図面 (/)

技術 新規納豆およびその製造方法

出願人 株式会社MizkanHoldings
発明者 小笠原靖吉田亘孝
出願日 2012年7月12日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2012-156766
公開日 2014年2月3日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2014-018089
状態 特許登録済
技術分野 飼料または食品用豆類
主要キーワード 高温設定 適切な高温 抑制度合い 自社開発 胞子状態 B型粘度計 納豆表面 日常食品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年2月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

納豆菌全般に対して適用可能な技術であり、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術を開発することを目的とする。

解決手段

蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌した後、;発酵開始から4時間経過時点より、2.5〜7.5時間の間、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持し、;2.5時間以内に豆の品温を47℃から37℃にし、;2〜7時間の間、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する、;発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法、を提供する。

概要

背景

大豆納豆菌発酵させた糸引き納豆(いわゆる納豆)は、日本古来発酵食品であり、大豆タンパク質豊富に含み栄養価が高い。また、栄養価に加えて、納豆はそれ自体の嗜好性が高いことから、日本人日常食品の一つとなっている。
さらに、近年、納豆にはプロバイオティック作用、抗菌作用機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。

納豆菌による発酵過程では、発酵により強い粘りを有する糸引き成分が生成される。
当該糸引き成分は、独特風味食感を納豆に与える性質を有し、白米を炊いたご飯との相性が抜群に良い。

一方、納豆菌の発酵過程が進行すると、大豆に含まれる成分の変化が起こり、納豆臭,アンモニア臭,苦味が付与される代わりに、煮豆本来の風味が失われる傾向にある。
このような独特な風味は、納豆を初めて食する場合の障壁となる場合がある。
また、納豆菌の発酵作用の別の結果として、納豆表面は納豆菌から分泌される白色の菌膜状物質により覆われる。当該菌膜で覆われた外観は、発酵の度合いが高いこと(納豆らしい外観)を示す指標とはなるが、食品一般として見た場合、腐った豆の印象があり、嗜好的な外観としては好適なものでない。

そこで、納豆の外観や風味等の嗜好性に関して、様々な改良が試みられており、特に特定納豆菌株を用いる様々な納豆製造技術が開示されている。例えば、納豆臭低減に関する特許文献1、納豆の硬さの低減に関する特許文献2、納豆の色調改善に関する特許文献3、などを挙げることができる。

しかしながら、これらの技術は、特定菌株の性質を利用して、特定性質に関する課題を解決する技術であり、納豆の嗜好性全体的に向上させることができる技術ではなかった。
また、特定の納豆菌株を用いることが必須となるため、他の優れた性質を有する納豆菌には応用できないという課題があった。

概要

納豆菌全般に対して適用可能な技術であり、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術を開発することを目的とする。蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌した後、;発酵開始から4時間経過時点より、2.5〜7.5時間の間、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持し、;2.5時間以内に豆の品温を47℃から37℃にし、;2〜7時間の間、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する、;発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法、を提供する。

目的

本発明は、上記課題を解決し、納豆菌全般に対して適用可能な技術であり、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術を開発することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌植菌した後、下記(1)〜(3)に記載の条件を満たす発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法。(1)発酵開始から4時間経過時点より、2.5〜7.5時間の間、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持する条件。(2) 上記(1)に記載の温度帯で維持した後、2.5時間以内に豆の品温を47℃から37℃にする条件。(3) 上記(2)に記載のように豆の品温を37℃にした後、2〜7時間の間、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する条件。

請求項2

上記(1)に記載の条件において、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持する時間が3〜7時間であり、;上記(2)に記載の条件において、豆の品温を47℃から37℃にする時間が2時間以内であり、;上記(3)に記載の条件において、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する時間が3〜6時間である、;ことを特徴とする、請求項1に記載の納豆の製造方法。

請求項3

上記発酵開始時における豆の品温が、30〜53℃であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の納豆の製造方法。

請求項4

上記(1)〜(3)に記載の条件を満たす発酵が終了した後、豆の品温を3〜10℃に維持して熟成させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆の製造方法。

請求項5

前記納豆菌の植菌量が、蒸煮大豆又は煮大豆1gに対して102〜108個である、請求項1〜4のいずれかに記載の納豆の製造方法。

請求項6

請求項1に記載の方法によって製造された、以下(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆。(A) 納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。(B)分光光度計にて波長660nmで測定した前記抽出液の濁度が、4.5以下となる性質。

請求項7

以下(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆。(A) 納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。(B)分光光度計にて波長660nmで測定した前記抽出液の濁度が、4.5以下となる性質。

技術分野

0001

本発明は、高温発酵低温発酵を所定の条件にて適切に行うことにより、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術に関する。

背景技術

0002

大豆納豆菌で発酵させた糸引き納豆(いわゆる納豆)は、日本古来発酵食品であり、大豆タンパク質豊富に含み栄養価が高い。また、栄養価に加えて、納豆はそれ自体の嗜好性が高いことから、日本人日常食品の一つとなっている。
さらに、近年、納豆にはプロバイオティック作用、抗菌作用機能性成分等による各種健康増進効果があることが報告されており、益々需要が期待されている食品である。

0003

納豆菌による発酵過程では、発酵により強い粘りを有する糸引き成分が生成される。
当該糸引き成分は、独特の風味や食感を納豆に与える性質を有し、白米を炊いたご飯との相性が抜群に良い。

0004

一方、納豆菌の発酵過程が進行すると、大豆に含まれる成分の変化が起こり、納豆臭,アンモニア臭,苦味が付与される代わりに、煮豆本来の風味が失われる傾向にある。
このような独特な風味は、納豆を初めて食する場合の障壁となる場合がある。
また、納豆菌の発酵作用の別の結果として、納豆表面は納豆菌から分泌される白色の菌膜状物質により覆われる。当該菌膜で覆われた外観は、発酵の度合いが高いこと(納豆らしい外観)を示す指標とはなるが、食品一般として見た場合、腐った豆の印象があり、嗜好的な外観としては好適なものでない。

0005

そこで、納豆の外観や風味等の嗜好性に関して、様々な改良が試みられており、特に特定納豆菌株を用いる様々な納豆製造技術が開示されている。例えば、納豆臭低減に関する特許文献1、納豆の硬さの低減に関する特許文献2、納豆の色調改善に関する特許文献3、などを挙げることができる。

0006

しかしながら、これらの技術は、特定菌株の性質を利用して、特定性質に関する課題を解決する技術であり、納豆の嗜好性全体的に向上させることができる技術ではなかった。
また、特定の納豆菌株を用いることが必須となるため、他の優れた性質を有する納豆菌には応用できないという課題があった。

先行技術

0007

特開平8-154616号公報
特開2008-263929号公報
特開2007-014298号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記課題を解決し、納豆菌全般に対して適用可能な技術であり、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術を開発することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、;発酵開始から4時間経過時点より所定時間、豆の品温を高温発酵温度帯(47〜53℃)で維持し(第1条件)、;その後、通常の発酵温度帯(37〜47℃)に長く留まらないように、47℃から37℃への冷却を速やかに行い(第2条件)、;次いで、豆の品温を低温発酵温度帯(20〜37℃)で所定時間維持する(第3条件)、;ことにより、外観,風味,糸引きの全ての嗜好性に優れた、新規の納豆を製造できることを見出した。

0010

本発明は、当該知見に基づいてなされたものである。
・〔請求項1〕に係る本発明は、蒸煮大豆又は煮大豆に納豆菌を植菌した後、下記(1)〜(3)に記載の条件を満たす発酵を行うことを特徴とする、納豆の製造方法、に関する。
(1)発酵開始から4時間経過時点より、2.5〜7.5時間の間、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持する条件。
(2) 上記(1)に記載の温度帯で維持した後、2.5時間以内に豆の品温を47℃から37℃にする条件。
(3) 上記(2)に記載のように豆の品温を37℃にした後、2〜7時間の間、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する条件。
・〔請求項2〕に係る本発明は、上記(1)に記載の条件において、豆の品温を実質的に47〜53℃の温度帯で維持する時間が3〜7時間であり、;上記(2)に記載の条件において、豆の品温を47℃から37℃にする時間が2時間以内であり、;上記(3)に記載の条件において、豆の品温を実質的に20〜37℃の温度帯で維持する時間が3〜6時間である、;ことを特徴とする、請求項1に記載の納豆の製造方法、に関する。
・〔請求項3〕に係る本発明は、上記発酵開始時における豆の品温が、30〜53℃であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の納豆の製造方法、に関する。
・〔請求項4〕に係る本発明は、上記(1)〜(3)に記載の条件を満たす発酵が終了した後、豆の品温を3〜10℃に維持して熟成させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の納豆の製造方法、に関する。
・〔請求項5〕に係る本発明は、前記納豆菌の植菌量が、蒸煮大豆又は煮大豆1gに対して102〜108個である、請求項1〜4のいずれかに記載の納豆の製造方法、に関する。
・〔請求項6〕に係る本発明は、請求項1に記載の方法によって製造された、以下(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆、に関する。
(A) 納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。
(B)分光光度計にて波長660nmで測定した前記抽出液の濁度が、4.5以下となる性質。
・〔請求項7〕に係る本発明は、以下(A)及び(B)に記載の性質を有する納豆、に関する。
(A) 納豆50gを水100mLに攪拌し20℃で3時間の抽出を行って得た抽出液の粘度が、70〜500mPa・sとなる性質。
(B) 分光光度計にて波長660nmで測定した前記抽出液の濁度が、4.5以下となる性質。

発明の効果

0011

本発明の納豆製造方法により、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆を製造することが可能となる。
これにより本発明は、納豆自体が有する食品としての偏った嗜好性を改善し、納豆の魅力を向上させることに繋がる技術になることが期待される。

0012

具体的には、(i)従来の納豆では発酵によって失われるはずの煮豆の風味(香りや甘さ)および煮豆の食感が保持され、(ii)納豆臭が低減されたものであり、(iii)納豆菌の白色菌膜の形成が抑制され、豆表面は煮豆様の新鮮な外観が保持されたものであり、(iv)上記(i)〜(iii)の性質を有するにも関わらず、納豆としての良好な風味や食感に必要な十分な糸引き性を有する、優れた嗜好性を有する納豆を製造することが可能となる。

0013

また、本発明の納豆製造方法は、納豆菌の発酵特性が温度条件の違いにより大きく異なることを利用した技術であるため、特定の納豆菌株,添加物,機器等の使用を必要とせずに実施することが可能となる。

0014

また、本発明の納豆製造方法では、従来の納豆製造に要する通常の発酵時間(17時間程度)と比べて、短時間(発酵時間を最短とした場合の実施態様では8.5〜10.5時間)で、納豆の発酵を完了させることが可能となる。これにより、製造の効率化に貢献できることが期待される。

図面の簡単な説明

0015

本発明の納豆の製造方法において、発酵に必要な温度条件及び時間条件を示した図である。

0016

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、高温発酵温度帯と低温発酵温度帯での発酵を所定の条件にて適切に行うことにより、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆、を製造する技術に関する。

0017

大豆原料
本発明の納豆の製造方法では、通常の納豆の製造に用いることができる如何なる原料をも用いることができる。
例えば、丸大豆半割大豆、割砕大豆(引き割り納豆の原料)、脱脂大豆などを使用できる。特に高品質納豆製造時に使用される中粒大粒のものが好適である。
これらの大豆は、生のまま用いることもできるが、乾燥処理を行ったもの(乾燥品)を用いることが一般的である。

0018

本発明では、原料の大豆を常法により蒸煮大豆又は煮大豆にして用いる。成分の流亡を防ぐ意味では、蒸煮大豆が好適である。
なお、蒸煮や煮る操作を行う前には、原料大豆を水に浸漬し、膨潤させて用いることが望ましい。

0019

ここで、蒸煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、水切りして、100〜135℃の蒸気で10〜30分蒸煮処理する方法を採用することができる。また、0.12〜0.22Mpaの高圧条件にて、加圧蒸煮する方法を採用することもできる。
また、煮大豆の具体的な調製手順としては、大豆を水中に6〜24時間程度浸漬した後、90〜100℃の湯で20〜50分間煮込む方法を採用することができる。

0020

〔納豆菌〕
本発明の納豆の製造方法では、後述する発酵特性(所定の温度帯にて高温発酵能や低温発酵能を行う特性)を有する納豆菌であれば、如何なる納豆菌(菌株)をも用いることができる。
ここで納豆菌は、枯草菌バチルスサチリス(Bacillus subtilis)の変種(B. subtilis var.natto、B. subtilis(natto))として、又は、枯草菌の近縁種バチルス・ナットウ(B. natto)として、分類されている細菌である。
納豆菌の最大の特徴は、煮大豆等に接種して発酵させた際に、粘質物糸引物質)や納豆らしい風味を生成し、納豆としての特徴をつくり出す特性を有する点である。また、栄養的には、ビオチン要求性を示す。
本発明に用いることができる納豆菌として、具体的には、一般的な市販菌である宮城野菌、高橋菌、成菌の他に、それらの突然変異株遺伝子組み換え株などの各種菌株も利用することができる。
特に、出願人が自社開発した21541株は、風味の良好な納豆を製造できる点で好適に用いることができる。

0021

なお、納豆菌の状態としては、即座に増殖発酵可能な栄養増殖状態のものを用いることも可能であるが、胞子状態のものを用いることが通常であり好適である。
胞子状態の納豆菌は、安定保存が可能で取扱いが容易だからである。また、胞子状態の納豆菌は、熱い煮豆等への接種の際にも死滅しないため、豆の雑菌汚染を防げる点で利点がある。
また、胞子状態の納豆菌は、熱によるヒートショックにより、大豆への接種後速やかに発させることが可能となる。

0022

大豆等への納豆菌の植菌は、発酵を均一に行うため、大豆等と納豆菌が均一になるように添加(又は、接種,散布など)した後、混合等を行うことが望ましい。好ましくは、納豆菌液(納豆菌を液体に懸濁した状態)を調製し、液体状態にて添加して用いることが好適である。

0023

ここで納豆菌液としては、(i)市販の納豆菌胞子液の他、各種納豆菌の胞子形成培養液を用いることができる。
また、(ii)グルタミン酸グルコース主原料とした合成培地,大豆煮汁,豆乳,酵母エキスなどを含む液体培地にて納豆菌を培養した培養液も用いることができる。

0024

また、(iii)納豆菌の固体培養物、例えば大豆(大豆粉脱脂加工大豆も含む)に、納豆菌を植菌し培養したもの(納豆そのもの)から納豆菌を集菌し、溶液に懸濁して用いることができる。また、当該固形培養物の粉砕物等をそのまま溶液に懸濁して、用いることも可能である。

0025

植菌する納豆菌の数としては、常法に準じた菌濃度で特に限定はないが、蒸煮大豆1gあたり102個以上, 好ましくは103個以上, さらには104個以上となるように添加することが望ましい。
また、上限としては、108個以下, 好ましくは107個以下, さらには106個以下となるように添加することが望ましい。

0026

上記納豆菌を植菌した大豆は、1〜数食分用の個容器充填した後、個容器内にて後述する発酵を行うことが好適である。また、伝統的な方法として、煮沸した藁に充填して行うことも可能である。
また、数リットル体積容の容器等にて発酵を行うことも可能であるが、表面積に対する体積の値が大きくなると、中央部の豆に温度変化伝わりにくくなることを考慮すると、大きめの容器を用いることは望ましくない。

0027

ここで個容器としては、豆の充填が可能なものであれば、どんな容器を用いることもできる。一般的には納豆で一般に用いられるようなPET、PE、PP、PSP等を用いた合成樹脂性の容器や、カップ状の紙製の容器を用いることができる。
また、容器の形状として、当該容器を用いて直接、喫食のための掻き混ぜ(攪拌)ができるような形状のものが好適である。
また、発酵後は、蓋やシーリングによる封を行うことができる態様のものが好適である。

0028

〔発酵工程〕
本発明の納豆の製造方法は、上記大豆に納豆菌を植菌した後、高温発酵と低温発酵を所定の条件にて適切に行うことを要する方法である。
本発明の発酵は、納豆菌の発酵特性が温度条件の違いにより大きく異なることを利用して行う(表12参照)。具体的には、後述する第1〜3の全ての条件を満たすように発酵を行う。

0029

・発酵開始
本発明では、納豆菌を植菌した豆の品温が30〜53℃の温度であれば、発酵が開始されたとみなすことができる。
例えば、蒸煮等によって、豆の品温が30〜53℃となっている場合、植菌時点において、発酵が開始したと判断できる。
また、豆の品温が53℃より高い場合、発酵室等に入れて品温が53℃以下に達した時点を発酵開始と判断できる。同様に、豆の品温が30℃未満の場合、発酵室等に入れて品温が30℃に達した時点を発酵開始と判断できる。

0030

ここで、発酵を行うための部屋や装置としては、20〜53℃を含む温度の調節が可能な発酵室,恒温室,恒温器,インキュベーター等を挙げることができる。
例えば、(i)昇温及び冷却機能を有する発酵室等を用いることが好適である。当該態様では、発酵における温度条件を正確に調節することが可能となる。
(ii)また、最初に高温設定された恒温室等で発酵を行い、所定時間経過後に低温設定された恒温室等(又は冷蔵室等)に、豆を容器ごと移動することで、豆の品温を調節する方法も採用することができる。
当該態様では、容器の移動の自動化を行うことで、温度調節の無駄を省き、大量生産を効率良く行うことが可能となる。

0031

〔第1条件〕
発酵初期(発酵開始〜4時間未満)
本発明の発酵では、発酵開始から4時間経過時点において、豆の品温が高温発酵温度帯(47〜53℃)になっていることが必須である。

0032

ここで、高温発酵温度帯とは47〜53℃の温度帯を指す。当該温度帯では、納豆菌の通常の発酵温度帯(37<〜<47℃)とは異なる発酵特性を示す発酵が行われる(表12参照)。
具体的には、発酵活性全般が活発化するが、逆に、納豆菌の菌膜形成は顕著に抑制される発酵特性を示す。

0033

本発明の発酵においては、発酵開始から4時間経過時点における品温が、47℃より低い温度であった場合、豆表面の納豆菌の菌膜が厚く形成されるため、外観の嗜好性が好ましくないものとなる。
これは、豆の品温が通常の発酵温度帯(37<〜<47℃)に長く留まることで、厚い菌膜形成が起こるためである。
一方、発酵開始から4時間経過時点における品温が、53℃より高い場合では、発酵自体が停止してしまうため、好ましくない。

0034

当該発酵初期における具体的態様としては、例えば、46〜52℃に設定した発酵室に入れて発酵を開始した場合、納豆菌の活発な発酵作用による発酵熱で豆の品温が上昇し、4時間経過時点には高温発酵温度帯(47〜53℃)とすることができる。
また、品温が5℃付近の大豆(例えば、冷蔵保存した蒸煮大豆)に植菌した場合でも、発酵熱と温度設定により発酵開始時点から4時間経過時に当該温度帯となれば、本発明の発酵条件を満たすことになる。
また、品温60℃付近になっている大豆(例えば、蒸煮直後の大豆)に植菌した場合でも、発酵開始時点から4時間経過時に当該温度帯に下がっていれば、本発明の発酵条件を満たすことになる。

0035

なお、本発明の発酵においては、発酵開始から4時間が経過するまでの間(発酵初期)は、納豆菌が活発化する前段階(誘導期)に相当する。
そのため、当該発酵初期においては、発酵温度豆の品温が高温発酵温度帯になっていることは、必ずしも必須ではない。
例えば、豆の品温が30〜53℃の温度帯(低温発酵温度帯〜高温発酵温度帯の広い範囲)であれば、納豆菌の活性化に十分な誘導作用を与えることができる。

0036

・高温発酵必須期(発酵開始から4時間経過時以降)
本発明の発酵においては、発酵開始から4時間経過以降、所定時間が経過するまで、豆の品温を実質的に高温発酵温度帯(47〜53℃)に維持することが必須となる。
即ち、発酵開始から4時間経過以降に適切な高温発酵を行うことで、納豆菌の菌膜形成が顕著に抑制され、白色菌膜の付着がない外観嗜好性が優れた納豆を製造することができる。

0037

ここで、4時間経過以降に高温発酵温度帯に維持する所定時間としては、2.5〜7.5時間, 好ましくは3〜7時間を挙げることができる。
当該高温発酵温度帯に維持する時間が所定より短い場合、糸引き性の付与が十分でなくなり好適でない。
また、当該時間が所定より長い場合、発酵が進み過ぎ、煮豆の風味や食感が失われ、納豆臭が付与されやすくなり好適でない。

0038

なお、ここで「実質的に高温発酵温度帯に維持する」とは、完全に当温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内, 好ましくは1℃以内)で、数分程度(例えば、10分以内, 好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。

0039

〔第2条件〕
通常発酵温度帯通過期
本発明の発酵では、上記高温発酵温度帯(47〜53℃)で維持した後、速やかに豆の品温を47℃から37℃にすることが必須となる。
ここで、37℃より高い温度から47℃未満の温度帯は、通常の発酵が起こる温度であり、発酵作用全般が活発に起こり、菌膜形成や納豆臭の付与等も活発に行われる発酵特性を示す(表12参照)。

0040

当該温度帯の通過(温度変化)は、可能な限り短い時間で行うことが望ましい。長くても2.5時間以内に, 好ましくは2.25時間以内, さらに好ましくは2時間以内に、47℃から37℃への品温変化を行うことが望ましい。
なお、当該通過を極めて急速に行ったとしても、納豆菌活性や納豆の品質への影響はない。そのため、当該温度変化に要する時間の短限としては、特に制限はなく短いほど好適である。例えば、10分間, 好ましくは30分間, を挙げることができる。

0041

当該温度変化に要する時間が上記所定時間より長くなった場合、豆の品温が通常の発酵温度帯に長時間留まることになる。この場合、豆表面に納豆菌の菌膜が厚く形成され、外観の嗜好性が好ましくないものとなり好適でない。また、煮豆の風味や食感も失われ、納豆臭が強まるため、好適な嗜好性とはならない。

0042

当該温度変化の具体的態様としては、発酵室等の設定温度の変更や低温設定した室への移動により、品温を冷却する態様が好適である。好ましくは、品温の冷却速度が一定になるように冷却することが望ましい。
なお、当該温度変化の態様としては、上記所定時間を超えない時間内に37℃にする条件であれば、当該温度帯のある温度にて一定時間維持した後に冷却する温度変化の態様でも採用することもできる。
また、一度低下させた温度を再上昇させる温度変化の態様であっても、上記所定時間内に37℃になる温度変化態様であれば、採用することができる。

0043

〔第3条件〕
・低温発酵必須期
本発明の発酵では、豆の品温を37℃にした後、所定時間が経過するまで、豆の品温を実質的に低温発酵温度帯(20〜37℃)に維持することが必須となる。

0044

ここで、低温発酵温度帯とは20〜37℃の温度帯を指す。当該温度帯では、発酵活性全般が抑制され、菌膜形成や納豆臭の付与は不活発化するが、糸引き成分の生成は比較的活発に行われる発酵特性を示す(表12参照)。

0045

本発明の発酵では、低温発酵温度帯に維持する所定時間として、2〜7時間, 好ましくは2.5〜6.5時間, さらに好ましくは3〜6時間を挙げることができる。
当該低温発酵温度帯に維持する時間が所定より短い場合、糸引き性の付与が十分でなくなり好適な嗜好性の納豆を製造することができない。
また、当該時間が所定より長い場合、豆表面に納豆菌の菌膜が厚く形成され、外観の嗜好性が好ましくないものとなり好適でない。

0046

当該低温発酵温度帯での維持の具体的態様としては、室の設定温度の変更や低温設定した室への移動により、品温を徐々に冷却する態様で行うことが好適である。好ましくは、冷却速度が一定になるように冷却することが望ましい。
なお、当該温度変化の態様としては、上記所定時間の範囲内で20℃未満にする条件であれば、当該温度帯のある温度にて一定時間維持した後に冷却する温度変化の態様でも採用することもできる。
また、一度低下させた温度を再上昇させる温度変化の態様であっても、上記所定時間の範囲内に20℃未満になる温度変化態様であれば、採用することができる。

0047

また、当該条件において「実質的に低温発酵温度帯に維持する」とは、完全に当温度帯を外れないことを意味するものではなく、例えば、若干の温度範囲(例えば、2℃以内, 好ましくは1℃以内)で、数分程度(例えば、10分以内, 好ましくは5分以内)であれば、当該温度帯を外れた品温となった場合も、当該発酵条件を満たすことを意味する。

0048

〔熟成工程〕
本発明の納豆の製造工程では、上記低温発酵温度帯での維持が終了し(低温発酵が終了し)、品温が20℃未満になった時点で、発酵工程が完了したとみなすことができる。
本発明では、当該発酵工程後に得られた納豆は、そのまま喫食に供することができる。

0049

但し、好適な態様としては、上記発酵を経て製造した納豆は、低温にて熟成させることが好ましい。例えば、3〜10℃にて半日〜2日程度の熟成を行うことが好適である。
ここで、低温に冷却するための時間的な制約は特にない。

0050

なお、保存に際しては、納豆の品質の劣化タンパク質等の分解を抑えるためには、好ましくは3〜10℃, さらには3〜6℃で冷蔵することが好適である。

0051

〔製造された納豆〕
上記工程を経て製造された納豆は、風味,食感,外観,糸引き性の観点から、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆となる。具体的には、以下(i)〜(iv)に示す性質を有する。

0052

・(i)煮豆風味及び食感の保持
本発明の納豆は、従来の納豆では発酵によって失われるはずの煮豆の風味(香りや甘さ)および煮豆の食感を保持したものとなる。
これは、通常の発酵温度帯での発酵を避けて、高温発酵温度帯と低温発酵温度帯での発酵を適切に行うことにより、通常発酵では失われる煮豆風味や豆の食感が保持されることで付与される性質である。
当該納豆において、煮豆の良い風味が保持される要因としては、蒸煮大豆や煮大豆に由来する1オクテン3オール, β-ダマセノン,マルトール, γ-ノナラクトンなどの成分が上記発酵後にも高い含有量で残存し, 且つ, これらの成分が奏する風味を妨げる成分が低減される、ことによって奏されるものと推測される。

0053

・(ii)納豆臭の低減
本発明の納豆は、従来の納豆では発酵によって付与されるアンモニア臭や納豆臭が低減されたものとなる。
これは、通常の発酵温度帯での発酵を避けて、高温発酵温度帯と低温発酵温度帯での発酵を適切に行うことにより、通常発酵で付与される納豆臭の付与が抑制されることに起因する性質である。
当該納豆において、アンモニア臭や納豆臭が低減する要因としては、アンモニア、;イソ吉草酸,イソ絡酸等の低級分岐脂肪酸類、;2,5ジメチルピラジン,トリメチルピラジン,テトラメチルピラジン等のピラジン類、;の含有量が少ないことが挙げられる。

0054

・(iii)納豆表面の菌膜形成抑制(外観)
本発明の納豆は、納豆菌の白色菌膜の形成が抑制され、豆表面は煮豆様の新鮮な外観が保持されたものとなる。即ち、食品として外観嗜好性が高く好適なものとなる。
なお、通常の発酵後の納豆では、豆表面が白色菌膜で覆われ、‘納豆らしい外観’の印象が強くなる。しかし、菌膜が厚くなると、煮豆が有する新鮮な印象は失われ、腐った豆の印象となる。即ち、食品一般として見た場合、嗜好的な外観としては好適なものとは言えない。

0055

本発明の納豆表面の菌膜形成抑制度合いとしては、納豆の水抽出液の濁度として、数値的に表現することが可能である。当該濁度の値が低いほど、菌膜形成の抑制度合いが高いことを示す。
具体的には、納豆50gを水100mLに攪拌し常温(20℃)で3時間の抽出を行って得られた水抽出液について、分光光度計にて波長660nmの濁度(OD660)を測定し、当該値が5.0以下, 好ましくは4.5以下, さらには4.3以下のものが好適である。
なお、当該値の下限としては、特に制限はなく、低いほど菌膜形成が少なく好適な外観嗜好性を有する。

0056

・(iv) 十分な糸引き性
本発明の納豆は、上記(i)〜(iii)の性質を有するにも関わらず、納豆としての良好な風味や食感に必要な十分な糸引き性、を有するものである。具体的には、納豆を掻き混ぜた時に得られるネバが十分に発生したものを指す。

0057

当該性質は、納豆の水抽出液の粘度として、数値的に表現することが可能である。当該粘度の値が高いほど、糸引き性が高いことを示す。
具体的には、納豆50gを水100mLに攪拌し常温(20℃)で3時間の抽出を行って得られた水抽出液の粘度(Pa・s)が、70mPa・s以上, 好ましくは80mPa・s以上のものが好適である。
なお、当該値の上限としては、あまりにも高すぎる場合、ネバの発生量が多すぎて喫食し難くなる可能性がある。そのため、例えば500mPa・s以下, 好ましくは400mPa・s以下, さらには300mPa・s以下, を挙げることができる。

0058

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。

0059

〔実施例1〕『発酵温度による納豆への影響』
発酵温度を高温にした場合、納豆の性質にどのような影響を与えるかを検討した。

0060

(1)「納豆の製造」
乾燥大豆を水に16時間浸漬し、水切りした後、1.65kg/cm2で30分間加圧蒸煮した。蒸煮した大豆1gあたり105個の納豆菌(納豆菌株:21541株)を添加し、軽く均一化した。
その後、50gずつをPSP製納豆容器に入れて蓋をし、41℃の発酵室(通常の発酵温度), 又は, 49℃の発酵室(通常よりも高い発酵温度)に静置し、表1に示す各所定時間(4, 8, 10, 12, 17時間)の発酵を行った。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。また、その後の品温は、発酵熱により表1に示す温度となっていた。
各所定時間に達した後、各試料を5℃の冷蔵室に移動して静置し、直ちに品温を5℃まで冷却した。
なお、ここで製造した納豆のうち、41℃の発酵室で17時間発酵させたもの(試料1-n5)が、通常の納豆に相当する。

0061

得られた各納豆について、以下の項目官能評価を行なった。
納豆の表面における納豆菌の菌膜(白色菌膜)形成の抑制度合い(外観)について、菌膜形成が無い場合,又は, 薄い菌膜しか形成されない場合を「○」と評価した。一方、菌膜が厚く形成された場合を「×」と評価した。
また、煮豆の風味について、煮豆の風味が感じられる場合を「○」と評価した。一方、煮豆の風味が感じられない場合を「×」と評価した。
また、糸引き性について、十分に強い場合を「○」と評価した。一方、糸引きが弱い場合, 又は,糸引きが全くない場合を「×」と評価した。結果を表1に示した。

0062

(2)「結果」
・菌膜について
その結果、通常の発酵温度の発酵室(室温41℃)で発酵を行った場合、豆の品温は発酵熱により4時間経過時には42℃に上昇し、8時間目以降は47℃で一定となった。
当該通常の発酵条件では、10〜17時間目まで発酵を進行させると、豆表面に厚い菌膜が形成され、外観が好ましくないものとなった(試料1-n5)。

0063

一方、高温の発酵温度の発酵室(室温49℃)で発酵を行った場合、豆の品温は発酵熱により4時間経過時には49℃に上昇し、8〜17時間目までの間50〜52℃で一定となった。
当該高温発酵を含む発酵条件では、17時間目まで発酵を進行させた場合でも、豆表面にほとんど菌膜が形成されず、納豆としての外観が非常に好ましくなることが示された(試料1-h5)。

0064

これらのことから、通常の発酵温度よりも高い温度で発酵(高温発酵)を行うことによって、納豆の外観を悪くする白い菌膜の形成を防止することができることが明らかになった。

0065

・糸引き性,煮豆風味について
また、上記いずれの発酵条件においても、得られた納豆に十分な糸引き性を付与するには、12時間以上の発酵が必要であることが示された(試料1-n4, 1-n5, 試料1-h4, 1-h5)。
しかし、12時間以上の発酵を行った場合、逆に、煮豆風味が失われてしまうことが示された(試料1-n4, 1-n5, 試料1-h4, 1-h5)。

0066

このことから、発酵温度を単に変更するだけの設計変更では、十分な糸引き性を付与すると同時に優れた煮豆風味を有する納豆、を製造することができないことが判明した。

0067

0068

0069

〔実施例2〕『冷却条件の違いによる納豆への影響』
高温発酵後の冷却条件の違いが、納豆の性質にどのような影響を与えるかを検討した。

0070

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例1に記載の方法と同様の操作を行って各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆を、49℃の発酵室に8時間静置した。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。この時の経時的な豆の品温は、4時間経過時で49℃、8時間経過時で52℃であり、高温発酵が行われる条件であった(実施例1の試料1-h2の条件)。その後、30分かけて品温を、47℃(通常の発酵温度帯の上限より少し上の温度)まで冷却した。
次いで、各試料を、冷却機能を備えたインキュベーター内に移動し、品温を47℃から20℃まで冷却する操作を表2に示す各所定時間を要するようにして行った。即ち、冷却速度が速い条件(試料2-1)、中程度の条件(試料2-2)、遅い条件(試料2-3)を設定した。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0071

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表2に示した。

0072

(2)「結果」
その結果、高温発酵を行った後、4時間20分かけて品温を47℃から20℃までの冷却を行った場合(試料2-2)、製造された納豆には、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。

0073

一方、冷却速度を早く(2時間かけて品温を47℃から20℃まで冷却)した場合(試料2-1)、納豆に十分な糸引き性が付与されなかった。これは、冷却時での発酵を含む全発酵工程を通じて、十分な量の糸引き成分が生成されなかったためと推測された。
また、冷却速度を遅く(8時間40分かけて品温を47℃から20℃まで冷却)した場合(試料2-3)、納豆に十分な糸引き性が付与されたが、厚い菌膜が形成されてしまい、外観が好適なものとならなかった。また、煮豆の風味も失われてしまった。これは、冷却時での発酵時間が長過ぎためと推測された。

0074

これらのことから、上記優れた嗜好性を有する納豆を製造するためには、適切な速度での冷却が必要であることが示された。

0075

0076

〔実施例3〕『冷却条件の検討1』
通常の発酵温度に相当する温度帯(37<〜<47℃)について、当該温度帯を通過させるための冷却条件の違いが、納豆の性質にどのような影響を与えるかを調べた。

0077

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆について、実施例2に記載の方法と同様にして、高温発酵を含む条件での発酵を行った。なお、各試料の品温は、発酵室静置時に30℃以上であった。
その後、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を、表3に示す各所定時間を要するようにして行った。即ち、当該温度帯を通過させるための冷却について、冷却速度の異なる5段階の条件(試料3-1〜3-5)を設定した。
次いで、各試料の品温が37℃に到達した後、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った。
最後に、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0078

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表3に示した。

0079

(2)「結果」
その結果、品温47℃から37℃までの冷却を30分〜2時間で行った場合(試料3-1〜試料3-4)、製造された納豆には、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
一方、品温47℃から37℃までの冷却を2時間40分かけて行った場合(試料3-5)、糸引き性は十分に強くなるものの、厚い菌膜が形成され、煮豆風味が失われたものとなった。
これは、当該温度帯においては通常の発酵が促進され、菌膜形成が促進されたためと推測された。

0080

これらのことから、冷却処理における47〜37℃の温度帯(通常の発酵温度に相当する温度帯)の通過は、菌膜形成による外観悪化を防ぐために、2時間40分を超えない時間内で冷却を完了させることが必要であることが示された。
また、当該温度帯の冷却処理を30分で行った場合でも、好適な納豆の製造が可能なことから(試料3-1)、冷却速度の上限値は特に納豆に影響を与えないものと推測された。

0081

0082

〔実施例4〕『冷却条件の検討2』
通常の発酵温度に相当する温度帯を通過した後の温度帯(20〜37℃)について、当該温度帯を通過させるための冷却条件の違いが、納豆の性質にどのような影響を与えるかを調べた。

0083

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆について、実施例2に記載の方法と同様にして、高温発酵を含む条件での発酵を行った。なお、各試料の品温は、発酵室静置時に30℃以上であった。
その後、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を、1時間40分かけて行った(実施例3の好適条件)。
次いで、各試料の品温が37℃に到達した後、37℃から20℃までの冷却を表4に示す各所定時間を要するようにして行った。即ち、当該温度帯を通過させるための冷却について、冷却速度の異なる4段階の条件(試料4-1〜4-4)を設定した。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0084

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表4に示した。

0085

(2) 「結果」
その結果、品温37℃から20℃までの冷却を3〜6時間で行った場合(試料3-2〜試料3-3)、製造された納豆には、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。

0086

一方、品温37℃から20℃までの冷却を1時間30分で(早い速度で)行った場合(試料3-1)、納豆に十分な糸引き性が付与されなかった。
また、品温37℃から20℃までの冷却を8時間で(遅い速度で)行った場合(試料3-4)、納豆に十分な糸引き性は付与されたが、厚い菌膜が形成されてしまい、外観が好適なものとならなかった。

0087

これらのことから、冷却処理における37〜20℃の温度帯(通常の発酵温度より低温の温度帯)の通過は、1時間30分より長い時間から8時間未満の間で完了するように、適切に冷却することが必要であることが示された。
即ち、当該温度帯は、通常の発酵とは特性の異なる発酵が起こる「低温発酵温度帯」であることが示された。具体的には、当該温度帯では、納豆菌の発酵作用が弱まり菌膜形成や煮豆風味喪失が起こりにくい温度帯であるが、糸引き成分の生成は比較的活発に行われる温度帯であると推測された。

0088

0089

〔実施例5〕『発酵温度の検討1』
菌膜形成の抑制が可能な高温発酵の至適温度範囲について、詳細な検討を行った。

0090

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆を、43℃, 46℃, 49℃, 52℃, 55℃の各温度に調整した発酵室で、8時間静置した(試料5-1〜5-4)。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。この時の経時的な豆の品温は、表5に示す通りであった。
その後、各試料の品温を、47℃(高温発酵温度の下限)まで冷却した。
次いで、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を1時間20分〜1時間40分で完了するように行い(実施例3の好適条件)、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った(実施例4の好適条件)。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0091

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表5に示した。

0092

(2) 「結果」
その結果、発酵室の温度を46〜52℃にして8時間の高温発酵を含む条件の発酵を進行させ、その後に適切な冷却による低温発酵を行った場合、製造した納豆は、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
これらの条件での豆の品温は「47〜53℃」であったことから、当該温度範囲は、菌膜形成が抑制されつつ発酵が行われる温度帯であることが示された。
(なお、表5において、当該温度帯を外れる温度を「*」で示した。)

0093

一方、発酵室の温度を43℃にして発酵行った場合、厚い菌膜が形成され、外観が好適な納豆にならなかった。
この条件での豆の品温は、4時間経過時にはまだ45℃(通常の発酵温度)であり、6時間経過時以降になってからようやく47℃(高温発酵温度)に達した。
このことから、高温発酵温度に達するまでに長い時間を要した場合(即ち、通常の発酵温度に留まる時間が長かった場合)、菌膜形成を防止できないことが示された。

0094

また、発酵室の温度を55℃に設定して発酵行った場合、発酵自体が全く起こらなかった。この時の豆の品温は、2時間経過時で54℃に達し、その後も54℃の状態が維持されていた。
このことから、品温が54℃以上で継続発酵した場合、温度が高すぎて納豆菌の発酵自体が停止することが示された。

0095

0096

〔実施例6〕『発酵温度の検討2』
発酵を開始した後、どの程度の時間の内に高温発酵を行う必要があるかを調べた。

0097

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆を、発酵室で8時間静置した。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。発酵室の温度は、40℃にて表6に示す所定時間を経過の後、49℃に上昇させる変更を行った(試料6-1〜6-4:合計時間はいずれも8時間)。この時の経時的な豆の品温は、表6に示す通りであった。
その後、各試料の品温を、47℃(高温発酵温度の下限)まで冷却した。
次いで、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を1時間40分で完了するように行い(実施例3の好適条件)、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った(実施例4の好適条件)。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0098

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表6に示した。

0099

(2) 「結果」
その結果、発酵室の温度を40℃で1〜3時間経過させた後に、残りの時間(7〜5時間)を49℃に変更した場合(試料6-1〜6-3)、その後に適切な冷却による低温発酵を行うことで、製造した納豆は、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
これらの条件での豆の品温は、2時間経過時にはまだ39〜46℃(通常の発酵温度)であったが、4時間経過時には47〜49℃(高温発酵温度)に達し、それ以降も50〜51℃で一定であった。

0100

一方、発酵室の温度を40℃で4時間経過させた後で、残りの時間(4時間)を49℃に変更した場合(試料6-4)、厚い菌膜が形成され、外観が好適な納豆にならなかった。
この条件での豆の品温は、4時間経過時にはまだ38℃(通常の発酵温度)であり、6時間経過時に48℃(高温発酵温度)に達していた。

0101

これらのことから、発酵開始後、豆の品温が通常の発酵温度帯に留まる時間が4時間よりも長いと、菌膜形成が厚くなることが示された。
従って、本発明においては、遅くとも発酵開始から4時間経過時までには、豆の品温が「高温発酵温度帯」(47〜53℃)に達していることが必要であると判断された。

0102

0103

〔実施例7〕『発酵時間の検討1』
上記高温発酵温度帯での発酵が最短でどの程度必要かを検討した。

0104

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆を、46℃に設定した発酵室に静置し、表7に示す各所定時間(6, 7, 8時間)の発酵を行った(試料7-1〜7-3)。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。これらの試料の豆の品温は、発酵開始から4時間経過時迄には47℃(高温発酵温度)に達し、発酵終了まで48〜50℃(高温発酵温度)付近で維持されていた。
その後、各試料の品温を、47℃(高温発酵温度の下限)まで冷却した。

0105

次いで、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を1時間40分で完了するように行い(実施例3の好適条件)、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った(実施例4の好適条件)。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0106

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表7に示した。

0107

(2) 「結果」
その結果、発酵開始4時間経過時点から高温発酵完了迄の時間を、3時間で行った場合(試料7-2)、その後に適切な冷却による低温発酵を行うことで、製造した納豆は、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
一方、発酵開始4時間経過時点から高温発酵完了までを2時間で行った場合では(試料7-1)、十分な糸引き性が得られず、発酵時間が不十分であることが示された。

0108

このことから、高温発酵を含む条件での発酵では、発酵開始4時間から高温発酵完了迄の時間が、最低でも2時間より長い時間が必要であることが示された。

0109

0110

〔実施例8〕『発酵時間の検討2』
上記高温発酵温度帯での発酵が、最長でどの程度まで行うことが可能かを検討した。

0111

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
納豆菌液を添加した蒸煮大豆を、51℃に設定した発酵室に静置し、表8に示す各所定時間(10, 11, 12時間)の発酵を行った(試料8-1〜8-3)。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。これらの試料の豆の品温は、短時間で47℃(高温発酵温度)に達し、発酵終了まで50〜52℃(高温発酵温度)付近で維持されていた。
その後、各試料の品温を、47℃(高温発酵温度の下限)まで冷却した。

0112

次いで、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を1時間40分で完了するように行い(実施例3の好適条件)、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った(実施例4の好適条件)。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した。

0113

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表8に示した。

0114

(2) 「結果」
その結果、酵開始4時間経過時点から高温発酵完了迄の時間を、7時間で行った場合(試料8-2)、その後に適切な冷却による低温発酵を行うことで、製造した納豆は、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
一方、発酵開始4時間経過時点から高温発酵完了までを8時間で行った場合(試料8-3)、煮豆の風味が失われることが示された。

0115

このことから、高温発酵を含む条件での発酵では、発酵開始4時間から高温発酵完了までを8時間を超えない時間内に行うことが必要であることが示された。

0116

0117

〔実施例9〕『納豆菌株への応用の検討』
上記納豆の製造方法が、他の納豆菌株でも適用可能な一般的な方法かを確認した。

0118

(1)「納豆の製造」
以下に記載した条件を採用した点を除いては、実施例2に記載の方法と同様の操作を行って、各納豆を製造した。
表9に示した納豆菌の菌株(蒸煮大豆1gあたり105個)を添加した蒸煮大豆を、49℃にした発酵室で、8時間静置した(試料5-3の好適条件)。なお、発酵室静置時の各試料の品温は30℃以上であった。これらの試料の豆の品温は、短時間で48℃(高温発酵温度)に達し、発酵終了まで50℃(高温発酵温度)付近で維持されていた。
その後、各試料の品温を、47℃(高温発酵温度の下限)まで冷却した。
次いで、品温を47℃から37℃まで冷却する操作を1時間40分で完了するように行い(実施例3の好適条件)、37℃から20℃までの冷却を3時間かけて行った(実施例4の好適条件)。
そして、各試料の品温が20℃に到達した後、5℃の冷蔵室に移動して静置し、品温を5℃まで冷却した(試料9-1〜9-6)。

0119

なお、対照1として、49℃の発酵室での静置を6時間(高温発酵必須期を2時間しか行わなかった条件)で行ったことを除いては同様にして、納豆を製造した(試料9-s1〜9-s6)。
また、対照2として、41℃に設定した発酵室で17時間静置(通常の発酵条件)での発酵を行い、納豆を製造した(試料9-n1〜9-n6)。

0120

得られた各納豆について、実施例1と同様にして、菌膜形成の抑制度合い(外観)、煮豆の風味、糸引き性、についての官能評価を行なった。結果を表9に示した。

0121

(2) 「結果」
その結果、実施例1〜8で検討した条件での高温発酵と低温発酵を適切に行うことによって、21541株,宮城野菌, 高橋菌, 成瀬菌、N64株, OUV23481株のいずれの納豆菌株を用いた場合でも(試料9-1〜9-6)、製造した納豆は、菌膜形成がほとんど起こらず(外観が優れ)、煮豆風味を有し、さらに糸引き性も十分に強くなることが示された。
このことから、実施例1〜8で示された納豆の製造法は、多くの一般的な納豆菌株に適用可能な普遍性の高い方法であることが確認された。

0122

一方、高温発酵必須期を2時間しか行わなかった場合、いずれの菌株についても発酵が十分に進行せず、糸引き性が不十分な納豆しか製造できなかった(試料9-s1〜9-s6)。
また、通常の発酵を行った場合では、厚い菌膜が形成されてしまい、外観が好適なものとならなかった。また、煮豆の風味も失われてしまった(試料9-n1〜9-n6)。

0123

0124

0125

0126

〔実施例10〕『菌膜形成抑制度合い定量評価
製造された納豆の菌膜形成抑制度合いについての定量評価を行った。

0127

(1)「濁度の測定」
実施例4, 9で製造した各納豆100g(2パック分)に、2倍量(200ml)の水を添加し、豆を潰さないようにスパーテルにて攪拌した。当該攪拌を30分ごとに行い、常温(20℃)で3時間放置することで、水溶性成分を抽出した。
その後、メッシュ濾過して固形分を除去し、濾液(抽出液)を回収した。

0128

得られた各抽出液を水で10倍に希釈し、分光光度計にて波長660nmの濁度(OD660)を測定した。結果を表10に示した。なお、表中においては、測定値の高い順に試料を並べて示した。

0129

(2) 「結果」
その結果、菌膜形成が抑制された納豆では(試料4-3, 9-1〜9-6, 9-s1〜9-s6)、抽出液のOD660nm(濁度)が低い値を示した。一方、厚い菌膜が形成された納豆では(試料4-4, 9-n1〜9-n6)、抽出液のOD660nm(濁度)は高い値を示した。
このことから、菌膜形成の抑制度合いは、納豆抽出液のOD660nm(濁度)の値で数値化して定量できることが示された。

0130

なお、菌膜形成が抑制された納豆のうち、抽出液のOD660の最大値は0.430(試料4-3)であった。
当該値の10倍値は4.3であることから、水100mLあたりに納豆50gを攪拌し常温(20℃)で3時間放置して得た抽出液のOD660値(濁度)が、当該値以下を示す納豆では、菌膜形成が抑制されている(優れた外観を有する)と判断された。

0131

0132

〔実施例11〕『糸引き性の定量評価』
製造された納豆が有する糸引き性についての定量評価を行った。

0133

(1)「粘度の測定」
実施例10で調製した納豆抽出液(濾液)について、B型粘度計を用いて20℃, 30rpm, 20秒の条件で粘度(mPa・s)を測定した。結果を表11に示した。なお、表中においては、測定値の高い順に試料を並べて示した。

0134

(2) 「結果」
その結果、糸引き性が十分である納豆では(試料9-1〜9-6)、粘度が高い値を示した。一方、糸引き性が不十分な納豆では(試料9-s1〜9-s6)では、粘度が低い値を示した。
このことから、納豆の糸引き性の強さの度合いは、納豆抽出液の粘度の値で数値化して定量できることが示された。

0135

なお、糸引き性が十分と判断される納豆のうち、抽出液の粘度の最小値は80mPa・s(試料9-3)であった。
このことから、水100mLあたりに納豆50gを攪拌し常温(20℃)で3時間放置して得た抽出液の粘度が、当該値以上を示す納豆では、糸引き性が十分付与されていると判断された。

0136

0137

〔発酵条件の要約〕
以上の試験により、上記優れた嗜好性を有する納豆を製造するためには、図1に示す温度条件と時間条件を満たす発酵工程が必須であることが示された。

0138

また、本発明の発酵工程における各発酵温度帯について、それぞれの発酵特性を記載した表を、表12に示した。なお、表中の符号は、「++」、「+」、「±」、「−」の順で活性が高いことを示した。

実施例

0139

0140

本発明により、従来の納豆とは全く異なる優れた嗜好性を有する納豆を製造することが可能となる。
また、本発明の納豆製造方法は、特定の納豆菌株,添加物,機器等の使用を必要とせずに、納豆の製造全般に実施に即座に適用することが可能な技術である。
これにより、本発明は、納豆自体が有する食品としての偏った嗜好性を改善し、納豆の魅力を向上させることに繋がる技術になることが期待される。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

新着 最近 公開された関連が強い 技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する挑戦したい社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ