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技術 義歯安定材

出願人 福地製薬株式会社大同化成工業株式会社
発明者 青木博一谷知宏秋山真一小田卓矢
出願日 2012年7月19日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2012-160925
公開日 2014年2月3日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-018488
状態 特許登録済
技術分野 歯科補綴 歯科用製剤
主要キーワード 分岐有機 密着タイプ 密着強さ テープタイプ アルミニウムチューブ アルコール検知器 チューブ状容器 安定材
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重要な関連分野

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課題

本発明は、新規酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定材を提供する。

解決手段

酢酸ビニル樹脂及びグリセリンアセチル誘導体を含有する義歯安定材用組成物であって、前記グリセリンのアセチル誘導体が、下記構造式(1):[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]で表される、義歯安定材用組成物。

概要

背景

義歯安定材主機能は、義歯床口腔粘膜との隙間を埋めることにより義歯を固定化させることであり、そのため、義歯床の口腔粘膜側への装着がし易いこと、装着後にクッション性に優れること、接着性が強く長期に持続すること、使用後は口腔粘膜側から義歯床を剥がし易く、また義歯床からも剥がし易いこと等が要求される。

現在市販されている義歯安定材には、密着タイプクッションタイプ)と粘着タイプとがある。密着タイプの義歯安定材は、主に酢酸ビニル樹脂を主基剤とするものである(特許文献1〜3)。密着タイプの義歯安定材は、手指粘膜顎堤粘膜には粘着性弱いが義歯床には粘着性を示し、義歯と顎堤粘膜との大きな隙間を埋めることができる。密着タイプの義歯安定材は、塗布後経時的に固くなるので、概ね2日から4日の連続使用が可能である。国内市場の半分以上は、密着タイプの義歯安定材が占める。粘着タイプの義歯安定材は、カラヤガムカルボキシメチルセルロースCMC)、メトキシエチレン酸重合体等の水溶性高分子化合物を主成分とするものである。粘着タイプの義歯安定材は、口腔内の水分(唾液)を吸収しゲル状になって膨潤し、粘着性を増し、膨潤することで、義歯と顎堤粘膜との空隙を満たし、義歯を維持・安定することができる。粘着タイプの義歯安定材には、クリームタイプテープタイプ粉末タイプ等がある。
前述の酢酸ビニル樹脂を主基剤として使用する密着タイプの義歯安定材は、酢酸ビニル樹脂を可塑化するために、エタノールが必須成分として用いられている(特許文献1〜3)。

この様に、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材にはエタノールが10〜30質量%程度含まれるため、利用者の装着時に灼熱感が生じ易い問題、アルコールによるアレルギーの問題等があり、利用者の使用感を向上させる点については未だ検討の余地があった。

一方、国土交通省から、事業用自動車運転者飲酒運転根絶するため、運送事業者が運転者に対して実施することとされている点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用すること等が義務化された。このアルコール検知器義務化に関してよくある質問の中で、食べたもの等にアルコール検知器が反応してしまう場合が想定されており、入れ歯安定剤等の体に付けるものでアルコールを含むものに反応することもあるので、運転者は、入れ歯安定剤についてもアルコールを含まないものを使用する等、注意を呼びかけている。

前述の通り、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材にはエタノールが10〜30質量%程度含まれるため、その様な義歯安定材を装着すると、飲酒していないにも関わらず、アルコール検知器で誤検知される問題があった。
そこで、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材においては、エタノールに替わる新規可塑剤が求められていた。

概要

本発明は、新規な酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定材を提供する。酢酸ビニル樹脂及びグリセリンアセチル誘導体を含有する義歯安定材用組成物であって、前記グリセリンのアセチル誘導体が、下記構造式(1):[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]で表される、義歯安定材用組成物。なし

目的

本発明の課題は、新規な酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定材用組成物及び義歯安定材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酢酸ビニル樹脂及びグリセリンアセチル誘導体を含有する義歯安定材組成物であって、前記グリセリンのアセチル誘導体が、下記構造式(1):[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]で表される、義歯安定材用組成物。

請求項2

前記式R4CO−のR4が、炭素数5〜20の直鎖又は分岐有機基である請求項1に記載の義歯安定材用組成物。

請求項3

前記酢酸ビニル樹脂が、平均重合度200〜5000の酢酸ビニル樹脂である請求項1又は2に記載の義歯安定材用組成物。

請求項4

請求項1、2又は3に記載の義歯安定材用組成物を含む義歯安定材。

請求項5

実質的にエタノールを含まない請求項4に記載の義歯安定材。

技術分野

0001

本発明は、義歯安定材に関する。

背景技術

0002

義歯安定材の主機能は、義歯床口腔粘膜との隙間を埋めることにより義歯を固定化させることであり、そのため、義歯床の口腔粘膜側への装着がし易いこと、装着後にクッション性に優れること、接着性が強く長期に持続すること、使用後は口腔粘膜側から義歯床を剥がし易く、また義歯床からも剥がし易いこと等が要求される。

0003

現在市販されている義歯安定材には、密着タイプクッションタイプ)と粘着タイプとがある。密着タイプの義歯安定材は、主に酢酸ビニル樹脂を主基剤とするものである(特許文献1〜3)。密着タイプの義歯安定材は、手指粘膜顎堤粘膜には粘着性弱いが義歯床には粘着性を示し、義歯と顎堤粘膜との大きな隙間を埋めることができる。密着タイプの義歯安定材は、塗布後経時的に固くなるので、概ね2日から4日の連続使用が可能である。国内市場の半分以上は、密着タイプの義歯安定材が占める。粘着タイプの義歯安定材は、カラヤガムカルボキシメチルセルロースCMC)、メトキシエチレン酸重合体等の水溶性高分子化合物を主成分とするものである。粘着タイプの義歯安定材は、口腔内の水分(唾液)を吸収しゲル状になって膨潤し、粘着性を増し、膨潤することで、義歯と顎堤粘膜との空隙を満たし、義歯を維持・安定することができる。粘着タイプの義歯安定材には、クリームタイプテープタイプ粉末タイプ等がある。
前述の酢酸ビニル樹脂を主基剤として使用する密着タイプの義歯安定材は、酢酸ビニル樹脂を可塑化するために、エタノールが必須成分として用いられている(特許文献1〜3)。

0004

この様に、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材にはエタノールが10〜30質量%程度含まれるため、利用者の装着時に灼熱感が生じ易い問題、アルコールによるアレルギーの問題等があり、利用者の使用感を向上させる点については未だ検討の余地があった。

0005

一方、国土交通省から、事業用自動車運転者飲酒運転根絶するため、運送事業者が運転者に対して実施することとされている点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用すること等が義務化された。このアルコール検知器義務化に関してよくある質問の中で、食べたもの等にアルコール検知器が反応してしまう場合が想定されており、入れ歯安定剤等の体に付けるものでアルコールを含むものに反応することもあるので、運転者は、入れ歯安定剤についてもアルコールを含まないものを使用する等、注意を呼びかけている。

0006

前述の通り、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材にはエタノールが10〜30質量%程度含まれるため、その様な義歯安定材を装着すると、飲酒していないにも関わらず、アルコール検知器で誤検知される問題があった。
そこで、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材においては、エタノールに替わる新規可塑剤が求められていた。

先行技術

0007

特許第3479811
特開平10−165421号公報
特開平11−221238号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の課題は、新規な酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定材用組成物及び義歯安定材を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記課題について検討を行い、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定材用組成物及び義歯安定材において、特定の構造を有するグリセリンアセチル誘導体が、エタノールに替わる可塑剤として有用であることを見出した。
本発明は、以下の義歯安定材用組成物及び義歯安定材を提供するものである。

0010

項1.酢酸ビニル樹脂及びグリセリンのアセチル誘導体を含有する義歯安定材用組成物であって、前記グリセリンのアセチル誘導体が、下記構造式(1):



[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]
で表される、義歯安定材用組成物。
項2. 前記式R4CO−のR4が、炭素数5〜20の直鎖又は分岐有機基である請求項1に記載の義歯安定材用組成物。
項3. 前記酢酸ビニル樹脂が、平均重合度200〜5000の酢酸ビニル樹脂である請求項1又は2に記載の義歯安定材用組成物。
項4. 請求項1、2又は3に記載の義歯安定材用組成物を含む義歯安定材。
項5. 実質的にエタノールを含まない請求項4に記載の義歯安定材。

発明の効果

0011

本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、特定のグリセリンのアセチル誘導体を含み、当該グリセリンのアセチル誘導体は、食品添加物として認可されているものを選択的に使用することで安全性が高く、臭気が少なく、義歯安定材に柔軟性及び剥離性を付与することができる。
本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、特定のグリセリンのアセチル誘導体を含むので、エタノールに替えて、主基剤である酢酸ビニル樹脂を可塑化することができる。このため、本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、エタノールの含有量を極力少なくすることができ、又エタノールを含有しなくても良いため、利用者の装着時に灼熱感が生じず、アルコールによるアレルギー反応も起こらず、利用者の使用感を向上させることができる。また、本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、エタノールの含有量を極力少なくすることができ、又エタノールを含有しなくても良い義歯安定材であるため、義歯安定材を装着しても、アルコール検知器で誤検知されない。
更には、本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材が含む特定のグリセリンのアセチル誘導体は、エタノールに比べて、揮発され難くいので、義歯安定材の使用期間を長くすることができる。

0012

本発明において、「義歯安定材用組成物」とは、義歯安定材に用いるための組成物であり、
少なくとも酢酸ビニル樹脂及び下記構造式(1)で示されるグリセリンのアセチル誘導体を含有するものを意味する。「義歯安定材」とは、使用者が使用する最終形態であり、前記義歯安定材用組成物を含むものを意味する。但し、本発明では、義歯安定材用組成物がそのまま最終製品として流通され、使用される形態であっても良く、また義歯安定材が義歯安定材用組成物を100質量%含む使用形態であっても良い。

0013

以下、本発明の内容について、詳細に説明する。
本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、酢酸ビニル樹脂及びグリセリンのアセチル誘導体を含有し、
前記グリセリンのアセチル誘導体が、下記構造式(1):



[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子、アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]
で表されるものである、ことを特徴とする。

0014

1.義歯安定材用組成物
本発明の義歯安定材用組成物は、酢酸ビニル樹脂及び上記構造式(1)で表されるグリセリンのアセチル誘導体を含有する。

0015

(1)酢酸ビニル樹脂
本発明の義歯安定材は、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む、密着タイプのものである。
酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、保形性、柔軟性(チューブからの取り出し、使用感、チューブへの充填のし易さ)、クッション性の観点から、200〜5000程度が好ましく、200〜3000程度が更に好ましく、200〜2500程度が特に好ましい。本発明では、前記平均重合度を有する酢酸ビニル樹脂を1種単独で用いても、また平均重合度の異なる酢酸ビニル樹脂を2種以上組み合わせて使用することもできる。平均重合度が5000を超えるような酢酸ビニル樹脂を使用する場合、粘度が非常に高くなり、柔軟性欠損、使用感低下、充填不良、使用配合比率の低下によるクッション性不良などの弊害を考慮しなければならない。また、平均重合度が200を下回るような酢酸ビニル樹脂を使用する場合、クッション性低下、保形性低下、口腔内への溶出などの弊害を考慮する必要がある。尚、酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、酢酸ビニル樹脂の溶液を作り、オストワルド粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度と溶液濃度等から計算で平均重合度を測定することができる。
酢酸ビニル樹脂の配合量は、保型性、柔軟性、クッション性の観点から、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の20〜80質量%程度の範囲になるように調整することが好ましい。酢酸ビニル樹脂の配合量は、より好ましくは義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の30〜70質量%程度である。
以下、酢酸ビニル樹脂以外の成分であって、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)に含まれる成分を説明する。各成分については、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)の全量(又は各形態)に対する配合割合(質量%)で表すとともに、酢酸ビニル樹脂100質量部に対する配合量(質量部)で表す。

0016

(2)グリセリンのアセチル誘導体
本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、グリセリンのアセチル誘導体を含む。
前記グリセリンのアセチル誘導体は、下記構造式(1):



[式(1)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子、アセチル基、又は式:R4CO−(R4は、炭素数2〜30の有機基である。)で示される基である。但し、R1、R2及びR3の少なくとも一つはアセチル基であり、且つR1、R2及びR3の少なくとも一つは式:R4CO−である。]
で表される。

0017

可塑剤には、主基剤である酢酸ビニル樹脂を、効果的に可塑化する機能が求められる。そのため、(1)酢酸ビニル樹脂との相溶性、親和性の良い可塑剤が好ましい。例えば、分子構造的には、酢酸ビニル樹脂にも含まれているアセチル基を有することが好ましい。また、(2)義歯安定材である以上、可塑剤自身が体温付近の温度で液状を示すものが好ましい。酢酸ビニル樹脂を可塑化させるためには、ある程度の分子鎖長が必要であることから、グリセリンの脂肪酸エステルを選択的に使用することが好ましい。脂肪酸エステルを有するグリセリン誘導体の中でも体温付近での温度で液状を示す化合物可塑化効果は大きく、好ましい。また液状を示す可塑剤と固体の可塑剤とを併用することも可能である。可塑剤の併用物全体が体温付近で液状を示すことで可塑化効果を向上させることができる。

0018

前記理由により、酢酸ビニル樹脂を良好に可塑化させるためには、前記構造式(1)において、R1、R2及びR3の内、少なくとも一つはアセチル基であることが必要である。また、前記理由により、可塑剤は、アセチル基を多く含み、且つ一定の分子鎖長がある脂肪酸エステルのグリセリン誘導体であること(つまり、R1、R2及びR3の少なくとも一つが式:R4CO−であること)で、より効果的に可塑化することが可能となる。従って、グリセリンのアセチル誘導体の中で、脂肪酸エステル部位に、更にアセチル基を有する物質でも効果的に酢酸ビニル樹脂を可塑化することが可能である。

0019

前記特定のグリセリンのアセチル誘導体を使用することで、酢酸ビニル樹脂を可塑化することができる。また、平均重合度が3000〜5000程度の酢酸ビニル樹脂を使用する場合、粘度が非常に高くなることが想定される。しかし、本発明では、前記特定のグリセリンのアセチル誘導体を使用し、酢酸ビニル樹脂の配合比率を適宜設定することで、酢酸ビニル樹脂を相溶・可塑化できると共に、保形性、クッション性等を良好に維持することができる。

0020

構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体としては、R1、R2及びR3のいずれかにおいて、水素原子、アセチル基(-COCH3)、式:R4CO−であるグリセリンのアセチル誘導体、一つがアセチル基であり、二つが式:R4CO−であるグリセリンのアセチル誘導体、二つがアセチル基であり、一つが式:R4CO−であるグリセリンのアセチル誘導体、が挙げられる。構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体において、R1、R2及びR3のいずれか二つが式:R4CO−である場合、それら二つの式:R4CO−において、R4は、同一であっても良く、異なっていても良く、炭素数2〜30の有機基であれば良い。

0021

前記式:R4CO−のR4は、炭素数2〜30の有機基である。前記式:R4CO−のR4は、酢酸ビニル樹脂との相溶性、離型性、体温付近での保型性、口腔内への溶出、健康安全性の観点から、炭素数2〜22の基であることが好ましい。また、体温付近の温度で液状を示す点も考慮すると炭素数5〜20の基であることが更に好ましい。前記式R4CO−のR4は、直鎖又は分岐有機基であることが好ましい。前記式:R4CO−のR4は、炭素数2〜30の飽和炭化水素基(CnH2n+1−)又は不飽和炭化水素基(CnH2n−、CnH2n-2−等)等の炭化水素基であることが好ましく、またアセチル基を含む炭素数2〜30の有機基であることが好ましい。つまり、前記式:R4CO−のR4は、複数のアセチル基を含んでいても、可塑剤としても効果を得ることができる。

0022

前記式:R4CO−は、例えば、カプロン基(CH3(CH2)4CO−)、カプリル基(CH3(CH2)6CO−)、カプリン基(CH3(CH2)8CO−)、ラウリル基(CH3(CH2)10CO−)、ミリスチル基(CH3(CH2)12CO−)、ペンタデシル基(CH3(CH2)13CO−)、パルミチル基(CH3(CH2)14CO−)、ステアリル基(CH3(CH2)16CO−)、アラキジル基(CH3(CH2)18CO−)、パラミトレイニル基(CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7CO−)、オレイル基(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7CO−)、リノール基(CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CO−)、リノレン基(CH3(CH2)2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CO−)、アラキドニル基(CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CO−)、エイコサペンタエノイル基(CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CO−)、ドコサヘキサノイル基(CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CO−)等が挙げられる。

0023

構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体としては、酢酸ビニル樹脂との相溶性、柔軟性、体温付近での保型性、口腔内への溶出、健康安全性の観点から、グリセリンジアセトモノカプロレート(C6エステル)、グリセリンジアセトモノカプリレート(C8エステル)、グリセリンジアセトモノラウレート(C12エステル)、グリセリンジアセトモノステアレート(C18エステル)、グリセリンジアセトモノオレート(C18エステル)、グリセリンジアセトモノリノレート(C18エステル)、グリセリンジアセトモノリノレニート(C18エステル)、グリセリンジアセトエイコサペンタエノエート(C20エステル)、グリセリンジアセトドコサヘキサエノエート(C22エステル)、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンモノアセトモノミリステート、グリセリンモノアセトモノパルミネート、グリセリンモノアセトモノリシノレート、グリセリンモノアセトモノベヘネート、グリセリンモノアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトジオレート、グリセリンモノアセトジリシノレート、グリセリンモノアセトジカプリレート、グリセリンモノアセトジラウレート、グリセリンモノアセトジステアレート等、C2〜C22の脂肪酸エステルを使用することが好ましい。構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体としては、柔軟性、保形性(口腔内も含む)、離型性の観点から、口腔内温度(体温)で液状を示すグリセリンのアセチル誘導体が良い。
また酢酸ビニル樹脂との相溶性、可塑化、柔軟性の観点からアセチル基を有することが好ましく、より好ましくはアセチル基を2つ以上有するグリセリンのアセチル誘導体を用いることが好ましい。また、R4の炭化水素鎖の側鎖にアセチル基を有していても良い。

0024

本発明で用いる好ましい構造式(1)で表されるグリセリンのアセチル誘導体としては、R1、R2及びR3のいずれかが、-H、-COCH3、-CO(CH2)nCH3である構造、-COCH3、-CO(CH2)nCH3、-CO(CH2)nCH3である構造、-COCH3、-COCH3、-CO(CH2)nCH3である構造等が挙げられる。nは前記説明した基を満たす整数である。

0025

構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体の配合量は、柔軟性、保形性(口腔内も含む)、離型性の観点から、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の10〜90質量%程度の範囲になるように調整することが好ましい。構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体の配合量は、より好ましくは義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の10〜80質量%程度であり、更に好ましくは10〜70質量%程度である。同様の理由から、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)に含まれる構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体の配合量は、酢酸ビニル樹脂100質量部に対して、10〜900質量部程度が好ましく、10〜400質量部程度がより好ましく、15〜250質量部程度が更に好ましい。

0026

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む密着タイプ(クッションタイプ)であり、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を含む。前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体は、食品添加物として認可されており安全性が高い。また、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体は、臭気が少ないので、使用感が良い。

0027

前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体は、義歯安定材に柔軟性を付与することができ、義歯安定材を薄く延ばし均一に塗布することが可能となり、製品のチューブから義歯安定材を取り出し易くすることができる。またチューブへの充填も容易になる。また、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体は、義歯安定材に剥離性を付与することができ、従来の義歯安定材では使用することの多かった離型剤を使用せずとも義歯及び粘膜から義歯安定材を容易に剥離することができる。

0028

また、従来の義歯安定材では、主基剤として酢酸ビニル樹脂を使用し、可塑剤としてエタノールを使用していたため、離型剤等の添加剤を添加する目的と、酢酸ビニル樹脂の溶解性を向上させる目的で、エタノールと共に十分な水も配合することが必要であった。本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合するので、従来義歯安定材に必要とされていた十分な水を配合しなくても済む。

0029

また、従来の主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む密着タイプ(クッションタイプ)の義歯安定材では、酢酸ビニル樹脂を可塑化するためにエタノールは必須成分であった。国土交通省は、事業用自動車の運転者の飲酒運転を根絶するため、運送事業者が運転者に対して実施することとされている点呼において、運転者の酒気帯びの有無を確認する際にアルコール検知器を使用すること等を義務化している。入れ歯安定剤等の体に付けるものでアルコールを含むものは、アルコール検知器が反応してしまうこともあるので、運転者は、入れ歯安定剤についてもアルコール(エタノール)を含まないものを使用する等、注意が必要であった。本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を使用することで、エタノールに替えて、酢酸ビニル樹脂を可塑化することができる。そのためアルコール(エタノール)を含まない酢酸ビニル樹脂を主基剤として含む義歯安定材を調製することができる。

0030

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を含むことで、柔軟性、剥離性等は従来品同等もしくは同等以上の性能を発現することができると共に、アルコール(特に、エタノール)フリー化を実現できる。本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、エタノールを含まなくても良いため、エタノール摂取制限の利用者(アレルギー保有者高齢者等)でも使用可能となる。また、義歯安定材を使用した時の口腔内へのエタノールによる刺激が少なく、エタノール特有の臭気もない。また、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、エタノールを含まなくても良いため、利用者が義歯安定材を装着した場合に、アルコール検知器での飲酒の誤検知が生じないため、社会的意義は大きい。

0031

また、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を使用することで、従来の主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材に使用されている無機塩類鉱物類、疎水性高分子等の離型剤を使用しなくても、容易に義歯床ならびに顎堤粘膜から、義歯安定材を剥離させることが可能である。
可塑剤として、エタノールを使用すること(エタノール系)に比較して、本発明の構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を使用すること(グリセリン系)の利点を説明する。

0032

保形性(揮発性
本発明で使用するグリセリン系は、エタノール系に比して揮発しにくいため、樹脂液の乾燥が遅い。そのため、義歯安定材の可使時間(チューブから取り出して装着するまでの時間)を長くとることが可能である。義歯安定材の基本的な使用方法は、剤を義歯床に薄く伸ばして装着することであるから、可使時間が長ければ、装着のやり直しが可能である。一方、エタノール系は、エタノールが揮発して義歯安定材が硬くなるので、義歯安定材の可使時間が短く、再度チューブから剤を取り出す必要がある。

0033

使用感(しっとり感、べたつき感)
本発明で使用するグリセリン系は、義歯安定材にグリセリン系特有のしっとり感を付与することができ、ベタツキ感を抑えることができる。一方、エタノール系は皮膚への親和力密着性が強いため、可塑剤としてエタノールを使用するような形態では、ベタツキ感が生じる。

0034

離型性(材への残留
本発明で使用するグリセリン系は、義歯安定材中に、追加の離型剤、剥離剤を用いずとも、義歯床、粘膜から剥がすことが容易である。一方、エタノール系は、剥離剤を併用しなければ、酢酸ビニル樹脂を含む組成物の、指や粘膜、義歯床に対する親和力・密着力が強いため、使用後に義歯安定材を完全に除去できず被着材に残留し易いという理由から、一般的に、離型剤や剥離剤を用いることが多い。

0035

(3)粘度調整剤
本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)には、前述のグリセリンのアセチル化誘導体以外の可塑剤及び粘度を調整するもの(粘度調整剤)として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、プロピレングリコール(PG)、グリセリン、ソルビット、等を使用することができる。減粘効果が大きく、口腔内での安全使用の観点から、食品にも使用されている成分を使用することが好ましい。
例えばPEGとしては分子量190〜4000程度、特に190〜2000程度のものが好適に用いられ、単独でも、数種類の異なる分子量のものを併用使用してもよい。

0036

PEG、PPG、PG、グリセリン、ソルビット等の粘度調整剤の配合量は、酢酸ビニル樹脂との相溶性・親和性、柔軟性の観点から、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の1〜50質量%程度の範囲になるように調整することが好ましい。粘度調整剤の配合量は、より好ましくは義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の1〜40質量%程度であり、更に好ましくは5〜30質量%程度である。同様の理由から、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)に含まれる粘度調整剤の配合量は、酢酸ビニル樹脂100質量部に対して、1〜100質量部程度が好ましく、5〜60質量部程度がより好ましい。

0037

(4)その他の成分
本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)には、上記酢酸ビニル樹脂及び構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体に加えて、義歯安定材に所望の性状を与えるために、その他の任意成分を必要に応じて配合することができる。

0038

任意成分としては、例えば、上記以外の可塑剤および粘度調整剤、無毒性油脂・ワックス類乳化剤水不溶性粉体酵素殺菌剤、水、エタノール、色素等を挙げることができる。

0039

可塑剤、粘度調整剤又はpH調整剤として、クエン酸トリエチルクエン酸アセチルトリエチル酢酸、グリセリンおよびそのアセチル化誘導体(トリアセチンやアセチル化ジグリセライド、アセチル化トリグリセライド等)、乳酸リモネン等を配合することも可能である。クエン酸トリエチル等の化合物は、安全性、可塑性という観点から、義歯安定材全体の1〜10質量%程度の範囲になるように調整することができる。

0040

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、顎頭粘膜へのなじみのよさ、剥離性の観点から、水を含有しても良い。水の配合量は、制限されないが、通常、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の1〜30質量%程度の範囲になるように調整することができる。好ましくは5〜15質量%程度である。同様の理由から、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)に含まれる水の配合量は、酢酸ビニル樹脂100質量部に対して、1〜75質量部程度が好ましく、2〜50質量部程度がより好ましく、5〜20質量部程度が更に好ましい。例えば、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)に添加剤(離型剤等)を添加する際に、水を併用することが好ましく、主基剤である酢酸ビニル樹脂の溶解性を向上させることもできる。

0041

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を使用することで、エタノールに替えて、酢酸ビニル樹脂を可塑化することができる。そのため酢酸ビニル樹脂を主基剤として含む義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)において、アルコール(エタノール)を実質的に含まないことが好ましい。本発明の義歯安定材は、好ましくは実質的にアルコール(エタノール)を含まないので、使用による灼熱感が生じない。本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、主基剤である酢酸ビニル樹脂を軟化させる溶剤として必要最小限のエタノールを使用することを許容する。エタノールの配合量は、酢酸ビニル樹脂を軟化させることができる量であれば良く、義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)全体の30質量%程度以下の範囲になるように調整することができる。好ましくは20質量%程度以下であり、より好ましくは1質量%程度以下である。その結果、アルコール(エタノール)を実質的に含まない義歯安定材を調製することができる。

0042

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)において、エタノールを、主基剤である酢酸ビニル樹脂を軟化させる溶剤として使用する場合の許容できる必要最小限のエタノールの含有量としては、例えば、利用者が本発明の義歯安定材を装着した場合に、アルコール検知器では検知されない程度に、十分に低い濃度となる様なエタノールの含有量である。つまり、本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)では、エタノールを含有しない態様か、エタノールを含有しても含有量を許容できる必要最小限まで極力抑えることが好ましい態様である。

0043

無毒性油脂・ワックス類(可塑剤)として、ミツロウ、木ロウキャンデリラワックスマイクロクリスタリンワックスパラフィンロウカルナバロウ等が挙げられる。

0044

乳化剤として、ステアリン酸モノグリセライドオレイン酸モノグリセライドソルビタンモノステアレートショ糖脂肪酸エステル、等が挙げられる。
水不溶性粉体として、炭酸カルシウム酸化チタンリン酸水素カルシウム硫酸カルシウムゼオライトベントナイトアミノアルキルメタクリレートコポリマーメタアクリル酸コポリマー二酸化珪素プラスチックパウダーセルロースパウダー等が挙げられる。水不溶性粉体は、義歯の使用後に義歯安定材を義歯床の接触面から剥し易くするものとして、剥離向上剤として用いても良い。

0045

酵素として、デキストラナーゼムタナーゼ、β−1,3−グルカナーゼアミラーゼ等が挙げられる。殺菌剤として、トリクロサンセチルピリジニウムクロライド塩化ベンゼトニウムクロルヘキシジン等が挙げられる。メチルパラベンエチルパラベン等の防腐剤ステアリン酸カルシウム等の金属石けんを使用しても良い。その他、香料、色素等を添加してもよい。

0046

これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。

0047

本発明の義歯安定材用組成物は、後述する義歯安定材を製造するために提供され、これら組成物の原料成分として添加されることにより使用される。更に、本発明の義歯安定材用組成物は、そのまま最終製品として流通させてもよい。

0048

2.義歯安定材
本発明の義歯安定材は、前記義歯安定材用組成物を含む。
本発明の義歯安定材は、前記義歯安定材用組成物を100質量%含む使用形態であっても良い。本発明の義歯安定材が前記義歯安定材用組成物を100質量%含む使用形態である場合は、義歯安定材中の酢酸ビニル樹脂及び上記構造式(1)で表されるグリセリンのアセチル誘導体の含有量は、前記1.義歯安定材用組成物に記載する通りである。

0049

本発明の義歯安定材は、前記義歯安定材用組成物に、更に、香料、pH調整剤等を配合しても良い。また、前記1.義歯安定材用組成物で記した、粘度調整剤、無毒性油脂・ワックス類、乳化剤、水不溶性粉体、酵素、殺菌剤、水、エタノール、色素等を、更に配合しても良い。本発明の義歯安定材が前記義歯安定材用組成物を含み、更に香料、pH調整剤、粘度調整剤、水、エタノール等の任意の成分を含む場合であっても、義歯安定材中の酢酸ビニル樹脂及び上記構造式(1)で表されるグリセリンのアセチル誘導体の含有量は、前記1.義歯安定材用組成物に記載する通りの範囲とすることが好ましい。

0050

本発明の義歯安定材は、前記1.義歯安定材用組成物で記載する理由と同じ様に、アルコール(エタノール)を実質的に含まないことが好ましい。本発明の義歯安定材が、実質的にアルコール(エタノール)を含まないことで、義歯安定材の使用による灼熱感が生じない。本発明の義歯安定材は、主基剤である酢酸ビニル樹脂を軟化させる溶剤として必要最小限のエタノールを使用することを許容する。エタノールの配合量は、酢酸ビニル樹脂を軟化させることができる量であれば良く、義歯安定材全体の30質量%程度以下の範囲になるように調整することができる。好ましくは20質量%程度以下であり、より好ましくは1質量%程度以下である。本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)では、エタノールを含有しない態様か、エタノールを含有しても含有量を許容できる必要最小限まで極力抑えることが好ましい態様である。

0051

3.義歯安定材の製品
本発明の義歯安定材は、アルミニウムチューブ等の金属チューブプラスチックチューブアルミニウム箔ラミネートプラスチックチューブなどのチューブに充填されて使用に供される。

0052

4.義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)の製造方法
本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、酢酸ビニル樹脂及び構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を混合し、所望の性状を与えるために、その他の任意成分を必要に応じて混合し、均一に分散するように混合させた後、攪拌することによって調製することができる。かかる調製は、例えばプラネタリーミキサーなどの攪拌機を用いることで簡単に実施することができる。

0053

従来の義歯安定材では、酢酸ビニル樹脂−エタノール系であったため、その製造方法においては、離型剤、剥離剤等を混合する工程を必要とすることが多かったが必要であった。また、離型剤の中には、粉末を酢酸ビニル樹脂とエタノールとを含む混合物投入しても混合しない、あるいは長時間の混練作業時間が必要になるものがあるので、その場合には事前に水で膨潤させてから使用する等、事前準備工程が必要であった。

0054

本発明の義歯安定材用組成物(又は義歯安定材)は、可塑剤としてエタノールを実質的に含まないことが好ましい形態である。そのため、前記酢酸ビニル樹脂−エタノール系の従来の義歯安定材の製造方法では必要とされていた、前記工程を省略することが可能である。

0055

5.義歯安定材(又は義歯安定材用組成物)の物性値
pH
義歯安定材の認証規格のpHの範囲は、pH4〜7程度である。本発明の義歯安定材のpHの範囲は、使用感、刺激性、歯への影響の観点から、pH5〜7程度が更に好ましい。義歯安定材の認証規格のpHの測定は、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って実施することができる。

0056

密着強さ(kPa)
義歯安定材の認証規格の密着強さの範囲は、5kPa以上である。本発明の義歯安定材の密着強さの範囲は、義歯床並びに顎頭粘膜に装着した時のぐらつきおよび取り外しやすさの観点から、5〜40kPa程度が好ましく、10〜25kPa程度がより好ましく、12〜25kPa程度が更に好ましい。義歯安定材の認証規格の密着強さの測定は、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って実施することができる。

0057

ちょう度(mm)
義歯安定材の認証規格のちょう度の範囲は、15mm以上である。本発明の義歯安定材のちょう度の範囲は、チューブ状容器からの取り出しやすさ、うすく伸ばす伸ばしやすさの観点から、15〜50mmが好ましく、15〜30mmが更に好ましい。義歯安定材の認証規格のちょう度の測定は、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って実施することができる。

0058

剥離性
義歯安定材の認証規格の剥離性の基準は、アクリル板上に塊状の残渣なしである。本発明の義歯安定材の剥離性は、アクリル板上に塊状の残渣なしに適合し、全く残渣なしであるから好ましい。義歯安定材の認証規格の剥離性の測定は、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って実施することができる。また、剥離性については、指等の皮膚上に付着させた後、剥がして容易に剥がせるか否かでも確認することができ、皮膚上に残渣なしであることが好ましい。

0059

以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例
下記表に記載する処方に従って義歯安定材(実施例1〜19)を調製した。具体的には、プラネタリーミキサーの2Lタンクに酢酸ビニル樹脂、グリセリンのアセチル誘導体、その他、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)粘度調整剤等を投入し(各成分の配合量の単位は「質量部」である)、40℃付近で均一に分散するまで混合し、義歯安定材を調製した。

0060

義歯安定材の成分
各成分の詳細は、以下の通りである。
酢酸ビニル樹脂(高重合度):重合度2500に調整したもの
酢酸ビニル樹脂(中重合度):重合度1500に調整したもの
酢酸ビニル樹脂(低重合度):重合度500に調整したもの
グリセリンのアセチル誘導体1:グリセリンジアセトモノオレート
グリセリンのアセチル誘導体2:グリセリンジアセトモノカプロレート
グリセリンのアセチル誘導体3:グリセリンジアセトモノカプリレート
グリセリンのアセチル誘導体4:グリセリンジアセトモノラウレート
グリセリンのアセチル誘導体5:グリセリンジアセトモノステアレート
グリセリンのアセチル誘導体6:グリセリンモノアセトモノオレート
グリセリンのアセチル誘導体7:グリセリンモノアセトジオレート
ポリエチレングリコール(PEG):分子量約400
プロピレングリコール(PG):日局グレードのもの

0061

試験例1義歯安定材の柔軟性評価
上記で調製した義歯安定材について、実際に複数名で剤を手に取り、硬さ、やわらかさ、伸びなど、その指触感を確認することで柔軟性を評価した。結果を表に示す。柔軟性の評価基準は、次の通りである。
◎:非常に柔らかい。
○:柔らかい。
△:やや硬い。
×:硬い。
表の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材に、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合することで、現行市販品と比べても、柔軟性が同等であるか、向上した。

0062

試験例2義歯安定材の剥離性評価
上記で調製した義歯安定材について、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って、剥離性を評価した。結果を表に示す。剥離性の評価基準は、次の通りである。
◎:非常に剥がし易い。
○:剥がし易い。
△:やや剥がし難い。
×:剥がし難い。
表の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材に、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合することで、現行市販品と比べても、剥離性が同等であるか、向上した。

0063

試験例3義歯安定材の臭気評価
上記で調製した義歯安定材について、実際に複数名で臭気を嗅ぎ、特異臭刺激臭など臭気がないかを確認することで、臭気を評価した。結果を表に示す。臭気の評価基準は、次の通りである。
○:臭気無し。
△:少し臭気有り。
×:臭気有り。

0064

表の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定材に、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合することで、現行市販品と比べて、臭気は改善された。
下記表での配合成分の配合量の単位は「質量部」である。

0065

0066

0067

0068

0069

0070

0071

試験例4義歯安定材のpH評価(認証規格適合性
上記で調製した義歯安定材について、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って、pH(認証規格)を評価した。結果を表7に示す。
表7の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合する義歯安定材は、義歯安定材の認証規格に適合するpH(4〜7)を有していた。

0072

試験例5義歯安定材の密着強さ(認証規格適合性)
上記で調製した義歯安定材について、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って、密着強さ(kPa)(認証規格)を評価した。結果を表7に示す。
表7の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合する義歯安定材は、義歯安定材の認証規格に適合する密着強さ(5kPa以上)を有していた。

0073

試験例6義歯安定材のちょう度(認証規格適合性)
上記で調製した義歯安定材について、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って、ちょう度(mm)(認証規格)を評価した。結果を表7に示す。
表7の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合する義歯安定材は、義歯安定材の認証規格に適合するちょう度(15mm以上)を有していた。

0074

試験例7義歯安定材の剥離性(認証規格適合性)
上記で調製した義歯安定材について、JIS T6525-2(密着型義歯床安定用糊材)に従って、剥離性(認証規格)を評価した。結果を表7に示す。
表7の結果から、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合する義歯安定材は、義歯安定材の認証規格に適合する剥離性(アクリル板に塊状の残渣なし)を有していた。

0075

0076

表7より、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含み、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合する本発明の義歯安定材(及び義歯安定材用組成物)は、現行市販品と比べても、密着強さ、ちょう度、剥離性等の製品物性が同等であった。また、主基剤として酢酸ビニル樹脂を含む従来の義歯安定材には、エタノールが酢酸ビニル樹脂の可塑化(可溶化)に必要とされていたが、本発明の義歯安定材(及び義歯安定材用組成物)では、前記構造式(1)を満たすグリセリンのアセチル誘導体を配合することで、これまで必要とされていたエタノールを用いなくても、主基剤である酢酸ビニル樹脂を可塑化することができた。

実施例

0077

この様に、本発明の義歯安定材(及び義歯安定材用組成物)は、エタノールの含有量を極力少なくすることができ、又エタノールを含有しなくても良いため、利用者の装着時に灼熱感が生じず、またアルコールによるアレルギー反応も起こらないので、利用者にとって使用感を向上させることができる。更には、本発明の義歯安定材(及び義歯安定材用組成物)が含む特定のグリセリンのアセチル誘導体は、エタノールに比べて、揮発され難くいので、義歯安定材の使用期間を長くすることができる。また、本発明の義歯安定材(及び義歯安定材用組成物)は、エタノールの含有量を極力少なくすることができ、又エタノールを含有しなくても良い義歯安定材であるため、利用者が義歯安定材を装着しても、アルコール検知器での飲酒の誤検知が生じない。

0078

本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、食品添加物として認可されている特定のグリセリンのアセチル誘導体を選択的に使用しているため、安全性が高く、臭気が少なく、義歯安定材に柔軟性及び剥離性を付与することができる。また、エタノールを含まなくても酢酸ビニル樹脂を可塑化できる。これらの点で、本発明の義歯安定材用組成物及び義歯安定材は、実用性に優れる。

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