ、優れた機械的性質が得られることから、幅広い分野で適用されている。低水素系被覆アーク溶接棒は、耐割れ性に影響する拡散性水素量が他の被覆系溶接棒と比較して少ない。

従来、2%以上の炭酸ガスを含む雰囲気下、特定の温度で焼成することで製造される低水素系被覆アーク溶接棒が提案されている(特許文献1、2参照)。このような製造方法で製造される低水素系被覆アーク溶接棒では、溶接棒中の水素源であるOHの含有量が少なくなり、溶接部の拡散性水素量を低減して、耐割れ性を良好にすることができる。

また、従来、炭酸石灰、蛍石及びVを有する被覆剤を含有することで、溶接金属中にVを特定量含有させ、溶接金属割れ感受性を低下させることが可能な低水素系被覆アーク溶接棒も提案されている(特許文献3参照)。なお、上記の蛍石を含有する低水素系被覆アーク溶接棒の技術としては、蛍石の粒径を特定の範囲にすることで、被覆筒の片溶け現象を防止し、健全な溶接金属を得る技術も提案されている(特許文献4参照)。

概要

従来用いられている生産設備を変更することなく、溶接金属中の拡散性水素量を低減することが可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供する。炭素鋼からなる心線を被覆剤で被覆した低水素系被覆アーク溶接棒について、被覆剤の被覆率溶接棒全質量あたり25〜40質量%とし、被覆剤を、該被覆剤全質量あたり、炭酸石灰:20〜60質量%、蛍石:5〜25質量%、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%を含有すると共に、MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下、金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下に規制した成分組成にする。また、炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子を40質量%以上とし、蛍石は、粒径が100μm以上の粒子を40質量%以上とする。なし

目的

本発明は、従来用いられている生産設備を変更することなく、溶接金属中の拡散性水素量を低減することが可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

炭素鋼からなる心線被覆剤被覆した低水素系被覆アーク溶接棒であって、前記被覆剤の被覆率溶接棒全質量あたり25〜40質量%であり、前記被覆剤は、該被覆剤全質量あたり、炭酸石灰:20〜60質量%、蛍石:5〜25質量%、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%、を含有すると共に、MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下、金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下に規制され、前記炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子が40質量%以上であり、前記蛍石は、粒径が100μm以上の粒子が40質量%以上である低水素系被覆アーク溶接棒。

請求項2

前記被覆剤は、更に、該被覆剤全質量あたり、鉄粉:45質量%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

請求項3

前記被覆剤は、更に、該被覆剤全質量あたり、Mn及び/又はMn合金(Mn換算):0.1〜6.0質量%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

請求項4

前記被覆剤は、更に、該被覆剤全質量あたり、Ni:0.1〜10.0質量%、Ti及び/又はTi合金(Ti換算):0.1〜3.0質量%、B及び/又はB化合物(B換算):0.01〜0.50質量%からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

請求項5

前記被覆剤は、更に、被覆剤全質量あたり、Mo:0.1〜6.0質量%及び/又はCr:0.1〜10.0質量%を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

技術分野

0001

本発明は、低水素系被覆アーク溶接棒に関する。より詳しくは、本発明は、造船建築及び海洋構造物等の溶接に用いられる低水素系被覆アーク溶接棒に関する。

背景技術

0002

近年、構造物等の大型化に伴い、鋼板高強度化及び厚板化しており、その溶接部に良好な耐割れ性を確保するため、さらなる低水素系溶加材が要求されている。種々の溶加材のなかでも、低水素系被覆アーク溶接棒は、例えば、鋼心線炭酸石灰蛍石等を主成分とする被覆剤被覆した構成であり、靭性、耐割れ性をはじめ、優れた機械的性質が得られることから、幅広い分野で適用されている。低水素系被覆アーク溶接棒は、耐割れ性に影響する拡散性水素量が他の被覆系溶接棒と比較して少ない。

0003

従来、2%以上の炭酸ガスを含む雰囲気下、特定の温度で焼成することで製造される低水素系被覆アーク溶接棒が提案されている(特許文献1、2参照)。このような製造方法で製造される低水素系被覆アーク溶接棒では、溶接棒中の水素源であるOHの含有量が少なくなり、溶接部の拡散性水素量を低減して、耐割れ性を良好にすることができる。

0004

また、従来、炭酸石灰、蛍石及びVを有する被覆剤を含有することで、溶接金属中にVを特定量含有させ、溶接金属割れ感受性を低下させることが可能な低水素系被覆アーク溶接棒も提案されている(特許文献3参照)。なお、上記の蛍石を含有する低水素系被覆アーク溶接棒の技術としては、蛍石の粒径を特定の範囲にすることで、被覆筒の片溶け現象を防止し、健全な溶接金属を得る技術も提案されている(特許文献4参照)。

先行技術

0005

特開昭56−109191号公報
特開昭57−160597号公報
特開平8−281473号公報
特開平3−264193号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1、2に記載の低水素系被覆アーク溶接棒は、前述した製造方法で製造するために、従来用いられている生産設備の変更が必要となる。また、この製造方法では、焼成温度を高めるため、低水素系被覆アーク溶接棒の製造コストが高くなるという問題もある。

0007

更に、特許文献3に記載の低水素系被覆アーク溶接棒では、拡散性水素量を低減する以外の方法で耐割れ性を確保している。しかしながら、特許文献3に記載の低水素系被覆アーク溶接棒では、溶接金属へのVの添加により、780MPa級高張力鋼等の高強度材耐熱鋼)の再熱割れが発生する可能性がある。このように、従来の低水素系被覆アーク溶接棒では、拡散性水素量の低減に対する効果は十分ではない。

0008

そこで、本発明は、従来用いられている生産設備を変更することなく、溶接金属中の拡散性水素量を低減することが可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係る低水素系被覆アーク溶接棒は、前述した課題を解決するために、本発明者等の鋭意検討の結果完成されたものであり、炭素鋼からなる心線を被覆剤で被覆した低水素系被覆アーク溶接棒について、前記被覆剤の被覆率溶接棒全質量あたり25〜40質量%とし、前記被覆剤を、該被覆剤全質量あたり、炭酸石灰:20〜60質量%、蛍石:5〜25質量%、並びに、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%、を含有すると共に、MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下、金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下に規制した成分組成にする。また、前記炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子を40質量%以上とし、前記蛍石は、粒径が100μm以上の粒子を40質量%以上とする。
この低水素系被覆アーク溶接棒では、被覆剤は、該被覆剤全質量あたり、鉄粉:45質量%以下を含有していてもよい。
この低水素系被覆アーク溶接棒では、被覆剤は、更に、該被覆剤全質量あたり、Mn及び/又はMn合金(Mn換算):0.1〜6.0質量%を含有していてもよい。
この低水素系被覆アーク溶接棒では、被覆剤は、更に、該被覆剤全質量あたり、Ni:0.1〜10.0質量%、Ti及び/又はTi合金(Ti換算):0.1〜3.0質量%、B及び/又はB化合物(B換算):0.01〜0.50質量%からなる群から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。また、、この低水素系被覆アーク溶接棒では、被覆剤は、Mo:0.1〜6.0質量%及び/又はCr:0.1〜10.0質量%を含有していてもよい。

発明の効果

0010

本発明によれば、従来用いられている生産設備を変更することなく、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができる。

0011

以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

0012

本発明の実施形態に係る低水素系被覆アーク溶接棒は、炭素鋼からなる心線を被覆剤で被覆した低水素系被覆アーク溶接棒であり、被覆剤の被覆率が溶接棒全質量あたり25〜40質量%である。また、この被覆剤は、その全質量あたり、炭酸石灰:20〜60質量%、蛍石:5〜25質量%、並びに、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%を含有する。また、この被覆剤は、MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下、金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下に規制される。更に、この炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子が40質量%以上である。また、この蛍石は、粒径が100μm以上の粒子が40質量%以上である。

0013

[溶接棒全質量に対する被覆剤の被覆率:25〜40質量%]
被覆アーク溶接棒の被覆剤の被覆率(%)は、(被覆剤の質量(質量%)/溶接棒全質量(質量%))×100により算出される。被覆率が高くなるほど、鉄粉及び合金成分の添加比率調整範囲広がり、目的の性能が得られやすくなる。ただし、被覆率が40質量%を超えるとスラグ生成量が増え、アークの強さとスラグ流動性とのバランスが不良となり、良好な溶接作業性が得られなくなる。一方、この被覆率が25質量%未満であると、被覆の保護筒としての機能が不十分になりアーク安定性劣化する。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒においては、被覆剤の被覆率は25〜40質量%とする。

0014

次に、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒に含まれる被覆剤の成分限定理由について説明する。なお、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒の被覆剤中の各成分の含有量は、被覆剤全質量あたりの含有量である。

0015

[炭酸石灰:20〜60質量%]
被覆剤に炭酸石灰を含有させると、溶接棒の被覆剤層多孔質にすることができ、これにより、被覆アーク溶接棒製造時ベーキングにおいて水分の離脱が促進される。しかしながら、被覆剤の中で、炭酸石灰の含有量が20質量%未満の場合、低水素系被覆アーク溶接棒の製造時のベーキングにおいて水分の離脱が得られない。一方で、炭酸石灰の含有量が60質量%を超えた場合、スラグ流動性が劣化し、ビード形状が劣化する。

0016

また、炭酸石灰は、粒径が10μm以下の粒子の含有量が炭酸石灰全質量の40質量%未満である場合、低水素系被覆アーク溶接棒製造時のベーキングにおいて水分の離脱が得られない。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒では、炭酸石灰の含有量を被覆剤全質量あたり20〜60質量%とし、かつ、粒径が10μm以下の粒子の含有量を炭酸石灰全質量あたり40質量%以上とする。

0017

[蛍石:5〜25質量%]
蛍石は、スラグの流動性の調整及び溶接金属の清浄性を得るための成分である。しかしながら、被覆剤の中で、蛍石の含有量が5質量%未満の場合、スラグの流動性が劣化し、ビード形状が劣化すると共に、溶接金属の清浄性が低下するため、靭性が低下する。一方で、蛍石が25質量%を超えるとスラグの流動性が良くなり過ぎ、ビード形成が劣化すると共に、アーク安定性が劣化する。

0018

また、蛍石は、粒径が100μm以上の粒子が40質量%未満の場合、アーク安定性が劣化する。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒では、蛍石の含有量を被覆剤全質量あたり5〜25質量%とし、かつ、粒径が100μm以上の粒子の含有量を蛍石全質量あたり40質量%以上とする。

0019

[水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種(SiO2換算):5〜25質量%]
SiO2はアークの強さ、アーク安定性及びビード形状を向上させるために必須の成分である。SiO2を含有する成分としては、水ガラス及び硅酸鉱物等が挙げられる。また、SiO2は、Siが溶接中酸化することでも得られる。そして、Siを含有する成分としては、金属Si及びSi合金等が挙げられる。ただし、SiO2源となる水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金の合計含有量が、被覆剤の中で、SiO2換算で5%未満の場合、アーク安定性が劣化し、ビード形状が劣化する。

0020

一方、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金の合計含有量がSiO2換算で25質量%を超えると、アークの強さが大きくなり過ぎ、大気の巻き込みが多くなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒では、被覆剤全質量あたり、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si及びSi合金からなる群から選択される少なくとも1種の含有量をSiO2換算で5〜25質量%とする。

0021

[MgO及び/又はMgCO3(MgO換算):0.1質量%以下]
MgO及びMgCO3は、アーク安定性及びスラグの流動性の調整に有効である。しかしながら、被覆剤の中で、MgO及び/又はMgCO3と、粘結剤である水ガラスとが共存していると、Mg(OH)2が生成される。Mg(OH)2のOHは、大気圧下、400℃程度の通常の焼成温度では被覆剤から遊離されずに残存するため、Mg(OH)2が生成すると、溶接金属中の拡散性水素量が増加する。具体的には、MgO及びMgCO3の合計の含有量が、MgO換算で0.1質量%を超えると、OHの生成により拡散性水素量が十分低減されなくなる。

0022

よって、OHの生成を抑制するためにはMgO及びMgCO3の合計の含有量は少ない方が好ましく、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒においては、MgO及びMgCO3の含有量を、被覆剤全質量あたり、MgO換算で0.1質量%以下(0質量%でもよい)に規制する。

0023

[金属Mg及び/又はMg合金(Mg換算):0.5質量%以下]
金属Mg及びMg合金は、脱酸剤として作用するため、これらを添加することで清浄な溶接金属が得られる。その一方で、金属Mg及びMg合金は、アークの強さを大きくする作用もあるため、その含有量を規制することが好ましい。具体的には、金属Mg及びMg合金の合計の含有量が、被覆剤の中で、Mg換算で0.5質量%を超えるとアークの強さが大きくなり過ぎ、大気雰囲気の巻き込みが多くなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒においては、金属Mg及びMg合金の合計の含有量は、被覆剤全質量あたり、Mg換算で0.5質量%以下(0質量%でもよい)に規制する。なお、Mg合金としては、Ni−Mg及びAl−Mg等が挙げられる。

0024

[鉄粉:45質量%以下]
鉄粉は、一般的に溶接能率の向上に有効であり、溶滴移行の安定化及び大気の巻き込みの低減にも効果があるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、鉄粉の含有量が、被覆剤の中で、45質量%を超えると炭酸石灰、蛍石及びアーク安定剤の含有量が少なくなり、被覆剤の調製が困難になって、アーク安定性が劣化する。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、鉄粉を添加する場合は、被覆剤全質量あたり、45質量%以下とする。

0025

[Mn及び/又はMn合金(Mn換算):0.1〜6.0質量%]
Mnは、脱酸剤として作用するため、必要に応じて、Mn単体及び/又はMn合金の形態で添加することができる。また、Mn及びMn合金は、強度と靭性を安定させる効果もある。しかしながら、Mn及びMn合金の合計の含有量が、被覆剤の中で、Mn換算で6.0質量%を超えると、強度が大きくなり過ぎ、低温割れ感受性が高まる。一方で、Mn及びMn合金の合計の含有量がMn換算で0.1質量%未満の場合、脱酸不足となり、ブローホールが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、Mn及び/又はMn合金を添加する場合は、被覆剤全質量あたり、Mn換算で0.1〜6.0質量%とする。

0026

なお、Mn源のCの含有量は、Mn原料全質量あたり0.5質量%を超えると、アークの強さが大きくなり、大気の巻き込みが多くなるため、Mn源のCの含有量は、Mn原料全質量あたり0.5質量%以下であることが好ましい。

0027

[Ni:0.1〜10.0質量%]
Niは、溶接金属の靭性の安定化に有効であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、Niの含有量が0.1質量%未満の場合、十分な靱性改善効果を得られない場合がある。一方で、Niの含有量が、被覆剤の中で、10.0質量%を超えると、高温割れが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、Niを添加する場合は、被覆剤全質量あたり、0.1〜10.0質量%の範囲とする。

0028

[Ti及び/又はTi合金(Ti換算):0.1〜3.0質量%]
Ti及びTi合金は、前述したNiと同様に、溶接金属の靭性の安定化に有効であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、Tiの含有量が、被覆剤の中で、0.1質量%未満の場合、十分な靱性改善効果を得られない場合がある。一方で、Tiの含有量が10.0質量%を超えると、高温割れが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、Ti及び/又はTi合金を添加する場合は、被覆剤全質量あたり、0.1〜3.0質量%の範囲とする。

0029

[B及び/又はB化合物:0.01〜0.50質量%]
B及びB化合物は、前述したNi及びTiと同様に、溶接金属の靭性の安定化に有効であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、Bの含有量が、被覆剤の中で、0.1質量%未満の場合、十分な靱性改善効果を得られない場合がある。一方で、Bの含有量が0.50質量%を超えると、高温割れが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、B及び/又はB合金を添加する場合は、被覆剤全質量あたり、0.01〜0.50質量%の範囲とする。

0030

[Mo:0.1〜6.0質量%]
Moは、溶接金属の強度の安定化に有効であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、Moの含有量が、被覆剤の中で、0.1質量%未満の場合、十分な強度を確保することができない場合がある。一方で、Moの含有量が6.0質量%を超えると、強度が大きくなり過ぎ、靱性が劣化し、低温割れが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、Moを添加する場合は、被覆剤全質量あたり、0.1〜6.0質量%の範囲とする。

0031

[Cr:0.1〜10.0質量%]
Crは、前述したMoと同様に、溶接金属の強度の安定化に有効であるため、必要に応じて添加することができる。しかしながら、Crの含有量が、被覆剤の中で、0.1質量%未満の場合、十分な強度を確保することができない場合がある。一方で、Crの含有量が10.0質量%を超えると、強度が大きくなり過ぎ、靱性が劣化し、低温割れが発生しやすくなる。よって、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒において、Crを添加する場合は、被覆剤全質量あたり、0.1〜10.0質量%の範囲とする。

0032

以上詳述したように、本実施形態の低水素系被覆アーク溶接棒は、被覆剤中の炭酸石灰及び蛍石の粒度を特定の範囲に規定し、MgOの発生を抑制するため、従来用いられている生産設備を変更することなく、拡散性水素量を低減することができる。その結果、溶接金属の耐割れ性を良好にすること等が可能となる。

0033

以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。

0034

表1、表2に示す組成の被覆剤を、鋼心線(4.0mmΦ×400mmL)の外周に所定の被覆率となるように塗布して被覆アーク溶接棒を製造した。なお、表1中、「被覆剤組成」では、被覆剤全質量あたりの各成分の含有量を示し、「被覆率」では、溶接棒全質量あたりの被覆剤の被覆率(被覆剤の質量(質量%)/溶接棒全質量(質量%))×100を示す。また、表2中、含有量は、炭酸石灰、蛍石、又はMnの全質量あたりの含有量を示す。

0035

得られた各溶接棒を用い、溶接金属中の拡散性水素量をAWS A5.1及びA4.3に従って測定した。なお、溶接電流は160Ampとした。

0036

また、T型すみ肉母材SM490A、サイズ:12T×75W×450L)において立向上進姿勢で溶接(溶接電流:135〜155Amp)を行い、溶接作業性を評価した。

0037

また、溶接部の靭性評価は、シャルピー衝撃試験(JIS Z 3211(AWS A5.1))により行った。溶接条件は溶接電流を160Ampとし、8層16パスとした。

0038

評価結果および試験結果を表3に示す。なお、溶接中のアークの強さ、アーク安定性、スラグの流動性、溶接後のスラグの剥離性、ビード形状については、目視による官能評価を行い、◎、○、△、×の4段階評価をした。拡散性水素量は、4ml/100g以下を◎とし、4ml/100gを超えて5ml/100g以下を○とし、5ml/100gを超えたものを×とした。靱性評価(−40℃)は100Jを超えたものを◎とし、50J以上100J未満のものを○とし、30J以上50J未満のものを△とし、30J未満を×とした

0039

0040

0041

0042

表3に示すように、本発明の範囲内で作製した実施例1〜12の溶接棒では、拡散性水素量を十分に低減できた。また、実施例1〜12の溶接棒では、溶接作業性及び靱性にも優れていた。

0043

これに対して、表3に示すように、比較例1の溶接棒では、MgOの含有量が、本発明範囲の上限を超えていたため、拡散性水素量を十分に低減できなかった。比較例2の溶接棒では、Mgの含有量が、本発明範囲の上限を超えていたため、拡散水素量を十分に低減できなかった。

0044

比較例3の溶接棒では、炭酸石灰における粒径が10μm以下の粒子の含有量が、本発明範囲の下限未満であり、炭酸石灰の含有量が本発明範囲の上限を超えていたため、拡散水素量を十分に低減できなかった。また、比較例3の溶接棒では、スラグの流動性、スラグ剥離性及びビード形状も劣っていた。比較例4の溶接棒では、炭酸石灰の含有量が本発明範囲の下限未満であったため、拡散性水素量を十分に低減できなかった。また、比較例4の溶接棒では、靱性も劣っていた。

0045

比較例5の溶接棒では、蛍石における粒径が100μm以下の粒子の含有量が、本発明範囲の下限未満であり、蛍石の含有量が本発明範囲の下限未満であったため、拡散水素量を十分に低減できなかった。また、比較例5の溶接棒では、スラグの流動性、スラグ剥離性及びビード形状も劣っていた。比較例6の溶接棒では、蛍石の含有量が本発明範囲の上限を超えていたため、ビード形状が劣っていた。

0046

比較例7の溶接棒では、鉄粉の含有量が、本発明範囲の上限を超えていたため、アークの強さが劣っていた。

0047

比較例8の溶接棒では、SiO2の含有量が、本発明範囲の下限未満であったため、アークの強さ、アーク安定性、スラグの流動性、スラグの剥離性、ビード形状及び靱性が劣っていた。一方、比較例9の溶接棒では、SiO2の含有量が、本発明範囲の上限を超えていたため、拡散性水素量を十分に低減できなかった。また、比較例9の溶接棒では、スラグの剥離性及び靱性も劣っていた。

0048

比較例10の溶接棒では、被覆剤の被覆率が、本発明範囲の下限未満であったため、アーク安定性が劣っていた。一方、比較例11の溶接棒では、被覆剤の被覆率が、本発明範囲の上限を超えていたため、拡散性水素量を十分に低減できなかった。また、比較例11の溶接棒では、スラグの流動性及びビード形状も劣っていた。

実施例

0049

以上の結果から、本発明の低水素系被覆アーク溶接棒を用いることにより、拡散性水素量を低減できることが確認された。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 日鉄溶接工業株式会社の「 エレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤ」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】 厚鋼板の大入熱1パス溶接において、溶接作業性が良好で、低温靭性に優れた溶接金属が得られるエレクトロガスアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。【手段】 エレクトロガスアーク溶接用フラ... 詳細

  • 株式会社神戸製鋼所の「 Ni基合金フラックス入りワイヤ」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】PWHT後における強度及び靱性に優れ、耐SR割れ性にも優れる溶接金属を得ることができ、さらに溶接作業性にも優れるフラックス入りワイヤを提供する。【解決手段】鋼製外皮内にフラックスが充填されてい... 詳細

  • 日鉄溶接工業株式会社の「 9%Ni鋼溶接用被覆アーク溶接棒」が 公開されました。( 2020/10/15)

    【課題】全姿勢溶接での溶接作業性が良好で、溶接金属の強度・靭性、耐割れ性及び耐気孔欠陥性に優れる9%Ni鋼溶接用被覆アーク溶接棒を提供する。【解決手段】Niを95質量%以上含むNi基合金を心線とした、... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ