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課題

本発明は、標的分子に対する特異的な結合活性を有するタンパク質または核酸(特異的認識プローブ)を得るための出発材料として選択した親タンパク質(核酸)、及び作製された変異遺伝子ライブラリーに対する簡便かつ的確な「進化ポテンシャル」の評価法、並びにアフィニティーセレクション工程の高感度且つ網羅的なモニタリング方法を提供するものでもある。

解決手段

親タンパク質(核酸)及びそれから作製したランダム変異ライブラリーのそれぞれについて、標的分子を含有した標的リガンドアレイに対する「分子結合プロファイル」を作成し、両者の「分子結合プロファイル」を比較解析することで、対象のランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性変異体創出可能な集団であるかどうかという「進化ポテンシャル」を評価できる。さらに、得られた「ランダム変異ライブラリー」に対して、標的分子を固定化したビーズなどを用いた選択サイクルにおいても、1回ごとに「分子結合プロファイル」を作成し比較解析することで、確実にセレクション工程の終了時期を決定することができ、そのために目的とする特異的認識プローブを効率的に創出することが可能となった。

概要

背景

概要

本発明は、標的分子に対する特異的な結合活性を有するタンパク質または核酸(特異的認識プローブ)を得るための出発材料として選択した親タンパク質(核酸)、及び作製された変異遺伝子ライブラリーに対する簡便かつ的確な「進化ポテンシャル」の評価法、並びにアフィニティーセレクション工程の高感度且つ網羅的なモニタリング方法を提供するものでもある。 親タンパク質(核酸)及びそれから作製したランダム変異ライブラリーのそれぞれについて、標的分子を含有した標的リガンドアレイに対する「分子結合プロファイル」を作成し、両者の「分子結合プロファイル」を比較解析することで、対象のランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性変異体創出可能な集団であるかどうかという「進化ポテンシャル」を評価できる。さらに、得られた「ランダム変異ライブラリー」に対して、標的分子を固定化したビーズなどを用いた選択サイクルにおいても、1回ごとに「分子結合プロファイル」を作成し比較解析することで、確実にセレクション工程の終了時期を決定することができ、そのために目的とする特異的認識プローブを効率的に創出することが可能となった。 なし

目的

次に変異遺伝子ライブラリーから変異タンパク質(あるいは核酸分子)を作製し、その中から目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

標的分子を特異的に認識するプローブ創出するための方法であって、下記(1)〜(10)を含む方法;(1)少なくとも標的分子を含む分子群固定化された分子アレイを用意する工程、(2)選定した親タンパク質又は親核酸ランダム変異が導入されたランダム変異ライブラリーを作製する工程、(3)工程(2)で用いた親タンパク質又は親核酸と、作製されたランダム変異ライブラリーのそれぞれに対して、工程(1)で得られた分子アレイを反応させることにより、両者の分子結合プロファイルを作成する工程、(4)工程(3)で得られた親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルと、同ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルとを比較解析する工程、(5)ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い場合に、前記ランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性変異体を創出可能な集団であると評価する工程、(6)工程(5)により、前記ランダム変異ライブラリーが標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価された場合に、前記ランダム変異ライブラリーを固定化された標的分子と反応させることにより、標的分子結合性の変異体群を選択する工程、(7)工程(6)により選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、工程(3)で得られた前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析し、前者で観察される標的分子に対する反応性が、後者で観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(6)の選択工程が有効であると判定する工程、(8)工程(7)において、選択工程が有効であると判定された場合であって、かつ、分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他の分子に対する反応性と明確な有意差を持たない場合に、工程(6)で選択された標的分子結合性変異体群に対して、さらに工程(6)及び(7)の選択工程を繰り返す工程、(9)工程(7)又は工程(8)により得られた標的分子結合性の変異体群に対して作成した分子結合プロファイルにおいて、観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他のいずれの分子に対する反応性と比較しても高い有意差を持つに至った場合に、選択工程サイクルの終了時と判定する工程、(10)工程(9)で得られた標的分子結合性の変異体群から、目的とする標的分子を特異的に認識するプローブを単離する工程。

請求項2

標的分子を特異的に認識するプローブが、標的分子を特異的に認識するタンパク質であって、かつ工程(2)で作製したランダム変異ライブラリーが、選定した親タンパク質をコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異DNAライブラリーを、in vitroで転写翻訳したリボソーム-mRNA-タンパク質複合体ライブラリーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記標的分子を特異的に認識するプローブが、標的糖鎖を特異的に認識するレクチンタンパク質であって、前記分子アレイが糖鎖アレイであり、前記分子結合プロファイルが、糖鎖結合プロファイルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために作製したランダム変異ライブラリーに対して、標的分子結合性変異体の創出可能性を有するライブラリーであるか否かのを評価、判定する方法であって、下記(1)〜(5)を含む方法;(1)少なくとも標的分子を含む分子群が固定化された分子アレイを用意する工程、(2)選定した親タンパク質又は親核酸にランダム変異が導入されたランダム変異ライブラリーを作製する工程、(3)親タンパク質又は親核酸と共に、ランダム変異ライブラリーに対して、工程(1)で得られた分子アレイを反応させることにより、それぞれの分子結合プロファイルを作成する工程、(4)工程(3)で得られた親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルと、同ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルとを比較解析する工程、(5)ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い場合に、前記ランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価する工程。

請求項5

標的分子を特異的に認識するプローブが、標的分子を特異的に認識するタンパク質であって、かつ工程(2)で作製したランダム変異ライブラリーが、選定した親タンパク質をコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異DNAライブラリーを、in vitroで転写、翻訳したリボソーム-mRNA-タンパク質複合体ライブラリーであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。

請求項6

標的分子を特異的に認識するプローブを創出するための標的分子結合性変異体の選択サイクルに対する有効性を評価する方法であって、下記の(1)〜(3)を含む方法;(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、固定化された標的分子を用いて標的分子結合性の変異体群を選択する1回目の工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成する工程、(2)工程(1)で作成した分子結合プロファイルを、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程、(3)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(1)での固定化された標的分子を用いた選択サイクルが、標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために有効であると判定する工程。

請求項7

標的分子を特異的に認識するプローブを創出するための標的分子結合性変異体の選択サイクルの終了時を判定する方法であって、下記の(1)〜(4)を含む方法;(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、前記ランダム変異ライブラリーを固定化された標的分子と反応させて、標的分子結合性の変異体群を選択する工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程、(2)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(1)での固定化された標的分子を用いた選択サイクルが、標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために有効であると判定する工程、(3)工程(2)において、選択サイクルが有効であると判定された場合であって、かつ、分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他の分子に対する反応性と明確な有意差を持たない場合に、工程(2)で選択された標的分子結合性変異体群に対して、さらに、工程(1)及び(2)の選択サイクルを繰り返す工程、(4)工程(2)又は工程(3)により得られた標的分子結合性の変異体群に対して作成した分子結合プロファイルにおいて、観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他のいずれの分子に対する反応性と比較しても高い有意差を持つに至った場合に、選択サイクルの終了時であると判定する工程。

技術分野

0001

本発明は、標的分子を特異的に認識するプローブ進化工学的に効率的に創出するための方法に関するものであり、具体的には、ランダム変異ライブラリーの進化ポテンシャル評価方法選択方法の評価、及び選択過程モニタリング方法に関する。

0002

抗体を代表とする分子認識プローブは、細胞表層分子を標的として、バイオ医薬品として様々な疾患の治療に用いることができる。特に抗体は現在では癌や関節リウマチ感染症のための治療薬として用いられている。また、抗体アレイレクチンアレイに用いることで、バイオマーカー探索に応用できるだけでなく、バイオマーカーの検出試薬としても有効である。更に、核酸タンパク質糖鎖、脂質など様々な生体分子を研究するための検出試薬としても利用できる。
目的とする標的分子を認識する分子プローブ人工的に創出するための技術として進化工学がある。生物の進化の過程では多くの異なる子孫の中から最適者が選択される。進化工学では、この進化の原理をタンパク質や核酸設計に応用する。進化工学では各種方法を用いて遺伝子配列にランダム変異を導入し、異なる配列を有する変異遺伝子ライブラリーを作製する。次に変異遺伝子ライブラリーから変異タンパク質(あるいは核酸分子)を作製し、その中から目的とする性質を有するタンパク質(あるいは核酸分子)を作る遺伝子をスクリーニングあるいはセレクションして、目的とする分子に人工的に進化させる。
この目的のため、DNA分子とそれがコードするタンパク質分子とを、生物的あるいは物理的に関連付けを行う技術が開発されてきた。関連付ける技術として、ファージ提示法、細胞表層提示法、リボソーム提示法、mRNA提示法などが知られている。一方、遺伝子に変異を導入する方法として、大きくランダム変異導入法リコンビネーション法、標的化ランダム変異導入法などが知られている。
とりわけ、簡便に効率良く変異遺伝子ライブラリーを作製するために、リボソームを介する複合体(リボソーム複合体)を用いた無細胞系ディスプレイシステムであるリボソーム提示法に、ランダム変異導入法を適用した進化方法が開発されている。リボソーム提示法では、終止コドン欠くmRNAを用いることにより、試験管内でmRNA-リボソーム-タンパク質の複合体を形成させ、mRNA(遺伝子型)とタンパク質(表現型)とを、リボソームを介して関連づける。進化工学に用いる際の主な手順は以下の通りである。すなわち、遺伝子にランダム変異を導入して、転写反応により終止コドンが存在しないmRNAを作製する。次にmRNAを鋳型とした翻訳反応を無細胞系で行う。次いで生成したリボソーム複合体に対するアフィニティーセレクションを行い、選択された複合体から、結合したタンパク質をコードするmRNAを回収し、RT-PCRによって目的とするDNAを獲得する。以上の手順を繰り返すことで、ある特定のリガンドに対して結合性を有するタンパク質を得ることができる。

0003

このように、リボソーム提示法などによって標的分子に対して結合性を有するタンパク質を進化工学的に創出しようとする際には、完全にランダムなペプチド配列から進める方法もあるが、より効率性を考えると、認識分子としての認識特性や安定性などを考慮して適切と思われる親タンパク質選定し、ランダム変異を導入することにより変異遺伝子ライブラリーを作製する方法が好適である。このようにして得られた変異遺伝子ライブラリーを対象として、翻訳されたペプチドと標的分子との結合性を指標選別(アフィニティーセレクション)を繰り返すことで、標的分子に対して結合性を有するペプチドをコードする変異遺伝子濃縮し、当該配列を決定して標的分子に対する結合性を有するタンパク質を創出することになる。

0004

しかしながら、望みの標的分子結合性を有するタンパク質が確実に含まれる変異遺伝子ライブラリーの確立した作製法はないため、ランダム変異導入のための親タンパク質としてどのようなタンパク質が適しているのか、または、親タンパク質のどの領域にどの程度の頻度でランダム変異を導入すればよいかは、対象となる標的分子ごとに研究者の経験とに頼る他はなく、どうしても試行錯誤を余儀なくされる。しかも、それぞれの親タンパク質は本来、それぞれに進化する指向性が決まっていると予想される。そのため、作製した変異遺伝子ライブラリーの中に、標的分子に結合するように性質が変化した変異型分子が果たして存在しているのかどうか(進化指向性)を効率的に確認する方法がなかったため、仮に作製した変異遺伝子ライブラリーでは、いくらセレクションをかけても望みの変異ペプチドに到達できないとしても、そのことに気付くのは、何度もセレクション及び遺伝子増幅の工程を繰り返した後であるから、膨大な時間の無駄を伴うことは必至であった。
更に、作製した変異遺伝子ライブラリーの中に標的分子に結合するように性質が変化した変異型分子が存在していたとしても、セレクション方法がその変異型分子の濃縮に適切であるかどうか、濃縮工程がうまくいっているかどうか、が不明であった。しかし、従来、望みの変異遺伝子を効率的に確実に取得するための研究開発としては、主に、より効率的で確実な変異遺伝子ライブラリーの作製手法自体や、抗体に代わる新規認識分子の合理的設計を目指そうとする技術開発に目が向けられており、作製した変異遺伝子ライブラリーに対して、その「進化指向性」を簡便に評価するための有効な方法の開発にはほとんど注意が向けられていなかった。
したがって、標的分子に特異的な結合活性を有するタンパク質または核酸(標的分子に対する認識プローブ)を得るために、一旦ある親タンパク質を出発材料とする「変異遺伝子ライブラリー」を作製してしまうと、最終的な結果が得られるまでは、当該変異ライブラリーが目的とする変異遺伝子を、その後のセレクションに耐えられるほどに充分量含んでいるのかどうか、セレクション方法が適しているかどうか、また各セレクション過程がうまく進んでいるのか、いつセレクション及び増幅工程を終了させればいいかが全く不明な状態でセレクション工程及び増幅工程を繰り返さざるを得なかった。そして、最終的な結果が得られてはじめて、目的とする標的分子に対する認識プローブが得られているかどうかが判明するから、仮にいずれかの工程で失敗があれば、また最初からの試行錯誤的実験の繰り返しを余儀なくされる。そのために、望みの標的分子に対する特異性を有する変異型分子を創出することは必ずしも容易ではなかった。

先行技術

0005

Dalby PA.Strategy and success for thedirected evolution of enzymes. Curr Opin Struct Biol. 2011Aug;21(4):473-80. Epub 2011 Jun 16. Review.
Pluckthun A. Ribosome display: aperspective. MethodsMol Biol. 2012;805:3-28. Review.
Hanes J, Pluckthun A. In vitroselection and evolution of functional proteins by using ribosome display. ProcNatl Acad Sci U S A. 1997 May 13;94(10):4937-42.
Yabe R, Suzuki R, Kuno A, Fujimoto Z,Jigami Y, Hirabayashi J. Tailoring a novel sialic acid-binding lectin from aricin-B chain-like galactose-binding protein bynatural evolution-mimicry.JBiochem. 2007 Mar;141(3):389-99.
Directed evolution of lectins with asugar-binding specificity for 6-sulfo-galactose. Hu D, Tateno H, Kuno A, YabeR, Hirabayashi J. J Biol Chem. 2012 Apr 5. [Epub ahead of print]
Glycoconjugate microarray based on anevanescent-field fluorescence-assisted detection principle for investigation ofglycan-binding proteins. Tateno H, Mori A, Uchiyama N, Yabe R, Iwaki J,Shikanai T, Angata T, Narimatsu H, Hirabayashi J.Glycobiology. 2008 Oct;18(10):789-98.

発明が解決しようとする課題

0006

本発明者らは、以前、α2-6シアル酸特異的レクチンの創出に成功したが、その際、出発材料の親タンパクとしてヒトからバクテリアまで広く生物に存在しているガラクトース特異的なR型レクチンファミリー内のミミズ由来レクチンEW29(GenBank登録番号:AB010783)のC末端ドメイン(EW29ch:配列番号1)を選定した。EW29chが有しているR型レクチン共通のβ-トレフォイル構造が、ガラクトースへの特異性を決定する糖認識ドメインであると考え、当該領域に対してランダム変異を導入したランダム変異ライブラリーを用いて、本来のガラクトース特異性を、α2-6シアル酸特異的に改変することに成功した(非特許文献4)。更に最近、同様の方法を用いてEW29chから6硫酸ガラクトースに結合する変異体の創出にも成功した(非特許文献5)。
その際には、結果的に見ると、選定した親タンパクの選定が適切であり、セレクションのサイクルでも順調に濃縮できたために、目的の糖鎖結合特異性を有する改変体の取得に成功したわけではあるが、逆転写PCR後のPCR産物量から濃縮過程推定することはできたものの、実際には最終結果を確認するまでは、当初設定した実験のストラテジーの方向性が正しいか否かに確信が持てなかった。その理由として、それぞれのタンパク質によって進化の指向性は決まっていると考えられ、間違えた標的分子を設定してしまった場合には、そのような変異体を、いくら努力や検討を重ねても創出することができないからである。この経験に基づき、本発明者らは、作製した変異遺伝子ライブラリーが、標的分子に対して結合する可能性があるかどうかの「進化ポテンシャル」評価、更にある分子に対してセレクションをかけたあとのライブラリーの「進化ポテンシャル」評価、及びセレクション過程の各ステップにおける変異ライブラリーの「進化ポテンシャル」のモニタリングの必要性を痛感するに至り、選定した親タンパクについての簡便でかつ的確な評価法、及びセレクション過程での高感度かつ網羅的なモニタリング方法の開発を本発明の「解決すべき課題」として設定することとした。
すなわち、本発明は、標的分子に対する特異的な結合活性を有するタンパク質(特異的認識プローブ)を、簡便、迅速に、かつ確実に得ることを目的とするものである。そのために、出発材料として選択した親タンパク質の進化ポテンシャルの評価、すなわち作製された変異遺伝子ライブラリーが標的分子に対する認識プローブを進化工学的に創出することが容易なライブラリーであるか否かの評価が簡便かつ的確にできる手法を提供するものである。そして、それと共に、アフィニティーセレクションの方法が適切かどうか、またその過程で標的分子に特異的に結合する分子が濃縮されていく状態を、高感度且つ網羅的にモニタリングする方法を提供するものでもある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、作製した変異遺伝子ライブラリーの「進化ポテンシャル」評価のためのモデル系として、以前成功したミミズ由来レクチンEW29のC末端ドメイン(EW29ch)を親タンパク質とする6硫酸ガラクトース特異的レクチンの創出系を選択し、矢部らの方法(非特許文献4)に準じて行った「エラー導入PCR/リボソーム提示法」(図1)でのアッセイ過程を詳細に検討することを試みた。具体的には、エラープローンPCR法を用いて、EW29ch遺伝子(420塩基)に平均8塩基の変異導入効率でランダム変異を導入したライブラリーを作製した後、さらに当該変異導入EW29chに対して、その3’側にオーバーラップPCR法をにより、リンカーであるGeneIII遺伝子(477bp)を融合させることによって、ランダム変異遺伝子ライブラリーを作製した。この際、GeneIIIの3’末端側には、終止コドンの代わりにレアコドンを導入しておくことで、安定したリボソーム-mRNA-タンパク質複合体を形成できるようにした。次に、この変異遺伝子ライブラリーをin vitro転写、in vitro翻訳し、ランダム変異「リボソーム-mRNA-タンパク質複合体」ライブラリーを形成した。当該ライブラリーに対して、標的の糖鎖を固定化したビーズを用いてアフィニティーセレクションを行い、選択された複合体から、結合したタンパク質をコードするmRNAを回収し、逆転写PCRにより、結合性を示したタンパク質をコードするDNAを獲得した。以前に行った方法では、このサイクルを2−5回程度繰り返すことにより、標的の糖鎖に結合性を示すタンパク質をコードする遺伝子を濃縮した後にはじめて、得られたDNAを発現ベクターに組み込み、大腸菌形質転換後、タンパク質を発現させて、標的の糖鎖に対する結合活性を解析していた。この従来の方法では、最終的にタンパク質を発現させて結合活性を確認するまでは、たしかに標的の糖鎖に結合する遺伝子が濃縮されているのかがわからず、どこでサイクルをとめればよいのかの判断はつけられない。

0008

我々は、今回、以前の硫酸ガラクトース特異的レクチン創出までの過程を追試する中で、上記セレクション工程に先立ち、変異遺伝子ライブラリーの標的の糖鎖や、非標的糖鎖など多種類の糖鎖に対する結合活性を解析することにより、EW29chが獲得しうる糖鎖結合特異性、すなわち進化指向性をモニタリングできないかと検討を重ねた。また、同時に標的糖鎖を固定化したビーズによるセレクション工程で濃縮する際にも、各セレクション工程ごとに糖鎖結合活性の解析を行うことで、濃縮レベルのモニタリングができないかと検討した。その結果、「変異遺伝子ライブラリー」をin vitro転写、in vitro翻訳後、形成されたリボソーム-mRNA-タンパク質複合体の、多種類の糖鎖に対する糖鎖結合性、すなわち「糖鎖結合プロファイル」を親タンパク質の「糖鎖結合プロファイル」と比較解析することで、「変異遺伝子ライブラリー」における糖鎖結合性の変化傾向概観し、対象の「変異遺伝子ライブラリー」が望みの標的糖鎖分子結合性への変化傾向を含むライブラリーであるかという質的な評価が可能ではないかと着想するに至った。そして、対象とする「変異遺伝子ライブラリー」全体としての「糖鎖結合プロファイル」の作製に、従来本発明者らなどによって開発されたスライドグラス上に様々な糖鎖複合体が固定化されている「糖鎖アレイ」を利用することとした。特にエバネッセント波励起蛍光スキャナーを検出系として用いた「糖鎖アレイ」解析法は、目的とする分子の糖鎖結合特異性を、精製操作なしに、クルードな状態で、高感度に解析できる技術として、本発明者らが開発している(非特許文献6)。

0009

しかし、糖鎖とその結合性タンパク質(レクチン)との関係は、抗原抗体反応のような鍵と鍵穴の関係ではなく、単一のレクチンが認識する糖鎖は多種類有り、反対に単一の糖鎖を認識するレクチンも多種類存在する場合が多いため、従来「糖鎖アレイ」を用いてレクチンの糖鎖結合特異性を解析する対象は、基本的には単一分子である。これに対して、本発明者らが発想したものは、多種類のレクチン分子からなる「変異遺伝子ライブラリー」由来の混合物を一度に糖鎖アレイと反応させ、各レクチン分子がどのような糖鎖に対して結合活性を有するかを糖鎖アレイ上の様々な糖鎖との結合の強さの傾向を概観しようというものであり、すなわち、対象レクチン混合物全体としての「糖鎖結合プロファイル」を作成しようというものである。そもそも当時は各種分子の混合物を同時に糖鎖アレイに適用して作成する、混合物全体としての「糖鎖結合プロファイル」という概念自体が存在しなかったため、変異ライブラリー評価に用いてみようと発想した本発明者ら自身も、「変異遺伝子ライブラリー」全体で発現している膨大な種類を含むペプチドが糖鎖アレイ表面に1度に供給された場合に、当該「変異遺伝子ライブラリー」由来タンパク質群がどのような糖鎖結合性の傾向を示すか全く想像ができなかった。その上、ランダム変異導入により特異性が改変する変異体は、全ライブラリーの中の極微量であると考えられるため、少なくともセレクション工程前で単にランダム変異導入しただけの「変異遺伝子ライブラリー」の場合、発現しているタンパク質変異群全体の糖鎖結合プロファイルを作製してみたところで、親タンパク質の糖鎖結合特異性と比較して、特異性が変化した変異体の分子数は微量であると想定されるから、むしろ親タンパク質の糖鎖結合プロファイルとほとんど同じであると想定された。更には、リボソーム-mRNA-タンパク質複合体の状態では、翻訳されたタンパク質量も少ないことが予想され、またこのような複合体の状態では糖鎖結合活性を見ることなど到底できないことも危惧していた。

0010

本発明者らは、そのような大きな懸念の存在にもかかわらず、わずかな可能性にかけ、あえて「変異遺伝子ライブラリー」全体の糖鎖結合性プロファイルを作製し、親タンパク質(EW29ch)に対して作製した糖鎖結合性プロファイルとの比較解析を行ってみた。
具体的には、EW29のC末端側機能ドメイン(EW29ch)を親タンパク質として、エラー導入PCR/リボソーム提示法(非特許文献4)の手法に基づき、平均8塩基/420塩基程度ののランダム変異を導入して「変異遺伝子ライブラリー(以下、「変異タンパク質ライブラリー」ともいう。)を作製し、in vitro転写、in vitro翻訳後に、リボソーム-mRNA-タンパク質複合体を作製した。このリボソーム-mRNA-タンパク質複合体群全体にEW29chのN末端に導入したFLAGタグに対する抗FLAG抗体と、Cy3ラベル化抗マウス次抗体を混合して糖鎖アレイに反応させ、糖鎖結合性プロファイルを作製した。あわせて、ランダム変異を導入していない親タンパク質に対して作製した糖鎖結合性プロファイルと比較したところ、予想に反して親タンパク質とは異なる糖鎖結合性が明瞭に認められた(図2)。今回、モデル標的糖鎖に選んだ「6硫酸ガラクトース([6’S]LN([6S]Galβ1-4GlcNAc))」に対して、親タンパク質の糖鎖結合性プロファイルではほとんど反応性が見られなかったのに対して、変異タンパク質ライブラリーの糖鎖結合性プロファイルでは、明瞭な結合性を示すピークが確認できた。すなわち、このことは変異タンパク質ライブラリー中に、6硫酸ガラクトースへの結合性を獲得した変異体が確実に存在していることを示している。平均8塩基/420塩基程度という少ない変異導入数でありながら、結合の特異性にこれほど大きな変化が生じることは、驚くべきことであり、本発明者らも想定していなかったことである。同じ条件で3回、変異タンパク質ライブラリーを作製した結果、3種類の変異タンパク質ライブラリーは相互に類似の糖鎖結合プロファイルを示し、何れも共通して[6’S]LN([6S]Galβ1-4GlcNAc)への結合性を示しており、再現性の高い実験手法であることが確認できた。
そして、このように糖鎖アレイを用いて「変異タンパク質ライブラリー」に対して作成された糖鎖結合プロファイルを、親タンパク質に対する糖鎖結合プロファイルと比較解析することで、「変異タンパク質ライブラリー」の中に標的とする変異体が充分な量存在するかどうかはもちろんのこと、どのような糖鎖に結合する変異体の取得に適したライブラリーであるかもわかる。つまり、選択した親タンパク質の「進化ポテンシャル」を予測することができるということに他ならない。

0011

本発明者らは、次にこの進化ポテンシャル法を用いて糖鎖ポリマー固定化ビーズでセレクション後の変異タンパク質ライブラリーの進化ポテンシャル評価を行った。EW29chの変異タンパク質ライブラリーからβGal-PAA(ポリアクリル酸の上にβGalが提示されている糖鎖ポリマー、Glycotech社製)もしくは[6’S]LN([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1)-PAA固定化マグネティックビーズを用いてリボソーム提示法を用いてセレクションを行った。βGal-PAA固定化マグネティックビーズで選択した場合には、非還元末端がガラクトースであるアシアロα1酸性糖タンパク質(Asialo-AGP)に結合する変異体が濃縮された一方で、[6’S]LN-PAA固定化マグネティックビーズで選択した場合には、2回目のセレクション後には[6’S]LN-PAAに結合する変異体が濃縮されていた。[6’S]LN-PAA固定化マグネティックビーズで2回セレクションしたライブラリーをシークエンスした結果、8クローン中5クローンは、20番目グルタミン酸(E)が塩基性アミノ酸であるリジン(K)もしくはアルギニン(R)に置換されていた。本発明者らが以前に(EW29ch)を親タンパク質として創出に成功した[6’S]LN-PAAに結合する改変体も、20番目のグルタミン酸(E)がリジン(K)もしくはアルギニン(R)に置換された変異体であり(非特許文献5)、モデル実験である本実験結果で得られた変異体の配列自体は予想通りであった。この結果は、本発明のセレクション工程での糖鎖結合プロファイルによる評価方法により、セレクション後の変異遺伝子ライブラリーの進化ポテンシャル評価ができること、すなわちセレクション過程をモニタリングできることを示している。変異遺伝子ライブラリー全体の標的糖鎖への結合性を解析することで、標的糖鎖に結合する変異遺伝子がどの程度濃縮されているかがわかる。このことは、セレクション工程でも糖鎖結合プロファイルによりモニタリングを行えば、必要最小限のセレクション及び増幅工程サイクル数で反応を終了させることができることを示しており、「進化ポテンシャル法」がセレクション過程でも威力を発揮することが実証された。
これらの知見を得たことで本発明を完成するに至った。

0012

即ち,本発明は以下の発明を包含する。
〔1〕標的分子を特異的に認識するプローブを創出するための方法であって、下記(1)〜(10)を含む方法;
(1)少なくとも標的分子を含む分子群が固定化された分子アレイを用意する工程、
(2)選定した親タンパク質又は親核酸にランダム変異が導入されたランダム変異ライブラリーを作製する工程、
(3)工程(2)で用いた親タンパク質又は親核酸と、作製されたランダム変異ライブラリーのそれぞれに対して、工程(1)で得られた分子アレイを反応させることにより、両者の分子結合プロファイルを作成する工程、
(4)工程(3)で得られた親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルと、同ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルとを比較解析する工程、
(5)ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い場合に、前記ランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価する工程、
(6)工程(5)により、前記ランダム変異ライブラリーが標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価された場合に、前記ランダム変異ライブラリーを固定化された標的分子と反応させることにより、標的分子結合性の変異体群を選択する工程、
(7)工程(6)により選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、工程(3)で得られた前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析し、前者で観察される標的分子に対する反応性が、後者で観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(6)の選択工程が有効であると判定する工程、
(8)工程(7)において、選択工程が有効であると判定された場合であって、かつ、分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他の分子に対する反応性と明確な有意差を持たない場合に、工程(6)で選択された標的分子結合性変異体群に対して、さらに工程(6)及び(7)の選択工程を繰り返す工程、
(9)工程(7)又は工程(8)により得られた標的分子結合性の変異体群に対して作成した分子結合プロファイルにおいて、観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他のいずれの分子に対する反応性と比較しても高い有意差を持つに至った場合に、選択工程サイクルの終了時と判定する工程、
(10)工程(9)で得られた標的分子結合性の変異体群から、目的とする標的分子を特異的に認識するプローブを単離する工程。
〔2〕 標的分子を特異的に認識するプローブが、標的分子を特異的に認識するタンパク質であって、かつ工程(2)で作製したランダム変異ライブラリーが、選定した親タンパク質をコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異DNAライブラリーを、in vitroで転写、翻訳したリボソーム-mRNA-タンパク質複合体ライブラリーであることを特徴とする、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕 前記標的分子を特異的に認識するプローブが、標的糖鎖を特異的に認識するレクチンタンパク質であって、前記分子アレイが糖鎖アレイであり、前記分子結合プロファイルが、糖鎖結合プロファイルであることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕 標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために作製したランダム変異ライブラリーに対して、標的分子結合性変異体の創出可能性を有するライブラリーであるか否かを評価、判定する方法であって、下記(1)〜(5)を含む方法;
(1)少なくとも標的分子を含む分子群が固定化された分子アレイを用意する工程、
(2)選定した親タンパク質又は親核酸にランダム変異が導入されたランダム変異ライブラリーを作製する工程、
(3)親タンパク質又は親核酸と共に、ランダム変異ライブラリーに対して、工程(1)で得られた分子アレイを反応させることにより、それぞれの分子結合プロファイルを作成する工程、
(4)工程(3)で得られた親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルと、同ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルとを比較解析する工程、
(5)ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い場合に、前記ランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価する工程。
〔5〕 標的分子を特異的に認識するプローブが、標的分子を特異的に認識するタンパク質であって、かつ工程(2)で作製したランダム変異ライブラリーが、選定した親タンパク質をコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異DNAライブラリーを、in vitroで転写、翻訳したリボソーム-mRNA-タンパク質複合体ライブラリーであることを特徴とする、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕 標的分子を特異的に認識するプローブを創出するための標的分子結合性変異体の選択サイクルに対する有効性を評価する方法であって、下記の(1)〜(3)を含む方法;
(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、固定化された標的分子を用いて標的分子結合性の変異体群を選択する1回目の工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成する工程、
(2)工程(1)で作成した分子結合プロファイルを、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程、
(3)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(1)での固定化された標的分子を用いた選択サイクルが、標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために有効であると判定する工程。
〔7〕 標的分子を特異的に認識するプローブを創出するための標的分子結合性変異体の選択サイクルの終了時を判定する方法であって、下記の(1)〜(4)を含む方法;
(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、前記ランダム変異ライブラリーを固定化された標的分子と反応させて、標的分子結合性の変異体群を選択する工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程、
(2)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、工程(1)での固定化された標的分子を用いた選択サイクルが、標的分子を特異的に認識するプローブを創出するために有効であると判定する工程、
(3)工程(2)において、選択サイクルが有効であると判定された場合であって、かつ、分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他の分子に対する反応性と明確な有意差を持たない場合に、工程(2)で選択された標的分子結合性変異体群に対して、さらに、工程(1)及び(2)の選択サイクルを繰り返す工程、
(4)工程(2)又は工程(3)により得られた標的分子結合性の変異体群に対して作成した分子結合プロファイルにおいて、観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他のいずれの分子に対する反応性と比較しても高い有意差を持つに至った場合に、選択サイクルの終了時であると判定する工程。

発明の効果

0013

本発明の標的リガンド固定化アレイを用いたランダム変異ライブラリーの「進化ポテンシャル」の評価方法により、親タンパク質または親核酸に対してランダム変異を導入して作製した「ランダム変異ライブラリー」が、標的とするリガンド結合能を有する変異体を濃縮できる可能性のある「ランダム変異ライブラリー」であるか否かを評価、判定することができるので、無駄な選択サイクル工程への移行を防ぐことができる。また、本発明における選択サイクル中の標的リガンド固定化アレイを用いたモニタリング方法により、選択サイクルがうまくいっているか否かをサイクルごとにチェックすることができ、無駄な選択サイクル回数を減らすことができる。特に本方法はリボソーム提示法を用いたセレクションに有効であり、セレクション過程で産生されるリボソーム-mRNA-タンパク質複合体の一部を用いて、迅速かつ簡便にランダム変異ライブラリーの評価を行うことができる。
例えば、標的リガンドが糖鎖の場合には、糖鎖アレイを用いた糖鎖結合プロファイルにより進化ポテンシャルを評価することができ、標的糖鎖に結合するプローブを効率的に創出することが可能となる。また同様に、標的リガンドが抗原である場合には抗原アレイを用いて抗原に結合するプローブ、化合物である場合には化合物アレイを用いて化合物に結合するプローブを効率的に創出することが可能となる。
本発明の「進化ポテンシャル法」を利用することで、各種疾患の診断幹細胞評価のための検出試薬だけでなく、目的とする分子や細胞を標的とした医薬品の開発にも応用できる。

図面の簡単な説明

0014

pRARE-FLAG-EW29chベクターマップ:リボソーム提示法に用いたEW29chのベクターマップ。矢印はForwardもしくはReverseプライマー、T7proはT7プロモーター、FLAGはFLAGタグ、EW29chはEW29のC末端ドメインを示す
リボソーム提示法の流れ:図1に記載のベクターをテンプレートとして、T7lacとGene3revプライマーを用いてエラープローンPCR法を行い、EW29ch遺伝子(420塩基)に平均8塩基の変異導入効率でランダム変異を導入したライブラリーを作製した。次に、オーバーラップPCR法を用いて、EW29chの3’側にGene3遺伝子(477bp)を融合させた。次に、この変異遺伝子ライブラリーをin vitro転写、in vitro翻訳後、形成されたリボソーム-mRNA-タンパク質複合体の一部をEDTA入り緩衝液に縣濁して、N末端側に配置されたFLAGに対する抗体と、蛍光ラベル化した2次抗体を混合して糖鎖アレイに反応させた。検出はエバネッセント波励起蛍光スキャナーで行った。得られた画像データをシグナル値に変換し、98種類の糖鎖複合体に対して得られたシグナル平均値ノーマライズして、蛍光強度に依存しない糖鎖結合プロファイルの取得を行った。そして、変異遺伝子ライブラリーの糖鎖結合プロファイルを解析することにより、このライブラリーの進化ポテンシャルを評価した。標的の糖鎖を固定化したビーズを用いてアフィニティーセレクションを行い、選択された複合体から、結合したタンパク質をコードするmRNAを回収し、逆転写PCRにより、結合性を示したタンパク質をコードするDNAを獲得した。
親タンパク質と変異ライブラリーの進化ポテンシャル評価:図2の方法に従って、野生型のEW29ch(WT)及び変異ライブラリー(E1-E3)をin vitro転写、in vitro翻訳後、形成されたリボソーム-mRNA-タンパク質複合体に抗FLAG抗体とCy3ラベル化抗マウスIgGを混合して、糖鎖アレイに反応させた。検出はエバネッセント波励起蛍光スキャナーで行った。得られた画像データをシグナル値に変換し、98種類の糖鎖複合体に対して得られたシグナルの平均値でノーマライズして、蛍光強度に依存しない糖鎖結合プロファイルの取得を行った。WTは親タンパク質であるEW29ch、E1-E3は同様の方法で3回作製した変異ライブラリーの結果を示す。
糖鎖ポリマーを用いた選択過程における変異ライブラリーの進化ポテンシャル評価:図2の方法に従ってβGal-PAAもしくは[6’S]LN-PAA([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1-PAA)固定化マグネティックビーズで2回セレクションを行った後の変異タンパク質ライブラリーの糖鎖アレイ解析結果を示す。
図2の方法に従って[6’S]LN-PAA([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1-PAA)固定化マグネティックビーズでセレクションを行う前、もしくはセレクションを1回もしくは2回行った後に得られたクローンの塩基配列シーケンシングすることにより得られたアミノ酸配列を示す。セレクションを行う前は、5クローン中5クローンで20番目のアミノ酸は確かにグルタミン酸(E)であったが、1回セレクション後には8クローン中3クローン、2回セレクションを行ったあとには、8クローン中5クローンで、20番目のグルタミン酸(E)が塩基性アミノ酸であるLys(K)もしくはArg(R)に置換されていた。

0015

1.本発明の進化ポテンシャル法について
本発明において「進化ポテンシャル」法というとき、ランダム変異導入後のランダム変異ライブラリー(「変異遺伝子-タンパク質複合体ライブラリー」、「変異遺伝子ライブラリー」または「変異タンパク質ライブラリー」などともいう。)に対する「進化ポテンシャル」の評価方法、及び当該ランダム変異ライブラリーを用いて標的分子を濃縮し単離するための選択サイクルにおけるモニタリング方法のいずれをも指す。つまり、本発明で「進化ポテンシャル」すなわち「進化指向性」とは、目的とする標的分子特異的結合性を獲得したタンパク質または核酸(両者をあわせて、「特異的認識プローブ」ともいう。)に進化する可能性の高さを指す用語である。

0016

(1)ランダム変異ライブラリーに対する「進化ポテンシャル」の評価方法
(1−1)「ランダム変異ライブラリー」とその「進化ポテンシャル」について
本発明のランダム変異ライブラリーに対する、標的リガンドアレイを用いた「進化ポテンシャル」の評価方法により、親タンパク質に対してランダムに変異を導入して作製した「ランダム変異ライブラリー」が、増幅工程を含む濃縮サイクルを経ることなく、標的とするリガンド結合性の変異体を創出できる可能性のある集団であるか否か、という「ランダム変異ライブラリー」自体が有する「進化ポテンシャル」を評価することができる。つまり、下記(2)で述べる進化工学的な「選択サイクル」に入る前に、ランダムな変異を導入する親タンパク質として選択したポリペプチドの種類及びその長さが適切であったか否かを評価、判定することができるので、無駄な選択サイクル工程を省くことができる。なお、「親タンパク質に対してランダムに変異を導入する」というとき、典型的には全長の親タンパク質全体にランダムな変異が導入される場合を指すが、全長のタンパク質の1部領域をランダム変異導入領域としてランダム変異を導入した場合も含まれる。ランダム変異が導入される場合には、一般的に1kbpあたり1-16bp程度の変異導入を行う。
標的リガンドアレイの典型的な例として、本発明者らの開発した糖鎖アレイがあげられる(非特許文献6)。当該糖鎖アレイを用いて、親タンパク質とランダム変異ライブラリーそれぞれの「糖鎖結合プロファイル」を作製でき、両者を比較解析することで、ランダム変異ライブラリーの「進化ポテンシャル」を評価することができる。ランダム変異ライブラリー中に、標的とする糖鎖リガンド検出限界以上に存在していることをまず確認してから、当該ランダム変異ライブラリーを用いた選択サイクルに移行する。

0017

標的リガンドアレイとして、種々の抗原タンパク質(ペプチド)が固定化された抗原タンパク質(ペプチド)アレイを用い、親タンパク質として特定の抗体の可変領域などを選定し、当該親タンパク質と、例えばそのCDR3領域をランダム化したランダム変異ライブラリーとの「エピトープ結合プロファイル」を比較解析すれば、標的抗原に対して特異的に結合するタンパク質への進化ポテンシャルを評価することが可能である。標的抗原に限らずどのようなタンパク質(ペプチド)を標的分子としても、その「分子結合プロファイル」の比較解析により進化ポテンシャルを評価できる点は同様である。その際、親タンパク質に代えて、親核酸を用い、対象となる核酸配列に直接ランダム変異導入した場合には、標的分子に対して特異的に結合する変異型核酸目的分子となるが、その場合にも親核酸とランダム変異核酸ライブラリーとの「分子結合プロファイル」の比較解析により、同様に、選択した親核酸の進化ポテンシャルが評価できる。
さらに、各種化合物が固定化された化合物アレイを用いれば、化合物に結合するタンパク質や核酸等の進化ポテンシャル評価に用いることができる。
以上のように、本発明の「進化ポテンシャル法」は、標的分子も、アレイ表面上の分子も、進化工学的手法が適用できさえすればどのような分子であっても対象とすることができる。

0018

本発明におけるランダム変異ライブラリーの標的分子結合性プローブの創出可能性に対する「進化ポテンシャル」を評価判定する方法を、手順を追って示すと以下のようになる。
(1)少なくとも標的分子を含む分子群が固定化された分子アレイを用意する工程。
ここで、固定化される分子群は、糖鎖、抗原性ペプチド、抗体、低分子化合物など種々の種類であり、少なくとも標的分子を含み、親タンパク質又は親核酸が結合する分子を含むことが好ましい。標的分子と類似した分子を含むとさらに好ましいため、固定化される分子群の種類は、通常3種類以上、より好ましくは10種類以上、さらに好ましくは50〜100種類程度であり、市販の糖鎖アレイ、DNAアレイ、抗原アレイ、化合物アレイ、細胞アレイ組織アレイなどを適宜用いることができる。
(2)選定した親タンパク質又は親核酸にランダム変異が導入されたランダム変異ライブラリーを作製する工程。
ここで、目的の標的分子結合性プローブがタンパク質である場合は、親タンパク質をコードする核酸に対してランダム変異が導入され、かつ当該親タンパク質と関連づけられたランダム変異ライブラリーである必要がある。例えば、選定した親タンパク質をコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異遺伝子ライブラリーを、in vitroで転写、翻訳することで作製された「リボソーム-mRNA-タンパク質複合体」群からなるランダム変異ライブラリーを指す。また、ファージ提示法や細胞提示法の場合には、変異遺伝子が導入された細胞ライブラリーを示す。
(3)親タンパク質又は親核酸と共に、ランダム変異ライブラリーに対して、工程(1)で得られた分子アレイを反応させることにより、それぞれの分子結合プロファイルを作成する工程。
例えば、親タンパク質が特定のレクチンであって、当該レクチンを改変して、新たな標的となる糖鎖結合性レクチン改変体を作製しようという場合は、この工程において、親レクチンとランダム変異ライブラリーそれぞれを糖鎖アレイに反応させて、両者の糖鎖分子結合プロファイルを作成することになるが、その際には、上記「リボソーム-mRNA-タンパク質複合体」群からなるランダム変異ライブラリーを作製する際に、あらかじめタンパク質に例えばFLAGタグを結合しておき、FLAGタグに対する抗体と、それに対する2次抗体などを作用させて蛍光ラベル化する。そのような、蛍光ラベル化された親レクチン及び蛍光ラベル化ランダム変異ライブラリーのそれぞれをアレイ表面に作用させて、その結合をエバネッセント波蛍光スキャナー等で検出することにより、簡単に両者の「糖鎖分子結合プロファイル」が作成できる。
(4)工程(3)で得られた親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルと、同ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルとを比較解析する工程。
例えば、糖鎖結合性レクチン改変体を作製しようという場合には、蛍光ラベル化された親レクチン及び蛍光ラベル化ランダム変異ライブラリーそれぞれの「糖鎖分子結合プロファイル」を比較検討する。
(5)ランダム変異ライブラリーについての分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い場合に、前記ランダム変異ライブラリーが、標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であると評価する工程。
この工程では、当該親タンパク質又は親核酸から上記工程(2)で作製したランダム変異ライブラリーをそのまま用いて、標的分子結合性改変タンパク質又は核酸の選択サイクルに移行させた場合に、効率よく望みの標的分子結合性改変タンパク質又は核酸を取得できる可能性があるかを判断する工程であるから、ここで、「親タンパク質又は親核酸についての分子結合プロファイルで観察される反応性よりも有意差を持って高い」、というときの「有意差」とは、次の選択サイクルで効率よく濃縮できると確信できる程度の有意差であり、例えばt検定などを用いて統計学的に決定する。

0019

(1−2)ランダム変異ライブラリーの作製方法
進化工学的に核酸(遺伝子)に対してランダムな変異を導入する方法としては、DNAポリメラーゼにエラーを起こさせることにより遺伝子のランダムな位置に核酸置換を導入するエラープローンPCR法などのランダム変異導入法の他、キメラ遺伝子を作製するための技術であるリコンビネーション法(DNAシャッフリング法)、遺伝子中の特定の塩基に集中的にランダム変異を導入する標的化ランダム変異導入法などが知られており、本発明ではいずれのタイプのランダム変異遺伝子ライブラリーも対象となる。
また、標的分子に特異的に結合するタンパク質(ペプチド)を取得する場合には、当該タンパク質(ペプチド)をコードする核酸(遺伝子)に対して、エラープローンPCR法などでランダムに変異を導入した後に、タンパク質(ペプチド)と核酸(遺伝子)とを関連づける。そのような両者を関連づける手法としては、ファージ提示法、酵母表層提示法、バクテリア表層提示法、フラジェリン提示法、リボソーム提示法、mRNA提示法、in vitroコンパートメンタリゼーション法などが広く知られており、いずれの方法であってもよいが、タンパク質−遺伝子複合体のランダム変異ライブラリーを形成させる。
なお、標的分子に対する特異的な結合活性を有する分子として核酸アプタマーを選択した場合には、上記ランダム変異遺伝子ライブラリーを、そのまま、上記各種の標的リガンドアレイに適用し、親遺伝子との分子結合プロファイルの比較解析を行えばよい。
本発明の実施態様では、標的糖鎖に特異的に結合するタンパク質を得るためのモデル親タンパク質としてミミズ由来レクチンEW29のC末端側機能ドメイン(EW29ch)を選択し、EW29chをコードする遺伝子に対してエラー導入PCR/リボソーム提示法(非特許文献4)によりランダム変異を導入し、リボソーム-mRNA-タンパク質複合体で形成される「変異ライブラリー」を作製した。
具体的には、鋳型となる野生型のEW29ch遺伝子を含むプラスミドを用い、矢部らの方法(非特許文献4)に従い、エラー導入PCRによりランダム変異を導入したEW29chの全コード領域、及びアンカー繊維状ファージ由来の遺伝子GeneIII部分を増幅し、両者をオーバーラップPCRで融合する。このPCR産物の精製物をin vitro転写、in vitro翻訳して、得られたリボソーム-mRNA-タンパク質複合体からなる「ランダム変異ライブラリー」を作製した。

0020

(1−3)「分子結合プロファイル」の作製法及び比較解析方法
本発明の親タンパク質と変異ライブラリーの進化ポテンシャル評価法においては、両者それぞれの「分子結合プロファイル」を作成し、かつ両者を比較解析する工程を含む。
「分子結合プロファイル」は、親分子(親タンパク質)に対する「分子結合プロファイル」と、親分子に対してエラープローンPCRなどでランダム変異を導入した変異体分子群である「ランダム変異ライブラリー」に対する「分子結合プロファイル」とを比較解析する必要があるため、少なくとも、ランダム変異ライブラリーと共に、親分子(親タンパク質)との結合活性を有する分子を含む各種分子群が固定化されたアレイをあらかじめ作製しておく必要がある。特定の標的分子への結合活性のあるタンパク質を取得しようというのであれば、当然のことながら、当該標的分子がアレイ上に含まれていることは必須である。その上で、親分子(親タンパク質)及び「ランダム変異ライブラリー」それぞれを、タグに対する蛍光ラベル化抗体などを作用させて蛍光ラベル化した後に、アレイ表面に作用させて、その結合を蛍光スキャナー等で検出することにより、それぞれの「分子結合プロファイル」を作製する。
本発明の実施態様においては、特定の糖鎖(6硫酸ガラクトース)に特異的な結合活性を有するタンパク質を創出する場合をモデルケースとして用い、「分子結合プロファイル」として、多数の複合糖鎖を基板上に固定化した糖鎖アレイを用いた。そして、親タンパク質のEW29ch及び「ランダム変異ライブラリー」を、それぞれEW29chのN末端側に配置したFLAGタグに対する1次抗体と、蛍光ラベル化2次抗体と共に「糖鎖アレイ」に供して20℃で一晩反応させ、洗浄後に、エバネッセントスキャナーで「糖鎖アレイ」上の各糖鎖に対応して観察される蛍光強度をノーマライズした値を、各糖鎖に対する結合パターンとして表示した「糖鎖結合プロファイル」を各々について作製し、両者を比較した(図3)。
本実施例では、「ランダム変異ライブラリー」を同じ手順で3回作製し、それぞれに対する「糖鎖結合プロファイル」も同時に比較したが、3回作製した「ランダム変異ライブラリー」の「糖鎖結合プロファイル」それぞれが、親タンパク質の「糖鎖結合プロファイル」とは明瞭な差異があるのに対して、3回の「ランダム変異ライブラリー」同士ではほとんど差異が生じなかった。このことから、当該実験の再現性が極めて良好であり、対象とする親タンパク質由来の「ランダム変異ライブラリー」に対する進化ポテンシャルの評価法として優れた手法であることが実証された。

0021

(2)ランダム変異ライブラリーを用いた選択サイクルにおけるモニタリング方法
(2−1)ランダム変異ライブラリーを用いたモニタリング方法
本発明では、リボソーム提示法などにおける選択サイクルを繰り返す過程で、1回の選択サイクル終了ごとに標的分子を含むアレイを用いて分子結合プロファイルを作製し、親タンパク質の分子結合プロファイル、または1つ前の回の選択サイクルの分子結合プロファイルと比較解析する。この分子結合プロファイルの比較解析により、1回の選択サイクルによって標的分子結合性分子群がどれほど増加しているか、また、これ以上選択サイクルを回さなくても配列決定または構造決定するに充分な量の分子が取得できる状態になっているのかを判断することが可能となる。従来の一般的なモニタリング手法であっても、標的分子が1種類に定まっていれば、当該標的分子と元のリガンドに対しての結合をELISA法などで解析することで選択過程をモニタリングすることができる。しかし、この場合には1種類の標的分子に対する結合を確認することはできるものの、他の分子への結合性を決定することができないために、仮に標的分子結合性が高いという結果を得ても、ノイズとなる標的分子類似体への結合性が不明であるから、選択サイクル終了時期を決定することが難しい。また、含まれる変異体全体が示す特異性変化の傾向を評価することもできない。更に、この従来法では、各クローンを発現ベクターに導入して発現させ、得られた産物の結合性を解析することになるため、アッセイに時間がかかる点が大きな問題である。一方、本発明の方法では、例えば、リボソーム提示法の場合、セレクション過程で得られるリボソーム-mRNA-タンパク質複合体を用いて迅速且つ簡便にライブラリーの評価を行うことができる。また、リボソーム提示法を用いた場合の従来のモニタリング方法として、逆転写PCR産物量を指標に選択過程をモニタリングする手法が用いられることがある。これに関しても選択サイクル終了時期を決定できない点は同様であり、変異体全体の特異性の把握にも適さない。
すなわち、本発明のモニタリング方法により、選択サイクルにおける各工程がうまくいっているかどうかと共に、選択サイクルの終了時期を決定することができる。
標的分子に対する特異的な結合活性を有する分子として核酸を選択した場合にも、上記タンパク質と同様に、評価後のランダム変異遺伝子ライブラリーを用いて、標的分子を固定化したELISAプレートセファロースビーズ磁気ビーズなどによる選択サイクルごとに適用すればよい。

0022

本発明における標的分子結合性プローブを得るための選択サイクルの有効性を評価する方法を手順を追って示すと以下のようになる。
(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、固定化された標的分子による1回目の、標的分子結合性の変異体群を選択する工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程。
例えば、糖鎖結合性レクチン改変体を作製しようという場合は、親レクチンをコードする核酸にランダム変異が導入されたランダム変異遺伝子ライブラリーを、in vitroで転写、翻訳することで作製された「リボソーム-mRNA-レクチン複合体」群からなるランダム変異ライブラリーを糖鎖アレイに作用させ、蛍光スキャナー等で解析して糖鎖分子結合プロファイルを作成する。同様に当該ランダム変異ライブラリーをビーズなどの表面に固定化された標的糖鎖分子に反応させた後に、ビーズなどを洗浄し、50mMEDTA含有リン酸緩衝液により溶出させた溶出液を同一の糖鎖アレイに作用させて同様に作成した糖鎖分子結合プロファイルを比較すればよい。
なお、「1もしくは複数回の工程」とは、1回の選択工程のみで、通常のタンパク質又は核酸の精製方法を適用すれば充分に望みの標的分子結合性プローブが取得可能である場合であって、さらなる選択工程を行わない場合を包含する。
(2)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、選択サイクルが有効であると判定する工程。
この工程では、当該ランダム変異ライブラリーから、標的分子結合性プローブを濃縮するために用いた標的糖鎖分子を固定化したビーズなどが、望みの標的分子結合性改変タンパク質又は核酸を効率よく採取するためのツールとして有効か否かを判定する工程であるから、ここで、「有意差を持って高い」、というときの「有意差」とは、次の選択サイクルで効率よく濃縮できると確信できる程度の有意差であり、例えばp値が0.01未満を有意差とするなど統計学的に判断する。

0023

また、本発明における標的分子結合性プローブを得るための選択サイクルの終了時を判定する方法を手順を追って示すと以下のようになる。
(1)ランダム変異ライブラリーから標的分子結合性変異体を濃縮する1もしくは複数回の工程において、前記ランダム変異ライブラリーを固定化された標的分子と反応させて、標的分子結合性の変異体群を選択する工程の後に、当該選択された標的分子結合性の変異体群の分子結合プロファイルを作成し、前記ランダム変異ライブラリーの分子結合プロファイルと比較解析する工程。
例えば、糖鎖結合性レクチン改変体を作製しようという場合は、「リボソーム-mRNA-レクチン複合体」群からなるランダム変異ライブラリー、及び当該ランダム変異ライブラリーをビーズなどの表面に固定化された標的糖鎖分子に反応させた後に、ビーズなどを洗浄し、50mMEDTA含有リン酸緩衝液により溶出させた溶出液のそれぞれを糖鎖アレイに作用させ、蛍光スキャナー等で解析して作成した、両者の糖鎖分子結合プロファイルを比較解析する。
(2)標的分子結合性の変異体群で観察される標的分子に対する反応性が、ランダム変異ライブラリーで観察される標的分子に対する反応性よりも有意差を持って高い場合に、選択サイクルが有効であると判定する工程。
この工程では、当該ランダム変異ライブラリーから、標的分子結合性プローブを濃縮するための選択工程の有効性を判定する必要、とりわけ工程(1)の選択工程で用いた標的分子を固定化したビーズなどが、望みの標的分子結合性改変タンパク質又は核酸を効率よく採取するためのツールとして有効か否かを判定する必要があるから、ここで、「有意差を持って高い」、というときの「有意差」とは、次の選択サイクルで効率よく濃縮できると確信できる程度の有意差であり、例えばt検定などを用いて統計学的に判断する。
(3)工程(2)において、選択サイクルが有効であると判定された場合であって、かつ、分子結合プロファイルで観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他の分子に対する反応性と明確な有意差を持たない場合に、工程(2)で選択された標的分子結合性変異体群に対して、さらに、工程(1)及び(2)の選択サイクルを繰り返す工程。
(4)工程(2)又は工程(3)により得られた標的分子結合性の変異体群に対して作成した分子結合プロファイルにおいて、観察される標的分子に対する反応性が、分子アレイ上の他のいずれの分子に対する反応性と比較しても高い有意差を持つに至った場合に、選択サイクルの終了時であると判定する工程。
ここで、「高い有意差を持つ」というとき、さらに選択サイクルを繰り返さなくても、得られた固定化標的分子と結合している変異体群を溶出させた溶出液に通常のタンパク質又は核酸の精製技術を適用しさえすれば充分に単離精製可能な状態であると判定可能な程度の「有意差」であって、例えばt検定などを用いることで統計学的に判断することができる。
例えば、糖鎖結合性レクチン改変体を作製しようという場合にも、t検定などの統計学的方法が有効である。

0024

本発明の実施態様では、6硫酸ガラクトース特異的な結合活性を有するタンパク質を創出する場合をモデルケースとし、6硫酸ガラクトースポリマーを用いた選択過程におけるEW29chの進化ポテンシャル評価を行い、糖鎖アレイを用いて選択過程のモニタリングが可能であることを示した。具体的には、1回の選択サイクル終了ごとに糖鎖アレイを用いて糖鎖結合プロファイルを作製し、標的となる6硫酸ガラクトース特異的な結合活性を有するタンパク質が順調に濃縮されているかをモニターでき、またこれ以上選択サイクルを回す必要がないほどに、配列決定するために充分な量の遺伝子が取得可能な状態となっているかどうかがわかる。今回モデルとした6硫酸ガラクトースの場合はたった2回の選択サイクルで充分な量であることがわかり、無駄に選択サイクルを繰り返すことなく、4クローン/8クローンの割合で目的とする6硫酸ガラクトース特異的結合性変異体(E20K)の取得に成功した。

0025

(2−2)進化工学的な選択サイクル
進化工学的な選択方法としては、ELISAプレート、セファロースビーズや磁気ビーズなどに標的分子を固定化して選択する方法などが一般的に用いられており、これらのいずれの方法も本発明の選択工程で用いることができる。
本発明の実施態様でモデルケースとして用いたセレクション法は、本発明者らが以前に開発した糖鎖ポリマー固定化磁気ビーズを用いるセレクション法(非特許文献5)である。具体的には、親タンパク質(EW29ch)の変異DNAライブラリーを転写・翻訳した後、標的糖鎖([6’S]LN-PAA([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1-PAA))を固定化したマグネティックビーズと混合して反応させ、洗浄後に溶出緩衝液を添加して、ビーズから結合したmRNAを溶出する。なお、本実施例では、磁気ビーズに対して標的糖鎖を固定化する方法は非特許文献5に記載の方法に従い、ストレプトアビジン被覆マグネティックビーズにビオチン化糖鎖を固定化する方法を用いた。その後、精製したmRNAをcDNAに変換して、転写・翻訳後に、抗FLAG抗体とCy3ラベル化抗マウスIgGと混合する。この工程を複数回繰り返して、標的糖鎖に特異的に結合する変異タンパク質を濃縮単離する。

0026

以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明におけるその他の用語や概念は、当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものであり、本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。また、各種の分析などは、使用した分析機器又は試薬キット取り扱い説明書カタログなどに記載の方法を準用して行った。
なお、本明細書中引用した技術文献、特許公報及び特許出願明細書中の記載内容は、本発明の記載内容として参照されるものとする。

0027

(実施例1)親タンパク質と変異ライブラリーの進化ポテンシャル評価
EW29chはミミズ由来のレクチンでR型レクチン固有のβ-トレフォイル構造をとっており、大腸菌で大量に発現でき、また、アミノ酸配列や立体構造がすでにわかっている。そこで、本実施例では、理想的な鋳型モデルタンパク質としてこのEW29chレクチンを用い、矢部らの方法(非特許文献5)に従ってEW29ch変異ライブラリーの作製を行った。
図1に記載のプラスミドpRARE-FLAG-EW29chをテンプレートにエラープローンPCRで420塩基中平均8塩基のエラー導入効率でEW29chの全コード領域にランダム変異を導入した。
その際用いたプライマー配列は、以下の通りである。プライマー位置は実施例1に記載。
T7lac primer
TAATACGACTCACTATAGGGGAATTGTG (配列番号2)

GeneIIIrev primer
CCACCTCCTCCTCCGCCGGTAGAAGATATC (配列番号3)

同時にpRARE-FLAG-EW29chをテンプレートとして下記のプライマーセットを用いたPCRでアンカーのGeneIII部分を増やした。

GeneIIIfor primer
CTCGAGGGGATATCTTCTACCGGCGGAGGA (配列番号4)

4base Rare link primer
GCTAGCAACCCGAACCCGTCCCCGTGAAT (配列番号5)

得られた二つのPCR産物を精製し、上記のT7lac primerと4base Rare link primerを用いてオーバーラップPCRで融合した。このPCR産物を精製して変異ライブラリーとしてリボソーム提示法に用いた。
変異DNAライブラリーをin vitroで転写させ、得られたmRNAを精製した。精製したmRNAを翻訳し、非特許文献6の方法に従い、得られたリボソーム-mRNA-タンパク質複合体にマウス抗FLAGモノクローナル抗体(Sigma-Aldrich社製)と、Cy3ラベル化抗マウスIgG(H+L)抗体(Jackson ImmunoResearch社製)を混合して、98種類の糖鎖複合体が固定化された糖鎖アレイに供した。20℃で一晩インキュベートしてプロービングバッファーで洗浄した後、エバネッセント型蛍光スキャナーで解析した。EW29chの野生型(WT)と、同一の方法で3回作製した変異ライブラリー(E1-E3)との糖鎖結合プロファイル結果を図3に示す。黒(WT)は親タンパク質、グレーは3種の変異ライブラリー(E1-E3)を示す。黒(WT)とグレー(3種の変異ライブラリー、E1-E3)の糖鎖結合プロファイルは、全体としてみると大きく異なっていることが見て取れる。またそれと同時に、3回作製した変異ライブラリーのプロファイル同士は極めて類似している。そのことからみて、得られたプロファイル、即ち進化ポテンシャルは、実験ごとに変化しない、その変異ライブラリー特有のものであることが立証された。すなわち、選択されたタンパク質フォールドごとに特有の「進化ポテンシャル」が存在することを示すものであるから、本発明の親タンパク質と変異ライブラリーとの「糖鎖結合プロファイル」比較法は、優れた「進化ポテンシャル」評価法であることを示すものである。

0028

詳細には、図3の親タンパク質(WT)と、変異ライブラリー(E1-E3)との「糖鎖結合プロファイル」を比較してみると、親タンパク質では、TG(チログロブリン、Sigma-Aldrich社製)、A-di(GalNAcα1-3Galβ1-PAA)、Lac(Galβ1-4Glcβ1-PAA)、Asialo-FETアシアロフェツイン、Sigma-Aldrich社製のフェツインアシアロ化処理したもの)、アシアロα1酸性糖タンパク質(Asialo-AGP、Sigma-Aldrich社製のフェツインをアシアロ化処理したもの)、アシアロトランスフェリン(Asialo-TF、Sigma-Aldrich社製のトランスフェリンをアシアロ化処理したもの)、アシアロチログロブリン(Asialo-TG、Sigma-Aldrich社製のチログロブリンをアシアロ化処理したもの)、アシアロBSM(Asialo-BSM、Sigma-Aldrich社製のBSMをアシアロ化処理したもの)、アシアロGP(Asialo-GP、Sigma-Aldrich社製のGPをアシアロ化処理したもの)などへの結合性ピークが高いのに対して、変異ライブラリーでは、A-di(GalNAcα1-3Galβ1-PAA)、Lac(Galβ1-4Glcβ-PAA)、アシアロウシ顎下腺ムチン(Asialo-BSM)、アシアロGP(Asialo-GP)などへの結合性は減少する一方、TG(チログロブリン、Sigma-Aldrich社製)、[6’S]LN([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1-PAA)、アシアロチログロブリン(Asialo-TG)、アガラクトトランスフェリン(Agalacto-TF、Sigma-Aldrich社製のトランスフェリンをアガラクト化したもの)、オボアルブミン(OVA、Sigma-Aldrich社製)、ヘパリン(HP、Calbiochem社製のヘパリンをBSAに固定化したもの)などへの結合ピークが親タンパク質と比べて上昇している。なお、糖鎖の末尾の「-PAA」は、糖鎖がポリアクリルアミドポリマーに固定化されていることを意味する。
ここで特に注目すべき点は、親タンパク質ではほとんど見られなかった[6’S]LNの結合性ピークが上昇している点(図3、白矢印)で、このことは、得られた変異型ライブラリーには、この実験で標的とする[6’S]LNの糖鎖に結合する変異体分子が検出限界以上に含まれていることを示している。
すなわち、モデルとしてランダム変異導入のために選択した「EW29ch」の選択が適切であり、その結果、得られたランダム変異ライブラリーの集団の「進化ポテンシャル」が良好である、と評価できることに他ならない。
そしてこのことは、糖鎖アレイによる解析法を適用して、同様に親タンパクとランダム変異ライブラリーそれぞれの「糖鎖結合プロファイル」を作製し、両者を比較することで、増幅工程を含む濃縮サイクルを経ることなく、対象のランダム変異ライブラリーが標的分子結合性の変異体を創出可能な集団であるかどうかというランダム変異ライブラリーの「進化ポテンシャル」を評価できることを意味する。

0029

(実施例2)糖鎖ポリマーを用いた選択過程における進化ポテンシャル評価
この実施例では、6硫酸ガラクトース(6’S-LN)結合性を獲得する変異体(実施例1)で得られたEW29chの変異DNAライブラリーから、ガラクトース(βGal)と6硫酸ガラクトース(6’S-LN)への結合性を指標に選択し、濃縮する過程がうまくいっているかどうか、またその選択サイクルを終了可能な時期のモニタリングをするものであり、選択サイクルにおけるモデル実験である。
具体的には、EW29chの変異DNAライブラリーを転写・翻訳した後、ビオチン化βGal-PAAもしくはビオチン化[6’S]LN-PAA([6S]Galβ1-4GlcNAcβ1-PAA)を固定化したストレプトアビジン被覆マグネティックビーズ(DYNAL社製)と混合して反応させた。洗浄後に溶出緩衝液を添加して、ビーズから結合したmRNAを溶出した。その後、精製したmRNAをcDNAに変換して、転写・翻訳後に、抗FLAG抗体とCy3ラベル化抗マウスIgGと混合して、糖鎖アレイで解析した(選択1回目)。この工程を2回繰り返した。標的糖鎖である6硫酸ガラクトース(6’S-LN)末端を有する、[6’S]LN-PAA固定化マグネティックビーズ(黒太線)を用いて2回選択した場合には、[6’S]LN-PAAに結合する変異体が濃縮されていることがわかる。[6’S]LN-PAA固定化マグネティックビーズでの選択前、もしくは1回、2回選択後に、市販のクローニング用ベクターにクローニングを行い、シーケンシングを行った。その結果、セレクションを行う前は、5クローン中5クローンで20番目のアミノ酸は確かにグルタミン酸(E)であったが、1回セレクション後には8クローン中3クローン、2回セレクションを行ったあとには、8クローン中5クローンで、20番目のグルタミン酸(E)が塩基性アミノ酸であるLys(K)もしくはArg(R)に置換されていた。8種類中、5種類の変異体では[6’S]LN-PAAへの結合性に関与する20番目のグルタミン酸(E)が塩基性アミノ酸であるリジン(K)もしくはアルギニン(R)に変換されていた(E20K)(図5)。このことは、EW29Cの末端ドメインにおける「E20K/R」変異体が、6硫酸ガラクトース(6’S-LN)結合性の変異体であり、2回の選択サイクルで、5/8クローンという高い確率で、このような標的糖鎖結合性変異体が得られたことを示すものである。
つまり、リボソーム提示法などにおける選択サイクルを繰り返す過程で、1回の選択サイクル終了ごとに糖鎖アレイによる糖鎖結合プロファイルを作製することにより、選択サイクルにおける工程がうまくいっているかどうかと共に、配列決定するために充分な遺伝子が取得可能な時期、すなわち選択サイクルの終了時期を決定することができる。
なお、比較のため図4の左の列にβGal-PAAで選択した場合を示すが、ガラクトース末端を有するアシアロα1酸性糖タンパク質(Asialo-AGP、グレー)に結合する変異体が濃縮されていくものの、βGal-PAA固定化マグネティックビーズで2回選択後にも、集中的な変異導入は観察されなかった。

実施例

0030

以上のことから、糖鎖アレイを用いることで、変異ライブラリー自体の評価と共に、その選択過程のモニタリングも可能であることがわかった。

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