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技術 固体電解質

出願人 出光興産株式会社
発明者 清野美勝菅原孝宜木村正克
出願日 2012年7月31日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2012-170030
公開日 2014年2月13日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2014-028717
状態 拒絶査定
技術分野 ガラス組成物(第三版) りん、その化合物 導電材料 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード ガス採集 原料不足 自転回転 PF5 耐圧仕様 炭素単体 急冷温度 造粒効果
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

リチウムイオン以外のイオン伝導種とする、高イオン伝導度を有する固体電解質を提供する。

解決手段

概要

背景

近年、携帯情報末端携帯電子機器家庭用小型電力貯蔵装置モーター動力源とする自動二輪車電気自動車ハイブリッド電気自動車などに用いられる二次電池等の需要が増加している。
高容量の二次電池としてリチウムイオン電池があるが、該リチウムイオン電池は、有機溶媒を含む電解液であるため、液漏れ心配発火の危険性があった。

このような問題に対し、従来硫化物系固体電解質の研究が種々行われており、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質が開発された(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の硫化物系固体電解質は、リチウムを多量に必要とするため、今後、リチウムイオン電池の需要増加に伴い、原料であるリチウム源不足するおそれがある。

原料不足の問題を解消する手段として、原料が豊富ナトリウム伝導種とするナトリウム系固体電解質が開発された(非特許文献1)。しかし、非特許文献1に記載の固体電解質はイオン伝導度が実用的には十分(室温(25℃)で2×10−4Scm−1程度)ではなく、さらなるイオン伝導度の向上が必要であった。

概要

リチウムイオン以外のイオンを伝導種とする、高イオン伝導度を有する固体電解質を提供する。ナトリウム、カリウムルビジウムセシウムフランシウムベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウムバリウム及びラジウムから選択される1以上の元素リン元素硫黄元素、及びハロゲン元素を含む固体電解質。なし

目的

本発明の目的は、リチウムイオン以外のイオンを伝導種とする、高イオン伝導度を有する固体電解質を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

請求項2

下記式(1)を満たす請求項1に記載の固体電解質。LaMbPcSdXe…(1)(式中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択される1以上の元素である。Mは、B、Al、Si、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上の元素である。Xは、F、Cl、Br、I、Atから選択される1以上のハロゲン元素である。a〜eは、各元素の組成比を示し、0.1<a≦15、0≦b≦3、0<c≦5、0<d≦15、0.1<e≦3である。)

請求項3

前記式(1)のbが0であり、cが1である請求項2に記載の固体電解質。

請求項4

前記式(1)において、0.5≦d≦4である請求項2又は3に記載の固体電解質。

請求項5

25℃でのイオン伝導度が3×10−4Scm−1以上である請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質。

請求項6

硫化燐、硫黄及び燐、硫化燐及び硫黄、並びに硫化燐、硫黄及び燐から選択されるいずれか1つ、下記式(2)にで表わされる化合物、及び下記式(3)で表わされる化合物を用いて得られる請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質。QwXx…(2)(式(2)中、Qは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、B、Al、Si、P、S、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上である。wは1〜4の整数のいずれかであり、xは1〜10の整数のいずれかである。Xは、F、Cl、Br、I、Atから選択される1以上のハロゲン元素である。)LyS…(3)(式(3)中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択される1以上である。yは0.5〜4である。)

請求項7

前記式(2)のQがPであり、前記式(2)のXがBr、I又はClである請求項6に記載の固体電解質。

請求項8

前記式(2)のQがNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba又はRaであり、前記式(2)のXがBr、I又はClである請求項6に記載の固体電解質。

請求項9

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質シート

請求項10

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電解質シート。

請求項11

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む電極シート

請求項12

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電極シート。

請求項13

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む二次電池

請求項14

請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された二次電池。

技術分野

0001

本発明は、リチウムイオン以外のイオン伝導種とするハロゲン含有硫化物系固体電解質に関する。

背景技術

0002

近年、携帯情報末端携帯電子機器家庭用小型電力貯蔵装置モーター動力源とする自動二輪車電気自動車ハイブリッド電気自動車などに用いられる二次電池等の需要が増加している。
高容量の二次電池としてリチウムイオン電池があるが、該リチウムイオン電池は、有機溶媒を含む電解液であるため、液漏れ心配発火の危険性があった。

0003

このような問題に対し、従来硫化物系固体電解質の研究が種々行われており、イオン伝導度が高い硫化物系固体電解質が開発された(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の硫化物系固体電解質は、リチウムを多量に必要とするため、今後、リチウムイオン電池の需要増加に伴い、原料であるリチウム源不足するおそれがある。

0004

原料不足の問題を解消する手段として、原料が豊富ナトリウムを伝導種とするナトリウム系固体電解質が開発された(非特許文献1)。しかし、非特許文献1に記載の固体電解質はイオン伝導度が実用的には十分(室温(25℃)で2×10−4Scm−1程度)ではなく、さらなるイオン伝導度の向上が必要であった。

0005

特開2005−228570号公報

先行技術

0006

全固体型ナトリウム蓄電池の室温作動に世界で初めて成功〜安全性の高い次世代蓄電池の研究開発における大きな一歩〜(http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120523/index.html)

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、リチウムイオン以外のイオンを伝導種とする、高イオン伝導度を有する固体電解質を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明によれば、以下の固体電解質等が提供される。
1.ナトリウム、カリウムルビジウムセシウムフランシウムベリリウムマグネシウムカルシウムストロンチウムバリウム及びラジウムから選択される1以上の元素リン元素硫黄元素、及びハロゲン元素を含む固体電解質。
2.下記式(1)を満たす1に記載の固体電解質。
LaMbPcSdXe …(1)
(式中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択される1以上の元素である。
Mは、B、Al、Si、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上の元素である。
Xは、F、Cl、Br、I、Atから選択される1以上のハロゲン元素である。
a〜eは、各元素の組成比を示し、0.1<a≦15、0≦b≦3、0<c≦5、0<d≦15、0.1<e≦3である。)
3.前記式(1)のbが0であり、cが1である2に記載の固体電解質。
4.前記式(1)において、0.5≦d≦4である2又は3に記載の固体電解質。
5.25℃でのイオン伝導度が3×10−4Scm−1以上である1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
6.硫化燐、硫黄及び燐、硫化燐及び硫黄、並びに硫化燐、硫黄及び燐から選択されるいずれか1つ、
下記式(2)にで表わされる化合物、及び
下記式(3)で表わされる化合物を用いて得られる1〜5のいずれかに記載の固体電解質。
QwXx …(2)
(式(2)中、Qは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、B、Al、Si、P、S、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上である。
wは1〜4の整数のいずれかであり、xは1〜10の整数のいずれかである。
Xは、F、Cl、Br、I、Atから選択される1以上のハロゲン元素である。)
LyS …(3)
(式(3)中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択される1以上である。
yは0.5〜4である。)
7.前記式(2)のQがPであり、前記式(2)のXがBr、I又はClである6に記載の固体電解質。
8.前記式(2)のQがNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba又はRaであり、前記式(2)のXがBr、I又はClである6に記載の固体電解質。
9.1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質シート
10.1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電解質シート。
11.1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む電極シート
12.1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された電極シート。
13.1〜8のいずれかに記載の固体電解質を含む二次電池。
14.1〜8のいずれかに記載の固体電解質から製造された二次電池。

発明の効果

0009

本発明によれば、リチウムイオン以外のイオンを伝導種とする高イオン伝導度を有する固体電解質が提供できる。

図面の簡単な説明

0010

Cole−Coleプロットの一例を示す図である。
硫化水素濃度平均値測定装置概略構成図である
ウェットエア流通時間と硫化水素濃度の関係の一例を示す図である。
改良スラリー法で使用できる製造装置の一例を示す図である。
スラリー法で使用できる製造装置の他の一例を示す図である。

0011

[固体電解質]
本発明の固体電解質は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される1以上の元素、リン元素、硫黄元素、及びハロゲン元素を含む。
本発明の固体電解質は、リチウムを伝導種としない固体電解質であり、ハロゲン元素を含むことにより高いイオン伝導度を示すことができる。

0012

固体電解質が含むナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される1以上の元素は、好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウムから選択される1以上の元素であり、より好ましくはナトリウム及びカリウムから選択される1以上の元素であり、さらに好ましくは、ナトリウムである。
固体電解質が含むハロゲン元素は、好ましくはフッ素塩素臭素及びヨウ素から選択される1以上のハロゲン元素であり、より好ましくは塩素、臭素及びヨウ素から選択される1以上のハロゲン元素であり、さらに好ましくは塩素及び臭素から選択される1以上のハロゲン元素である。

0013

本発明の固体電解質は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される1以上の元素、リン元素、硫黄元素、及びハロゲン元素から実質的になってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の元素を含んでもよい。
上記その他の元素としては、Ge、Si、Al、Ga、Al、B、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Biが挙げられる。
また、その他の元素としてリチウムを含んでいてもよいが、リチウムの含有量は少ない方が好ましい。

0014

本発明の固体電解質は、好ましくは下記式(1)で表わされる固体電解質である。
LaMbPcSdXe …(1)
(式中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaから選択される1以上の元素である。
Mは、B、Al、Si、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上の元素である。
Xは、F、Cl、Br、I及びAtから選択される1以上のハロゲン元素である。
a〜eは、各元素の組成比を示し、0.1<a≦15、0≦b≦3、0<c≦5,0<d≦15、0.1<e≦3である。)

0015

式(1)Lは、好ましくはNa、K、Rb、Cs、Fr、Beから選択される1以上の元素であり、より好ましくはNa及びKから選択される1以上の元素であり、さらに好ましくはNaである。
Mは、好ましくはB、Si、Ge及びAlから選択される1以上の元素であり、より好ましくはGe、Si及びBから選択される1以上である。
Xは、好ましくはF、Cl、Br及びIから選択される1以上のハロゲン元素であり、より好ましくは、Cl、Br、Iから選択される1以上のハロゲン元素であり、さらに好ましくはCl及びBrから選択される1以上のハロゲン元素である。

0016

式(1)のL、M、P、S及びXの組成比は、以下の通りである:
0.1<a≦15であり、0.2≦a≦13であることが好ましく、より好ましくは、0.3≦a≦12である。
0≦b≦3であり、0≦b≦3であることが好ましく、より好ましくは、0≦b≦2であり、最も好ましくは、bが0である。
0<c≦5であり、0.5≦c≦4であることが好ましく、より好ましくは、0.8≦c≦4であり、最も好ましくは、cが1である。
0<d≦15であり、0.5≦d≦15であることが好ましく、より好ましくは、0.5≦d≦13であり、最も好ましくは、0.5≦d≦12である。
0.1<e≦3であり、0.1≦e≦2であることが好ましく、より好ましくは、0.2≦e≦2である。

0017

式(1)において、好ましくはbが0であり、且つcが1である。
式(1)において、好ましくは0.5≦d≦4である。

0018

固体電解質は、結晶化していても非晶質であってもよい。結晶が非晶質よりイオン伝導度が高い場合には、結晶化することにより、電解質層電極層のイオン伝導度を高くすることができ、非晶質の場合には、結晶よりも柔らかいため、固体電解質同士の接触状態活物質導電助剤との接触状態を良くすることができる。
ここで、結晶構造としては、Na3PS4結晶構造が好ましい。イオン伝導度を高くすることができるからである。

0019

固体電解質の形状は、特に制限はなく、粒子状であってもシート状であってもよい。
固体電解質が粒子状の場合、電解質層を形成する際に、固体電解質を含むスラリーを塗布することにより電解質層を製造することができる。固体電解質を用いて電解質シートを製造する場合には、電解質層を形成後、後述する所定の加熱条件により加熱してもよい。
また、静電法を用いて電解質層を製造することもできる。

0020

本発明の固体電解質が粒子状である場合には、体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)が、好ましくは0.01μm以上500μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは、0.1μm以上200μm以下である。

0021

固体電解質の粒径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定方法では、組成物中の粒子群レーザー照射して、その散乱光解析することで粒度分布を測定する。

0022

固体電解質の粒径は、乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラスを用いて粒径を測定するとよく、測定例として、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用した場合の測定を説明する。
まず、装置の分散槽脱水処理されたトルエン和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、測定対象である「乾燥した固体電解質又はその前駆体」を添加して粒子径を測定する。測定対象の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、測定対象の添加量に基づき、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。

0023

固体電解質は、25℃でのイオン伝導度が好ましくは2×10−4Scm−1以上であり、より好ましくは3×10−4Scm−1以上であり、さらに好ましくは4×10−4Scm−1以上である。

0024

上記イオン伝導度(σ)は以下の手順で測定できる。
まず、固体電解質試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm2)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形する。その試料片の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得る。図1にCole−Coleプロットの一例を示す。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算する。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
尚、試料片端面から測定器までのリードの距離が長いと、円弧の右端の一部しか観測されない場合があるが、上記の方法に準じてバルク抵抗R(Ω)を判断する。また、円弧が全く観測されず、−Z’’(Ω)が0Ω付近から単調に増大するプロファイルとなることがある。この場合は、−Z’’(Ω)=0となるときのZ’(Ω)をバルク抵抗R(Ω)とする。
リードの距離を約60cmとして測定するとよい。

0025

本発明の固体電解質は、ウェットエア流通下に60分間放置したときの周囲環境の硫化水素濃度平均値が、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは150ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下である。
硫化水素濃度平均値は耐加水分解性を示す指標であり、一般に硫化物系固体電解質は、加水分解すると硫化水素を発生するが、本発明の固体電解質では、加水分解を抑制できるので、分解時に発生する硫化水素が少なくなる。

0026

固体電解質の硫化水素濃度平均値は、下記加水分解試験により評価できる。
図2は、硫化水素濃度平均値の測定装置の概略構成図である。
測定試料11は、露点−80℃の環境の窒素グローボックス内にて乳鉢でよく粉砕したものを用いる。測定試料11を0.1g、100mlのシュレンク瓶12内に封入する。
次に、シュレンク瓶12内に、水槽14を通過させることにより加湿した空気(ウェットエア)を500ml/分で流通させる。尚、ウェットエアの温度は、25℃程度、湿度は、80〜90%とする。また、空気の供給量流量計13で制御する。
流通開始1分後〜1分45秒後の間にシュレンク瓶12から排出されたガスガス採集部15から捕集して測定用の第一サンプルガスとする。尚、採集時以外のガスは、トラップ16で水酸化ナトリウム水溶液にて硫化水素を除去する。
三菱化学アナリテック製TS−100を用いて、紫外蛍光法により硫黄分を定量して、サンプルガスの硫化水素濃度を算出する。尚、サンプルガスをアジレント6890(硫黄選択検出器(SIEVERS355)付)を用いてガスクロマトグラフにて定性分析したところ、硫黄分はその99%以上硫化水素ガスになっていることを確認している。
流通開始5分後〜5分45秒後、流通開始10分後〜10分45秒後、流通開始20分後〜20分45秒後、流通開始60分後〜60分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスについても、第一サンプルガスと同様に測定する。
硫化水素濃度と測定時間から硫化水素濃度平均値(ppm)を求める。
図3にウェットエア流通時間と硫化水素濃度の関係の一例を示す。曲線各測定点スムージングしたもので、この曲線と縦軸横軸で囲まれた面積(ppm・分)を時間60分で除することにより、硫化水素濃度平均値(ppm)を求める。

0027

本発明の固体電解質は、例えば原料であるハロゲン元素を含む化合物(以下、ハロゲン化合物という場合がある)を使用するタイミングによって、例えば下記第1〜第3の製造方法を用いることができる。
以下、本発明の固体電解質の製造方法を説明するが、本発明の固体電解質の製造方法は、下記製造方法に限定されないことはいうまでもない。

0028

[固体電解質の第1の製造方法]
(1)原料
本発明の固体電解質は、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を原料として用いることにより製造できる。
(a)成分:硫化燐、硫黄及び燐、硫化燐及び硫黄、並びに硫化燐、硫黄及び燐から選択されるいずれか1つ
(b)成分:下記式(2)にで表わされる化合物
QwXx …(2)
(式(2)中、Qは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、B、Al、Si、P、S、Ge、Ga、In、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb及びBiから選択される1以上の元素である。
wは1〜4の整数のいずれかであり、xは1〜10の整数のいずれかである。
Xは、F,Cl、Br,I,Atから選択される1以上のハロゲン元素である。)
(c)成分:下記式(3)で表わされる化合物
LyS …(3)
(式(3)中、Lは、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raから選択される1以上である。
yは0.5〜4である。)

0029

式(2)おいて、Qは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、ホウ素、アルミニウムケイ素リン、硫黄、ゲルマニウムガリウムインジウムヒ素セレン、スズ、アンチモンテルル、鉛、ビスマスから選択される1以上の元素であり、好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム及びリンから選択される1以上の元素であり、より好ましくはナトリウム、カリウム及び燐から選択される1以上の元素であり、さらに好ましくはナトリウム及び燐から選択される1以上の元素である。
wは1〜4の整数のいずれかであり、好ましくは1〜3の整数のいずれかであり、さらに好ましくは1〜2の整数のいずれかであり、最も好ましくは1である。
Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素及びアスタチンから選択される1以上のハロゲン元素であり、好ましくはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、より好ましくは塩素、臭素又はヨウ素であり、さらに好ましくは塩素又は臭素である。
xは1〜10の整数のいずれかであり、好ましくは1〜9の整数のいずれかであり、より好ましくは1〜7の整数のいずれかであり、好ましくは1又は3である。

0030

式(2)で表わされる化合物の具体例としては、ハロゲン化ナトリウム(NaI、NaBr、NaCl、NaF等)、ハロゲン化燐(PBr3、PCl3、PCl5、P2Cl4、PI3、P2I4、PF5PF3等)、AlF3、AlBr3、AlI3、AlCl3、SiF4、SiCl4、SiCl3、Si2Cl6、SiBr4、SiBrCl3、SiBr2Cl2、SiI4、SF2、SF4、SF6、S2F10、SCl2、S2Cl2、S2Br2、GeF4、GeCl4、GeBr4、GeI4、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsI3、AsF5、SeF4、SeF6、SeCl2、SeCl4、Se2Br2、SeBr4、SnF4、SnCl4、SnBr4、SnI4、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、SbF3、SbCl3、SbBr3、SbI3、SbF5、SbCl5、PbF4、PbCl4、PbF2、PbCl2、PbBr2、PbI2、BiF3、BiCl3、BiBr3、BiI3、TeF4、Te2F10、TeF6、TeCl2、TeCl4、TeBr2、TeBr4、TeI4等が挙げられ、好ましくはハロゲン化ナトリウム(NaI、NaBr、NaCl、NaF等)、ハロゲン化燐(PBr3、PCl3、PCl5、P2Cl4、PI3、P2I4、PF5、PF3等)であり、さらに好ましくは、NaBr、NaCl、PBr3、PCl3である。

0031

式(3)において、Lは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムから選択される1以上の元素であり、好ましくはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム及びベリリウムから選択される1以上の元素であり、より好ましくはナトリウム及びカリウムから選択される1以上であり、さらに好ましくはナトリウムである。
yは0.5以上3以下であり、好ましくは0.7以上2.5以下であり、さらに好ましくは1以上2以下であり、さらに好ましくは、2である。
尚、式(3)のSは硫黄を意味する。

0032

式(3)で表わされる化合物の具体例としては、Na2S(硫化ナトリウム)、K2S、Rb2S、BeS、MgS、CaS、SrS、BaS等を挙げることができ、これらは2種以上混合して使用してもよい。

0033

本発明の固体電解質の原料は、上記原料の他、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)をさらに用いてもよい。
上記ガラス化促進剤としては、Na3PO4、Na4SiO4、Na4GeO4、Na3BO3、Na3AlO3、Na3CaO3、Na3InO3等の無機化合物が挙げられる。

0034

(2)非晶質固体電解質の製造方法
以下、原料を式(3)で表わされる化合物である硫化ナトリウム、五硫化二リン、式(2)で表わされる化合物であるハロゲン化合物を用いた固体電解質(ガラス)の製造方法について説明する。
硫化ナトリウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、例えば60:40〜90:10であり、好ましくは65:35〜85:15又は70:30〜90:10であり、より好ましくは67:33〜83:17又は72:28〜88:12であり、さらに好ましくは67:33〜80:20又は74:26〜86:14であり、特に好ましくは70:30〜80:20又は75:25〜85:15であり、最も好ましくは72:28〜78:22、又は77:23〜83:17である。

0035

硫化ナトリウム、五硫化二リンの合計とハロゲン化合物の割合(モル比)は、例えば50:50〜99:1であり、好ましくは55:45〜97:3又は70:30〜98:2であり、より好ましくは60:40〜96:4又は80:10〜98:2であり、さらに好ましくは70:30〜96:4又は80:20〜98:2であり、特に好ましくは85:15〜97:3である。
尚、硫化ナトリウム、五硫化二リン、ハロゲン化合物は、MM処理等により混合してから加熱処理することが好ましい。

0036

硫化ナトリウム、五硫化二リン及びハロゲン化合物の配合比を例示したが、これら材料の組み合わせでない場合であっても、上記配合比について、硫化ナトリウムの代わりに使用する式(3)で表わされる化合物、五硫化二リンの代わりに硫化リン、硫黄と燐、硫化燐と硫黄、硫化燐と硫黄と燐から選択されるいずれか使用する1つ、をそれぞれ当てはめればよい。

0037

上記原料を用いて、以下の方法により非晶質固体電解質(固体電解質ガラス)を製造することができる。
原料(例えば硫化ナトリウム、五硫化二リン及びハロゲン化合物)を、上記配合比で混合し、溶融急冷法メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、溶媒中で反応させるスラリー法、固相法等により処理することにより、固体電解質(ガラス)を製造することができる。

0038

(i)溶融急冷法
溶融急冷法は、原料を所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。
例えば、乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、中に投入急冷することにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。

0039

(ii)メカニカルミリング法(MM法
MM法は、原料を所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。
機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
例えば、P2S5とNa2Sとハロゲン化合物とを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の固体電解質(ガラス)を得ることができるという利点がある。
また、MM法では固体電解質(ガラス)の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。

0040

MM法には、回転ボールミル転動ボールミル振動ボールミル遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が、60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。

0041

(iii)固相法
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することにより固体電解質(ガラス)を得る方法である。例えば、P2S5とNa2Sとハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、固体電解質(ガラス)が得られる

0042

(iv)スラリー法
スラリー法は、溶媒中で原料を接触させて固体電解質ガラスを製造する方法である。
スラリー法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくとも固体電解質ガラスを製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内にガラスが付着するような欠点がない。

0043

上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは非プロトン性溶媒であり、さらに好ましくは炭化水素系有機溶媒である。
上記非プロトン性溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性極性有機化合物(例えばアミド化合物ラクタム化合物尿素化合物有機イオウ化合物環式有機リン化合物等)等が挙げられ、これらのうちいずれか1つを単独溶媒として、又はこれらのうちの2以上からなる混合溶媒として使用することができる。

0044

上記炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサンペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタンデカンシクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセンヘプテンシクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレンデカリン、1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。

0045

非プロトン性溶媒及び炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。

0046

必要に応じて使用する溶媒に他の溶媒を添加してもよい。
当該他の溶媒の具体例としては、アセトンメチルエチルケトン等のケトン類テトラヒドロフラン等のエーテル類エタノールブタノール等のアルコール類酢酸エチル等のエステル類等;ジクロロメタンクロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン2、3‐ジハイドロパーフルオロペンタン、1、1、2、2、3、3、4‐ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。

0047

上述のスラリー法で使用する溶媒は、後述する製造方法で使用する溶媒にも同様に使用することができる。

0048

溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.005Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.01Kg以上0.3Kg以下である。

0049

原料を溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で、原料と溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられ、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常5分以上200時間以下、好ましくは10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱する等である。

0050

接触工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。

0051

接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離して固体電解質ガラスを回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。

0052

(v)湿式メカニカルミリング法(湿式MM法)
湿式メカニカルミリング法は、原料を溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
湿式メカニカルミリング法は、溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料含有率が低いイオン伝導性物質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。

0053

溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.01Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.1Kg以上1Kg以下、特に好ましくは0.2Kg以上0.8Kg以下である。

0054

メカニカルミリング処理には、種々の形式の粉砕法を用いることができる。特に、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。遊星型ボールミルは、ポット自転回転しながら、台盤公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。

0055

メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。但し、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状電解質の製造に時間がかかる。
例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。より好ましくは10分以上40時間以下である。

0056

溶媒の存在下でメカニカルミリング処理するため、処理時間を短縮できる。室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、非晶質固体電解質が得られる。

0057

(vi)改良スラリー法
改良スラリー法は、原料に溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を溶媒中で接触させる接触手段と、力学的なエネルギー供与手段と接触手段を連結する連結手段と、連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いて固体電解質を製造する方法である。反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、固体電解質ガラスが得られる。
上記原料及び溶媒は、湿式メカニカルミリング法の原料及び溶媒と同様のものが使用できる。

0058

改良スラリー法では、原料に溶媒を加えた状態で反応させる。溶媒を加えた状態で反応させることで、処理時の造粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低い固体電解質ガラスを得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。

0059

図4は、改良スラリー法で使用できる製造装置の一例を示す図である。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させて固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなり、撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。

0060

この装置1を用いて、固体電解質を製造するときは、溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で粉砕しつつ反応させて固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で反応させて固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20で固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50、52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。

0061

粉砕機10には、粉砕機10内の温度保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内の温度保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。

0062

粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50、52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。

0063

図5は、スラリー法で使用できる製造装置の他の一例を示す図である。
製造装置2は、第2の連結部52に熱交換器60(熱交換手段)を設けた他は、上述した製造装置1と同じである。製造装置1と同じ部材には同じ符号を付して説明は省略する。
熱交換器60は、反応槽20から送り出される高温の原料と溶剤を冷却して、撹拌機10に送り込む。例えば、反応槽20において、80℃を超える温度で反応を行った場合、原料等の温度を80℃以下に冷却して、撹拌機10に送り込む。

0064

粉砕機10は、原料を粉砕混合しながら反応させ、固体電解質を製造することができるものであればどのような粉砕機でもよい。例えば、回転ミル転動ミル)、揺動ミル、振動ミル、ビーズミルを挙げることができる。原料を細かく粉砕できる点でビーズミルが好ましい。原料が細かいほど、反応性が高くなり、短時間で固体電解質ガラスを製造できる。

0065

粉砕機がボールを含む場合は、ボールと容器とが磨耗することによる固体電解質ガラスへの異物混入を防止するため、ボールはジルコニウム製、強化アルミナ製、アルミナ製であることが好ましい。
また、粉砕機10から反応槽20へのボールの混合を防ぐため、必要に応じて粉砕機10又は第1の連結管50にボールと原料及び溶媒を分離するフィルタを設けてもよい。

0066

粉砕機での粉砕温度は、例えば20℃以上80℃以下であり、好ましくは20℃以上60℃以下である。粉砕機での処理温度が20℃未満の場合、製造に要する反応時間を短縮する効果が小さくなるおそれがある。一方、粉砕機での処理温度が80℃超の場合、容器、ボールの材質であるジルコニア、強化アルミナ、アルミナの強度低下が著しく起こるため、容器、ボールの磨耗、劣化や、固体電解質ガラスへの異物混入が生じるおそれがある。

0067

反応槽20は、原料を反応させ、固体電解質ガラスを製造することができるものであればどのような反応槽でもよい。通常、反応槽は、容器と、攪拌機等の混合手段、冷却手段を有する。混合手段は、容器内の原料と溶媒からなるスラリーを混合し、スラリーが沈殿しないようにする。冷却手段は、蒸発した溶媒を冷却して容器に戻す。

0068

容器22は、金属製又はガラス製であることが好ましい。溶媒の沸点以上の反応温度で反応する場合には耐圧仕様の容器を用いることが好ましい。
容器22内の反応温度は、例えば60℃以上300℃以下であり、好ましくは80℃以上200℃以下である。容器内の反応温度が60℃未満の場合、ガラス化反応に時間がかかり生産効率が十分ではないおそれがある。一方、容器内の反応温度が300℃を超える場合、好ましくない結晶が析出する場合がある。

0069

反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生するおそれがある。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つとよい。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。

0070

炭化系水素溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.05Kg以上、より好ましくは0.5Kg以下、特に好ましくは0.1Kg以上0.3Kg以下である。

0071

(vii)メカニカルミリング法と接触法の交互実施
メカニカルミリング法と接触法の交互実施は、原料をメカニカルミリング処理する工程と、原料を溶媒中で接触させる接触工程とを含み、当該メカニカルミリング処理工程及び当該接触工程を交互に繰り返し行う方法である。

0072

メカニカルミリング処理工程は、MM法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。また、メカニカルミリング処理工程の温度は、改良スラリー法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。

0073

接触工程については、改良スラリー法で例示した接触手段を用いることができる。また、接触工程の温度は、改良スラリー法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。

0074

上述したメカニカルミリング処理工程と接触工程を、交互に繰り返して行う。繰り返し回数は、2回以上100回以下が好ましい。より好ましくは繰り返し回数が5回以上100回以下であり、さらに好ましくは、10回以上100回以下である。

0075

以上、固体電解質ガラスの製造方法を説明したが、上述の製造方法のいずれの場合であっても、原料を混ぜる順番(接触させる順番)は特に限定されず、最終的な固体電解質ガラスの組成が上記式(1)を満たす範囲にあればよい。
例えば原料がNa2S、P2S5及びNaBrである場合、メカニカルミリング法であれば、原料のNa2S、P2S5及びNaBrとを全て混合した上でミリングしてもよく;Na2SとP2S5とをミリングした後、NaBrを加えさらにミリングしてもよく;NaBrとP2S5をミリング後、Na2Sを加えさらにミリングしてもよく;Na2SとNaBrとをミリング後、P2S5を加えてさらにミリングしてもよい。また、Na2SとNaBrを混合しミリング処理した混合物と、NaBrとP2S5を混合しミリングした混合物を混ぜ合わせた上でさらにミリング処理を行ってもよい。
上記の他、2回以上混合処理を行う場合、2種以上の異なる方法を組み合わせてもよい。
固相法であれば、Na2SとP2S5をメカニカルミリングで処理した上でNaBrを混合した後、固相法で処理しもよく、Na2SとLiBrを固相法で処理を行ったものとP2S5とNaBrとを溶融急冷処理を行ったものを混合し、スラリー法を行うことで固体電解質(ガラス)を製造してもよい。

0076

(3)結晶化固体電解質の製造方法
結晶化固体電解質(固体電解質ガラスセラミック)は、上記非晶質固体電解質(固体電解質ガラス)を加熱処理することにより得られる。加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
さらに、溶媒中で加熱してもよい。

0077

加熱温度は、好ましくは、固体電解質ガラスのガラス転移温度(Tg)以上、固体電解質ガラスの結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質ガラスのTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質ガラスセラミック中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。また、熱物性中に2つの温度ピークがある場合は低温側のピーク温度をこの場合のTcとし、低温側のTcと高温側の第二結晶化ピークと(Tc2)の間で熱処理することが好ましい。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。

0078

固体電解質ガラスの結晶化温度は、例えば熱重量測定装置メトラートレド社製TGA/DSC1)を使用し、固体電解質ガラス約20mgを、昇温速度10℃/分で加熱することにより測定することで特定できる
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することあり、熱処理する昇温速度に近い速度での測定でのTcを基準に選ぶ必要がある。

0079

加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
加熱時間が0.005分未満だと、固体電解質ガラスセラミックが固体電解質ガラスを多く含み、イオン伝導度が低くなるおそれがある。一方、加熱時間が10時間超であると、固体電解質ガラスセラミック中に不純物等が発生する場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。

0080

[固体電解質の第2の製造方法]
固体電解質の第1の製造方法の他、以下の第2の製造法方法によっても本発明の固体電解質)を製造することができる。
第2の製造方法は、第1の製造方法の過程で得られる固体電解質ガラスに、さらに、ハロゲン化合物を添加して、所定温度及び所定時間加熱して結晶化する方法である。
固体電解質ガラスとハロゲン化合物は、MM処理等により混合しておくことが好ましい。使用できる材料、固体電解質ガラスの製造方法、固体電解質ガラスにハロゲン化合物を添加した混合材料の加熱時間、加熱温度等は第1の製造方法の結晶化と同様である。

0081

尚、第2の製造方法において、固体電解質ガラスの原料として使用するハロゲン化合物の量と、固体電解質ガラスに添加するハロゲン化合物の合計量は、第1の製造方法における固体電解質ガラスの原料として使用するハロゲン化合物の量と同様である。固体電解質(ガラス)の原料であるハロゲン化合物と、固体電解質ガラスに添加するハロゲン化合物との割合は特に限定しない。

0082

[固体電解質の第3の製造方法]
上記の固体電解質の第1及び第2の製造方法の他、以下の第3の製造法方法によっても本発明の固体電解質(固体電解質ガラスセラミック)を製造することができる。
第3の製造方法は、ハロゲン化合物を使用せずにハロゲン元素を含まない固体電解質ガラスを製造し、当該ハロゲン元素を含まない固体電解質ガラスとハロゲン化合物を所定温度で所定時間加熱処理して結晶化することにより固体電解質(固体電解質ガラスセラミック)を製造する。
使用できる材料、固体電解質ガラスの製造方法、結晶化条件等は第1の製造方法と同様である。

0083

第3の製造方法に用いる固体電解質ガラスは、好ましくは下記式(1’)で表わされる固体電解質ガラスである。
LaPcSd …(1’)
(L、P、S、a、c及びdは、式(1)と同様である。)

0084

式(1’)で表わされる化合物は、式(3)で表わされる化合物と、硫化燐、硫黄及び燐、硫化燐及び硫黄、並びに硫化燐、硫黄及び燐から選択されるいずれか1つを用いることにより製造できる。

0085

第3の製造方法に用いるハロゲン元素を含まない固体電解質ガラスの原料として硫化ナトリウムと五硫化二燐を用いる場合、硫化ナトリウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、例えば60:40〜90:10であり、好ましくは65:35〜85:15又は70:30〜90:10であり、より好ましくは67:33〜83:17又は72:28〜88:12であり、さらに好ましくは67:33〜80:20又は74:26〜86:14であり、特に好ましくは70:30〜80:20又は75:25〜85:15であり、最も好ましくは72:28〜78:22、又は77:23〜83:17である。

0086

固体電解質ガラスとハロゲン化合物の使用割合(モル比)は、例えば50:50〜99:1であり、好ましくは55:45〜97:3又は70:30〜98:2であり、より好ましくは60:40〜96:4又は80:10〜98:2であり、さらに好ましくは70:30〜96:4又は80:20〜98:2であり、最も好ましくは、85:15〜97:3である。
尚、第3の製造方法で用いる固体電解質ガラスとハロゲン化合物は、MM処理等により混合してから加熱処理することが好ましい。

0087

電池構成材料
本発明の固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有するため、全固体電池固体電解質層等として特に好適に用いることができる。
本発明の固体電解質は、バインダー結着剤)、正極活物質負極活物質、導電助剤、上記ハロゲン化合物、有機溶媒等と混合して、固体電解質組成物として使用してもよい。
固体電解質組成物は、正極、電解質層、負極等、電池構成材料として、及び電池を構成する部材(層)を形成するための材料として使用できる。

0088

バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリフッ化ビニリデンPVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂ポリプロピレンポリエチレン等の熱可塑性樹脂エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、セルロース系バインダースチレンブタジエンゴムSBR)の水分散体等の水系バインダーを用いることもできる。

0089

正極活物質としては、ナトリウムイオンをドープかつ脱ドープすることができる化合物であれば特に限定されず、好ましくは無機化合物である正極活物質である。
硫化物系正極活物質では、硫黄(S)、硫化チタン(TiS2),硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS,FeS2)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni3S2)等が挙げられ、好ましくはTiS2である。
酸化物系正極活物質では、酸化ビスマス(Bi2O3)、鉛酸ビスマス(Bi2Pb2O5)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V6O13)等が挙げられる。
ナトリウム無機化合物である正極活物質では、NaFeO2、NaMnO2、NaNiO2、NaCoO2等のNaM1aO2で表される酸化物;Na0.44Mn1−aM1aO2で表される酸化物;Na0.7Mn1−aM1aO2.05で表される酸化物(M1は1種以上の遷移金属元素、0≦a<1)、Na6Fe2Si12O30、Na2Fe5Si12O30等のNabM2cSi12O30で表される酸化物(M2は1種以上の遷移金属元素、2≦b≦6、2≦c≦5);Na2Fe2Si6O18、Na2MnFeSi6O18等のNadM3eSi6O18で表される酸化物(M3は1種以上の遷移金属元素、3≦d≦6、1≦e≦2)、Na2FeSiO6等のNafM4gSi2O6で表される酸化物(M4は遷移金属元素、Mg及びAlからなる群より選ばれる1種以上の元素、1≦f≦2、1≦g≦2)、NaFePO4、Na3Fe2(PO4)3等のリン酸塩;NaFeBO4、Na3Fe2(BO4)3等のホウ酸塩;Na3FeF6およびNa2MnF6等のNahM5F6で表されるフッ化物(M5は1種以上の遷移金属元素、2≦h≦3)等が挙げられる。

0090

正極活物質の形状としては、粒子形状を挙げることができ、好ましくは真球状叉は楕円球状である。
正極活物質が粒子状である場合は、その平均粒径は、好ましくは0.1〜100μmの範囲内であり、より好ましくは、1〜50μmの範囲、特に好ましくは、1〜25μmの範囲である。正極活物質粒子の平均粒径が上記範囲を逸脱すると、稠密な正極活物質層が得られない場合がある。

0091

負極活物質としては、ナトリウムイオンをドープかつ脱ドープすることができる物質であれば特に限定されず、ナトリウム金属ナトリウム合金炭素材料等を用いることができる。
ナトリウム合金としては、Na−Sn、Na−Zn、Na−Al等を挙げることができる。
炭素材料としては、人造黒鉛黒鉛炭素繊維樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素コークスメソカーボンマイクロビーズMCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセンピッチ系炭素繊維気相成長炭素繊維天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素が挙げられる。又はその混合物でもよい。炭素材料は、好ましくは人造黒鉛である。

0092

導電助剤は、導電性を有していればよく、当該導電助剤の導電率は、好ましくは1×103S/cm以上であり、より好ましくは1×105S/cm以上である。
導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム白金、ベリリウム、イリジウムモリブデンニオブオスニウム、ロジウムタングステン及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
特に導電助剤の炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラックアセチレンブラックデンカブラックサーマルブラックチャンネルブラック等のカーボンブラック黒鉛炭素繊維活性炭等が挙げられる。これらは単独でも2種以上でも併用可能である。
上記の導電助剤のなかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。

0093

[全固体電池]
本発明の全固体電池は、上記固体電解質組成物を用いることにより製造することができる。
本発明の電池は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが、本発明の固体電解質を含む。各層の製造は、公知の方法により製造することができる。
尚、上述した固体電解質ガラス(電解質前駆体)を用いて正極層、負極層又は電解質層を製造する場合には、電解質前駆体を用いて層を形成後、上記所定の加熱条件により加熱して本発明の電池を製造することもできる。

0094

本発明の他の電池は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが、本発明の固体電解質及び電解質組成物の少なくとも1つを用いて製造された電池である。
正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが本発明の固体電解質又は電解質組成物を用いて製造されておればよく、その他については、上記本発明の電池と同様である。
以下、本発明の電池の各層について説明する。

0095

[固体電解質層(固体電解質シート)]
本発明の電解質層(固体電解質シート)は、本発明の固体電解質及び固体電解質組成物の少なくとも一方を含む。本発明の固体電解質の他に、使用目的に応じて、上述したバインダー等を含有していてもよく、他の電解質(ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、電解質前駆体)を含んでいてもよい。

0096

固体電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。ここで、融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の個体電解質粒子一体化することを意味する。
また、固体電解質層は、固体電解質の板状体であってもよい。尚、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
固体電解質層の厚さは、目的とする全固体電池の種類によって適宜選択すればよいが、通常、1μm〜500μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、10〜300μmであり、特に好ましくは、20〜150μmである。

0097

固体電解質層は、例えば本発明の固体電解質、バインダー及び溶媒を含むスラリーを塗布することで製造できる。また、粒状の固体電解質を用いて静電スクリーン印刷法により製造してもよい。

0098

[正極層]
本発明の固体電解質及び正極活物質を含む正極層における、正極活物質の含有量は、50〜90重量%の範囲であることが好ましく、60〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。
正極層に用いる固体電解質は、固体電解質ガラスセラミック、固体電解質ガラス、又はこれらの混合物が使用でき、加圧・加熱して電池を成形する場合は、固体電解質ガラスである方がよい。また、正極層は、上記導電助剤、バインダーを含んでもよい。

0099

正極層の厚さは、目的とする全固体電池の種類によって適宜選択すればよいが、通常、1μm〜500μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、10〜300μmであり、特に好ましくは、20〜150μmである。

0100

正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法静電スクリーン法等)により製造することができる。

0101

[負極層]
本発明の固体電解質及び負極活物質を含む負極層における、負極活物質の含有量は、50〜90重量%の範囲であることが好ましく、60〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。
負極層に用いる固体電解質は、固体電解質ガラスセラミック、固体電解質ガラス、又はこれらの混合物が使用でき、加圧・加熱して電池を成形する場合は、固体電解質ガラスである方がよい。また、負極層は、上記導電助剤、バインダーを含んでもよい。
負極層の厚み及び製造法は、正極層と同様である。

0102

集電体
本発明の電池は、正極層、電解質層及び負極層の他に集電体を使用することが好ましい。集電体は公知のものを用いることができる。例えば、Au、Pt、Al、Ti、又は、Cu等のように、硫化物系固体電解質と反応するものをAu等で被覆した層が使用できる。

0103

比較例1
硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.650g(0.00833mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)を0.618g(0.00278mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(85rpm)にして硫化ナトリウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。
このメカニカルミリング処理をした白黄色の粉体X線測定により評価した結果、ガラス化していることが確認でき、非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5=75/25、MM法)が得られたことを確認した。この固体電解質前駆体のイオン伝導度は1.0×10−5S/cmであった。

0104

尚、イオン伝導度は、以下の方法で評価した。
試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm2)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形し、その試料片の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
本実施例では、リードの距離を約60cmとして測定した。

0105

比較例2
比較例1で得られた固体電解質前駆体を、280℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は2.0×10−4S/cmであった。X線回折測定の結果、立方晶Na3PS4構造であることが確認され、得られた固体電解質は、固体電解質ガラスセラミックであることが確認された。

0106

実施例1
原料として、比較例1で得られた固体電解質前駆体0.843g、及びヨウ化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.156gを用いた他は比較例1と同様にして、非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaI=63/21/16、MM法)を製造した。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは2.5×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を200℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は8.0×10−4S/cmであった。

0107

実施例2
原料として、硫化ナトリウム0.507g(0.0065mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.482g(0.00217mol)、よう化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.221g(0.00165mol)を用いた他は、実施例1と同様にして非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaI=63/21/16、MM法)を製造した。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは2.7×10−5S/cmであった
得られた非晶質固体電解質を200℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は7.5×10−4S/cmであった。

0108

実施例3
原料として、硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.566g(0.00725mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)、臭化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)を良く混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内にアルゴンを充填し、アルゴン雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化ナトリウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行い、白黄色の粉体である電解質前駆体(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaBr=64/21/14、MM法)を得た。この電解質前駆体の室温におけるイオン伝導度σは2.8×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を、200℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は1.0×10−3S/cmであった。

0109

実施例4
原料として、硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.512g(0.00657mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.482g(0.00217mol)、臭化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.220g(0.00253mol)を用いた他は、実施例3と同様にして非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaBr=58/19/23、MM法)を製造した。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは3.0×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を、200℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は1.3×10−3S/cmであった。

0110

実施例5
原料として、硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.459g(0.00588mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.431g(0.00194mol)、臭化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.302g(0.00348mol)を用いた他は、実施例3と同様にして固体電解質前駆体(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaBr=52/17/31、MM法)を製造した。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは3.1×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を、200℃で2時間、加熱処理し結晶化固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は1.2×10−3S/cmであった。

0111

実施例6
原料として、硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.603g(0.00773mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.574g(0.00258mol)、塩化ナトリウム(アルドリッチ社製)0.072g(0.00175mol)を用いた他は、実施例3と同様にして非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/NaCl=64/21/14、MM法)を製造した。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは1.5×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を、200℃で2時間、加熱処理して結晶化し、固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は0.6×10−3S/cmであった。

0112

実施例7
アルゴン雰囲気下において硫化ナトリウム(高純度化学研究所製)を0.658g(0.00844mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.471g(0.00212mol){Li2S/P2S5=80/20(mol/mol)}となるように混合し、さらに三臭化リン0.160g(0.00058mol)を滴下しよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのアルミナ製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)をアルミナ製ポットに投入しアルゴン雰囲気のまま完全密閉した。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンと三臭化リンとを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行い、粉体である非晶質固体電解質(硫化物系ガラス:Na2S/P2S5/PBr3=76/19/5、MM法)を得た。この非晶質固体電解質の室温におけるイオン伝導度σは3.2×10−5S/cmであった。
得られた非晶質固体電解質を、200℃で2時間、加熱処理して結晶化し固体電解質を得た。加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は1.5×10−3S/cmであった。

0113

比較例1−2及び実施例1−7の結果を下記表1にまとめる。尚、比較例1及び実施例5については、下記方法により、硫化水素濃度平均値を評価した。

0114

[硫化水素濃度平均値(ppm)の測定]
図2に示す測定装置を使用した。
測定試料を、露点−80℃の環境の窒素グローボックス内にて乳鉢でよく粉砕した。測定試料0.1gを100mlシュレンク瓶内に封入した。
次に、シュレンク瓶内に一旦水中に通した空気(ウェットエア)を500ml/分で流通させた。ウェットエアの温度は25℃、湿度は80〜90%であった。
流通開始1分後〜1分45秒後の間にシュレンク瓶から排出されたガスを捕集して第一サンプルガスとし、三菱化学アナリテック製TS−100を用いて、紫外蛍光法により硫黄分を定量して、サンプルガスの硫化水素濃度を算出した。尚、サンプルガスをアジレント6890(硫黄選択検出器(SIEVERS355)付)を用いてガスクロマトグラフにて定性分析したところ、硫黄分はその99%以上硫化水素ガスになっていることを確認した。
流通開始5分後〜5分45秒後、流通開始10分後〜10分45秒後、流通開始20分後〜20分45秒後、流通開始60分後〜60分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスについても、第一サンプルガスと同様に測定した。
硫化水素濃度と測定時間から硫化水素濃度平均値(ppm)を求めた。

実施例

0115

0116

本発明の固体電解質は、電池の電解質層、電極層に用いることができる。

0117

1、2製造装置
10粉砕機(力学的エネルギー供与手段)
20反応槽(接触手段)
22容器
24撹拌翼
26冷却管
30ヒータ
40オイルバス
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54ポンプ(循環手段)
60熱交換器
11測定試料
12シュレンク瓶
13流量計
14水槽
15ガス採集部
16 トラップ

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