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技術 多能性幹細胞から生殖細胞への分化誘導方法

出願人 国立大学法人京都大学
発明者 斎藤通紀林克彦
出願日 2011年7月28日 (7年7ヶ月経過) 出願番号 2013-506973
公開日 2013年10月10日 (5年5ヶ月経過) 公開番号 2013-538038
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 物理的制限 接触期間 全集合 機器メーカー 検出バンド 誘導特性 輸出管 血液由来成分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年10月10日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、多能性幹細胞からエピブラスト様細胞(EpiLC)を製造する方法であって、前記多能性幹細胞をアクチビンAの存在下で培養する、方法;多能性幹細胞から始原生殖細胞様(PGC様)細胞を製造する方法であって、上記方法により得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養する、方法を提供する。本発明はまた、上記方法により得られるようなPGC様細胞を含む細胞集団、多能性幹細胞からのEpiLC−及びPGC様細胞−誘導用試薬キットも提供する。

概要

背景

(発明の背景
発生生物学における主要な課題は、必須の発生経路をin vitroで再構成することであり、これは、新たな実験の機会を提供するだけでなく医学的応用の基礎としても役立つものである。多細胞生物において、生殖細胞系列には新たな生物創出を確保する必須の機能が与えられており、それにより世代を超えて遺伝情報及びエピジェネティック情報が継承される。従って、生殖細胞系列の発生をin vitroで再構成することは、通常、ライフサイエンスにおける本来的意義である。マウス非特許文献1、2、3、4及び5)及びヒト(非特許文献6、7、8、9、10及び11)の胚盤胞内部細胞塊(ICM)に由来する胚性幹細胞ESC)から、in vitroで配偶子又はその前駆細胞始原生殖細胞PGC)を作り出す試みがいくつかなされている(非特許文献12、13及び14のレビューも参照されたい)。しかし、これらの試みは全て、定義されていない(undefined)条件下、胚葉体としてESCのランダム分化を伴い、1種以上のマーカー遺伝子自発的な発現に依存していた。結果として、これら試みは関心ある細胞を得るには非効率的であった。さらに、作製された細胞が健常な子孫の創出に貢献することは何ら実証されていない。

我々は、エピブラストからの生殖細胞系列の分化決定(specification)のために、主要な転写制御因子Blimp1(Prdm1としても知られる)及びPrdm14を同定し(非特許文献15及び16)、PGC分化決定と関連するゲノムワイド転写ダイナミクス発見した(非特許文献17)。最近、我々は、エピブラストからのPGC分化決定のためのシグナル伝達原理を定義し、胎生期(E)5.5〜E6.0のマウス(E6.25を超えるものではない)では基本的に全てのエピブラスト細胞が、浮遊培養での無血清、無フィーダーの定義された条件下(無血清培地SFM)、BMP4を含むサイトカインにより、Blimp1−、Prdm14−、stella−及びアルカリフォスファターゼAP)−陽性PGC様細胞に効率的に再現性良く誘導されたことを示した(非特許文献18)。誘導されたPGC様細胞は、生殖細胞欠損する新生児W/Wvマウスの精巣移植された場合、適切な精子形成を受け、健常な子孫の創出に首尾よく貢献した(非特許文献18)。培養下、ESCや人工多能性幹細胞(iPSC)などの多能性幹細胞から、適切な機能を有するPGCに効率的に再現性良く誘導することは、生殖細胞の発生をin vitroで再構成するのに不可欠な最初のステップであり、これは、多能性幹細胞から、E5.5〜E6.0原腸陥入前エピブラスト細胞の特性を有するエピブラスト様細胞へと最初に分化させることを介して達成され得ることをこれらの発見は実証する。しかし、多能性幹細胞から原腸陥入前エピブラスト様細胞(EpiLC)に効率的に再現性良く誘導できる培養条件は発見されていない。

概要

本発明は、多能性幹細胞からエピブラスト様細胞(EpiLC)を製造する方法であって、前記多能性幹細胞をアクチビンAの存在下で培養する、方法;多能性幹細胞から始原生殖細胞様(PGC様)細胞を製造する方法であって、上記方法により得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養する、方法を提供する。本発明はまた、上記方法により得られるようなPGC様細胞を含む細胞集団、多能性幹細胞からのEpiLC−及びPGC様細胞−誘導用試薬キットも提供する。なし

目的

(発明の背景)
発生生物学における主要な課題は、必須の発生経路をin vitroで再構成することであり、これは、新たな実験の機会を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

多能性幹細胞からエピブラスト様細胞(EpiLC)を製造する方法であって、前記多能性幹細胞をアクチビンAの存在下で培養する、方法。

請求項2

EpiLCが、分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つの遺伝子発現の上昇を示す、請求項1記載の方法。

請求項3

EpiLCが、分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの遺伝子発現の低下を示す、請求項1又は2記載の方法。

請求項4

さらに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)及び/又はKnockOut(商標)Serum Replacement(KSR)の存在下で培養を実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

無血清及び無フィーダー条件下で培養を実施する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

培養を3日未満実施する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

培養を約2日間実施する、請求項6記載の方法。

請求項8

多能性幹細胞から始原生殖細胞様(PGC様)細胞を製造する方法であって、以下の工程I)及びII)を含む、方法:I)請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法でEpiLCを製造する工程、II)工程I)で得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養する工程。

請求項9

PGC様細胞が、分化誘導前のEpiLCに比して、Blimp1及び/又はStella(Dppa3)遺伝子発現の上昇を示す、請求項8記載の方法。

請求項10

PGC様細胞が、正常な精子形成に貢献できる、請求項8又は9記載の方法。

請求項11

前記工程II)の培養をさらにSCF及び/又はBMP8b及び/又はEGFの存在下で実施する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

前記工程II)の培養を無血清条件下で実施する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。

請求項13

前記工程I)の培養をアクチビンA、bFGF及びKSRの存在下で実施し、前記工程II)の培養をBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFの存在下で実施する、請求項8記載の方法。

請求項14

さらに、III)前記工程II)で得られた細胞からBlimp1陽性細胞を選択する工程を含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。

請求項15

さらに、III)前記工程II)で得られた細胞からSSEA1−及びインテグリン−β3−二重陽性細胞を選択する工程を含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。

請求項16

多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPSC)又は胚性幹細胞ESC)である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項17

アクチビンA、bFGF及びKSRを含む、多能性幹細胞からEpiLCへの分化誘導用試薬キット

請求項18

以下の(1)及び(2)を含む、多能性幹細胞からPGC様細胞への分化誘導用試薬キット:(1)アクチビンA、bFGF及びKSRを含む、多能性幹細胞からEpiLCへの1以上の誘導用試薬、(2)BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含む、EpiLCからPGC様細胞への1以上の誘導用試薬。

請求項19

多能性幹細胞がiPSC又はESCである、請求項17又は18記載の試薬キット

請求項20

請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造される、EpiLCを含む細胞集団

請求項21

EpiLCが、以下の(1)及び(2)の特徴を有する、請求項20記載の細胞集団:(1)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つの遺伝子発現が上昇している、(2)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの遺伝子発現が低下している。

請求項22

1つ以上の初期化遺伝子が、細胞集団を構成する細胞のゲノム中に組み込まれた、請求項20又は21記載の細胞集団。

請求項23

初期化遺伝子が、Oct3/4、Sox2、Klf4及びc−Mycからなる4種の遺伝子、又はOct3/4、Sox2及びKlf4からなる3種の遺伝子である、請求項22記載の細胞集団。

請求項24

請求項20〜23のいずれか1項に記載の細胞集団を細胞源として用いる、エピブラストに由来する種々の細胞種の製造方法。

技術分野

0001

(発明の技術分野)
本発明は、多能性幹細胞からエピブラスト様細胞(EpiLC)を介して始原生殖細胞様細胞(PGC様細胞)を誘導する方法、そのための試薬キット、該方法から得たEpiLCを含む細胞集団、及びエピブラストに由来する生殖細胞系列に属する細胞を該細胞集団から誘導する方法に関する。

背景技術

0002

(発明の背景
発生生物学における主要な課題は、必須の発生経路をin vitroで再構成することであり、これは、新たな実験の機会を提供するだけでなく医学的応用の基礎としても役立つものである。多細胞生物において、生殖細胞系列には新たな生物創出を確保する必須の機能が与えられており、それにより世代を超えて遺伝情報及びエピジェネティック情報が継承される。従って、生殖細胞系列の発生をin vitroで再構成することは、通常、ライフサイエンスにおける本来的意義である。マウス非特許文献1、2、3、4及び5)及びヒト(非特許文献6、7、8、9、10及び11)の胚盤胞内部細胞塊(ICM)に由来する胚性幹細胞ESC)から、in vitroで配偶子又はその前駆細胞(始原生殖細胞:PGC)を作り出す試みがいくつかなされている(非特許文献12、13及び14のレビューも参照されたい)。しかし、これらの試みは全て、定義されていない(undefined)条件下、胚葉体としてESCのランダム分化を伴い、1種以上のマーカー遺伝子自発的な発現に依存していた。結果として、これら試みは関心ある細胞を得るには非効率的であった。さらに、作製された細胞が健常な子孫の創出に貢献することは何ら実証されていない。

0003

我々は、エピブラストからの生殖細胞系列の分化決定(specification)のために、主要な転写制御因子Blimp1(Prdm1としても知られる)及びPrdm14を同定し(非特許文献15及び16)、PGC分化決定と関連するゲノムワイド転写ダイナミクス発見した(非特許文献17)。最近、我々は、エピブラストからのPGC分化決定のためのシグナル伝達原理を定義し、胎生期(E)5.5〜E6.0のマウス(E6.25を超えるものではない)では基本的に全てのエピブラスト細胞が、浮遊培養での無血清、無フィーダーの定義された条件下(無血清培地SFM)、BMP4を含むサイトカインにより、Blimp1−、Prdm14−、stella−及びアルカリフォスファターゼAP)−陽性PGC様細胞に効率的に再現性良く誘導されたことを示した(非特許文献18)。誘導されたPGC様細胞は、生殖細胞欠損する新生児W/Wvマウスの精巣移植された場合、適切な精子形成を受け、健常な子孫の創出に首尾よく貢献した(非特許文献18)。培養下、ESCや人工多能性幹細胞(iPSC)などの多能性幹細胞から、適切な機能を有するPGCに効率的に再現性良く誘導することは、生殖細胞の発生をin vitroで再構成するのに不可欠な最初のステップであり、これは、多能性幹細胞から、E5.5〜E6.0原腸陥入前エピブラスト細胞の特性を有するエピブラスト様細胞へと最初に分化させることを介して達成され得ることをこれらの発見は実証する。しかし、多能性幹細胞から原腸陥入前エピブラスト様細胞(EpiLC)に効率的に再現性良く誘導できる培養条件は発見されていない。

先行技術

0004

Hubner, K. et al. Derivation of oocytes from mouse embryonic stem cells. Science 300, 1251-1256 (2003).
Toyooka, Y., Tsunekawa, N., Akasu, R. & Noce, T. Embryonic stem cells can form germ cells in vitro. Proc Natl Acad Sci USA 100, 11457-11462 (2003).
Geijsen, N. et al. Derivation of embryonic germ cells and male gametes from embryonic stem cells. Nature 427, 148-154 (2004).
Nayernia, K. et al. In vitro-differentiated embryonic stem cells give rise to male gametes that can generate offspring mice. Dev Cell 11, 125-132 (2006).
West, J. A. et al. A role for Lin28 in primordial germ-cell development and germ-cell malignancy. Nature 460, 909-913, doi:nature08210 [pii] 10.1038/nature08210 (2009).
Clark, A. T. et al. Spontaneous differentiation of germ cells from human embryonic stem cells in vitro. Hum Mol Genet 13, 727-739, doi:10.1093/hmg/ddh088 ddh088 [pii] (2004).
Kee, K., Gonsalves, J. M., Clark, A. T. & Pera, R. A. Bone morphogenetic proteins induce germ cell differentiation from human embryonic stem cells. Stem Cells Dev 15, 831-837, doi:10.1089/scd.2006.15.831 (2006).
Tilgner, K. et al. Isolation of primordial germ cells from differentiating human embryonic stem cells. Stem Cells26, 3075-3085, doi:2008-0289 [pii] 10.1634/stemcells.2008-0289 (2008).
Bucay, N. et al. A novel approach for the derivation of putative primordial germ cells and sertoli cells from human embryonic stem cells. Stem Cells 27, 68-77, doi:2007-1018 [pii] 10.1634/stemcells.2007-1018 (2009).
Kee, K., Angeles, V. T., Flores, M., Nguyen, H. N. & Reijo Pera, R. A. Human DAZL, DAZ and BOULEgenes modulate primordial germ-cell and haploid gamete formation. Nature 462, 222-225, doi:nature08562 [pii] 10.1038/nature08562 (2009).
Park, T. S. et al. Derivation of primordial germ cells from human embryonic and induced pluripotent stem cells is significantly improved by coculture with human fetal gonadal cells. Stem Cells 27, 783-795, doi:10.1002/stem.13 (2009).
Daley, G. Q. Gametes from embryonic stem cells: a cup half empty or half full? Science316, 409-410 (2007).
Mathews, D. J. et al. Pluripotent stem cell-derived gametes: truth and (potential) consequences. Cell Stem Cell5, 11-14, doi:S1934-5909(09)00289-6 [pii] 10.1016/j.stem.2009.06.005 (2009).
Saitou, M. & Yamaji, M. Germ cell specification in mice: signaling, transcription regulation, and epigenetic consequences. Reproduction 139, 931-942, doi:REP-10-0043 [pii] 10.1530/REP-10-0043 (2010).
Ohinata, Y. et al. Blimp1 is a critical determinant of the germ cell lineage in mice. Nature 436, 207-213 (2005).
Yamaji, M. et al. Critical function of Prdm14 for the establishment of the germ cell lineage in mice. Nat Genet 40, 1016-1022 (2008).
Kurimoto, K. et al.Complex genome-wide transcription dynamics orchestrated by Blimp1 for the specification of the germ cell lineage in mice. Genes Dev 22, 1617-1635 (2008).
Ohinata, Y. et al. A signaling principle for the specification of the germ cell lineage in mice. Cell 137, 571-584 (2009).

発明が解決しようとする課題

0005

(発明の概要
従って、本発明の目的は、高効率で高い再現性を有する、多能性幹細胞からEpiLCを誘導する方法を提供し、それによりin vitroにおいて、ESC及びiPSCを含む多能性幹細胞からの生殖細胞分化決定経路の機能的再構成を達成することである。本発明の別の目的は、無血清及び無フィーダー条件下で多能性幹細胞から生殖細胞を誘導する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

エピブラスト幹細胞(EpiSC)は、培養液中のアクチビンA及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の連続的な存在下、E5.5〜E6.5エピブラストに由来する多能性幹細胞であり(Nature 448, 191−195(2007);Nature 448, 196−199(2007))、そこからin vitroでPGC様細胞を誘導するための潜在的候補である。しかし、本発明者らは、複数の条件下で培養されたEpiSCが、BMP4を含有するSFMにおいて、Blimp1−及びstella−陽性細胞に効率的に誘導されないことを発見した。EpiSCは、Gata6、Sox17、Cer1などの内胚葉マーカー高レベルな発現に反映されるように、PGCの運命付け(fate)に完全に適したものではないため、原腸陥入前のエピブラストとは異なる特性を有し得る。

0007

従って、本発明者らは、上記目的を達成するために、多能性幹細胞をE5.5〜E6.0エピブラスト様状態に誘導し得る条件を決定しようと試みた。第一に、本発明者らは、Blimp1−mVenus and stella−ECFPレポーター(BVSC;Reproduction 136, 503−514(2008))を有するマウスESCを作製した。PGCは、Blimp1(Prdm1)及びstella(Dppa3)を特異的に発現するので、マウスESCは、そこからのPGC分化を可視化できる。レポーターESCを、約E3.5〜E4.5 ICM/初期エピブラスト様状態でESCを保つ条件下で維持し、次いでアクチビンAを添加したSFM(任意選択でbFGF及びKnockOut(商標)Serum Replacement(KSR)を添加してもよい)中で3日間培養した。培養の間、ESCはエピブラスト様の扁平な細胞、すなわちEpiLCに一様に分化した。

0008

次いで、得られたEpiLCを、BMP4、BMP4及びLIF、又はBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを添加したSFM中で培養した。その結果、EpiLCは、基本的にはBMP4の存在下、Blimp1−及びstella−陽性PGC様細胞に誘導され、PGC様細胞の維持/生存/増殖は、LIFにより高められ、LIF、SCF、BMP8b及びEGFによってより確実に(robustly)高められた。

0009

EpiLCを介したESCからのPGC様細胞の誘導と関連する遺伝子発現ダイナミクスは、エピブラストを介した内部細胞塊(ICM)からのPGC分化決定のものと酷似した。驚くべきことに、PGC様細胞は、精子形成及び健常な子孫の創出に確実に貢献した。

0010

本発明者らは、これらの発見に基づきさらに研究を進め、本発明を完成させた。

0011

すなわち、本発明は以下に関する:
[1]多能性幹細胞からエピブラスト様細胞(EpiLC)を製造する方法であって、前記多能性幹細胞をアクチビンAの存在下で培養する、方法。
[2]EpiLCが、分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つの遺伝子発現の上昇を示す、上記[1]記載の方法。
[3]EpiLCが、分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの遺伝子発現の低下を示す、上記[1]又は[2]記載の方法。
[4]さらに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)及び/又はKnockOut(商標)Serum Replacement(KSR)の存在下で培養を実施する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]無血清及び無フィーダー条件下で培養を実施する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]培養を3日未満実施する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]培養を約2日間実施する、上記[6]記載の方法。
[8]多能性幹細胞から始原生殖細胞様(PGC様)細胞を製造する方法であって、以下の工程I)及びII)を含む、方法:
I)上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法でEpiLCを製造する工程、
II)工程I)で得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養する工程。
[9]PGC様細胞が、分化誘導前のEpiLCに比して、Blimp1及び/又はStella(Dppa3)遺伝子発現の上昇を示す、上記[8]記載の方法。
[10]PGC様細胞が、正常な精子形成に貢献できる、上記[8]又は[9]記載の方法。
[11]前記工程II)の培養をさらにSCF及び/又はBMP8b及び/又はEGFの存在下で実施する、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記工程II)の培養を無血清条件下で実施する、上記[8]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記工程I)の培養をアクチビンA、bFGF及びKSRの存在下で実施し、前記工程II)の培養をBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFの存在下で実施する、上記[8]記載の方法。
[14]さらに、
III)前記工程II)で得られた細胞からBlimp1陽性細胞を選択する工程
を含む、上記[8]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[15]さらに、
III)前記工程II)で得られた細胞からSSEA1−及びインテグリン−β3−二重陽性細胞を選択する工程
を含む、上記[8]〜[13]のいずれかに記載の方法。
[16]多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞(iPSC)又は胚性幹細胞(ESC)である、上記[1]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]アクチビンA、bFGF及びKSRを含む、多能性幹細胞からEpiLCへの分化誘導用試薬キット
[18]以下の(1)及び(2)を含む、多能性幹細胞からPGC様細胞への分化誘導用試薬キット:
(1)アクチビンA、bFGF及びKSRを含む、多能性幹細胞からEpiLCへの1以上の誘導用試薬
(2)BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含む、EpiLCからPGC様細胞への1以上の誘導用試薬。
[19]多能性幹細胞がiPSC又はESCである、上記[17]又は[18]記載の試薬キット。
[20]上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法により製造された、EpiLCを含む細胞集団。
[21]EpiLCが、以下の(1)及び(2)の特徴を有する、上記[20]記載の細胞集団:
(1)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つの遺伝子発現が上昇している、
(2)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの遺伝子発現が低下している。
[22]1つ以上の初期化遺伝子が、細胞集団を構成する細胞のゲノム中に組み込まれた、上記[20]又は[21]記載の細胞集団。
[23]初期化遺伝子が、Oct3/4、Sox2、Klf4及びc−Mycからなる4種の遺伝子、又はOct3/4、Sox2及びKlf4からなる3種の遺伝子である、上記[22]記載の細胞集団。
[24]上記[20]〜[23]のいずれかに記載の細胞集団を細胞源として用いる、エピブラストに由来する種々の細胞種の製造方法。

0012

本発明の多能性幹細胞からPGC様細胞への誘導は、中間体としてEpiLCの誘導を伴う。EpiLCは、E5.5〜E6.0エピブラストの培養等価物であり、PGCの直前の前駆細胞である。従って、本発明の誘導系は、in vivoにおけるICM/初期エピブラストからのPGC分化決定経路を、培養下で正確且つ段階的に再現するものであると考えられる。この考えは、PGC様細胞誘導経路と関連する遺伝子発現ダイナミクスが、in vivoにおけるPGC分化決定経路に関連するものと酷似したことから、強く裏付けられる。中でも注目すべきは、誘導されたPGC様細胞は、比較的高い効率(移植された精巣の3/6で精子形成陽性)で精子形成に貢献し、健常な子孫の創出に貢献する。これは、in vitroにおいてESC又はiPSCから誘導された生殖系列細胞から健常な動物作出することを初めて実証するものである。

0013

PGC分化決定及びその後の発生に関与するメカニズムは、PGCの数がin vivoにおいて極端に少ないこと及びin vitroにおいて増殖し難いことに主に起因して、探索が非常に困難であった。本発明の培養系は、比較的多数(約105〜106)のPGC様細胞を容易に作製でき、それ故、物理的制限によりこれまで探索されていなかった生殖細胞生物学領域を解明するための基礎として役立つ(例えば、PGC分化決定及び増殖/生存に関与する主要なタンパク質生化学的特性分析、PGCにおけるエピジェネティックリプログラミングの正確なメカニズムの分析など)。さらに、無血清及び無フィーダー条件下で多能性幹細胞から適切な特性を有するPGC様細胞を得ることは、生殖細胞発生をin vitroで再構成するための必須の最初のステップである。生殖細胞発生をin vitroで再構成することは、一般に、生殖細胞生物学のより包括的な理解、並びに生殖技術及び医薬の進歩に不可欠であるだろう。

0014

さらに、精子卵子などの生殖細胞系列は、遺伝情報を次世代に継承し、個体を再構成する唯一細胞系譜である。発生の異常は、不妊又は遺伝性疾患伝播発症をもたらし得る。従って、発生過程をin vitroで再構成することは、生殖細胞の詳細な発生メカニズムの解明のみならず、不妊及び遺伝性疾患発症のメカニズムの解明も促進するだろう。

図面の簡単な説明

0015

図1は、培養下、ESCからエピブラスト様細胞(EpiLC)への誘導を示す。図1Aは、EpiLC誘導のスキームを示す。
図1Bの(a)は、Blimp1−mVenus and stella−ECFP(BVSC)(上図)並びにPrdm14−mVenus(P14V)(下図導入遺伝子を有するESCからEpiLCへの誘導を示す。明視野像及びレポーター蛍光像を示す。EpiLC誘導は3日間に亘って実施した。バーは50μmである。(b)は、ESCからのEpiLC(1日目(day 1)、2日目(day 2)及び3日目(day 3))誘導の間、DAPI(下図)により対比染色されたOct3/4(1列目)、Sox2(2列目)及びNanog(3列目)の発現の免疫蛍光分析である。バーは50μmである。
図1Cの(a)は、EpiLC誘導の間の細胞増殖である。3回の独立した実験からの標準偏差を有する平均細胞数を示す。(b)は、Q−PCRにより測定された、EpiLC誘導の間及びE5.75エピブラストの遺伝子発現プロファイルである。検査した各遺伝子について、2つの独立したハウスキーピング遺伝子Arbp及びPpiaの平均CT値からΔCTを計算した。ESCの値を0と設定した。各ポイントについては、EpiLC(赤の白丸)及びエピブラスト(赤で塗り潰された四角)についてそれぞれ3回及び2回の独立した実験の平均値を、log2スケールで示す。u.d.は検出不可能である。
図2は、培養下、EpiLCからPGC様細胞への誘導を示す。図2Aは、ESC、並びに1日目(day−1)、2日目(day−2)及び3日目(day−3)のEpiLCの2日間浮遊培養下でのBlimp1(BV)の誘導に対するLIF、BMP4又はその両方の効果である。day−2 EpiLC培養物は、BMP4、又はBMP4及びLIFに応答してBVを効率的に発現する。バーは200μmである。
図2Bは、ESC、並びに1日目(day−1)、2日目(day−2)及び3日目(day−3)のEpiLCの6日間浮遊培養下でのBlimp1(BV)及びstella(SC)の誘導に対するBMP4、又はBMP4及びLIF、又はBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGF(完全誘導(full induction))の効果である。day−2 EpiLCは、完全誘導条件下、強力(robust)なBVSC発現を有するPGC様細胞となった。バーは200μmである。
図2Cは、day−2 EpiLCを完全誘導条件下で6日間培養した間のBVSV発現のFACS分析である。
図2Dは、day−2 EpiLCから、完全誘導条件下、4日目(d4)及び6日目(d6)でのSC陽性細胞数である。それぞれの棒グラフは、10の集合体(aggregate)からのBVSC陽性細胞数を表す。
図2Eは、day−2 EpiLCからのPGC様細胞誘導の間の遺伝子発現ダイナミクスである。検査した各遺伝子について、2つの独立したハウスキーピング遺伝子Arbp及びPpiaの平均CT値からΔCTを計算した。各ポイントについては、2回の独立した実験の平均値をlog2スケールでプロットする。赤丸及び赤線は、BV−又はBVSC−陽性細胞の値(それぞれ、2日目、及び4/6日目);青丸及び青線は、BV−又はBVSC−陰性細胞の値(それぞれ、2日目、及び4/6日目)である。
図2Fは、図2Eに記載のように測定された、BV(+)(2日目)及びBV(+)SC(−)(緑色の棒グラフ)又はBVSC(+)(青色の棒グラフ)細胞(4/6日目)における、SDを有するBlimp1(左)及びstella(右)発現レベルである。
図3は、PGC様細胞のエピジェネティック特性及び細胞ダイナミクスを示す。図3Aは、完全誘導条件下、6日目でのday−2 EpiLC由来のBVSC陽性細胞における、低下したH3K9me2(a)、上昇したH3K27me3(b)及び抑制されたDnmt3b(c)である。DAPI染色の画像を右に示す。バーは20μmである。
図3Bは、野生型C57BL/6マウスの尾(上図)、BVSC−ESC(中間図)及び6日目のBVSC陽性PGC様細胞(下図)由来のゲノムにおける、インプリンティング遺伝子Igf2r、Snrpn、H19及びKcnq1ot1)のメチル化可変領域(differentially methylated region)のシトシンメチル化のバイサルファイト配列分析である。白丸及び黒丸はそれぞれ、非メチル化及びメチル化CpG配列を示す。
図3Cの(a)は、PGCLC誘導の間の、集合体当たりのBVSC(+)細胞数(青丸)、BV(+)SC(−)細胞数(緑丸)、及びBV(−)細胞数(灰色丸)である。各丸は、4回の独立した実験における、10の集合体由来の細胞タイプそれぞれの平均数を示す。(b)は、PGCLC誘導の間のBVSC(+)、BV(+)SC(−)及びBV(−)細胞の細胞周期状態のFACS分析を示す。(c)は、誘導4日目で6時間培養した間のPGCLCのBrdU取込みである。破線は、抗−GFP抗体染色により認識されたPGCLCを描く。バーは20μmである。
図4は、ESC由来PGC様細胞による、適切な精子形成及び健常な子孫の作出を示す。図4Aの(a)は、PGC様細胞が移植された、精子形成を有する(右)又は有さない(左)精細管の明視野像を示す。鏃は、精細管の排精領域を示す。バーは500μmである。(b)は、PGC様細胞由来の精子である。バーは20μmである。(c)及び(d)は、精子形成を生じた精細管(c)、及び精子形成のない精細管(d)のヘマトキシリン−エオシン染色組織切片である。バーは100μmである。
図4Bの(a)〜(d)は、PGC様細胞由来の精子に由来する、前核(a)、2細胞胚(b)、並びに胚盤胞(c)及びSC発現を有するもの(h)である。SC導入遺伝子は、もともとはBVCS ESC由来の半数体方ゲノムに由来した。バーは100μmである。(e)及び(f)は、PGC様細胞由来の精子に由来する、見かけ上正常な胎盤を有する子孫(e)である。(g)は、PGC様細胞由来の精子に由来する複数の子孫の写真を示す。(h)は、BV及びSC導入遺伝子についての子孫の遺伝子型である。
図4Cは、野生型精子(上図)又はPGC様細胞由来の精子(下図)由来の子孫の尾のゲノムにおける、インプリンティング遺伝子(Igf2r、Snrpn、H19及びKcnq1ot1)のメチル化可変領域のシトシンメチル化のバイサルファイト配列分析である。白丸及び黒丸はそれぞれ、非メチル化及びメチル化CpG配列を示す。
図5は、BVSC陽性細胞がAP陽性であることを示す。BMP4(500 ng/ml)、LIF(1000 U/ml)、SCF(100 ng/ml)、BMP8b(500 ng/ml)及びEGF(50 ng/ml)により、day−2 EpiLCから6日間誘導されたBVSC陽性細胞は、アルカリフォスファターゼ(AP)陽性であった。バーは200μmである。
図6は、BVSC陽性細胞が培養下で最大10日間存続することを示す。BVSC陽性細胞をBMP4単独(500 ng/ml)により、又はBMP4(500 ng/ml)及びLIF(1000 U/ml)により、day−2 EpiLCから誘導した。しかし、それらは6日目より後は維持されなかった。対照的に、BVSC陽性細胞をBMP4(500 ng/ml)、LIF(1000 U/ml)、SCF(100 ng/ml)、BMP8b(500 ng/ml)及びEGF(50 ng/ml)により誘導した場合には、それらは最大10日目までロバストに存続した。バーは200μmである。
図7は、独立したESC株からのPGC様細胞の誘導を示す。PGC様細胞(2日目、4日目及び6日目)は、独立したESC株BVSC−B6−14及びP14V−B6−3に由来するday−2 EpiLCから、完全誘導条件下[SFM中、BMP4(500 ng/ml)、LIF(1000 U/ml)、SCF(100 ng/ml)、BMP8b(500 ng/ml)及びEGF(50 ng/ml)]で誘導した。サイトカインを有さないコントロール実験も示す。バーは200μmである。
図8は、day−2 EpiLCから6日間誘導された、FACSソーティングされていない細胞を移植した精巣におけるテラトーマの発生を示す。day−2 EpiLCから6日間誘導した、FACSソーティングされていない細胞を移植したW/Wv精巣において、3胚葉の細胞を有する明らかなテラトーマが生じた。表皮様構造(外胚葉)、硝子軟骨中胚葉)、ゴブレット細胞様細胞を有する上皮構造(内胚葉)、及び横紋筋(中胚葉)を含む切片を示す。バーは50μmである。
図9は、EpiLCを介した、iPSC(20D17(図9A)、178B−5(図9B)、492B−4(図9C、9D))からのPGC様細胞の誘導、精子形成及び子孫を示す。(a)は、Nanog−EGFP導入遺伝子を有するiPSCからのEpiLCの誘導を示す。明視野像(BF)及び導入遺伝子由来の蛍光像(NG)を示す。EpiLC誘導は、2日間に亘って実施した。バーは50μmである。(b)は、EpiLCからのPGC様細胞の誘導を示す。day−2 EpiLCは、完全誘導条件下、Nanog発現を有するPGC様細胞となった。バーは200μmである。(c)は、iPSCに由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングを示す(左パネル)。P1(SSEA1高、インテグリン−β3高)、P2(SSEA1高、インテグリン−β3低)及びP3(SSEA1低、インテグリン−β3低)亜集団、並びに集団全体におけるNG発現レベルを右パネルに示す。
図9は、EpiLCを介した、iPSC(20D17(図9A)、178B−5(図9B)、492B−4(図9C、9D))からのPGC様細胞の誘導、精子形成及び子孫を示す。(a)は、Nanog−EGFP導入遺伝子を有するiPSCからのEpiLCの誘導を示す。明視野像(BF)及び導入遺伝子由来の蛍光像(NG)を示す。EpiLC誘導は、2日間に亘って実施した。バーは50μmである。(b)は、EpiLCからのPGC様細胞の誘導を示す。day−2 EpiLCは、完全誘導条件下、Nanog発現を有するPGC様細胞となった。バーは200μmである。(c)は、iPSCに由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングを示す(左パネル)。P1(SSEA1高、インテグリン−β3高)、P2(SSEA1高、インテグリン−β3低)及びP3(SSEA1低、インテグリン−β3低)亜集団、並びに集団全体におけるNG発現レベルを右パネルに示す。
図9は、EpiLCを介した、iPSC(20D17(図9A)、178B−5(図9B)、492B−4(図9C、9D))からのPGC様細胞の誘導、精子形成及び子孫を示す。(a)は、Nanog−EGFP導入遺伝子を有するiPSCからのEpiLCの誘導を示す。明視野像(BF)及び導入遺伝子由来の蛍光像(NG)を示す。EpiLC誘導は、2日間に亘って実施した。バーは50μmである。(b)は、EpiLCからのPGC様細胞の誘導を示す。day−2 EpiLCは、完全誘導条件下、Nanog発現を有するPGC様細胞となった。バーは200μmである。(c)は、iPSCに由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングを示す(左パネル)。P1(SSEA1高、インテグリン−β3高)、P2(SSEA1高、インテグリン−β3低)及びP3(SSEA1低、インテグリン−β3低)亜集団、並びに集団全体におけるNG発現レベルを右パネルに示す。
図9Dは、Q−PCRにより測定した、iPSC(492B−4)からのEpiLCの誘導の間の遺伝子発現プロファイルである。調べた各遺伝子について、2つの独立したハウスキーピング遺伝子Arbp及びPpiaの平均CT値からΔCTを計算した。iPSCの値を0と設定した。各ポイントについて、2回の独立した実験の平均値をlog2スケールで示す。
図9Eは、iPSC(20D17)に由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングである(左パネル)。各亜集団(P1、P2及びP3)における20遺伝子(図2Eで分析したもの)の発現レベルと、BV(+)細胞のものとの比較である(右パネル)。R2は、相関係数を表す。
図9Fの(a)(左パネル)は、iPSC由来のPGC様細胞を移植した精細管につき、精子形成を示すもの(右)、又は示さないもの(左)である。鏃は、精細管の排精領域を示す。バーは500μmである。(a)(右パネル)は、iPSC由来のPGC様細胞に由来する精子である。バーは20μmである。(b)は、iPSC由来の精子に由来する子孫である。NG及びOct4(iPSC作製のために)導入遺伝子についての子孫のジェノタイピングを下図に示す。
図10は、エピブラスト及びEpiLCからのPGC様細胞の誘導を示す。図10Aは、完全誘導条件下、E5.75エピブラスト(左)及びday 2 EpiLC(右、図2Bに示すデータと同じ)からのPGC様細胞の誘導を示す。バーは200μmである。
図10Bは、PGC様細胞誘導0日目(左、灰色)及び2日目(中央、赤色)における、エピブラスト(上図)又はday 2 EpiLC(下図)のBV発現の測定である。右側に統合したプロファイルを示す。エピブラストの反応の方がややまとまりがあったが、E5.75エピブラスト及びday 2 EpiLCは共にその大多数が、誘導時にBV陽性状態にシフトしたことに留意されたい。
図10Cは、完全導入条件下、6日間の培養の間のE5.75エピブラスト(上図)及びday 2 EpiLC(下図、図2Cに示すデータと同じ)のBVSC発現のFACS分析である。
図11は、PGC様細胞誘導の間のグローバル転写プロファイルを示す。図11Aの(a)は、ESC、day(d)1、d2及びd3 EpiLC、EpiSC並びにPGC様細胞(PGCLC)の非増幅RNAの教師なし階層的クラスタリング(Unsupervised hierarchical clustering:UHC)である。(b)は、ESC並びにd1、2及び3 EpiLCの主成分(PC)2のスコアである。(c)は、ESC、d2 EpiLC、EpiSC、E5.75エピブラスト、PGCLC及びE9.5 PGCの増幅RNAのUHCである。
図11Bは、E5.75エピブラストとd2 EpiLC及びEpiSC、並びにE9.5 PGCとBVSC(+)PGCLC(6日目)とのトランスクリプトーム散布図による比較である。
図11Cは、ESC、d2 EpiLC、EpiSC、E5.75エピブラスト、PGCLC及びE9.5 PGCの増幅RNAのPCAを示す。
図11Dは、ESCと比較した、エピブラスト、EpiLC及びEpiSCで上方制御される遺伝子で大きな比率を占める機能カテゴリーである。
図12は、PGC様細胞由来精子に由来する子孫の胎盤重量及び成長を示す。(a)は、PGCLC由来の精子(赤丸)及び野生型精子(青丸)に由来する子孫の胎盤重量(グラム)である。平均値をバーとして示す。(b)は、PGC様細胞由来の精子(赤丸)及び野生型精子(青丸)に由来する子孫の体重の発達である。平均値をバーとして示す。(c)は、PGC様細胞由来の精子に由来する、妊孕性の雌の子孫である。
図13は、生殖細胞レポーターを有さないESCからの、精子形成能のあるPGC様細胞の誘導及び精製を示す。図13Aは、BVSC ESCに由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングである(左パネル)。SSEA1/インテグリン−β3高のP1亜集団は、BV(+)亜集団とほぼ同一である(右パネル)。数字は、各亜集団のパーセンテージを表す。
図13Bは、AAG ESCに由来するPGCの運命付けについて、6日目の集合体のSSEA1及びインテグリン−β3によるFACSソーティングである(左パネル)。各亜集団(P1、P2及びP3)における20遺伝子(図2Eで分析したもの)の発現レベルと、BV(+)細胞におけるものとの比較である(右パネル)。R2は、相関係数を表す。
図13Cの(a)は、6日間、PGCの運命付けのために誘導されたAAG導入遺伝子を有するday 2 EpiLCの集合体の、全集団(左)及びP1亜集団(中央)を移植したW/Wvマウスの精巣、及びいずれの細胞も移植しない(右)W/Wvマウスの精巣である。(b)は、P1亜集団を移植したW/Wv精巣における精子形成コロニーである。BF:明視野像。(c)、(d)は、(a)の精子形成コロニーにおけるEGFP及びMvh発現の免疫蛍光(IF)分析である。(c)のバーは100μmであり、(d)のバーは10μmである。(e)は、AAG ESCに由来する精子である。バーは10μmである。(f)は、AAG ESC由来の精子に由来する子孫を示す。そのうち約半分は、AAG導入遺伝子に由来するGFP蛍光を示す(右)。

0016

(発明の詳細な説明)
本発明は、多能性幹細胞からEpiLCを製造する方法であって、前記多能性幹細胞をアクチビンAの存在下で培養する、方法を提供する。

0017

出発材料として使用する多能性幹細胞は、未分化状態を保持したまま増殖できる「自己複製能」と、三つの一次胚葉すべてに分化できる「分化多能性」とを有する未分化細胞であればいずれでもよい。例えば、iPS細胞ES細胞胚性生殖(EG)細胞、胚性癌(EC)細胞などが挙げられるが、好ましくはiPS細胞又はES細胞である。本発明の方法は、いずれかの多能性幹細胞が樹立されているか、樹立可能である、任意の哺乳動物種において適用することができる。このような哺乳動物の例として、ヒト、マウス、ラットサルイヌブタウシネコヤギヒツジウサギモルモットハムスター等が挙げられるが、好ましくはヒト、マウス、ラット、サル、イヌ等、より好ましくはヒト又はマウスである。

0018

(1)多能性幹細胞の作製
(i)ES細胞
多能性幹細胞は自体公知の方法により取得することができる。例えば、ES細胞の作製方法としては、哺乳動物の胚盤胞ステージにおける内部細胞塊を培養する方法(例えば、Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1994)を参照)、体細胞核移植によって作製された初期胚を培養する方法(Wilmut et al., Nature, 385, 810(1997);Cibelli et al.,Science, 280, 1256(1998);入谷明ら,蛋白質核酸酵素, 44, 892(1999);Baguisi etal., Nature Biotechnology, 17, 456(1999);Wakayama et al., Nature, 394, 369(1998);Wakayama et al., Nature Genetics, 22, 127(1999);Wakayama et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 96, 14984(1999);RideoutIII et al., Nature Genetics, 24,109(2000))などが挙げられるが、これらに限定されない。また、ES細胞は、所定の機関より入手でき、さらには市販品を購入することもできる。例えば、ヒトES細胞株であるH1及びH9は、ウィスコシン大学のWiCell Instituteより入手可能であり、KhES−1、KhES−2及びKhES−3は、京都大学再生医科学研究所より入手可能である。ES細胞を体細胞核移植により作製する場合、体細胞の種類や体細胞を採取するソースは下記iPS細胞作製の場合に準ずる。

0019

(ii)iPS細胞
iPS細胞は、体細胞に核初期化物質を導入することにより作製することができる。

0020

(a)体細胞ソース
iPS細胞作製のための出発材料として用いることのできる体細胞は、哺乳動物(例えば、マウス又はヒト)由来の生殖細胞以外のいかなる細胞であってもよい。例えば、角質化する上皮細胞(例、角質化表皮細胞)、粘膜上皮細胞(例、表層の上皮細胞)、外分泌腺上皮細胞(例、乳腺細胞)、ホルモン分泌細胞(例、副腎髄質細胞)、代謝・貯蔵用の細胞(例、肝細胞)、境界面を構成する内腔上皮細胞(例、I型肺胞細胞)、内鎖管の内腔上皮細胞(例、血管内皮細胞)、運搬能をもつ繊毛のある細胞(例、気道上皮細胞)、細胞外マトリックス分泌用細胞(例、線維芽細胞)、収縮性細胞(例、平滑筋細胞)、血液と免疫系の細胞(例、Tリンパ球)、感覚に関する細胞(例、細胞)、自律神経系ニューロン(例、コリン作動性ニューロン)、感覚器末梢ニューロンの支持細胞(例、随伴細胞)、中枢神経系の神経細胞グリア細胞(例、星状グリア細胞)、色素細胞(例、網膜色素上皮細胞)、及びそれらの前駆細胞(組織前駆細胞)等が挙げられる。細胞の分化の程度に特に制限はなく、未分化な前駆細胞(体性幹細胞も含む)であっても、最終分化した成熟細胞であっても、同様に本発明における体細胞の起源として使用することができる。ここで未分化な前駆細胞としては、例えば、脂肪由来間質)細胞、神経幹細胞造血幹細胞間葉系幹細胞歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)が挙げられる。

0021

体細胞を採取するソースとなる哺乳動物個体の選択は特に制限されないが、最終産物としてPGC様細胞がヒト不妊などの疾患の治療に使用される場合には、移植片拒絶及び/又はGvHDを予防するという観点から、患者本人の細胞であるか、又は患者HLA型と同一若しくは実質的に同一であるHLA型を有する他人から体細胞を採取することが好ましい。ここで「実質的に同一であるHLA型」とは、免疫抑制剤などの使用により、ドナー体細胞由来のiPS細胞から分化誘導することにより得られた細胞を患者に移植した場合に移植細胞生着可能な程度にHLAの型が一致していることをいう。例えば、主たるHLA(HLA−A、HLA−B及びHLA−DRの主要な3遺伝子座、又はさらにHLA−Cwを含む4遺伝子座)が同一である場合などが挙げられる(以下同じ)。PGC様細胞をヒトに投与(移植)しないが、例えば、患者の薬剤感受性副作用の有無を評価するためのスクリーニング用の細胞のソースとして使用する場合には、同様に患者本人又は薬剤感受性や副作用と相関する遺伝子多型が同一である他人から体細胞を採取する必要がある。

0022

哺乳動物から分離した体細胞は、細胞の種類に応じて、その培養に適した自体公知の培地で前培養することができる。そのような培地としては、例えば、約5〜20%の胎仔ウシ血清を含む最小必須培地MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地DMEM)、RPMI1640培地、199培地、F12培地などが挙げられるが、それらに限定されない。核初期化物質及びiPS細胞の樹立効率改善物質と細胞との接触に際し、例えば、カチオニックリポソームなど導入試薬を用いる場合には、導入効率の低下を防ぐため、予め無血清培地に交換しておくことが好ましい場合がある。

0023

(b)核初期化物質
本発明において「核初期化物質」とは、体細胞からiPS細胞を誘導することができる物質(群)であれば、タンパク性因子又はそれをコードする核酸ベクターに組み込まれた形態を含む)、あるいは低分子化合物等のいかなる物質から構成されてもよい。核初期化物質がタンパク性因子又はそれをコードする核酸の場合、好ましくは以下の組み合わせが例示される(以下においては、タンパク性因子の名称のみを記載する)。
(1)Oct3/4、Klf4、c−Myc
(2)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2(ここで、Sox2はSox1、Sox3、Sox15、Sox17又はSox18で置換可能である。また、Klf4はKlf1、Klf2又はKlf5で置換可能である。さらに、c−MycはT58A(活性型変異体)、N−Myc又はL−Mycで置換可能である。)
(3)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、Fbx15、Nanog、Eras、ECAT15−2、TclI、β−catenin(活性型変異体S33Y)
(4)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、TERT、SV40Large T antigen(以下、SV40LT
(5)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、TERT、HPV16 E6
(6)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、TERT、HPV16 E7
(7)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、TERT、HPV6 E6、HPV16 E7
(8)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、TERT、Bmil
(上記因子のさらなる情報については、WO2007/069666を参照(但し、上記(2)の組み合わせにおいて、Sox2からSox18への置換、Klf4からKlf1若しくはKlf5への置換については、Nature Biotechnology, 26, 101−106(2008)を参照)。「Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2」の組み合わせについては、Cell,126, 663−676(2006)、Cell, 131, 861−872(2007)等も参照。「Oct3/4、Klf2(又はKlf5)、c−Myc、Sox2」の組み合わせについては、Nat. Cell Biol., 11, 197−203(2009)も参照。「Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、hTERT、SV40LT」の組み合わせについては、Nature, 451, 141−146(2008)も参照。)
(9)Oct3/4、Klf4、Sox2(Nature Biotechnology, 26, 101−106(2008)を参照)
(10)Oct3/4、Sox2、Nanog、Lin28(Science, 318, 1917−1920(2007)を参照)
(11)Oct3/4、Sox2、Nanog、Lin28、hTERT、SV40LT(Stem Cells, 26, 1998−2005(2008)を参照)
(12)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、Nanog、Lin28(Cell Research(2008)600−603を参照)
(13)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、SV40LT(Stem Cells, 26, 1998−2005(2008)も参照)
(14)Oct3/4、Klf4(Nature 454:646−650(2008)、Cell Stem Cell, 2:525−528(2008)を参照)
(15)Oct3/4、c−Myc(Nature 454:646−650(2008)を参照)
(16)Oct3/4、Sox2(Nature, 451, 141−146(2008)、WO2008/118820を参照)
(17)Oct3/4、Sox2、Nanog(WO2008/118820を参照)
(18)Oct3/4、Sox2、Lin28(WO2008/118820を参照)
(19)Oct3/4、Sox2、c−Myc、Esrrb(ここで、EssrrbはEsrrgで置換可能である。Nat. Cell Biol., 11, 197−203(2009)を参照)
(20)Oct3/4、Sox2、Esrrb(Nat. Cell Biol., 11, 197−203(2009)を参照)
(21)Oct3/4、Klf4、L−Myc
(22)Oct3/4、Nanog
(23)Oct3/4
(24)Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、Nanog、Lin28、SV40LT(Science, 324:797−801(2009)を参照)

0024

上記(1)〜(24)において、Oct3/4に代えて他のOctファミリーメンバー、例えばOct1A、Oct6などを用いることもできる。また、Sox2(又はSox1、Sox3、Sox15、Sox17、Sox18)に代えて他のSoxファミリーのメンバー、例えばSox7などを用いることもできる。さらにLin28に代えて他のLinファミリーのメンバー、例えばLin28bなどを用いることもできる。

0025

また、上記(1)〜(24)には該当しないが、それらのいずれかにおける構成要素をすべて含み、且つ任意の他の物質をさらに含む組み合わせも、本発明における「核初期化物質」の範疇に含まれ得る。また、核初期化の対象となる体細胞が上記(1)〜(24)のいずれかにおける構成要素の一部を、核初期化のために十分なレベル内在的に発現している条件下にあっては、当該構成要素を除いた残りの構成要素のみの組み合わせもまた、本発明における「核初期化物質」の範疇に含まれ得る。

0026

これらの組み合わせの中で、Oct3/4、Sox2、Klf4、c−Myc、Nanog、Lin28及びSV40LTから選択される少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上が、好ましい核初期化物質である。

0027

とりわけ、得られるiPS細胞を治療用途に用いることを念頭においた場合、Oct3/4、Sox2及びKlf4の3因子の組み合わせ(即ち、上記(9))が好ましい。一方、iPS細胞を治療用途に用いることを念頭に置かない場合(例えば、創薬スクリーニング等の研究ツールとして用いる場合など)は、Oct3/4、Sox2、Klf4及びc−Mycの4因子のほか、Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2及びLin28の5因子か、それにNanogを加えた6因子(即ち、上記(12))、さらにSV40Large T加えた7因子(即ち、上記(24))が好ましい。

0028

さらに、上記におけるc−MycをL−Mycに変更した組み合わせも、好ましい核初期化物質の例として挙げられる。

0029

上記の各核初期化物質のマウス及びヒトcDNA配列情報は、WO2007/069666に記載のNCBI accession numbersを参照することにより取得することができ(Nanogは当該公報中では「ECAT4」との名称で記載されている。尚、Lin28、Lin28b、Esrrb、Esrrg及びL−Mycのマウス及びヒトcDNA配列情報は、それぞれ下記NCBI accession numbersを参照することにより取得できる。)、当業者は容易にこれらのcDNAを単離することができる。

0030

遺伝子名マウスヒト
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438
L−Myc NM_008506 NM_001033081

0031

核初期化物質としてタンパク性因子を用いる場合には、得られたcDNAを適当な発現ベクターに挿入して宿主細胞に導入し、該培養細胞又はその馴化培地から組換えタンパク性因子回収することにより調製することができる。一方、核初期化物質としてタンパク性因子をコードする核酸を用いる場合、得られたcDNAを、ウイルスベクタープラスミドベクターエピソーマルベクター等に挿入して発現ベクターを構築し、核初期化工程に供される。

0032

(c)核初期化物質の体細胞への導入方法
核初期化物質の体細胞への導入は、該物質がタンパク性因子である場合、自体公知の細胞へのタンパク質導入方法を用いて実施することができる。ヒトへの臨床応用を念頭におく場合、その出発材料たるiPS細胞も遺伝子操作なしに作製されたものであることが好ましい。

0033

そのような方法としては、例えば、タンパク質導入試薬を用いる方法、タンパク質導入ドメイン(PTD)若しくは細胞透過性ペプチドCPP融合タンパク質を用いる方法、マイクロインジェクション法などが挙げられる。タンパク質導入試薬としては、カチオン性脂質ベースとしたBioPOTERProtein Delivery Reagent(Gene Therapy Systmes)、Pro−JectTMProtein Transfection Reagent(PIERCE)及びProVectin(IMGENEX)、脂質をベースとしたProfect−1(Targeting Systems)、膜透過性ペプチドをベースとしたPenetrainPeptide(Q biogene)及びChariot Kit(Active Motif)、HVJエンベロープ不活化センダイウイルス)を利用したGenomONE(石原産業)等が市販されている。導入はこれらの試薬に添付のプロトコルに従って行うことができるが、一般的な手順は以下の通りである。核初期化物質を適当な溶媒(例えば、PBSHEPES等の緩衝液)に希釈し、導入試薬を加えて室温で約5〜15分程度インキュベートして複合体を形成させ、これを無血清培地に交換した細胞に添加して37℃で1ないし数時間インキュベートする。その後培地を除去して血清含有培地に交換する。

0034

PTDとしては、ショウジョウバエ由来のAntP、HIV由来のTAT(Frankel, A. et al, Cell55, 1189−93(1988);Green, M. & Loewenstein, P.M. Cell 55, 1179−88(1988))、Penetratin(Derossi, D. et al, J. Biol. Chem. 269, 10444−50(1994))、Buforin II(Park, C. B. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 97, 8245−50(2000))、Transportan(Pooga, M. et al.FASEB J. 12, 67−77(1998))、MAP(model amphipathic peptide)(Oehlke, J. et al. Biochim. Biophys. Acta. 1414, 127−39(1998))、K−FGF(Lin, Y. Z. etal. J. Biol. Chem. 270, 14255−14258(1995))、Ku70(Sawada, M. et al. Nature CellBiol. 5, 352−7(2003))、Prion(Lundberg, P. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 299, 85−90(2002))、pVEC(Elmquist, A. et al. Exp. Cell Res. 269, 237−44(2001))、Pep−1(Morris, M. C. et al. Nature Biotechnol. 19, 1173−6(2001))、Pep−7(Gao, C. et al. Bioorg. Med. Chem. 10, 4057−65(2002))、SynBl(Rousselle, C. et al. MoI. Pharmacol. 57, 679−86(2000))、HN−I(Hong, F. D. & Clayman, G L. Cancer Res. 60, 6551−6(2000))、HSV由来のVP22等のタンパク質の細胞通過ドメインを用いたものが開発されている。PTD由来のCPPとしては、11R(Cell Stem Cell, 4:381−384(2009))や9R(Cell Stem Cell, 4:472−476(2009))等のポリアルギニンが挙げられる。

0035

核初期化物質のcDNAとPTD若しくはCPP配列とを組み込んだ融合タンパク質発現ベクターを作製して、ベクターを用いて組換え発現させる。融合タンパク質を回収して導入に用いる。導入は、タンパク質導入試薬を添加しない以外は上記と同様にして行うことができる。

0036

マイクロインジェクションは、先端径1μm程度のガラス針タンパク質溶液を入れ、細胞に穿刺導入する方法であり、確実に細胞内にタンパク質を導入することができる。

0037

iPS細胞の樹立効率重視するのであれば、核初期化物質を、タンパク性因子自体としてではなく、それをコードする核酸の形態で用いることも好ましい。該核酸はDNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよく、また、該核酸は二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。好ましくは、該核酸は二本鎖DNA、特にcDNAである。

0038

核初期化物質のcDNAは、宿主となる体細胞で機能し得るプロモーターを含む適当な発現ベクターに挿入される。発現ベクターとしては、例えば、レトロウイルスレンチウイルスアデノウイルスアデノ随伴ウイルスヘルペスウイルス、センダイウイルスなどのウイルスベクター、動物細胞発現プラスミド(例、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo)などが用いられ得る。

0039

用いるベクターの種類は、得られるiPS細胞の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、アデノウイルスベクター、プラスミドベクター、アデノ随伴ウイルスベクターレトロウイルスベクターレンチウイルスベクターセンダイウイルスベクター、エピソーマルベクターなどが使用され得る。

0040

発現ベクターにおいて使用されるプロモーターとしては、例えば、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV−TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、MoMuLV LTR、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。

0041

発現ベクターは、プロモーターの他に、所望によりエンハンサーポリA付加シグナル選択マーカー遺伝子、SV40複製起点などを含有していてもよい。選択マーカー遺伝子としては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子ピューロマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。

0042

核初期化物質である核酸(初期化遺伝子)は、各々別個の発現ベクター上に組み込んでもよいし、1つの発現ベクターに2種類以上、好ましくは2〜3種類の遺伝子を組み込んでもよい。遺伝子導入効率の高いレトロウイルスやレンチウイルスベクターを用いる場合は前者が、プラスミド、アデノウイルス、エピソーマルベクターなどを用いる場合は後者を選択することが好ましい。さらに、2種類以上の遺伝子を組み込んだ発現ベクターと、1遺伝子のみを組み込んだ別の発現ベクターとを併用することもできる。

0043

上記において複数の初期化遺伝子を1つの発現ベクターに組み込む場合、これら複数の遺伝子は、好ましくはポリシストロニック発現を可能にする配列を介して発現ベクターに組み込むことができる。ポリシストロニック発現を可能にする配列を用いることにより、1種類の発現ベクターに組み込まれている複数の遺伝子をより効率的に発現させることが可能になる。ポリシストロニック発現を可能にする配列としては、例えば、口蹄疫ウイルスの2A配列(PLoS ONE 3, e2532, 2008、Stem Cells 25, 1707, 2007)、IRES配列(U.S. Patent No. 4,937,190)など、好ましくは2A配列を用いることができる。

0044

核初期化物質である核酸を含む発現ベクターは、ベクターの種類に応じて、自体公知の手法により細胞に導入することができる。例えば、ウイルスベクターの場合、該核酸を含むプラスミドを適当なパッケージング細胞(例、Plat−E細胞)や相補細胞株(例、293細胞)に導入して、培養上清中に産生されるウイルスベクターを回収し、各ウイルスベクターに応じた適切な方法により、該ベクターを細胞に感染させる。例えば、ベクターとしてレトロウイルスベクターを用いる具体的手段がWO2007/69666、Cell, 126, 663−676(2006)及び Cell, 131, 861−872(2007)に開示されている。ベクターとしてレンチウイルスベクターを用いる場合については、Science, 318, 1917−1920(2007)に開示がある。iPS細胞から誘導されるPGC様細胞を不妊治療や生殖細胞の遺伝子治療などの再生医療として利用する場合、初期化遺伝子の発現(再活性化)は、iPS細胞由来のPGC様細胞から再生された生殖細胞又は生殖組織における発癌リスクを高める可能性があるので、核初期化物質をコードする核酸は細胞の染色体に組み込まれず、一過的に発現することが好ましい。かかる観点からは、染色体への取込みが稀なアデノウイルスベクターの使用が好ましい。アデノウイルスベクターを用いる具体的手段は、Science, 322, 945−949(2008)に開示されている。また、アデノ随伴ウイルスベクターも染色体への取込み頻度が低く、アデノウイルスベクターと比べて細胞毒性や炎症惹起作用が低いので、別の好ましいベクターとして挙げられる。センダイウイルスベクターは染色体外で安定に存在することができ、必要に応じてsiRNAにより分解除去することができるので、同様に好ましく利用され得る。センダイウイルスベクターについては、J. Biol. Chem., 282, 27383−27391(2007)や特許第3602058号に記載のものを用いることができる。

0045

レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを用いる場合は、いったん導入遺伝子のサイレンシングが起こったとしても、後に再活性化される可能性があるので、例えば、Cre/loxPシステムを用いて、不要となった時点で核初期化物質をコードする核酸を切り出す方法が好ましく用いられ得る。即ち、該核酸の両端にloxP配列を配置しておき、iPS細胞が誘導された後で、プラスミドベクター若しくはアデノウイルスベクターを用いて細胞にCreリコンビナーゼを作用させ、loxP配列に挟まれた領域を切り出すことができる。また、LTRU3領域のエンハンサー−プロモーター配列は、挿入突然変異によって近傍の宿主遺伝子を上方制御する可能性があるので、当該配列を欠失、若しくはSV40などのポリアデニル化配列で置換した3’−自己不活性化(SIN)LTRを使用して、切り出されずゲノム中に残存するloxP配列より外側のLTRによる内因性遺伝子の発現制御を回避することがより好ましい。Cre−loxPシステム及びSIN LTRを用いる具体的手段は、Chang et al., Stem Cells, 27:1042−1049(2009)に開示されている。

0046

一方、非ウイルスベクターであるプラスミドベクターの場合には、リポフェクション法、リポソーム法、エレクトロポレーション法リン酸カルシウム共沈殿法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法などを用いて該ベクターを細胞に導入することができる。ベクターとしてプラスミドを用いる具体的手段は、例えばScience, 322, 949−953(2008)等に記載されている。

0047

プラスミドベクターやアデノウイルスベクター等を用いる場合、遺伝子導入は1回以上の任意の回数(例えば、1回以上10回以下、又は1回以上5回以下など)行うことができる。2種以上の発現ベクターを体細胞に導入する場合には、これらの全ての種類の発現ベクターを同時に体細胞に導入することが好ましいが、この場合においても、導入操作は1回以上の任意の回数(例えば、1回以上10回以下、又は1回以上5回以下など)行うことができ、好ましくは導入操作を2回以上(たとえば3回又は4回)繰り返して行うことができる。

0048

尚、アデノウイルスやプラスミドを用いる場合でも、導入遺伝子が染色体に組み込まれることがあるので、結局はサザンブロットやPCRにより染色体への遺伝子挿入がないことを確認する必要がある。そのため、上記Cre−loxPシステムのように、いったん染色体に導入遺伝子を組み込んだ後に、該遺伝子を除去する手段を用いることは好都合であり得る。別の好ましい一実施態様においては、トランスポゾンを用いて染色体に導入遺伝子を組み込んだ後に、プラスミドベクター若しくはアデノウイルスベクターを用いて細胞に転移酵素を作用させ、導入遺伝子を完全に染色体から除去する方法が用いられ得る。好ましいトランスポゾンとしては、例えば、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac等が挙げられる。piggyBacトランスポゾンを用いる具体的手段は、Kaji, K. et al., Nature, 458:771−775(2009)、Woltjen et al., Nature, 458:766−770(2009)に開示されている。

0049

別の好ましい非組込み型ベクターとして、染色体外で自律複製可能なエピソーマルベクターが挙げられる。エピソーマルベクターを用いる具体的手段は、Yu et al., Science, 324, 797−801(2009)に開示されている。必要に応じて、エピソーマルベクターの複製に必要なベクター要素の5’側及び3’側にloxP配列を同方向に配置したエピソーマルベクターに初期化遺伝子を挿入した発現ベクターを構築し、これを体細胞に導入することもできる。

0050

該エピソーマルベクターとしては、例えば、EBV、SV40等に由来する自律複製に必要な配列をベクター要素として含むベクターが挙げられる。自律複製に必要なベクター要素としては、具体的には、複製開始点と、複製開始点に結合して複製を制御するタンパク質をコードする遺伝子であり、例えば、EBVにあっては複製開始点oriPとEBNA−1遺伝子、SV40にあっては複製開始点oriとSV40 large T antigen遺伝子が挙げられる。

0051

また、エピソーマル発現ベクターは、初期化遺伝子の転写を制御するプロモーターを含む。該プロモーターとしては、前記と同様のプロモーターが用いられ得る。また、エピソーマル発現ベクターは、前記と同様に、所望によりエンハンサー、ポリA付加シグナル、選択マーカー遺伝子などをさらに含有していてもよい。選択マーカー遺伝子としては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。

0052

エピソーマルベクターは、例えばリポフェクション法、リポソーム法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法などを用いて該ベクターを細胞に導入することができる。具体的には、例えばScience, 324: 797−801 (2009)に記載される方法を用いることができる。

0053

iPS細胞から初期化遺伝子の複製に必要なベクター要素が除去されたか否かの確認は、該ベクターの一部をプローブ又はプライマーとして用い、該iPS細胞から単離したエピソーム画分を鋳型としてサザンブロット分析又はPCR分析を行い、バンドの有無又は検出バンドの長さを調べることにより実施することができる。エピソーム画分の調製は当該分野で周知の方法を用いて行えばよく、例えば、Science, 324: 797−801 (2009)に記載される方法を用いることができる。

0054

核初期化物質が低分子化合物である場合、該物質の体細胞への導入は、該物質を適当な濃度で水性若しくは非水性溶媒に溶解し、ヒト又はマウスより単離した体細胞の培養に適した培地(例えば、約5〜20%の胎仔ウシ血清を含む最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、RPMI1640培地、199培地、F12培地など)中に、核初期化物質濃度が体細胞において核初期化が起こるのに十分で且つ細胞毒性がみられない範囲となるように該物質溶液を添加して、細胞を一定期間培養することにより実施することができる。核初期化物質濃度は用いる核初期化物質の種類によって異なるが、約0.1 nM〜約100 nMの範囲で適宜選択される。接触期間は細胞の核初期化が達成されるのに十分な時間であれば特に制限はないが、通常は陽性コロニーが出現するまで培地に共存させておけばよい。

0055

(d)iPS細胞の樹立効率改善物質
従来iPS細胞の樹立効率が低いために、近年、その効率を改善する物質が種々提案されている。よって前記核初期化物質に加え、これら樹立効率改善物質を体細胞に接触させることにより、iPS細胞の樹立効率をより高めることが期待できる。

0056

iPS細胞の樹立効率改善物質としては、例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸(VPA)(Nat. Biotechnol., 26(7):795−797(2008))、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNA及びshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標)(Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1(OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば5’−azacytidine)(Nat. Biotechnol., 26(7):795−797(2008))、G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤[例えば、BIX−01294(Cell Stem Cell,2:525−528(2008))等の低分子阻害剤、G9aに対するsiRNA及びshRNA(例、G9a siRNA(human)(Santa Cruz Biotechnology)等)等の核酸性発現阻害剤など]、L−channel calcium agonist(例えばBayk8644)(Cell Stem Cell, 3, 568−574(2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNA及びshRNA(Cell Stem Cell, 3, 475−479(2008))、UTF1(Cell Stem Cell, 3, 475−479(2008))、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell, 3, 132−135(2008))、2i/LIF(2iはmitogen−activated protein kinase signalling及びglycogen synthase kinase−3の阻害剤、PloS Biology, 6(10), 2237−2247(2008))等が挙げられるが、それらに限定されない。前記で核酸性の発現阻害剤はsiRNA又はshRNAをコードするDNAを含む発現ベクターの形態であってもよい。

0057

尚、前記核初期化物質の構成要素のうち、例えばSV40large T等は、体細胞の核初期化のために必須ではなく補助的な因子であるという点において、iPS細胞の樹立効率改善物質の範疇にも含まれ得る。核初期化の機序が明らかでない現状においては、核初期化に必須の因子以外の補助的な因子について、それらを核初期化物質として位置づけるか、あるいはiPS細胞の樹立効率改善物質として位置づけるかは便宜的であってもよい。即ち、体細胞の核初期化プロセスは、体細胞への核初期化物質及びiPS細胞の樹立効率改善物質の接触によって生じる全体的事象として捉えられるので、当業者にとって両者を必ずしも明確に区別する必要性はないであろう。

0058

iPS細胞の樹立効率改善物質の体細胞への接触は、該物質が(a)タンパク性因子である場合、(b)該タンパク性因子をコードする核酸である場合、あるいは(c)低分子化合物である場合に応じて、それぞれ上記したように実施することができる。

0059

iPS細胞の樹立効率改善物質は、該物質の非存在下と比較して体細胞からのiPS細胞樹立効率が有意に改善される限り、核初期化物質と同時に体細胞に接触させてもよいし、また、どちらかを先に接触させてもよい。一実施態様において、例えば、核初期化物質がタンパク性因子をコードする核酸であり、iPS細胞の樹立効率改善物質が化学的阻害物質である場合には、前者は遺伝子導入処理からタンパク性因子を大量発現するまでに一定期間のラグがあるのに対し、後者は速やかに細胞に作用しうることから、遺伝子導入処理から一定期間細胞を培養した後に、iPS細胞の樹立効率改善物質を培地に添加することができる。別の実施態様において、例えば、核初期化物質とiPS細胞の樹立効率改善物質とがいずれもウイルスベクターやプラスミドベクターの形態で用いられる場合には、両者を同時に細胞に導入してもよい。

0060

(e)培養条件による樹立効率の改善
体細胞の核初期化工程において低酸素条件下で細胞を培養することにより、iPS細胞の樹立効率をさらに改善することができる。本明細書において「低酸素条件」とは、細胞を培養する際の雰囲気中の酸素濃度が、大気中のそれよりも有意に低いことを意味する。具体的には、通常の細胞培養で一般的に使用される5〜10% CO2/95〜90%大気の雰囲気中の酸素濃度よりも低い酸素濃度の条件が挙げられ、例えば雰囲気中の酸素濃度が18%以下の条件が該当する。好ましくは、雰囲気中の酸素濃度は15%以下(例、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下など)、10%以下(例、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下など)、又は5%以下(例、4%以下、3%以下、2%以下など)である。また、雰囲気中の酸素濃度は、好ましくは0.1%以上(例、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上など)、0.5%以上(例、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上など)、又は1%以上(例、1.1%以上、1.2%以上、1.3%以上、1.4%以上など)である。

0061

細胞の環境において低酸素状態を創出する手法は特に制限されないが、酸素濃度の調節可能なCO2インキュベーター内で細胞を培養する方法が最も容易であり、好適な例として挙げられる。酸素濃度の調節可能なCO2インキュベーターは、種々の機器メーカーから販売されている(例えば、Thermo scientific社、池本理化学工業、十慈フィールド和研薬株式会社などのメーカー製の低酸素培養用CO2インキュベーターを用いることができる)。

0062

低酸素条件下で細胞培養を開始する時期は、iPS細胞の樹立効率が正常酸素濃度(20%)の場合に比して改善されることを妨げない限り特に限定されない。開始時期は、体細胞への核初期化物質の接触より前であっても、後であってもよく、該接触と同時であってもよい。例えば、体細胞に核初期化物質を接触させた直後から、あるいは接触後一定期間(例えば、1ないし10(例、2、3、4、5、6、7、8又は9)日)おいた後に低酸素条件下で培養することが好ましい。

0063

低酸素条件下で細胞を培養する期間も、iPS細胞の樹立効率が正常酸素濃度(20%)の場合に比して改善されることを妨げない限り特に限定されず、例えば3日以上、5日以上、7日以上又は10日以上で、50日以下、40日以下、35日以下又は30日以下の期間等が挙げられるが、それらに限定されない。低酸素条件下での好ましい培養期間は、雰囲気中の酸素濃度によっても変動し、当業者は用いる酸素濃度に応じて適宜当該培養期間を調整することができる。また、一実施態様において、iPS細胞の候補コロニーの選択を、薬剤耐性指標にして行う場合には、薬剤選択を開始する迄に低酸素条件から正常酸素濃度に戻すことが好ましい。

0064

さらに、低酸素条件下で細胞培養を開始する好ましい時期及び好ましい培養期間は、用いられる核初期化物質の種類、正常酸素濃度条件下でのiPS細胞樹立効率などによっても変動する。

0065

核初期化物質(及びiPS細胞の樹立効率改善物質)を接触させた後、細胞を、例えばES細胞の培養に適した条件下で培養することができる。マウス細胞の場合、通常の培地に分化抑制因子としてLeukemia Inhibitory Factor(LIF)を添加して培養を行う。一方、ヒト細胞の場合には、LIFの代わりに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)及び/又は幹細胞因子(SCF)を添加することが望ましい。また通常、細胞は、フィーダー細胞として、放射線抗生物質で処理して細胞分裂を停止させたマウス胎仔由来の線維芽細胞(MEF)の共存下で培養される。MEFとしては、通常STO細胞等がよく使われるが、iPS細胞の誘導には、SNL細胞(McMahon, A. P. & Bradley, A. Cell 62, 1073−1085(1990))等がよく使われている。フィーダー細胞との共培養は、核初期化物質の接触より前から開始してもよいし、該接触時から、あるいは該接触より後(例えば1〜10日後)から開始してもよい。

0066

iPS細胞の候補コロニーの選択は、薬剤耐性とレポーター活性を指標とする方法と目視による形態観察による方法とが挙げられる。前者としては、例えば、分化多能性細胞において特異的に高発現する遺伝子(例えば、Fbx15、Nanog、Oct3/4など、好ましくはNanog又はOct3/4)の遺伝子座に、薬剤耐性遺伝子及び/又はレポーター遺伝子ターゲッティングした組換え体細胞を用い、薬剤耐性及び/又はレポーター活性陽性のコロニーを選択するというものである。そのような組換え体細胞としては、例えばFbx15遺伝子座にβgeo(β−ガラクトシダーゼネオマイシンホスホトランスフェラーゼとの融合タンパク質をコードする)遺伝子をノックインしたマウス由来のMEF(Takahashi & Yamanaka, Cell, 126, 663−676(2006))、あるいはNanog遺伝子座に緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子とピューロマイシン耐性遺伝子を組み込んだトランスジェニックマウス由来のMEF(Okita etal., Nature, 448, 313−317(2007))等が挙げられる。一方、目視による形態観察で候補コロニーを選択する方法としては、例えばTakahashi et al., Cell, 131, 861−872(2007)に記載の方法が挙げられる。レポーター細胞を用いる方法は簡便で効率的ではあるが、iPS細胞がヒトの治療用途を目的として作製される場合、安全性の観点から目視によるコロニー選択が望ましい。核初期化物質としてOct3/4、Klf4及びSox2の3因子を用いた場合、樹立クローン数は減少するものの生じるコロニーのほとんどがES細胞と比較して遜色のない高品質のiPS細胞であることから、レポーター細胞を用いなくとも効率よくiPS細胞を樹立することが可能である。

0067

選択されたコロニーの細胞がiPS細胞であることの確認は、上記したNanog(若しくはOct3/4)レポーター陽性(ピューロマイシン耐性、GFP陽性など)及び目視によるES細胞様コロニーの形成によっても行い得るが、より正確性を期すために、各種ES細胞特異的遺伝子の発現を解析したり、選択された細胞をマウスに移植してテラトーマ形成を確認する等の試験を実施することもできる。

0068

(iii)ナイーヴヒトES及びiPS細胞
胚盤胞期胚から誘導される従来のヒトES細胞は、マウスES細胞と非常に異なる生物学的(形態的、分子的及び機能的)特性を有する。マウス多能性幹細胞は、2つの機能的に区別される状態、即ちLIF依存的なES細胞と、bFGF依存的なエピブラスト幹細胞(EpiSC)とで存在し得る。分子学的解析から、ヒトES細胞の多能性状態は、マウスES細胞のそれではなく、むしろマウスEpiSCのそれに類似していることが示唆されている。最近、LIFの存在下にOct3/4、Sox2、Klf4、c−Myc及びNanogを異所的に誘導するか(Cell Stem Cells, 6:535−546, 2010参照)、LIF並びにGSK3β及びERK1/2経路阻害剤と組み合わせて、Oct3/4、Klf4及びKlf2を異所的に誘導する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,オンライン公開doi/10.1073/pnas.1004584107参照)ことにより、マウスES細胞様の多能性状態にあるヒトES及びiPS細胞(ナイーヴヒトES及びiPS細胞とも呼ばれる)が樹立されている。これらのナイーヴヒトES及びiPS細胞は、それらの多能性が従来のヒトES及びiPS細胞に比べてより未熟であるため、本発明のための出発材料として好適であり得る。

0069

(2)多能性幹細胞からEpiLCへの分化誘導
分化誘導用の基本培地としては、例えば、Neurobasal培地、Neural Progenitor Basal培地、NS−A培地、BME培地、BGJb培地、CMRL 1066培地、最小必須培地(MEM)、Eagle MEM培地、αMEM培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Glasgow MEM培地、Improved MEM Zinc Option培地、IMDM培地、Medium 199培地、DMEM/F12培地、ハム培地、RPMI1640培地、Fischer’s培地、及びこれらの混合培地などが挙げられるが、これらに限定されない。

0070

培地は、血清含有培地又は無血清培地であり得る。好ましくは、無血清培地が使用され得る。無血清培地(SFM)とは、未処理又は未精製の血清をいずれも含まない培地を意味し、従って、精製された血液由来成分又は動物組織由来成分増殖因子など)を含有する培地が挙げられ得る。血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS)、ヒト血清など)の濃度は、0〜20%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜2%、最も好ましくは0%(すなわち、無血清)であり得る。SFMは任意の血清代替物を含んでよく、又は含まなくてもよい。血清代替物としては、例えば、アルブミン(例えば、脂質リッチアルブミン、組換えアルブミン等のアルブミン代替物植物デンプン、デキストラン及びタンパク質加水分解物等)、トランスフェリン(又は他の鉄輸送体)、脂肪酸インスリンコラーゲン前駆体、微量元素2−メルカプトエタノール、3’−チオグリセロールあるいはこれらの均等物などを適宜含有する物質が挙げられ得る。かかる血清代替物は、例えば、WO 98/30679に記載の方法により調製できる。また、より簡便にするため、市販のものを利用できる。かかる市販の物質としては、Knockout(商標)Serum Replacement(KSR)、Chemically−defined Lipid concentrated、及びGlutamax(Invitorogen)が挙げられる。

0071

培地は、自体公知のその他の添加物を含んでもよい。本発明の方法により、原腸陥入前のエピブラスト細胞と同等のEpiLCが製造される限り、添加物は特に限定されないが、例えば、成長因子(例えば、インスリンなど)、ポリアミン類(例えば、プトレシンなど)、ミネラル(例えば、セレン酸ナトリウムなど)、糖類(例えば、グルコースなど)、有機酸(例えば、ピルビン酸乳酸など)、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸(NEAA)、L−グルタミンなど)、還元剤(例えば、2−メルカプトエタノールなど)、ビタミン類(例えば、アスコルビン酸、d−ビオチンなど)、ステロイド(例えば、[ベータ]−エストラジオールプロゲステロンなど)、抗生物質(例えば、ストレプトマイシンペニシリンゲンタマイシンなど)、緩衝剤(例えば、HEPESなど)、栄養添加物(例えば、B27 supplement、N2 supplement、StemPro−Nutrient Supplementなど)を挙げることができる。各添加物は自体公知の濃度範囲で含まれることが好ましい。

0072

本発明のEpiLCの製造方法において、多能性幹細胞は、フィーダー細胞の存在下又は不在下にて培養されてよい。フィーダー細胞は、本発明の方法によりEpiLCが製造され得る限り、特に限定されない;ESC、iPSCなどの多能性幹細胞の培養に使用するために自体公知のフィーダー細胞を使用することができる;例えば、線維芽細胞(マウス胚性線維芽細胞、マウス線維芽細胞株STOなど)が挙げられ得る。フィーダー細胞は、自体公知の方法、例えば、放射線(ガンマ線など)、抗癌剤マイトマイシンCなど)での処理などにより不活性化されていることが好ましい。しかし、本発明の好ましい実施態様において、多能性幹細胞は、無フィーダー条件下で培養される。

0073

多能性幹細胞からEpiLCへの分化誘導用培地(培地A)は、基本培地にアクチビンAを必須の添加物として含有する。アクチビンAの濃度は、例えば、約5 ng/ml以上、好ましくは約10 ng/ml以上、より好ましくは約15 ng/ml以上、また、例えば、約40ng/ml以下、好ましくは約30 ng/ml以下、より好ましくは25 ng/ml以下である。

0074

培地Aには、bFGF及び/又はKSRがさらに含有されていることが好ましい。塩基性FGF及びKSRは、有効濃度範囲で存在する場合にEpiLCの誘導効率を顕著に増大させる。bFGFの濃度は、例えば、約5 ng/ml以上、好ましくは約7.5 ng/ml以上、より好ましくは約10 ng/ml以上であり、また、例えば、約30 ng/ml以下、好ましくは約20 ng/ml以下、より好ましくは約15 ng/ml以下である。KSRの濃度は、例えば、約0.1 w/w%以上、好ましくは約0.3 w/w%以上、より好ましくは約0.5 w/w%以上であり、また、例えば、約5 w/w%以下、好ましくは約3 w/w%以下、より好ましくは約2 w/w%以下である。

0075

特に好ましい態様においては、培地Aは基本培地に加えて、アクチビンA、bFGF及びKSRを含有する。これらの成分の適切な濃度は、アクチビンAについては約10〜約30 ng/ml、好ましくは約15〜約25 ng/ml、bFGFについては約7.5〜約20 ng/ml、好ましくは約10〜約15 ng/ml、KSRについては約0.3〜約3 w/w%、好ましくは約0.5〜約2 w/w%の範囲に亘って選択することができる。

0076

培地Aに含まれるアクチビンA及びbFGFは、そのソースに関して限定を受けず、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット、イヌなど)の細胞から単離及び精製されてよい。培養に供する多能性幹細胞と同種のアクチビンA及びbFGFを使用することが好ましい。アクチビンA及びbFGFは、化学的に合成されてもよく、無細胞翻訳系を用いて生化学的に合成されてもよく、或いは各タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体から製造されてもよい。アクチビンA及びbFGFの組換え産物は市販されている。

0077

多能性幹細胞をEpiLCに誘導するために使用される培養器は、特に限定されないが、フラスコ組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレートマイクロウェルプレートマルチプレートマルチウェルプレートマイクロスライドチャンバースライドシャーレチューブトレイ培養バック、及びローラーボトルが挙げられ得る。培養器は細胞接着性であり得る。細胞接着性の培養器は、培養器表面の細胞への接着性を向上させる目的で、細胞外マトリックス(ECM)などの任意の細胞接着用基質でコートされたものであり得る。細胞接着用基質は、多能性幹細胞又はフィーダー細胞(用いられる場合)の接着を目的とする任意の物質であり得る。細胞接着用基質としては、コラーゲン、ゼラチンポリ−L−リジン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−オルニチンラミニン、及びフィブロネクチン並びにそれらの混合物、例えばマトリゲル、並びに溶解細胞膜調製物(lysed cell membrane preparations)が挙げられる(Klimanskaya I et al 2005. Lancet 365:p1636−1641)。

0078

この培養において、多能性幹細胞を上記培養器上に播き、例えば、約104〜105細胞/cm2、好ましくは約2〜8×104細胞/cm2の細胞密度とし、1〜10% CO2/99〜90%大気の雰囲気下、インキュベーター中で約30〜40℃、好ましくは約37℃で、3日未満、好ましくは約2日間(例えば、48±12時間、好ましくは48±6時間)培養する。培養の結果、扁平なエピブラスト様構造を有する細胞が一様に現れた。

0079

EpiLCへの分化の事実は、例えば、EpiLC及び/又は多能性幹細胞のマーカー遺伝子の発現レベルをRT−PCRにより分析することにより確認できる。本発明のEpiLCは、E5.5〜E6.0のエピブラスト様(原腸陥入前エピブラスト様)状態にある細胞を意味する。より詳細には、EpiLCは、以下の特性のいずれか又は両方を有する細胞として定義される:
(1)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つの遺伝子発現の上昇、
(2)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの遺伝子発現の低下。
従って、EpiLCへの分化の事実は、培養により得られた細胞中、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bから選択される少なくとも1つ、並びに/又はGata4、Gata6、Sox17及びBlimp1から選択される少なくとも1つの発現レベルを測定し、分化誘導前の多能性幹細胞のものと発現レベルを比較することにより確認できる。

0080

より好ましくは、本発明のEpiLCは、以下の特性を有する:
(1)Oct3/4の持続的な遺伝子発現;
(2)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Sox2及びNanogの遺伝子発現の低下;
(3)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Fgf5、Wnt3及びDnmt3bの遺伝子発現の上昇;及び
(4)分化誘導前の多能性幹細胞に比して、Gata4、Gata6、Sox17及びBlimp1の遺伝子発現の低下。

0081

上述のとおり、好ましい態様において、本発明の培地Aは、アクチビンA、bFGF及びKSRを含有する。従って、本発明はまた、アクチビンA、bFGF及びKSRを含む、多能性幹細胞からEpiLCへの分化誘導用試薬キットも提供する。これらの成分は、水又は適当な緩衝液中に溶解した形態で提供されてもよく、凍結乾燥粉末として提供され、用時適当な溶媒に溶解して用いることもできる。また、これらの成分はそれぞれ単独の試薬としてキット化されていてもよいし、互いに悪影響を与えない限り、2種以上を混合して1つの試薬として提供することもできる。

0082

本発明者らは、一過性ではあるが、原腸陥入前エピブラスト細胞と同等の特性を有するEpiLCを製造することに初めて成功した。エピブラストは、生殖細胞系列以外の体細胞系列の前駆細胞でもあるので、このようにして得られたEpiLCは、生殖細胞系列だけでなく、他の種々の細胞系列を誘導するための出発細胞物質して使用できる。それらは、多能性細胞生物学において、重要であるが殆ど理解されていない主題である、ICMのエピブラスト分化の基礎となる遺伝的及びエピジェネティックなメカニズムの調査にも有用であり得る。特定の系統のための中間体として、ESC又はiPSCからのEpiLCの派生(derivation)は、非常に直接的なプロセスであり、系統の分化決定(lineage specification)をin vitroで再構成するための新規ストラテジーを提供する。

0083

(3)EpiLCからPGC様細胞への分化誘導
このようにして得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養することにより、PGC様細胞へと分化誘導することができる(Cell, 137, 571−584(2009))。従って、本発明の第二の側面は、上記(2)の方法により得られたEpiLCを介して、多能性幹細胞からPGC様細胞を製造する方法に関する。すなわち、該方法は、
I)上記(2)に記載のいずれかの方法に従って多能性幹細胞からEpiLCを製造する工程;及び
II)工程I)で得られたEpiLCをBMP4及びLIFの存在下で培養する工程
を含む。

0084

工程II)での分化誘導用基本培地としては、工程I)で使用するために例示した基本培地が同様に好ましく使用される。正常な精子形成に貢献できるPGC様細胞が本発明の方法により製造できる限り、培地は、工程I)で使用するために例示した添加物と同じ添加物を含有してよい。

0085

培地は、血清含有培地又は無血清培地(SFM)であり得る。好ましくは、無血清培地が使用され得る。血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS)、ヒト血清など)の濃度は、0〜20%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜2%、最も好ましくは0%(すなわち無血清)であり得る。SFMは、KSRなど任意の血清代替物を含んでよく、又は含まなくともよい。

0086

EpiLCからPGC様細胞への分化誘導用培地(培地B)は、基本培地の必須添加物として、骨形成タンパク質4(bone morphogenetic protein 4)(BMP4)及び白血病阻止因子(leukemia inhibitory factor)(LIF)を含有する。BMP4の濃度は、例えば、約100 ng/ml以上、好ましくは約200 ng/ml以上、より好ましくは約300 ng/ml以上である。また、BMP4の濃度は、例えば、約1,000 ng/ml以下、好ましくは約800 ng/ml以下、より好ましくは600 ng/ml以下である。LIFの濃度は、例えば、約300 U/ml以上、好ましくは約500 U/ml以上、より好ましくは約800 U/ml以上である。また、LIFの濃度は、例えば、約2,000 U/ml以下、好ましくは約1,500 U/ml以下、より好ましくは1,200 U/ml以下である。

0087

培地Bは、幹細胞因子(SCF)、骨形成タンパク質8b(BMP8b)及び上皮成長因子(EGF)から選択される少なくとも1つの添加物をさらに含有することが好ましい。SCF、BMP8b及びEGFは、有効濃度範囲で存在した場合に、PGC様細胞がBlimp1−及びStella−陽性状態で維持される期間を著しく延長する。SCFの濃度は、例えば、約30 ng/ml以上、好ましくは約50 ng/ml以上、より好ましくは約80 ng/ml以上である。また、SCFの濃度は、例えば、約200 ng/ml以下、好ましくは約150 ng/ml以下、より好ましくは約120 ng/ml以下である。BMP8bの濃度は、例えば、約100 ng/ml以上、好ましくは約200 ng/ml以上、より好ましくは約300 ng/ml以上である。また、BMP8bの濃度は、例えば、約1,000 ng/ml以下、好ましくは約800 ng/ml以下、より好ましくは600 ng/ml以下である。EGFの濃度は、例えば、約10 ng/ml以上、好ましくは約20 ng/ml以上、より好ましくは約30 ng/ml以上である。また、EGFの濃度は、例えば、約100 ng/ml以下、好ましくは約80 ng/ml以下、より好ましくは約60 ng/ml以下である。

0088

特に好ましい実施態様において、培地Bは、基本培地に加えてBMP、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含有する。これら成分の濃度は、BMP4については約200〜800 ng/ml、好ましくは約300〜600 ng/ml、LIFについては約500〜1500 U/ml、好ましくは約800〜1,200 U/ml、SCFについては約50〜150 ng/ml、好ましくは約80〜120 ng/ml、BMP8bについては約200〜800 ng/ml、好ましくは約300〜600 ng/ml、EGFについては約20〜80 ng/ml、好ましくは約30〜60 ng/mlの範囲に亘って適宜選択され得る。

0089

培地Bに含有されるBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFは、そのソースに関して特に限定されず、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット、イヌなど)の細胞から単離及び精製されてよい。培養に供するEpiLCと同種のBMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを使用することが好ましい。BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFは、化学的に合成されてもよく、無細胞翻訳系を用いて生化学的に合成されてもよく、或いは各タンパク質をコードする核酸を有する形質転換体から製造されてもよい。BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFの組換え産物は市販されている。

0090

この培養において、自体公知の細胞非接着性又は低接着性培養器にEpiLCを播種し、例えば、約3〜10×104細胞/mL、好ましくは約4〜8×104細胞/mLの細胞密度とし、1〜10% CO2/99〜90%大気の雰囲気中、インキュベーター中で約30〜40℃、好ましくは約37℃で、約4〜10日間、好ましくは4〜8日間、より好ましくは約6日間(例えば、144±12時間、好ましくは144±6時間)培養する。

0091

PGC様細胞への分化の事実は、例えば、RT−PCRなどによりBlimp1の発現を分析することによって確認できる。さらに必要に応じて、他の遺伝子や細胞表面抗原の発現を調べることもできる。他の遺伝子の例にはStellaが挙げられる。Blimp1−及び/又はStella−プロモーターの制御下にある蛍光タンパク質遺伝子を有する多能性幹細胞を出発物質として使用する場合には、PGC様細胞への分化の事実はFACS分析により確認できる。ヒト又は他の非マウス哺乳動物に由来するESC又はiPSCなど、多能性幹細胞が適切なトランスジェニックレポーターを有さない場合には、PGC様細胞の分化の事実は、PGC様細胞に特異的に発現する1種以上の細胞表面抗原を用いて、FACS分析などにより確認することが好ましい。細胞表面抗原として、好ましくはSSEA−1及びインテグリン−β3が例示される。

0092

上述のとおり、好ましい実施態様において、本発明の培地Bは、BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含有する。従って、本発明は、BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含む、EpiLCからPGC様細胞への分化誘導用試薬キットも提供する。これらの成分は、水又は適当な緩衝液中に溶解した形態で提供されてもよく、凍結乾燥粉末として提供され、用時適当な溶媒に溶解して用いることもできる。また、これらの成分はそれぞれ単独の試薬としてキット化されていてもよいし、互いに悪影響を与えない限り、2種以上を混合して1つの試薬として提供することもできる。

0093

(4)EpiLCを介した、多能性幹細胞に由来するPGC様細胞を含む細胞集団
本発明はまた、前記工程I)及びII)により製造される、多能性幹細胞に由来するPGC様細胞を含む細胞集団も提供する。該細胞集団は、PGC様細胞の精製された集団であってよく、PGC様細胞以外に1種以上の細胞が共存してもよい。ここで、「PGC様細胞」は、分化誘導前のEpiLCに比してBlimp1及び/又はStellaの発現の上昇を示し、正常な精子形成に貢献でき、免疫不全マウスに移植された場合にテラトーマを形成しない細胞として定義される。上述のとおり、Blimp1−及び/又はStella−プロモーターの制御下にある蛍光タンパク質遺伝子を有する多能性幹細胞を出発物質として使用してPGC様細胞を誘導する場合、セルソーターを用いて、前記工程II)で得られた細胞集団をソーティングすることにより、Blimp1−及び/又はStella−陽性PGC様細胞を容易に単離し精製できる。PGC様細胞は、マーカーとして、Blimp1及びStellaとともに発現が増加する遺伝子(例、Nanog)の制御下にあるレポーターを用いてFACSにより単離し精製することもできる。

0094

好ましくは、本発明のPGC様細胞を含む細胞集団は、iPSC又はESCに由来する細胞集団である。iPSCが、例えば、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを用いて初期化遺伝子を体細胞に導入することにより製造される場合、初期化遺伝子は細胞ゲノム中に組み込まれる;従って、該iPSC由来のPGC様細胞もまた、そのゲノム中に組み込まれた初期化遺伝子を有する。iPSC由来のPGC様細胞は、本発明により初めて樹立されたものであるから、ゲノム中に組み込まれた外因性の初期化遺伝子を有するPGC様細胞は、当然、新規な細胞である。PGC様細胞のゲノム中に組み込まれる初期化遺伝子は、iPSCの作製に関して上記した核初期化物質の1つをコードする核酸であるが、好ましくはOct3/4、Sox2及びKlf4からなる3遺伝子か、前記の3つとc−Mycとからなる4遺伝子である。

0095

(5)多能性幹細胞に由来するPGC様細胞の使用
このようにして樹立された、多能性幹細胞に由来するPGC様細胞は種々の目的で使用できる。例えば、レシピエント動物の精巣に移植されたPGC様細胞は、精巣での精子形成及び健常な子孫の創出に確実に貢献できるので、不妊、又は生殖組織の遺伝性疾患の治療に使用できる。

0096

PGC様細胞の精巣への移植は、WO 2004/092357及びBiol. Reprod., 69:612−616(2003)に記載の方法において、生殖幹細胞(germline stem cells:GS細胞)の代わりにPGC様細胞を使用することにより実施できる。あるいは、PGC様細胞をWO 2004/092357及び上記Biol. Reprod.(2003)と同様の方法で培養して、GS細胞へと分化誘導した後、精巣に移植できる。

0097

本発明のPGC様細胞(PGC様細胞を含む細胞集団を含む;以下同じ)は、常套手段に従って医薬上許容される担体と混合するなどして、非経口製剤、好ましくは、注射剤懸濁剤又は点滴剤として製造される。当該非経口製剤に含まれ得る医薬上許容される担体としては、例えば、生理食塩水ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール塩化ナトリウムなど)などの注射用水性液を挙げることができる。本発明の剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミンポリエチレングリコールなど)、保存剤酸化防止剤などと配合しても良い。

0098

本発明の剤を水性懸濁剤として調製する場合、上記水性液の1つにPGC様細胞を約1.0×106〜約1.0×107細胞/mLの細胞密度となるように懸濁させる。

0099

本発明の剤は、幹細胞の低温保存に通常使用される条件下で低温保存し、使用直前融解することができる。

0100

このようにして得られる製剤は、安定で低毒性であるので、ヒトなどの哺乳動物に対して安全に投与することができる。投与方法は特に限定されないが、製剤は、精細管へと、注射又は点滴により投与されることが好ましい。男性不妊患者については、例えば、1回につきPGC様細胞量として約1.0×105〜約1×107細胞量の剤を、約1〜2週間隔で、1又は2〜10回投与するのが通常、好都合である。

0101

本発明は、内部細胞塊(ICM)からの生殖細胞分化決定経路のin vitroでの再構成を初めて実証する。発生過程を反映するこのようなin vitro系は、生殖細胞の詳細な発生メカニズムの解明を促進するだけでなく、不妊及び遺伝性疾患発症のメカニズムの解明も促進するだろう。

0102

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。

0103

(方法の概要)
BVSC及びP14Vトランスジェニックマウスは既に報告されており、主にC57BL/6バックグラウンドで維持された(Nat Genet 40, 1016−1022(2008);Reproduction 136, 503−514(2008))。全ての動物実験は、京都大学の倫理指針下で実施した。

0104

ESCは、マウス胚性フィーダー細胞上(Nature 453, 519−523, doi:nature06968 [pii] 10.1038/nature06968(2008))、2i及びLIFを有するN2B27培地(N2を添加したDMEM/F12とB27を添加したNeurobasalとの1:1混合物)(Nat Biotechnol 21, 183−186, doi:10.1038/nbt780)で得た。4継代後、ポリ−L−オルニチン(0.01%;Sigma)及びラミニン(10 ng/ml, BD Biosciences)でコートされたディッシュ上、無フィーダーで雄のESCを維持した。ヒト血漿フィブロネクチン(16.7μg/ml;Millipore)でコートされたディッシュ上、N2B27培地中、アクチビンA(20 ng/ml;Peprotech)、bFGF(12 ng/ml;Invitrogen)及びKSR(1%;Invitrogen)によりESCからEpiLCを誘導した。PGC様細胞は、低細胞結合性U底96ウェルプレート(NUNC)中、浮遊条件で(1ウェル当たり1,000細胞集合体)、SFM[15%KSR、0.1 mM NEAA、1 mMピルビン酸ナトリウム、0.1 mM2−メルカプトエタノール、100 U/mlペニシリン、0.1 mg/mlストレプトマイシン及び2 mM L−グルタミンを有するGMEM(Invitrogen)](Cell 137, 571−584(2009))中、BMP4(500 ng/ml;R&D Systems)、LIF(1000 U/ml;Invitrogen)、SCF(100 ng/ml;R&D Systems)、BMP8b(500 ng/ml;R&D Systems)及びEGF(50 ng/ml;R&D Systems)によりEpiLCから誘導した。DP72カメラを備えたSZX16蛍光解剖顕微鏡(Olympus)又はAxioCamMRmカメラを備えたAxiovert200倒立蛍光顕微鏡(Zeiss)により画像を得た。

0105

定量(Q)−PCR(Genes Dev 22, 1617−1635(2008);Biol Reprod 75, 705−716(2006))用プライマー配列(Q−PCR)、バイサルファイト分析(Anal Biochem 226, 161−166, doi:S0003−2697(85)71204−3 [pii] 10.1006/abio.1995.1204(1995);Genomics 79, 530−538(2002);Nature 450, 908−912(2007))用プライマー配列(Bisulfite)、及びBVSC導入遺伝子のジェノタイピング(Reproduction 136, 503−514(2008))用プライマー配列(Genotyping)を表1に列記する。

0106

0107

免疫組織化学のために使用した一次抗体(Reproduction 139, 381−393, doi:REP−09−0373[pii]10.1530/REP−09−0373(2010))は以下のとおりであった:抗−Oct3/4(マウスモノクローナル;BD Biosciences)、抗−Sox2(ウサギポリクローナル;Santa Cruz)、抗−Nanog(ラットモノクローナル;eBioscience)、抗−H3K9me2(ウサギポリクローナル;Upstate)、抗−H3H27me3(ウサギポリクローナル;Upstate)及び抗−Dnmt3b(マウスモノクローナル;Abcam)。二次抗体は以下のとおりであった:Alexa Fluor 488抗−ウサギIgG、Alexa Fluor 568抗−ウサギ又はラット又はマウスIgG、Alexa Fluor 633抗−マウスIgG(これらは全てヤギポリクローナル;Invitrogen)。免疫蛍光画像は、共焦点顕微鏡(Olympus FV1000)により得た。蛍光活性セルソーティング(FACS)は、ARIAIIセルソーター(BD Biosciences)を用いて実施した。

0108

新生児W/Wvマウス(SLC)精細管へのPGC様細胞の移植、及び卵細胞質内精子注入(ICSI)は、以前に記載されたように実施した(Int J Dev Biol 41, 111−122(1997);Biol Reprod 52, 709−720(1995))。

0109

(方法)
1.動物
全ての動物実験は、京都大学の倫理指針下で実施した。BVSC及びP14Vトランスジェニックマウスは既に報告されており(Nat Genet 40, 1016−1022(2008);Reproduction 136, 503−514(2008))、主にC57BL/6バックグラウンドで維持された。ROSAマウス[B6;129S−Gt(ROSA)26Sor/J(ストック番号:002073)](Genes Dev 5, 1513−1523(1991))はJackson Laboratoryから購入した。W/Wvマウス(WB×C57BL/6)はSLC(Shizuoka, Japan)から購入した。交尾プラグを確認した日の正午を胎生期(E)0.5とした。

0110

2.ESC/EpiSCの派生及び培養
BVSC及びROSA導入遺伝子を有する胚盤胞をE3.5で子宮から流し、マウス胚性フィーダー上(Nature 453, 519−523, doi:nature06968 [pii] 10.1038/nature06968(2008))、2i(PD0325901、0.4μM;Stemgent;CHIR99021、3μM;Stemgent)及びLIF(1000 U/ml)を有するN2B27培地(N2を添加したDMEM/F12とB27を添加したNeurobasalとの1:1混合物)(Nat Biotechnol 21, 183−186, doi:10.1038/nbt780 nbt780 [pii](2003))中、96ウェルプレートのウェル中で培養した。広がったESCコロニーをTrypLE(Invitrogen)で解離することにより継代した。4継代までESCをフィーダー上で維持した。4継代時に、ESCをCell Banker 3(ZENOAQ)によりストックした。その後、雄のESCを融解し、培養し、ポリ−L−オルニチン(0.01%;Sigma)及びラミニン(10 ng/ml;BD Biosciences)でコートされたディッシュ上、無フィーダーで維持した。

0111

Acro/Act−EGFP(AAG)導入遺伝子を有するESC(129Sv×C57BL/6)を標準的なESC派生手順により得て、2i+LIF、無フィーダー培養条件に適合させた。

0112

EpiSCは、アクチビンA(20 ng/ml;Peprotech)、bFGF(12 ng/ml;Invitrogen)及びKSR(20%;Invitrogen)を含むN2B27培地中、MEF上でE5.75エピブラストから得た。細胞は、細胞集塊(cell clump)としてコラゲナーゼIV(1 mg/ml;Invitrogen)で解離することにより3日毎に継代し、約10継代後に典型的なEpiSCの形態を有する細胞を樹立した。

0113

3.EpiLC及びPGC様細胞の誘導
アクチビンA(20 ng/ml;Peprotech)、bFGF(12 ng/ml;Invitrogen)及びKSR(1%;Invitrogen)を含むN2B27培地中、ヒト血漿フィブロネクチン(16.7μg/ml;Millipore)でコートされた12ウェルプレートのウェル上に1.0×105ESCを播くことにより、EpiLCを誘導した。培地は毎日交換した。サイトカインBMP4(500 ng/ml;R&D Systems)、LIF(1000 U/ml;Invitrogen)、SCF(100 ng/ml;R&D Systems)、BMP8b(500 ng/ml;R&D Systems)及びEGF(50 ng/ml;R&D Systems)の存在下、無血清培地[SFM;15%KSR、0.1 mM NEAA、1 mMピルビン酸ナトリウム、0.1 mM2−メルカプトエタノール、100 U/mlペニシリン、0.1 mg/mlストレプトマイシン及び2 mM L−グルタミンを有するGMEM(Invitrogen)]中、低細胞結合性U底96ウェルプレート(NUNC)のウェルに1.0×103 EpiLCを播くことにより、浮遊条件でPGC様細胞を誘導した。

0114

4.蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析
誘導されたPGC様細胞をTrypLE(10分、37℃)で解離し、0.1%BSAを添加したDMEM/F12で洗浄し、遠心分離により集めた。大きな細胞集塊はセルストレーナー(BD Biosciences)を用いて除去した。フローサイトメーター(ARIAII;BD Biosciences)で細胞をソーティングし分析した。BV又はEGFP及びSCの蛍光活性は、それぞれFITC及びPacific blue channelにより検出した。AAGESC及びiPSCに由来するPGC様細胞の精製のために、PE及びAlexa Fluor 647とそれぞれ結合させた抗−インテグリンβ3抗体(BioLegend)及び抗−SSEA1抗体(eBioscience)とともに解離細胞をインキュベートした。0.1%BSAを添加したPBSで洗浄した後、フローサイトメーターで細胞をソーティングし分析した。

0115

5.Q−PCR、マイクロアレイ分析、バイサルファイト配列決定、ジェノタイピング、AP染色、免疫組織化学及びBrdU取込み
1)Q−PCR
単離したE5.75エピブラスト、ESC、EpiLC並びにFACSでソーティングされたPGC様細胞及び非PGC様細胞のtotal RNAをRNeasy micro Kit(QIAGEN)を用いて抽出し精製した。total RNAをSuperscript III(Invitrogen)により逆転写し、一本鎖cDNAをPower SYBR Green(ABI)を用いたQ−PCR分析に使用した。用いたプライマー配列を表1に列記する。

0116

2)マイクロアレイ分析
GeneChip Mouse Genome 430 2.0 Array(Affymetrix)を用いて網羅的遺伝子発現を分析した。ESC、d1、d2及びd3 EpiLC、EpiSC並びにPGC様細胞のtotal RNA 10μgを製造者説明書に従って処理した。マイクロアレイデータプログラムdChip(Proc Natl Acad Sci USA 98, 31−36(2001))を用いて分析した。以下の基準を使用して13,183のプローブを選択した:(1)生物学的複製の間の再現性を保証する発現レベル(<2倍)、及び(2)発現差異サンプルのいずれかのペア間で少なくとも2倍の差)。およそ500のESC、d2 EpiLC、EpiSC、E5.75エピブラスト、PGC様細胞及びE9.5 PGCのtotal RNAを、最初のPCRで12サイクル使用した以外は、以前に記載されたように増幅した(Nucleic AcidsRes 34, e42(2006);Nat Protoc 2, 739−752(2007))。再現性及び発現差異についての基準として4倍の差を使用して、増幅サンプルについて9711のプローブを選択した。UHC、PCA及び機能的カテゴリー分析は、それぞれ、プログラムTMEV4(Biotechniques 34, 374−378(2003))、R(R:A language and environment for statistical computing(Vienna, Austria, R Foundation for Statistical Computing)(2005))及びEASE(Genome Biol 4, R70(2003))を用いて実施した。

0117

3)バイサルファイト配列決定及びジェノタイピング
ESC、FACSでソーティングされたPGC様細胞、PGC様細胞に由来する子孫の尾、及び野生型マウスの尾からゲノムDNAを単離し、EpiTect Bisulfite Kit(QIAGEN)を用いてバイサルファイト反応を実施した。Igf2r、Snrpn、H19及びKcnq1ot1のメチル化可変領域のPCR増幅は、以前に記載されたプライマーセット及び条件(Genomics 79, 530−538(2002);Nature 450, 908−912(2007))(表1)を用いて実施した。PCR産物をpGEM−T Easy vector(Promega)にサブクローニングし、配列決定した。

0118

BVSC導入遺伝子のジェノタイピングは以前に記載されたように実施した(Reproduction 136, 503−514(2008);Nature 448, 313−317(2007);Cell 126, 663−676(2006))(表1)。

0119

4)AP染色及び免疫組織化学
AP染色及び免疫組織化学は以前に記載されたように実施した(Reproduction 136, 503−514(2008);Reproduction 139, 381−393, doi:REP−09−0373[pii]10.1530/REP−09−0373(2010);J Histochem Cytochem 47, 1443−1456(1999))。使用した一次抗体は以下のとおりであった:抗−Oct3/4(マウスモノクローナル;BD Bioscience)、抗−Sox2(ウサギポリクローナル;Santa Cruz)、抗−Nanog(ラットモノクローナル;eBioscience)、抗−H3K9me2(ウサギポリクローナル;Upstate)、抗−H3H27me3(ウサギポリクローナル;Upstate)及び抗−Dnmt3b(マウスモノクローナル;Abcam)。使用した二次抗体は以下のとおりであった:Alexa Fluor 488抗−ウサギIgG、Alexa Fluor 568抗−ウサギ又はラット又はマウスIgG、Alexa Fluor 633抗−マウスIgG(これらは全てヤギポリクローナルである;Invitrogen)。免疫蛍光画像は、共焦点顕微鏡(Olympus FV1000)により得た。

0120

5)BrdU取込み
BrdU取込みの分析のために、BrdU標識及び検出キット(Roche)を使用した。PGC様細胞のために4日間誘導された集合体を10μMのBrdUで6時間インキュベートした。インキュベート後、集合体をTrypLE処理により解離し、Cytospin4(Thermo Scientific)によりスライドガラス上に広げ、50 mMグリシン中70%EtOHで固定し、PBSで洗浄した。次いで、細胞を抗−BrdU及び抗−GFP、それに続いてAlexa Fluor 568抗−マウスIgG及びAlexa 488抗−ラットIgGでインキュベートした。免疫蛍光画像は、共焦点顕微鏡(Olympus FV1000)により得た。

0121

6.新生児W/Wvマウス精細管へのPGC様細胞の移植及び卵細胞質内精子注入(ICSI)
BVSCESC(C57BL/6バックグラウンド)からのPGC様細胞誘導の全集合体[実験当たり約192(2つの96ウェルプレート)集合体]をTripLE(Invitrogen)により単一の細胞に解離した。レシピエント動物[WB×C57BL/6 F1バックグラウンド(SLC)からの、内因性精子形成を欠損した新生児(7〜9日齢)W/Wvマウス(J Exp Zool 134, 207−237(1957))]に上で低体温麻酔を導入し、ドナー細胞懸濁液[全細胞解離物(dissociates)、又はFACSでソーティングされたBV陽性細胞(約2μl)(表3)]を各精巣の輸出管に注入した(Int J Dev Biol 41, 111−122(1997))。術後、レシピエント動物を同腹子に戻し、10週間後に分析した。

0122

移植してから10週間後、レシピエント精巣の精細管から、誘導されたPGC様細胞由来の精子を調製した。簡単に述べると、レシピエントの精巣から精細管を単離し、排精に相当する暗い中心領域を有するもの、又はAcro/Act−EGFP導入遺伝子のGFP蛍光を有するものを解剖顕微鏡下に置いた。これらの精細管をはさみで優しく細切し、解離して、精原細胞懸濁液を得た。細胞懸濁液はICSIまで4℃に保った。本質的には以前に記載されたようにICSIを実施した(Biol Reprod 52, 709−720(1995))。

0123

7.iPSCの派生及び培養、EpiLC及びPGC様細胞の誘導、並びにその分析
雄のiPSC(MEF−Ng−20D−17:Nature 448, 313−317(2007);MEF−Ng−178B−5:Nat Biotechnol 26, 101−106(2008);MEF−Ng−492B−4:Science 322, 949−953(2008))はRIKEN BRCから得た。iPSCは、ポリ−L−オルニチン(0.01%;Sigma)及びラミニン(10 ng/ml;BD Biosciences)でコートされたディッシュ上、2i(PD0325901、0.4μM;Stemgent;CHIR99021、3μM;Stemgent)及びLIF(1000 U/ml)を有するN2B27培地(N2を添加したDMEM/F12とB27を添加したNeurobasalとの1:1混合物)中で維持した。

0124

iPSCからのEpiLC及びPGC様細胞の誘導は、上記3.と同じ方法で実施した。誘導されたEpiLC及びPGC様細胞は、上記5.と同じ方法で分析した。

0125

実施例1:ESCからの原腸陥入前エピブラスト様細胞(EpiLC)
C57BL/6バックグラウンドで、Blimp1−mVenus and stella−ECFPレポーター(BVSC)(Reproduction 136, 503−514(2008))を有する雄のESCを得、MAPKシグナリング阻害剤(PD0325901、0.4μM)、GSK3阻害剤(CHIR99021、3μM)及びLIF(1000 U/ml)[2i+LIF]を有するN2B27培地中(約E3.5〜E4.5 ICM/初期エピブラスト様状態(基底状態)にESCを保つ条件(Nature 453, 519−523, doi:nature06968 [pii] 10.1038/nature06968(2008);Development 136, 3215−3222, doi:dev.038893 [pii] 10.1242/dev.038893(2009)))で維持した。検証した種々の条件のうち、フィブロネクチンでコートされたディッシュ上、アクチビンA(20 ng/ml)、bFGF(12 ng/ml)及びKnockout(商標)Serum Replacement(KSR)(1%)で刺激することにより、非常にコンパクトなESCコロニーが、エピブラストに類似したより扁平な上皮性構造に、3日にわたって均一に誘導されることを発見した(図1A、B)。刺激すると、細胞は、最初の2日間は比較的急速に増殖したが、その後、かなりの程度の細胞死を起こし、3日目の生存細胞数は2日目のものと類似した(図1D)。3日目の細胞は、より伸長突起のある形態を示した(図1B)。

0126

3日の分化期間において、基底状態のESC又は誘導されたエピブラスト様細胞(以下、EpiLCと称する)においてBVSC発現は観察されなかった(図1B)。Prdm14レポーター(Prdm14−mVenus;P14V)(Nat Genet 40, 1016−1022(2008))を有する独立したESC株は、アクチビンA、bFGF及びKSRによる刺激時に類似した分化を示した:Prdm14はESCにで発現したが、EpiLCの誘導とともに急速に減少した(図1B)。キーとなる多能性タンパク質(Oct3/4、Sox2及びNanog)発現(概説についてはDevelopment 136, 2311−2322, doi:136/14/2311 [pii]10.1242/dev.024398(2009)を参照されたい)の免疫蛍光分析により、EpiLC誘導の間に、Oct3/4は持続して発現したが、Sox2及びNanogは、それぞれ2日目及び1日目に減少したことが示された(図1C)。EpiLCの特性をより正確に検証するために、EpiLCと単離したE5.75エピブラストとの間で、多数のマーカーの発現を定量(Q)−PCRにより比較した。レポーター遺伝子発現及び免疫蛍光分析と十分一致して、EpiLC分化の過程で、Oct3/4は比較的一定のレベルで発現したが、ICM状態とより緊密に関連する遺伝子、例えば、Sox2、Nanog及びPrdm14、並びにZfp42(Rex1)、Tbx3、Tcl1、Esrrb、Klf2、Klf4及びKlf5などは、エピブラストのものと類似のレベルまで下方制御された(図1E)。対照的に、エピブラストで上方制御される遺伝子、例えば、Wnt3、Fgf5及びDnmt3bなどの発現は(Nat Genet 22, 361−365(1999), Dev Dyn 233, 1064−1075(2005), Development 112, 397−406(1991), Development 112, 407−415(1991), Cell 99, 247−257(1999), Gene Expr Patterns 9, 27−30, doi:S1567−133X(08)00108−7[pii]10.1016/j.gep.2008.09.002(2009))、実際に上昇した(図1E)。特に、EpiSCとは相違して、Gata4、Gata6、Sox17などの内胚葉マーカーは下方制御されるか、非常に低く維持された(図1E)。PGC以外では近位内胚葉及び胚体内胚葉で発現を示すBlimp1が、EpiLCでさらに下方制御されたことにも留意しなくてはならない(図1E)。これらの発見は、基底状態で培養されたESCが、アクチビンA、bFGF及びKSRでの刺激により、一過性であるとはいえ、原腸陥入前エピブラスト様細胞に誘導されたことを示す。特に、2日目のEpiLC(day−2 EpiLC)は、その形態及び遺伝子発現に関して、原腸陥入前エピブラストと酷似する。

0127

実施例2:EpiLCを介した、ESCからのPGC様細胞の誘導
次に我々は、EpiLCが、in vivoにおける原腸陥入前エピブラストの場合と同様に、PGC様細胞に誘導されるかを検証した。このような誘導は、EpiLCが原腸陥入前エピブラストの機能的特性を有するか否かの重要な指標であると考えられた。我々は、BVSC ESC並びに1日目(day−1)、2日目(day−2)及び3日目(day−3)のEpiLCを、浮遊条件下(低細胞結合性U底96ウェルプレートのウェル当たり1,000細胞)、SFM単独、又はLIF(1000 U/ml)を有するSFM中、又はBMP4(500 ng/ml)を有するSFM中、又はBMP4及びLIFを有するSFM中で2日間培養した。図2Aに示すように、SFM単独又はLIFを有するSFM中で培養した集合体のいずれも、有意なBV誘導は観察されなかった。対照的に、BMP4を有するSFM、又はBMP4及びLIFを有するSFM中で培養した場合には、顕著且つ比較的均一なBV誘導が、day−2 EpiLC由来の集合体において明確に見られたが、ESC又はday−1 EpiSC由来の集合体では見られなかった(図2A)。day−3 EpiLC由来の集合体もBV誘導を呈したが、他の起源のものと比較して、非常に小さく、あまり組み込まれていないようであった(図2A)。SCは、2日の培養の間、いずれの条件下でも誘導されていないようであった。これらの発見は、E5.5〜E6.0エピブラストと同様に、EpiLC、特にday−2 EpiLCが、BMP4に応答して特異的にBlimp4を発現する能力を有することを示す。

0128

EpiLCから誘導されたBV陽性細胞がさらにPGC様細胞となるかどうかを調べるために、SFM単独、又はBMP4を有するSFM、又はBMP4及びLIFを有するSFM、又はBMP4、LIF、SCF(100 ng/ml)、BMP8b(500 ng/ml)及びEGF(50 ng/ml)を有するSFM[完全誘導条件(Cell 137, 571−584(2009))]中、6日間、day−2 EpiLCの浮遊培養を実施した。day−2 EpiLCをSFM単独で培養した場合、6日の間に有意なBVSC誘導は観察されなかった(図2B)。BMP4を有するSFM中で培養した場合には、2日目にBVが強く誘導された。4日目には、集合体は非常に増殖し、BV陽性細胞は複数の緊密なクラスターを形成し、そのうちのいくつかはSCに対してわずかに陽性であった。6日目では、集合体はさらに発達したが、BV陽性(foci)は、その大部分がSC陽性であるとはいえ、さらに小さくなった(図2B)。day−2 EpiLCをBMP4及びLIFを有するSFM中で培養した場合、2日目に集合体は強いBV誘導を示し、4日目にはBV陽性細胞が緊密且つ大きなクラスターを形成し、とりわけ、その大部分はSC誘導を示した。6日目には、BVSC陽性巣は小さくなり、より分散されたように見えたが、依然として存続しており、集合体の周囲に移動した(図2B)。4日目から6日目に、BVSC陰性集団が、より急速な拡大を呈した。完全誘導条件下で培養した場合には、2日目に集合体は均一なBVを呈し、4日目にBV陽性細胞は周辺に移動し、明確なSC発現を開始した。6日目には、集合体全体が広がり、BVSC陽性細胞は増殖して、集合体を覆った(図2B)。完全誘導条件下、day−2 EpiLCに由来する集合体の構造的な発達及びBVSC陽性PGC様細胞の出現は、エピブラストのものと酷似する(Cell 137, 571−584(2009))。これらの発見は、day−2 EpiLCは、基本的にはBMP4によりBVSC陽性PGC様細胞に誘導され、BVSC陽性細胞の維持/生存/増殖は、LIFにより高められ、より確実にはLIF、SCF、BMP8b及びEGFの組合せ効果により高められることを実証する。

0129

我々は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により、完全誘導条件下、day−2 EpiLCからBVSC陽性細胞への進行を分析し、それにより、BVが早ければ2日目にも実際に強く誘導され(約40.7%)、4日目にはBV陽性細胞からSCが生じる(BV:約38.7%;BVSC:約13.5%)ことが示された(図2C)。倒立蛍光顕微鏡下で定量されるように、1,000細胞集合体当たりのSC陽性細胞数は、4日目及び6日目でそれぞれおよそ480及びおよそ900であった(図2D)。我々は、BVSC陽性領域が、アルカリフォスファターゼ(AP)陽性であることを確認した(図5)。BVSC陽性細胞は、完全誘導条件下、10日目まで保たれた(図6)。さらに、我々は、基底状態で培養した複数の独立したESC株から、EpiLCを介して、BVSC又はP14V陽性PGC様細胞への誘導を再現できた(図7及びデータ示さず)。集約すると、これらの発見は、day−2 EpiLCは、おそらく完全ではないものの、E5.5〜E6.0エピブラストの培養等価物であり、EpiLCを介した、基底状態ESCからPGC様細胞への誘導は、高い再現性を有する確固としたプロセスである、との考えを裏付ける。

0130

我々は、d2 EpiLCからのBVSC(+)細胞誘導と、エピブラストからのものとを比較した。完全誘導条件下、d2 EpiLCに由来する集合体の構造的発達、並びにBVSC(+)細胞誘導の効率及びダイナミクスは、エピブラスト由来のものと類似した(図10A):2日目にはエピブラスト細胞の約45.8%が(d2 EpiLCの約41.5%と比較)強いBV陽性を示し、細胞数/BV陽性プロットは、d2 EpiLC及びエピブラスト細胞の両方についてその大部分が、BV陽性状態へシフトしたことを明らかにした(図10B)。これは、d2 EpiLC及びエピブラストが、BMP4に応答してBlimp1を発現できる、類似した能力を有することを示す。4/6日目では、エピブラスト細胞の反応はいくらかまとまりがあるように見えたが、d2 EpiLC及びエピブラストに由来するBVSC(+)細胞の出現効率及び様式は、やはり類似していた(図10C)。これらの発見は、d2 EpiLCが、原腸陥入前エピブラスト細胞と同一でないにせよ類似した特性を有することを確認する。

0131

実施例3:PGC様細胞誘導と関連する遺伝子発現ダイナミクス
PGC様細胞誘導プロセスについて、より重要な見解を得るために、我々は、day−2 EpiLCからのPGC様細胞誘導と関連する遺伝子発現ダイナミクスをQ−PCRにより評価した(図2E)。Oct3/4は、BV陽性細胞及びBVSC陽性細胞(それぞれ、2日目、及び4/6日目)でわずかに上方制御された一方、day−2 EpiLCで下方制御されたSox2及びNanog(図1E)は、これらPGC様細胞において有意に回復した。PGC分化決定時に特異的に上方制御される遺伝子(Blimp1、Prdm14、Tcfap2c、Nanos3、stella(Dppa3)、Tdrd5及びDnd1を含む)は、BV陽性及びBVSC陽性細胞において、すべて高度に上昇した。対照的に、Hoxa1、Hoxb1、Snai1などの壁側中胚葉のプログラムと関連する遺伝子は、2日目のBV陽性細胞では一時的な上方制御を示したが、その後、4日目及び6日目のBVSC陽性細胞では、大幅な抑制を呈した。他方、Dnmt3a及び3b、Dnmt1の重要な補助因子(co−factor)をコードするNp95、並びにc−mycは、単調に下方制御された。Mvh、Dazlなどの生殖細胞発生後期と関連する遺伝子は、BVSC陽性細胞において、わずかな上方制御を示した。従って、in vitroにおけるPGC様細胞誘導と関連する遺伝子発現ダイナミクスは、in vivoにおけるPGC分化決定のものと酷似する(Genes Dev 22, 1617−1635(2008), Nature 418, 293−300(2002), Biol Reprod 75, 705−716(2006))。

0132

我々は、6日目において、BV(+)SC(−)細胞での内因性stellamRNAレベルが、BVSC(+)細胞のものと類似したことに注目した(図2F)。SC発現は、stella発現が現れてから2.5日後、E9.5になって初めて高くなるので(Reproduction 136, 503−514(2008), Nature 418, 293−300(2002))、この発見は、BV(+)SC(−)細胞の多く、特に誘導後期にあるものが、高いレベルで内因性stellaを発現しており、従って、樹立されたPGC様細胞と考えるべきであることを示す。

0133

特に、BV−又はBVSC−陰性細胞は、比較的高いレベルのOct3/4、Sox2及びNanogを保持/回復し、生殖細胞特異的遺伝子をある程度上方制御した(図2E)。これは、本質的に全てのday−2 EpiLCは、サイトカイン、最も重要なものとしてはBMP4により生殖細胞の運命へと方向付けられており、十分なレベルでBlimp1を獲得したものは、首尾よくPGC様細胞へとさらに進むことができるが、十分なBlimp1を得ることが出来なかったものは、いくつかの確率的パラメーター又はわずかな本質的相違により非生殖細胞の形質となる、との考えと一致する。

0134

次いで、PGCLC誘導の網羅的転写ダイナミクスを測定するために、我々は、ESC、d1/2/3 EpiLC、EpiSC、E5.75エピブラスト、誘導6日目のBVSC陽性PGC様細胞、及びE9.5でのstella−EGFP(+)PGC(Genesis 44, 75−83(2006))からtotal RNAを単離した。我々は、2セットのマイクロアレイハイブリダイゼーションを実施した;1つは、ESC、d1/2/3 EpiLC、EpiSC及びPGC様細胞由来の非増幅RNAであり、もう1つは、ESC、d2 EpiLC、EpiSC、E5.75エピブラスト、PGC様細胞及びE9.5 PGC由来の増幅RNAであった。

0135

非増幅サンプルの教師なし階層的クラスタリング(Unsupervised hierarchical clustering:UHC)により、ESC、d1/2/3 EpiLC、EpiSC及びPGC様細胞の2つの独立したサンプルが、共に緊密にクラスター化されたことが示された(図11A(a))。これは、PGC様細胞誘導の再現性を反映するものである。主成分分析により、漸増値のPC2スコアを有するESC、d1、d2及びd3 EpiLCが示され、ESCからのEpiLC誘導が、指向性且つ進行性のプロセスであることが示唆された(図11A(b))。EpiSCは、他のサンプルとは離れてクラスター化され(図11A(a))、他の細胞タイプとは相違することが示された。

0136

増幅サンプルのUHCにより、第一に、全ての細胞タイプの2つの独立したサンプルは、やはり共にクラスター化されたことが示され、第二に、d2 EpiLC及びPGC様細胞は、それぞれ、E5.75エピブラスト及びE9.5 PGCと最も近接してクラスター化された一方、EpiSCは、他の細胞タイプとは離れてクラスター化されたことが示された(図11A(c))。散布図分析により、d2 EpiLCとE5.75エピブラスト、及びPGCLCとE9.5 PGCとが極めて類似することが実証され、EpiSCとE5.75エピブラストとは相対的に大きく異なることが実証された(図11B)。我々は、PCAにより得られた3つの主要なパラメーターにより定義される3次元空間に全ての細胞タイプをプロットした(図11D)。とりわけ、d2 EpiLCからPGC様細胞への誘導経路は、E5.75エピブラストからのE9.5 PGC形成のものと平行であった(図11D)。さらに、エピブラストからのEpiSCの派生は、別の経路を伴い(図11D)、これは、異なるPC1(総分散の61%を表す)スコアにより反映された。これらの発見は、EpiLCを介したESCからのPGC様細胞の形成は、エピブラストからのPGC形成を再現することを強調する。

0137

我々は、ESCのレベルと比して、E5.75エピブラスト、d2 EpiLC及びEpiSCで上方制御される遺伝子を列挙し分類した。この分析により、EpiSCは、E5.75エピブラスト及びd2 EpiLCよりも種々の臓器系(心臓、血管、腎臓筋肉及び骨)の発生と関連する遺伝子を上方制御したことが明らかとなり(図11C)、これにより、その派生の間、EpiSCは、E5.75エピブラスト及びd2 EpiLCよりも、より発生的に進んだ特徴を獲得することが実証された。

0138

実施例4:PGC様細胞のエピジェネティックプロファイル及び細胞ダイナミクス
次に、我々は、完全誘導条件下、6日目における、day−2 EpiLCから誘導されたBVSC陽性細胞のエピジェネティックな特性を決定した。我々は、BVSC陽性細胞が、有意に減少したH3K9me2と、その代わり高く上昇したH3K27me3を有するようであることを発見した(図3A(a)、(b))。Q−PCR分析と一致して、BVSC陽性細胞は、Dnmt3bに対して陰性であった(図3A(c))。次いで、我々は、母方で発現した(Snrpn、Kcnq1ot1)インプリンティング遺伝子及び父方で発現した(Igf2r、H19)インプリンティング遺伝子のインプリンティング状態を、これら遺伝子のメチル化可変領域についてのバイサルファイト配列決定分析により測定した。図3Bに示すように、BVSC陽性PGC様細胞は、Igf2r及びSnrpnのメチル化インプリントは保持していたが、H19及びKcnqlot1のメチル化インプリントレベルは減少しているようであり、これは、day−6 BVSC陽性細胞が、インプリント消去プロセスを開始することを示唆する(Mech Dev 117, 15−23(2002))。集約すると、これらの結果は、day−2 EpiLCからのPGC様細胞の発生は、遺伝子発現及びエピジェネティックなリプログラミングに関してPGC分化決定及び発生を正確に再現しており、day−6 BVSC陽性細胞は、およそ約E9.5頃の移動PGC(migrating PGC)と、同一でないまでも、酷似した特性を有することを明確に実証する(Development 134, 2627−2638(2007))。

0139

我々は、PGC様細胞誘導及び増殖のダイナミクスを検証した(図3C(a)及び表2)。約1,000 EpiLC集合体からのPGC様細胞誘導2日目では、強いBV(+)細胞の平均数は783(約39%)であった一方、BV(−)細胞の平均数は1225(約61%)であった。4日目には、BV(+)細胞の平均数は1415(約26%)であり、そのうち482細胞は、SC(+)(約9%)であった一方、BV(−)細胞の平均数は3967(約74%)であった。6日目には、BV(+)細胞の平均数は2222(約12%)であり、そのうち848細胞はSC(+)(約5%)であった一方、BV(−)細胞の平均数は15811(約88%)であった。

0140

0141

細胞周期分析により、BV(+)細胞、特に4/6日目のBVSC(+)細胞がG2期豊富に存在する一方、BV(−)細胞は、特に4/6日目において、体細胞周期のものと類似したプロファイルを示すことが明らかとなった(図3C(b))。一貫して、PGC様細胞は、誘導4日目、6時間の培養の間に、BrdUを効率的に取り込まず、一方、非PGC様細胞は、活発に取り込んだ(図3C(c))。集約すると、これらのデータは、EpiLCからのBV誘導は効率的なプロセスであり、恐らく全てのBV(+)細胞は、その後stella発現を開始するが(SC陽性を問わない;上記参照)、誘導されたBV(SC)(+)細胞の増殖は緩慢である一方(2日〜6日で1〜2分裂)、BV(−)細胞は、より急速に増殖する(3〜4分裂)ことを示す。緩慢な増殖及び細胞周期G2期での停止は、移動PGCのキーとなる特徴であり(Development 134, 2627−2638(2007))、PGC様細胞が同等の特性を有するとの発見は、PGC様細胞形成が、PGC形成の再構成であるとの更なる証拠を提供するものである。

0142

実施例5:PGC様細胞の精子形成及び正常な子孫
次に我々は、PGC様細胞の機能を評価するために、内因性生殖細胞を欠損した新生児W/Wvマウス精細管にPGC様細胞を移植することにより、PGC様細胞が適切な精子形成を起こすかどうかを検証した(Development 132, 117−122(2005))。精子形成に貢献する細胞の能力は、当該細胞が雄性生殖細胞となるかどうかの最も厳密な指標である(Cold Spring Harb Symp Quant Biol 73, 17−23, doi:sqb.2008.73.033 [pii]10.1101/sqb.2008.73.033(2008))。我々は、BVSCESC株からPGC様細胞を6日間誘導し、集合体全体又はFACSによりソーティングしたBV陽性細胞から解離した単一細胞をレシピエントの精巣に移植し、10週間後にこれを評価した。集合体全体の細胞を移植した精巣は全て(8/8及び6/6)三胚葉の細胞を含む明らかなテラトーマを生じた(図8及び表3)。際立って対照的に、FACSソーティングされたBV陽性細胞を移植した精巣は、テラトーマ形成を示さなかった。その代わり、驚くべきことに、6つの精巣のうち3つが、見かけ上適切な精子形成を有する精細管を有した;移植された精細管は、外見上排精に相当する暗い中心のセクションを含み、これら精細管は、精子形成していないものよりも、かなり厚いものであった(図4A(a)及び表3)。厚い精細管内を調べることにより、正常な形態を有する豊富な精子の存在が実際に明らかとなった(図4A(b))。厚い精細管の組織学的検査により、確固たる断続的な精子形成が明確に示され、一方、薄い精細管にはセルトリ細胞しか含まれていなかった(図4A(c)、(d))。PGC様細胞のコロニー形成効率は、我々が実施したin vivoでのPGCのものと類似した(Cell 137, 571−584(2009))。これらの発見は、ESCから誘導されたPGC様細胞は、in vivoにおけるPGCと機能的に類似した特性を有することを示す。

0143

0144

我々は、卵細胞質内精子注入(ICSI)により、ESCに由来する精子を野生型卵母細胞受精した。得られた受精卵は正常に発達し、胚盤胞期までに、ドナーESCゲノム由来の強いSCを呈した(図4B(a)〜(d)及び表4)。移植された胚は、正常な胚盤及び正常なインプリンティングパターンを有する極めて健常な子孫を生じた(図4B(e)〜(g)、図4C)。BV及びSC導入遺伝子は、21子孫のうち、それぞれ13及び7子孫で陽性であり(図4B(h))、半数体ドナー精子を介した導入遺伝子の遺伝と一致した。PGC様細胞由来の子孫は、正常に発達し、妊孕性の成体に成長した(図12及び表4)。全ての証拠に基づいて、我々のシステムは、in vivoにおけるICMからの生殖細胞分化決定経路をin vitroで初めて機能的に再現するものである、と結論づけ、提案する。

0145

0146

実施例6:PGC様細胞を単離するための表面マーカーの同定
PGC様細胞の純粋な集団を区別する表面マーカーの同定は、ヒトを含む種々の哺乳動物種由来のiPSCやESCなどの、適切なトランスジェニックレポーターを有さないPSCからPGC様細胞を単離するために必須である(Reproduction 139, 931−942(2010))。我々は、BV(+)集団を定義するものを同定するために、表面マーカー(SSEA1、PECAM1、EPCAM、N−カドヘリン、インテグリン−β3、インテグリン−αV、CXCR4及びKIT)及びそれらの組合せをスクリーニングした。6日間誘導されたBVSC d2 EpiLCの集合体を、SSEA1及びインテグリン−β3によりFACSソーティングした場合に、それらは、3つの主要な亜集団に分類された[P1(SSEA1高、インテグリン−β3高)、P2(SSEA1高、インテグリン−β3低)及びP3(SSEA1低、インテグリン−β3高/低)]。特に、P1では、99%超の細胞がBV(+)であったが、P2及びP3では、それぞれ、わずか1.2%及び1.7%の細胞しかBV(+)細胞を含まず(図13A)、P1が、BV(+)集団とほぼ同一であることが示された。

0147

我々は、Acro/Act−EGFP(AAG)導入遺伝子を有するESC(Dev Growth Differ 42, 105−112(2000))をPGC様細胞に誘導し、6日目の集合体をSSEA1及びインテグリン−β3によりFACSソーティングした。これら集合体のソーティングパターンは、BVSC ESC由来の集合体のものとはいくらか相違したが、我々は、3つの類似する亜集団を同定した(図13B)。我々は、これら亜集団における、図2Eで分析した20遺伝子の発現レベルと、BV(+)PGC様細胞におけるものとを比較した。P1における20遺伝子の発現レベルは、BV(+)PGCLCのものとよく相関したが(R2=0.80)、他の2つの亜集団におけるものは、弱い相関しか示さなかった(図13B)。

0148

AAGESC由来のP1亜集団が精子形成に貢献するかどうかを調べるために、我々は、W/Wvマウスの精細管にそれらと集団全体とを移植し、8週間後にレシピエントを評価した。集団全体を移植した精巣では全てテラトーマが見られたが、P1亜集団を用いた精巣ではテラトーマは検出されず、その代わりに、6の精巣のうち5つでAAG導入遺伝子によるGFP蛍光を有する適切な精子形成が実証された(図13C(a)〜(e)、表3)。得られた精子は、12 ICSIとそれに続く胚移植手順を用いて、健常で妊孕性の子孫に貢献した(図13C(f)及び表4)。これらの発見は、SSEA1及びインテグリン−β3によるソーティングにより、催奇形性の未分化細胞が基本的には混入することなく、PGC様細胞が精製され、関連するトランスジェニックマーカーを有さないESCからのPGC様細胞の形成及び精製を確立することを実証する。

0149

実施例7:EpiLCを介したiPSCからのPGC様細胞の誘導、PGC様細胞の精子形成及び子孫
実施例1及び2と同様の方法でiPSCからEpiLC及びPGC様細胞を誘導し、免疫蛍光法及びQ−PCRにより特徴付けた。マウスiPSCとして、3遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4)の導入により作製されたiPS178B−5(Nat Biotechnol 26, 101−106(2008))、並びに4遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c−Myc)の導入により作製されたiPS492B−4(Science 322, 949−953(2008))及び20D17(Nature 448, 313−317(2007))を使用した(これらは全てNanog−EGFP(NG)導入遺伝子を有している)。分析結果を図9に示す。iPSCをEpiLCに2日間分化誘導すると、ESCの場合と同様に、エピブラスト様の構造に形態的に変化した。免疫蛍光法により、EpiLC誘導の間、Nanog発現が急激に消失することが明らかとなった(図9A〜9C、(a))。次に、Q−PCRを実施して、実施例1と同様の方法で得られたEpiLCを特徴付けた。その結果、iPSCを2日間分化誘導して得られたEpiLCは、ESC由来のEpiLCと類似して、ICM状態と密接に関連する遺伝子の下方制御を示し、エピブラストで上方制御される遺伝子の発現上昇を示した。さらに、内胚葉マーカーも、ESC由来EpiLCと同様に下方制御された(図9D)。

0150

次に、我々は、iPSC由来のEpiLCが、ESC由来のものと同様に、PGC様細胞に誘導されるかを調べた。EpiLCを「完全誘導条件」(BMP4、LIF、SCF、BMP8b及びEGFを含有するSFM)下で6日間培養した。細胞集合体は、ESC由来EpiLCの場合と同様に、PGC様細胞誘導とともに広がった。Nanog陽性細胞は、ESC由来EpiLCをPGC様細胞に分化誘導した場合のBVSC陽性細胞と同様に、培養6日目の細胞集合体の周辺部で検出された(図9A〜9C、(b))。

0151

我々は、6日目の誘導された集合体をSSEA1及びインテグリン−β3によりFACSソーティングした。3つの株のソーティングパターンはお互いにいくらか異なっており、20D17株のものは、ESC株のものとより類似した(図9A〜9C、(c)及び図9E)。20D17株の集合体において、NG陽性細胞は、約57%を示した(図9A(c))。移動PGCの特徴と一致して、P1亜集団は、NG高細胞及びNG低細胞の両方を含んだ(図9A(c))(Gene Expr Patterns 5, 639−646(2005))。他方、P2亜集団は、NG高細胞を豊富に含み、これはおそらく未分化集団を表している(図9A(c))。

0152

20D17株由来のP1亜集団における、図2Eで分析した20遺伝子の発現レベルは、BV(+)PGC様細胞におけるものと顕著な相関を示したが(R2=0.96)、他の2つの亜集団におけるものは、弱い相関しか示さなかった(図9E)。我々は、3つの株由来のP1細胞をW/Wvマウス精細管に移植し、10週間後にレシピエントを評価した。178B−5又は492B−4株由来の細胞を有する精巣はいずれも精子形成を示さず、178B−5細胞を有する2つはテラトーマを形成した(表3)。驚くべきことに、20D17株由来の細胞を有する18の精巣のうち3つは、適切な精子形成を呈し、この株のレシピエントにおいてテラトーマは観察されなかった(図9F(a)及び表3)。得られた精子は、ICSI及びその後の胚移植手順により、妊孕性子孫に貢献した(図9F(b)、表4)。特に、子孫の一部は、外見から判断して首領域周辺の腫瘍により、早期に死亡し(データ示さず)、これは、20D17キメラのF1子孫の一部で観察された結果と類似した(Nature 448, 313−317(2007))。これらの発見は、iPSCは、株によって異なる誘導特性を呈するものの、それでもなお、in vitroにおいて適切な機能を有するPGC様細胞を形成できることを実証する。

0153

本発明を好ましい態様を強調して説明してきたが、好ましい態様が変更され得ることは当業者にとって自明であろう。本発明は、本発明が本明細書に詳細に記載された以外の方法で実施され得ることを意図する。従って、本発明は添付の「請求の範囲」の精神及び範囲に包含されるすべての変更を含むものである。

0154

ここで述べられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。

0155

本願は、米国仮特許出願第61/373,563号を基礎としており、その内容は、ここで参照したことにより本明細書に組み込まれる。

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