図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2013年10月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題・解決手段

本発明は、結核リーシュマニア症AIDS、トリパノソーマ症マラリアの原因因子であるさまざまな細胞内病原体、およびアレルギーがんに対する持続性防御免疫を生成させるのに有用な、一般式1によって表される合成免疫原、ならびにそれを調製するためのプロセスに関する。開発された免疫原は、ヒトおよび家畜におけるHLA拘束性を回避することができる。本発明はさらに、さまざまな疾患に対する永続的防御免疫を生成させるための、該免疫原を含むワクチンに関する。該ワクチンは、細胞内病原体、特にこの場合は病原体M. tuberculosis(結核菌)を標的とする。本発明では、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチドが、それらを主として樹状細胞ターゲティングし、よって持続性防御免疫を引き出すために、TLRリガンド、とりわけPam2Cysにコンジュゲートされる。[式中、 X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープまたは無; X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープまたは無; X1=無の場合、X2=配列番号99〜103、およびX2=無の場合、X1=配列番号1〜98; Y=リジン;および S=セリン]。

概要

背景

[発明の背景および従来技術の説明]
世界保健機関(WHO)レポート(2000)によれば、WHO/UNICEFプログラムにより、1992年には、1億人の新生児および小児BCG接種を受けた。全世界人口の大半がBCGによるワクチン接種を受けているにもかかわらず、年間およそ300万人が結核で亡くなり続けている。さらに、世界人口の約3分の1は、依然として、M. tuberculosisに潜伏感染している。それゆえに、唯一利用可能なワクチンBCGは、予測不可能であると共に、変動も大きい。BCGワクチン接種の有効性が疑わしいことから、科学者集団には、M. tuberculosisに対するワクチン接種の効果的手段を緊急に開発するという課題が課せられている。

残念なことに、結核という全世界的課題は、AIDS、およびM. tuberculosisの多剤耐性(MDR)株の出現という、さらなる課題により、いっそう悪化している。その上、HIV感染個体におけるBCGの安全性に関して、新たな疑問も生じている。BCGワクチンの接種を受けた後にHIV血清陽性であることがわかった小児の中に、少数播種性BCG症例が報告されている(Von Reyn et. al., Lancet 1987:ii:669-672;Braun et. al., Pedietr. Infect. Dis. J. 1992:11:220-227;Weltman et. al., AIDS 7:1993:149)。WHOは現在、明白な免疫不全徴候を示す小児におけるBCGワクチンの使用を中止するよう勧告している(世界保健機関・結核ファクトシート第104号、2002年8月)。

BCGは全世界的に広く利用されてきたし、その大胆な使用にもかかわらず、結核は依然として、開発途上国だけでなく先進工業諸国においても、最も迅速に蔓延する疾患になっている。対照試験においてその有効性が疑わしいことから、ワクチンとしてのその使用に関する懸念が増大している(Bloom, B. R. et. al., Annu. Rev. Immunol. 10:1992:453)。さらにまた、インドのChenglepetで行われた大規模臨床試験では、BCGワクチンを接種された個体とワクチン接種されていない個体に同程度の防御が認められ、何の防御も誘導しなかったことが示された(Narayanan Indian J Med Res. 2006, 123 (2): 119-124)。このように、BCGワクチン接種が伝播を防止しないことは明白である。

BCGの失敗に関するもう一つの洞察は、マイコバクテリウム細胞内位置によって与えられる。電子顕微鏡所見は、マクロファージインビトロ感染後にBCGが本質的にファゴリソソーム内にとどまっているのに対して、病原性M. tuberculosis(H37Rv株)はファゴリソソームから脱出して細胞質進入できることを示している(McDonough et. al., Infect. Immun. 61:1993:2763)。これは、MHCクラスII決定基連係してCD4+ Tヘルパー細胞提示されるのが、抗原提示細胞エンドソームコンパートメント中の抗原であり、他方、細胞質抗原は、主要組織適合遺伝子複合体MHCクラスI決定基と会合してCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)に提示されるのである限り、関連があるといえる。これは、M. tuberculosisがなぜその排除をBCGよりも強くMHCクラスI拘束性CTLに依存するかの説明になり、BCGがMHCクラスI拘束性CTLを引き出すのには、あまり効果的でないかもしれないことを示唆している(Stover et. al., Nature 351:1991:456)。これに関連して、Rich, 1951、Kaufman et al 2008は、M. tuberculosisによる感染からの回復は、将来の結核に対して、BCGで可能になるものよりも強い防御を与えると論評している。それゆえに、M. tuberculosis感染に対する効果的な抵抗性には、自らの感染を制限することができないマクロファージまたは実質細胞を溶解するための特異的CD8+ CTLの参加と、IL-2、IFN-γ、TNF-α、およびマクロファージ活性化関与する他のリンフォカイン生産することができる特異的CD4+ T細胞の参加が、どちらも必要になるであろう。

最近の一連の研究により、M. tuberculosis/環境マイコバクテリアは、MHC-I経路およびMHC-II経路による細菌抗原プロセシングと提示を能動的に阻害し、よって防御的適応免疫の出現を遅らせることが示唆されている(Wolf et al. 2007)。さらにまた、M. tuberculosisは、樹状細胞インビボ抗原プロセシングも損なう(Wolf et al. 2007)。それゆえに、インドのような流行地におけるBCGの失敗は、環境における甚だしいマイコバクテリア負荷によるものであると提唱することができる。その結果として、抗原プロセシング経路が著しく損なわれるのかもしれない。これらの課題を克服するために、TB流行地における適切なアプローチは、抗原プロセシングをバイパスするワクチンを案出することであるだろう。それゆえに、ペプチドは適切な代替物になりうる。というのも、それらは甚だしい抗原プロセシングを必要としないからである。

ペプチドは、潜在的にワクチンとして使用することができる。それらは抗原プロセシングをバイパスする。なぜなら、それらは、MHCクラスIおよびII分子直接結合することができ、それゆえに、CD4 T細胞とCD8 T細胞のどちらにも提示されうるからである。したがって、環境マイコバクテリア負荷は、それらの有効性に影響を及ぼさないであろう。残念なことに、従来のペプチドワクチンは2つの課題に悩まされてきた。第1に、ペプチドは免疫原性に乏しい。免疫応答を引き出すには、ペプチドを強力なアジュバントと共に投与する必要がある。ヒトに利用できるアジュバントは、数が極めて限られているだけでなく、それらは極めて高価でもある。したがって、そのような戦略は、集団ワクチン接種には、特に結核発生率が最大である開発途上国では、経済的に実行可能でない。第2に、マイコバクテリウム抗原に由来する大半の抗原性ペプチドの結合は、わずか1つか2つのヒト白血球抗原HLAアレル拘束されている。HLAは、全ヒトゲノムの中で最も多型性の高い遺伝子系である。したがって、徹底的に多型性である遺伝的に多様なヒト集団において免疫応答を引き出すことは、ペプチドにとっては困難である。これらの理由が、ペプチドワクチン学の進歩を苦境に陥れている。しかし、これらの課題が回避されるのであれば、ペプチドワクチンは、他のどの潜在的候補よりも、極めて効果的であることができ、抗原プロセシングが環境因子によって失速している状況では、特にそうである。さらに、多くのHLAアレルに結合することができるプロミスキャスペプチドは、HLA拘束性の課題を解決することができる。したがって、M. tuberculosisの抗原に由来するプロミスキャスペプチド、とりわけ分泌抗原の同定は、ワクチンの開発にとって極めて重要であるだろう。プロミスキャスT細胞エピトープは、2つ以上のHLAアレルに結合し、それゆえに、MHC拘束性を克服するT細胞応答を引き出しうるペプチドである。それらは、従来の生化学的インビトロHLA結合アッセイ免疫学的アッセイ、例えばT細胞の増殖および活性化、またはサイトカイン分泌などのエフェクター応答によって同定することができる(Agrewala and Wilkinson, 1997, 1998, 1999)。それらは、T細胞エピトープ予測プログラムを使ったバイオインフォマティック解析に基づいて選択してもよい。

適応免疫系の効果的なプライミングのための必要条件は、APC成熟であり、その機能は、病原体貪食し、それをプロセシングして、T細胞に提示することである。抗原提示細胞は、病原体の病原体関連分子パターン(PAMP)として知られている保存されたモチーフを認識するパターン認識受容体PRR)を保有している。PAMPによるPRRのトリガリングは「危険信号」として作用し(Medzhitov & Janeway, 1997)、それが、APCの成熟をもたらし、ついには、その病原体に対する適応免疫応答マウントすることになる。Toll様受容体は、免疫の先天性アーム適応性アームとを結びつけるそのような決定的PRRの一つである。アジュバントは、TLRに結合することで、APCの活性化に必要なシグナル送達することによって機能する。最近、TLRトリガリング部分と抗原とを物理的に関連づけると、免疫応答のロバストな増加が起こることが、極めてエレガントに証明されている(Blander & Medzhitov 2006)。

APCがTLRと係合(engage)すると、共刺激分子発現強化された抗原提示ならびにサイトカインおよびケモカインの生産も、アップレギュレートされる。本質的に、TLRは膜貫通型受容体ファミリーであり、APCは、これによって、感染性因子自己と区別する目安となる保存されたPAMPを認識する。ここ数年の間に、TLRによって認識される高分子が同定されている。TLRのアゴニストには、炎症性メディエーターであるトリアシリポペプチド(TLR1)、リポテイコ酸(TLR2)、dsRNA(TLR3)、リポ多糖(TLR4)、フラジェリン(TLR5)、ジアシルリポペプチド(TLR6)、イミダゾキノリン(TLR7、TLR8)およびCpGオリゴヌクレオチド(TLR9)が含まれる(Akira, 2003)。Toll様受容体は、先天免疫系の必須部分を構成しているが、適応免疫系においても同じように重要であった。この危険信号なしでの抗原提示は、アネルギーまたは寛容につながる。

それゆえに、今までに報告された文献を分析すると、遊離のペプチドが最適な免疫応答を引き出すことはないであろうということが、明らかになる。TLRトリガリングはAPCの活性化にとって不可欠であるから、効果的な免疫応答をトリガーするためにプロミスキャスペプチド/エピトープTLRリガンドに(共有結合またはカプセル化の形で)物理的にカップリングすることは、ひときわ優れた提案であるだろう。TLRリガンドの大半は脂質部分であるが、TLR3、7および9は、核酸によってトリガーされる。TLR、とりわけTLR2、4および9のトリガリングはTh1応答をもたらす。それゆえに、特に、これらのぺプチド−2または4または9用TLRリガンドは、M. tuberculosisに対する防御には極めて効果的であるだろうと提唱される。

潜在的利点がいくつかあるにも関わらず、全合成ペプチドエピトープに基づくワクチンは、ヒトまたは動物への使用については、まだ認可されていないし、利用することもできない。アジュバントが共投与されない場合のペプチドの低い免疫原性と、ヒトへの使用に適したアジュバント系の数の少なさとが、実用的なエピトープベースのワクチンの開発を制限してきた。

したがって、非生ワクチンが結核に対する防御を付与することができないのは、不適当なアジュバントの使用によるものであると、要約することができる。現在使用されているヒトワクチン用のアジュバント(アルミニウム塩に基づくもの)は、体液性応答を必要とするワクチンでしか効果的でない。というのも、それらは、免疫応答を、細胞外感染に対する防御しか支援することができないTh2極(pole)へと偏らせるからである。利用可能なアジュバントは、そのコストが極めて高いため、使用する機会が限られる。そこで、この困難な状況を克服するための効果的な方法は、プロミスキャス-ペプチド/サブユニットワクチン脂質基を組み込むことであり、それすれば、それが、自己アジュバント特性(self-adjuvanting properties)を有することになるだろう。

概要

本発明は、結核、リーシュマニア症、AIDS、トリパノソーマ症マラリアの原因因子であるさまざまな細胞内病原体、およびアレルギーがんに対する持続性防御免疫を生成させるのに有用な、一般式1によって表される合成免疫原、ならびにそれを調製するためのプロセスに関する。開発された免疫原は、ヒトおよび家畜におけるHLA拘束性を回避することができる。本発明はさらに、さまざまな疾患に対する永続的防御免疫を生成させるための、該免疫原を含むワクチンに関する。該ワクチンは、細胞内病原体、特にこの場合は病原体M. tuberculosis(結核菌)を標的とする。本発明では、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチドが、それらを主として樹状細胞にターゲティングし、よって持続性防御免疫を引き出すために、TLRリガンド、とりわけPam2Cysにコンジュゲートされる。[式中、 X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープまたは無; X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープまたは無; X1=無の場合、X2=配列番号99〜103、およびX2=無の場合、X1=配列番号1〜98; Y=リジン;および S=セリン]。

目的

これらの課題を克服するために、TB流行地における適切なアプローチは、抗原プロセシングをバイパスするワクチンを案出することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

病原体に対する持続性免疫および防御を生成させるのに有用な合成免疫原であって、該免疫原が一般式:[式中、X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープまたは無;X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープまたは無;X1=無の場合、X2=配列番号99〜103、およびX2=無の場合、X1=配列番号1〜98;Y=リジン;およびS=セリン]によって表される、合成免疫原。

請求項2

式:[式中、X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープ;およびY=リジン;およびS=セリン]によって表される、請求項1に記載の免疫原。

請求項3

式:[式中、X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープ;およびY=リジン;およびS=セリン]によって表される、請求項1に記載の免疫原。

請求項4

式:[式中、Y=リジンおよびS=セリン]によって表される、請求項1に記載の免疫原。

請求項5

配列番号1〜103によって表されるプロミスキャスエピトープが、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来である、請求項1に記載の免疫原。

請求項6

TLRリガンドが、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13リガンドからなる群より選択される、請求項1に記載の免疫原。

請求項7

TLRリガンドが、ジアシルリポペプチドトリアシルリポペプチド、リポアラビノマンナンおよびリポ多糖からなる群より選択される、請求項1に記載の免疫原。

請求項8

TLRリガンドが、S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピルシステインまたはPam2Cysである、請求項1に記載の免疫原。

請求項9

結核菌(M. tuberculosis)由来のプロミスキャスエピトープが、HLAクラスI、すなわちHLA-A、HLA-B、HLA-C、およびHLAクラスII、すなわちHLA-DR、HLA-DP、HLA-DQ分子への結合に基づいて同定される、請求項1に記載の免疫原。

請求項10

結核菌(M. tuberculosis)由来のプロミスキャスエピトープが、T細胞増殖ならびにIFN-γおよびIL-4の分泌に基づいて同定される、請求項1に記載の免疫原。

請求項11

MHC/HLA発現強化する、請求項1に記載の免疫原。

請求項12

CD80、CD86およびCD40から選択される共刺激分子の発現を強化する、請求項1に記載の免疫原。

請求項13

プロミスキャスエピトープが、CD69およびCD44の発現をアップレギュレートすることによって、CD4+およびCD8+ T細胞の増殖を強化する、請求項1に記載の免疫原。

請求項14

結核菌(M. tuberculosis)由来のプロミスキャスエピトープが、サイトカインIL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IFN-γ、TNF-αおよびIL-12の分泌を調整する、請求項1に記載の免疫原。

請求項15

プロミスキャスエピトープが、中枢およびエフェクターT細胞記憶の両方を含むCD4+およびCD8+ T細胞記憶を強化する、請求項1に記載の免疫原。

請求項16

プロミスキャスエピトープが、メモリーCD4+およびCD8+ T細胞上のCD44、CD62LおよびCD127の発現を調整する、請求項1に記載の免疫原。

請求項17

結核菌(M. tuberculosis)由来のプロミスキャスエピトープが、サイトカインIL-2、IL-4、IL-12、IFN-γおよびIL-12の分泌に基づいて同定される、請求項1に記載の免疫原。

請求項18

プロミスキャスエピトープが、結核菌(M. tuberculosis)に対するおよび肺外免疫を増強する、請求項1に記載の免疫原。

請求項19

プロミスキャスエピトープが、身体の肺および肺外領域における結核菌(M. tuberculosis)の成長を制限する、請求項1に記載の免疫原。

請求項20

プロミスキャスエピトープが、PD-1のような免疫抑制分子の発現をダウンレギュレートする、請求項1に記載の免疫原。

請求項21

プロミスキャスエピトープが調節性T細胞の生成を阻害する、請求項1に記載の免疫原。

請求項22

プロミスキャスエピトープが、健常および結核患者から得られたヒトリンパ球による増殖およびIFN-γの分泌を誘導することができる、請求項1に記載の免疫原。

請求項23

TLRリガンドをアジュバントとして利用し、それゆえに、追加のアジュバントを必要としない、請求項1に記載の免疫原。

請求項24

樹状細胞マクロファージおよびB細胞のような抗原提示細胞ターゲティングされる、請求項1に記載の免疫原。

請求項25

ナノ粒子コーティングカプセル化されている、請求項1に記載の免疫原。

請求項26

マンノシル化リポソームまたは抗DEC-205抗体でタグ付けされたリポソームに共有結合/捕捉されている、請求項1に記載の免疫原。

請求項27

請求項1に記載の免疫原を、場合によっては医薬上許容される担体希釈剤または賦形剤一緒に含む、医薬注射可能組成物

請求項28

対象における結核に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、治療有効量の、請求項1に記載の免疫原を、場合によっては医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と一緒に投与することを含む方法。

技術分野

0001

[発明の分野]
本発明は、病原体に対する持続性免疫および防御を生成させるのに有用な合成免疫原、ならびにそれを調製するためのプロセスに関する。開発された免疫原はヒトにおけるHLA拘束性を回避することができる。本発明はさらに、持続性免疫の生成およびさまざまな疾患に対する防御のための、該免疫原を含むワクチンに関する。該ワクチンは、細胞内病原体、特にこの場合は病原体Mycobacterium tuberculosis(結核菌)(M. tuberculosis)を標的とする。本発明の主題である病原体M. tuberculosisは、結核の原因因子である。本ワクチンは、ブルセラ症リーシュマニア症リステリア症ハンセン病マラリア腸チフストリパノソーマ症レンサ球菌後天性免疫不全症候群AIDS)の原因因子である細胞内病原体に対しても、また、がんアレルギー自己免疫などのような疾患にも有用である。本発明では、M. tuberculosisのプロミスキャス(promiscuous)エピトープ抗原提示細胞APC)、特に樹状細胞(DC)にターゲティングし、よって永続的な防御免疫を引き出すために、それらのエピトープをToll様受容体TLR)リガンドコンジュゲートする。

背景技術

0002

[発明の背景および従来技術の説明]
世界保健機関(WHO)レポート(2000)によれば、WHO/UNICEFプログラムにより、1992年には、1億人の新生児および小児BCG接種を受けた。全世界人口の大半がBCGによるワクチン接種を受けているにもかかわらず、年間およそ300万人が結核で亡くなり続けている。さらに、世界人口の約3分の1は、依然として、M. tuberculosisに潜伏感染している。それゆえに、唯一利用可能なワクチンBCGは、予測不可能であると共に、変動も大きい。BCGワクチン接種の有効性が疑わしいことから、科学者集団には、M. tuberculosisに対するワクチン接種の効果的手段を緊急に開発するという課題が課せられている。

0003

残念なことに、結核という全世界的課題は、AIDS、およびM. tuberculosisの多剤耐性(MDR)株の出現という、さらなる課題により、いっそう悪化している。その上、HIV感染個体におけるBCGの安全性に関して、新たな疑問も生じている。BCGワクチンの接種を受けた後にHIV血清陽性であることがわかった小児の中に、少数播種性BCG症例が報告されている(Von Reyn et. al., Lancet 1987:ii:669-672;Braun et. al., Pedietr. Infect. Dis. J. 1992:11:220-227;Weltman et. al., AIDS 7:1993:149)。WHOは現在、明白な免疫不全徴候を示す小児におけるBCGワクチンの使用を中止するよう勧告している(世界保健機関・結核ファクトシート第104号、2002年8月)。

0004

BCGは全世界的に広く利用されてきたし、その大胆な使用にもかかわらず、結核は依然として、開発途上国だけでなく先進工業諸国においても、最も迅速に蔓延する疾患になっている。対照試験においてその有効性が疑わしいことから、ワクチンとしてのその使用に関する懸念が増大している(Bloom, B. R. et. al., Annu. Rev. Immunol. 10:1992:453)。さらにまた、インドのChenglepetで行われた大規模臨床試験では、BCGワクチンを接種された個体とワクチン接種されていない個体に同程度の防御が認められ、何の防御も誘導しなかったことが示された(Narayanan Indian J Med Res. 2006, 123 (2): 119-124)。このように、BCGワクチン接種が伝播を防止しないことは明白である。

0005

BCGの失敗に関するもう一つの洞察は、マイコバクテリウム細胞内位置によって与えられる。電子顕微鏡所見は、マクロファージインビトロ感染後にBCGが本質的にファゴリソソーム内にとどまっているのに対して、病原性M. tuberculosis(H37Rv株)はファゴリソソームから脱出して細胞質進入できることを示している(McDonough et. al., Infect. Immun. 61:1993:2763)。これは、MHCクラスII決定基連係してCD4+ Tヘルパー細胞提示されるのが、抗原提示細胞のエンドソームコンパートメント中の抗原であり、他方、細胞質抗原は、主要組織適合遺伝子複合体MHCクラスI決定基と会合してCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)に提示されるのである限り、関連があるといえる。これは、M. tuberculosisがなぜその排除をBCGよりも強くMHCクラスI拘束性CTLに依存するかの説明になり、BCGがMHCクラスI拘束性CTLを引き出すのには、あまり効果的でないかもしれないことを示唆している(Stover et. al., Nature 351:1991:456)。これに関連して、Rich, 1951、Kaufman et al 2008は、M. tuberculosisによる感染からの回復は、将来の結核に対して、BCGで可能になるものよりも強い防御を与えると論評している。それゆえに、M. tuberculosis感染に対する効果的な抵抗性には、自らの感染を制限することができないマクロファージまたは実質細胞を溶解するための特異的CD8+ CTLの参加と、IL-2、IFN-γ、TNF-α、およびマクロファージ活性化関与する他のリンフォカイン生産することができる特異的CD4+ T細胞の参加が、どちらも必要になるであろう。

0006

最近の一連の研究により、M. tuberculosis/環境マイコバクテリアは、MHC-I経路およびMHC-II経路による細菌抗原プロセシングと提示を能動的に阻害し、よって防御的適応免疫の出現を遅らせることが示唆されている(Wolf et al. 2007)。さらにまた、M. tuberculosisは、樹状細胞のインビボ抗原プロセシングも損なう(Wolf et al. 2007)。それゆえに、インドのような流行地におけるBCGの失敗は、環境における甚だしいマイコバクテリア負荷によるものであると提唱することができる。その結果として、抗原プロセシング経路が著しく損なわれるのかもしれない。これらの課題を克服するために、TB流行地における適切なアプローチは、抗原プロセシングをバイパスするワクチンを案出することであるだろう。それゆえに、ペプチドは適切な代替物になりうる。というのも、それらは甚だしい抗原プロセシングを必要としないからである。

0007

ペプチドは、潜在的にワクチンとして使用することができる。それらは抗原プロセシングをバイパスする。なぜなら、それらは、MHCクラスIおよびII分子直接結合することができ、それゆえに、CD4 T細胞とCD8 T細胞のどちらにも提示されうるからである。したがって、環境マイコバクテリア負荷は、それらの有効性に影響を及ぼさないであろう。残念なことに、従来のペプチドワクチンは2つの課題に悩まされてきた。第1に、ペプチドは免疫原性に乏しい。免疫応答を引き出すには、ペプチドを強力なアジュバントと共に投与する必要がある。ヒトに利用できるアジュバントは、数が極めて限られているだけでなく、それらは極めて高価でもある。したがって、そのような戦略は、集団ワクチン接種には、特に結核発生率が最大である開発途上国では、経済的に実行可能でない。第2に、マイコバクテリウム抗原に由来する大半の抗原性ペプチドの結合は、わずか1つか2つのヒト白血球抗原(HLA)アレル拘束されている。HLAは、全ヒトゲノムの中で最も多型性の高い遺伝子系である。したがって、徹底的に多型性である遺伝的に多様なヒト集団において免疫応答を引き出すことは、ペプチドにとっては困難である。これらの理由が、ペプチドワクチン学の進歩を苦境に陥れている。しかし、これらの課題が回避されるのであれば、ペプチドワクチンは、他のどの潜在的候補よりも、極めて効果的であることができ、抗原プロセシングが環境因子によって失速している状況では、特にそうである。さらに、多くのHLAアレルに結合することができるプロミスキャスペプチドは、HLA拘束性の課題を解決することができる。したがって、M. tuberculosisの抗原に由来するプロミスキャスペプチド、とりわけ分泌抗原の同定は、ワクチンの開発にとって極めて重要であるだろう。プロミスキャスT細胞エピトープは、2つ以上のHLAアレルに結合し、それゆえに、MHC拘束性を克服するT細胞応答を引き出しうるペプチドである。それらは、従来の生化学的インビトロHLA結合アッセイ免疫学的アッセイ、例えばT細胞の増殖および活性化、またはサイトカイン分泌などのエフェクター応答によって同定することができる(Agrewala and Wilkinson, 1997, 1998, 1999)。それらは、T細胞エピトープ予測プログラムを使ったバイオインフォマティック解析に基づいて選択してもよい。

0008

適応免疫系の効果的なプライミングのための必要条件は、APCの成熟であり、その機能は、病原体を貪食し、それをプロセシングして、T細胞に提示することである。抗原提示細胞は、病原体の病原体関連分子パターン(PAMP)として知られている保存されたモチーフを認識するパターン認識受容体PRR)を保有している。PAMPによるPRRのトリガリングは「危険信号」として作用し(Medzhitov & Janeway, 1997)、それが、APCの成熟をもたらし、ついには、その病原体に対する適応免疫応答マウントすることになる。Toll様受容体は、免疫の先天性アーム適応性アームとを結びつけるそのような決定的PRRの一つである。アジュバントは、TLRに結合することで、APCの活性化に必要なシグナル送達することによって機能する。最近、TLRトリガリング部分と抗原とを物理的に関連づけると、免疫応答のロバストな増加が起こることが、極めてエレガントに証明されている(Blander & Medzhitov 2006)。

0009

APCがTLRと係合(engage)すると、共刺激分子発現強化された抗原提示ならびにサイトカインおよびケモカインの生産も、アップレギュレートされる。本質的に、TLRは膜貫通型受容体ファミリーであり、APCは、これによって、感染性因子自己と区別する目安となる保存されたPAMPを認識する。ここ数年の間に、TLRによって認識される高分子が同定されている。TLRのアゴニストには、炎症性メディエーターであるトリアシリポペプチド(TLR1)、リポテイコ酸(TLR2)、dsRNA(TLR3)、リポ多糖(TLR4)、フラジェリン(TLR5)、ジアシルリポペプチド(TLR6)、イミダゾキノリン(TLR7、TLR8)およびCpGオリゴヌクレオチド(TLR9)が含まれる(Akira, 2003)。Toll様受容体は、先天免疫系の必須部分を構成しているが、適応免疫系においても同じように重要であった。この危険信号なしでの抗原提示は、アネルギーまたは寛容につながる。

0010

それゆえに、今までに報告された文献を分析すると、遊離のペプチドが最適な免疫応答を引き出すことはないであろうということが、明らかになる。TLRトリガリングはAPCの活性化にとって不可欠であるから、効果的な免疫応答をトリガーするためにプロミスキャスペプチド/エピトープをTLRリガンドに(共有結合またはカプセル化の形で)物理的にカップリングすることは、ひときわ優れた提案であるだろう。TLRリガンドの大半は脂質部分であるが、TLR3、7および9は、核酸によってトリガーされる。TLR、とりわけTLR2、4および9のトリガリングはTh1応答をもたらす。それゆえに、特に、これらのぺプチド−2または4または9用TLRリガンドは、M. tuberculosisに対する防御には極めて効果的であるだろうと提唱される。

0011

潜在的利点がいくつかあるにも関わらず、全合成ペプチドエピトープに基づくワクチンは、ヒトまたは動物への使用については、まだ認可されていないし、利用することもできない。アジュバントが共投与されない場合のペプチドの低い免疫原性と、ヒトへの使用に適したアジュバント系の数の少なさとが、実用的なエピトープベースのワクチンの開発を制限してきた。

0012

したがって、非生ワクチンが結核に対する防御を付与することができないのは、不適当なアジュバントの使用によるものであると、要約することができる。現在使用されているヒトワクチン用のアジュバント(アルミニウム塩に基づくもの)は、体液性応答を必要とするワクチンでしか効果的でない。というのも、それらは、免疫応答を、細胞外感染に対する防御しか支援することができないTh2極(pole)へと偏らせるからである。利用可能なアジュバントは、そのコストが極めて高いため、使用する機会が限られる。そこで、この困難な状況を克服するための効果的な方法は、プロミスキャス-ペプチド/サブユニットワクチン脂質基を組み込むことであり、それすれば、それが、自己アジュバント特性(self-adjuvanting properties)を有することになるだろう。

発明が解決しようとする課題

0013

[発明の目的]
そこで、本発明の主目的は、上に詳述した欠点を取り除く免疫原を開発することである。

0014

本発明のもう一つの目的は、結核、ブルセラ症、リーシュマニア症、リステリア症、ハンセン病、マラリア、腸チフス、トリパノソーマ症、レンサ球菌、AIDSの原因因子である細胞内病原体、ならびにがん、アレルギーおよび自己免疫のような疾患に対する持続性防御免疫を生成させるのに有用な免疫原を提供することである。

0015

本発明のさらにもう一つの目的は、ヒトにおけるHLA拘束性を回避することができる免疫原を提供することである。

0016

本発明のさらにもう一つの目的は、TLRリガンドにカップリングされた、M. tuberculosisプロテオーム由来のプロミスキャスペプチド/エピトープを含む免疫原を提供することである。

0017

本発明のさらにもう一つの目的は、永続的なCD4+およびCD8+ T細胞記憶を強化し、結核に対する防御免疫を付与する、M. tuberculosis由来の脂質化プロミスキャスペプチド/エピトープを提供することである。

0018

本発明のもう一つの目的は、サイトカインであるインターフェロン-γ(IFN-γ)およびインターロイキン-12(IL-12)の分泌を主に誘導することができる、M. tuberculosis由来の脂質化プロミスキャスペプチド/エピトープを提供することである。

0019

本発明のもう一つの目的は、身体のおよび肺外領域における細菌負荷量を低減することができる、M. tuberculosis由来の脂質化プロミスキャスペプチド/エピトープを提供することである。

0020

本発明のもう一つの目的は、該免疫原を含む医薬組成物を提供することである。

0021

本発明のさらなる目的は、ナノ粒子への、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチド/エピトープの表面コーティングまたはカプセル化に基づくワクチンを提供することである。

課題を解決するための手段

0022

[発明の要約]
本発明は、細胞内病原体、とりわけM. tuberculosisに対する効果的な免疫応答を引き出すためのプロセスに関する。これは、TLRリガンドに連結されたM. tuberculosis由来のプロミスキャスペプチド/エピトープを含む合成免疫原を開発することによって達成される。該免疫原は、遊離型であってもよいし、ロバストな持続性防御免疫応答を効果的に引き出すことができるように、ナノ粒子および/またはリポソーム中にカプセル化されていてもよい。本発明はさらに、M. tuberculosisに対する持続性免疫を付与するために、ナノ粒子への、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチド/エピトープの表面コーティングまたはカプセル化に基づくワクチンの形態にある医薬組成物に関する。開発された免疫原は、所望の免疫応答を惹起するために、マンノシル化リポソームまたは抗DEC-205抗体でタグ付けされたリポソームに共有結合/捕捉されていてもよい。

0023

開発された合成免疫原は、配列番号1〜103(表1)によって表されるM. tuberculosisプロテオーム由来のプロミスキャスペプチド/エピトープを含む。プロミスキャスペプチドは、HLAクラスI(HLA-A、B、C)およびHLAクラスII(HLA-DR、DPDQ)分子への結合、T細胞増殖、サイトカイン(IL-2、IL-4、IL-12、IFN-γ)分泌、ならびにインシリコ法に基づいて同定される。

0024

同定されたMHCIおよびMHC II結合性プロミスキャスペプチドは、セリンおよび/またはリジンリンカーを介した前記ペプチドへの共有結合に適する、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、TLR13から選択されるTLRリガンド(例えばジアシルリポペプチド、トリアシルリポペプチド、リポアラビノマンナン(lipoarabinomanan)、リポテイコ酸、dsRNA、リポ多糖、フラジェリン、ジアシルリポペプチド、イミダゾキノリンおよびCpGオリゴヌクレオチドなど)に共有結合される。さらに、ペプチドがAPC(とりわけ樹状細胞)によってCD4およびCD8 T細胞に効果的に提示されるように、ペプチドを合成ナノ粒子またはリポソーム中にカプセル化してもよい(図1)。

0025

したがって本発明は、M. tuberculosisに対する持続性免疫を生成させるのに有用な合成免疫原を提供し、ここで、該免疫原は、一般式1:



[式中、X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープまたは無;
X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープまたは無;
X1=無の場合、X2=配列番号99〜103、およびX2=無の場合、X1=配列番号1〜98;
Y=リジン;およびS=セリン]
によって表される。

0026

ある実施形態において、本発明は、CD4 T細胞応答とCD8 T細胞応答の両方を引き出すために、TLR2リガンドPam2Cysに連結され、樹状細胞にターゲティングされる、M. tuberculosisから選択されるプロミスキャスペプチド(いくつかのMHCIおよびMHC II分子に結合する能力を有するもの)を含む、合成ワクチンを提供する。

0027

もう一つの実施形態において、本発明は、TLR2リガンドPam3Cysに連結されたM. tuberculosisのプロミスキャスペプチドを含む合成ワクチンを提供する。

0028

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLR2リガンドリポペプチドMALP-2に連結されたM. tuberculosisのプロミスキャスペプチドを含む合成ワクチンを提供する。

0029

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLR4リガンドリポ多糖(LPS)に連結されたM. tuberculosisのプロミスキャスペプチドを含む合成ワクチンを提供する。

0030

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLR9リガンドCpGオリゴヌクレオチド(CpGODN)に連結されたM. tuberculosisのプロミスキャスペプチドを含むワクチンを提供する。

0031

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、ナノ粒子への、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチドの表面コーティングまたはカプセル化に基づくワクチンを提供する。

0032

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、リポソームへの、M. tuberculosisのプロミスキャスペプチドの表面コーティングまたはカプセル化に基づくワクチンを提供する。

0033

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosisのプロミスキャスCD4およびCD8エピトープをTLRアゴニストと混合することによって、ワクチンを提供する。

0034

もう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosisのプロミスキャスCD4およびCD8エピトープをナノ粒子と混合することによる、ワクチンを調製するためのプロセスを提供する。

0035

もう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosisのプロミスキャスCD4およびCD8エピトープをリポソームと混合することよる、ワクチンを調製するためのプロセスを提供する。

0036

もう一つの実施形態において、本発明は、ワクチンを調製するためのプロセスであって、カプセル化の主な理論的根拠が、核酸(TLR3、7、9のリガンド)の場合およびTLRリガンドが主として細胞内にある場合がそうであるように、共有結合にはあまり適さない状況のためである、プロセスを提供する。しかし同じ戦略を、TLR2、4および5にも同様に適用することができる。なぜなら、それらは主として表面に発現するものの、エンドソームコンパートメントにおいても発現するからである。

0037

もう一つの実施形態において、本発明は、式:



[式中、
X1=配列番号1〜98から選択されるプロミスキャスCD4 Tヘルパーエピトープ;および
Y=リジン;およびS=セリン]
によって表される免疫原を提供する。

0038

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、式:



[式中、
X2=配列番号99〜103から選択されるプロミスキャスCD8 T細胞傷害性エピトープ;および
Y=リジン;およびS=セリン]
によって表される免疫原を提供する。

0039

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、式:



[式中、Y=リジンおよびS=セリン]
によって表される免疫原を提供する。

0040

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、配列番号1〜103によって表されるプロミスキャスエピトープがMycobacterium tuberculosis由来である、免疫原を提供する。

0041

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLRリガンドが、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12およびTLR13リガンドからなる群より選択される、免疫原を提供する。

0042

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLRリガンドが、ジアシルリポペプチド、トリアシルリポペプチド、リポアラビノマンナンおよびリポ多糖(lipopolysacharide)からなる群より選択される、免疫原を提供する。

0043

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLRリガンドがS-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン(Pam2Cys)である、免疫原を提供する。

0044

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスエピトープが、HLAクラスI(HLA-A、B、C)分子およびHLAクラスII(HLA-DR、DP、DQ)分子への結合に基づいて同定される、免疫原を提供する。

0045

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスエピトープが、T細胞増殖ならびにIFN-γ、IL-2、IL-4およびIL-12の分泌に基づいて同定される、免疫原を提供する。

0046

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスエピトープがMHC/HLA発現を強化する、免疫原を提供する。

0047

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスエピトープが、CD80、CD86およびCD40から選択される共刺激因子の発現を強化する、免疫原を提供する。

0048

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープがCD4+およびCD8+ T細胞の増殖を強化し、かつCD69およびCD44の発現をアップレギュレートする、免疫原を提供する。

0049

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスエピトープが、サイトカインIL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IFN-γおよびTNF-αの分泌を調整する、免疫原を提供する。

0050

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが、中枢およびエフェクターT細胞記憶の両方を含むCD4+およびCD8+ T細胞記憶を強化する、免疫原を提供する。

0051

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが、メモリーCD4+およびCD8+ T細胞におけるCD44、CD62LおよびCD127の発現を調整する、免疫原を提供する。

0052

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが、M. tuberculosisに対する肺および肺外免疫を増強する、免疫原を提供する。

0053

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが、PD-1のような免疫抑制分子の発現をダウンレギュレートする、免疫原を提供する。

0054

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが調節性T細胞の生成を阻害する、免疫原を提供する。

0055

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、プロミスキャスエピトープが、IFN-γの分泌を誘導することにより、健常患者および結核患者からのヒトリンパ球の増殖を誘導することができる、免疫原を提供する。

0056

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、TLRリガンドをアジュバントとして利用し、それゆえに、追加のアジュバントを必要としない、免疫原を提供する。

0057

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞のような抗原提示細胞にターゲティングされる、免疫原を提供する。

0058

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、ナノ粒子にコーティング/カプセル化されている、免疫原を提供する。

0059

さらにもう一つの実施形態において、本発明は、マンノシル化リポソームまたは抗DEC-205抗体でタグ付けされたリポソームに共有結合/捕捉されている、免疫原を提供する。

0060

さらなる実施形態において、本発明は、該免疫原を、場合によっては医薬上許容される担体希釈剤または賦形剤一緒に含む、医薬注射可能組成物を提供する。

0061

さらなる実施形態において、本発明は、対象における結核に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、治療有効量の該免疫原を、場合によっては医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と一緒に投与することを含む方法を提供する。

図面の簡単な説明

0062

免疫原の作用機序.(A)免疫原は、投与されるやいなや、DCの高いTLR2リガンドおよびMHC分子発現量に依って、DCを探す。(B)TLR2リガンド(Pam2cys)、CD8エピトープおよびCD4エピトープを含有するコンストラクトは、MHCおよびTLR2に対する高いアフィニティゆえに、DC上のTLR2およびMHCに結合する。(C)これがDCを活性化して、DCに、共刺激分子およびMHC分子をアップレギュレートさせる。(D)ペプチドがMHC-IおよびMHC-IIに結合すると、CD8およびCD4 T細胞が、活性化DC上のMHC-IおよびMHC-II分子を背景として提示されたそれぞれのペプチドを認識する。(E)これが抗原特異的T細胞を活性化する。(F)これが、CD4 Tヘルパー細胞およびCD8細胞傷害性T細胞のクローン拡大と、サイトカインの分泌とをもたらし、免疫応答の増幅を促進することになる。
脂質化プロミスキャスペプチド[開発された免疫原]は異なる実験室系統のマウスにおいて許容的に作動する.遺伝的に異なる系統のマウス(BALB/c、C57BL/6、C3He)を使って、開発された免疫原の、T細胞増殖をトリガーする能力を試験した。抗原曝露マウスからの脾細胞を、脂質化ペプチド[免疫原]および遊離ペプチド刺激した。インビトロチャレンジの48時間後に3H-チミジンの取り込みを使って、T細胞増殖を測定した。図において使用している略号:p21:遊離ペプチド配列番号2、p91:遊離ペプチド配列番号1、L21:脂質化ペプチド配列番号2、L91:脂質化ペプチド配列番号1。
異なるPPD+ヒト被験者から得た末梢血単核球に対するプロミスキャスペプチド/エピトープの効果.ヒト末梢血単核球(PBMC)を健常ドナーから単離し、異なる免疫原コンストラクトを使って、それらをインビトロで刺激した。T細胞増殖は48時間後に3H-チミジンを取り込むことによって測定した。
脂質化ペプチド[免疫原]はDC成熟を強化する.(A)BALB/cマウスを、脂質化ペプチド[免疫原]および遊離ペプチドで免疫処置した。全脾細胞を回収し、脂質化ペプチドおよび遊離ペプチドでインビトロ刺激した。48時間インキュベートした後、それらを収穫し、DC集団(CD11c+/CD40+)を染色した。CD11c+/CD40+集団は成熟DCを示す。脂質化免疫原コンストラクトは、非脂質化対応物と比較して、DC成熟を誘導することができた。(B)C57BL/6マウスからの骨髄由来DCを、標準プロトコールを使って培養した。培養7日目に、それらを遊離ペプチドまたは脂質化ペプチドで12時間処理してから、細胞を収穫し、活性化マーカーを染色した。L91処理細胞では、p91処理細胞と比較して、CD80、CD86、CD40の発現が強化されていた。(C)培養7日目に、骨髄由来DCを遊離ペプチドまたは脂質化ペプチドで12時間処理した。その後、細胞を収穫し、CD74(未成熟MHC)およびIAb(成熟MHC)を染色した。L91で処理すると、遊離ペプチドと比較して、IAbの発現が強化され、CD74の発現が減少した。
脂質化ペプチド[開発された免疫原]はT細胞におけるIFNγの生産を誘導する.(A)ガンマ線照射したM. tuberculosisをマウスに注射し、インビトロで、脾細胞に、開発された免疫原を48時間チャレンジした。その後、IFN-γのレベルを、ELISAにより、培養上清から推定した。脂質化ペプチドは、遊離ペプチドと比較して有意に高いIFN-γ生産を誘導した。これは、これらの細胞のTh1表現型を示している。(B)脂質化ペプチドL91をマウスに注射し、インビトロで、脾細胞にコンストラクトを48時間チャレンジした。その後、IFNγのレベルをELISAにより培養上清から推定した。脂質化ペプチドは遊離ペプチドと比較して有意に高いIFN-γ生産を誘導するが、これはこれらの細胞のTh1表現型を示している。
配列番号1を含有する免疫原で免疫処置したマウスからのCD4 T細胞は、インビトロペプチド再刺激時に、IFN-γを生産した。配列番号1を含有するリポペプチドでマウスを免疫処置した。免疫処置マウスからの脾細胞を、A)培地;B)Pam2Cys;C)非脂質化ペプチド(配列番号1);D)リポペプチド(配列番号1を含有するもの)と共に48時間培養した。細胞を6時間再刺激し、表面CD4および細胞内IFN-γを染色した。代表的なフローサイトメトリー等高線図がIFN-γを生産するCD4 T細胞を描いており、数字はそれらのパーセンテージを示している。
開発された免疫原はBCGよりも良い防御を付与する。マウスモデルにおける防御試験を、説明のとおりに行った。肺におけるマイコバクテリア負荷をCFUプレーティングによって数え上げた。結果を平均値±SD(log10値)で棒グラフとして表す。マウスを、A)PBS;B)BCG;C)配列番号1を含有する免疫原;D)インフルエンザヘマグルチニンウイルス由来のペプチドを含有する無関係なリポペプチドで免疫処置した。「*」はp<0.05、「**」はp<0.01、「***」はp<0.001を示す。
開発された免疫原性リポペプチドによる免疫処置は、モルモットにおいて、M. tuberculosisに対する防御をもたらす。モルモットモデルにおける防御試験を、説明のとおりに行った。肺におけるマイコバクテリア負荷をコロニー形成単位(CFU)プレーティングによって数え上げた。結果を平均値±SD(log10値)で棒グラフとして表す。動物を、A)PBS;B)BCG;C)配列番号1を含有する免疫原;D)インフルエンザヘマグルチニンウイルス由来の無関係なリポペプチドで免疫処置した。「*」はp<0.05、「**」はp<0.01、「***」はp<0.001を示す。
開発された免疫原性リポペプチドは、ヒト末梢血単核球の増殖を誘導する。ヒト末梢血単核球を喀痰陽性結核患者から得て、A)培地のみ;B)免疫原(配列番号1を含有するもの);C)遊離ペプチド(配列番号1);D)免疫原(配列番号103を含有するもの);E)非脂質化ペプチド(配列番号103);F)免疫原(配列番号1と配列番号103の配列をどちらも含有するもの);非脂質化ペプチド(配列番号1と配列番号103の配列をどちらも含有するもの)と共に、48時間インキュベートした。T細胞増殖を3H-チミジン取り込みで測定した。

0063

[発明の詳細な説明]
使用する略号:
TB:結核、M. tuberculosis:Mycobacterium tuberculosis
BCG:カルメットゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)
TLR:Toll様受容体
HLA:ヒト白血球抗原
MHC:主要組織適合遺伝子複合体
DC:樹状細胞
APC:抗原提示細胞
L21:X1=配列番号2かつX2=0である免疫原
L91:X1=配列番号1かつX2=0である免疫原
p21:配列番号2によって表されるプロミスキャスエピトープ
p91:配列番号1によって表されるプロミスキャスエピトープ
PBMC:末梢血単核球
PBS:リン酸緩衝食塩水
PPD+:精製ツベルクリン(purified protein derivative)
Pam2Cys:S-[2,3-ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン
BMDC:骨髄由来DC
Ab:抗体
p.i.:免疫処置後

0064

M. tuberculosis由来の「ペプチド」および「エピトープ」という用語は本発明においては交換可能に使用されている。

0065

本発明は、M. tuberculosis由来のプロミスキャスペプチドと、TLRリガンド[TLR]の生化学とを利用して、プロミスキャスCD4および/またはCD8ペプチド/エピトープがリジンおよび/またはセリンリンカーを介してTLRリガンド(TLR1〜TLR13)と物理的に関連付けられている合成免疫原を設計する。これらは、共有結合することによって、または最終的には抗原提示細胞(とりわけ樹状細胞)によってヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞に効果的に提示されるであろう合成ナノ粒子またはリポソーム中にそれらをカプセル化することによって、医薬的に投与可能な形態で調製される。また、場合によっては、該免疫原が、それを医薬上許容される担体、希釈剤または添加剤と組み合わせることにより、ワクチンの形態で調製される。M. tuberculosisプロテオーム由来のプロミスキャスペプチドをインシリコツールおよび/または実験的方法を使って同定したところ、全部で103個であることがわかった。それらを表1に掲載する。この表には、本発明において使用したM. tuberculosisの103個のCD4およびCD8プロミスキャスエピトープの全ての配列番号と配列が示されている。次に、同定されたペプチドを、そのペプチドへの共有結合に適したTLRリガンドに共有結合した後、合成ナノ粒子およびリポソームに混合および/またはカプセル化した。

0066

本願において選ばれた実施例として使用するプロミスキャスT細胞エピトープは、ペプチド結合アッセイ(参照結合ペプチドを使用するもの)および/またはT細胞増殖およびIFN-γ、IL-2、IL-4分泌を使って同定された(Agrewala and Wilkinson 1997, 1998, 1999;Weichold et al 2007)。列挙したペプチド配列は、IEDB予測サーバーを使ってコンピュータ予測し、IC50<500の結合カットオフと、最低3つのHLAアレルに結合するペプチドの能力とに基づいて選択した。また、数個のペプチドをインビトロ結合アッセイおよびCD8 T細胞溶解アッセイに基づいて選択した(Axelsson-Robertson et al, 2009;Masemola et al 2004)。上述の方法で試験したM. tuberculosis由来のプロミスキャスペプチド/エピトープの配列は、配列番号1〜103[表1]によって表される。

0067

プロミスキャスペプチドへのTLRリガンドの共有結合:配列番号1〜103によって表されるペプチド/エピトープを、標準的Fmoc技法を使って合成した。コンストラクトが2つ以上のポリペプチドを有する場合は、それらをリジン残基で連結した後、免疫原性を強化するために、そしてまた、ペプチドをTLRリガンドに連結することを可能にするために、2つのセリン残基を付加した。確立された方法(Jackson et al 2004)を使って、ペプチド(セリンリンカーを伴うもの)を、TLRリガンドにカップリングした。手短に言うと、過剰の合成TLRリガンド、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N,N-テトラメチルウロニウム-テトラフルオロボレート、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを、ジクロロメタン[DCM]に溶解し、3倍過剰のジイソプロピルエチルアミンを加えた。次に、この溶液を、レジン結合ペプチド(前もって合成したもの)に加えてリポペプチドを生成させ、それをレジンから切り出し、逆相クロマトグラフィーを使って精製した。免疫原の免疫原性を増加させるために、2つのセリン残基をペプチドの後ろに付加した。

0068

上で調製した免疫原を、APCの表面に発現したTLR、ならびにMHCクラスIおよびII分子に結合させた。TLRのトリガリングはAPCの成熟ならびに共刺激分子およびサイトカインのアップレギュレーションをもたらした。成熟APCは、CD4+およびCD8+ T細胞にペプチドを効果的に提示し、M. tuberculosisに対するロバストな免疫応答を引き出す(図1)。この戦略は、インビボで直接使用することもできるし、あるいはインビトロで、DCにこの免疫原をパルスし、トリガーしてから、防御免疫を誘導するために宿主養子移入することもできる。

0069

ペプチドおよびTLRリガンドのカプセル化:例えば核酸(TLR3、7、9のリガンド)がそうであるように共有結合が容易でない場合、およびTLRリガンドが主として細胞内にある場合には、カプセル化を行う。ただし、TLR2、4および5にも、同じ戦略を適用することができる。なぜなら、それらはエンドソームコンパートメントでも発現しているからである。M. tuberculosis由来のプロミスキャスCD4およびCD8エピトープを、これらのペプチドに共有結合することができない核酸のようなTLRリガンドと混合するか、または共有結合したTLR2、4リガンド−プロミスキャスエピトープを、ポリγ-グルタミン酸ポリ(d,l-乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、2-ジエチルアミノエチルメタクリレートアミノエチルメタクリレート、メチルメタクリレート(mehtyl methacrlate)などを使って、樹状細胞に取り込まさせるためのナノ粒子様複合体の形でカプセル化した。

0070

さらにまた、この戦略に特別な変更を加えて、樹状細胞を標的にすることもできる。全てのAPCは抗原を貪欲に取り込むことができる。APCのなかで、樹状細胞は直径500〜700nmまでの大サイズの粒子を取り込むことができる。しかし、ナノ粒子にカプセル化された抗原の効果的な免疫処置のためには、サイズを200nm以下にすべきである。それゆえに、直接的免疫処置の場合は直径200nmの粒子が、また、カプセル化された材料のインビトロ添加後に、生体系に養子移入する場合は500nmのカプセル化粒子が、理想的であるだろう。M. tuberculosis由来のプロミスキャスCD4およびCD8 T細胞エピトープを、これらのペプチドに共有することができない核酸のようなTLRリガンドと混合し、共有結合したTLR2、TLR4リガンド−プロミスキャスエピトープを、樹状細胞に取り込まさせるためのナノ粒子様複合体の形でカプセル化した。

0071

APCはカプセル化されたコンストラクトを貪欲に取り込み、ひとたびそれがエンドソームコンパートメントに達すると、TLRリガンドがAPCを活性化し、CD4 T細胞エピトープがMHCII分子に負荷されて、CD4 T細胞に提示されるであろう。CD8 T細胞エピトープはMHC I分子に負荷され、効果的なCD8 T細胞プライミングを引き出して、最終的にはロバストなCD4およびCD8 T細胞応答につながるであろう。

0072

データによれば、脂質化プロミスキャスペプチドは、多くのマウス系統においてロバストナT細胞応答を与える(図2)。さらにまた、ヒトにおけるHLA拘束性を回避することもできる(図3)。さらに、これはDC成熟を強化し、主としてTh1応答をもたらす(図4、5)。

0073

この戦略を使って、多くの病原性生物およびがん、アレルギーのような一連の疾患に対する効果的な免疫応答を生成させることができる。

0074

以下の実施例は例示のために記載するに過ぎず、したがって本発明の範囲を限定するものであると解釈してはならない。

0075

実験動物実験には6〜8週齢の雌BALB/c、C3He、およびC57BL/6マウスを使用した。別段の言及がある場合を除き、全ての実験をBALB/cで行った。防御試験には雌Duncan-Hartleyモルモット(6〜8週齢)を使用した。動物は、Institute of Microbial Technology(インド・チャンディガル)およびNational JALMA Institute for Leprosy and Other Mycobacterial Diseases(NJIL& OMD)(インド・アグラ)のバイオセーフティーレベル3施設において飼育した。動物にはペレット飼料と水を自由に摂取させた。

0076

患者および健常ボランティア.喀痰陽性肺結核患者およびPPD+健常ボランティアの血液からPBMCを分離した。

0077

免疫処置.開発された免疫原性リポペプチド(20nmol/匹)でマウスを免疫処置した。21日後に、ブースター用量(10nmol)を投与した。ブースター免疫処置の45日後に動物を屠殺した。長期T細胞記憶試験および防御試験の場合は、リポペプチドまたは対照非脂質化ペプチドを腹腔内に免疫処置し(20nmol/マウスまたは100nmol/モルモット)、21日後に、ブースター(10nmol/マウスおよび50nmol/モルモット)を接種した。比較のために、BCG(1×106CFU/匹)で動物を免疫処置した。動物を75日間休ませてから、生M. tuberculosisによるエアロゾルチャレンジを行った。チャレンジの30日後に動物を屠殺した。

0078

[実施例1]
脂質化ペプチドの合成:ペプチドおよびリポペプチドの合成、精製、および特徴づけは、以下に詳述する手順に従って行った。

0079

CD4 T細胞エピトープとCD8 T細胞エピトープの間に脂質を取り付けることができるように、レジン結合ペプチドのほぼ中央で、2つのエピトープの間の一点に、F-moc-リジン(Mtt)-OHを挿入した。ペプチド合成の完成後に、DCM中の1%TFAを使って30〜45分間にわたる連続フロー洗浄により、Mtt基を除去した。次に、露出したε-アミノ基に、Pam2Cysを、既述の手順に従ってカップリングした(Zeng et al., 1996)。Pam2Cys部分とペプチド部分の間のセリンの存在は免疫原性を改善する。それゆえに、Pam2Cys含有ペプチド免疫原のペプチド部分と脂質部分の間に、2残基のセリンを組み込んだ。これは、単に、脂質部分を共有結合する前に、ペプチドに2つのセリン残基を逐次的に付加することによって行われた。

0080

この方法を使用して、単一のプロミスキャスCD4またはCD8 T細胞エピトープを含有するコンストラクト、またはCD4およびCD8 T細胞エピトープをどちらも含有するコンストラクトを合成した。免疫原性は、マウス、モルモットにおいて、またヒトリンパ球を使って、実験的に検証した。

0081

単純な配列については、自動合成装置の使用は時間の節約になり、問題も比較的少ないが、ペプチドを手動で合成することによって、より高い自由度と、アセンブリプロセスの制御が可能になることがわかった。これは、任意の時点で迅速かつ容易な介入が可能になることから、難しい配列の合成にとっては特に重要である。本実験室においてペプチドの手動合成に日常的に使用されている装置は、ガラス多岐管(最大4つの焼結ガラス漏斗支えることができ、それにより、最大4つのペプチドの同時合成を可能にするもの)を取り付けたフラスコからなる。溶媒を各漏斗から吸引することができるように、フラスコの側枝には、真空ポンプが取り付けられる。多岐管には、減圧を4つの漏斗全てにあまねく適用するか、または個々の漏斗に制限することができるように配置された弁も含まれている。

0082

ペプチド合成に利用することができる固相支持体選択肢は非常に多く、ペプチド化学者目指す人は、ほんの少し時間を費やすだけで、実行可能な手段に精通することになるはずである。ただし、MHCIIに結合するように設計されたTヘルパー細胞エピトープおよびMHC I分子の溝にフィットするように設計された細胞傷害性T細胞エピトープのためには、遊離カルボキシルCOOH基C末端に含有するペプチドをアセンブルするためのレジン(すなわちRapp PolymereのTentagel SPHBレジン)を使用すべきである。

0083

配列番号1[SEFAYGSFVRTVSLPVGADE]-K-配列番号2[FVRSSNLKF]を含む免疫原の合成の場合は、1gのTentagel S RAMレジンを焼結ガラス漏斗にはかりとり、室温のDMF中で少なくとも30分間は膨潤させた。
1.レジン上のFmoc保護NH2基を露出させるために、ピペリジンまたはDMF中の2.5%DBUで5分間×2回処理した後、DMFで4回洗浄した。
2.0.92mmolのFmoc-アミノ酸(すなわち、支持体の置換レベルに対して4倍過剰のアミノ酸)をきれいな乾燥プラスチックチューブ(Sarstedt、ドイツ)にはかりとった;[容量10mLのチューブが理想的である]。アミノ酸の量に対して等モル量のHOBTおよびHBTUを、2mLのDMFおよび固相支持体の置換レベルに対して6倍過剰のDIPEAに加えた。ボルテックスおよび超音波処理により、完全に溶解した。
3.ガラス焼結フィルター漏斗中の膨潤レジンから、真空ポンプを使った吸引によってDMFを除去し、活性化されたアミノ酸溶液を加えた。スパチュラ撹拌し、室温で30〜45分間、ときおり撹拌しながらインキュベートした。
4.30〜45分後に、アミノ酸溶液を吸引し、次に、レジンをDMFで2回洗浄した。
5.レジンのビーズを数粒、パスツールピペットで、エッペンドルフチューブに移し、2滴のDIPEAを加えた後、5滴のTNBSA溶液を加えた。目視または顕微鏡下でビーズを調べた。1分後にビーズが無色であるなら、アシル化は完了しており、次のステップを行った。ビーズ中にわずかでも橙色があれば、それは遊離アミノ基の存在と不完全なカップリングを示す。その場合は、TNBSA試験が陰性になるまで、ステップ2〜5を繰り返すべきである。
6.カップリングされたアミノ酸のN-Fmoc基を、ステップ1を実行することによって除去した。Fmoc基の除去は、陽性の橙色変化をもたらすTNBSA試験を行うことによって確認した。
7.次のアミノ酸を使って、配列番号103が完成するまで、ステップ2〜6を繰り返した。
8.脂質の取り付けを可能にするために、(Fmoc)-K(Mtt)-OHを使ってステップ3〜6を繰り返すことで、2つのエピトープの間に脂質を取り付けることができるようにした。
9.配列番号1に対応するアミノ酸でステップ2〜6を繰り返した。
10.ペプチドのN末端を一時的にブロックするために(Boc)-Gly-OHを使ってステップ3〜6を繰り返した。Boc保護基は、アセンブルされた生成物のレジンからの切り出しとそれに付随する側鎖保護基の除去までは、脂質の取り付けに使用した条件による除去に対して耐性である。
11.この時点で、レジン上の完成したペプチドを、DMF、DCM、およびメタノール中で逐次洗浄し、減圧下で乾燥し、非脂質化ペプチド対照として使用するために切り出す準備が整うまでは、乾燥雰囲気下に室温で保存した。
12.ステップ11に続けて、レジンをDMC中の1%TFAで、12分間×5回、処理することで、2つのエピトープの間に位置するリジン残基の側鎖からMtt基を除去した。
13.介在リジン残基の露出したε-アミノ基に2つのセリンをカップリングするために、ステップ2〜6を繰り返し、2番目のセリン残基からFmoc基を除去した。この時点で、ペプチドは、脂質取り付けのための準備が整っている。

0084

ペプチドへのTLRリガンドPam2Cysの取り付け
S-(2,3-ジヒドロキシプロピル)システインの合成
1.トリエチルアミン(6g、8.2mL、58mmol)を、水中のl-システイン塩酸塩(3g、19mmol)および3-ブロモ-プロパン-1,2-ジオール(4.2g、2.36mL、27mmol)に加えた。この均一溶液を3日間、室温に保った。
2.この溶液を減圧下、4℃で濃縮して白色残渣とし、それをアセトンで3回洗浄し、乾燥することにより、S-(2,3-ジヒドロキシプロピル)システインを、白色無定形粉末(2.4g、12.3mmol、64.7%)として得た。この生成物は、これ以上精製せずに、次のステップに使用した。

0085

N-フルオレニルメトキシカルボニル-S-(2,3-ジヒドロキシプロピル)システイン(Fmoc-Dhc-OH)の合成
1.S-(2,3-ジヒドロキシプロピル)システイン(2.45g、12.6mmol)を20mlの9%炭酸ナトリウムに溶解した。
2.フルオレニルメトキシカルボニル-N-ヒドロキシスクシンイミド(3.45g、10.5mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液を加え、その混合物を2時間撹拌した。水(240mL)で希釈し、ジエチルエーテル(25mL×3)で抽出した。
3.濃塩酸水相をpH2に酸性化した後、酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。
4.抽出物を水(50mL×2)および飽和塩ナトリウム溶液(50mL×2)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した。−20℃でエーテルおよび酢酸エチルから再結晶することにより、無色の粉末(2.8g、6.7mmol、63.8%)を得た。

0086

レジン結合ペプチドへのFmoc-Dhc-OHのカップリング
1.DMF(3mL)中のFmoc-Dhc-OH(100mg、0.24mmol)を、HOBT(36mg、0.24mmol)およびDICI(37_al、0.24mmol)を使って、0℃で5分間、活性化した。
2.この混合物を、レジン結合ペプチド(0.06mmol、0.25gのアミノ-ペプチドレジン)が入っている容器に加えた。2時間振とうした後、濾過によって溶液を除去し、レジンをDCMおよびDMF(30mL×3)で洗浄した。TNBSA試験を使って反応の完了を監視した。

0087

Fmoc-Dhc-ペプチドレジンの2つのヒドロキシ基パルミトイル化
1.パルミチン酸(307mg、1.2mmol)、DICI(230_L、1.5mmol)およびDMAP(14.6mg、0.12mmol)を3mLのDCMに溶解した。
2.レジン結合Fmoc-Dhc-ペプチドレジン(0.06mmol、0.25g)を上記の溶液に懸濁し、室温で16時間、振とう下に保った。濾過によって上清を取り除き、ウレアの残渣を全て除去するために、DCMおよびDMFで十分に洗浄した。Fmoc基の除去は、2.5%DBU(5分×2)で達成した。

0088

固相支持体からのリポペプチドの切り出し
この手順では、リポペプチドまたはペプチドを固相支持体から切り出すと同時に、側鎖保護基を有するアミノ酸から側鎖保護基を除去する。
1.減圧乾燥したレジンを、きれいな乾燥マッカートニーガラス瓶に移し、3mLの切り出し試薬(88%TFA、5%フェノール、5%水、および2%TIPS)を加えた。
2.窒素を穏やかに吹き込み、ときおり撹拌しながら少なくとも3時間は放置した。
3.その混合物を、非脱脂綿(non-adsorbent cotton wool)を詰めた5mLシリンジの筒に移し、プランジャーを使って、ペプチド含有上清をきれいな乾燥10mL遠心チューブ吐出した。
4.その溶液を穏やかな窒素気流下で体積が約500μLになるまで蒸発させた。
5.10mLの冷ジエチルエーテルをペプチド溶液に加え、激しくボルテックスすることで、ペプチドを沈殿させた。
6.ペプチド材料を沈降させるために遠心分離し、ジエチルエーテルを吸引することによって洗浄し、沈殿物を冷ジエチルエーテルに再懸濁した後、冷ジエチルエーテルで2回洗浄した。
7.最終洗浄後に、残っているジエチルエーテルを吸引し、ペレット換気フード中で約1時間乾燥させた。
8.沈殿物を0.1%TFA水溶液に溶解し、凍結乾燥した。
9.逆相クロマトグラフィーを使って生成物純度を評価し、質量分析によってターゲット配列忠実度(fidelity)を評価した。

0089

簡単に述べると、T細胞エピトープを、マイコプラズマ由来のマクロファージ活性化リポペプチド2(MALP-2)の脂質構成要素に相当する脂質部分Pam2Cysにコンジュゲートした。配列番号1〜98によって表されるCD4 T細胞プロミスキャスペプチドを、M. tuberculosisの16kDa分泌タンパク質から選択し、Pam2Cysにコンジュゲートすることで、免疫原L91を作製した。配列番号99〜103によって表されるCD8プロミスキャスT細胞エピトープを、M. tuberculosisの抗原85Bから選択した。対照リポペプチドは、配列KYVKQNTLKLを含有するインフルエンザヘマグルチニンウイルスHA)由来のエピトープを使って合成した。全てのペプチドのN末端を2つのセリン残基で修飾し、次に脂質部分Pam2Cysで修飾することにより、合成リポペプチドを得た。

0090

[実施例2]
マウスおよびモルモットにおける防御試験
動物を上述のように免疫処置し、75日間休ませた。次に、それらを、100CFU(マウス)または30CFU(モルモット)のM. tuberculosis H37Rvに、エアロゾル経路で曝露し、30日後に屠殺した。肺におけるマイコバクテリア負荷量をCFUプレーティングによって推定した。組織病理学的分析のために、ホルマリン固定組織を加工し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。

0091

結果
リポペプチドの免疫処置はロバストなTh1免疫応答をもたらす
配列番号1を含有する免疫原性リポペプチドで免疫処置したマウスを45日間休ませ、リコール応答について調べた。ペプチドによる再刺激時に、CD4 TヘルパーT細胞におけるIFN-γの優勢な生産(図6)が観察された。

0092

リポペプチドの免疫処置はマウスにおいてM. tuberculosisに対する防御をもたらす
配列番号1(SEFAYGSFVRTVSLPVGADE)を含有する調製された免疫原リポペプチドを使って実験的結核からの防御が果たされうるかどうかを調べた。マウスにリポペプチドまたは対照(BCG、遊離ペプチド、インフルエンザヘマグルチニン由来の無関係なリポペプチド、およびプラセボ)をワクチン接種した。その後、ワクチン接種後75日目に、マウスに、M. tuberculosisをエアロゾルチャレンジし、30日後に屠殺した。配列番号1を含有する免疫原リポペプチドで免疫処置したマウスは、BCG(p<0.05)および他の対照と比較して、マイコバクテリウムの成長を有意に制限することが観察された(図7)。

0093

リポペプチドによる免疫処置はモルモットにおいてM. tuberculosisに対する防御をもたらす
次の一組の実験は、モルモットにおいて、配列番号1(SEFAYGSFVRTVSLPVGADE)を含有する免疫原リポペプチドによるワクチン接種が、実験的結核からの防御を果たしうるかどうかを証明するために行った。Duncan-Hartleyモルモットに、調製したリポペプチドまたは対照(プラセボ、BCG、遊離ペプチド、およびインフルエンザヘマグルチニンウイルス由来の無関係なリポペプチド)をワクチン接種した。その後、ワクチン接種後75日目に、動物にM. tuberculosisをエアロゾルチャレンジし、30日後に屠殺した。配列番号1を含有する免疫原リポペプチドで免疫処置した動物は、肺に抱える細菌負荷が、BCGおよび他の対照と比較して有意に低いことが観察された(図8)。

0094

[実施例3]
エアロゾル感染および肺におけるマイコバクテリア負荷量
M. tuberculosis H37Rvの凍結ストックを37℃で素速く融解し、10000×gで10分間遠心分離し、PBS-Tween-80で2回洗浄した。吸入曝露ステム(Glas-Col、インディアナ州テレホート)を使って約100個(マウス)または30個(モルモット)の生細菌を肺に沈着させることで(曝露の24時間後のCFUプレーティングによって調べた)、ペプチド/BCG/プラセボ免疫処置動物に、規格化された低用量のエアロゾル感染で、チャレンジした。感染の30日後に、肺を収穫し、Tween-80(0.05%)が補足された7H9中でホモジナイズした。個々の肺のホモジネートを連続希釈したものを、チオフェンカルボキシルヒドラジド(TCH、2μg/ml)およびOADCを含有するミドルルック7H11上にプレーティングした。37℃で3〜4週間のインキュベーション後にCFUを計数した。

0095

リポペプチドの免疫処置はマウスにおいて結核に対する防御をもたらす.
配列番号1(SEFAYGSFVRTVSLPVGADE)を含有する調製された免疫原リポペプチドを使って、実験的結核からの防御が果たされうるかどうかを調べた。マウスにリポペプチドまたは対照(BCG、遊離ペプチド、インフルエンザヘマグルチニン由来の無関係なリポペプチド、およびプラセボ)をワクチン接種した。その後、ワクチン接種後75日目に、マウスに、M. tuberculosisをエアロゾルチャレンジし、30日後に屠殺した。配列番号1を含有する免疫原リポペプチドで免疫処置したマウスは、BCG(p<0.05)および他の対照と比較して、マイコバクテリウムの成長を有意に制限することが観察された(図7)。

0096

リポペプチドによる免疫処置はモルモットにおいて結核に対する防御をもたらす
次の一組の実験は、モルモットにおいて、配列番号1(SEFAYGSFVRTVSLPVGADE)を含有する免疫原リポペプチドによるワクチン接種が、実験的結核からの防御を果たしうるかどうかを証明するために行った。Duncan-Hartleyモルモットに、調製したリポペプチドまたは対照(プラセボ、BCG、遊離ペプチド、およびインフルエンザヘマグルチニンウイルス由来の無関係なリポペプチド)をワクチン接種した。その後、ワクチン接種後75日目に、動物に、M. tuberculosisをエアロゾルチャレンジし、30日後に屠殺した。配列番号1を含有する免疫原リポペプチドで免疫処置した動物は、肺に抱える細菌負荷が、BCGおよび他の対照と比較して有意に低いことが観察された(図8)。

0097

[実施例4]
脾臓からのリンパ球の単離
脾臓を無菌的に摘出し、単細胞懸濁液を調製した。RBCACK溶解バッファー(NH4Cl 0.15M、KHCO3 10mM、EDTA88μM)によって溶解し、PBSで三回洗浄し、完全培地[CM;FBS-10%を含有するRPMI-1640]に再懸濁した。脾細胞(2×105/ウェル)を96ウェルU底プレート中で48〜72時間培養した。異なる濃度のペプチドを培養物に加えた。前もって設定された用量(50または100ng/ml)の市販超高純度Pam2Cys(Invivogen)を対照として使用した。

0098

リポペプチド免疫処置マウスからのリンパ球は、ペプチドによるリコール刺激に対し、T細胞増殖およびIFN-γ分泌によって、効果的に応答した(図2および5B)。

0099

[実施例5]
増殖アッセイ
T細胞増殖アッセイは、ヒトPBMCまたはマウス脾細胞をペプチドと共にそれぞれ72時間および48時間インキュベートすることによって設定した。その後、[3H]-チミジン(0.5μCi/ウェル)を取り込ませた。16時間後に、プレートを収穫し、取り込まれた放射能を測定した。細胞増殖アッセイは、既述のとおりに設定した(Singh et al., 2011)。簡単に述べると、脾臓および/またはリンパ節から単離したリンパ球(2×105細胞/ウェル)を、96ウェルU底プレートにおいて、異なる濃度のL91/F91と共に、200μlの完全RPMI-1640中で、三つ一組にして培養した。48時間および72時間後に、培養物に0.5μCiの[3H]-チミジンをパルスした。16時間後に、Tomtec-Harvester-96(Tomtec、コネティカット州ハムデン)を使って、プレートを収穫した。取り込まれた放射能をWallac 1450 Microbeta Trilux β-シンチレーション計数器(Perkin Elmer、マサチューセッツウォルサム)によって測定した。ヒトリンパ増殖の場合は、PPD+ボランティアまたは喀痰陽性結核患者から血液(20ml)をバキュテイナーに採取した。Histopaque-1077を製造者の指示に従って使用することにより、末梢単核球(PBMC)を密度勾配法で単離した。1%FBSを含有するPBS中で精製PBMCを4回洗浄した。細胞(2×105細胞/ウェル)を、U底96ウェルプレートにおいて、ペプチドと共に、CM(2-メルカプトエタノールを含まないもの)で、三つ一組にして培養した。細胞を72時間インキュベートした後、0.5μCiの[3H]-チミジンをパルスした。上述のように、16時間後にプレートを収穫した。

0100

結核患者の末梢血単核球の刺激におけるリポペプチドの影響を図9に図解する。配列番号1(SEFAYGSFVRTVSLPVGADE)を含有する免疫原性リポペプチドは、非脂質化ペプチド対応物と比較して、ヒトPBMCの増殖を強化した。興味深いことに、最もよい応答は、CD4ヘルパーエピトープ(配列番号1)とCD8細胞傷害性エピトープ(配列番号103)の両方を含有するリポペプチド免疫原コンストラクトで得られることが観察された。

0101

[実施例6]
細胞内染色
リンパ球(2×106細胞/ml)を、96ウェルプレートにおいて、三つ一組にして、ペプチドと共に48時間培養した。細胞をプールし、洗浄バッファー(FBS-1%を含有するPBS)で2回洗浄した。細胞を、PMA(50ng/ml)およびイオノマイシン(1μg/ml)で、6時間/37℃、再刺激し、最後の4時間はブレフェルジンA(10μg/ml)を培養物に加えた。6時間の活性化後に、細胞を染色バッファー(PBS中のBSA-1%、NaN3-0.01%)で2回洗浄した。Fc受容体を2.4G2でブロッキングしてから、CD4を、抗マウス蛍光色素標識mAbで染色した。細胞を染色バッファーで2回洗浄し、パラホルムアルデヒド-2%中で固定した。次に、それらをPBS-FCS-1%中のサポニン-0.01%(透過処理バッファー)で透過処理した。これに続いて、透過処理バッファー(サポニン-0.01%を含有する染色バッファー)中で、蛍光色素標識抗サイトカインAb(またはそのアイソタイプ対照)と共にインキュベートした。各ステップのインキュベーション期間は30分/4℃とし、そうでない場合は言及する。最後に、細胞をパラホルムアルデヒド-1%中で固定し、FACSAria IIで取得し、データをFACS DIVA(BD Biosciences、カリフォルニアサンホゼ)によって解析した。

0102

リポペプチド免疫処置マウスからのリンパ球は、ペプチドによるリコール刺激に対し、IFN-γの分泌によって、効果的に応答した(図6)。注目すべきことに、IFN-γの分泌はCD4 T細胞に特異的であった。ペプチド構成要素が存在しない場合、Pam2Cysだけでは、CD4 T細胞におけるIFN-γの生産は引き出されなかった。

0103

統計解析.GraphPad InStat 3ソフトウェアにより、対応のないスチューデント「t」検定およびスチューデント-ニューマン-クールズ多重比較検定で、データを解析した。

0104

[本発明の利点]
・本エピトープは正確に定義されており;抗原中の自己反応部分を避けることができる。・甚だしいプロセシングを必要としない。
・開発された免疫原はアジュバントを何ら必要としない。
・完全合成物である。
・CD4 T細胞とCD8 T細胞をどちらも活性化することができる。
・免疫応答をTh1型傾ける
・ナイーブT細胞を活性化することができる。
持続性メモリーT細胞の生成を誘導することができる。
・身体の肺および肺外領域における細菌負荷量を低減することができる。

実施例

0105

[表1]配列番号とそれぞれの配列
使用したプロミスキャスエピトープ[ペプチド]の一覧

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 第一三共株式会社の「 抗体-ピロロベンゾジアゼピン誘導体コンジュゲート」が 公開されました。( 2020/09/10)

    【課題・解決手段】本発明は新規な抗体—ピロロジアゼピン誘導体及びそれを用いた新規な抗体—ピロロジアゼピン誘導体コンジュゲート、並びに新規なCLDN6及び/又はCLDN9抗体を提供する。... 詳細

  • 株式会社カマタの「 カプセル充填用液状組成物及びカプセル剤」が 公開されました。( 2020/09/10)

    【課題・解決手段】難油溶性成分を分散させるための分散安定剤としてヒマワリ種子油を使用することにより、ミツロウやグリセリン脂肪酸エステルを分散安定剤として使用しない、あるいは使用量を少なくしても、ミツロ... 詳細

  • イーライリリーアンドカンパニーの「 抗CD137抗体」が 公開されました。( 2020/09/10)

    【課題・解決手段】本発明は、ヒトCD137に結合し、アゴニスト活性を示し、固形腫瘍および血液腫瘍を単独で、ならびに化学療法および電離放射線と組み合わせて治療するのに有用であり得る、抗体に関する。... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ