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技術 生体組織の構造的性質に影響する疾患を非侵襲的に検出するための装置および方法

出願人 フリーダムメディテックインコーポレイテッド
発明者 ロラボーデールエイ.デイビスニールエム.ブランカッチョヴィンセントエフ.ウィリアムズポール
出願日 2011年11月7日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2013-537920
公開日 2013年12月19日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2013-544589
状態 特許登録済
技術分野 眼の診断装置
主要キーワード 前値増幅器 データ転送ポート 反射性質 幾何学軸 モジュラーユニット 光学帯域通過フィルタ 後方散乱放射 可動パーツ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題・解決手段

個人糖尿病もしくは非糖尿病として分類するために、または個人の疾患もしくは医学的状態の確率、進行、もしくはレベルを決定するために、生体組織分光分析する装置および方法を提供する。

概要

背景

背景
糖尿病などの疾患を検出するための非侵襲的デバイスおよび方法が開示される。具体的には、本発明の例示的態様は、哺乳動物において真性糖尿病の存在、確度、進行、および/または重症度を決定するのに好適な方法および装置に関する。

真性糖尿病(「糖尿病」)は、身体が十分なインスリンを産生しないかまたは産生されたインスリンに身体の細胞が反応しないかのいずれかのために血糖値が高くなる(高血糖症になる)という、一群代謝疾患である。糖尿病は複数の原因因子から派生する疾患であり、その特徴は、空腹状態かまたは経口グルコース負荷試験(OGTT)におけるグルコース投与後のいずれかにおいて血漿グルコース値が高いことである。真性糖尿病には、(1)インスリン依存性糖尿病または1型糖尿病(若年性糖尿病不安定型糖尿病、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)とも呼ばれる)、および(2)非インスリン依存性糖尿病または2型糖尿病(NIDDMとも呼ばれる)という、2つの主な形態がある。1型糖尿病は若年者に生じることが最も多いが、1型糖尿病と同じ自己抗体をを有する成人に見られることもある。2型糖尿病は中年以降の成人に生じることが最も多いが、若年者に見られることもある。この高血糖状態は、多尿症(頻繁な排尿)、多渇症口渇の増大)、または多食症空腹感の増大)という症状をもたらす。糖尿病は世界の先進国および発展途上国の全域にわたって大規模かつ増大している問題である。現時点で、米国成人の約10人に1人に糖尿病があると予測されており、そしてCenters for Disease Control and Preventionの報告によれば、糖尿病症例数は2050年までに2倍かさらには3倍にもなり、3人に1人もの割合でこの疾患、主として2型糖尿病になると見通されている。

インスリンは膵臓でβ-細胞によって産生されるホルモンである。インスリンの機能は血液中のグルコース(糖)の量を調節することであり、グルコースは、インスリンを受け入れてグルコースの進入を可能にする受容体を介して細胞に入る。細胞内に入ったグルコースは燃料として使われることができる。余分なグルコースはグリコーゲンと呼ばれる形態で肝臓および筋肉貯蔵される。血糖値が下がると肝臓はグリコーゲンを放出してグルコースをつくる。インスリンがないとグルコースは細胞に入るのが困難になる。真性糖尿病がある人では、膵臓がインスリンを産生しないか、産生するインスリンが少なすぎて血糖コントロールできないか、または欠損のあるインスリンを産生する。インスリンがないとこれらの症状は脱水へと進行し、その結果、血液量が低下し、心拍数が増え、皮膚が乾燥および紅潮する。加えて、身体が尿または呼気を介して排出できるのよりも速く血液中にケトン蓄積する。呼吸が速く浅くなり、息は果物のような臭いになる。糖尿病性ケトアシドーシス昏睡(DKA)への進行を示す他の症状としては、嘔吐胃痛、および意識レベルの低下などがある。糖尿病がある人は、腎不全失明神経損傷、および血管疾患といった、衰弱をもたらすような合併症リスクが高い。合併症のリスクまたは進行は、厳格なグルコースコントロールと薬物療法との併用およびライフスタイルの変化によって低減できるが、合併症の効果的な緩和早期発見によって始まる。糖尿病は、高血糖症、大血管障害細小血管障害ニューロパシー腎症、および網膜症などの重篤な合併症につながる。その結果、糖尿病は生活の質に悪影響を及ぼす。同様に、コントロールされていない2型糖尿病は血液中のグルコース過剰につながり、その結果、高血糖症または血糖値の上昇をもたらす。

2型糖尿病がある人は、疲労、口渇の増大、頻尿、皮膚の乾燥および掻痒感、霧視、切創および潰瘍治癒遅延、通常より多い感染症、足のしびれおよび刺痛を経験する。治療せずにいると、2型糖尿病がある人は脱水症状となり、そして危険なほどの血液量減少をきたす。2型糖尿病が長期間にわたってコントロールされないままであると、重度の高血糖症(血糖値が600 mgを上回る)、嗜眠錯乱ショック、そして最終的に「高浸透圧性高血糖性非ケトン性昏睡」を含む、より重篤な症状が生じることがある。持続性であるかまたはコントロールされていない高血糖症は、合併症発生率および死亡率の増大および早期化と関連性がある。したがって、グルコース恒常性脂質代謝肥満、および高血圧の治療的コントロールは、真性糖尿病の臨床的管理および治療においてきわめて重要である。

前糖尿病状態(すなわち、糖尿病の明らかな臨床徴候が呈されていない状態)は、血糖異常が検出されるより7年またはそれ以上前から存在することがあり、かつ、疾患の始まりおよび早期の糖尿病合併症呈示または診断された後にも存在することがある。糖尿病リスクがある人に対するより積極的なスクリーニングが必要である。1つの主要な理由は、糖尿病または前糖尿病状態が発達するリスクがある対象の同定に使用できる、単純かつ明白な臨床検査がこれまで存在していないことである。前糖尿病状態および糖尿病の両方の対象を含めて、糖尿病状態がある対象を同定し、彼らが早期治療を受けられるようにするとともに、疾患の経時的な進行を非侵襲的にモニタリングするというニーズも存在する。糖尿病患者に対する早期の診断、集中的な治療、および一貫した長期的フォローアップ評価は、視力を温存しかつ失明リスクを有意に低下させるのに役立つ有効なケアに不可欠である。米国の糖尿病コントロールおよび合併症試験(DCCT)で示されたところによれば、糖尿病患者を検出しそしてグルコースコントロール状態にすることができれば、例えば合併症(網膜症)を80パーセント(80%)減らせる可能性がある。医師は、患者に糖尿病が生じる可能性があることが明らかになったら、患者の状態が実際に疾患に発達するかどうかを決定するため、定期的に再来してさらなる検査を受けることを患者に求めるよう訓練される。さらなる検査のために再来するまで患者がどのくらい長く待つべきかについて、医師は特定のプロトコルを有している。糖尿病を示唆する症状を患者がほとんど持たない場合、患者は1年以上再来を求められない可能性もある。糖尿病を示唆する症状が複数存在する場合、医師は、患者がわずか数ヶ月後に再来することを願う可能性もある。残念ながら、患者がどのくらい長く糖尿病症状を経験しているのかを正確に予想するための、または、患者が実際に疾患を生じるリスクがどのくらい大きいかを決定するための診断ツールが存在しない。そのようなツールが利用可能であれば、医師が再来および治療のパターンを患者のニーズに合わせることが可能になるであろう。

現代の糖尿病スクリーニングおよびモニタリングは、グルコース値を検査するため患者が血液を採取する必要があるので、特に「穿刺集約的」である。血中グルコースのモニタリングに現在利用できる、実際的で信頼性のある唯一スクリーニング方法は、血液採取によるものである。現在使われているスクリーニングおよび診断用の主要な検査、空腹時血漿グルコース(FPG)および経口グルコース負荷試験(OGTT)は、簡便でなくかつ快適でないため、最適とはみなされていない。いずれも静脈血採取が必要でありかつ空腹にして行う検査であるため、実際的には午前中の予約時にのみ実施可能であり、手順遵守違反の問題も生じやすい。OGTTでは、患者が75gの経口グルコース負荷を摂取してから2時間後に測定が行われる。これら各検査法パフォーマンスは、多数の研究によって、多様な母集団において評価されている。単一のFPG検査では糖尿病患者の約半数誤判定が生じると考えられている。加えて、OGTTは再現性が比較的低いとも考えられている。加えて、HbA1c検査は、FPGより長期である90日間の血糖の状態およびコントロールの有無を反映するが、同検査の結果も直近食事内容の変化または溶血性の状態によって歪められることがある。このような血中グルコース測定の方法は、長期的な血糖状態指標としての価値が限定されている。まとめると、血中グルコース測定(HbA1cおよびFPGなど)は、長期的な血糖状態の信頼できる指標としては、価値が限定されている。

したがって、現在の検査に対する実行可能な代替物として、迅速で、正確で、信頼でき、簡便で、かつ非侵襲性スクリーニング検査が必要とされている。理想的には、改善されたスクリーニング検査は疾患の進行および合併症のリスクと直接関連する検体を測定し、そして化学マーカーは、積分的なバイオマーカー(integrated biomarker)として、患者の日内変化または日間変化に対して不変である。加えて、測定は、糖尿病をその早期段階で検出できるだけの十分な正確性を提供し、かつ、確認用の反復検査の必要がなくなるよう適切な精度を有するべきである。患者が糖尿病である可能性があることが明らかになったら、医師および検眼士は、患者の状態が実際に疾患に発達するかどうか、または患者の状態が糖尿病と確認されるかどうかを決定するため、定期的に再来してさらなる検査を受けるよう患者に求める。さらなる検査のために再来するまで患者がどのくらい長く待つべきかについては特定のプロトコルがある。糖尿病を示唆する症状が患者にほとんどない場合、患者は1年以上再来を求められない可能性もある。糖尿病を示唆する症状が複数存在する場合、患者はわずか2、3か月後に再来するよう求められる可能性もある。患者に実際に糖尿病が生じるリスクがあるかどうか、またはただちに確認される糖尿病が実際にあるかどうかを非侵襲的かつ正確に決定するための診断用ツールおよび方法が利用可能であれば、有用であると考えられる。

高血糖症の主要な帰結は、メイラード反応として知られるプロセスにおいてタンパク質の過剰なグリコシル化非酵素的糖化)が生じることである。過剰なグリコシル化は、最終的に、さまざまなタンパク質−タンパク質架橋および高度糖化最終産物(AGE)と呼ばれる非架橋構造の形成を引き起こす。AGEは非侵襲測定のための魅力的な検体候補であると考えられている。AGEは、糖尿病性網膜症(DR)を含む糖尿病合併症の原因因子であることが示唆されている。タンパク質の糖化は、フルクトサミンまたはアマドリ化合物として知られるタンパク質の糖付加体の形成で始まる多段階反応であり、この糖付加体は徐々に成熟してAGEを形成する。いくつかのAGEは形成に酸化反応を必要とし、これらは糖酸化産物として知られる。コラーゲンは糖化および糖酸化を受けやすいタンパク質である。全体的な血糖状態は血糖コントロール短期的または中期的な変動に対する感受性が低いが、コラーゲン中のAGEレベルは、半減期が長いため、全体的な血糖状態を長期的に積分したものとしてふるまうと考えられている。その結果、AGEは健康的な加齢においても自然に蓄積するが、糖尿病がある人では大幅に加速した速度で蓄積する。タンパク質の糖化およびAGEの形成は、糖尿病における生体分子損傷に寄与するフリーラジカル活性の増大を伴う。AGEレベルは、網膜症、腎症、およびニューロパシーの重症度と正の相関があり、それゆえ、糖尿病における全身的なタンパク質損傷の指標であるとともに、糖尿病合併症に関する患者のリスクの測定基準となる。加えて、軽度〜重度の高血糖症は前糖尿病状態および2型糖尿病との関連性があるため、この連続体の早期段階にある人では正常より早い速度で組織中にAGEが蓄積する。ゆえに、十分なアッセイ感度があれば、個人のAGEを正確に測定することは、正常な血糖状態からの早期の逸脱を検出できる見込みが高い。現在、AGEのアッセイは生検検体を必要とする侵襲的な手技によって行われており、したがって糖尿病のスクリーニングまたは診断には用いられていない。

眼の水晶体などの組織は好適な波長光源によって励起されると蛍光を発することができる。内因性蛍光体から生じるこの蛍光放出は組織固有性質であり、(フルオレセインナトリウムのような)外因性マーカーの添加によって得られる蛍光信号と区別するため、自己蛍光と呼ばれる。組織蛍光体は光(励起光)の特定の波長を吸収して、より長い波長の光としてそれを再び解放する(放出)。コラーゲン、エラスチンリポフスチンNADH、ポルフィリン、およびトリプトファンなど、複数の組織蛍光体が同定されている。各蛍光体は特徴的な励起波長および蛍光波長を持ち、これらは特定の蛍光体の位置測定およびさらなる定量を可能にする。自己蛍光は複数の組織で誘導することができ、したがって複数の疾患の調査に応用できる。自己蛍光はまた、皮膚および子宮頚部など複数の組織において、悪性組織良性組織と識別するのにも使用される。さらに、眼科学では、加齢および糖尿病に伴って水晶体の自己蛍光が増大する。水晶体の自己蛍光は、AGEを形成する、糖化およびそれに続く水晶体の酸化によって引き起こされると考えられる。水晶体のタンパク質は生涯を通じて比較的静的でターンオーバーを生じず(すなわち逆糖化が起きる)、したがってAGEの蓄積が可能であるため、水晶体は例外的な生体ターゲットである。

眼の水晶体の蛍光分光法の進歩により、真性糖尿病と関連性がある眼の水晶体の変化を敏感に測定する非侵襲的なデバイスおよび方法の可能性が明らかになってきた。そのシステムは、単色光源による低パワー励起照射を用いて、生きているヒト対象の水晶体の選択された体積(約1/10 mm3〜約3 mm3またはそれ以上)から放出される蛍光のスペクトルを検出することに依存する。この技法の感度は、蛍光スペクトル選択領域において蛍光強度を測定すること、および、この蛍光を入射励起光減衰散乱および吸収)に関して正規化することに基づく。蛍光スペクトルの一部として測定される、シフトしていないレイリー線振幅が、水晶体内の励起光の減衰の尺度として用いられる。この方法論において、正規化された水晶体蛍光は、水晶体の蛍光強度のより従来的な測定と比較して、糖尿病性の水晶体と非糖尿病性の水晶体とをより高い感度で区別できると考えられている。そのような臨床測定の結果を用いて、糖尿病患者における正規化後の水晶体蛍光とヘモグロビンA1c値との関係性記述できる可能性がある。

波分光法は、眼の水晶体または他の組織中のAGEを定量化することによって糖尿病を早期かつ非侵襲的に検出する、1つの可能性を提供する。分光法では、機械レーザーまたは他の光を皮膚上または眼内に当てる。蛍光分光法(蛍光分析法または分光蛍光分析法としても知られる)は、反射光または放出光の測定により特定の分子の存在を検出することによってサンプルから出た蛍光を分析する、電磁分光法の一種である。蛍光分光法では、化学種光子の吸収によってまず励起されて、基底電子状態から、励起電子状態におけるさまざまな振動状態の1つになる。励起した分子は、他の分子との衝突によって、励起電子状態の最も低い振動状態に達するまで振動エネルギーを失う。次に分子は、再度、基底電子状態のさまざまな振動レベルの1つまで低下し、この過程で光子を放出する。異なる分子種は、異なる振動レベルから基底状態まで低下する可能性があるので、放出される光子は異なるエネルギーを持ち、したがって異なる周波数を有する。粒子表面で反射されたかまたはそれらを通って屈折された光子は「散乱した」と呼ばれる。散乱した光子は別の粒に遭遇する可能性があり、または、表面から遠ざかるように散乱されて検出および測定されうる可能性がある。各分子は特定の波長で光を反射するシグネチャ構造(signature structure)を持ち、すべてのグルコース分子は、ヘモグロビンなど他の血液成分とまったく異なる独自のシグネチャを共通して有している。戻ってきた波長が確立された標準と異なる場合、デバイスは、問題の分子または細胞の存在を患者または医師に知らせる。したがって、蛍光分光法において、放出される光の異なる周波数を、それらの相対的強度とともに分析することによって、異なる振動レベルの構造が決定されうる。

蛍光に基づくシステムは、蛍光体(例えばトリプトファン、フラビン、コラーゲン)として知られる特定の細胞成分の性向、すなわち特定波長の光によって励起されたときに、異なるが対応する周波数帯域ピーク強度がある光を放出するという性向に依存している。蛍光体によって放出される光の実際の量は非常に少なく(ナノワットオーダーである)、きわめて感度の高い光検出システムを必要とする。光波分光デバイス基本機能は、望ましい特定帯域の波長で化学種を照射すること、そして次に、はるかに弱い蛍光を励起光から分離することである。得られた蛍光構造が非常に暗い(または黒色の)背景に対して高コントラストで重ね合わせられるよう、蛍光のみが眼または検出器に届くべきである。検出限界は背景の暗さによって概ね決定され、励起光は放出される蛍光より典型的に数十万倍〜百万倍明るい

AGEに300〜500 nmの光が照射されると、400〜700 nmの蛍光が放出される。特定の早期の代謝変化は、AGEの増大に伴って蛍光分光法で検出される可能性がある。反射法は、組織(例えば眼の水晶体)が光源に曝露されたときに高感度光検出器に戻ってくる反射光の量および波長を測定することによって組織の特徴決定をしようとするものである。蛍光および反射光の測定結果コンピュータに基づくアルゴリズムを用いて分析されるが、これらのシステムはこれまで広範な研究がなされていない。非侵襲的な眼の蛍光測定は、糖尿病スクリーニングおよびAGE定量化に関する多数の場合について研究されている。

例えば、眼の水晶体の自己蛍光は、水晶体を詳しくスキャンするための特殊レンズ(「前眼部アダプタ」)を取り付けたコンピュータ式蛍光光度計(Fluorotron Master, Coherent Radiation Inc.(Palo Alto, CA))で測定できる。連続青色光ビームによって励起された水晶体の自己蛍光は、コンピュータ制御モータで蛍光光度計の内部レンズ系を光軸に沿って動かすことによってスキャンされる。励起および蛍光の波長は、それぞれ490 nmおよび530 nmにピーク透過があるカラーフィルタで設定できる。測定された自己蛍光はフルオレセイン濃度の等量として表現され、眼内距離の関数として記録することができる。

疾患は常に進行の早期に検出することが望ましい。具体的には、グルコース耐性が損なわれると糖尿病発症前であっても血管の病変部が徐々に発達するので、グルコース不耐性の個人をできるだけ早期にスクリーニングして治療を開始することが望ましい。加えて、グルコース耐性異常(IGT)および空腹時グルコース異常(IFG)など、グルコース恒常性の明らかな変化が現れるには、ベータ細胞の機能が重度に障害されている。ゆえに、残ったインスリン分泌能を保つにはタイムリー介入が重要である。早期の治療はさまざまな疾患の治療においてより高い成功率をもたらすと一般に考えられており、早期の疾患検出は早期の治療を可能にする。近年、眼の分析、特に眼の水晶体の分析によって、さまざまなタイプの疾患の指標が得られると考えられている。例えば、眼内の散乱光の測定は、疾患を検出し進行をモニタリングするための有用な診断情報を提供することが示されている。この領域は厚さが最大数ミリメートルであるため、この領域の測定が有用であるためには、測定位置の情報が非常に正確である必要がある。ヒトの眼は、照射された標的を患者が固視しているときでさえも、ほぼ絶え間なく動いているので、このことがとりわけ当てはまる。検眼士などの眼科医療専門家は、眼および関連構造の疾患、外傷、および障害を日常的に検査、診断、治療、および管理するとともに、眼に影響を及ぼす関連する全身状態の同定も行うので、このことがとりわけ当てはまる。検眼士は、臨床教育および経験があり、地理的に広く分布しており、かつ、眼および視力のプライマリケアを公衆に提供している。彼らは、未診断の糖尿病がある患者または糖尿病の眼症状を呈している患者を最初に検査する医療従事者であることが多い。

疾患の進行を止めるうえで、ライフスタイルの修正または投薬により早期の介入を行うことの有効性は、糖尿病予防プログラムによって示されている(Diabetes Prevention Program Research Group. NEJM 346:393-403, 2002(非特許文献1))。しかし、IGTおよびIFGの決定、特に経口グルコース負荷試験(OGTT)によるIGTの決定は、これらのアセスメントが比較的侵襲的な性質をもつことからそれ自体に問題点がある。加えて、さらなる重要な診断上の問題は、糖尿病の確認のためにグルコース恒常性をモニタリングすることである。ランセットを用いた従来の採血は痛みがあり不便でもあるため、グルコースモニタリングの手順遵守度は低い。さらに、糖尿病をモニタリングしかつ治療の有効性を決定するための非侵襲的な技法が望ましい。そして、明らかな糖尿病から合併症への進行を評価することは、合併症が十分に確立した後にのみ可能である。ゆえに、前糖尿病状態から糖尿病への発達を評価するとともにこの疾患の経過をモニタリングするための方法を有することは有益であると考えられる。

水晶体の蛍光を測定する商用水準の非侵襲的な糖尿病検出/スクリーニング用デバイスをもたらそうとする試みは少なくとも1つが公知であり、このデバイスはAccu-Chek D-Tectorとして公知である。Accu-Chek-D-Tectorは、AGEの測定に共焦点光学系を使用するという点において本質的に共焦点顕微鏡であり、これにより、コントロール不能な血糖値および2型糖尿病の早期徴候がないかをチェックする。AGEは、血糖値が高い人の眼では血糖値が正常である人の眼より速く蓄積するからである。同デバイスは、いわゆるバイオフォトン技術を採用しており、患者の水晶体内に青色光を当てることによって糖尿病を検出する。戻ってきた光が収集および分析される。糖尿病がある人の眼から放出される光は、糖尿病がない人のものより強い。具体的には、レーザービームが光源アパーチャを通過し、次に対物レンズによって患者の眼の内部または表面上の小さな(理想的には回折限界の)焦点体積集束される。次に、散乱および反射されたレーザー光ならびに照射スポットからの蛍光が対物レンズ(コレクタ)によって再収集される。ビームスプリッタが光の一部を分離して検出装置送り蛍光共焦点顕微鏡観察におけるこの検出装置は、元の励起波長を遮蔽しながら蛍光波長を選択的に通過させるフィルタを有していてもよい。任意でピンホールを通過した後、光の強度が光検出デバイス(例えば光電子増倍管(PMT))によって検出され、これにより光信号電子信号に変換されてさらなる分析のためコンピュータにより記録される。具体的には、Accu-Chek D-Tectorは眼の水晶体内に青色光を当て、次に、戻ってきた光を収集および分析する。

しかし、Accu-Chek-D-Tectorの主要な短所は、比較的低速で、精度が低く、そして製造コストが高いことである。同デバイスは、患者の水晶体内の特定場所からの蛍光信号と後方散乱光信号との比を得るのに30秒(蛍光に15秒、後方散乱に15秒)で読み取りを得ることができたとされているが、クランク機構を介して光検出器に当たる緑色光(蛍光)または青色光(後方散乱)を選択するのにスライド式のフィルタチェンジャーを採用していた。ステップモータの回転により二位置式スライダーが作動し、1つのフィルタからもう一方のフィルタまで動くのに1秒またはそれ以上を要した。加えて、使用時、固視システムを介して患者がデバイスに自己アライメントする必要があったため、困難でありかつ時間がかかった。

ほとんどの非侵襲的な分析装置高スループットのスクリーニング目的に合うよう特別には設計されていない。それらを高スループットのスクリーニング環境に統合するのは困難でありかつ費用がかかる。分析装置を高スループットのスクリーニング環境に統合した後でも、システム障害の確率の増大、データの損失、時間的遅延、ならびに高価な化合物および試薬の損失など、多数の問題があることが多い。ゆえに、先行する非侵襲的な糖尿病検出デバイスは、概して、分析のフレキシビリティおよび高いパフォーマンスを提供することの必要性を認識していなかった。

典型的に、非侵襲的な装置は、身体から信号またはスペクトルを取得するために何らかの形式の分光法を用いる。分光的技法は、ラマンおよびレイリー蛍光、ならびに、紫外線赤外線の光を用いた技法[紫外線(200〜400 nm)、可視光(400〜700 nm)、近赤外線(700〜2500 nmまたは14,286〜4000 cm-1)]、および赤外線(2500〜14,285 nmまたは4000〜700 cm-1)を含むが、それに限定されるわけではない。注意されるべき重要な点として、これらの技法は、分析されるサンプルがヒト身体から採取された生物学的試料ではなくインサイチューのヒト身体の一部であるという点において、前述の従来的な侵襲的技法および代替的な侵襲的技法と異なる。

高水準の感度を高い信頼度で保ちながら複数の検出および広範な患者を扱える、多用途、高感度、かつ高スループットのスクリーニングの装置および方法に対する真のニーズが存在する。疾患の早期同定に加えて、絶食の必要がなく、かつ、食事ストレス、特定の薬物、または食事および運動の短期的変化などさまざまな理由によって引き起こされるグルコース値の変動にさらされない累積的な検査である、糖尿病を検出するための糖尿病検出装置、デバイス、方法、および/またはシステムに対するニーズが存在する。

概要

個人を糖尿病もしくは非糖尿病として分類するために、または個人の疾患もしくは医学的状態の確率、進行、もしくはレベルを決定するために、生体組織分光分析する装置および方法を提供する。

目的

光波分光法は、眼の水晶体または他の組織中のAGEを定量化することによって糖尿病を早期かつ非侵襲的に検出する、1つの可能性を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

対象の生体組織または他の媒質の特性を決定するための装置であって、以下を含む、装置:a. 媒質に差し向けられる電磁放射線で該媒質を照射するための手段であって、これによって反射性後方散乱性、透過性、および放出性応答型放射からなる群より選択される第一の作用、ならびに該第一の作用を除いた同じ群より選択される第二の作用による反応を該媒質に生じさせる、手段と;b. 応答型放射を収集するための手段と;c. 収集された放射を複数の成分に分離するための、該収集手段に接続された手段と;d. (i)分離された複数の成分の各々の強度を測定するため、および(ii)該分離された複数の成分間の数学的関係を決定するための、該分離手段に接続された手段と;e. 軸に沿って自身を自己アライメントするよう対象をガイドするためのLED固視手段。

請求項2

前記照射手段が、a.レーザーレーザーダイオード非線形周波数2倍化デバイスに連結されたレーザーダイオード、発光ダイオード、および光学フィルタに連結された広帯域光源からなる群より選択される光源と;b. 光を集束させるための、該光源からの光に対して光学的に応答性であるレンズと;c. 集束した光に対して光学的に応答性であり、焦点を持ち、かつ該焦点において約1 cm未満のアパーチャを規定するレンズ系とを含む、請求項1記載の装置。

請求項3

前記照射手段が、媒質に放出性の応答型放射の反応を生じさせ、前記装置が、媒質の照射と応答型放射の放出との間の時間差を測定するための手段をさらに含む、請求項1記載の装置。

請求項4

照射されたときに決定可能な強度の蛍光成分およびレイリー成分を含む後方散乱放射を行うことができる眼の水晶体を有する患者における分子変化を測定するための装置であって、以下を含む、装置:a.波長約400〜480 nmの光で水晶体を照射するための手段であって、これによって該照射に応答した後方散乱放射を水晶体に生じさせる、手段と;b. 後方散乱放射に応答して該後方散乱放射を収集するための手段と;c. 該後方散乱放射を蛍光成分およびレイリー成分に分離するための、該収集手段に接続された手段と;d. (i)分離された蛍光成分およびレイリー成分の各々の強度を検出するため、および(ii)検出された強度の比を形成しこれによって水晶体内の分子変化の測定値をもたらすための、該分離手段に接続された手段と;e. 軸に沿って自身を自己アライメントするよう対象をガイドするためのLED固視手段。

請求項5

前記照射手段が、a.レーザー、非線形周波数2倍化デバイスに連結されたレーザーダイオード、発光ダイオード、および光学フィルタに連結された広帯域光源からなる群より選択される光源と;b. 光を集束させるための、該光源からの光に対して光学的に応答性であるレンズと;c. 集束した光に対して光学的に応答性であり、焦点を持ち、かつ該焦点において約15マイクロメートルより大きいアパーチャを規定するレンズ系とを含む、請求項4記載の装置。

請求項6

オペレータが眼の水晶体を見ることを可能にするための、後方散乱放射に対して応答性であるアイピース手段をさらに含む、請求項5記載の装置。

請求項7

前記分離手段が少なくとも1つの二色ビームスプリッタを含む、請求項6記載の装置。

請求項8

前記検出および形成の手段が少なくとも1つのシングルチップシリコン検出器を含み、後方散乱放射の蛍光成分の波長が約460〜500 nmおよび520〜600 nmからなる群より選択される、請求項7記載の装置。

請求項9

前記検出および形成の手段が増幅器をさらに含む、請求項8記載の装置。

請求項10

前記照射手段が、照射光パワーレベルを調整するための手段をさらに含む、請求項9記載の装置。

請求項11

照射されたときに決定可能な強度の蛍光成分およびレイリー成分を含む後方散乱放射を行うことができかつ体積を持つ眼の水晶体を有する患者における分子変化を測定するための装置であって、以下を含む、装置:a. 選択された波長およびパワーレベルを有する光を提供するための青色LEDと;b. 光のパワーレベルを調整するための、提供される光に対して光学的に応答性である手段と;c. 光を集束させるための、該調整手段に光学的に接続されたレンズと;d. 集束した光を受け取るための、レンズに光学的に接続された第一の光ファイバと;e. 該集束した光を水晶体の体積中の選択された約200マイクロメートルへ送達し、これによって該送達した光に応答した後方散乱放射を該水晶体に生じさせるための、該第一の光ファイバに光学的に接続されかつ約15マイクロメートルより大きい焦点を有するアパーチャを規定するレンズ系と;f. (i)集束した光がそこに送達される、該水晶体の選択体積を包囲する焦点を持ち、かつ(ii)後方散乱放射に対して応答性である、該後方散乱放射を収集するためのコレクタと;g. 収集された放射を受け取るための、コレクタに光学的に接続された第二の光ファイバと;h. 該後方散乱放射を蛍光成分およびレイリー成分に分離するための、該接続手段に接続された手段と;i. (i)分離された蛍光成分およびレイリー成分の各々の強度を検出するため、および(ii)検出された強度の比を形成しこれによって水晶体内の分子変化の測定値をもたらすための、該分離手段に接続された手段と;j. 軸に沿って自身を自己アライメントするよう患者をガイドするためのLED固視手段。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、それぞれ2010年11月5日に提出され、かつそれぞれ参照によりその全部が本明細書に組み入れられる、米国特許仮出願第61/410,825号、同第61/410,827号、同第61/410,830号、同第61/410,831号、同第61/410,833号、同第61/410,834号、同第61/410,835号、および同第61/410,839号に関連し、かつそれらの恩典を主張する。

0002

米国特許出願番号第 [付与予定] 号が付与され、発明者の少なくとも1名が共通している、仮出願ではない同時係属中の特許出願「IMPROVEDALGORITHM FOR DETECTION OF DIABETES」も前述の各米国特許仮出願の恩典を主張しており、これは本出願と同日に同時提出されている。この同時提出された特許出願の開示内容は参照によりその全部が本明細書に組み入れられる。

背景技術

0003

背景
糖尿病などの疾患を検出するための非侵襲的デバイスおよび方法が開示される。具体的には、本発明の例示的態様は、哺乳動物において真性糖尿病の存在、確度、進行、および/または重症度を決定するのに好適な方法および装置に関する。

0004

真性糖尿病(「糖尿病」)は、身体が十分なインスリンを産生しないかまたは産生されたインスリンに身体の細胞が反応しないかのいずれかのために血糖値が高くなる(高血糖症になる)という、一群代謝疾患である。糖尿病は複数の原因因子から派生する疾患であり、その特徴は、空腹状態かまたは経口グルコース負荷試験(OGTT)におけるグルコース投与後のいずれかにおいて血漿グルコース値が高いことである。真性糖尿病には、(1)インスリン依存性糖尿病または1型糖尿病(若年性糖尿病不安定型糖尿病、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)とも呼ばれる)、および(2)非インスリン依存性糖尿病または2型糖尿病(NIDDMとも呼ばれる)という、2つの主な形態がある。1型糖尿病は若年者に生じることが最も多いが、1型糖尿病と同じ自己抗体をを有する成人に見られることもある。2型糖尿病は中年以降の成人に生じることが最も多いが、若年者に見られることもある。この高血糖状態は、多尿症(頻繁な排尿)、多渇症口渇の増大)、または多食症空腹感の増大)という症状をもたらす。糖尿病は世界の先進国および発展途上国の全域にわたって大規模かつ増大している問題である。現時点で、米国成人の約10人に1人に糖尿病があると予測されており、そしてCenters for Disease Control and Preventionの報告によれば、糖尿病症例数は2050年までに2倍かさらには3倍にもなり、3人に1人もの割合でこの疾患、主として2型糖尿病になると見通されている。

0005

インスリンは膵臓でβ-細胞によって産生されるホルモンである。インスリンの機能は血液中のグルコース(糖)の量を調節することであり、グルコースは、インスリンを受け入れてグルコースの進入を可能にする受容体を介して細胞に入る。細胞内に入ったグルコースは燃料として使われることができる。余分なグルコースはグリコーゲンと呼ばれる形態で肝臓および筋肉貯蔵される。血糖値が下がると肝臓はグリコーゲンを放出してグルコースをつくる。インスリンがないとグルコースは細胞に入るのが困難になる。真性糖尿病がある人では、膵臓がインスリンを産生しないか、産生するインスリンが少なすぎて血糖コントロールできないか、または欠損のあるインスリンを産生する。インスリンがないとこれらの症状は脱水へと進行し、その結果、血液量が低下し、心拍数が増え、皮膚が乾燥および紅潮する。加えて、身体が尿または呼気を介して排出できるのよりも速く血液中にケトン蓄積する。呼吸が速く浅くなり、息は果物のような臭いになる。糖尿病性ケトアシドーシス昏睡(DKA)への進行を示す他の症状としては、嘔吐胃痛、および意識レベルの低下などがある。糖尿病がある人は、腎不全失明神経損傷、および血管疾患といった、衰弱をもたらすような合併症リスクが高い。合併症のリスクまたは進行は、厳格なグルコースコントロールと薬物療法との併用およびライフスタイルの変化によって低減できるが、合併症の効果的な緩和早期発見によって始まる。糖尿病は、高血糖症、大血管障害細小血管障害ニューロパシー腎症、および網膜症などの重篤な合併症につながる。その結果、糖尿病は生活の質に悪影響を及ぼす。同様に、コントロールされていない2型糖尿病は血液中のグルコース過剰につながり、その結果、高血糖症または血糖値の上昇をもたらす。

0006

2型糖尿病がある人は、疲労、口渇の増大、頻尿、皮膚の乾燥および掻痒感、霧視、切創および潰瘍治癒遅延、通常より多い感染症、足のしびれおよび刺痛を経験する。治療せずにいると、2型糖尿病がある人は脱水症状となり、そして危険なほどの血液量減少をきたす。2型糖尿病が長期間にわたってコントロールされないままであると、重度の高血糖症(血糖値が600 mgを上回る)、嗜眠錯乱ショック、そして最終的に「高浸透圧性高血糖性非ケトン性昏睡」を含む、より重篤な症状が生じることがある。持続性であるかまたはコントロールされていない高血糖症は、合併症発生率および死亡率の増大および早期化と関連性がある。したがって、グルコース恒常性脂質代謝肥満、および高血圧の治療的コントロールは、真性糖尿病の臨床的管理および治療においてきわめて重要である。

0007

前糖尿病状態(すなわち、糖尿病の明らかな臨床徴候が呈されていない状態)は、血糖異常が検出されるより7年またはそれ以上前から存在することがあり、かつ、疾患の始まりおよび早期の糖尿病合併症呈示または診断された後にも存在することがある。糖尿病リスクがある人に対するより積極的なスクリーニングが必要である。1つの主要な理由は、糖尿病または前糖尿病状態が発達するリスクがある対象の同定に使用できる、単純かつ明白な臨床検査がこれまで存在していないことである。前糖尿病状態および糖尿病の両方の対象を含めて、糖尿病状態がある対象を同定し、彼らが早期治療を受けられるようにするとともに、疾患の経時的な進行を非侵襲的にモニタリングするというニーズも存在する。糖尿病患者に対する早期の診断、集中的な治療、および一貫した長期的フォローアップ評価は、視力を温存しかつ失明リスクを有意に低下させるのに役立つ有効なケアに不可欠である。米国の糖尿病コントロールおよび合併症試験(DCCT)で示されたところによれば、糖尿病患者を検出しそしてグルコースコントロール状態にすることができれば、例えば合併症(網膜症)を80パーセント(80%)減らせる可能性がある。医師は、患者に糖尿病が生じる可能性があることが明らかになったら、患者の状態が実際に疾患に発達するかどうかを決定するため、定期的に再来してさらなる検査を受けることを患者に求めるよう訓練される。さらなる検査のために再来するまで患者がどのくらい長く待つべきかについて、医師は特定のプロトコルを有している。糖尿病を示唆する症状を患者がほとんど持たない場合、患者は1年以上再来を求められない可能性もある。糖尿病を示唆する症状が複数存在する場合、医師は、患者がわずか数ヶ月後に再来することを願う可能性もある。残念ながら、患者がどのくらい長く糖尿病症状を経験しているのかを正確に予想するための、または、患者が実際に疾患を生じるリスクがどのくらい大きいかを決定するための診断ツールが存在しない。そのようなツールが利用可能であれば、医師が再来および治療のパターンを患者のニーズに合わせることが可能になるであろう。

0008

現代の糖尿病スクリーニングおよびモニタリングは、グルコース値を検査するため患者が血液を採取する必要があるので、特に「穿刺集約的」である。血中グルコースのモニタリングに現在利用できる、実際的で信頼性のある唯一スクリーニング方法は、血液採取によるものである。現在使われているスクリーニングおよび診断用の主要な検査、空腹時血漿グルコース(FPG)および経口グルコース負荷試験(OGTT)は、簡便でなくかつ快適でないため、最適とはみなされていない。いずれも静脈血採取が必要でありかつ空腹にして行う検査であるため、実際的には午前中の予約時にのみ実施可能であり、手順遵守違反の問題も生じやすい。OGTTでは、患者が75gの経口グルコース負荷を摂取してから2時間後に測定が行われる。これら各検査法パフォーマンスは、多数の研究によって、多様な母集団において評価されている。単一のFPG検査では糖尿病患者の約半数誤判定が生じると考えられている。加えて、OGTTは再現性が比較的低いとも考えられている。加えて、HbA1c検査は、FPGより長期である90日間の血糖の状態およびコントロールの有無を反映するが、同検査の結果も直近食事内容の変化または溶血性の状態によって歪められることがある。このような血中グルコース測定の方法は、長期的な血糖状態指標としての価値が限定されている。まとめると、血中グルコース測定(HbA1cおよびFPGなど)は、長期的な血糖状態の信頼できる指標としては、価値が限定されている。

0009

したがって、現在の検査に対する実行可能な代替物として、迅速で、正確で、信頼でき、簡便で、かつ非侵襲性スクリーニング検査が必要とされている。理想的には、改善されたスクリーニング検査は疾患の進行および合併症のリスクと直接関連する検体を測定し、そして化学マーカーは、積分的なバイオマーカー(integrated biomarker)として、患者の日内変化または日間変化に対して不変である。加えて、測定は、糖尿病をその早期段階で検出できるだけの十分な正確性を提供し、かつ、確認用の反復検査の必要がなくなるよう適切な精度を有するべきである。患者が糖尿病である可能性があることが明らかになったら、医師および検眼士は、患者の状態が実際に疾患に発達するかどうか、または患者の状態が糖尿病と確認されるかどうかを決定するため、定期的に再来してさらなる検査を受けるよう患者に求める。さらなる検査のために再来するまで患者がどのくらい長く待つべきかについては特定のプロトコルがある。糖尿病を示唆する症状が患者にほとんどない場合、患者は1年以上再来を求められない可能性もある。糖尿病を示唆する症状が複数存在する場合、患者はわずか2、3か月後に再来するよう求められる可能性もある。患者に実際に糖尿病が生じるリスクがあるかどうか、またはただちに確認される糖尿病が実際にあるかどうかを非侵襲的かつ正確に決定するための診断用ツールおよび方法が利用可能であれば、有用であると考えられる。

0010

高血糖症の主要な帰結は、メイラード反応として知られるプロセスにおいてタンパク質の過剰なグリコシル化非酵素的糖化)が生じることである。過剰なグリコシル化は、最終的に、さまざまなタンパク質−タンパク質架橋および高度糖化最終産物(AGE)と呼ばれる非架橋構造の形成を引き起こす。AGEは非侵襲測定のための魅力的な検体候補であると考えられている。AGEは、糖尿病性網膜症(DR)を含む糖尿病合併症の原因因子であることが示唆されている。タンパク質の糖化は、フルクトサミンまたはアマドリ化合物として知られるタンパク質の糖付加体の形成で始まる多段階反応であり、この糖付加体は徐々に成熟してAGEを形成する。いくつかのAGEは形成に酸化反応を必要とし、これらは糖酸化産物として知られる。コラーゲンは糖化および糖酸化を受けやすいタンパク質である。全体的な血糖状態は血糖コントロール短期的または中期的な変動に対する感受性が低いが、コラーゲン中のAGEレベルは、半減期が長いため、全体的な血糖状態を長期的に積分したものとしてふるまうと考えられている。その結果、AGEは健康的な加齢においても自然に蓄積するが、糖尿病がある人では大幅に加速した速度で蓄積する。タンパク質の糖化およびAGEの形成は、糖尿病における生体分子損傷に寄与するフリーラジカル活性の増大を伴う。AGEレベルは、網膜症、腎症、およびニューロパシーの重症度と正の相関があり、それゆえ、糖尿病における全身的なタンパク質損傷の指標であるとともに、糖尿病合併症に関する患者のリスクの測定基準となる。加えて、軽度〜重度の高血糖症は前糖尿病状態および2型糖尿病との関連性があるため、この連続体の早期段階にある人では正常より早い速度で組織中にAGEが蓄積する。ゆえに、十分なアッセイ感度があれば、個人のAGEを正確に測定することは、正常な血糖状態からの早期の逸脱を検出できる見込みが高い。現在、AGEのアッセイは生検検体を必要とする侵襲的な手技によって行われており、したがって糖尿病のスクリーニングまたは診断には用いられていない。

0011

眼の水晶体などの組織は好適な波長光源によって励起されると蛍光を発することができる。内因性蛍光体から生じるこの蛍光放出は組織固有性質であり、(フルオレセインナトリウムのような)外因性マーカーの添加によって得られる蛍光信号と区別するため、自己蛍光と呼ばれる。組織蛍光体は光(励起光)の特定の波長を吸収して、より長い波長の光としてそれを再び解放する(放出)。コラーゲン、エラスチンリポフスチンNADH、ポルフィリン、およびトリプトファンなど、複数の組織蛍光体が同定されている。各蛍光体は特徴的な励起波長および蛍光波長を持ち、これらは特定の蛍光体の位置測定およびさらなる定量を可能にする。自己蛍光は複数の組織で誘導することができ、したがって複数の疾患の調査に応用できる。自己蛍光はまた、皮膚および子宮頚部など複数の組織において、悪性組織良性組織と識別するのにも使用される。さらに、眼科学では、加齢および糖尿病に伴って水晶体の自己蛍光が増大する。水晶体の自己蛍光は、AGEを形成する、糖化およびそれに続く水晶体の酸化によって引き起こされると考えられる。水晶体のタンパク質は生涯を通じて比較的静的でターンオーバーを生じず(すなわち逆糖化が起きる)、したがってAGEの蓄積が可能であるため、水晶体は例外的な生体ターゲットである。

0012

眼の水晶体の蛍光分光法の進歩により、真性糖尿病と関連性がある眼の水晶体の変化を敏感に測定する非侵襲的なデバイスおよび方法の可能性が明らかになってきた。そのシステムは、単色光源による低パワー励起照射を用いて、生きているヒト対象の水晶体の選択された体積(約1/10 mm3〜約3 mm3またはそれ以上)から放出される蛍光のスペクトルを検出することに依存する。この技法の感度は、蛍光スペクトル選択領域において蛍光強度を測定すること、および、この蛍光を入射励起光減衰散乱および吸収)に関して正規化することに基づく。蛍光スペクトルの一部として測定される、シフトしていないレイリー線振幅が、水晶体内の励起光の減衰の尺度として用いられる。この方法論において、正規化された水晶体蛍光は、水晶体の蛍光強度のより従来的な測定と比較して、糖尿病性の水晶体と非糖尿病性の水晶体とをより高い感度で区別できると考えられている。そのような臨床測定の結果を用いて、糖尿病患者における正規化後の水晶体蛍光とヘモグロビンA1c値との関係性記述できる可能性がある。

0013

波分光法は、眼の水晶体または他の組織中のAGEを定量化することによって糖尿病を早期かつ非侵襲的に検出する、1つの可能性を提供する。分光法では、機械レーザーまたは他の光を皮膚上または眼内に当てる。蛍光分光法(蛍光分析法または分光蛍光分析法としても知られる)は、反射光または放出光の測定により特定の分子の存在を検出することによってサンプルから出た蛍光を分析する、電磁分光法の一種である。蛍光分光法では、化学種光子の吸収によってまず励起されて、基底電子状態から、励起電子状態におけるさまざまな振動状態の1つになる。励起した分子は、他の分子との衝突によって、励起電子状態の最も低い振動状態に達するまで振動エネルギーを失う。次に分子は、再度、基底電子状態のさまざまな振動レベルの1つまで低下し、この過程で光子を放出する。異なる分子種は、異なる振動レベルから基底状態まで低下する可能性があるので、放出される光子は異なるエネルギーを持ち、したがって異なる周波数を有する。粒子表面で反射されたかまたはそれらを通って屈折された光子は「散乱した」と呼ばれる。散乱した光子は別の粒に遭遇する可能性があり、または、表面から遠ざかるように散乱されて検出および測定されうる可能性がある。各分子は特定の波長で光を反射するシグネチャ構造(signature structure)を持ち、すべてのグルコース分子は、ヘモグロビンなど他の血液成分とまったく異なる独自のシグネチャを共通して有している。戻ってきた波長が確立された標準と異なる場合、デバイスは、問題の分子または細胞の存在を患者または医師に知らせる。したがって、蛍光分光法において、放出される光の異なる周波数を、それらの相対的強度とともに分析することによって、異なる振動レベルの構造が決定されうる。

0014

蛍光に基づくシステムは、蛍光体(例えばトリプトファン、フラビン、コラーゲン)として知られる特定の細胞成分の性向、すなわち特定波長の光によって励起されたときに、異なるが対応する周波数帯域ピーク強度がある光を放出するという性向に依存している。蛍光体によって放出される光の実際の量は非常に少なく(ナノワットオーダーである)、きわめて感度の高い光検出システムを必要とする。光波分光デバイス基本機能は、望ましい特定帯域の波長で化学種を照射すること、そして次に、はるかに弱い蛍光を励起光から分離することである。得られた蛍光構造が非常に暗い(または黒色の)背景に対して高コントラストで重ね合わせられるよう、蛍光のみが眼または検出器に届くべきである。検出限界は背景の暗さによって概ね決定され、励起光は放出される蛍光より典型的に数十万倍〜百万倍明るい

0015

AGEに300〜500 nmの光が照射されると、400〜700 nmの蛍光が放出される。特定の早期の代謝変化は、AGEの増大に伴って蛍光分光法で検出される可能性がある。反射法は、組織(例えば眼の水晶体)が光源に曝露されたときに高感度光検出器に戻ってくる反射光の量および波長を測定することによって組織の特徴決定をしようとするものである。蛍光および反射光の測定結果コンピュータに基づくアルゴリズムを用いて分析されるが、これらのシステムはこれまで広範な研究がなされていない。非侵襲的な眼の蛍光測定は、糖尿病スクリーニングおよびAGE定量化に関する多数の場合について研究されている。

0016

例えば、眼の水晶体の自己蛍光は、水晶体を詳しくスキャンするための特殊レンズ(「前眼部アダプタ」)を取り付けたコンピュータ式蛍光光度計(Fluorotron Master, Coherent Radiation Inc.(Palo Alto, CA))で測定できる。連続青色光ビームによって励起された水晶体の自己蛍光は、コンピュータ制御モータで蛍光光度計の内部レンズ系を光軸に沿って動かすことによってスキャンされる。励起および蛍光の波長は、それぞれ490 nmおよび530 nmにピーク透過があるカラーフィルタで設定できる。測定された自己蛍光はフルオレセイン濃度の等量として表現され、眼内距離の関数として記録することができる。

0017

疾患は常に進行の早期に検出することが望ましい。具体的には、グルコース耐性が損なわれると糖尿病発症前であっても血管の病変部が徐々に発達するので、グルコース不耐性の個人をできるだけ早期にスクリーニングして治療を開始することが望ましい。加えて、グルコース耐性異常(IGT)および空腹時グルコース異常(IFG)など、グルコース恒常性の明らかな変化が現れるには、ベータ細胞の機能が重度に障害されている。ゆえに、残ったインスリン分泌能を保つにはタイムリー介入が重要である。早期の治療はさまざまな疾患の治療においてより高い成功率をもたらすと一般に考えられており、早期の疾患検出は早期の治療を可能にする。近年、眼の分析、特に眼の水晶体の分析によって、さまざまなタイプの疾患の指標が得られると考えられている。例えば、眼内の散乱光の測定は、疾患を検出し進行をモニタリングするための有用な診断情報を提供することが示されている。この領域は厚さが最大数ミリメートルであるため、この領域の測定が有用であるためには、測定位置の情報が非常に正確である必要がある。ヒトの眼は、照射された標的を患者が固視しているときでさえも、ほぼ絶え間なく動いているので、このことがとりわけ当てはまる。検眼士などの眼科医療専門家は、眼および関連構造の疾患、外傷、および障害を日常的に検査、診断、治療、および管理するとともに、眼に影響を及ぼす関連する全身状態の同定も行うので、このことがとりわけ当てはまる。検眼士は、臨床教育および経験があり、地理的に広く分布しており、かつ、眼および視力のプライマリケアを公衆に提供している。彼らは、未診断の糖尿病がある患者または糖尿病の眼症状を呈している患者を最初に検査する医療従事者であることが多い。

0018

疾患の進行を止めるうえで、ライフスタイルの修正または投薬により早期の介入を行うことの有効性は、糖尿病予防プログラムによって示されている(Diabetes Prevention Program Research Group. NEJM 346:393-403, 2002(非特許文献1))。しかし、IGTおよびIFGの決定、特に経口グルコース負荷試験(OGTT)によるIGTの決定は、これらのアセスメントが比較的侵襲的な性質をもつことからそれ自体に問題点がある。加えて、さらなる重要な診断上の問題は、糖尿病の確認のためにグルコース恒常性をモニタリングすることである。ランセットを用いた従来の採血は痛みがあり不便でもあるため、グルコースモニタリングの手順遵守度は低い。さらに、糖尿病をモニタリングしかつ治療の有効性を決定するための非侵襲的な技法が望ましい。そして、明らかな糖尿病から合併症への進行を評価することは、合併症が十分に確立した後にのみ可能である。ゆえに、前糖尿病状態から糖尿病への発達を評価するとともにこの疾患の経過をモニタリングするための方法を有することは有益であると考えられる。

0019

水晶体の蛍光を測定する商用水準の非侵襲的な糖尿病検出/スクリーニング用デバイスをもたらそうとする試みは少なくとも1つが公知であり、このデバイスはAccu-Chek D-Tectorとして公知である。Accu-Chek-D-Tectorは、AGEの測定に共焦点光学系を使用するという点において本質的に共焦点顕微鏡であり、これにより、コントロール不能な血糖値および2型糖尿病の早期徴候がないかをチェックする。AGEは、血糖値が高い人の眼では血糖値が正常である人の眼より速く蓄積するからである。同デバイスは、いわゆるバイオフォトン技術を採用しており、患者の水晶体内に青色光を当てることによって糖尿病を検出する。戻ってきた光が収集および分析される。糖尿病がある人の眼から放出される光は、糖尿病がない人のものより強い。具体的には、レーザービームが光源アパーチャを通過し、次に対物レンズによって患者の眼の内部または表面上の小さな(理想的には回折限界の)焦点体積集束される。次に、散乱および反射されたレーザー光ならびに照射スポットからの蛍光が対物レンズ(コレクタ)によって再収集される。ビームスプリッタが光の一部を分離して検出装置送り蛍光共焦点顕微鏡観察におけるこの検出装置は、元の励起波長を遮蔽しながら蛍光波長を選択的に通過させるフィルタを有していてもよい。任意でピンホールを通過した後、光の強度が光検出デバイス(例えば光電子増倍管(PMT))によって検出され、これにより光信号電子信号に変換されてさらなる分析のためコンピュータにより記録される。具体的には、Accu-Chek D-Tectorは眼の水晶体内に青色光を当て、次に、戻ってきた光を収集および分析する。

0020

しかし、Accu-Chek-D-Tectorの主要な短所は、比較的低速で、精度が低く、そして製造コストが高いことである。同デバイスは、患者の水晶体内の特定場所からの蛍光信号と後方散乱光信号との比を得るのに30秒(蛍光に15秒、後方散乱に15秒)で読み取りを得ることができたとされているが、クランク機構を介して光検出器に当たる緑色光(蛍光)または青色光(後方散乱)を選択するのにスライド式のフィルタチェンジャーを採用していた。ステップモータの回転により二位置式スライダーが作動し、1つのフィルタからもう一方のフィルタまで動くのに1秒またはそれ以上を要した。加えて、使用時、固視システムを介して患者がデバイスに自己アライメントする必要があったため、困難でありかつ時間がかかった。

0021

ほとんどの非侵襲的な分析装置高スループットのスクリーニング目的に合うよう特別には設計されていない。それらを高スループットのスクリーニング環境に統合するのは困難でありかつ費用がかかる。分析装置を高スループットのスクリーニング環境に統合した後でも、システム障害の確率の増大、データの損失、時間的遅延、ならびに高価な化合物および試薬の損失など、多数の問題があることが多い。ゆえに、先行する非侵襲的な糖尿病検出デバイスは、概して、分析のフレキシビリティおよび高いパフォーマンスを提供することの必要性を認識していなかった。

0022

典型的に、非侵襲的な装置は、身体から信号またはスペクトルを取得するために何らかの形式の分光法を用いる。分光的技法は、ラマンおよびレイリー蛍光、ならびに、紫外線赤外線の光を用いた技法[紫外線(200〜400 nm)、可視光(400〜700 nm)、近赤外線(700〜2500 nmまたは14,286〜4000 cm-1)]、および赤外線(2500〜14,285 nmまたは4000〜700 cm-1)を含むが、それに限定されるわけではない。注意されるべき重要な点として、これらの技法は、分析されるサンプルがヒト身体から採取された生物学的試料ではなくインサイチューのヒト身体の一部であるという点において、前述の従来的な侵襲的技法および代替的な侵襲的技法と異なる。

0023

高水準の感度を高い信頼度で保ちながら複数の検出および広範な患者を扱える、多用途、高感度、かつ高スループットのスクリーニングの装置および方法に対する真のニーズが存在する。疾患の早期同定に加えて、絶食の必要がなく、かつ、食事ストレス、特定の薬物、または食事および運動の短期的変化などさまざまな理由によって引き起こされるグルコース値の変動にさらされない累積的な検査である、糖尿病を検出するための糖尿病検出装置、デバイス、方法、および/またはシステムに対するニーズが存在する。

先行技術

0024

Diabetes Prevention Program Research Group. NEJM 346:393-403, 2002

図面の簡単な説明

0025

0026

例示的態様の説明
次に、図を参照しながら、または参照せずに、本発明のさまざまな例示的態様を説明する。図において、同様の参照は同一または機能的に同様の要素を示す。本明細書に概説されかつ図に示されている例示の態様は、広範な異なる構成にアレンジおよび設計することができる。ゆえに、説明されかつ/または図に提示されている、以下の例示的態様のより詳細な説明は、特許請求される本件の範囲を制限することを意図したものではなく、例示的態様/例示の態様を提示するものにすぎない。

0027

特定の局面、利点、および新規の特徴は図に示されるかおよび/または本明細書に説明されている。理解されるべき点として、本明細書において明白にまたは本来的に言及されているそのような局面、利点、および特徴は、特定の態様またはその局面においてすべて採用および/もしくは実現されてもよく、または必ずしもすべてが採用および/もしくは実現されなくてもよい。ゆえに、例えば、例示的態様は、1つの利点または一群の利点を本明細書において教示または暗示されるように実現し、他の利点を本明細書において教示または示唆されるように必ずしも実現しないような様式で実施されてもよく、このことは当業者に認識されるであろう。無論、本明細書において明白に教示または暗示されていない利点が1つまたは複数の例示的態様において実現されてもよい。

0028

別段の明示がある場合を除いて、本明細書(文書による説明、特許請求の範囲、および図面)には以下の解釈ルールが適用される:(a)本明細書において用いられるすべての語は、状況が必要とするような性および数(単数形または複数形)のものとして解釈される;(b)本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈に別段の明示がない限り、複数形への参照を含む;(c)提示される範囲または値に付けられる先行の用語「約」は、当技術分野において公知であるかまたは本発明の測定方法から予測される、範囲または値の逸脱の範囲内の近似であることを表す;(d)「本明細書において」、「本明細書により」、「本明細書の」、「本明細書に」、「本明細書において先に」、および「本明細書において後に」の語、ならびに同様の語は、本明細書の全体を参照するのであり、別段の定めがない限り特定の段落、請求項、または他の下位部分を参照するのではない;(c)説明用の見出しは便宜上のものにすぎず、本明細書のいかなる部分についてもその意味または構成にコントロールまたは影響を及ぼさない;(d)「または/もしくは」および「いずれかの」は排他的ではなく、「含む(includeおよびincluding)」は限定的ではない。さらに、「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、および「含む(containing)」の用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むがそれに限定されるわけではない」)として解釈される。

0029

本明細書における値の範囲の提示は、本明細書に別段の記載がない限り、その範囲内に入る各別個の値を個々に参照する代わりの簡便な方法として機能することを目的としたものにすぎず、各別個の値は、それが本明細書において個々に提示されたのと同じように、本明細書に組み込まれる。特定の値の範囲が提供されている場合は、文脈に別段の明示がない限り下限の10分の1の単位まで、その範囲の上限と下限との間の各中間値、および、その言明された範囲内の他の任意の言明値または中間値がそこに含まれるものと理解される。それより小さいすべての部分範囲もまた含まれる。これら小範囲の上限および下限もまたそこに含まれるが、言明された範囲内に具体的に除外された限界値がある場合はその対象となる。

0030

別段の定義がない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は当業者に一般に理解されているのと同じ意味を持つ。本明細書に記載のものと同様または等価である任意の方法および材料もまた用いられてよいが、以下に好ましい方法および材料を説明する。

0031

本明細書において、「1つの態様(an embodiment)」、「態様(embodiment、embodiments)」、「その態様(the embodiment、the embodiments)」、「1つまたは複数の態様」、「いくつかの態様」、「特定の態様」、「1つの態様(one embodiment)」、および「別の態様(」などの用語は、別段の明白な定めがない限り、「開示される装置および/または方法の1つまたは複数の(しかし必ずしもすべてではない)態様」を意味する。

0032

「決定する」という用語(およびその文法異形)は、きわめて広い意味で用いられる。「決定する」という用語は幅広いさまざまな行動包含し、したがって「決定する」は、計算する、コンピュータ計算する、処理する、導出する、調査する、参照する(例えば、表、データベース、または別のデータ構造を参照する)、確かめる、などを含みうる。「決定する」はまた、受け取る(例えば、情報を受け取る)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)なども含みうる。「決定する」はまた、解決する、選択する、選ぶ、確立するなども含みうる。

0033

「〜に基づく」というは、別段の明白な定めがない限り、「〜のみに基づく」を意味しない。換言すると、「〜に基づく」という句は、「〜のみに基づく」および「少なくとも〜に基づく」の両方を意味する。

0034

「例示的な」または「例」という語は、本明細書において、もっぱら「例、事例、または実例として機能する」という意味に用いられる。「例示的な」または「例」として本明細書に説明されるいかなる態様も、他の態様より好ましいかまたは有利であるとは必ずしも解釈されない。

0035

本明細書において、「ユーザー」、「患者」、または「対象」という用語は、互換可能なものとして用いられる場合があり、そしてこれらの用語は、医師のケアの下にあるか否かにかかわらず、ヒトおよび他の哺乳動物を非限定的に含む。本明細書において、「眼のスキャン」、「眼をスキャンする(scanning the eye)」、または「眼をスキャンする(scan the eyes)」という用語は、水晶体または眼に関連する他の任意の組織もしくは神経を非限定的に含む、眼の任意の部分、眼の実質的にすべて、または眼のすべてを測定することを概して参照する、互換可能な広い用語である。

0036

埋込式コンピュータサブシステムは、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)または「プロセッサ」、メモリ記憶装置ディスプレイ、および通信リンクを含んでいてもよい。CPUの1例はIntel Pentiumマイクロプロセッサである。メモリは、例えば、静的ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または動的ランダムアクセスメモリであってもよい。記憶装置は不揮発性RAMまたはディスクドライブで実現されてもよい。液晶ディスプレイは本発明のデバイスに使用されるディスプレイの種類の1例である。通信リンクは、高速シリアルリンクイーサネットリンク、またはワイヤレス(「WiFi」または「広帯域」の)通信リンクであってもよい。埋込式コンピュータサブシステムは、収集したデータから例えば疾患状態の予想などをもたらすこと、キャリブレーションメンテナンスを行うこと、キャリブレーション変換を行うこと、機器診断を実行すること、ならびに、過去の分析履歴および他の関連情報を保存することを行ってもよく、そしていくつかの態様において、データおよび新しいソフトウェア更新送受信するため遠隔ホスト通信してもよい。通信リンクは、各デバイスで行われた検査回数に基づく医療費請求に用いられてもよい。通信リンクはまた、各デバイスの故障率または誤り率を追跡するための顧客サービスに用いられてもよい。

0037

埋込式コンピュータシステムはまた、対象の予想記録および対応するスペクトルを外部データベース転送することを可能にする通信リンクも含んでいてもよい。加えて、通信リンクは、新しいソフトウェアを埋込式コンピュータにダウンロードすること、多変量キャリブレーションモデル更新すること、疾患管理を強化するための情報を対象に提供することなどに用いられてもよい。埋込式コンピュータシステムは情報家電と非常に似ている。情報家電の例としては、携帯情報端末ウェブ利用可能な携帯電話、およびハンドヘルドコンピュータなどがある。通信リンクは、各デバイスで行われた検査回数に基づく医療費請求に用いられてもよい。通信リンクはまた、各デバイスの故障率または誤り率を追跡するための顧客サービスに用いられてもよい。

0038

さらなる例示の態様において、生体顕微鏡装置が、本明細書に開示される1つまたは複数の生体顕微鏡の作動状態を自動的かつ遠隔的にモニタリングするためのシステムとともに構成されるか、これに接続されるか、またはこれと連絡していてもよく;その各々は、デバイス状態情報(例えば、使用回数、使用についての会計/請求、契約上の最小条件に対する使用についての会計/請求、ハードウェアまたはソフトウェアのエラーコード遠隔システム診断用の障害点までの記憶装置またはデータベースの作動状態、パフォーマンス回復までのキャプチャリングサービス応答時間など)を決定するためのコンピュータをその中に持ち;インタセプトして、コンピュータからの状態情報を、状態情報をキャプチャして遠隔場所に通信するためのインターフェースに渡すための、生体顕微鏡内のインターフェースと、情報をキャプチャして通信するためのインターフェースと遠隔場所との間の通信リンクと、情報を処理するための遠隔場所のコンピュータとを含む。同システムはスキャナを利用して生体顕微鏡をポーリングしてもよい。スキャナは、中央コンピュータ連携して、各生体顕微鏡のポーリングおよびモニタリングを、均一のレートで行ってもよく、中央場所でユーザーによりリクエストされたときに行ってもよく、または、選択された生体顕微鏡のリアルタイムモニタリングを提供するため、選択された生体顕微鏡をより頻繁な規則性でポーリングしそして他の生体顕微鏡のポーリングレートを低下させるように1つまたは複数の生体顕微鏡のポーリングレートを変化させてもよい。問題のトラブルシューティングのため生体顕微鏡の供給業者または製造業者顧客サービス担当者と「ライブで」通信する選択肢オペレータに与えられるよう、スキャンまたはポーリングシーケンスの結果に応じて、システムは、音声の性能を提供するように構成されていてもよい。システムは、集中式コンピューティングおよびルーティング、ならびに/または、「クラウド式の」コンピューティングもしくはストレージを利用するように構成される。

0039

「ソフトウェア」および「電子コンピュータ上で演算可能な機械可読コード」は同義であり、コンピュータの論理演算の制御に用いられるソフトウェアまたは結線命令を指す。コンピュータまたはプロセッサという用語は、電子コンピュータまたはその特定の論理演算用ハードウェアを指す。機械可読コードは、ハードディスクまたは結線式命令など、有形媒体内で具現される。

0040

システム内のプロセッサは、キーボードおよびマウス入力デバイスと、モニタスクリーン出力デバイスと、例えば眼の追跡用アセンブリもしくはデバイス、またはロボット要素など、システムのさまざまな構成要素を操作可能な状態で接続するコンピュータインターフェースとを有する、従来のマイクロコンピュータであってもよい。

0041

さらに理解されるべき点として、すべての測定値近似値であり、説明のために提供される。本開示内容実践または試験において、本明細書に説明されるものと同様または等価である方法および材料が用いられてもよいが、好適な方法および材料を以下に説明する。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参照物はその全部が参照により組み入れられる。矛盾が生じた場合は、用語の説明も含めて、本明細書が優先する。加えて、材料、方法、および/または例は実例的なものにすぎず、本発明を限定することは意図されていない。

0042

本明細書に開示される態様のいくつかの特徴は、コンピュータソフトウェア電子ハードウェア、または両者の組み合わせとして実施されてもよい。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を示すため、さまざまな構成要素は概してその機能性の点に関して説明される場合がある。そのような機能性がハードウェアまたはソフトウェアのいずれとして実施されるかは、当業者に容易に認識されうるように、具体的な用途およびシステム全体に対する設計上の制約によって異なる。当業者は、本明細書に説明する機能性を、具体的な各用途に対してさまざまなやり方で実施してもよいが、そのような実施上の判断は特許請求の範囲からの逸脱をきたすものとして解釈されるべきではない。

0043

本明細書に説明する機能性がコンピュータソフトウェアとして実施される場合、そのようなソフトウェアは、メモリデバイス内に(たとえ一時的であっても)位置設定もしくは保存されるか、かつ/または、システムバスもしくはネットワーク上の電子信号として伝送される、任意の種類のコンピュータ命令またはコンピュータ実行可能なコードもしくはアルゴリズムを含んでいてもよい。本明細書に説明する構成要素に関連する機能性を実施するソフトウェアは、単一の命令または多数の命令を含んでいてもよく、そして、複数の異なるコードセグメント、異なるプログラム、および複数のメモリデバイスにわたって分布していてもよい。

0044

本明細書において、「疾患状態の決定」は、以下の決定を含む:糖尿病の存在または確度;糖尿病の進行の程度;糖尿病の存在、確度、もしくは進行の変化;糖尿病があるか、ないか、発達中であるか、もしくは発達中でないかの確率;糖尿病の合併症の存在、不在、進行、または確度。

0045

「糖尿病(diabetes)」は、I型糖尿病、II型糖尿病妊娠糖尿病、米国糖尿病学会(American Diabetes Association(ADA) Committee Report, Diabetes Care, 2003を参照)および同様の運営団体により認められている他のタイプの糖尿病、高血糖症、空腹時グルコース異常、グルコース耐性異常、ならびに前糖尿病状態など、血中グルコース調節に関する多数の状態を含む。眼組織反射特性は、組織の固有蛍光およびレイリー散乱スペクトルの推定に有用であると見出されている検出光補正において有用である組織の任意の反射性質を含む。

0046

「血糖コントロールによる化学的変化の尺度」は、血糖コントロールによる組織の化学特性の任意の変化を意味し、例としては、眼組織中の糖化最終産物の濃度、存在の測定値、濃度の測定値、または濃度変化の測定値;そのような最終産物蓄積レートまたは蓄積レート変化の測定値などがある。

0047

「糖化最終産物の尺度」は、高血糖症と関連する眼組織の存在、時間、程度、または状態の任意の尺度を意味し、例えば以下のものを含む:組織中の糖化最終産物の存在、濃度、または濃度変化の測定値;そのような最終産物の蓄積レートまたは蓄積レート変化の測定値;組織の糖化最終産物と関連することが公知である、蛍光およびレイリー後方散乱の単独または組み合わせの存在、強度、または強度変化の尺度;ならびに、そのような信号の蓄積レートまたは蓄積レート変化の測定値。光が「単一波長」を持つものとして説明される場合、その光は、実際には複数の波長の光を含んでいてもよいが、光のエネルギーのかなりの部分は単一波長かまたは単一波長近くの波長範囲において伝えられる、と理解される。

0048

例として、検体濃度を決定するための非侵襲的なアプローチは複数存在する。これらのアプローチは幅広く異なっているが、少なくとも2つの共通する段階を有する。第一に、生物学的試料の採取を伴わずに身体から読み取り値を取得するため、装置が使われる。第二に、アルゴリズムがこの読み取り値を検体(例えばグルコース)の濃度推定値に変換する。非侵襲的な検体濃度分析器の1例として、スペクトルの収集および分析に基づく分析器がある。典型的に、非侵襲的な装置は、身体から信号またはスペクトルを取得するために何らかの形式の分光法を用いる。分光的技法は、ラマンおよび蛍光、ならびに、紫外線〜赤外線の光を用いた技法[紫外線(200〜400 nm)、可視光(400〜700 nm)、近赤外線(700〜2500 nmまたは14,286〜4000 cm-1)、および赤外線(2500〜14,285 nmまたは4000〜700 cm-1)]を含むが、それに限定されるわけではない。拡散反射モードにおいて非侵襲的に検体決定を行うための特定の範囲は、約1100〜2500 nmまたはそれ以内の範囲である。注意されるべき重要な点として、これらの技法は、分析されるサンプルがヒト身体から採取された生物学的試料ではなくインサイチューのヒト身体の一部であるという点において、前述の従来的な侵襲的技法および代替的な侵襲的技法と異なる。

0049

非侵襲的なスキャンの収集には、一般に、透過、透過反射、および/または拡散反射という3つのモードが用いられる。例えば、収集される光、スペクトル、または信号は、身体の領域を透過したか、拡散透過、拡散反射、または透過反射した光である。透過反射とは、信号の収集を、入射ポイントまたはエリア(拡散反射)では行わず、サンプルの反対側(透過)でも行わず、透過収集エリアと拡散反射収集エリアとの間の身体のどこかのポイントまたは領域で行うことを指す。例えば、透過反射光は、指先または前腕の1つの領域に入り、そして別の領域から出る。皮膚組織サンプリングに近赤外線を用いる場合、透過反射放射は典型的に、使用した波長によって異なるが入射光子から0.2〜5 mmまたはそれ以上離れて放射状に分散する。例えば、水の吸光度が最大となる1450または1950nm付近の光など、身体によって強く吸収される光は、検出されるためには小さな放射状発散において収集され、そして、水の吸光度が最小となる1300、1600、または2250 nm付近の光など、それほど吸収されない光は、入射光子からより大きな放射状距離または透過反射距離で収集されてもよい。

0050

本明細書に説明する例示の態様は、各々の開示内容の全体(文書による説明および図面)が参照により本明細書に組み入れられる以下の特許に開示されている、(前述のAccu-Chek D-Tectorの設計を描写したものとされている)1つまたは複数の方法および装置に対する改善である。

0051

Samuelsの米国特許第5,203,328号「Apparatus And MethodsFor Quantitatively Measuring Molecular Changes In The Ocular Lens」。この特許は、患者に糖尿病があるか否かを決定するための装置および方法を開示している。同システムおよび方法は、糖尿病であることを示す、患者の眼の特徴を測定する。具体的には、同システムおよび方法は、患者の眼の眼組織を照射して、励起光に反応して眼組織により生成された後方散乱光および蛍光放射を測定する。次に、後方散乱光および蛍光の特定波長の強度を用いて、患者に糖尿病があるか否かが決定される。

0052

米国特許第5,582,168号「Apparatus And MethodsFor Measuring Characteristics Of Biological Tissues And Similar Materials」。この特許は、2つまたはそれ以上の測定技法を組み合わせて、生体組織および同様の材料の特徴を測定することにより、より正確で最終的な決定に至るための装置および方法を例示している。これらの装置および方法はヒトの眼の測定に関して説明されている。加えて、同特許に説明されている補正の方法論は、弾性散乱された励起光の測定を伴ったものである。Samuelsは単純な線形補正の技法を説明している。

0053

米国特許第6,088,606号「Method and apparatus for determining a duration of a medical condition」。この特許は、医学的状態持続期間を決定するシステムおよび方法、ならびに、疾患の持続期間の決定に関する方法を開示しているが、それらは、疾患の存在について診断もしくはスクリーニングを行うこと、または指定の化学検体の濃度を定量することを目的としたものではない。

0054

米国特許第4,895,159号「Diabetes Detection Method」および米国特許第4,883,351号「Apparatus for the Detection of Diabetes and Other Abnormalities Affecting the Lens of the Eye」。それぞれ、後方散乱光のみを用いて糖尿病の存在を検出するためのシステムおよび方法を開示している。

実施例

0055

図1に眼10の側面図を示す。眼10は、角膜11、虹彩12、瞳孔14、水晶体15、網膜16、および視神経17を含む。光は、瞳孔14を通って眼に入り、角膜11および水晶体15によって集束および反転され、そして眼の後方で網膜16上に投射される。虹彩12は、瞳孔14を介して眼に入る光の量を調節するために開くかまたは閉じることができるシャッターとして作用する。

0056

眼10は視神経頭部に対する4つの象限からなる:(a)頭蓋側頭に向かう象限からなる耳側部、(b)視神経頭部の上方の象限からなる上眼部、(c)に向かう象限からなる鼻側部、および(d)視神経頭部の下方の象限からなる下眼部。1つの局面において、眼の構造的特徴に関するデータを生成するため、水晶体の特定の1つまたは複数の象限、すなわち耳側部、上眼部、鼻側部、および/または下眼部の測定結果が収集/使用されてもよい。換言すると、対象の眼の水晶体内のAGEを光学的に検出するための方法例において、対象の眼は固視点に曝露されてもよい。対象の眼を励起光源に曝露する段階は、対象の眼の望ましい部分に励起光をさし向ける段階を含んでいてもよい。対象の眼の望ましい部分に励起光をさし向ける段階は、水晶体の鼻側部、耳側部、上眼部、または下眼部に励起光をさし向ける段階を含んでいてもよい。同段階はまた、例えば非限定的に網膜、硝子体冠部などである、眼の他の部分または組織に励起光をさし向ける段階を含んでいてもよい。

0057

1つの例示の態様において、眼科医、検眼士、および日常的な眼の検査について訓練を受けた他の医療従事者による使用のため、眼の水晶体の構造的性質に影響を及ぼす疾患の診断を補助するように構成された水晶体用の蛍光生体顕微鏡が提供される。同機器は、光電子ユニットと、データ取得および処理用コンピュータシステムとを含む。

0058

図2〜図5Aは、光学系を有する生体顕微鏡の事例のための例示の態様の、それぞれ斜視図、上面図、および側面図であり、この光学系は、青色LED照射光源と、水晶体にわたって測定体積をスキャンする能力を備えた照射および収集用の共焦点光学系と、分析用フィルタと、水晶体の自己蛍光およびサンプリング領域からの散乱光の両方を測定する検出器とを含む。加えて、患者の自己アライメントを補助するため赤色点同心リング内に位置決めされた赤色点滅LEDターゲット固視灯と、眼を照射するための3つのIRLED灯と、ビデオカメラとがある。具体的には、光学系ユニットの構成要素は以下を含む:
1. 生体顕微鏡の光源。
a. 青色(例えば465 nm)LED励起光
b.アパーチャ
c.帯域通過フィルタ(430〜470 nm)
2. 生体顕微鏡の集束用光学系
a.光源用レンズ
b. IRブロッキングフィルタつきの収集用レンズ
3. 生体顕微鏡の光検出器。
a.前値増幅器と、Peltier冷却素子と、電源とを備えたシリコン光電子増倍管
b.表面鏡
c. 25%ニュートラルデンシティフィルタロングパス(500〜1650 nm)フィルタとを備えたステッパモータ駆動式フィルタホイール
4.位置決め用の光学系。
a. 赤色点滅LED—LED固視チューブ(図3および図4において太線で強調されている)の管腔によって提供される赤色点滅同心リングの中に見られる固視灯
b.カメラ照射用の3つのIR LED灯
c.瞳孔を位置決めするためのIR感受性CCDビデオカメラ
5.始動時の自己テスト手順中に光路内に位置決めされてもよい、蛍光参照ターゲット

0059

1つの例示の態様において、患者の眼の瞳孔を位置決めするための自動追跡プログラムが提供される。オペレータ(例えば医療従事者または助手)は、コンピュータスクリーン上で対象の眼に焦点が合うように対象の眼を位置決めし、そしてシステムは測定が行われる前に光軸を自動的にアライメントする。スクリーン上で瞳孔を囲む円形の中に放射状の線が現れ、そして瞳孔内により小さな円形が現れるので、オペレータは、瞳孔追跡システムによって眼が追跡されていることがわかる。まばたきを減らすため、患者は(角膜を涙膜で濡らすため)眼を閉じそして開けるように指示され、そしてオペレータはスタートアイコンクリックしてスキャンを開始する。青色光の収束励起ビームを得るため青色LED光源が集束され、このビームは、最初、水晶体後のすぐ後ろに位置決めされる。スキャンされる直径1 mm、長さ3 mmの測定体積内に、収集用の光学系が共焦点的にアライメントされる。添付の図面は、本明細書に記載されているさまざまなビューおよび特徴を呈示または同定する例示の態様を示したものである。

0060

1つの例示的態様において、主要な機能的構成要素は、光学ユニット、および、任意の好適なオペレーティングシステムを実行するラップトップ式のパーソナルコンピュータである。患者に接触する唯一の構成要素は添付の斜視図に示されており、それはすなわち、手動調整可能なヘッドレスト(中/外)およびモータ式の調整可能な顎当て(上/下)である。モータ式の調整可能な光学系ウィンドウ(右/左の動き)は患者に接触しない。

0061

1つの例示の態様は、作動時、青色光の集束ビームを患者の水晶体上に投射し、そして水晶体からの自己蛍光の緑色光を非侵襲的にに測定するように構成される。水晶体による青色光の吸収の効果について測定結果を調整するため、この例示の蛍光生体顕微鏡は、散乱した青色光を測定して、自己蛍光と散乱光との比(「蛍光比」)を計算するように構成される。医師は、患者の蛍光比を、その患者の年齢についての蛍光比の予測範囲と比較してもよい。医師は、蛍光比が予測より有意に高い患者を同定することにより、水晶体に変性的な構造的変化の徴候がある患者を同定し、日常的な眼の検査で収集された他のデータとの関連により慢性的全身疾患の潜在的リスクを同定し、そして適切な患者管理計画を立てることができる。

0062

例示的なシステムおよび方法において、眼の水晶体が励起光で照射され、そして、励起光に反応して水晶体組織が生成した蛍光放出が検出される。蛍光放出の強度または蛍光の寿命など、蛍光放出の異なる特性が決定されもよい。検出された蛍光放出の、決定された特性は、次に、蛍光放出の予測特性と比較される。検出された蛍光特性が予測蛍光特性からどの程度逸脱しているかという量は、患者が医学的状態にある持続期間を決定するのに用いられる。いくつかの場合において、励起光の後方散乱分もまた決定を行うのに用いられてもよい。対象の眼の水晶体内のAGE強度を測定することはさらなる恩典を提供する可能性がある。例えば、複数回の測定が経時的になされる場合は、これらの測定を用いて、食事介入ストラテジー、栄養補充、薬物、喫煙など外的な酸化ストレス要因、および/または他の要因に対する対象の反応をモニタリングしてもよい。加えて、対象の水晶体のAGEの強度または重症度を測定することは、大きな対象母集団においてAGEと疾患との相関を調べるための研究ツールを提供する可能性がある。

0063

1つの例示の態様において、患者は、ヘッドレストノブを介して調整可能であるヘッドレスト上に額が中心合わせされるように位置決めされる。患者の眼は、3つの近赤外線880 nmLED灯によって照射され、そしてIR感受性CCDビデオカメラによって観察される。患者のアライメントについてオペレータを補助するため、眼の画像がコンピュータスクリーンに表示される。コンピュータスクリーン上で見ることができるカメラ画像において患者の眼に焦点が合うよう、ヘッドレストは、患者の眼の角膜面を光学系ウィンドウに近づけるように手動で調整できるよう構成される。患者は、赤色点滅LED固視灯とそれを囲む赤色点滅同心リングとを中心合わせすることによって自己アライメントするよう指示される。固視ターゲットが適切に位置決めされた状態で患者が快適に座ることができるよう、オペレータは、コンピュータインターフェースを用いて、顎当ての垂直位置および光学系ウィンドウの水平位置を調整してもよい。オペレータは、ステッパモータを制御するコンピュータスクリーン上の矢印アイコンをクリックすることによって光学系ウィンドウおよび顎当てを調整する。

0064

さらなる例示的態様において、ターゲットが瞳孔内で中心合わせされかつ虹彩に焦点が合うまで顎当て、ヘッドレスト、および光軸を動かすことによって、光路が対象の眼にアライメントされる。適切な焦点合わせは、オペレータ(医療従事者)が観察するIRカメラによって決定される。眼を安定させかつ調節機能リラックスさせるため、患者はターゲットを固視する。スキャン中、ターゲットは視認可能な状態に保たれる。

0065

コンピュータは、瞳孔を位置決めするための自動追跡プログラムを制御するソフトウェアを含むように構成される。オペレータは、スクリーン上で患者の眼に焦点が合うように患者の眼を位置決めし、そしてシステムは測定が行われる前に光軸を自動的にアライメントする。患者の眼が追跡される際に、コンピュータスクリーン上で瞳孔を囲むアライメント用円形の中に放射状の線が現れ、そして瞳孔内により小さな円形が現れる。次に、まばたきを減らすため、患者は(角膜を涙膜で濡らすため)眼を閉じそして開けるように指示され、そしてオペレータはスタートアイコンをクリックしてスキャンを開始する。青色光の収束励起ビームを得るため青色LED光源が集束され、このビームは、最初、水晶体後嚢のすぐ後ろに位置決めされる。0.31 mm刻みで水晶体を通ってスキャンされる直径1 mm、長さ3 mmの測定体積内に、収集用の光学系が共焦点的にアライメントされる。眼の中で、青色光は、水晶体のタンパク質(AGEなど)との弾性相互作用(レイリー散乱)および非弾性相互作用(蛍光)によって散乱される。

0066

検出経路において、フィルタが、位置決め用の赤外線LEDから赤色光および赤外線を排除する。回転するフィルタホイールが、ビームを、青緑色(主としてレイリー散乱)および緑色(蛍光)のセグメントに交互にチョッピングする。この交互の散乱光および蛍光は、高感度のシリコン光電子増倍管上に焦点合わせされ、そして信号が光学系制御基板上のA/Dコンバータに送られ、それからコンピュータに送られる。

0067

ソフトウェア制御下にて、光源および検出器の焦点にある測定体積は、水晶体後嚢のすぐ後ろから、水晶体を通り、水晶体前嚢を通って眼房までスキャンされ、それからまた戻る。コンピュータソフトウェアは、この往復スキャンの間の散乱光および蛍光を両方とも記録してそれぞれのグラフ構築し、これらのグラフはコンピュータモニタに表示される。ソフトウェアはグラフ上で水晶体嚢の前面および後面を検出し、水晶体の見かけ上の厚さを推定し、そして水晶体の中心部における水晶体の自己蛍光と散乱光との比の平均値を計算する。ソフトウェアは、水晶体の見かけ上の厚さが生理学的な範囲内にあることをチェックする。ソフトウェアはまた、まばたきなど、不正確な測定の原因になりうるスキャン中の異常、または2回のスキャン間の過剰な差異も検出する。有効なスキャンについて、蛍光比が報告される;そうでなく、異常なスキャンについては、コンピュータモニタ上にエラーコードが報告され、蛍光比は報告されない。エラーコードの場合、医師は眼を再スキャンしてもよい。スキャンが有効である場合は、ソフトウェアがレポートを作成してそれはスクリーンに表示され、このレポートは患者用および/または患者ファイル用に印刷されてもよい。スキャンデータはまた、コンピュータのハードディスクに自動的に保存もされる。

0068

この例示の態様には、Accu-Chek D-Tectorの別の欠点に対処する有利な固視ターゲットシステム構成があり、その短所とはすなわち、使用中に、患者が着座し、そして患者は、提供されている静止式ヘッドレスト上に額を位置決めしそしてその中に置かれた視覚的固視ターゲットを見るように求められることである。患者/システム相互作用が関係する限りにおいて、処置中の患者の眼の随意運動または不随意運動は、いかなる動きであれ、検出の正確性に関する眼のアライメントを大幅に変更させる可能性がある。したがって、検査中に患者が眼を静止状態に保つことが必要である。固視ターゲットシステムの目的は、狭い限界内の望ましい目視線に沿って患者が見るようにすること、および、機器のカメラから見たときに眼の場所を良好に規定できるようにすることである。このことは、患者の眼が上方向および鼻方向の望ましい角度に回転するように視覚的固視ターゲットを患者に呈示することによって行われる。視覚的固視ターゲットは、患者がターゲットを固視することを促す。眼からの鏡面反射が蛍光測定に影響を及ぼさないようにするため、患者の目視線の光軸は上方に約15度および内方に約15度ずらされる。

0069

最初は、光軸が眼に十分アライメントしていないので、ターゲットは患者に見えない可能性もある。オペレータは、コンピュータスクリーンに表示された患者の眼を観察しながら、コンピュータスクリーン上の押しボタンコントロールを調整することによって、観察用および照射用の光学系を眼の中心領域に合わせる。Accu-Chek D-Tectorでは、患者は、直径4 mmのアパーチャを通して観察される、約150 mmの距離に置かれた直径0.5 mmの赤色LEDターゲットを固視する。LEDターゲットを見るのにすら狭い角度の正確性が必要であるため、患者は典型的に、アパーチャおよびLEDターゲットの位置を見出すのに苦労する。というのも、患者は本質的に、ストローの近端すら見えていないのにストローを通してLEDターゲットを見るように求められ、かつ、アライメントを得るために頭をどこに動かせばよいかおよびどこを見ればよいかという視覚的手がかりもないという状態だからである。水晶体の視軸に沿って眼がスキャンされる際に、水晶体前嚢および後嚢の境界が自動的に見出される。水晶体の前面および後面の位置が特定できたら、システムは次に、蛍光データを記録するポイントを選択しながら水晶体の視軸に沿ってスキャンを行う。

0070

より正確な測定結果を提供する可能性がある別の例示の態様では、さまざまな因子に対処するため、後方散乱した励起光を用いて蛍光の強度が正規化される。そのような因子には、患者の年齢または身体状態によって変化する可能性がある、標的組織不透明度のばらつきが含まれうる。そのようなシステムにおいて、検出器は、標的組織により生成された蛍光の強度、および患者の眼から後方散乱した励起光の強度を決定することができる。蛍光は通常、後方散乱した励起用放射と波長が異なるので、検出器は、標的組織から戻ってきた光の強度を励起光および蛍光のそれぞれ異なる波長で検出するように構成されていてもよい。次に、蛍光強度と後方散乱した励起光の強度との比が決定され、それにより蛍光成分のピーク強度が正規化される。次に、患者が医学的状態にある持続期間を決定するため、正規化後の蛍光強度が、予測される正規化後の蛍光強度と比較される。

0071

標的組織(例えば患者の眼の水晶体)の不透明度または透過率は、標的組織に実際に送達される励起光の量および標的組織を脱して検出器により検出される蛍光の量に影響を及ぼす可能性がある。後方散乱光による蛍光の正規化は、標的組織に実際に送達される励起光エネルギーの量のばらつきおよび蛍光の生成後に患者の眼を脱する蛍光の量のばらつきに自動的に対処する蛍光の尺度を作り出す。標的組織から戻ってきた蛍光の強度が正規化される特定の例示の態様において、後方散乱した励起光のレイリー成分が正規化に用いられる。

0072

あるいは、蛍光成分のみを測定して、後方散乱信号の測定または後方散乱信号による正規化は行わず、これによってフィルタホイールの必要性をなくすように構成された、より単純な態様が構築されてもよい。この構成については、LED強度の経時的な変動のため、デバイス内に参照用の検出器またはキャリブレーションターゲットが必要になる可能性がある。励起用パルスから特定の時間/遅延(典型的には1〜10 ns)後に蛍光が測定されてもよく、このことにより帯域通過フィルタの必要性がなくなり、検出器測定上の遅延のみとなる。さらに、蛍光信号と散乱信号とを分離して別々の検出器で測定するため、フィルタホイールの代わりに二色ビームスプリッタのアレンジメントが用いられてもよく、これによりスペースを節約してもよい。

0073

ヒト水晶体内で作り出されるサンプル体積のサイズを制御するため、励起および収集用の光学系にアパーチャが用いられてもよい。サンプル体積は、光子の数および測定のSNRを増大させるために最大にされるべきであるが、ヒト水晶体(厚さ3〜5 mm)より大きくなるべきではない。

0074

瞳孔を追跡するための運動制御の必要性は、アイカップまたは額当てなどの好適な手段を用いて対象上で安定化される手持ち式の構成によって、なくなる可能性がある。使用時、オペレータがビデオターゲットを瞳孔上に手動で位置決めする。光学要素機械的振動(例えばボイスコイルピエゾモーションステージなど)を用いてヒト水晶体を連続的または個別にスキャンするように構成され、そして、各スキャンを分析して、良好なスキャンが得られたときにオペレータに知らせるという性能を提供する。励起用、収集用、およびビデオ用の軸は同じレンズを共用するように組み合わせられてもよく、このレンズはより容易にスキャンできる可能性がある。

0075

さらなる態様において、サンプル体積のスキャンに機械的運動を必要としないよう、サンプル体積のアレイを形成するようにLEDと検出器とのペアのアレイが構成されていてもよい。これにより、最適なサンプル体積は、所与のLED/検出器ペアから選択されてもよい。

0076

さらに、眼組織を客観的に評価するため、例えば共焦点光ビームが交差する場所などである「測定体積」からレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号を検出するように構成された、可搬式で、手持ち式で、強固で、費用対効果が高く、非侵襲的で、かつ迅速な、画像に基づく方法またはデバイスを有することは望ましいと考えられる。そのような方法またはデバイスは、前糖尿病状態の最初期の存在を迅速、高感度、かつ非侵襲的に検出または診断するため、生物学的レベル、生化学レベル、および細胞レベルにおける変化を検出する。本明細書に説明するそのような可搬式の方法、デバイス、または機器は商業的な可能性を有するであろう。

0077

どの波長を光源に用いるか、および、記録されたスペクトルのどの部分を蛍光反応の測定に用いるかが決定されれば、同じ測定を行うことができる、はるかに単純な専用システムを設計することが可能となる。このことは、カスタム光学系を用いて光の送達および収集の両方を行うことによって達成され、それは、例えば光学フィルタおよび二色ビームスプリッタの好適な構成などを通って離散的な光検出器に至る直接的な光路を実現する。ファイバ連結された分光器およびダイオードアレイと比較して、光学効率が数倍のオーダーで増大する可能性がある。

0078

さらなる例示的態様において、可搬式(手持ち式)デバイスは一般に以下の特徴を含んでいてもよい:(i)1つまたは複数の励起/照射光源、ならびに(ii)1つもしくは複数の光学発光フィルタまたはスペクトルフィルタリング機構と組み合わせられていてもよく、かつ、閲覧/コントロール用スクリーン(例えば接触感知式スクリーン)、画像取得およびズームコントロールを有していてもよい、検出器デバイス(例えば、デジタル撮像用検出器デバイス、または、共焦点ビームが交差する場所である「測定体積」からのレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号の検出)。同デバイスは以下もまた有していてもよい:(iii)ワイヤ式および/もしくはワイヤレス式データ転送ポートモジュール、(iv)電源およびパワーコントロールスイッチ、ならびに/または、(v)コンパクトかつ/もしくは軽量であってもよく、かつ、検出器デバイスを取り付けるための機構および/もしくはハンドルグリップを有していてもよい、エンクロージャオンボードバッテリーと、ワイヤを介するかまたは非ワイヤ式の再充電可能なAC/DCとを伴って、充電用ベースユニット近位に接続される。励起/照射光源は、非限定的に約430〜約470 nmなどである任意の好適な波長で(前述のように)光を放出するLEDアレイであってもよく、かつ、それ自体の光学フィルタを備えた撮像用検出器内に光のリークが生じないよう、LEDアレイ出力から出た光の側波帯を除去/最少化するための追加の帯域通過フィルタに連結されていてもよい。デジタル撮像用検出器デバイスは、例えば感度が少なくともISO800であるがより好ましくは感度がISO3200であるデジタルカメラであってもよく、かつ、1つまたは複数の光学発光フィルタまたは他の同等に有効な(例えば小型化された)機械化スペクトルフィルタリング機構(例えば音響光学チューナブルフィルタまたは液晶チューナブルフィルタ)と組み合わせられていてもよい。デジタル撮像用検出器デバイスは、接触感知式の閲覧用および/またはコントロール用スクリーン、画像取得およびズームコントロールを有していてもよい。エンクロージャは、必要なすべてのデバイスコントロールがユーザにより容易にアクセスおよび操作できるようにボタンを備えた、デジタル撮像用検出器デバイスを封入する外側の硬質プラスチック製またはポリマーシェルであってもよい。必要であれば余分な熱を励起光源から除去できるよう、小型のヒートシンクもしくは小さな機械的ファン、または他の熱放散用デバイスがデバイスに埋め込まれていてもよい。すべてのアクセサリーおよびアタッチメントを含む完全なデバイスは、標準的なAC/DC電源を用いるかかつ/または再充電可能なバッテリーパックによって電源供給されてもよい。完全なデバイスはまた、手を使わないデバイス操作によって診療室内でデバイスが移動できるよう、外部の機械的装置(例えば、三脚台、またはピボット式アームを供えた可動式スタンド)に取り付けまたはマウントされていてもよい。あるいは、デバイスが可搬式となるように、可動式フレームがデバイスに提供されていてもよい。デバイスは、水で濡らした湿潤ガーゼクリーニングされてもよく、一方、ハンドルは、アルコールで濡らした湿潤ガーゼでクリーニングされてもよくかつ任意の好適な抗菌性硬質プラスチックで作られていてもよい。デバイスは、ユーザーがデバイスをコントロールすることを可能にするソフトウェアを含んでいてもよく、そのようなコントロールとしては、撮像パラメータのコントロール;画像および蛍光ならびにレイリー散乱を1つの客観的な値として可視化すること;画像データまたは測定値およびユーザー情報の保存;画像および/もしくは関連データ、ならびに/または関連画像分析(例えば診断用アルゴリズム)の転送;ならびに、共焦点ビームが交差する場所である「測定体積」からのレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号の検出などがある。

0079

検出効率の増大に伴って、これに対応するように光源強度が低減されてもよく、この低減は、十分な光学パワーを提供できる適切な光学系および光学フィルタとともに低パワーの短いアークランプを採用することによって行われる。他の好適な光源としては、周波数2倍化デバイスに連結されたレーザーダイオード、青色LED、および、フィルタリングされた専用の白熱ランプなどがある。検出器から鏡面反射を除外するため、送り側および受け側の両方の光学系について偏光フィルタの使用が提案される。加えて、検出および処理に関連する電子系は、検出器とともに用いられる2つのアナログプリアンプと、オンボード式アナログ−デジタル(A/D)変換を装備したシングルチップマイクロコントローラとを含む。内蔵式のファームウェアが測定事象を通してオペレータを誘導し、そして次に、処理された測定情報システム自体デジタルディスプレイに表示するか、またはこのデータを例えばシリアルインターフェースなどを介してコンピュータに記録する。

0080

蛍光に基づくモニタリングのためのデバイスおよび方法が開示され、いくつかの局面において、同デバイスは、生化学物質および/または有機物質リアルタイムかつ非侵襲的に撮像するための光学(例えば蛍光および/または反射)デバイスを含む。このデバイスは、コンパクト、可搬性、かつ/または手持ち式であってもよく、そして、高分解能かつ/または高コントラストの画像を提供してもよい。この撮像デバイスは、眼領域の貴重生物学的情報を迅速かつ簡便に医師/医療従事者に提供してもよい。デバイスはまた、スワブ生検サンプル画像ガイド下収集、ならびに、外因性分子バイオマーカーでターゲット化および活性化した光学特性(例えば、吸収、散乱、蛍光、反射)の撮像を容易にしてもよく、薬物相互作用および治療遵守を測定するため蛍光標識した治療用薬剤、または造影剤インビボもしくはエクスビボのいずれかで検出できてもよく、そして、糖尿病管理における適応的介入への治療反応縦方向モニタリングを許容してもよい。デバイスは、専用の画像分析および診断アルゴリズムとともにワイヤレス性能を採用することにより、医療専門家への遠隔アクセスのためテレディシン(例えばE-health)のインフラストラクチャシームレスに統合されてもよい。そのようなデバイスは糖尿病または眼のケア以外の用途もまた有していてもよく、そのような用途としては、癌の早期検出、新興の光線力学療法のモニタリング、幹細胞の検出およびモニタリング、皮膚科クリニックおよび美容クリニックにおける機器としての用途などがあり、さらに他の用途もある。

0081

いくつかの局面において、蛍光に基づく撮像、共焦点ビームが交差する場所である「測定体積」からのレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号の検出、およびターゲットのモニタリングを行うためのデバイスであって、以下を含むデバイスが提供される:ターゲットを照射するための光であって、ターゲットと関連する少なくとも1つのバイオマーカーに蛍光を生じさせる少なくとも1つの波長または波長帯を含む光を放出する光源;および、蛍光を検出するための光検出器。他の局面において、蛍光に基づく撮像およびターゲットのモニタリングを行うためのキットであって、以下を含むキットが提供される:前述のようなデバイス;および、デバイスによって検出される蛍光波長または波長帯でターゲットにおけるバイオマーカーを標識するための蛍光造影剤。さらに他の局面において、蛍光に基づく撮像およびターゲットのモニタリングを行うための方法であって、以下の段階を含む方法が提供される:少なくとも1つのバイオマーカーに蛍光を生じさせる少なくとも1つの波長または波長帯の光を放出する光源でターゲットを照射する段階;および、画像検出器で少なくとも1つのバイオマーカーの蛍光を検出する段階。

0082

本発明の装置の1つの例示の態様は、可搬式の光学デジタル撮像デバイスである。同デバイスは白色光、眼組織蛍光、および反射撮像の組み合わせを利用してもよく、そしてリアルタイム評価、記録/文書化、モニタリング、および/またはケアマネジメントを提供してもよい。デバイスは、手持ち式、コンパクト、および/または軽量であってもよい。このデバイスおよび方法はヒトおよび動物の眼組織のモニタリングに好適であってもよい。非限定的に、同デバイスは、AC/DC電源、コンパクトなバッテリーバンク、または再充電可能なバッテリーパックなどの電源を含んでいてもよい。あるいは、デバイスは外部電源に接続するよう適合していてもよい。デバイスは、事分野の用途で生じる落下および衝撃の損耗に対応するため、硬化されるかまたは好適な緩衝性の特徴を含んでいてもよい。

0083

共焦点ビームが交差する場所である「測定体積」からのレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号をデジタル撮像および検出する例示的なデバイスのすべての構成要素は、片手または両手で快適に保持することを可能にするハンドルを備えた経済的設計の封入構造など、単一の構造に統合されていてもよい。デバイスはまた、ハンドルなしで提供されていてもよい。デバイスは、軽量かつ可搬式であってもよく、そして、青色光もしくは白色光、蛍光、および/または反射の撮像モードを用いて、任意のターゲット表面の、共焦点ビームが交差する場所である「測定体積」からのレイリーまたはラマン散乱を伴う蛍光信号を、(例えば静止および/またはビデオで)リアルタイムにデジタル撮像および検出することを可能にしてもよい。

0084

デバイスは、眼組織表面からさまざまな距離で保持されることによって、撮像するために眼組織表面をスキャンしてもよく、そして、白色光または青色光の反射/蛍光を撮像するため、照射された環境/部屋で用いられてもよい。デバイスは、組織蛍光信号を最適化しかつ環境光からの背景信号を最少にするため、薄暗いかまたは暗い環境/部屋で用いられてもよい。デバイスは、眼組織(例えば眼の水晶体)および周囲組織(例えば網膜、硝子体など)の直接的な(例えば裸眼による)視認または間接的な(例えばデジタル撮像デバイスの閲覧スクリーンを介する)視認に用いられてもよい。デバイスは、すべての構成要素を1つのエンティティに収容するかまたは手術用顕微鏡もしくは自動屈折計など別のデバイスに統合されるモジュラーユニットとして収容する好適なハウジングを有していてもよい。ハウジングは、任意のデジタル撮像デバイスをその中に固定する手段を装備していてもよい。ハウジングは、手持ち式、コンパクト、および/または可搬式となるように設計されていてもよい。ハウジングは1つまたは複数のエンクロージャであってもよい。

0085

以下に、蛍光に基づくモニタリングのための手持ち式可搬式デバイスの事例を説明する。すべての事例は例示の目的のみて提供されるのであり、本発明を限定する意図はない。事例において説明される、波長、寸法、およびインキュベーション時間などのパラメータは、およその値であり、例としてのみ提供される。

0086

この例示的態様において、デバイスは、紫色/青色光(例えば430〜470 nm +/-10 に及ぶ発光、狭い発光スペクトル)のLEDアレイ2個を使用し、これらLEDはそれぞれ、励起光源または照射光源として撮像検出器アセンブリのいずれかの側部に位置する。これらのアレイは、それぞれ、70度の照射ビーム角度で2.5 x 2.5 cm2から発する約1ワットの出力を有する。LEDアレイは約10 cmの距離から眼組織表面を照射するのに用いられてもよく、このことは、組織表面の総光学パワー密度が約0.08 W/cm2であることを意味する。このような低いパワーにおいて、励起光によって眼に生じうる損傷は知られていない。

0087

1つまたは複数の光源は、照射角度および撮像表面上のスポットサイズを変化させるため、例えば内蔵のピボットを用いるなどして(例えば手動で)関節接続されていてもよく、そして、例えば壁付きコンセントおよび/または別個の可搬式再充電可能バッテリーパックへの電気的接続を介するなどして電源供給される。励起光/照射光は、リングもしくはアレイ形式を含む任意のアレンジメントになっている個別もしくは複数の発光ダイオード(LED)、波長フィルタリングされた電球、またはレーザーを非限定的に含む光源によってもたらされてもよい。紫外線(UV)、可視光(VIS)、遠赤外線、近赤外線(NIR)、および赤外線(IR)の範囲内に特有波長特性がある、選択された単一または複数の励起/照射光源もまた用いられてもよく、そしてその光源は、さまざまな幾何学的配置にアレンジされたLEDアレイ、有機LED、レーザーダイオード、またはフィルタリングされた光で構成されていてもよい。励起/照射光源は、デバイスから発する光の強度を撮像中に調整することを可能にするため、「チューニング」されてもよい。光の強度は可変であってもよい。LEDアレイは、その作動中に生じる熱を除去するため、個別の冷却ファンまたはヒートシンクに取り付けられていてもよい。LEDアレイは任意の好適な波長または複数の波長の光を放出してもよく、その光は、放出された光が検出器の光学系に「リーク」することを低減するため、任意の好適な市販の帯域通過フィルタ(Chroma Technology Corp, Rockingham,VT, USA)を用いてスペクトル的にフィルタリングされてもよい。撮像対象の眼組織の近傍にデバイスが保持されているとき、照射光源は、狭帯域幅または広帯域幅の紫色/青色波長もしくは他の波長または波長帯の光を眼組織表面に対して照らし、これによって平坦かつ均一なフィールド関心領域内にもたらしてもよい。光はまた、特定の浅い深度まで組織を照射または励起してもよい。この励起/照射光は、正常組織または疾患組織と相互作用し、そして、組織中で光学信号(例えば、吸収、蛍光、および/または反射)が生成される可能性がある。

0088

本発明の撮像デバイスは、励起波長および発光波長を適宜変更することによって、観察される眼組織構造内の表面および特定の深度における眼組織成分(例えば、水晶体、網膜など)を調べてもよい。例えば、紫色/青色(約400〜500nm に及ぶ)から緑色(約500〜540 nm に及ぶ)の波長の光に変更することにより、より深い組織の蛍光源の励起を実現できる可能性がある。同様に、より長い波長を検出することによって蛍光放出が検出されてもよい。医学的状態の評価については、例えば前糖尿病状態の検出、および可能性としてではあるがその同定において、眼組織表面の蛍光を調べる能力が有用である可能性がある。

0089

さらなる例示の態様において、本発明のデバイスは、画像取得デバイスとして、任意の標準的なコンパクトデジタル撮像デバイス(例えば、電荷結合素子(CCD)または相補形金属酸化膜半導体(CMOS)センサー)とともに用いられてもよい。a)に示されている例示のデバイスは、外部電源と、撮像対象の物体/表面を照射するための2つのLEDアレイと、市販のデジタルカメラとを持ち、この市販のデジタルカメラは、オペレータのわずかな動きを打ち消してターゲットを取得するための安定化された光学系を備え、撮像用の便利なハンドルを装備した軽量金属フレームにしっかり固定されている。撮像される物体/表面から発した、検出される光学信号の波長フィルタリングを可能にするため、デジタルカメラの前に多帯域フィルタが保持される。カメラのビデオ/USB出力ケーブルは、撮像データを保存および後の分析のためコンピュータに転送することを可能にする。この例示の態様は、市販の8.1メガピクセルSonyデジタルカメラ(Sony CybershotDSC-T200 Digital Camera、Sony Corporation、North America)を用いる。このカメラは以下の点で好適である可能性がある:i)エンクロージャフレームに容易に統合されうるスリムな垂直方向の設計である、ii)容易なコントロールに役立つ大型の3.5インチワイドスクリーンタッチパネルLCDである、iii)Carl Zeiss製の5x光学ズームレンズである、および、iv)低照射で使用できる(例えばISO 3200)。本発明のデバイスは、標準的な白色光撮像(例えば、音声記録出力を伴う高精細度静止画またはビデオ撮像)を可能にする内蔵式のフラッシュを有していてもよい。カメラのインターフェースポートは、ワイヤ式(例えばUSB)およびワイヤレス(例えばBluetooth、WiFi、および同様のモダリティ)の両方のデータ転送、または、さまざまな外部デバイスに対するサードパーティアドオンモジュールサポートしていてもよく、そのような外部デバイスとしては、ヘッドマウントディスプレイ外部プリンタタブレットコンピュータラップトップコンピュータパーソナルデスクトップコンピュータ、遠隔サイト/他のデバイスへの撮像データの転送を可能にするためのワイヤレスデバイス汎地球測位システム(GPS)デバイス、外部メモリの使用を可能にするデバイス、およびマイクロフォンなどがある。デジタルカメラは、再充電可能なバッテリーまたはAC/DC電源から電源供給される。デジタル撮像デバイスとしては非限定的に以下のものなどがある:デジタルカメラ;ウェブカム;デジタルSLRカメラ;カムコーダビデオレコーダデジタルカメラ内蔵の携帯電話;スマートフォン商標);携帯情報端末(PDA);および、デジタル撮像検出器/センサーを含むかまたはこれに接続された、ラップトップコンピュータ/タブレットPC、またはパーソナルデスクトップコンピュータ。

0090

励起/照射光源によって生じたこの光信号は、励起光は除去するが組織から放出された光の選択波長は検出可能にする光学フィルタ(例えば、Chroma Technology Corp, Rockingham,VT, USAから入手可能であるもの)を用いて、撮像デバイスにより検出されてもよく、これにより、蛍光信号かまたはディスプレイ上のトレースの形態による画像または信号を形成してもよい。デジタルカメラのレンズの前でエンクロージャフレームに取り付けられた光学フィルタホルダーがあり、このホルダーは、異なる離散的なスペクトル帯域幅を備えた1つまたは複数の光学フィルタを収容してもよい。これらの帯域通過フィルタは、所望の光の波長に基づいて眼組織表面から特定の光学信号を選択的に検出するように選択されそしてデジタルカメラのレンズの前にアライメントされてもよい。検出された光学信号(例えば、吸収、蛍光、および反射)のスペクトルフィルタリングはまた、例えば、液晶チューナブルフィルタか、または電子的にチューニング可能な固体状態スペクトル帯域通過フィルタである音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)を用いるなどして、実現されてもよい。スペクトルフィルタリングはまた、連続可変フィルタおよび/または手動式帯域通過光学フィルタの使用を伴っていてもよい。これらのデバイスは、マルチスペクトル式、ハイパースペクトル式、および/または波長選択式の組織撮像をもたらすため、撮像検出器の前に置かれてもよい。

0091

本発明のデバイスは、励起/照射光源および撮像検出器デバイスに妥当な様式で取り付けられた光学偏光フィルタまたは可変式に配向された偏光フィルタ(例えば、光学波長板の使用との組み合わせによる直線偏光フィルタまたは円偏光フィルタ)を用いて修正されてもよい。この方式において、本発明のデバイスを用いた組織表面の撮像は、偏光照射および非偏光検出かもしくはその逆によって行われてもよく、または、白色光の反射および/または蛍光の撮像のいずれかを伴った偏光照射および偏光検出によって行われてもよい。このことは、鏡面反射(例えば、白色光撮像によるグレア)が最少になった撮像を許容する可能性があるともに、蛍光偏光および/または眼組織の異方性依存性の変化の撮像を可能にする可能性もある。

0092

1つの例示の態様において、本発明のデバイスはまた、手持ち式または可搬式でないように実現されてもよく、例えば、物体、材料および表面(例えば眼)の白色光、蛍光、および反射撮像を行うための比較的静置式の光学撮像デバイスとして使用するため、マウント機構(例えば三脚台またはスタンド)に取り付けられるように実現されてもよい。このことは、デスクもしくはテーブル上でのデバイスの使用、または、物体、材料および表面の「アセンブリライン」撮像用としてのデバイスの使用を可能にしてもよい。いくつかの態様において、マウント機構は可動性であってもよい。

0093

このデバイスの他の特徴としては、音声を伴う可能性もあるデジタル画像およびビデオ記録の性能、(例えば、画像記憶装置および分析ソフトウェアによる)文書化のための方法、ならびに、遠隔テレメディシン/E-healthのニーズに対応するためのワイヤ式またはワイヤレスのデータ転送などがある。例えば、本発明のデバイスの1つの態様は、携帯電話などのモバイル通信デバイスを含むように構成される。この事例において用いられる携帯電話は、1.3メガピクセルのデジタルカメラが装備されたSamsung Model A-900である。携帯電話は簡便な撮像のため保持フレームの中に収められる。携帯電話からの画像は別の携帯電話にワイヤレスで送られてもよく、または画像の保存および分析用のパーソナルコンピュータにワイヤレスで(例えばBluetoothを介して)送られてもよい。このことは、手持ち式のリアルタイム蛍光撮像を行い、そして、テレメディシン/E-healthの糖尿病ケア用インフラストラクチャの一部として、遠隔のサイト/人にワイヤレス転送を行うという、本発明のデバイスの性能を示している。医療および他の関連用途における本発明の撮像デバイスの性能を示すため、説明される具体的な事例を用いて、多数の実現可能性実験が行われている。注意されるべき点として、すべての蛍光撮像実験において、Sony製カメラ(Sony CybershotDSC-T200 Digital Camera, Sony Corporation, North America)の設定は、フラッシュなしかつ「マクロ」撮像モードで画像がキャプチャされるように設定されている。画像は8メガピクセルでキャプチャされる。フラッシュは白色光反射像をキャプチャするために用いられた。すべての画像は、長期保存および画像分析のために後にパーソナルコンピュータに転送されるよう、xDメモリカードに保存される。本発明のデバイスでキャプチャされた、白色光反射および蛍光のすべての画像/動画は、画像分析のためAdobe Photoshopにインポートされる。しかし、画像に基づくさまざまなスペクトルアルゴリズム(例えば、赤対緑の蛍光比など)を用いて定量的な検出/診断価値がある適切な画像データ(例えば空間データおよびスペクトルデータ)を抽出できるよう、MatLab(商標)(Mathworks)を用いて画像分析ソフトウェアが設計された。画像後処理は、画像の数学的操作も含んでいた。

0094

またさらに、点滅していてもまたはしていなくてもよいLED固視ターゲットとのアライメントを得るのに頭および/または眼(注視)をどこに動かせばよいかを患者がより容易に決定することを助けるため、患者が自己アライメントしてアパーチャの位置を見出すのを助けるための、アライメントチューブを介した視覚的手がかりを有利に採用した、改善された固視ターゲットシステムが提供されている。1つの局面において、アライメントチューブは、管腔内面が光沢があるかまたはその長さに沿って高度に反射性である円柱を含む。円柱形チューブの遠位端にLEDアセンブリが中心合わせされている。例えば、好適な円柱は金属であり、もしくはプラスチックであってもよく、または、内部管腔が光沢があり高度に反射性である円柱形表面である限りにおいて他の材料であってもよい。チューブの端部にLEDおよびアパーチャが内蔵されている金属製チューブを含んだ例示の態様を、ワイヤリードが見える状態で示している、図6(写真)および図6A(略図)を参照されたい。

0095

このことは、患者がチューブの入口を容易に見ることができ、そしてLEDの複数の反射像によって形成される1連の入れ子状の円形を中心合わせするように頭を動かすことによって自分のビューをアライメントできるよう、LED照射されたチューブの内壁を患者がかなり大きい角度から見ることを可能にする。目視線がチューブの軸に沿った状態で患者が見たとき、入れ子状の円形は、同心状かつLEDと中心合わせされた状態に見える。図7(略図)および図7A(写真)を参照されたい。患者のビューがアライメントされていない場合、すなわちチューブ管腔の中心軸にきちんと沿っていない場合、円形は同心状でないように見え(すなわち軸から外れて見え)、そしてLEDターゲットは直接視認できない場合もある。図8(略図)および図8A(写真)を参照されたい。その場合、患者は、反射した円形の中にLEDを中心合わせし、そして最後に、例えばLED固視アライメントチューブの中心軸などに沿ってLEDターゲットを中心合わせするように、身体、頭、または眼を調整することによって、自己アライメントすることができる。

0096

さらなる例示の態様において、LED固視アライメントチューブは半透明であってもよく、そして、その長さに沿って交互になった一連の不透明および透明の環状リングを備え、異なる色の光源によって背面照光されていてもよい。患者のビューは前述の説明と同様になり、目視線がアライメントされていない場合は偏心したリングが見える。光学軸に沿って中心合わせされた患者のビューを図示した、この例示の態様の略図である図9を参照されたい。

0097

他の態様において、励起光が差し向けられる場所に下眼部が正確に呈示されるように対象の眼をアライメントするため、前述のように、チューブを伴わずに点滅LEDなどの固視点が対象の眼の位置決めに用いられてもよい。固視点は任意の好適な色のLEDによって提供され、対象の眼の固視を容易にするため、十字線の構成において1つまたは複数の、複数の固視点の固視ターゲットを含んでいてもよい。代替的態様において、固視点は、対象の眼に対して好適な入射角に位置決めされたビームスプリッタと光学的に連絡していてもよく、そして固視点を対象の眼に入るように反射させてもよいことが想定される。コンピュータ自動化システムでは、励起光が対象の眼に差し向けられそしてサンプル体積が収集される前に、対象の眼が固視状態にならなければならない。

0098

他の例示の態様は、眼の水晶体から収集されたスペクトル情報からインビボ組織の性質を決定するのに好適である装置および方法を含む。照射光システムが1つまたは複数の波長域の励起光を提供し、これは光学収集デバイス(例えば光検出器)に伝えられる。いくつかの態様においてパフォーマンスを向上させるため、光ホモジナイザおよびモードスクランブラが採用されていてもよい。この光学システムは非侵襲的であり、眼または皮膚に物理的な接触または侵入をしない。光源は、本質的に照射システムから光を受け取り、そしてそれを眼の水晶体に伝達する。光学収集システムおよび/またはデバイスは、励起光に反応した蛍光によって眼の水晶体組織から放出された光を受け取る。光学収集システムは、光のスペクトル特性を表す信号をもたらすスペクトログラフに光を伝えてもよい。分析システム(コンピュータ)が、スペクトル特性から眼の水晶体の性質を決定する。

0099

さらなる例示の態様において、個人の組織または疾患の状態(例えば糖化最終産物または疾患の状態)の尺度を決定するための方法が提供される。個人の組織の一部が励起光で照射され、次に、励起光に対して反応性である組織中の化学物質の蛍光によって組織から放出された光が検出される。組織状態を決定するため、検出された光は、蛍光と組織状態の尺度とを関連付けるモデルと組み合わされてもよい。この態様は、単一波長の励起光、励起光のスキャン(複数の波長における組織の照射)、単一波長における検出、検出波長のスキャン(複数の波長における放出光の検出)、およびそれらの組み合わせを含んでいてもよい。例示の態様はまた、組織中の化学物質の蛍光による光以外の光の検出に起因する決定誤差を減らすための補正技法も含んでいてもよい。例えば、組織の反射率は、適切な補正が用いられなければ、誤差をもたらす可能性がある。この態様はまた、蛍光と組織状態の尺度とを関連付けるさまざまなモデルを含んでいてもよく、これには、そのようなモデルを生成するためのさまざまな方法も含まれてよい。組織状態の尺度の決定を補助するため、蛍光性質と組み合わせて他の生物学的情報が用いられてもよい。この態様はまた、適切な光源、検出器、および検出された蛍光と組織状態の尺度との関連付けに使われるモデル(例えばコンピュータ上で実施されるもの)を含む、同方法を実行するのに好適な装置も含む。

0100

いくつかの例示の態様は、診断目的のため、例えばヒトの眼などである対象の眼の中の光散乱を測定するための技法を提供する。例えば、光散乱システムは、対象の眼の中を光(例えばLEDまたはレーザービーム)で照らす励起光アセンブリを含む。トランスファーレンズが散乱したレーザー光を集束させて、測定用ミラー上に画像を形成する。トランスファーレンズと測定用ミラーとの間で、光は、測定用ミラー上の画像を望ましい位置に位置決めするように調整可能であるステアラルミラーから反射される。測定用ミラーは、散乱したレーザー光の一部が通過し、そして単光子検出器により検出されてハードウェア相関器またはソフトウェア相関器により分析されることを可能にする、ピンホールを有する。ピンホールを通過しない散乱レーザー光は、測定用ミラーによって電荷結合素子(CCD)カメラに向けて反射される。カメラは散乱レーザー光の画像を取得して、その画像をコンピュータに提供する。コンピュータは相関器からの情報およびカメラからの画像を取得する。コンピュータは、疾患などの異常の指標が眼にあるかどうかを決定するため、相関器(相関関数)の出力を分析して、測定された散乱光と眼の中の位置とを関係付けてもよい。コンピュータは、対象の眼の動きに対する調整を行うため、および、眼の望ましい場所からの光がピンホールを通って測定用ミラーに差し向けられるようにすることを助けるため、カメラからの画像情報をさらに処理して、眼からの散乱光の画像を提供しそしてステアリングミラー制御信号を送ってもよい。ただし、本開示内容に基づく他の実施形態も可能であるので、この光散乱システムは例示的なものであって、限定的なものではない。

0101

さらなる例示の態様において、対象の水晶体の下部象限の前縁から約50%〜80%(任意で60%〜75%)およびその間のすべての部分範囲である、対象の眼の水晶体内の特定ポイントを照射するため、励起光源(例えば青色LED)が用いられてもよい。哺乳動物の眼のこの場所における測定は、データ収集歪曲しうる望ましくない遅延または干渉を伴わずに一貫性のある測定を提供することが決定されている。例えば、蛍光分光法では、関心対象の化合物(例えばAGE)の検出における不要な光学信号の交絡的影響を避けるため、注意がなされる必要がある。黄斑色素白内障、水晶体以外のエリアからの蛍光放出などによる交絡的影響が生じる可能性がある。これらおよび他の要因による影響は、望ましくない影響の吸収のすぐ外側であるがなおかつ長波長側の肩でAGE吸収とオーバーラップするような、緑色の波長領域における励起波長を選択することによって低減されうる。ゆえに、上述のように下眼部で得られた測定値は、干渉が最少にされているので有利である。

0102

1つの例示の態様において、戻ってきた光は、眼の水晶体内のAGEによって生成された蛍光を含んでいてもよい。戻ってきた蛍光の強度は、糖尿病がない人について年代順に年齢相関された予測蛍光強度と比較されてもよい。任意で、次に、戻ってきた実際の蛍光の強度が、戻ってきた蛍光の予測強度をどれだけ上回っているかという量を用いて、その個人が医学的状態にある持続時間および/または重症度を決定してもよい。強度の代わりに蛍光の時間特性もまた検出されてもよく、そして患者がどのくらい長く医学的状態にあるかを決定するのに用いられてもよい。時間特性は任意の好適な技法によって分析されてもよく、そのような技法としては、蛍光放出の減衰時間直接測定位相シフトの技法によるもの、偏光異方性の技法によるもの、または蛍光の時間特性を検出する他の任意の方法によるものなどがあるが、それに限定されるわけではない。

0103

本態様のまた他の例示の態様において、戻ってきた光は、標的組織から戻ってくる、後方散乱した励起光を含んでいてもよい。そのような態様は、後方散乱光のみを利用して決定を行ってもよく、または、標的組織によって生成された蛍光とともに後方散乱光を用いて決定に至ってもよい。本態様のいくつかの態様において、励起光を提供するための光源と、戻ってきた光を検出するための検出器とは、共焦点系としてアレンジされる。前述のように、そのような共焦点系では、より大きな体積の組織内部における小さな体積の標的組織を調べることができる。共焦点系では、標的組織の表面より下にある組織の体積について測定を行うことが可能である。例示の態様におけるシステムまたは方法において、患者特異的な情報もまた考慮に入れられてもよい。例えば、患者がどのくらい長く医学的状態にあるかを決定するため、光学的情報に加えて、患者の年齢、性別、および他の望ましい身体的特性もさまざまな組み合わせで用いられてもよい。これにより、本発明のシステムまたは方法は、蛍光強度など年齢によって変化する特性に対処することができる。

0104

励起光源は、レーザー、LED、蛍光管白熱電球ハロゲンランプ、アークランプ、または、適切な波長域の励起光を提供できる他の任意の種類のデバイスであってもよい。光源はまた、蛍光電球または白熱電球など、広帯域の光源も含んでいてもよい。そのような広帯域の光源もまた、光の特定の波長帯のみを通すように設計された1つまたは複数の光学フィルタと組にされていてもよい。光源はまた、関心対象の波長に応じて、他の任意の種類の光源も含んでいてもよい。例えば、励起光源は、He-Cdレーザーまたはアルゴンイオンレーザー、水銀灯、低パワーの白色LEDまたは青色LEDなどであってもよい。励起フィルタは、例えば、好適な波長のロングパスフィルタまたはショートパスフィルタであってもよい。励起フィルタは、励起波長に対応しない波長を減衰させるように選択されてもよい。フィルタリングされた光は、次に、水晶体に向け直されるよう、ロングパス二色反射器などの二色反射器に差し向けられてもよい。

0105

蛍光と後方散乱との比を計算できるよう十分な速さで蛍光および後方散乱のデータを測定するため、スピニングフィルタホイールまたは急速切替モノクロメータが使用されそして光路内の光検出器の前のポイントに置かれていてもよい。特定の例示の態様において、スピニングフィルタホイールは、円形フィルタアレイの周りの異なる回転位置において交互の波長の透過を可能にする、4つのフィルタ要素またはフィルタ材料のパターンを有する円形フィルタアレイを含む。フィルタアレイは、モータによって、離散的な角位置まで回転してもよい。モータ化システムと関連したダイヤルまたはメモリ要素によって、望ましい角位置まで繰り返し戻るシステムが提供されてもよい。モータ化システムのいくつかの例としては、角位置を初期化できるステッピングモータ、または、初期化情報を提供するエンコーダを備えたサーボモータがある。スピニングフィルタホイールを用いることによって、ほぼリアルタイムのデータ収集を行うため、より多くのデータポイントを収集および平均化できる。このことが実現されうるのは、各データ測定が行われる間隔が(Accu-Chek D-Tectorの場合のような)30秒よりはるかに短いからである。ステップモータのシャフトに直接取り付けられたフィルタホイールの連続回転によるフィルタ選択は、迅速な(すなわち1秒あたり数サイクルの)フィルタ変更を可能にする。具体的には、青色(レイリー後方散乱の測定用)および緑色(蛍光の測定用)のフィルタ2組がホイールの前面の周りに交互に置かれる。4つのフィルタを用いることにより、2つのより大きな半円形カスタムフィルタの代わりに、より低コストの小さな円形フィルタを使用できる。光検出器の前の光路内にどのフィルタがあるかという同定は、フィルタホイールリムの外周に沿ったエンコーディングノッチを1組のオプトブレーカなどで検出することによって行われる。

0106

作動時、光軸に沿った第一のスキャンが1.5秒以内に行われて水晶体の前部および後部の場所が測定され、続いて第二のスキャンが行われる。第二のスキャン中、1秒あたり16回のフィルタ変更ができるよう、フィルタホイールが1秒あたり4回(すなわち .25秒ごとに)完全に回転する。例えば、 .25秒ごとのフィルタ1つにつき合計50回の読み取りが行われてもよい。結果として、スピニングフィルタホイールの使用は、Accu-Chek D-Tectorで採用されていたフィルタスライド機構に対して劇的な向上であることが当業者に理解されるであろう。具体的には、2つのサンプル体積の収集は、一貫して10秒またはそれ未満で実現でき、いくつかの場合において8秒またはそれ未満で実現できる。

0107

以下は、共焦点セットアップを含む態様の装置の例示の態様を描写した略図である(以前の装置と異なり、光路はビームスプリッターまたはダイクロイックミラーと遭遇せず、これにより光透過のエネルギーが増大することが認識されるであろう)。

0108

あるいは、別の例示的態様において、スピニングフィルタホイールの存在によって必要とされ、故障を防ぐため定期的な機械的メンテナンスが必要となりやすい可動パーツは、二色ビームスプリッタ(またはダイクロイックミラー)および2つの光検出器を採用した光検出システムによって除去されてもよく、この場合、波長が500 nmより大きい光はビームスプリッタによって第一の検出器へと反射され、一方、波長が500 nmより小さい光はビームスプリッタを通って第二の光検出器に伝達される。この構成は、可動パーツがないという利点があり、かつ、2つの光検出器が時間の100%においてデータを収集しているので両チャネルの読み取りにデッドタイムがない。蛍光顕微鏡において、ダイクロイックミラーが光路を分ける。換言すると、励起光はダイクロイックミラーの表面で反射して光検出器に入る。蛍光放出はダイクロイックミラーを通過して光検出システムに行く。前述のように、ダイクロイックミラーに固有である特殊な反射性質が、遷移波長値と呼ばれる50%透過の波長で2つの波長を分けることを可能にする。ダイクロイックミラーは、遷移波長値より短い波長の光を反射し、この値より長い波長を透過させる。理想的には、ダイクロイックミラーの波長は、励起および蛍光放出に用いられる波長の間になるように選ばれる。しかし、遷移波長値より短い波長の光の約90%がダイクロイックミラーにより反射され、この値より長い波長の光の約90%が透過される。励起光が水晶体を照射したとき、少量の励起光が対物レンズ内の光学素子で反射され、そして一部の励起光はサンプルによって散乱されて対物レンズに戻る。この励起光の一部は、サンプルによって放出されたより長い波長の光とともに、ダイクロイックミラーを透過する。この「汚染」光が検出システムに到達することは、蛍光フィルタなど、波長選択的な要素を用いることによって防ぐことができる。

0109

1つの例示的態様において、ダイクロイックミラーとともに2つのフィルタが用いられる。励起光路内のダイクロイックミラーの直前に励起フィルタを置くことによって、励起フィルタを用いて励起波長が選択されてもよい。眼の水晶体から放出される光の蛍光波長をより具体的に選択するとともに、ダイクロイックミラーの下に置くことによって励起光のわずかな残りを除去するために、蛍光フィルタが用いられてもよい。この位置において、フィルタは、蛍光波長を選択すること、および、励起に用いられた波長のわずかな残りを除去することの両方の機能を行う。これらのフィルタは、帯域外の透過をブロックすることから、一般に干渉フィルタと呼ばれる。干渉フィルタは、その特徴的な通過帯域の外ではきわめて低い透過を示す。ゆえに、これらは、望ましい励起波長および蛍光波長を選択するのに好適である。

0110

別の代替物は、青色(散乱)信号は強度が緑色(蛍光)信号の約4倍であるという観察結果から生じる。75%/25%のビームスプリッタを、25%光路に緑色の帯域通過フィルタ、他方の光路に青色のフィルタをつけて用いると、2つの検出器からほぼ同じ大きさの信号が得られる。さらなる代替物として、線形アレイ光検出器の前に、回折格子または線形可変式フィルタによる波長分散要素を用いてもよい。別の態様は、単一の光検出器の前に、電子的に調整可能な帯域通過フィルタ(ピエゾ制御式エタロンなど)を用いることである。さらなる代替物は、共振性の機械的振動子音叉など)の振動を利用してフィルタを動かすことによって2つのフィルタ(青色および緑色)を交替させることである。またさらに、緑色信号のみが望ましいのであれば、単一の検出器および緑色フィルタで測定されてもよい。

0111

1つの態様において、青色LED光源は、1つまたは複数の光学帯域通過フィルタに導かれる励起光を発生させ、これにより所望の波長を持つ励起光を発生させる。次に、適切な波長帯の励起用放射が、患者の眼内の標的組織上に励起光を集束させる光学送達系を介して差し向けられる。次に、励起光の後方散乱分および/または励起光に反応して発生された蛍光を含んでいてもよい、戻ってきた光が、分析のため光検出器によって収集される。1つまたは複数の励起波長が用いられてもよく、1つまたは複数の蛍光波長が収集されてもよい。

0112

1つの例示の態様において、青色LED光源は、15度の視角を備えた直径3 mmの成形透明レンズパッケージ内の高強度(18,000 mcd)465 nm InGaNLEDを含んだ統合アセンブリであってもよい。この低コストで長寿命の光源は、Accu-Chek D-Tectorにおける高価なレーザー式の周波数逓倍473nm光源を置換する。光源としてのレーザーを除去することにより、望ましくないレーザー安全用サブシステムの必要性がなくなることが理解されるであろう。統合アセンブリは、LEDレンズと接触しそうな状態に配される直径1 mmのアパーチャをさらに含む。例えば円錐形のアパーチャなどによる、アパーチャIDからの反射を除去するため、アパーチャの厚さが最小にされてもよい。青色LED発光について観察されるスペクトルテールをブロックするため、光学帯域通過フィルタが採用されてもよい。例えば、帯域外の光をブロックする、光学密度2.0で、450 nmを中心に幅58 nmである帯域通過フィルタが採用されてもよい。さらに、青色LED光源アセンブリの位置調整は、光学プレートに設けられたマウントスクリュー用スロット穴の限界内でマウントを水平方向に動かすことによって、横方向におおまかに調整されてもよい。水平方向および垂直方向の光源位置微調整は、プッシュプル式スクリューペアによって調整およびクランプされるたわみマウント構造によって行われる。任意のLED光源用収束レンズを用いて、アパーチャを通ったLED光が光源用レンズをオーバーフィルする拡散円錐を含むようにすることによって、さらなる光の強度が得られてもよいことが理解されるであろう。アパーチャの後に収束レンズを追加すると、光源用レンズをちょうど満たすように円錐角縮めることができ、その結果、光源ビームの光が増える。

0113

1つの態様において、青色LED光源は、1つまたは複数の光学帯域通過フィルタに導かれる励起光を発生させ、これにより所望の波長を持つ励起光を発生させる。次に、適切な波長帯の励起用放射が、患者の眼内の標的組織上に励起光を集束させる光学送達系を介して差し向けられる。次に、励起光の後方散乱分および/または励起光に反応して発生された蛍光を含んでいてもよい、戻ってきた光が、分析のため光検出器によって収集される。LED光源アセンブリの例示の態様を図10に示す。

0114

前述の例示の態様において、青色LED光源は、15度の視角を備えた直径3 mmの成形透明レンズパッケージ内の高強度(18,000 mcd)465 nm InGaNLEDを含んだ統合アセンブリであってもよい。この低コストで長寿命の光源は、Accu-Chek D-Tectorにおける高価なレーザー式の周波数逓倍473nm光源を置換する。光源としてのレーザーを除去することにより、望ましくないレーザー安全用サブシステムの必要性がなくなることが理解されるであろう。統合アセンブリは、LEDレンズと接触しそうな状態に配される直径1 mmのアパーチャをさらに含む。例えば円錐形のアパーチャなどによる、アパーチャIDからの反射を除去するため、アパーチャの厚さが最小にされてもよい。青色LED発光について観察されるスペクトルテールをブロックするため、光学帯域通過フィルタが採用されてもよい。例えば、帯域外の光をブロックする、光学密度2.0で、450 nmを中心に幅58 nmである帯域通過フィルタが採用されてもよい。さらに、青色LED光源アセンブリの位置調整は、光学プレートに設けられたマウントスクリュー用のスロット穴の限界内でマウントを水平方向に動かすことによって、横方向におおまかに調整されてもよい。水平方向および垂直方向の光源位置の微調整は、プッシュプル式のスクリューペアによって調整およびクランプされるたわみマウント構造によって行われる。任意のLED光源用収束レンズを用いて、アパーチャを通ったLED光が光源用レンズをオーバーフィルする拡散円錐を含むようにすることによって、さらなる光の強度が得られてもよいことが理解されるであろう。アパーチャの後に収束レンズを追加すると、光源用レンズをちょうど満たすように円錐角を縮めることができ、その結果、光源ビームの光が増える。

0115

任意の数の好適なアルゴリズムを用いて瞳孔を追跡することは、正確な撮像/データ収集のため眼に好適な照射が提供されるように、眼のアライメントを維持することおよび頭または眼のわずかな動きを補償することに役立つ。本態様では、スピニングフィルタホイールの使用によってリアルタイムに近い性質のデータ取得が促されるので、データ取得中に眼の動きおよび患者のアライメントをモニタリングするための瞳孔追跡装置およびそれに関連するソフトウェア/ハードウェアを使用する必要性が事実上なくなる。そのような瞳孔追跡システムは、例えば患者の眼などの身体領域位置追跡に使用できる、任意の好適な、外部座標系における撮像デバイスおよび/または座標追跡デバイスを用いて実施されてもよい。患者の眼の幾何学軸の位置を決定することによって眼が追跡される場合、追跡システムは以下を含んでいてもよい:(i)追跡対象の身体領域を撮像するためのカメラ、(ii)撮像領域を照射するための光源(例えば赤外光源)、および(iii)カメラ画像がデジタル画像としてそこに呈示されてもよい検出器。好適な追跡システムは、撮像反応性の要素および信号反応性の要素の両方を含んでいてもよい。標準的なまたは市販の撮像および画像処理システムの構成要素が適合および採用されていてもよい。

0116

機器の本体は、内部に収容されている共焦点分光セットアップによるデータ収集に環境光が悪影響を及ぼすことを防ぐため、密閉が可能である。本質的に、患者の頭は調整可能な額当ておよび顎当てによって抑制される。額当ての各端部で額への安定的な2点接触が得られるよう、額当ては、大多数の人の額の曲率より小さい曲率で形成される。患者の眼窩の深さに合わせるため患者の頭を動かすよう、額当ては機器に出入りするように手動で調整可能である。モータ式の顎当ては患者の頭の長さに合わせるため垂直方向に上下に動くことができ、そして、オペレータのコンピュータのスクリーンボタンまたは他の好適な手段によって制御されてもよい。波形の可撓性アイカップが、機器内部からの環境光をブロックするように働く。アイカップは、光の密閉を確実にするため、患者によってわずかに圧縮可能である。異なる瞳孔間距離(PD)の患者に合わせるためアイカップの水平位置はオペレータによるモータ制御によって調整可能であり、これによって、患者の眼を正しく見ることができるよう、機器が額当て/顎当ての中心線から水平方向に確実に位置決めされる。

0117

アイカップは、環境光を実質的に遮断するように患者の眼窩に接触し、かつ/または、本体をユーザーの眼窩上で少なくとも部分的に支持するように構成されている限り、使い捨て式であってもよく、または永久的に固定されていてもよい。アイカップは、本体内に収容されている励起光源から患者の眼まで光が通過できるよう、中心部の開口部/アパーチャを有する。アイカップは、紙、厚紙、プラスチック、シリコーン、金属、ゴムラテックス、またはそれらの組み合わせで構築されていてもよい。アイカップは、いずれかの端に開口部を伴う、管状形、円錐形、またはカップ形の可撓性または半剛性の構造であってもよい。アイカップと患者の眼窩との境界部を環境光が通過できない限り、他の材料、形状、および設計も可能である。いくつかの例示の態様において、アイカップは、(図に示されているように)本体のアイピース部の周囲に合いかつ圧縮可能であるラテックスゴムで構築される。任意で、衛生を確保しかつ/または疾患が広がることを防ぐため、アイカップは眼のスキャンの完了後に本体から取り外し可能であってもよく、そして新しいユーザー用に新しいアイカップが取り付けられてもよい。不透明のアイカップは照射環境での測定において環境光をブロックするのに有利であるが、アイカップは、透明、半透明、または不透明であってもよい。本体は、双眼鏡の様式に配向された1つまたは複数のアイカップを含んでもよいが、AGEの測定に必要なアイカップは1つのみであり、このことは製造コストを低く抑える。代替的態様において、周囲照射が中程度〜低いという環境で機器が操作される場合、アイカップは省かれてもよい。加えて、アイカップの代わりに、眼のポートに設置された反射防止コーティング済みのウィンドウが、患者の眼を横切る空気流を防ぎ、そしてシステムの内部光学系へのほこりの蓄積を最少にするのに役立つ。このウィンドウは、光検出器に戻る鏡面反射を防ぐために傾けられている。

0118

図示されている事例において、本体は、患者の頭に対して接眼鏡再位置決めせずに1つの眼をスキャンし、これによって患者のスキャン時間を短くするように構築された単眼システムである。あるいは、本体は、眼のスキャンを実施するための双眼鏡システムまたは両眼に対する二重の接眼系もしくは光路(例えば、1つの眼に対する1つのビューおよび別の眼に対する別のビューなどを提供する、患者の両眼に対する2つの接眼鏡または光路)を含んでいてもよく、これによって両眼が同時にスキャンされ、これは両眼の測定のインターレースを提供する。他の態様もまた可能であり、例えば、対応するそれぞれの眼に対する2つの光路を有する双眼鏡システムまたは接眼鏡2つのシステムが、眼を連続的にすなわちまず1つの眼そして次に第二の眼をスキャンするように構成されていてもよい。いくつかの態様において、眼のシリアルスキャンは、第一眼の第一部分のスキャン、第二眼の第一部分のスキャン、第一眼の第二部分のスキャン、などを含んでいてもよい。

0119

他のアプローチも可能である。例えばいくつかの例示の態様において、本体は、本体(および/またはアイカップ)と患者の眼との間を自動的に調整するかまたは手動調整できるように構成されていてもよい顎当てを含む。この調整は、約0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、または50ミリメートルのオーダーの精密なものであってもよい。この調整は、例えば視野を向上させるためなどの目的で1つまたは複数の可動光学系構成要素を調整するなど、本明細書に説明されている任意の調整を含んでいてもよい。1つの場合において、本体および/または本体内の光学系構成要素と患者の眼との間の距離は、第一の距離から第二の距離まで系統的に調整される。特定の態様において顎当てが動いてもよいが、種々の態様において顎当ては固定されていてもよくそして本体内の他の構成要素が可動であってもよい。距離は、と瞳孔との間の(例えば前後方向における)平均オフセットかまたは瞳孔とアイカップとの間の平均距離などである基準値に少なくとも部分的に基づく。いくつかの場合において、距離は、センサー読み取り値に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。例えば、センサーは、ユーザーの眼、瞳孔、または虹彩の位置を検出してもよい。センサーは光学機器または超音波機器を含んでいてもよい。例えば、センサーは光を放出しそしてその放出と反射光(例えばパルス)の受け取りとの間の経過時間を決定してもよい。センサーは、例えば患者の顎の場所などを感知するための重量センサーを含んでいてもよい。センサーは患者の顎の位置または重量を検出してもよい。特定の例示の態様において、顎当てが動いてもよく、または本体および/もしくは本体のアイピース/アイカップが顎当てに対して動いてもよく、そして、眼の好適な場所を決定するため、視野が前述のようにモニタリングされてもよい。他のバリーションも可能である。

0120

いくつかの態様において、1つまたは複数の可動式/調整可能式の光学系構成要素の位置/設定は、患者によって手動で調整されてもよい。患者は、例えば患者が見る1つまたは複数の画像に基づいて位置/設定を調整するなどのように指示されてもよい。例えば、患者は、2つまたはそれ以上の画像(例えば作業距離の画像)がアライメントされるまで位置を調整するように指示されてもよい。アライメントは機器までの眼の適切な距離に対応していてもよい。他の設計もまた可能である。

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