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技術 モータ制御装置および電動ポンプユニット

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 香川弘毅
出願日 2012年8月9日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2012-176957
公開日 2014年2月24日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2014-034932
状態 特許登録済
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御 容積形ポンプの制御
主要キーワード 各電動ポンプ 推定演算式 ポンプ容積効率 油圧供給用 基本吐出量 ポンプ駆動用電動モータ 油吸入口 流量曲線
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年2月24日)のものです。
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図面 (7)

課題

過出力を抑制することで、発熱および騒音最低限に抑えることができるとともに、過出力抑制のために油圧センサを付加する必要がないモータ制御装置および電動ポンプユニットを提供する。

解決手段

油圧マップが設定された油圧推定演算部34、および目標油圧推定油圧とを比較して電流指令値低減量を出力する電流指令値補正量演算部35を有し、過出力を抑制する過出力抑制制御手段32を備えている。電流指令値補正量演算部35には、油温、油の流量および推定油圧から推測した負荷曲線に対応する油温と必要モータ回転数とのテーブルデータ38が設定されている。電流指令値補正量演算部35は、推定油圧が目標油圧よりも大きい場合に電流値下げ、この際、モータ回転数がテーブルデータ38の必要モータ回転数を下回らないようにする。

概要

背景

自動車トランスミッション油圧を供給する装置として、従来は、主動力源であるエンジンで駆動される主ポンプだけを備えたものが使用されていた。

ところが、停車時にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を付与すると、アイドルストップによりエンジンが停止しているときにもトランスミッションなどの駆動系への油圧供給を確保するために、従来の主ポンプと、バッテリ電源とする電動モータにより駆動される補助ポンプとの2つの油圧源が必要になる。 このような2つの油圧源を備えたトランスミッション用の油圧供給装置として、特許文献1に示すようなものが知られている。この油圧供給装置はトランスミッションに油圧を供給するもので、補助ポンプは、これを駆動する電動モータおよびモータ制御装置とともに、電動ポンプユニットを構成している。主ポンプからトランスミッションへの主吐出油路の油圧が所定値以上のときは、補助ポンプの駆動を停止し、主吐出油路の油圧が所定値未満のときは、補助ポンプを駆動するようになっている。ここで、主ポンプにより供給される油圧は、補助ポンプにより供給される油圧の数十倍の大きさであり、油圧センサ測定レンジは、主ポンプにより供給される油圧の大きさに合わせて設定されるため、これを補助ポンプの油圧制御に使用したのでは、測定精度が十分ではなく、油圧制御が難しい。補助ポンプを駆動するに際しては、上位ECUからの電流指令値に基づいて電動モータを駆動することで、目標油圧以上が得られるようになっている。

概要

過出力を抑制することで、発熱および騒音最低限に抑えることができるとともに、過出力抑制のために油圧センサを付加する必要がないモータ制御装置および電動ポンプユニットを提供する。油圧マップが設定された油圧推定演算部34、および目標油圧と推定油圧とを比較して電流指令値の低減量を出力する電流指令値補正量演算部35を有し、過出力を抑制する過出力抑制制御手段32を備えている。電流指令値補正量演算部35には、油温、油の流量および推定油圧から推測した負荷曲線に対応する油温と必要モータ回転数とのテーブルデータ38が設定されている。電流指令値補正量演算部35は、推定油圧が目標油圧よりも大きい場合に電流値下げ、この際、モータ回転数がテーブルデータ38の必要モータ回転数を下回らないようにする。

目的

この発明の目的は、上記の問題を解決し、過出力を抑制することで、発熱および騒音を最低限に抑えることができるとともに、過出力抑制のために油圧センサを付加する必要がないモータ制御装置および電動ポンプユニットを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

モータ制御信号を出力する制御信号出力手段が設けられた制御回路と、モータ制御信号の入力により作動して電動モータに対する駆動電力の供給を実行する駆動回路とを備えており、油の吸入および吐出を行うポンプを駆動する電動モータを油圧に基づいて制御するモータ制御装置において、制御回路は、上位制御装置からの電流指令値を低減することで過出力を抑制する過出力抑制制御手段をさらに備えており、制御信号出力手段は、上位制御装置からの電流指令値に過出力抑制制御手段で得られた電流指令値の低減量を付加することでモータ制御信号を得ており、過出力抑制制御手段は、少なくとも電動モータの電流および回転速度に基づいて油圧を推定する油圧推定演算部と、目標油圧推定油圧とを比較して推定油圧が高い場合に電流指令値の低減量を制御信号出力手段に出力する電流指令値補正量演算部とを備えており、油圧推定演算部には、電動モータの電流および回転速度と推定油圧との対応関係を示す油圧推定マップまたは油圧推定演算式が設定されており、電流指令値補正量演算部には、油温、油の流量および推定油圧から推測した負荷曲線に対応する油温と必要モータ回転数とのテーブルデータが設定されており、電流指令値補正量演算部は、推定油圧が目標油圧よりも大きい場合に電流値下げ、この際、モータ回転数がテーブルデータの必要モータ回転数を下回らないようにすることを特徴とするモータ制御装置。

請求項2

油の吸入および吐出を行うポンプと、ポンプ駆動用電動モータと、油圧に基づいて電動モータを制御するモータ制御装置とを備えている電動ポンプユニットにおいて、モータ制御装置は、請求項1に記載のものとされていることを特徴とする電動ポンプユニット。

技術分野

0001

この発明は、モータ制御装置および電動ポンプユニットに関し、特に、自動車トランスミッション油圧を供給するのに適した電動ポンプユニット用のモータ制御装置およびこのようなモータ制御装置を備えた電動ポンプユニットに関する。

背景技術

0002

自動車のトランスミッションに油圧を供給する装置として、従来は、主動力源であるエンジンで駆動される主ポンプだけを備えたものが使用されていた。

0003

ところが、停車時にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を付与すると、アイドルストップによりエンジンが停止しているときにもトランスミッションなどの駆動系への油圧供給を確保するために、従来の主ポンプと、バッテリ電源とする電動モータにより駆動される補助ポンプとの2つの油圧源が必要になる。 このような2つの油圧源を備えたトランスミッション用の油圧供給装置として、特許文献1に示すようなものが知られている。この油圧供給装置はトランスミッションに油圧を供給するもので、補助ポンプは、これを駆動する電動モータおよびモータ制御装置とともに、電動ポンプユニットを構成している。主ポンプからトランスミッションへの主吐出油路の油圧が所定値以上のときは、補助ポンプの駆動を停止し、主吐出油路の油圧が所定値未満のときは、補助ポンプを駆動するようになっている。ここで、主ポンプにより供給される油圧は、補助ポンプにより供給される油圧の数十倍の大きさであり、油圧センサ測定レンジは、主ポンプにより供給される油圧の大きさに合わせて設定されるため、これを補助ポンプの油圧制御に使用したのでは、測定精度が十分ではなく、油圧制御が難しい。補助ポンプを駆動するに際しては、上位ECUからの電流指令値に基づいて電動モータを駆動することで、目標油圧以上が得られるようになっている。

先行技術

0004

特開2010−116914号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上記従来の電動ポンプユニットでは、電動モータへの負荷の有無にかかわらず電流指令値通りの駆動を行うために、必要以上に大きい出力(過出力)の状態が生じることになり、省エネの点でも、また、発熱騒音発生の点でも好ましくない。過出力を抑制するには、実際の油圧を求め、実測油圧に基づいて制御することが好ましいが、そのためには、主ポンプ用とは別に、電動ポンプユニットのために測定レンジの低い油圧センサを付加する必要があり、コスト高になるという問題がある。したがって、過出力を抑制するには、電動ポンプユニット用油圧センサを付加しなくてよいように、ポンプの油圧を精度よく推定することが課題となり、この際、油は、温度によって粘度が変化することから、これをどのように処理するかも課題となる。

0006

この発明の目的は、上記の問題を解決し、過出力を抑制することで、発熱および騒音最低限に抑えることができるとともに、過出力抑制のために油圧センサを付加する必要がないモータ制御装置および電動ポンプユニットを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

この発明によるモータ制御装置は、モータ制御信号を出力する制御信号出力手段が設けられた制御回路と、モータ制御信号の入力により作動して電動モータに対する駆動電力の供給を実行する駆動回路とを備えており、油の吸入および吐出を行うポンプを駆動する電動モータを油圧に基づいて制御するモータ制御装置において、制御回路は、上位制御装置からの電流指令値を低減することで過出力を抑制する過出力抑制制御手段をさらに備えており、制御信号出力手段は、上位制御装置からの電流指令値に過出力抑制制御手段で得られた電流指令値の低減量を付加することでモータ制御信号を得ており、過出力抑制制御手段は、少なくとも電動モータの電流および回転速度に基づいて油圧を推定する油圧推定演算部と、目標油圧と推定油圧とを比較して推定油圧が高い場合に電流指令値の低減量を制御信号出力手段に出力する電流指令値補正量演算部とを備えており、油圧推定演算部には、電動モータの電流および回転速度と推定油圧との対応関係を示す油圧推定マップまたは油圧推定演算式が設定されており、電流指令値補正量演算部には、油温、油の流量および推定油圧から推測した負荷曲線に対応する油温と必要モータ回転数とのテーブルデータが設定されており、電流指令値補正量演算部は、推定油圧が目標油圧よりも大きい場合に電流値下げ、この際、モータ回転数がテーブルデータの必要モータ回転数を下回らないようにすることを特徴とするものである。

0008

過出力抑制制御手段において、上位制御装置からの電流指令値の低減量が求められ、制御信号出力手段から出力されるモータ制御信号は、この低減量が上位制御装置からの電流指令値に付加されたものとなる。過出力抑制制御手段は、予め設定された目標油圧と電動モータで駆動されることで変化する推定油圧とに基づいて、推定油圧が高い場合に電流指令値の低減量を制御信号出力手段に出力し、これにより、上位制御装置からの電流指令値に基づいた制御に比べて、実際の油圧を目標油圧を確保した状態で低くすることができ、電動モータの出力を抑制することができる。

0009

実際の油圧は、電動ポンプユニット用油圧センサを付加しなくてよいように、電動モータで得られるデータから推定されることが好ましく、少なくとも電動モータの電流および回転速度(これら2つだけを使用してもよく、必要に応じて、基準電圧電源電圧との比なども使用して)から油圧を推定する油圧推定演算部によって、油圧が推定される。油圧推定に際し、油温、すなわち、油の粘度によって、推定値が変化することから、油温情報に基づいて推定油圧値または目標油圧値補正することで(目標油圧を設定値に保ったままで、油温情報に基づいて推定油圧を補正してもよく、逆に、目標油圧の設定値を油温情報に基づいて補正するようにしてもよい)、過出力抑制制御の精度が高められる。

0010

こうして、過出力抑制のために油圧センサを付加することなく、適正出力となる(要求出力不足もなく過出力もない)制御が行われ、発熱および騒音を最低限に抑えることができる。

0011

油温情報に基づいて推定油圧を補正する場合、複数の油温ゾーンに対応する油圧推定マップまたは油圧推定演算式を使用することで、油圧の推定精度が高められ、過出力抑制制御の精度が高められる。

0012

また、要求油圧要求流量との関係を示す負荷曲線(予め実験により得られた曲線)に基づいて、必要モータ回転数を設定しておくことで、負荷量ごと・油温ごと必要流量が確保される。

0013

この発明による電動ポンプユニットは、油の吸入および吐出を行うポンプと、ポンプ駆動用電動モータと、油圧に基づいて電動モータを制御するモータ制御装置とを備えている電動ポンプユニットにおいて、モータ制御装置は、上記に記載のものとされていることを特徴とするものである。

発明の効果

0014

この発明の電動ポンプユニットによれば、上記のように、油圧が精度よく推定されて、実際の油圧を目標油圧を確保した状態で低くすることができ、これにより、要求出力不足もなく過出力もない制御が行われ、過出力による発熱および騒音を最低限に抑えることができ、特に、モータ回転数がテーブルデータの必要モータ回転数を下回らないようにすることで、負荷量ごと・油温ごとの必要流量確保の精度が向上する。

図面の簡単な説明

0015

図1は、この発明の電動ポンプユニットを自動車のトランスミッションの油圧供給装置に適用した実施形態を示す概略構成図である。
図2は、この発明のモータ制御装置のハードウエアの概略構成の1例を示すブロック図である。
図3は、この発明のモータ制御装置のソフトウエアの概略構成の1例を示すブロック図である。
図4は、この発明の電動ポンプユニットのモータ制御装置によって得られるポンプの出力特性である油圧−流量曲線の典型例を示すグラフである。
図5は、この発明の電動ポンプユニットのモータ制御装置によって得られるポンプの出力特性を示すグラフである。
図6は、この発明の電動ポンプユニットのモータ制御装置によって使用されるテーブルデータの1例を示す図である。

実施例

0016

以下、図面を参照して、この発明を自動車のトランスミッション用の油圧供給装置に適用した実施形態について説明する。

0017

図1は、自動車のトランスミッション(無段変速機)に油圧を供給する油圧供給装置の1例を示す概略構成図である。

0018

図1において、油圧供給装置には、トランスミッション用電動ポンプユニット(1)が設けられている。この電動ポンプユニット(1)は、自動車のトランスミッション(2)において、アイドルストップ時に低下する油圧を補助供給するために用いられるものであり、油圧供給用の補助ポンプであるポンプ(3)と、ポンプ駆動用電動モータ(4)と、モータ(4)を制御するモータ制御装置(5)とを備えている。

0019

モータ(4)はセンサレス制御ブラシレスDCモータ、補助ポンプ(3)は内接歯車ポンプである。好ましくは、ポンプ(3)およびモータ(4)は、共通のハウジング内に一体状に設けられる。モータ制御装置も、ポンプ(3)およびモータ(4)と共通のハウジング内に設けられてもよい。

0020

油圧供給装置には、上記の補助ポンプ(3)を有する電動ポンプユニット(1)の他に、エンジン(6)により駆動される主ポンプ(7)が設けられている。

0021

主ポンプ(7)の油吸入口(8)はオイルパン(9)に接続され、油吐出口(10)は主吐出油路(11)を介してトランスミッション(2)に接続されている。補助ポンプ(3)の油吸入口(12)はオイルパン(9)に接続され、油吐出口(13)は補助吐出油路(14)を介して主吐出油路(11)に接続されている。補助吐出油路(14)には、主吐出油路(11)側から補助ポンプ(3)への油の逆流を阻止する逆止弁(15)が設けられている。主吐出油路(11)には、油圧センサ(16)および油温センサ(17)が設けられている。

0022

モータ制御装置(5)には、直流電源であるバッテリ(18)およびエンジン(6)やトランスミッション(2)を制御するコンピュータである上位ECU(上位制御装置)(19)が接続されている。上位ECU(19)は、油圧センサ(16)の出力より主吐出油路(11)の油圧を監視し、油圧が所定の設定値以上の場合は補助ポンプ停止信号を、設定値未満の場合は補助ポンプ駆動信号をモータ制御装置(5)に出力する。

0023

モータ制御装置(5)は、上位ECU(19)から補助ポンプ停止信号が出力されているときは、モータ(4)の駆動を停止して、補助ポンプ(3)の駆動を停止し、補助ポンプ駆動信号が出力されているときは、モータ(4)を駆動して、補助ポンプ(3)を駆動する。

0024

エンジン(6)が駆動されているときは、これによって主ポンプ(7)が駆動され、通常、主吐出油路(11)の油圧は設定値以上であり、補助ポンプ(3)は駆動を停止している。このとき、主ポンプ(7)から主吐出油路(11)を介してトランスミッション(2)に油が供給される。そして、逆止弁(15)により、主吐出油路(11)から補助ポンプ(3)への油の逆流が阻止される。

0025

エンジン(6)が停止しているときは、通常、主吐出油路(11)の油圧はほぼ0で、設定値未満であり、補助ポンプ(3)が駆動される。これにより、補助ポンプ(3)から補助吐出油路(14)および主吐出油路(11)を介してトランスミッション(2)に油が供給される。

0026

エンジン(6)が駆動されていても、主吐出油路(11)の油圧が設定値未満の場合は、補助ポンプ(3)が駆動され、補助ポンプ(3)から補助吐出油路(14)を介して主吐出油路(11)に油が供給される。

0027

補助ポンプ(3)が駆動される際には、上位ECU(19)は、アイドリング条件が成立した段階で電動ポンプユニット(1)へ作動指示を行い、電動ポンプユニット(1)のモータ制御装置(5)は、上位ECU(19)からの電流指令値に基づいてモータ(4)を制御する。

0028

図2は、モータ制御装置(5)のハードウエアの1具体例を示す概略構成図であり、モータ制御装置(5)は、バッテリ(18)を内部電源として、片側PWM方式でモータ(4)を駆動するものであり、モータ(4)を駆動する駆動回路(20)と、駆動回路(20)を制御するモータ制御信号出力手段を備えたCPU(制御回路)(21)と、CPU(21)の出力するモータ制御信号に基づいて、駆動回路(20)を構成する各スイッチング素子ゲート駆動信号を出力するプリドライバ(22)と、駆動回路(20)の入力電流を検出する電流検出回路(23)と、モータ(4)のロータ位相を検出する位相検出回路(24)と、電源電圧を検出する電圧検出回路(25)とを備えている。

0029

図2に示すハードウエア構成は、基本的に公知のものであり、公知の適宜な構成を取ることができる。

0030

駆動回路(20)は、バッテリ(18)からモータ(4)への通電を制御する複数のスイッチング素子(図示略)を備えたスイッチング回路となっている。CPU(21)は、モータ(4)の各相相電圧から、モータ(4)のロータ(図示略)の回転位置を推定し、それに基づいて、PWM方式で駆動回路(20)の各スイッチング素子を制御し、これにより、モータ(4)への通電が制御される。電流検出回路(23)は、駆動回路(20)の入力電流を検出し、その出力はCPU(21)に入力する。位相検出回路(24)は、モータ(4)のロータの位相を検出し、その出力はCPU(21)に入力し、モータ(4)の回転速度を求めるために使用される。バッテリ(18)の直流電圧が駆動回路(20)およびCPU(21)に印加され、これが駆動回路(20)の入力電圧となる。

0031

図3は、CPU(制御回路)(21)におけるソフトウエアの構成を示している。

0032

同図において、CPU(21)は、上位ECU(19)からの電流指令値に基づいて、これを補正してモータ制御信号を出力するようになっており、CPU(21)は、上位ECU(19)からの電流指令値に基づいてモータ制御信号を出力する制御信号出力手段(31)と、上位ECU(19)からの電流指令値を低減することで過出力を抑制する過出力抑制制御手段(32)と、上位ECU(19)からの電流指令値を増加することでセンサレス制御用の最低回転速度維持制御を行う最低出力維持制御手段(33)とを備えている。

0033

過出力抑制制御手段(32)は、油圧推定演算部(34)と、油圧推定演算部(34)で得られた推定油圧と目標油圧とを比較して上位ECU(19)から制御信号出力手段(31)に入力してくる電流指令値の低減量を求める電流指令値補正量演算部(35)とを備えている。

0034

制御信号出力手段(31)は、電流制御の実行により電流指令値を求め、この電流指令値に実電流値追従させるように変換係数が付与された電圧指令値がモータ(4)に印加される。制御信号出力手段(31)は、電流指令値に実電流値を追従させるように、電流フィードバック制御を行う電流制御ループ(37)を有している。

0035

過出力抑制制御手段(32)は、後述するように、上位ECU(19)からの電流指令値を低減するようになっており、最低出力維持制御手段(33)は、センサレス制御のための下限の回転速度と、位相検出回路(24)で得られたロータの位相から求めたモータ(4)の実回転速度とを比較して、モータ(4)の実回転速度の方が小さい場合に、上位ECU(19)からの電流指令値を増加するようになっている。図4は、過出力抑制制御手段(32)および最低出力維持制御手段(33)が設けられていることで、実現可能となっている補助ポンプ(以下では、「ポンプ」と称す)(3)の特性を示している。

0036

図4において破線で示すAおよびBの曲線は、トランスミッション(2)のバラツキを考慮した負荷曲線を示しており、Aは、トランスミッション(2)のCVT(無段変速機)の漏れ最大時の負荷曲線を示し、Bは、CVT漏れ最小時の負荷曲線を示している。ポンプ(3)には、CVT漏れ最大時の負荷曲線上にある要求出力点Pを上回るような出力とすること(点Pの油圧値以上の要求油圧値)が求められている。これに対応可能なポンプ(3)の油圧−流量曲線は、実線で示すCの部分が必要となる。このような油圧−流量曲線を有するポンプ(3)は、追加の制御を行わない場合、油圧の増加とともに流量が徐々に(連続的に)減少する破線Dで示す部分を有することになる。破線Dで示す部分は、必要油圧よりも大きいことから、この部分において、油圧不足となることはないものの、CVT漏れ最小時の負荷曲線である破線Bに対しては、必要以上の油圧(過出力)となっている。この過出力は、省エネの点でも、また、発熱や騒音発生の点でも好ましくない。

0037

そこで、この発明におけるモータ制御装置(5)による制御に際しては、実線Cの部分の後(すなわち、要求出力点Pを超えた後)は、点Qを変曲点として、急激に出力(油圧×流量)が小さくなるような実線Eで示す油圧−流量曲線に従うものとされている。また、センサレス制御を行うために、モータ(4)の最低回転速度が設定されており、油圧が大きい場合でも、ある程度の流量が確保されるように、最小曲線部Fが設定されている。

0038

ポンプ(3)の出力が変曲点Qを有する実線C、実線Eおよび実線Fからなる油圧−流量曲線となるように、モータ(4)を制御することにより、トランスミッション(2)のバラツキが考慮されて、トランスミッション(2)のバラツキの上限に対しても、要求出力が満たされるようになされ、しかも、過出力とならないよう制御を行うことができる。

0039

図4に示す油圧−流量曲線において、過出力抑制の変曲点Qは、ポンプ(3)の効率、モータ(4)のトルク定数などの個体差により、推定油圧が変わることによって移動する。したがって、油圧推定マップ(36)を全ての電動ポンプユニット(1)に共通のものとした場合、変曲点Qが小さくなった場合は要求出力に不足し、変曲点Qが大きくなった場合は、過出力となり発熱と騒音に不利となる。

0040

そこで、電動ポンプユニット(1)は、製品ごとにその出力が測定され、各電動ポンプユニット(1)ごとのオフセットゲイン(調整係数)が求められている。オフセットゲインは、例えば油圧の推定値に乗算する定数(1.02、0.97など)として求められて、個々の電動ポンプユニット(1)のモータ制御装置(5)のCPU(21)に記憶される。そして、油圧推定マップ(36)から得られる油圧の推定値をオフセットゲインによって補正した値が油圧推定演算部(34)から電流指令値補正量演算部(35)に出力される。

0041

油圧は、主吐出油路(11)の油圧センサ(16)によって検知した値を使用するのではなく、電動ポンプユニット(1)の電源電流(またはモータ電流)とモータ回転速度とによって推定されている。より詳しくは、上位ECU(19)から得られる油温と電動ポンプユニット(1)内部で得られる電源電流(またはモータ電流)、モータ回転速度および電源電圧とを用いて、油圧推定演算部(34)において、吐出油圧が推定されている。油圧推定演算部(34)は、モータ回転速度と電流のデータテーブル(油圧推定マップ(36))を持ち、推定油圧は、そのデータテーブルに当てはめた値にデータテーブルの基準電圧と電源電圧との比をかけた値として求められている。

0042

油圧推定マップ(36)は、CPU(21)に記憶され、上位ECU(19)から電動ポンプユニット(1)へ作動指示が出た場合には、この油圧推定マップ(36)から求めた推定油圧が目標油圧になるようにモータ(4)が制御される。そして、この目標油圧が図4に示す実線C、実線Eおよび実線Fからなる油圧−流量曲線を満たすように決められることで、省エネで、かつ、発熱や騒音発生も抑えた過出力抑制制御が実行される。

0043

上記の制御では、油圧を推定するときの推定誤差が大きいので、推定油圧を使用した油圧推定マップ(36)に基づいた制御では、必要な流量を確保できない(モータ回転数が必要回転数を下回る)恐れがある。

0044

そこで、このモータ制御装置(5)では、予め求められた負荷曲線から得られる必要モータ回転数のテーブルデータ(38)が設定されている。

0045

負荷曲線は、油温、油の流量および推定油圧から推測される。こうして得られる負荷曲線は、図5に符号Gで示すように、トランスミッション(2)のCVT(無段変速機)の漏れ最大時の負荷曲線AとCVT漏れ最小時の負荷曲線Bとの間に位置する。最大時の負荷曲線Aと最小時の負荷曲線Bとの間を複数に区分して、負荷曲線1、負荷曲線2などとすることにより、トランスミッション(2)に取り付けられるポンプ(3)に対して、個々のトランスミッション(2)に対応した負荷曲線が設定される。この負荷曲線Gを使用することにより、要求油圧から必要流量を求めることができ、個々のポンプ(3)に要求される要求出力点としてRが得られる。必要流量が分かれば、必要モータ回転数を計算で求めることができる。必要モータ回転数については、図6に示すように、負荷曲線1〜N(Nは2以上の適宜な数)のそれぞれについて、油温ごとに必要モータ回転数が設定される。

0046

こうして、必要モータ回転数を設定しておいて、目標モータ回転数がテーブルデータの必要モータ回転数を下回らないようにすることにより、負荷量ごと・油温ごとの必要流量が確保され、油圧不足が防止される。

0047

なお、必要回転数=必要流量×ポンプ基本吐出量×ポンプ容積効率として求めることができる。負荷曲線は、経年変化するので、定期的に更新することが好ましい。

0048

上記において、油圧推定マップ(36)という形態にせずに、油温、電源電流(またはモータ電流)、モータ回転速度および電源電圧を用いた油圧推定演算式を記憶させておいて、油圧推定演算式に基づいて油圧を推定することもできる。

0049

油温情報については、図1に示すように、主吐出油路(11)に油温センサ(17)が設けられて、アイドリングストップを統括する上位ECU(19)は、この油温情報をモニタしていることから、上位ECU(19)から電動ポンプユニット(1)に油温情報を送って、その油温情報を元に油圧推定マップ(36)を切り換えればよい。この際の油温情報は、例えば、低温中温および高温のうちのいずれかとすればよい。

0050

なお、油温ゾーンの数は、演算処理の簡略化と推定油圧の精度確保とを両立させるために、上記のように低温、中温および高温の3つとすることが好ましいが、これに限られるものではなく、2つ以上で適宜設定できる。

0051

また、上記実施形態では、主吐出油路(11)の油圧に基づいて、補助ポンプ(3)の駆動・停止の切り換えを行っているが、エンジン(6)が駆動されているときは補助ポンプ(3)を停止させ、エンジン(6)が停止しているときは補助ポンプ(3)を駆動するようにすることもできる。電動ポンプユニット(1)の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。また、この発明は、自動車のトランスミッション用の油圧供給装置以外にも適用できる。

0052

(1):電動ポンプユニット、(3):ポンプ、(4):電動モータ、(19):上位ECU(上位制御装置)、(21):CPU(制御回路)、(31):制御信号出力手段、(32):過出力抑制制御手段、(34):油圧推定演算部、(35):電流指令値補正量演算部、(36):油圧推定マップ、(38):必要モータ回転数のテーブルデータ

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