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技術 スポット溶接用電極チップ

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 村上俊夫
出願日 2012年7月11日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2012-155500
公開日 2014年1月30日 (6年9ヶ月経過) 公開番号 2014-014863
状態 特許登録済
技術分野 スポット溶接
主要キーワード 非導電性皮膜 円錐台型 最低電流値 加圧力調整部材 被溶接金属 キャップ型 ラジアス アルミナ分散銅
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2014年1月30日)のものです。
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図面 (4)

課題

より確実にチリの発生を防止することで、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)を拡大しうるスポット溶接用電極チップを提供する。

解決手段

本発明に係るスポット溶接用電極チップは、銅系材料からなるチップ本体と、そのチップ本体の先端部の外縁側表面を被覆する、電気抵抗率1Ω・m以上の非導電性皮膜とからなることを特徴とする。これにより、ナゲット領域の外周部を加圧することで溶融金属が板間から吹き出すことを阻止して中チリの発生を防止するとともに、外縁部分から被溶接金属板の表面を効率的に冷却することで溶融金属が該被溶接金属板の表面まで広がることを阻止して、表チリの発生を防止することができる。

概要

背景

スポット溶接は、一般に2枚以上の金属板を重ねたのち、その重ね合わせ部の両面から一対の電極で挟み込み、電流を流して抵抗発熱により金属板の接合界面を溶融させて接合するものである。

スポット溶接では、電極を金属板に押し付け加圧力電流値通電時間が主要な3つの制御因子である。

このうち、電流値は特に重要な因子である。電流値が低すぎると、溶融して形成されるナゲットの径が小さく、接合強度不足する。一方、電流値が高すぎると、チリが発生しナゲット径は大きくなるが、継手強度ばらつくため好ましくない。このため、ナゲット径が確保できる電流値から、チリが発生し始める電流値までが、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)となる。この適正電流範囲(ウェルドローブ)を広げることができるとスポット溶接が容易となる。

スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)を広げることができる電極チップ(電極)として、従来種々の提案がなされている。

[従来技術1]
例えば、特許文献1には、中心部分が銅系材料外縁部分鉄系材料からなるスポット溶接用複合型電極が開示されている。

この複合型電極は、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、高い電流密度被溶接物に通電することができ、必要な大きさのナゲットを容易に得ることができるとともに、連続打点を長時間繰り返しても中心部分の直径の拡大が有効に抑制され、健全溶接品質を保つことができ、電極寿命が大幅に改善されるとしている。

[従来技術2]
また、特許文献2には、中心部分が銅系材料、外縁部分がセラミックスまたはサーメットからなるスポット溶接用電極が開示されている。

この電極も、上記従来技術1と同様、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、連続打点を長時間繰り返しても中心部分の直径の拡大が有効に抑制され、特別の大電流を通電しなくとも、常に、必要な電流密度を確保でき、この結果、健全な溶接品質を安定して維持することができるとしている。

[従来技術3]
また、特許文献3には、アルミニウムもしくはアルミニウム合金板、これらの表面に金属めっきを施した材料、またはめっき鋼板抵抗スポット溶接にあたり、被溶接板板厚をtとした際に導電率が75(IACS%)以上でその直径が2.5×t1/2(mm)以上の金属を芯材とし、その周囲に芯材よりも導電率が40(IACS%)以上低く、かつ融点が前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金、または前記めっき金属より高い金属を被覆した抵抗スポット溶接用電極が開示されており、その実施例には、芯材として銅系材料、被覆材として鉄、ステンレスチタンニッケルニッケル合金モリブデンタングステンが例示されている。

この電極も、上記従来技術1および2と同様、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、チリの発生を防止することで、電極寿命を飛躍的に向上することができるとしている。

上記従来技術1〜3のスポット溶接用電極は、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように構成した点では、本願発明スポット溶接用電極チップと共通している。

しかしながら、本願発明のスポット溶接用電極チップは、後述するように、チップ先端外縁側を、電気抵抗率所定値以上の絶縁皮膜で覆うことで、ナゲット領域の溶融金属被溶接部材の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止するとともに、電極外縁側から効率的に冷却することにより表チリの発生をも防止することを特徴とするものである。

これに対し、特許文献1および3に開示されたスポット溶接用電極は、外縁部に金属材料を用いていることから、その熱伝導率は十分高いため、外縁部からの冷却作用により、表チリの発生を防止する機能は有するものの、その絶縁性は不足するため、ナゲット領域が拡大し、溶融金属の飛び出しが阻止できなくなり、中チリの発生を効果的に防止することができない。

一方、特許文献2に開示されたスポット溶接用電極は、外縁部にセラミックスまたはサーメットを用いていることから、その絶縁性は十分高いため、ナゲット領域の溶融金属が被溶接部材の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止する機能は有するものの、その熱伝導率は低いため、外縁部からの冷却作用が不足し、表チリの発生を効果的に防止することができない。

したがって、従来のスポット溶接用電極には、いまだ改善の余地があり、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)をさらに拡大しうるスポット溶接用電極チップの提供が強く要請されていた。

概要

より確実にチリの発生を防止することで、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)を拡大しうるスポット溶接用電極チップを提供する。本発明に係るスポット溶接用電極チップは、銅系材料からなるチップ本体と、そのチップ本体の先端部の外縁側表面を被覆する、電気抵抗率1Ω・m以上の非導電性皮膜とからなることを特徴とする。これにより、ナゲット領域の外周部を加圧することで溶融金属が板間から吹き出すことを阻止して中チリの発生を防止するとともに、外縁部分から被溶接金属板の表面を効率的に冷却することで溶融金属が該被溶接金属板の表面まで広がることを阻止して、表チリの発生を防止することができる。

目的

本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)をさらに拡大しうるスポット溶接用電極チップを提供する

効果

実績

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請求項1

銅系材料からなるチップ本体と、そのチップ本体の先端部の外縁側表面を被覆する、電気抵抗率1Ω・m以上の非導電性皮膜とからなることを特徴とするスポット溶接用電極チップ

請求項2

前記チップ本体が中心部分と外縁部分とに分けて別体で形成されてなり、前記中心部分は、先端側の円柱部と後端側のフランジ部とからなり、前記外縁部分は、その先端部表面が前記非導電性皮膜で覆われており、その内周部が、前記中心部分の円柱部に摺動可能に嵌挿されているとともに、その後端部が、弾性体からなる加圧力調整部材を介して前記中心部分のフランジ部に接続されている請求項1に記載のスポット溶接用電極チップ。

技術分野

0001

本発明は、2枚以上重ねた金属板の両面を一対の電極で挟み込んで通電することにより金属板を接合するスポット溶接に用いられる電極チップに関する。

背景技術

0002

スポット溶接は、一般に2枚以上の金属板を重ねたのち、その重ね合わせ部の両面から一対の電極で挟み込み、電流を流して抵抗発熱により金属板の接合界面を溶融させて接合するものである。

0003

スポット溶接では、電極を金属板に押し付け加圧力電流値、通電時間が主要な3つの制御因子である。

0004

このうち、電流値は特に重要な因子である。電流値が低すぎると、溶融して形成されるナゲットの径が小さく、接合強度不足する。一方、電流値が高すぎると、チリが発生しナゲット径は大きくなるが、継手強度ばらつくため好ましくない。このため、ナゲット径が確保できる電流値から、チリが発生し始める電流値までが、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)となる。この適正電流範囲(ウェルドローブ)を広げることができるとスポット溶接が容易となる。

0005

スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)を広げることができる電極チップ(電極)として、従来種々の提案がなされている。

0006

[従来技術1]
例えば、特許文献1には、中心部分が銅系材料外縁部分鉄系材料からなるスポット溶接用複合型電極が開示されている。

0007

この複合型電極は、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、高い電流密度被溶接物に通電することができ、必要な大きさのナゲットを容易に得ることができるとともに、連続打点を長時間繰り返しても中心部分の直径の拡大が有効に抑制され、健全溶接品質を保つことができ、電極寿命が大幅に改善されるとしている。

0008

[従来技術2]
また、特許文献2には、中心部分が銅系材料、外縁部分がセラミックスまたはサーメットからなるスポット溶接用電極が開示されている。

0009

この電極も、上記従来技術1と同様、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、連続打点を長時間繰り返しても中心部分の直径の拡大が有効に抑制され、特別の大電流を通電しなくとも、常に、必要な電流密度を確保でき、この結果、健全な溶接品質を安定して維持することができるとしている。

0010

[従来技術3]
また、特許文献3には、アルミニウムもしくはアルミニウム合金板、これらの表面に金属めっきを施した材料、またはめっき鋼板抵抗スポット溶接にあたり、被溶接板板厚をtとした際に導電率が75(IACS%)以上でその直径が2.5×t1/2(mm)以上の金属を芯材とし、その周囲に芯材よりも導電率が40(IACS%)以上低く、かつ融点が前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金、または前記めっき金属より高い金属を被覆した抵抗スポット溶接用電極が開示されており、その実施例には、芯材として銅系材料、被覆材として鉄、ステンレスチタンニッケルニッケル合金モリブデンタングステンが例示されている。

0011

この電極も、上記従来技術1および2と同様、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように導電率の異なる二種の材料で構成したものであり、チリの発生を防止することで、電極寿命を飛躍的に向上することができるとしている。

0012

上記従来技術1〜3のスポット溶接用電極は、溶接時の加圧力は外縁部分で受け、電流は中心部分を通すように構成した点では、本願発明スポット溶接用電極チップと共通している。

0013

しかしながら、本願発明のスポット溶接用電極チップは、後述するように、チップ先端外縁側を、電気抵抗率所定値以上の絶縁皮膜で覆うことで、ナゲット領域の溶融金属被溶接部材の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止するとともに、電極外縁側から効率的に冷却することにより表チリの発生をも防止することを特徴とするものである。

0014

これに対し、特許文献1および3に開示されたスポット溶接用電極は、外縁部に金属材料を用いていることから、その熱伝導率は十分高いため、外縁部からの冷却作用により、表チリの発生を防止する機能は有するものの、その絶縁性は不足するため、ナゲット領域が拡大し、溶融金属の飛び出しが阻止できなくなり、中チリの発生を効果的に防止することができない。

0015

一方、特許文献2に開示されたスポット溶接用電極は、外縁部にセラミックスまたはサーメットを用いていることから、その絶縁性は十分高いため、ナゲット領域の溶融金属が被溶接部材の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止する機能は有するものの、その熱伝導率は低いため、外縁部からの冷却作用が不足し、表チリの発生を効果的に防止することができない。

0016

したがって、従来のスポット溶接用電極には、いまだ改善の余地があり、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)をさらに拡大しうるスポット溶接用電極チップの提供が強く要請されていた。

先行技術

0017

特開平1−210179号公報
特開平1−210180号公報
特開平5−318140号公報

発明が解決しようとする課題

0018

本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)をさらに拡大しうるスポット溶接用電極チップを提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

請求項1に記載の発明は、銅系材料からなるチップ本体と、そのチップ本体の先端部の外縁側表面を被覆する、電気抵抗率1Ω・m以上の非導電性皮膜とからなることを特徴とするスポット溶接用電極チップである。

0020

請求項2に記載の発明は、前記チップ本体が中心部分と外縁部分とに分けて別体で形成されてなり、前記中心部分は、先端側の円柱部と後端側のフランジ部とからなり、前記外縁部分は、その先端部表面が前記非導電性皮膜で覆われており、その内周部が、前記中心部分の円柱部に摺動可能に嵌挿されているとともに、その後端部が、弾性体からなる加圧力調整部材を介して前記中心部分のフランジ部に接続されている請求項1に記載のスポット溶接用電極チップである。

発明の効果

0021

本発明に係るスポット溶接用電極チップは、チップ先端部の外縁側表面を、絶縁皮膜で被覆したことで、ナゲット領域の溶融金属が被溶接部材の間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止するとともに、電極外縁部から効率的に冷却することにより表チリの発生をも防止することが可能となり、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)をさらに拡大できるようになった。

図面の簡単な説明

0022

本発明の第1実施形態に係るスポット溶接用電極チップの概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるAA線矢視図である。
本発明の第2実施形態に係るスポット溶接用電極チップの概略構成を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるAA線矢視図である。
実施例で用いた電極チップの概略構成を示す縦断面図である。

0023

上記課題を解決するため、本発明者らは、まず、チリ発生メカニズムについて検討を行った。すなわち、チリの種類には、重ね合わせた板間から発生する「中チリ」と、金属板の表面から発生する「表チリ」とがある。このうち、「中チリ」は、2枚以上重ねた金属板の重ね合わせ部を表裏から一対の電極チップで押さえ込んで通電した際に、溶融領域(ナゲット領域)が大きくなりすぎるとその体積膨張により重ね合わせ部の板同士の間隔(以下、「板間」という。)が広がり溶融物の一部がその板間から外に飛び出すことで発生する。一方、「表チリ」は、金属板の表面(重ね合わせ面でない面)まで溶融領域が広がることで発生する。

0024

したがって、本発明者らは、電極チップで加圧しつつ通電することで形成される溶融領域の周囲を加圧することで、溶融物の一部が板間から飛び出すのを阻止することにより中チリの発生を防止することができ、一方、電極チップの周囲から冷却することで、電極チップ周囲の金属板表面まで溶融領域が広がることを阻止することにより表チリの発生を防止することができるのではないかと考えた。

0025

そして、上記溶融物の板間からの飛び出し阻止および金属板表面までの溶融領域の拡大阻止という2種類の相異なる作用を同時に奏させるためには、具体的には、電極チップの先端部の外縁側表面を絶縁皮膜で被覆するように構成し、前記絶縁皮膜で被覆されていない中心側により金属板の重ね合わせ部を加圧しつつ通電する際に、前記絶縁皮膜で被覆された外縁側で電極チップ周縁の重ね合わせ部を加圧することで実現できると考えた。

0026

そこで、後記[実施例]にて説明する実証試験を行った結果、確証が得られたので、さらに検討を加え、本発明を完成するに至った。

0027

本発明に係るスポット溶接用電極チップは、銅系材料からなるチップ本体と、そのチップ本体の先端部の外縁側表面を被覆する、電気抵抗率1Ω・m以上の非導電性皮膜とからなることを特徴とする。

0028

以下、本発明について図面を参照しつつさらに詳細に説明する。

0029

[第1実施形態]
図1に、本発明の一実施形態に係るスポット溶接用電極チップの概略構成を示す。ここに、符号1はチップ本体、符号2は非導電性皮膜を示している。

0030

先ず、電極チップの構造としては、一体型キャップ型のいずれでもよい。また、電極チップ先端の形状としては、本例では円錐台型を例示したが、ラジアス型、ドームラジアス型など、いずれの形状のものを採用してもよい。

0031

次に、チップ本体1の材料としては、スポット溶接の際に大電流をロスなく通電させるために、電気抵抗の小さい、すなわち、導電率の高い銅系材料を用いる必要がある。銅系材料としては、具体的には、純銅の他、導電率を保ちながら強度・耐熱性を高めた、銅−クロム合金アルミナ分散銅などが使用できる。なお、高強度鋼板などをスポット溶接する際には接合面を十分に接触させるために加圧力を高める必要があるので、強度・耐熱性が高いものを選択するのが推奨される。

0032

一方、非導電性皮膜2としては電気抵抗率1Ω・m以上の材料を用いる。そのような材料としては、具体的には、AlN、ZrO3、BeO、SiC−BeOなどのセラミックスや、ポリエチレンテフロン登録商標)などの耐熱性樹脂などが挙げられる。非導電性皮膜2の電気抵抗率を1Ω・m以上とするのは以下の理由による。

0033

すなわち、スポット溶接の際に電極チップの中心部分1で加圧しつつ通電している領域の外側にまでも電流が流れてその外側領域が溶融ないし軟化すると、ナゲット領域が溶融する際の熱膨張の圧力で被溶接金属板が変形し、溶融金属が板間から外部に噴出することで中チリとなる。したがって、中チリを抑制するためには、スポット溶接部の外周部を通電することなく加圧して、ナゲット領域の溶融金属が板間から外部に噴出することを阻止すればよい。そのため、電極チップ本体1の外縁側表面を絶縁性の高い、すなわち、電気抵抗率の高い材料で被覆すればよい。チップ本体1の材料(例えば、純銅もしくは銅−クロム合金)の電気抵抗率がおよそ1×10−7Ω・mであることから、非導電性皮膜2の材料としては、それより電気抵抗率が大幅に高い1Ω・m以上、好ましくは1×103Ω・m以上、さらに好ましくは1×106Ω・m以上の材料を用いる。

0034

一方、中チリを加圧により抑制できたとしても、電流値を高めた際に溶融領域が被溶接金属板の表面(接合面でない方の面)にまで広がると表チリが発生する。この表チリを抑制するためには、溶融領域が被溶接金属板の表面にまで広がらないように電極チップ先端部の外縁側から被溶接金属板の表面近傍を冷却する必要がある。しかしながら、電極チップの外縁側は、その本体部分は銅系材料で形成されているものの、その先端部表面が非導電性皮膜2で被覆され、電気的に絶縁されているので、スポット溶接時においても電極チップの外縁側には電流が流れず、抵抗発熱が発生しない。このため、電極チップの外縁側からは、熱伝導性の良好な銅系材料による冷却作用が発揮され、表チリの発生が抑制される。

0035

なお、非導電性皮膜2の厚みは、絶縁性を確保するためには厚いほうが好ましいが、あまり厚くしすぎると前記銅系材料による冷却作用が減殺されるので、0.001〜1.0mmの範囲内で、使用する材料に応じて適宜決定するとよい。また、非導電性皮膜2は、その使用する材料に応じて、例えば、電極チップ先端部表面の所要部位皮膜材料蒸着した後に熱処理する方法、前記所要部位に皮膜材料をメッキする方法、板状の皮膜材料を前記所要部位の形状に合わせて加工したものを貼り付ける方法など、周知の方法を適宜選択して用いることにより容易に形成することができる。

0036

[第2実施形態]
前記第1実施形態では、チップ本体1が一体のものを例示したが、本実施形態は、図2に示すように、チップ本体1を中心部分11と外縁部分12とに分けて別体で形成したものとする。そして、中心部分11は、先端側の円柱部11aと後端側のフランジ部11bとからなるものとする。一方、外縁部分12は、その先端部表面12cが前記非導電性皮膜2で覆われており、その内周部12aが、前記中心部分11の円柱部11aに摺動可能に嵌挿されているとともに、その後端部12bが、弾性体からなる加圧力調整部材3を介して中心部分11のフランジ部11bに接続されているものとする。

0037

このような構成を採用することで、弾性体の種類や構造を変更することにより、外縁部分2による加圧力が調整可能となり、中チリの発生をさらに確実に防止することができるようになり、スポット溶接の適正電流範囲をより拡大することが可能となる。

0038

弾性体としては、コイルばね板ばねゴムシリコンゴム等を例示できるが、スポット溶接の連続打点の長時間繰り返しに耐えるだけの十分な強度を有し、かつ、電極チップの中心部分1と外縁部分2とで加圧力の差異を付与できるものであれば、その材質および形態を問わない。

0039

本発明に係るスポット溶接用電極チップの適用性について確証するため、スポット溶接機にて、種々の電極チップを用いて溶接試験を行った。

0040

本実施例では、電極チップの形態として、ドームラジアス形状のキャップ型チップを用いた。

0041

図3に本実施例で用いた電極チップの概略構成を示す。同図において、(a)はチップ全体が純銅(銅系材料)で形成されたもの、(b)はチップ本体が銅系材料で形成され、チップ本体の外縁側表面が銅系材料以外の材料からなる皮膜で被覆されたもの、(c)はチップ本体が中心部分と外縁部分とに分けて別体でともに銅系材料で形成され、外縁部分の先端部表面が銅系材料以外の材料からなる皮膜で被覆され、さらに外縁部分が中心部分とコイルばね(弾性体)で結合されたものである。そして、(b)の場合は、前記皮膜の材料を種々変化させ、また(c)の場合は、前記皮膜の材料を種々変化させるとともに、コイルばねのばね定数を変更することで中心部分と外縁部分との加圧力の比率を変化させて溶接実験を行った。なお、電極チップの各部の寸法は、図3中に記載したとおりである。

0042

溶接条件は以下のとおりである。
全加圧力:400kN
電極ホルダ:銅−クロム合金
初期加圧時間:0.90秒
・通電時間:0.25秒
・電流値:4〜12kA
被溶接鋼板鋼種…JSC980Y
組成…0.20C−1.0Si−2.0Mn
板厚…1.2mm
引張強度…1020MPa

0043

そして、上記被溶接鋼板を2枚重ねしたものに対して、各電極チップを用いて、溶接電流を低電流側から順次増加させてスポット溶接を行い、ナゲット径(単位:mm)が4√t(ただし、t:板厚[単位:mm])となる最低電流値と、チリが発生し始める限界電流値とをそれぞれ求めた。また、そのチリが発生した試験で得られた継手断面観察してチリの種類を特定した。そして、最低電流値から限界電流値までの幅(適正電流範囲)が3.0kA以上の場合を良好な溶接方法と判断した。

0044

下記表1に試験条件および測定結果を示す。

0045

同表において、試験No.1は、従来の、チップ全体が同一材料からなる電極チップを用いたスポット溶接に相当する参考例である。この参考例のチリ限界電流は6.5kA、適正電流範囲は2.0kAであった。

0046

そして、試験No.2〜5,8〜15は、本発明の要件を全て満たす発明例である。いずれの発明例も、チリ限界電流が大きく上昇した結果、適正電流範囲は3.0kA以上に達しており、上記参考例の適正電流範囲よりも大幅に広くなっていることがわかる。

0047

これに対して、試験No.6,7は、本発明の要件のいずれかを満たさない比較例である。これらの比較例の適正電流範囲は2.0〜2.5kAであり、上記参考例の適正電流範囲とほぼ同等か少し広い程度であり、十分な改善効果が得られていないことがわかる。

0048

以上の結果より明らかなように、本発明に係るスポット溶接用電極チップを用いることで、より確実にチリの発生を防止することができるようになり、その結果、チリ限界電流が大きく上昇し、スポット溶接の適正電流範囲(ウェルドローブ)を大幅に拡大できることが確認された。

実施例

0049

0050

1…チップ本体
11…中心部分
11a…円柱部
11b…フランジ部
12…外縁部分
12a…内周部
12b…後端部
12c…先端部表面
2…非導電性皮膜
3…加圧力調整部材(弾性体)

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