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図面 (20)

課題

転舵制御装置による転舵輪転舵制御が不十分となったときに直進性を確保してフェイルセーフ機能を発揮する。

解決手段

車両用転舵装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、転舵制御装置による転舵輪の転舵制御が不十分となったときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方について、キングピン軸ピボット点を、キングピン軸を後傾させるピボット点移動部を備えている。

概要

背景

従来、車両用サスペンション装置では、キングピン軸の設定によって、目的とするサスペンション性能の実現を図っている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、アクスルキャリア車軸の下側および上側で互いに2本のI型アームで構成されるロアアームおよびアッパーアームを同一点で支持してキングピンを構成する上下ピボット点転舵時における車両前後方向の動きを抑制するリンク配置とすることにより、操縦性・安定性を向上させることとしている。

また、例えば、特許文献2に記載の技術では、アクスルキャリアの車軸の下側および上側に、互いに交差する2本のアームで構成されるロアトランスバースリンクと2本のアームを共通のリンクベアリングで支持するアッパートランスバースリンクとを設け、ロアトランスバースリンクの2本のアームの交点で表される仮想ロアピボット点とアッパートランスバースリンクのリンクベアリングの中心で表されるアッパーピボット点とを結ぶキングピン軸がネガティブ傾角延長し路面との接地点転舵輪車幅方向内側となるようにしている。

概要

転舵制御装置による転舵輪の転舵制御が不十分となったときに直進性を確保してフェイルセーフ機能を発揮する。車両用転舵装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、転舵制御装置による転舵輪の転舵制御が不十分となったときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方について、キングピン軸のピボット点を、キングピン軸を後傾させるピボット点移動部を備えている。

目的

従来、車両用のサスペンション装置では、キングピン軸の設定によって、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ステアリングホイール操舵状態に応じてアクチュエータを作動させて転舵輪転舵制御する転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備え、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸ピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視後傾するように移動するピボット点移動部を備えていることを特徴とする車両用転舵装置

請求項2

ステアリングホイールの操舵状態に応じてアクチュエータを作動させて転舵輪を転舵する転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備え、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、前記ロアリンク構造のロアピボット点と前記アッパーリンク構造のアッパーピボット点とを通るキングピン軸を前記ステアリングホイールの中立位置でタイヤ接地面内を通るように設定し、前記転舵制御装置は、前記アクチュエータを作動させて前記転舵輪にセルフアライニング用の復元力を発生するように当該転舵輪を転舵制御して前記サスペンション装置直進性担保し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を備えていることを特徴とする車両用転舵装置。

請求項3

ステアリングホイールの操舵状態に応じてステアリングホイールと機械的に分離された転舵輪を、アクチュエータを作動させて転舵制御するステアバイワイヤシステムからなる転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備え、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を備えていることを特徴とする車両用転舵装置。

請求項4

ステアリングホイールの操舵状態に応じてステアリングホイールと機械的に分離された転舵輪を、アクチュエータを作動させて転舵するステアバイワイヤシステムからなる転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備え、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、前記ロアリンク構造のロアピボット点と前記アッパーリンク構造のアッパーピボット点とを通るキングピン軸を前記ステアリングホイールの中立位置でタイヤ接地面内を通るように設定し、前記転舵制御装置は、前記アクチュエータを作動させて前記転舵輪にセルフアライニング用の復元力を発生するように当該転舵輪を転舵制御して前記サスペンション装置の直進性を担保し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のピボット点を、キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を設けたことを特徴とする車両用転舵装置。

請求項5

前記ピボット点移動部は、前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、少なくとも前記転舵輪が直進走行状態から転舵状態となったときに、前記ピボット点を移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項6

前記ロアリンク構造は、互いに交差する第1のリンク部材および第2のリンク部材を有し、前記ピボット点移動部は、前記第1のリンク部材及び第2のリンク部材の交点で表される仮想ロアピボット点を、転舵輪の転舵時に少なくとも車両前後方向前方に移動させるリンク配置とされていることを特徴とする請求項5に記載の車両用転舵装置。

請求項7

前記アッパーリンク構造は、第1のアッパーリンク部材および第2のアッパーリンク部材を有し、前記ピボット点移動部は、前記第1のアッパーリンク部材および前記第2のアッパーリンク部材の仮想アッパーピボット点を、転舵輪の転舵時に少なくとも車両前後方向後方に移動させるリンク配置とされていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用転舵装置。

請求項8

前記ピボット点移動部は、前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、少なくとも前記転舵輪が直進走行状態から転舵状態となり、且つ制動状態となったときに、前記ピボット点を移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項9

前記アッパーリンク構造は、前記第1のアッパーリンク部材がトランスバースリンク部材で構成され、前記第2のアッパーリンク部材がコンプレッションリンク部材で構成され、前記第2のアッパーリンク部材の車体側連結点剛性が前記第1のアッパーリンク部材の車体側連結点の剛性より小さく設定されていることを特徴とする請求項8に記載の車両用転舵装置。

請求項10

前記ピボット点移動部は、前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ピボット点を強制的に移動させるピボット点強制移動部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項11

前記転舵制御装置は、コンプライアンスステア推定して転舵輪の変位補正を行う転舵角制御部を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項12

前記転舵制御装置は、前記サスペンション装置の直進性を担保する直進性担保部を備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の車両用転舵装置。

請求項13

前記直進性担保部は、セルフアライニングトルクを推定して前記サスペンション装置の直進性を担保することを特徴とする請求項12に記載の車両用転舵装置。

請求項14

前記転舵制御装置は、前記ステアリングホイールを中立位置から操舵を開始したときに、前記直進性担保部による直進性担保制御を調整して初期転舵応答性を前記サスペンション装置自体の転舵応答性に設定する転舵応答性設定部を備えていること特徴とする請求項12または13に記載の車両用転舵装置。

請求項15

前記転舵制御装置は、少なくとも前記ステアリングホイールを中立位置から操舵を開始したときに、初期転舵状態では、前記サスペンション装置自体の転舵応答性で高い転舵応答性を設定し、前記初期転舵状態を経過した転舵状態であるときに、前記直進性担保部による直進性担保制御によって必要とする転舵応答性を設定する転舵応答性設定部を備えていること特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項16

前記転舵応答性設定部は、前記ステアリングホイールを中立位置から操舵したときに、前記直進性担保部による直進性担保制御を遅らせる遅延制御部を備えていることを特徴とする請求項15に記載の車両用転舵装置。

請求項17

前記遅延制御部は、前記直進性担保部による直進性担保制御の開始を調整するゲイン調整部を有することを特徴とする請求項16に記載の車両用転舵装置。

請求項18

前記遅延制御部は、直進性担保部による直進性担保制御を前記ステアリングホイールが中立位置を保持している状態から右または左に操舵した操舵開始タイミングから0.1秒遅延させた後に開始させることを特徴とする請求項16または17に記載の車両用転舵装置。

請求項19

前記転舵制御装置は、操舵角に応じた目標転舵角演算する目標転舵角演算部と、該目標転舵角演算部で演算した目標転舵角に前記直進性担保部の直進性担保制御値を加える加算器と、該加算器の加算出力と前記転舵アクチュエータを構成する転舵モータ回転角度とを一致させるモータ指令電流を形成する転舵モータ制御部と、前記モータ指令電流に一致する前記転舵モータに供給するモータ駆動電流を形成する電流制御部とを備えていることを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項20

前記転舵制御装置は、少なくとも前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、前記転舵アクチュエータによる前記転舵輪の転舵動作を検出する転舵動作検出部と、前記操舵角検出部で検出した操舵角及び前記転舵動作検出部で検出した転舵動作を監視して異常判定を行い、異常と判定したときに前記転舵アクチュエータの制御を停止する異常制御部とを備えていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の車両用転舵装置。

請求項21

前記転舵制御装置は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、前記転舵アクチュエータによる前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出部と、前記操舵角及び前記転舵角の偏差所定値以上であるときに異常と判定して前記転舵アクチュエータの制御を停止する異常制御部を備え、前記異常制御部は、異常と判定したときに前記ピボット点強制移動部を作動させることを特徴とする請求項10に記載の車両用転舵装置。

技術分野

0001

本発明は、転舵輪を支持する車両用サスペンション装置と、転舵輪を転舵制御するステアバイワイヤシステムと備えた車両用転舵装置に関する。

背景技術

0002

従来、車両用サスペンション装置では、キングピン軸の設定によって、目的とするサスペンション性能の実現を図っている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、アクスルキャリア車軸の下側および上側で互いに2本のI型アームで構成されるロアアームおよびアッパーアームを同一点で支持してキングピンを構成する上下ピボット点転舵時における車両前後方向の動きを抑制するリンク配置とすることにより、操縦性・安定性を向上させることとしている。

0003

また、例えば、特許文献2に記載の技術では、アクスルキャリアの車軸の下側および上側に、互いに交差する2本のアームで構成されるロアトランスバースリンクと2本のアームを共通のリンクベアリングで支持するアッパートランスバースリンクとを設け、ロアトランスバースリンクの2本のアームの交点で表される仮想ロアピボット点とアッパートランスバースリンクのリンクベアリングの中心で表されるアッパーピボット点とを結ぶキングピン軸がネガティブ傾角延長し路面との接地点が転舵輪の車幅方向内側となるようにしている。

先行技術

0004

特開2010−126014号公報
国際公開第2009/062823号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、車両の走行中に転舵を行った場合、走行速度に応じた横力タイヤ接地点に入力するところ、特許文献1に記載の技術では、この横力による影響を考慮していない。さらに、旋回時に制動を行った場合、横力に加えて車輪に車両前後方向の力(後方向きの力)が作用するところ、その前後力が及ぼすリンクの変化についても考慮する必要がある。

0006

ところで、特許文献2に記載の技術のように、2本のアームでロアトランスバースリンクを構成する場合、2本のアームを交差させるクロスリンク構造とすることで、両者の交点を仮想ピボット点とすることができる。このとき、一般に、スクラブ半径は大きくなり、キングピン傾角は小さくなることから、転舵時のラック軸力を低減させることができる。

0007

しかし、ロアリンクの仮想ピボット点は転舵により逐次変化することから、転舵時に所望のスクラブ半径、キングピン傾角を得ることが困難となる。特に、特許文献2に記載の技術では、キングピン軸が車両の前方側から見たときに上方では転舵輪の車幅方向内側端部を通り、下方では転舵輪の車幅方向内側となるキングピン傾角となることから、転舵輪を転舵させたとき、タイヤ接地面積が小さく、車両の安定限界が低い。

0008

一方、ステアリングホイール操舵状態に応じて当該ステアリングホイールと分離された転舵輪の転舵を制御するステアバイワイヤシステムを備えた車両用転舵装置では、ステアバイワイヤシステムで転舵輪の転舵を制御する場合に、車両用サスペンション装置では車両の直進性に比較して転舵応答性重視するようにしており、ステアバイワイヤシステムに異常が生じたときに車両用サスペンション装置の直進性が低下したままとなる。
本発明の課題は、車両用サスペンション装置において、転舵制御装置による転舵輪の転舵制御が不十分となったときに直進性を確保してフェイルセーフ機能を発揮するようにしたものである。

課題を解決するための手段

0009

以上の課題を解決するため、本発明に係る車両用サスペンション装置は、ステアリングホイールの操舵状態に応じてアクチュエータを作動させて転舵輪を転舵制御する転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備えている。そして、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有する。さらに、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視後傾するように移動するピボット点移動部を備えている

発明の効果

0010

本発明によれば、転舵制御装置での転舵輪の転舵制御が不十分となって直進性が低下する状態で、ロアリンク構造およびアッパーリンク構造の少なく一方のキングピン軸のピボット点を移動させて、転舵輪の転舵時にキングピン軸を後傾させるので、直進性を確保することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。

図面の簡単な説明

0011

第1実施形態に係る自動車1の構成を示す概略図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す斜視図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す平面図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す正面図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す側面図である。
サスペンション装置1Bのロアリンク構造を模式的に示す(a)部分平面図(左前輪)および(b)タイヤ接地面右前輪)を示す図である。
サスペンション装置1Bの構成を示す模式図であって、(a)はアッパーリンク構造を示す模式図、(b)はロアリンク構造を示す模式図である。
ロアリンク構造を示す模式図であって、(a)はパラレルリンク構造の仮想ロアピボット点の移動方向を示し、(b)はクロスリンク構造の仮想ロアピボット点の移動方向を示す。
転舵時におけるラックストロークとラック軸力との関係を示す図である。
転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡を示す図である。
キングピン傾角とスクラブ半径とを軸とする座標において、ラック軸力の分布の一例を示す等値線図である。
ロアリンク部材が交差していないテンション型のサスペンション装置および本発明の場合におけるトー角とスクラブ半径との関係を示す図である。
キングピン軸の路面着地点と横力との関係を示すグラフである。
サスペンション装置1Bと比較例とにおける(a)横力コンプライアンスステアおよび(b)横剛性を示す図である。
サスペンション装置1Bと比較例とにおける前後力コンプライアンスステアを示す図である。
図1の転舵制御装置の具体的構成を示すブロック図である。
セルフアライニングトルク推定するための発生トルク制御マップを示す図である。
サスペンション装置の特性を示す図であって、(a)はキャスタ角応答性及び安定性との関係を示す図、(b)はキャスタトレイルと横力低減代および直進性との関係を示す図である。
転舵応答特性を示す図であって、(a)は車両の応答特性の変化を示す特性線図、(b)は制御特性の切換タイミングを示す図である。
転舵制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
異常判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
本発明の第2の実施形態の具体的構成を示す斜視図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す平面図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す正面図である。
サスペンション装置1Bの構成を模式的に示す側面図である。
本発明の第2実施形態のアッパーリンク構造およびロアリンク構造を示す模式図である。
サスペンション装置1Bの構成を示す模式図であって、(a)はアッパーリンク構造を示す模式図、(b)はロアリンク構造を示す模式図である。
図27(a)の拡大図である。
本発明の第3実施形態を示す模式図である。
コンプレッションリンクの車体側支持構造を示す図である。
第3実施形態に適用し得る異常判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
第3実施形態の動作の説明に供する模式図であって、(a)はアッパーリンク構造を示す、(b)はロアリンク構造を示す。
図32(a)の拡大図である。
本発明の第4実施形態を示す概略構成図である。
転舵制御装置CTの具体的構成を示すブロック図である。
サスペンション装置の特性を示す図であって、(a)はキャスタ角と応答性及び安定性との関係を示す図、(b)はキャスタトレイルと横力低減代及び直進性との関係を示す図である。

実施例

0012

以下、図を参照して本発明を適用した自動車の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車1の構成を示す概略図である。
図1において、自動車1は、車体1Aと、ステアリングホイール2と、入力側ステアリング軸3と、操舵角センサ4と、操舵トルクセンサ5と、操舵反力アクチュエータ6と、操舵反力アクチュエータ角度センサ7と、転舵アクチュエータ8と、転舵アクチュエータ角度センサ9と、出力側ステアリング軸10と、転舵トルクセンサ11と、ピニオンギヤ12と、ピニオン角度センサ13と、ステアリングラック部材14と、タイロッド15と、タイロッド軸力センサ16と、車輪17FR,17FL,17RR,17RLと、車両状態パラメータ取得部21と、車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLと、コントロール駆動回路ユニット26と、メカニカルバックアップ27とを備えている。

0013

ステアリングホイール2は、入力側ステアリング軸3と一体に回転するよう構成され、運転者による操舵入力を入力側ステアリング軸3に伝達する。
入力側ステアリング軸3は、操舵反力アクチュエータ6を備えており、ステアリングホイール2から入力された操舵入力に対し、操舵反力アクチュエータ6による操舵反力を加える。

0014

操舵角センサ4は、入力側ステアリング軸3に備えられ、入力側ステアリング軸3の回転角度(即ち、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力角度)を検出する。そして、操舵角センサ4は、検出した入力側ステアリング軸3の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
操舵トルクセンサ5は、入力側ステアリング軸3に設置してあり、入力側ステアリング軸3の回転トルク(即ち、ステアリングホイール2への操舵入力トルク)を検出する。そして、操舵トルクセンサ5は、検出した入力側ステアリング軸3の回転トルクをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0015

操舵反力アクチュエータ6は、モータ軸と一体に回転するギアが入力側ステアリング軸3の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、ステアリングホイール2による入力側ステアリング軸3の回転に対して反力を付与する。
操舵反力アクチュエータ角度センサ7は、操舵反力アクチュエータ6の回転角度(即ち、操舵反力アクチュエータ6に伝達した操舵入力による回転角度)を検出し、検出した回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0016

転舵アクチュエータ8は、モータ軸と一体に回転するギアが出力側ステアリング軸10の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、出力側ステアリング軸10を回転させる。
転舵アクチュエータ角度センサ9は、転舵アクチュエータ8の回転角度(即ち、転舵アクチュエータ8が出力した転舵のための回転角度)を検出し、検出した回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0017

出力側ステアリング軸10は、転舵アクチュエータ8を備えており、転舵アクチュエータ8が入力した回転をピニオンギヤ12に伝達する。
転舵トルクセンサ11は、出力側ステアリング軸10に設置してあり、出力側ステアリング軸10の回転トルク(即ち、ステアリングラック部材14を介した車輪17FR,17FLの転舵トルク)を検出する。そして、転舵トルクセンサ11は、検出した出力側ステアリング軸10の回転トルクをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0018

ピニオンギヤ12は、ステアリングラック部材14に形成した平歯と噛合しており、出力側ステアリング軸10から入力した回転をステアリングラック部材14に伝達する。
ピニオン角度センサ13は、ピニオンギヤ12の回転角度(即ち、ステアリングラック部材14を介して出力される車輪17FR,17FLの転舵角度)を検出し、検出したピニオンギヤ12の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0019

ステアリングラック部材14は、ピニオンギヤ12と噛合するラックを有し、ピニオンギヤ12の回転を車幅方向の直線運動に変換する。本実施形態において、ステアリングラック部材14は、前輪の車軸よりも車両前方側に位置している。
タイロッド15は、ステアリングラック部材14の両端部と車輪17FR,17FLのナックルアームとを、ボールジョイントを介してそれぞれ連結している。

0020

タイロッド軸力センサ16は、ステアリングラック部材14の両端部に設置されたタイロッド15それぞれに設置してあり、タイロッド15に作用している軸力を検出する。そして、タイロッド軸力センサ16は、検出したタイロッド15の軸力をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
ここで、操舵反力アクチュエータ6、転舵アクチュエータ8、ピニオンギヤ12、ステアリングラック部材14、タイロッド15、コントロール/駆動回路ユニット26でステアバイワイヤシステムSBWが構成されている。

0021

車輪17FR,17FL,17RR,17RLは、タイヤホイールにタイヤを取り付けて構成したものであり、サスペンション装置1Bを介して車体1Aに設置してある。これらのうち、前輪(車輪17FR,17FL)は、ステアバイワイヤシステムSBWUによって駆動されるタイロッド15によってナックルアームが揺動することにより、車体1Aに対する車輪17FR,17FLの向きが変化する。

0022

車両状態パラメータ取得部21は、車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLから出力される車輪の回転速度を示すパルス信号を基に車速を取得する。また、車両状態パラメータ取得部21は、車速と各車輪の回転速度とを基に、各車輪のスリップ率を取得する。そして、車両状態パラメータ取得部21は、取得した各パラメータをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
車輪速センサ24FR,24FL,24RR,24RLは、各車輪の回転速度を示すパルス信号を、車両状態パラメータ取得部21およびコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。

0023

コントロール/駆動回路ユニット26は、自動車1全体を制御するものであり、各部に設置したセンサから入力する信号を基に、入力側ステアリング軸3の操舵反力、前輪の転舵角、あるいはメカニカルバックアップ27の連結について、各種制御信号を、操舵反力アクチュエータ6、転舵アクチュエータ8、あるいはメカニカルバックアップ27等に出力する。

0024

また、コントロール/駆動回路ユニット26は、各センサによる検出値を使用目的に応じた値に換算する。例えば、コントロール/駆動回路ユニット26は、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された回転角度を操舵入力角度に換算したり、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出された回転角度を車輪の転舵角に換算したり、ピニオン角度センサ13によって検出されたピニオンギヤ12の回転角度を車輪の転舵角に換算したりする。

0025

なお、コントロール/駆動回路ユニット26は、操舵角センサ4によって検出された入力側ステアリング軸3の回転角度、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された操舵反力アクチュエータ6の回転角度、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出された転舵アクチュエータ8の回転角度、および、ピニオン角度センサ13によって検出されたピニオンギヤ12の回転角度を監視し、これらの関係を基に、操舵系統におけるフェールの発生を検出することができる。そして、操舵系統におけるフェールを検出すると、コントロール/駆動回路ユニット26は、メカニカルバックアップ27に対し、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結させる指示信号を出力する。

0026

メカニカルバックアップ27は、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結し、入力側ステアリング軸3から出力側ステアリング軸10への力の伝達を確保する機構である。ここで、メカニカルバックアップ27に対しては、通常時には、コントロール/駆動回路ユニット26から、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結しない状態を指示している。そして、操舵系統におけるフェールの発生により、操舵角センサ4、操舵トルクセンサ5および転舵アクチュエータ8等を介することなく操舵操作を行う必要が生じた場合に、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結させる指示が入力する。
なお、メカニカルバックアップ27は、例えばケーブル式ステアリング機構等によって構成することができる。

0027

図2は、第1実施形態に係るサスペンション装置1Bを模式的に示す斜視図である。図3は、図2のサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す平面図である。図4は、図2のサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す正面図、図5図2のサスペンション装置1Bの構成を模式的に示す側面図である。図6は、図2のサスペンション装置1Bのロアリンク構造を模式的に示す(a)部分平面図(左前輪)および(b)タイヤ接地面(右前輪)を示す図である。

0028

図2から図6に示すように、サスペンション装置1Bは、ホイールハブ機構WHに取り付けられた車輪17FR,17FLを懸架するサスペンション装置であり、車輪17FR,17FLを回転自在に支持する車軸(アクスル)32を有するアクスルキャリア33、車体側の支持部から車体幅方向に配置されてアクスルキャリア33に連結する複数のリンク部材、およびコイルスプリング等のバネ部材34を備えている。

0029

複数のリンク部材は、ロアリンク構造を構成する第1ロアリンク部材としてのコンプレッションリンク(コンプレッションリンク部材)37と第2ロアリンク部材としてのテンションリンク(テンションリンク部材)38、アッパーリンク構造を構成する第1アッパーリンク部材としてのトランスバースリンク(トランスバースリンク部材)39と第2アッパーリンク部材としてのコンプレッションリンク(コンプレッションリンク部材)40と、タイロッド(タイロッド部材)15、ストラット(バネ部材34およびショックアブソーバ41)、およびスタビライザ42とから構成されている。

0030

ロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37とテンションリンク38は、車軸32より下方に位置する車体側の支持部とアクスルキャリア33の下端とを連結する。本実施形態において、コンプレッションリンク37とテンションリンク38とは、独立した部材からなるIアームとなっている。これらコンプレッションリンク37およびテンションリンク38は、車体側と各1箇所の支持部で連結し、アクスルキャリア33側と各1箇所の取り付け部で連結している。さらに、本実施形態におけるコンプレッションリンク37とテンションリンク38とは、互いに交差した状態で車体1Aとアクスルキャリア33とを連結する(以下、コンプレッションリンク37とテンションリンク38とが構成する仮想リンクの交点を適宜「仮想ロアピボット点PL」と称する。)。

0031

これらロアリンク構造のうち、コンプレッションリンク37は、車軸32に対して前方に傾斜(車輪側支持点CPLaが車軸32より後側で車体側支持点CPLbが車軸32より前側となる向きに配置)させて設置してある。また、テンションリンク38は、コンプレッションリンク37とは逆に車軸32に対して後方に傾斜(車輪側支持点TSLaが車軸32より後側、車体側支持点TSLbがより前側となる向きに配置)させて設置してある。

0032

このようなリンク配置を行う理由は以下を図6(b)について説明する。
旋回外輪となる転舵時にタイヤ接地中心点着力点)に車体の旋回外側に向かう遠心力が作用すると、この遠心力に抗するように旋回中心に向かう横力が発生する。この横力(車両内向きの力)が入力したとき、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaは車両外向きに移動し、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaは車両外向きに移動する。したがって、入力する横力に対して、車輪をトーアウト方向に向けるコンプライアンスステアを実現することができる。

0033

タイロッド15は、車軸32の下側に位置して、ステアリングラック部材14とアクスルキャリア33を連結し、ステアリングラック部材14は、ステアリングホイール2から入力した回転力操舵力)を伝達して転舵用の軸力を発生させる。従って、タイロッド15により、ステアリングホイール2の回転に応じてアクスルキャリア33に車幅方向の軸力が加わり、アクスルキャリア33を介して車輪17FR,17FLを転舵する。

0034

本実施形態に係るサスペンション装置1Bのロアリンク構造では、車両上面視において、タイロッド15の車輪側(アクスルキャリア33側)の支持点Xaがコンプレッションリンク37およびテンションリンク38の車輪側支持点CPLa,TSLaよりも車幅方向外側に位置している。また、タイロッド15の車体側支持点Xb(ステアリングラック部材14の端部との連結部となるボールジョイント位置)が、図2に示すように、車輪側支持点Xaよりも車両前後方向後側に位置している。なお、上述の通り、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaが車輪中心よりも車両前後方向前側、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaが車輪中心よりも車両前後方向後側に位置している。また、コンプレッションリンク37の車体側支持点CPLaがテンションリンク38の車輪側支持点TSLaよりも車両前後方向後側、テンションリンク38の車体側支持点TSbがコンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaよりも車両前後方向前側に位置している。

0035

このようなリンク配置としたため、車両前後方向の力が支配的な状況(比較的強い制動を行っている旋回制動時等)において、タイヤ接地点に入力した車両前後方向の力(車両後方向きの力)に対し、タイロッド15の車輪側支持点Xaは車体側支持点Xbを中心に回転して車両外向きに移動し、テンションリンク38の車輪側支持点TSaは車両内向きに移動する。また、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaは車両外向きに移動する。そのため、車輪をトーアウト方向に向けるコンプライアンスステアを実現することができる。即ち、車両の前後方向コンプライアンスステアを確保することができる。

0036

本願発明においては、図6(b)に示すように、上記サスペンション装置1Bのキングピン軸を、ステアリングホイール2が中立位置にある状態で、キングピン軸の路面との接地点がタイヤ接地面内に位置させている。また、キャスタトレイルがタイヤ接地面内に位置するよう設定している。より具体的には、本実施形態におけるサスペンション装置1Bでは、キャスタ角をゼロに近い値とし、キャスタトレイルがゼロに近づくようにキングピン軸を設定している。これにより、転舵時のタイヤ捻りトルクを低減でき、キングピン軸周りモーメントをより小さくすることができる。また、スクラブ半径はゼロ以上のポジティブスクラブとしている。これにより、転舵時のタイヤ横滑り角に対し、スクラブ半径分のキャスタトレイルが生じることから、直進性を確保することができる。

0037

また、本願発明においては、ロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37およびテンションリンク38は、互いに交差した状態で車体1Aとアクスルキャリア33下端を連結している。これにより、コンプレッションリンク37およびテンションリンク38が交差していない構造に比べて、初期キングピン傾角を小さくすることができると共に、初期スクラブ半径をポジティブスクラブ側に大きくすることができる。そのため、転舵時のタイヤ捻りトルクを小さくでき、転舵に要するラック軸力を低減できる。さらに、本願発明においては、転舵時に車輪に働く横力によって、仮想ロアピボット点PLが車体外側に移動するため、転舵応答性を高めることができ、直進性に比較して転舵応答性を重視したサスペンション構成とすることができる。

0038

(具体的構成例)
図7は本発明におけるサスペンション装置1Bのアッパーリンク構造を2本のリンク部材自体は交差せず、車輪側の延長線が交差するように構成し、ロアリンク構造を2本のリンク部材が互いに交差する構造とした例を示す模式図である。図7(a)はアッパーリンク構造、図7(b)はロアリンク構造をそれぞれ模式的に示す。
サスペンション装置1Bのロアリンク構造は、図7(b)に示すように、前述したロアリンク構造のコンプレッションリンク37およびテンションリンク38によって構成されている。

0039

クロスリンク構造のサスペンション装置において、2本のロアリンク部材を互いに交差させたダブルピボット方式とした場合、各ロアリンク部材は、車体側支持点を中心に車両前方に回転することで旋回外輪としての転舵が可能となる(一点鎖線図示の状態)。このとき、仮想ロアピボット点PLは、ロアリンク部材が交差する点となるが、この仮想ロアピボット点PLをロアリンク部材が交差していないサスペンション形式よりも車体車幅方向内側に形成できるため、初期スクラブ半径をポジティブスクラブ方向に大きくできる。具体的には、仮想ロアピボット点PLは、図7(b)で○印で示すように、転舵輪となる車輪17FLの車幅方向内側端よりは僅かに外側(車輪17FLの内側)で、車輪17FLの中心軸より僅かに車両後方側に設定されている。

0040

図7(b)に示すロアリンク構造では、転舵時におけるコンプレッションリンク37の回転角とテンションリンク38の回転角が略等しいため、仮想ロアピボット点PLは車両前後方向前側に移動する。この場合、車両平面視において、車両車幅方向におけるタイヤ中心線WCから仮想ロアピボット点PLまでの距離に着目すると、アッパーリンク構造を例えばAアーム等で構成した場合、仮想アッパーピボット点PUが平面視で略固定され、仮想ロアピボット点PLが車幅方向外側には殆ど移動しないので、ポジティブスクラブ状態を維持することができる。しかも、仮想ロアピボット点PLがタイヤ中心線よりも車両前後方向前側に移動すると、キャスタ角が大きくなってキャスタトレイルが増加し、直進性を確保することができる。

0041

したがって、ロアリンク構造を2本のリンク部材が互いに交差する構造に設定するサスペンション装置では、本発明を適用すると、旋回外輪としての転舵を行うことにより、スクラブ半径がポジティブスクラブ変化を抑制することができ、ロアリンク部材が交差していないサスペンション装置に比べて、ラック軸力値は小さく設定できる。

0042

ちなみに、ロアリンク部材が交差していない車輪側支持点の間隔に対して車体側支持点の間隔が大きい2本のIリンク37P及び38Pで構成され、且つリンク部材上では交差せず、車輪側の延長線が交差するパラレルリンク構造のサスペンション装置の場合、図8(a)に示すように、仮想ロアピボット点PLが両リンクの車輪側延長線の交点となるため、図8(b)のように2本のリンク部材を交差させたリンク構造とした場合に比較して、旋回外輪となる転舵時に仮想ロアピボット点PLが車両前後方向後側へ移動することになる。このため、キャスタ角がネガティブとなり、直進性が大きく低下するとともに、巻き込み現象が発生し、走行安定性が低下する。

0043

一方、アッパーリンク構造を構成するトランスバースリンク39およびコンプレッションリンク40は、図4及び図5に示すように、車軸32より上方に位置する車体側の支持部とアクスルキャリア33の上端とを互いに交差しない状態で連結する。本実施形態において、トランスバースリンク39とコンプレッションリンク40とは、独立した部材からなるIアームとなっている。

0044

これらトランスバースリンク39およびコンプレッションリンク40は、車体側と各1箇所の支持部で連結し、アクスルキャリア33側と各1箇所の取り付け部で連結している。さらに、本実施形態におけるトランスバースリンク39とコンプレッションリンク40とは、車体1Aとアクスルキャリア33とを連結する(以下、トランスバースリンク39とコンプレッションリンク40の車輪側延長線の交点を適宜「仮想アッパーピボット点PU」と称する。)。

0045

これらアッパーリンク構造のうち、トランスバースリンク39は、車軸と略平行に設置してあり、車両平面視において、トランスバースリンク39の車輪側支持点TBHaは、車輪中心(車軸)よりも車両前後方向後側で車輪の車幅方向内側端より内側となっている。また、コンプレッションリンク40は、トランスバースリンク39よりも車軸に対して後方内側に傾斜(車輪側支持点CPUaより車体側支持点CPUbが車幅方向内側で車両前後方向後側となる配置)させて設置してある。

0046

そして、コンプレッションリンク40の車輪側支持点CPUaは、車輪中心よりも車両前後方向後側となっている。また、トランスバースリンク39の車体側支持点TBUbは、コンプレッションリンク40の車輪側支持点CPUaよりも車両前後方向前側となっている。また、コンプレッションリンク40の車体側支持点CPUbは、トランスバースリンク39の車体側支持点TBUbよりも車両前後方向後側となっている。

0047

このように、アッパーリンク構造を2本のリンク部材が車輪側の延長線が交差するコンプレッション型のリンク構造とすることにより、トランスバースリンク39とコンプレッションリンク40の平面視における車輪側延長線の交点が仮想アッパーピボット点PUとなる。この仮想アッパーピボット点PUは、前述した仮想ロアピボット点PLとは逆に、転舵輪17FLを旋回外輪となるように転舵したときに、車両前後方向後側に移動するとともに、車幅方向外側に僅かに移動する。

0048

このため、仮想ロアピボット点PLと仮想アッパーピボット点PUとが車両前後方向で互いに逆方向に移動することになる。したがって、アッパーリンク構造をAアーム等で構成してアッパーピボット点が車両平面視で車両前後方向に移動しない場合に比較してキングピン軸KSの後傾量を大きくすることができる。このため、キャスタ角を大きくすることができ、キャスタトレイルも大きくすることができ、直進性を確保することができる。

0049

以下、サスペンション装置1Bにおけるサスペンションジオメトリについて詳細に検討する。
(ラック軸力成分の分析
図9は、転舵時におけるラックストロークとラック軸力との関係を示す図である。
図9に示すように、ラック軸力成分には、主にタイヤの捻りトルクと、車輪の持ち上げトルクとが含まれ、これらのうち、タイヤの捻りトルクが支配的である。
したがって、タイヤの捻りトルクを小さくすることで、ラック軸力を低減することができることとなる。

0050

(タイヤの捻りトルク最小化)
図10は、転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡を示す図である。
図10においては、転舵時におけるタイヤ接地面中心の移動量が大きい場合と小さい場合とを併せて示している。
上記ラック軸力成分の分析結果より、ラック軸力を低減するためには、転舵時のタイヤ捻りトルクを最小化することが有効である。
転舵時のタイヤ捻りトルクを最小化するためには、図10に示すように、タイヤ接地面中心の軌跡をより小さくすれば良い。
即ち、タイヤ接地面中心とキングピン接地点を一致させることで、タイヤ捩りトルクを最小化できる。
具体的には、キャスタトレイル0mm、スクラブ半径0mm以上とすることが有効である。

0051

(キングピン傾角の影響)
図11は、キングピン傾角とスクラブ半径とを軸とする座標において、ラック軸力の分布の一例を示す等値線図である。
図11においては、ラック軸力が小、中および大の3つの場合における等値線を例として示している。
タイヤ捻りトルク入力に対し、キングピン傾角が大きくなるほど、その回転モーメントが大きくなり、ラック軸力は大きくなる。したがって、キングピン傾角としては、一定の値より小さく設定することが望まれるが、スクラブ半径との関係から、例えばキングピン傾角15度以下とすると、ラック軸力を望ましいレベルまで小さくすることができる。

0052

なお、図11における一点鎖線(境界線)で囲んだ領域は、旋回の限界領域において、横力が摩擦限界を超える値と推定できるキングピン傾角15度より小さく、かつ、上記タイヤ捻りトルクの観点から、スクラブ半径が0mm以上の領域を示している。本実施形態では、この領域(横軸においてキングピン傾角が15度より減少する方向で、縦軸においてスクラブ半径がゼロより増加する方向)を、より設定に適した領域としている。ただし、スクラブ半径が負の領域であっても、他の条件を本実施形態で示すものとすることで、一定の効果を得るものとなる。

0053

具体的にスクラブ半径とキングピン傾角とを決定する場合には、例えば、図11に示すラック軸力の分布を示す等値線をn次曲線(nは2以上の整数)として近似し、上記一点鎖線で囲んだ領域の中から、n次曲線の変曲点(またはピーク値)の位置によって定めた値を採用することができる。
また、図7に示す例では、車両上面視において、転舵時に車輪中心は旋回内側に移動する。そのため、本実施形態のように、ステアリングラック部材14を車軸より前に位置させることで、ラック軸力を低減させる効果をさらに高めることができる。

0054

図12は、ロアリンク部材が交差していないテンション型のサスペンション装置および本発明の場合におけるトー角とスクラブ半径との関係を示す図である。
図12に示すように、本発明の場合、ロアリンク部材を交差させていない場合に比べて、中立位置(トー角が0)付近でのスクラブ半径をより大きくできる。また、旋回外輪となる転舵角が大きくなる方向(図12における−方向)では、スクラブ半径がより大きくなり、ラック軸力をより小さくできる。
また、キャスタ角を0度とすることは、サスペンション剛性を向上させることができる。

0055

さらに、図13は、キングピン軸KSの路面着地点と横力との関係を示す図である。この図13では、キングピン軸KSの路面着地点を車両前方側から車両後方側に符号1〜5で表している。キャスタトレイル0mmとすることは、キングピン軸KSの路面着地点と横力との関係を図13において符号3で示すように、キングピン軸KSの路面着地点がタイヤ接地面におけるタイヤ接地中心点(着力点)Oに一致させることを意味し、これによって横力低減効果をより向上させることができる。

0056

なお、タイヤ接地中心点(着力点)Oを含むタイヤ接地面内のキングピン軸KSの接地点が前方側の符号2及び後方側の符号4である場合にも、キングピン軸KSの接地点が符号1及び符号5で示すようにタイヤ接地面から前後方向に外れた位置とする場合に比較して横力を小さくすることができる。特に、キングピン軸KSの路面着地点がタイヤ接地中心点(着力点)Oより車両前方側である場合の方がタイヤ接地中心点(着力点)Oより車両後方とした場合に比較して横力を小さく抑制することができる。

0057

(ポジティブスクラブによる直進性確保)
前述した図6(b)は、ポジティブスクラブとした場合のセルフアライニングトルクを説明する概念図である。
図6(b)に示すように、タイヤに働く復元力(セルフアライニングトルク)は、キャスタトレイル、ニューマチックトレイルの和に比例して大きくなる。
ここで、ポジティブスクラブの場合、キングピン軸の接地点から、タイヤ接地中心を通るタイヤの横すべり角β方向の直線に下ろした垂線の足の位置によって定まるホイールセンタからの距離εc(図6(b)参照)をキャスタトレイルとみなすことができる。
そのため、ポジティブスクラブのスクラブ半径が大きければ大きいほど、転舵時にタイヤに働く復元力は大きくなる。

0058

本実施形態においては、キングピン軸の設定をポジティブスクラブとすると共に、ロアリンク部材を交差させない場合に比べて、初期スクラブ半径を大きく確保できることで、キャスタ角を0に近づけることによる直進性への影響を低減するものである。また、ステアバイワイヤ方式を採用していることから、転舵アクチュエータ8によって最終的に目的とする直進性を確保することができる。

0059

(サスペンション装置の作用)
次に、本実施形態に係るサスペンション装置1Bの作用について説明する。
本実施形態に係るサスペンション装置1Bでは、2つのロアリンク部材をIアームとしている。そして、コンプレッションリンク37をアクスルキャリア33から車両前後方向後側で車幅方向内側となる斜め後方に延長して設置し、テンションリンク38をコンプレッションリンク37と交差する状態で、アクスルキャリア33の下端から車両前後方向前側で車幅方向内側となる斜め前方斜行させて設置している。具体的には、コンプレッションリンク37の車輪側支持点TBLaは、車輪中心よりも車両前後方向前側、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaは、車輪中心よりも車両前後方向後側となっている。また、コンプレッションリンク37の車体側支持点TBLbは、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaよりも車両前後方向後側、テンションリンク38の車体側支持点TSLbは、コンプレッションリンク37の車輪側支持点TBLaよりも車両前後方向前側となっている。

0060

上記サスペンション構造とした場合、図6(a)に示すように、車両前後方向の力が支配的な状況において、タイヤ接地点に入力した車両前後方向の力(車両後方向きの力)に対し、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaは車両外向きに移動する。また、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaは車両内向きに移動する。そのため、入力する車両後方向きの力に対して、車輪をトーアウト方向に向けるコンプライアンスステアを実現することができる。

0061

また、上記サスペンション構造において、図6(a)に示すように、各ロアリンク構造および各アッパーリンク構造について車輪側支持点TBLa,TSLaおよびTBUa,TBUbと車体側支持点TBLb,TSLbおよびTBUb,TSBbとを結ぶ直線を仮想する。すると、ロアリンク構造についてはそれら直線の交点が、仮想ロアピボット点PLとなり、アッパーリンク構造については車輪側の延長線の交点が仮想アッパーピボット点PUとなる。これら仮想ロアピボット点PLおよびPUを結ぶ直線がキングピン軸KSとなる。

0062

本実施形態では、このキングピン軸KSがタイヤ接地面内を通るように設定されている。また、このキングピン軸KSをキャスタトレイルがタイヤ接地面内に位置する設定としている。
より具体的には、例えば、キングピン軸の設定を、キャスタ角略0度、キャスタトレイル0mm、スクラブ半径0mm以上のポジティブスクラブとしている。また、キングピン傾角については、スクラブ半径をポジティブスクラブとできる範囲で、より小さい角度となる範囲(例えば15度以下)で設定する。

0063

このようなサスペンションジオメトリとすることにより、転舵時におけるタイヤ接地面中心の軌跡がより小さいものとなり、タイヤ捻りトルクを低減できる。
そのため、ラック軸力をより小さいものとできることから、キングピン軸周りのモーメントをより小さくでき、転舵アクチュエータ8の出力を低減することができる。また、より小さい力で車輪の向きを制御できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0064

さらに、ロアリンク部材を交差させて設置することにより、ロアリンク部材の支持点を車輪中心に近い位置とできるため、アクスルキャリア33の重量を低減することができる。
本実施形態におけるサスペンション装置1Bでは、2つのロアリンク部材を交差させて設置しているため、仮想ロアピボット点PLをタイヤ接地面中心よりも車体内側に配置し易い構造となっている。
そのため、キングピン傾角を0度に近づけ易くなるとともに、スクラブ半径をポジティブスクラブ側に大きく取ることが容易となる。

0065

また、キャスタ角を略0度、キャスタトレイルを0mmとしたことに伴い、サスペンション構造上の直進性に影響が生じる可能性があるところ、ポジティブスクラブに設定することにより、その影響を軽減している。さらに、転舵アクチュエータ8による制御と併せて、直進性を確保している。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。
また、キングピン傾角を一定の範囲に制限したことに対しては、転舵アクチュエータ8での転舵を行うので、運転者が操舵操作に重さを感じることを回避できる。また、路面からの外力によるキックバックについても、転舵アクチュエータ8によって外力に対抗できるため、運転者への影響を回避できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0066

以上のように、本実施形態に係るサスペンション装置1Bでは、ロアリンク構造についてはコンプレッションリンク37を車両前後方向前側で車幅方向内側の斜め後方に延長して設置し、車両平面視において、テンションリンク38をコンプレッションリンク37と交差させて配置した。そのため、仮想ロアピボット点PLを車幅方向において車体内側に近づけることができる。そして、この仮想ロアピボット点PL及び仮想アッパーピボット点PUが定義するキングピン軸KSを、キングピン傾角が小さいものとし、キングピン軸KSがタイヤ接地面内を通り、またタイヤ接地面内にキャスタトレイルが位置する設定としたため、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。
したがって、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できるため、操縦性・安定性を向上させることができる。

0067

また、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる結果、ステアリングラック部材14およびタイロッド15に加わる負荷を低減でき、部材を簡素化することができる。
また、ステアバイワイヤを実現するための転舵アクチュエータ8として、駆動能力のより低いものを用いることができ、車両の低コスト化および軽量化を図ることができる。
例えば、従来のステアバイワイヤ方式のサスペンション装置と比較した場合、本発明の構成では、主にロアリンク部材の簡素化と転舵アクチュエータ8の小型化によって、重量において約10%、コストにおいて約50%を低減することができる。

0068

また、転舵時においてキャスタトレイルが増加する構造であるため、高い横加速度が発生する旋回時において、転舵角の切れ増しが生ずることを抑制できる。
また、旋回外輪としての転舵時に、ロアリンク構造の仮想ロアピボット点PLが車両前後方向前側に移動することにより、キャスタ角を大きくしてキャスタトレイルを大きくすることができる。しかも、アッパーリンクの仮想アッパーピボット点PUは仮想ロアピボット点PLとは逆に車両前後方向後側に移動するため、キャスタ角をより大きくすることができるとともに、キャスタトレイルもより大きくすることができ、直進性が高められアンダーステア傾向となる。

0069

したがって、この転舵時の直進性が高められる点を、ステアバイワイヤシステムSBWによって転舵アクチュエータ8を制御することにより、必要な転舵力をステアリングラック部材14およびタイロッド15を介して転舵輪17FL及び17FRに伝達して、良好な転舵特性を得ることができる。

0070

一方、ステアバイワイヤシステムSBWで、後述する異常判定処理によって異常を検出して転舵アクチュエータ8の制御を行うことができない場合に、旋回外輪となる転舵状態で直進性を高めることができるので、走行安定性を確保することができる。したがって、旋回時に走行安定性を確保してフェイルセーフ機能を発揮することができる。
これに加えて、旋回外輪となる転舵時にキャスタ角は増加することになるがポジティブスクラブの変化およびキングピン傾角の変化は抑制することができ、これらによる直進性の変化を抑制することができる。

0071

また、本発明においては、ロアリンク構造としてコンプレッションリンク37を、車両斜め後方に延長して設置し、車両平面視において、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaを、車輪中心よりも車両前後方向前側としている。また、テンションリンク38を、コンプレッションリンク37とは逆に車軸に対して車両斜め前方に延長して設置している。そして、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaを、車輪中心よりも車両前後方向後側としている。また、コンプレッションリンク37の車体側支持点CPLbを、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaよりも車両前後方向前側としている。また、テンションリンク38の車体側支持点TSLbを、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaよりも車両前後方向前側としている。

0072

このようなロアリンク構造とした場合、車輪に横力(ホイールセンタより後方側の着力点に車両内向きの力)が入力したとき、コンプレッションリンク37の車輪側支持点CPLaは車両外向きに移動し、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaは車両内向きに移動する。したがって、入力する横力に対して、車輪をトーアウト方向に向けるコンプライアンスステアを実現することができる。

0073

また、本発明においては、タイロッド15の車輪側の支持点Xaがコンプレッションリンク37およびテンションリンク38の車輪側支持点CPLa,TSLaよりも車幅方向外側に位置している。また、タイロッド15の車体側支持点Xbが車輪側支持点Xaよりも車両前後方向後側に位置している。
このようなリンク配置とした場合、車両前後方向の力が支配的な状況において、タイヤ接地点に入力した車両前後方向の力(車両後方向きの力)に対し、コンプレッションリンク37の車輪側支持点TBLaは車両外向きに移動する。また、タイロッド15の車輪側支持点Xaは車体側支持点Xbを中心に回転して車両外向きに移動し、テンションリンク38の車輪側支持点TSLaは車幅方向内向きに移動する。そのため、車輪をトーアウト方向に向けるコンプライアンスステアを実現することができる。
したがって、本発明によれば、車両用サスペンション装置において、車両前後方向の力に対するコンプライアンスステア特性をより適切なものとすることが可能となる。

0074

図14は、本発明に係るサスペンション装置1Bと比較例とにおける(a)横力コンプライアンスステアおよび(b)横剛性を示す図である。
図14において、比較例として、ロアリンク部材が交差していないロアリンク構造のサスペンションを想定している。
図14に示すように、本発明に係るサスペンション装置1Bの構成とした場合(図14中の実線)、比較例(図14中の破線)に対し、横力コンプライアンスステアは35%向上し、横剛性は29%向上している。

0075

また、図15は、本発明に係るサスペンション装置1Bと比較例とにおける前後力コンプライアンスステアを示す図である。
図15において、比較例として、ロアリンク部材が交差していないロアリンク構造のサスペンションを想定している。
図15に示すように、本発明に係るサスペンション装置1Bの構成とした場合(図15中の実線)、比較例(図15中の破線)に対し、前後力コンプライアンスステアは28%向上している。

0076

なお、本実施形態において、車輪17FR,17FL,17RR,17RLがタイヤホイール、タイヤおよびホイールハブ機構WHに対応し、コンプレッションリンク37および40がコンプレッションリンク部材に、テンションリンク38がテンションリンク部材に対応し、トランスバースリンク39がトランスバースリンク部材に対応し、ロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37およびテンションリンク38のリンク配置とアッパーリンク構造を構成するトランスバースリンク39およびコンプレッションリンク40のリンク配置がピボット点移動部に対応する。また、タイロッド15がタイロッドに対応する。

0077

(コントロール/駆動回路の具体的構成例)
次に、コントロール/駆動装置ユニット26を実現する具体的な構成例を図16図19について説明する。
コントロール/駆動装置ユニット26は、図16に示すように、転舵制御装置50を備えている。この転舵制御装置50は、目標転舵角演算部51、転舵角制御部52、直進性補完部53、外乱補償部54、遅延制御部56、転舵角偏差演算部58、転舵モータ制御部59、電流偏差演算部60およびモータ電流制御部62を備えている。

0078

目標転舵角演算部51は、車速Vおよび操舵角センサ4で検出した操舵角θsが入力され、これらに基づいて目標転舵角δ*を算出する。
転舵角制御部52は、コンプライアンスステアによる転舵輪17FLおよび17FRの舵角の変化量ΔflおよびΔfrを算出する。これら変化量ΔflおよびΔfrは、左右の駆動輪である転舵輪17FLおよび17FRの駆動力配分制御する駆動力制御装置64から出力される左右輪の駆動力TLおよびTRとロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37およびテンションリンク38のブッシュの撓みに応じたコンプライアンスステア係数afとに基づいて下記(1)式および(2)式の演算を行うことにより算出する。そして、算出した変位量ΔflおよびΔfrの変位量差を算出して転舵角制御値としてのコンプライアンスステア制御値Ac(=Δfl−Δfr)を算出する。
Δfl=af・TL …………(1)
Δfr=af・TR …………(2)

0079

直進性補完部53は、駆動輪駆動力を配分制御する駆動力制御装置64から出力されるからの左右輪の駆動力TLおよびTRが入力されると共に、操舵トルクセンサ5で検出された操舵トルクTsが入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクTsaを算出し、算出したセルフアライニングトルクTsaに所定舵角補正ゲインKsaを乗算して直進性担保値としてのセルフアライニングトルク制御値Asa(=Ksa・Tsa)を算出する。
ここで、直進性補完部53におけるセルフアライニングトルクTsaの算出は、先ず、左右輪の駆動力TRおよびTLの駆動力差ΔT(=TL−TR)を算出し、算出した駆動力差ΔTをもとに図17に示す発生トルク推定制御マップを参照して、トルクステア現象で転舵時に発生する発生トルクThを推定する。

0080

発生トルク推定制御マップは、スクラブ半径が正である、すなわちポジティブスクラブである車両用に設定されている。この発生トルク推定制御マップは、図17に示すように、横軸に駆動力差ΔTを、縦軸に発生トルクThをそれぞれとり、駆動力差ΔTがから正方向に増加する、すなわち、左輪駆動力TLが右輪駆動力TRを上回って増加するときには、これに比例して発生トルクThが零から車両を右旋回させる方向(正方向)に増加するように設定されている。

0081

一方、駆動力差ΔTが零から負方向に増加する、すなわち右輪駆動力TRが左輪駆動力TLを上回って増加するときには、これに比例して発生トルクThが零から車両を左旋回させる方向(負方向)に増加するように設定されている。
そして、直進性補完部53では、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTsから発生トルクThを減じてセルフアライニングトルクTsaを算出する。
なお、セルフアライニングトルクTsaの算出は、上述したように左右の駆動力差ΔTに基づいて算出する場合に限らず、左右の制動力差に基づいて同様に算出することができる。

0082

また、セルフアライニングトルクTsaの算出は、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサおよび車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサを設け、車両の運動方程式に基づいてヨーレート微分値と横加速度Gyとに基づいて横力Fyを算出し、この横力Fyにニューマチックトレイルεnを乗算することにより、算出することができる。
さらには、ステアリングホイール2の操舵角θsと、セルフアライニングトルクTsaとの関係を車速Vをパラメータとして実測するかまたはシミュレーションによって算出した制御マップを参照して操舵角センサ4で検出した操舵角θsと車速Vとに基づいてセルフアライニングトルクTsaを算出することもできる。

0083

また、転舵アクチュエータを構成する電動モータの慣性J、静摩擦係数Frを定数として予め求め、モータ角速度ωm、モータ角加速度αmおよび転舵アクチュエータ8で発生する転舵トルクTm(転舵トルクTmに比例する後述する目標駆動電流im*で代用)に基づいて下式の演算を行うことにより、セルフアライニングトルクTsaを算出するようにしてもよい。
Tsa(s)=Tm(s)−J・αm(s)−Fr・sin(ωm(s))
ここで、sはラプラス演算子である。

0084

外乱補償部54は、操舵トルクセンサ5からの操舵トルクTs、転舵アクチュエータ角度センサ9からの回転角θmo、およびモータ電流検出部61からのモータ電流imrが入力され、車両に入力される外乱周波数帯域毎に分離してそれぞれ推定し、これらの外乱を抑制するための外乱補償値Adisを算出する。
この外乱補償部54では、例えば特開平2007−237840号公報に記載されているように、運転者による操舵入力である操舵トルクTsと転舵アクチュエータ8による転舵入力を制御入力とし、実際の操舵状態量を制御量とするモデルにおいて、前記制御入力をローパスフィルタに通した値と、前記制御量を前記モデルの逆特性と前記ローパスフィルタとに通した値との差に基づいて外乱を推定する複数の外乱推定部を有する。各外乱推定部は、ローパスフィルタのカットオフ周波数を異ならせることにより、外乱を複数の周波数帯域毎に分離する。

0085

そして、外乱補償部54および直進性補完部53で算出された外乱補償値Adisおよびセルフアライニングトルク制御値Asaが加算器55aで加算される。この加算器55aの加算出力と転舵角制御部52で演算されたコンプライアンスステア制御値Acとが加算器55bで加算されて直進性担保制御値δaを算出する。この直進性担保制御値δaは、遅延制御部56に供給される。
ここで、図16に示すように、転舵角制御部52、直進性補完部53、外乱補償部54および加算器55a,55bで直進性担保部SGを構成し、この直進性担保部SGと以下に述べる遅延制御部56とで転舵応答性設定部SRSを構成している。

0086

遅延制御部56は、図16に示すように、操舵開始検出部56a、単安定回路56b、ゲイン調整部56cおよび乗算器56dを有する。
操舵開始検出部56aは、操舵角センサ4で検出した操舵角θsに基づいて中立位置を維持する状態から右操または左操舵したタイミングを検出して中立状態からの操舵開始を表す操舵開始信号SSを単安定回路56bに出力する。

0087

また、単安定回路56bは操舵開始検出部56aから出力される操舵開始信号に基づいて所定の遅延時間例えば0.1秒の間オン状態となる制御開始遅延信号をゲイン調整部56cに出力する。
ゲイン調整部56cは、制御開始遅延信号がオン状態であるときに、制御ゲインGaを“0”に設定し、制御開始遅延信号がオフ状態であるときに制御ゲインGaを“1”に設定し、設定した制御ゲインGaを乗算器56dに出力する。
乗算器56dでは、直進性担保部SGから出力される直進性担保制御値δaが入力され、この直進性担保制御値δaに制御ゲインGaを乗算し、乗算結果を目標転舵角演算部51からの目標転舵角δ*が入力された加算器56eに供給する。

0088

したがって、遅延制御部56では、操舵開始検出部56aで中立状態を維持している状態から右操舵または左操舵を行った操舵開始状態を検出したときに、直進性担保部SGで算出された直進性担保制御値δaを目標転舵角δ*に加算する直進性担保制御を単安定回路56bで設定される所定時間例えば0.1秒間停止させるようにゲイン調整部56cで、直進性担保制御値δaに乗算する制御ゲインGaを“0”に設定する。そして、ゲイン調整部56cでは、0.1秒経過後に単安定回路56bの出力信号がオフ状態に反転すると、ゲイン調整部56cで、直進性担保制御値δaを目標転舵角δ*に加算する直進性担保制御を開始するように制御ゲインGaを“1”に設定する。

0089

また、遅延制御部56は、ステアリングホイール2の操舵が継続されているときには、操舵開始検出部56aで中立状態からの操舵開始を検出しないので、単安定回路56bの出力がオフ状態を維持することにより、ゲイン調整部56cで制御ゲインGaが“1”に設定される。このため、直進性担保部SGで演算された直進性担保制御値δaをそのまま加算器56eに供給する。このため、目標転舵角δ*に直進性担保制御値δaと制御ゲインGaとの乗算置Ga・δaが加算されて直進性担保制御が行われる。

0090

転舵角偏差演算部58は、加算器56cから出力される目標転舵角δ*に直進性担保制御値δaが加算された加算後目標転舵角δ*aからアクチュエータ8を構成する転舵モータ8aの転舵アクチュエータ角度センサ9から出力される実転舵角δrを減算して転舵角偏差Δδを算出し、算出した転舵角偏差Δδを転舵モータ制御部59に出力する。
転舵モータ制御部59は、入力される角度偏差Δδが零となるようにアクチュエータ8を構成する転舵モータ8aの目標駆動電流im*を算出し、算出した目標駆動電流im*を電流偏差演算部60に出力する。

0091

電流偏差演算部60は、入力される目標駆動電流im*からアクチュエータ8を構成する転舵モータ8aに供給するモータ電流を検出するモータ電流検出部61から出力される実モータ駆動電流imrを減算して電流偏差Δiを算出し、算出した電流偏差Δiをモータ電流制御部62に出力する。
モータ電流制御部62は、入力される電流偏差Δiが零となるように、すなわち、実モータ駆動電流imrが目標駆動電流im*に追従するようにフィードバック制御し、実モータ駆動電流imrを転舵モータ8aに出力する。

0092

ここで、転舵角偏差演算部58、転舵モータ制御部59、電流偏差演算部60、モータ電流検出部61、モータ電流制御部62でアクチュエータ制御装置63が構成されている。このアクチュエータ制御装置63は、転舵アクチュエータ8を構成する転舵モータ8aの回転角度を検出する転舵アクチュエータ角度センサ9で検出した回転角度δrが目標転舵角δ*と一致するように制御する。このため、車両が直進走行状態であって、目標転舵角δ*が“0”となったときに、この目標転舵角δ*に回転角度δrが一致するように制御するので、前述した直進性担保部SGを主直進性担保部としたときに、副直進性担保部を構成することになる。

0093

(転舵制御装置の作用)
次に、上記第1実施形態における転舵制御装置の作用を図18および図19を伴って説明する。
今、ステアリングホイール2を中立位置に保持して直進走行しているものとする。
この直進走行状態では、目標転舵角演算部51で演算される目標転舵角δ*が零となる。このとき、ステアリングホイール2が中立位置を保持しているので、左右の駆動輪となる転舵輪17FLおよび17FRの駆動力または制動力が等しくなる。このため、転舵角制御部52で前記(1)式および(2)式で算出されるコンプライアンスステアによる転舵輪17FLおよび17FRの舵角の変位量ΔflおよびΔfrは等しい値となる。このため、コンプライアンスステア補正量Acは変位量Δflから変位量Δfr減算した値であるので、コンプライアンスステア補正量Acは零となる。

0094

同様に、直進性補完部53でも、駆動力TLおよびTRが等しいので、駆動力差ΔTが零となることにより、図17に示す発生トルク推定制御マップを参照して算出される発生トルクThも零となる。一方、直進走行状態でステアリングホイール2を操舵していないので、操舵トルクTsも零であり、セルフアライニングトルクTsaも零となって、セルフアライニングトルク制御値Asaも零となる。

0095

一方、外乱補償部54では、外乱を抑制する回覧補償値Adisが算出される。したがって、直進性担保制御値δaは回覧補償値Adisのみの値となる。この直進性担保制御値δaが遅延制御部56の乗算器56dに供給される。
この遅延制御部56では、操舵開始検出部56aで操舵開始が検出されないので、単安定回路56bの出力はオフ状態を維持する。このため、ゲイン調整部56cでは制御ゲインGaが“1”に設定され、この制御ゲインGaが乗算器56dへ供給される。この乗算器56dからは、直進性担保制御値δaがそのまま加算器56eに供給されて、零の目標転舵角δ*に加算される。したがって、外乱補償値Adisに応じた加算後目標転舵角δ*aが算出され、この加算後目標転舵角δ*aに一致するようにアクチュエータ8の転舵モータ8aの転舵角が制御される。このため、外乱の影響を除去した直進走行を行うことができる。

0096

したがって、路面の段差や前輪17FRおよび17FLの路面摩擦係数が異なることなどにより、路面からの入力による外乱によって前輪17FRおよび17FLが転舵された場合には、転舵アクチュエータ8が回転される。これに応じて転舵アクチュエータ角度センサ9で検出される回転角θmoが変化することにより、この回転角θmoの変化に応じた外乱補償値Adisが出力される。
このため、外乱補償値Adisにしたがって転舵アクチュエータ8が制御されて、サスペンション装置1Bの路面入力による転舵に抗するトルクを発生することができる。したがって、直進性担保部SGでサスペンション装置1Bの直進性を担保することができる。

0097

また、車両の直進走行状態で、外乱補償部54で外乱を検出していない場合には、直進性担保部SGで算出される直進性担保制御値δaが零となり、目標転舵角演算部51から出力される目標転舵角δ*も零となるので、加算器56eから出力される加算後目標転舵角δ*も零となる。
このため、アクチュエータ制御装置63によって、転舵アクチュエータ8を構成する転舵モータ8aに転舵角変位が生じると、この転舵角変位を解消するようにアクチュエータ制御装置63でモータ電流imrを出力するので、転舵輪17FRおよび16FLが直進走行状態の転舵角に戻される。したがって,アクチュエータ制御装置63で直進性を担保することができる。

0098

ところが、ステアリングホイール2を中立位置に保持した直進走行状態を維持している状態からステアリングホイール2を右(または左)に操舵する状態となると、この直進走行状態からの操舵による旋回状態への移行が操舵開始検出部56aで検出される。
このため、単安定回路56bから所定時間例えば0.1秒間オン状態となる制御遅延信号がゲイン調整部56cに出力される。したがって、ゲイン調整部56cで、制御遅延信号がオン状態を継続している間制御ゲインGaが“0”に設定される。このため、乗算器56dから出力される乗算出力は“0”となり、直進性担保制御値δaの加算器56eへの出力が停止される。
したがって、ステアリングホイール2の中立位置から操舵を開始した時点から0.1秒の初期応答期間T1の間は制御ゲインGaが“0”に設定されるので、乗算器56dから出力される乗算出力が“0”となり、目標転舵角δ*に対する直進性担保制御が図19(b)で実線図示のように停止される。

0099

このため、操舵角センサ4で検出した操舵角θsが目標転舵角演算部51に供給され、この目標転舵角演算部51で演算された目標転舵角δ*がそのまま転舵角偏差演算部58に供給される。このため、目標転舵角δ*に一致するように転舵モータ8aが回転駆動される。この間、直進性担保部SGにおける直進性担保制御が停止される。
したがって、初期応答期間T1では、キングピン軸KSの路面接地点がタイヤの接地面内接地中心位置に設定され、且つキャスタ角が零に設定されたサスペンション装置1Bによる転舵が開始される。

0100

このとき、サスペンション装置1Bのキャスタ角が零に設定されている。このキャスタ角と転舵応答性と操縦安定性との関係は、図18(a)に示すように、キャスタ角が略零であるときには転舵応答性が高い状態(転舵応答性を重視した状態)をとなるが、操縦安定性を確保することはできない、すなわち、キャスタ角に対する転舵応答性と操縦安定性とはトレードオフの関係が存在する。
このため、中立位置から操舵を開始した初期状態では、ステアバイワイヤ制御による直進性担保制御は実行されないことにより、この初期転舵をサスペンション装置1Bが賄うことになる。

0101

この初期応答期間T1では、サスペンション装置1Bは、上述したように、キャスタ角が略零あり、転舵応答性が高いので、図19(a)で実線図示の特性線L1で示すように、一点鎖線図示の特性線L2で示す一般的なステアバイワイヤ形式操舵系を有する車両における転舵応答特性(ヨーレイト)より高い転舵応答特性(ヨーレイト)とすることができる。このとき、運転者のステアリングホイール2の操舵による操舵角変化に対応した転舵角変化となるので、運転者に違和感を与えることはない。

0102

ところが、サスペンション装置1Bによる転舵応答性のみで初期応答期間T1を越えて転舵を継続すると、図19(a)で破線図示の特性線L3のように中期応答期間T2および後期応答期間T3で操舵による車両の転舵応答性が敏感になる。また、中期応答期間T2から後期応答期間T3に掛けての車両の内側への巻き込み現象が大きくなってしまう。
このため、上記第1実施形態では、図19(b)に示すように、初期応答期間T1が経過する例えば0.1秒後に、転舵角制御部52、直進性補完部53および外乱補償部54で構成される直進性担保部SGによる目標転舵角δ*に対する直進性担保制御がステップ状に開始される。このため、サスペンション装置1Bによる車両の転舵応答性を抑制して車両のふらつきを抑制するとともに、図18(b)で点線図示のように、ステアバイワイヤ制御によってサスペンション装置1Bの直進性を補完して、操縦安定性を確保することができる。

0103

その後、中期応答期間T2が終了する例えば0.3秒経過後には、直進性担保部SGによる直進性担保制御により一般的な車両の転舵応答特性に比較しても転舵応答特性をより抑制してアンダーステア傾向とすることができる。これにより、図19(a)で実線図示の特性線L1で示すように、操縦安定性を向上させることができ、特性線L1で示す理想的な車両の転舵応答特性を実現することができる。

0104

以上のように、本実施形態に係る車両の操舵装置によれば、サスペンション装置1Bにおいて、ロアリンク構造を構成する第1のロアリンク部材としてのコンプレッションリンク37と第2のロアリンク部材としてのテンションリンク38とが車両上面視で交差され、キングピン軸KSをステアリングホイールが中立位置にある状態で、タイヤ接地面内を通るようにし、タイヤ接地面内にキャスタトレイルを設定しているため、キングピン軸KS周りのモーメントをより小さくすることができる。
したがって、第1実施形態でも、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。すなわち、操縦性・安定性を向上させることができる。

0105

このように、上記第1実施形態では、少なくともキングピン軸KSがタイヤ接地面内を通るように設定することにより、サスペンション装置1B自体が転舵応答性を向上させた構成とされ、これに加えてステアバイワイヤシステムSBWの直進性担保部SGによって転舵特性を制御する転舵角制御、直進性補完および外乱補償を行ってサスペンション装置1Bの直進性を担保している。

0106

このため、ステアリングホイール2を中立位置に保持している状態から右または左操舵を行った場合に、初期応答期間T1ではサスペンション装置1B自体の高い転舵応答性を利用して高応答性を確保する。その後、初期応答期間T1を経過して中期応答期間T2に入ると、転舵応答性を重視するよりは操縦安定性を重視する必要があり、ステアバイワイヤシステムSBWにおける遅延制御部56のゲイン調整部56cで制御ゲインGaが“1”に設定されることにより、直進性担保部SGで算出した直進性担保制御値δaによる直進性担保制御を開始する。

0107

このため、転舵角制御、直進性補完および外乱補償等の直進性担保制御が開始されることにより、サスペンション装置1Bによる高い転舵応答性を抑制して操縦安定性を確保する。さらに、後期応答期間T3では、車両の内側への巻き込み現象を抑制するように転舵応答性をさらに低減させてアンダーステア傾向として車両のふらつきをより抑制して理想的な転舵応答性制御を確立することができる。

0108

さらに、転舵角制御部52を備えて、コンプライアンスステアによる転舵輪17FLおよび17FRの変位量を考慮した直進性担保制御を行うことができる。このため、ロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37とテンションリンク38との車体1A側の支持部に介挿されるブッシュの剛性を弱く設定することが可能であり、コンプレッションリンク37とテンションリンク38とを通じて路面から車体1Aへの振動伝達率を低下させて乗心地を向上させることができる。
なお、上記第1実施形態においては、転舵制御装置50をハードウェアで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば目標転舵角演算部51、直進性担保部SGを例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置で構成し、この演算処理装置で、図20に示す転舵制御処理を実行するようにしてもよい。

0109

この転舵制御処理は、図20に示すように、先ず、ステップS1で、車速V、操舵角センサ4で検出した操舵角θs、転舵アクチュエータ角度センサ9で検出した回転角θmo、駆動力制御装置64の左右輪の駆動力TL,TR、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTs等の演算処理に必要なデータを読込む。次いで、ステップS2に移行して、操舵角センサ4で検出した操舵角θsに基づいてステアリングホイール2が中立位置を保持している状態から右または左に操舵された操舵開始状態であるか否かを判定し、操舵開始状態ではないときにはステップS3に移行する。

0110

このステップS4では、操舵開始制御状態であることを表す制御フラグFが“1”にセットされているか否かを判定し、制御フラグFが“0”にリセットされているときには、ステップS4に移行して、制御ゲインGaを“1”に設定してからステップS5に移行する。
このステップS5では、前述した目標転舵角演算部51と同様に車速Vと操舵角θsに基づいて目標転舵角δ*を算出する。

0111

次いで、ステップS6に移行して、前述した転舵角制御部52と同様に、左右輪の駆動力TLおよびTRにコンプライアンスステア係数sfを乗算してコンプライアンスステアによる転舵輪17FLおよび17FRの変位量ΔflおよびΔfrを算出し、これらに基づいてコンプライアンスステア制御値Acを算出する。
次いで、ステップS7に移行して、前述した直進性補完部53と同様に、左右輪の駆動力TLおよびTRの駆動力差ΔT(=TL−TR)に基づいて図17に示す発生トルク推定制御マップを参照して、トルクステア現象で転舵時に発生する発生トルクThを推定する。そして、この発生トルクThを操舵トルクTsから減算してセルフアライニングトルクTsaを算出し、このセルフアライニングトルクTsaに所定ゲインKsaを乗算してセルフアライニングトルク制御値Asaを算出する。

0112

次いで、ステップS8に移行して、転舵アクチュエータ角度センサ9からのモータ回転角θmo、操舵トルクTsおよびモータ電流検出部61で検出したモータ電流imrに基づいて車両に入力される外乱を周波数帯域毎に分離してそれぞれ推定し、これらの外乱を抑制するための外乱補償値Adisを算出する。
次いで、ステップS9に移行して、目標転舵角δ*と、コンプライアンスステア制御値Acと、セルフアライニングトルク制御値Asaと、外乱補償値Adisとに基づいて下記(3)式の演算を行って加算後目標転舵角δ*aを算出する。
δ*a=δ*+Ga(Ac+Asa+Adis) …………(3)

0113

次いで、ステップS10に移行して、ステップS9で算出した加算後目標転舵角δ*aを図16における転舵角偏差演算部58に出力してから前記ステップS1に戻る。
また、ステップS2の判定結果が操舵開始状態であるときにはステップS11に移行して、制御フラグFを“1”にセットしてからステップS12に移行する。さらに、ステップS3の判定結果が、制御フラグFが“1”にセットされているときに直接ステップS12に移行する。
このステップS12では、予め設定された遅延時間(例えば0.1秒)が経過したか否かを判定する。このとき、遅延時間が経過していないときには、ステップS13に移行し、制御ゲインGaを“0”に設定してから前記ステップS5に移行して、目標転舵角δ*を算出する。

0114

また、ステップS12の判定結果が、所定の遅延時間(例えば0.1秒)が経過したときには、ステップS14に移行して、制御フラグFを“0”にリセットしてから前記ステップS4に移行して、制御ゲインGaを“1”に設定する。
この図20に示す転舵指令角度演算処理でも、ステアリングホイール2が中立位置に保持されている状態から右または左に操舵が開始された操舵開始状態ではないときには、目標転舵角δ*にコンプライアンスステア制御値Ac、セルフアライニングトルク制御値Asaおよび外乱補償値Adisを加算した直進性担保制御値δaを目標転舵角δ*に加算する直進性担保制御が行われる。

0115

これに対して、ステアリングホイール2が中立位置に保持されている状態から右または左に操舵が開始された操舵開始状態であるときには、予め設定された遅延時間が経過するまでは、制御ゲインGaが“0”に設定されるため、直進性担保制御が停止される。このため、目標転舵角δ*のみが転舵角偏差演算部58に出力され、これによって転舵アクチュエータ8を構成する転舵モータ8aが回転駆動される。このため、初期転舵応答性はサスペンション装置自体の高転舵応答性が設定されることになり、高転舵応答性を得ることができる。

0116

その後、遅延時間が経過すると、制御ゲインGaが“1”に設定されるため、目標転舵角δ*にコンプライアンスステア制御値Ac、セルフアライニングトルク制御値Asaおよび外乱補償値Adisが加算された直進性担保制御値δaを目標転舵角δ*に加えた値によって転舵アクチュエータ8を構成する転舵モータ8aを回転駆動する。このため、サスペンション装置1Bの高転舵応答性が抑制されると共に、サスペンション装置1Bの直進性が担保されて、理想的な転舵応答特性を得ることができる。

0117

この転舵制御処理でも、車両の直進走行状態では、目標転舵角δ*が零となり、外乱が生じない場合には、この目標転舵角δ*が直接図16の転舵角偏差演算部58に供給されるので、前述したと同様にアクチュエータ制御装置63によって直進性が担保される。
この図20の転舵制御処理において、ステップS5の処理が目標転舵角演算部51に対応し、ステップS6の処理が転舵角制御部52に対応し、ステップS7の処理が直進性補完部53に対応し、ステップS5〜S7の処理が直進性担保部SGに対応し:ステップS2〜S4、S11〜S14の処理が遅延制御部56に対応し、ステップS2〜S14の処理が転舵応答性設定部SRSに対応している。

0118

なお、図20の転舵制御処理では、転舵応答性設定部SRSで行う制御をソフトウェアで実現する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、転舵応答性設定部SRSの制御とアクチュエータ制御装置63の制御とを含めてソフトウェア処理するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、直進性担保部SGを転舵角制御部52、直進性補完部53および外乱補償部54で構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、転舵角制御部52、直進性補完部53および外乱補償部54のいずれか1つまたは2つを省略するようにしてもよい。

0119

ところで、上述したようにステアバイワイヤシステムSBWが正常に動作している状態では、車両用サスペンション装置1Bの転舵応答性を重視した構成による直進性の低下を転舵応答性設定部SRSで補完することができるものであるが、ステアバイワイヤシステムSBWに異常が発生した場合には、車両用サスペンション装置1Bの直進性を補完して直進性を担保することができなくなる。

0120

すなわち、コントロール/駆動回路ユニット26では、操舵角センサ4によって検出された入力側ステアリング軸3の回転角度、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された操舵反力アクチュエータ6の回転角度、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出された転舵アクチュエータ8の回転角度、および、ピニオン角度センサ13によって検出されたピニオンギヤ12の回転角度を監視し、これらの関係を基に、操舵系統におけるフェールの発生を検出することができる。

0121

このフェールの発生を検出したときに、コントロール/駆動回路ユニット26によってメカニカルバックアップ27が作動される。このため、メカニカルバックアップ27によって、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを連結し、入力側ステアリング軸3から出力側ステアリング軸10への力の伝達を確保する。
このフェールの発生状態で、ステアリングホイール2を転舵することにより、例えば転舵輪17FLが旋回外輪側となる転舵を行うことにより、転舵輪17FLが転舵を開始すると、前述したようにロアリンク構造では、コンプレッションリンク37とテンションリンク38の交点で表される仮想ロアピボット点PLが図7(b)に示すように車両前方側に移動する。

0122

一方、アッパーリンク構造では、トランスバースリンク39とコンプレッションリンク40との平面視における転舵輪17FL側の延長線における交点で表される仮想アッパーピボット点PUが車両前後方向後方側で車幅方向に僅かに外側となる斜め後方側に移動する。
このため、仮想ロアピボット点PLおよび仮想アッパーピボット点PUを結ぶキングピン軸KSの車両側面視における傾斜角が大きくなって、キャスタ角が増加し、これに応じてキャスタトレイルが増加する。このため、直進性を確保できるようになる。

0123

このとき、仮想アッパーピボット点PUが車幅方向内側に僅かに移動することにより、キングピン傾角は小さくなるため、ステアリングラック部材14に入る力も同時に低減することができる。
この結果、ステアバイワイヤシステムSBWにフェールが発生した場合でも、転舵輪17FLおよび17FRにトー角が生じたときに、直進性を確保することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。

0124

また、コントロール/駆動回路ユニット26では、図21に示す異常判定処理を所定時間毎(例えば10μsec程度)のタイマ割込処理として実行する。
この異常判定処理では、先ず,ステップS21で、操舵角センサ4で検出した操舵角θs、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出した操舵反力アクチュエータ回転角θr、転舵アクチュエータ角度センサ9によって検出した転舵アクチュエータ回転角θa、ピニオン角度センサ13によって検出したピニオンギヤ回転角θpを読込んでからステップS22に移行する。

0125

このステップS22では、操舵反力アクチュエータ角θrを操舵入力角θiに変換し、次いでステップS23に移行して、転舵アクチュエータ回転角θaを転舵輪17FRおよび17FLの転舵角δr1に変換し、次いでステップS24に移行して、ピニオンギヤ回転角θpを転舵輪17FRおよび17FLの転舵角δr2に変換してからステップS25へ移行する。

0126

このステップS25では、操舵角θsから操舵入力角θiを減算した操舵角偏差の絶対値|θs−θi|が予め設定した閾値θthを超えているか否かを判定し、|θs−θi|>θthであるときには、操舵角センサ4または操舵反力制御系が異常であると判断してステップS26に移行し、メカニカルバックアップ27を作動状態として入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10を機械的に連結し、次いでステップS27に移行して操舵反力アクチュエータ6及び転舵アクチュエータ8の駆動を停止してから異常判定処理を終了する。

0127

また、ステップS25の判定結果が、|θs−θi|≦θthであるときには、操舵角センサ4及び操舵反力制御系が正常であると判断してステップS28へ移行する。このステップS27では、転舵角δr1から転舵角δr2との偏差の絶対値|δr1−δr2|が予め設定した転舵角閾値δthを超えているか否かを判定し、|δr1−δr2|>δthであるときには転舵制御系に異常が発生しているものと判断して前述したステップS26へ移行し、|δr1−δr2|≦δthであるときには転舵制御系が正常であると判断してステップS29に移行する。

0128

このステップS29では、操舵角θsから転舵角δr1を減算した偏差の絶対値|δs−δr1|が予め設定した閾値θth1を超えているか否かを判定し、|δs−δr1|>θth1であるときには操舵角センサまたは転舵アクチュエータ系統が異常であると判断して前記ステップS26へ移行し、|δs−δr1|≦θth1であるときには操舵角センサまたは転舵アクチュエータ系統が正常であると判断してステップS30へ移行する。

0129

このステップS30では、操舵角θsから転舵角δr1を減算した偏差の絶対値|δs−δr2|が予め設定した閾値θth1を超えているか否かを判定し、|δs−δr2|>θth1であるときには操舵角センサまたは転舵アクチュエータ系統が異常であると判断して前記ステップS30へ移行し、|δs−δr2|≦θth2であるときには操舵角センサまたは転舵アクチュエータ系統が正常であると判断してステップS31に移行する。
このステップS31では、メカニカルバックアップ27の作動を停止させてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラム復帰する。

0130

(異常判定処理の動作)
図21に示す異常判定処理では、操舵角θs、操舵反力アクチュエータ回転角θr、転舵アクチュエータ回転角θa、ピニオンギヤ回転角θpを読込み(ステップS21)、操舵反力アクチュエータ回転角θrを操舵入力角θiに変換し(ステップS22)、転舵アクチュエータ回転角θaを転舵角δr1に変換し(ステップS23)、ピニオンギヤ回転角θpを転舵角θr2に変換する(ステップS24)。

0131

そして、操舵角θsと操舵入力角θiとを比較し、その偏差の絶対値|θs−θi|が閾値θthより大きいときには、操舵角センサ4または操舵反力制御系に異常が発生しているものと判断し(ステップS25)、メカニカルバックアップ27を作動状態とし(ステップS26)、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを機械的に連結状態とする。さらに、ステアバイワイヤシステムSBWの操舵反力アクチュエータ6及び転舵アクチュエータ8の駆動を停止する(ステップS27)。

0132

ここで、操舵角θsが正常であると判定できる場合には、この操舵角θsを使用して転舵アクチュエータ8で操舵補助力を発生させる操舵補助制御処理を行うようにしてもよい。
このように、異常判定処理によって異常が検出されてメカニカルバックアップ27が作動し、前述した転舵制御装置50による転舵アクチュエータ8の駆動が停止されると、転舵制御装置50によるサスペンション装置1Bの直進性の補完を行うことができなくなり、直進性を担保することができなくなる。

0133

しかしながら、本願発明では、前述したように、転舵輪17FL及び17FRが旋回外輪となる転舵時に、ロアリンク構造では仮想ロアピボット点PLが車両前後方向前方に移動し、アッパーリンク構造では仮想アッパーピボット点PUが車両前後方向後方に移動することにより、キングピン軸KSの傾きが大きくなり、キャスタ角が増加してキャスタトレイルが増加するので、直進性を確保することができる。このため、アンダーステア傾向となって車両の操縦性・安定性を向上させるフェイルセーフ機能を発揮することができる。

0134

一方、操舵角センサ4及び操舵反力制御系が正常である場合には、転舵角δr1と転舵角δr2とを比較し、その偏差の絶対値|δr1−δr2|が閾値δthより大きいときには、転舵アクチュエータ制御系に異常があるものと判断して、ステップS26へ移行し、上記と同様に、メカニカルバックアップ作動を行わせるとともに、操舵反力アクチュエータ6および転舵アクチュエータ8の駆動を停止してタイマ割込処理を終了する。

0135

さらに、転舵アクチュエータ制御系が正常であるものと判断したときには、操舵角θsと転舵角δr1とを比較し、その偏差の絶対値|θs−δr1|が閾値δthより大きいときには、転舵アクチュエータ制御系に異常があるものと判断して、ステップS26へ移行し、上記と同様に、メカニカルバックアップ作動を行わせるとともに、操舵反力アクチュエータ6および転舵アクチュエータ8の作動を停止させてからタイマ割込処理を終了する。

0136

さらに、操舵角θsと転舵角δr2とを比較し、その偏差の絶対値|θs−δr2|が閾値δthより大きいときには、転舵アクチュエータ制御系に異常があるものと判断して、ステップS26へ移行し、上記と同様に、メカニカルバックアップ作動を行わせるとともに、操舵反力アクチュエータ6および転舵アクチュエータ8の駆動を停止してタイマ割込処理を終了する。

0137

そして、操舵角センサ4、操舵反力アクチュエータ制御系、転舵アクチュエータ制御系の全てが正常であるものとするとメカニカルバックアップ27を非動作状態としてからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムへ復帰する。
このように、ステアバイワイヤシステムSBWの各種センサや制御系が正常であるときには、メカニカルバックアップ27を非動作状態として入力側ステアリング軸3及び出力側ステアリング軸10を分離した状態とする。
この図21に示す異常判定処理において、ステップS25〜ステップS30の処理が異常制御部に対応している。

0138

なお、上記第1実施形態においては、転舵時外輪となる転舵輪のロアリンク構造の仮想ロアピボット点PLを車両前後方向前側へ移動させ、アッパーリンク構造の仮想アッパーピボット点PUを車両前後方向後側へ移動させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ロアリンク構造およびアッパーリンク構造の何れか一方をAアーム等のピボット点の移動が略無いリンク構造とすることもできる。

0139

また、上記第1実施形態においては、転舵制御装置を構成するコントロール/駆動回路ユニット26で異常と判定されたときに、キングピン軸KSを後傾させる場合について説明したが、コントロール/駆動回路ユニット26による転舵輪の転舵制御が不十分となったときにも当然に転舵時にキングピン軸KSを後傾させることができる。

0140

(第1実施形態の効果)
(1)ステアリングホイールの操舵状態に応じてアクチュエータを作動させて転舵輪を転舵制御する転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備え、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を備えている。
これにより、転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、ロアリンク構造およびアッパーリンク構造の少なくとも一方のピボット点を移動させてキングピン軸を後傾させることができ、直進性を確保することができ、操縦性・安定性を確保することができる。

0141

(2)ステアリングホイールの操舵状態に応じてアクチュエータを作動させて転舵輪を転舵する転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備えている。そして、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有する。さらに、前記ロアリンク構造のロアピボット点と前記アッパーリンク構造のアッパーピボット点とを通るキングピン軸を前記ステアリングホイールの中立位置でタイヤ接地面内を通るように設定し、前記転舵制御装置は、前記アクチュエータを作動させて前記転舵輪にセルフアライニング用の復元力を発生するように当該転舵輪を転舵制御して前記サスペンション装置の直進性を担保し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を備えている。

0142

これにより、転舵制御装置による直進性担保制御が不十分であるときに、ロアリンク構造およびアッパーリンク構造の少なくとも一方のピボット点を移動させてキングピン軸を後傾させることができ、直進性を確保してフェイルセーフ機能を発揮することができ、操縦性・安定性を確保することができる。

0143

また、キングピン軸を、ステアリングホイールの中立位置で、タイヤ接地面内を通るように設定しているので、キングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができるため、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。
したがって、本実施形態では、サスペンション装置の軽量化を図りながら車両の操縦性・安定性を向上させることができる。

0144

(3)ステアリングホイールの操舵状態に応じてステアリングホイールと機械的に分離された転舵輪を、アクチュエータを作動させて転舵制御するステアバイワイヤシステムからなる転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備えている。そして、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有する。さらに、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点を、当該キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を備えている。

0145

この構成によると、ステアバイワイヤシステムによる転舵制御が不十分となったときに、少なくとも転舵輪の転舵時に、ロアリンク構造又はアッパーリンク構造の少なくとも一方のキングピン軸のピボット点をキャスタトレイルが増加する方向すなわちロアリンク構造のロアピボット点を車両前後方向前方側に移動させるかアッパーリンク構造のアッパーピボット点を車両前後方向後方側に移動させるか、またはロアリンク構造のロアピボット点を車両前後方向前方側に移動させ且つアッパーリンク構造のアッパーピボット点を車両前後方向後方側に移動させることができる。このため、キングピン軸を後傾させてキャスタ角を大きくして、キャスタトレイルを増加させて直進性を確保することができ、フェイルセーフ機能を発揮することができる。
このとき、仮想アッパーピボット点の移動方向を車幅方向内側にも移動させることにより、キングピン傾角を小さくすると共に、ポジティブスクラブ半径を車幅方向内側に大きくすることができ、ステアリングラック部材に入る力も同時に低減できる。

0146

(5)ステアリングホイールの操舵状態に応じてステアリングホイールと機械的に分離された転舵輪を、アクチュエータを作動させて転舵するステアバイワイヤシステムからなる転舵制御装置と、前記転舵輪を回転自在に支持する車両用サスペンション装置とを備えている。そして、前記車両用サスペンション装置は、前記転舵輪を回転自在に支持する車軸を備えたアクスルキャリアと、前記車軸の下側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するロアリンク構造と、前記車軸の上側で車体側支持部と前記アクスルキャリアとを連結するアッパーリンク構造とを有し、前記ロアリンク構造のロアピボット点と前記アッパーリンク構造のアッパーピボット点とを通るキングピン軸を前記ステアリングホイールの中立位置でタイヤ接地面内を通るように設定している。さらに、前記転舵制御装置は、前記アクチュエータを作動させて前記転舵輪にセルフアライニング用の復元力を発生するように当該転舵輪を転舵制御して前記サスペンション装置の直進性を担保し、少なくとも前記転舵制御装置の転舵制御が不十分であるときに、前記ロアリンク構造および前記アッパーリンク構造の少なくとも一方のピボット点を、キングピン軸が車両側面視で後傾するように移動するピボット点移動部を設けている。

0147

この構成によると、ステアバイワイヤシステムで構成される転舵制御装置が、サスペンション装置の前記ロアリンク構造のロアピボット点と前記アッパーリンク構造のアッパーピボット点とを通るキングピン軸を前記ステアリングホイールの中立位置でタイヤ接地面内を通るように設定することによる直進性の低下を補完して直進性を担保することができる。このため、本実施形態では、サスペンション装置の軽量化を図りながら、車両の操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0148

そして、ステアバイワイヤシステムで構成される転舵制御装置による転舵制御が不十分であるときに、ロアリンク構造およびアッパーリンク構造の少なくとも一方のピボット点を移動させてキングピン軸を後傾させることができ、直進性を確保してフェイルセーフ機能を発揮することができ、操縦性・安定性を確保することができる。

0149

(6)転舵制御装置に直進性担保部を設け、この直進性担保部で車両用のサスペンション装置の直進性を担保することとした。
したがって、例えばステアバイワイヤシステムで構成される転舵制御装置における電動アクチュエータを利用して、本発明におけるキングピン軸の設定に対応する直進性担保制御を行うことができる。このため、本実施形態では、サスペンション装置の軽量化を図りながら、車両の操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0150

(7)前記ロアリンク構造は、互いに交差する前記第1のリンク部材及び第2のリンク部材を有し、前記第1のリンク部材および前記第2のリンク部材の交点で表される仮想ロアピボット点を、転舵輪の転舵時に少なくとも車両前後方向前方に移動させるリンク配置とされている。
これにより、転舵輪の転舵時に仮想ロアピボット点が車両前後方向前方に移動するので、キャスタ角を大きくしてキャスタトレイルを増加させることができ、直進性を確保することができる。このため、ステアバイワイヤシステムのフェール時に操縦性・安定性を確保することができる。
この場合、第1ロアリンク部材および第2ロアリンク部材の平面視における交点で表される仮想ロアピボット点を車幅方向内側に設定することができる。このため、仮想アッパーピボット点との関係でスクラブ半径をポジティブスクラブの範囲内で大きく設定することができる。

0151

(8)前記アッパーリンク構造は、第1のアッパーリンク部材および第2のアッパーリンク部材を有し、前記第1のアッパーリンク部材および前記第2のアッパーリンク部材の仮想アッパーピボット点を、転舵輪の転舵時に少なくとも車両前後方向後方に移動させるリンク配置とされている。
これにより、転舵輪の転舵時に仮想アッパーピボット点が車両前後方向後方に移動するので、キャスタ角を大きくしてキャスタトレイルを増加させることができ、直進性を確保することができる。このため、ステアバイワイヤシステムのフェール時に操縦性・安定性を向上させることができる。

0152

(9)前記ステアバイワイヤシステムは、前記転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータと、前記転舵輪の転舵角が前記ステアリングホイールの操舵角に対応するように前記転舵アクチュエータを制御するアクチュエータ制御装置とを備え、前記サスペンション装置の転舵応答性の重視による直進性の低下を補うように前記転舵アクチュエータを制御する。
これにより、サスペンション装置のキングピン軸が転舵輪の直進走行位置で、タイヤ接地面内を通ることにより、キングピン軸周りのモーメントをより小さくしてより小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる転舵応答性を直進性に比較して重視した構成としたときに、サスペンション装置の転舵応答性を確保することによる直進性の低下をステアバイワイヤシステムで補完することができる。

0153

(10)前記直進性担保部は、セルフアライニングトルクを推定して前記サスペンション装置の直進性を担保する。
この構成とすることにより、直進性担保部で、サスペンション装置の高応答性を確保することにより低下した直進性をセルフアライニングトルクで担保することができ、操縦・安定性を向上させることができる。

0154

(11)前記転舵制御装置は、前記ステアリングホイールを中立位置から操舵を開始したときに、前記直進性担保部による直進性担保制御を調整して初期転舵応答性を前記サスペンション装置自体の転舵応答性に設定する転舵応答性設定部を備えている。
この構成によると、ステアリングホイールの中立位置から転舵を開始したときに、初期応答特性を高転舵応答性とすることができる。その後、サスペンション装置自体の転舵応答性を直進性担保部による直進性担保制御で調整することにより、理想的な転舵応答性を確保することができる。

0155

(12)前記転舵制御装置は、コンプライアンスステアを推定して転舵輪の変位補正を行う転舵角制御部を有する。
この構成によると、したがって、サスペンション装置を構成するロアアームの車体側支持部に介挿したブッシュの剛性を低下させることが可能となり、車両の乗心地を向上させることができる。

0156

(13)前記転舵制御装置は、少なくとも前記ステアリングホイールを中立位置から操舵を開始したときに、初期転舵状態では、前記サスペンション装置自体の転舵応答性で高い転舵応答性を設定し、前記初期転舵状態を経過した転舵状態であるときに、前記直進性担保部による直進性担保制御によって必要とする転舵応答性を設定する転舵応答性設定部を備えている。
この構成によると、初期転舵にサスペンション装置の高い転舵応答特性を確保し、初期設定時間経過後に直進性担保部で前記転舵アクチュエータの前記サスペンション装置自体の直進性を担保する制御を行うことができ、理想的な転舵応答特性を得ることができる。

0157

(14)前記転舵応答性設定部は、前記ステアリングホイールを中立位置から操舵したときに、前記直進性担保部による直進性担保制御を遅らせる遅延制御部を備えている。
この構成によると、遅延制御部で、直進性担保部による直進性担保制御の開始を遅らせるので、初期転舵応答特性をサスペンション装置自体の高転舵応答性とすることができる。

0158

(15)前記遅延制御部は、前記直進性担保部による直進性担保制御の開始を調整するゲイン調整部を有する。
この構成によると、これにより、ゲイン調整部で、例えば直進性担保制御における直進性担保制御値に対するゲインを“0”に設定することにより、直進性担保制御を行わず、ゲインを“0”より大きい値例えば“1”に設定することにより、直進性担保制御を開始することができる。このため、ゲイン調整部を設けることにより、直進性担保制御の開始の調整を容易に行うことができる。

0159

(16)前記遅延制御部は、直進性担保部による直進性担保制御を前記ステアリングホイールが中立位置を保持している状態から右または左に操舵した操舵開始タイミングから0.1秒遅延させた後に開始させる。
この構成によると、初期転舵応答特性をサスペンション装置自体の高転舵応答特性を有効に利用することができ、0.1秒の初期期間が経過した後に直進性担保部による直進性担保制御を開始させて、理想的な転舵応答特性を得ることができる。

0160

(17)前記転舵制御装置は、操舵角に応じた目標転舵角を演算する目標転舵角演算部と、該目標転舵角演算部で演算した目標転舵角に前記直進性担保部の直進性担保制御値を加える加算器と、該加算器の加算出力と前記転舵アクチュエータを構成する転舵モータの回転角度とを一致させるモータ指令電流を形成する転舵モータ制御部と、前記モータ指令電流に一致する前記転舵モータに供給するモータ駆動電流を形成する電流制御部とを備えている。

0161

この構成によると、目標転舵角演算部で、ステアリングホイールの操舵角に応じた目標転舵角を演算し、この目標転舵角に加算器で直進性担保制御値を加算し、転舵モータ制御部で、加算器の加算出力にアクチュエータを構成する転舵モータの回転角度を一致させる目標モータ電流を形成し、モータ電流制御部で目標モータ指令電流に一致させるモータ駆動電流を形成し、これを転舵モータに出力することにより、転舵モータをステアリングホイールの操舵角に応じて駆動制御することができる。ここで、目標転舵角演算部から出力される目標転舵角を転舵応答性制御部で調整しているので、最適な転舵制御を行うことができる。

0162

(18)転舵制御装置は、少なくとも前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、前記転舵アクチュエータによる前記転舵輪の転舵動作を検出する転舵動作検出部と、前記操舵角検出部で検出した操舵角及び前記転舵動作検出部で検出した転舵動作を監視して異常判定を行い、異常と判定したときに前記転舵アクチュエータの制御を停止する異常制御部とを備えている。
この構成によると、転舵制御装置で自己診断を行って異常判定を行い、異常と判定したときに転舵アクチュエータの制御を停止することができ、誤動作を確実に防止することができる。

0163

(応用例1)
第1実施形態では、タイヤ接地面内にキングピン軸を設定するものとし、その一例として、キャスタトレイルをゼロに近い値として、キングピン軸の路面着地点をタイヤ接地面中心点に一致させる場合について説明した。
これに対し、本応用例では、キングピン軸の設定条件をタイヤ接地面中心点からタイヤ接地面の前端までの範囲に限定するものとする。
(効果)
キングピン軸の路面着地点をタイヤ接地面中心からタイヤ接地面の前端までに設定すると、直進性の確保と操舵操作の重さの低減を両立できる。即ち、操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0164

(応用例2)
第1実施形態においては、図11に示す座標平面において、一点鎖線で囲んだ領域を設定に適する領域として例に挙げた。これに対し、注目するラック軸力の等値線を境界線とし、その境界線が示す範囲より内側の領域(キングピン傾角の減少方向でスクラブ半径の増加方向)を設定に適する領域とすることができる。
(効果)
ラック軸力の最大値を想定して、その最大値以下の範囲にサスペンションジオメトリを設定することができる。

0165

(応用例3)
第1および第2実施形態および各応用例では、ステアバイワイヤ方式の操舵装置を備える車両にサスペンション装置1Bを適用する場合を例に挙げて説明したが、ステアバイワイヤ方式ではなく、機械的な操舵機構の操舵装置を備える車両にサスペンション装置1Bを適用することが可能である。
この場合、キングピン軸を上記検討結果に基づく条件に従って決定し、キャスタトレイルをタイヤ接地面内に設定した上で、機械的な操舵機構のリンク配置をそれに合わせて構成する。
(効果)
機械的な構造を有する操舵機構においても、キングピン周りのモーメントを低減して運転者に要する操舵力をより小さいものとでき、操縦性・安定性の向上を図ることができる。

0166

(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図22図28について説明する。
この第2実施形態は、前述した第1実施形態のアッパーリンク構造をリンク部材同士が交差しないコンプレッション型の構造とする場合に代えて、リンク部材同士が交差するコンプレッション型の構造としたものである。
すなわち、第2実施形態では、転舵輪17FLおよび17FRのうち転舵輪17FLについて説明すると、図22図27に示すように、アクスルキャリアの車軸より下端側に連結されたロアリンク構造は、前述した第1実施形態と同様にコンプレッションリンク(第1ロアリンク部材)37およびテンションリンク(第2ロアリンク部材)38を交差させた構造とされている。

0167

これに対して、アクスルキャリアの上端に連結されたアッパーリンク構造は、平面視でタイヤ中心軸の僅か車両前後方向後方側に車軸方向に延長して配置された第1アッパーリンクとしてのトランスバースリンク(トランスバースリンク部材)71と、このトランスバースリンク71の車両前後方向後方側に配置された第2アッパーリンクとしてのコンプレッションリンク(コンプレッションリンク部材)72とを交差させた構造とされている。これらトランスバースリンク71およびコンプレッションリンク72のそれぞれはIアームで構成され、アクスルキャリアの上端側に個別に支持されている。

0168

ここで、トランスバースリンク71は、図26および図27(a)に模式的に示すように、アクスルキャリアの上端の車輪側支持点TBUaが転舵輪17FLの車幅方向内側端より外側でタイヤ中心軸の僅か車両前後方向後方側に配置され、車体側支持点TBUbが車幅方向内側でタイヤ中心軸の僅か車両前後方向後方側に配置されている。

0169

また、コンプレッションリンク72は、図26および図27(a)に模式的に示すように、アクスルキャリアの上端の車輪側支持点CPUaが転舵輪17FLの車幅方向内側でトランスバースリンク71の車輪側支持点TBUaから車両前後方向前側に配置され、車体側支持点CPUbがトランスバースリンク71の車体側支持点TBUbより車両前後方向後方側で車幅方向内側に配置されている。したがって、コンプレッションリンク72は、車輪側支持点CPUaから斜め後方に延長している。

0170

上記アッパーリンク構造は、仮想アッパーピボット点PUが平面視で前述した第1実施形態のアッパーリンク構造とは異なってトランスバースリンク71およびコンプレッションリンク72の交点となる。この仮想アッパーピボット点PUは、図26に示すように、転舵輪17FLの車幅方向の内側で車軸中心線より僅か車両前後方向後方側に設定されている。

0171

一方、ロアリンク構造では、図27(b)に示すように、前述した第1実施形態と同様に、仮想ロアピボット点PLが転舵輪17FLの車幅方向内側端部近傍で且つ車軸中心線より車両前後方向で僅か前側に設定されている。
したがって、仮想アッパーピボット点PUおよび仮想ロアピボット点PLを結ぶキングピン軸KSは、図25に示すように、その路面着地点がタイヤ接地面内でタイヤ接地面中心点より車両前方側となる。このため、キングピン傾角を15度以下とすることができるとともに、キャスタ角が零度近傍となって、前述した第1の実施形態と同様にキングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。このため、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。これにより、操縦性・安定性を向上させることができる。

0172

また、第2実施形態では、アッパーリンク構造のコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbのブッシュ剛性が車輪側支持点CPUaのブッシュ剛性、トランスバースリンク71の車輪側支持点TBUa及び車体側支持点TBUbのブッシュ剛性に比較して小さく設定されている。
したがって、非制動時の旋回外輪としての転舵時には、コンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbの移動はなく、コンプレッションリンク72が実線図示の通常支持点Puを中心に時計方向に回転して一点鎖線図示の位置となる。これと同様に、トランスバースリンク71も車体側支持点TBUbを中心に時計方向に回転して一点鎖線図示の位置となる。このため、両リンク71及び72の交点である仮想アッパーピボット点PUは一点鎖線図示のように車幅方向内側で車両前後方向前側となる斜め前方に移動する。

0173

このとき、ロアリンク構造では前述した第1実施形態で説明したように、仮想ロアピボット点PLがやや車幅方向外側に傾いて車両前後方向前側に移動する。
このため、仮想ロアピボット点PL及び仮想アッパーピボット点PUを結んだキングピン軸KSはキングピン傾角が大きくなるが車両側面視での傾きの増加は抑制される。このため、スクラブ半径はポジティブスクラブ領域で減少することになり、この分直進性が低下するが、車両正面視でキングピン軸KSのキングピン傾角が大きくなることにより、直進性を確保することができる。

0174

一方、車両側面視では仮想ロアピボット点PL及び仮想アッパーピボット点PUがともに車両前後方向前側に移動するので、キャスタ角の変化が抑制されてキャスタトレイルの増加も抑制される。したがって、ラック軸力を小さい状態に維持することができ、第1実施形態で前述したように、ステアバイワイヤシステムSBWで異常が発生して転舵アクチュエータ8の駆動が停止されて、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とがメカニカルバックアップ27で直結された場合でも比較的軽い操舵を行うことができる。

0175

ところが、旋回外輪となる転舵状態で、制動状態となった場合には、転舵輪17FLに横力に加えて車輪に車両前後方向の力(後方向きの力)が作用することになる。この状態となると、ロアリンク構造ではブッシュ剛性が大きいので、コンプレッションリンク37及びテンションリンク38の車体支持点CPLb及びTSLbの後方への移動量は殆どないので、車両前後方向後方への力がアッパーリンク構造に作用することになる。この車両前後方向の力がアッパーリンク構造に作用すると、この車両前後方向の力を、コンプレッションリンク72が主に受け持つことになる。

0176

そして、コンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbのブッシュ剛性の他の支持点のブッシュ剛性に比較して低く設定されているので、このコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbが図28で拡大図示するように、実線図示の状態から点線図示のように車両前後方向後方に移動する。つまり、コンプレッションリンク72が一点鎖線図示の状態から点線図示の状態に移動することになり、これに応じてトランスバースリンク71も車体側支持点TBUbを中心として反時計方向に回動して直進走行時の実線と略重なる位置となる。

0177

したがって、仮想アッパーピボット点PUは一点鎖線図示のPU1から車幅方向外側で車両前後方向後側となる●図示のPU2へ左斜め後方に移動することになる。このため、車両側面視でキャスタ角が大きくなってキャスタトレイルが増加して、直進性を確保してアンダーステア傾向となる。この結果、第1実施形態で前述したように、ステアバイワイヤシステムSBWに異常が発生して、ステアバイワイヤシステムSBWによる転舵アクチュエータ8の制御を停止したフェール発生時に、転舵輪17FLを旋回外輪とする転舵時に制動状態となったときに、サスペンション装置1B側で直進性を確保することができるので、車両の操縦性・安定性を向上させて良好なフェイルセーフ機能を発揮することができる。また、車両の直進走行状態の制動時でもアッパーリンク構造のコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbが車両前後方向後方に移動するので、キャスタ角を大きくしてキャスタトレイルを増加させることができる。このため、直進性をより高めることができ、車両の操縦性・安定性を確保することができる。

0178

なお、本実施形態において、ロアリンク構造を構成するコンプレッションリンク37およびテンションリンク38のリンク配置とアッパーリンク構造を構成するトランスバースリンク71およびコンプレッションリンク72のリンク配置とブッシュ剛性を低下させたコンプレッションリンク72のブッシュとがピボット点移動部に対応する。

0179

(第2実施形態の効果)
(1)前記アッパーリンク構造は、前記第1のアッパーリンク部材がトランスバースリンク部材で構成され、前記第2のアッパーリンク部材がコンプレッションリンク部材で構成され、前記第2のアッパーリンク部材の車体側連結点の剛性が前記第1のアッパーリンク部材の車体側連結点の剛性より小さく設定されている。
したがって、旋回制動時に直進性を確保することができ、ステアバイワイヤシステムSBWに異常が発生してサスペンション装置1Bの直進性を補完することができない状態となった場合でも直進性を確保して、操縦性・安定性を確保することができ、良好なフェイルセーフ機能を発揮することができる。

0180

(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図29図33について説明する。
この第3の実施形態は、ステアバイワイヤシステムの異常発生時に前述した第2実施形態におけるコンプレッションリンク72の車体側支持点を強制的に車両後方側に移動させて直進性を確保するようにしたものである。
すなわち、第3実施形態では、図29に示すように、アッパーリンク構造のトランスバースリンク71の車体側支持点TBUbが前述した第2の実施形態のトランスバースリンク71の車体側支持点TBUbよりやや車両後方側に設定されている。

0181

また、図30に示すように、アッパーリンク構造のコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbを強制的に後方に移動させて仮想アッパーピボット点PUを後方に移動させるピボット点移動部を構成するピボット点強制移動部79を備えている。
このピボット点強制移動部79は、アッパーリンク構造のコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbに配設した支持位置可変ブッシュ80を備えている。この支持位置可変ブッシュ80は、車両前後方向で車体側支持軸81を挟む前後対称位置に一対のすぐり80a及び80bを形成している。

0182

そして、支持位置可変ブッシュ80のすぐり80a及び80bは4ポート電磁切換弁82を介して油圧源83に接続されている。ここで、4ポート電磁切換弁82の一方の入力ポートが油圧源83に接続され、他方の入力ポートが油タンク84に接続され、一方の出力ポートが支持位置可変ブッシュ80のすぐり80aに接続され、他方の出力ポートが支持位置可変ブッシュ80のすぐり80bに接続されている。そして、4ポート電磁切換弁82は、制御信号CSがオフ状態であるときの第1の切換位置で油圧源83からの油圧をすぐり80a及び80bの双方に供給し、制御信号CSがオン状態であるときの第2の切換位置で油圧源83をすぐり80bに接続し、すぐり80aを油タンク84に接続する。

0183

したがって、すぐり80a及び80bに油圧が供給されている状態では、図30で実線図示のように、支持位置可変ブッシュ80の外周円が車体側支持軸85の中心軸に対して同心円を維持しているが、すぐり80aの油圧が油タンク84に戻されると、支持位置可変ブッシュ80の外周円の中心軸が図30で点線図示のように前述した第2実施形態における制動時と同様に車体側支持軸85の中心軸より車両後方側に移動する。

0184

そして、4ポート電磁切換弁82が、前述したコントロール/駆動回路ユニット26で実行する図31に示す異常判定処理によって切換制御される。
この異常判定処理は、図31に示すように、前述した図21の異常判定処理において、ステップS27の次に、オン状態の制御信号CSを4ポート電磁切換弁82に出力するステップS33が追加されるとともに、ステップS32の次に、4ポート電磁切換弁82に出力する制御信号CSをオフ状態とステップS34が追加されていることを除いては図21と同様のステップを有し、図21との対応するステップには同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。

0185

(第3実施形態の動作)
今、コントローラ/駆動回路ユニット26で実行される図31の異常判定処理で、操舵角θs、操舵入力角θi、第1の転舵角δr1及び第2の転舵角δr2が正常であるステアバイワイヤシステムSBWが正常である状態では、ステップS21〜S24を経てステップS25に移行し、ステップS28〜S30を経てステップS31に移行して、メカニカルバックアップ27を非作動状態として、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とを分離した状態とする。

0186

次いで、ステップS32に移行して、操舵反力アクチュエータ6及び転舵アクチュエータ8を駆動してステアリングホイール2の操舵角θsに応じた操舵反力を発生するとともに操舵角θsに応じた転舵角δr1およびδr2となるように制御する。
次いで、ステップS34に移行して、制御信号CSをオフ状態とする。このため、4ポート電磁切換弁82が第1の切換位置を維持し、支持位置可変ブッシュ80のすぐり80a及び80bの双方に油圧源83の油圧が供給されるので、コンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbは図29および図32(a)で実線図示の位置を維持する。
このため、前述した第2実施形態と同様に、車両の直進走行状態で、アッパーリンク構造の仮想アッパーピボット点PUは、図29および図32(a)に示すように、転舵輪17FLの車幅方向の内側で車軸中心線より車両前後方向後方側に設定されている。

0187

また、ロアリンク構造については、前述した第1及び第2実施形態と同様に、仮想ロアピボット点PLが転舵輪17FLの車幅方向内側端部近傍で且つ車軸中心線より車両前後方向で後側に設定されている。
したがって、仮想アッパーピボット点PUおよび仮想ロアピボット点PLを結ぶキングピン軸KSは、図29に示すように、その路面着地点PTがタイヤ接地面内でタイヤ接地面中心点より車両前方側となる。このため、キングピン傾角を15度以下とすることができるとともに、キャスタ角が零度近傍となって、前述した第1の実施形態と同様にキングピン軸周りのモーメントをより小さくすることができる。このため、より小さいラック軸力で転舵を行うことができると共に、より小さい力で車輪の向きを制御できる。これにより、操縦性・安定性を向上させることができる。

0188

また、旋回外輪としての転舵時には、コンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbの移動はなく、コンプレッションリンク72が実線図示の通常支持点Puを中心に時計方向に回転して一点鎖線図示の位置となる。これと同様に、トランスバースリンク71も車体側支持点TBUbを中心に時計方向に回転して一点鎖線図示の位置となる。このため、両リンク71及び72の交点である仮想アッパーピボット点PUは一点鎖線図示のように車幅方向内側で車両前後方向前側となる斜め前方に移動する。
このとき、ロアリンク構造では前述した第1実施形態で説明したように、仮想ロアピボット点PLがやや車幅方向外側に傾いて車両前後方向前側に移動する。

0189

このため、仮想ロアピボット点PL及び仮想アッパーピボット点PUを結んだキングピン軸KSはキングピン傾角が大きくなるが車両側面視での傾きの増加は抑制される。このため、スクラブ半径はポジティブスクラブ領域で減少することになり、この分直進性が低下するが、車両正面視でキングピン軸KSのキングピン傾角が大きくなることにより、直進性を確保することができる。

0190

このステアバイワイヤシステムSBWの正常状態から操舵角センサ4、操舵反力制御系、転舵制御系の何れかに異常が発生すると、図31異常検出処理で、ステップS26へ移行し、メカニカルバックアップ27が作動されて、入力側ステアリング軸3と出力側ステアリング軸10とが連結される。これと略同時に操舵反力アクチュエータ6及び転舵アクチュエータ8の駆動が停止される(ステップS27)。

0191

さらに、制御信号CSがオン状態となって(ステップS33)、4ポート電磁切換弁82を第2の切換位置に切換え、支持位置可変ブッシュ80のすぐり80aを油タンク84に接続し、すぐり80bへの油圧源83の油圧の供給は継続される。このため、すぐり80aの油圧が低下することにより、支持位置可変ブッシュ80はその中心軸が車体側支持軸85の中心軸に対して車両前後方向後方側に移動することなる。
このため、前述した第2実施形態における旋回外輪としての転舵時における制動時と同様にコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUaが図32(a)及びこれを拡大した図33で点線図示のように車両後方側の車体側支持点CPUb′に強制的に移動される。

0192

このコンプレッションリンク72の後方への移動に伴って、トランスバースリンク71も車体側支持点TBUbを中心に平面視で反時計方向に回動する。このとき、トランスバースリンク71の車体側支持点CPUbが車輪側支持点CPUaより車両前後方向後方側に配置されているので、車輪側支持点CPUaは、図32(a)および図33に示すように、車幅方向外側に僅かに移動することになる。このため、転舵輪17FLは、図32(a)及び図33に示すように、トーイン方向に僅かに傾斜することになり、直進性を確保することができる。

0193

これと同時に仮想アッパーピボット点PUは点線図示のPU1へ車両前後方向後方で且つ車幅方向外側となる左斜め後方に移動することになる。
このため、前述した第2の実施形態と同様にキングピン軸KSの側面視の傾きが大きくなり、キャスタ角が増加するとともに、キャスタトレイルが増加して直進性が増加し、ステアバイワイヤシステムSBWの転舵制御による直進性の補完処理の停止による直進性の低下を補うことができる。

0194

そして、転舵制御系の異常が継続している状態で、転舵輪17FLを旋回外輪となる転舵状態とすると、図32(a)および図33で一点鎖線図示のように、コンプレッションリンク72は車体側支持点CPUb′を中心に時計方向に回動する。これに伴ってトランスバースリンク71も車体側支持点TBUbを中心にして平面視時計方向に回動し、仮想アッパーピボット点PUがPU1から車幅方向内側で車両前後方向前側の●印のPU2へ右斜め前に移動する。

0195

一方、転舵制御系の異常が発生して29で破線図示のように、トランスバースリンク71が車体側支持点TBUbを中心として平面視時計方向に回動する。また、コンプレッションリンク72は、実線図示の車体側支持点CPUbを中心に破線図示のように回動する。
このため、トランスバースリンク71とコンプレッションリンク72との交点で表される仮想アッパーピボット点PUはPUからPU3へ車幅方向内側で且つ車両前後方向前側のPU3へ右斜め前に移動する。
したがって、転舵制御系の異常が発生して転舵制御ができなくなったときの転舵輪17FLの旋回外輪となる転舵状態では、仮想アッパーピボット点PU2が転舵制御系の異常が発生していないときの仮想アッパーピボット点PU3に比較して車幅方向外側で車両前後方向後側に左斜め後方に移動していることなる。

0196

したがって、前述した第2実施形態と同様に、転舵制御系の異常が発生している直進性低下状態で、仮想アッパーピボット点PUを車幅方向外側で且つ車両前後方向後側に移動させることができ、キングピン軸KSを車両側面視で傾斜を大きくし、キャスタ角が増加するとともに、キャスタトレイルが増加してステアバイワイヤシステムSBWの制御停止による直進性低下分を補って直進性を確保することができる。

0197

なお、上記第3の実施形態では、ピボット点強制移動部79をすぐり80a及び80bを有する支持位置可変ブッシュ80と、4ポート電磁切換弁82及び油圧源83とで構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動直動アクチュエータ油圧シリンダ等の直線移動機構によってコンプレッションリンク72の車体側支持点CPUbを後方側へ移動させるようにしてもよい。

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