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技術 プロテインA(SpA)変種に関連する組成物および方法

出願人 ザ・ユニバーシティ・オブ・シカゴ
発明者 シュニーウィンドオラフチェンアリスジー.ミシアカスドミニクエム.キムファン
出願日 2011年7月1日 (9年6ヶ月経過) 出願番号 2013-518766
公開日 2013年9月5日 (7年3ヶ月経過) 公開番号 2013-534532
状態 特許登録済
技術分野 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 突然変異または遺伝子工学 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード 医療手当 選択セグメント マイクロ管 まき散らす 成分モデル 機能的位置 クラスタ形成 顆粒状物質
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題・解決手段

本発明は、細菌感染、特にブドウ球菌(Staphylococcus)による感染を処置または予防するための方法および組成物に関する。本発明は、該細菌に対する免疫応答刺激する方法および組成物を提供する。特定の態様において、この方法および組成物には、毒素産生性プロテインA(SpA)変種が用いられる。

概要

背景

II.背景
市中獲得型および病院獲得型の両感染の数は、血管内装置の使用増加とともにここ数年増えている。病院獲得型の(院内)感染は罹病率および死亡率の主な原因であり、より具体的には、米国では、病院獲得型の感染は毎年2百万人超の患者に影響を与えている。最も頻度が高い感染は、尿管感染(感染の33%)であり、次いで肺炎(15.5%)、外科手術部位感染(14.8%)および主要血流感染(13%)が続く(Emorl and Gaynes, 1993)。

主な院内病原菌には黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、血液凝固酵素陰性ブドウ球菌(ほとんどが表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis))、腸球菌(enterococcus spp.)、大腸菌(Escherichia coli)および緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)が含まれる。これらの病原菌はほぼ同数の感染を引き起こすが、これらが生み出しうる障害重症度と、抗生物質耐性分離菌の頻度を考え合わせると、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌を最も重要な院内病原菌とする順位になる。

ブドウ球菌は、毒素産生または侵入のいずれかを通じてヒトおよび他の動物多種多様な疾患を引き起こしうる。ブドウ球菌の毒素は、この細菌が不適切貯蔵された食品のなかで増殖しうるので、食中毒の一般的な原因でもある。

表皮ブドウ球菌は、通常の皮膚共生生物であり、これは、正常に機能しない医療機器の感染および手術部位での感染に関わる重要な日和見病原菌でもある。表皮ブドウ球菌が感染する医療機器には、心臓ペースメーカー髄液シャント持続携帯式腹膜透析カテーテル整形外科用機器および人工心臓弁が含まれる。

黄色ブドウ球菌は、有意な罹病率および死亡率を有する院内感染の最も一般的な原因である。これは骨髄炎心内膜炎敗血性関節炎、肺炎、膿瘍および毒素性ショック症候群のいくつかの症例の原因である。黄色ブドウ球菌は、乾いた表面上で生き延び、感染の機会を高めることができる。いずれの黄色ブドウ球菌感染もブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、つまり血流に吸収された外毒素に対する皮膚反応を引き起こすことがある。これは、命にかかわりうる膿血症と呼ばれる敗血症一種を引き起こすこともある。問題となるのは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が病院獲得型の感染の主な原因になっていることである。

黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌感染は典型的には、抗生物質処置され、ペニシリン選択薬であるが、メチシリン耐性分離株にはバンコマイシンが使用される。抗生物質に対して幅広耐性を示すブドウ球菌株の割合は、ますます広まっており、有効な抗菌療法にとって脅威となっている。さらに、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌株が最近出現したことが、いかなる有効な治療も利用できないMRSA株が出現し蔓延しているという恐怖心をかき立てている。

ブドウ球菌抗原に対して作製された抗体を用いる、ブドウ球菌感染のための抗生物質による処置に代わる方法が研究中である。この治療では、ポリクローナル抗血清投与(WO00/15238、WO00/12132)またはリポタイコ酸に対するモノクローナル抗体での処置(WO98/57994)を伴う。

代替的な手法は、ブドウ球菌に対する免疫反応を生じさせるための能動ワクチン接種の使用であろう。黄色ブドウ球菌のゲノム配列決定され、コード配列の多くが特定されており(WO02/094868、EP0786519)、これによって潜在的な抗原の特定に至る可能性がある。同じことが表皮ブドウ球菌(WO01/34809)にも当てはまる。この手法の精緻化として、他者らは、ブドウ球菌感染に罹患した患者由来過免疫血清によって認識されるタンパク質を特定している(WO01/98499、WO02/059148)。

黄色ブドウ球菌は多量の病毒性因子細胞外環境中に分泌する(Archer, 1998; Dinges et al., 2000; Foster, 2005; Shaw et al., 2004; Sibbald et al., 2006)。大部分の分泌タンパク質と同様に、これらの病毒性因子はSec機構により原形質膜内外に移動される。Sec機構により分泌されるタンパク質は、このプレタンパク質がSecトランスロコンに結合されると、リーダーペプチダーゼにより除去されるN末端リーダーペプチドを持つ(Dalbey and Wickner, 1985; van Wely et al., 2001)。細菌のゲノム分析から、放線菌門(Actinobacteria)およびフィルクテス門(Firmicutes)の成員は、Sec非依存的にタンパク質のサブセットを認識するさらなる分泌系をコードすることが示唆されている(Pallen, 2002)。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のESAT-6 (初期分泌抗原標的(early secreted antigen target) 6 kDa)およびCFP-10 (培養ろ液抗原(culture filtrate antigen) 10 kDa)は、結核菌においてESX-1またはSnmと名付けられたこの新規の分泌系の最初の基質に相当する(Andersen et al., 1995; Hsu et al., 2003; Pym et al., 2003; Stanley et al., 2003)。黄色ブドウ球菌では、EsxAおよびEsxBと命名された二つのESAT-6様因子がEss経路(ESAT-6分泌系(ESAT-6 secretion system))によって分泌される(Burts et al., 2005)。

黄色ブドウ球菌を標的とするまたは黄色ブドウ球菌が産生する細胞外タンパク質(exoprotein)を標的とする第一世代のワクチンでは大した成果がなかった(Lee, 1996)。ブドウ球菌感染に対する有効なワクチンを開発する必要がまだある。ブドウ球菌感染を処置するためのさらなる組成物も必要とされている。

概要

本発明は、細菌感染、特にブドウ球菌(Staphylococcus)による感染を処置または予防するための方法および組成物に関する。本発明は、該細菌に対する免疫応答刺激する方法および組成物を提供する。特定の態様において、この方法および組成物には、毒素非産生性プロテインA(SpA)変種が用いられる。

目的

本出願では、プロテインA変種またはその免疫原性断片を含む免疫原性組成物も提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

(a) Fc結合を破壊する少なくとも一つのアミノ酸置換および(b) VH3結合を破壊する少なくとも第二のアミノ酸置換および(c) SEQID NO:2のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有する変種プロテインA(SpA)を含む、単離ポリペプチド

請求項2

変種SpAが、変種ドメインDセグメントを含む、請求項1記載の単離ポリペプチド。

請求項3

変種SpAが、SEQID NO:2のアミノ酸位置9または10の位置に一つまたは複数のアミノ酸置換を有し、かつSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項2記載の単離ポリペプチド。

請求項4

アミノ酸置換が、グルタミン残基に代えてリジン残基である、請求項3記載の単離ポリペプチド。

請求項5

SEQID NO:2のアミノ酸位置36および37にアミノ酸置換をさらに含む、請求項3記載の単離ポリペプチド。

請求項6

ドメインDのアミノ酸配列がSEQID NO:2のアミノ酸位置36および37にアラニン残基置換を含む、請求項5記載の単離ポリペプチド。

請求項7

SpA Eドメイン、Aドメイン、BドメインまたはCドメインの一つまたは複数の変種をさらに含む、請求項2記載の単離ポリペプチド。

請求項8

二つまたはそれ以上のDドメインセグメントを含む、請求項2記載の単離ポリペプチド。

請求項9

非プロテインAセグメントをさらに含む、請求項1記載の単離ポリペプチド。

請求項10

非プロテインAセグメントが第二の抗原セグメントである、請求項9記載の単離ポリペプチド。

請求項11

第二の抗原セグメントがブドウ球菌抗原セグメントである、請求項10記載の単離ポリペプチド。

請求項12

ブドウ球菌抗原セグメントがEmp、EsxA、EsxB、EsaC、Eap、Ebh、EsaB、Coa、vWbp、vWh、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、IsdC、ClfA、ClfBおよび/またはSasFセグメントである、請求項11記載の単離ポリペプチド。

請求項13

薬学的に許容される組成物の中に、IgG、Fcγ、VH3 F(ab)2、フォンウィルブランド因子(vWF)および腫瘍壊死因子α受容体1 (TNFR1)とのプロテインAドメインDの結合を弱力化する一つまたは複数の変異を有する毒素産生性の変種プロテインA (SpA)ペプチドを含むペプチド組成物であって、それを必要としている対象において免疫反応刺激できる、前記組成物。

請求項14

SpA変種がSEQID NO:2のアミノ酸位置9および10に一つまたは複数のアミノ酸置換を含む、請求項13記載の組成物。

請求項15

SpA変種がSEQID NO:2のアミノ酸位置9および10にリジンの置換を含む、請求項14記載の組成物。

請求項16

SEQID NO:2のアミノ酸位置36および37にアミノ酸置換をさらに含む、請求項14記載の組成物。

請求項17

SpA変種がSEQID NO:2と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含む、請求項15記載の組成物。

請求項18

SpA変種がSEQID NO:8のアミノ酸配列を含む、請求項13記載の組成物。

請求項19

少なくとも第二のブドウ球菌抗原をさらに含む、請求項13記載の組成物。

請求項20

第二の抗原がEsaB、Emp、EsxA、EsxB、EsaC、Eap、Ebh、Coa、vWbp、vWh、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、IsdC、ClfA、ClfBおよび/またはSasFペプチドから選択される、請求項19記載の組成物。

請求項21

プロテインAドメインDペプチドを含むペプチド以外のブドウ球菌成分の1重量%未満を含む、請求項13記載の組成物。

請求項22

アジュバントをさらに含む、請求項13記載の組成物。

請求項23

SpA変種がアジュバントにカップリングされる、請求項22記載の組成物。

請求項24

SEQID NO:2のアミノ酸位置9、10、36および37にアミノ酸置換を有するプロテインA(SpA)変種を含んだ単離ペプチドを含む免疫原性組成物

請求項25

Emp、EsxA、EsxB、EsaC、Eap、Ebh、EsaB、Coa、vWbp、vWh、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、IsdC、ClfA、ClfBおよびSasFからなる群より選択される少なくとも一つの他のブドウ球菌抗原またはその免疫原性断片をさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項記載の組成物。

請求項26

PIA多糖類またはオリゴ糖をさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項記載の組成物。

請求項27

黄色ブドウ球菌(S. aureus)由来V型および/またはVIII型莢膜多糖類またはオリゴ糖をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項記載の組成物。

請求項28

ブドウ球菌莢膜多糖類がタンパク質担体に結合される、請求項1〜27のいずれか一項記載の免疫原性組成物。

請求項29

タンパク質担体が、破傷風トキソイドジフテリアトキソイド、CRM197、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)プロテインD、肺炎球菌溶血素およびαトキソイドからなる群より選択される、請求項28記載の免疫原性組成物。

請求項30

請求項1〜29のいずれか一項記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を含むワクチン

請求項31

抗原を混合して請求項1〜29のいずれか一項記載の組成物を作製する段階および薬学的に許容される賦形剤を添加する段階を含む、ワクチンを作製する方法。

請求項32

請求項30記載のワクチンを、それを必要としている患者投与する段階を含む、ブドウ球菌感染を予防または処置する方法。

請求項33

ブドウ球菌感染の処置または予防用のワクチンの製造における、請求項1〜29のいずれか一項記載の組成物の使用。

請求項34

レシピエントを請求項30記載のワクチンで免疫する段階、およびレシピエントから免疫グロブリンを単離する段階を含む、ブドウ球菌感染の予防または処置で用いる免疫グロブリンを調製する方法。

請求項35

請求項34記載の方法によって調製される免疫グロブリン。

請求項36

請求項35記載の免疫グロブリンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物

請求項37

請求項36記載の薬学的調製物の有効量を患者に投与する段階を含む、ブドウ球菌感染の処置または予防のための方法。

請求項38

ブドウ球菌感染の処置または予防用の薬物の製造における、請求項36記載の薬学的調製物の使用。

請求項39

SEQID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有するプロテインA(SpA)変種を含む組成物の有効量を対象に提供する段階を含む、対象においてブドウ球菌に対する免疫反応を誘発するための方法。

請求項40

i) SEQID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有する単離されたSpA変種、またはii) SEQ ID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有するSpA変種をコードする少なくとも一つの単離された組み換え核酸分子を含む組成物を対象に投与することにより、SpA変種の有効量を対象に提供する、請求項39記載の方法。

請求項41

組成物が単離されたSpA変種を含む、請求項40記載の方法。

請求項42

対象にアジュバントの投与もする、請求項39記載の方法。

請求項43

組成物がアジュバントを含む、請求項41記載の方法。

請求項44

SpA変種がアジュバントにカップリングされる、請求項41記載の方法。

請求項45

SpA変種がSEQID NO:2と少なくとも70%同一であり、かつSEQ ID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有する、請求項39記載の方法。

請求項46

組成物が薬学的に許容される組成物中に処方される、請求項41記載の方法。

請求項47

ブドウ球菌が黄色ブドウ球菌である、請求項39記載の方法。

請求項48

ブドウ球菌が一つまたは複数の処置に対して耐性である、請求項39記載の方法。

請求項49

前記菌がメチシリン耐性である、請求項48記載の方法。

請求項50

組成物を二回以上対象に投与する段階をさらに含む、請求項39記載の方法。

請求項51

組成物が経口的に、非経口的に、皮下に、筋肉内にまたは静脈内に投与される、請求項39記載の方法。

請求項52

第二のブドウ球菌抗原を含む組成物を対象に投与する段階をさらに含む、請求項39記載の方法。

請求項53

第二のブドウ球菌抗原がEmp、EsxA、EsxB、EsaC、Eap、Ebh、EsaB、Coa、vWbp、vWh、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、IsdC、ClfA、ClfBおよびSasFの一つまたは複数である、請求項52記載の方法。

請求項54

組成物が、SpA変種をコードする組み換え核酸分子を含む、請求項40記載の方法。

請求項55

組成物が、SpA変種を発現する組み換え非ブドウ球菌を含む、請求項54記載の方法。

請求項56

組み換え非ブドウ球菌がサルモネラ菌(Salmonella)である、請求項55記載の方法。

請求項57

対象が哺乳類である、請求項39記載の方法。

請求項58

対象がヒトである、請求項39記載の方法。

請求項59

免疫反応が防御免疫反応である、請求項39記載の方法。

請求項60

ブドウ球菌感染を有する、ブドウ球菌感染を有することが疑われる、またはブドウ球菌感染を発症するリスクがある対象に、SEQID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有するプロテインA変種を含む単離されたペプチドの有効量を提供する段階を含む、対象においてブドウ球菌感染を処置するための方法。

請求項61

対象が持続的ブドウ球菌感染と診断される、請求項60記載の方法。

請求項62

SpA変種が、対象においてプロテインAに結合する抗体の産生を誘発する、請求項60記載の方法。

請求項63

SpA変種がSEQID NO:2と少なくとも80%同一であり、かつSEQ ID NO:2のアミノ酸位置9および10にアミノ酸置換を有する、請求項62記載の方法。

請求項64

SpA変種がSEQID NO:8のアミノ酸配列を有する、請求項62記載の方法。

請求項65

SpA変種がアジュバントとともに投与される、請求項62記載の方法。

請求項66

SpA変種がアジュバントにカップリングされる、請求項65記載の方法。

請求項67

SpA変種が薬学的に許容される組成物中に処方される、請求項60記載の方法。

請求項68

第二のブドウ球菌抗原を投与する段階をさらに含む、請求項60記載の方法。

請求項69

第二のブドウ球菌抗原がSpA変種と同時に投与される、請求項68記載の方法。

請求項70

第二のブドウ球菌抗原およびSpA変種を、同一組成物で投与する、請求項69記載の方法。

請求項71

第二のブドウ球菌抗原がSpA変種と融合される、請求項69記載の方法。

請求項72

第二のブドウ球菌抗原がEmp、EsxA、EsxB、EsaC、Eap、Ebh、EsaB、Coa、vWbp、vWh、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、IsdC、ClfA、ClfBおよびSasFペプチドの一つまたは複数である、請求項68記載の方法。

請求項73

ブドウ球菌感染が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染である、請求項60記載の方法。

請求項74

ペプチドが経口的に、非経口的に、経皮的に、経粘膜的に、皮下に、筋肉内にまたは吸入により投与される、請求項60記載の方法。

請求項75

ペプチドを二回以上対象に投与する段階をさらに含む、請求項60記載の方法。

請求項76

対象が哺乳類である、請求項60記載の方法。

請求項77

対象がヒトである、請求項60記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、2010年7月2日付で出願された米国仮特許出願第61/361,218号および2010年8月4日付で出願された第61/370,725号の優先権の恩典を主張するものであり、これらの内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。

0002

本発明は、米国立衛生研究所による助成金交付番号AI057153、AI052474およびGM007281の下での政府支援によってなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。

0003

I. 発明の分野
本発明は広くは、免疫学微生物学、および病理学の分野に関する。より具体的には、本発明は、細菌に対する免疫反応を引き出すために使用できる細菌プロテインA変種を伴う方法および組成物に関する。

背景技術

0004

II.背景
市中獲得型および病院獲得型の両感染の数は、血管内装置の使用増加とともにここ数年増えている。病院獲得型の(院内)感染は罹病率および死亡率の主な原因であり、より具体的には、米国では、病院獲得型の感染は毎年2百万人超の患者に影響を与えている。最も頻度が高い感染は、尿管感染(感染の33%)であり、次いで肺炎(15.5%)、外科手術部位感染(14.8%)および主要血流感染(13%)が続く(Emorl and Gaynes, 1993)。

0005

主な院内病原菌には黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、血液凝固酵素陰性ブドウ球菌(ほとんどが表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis))、腸球菌(enterococcus spp.)、大腸菌(Escherichia coli)および緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)が含まれる。これらの病原菌はほぼ同数の感染を引き起こすが、これらが生み出しうる障害重症度と、抗生物質耐性分離菌の頻度を考え合わせると、黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌を最も重要な院内病原菌とする順位になる。

0006

ブドウ球菌は、毒素産生または侵入のいずれかを通じてヒトおよび他の動物多種多様な疾患を引き起こしうる。ブドウ球菌の毒素は、この細菌が不適切貯蔵された食品のなかで増殖しうるので、食中毒の一般的な原因でもある。

0007

表皮ブドウ球菌は、通常の皮膚共生生物であり、これは、正常に機能しない医療機器の感染および手術部位での感染に関わる重要な日和見病原菌でもある。表皮ブドウ球菌が感染する医療機器には、心臓ペースメーカー髄液シャント持続携帯式腹膜透析カテーテル整形外科用機器および人工心臓弁が含まれる。

0008

黄色ブドウ球菌は、有意な罹病率および死亡率を有する院内感染の最も一般的な原因である。これは骨髄炎心内膜炎敗血性関節炎、肺炎、膿瘍および毒素性ショック症候群のいくつかの症例の原因である。黄色ブドウ球菌は、乾いた表面上で生き延び、感染の機会を高めることができる。いずれの黄色ブドウ球菌感染もブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、つまり血流に吸収された外毒素に対する皮膚反応を引き起こすことがある。これは、命にかかわりうる膿血症と呼ばれる敗血症一種を引き起こすこともある。問題となるのは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が病院獲得型の感染の主な原因になっていることである。

0009

黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌感染は典型的には、抗生物質処置され、ペニシリン選択薬であるが、メチシリン耐性分離株にはバンコマイシンが使用される。抗生物質に対して幅広耐性を示すブドウ球菌株の割合は、ますます広まっており、有効な抗菌療法にとって脅威となっている。さらに、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌株が最近出現したことが、いかなる有効な治療も利用できないMRSA株が出現し蔓延しているという恐怖心をかき立てている。

0010

ブドウ球菌抗原に対して作製された抗体を用いる、ブドウ球菌感染のための抗生物質による処置に代わる方法が研究中である。この治療では、ポリクローナル抗血清投与(WO00/15238、WO00/12132)またはリポタイコ酸に対するモノクローナル抗体での処置(WO98/57994)を伴う。

0011

代替的な手法は、ブドウ球菌に対する免疫反応を生じさせるための能動ワクチン接種の使用であろう。黄色ブドウ球菌のゲノム配列決定され、コード配列の多くが特定されており(WO02/094868、EP0786519)、これによって潜在的な抗原の特定に至る可能性がある。同じことが表皮ブドウ球菌(WO01/34809)にも当てはまる。この手法の精緻化として、他者らは、ブドウ球菌感染に罹患した患者由来過免疫血清によって認識されるタンパク質を特定している(WO01/98499、WO02/059148)。

0012

黄色ブドウ球菌は多量の病毒性因子細胞外環境中に分泌する(Archer, 1998; Dinges et al., 2000; Foster, 2005; Shaw et al., 2004; Sibbald et al., 2006)。大部分の分泌タンパク質と同様に、これらの病毒性因子はSec機構により原形質膜内外に移動される。Sec機構により分泌されるタンパク質は、このプレタンパク質がSecトランスロコンに結合されると、リーダーペプチダーゼにより除去されるN末端リーダーペプチドを持つ(Dalbey and Wickner, 1985; van Wely et al., 2001)。細菌のゲノム分析から、放線菌門(Actinobacteria)およびフィルクテス門(Firmicutes)の成員は、Sec非依存的にタンパク質のサブセットを認識するさらなる分泌系をコードすることが示唆されている(Pallen, 2002)。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のESAT-6 (初期分泌抗原標的(early secreted antigen target) 6 kDa)およびCFP-10 (培養ろ液抗原(culture filtrate antigen) 10 kDa)は、結核菌においてESX-1またはSnmと名付けられたこの新規の分泌系の最初の基質に相当する(Andersen et al., 1995; Hsu et al., 2003; Pym et al., 2003; Stanley et al., 2003)。黄色ブドウ球菌では、EsxAおよびEsxBと命名された二つのESAT-6様因子がEss経路(ESAT-6分泌系(ESAT-6 secretion system))によって分泌される(Burts et al., 2005)。

0013

黄色ブドウ球菌を標的とするまたは黄色ブドウ球菌が産生する細胞外タンパク質(exoprotein)を標的とする第一世代のワクチンでは大した成果がなかった(Lee, 1996)。ブドウ球菌感染に対する有効なワクチンを開発する必要がまだある。ブドウ球菌感染を処置するためのさらなる組成物も必要とされている。

0014

黄色ブドウ球菌の細胞壁固定表面タンパク質であるプロテインA(SpA)(SEQID NO:33)は、先天性および適応性免疫反応からの細菌の回避をもたらす。プロテインAは、免疫グロブリンにそのFc部分で結合し、B細胞受容体のVH3ドメイン相互作用してB細胞増殖およびアポトーシスを不適切に刺激し、フォンウィルブランド(von Willebrand)因子A1ドメインに結合して細胞凝固活性化し、またTNF受容体-1に結合してブドウ球菌性肺炎発病に寄与する。プロテインAが免疫グロブリンを捕捉し、中毒性を示すという事実により、この表面分子がヒトでワクチンとして機能しうるという可能性は厳密には追求されていない。本明細書で、本発明者らは、プロテインA変種がもはや免疫グロブリンに結合できず、この結果、その毒素産生性能が取り除かれ、すなわち、毒素非産生性であり、ブドウ球菌疾患を防ぐ体液性免疫反応を刺激することを実証する。

0015

ある種の態様において、SpA変種は、変種A、B、C、Dおよび/またはEドメインを含む全長SpA変種である。ある種の局面において、SpA変種は、SEQID NO:34のアミノ酸配列と80、90、95、98、99または100%同一であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。他の態様において、SpA変種はSpAのセグメントを含む。SpAセグメントは、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上のIgG結合ドメインを含むことができる。IgGドメインは、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種A、B、C、DまたはEドメインであることができる。ある種の局面において、SpA変種は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種Aドメインを含む。さらなる局面において、SpA変種は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種Bドメインを含む。さらなる局面において、SpA変種は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種Cドメインを含む。さらなる局面において、SpA変種は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種Dドメインを含む。ある種の局面において、SpA変種は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5個またはそれ以上の変種Eドメインを含む。さらなる局面において、SpA変種は、さまざまな組み合わせまたは順列でA、B、C、DおよびEドメインの組み合わせを含む。この組み合わせはSpAシグナルペプチドセグメント、SpA領域Xセグメントおよび/またはSpA選別シグナルセグメントの全部または一部を含むことができる。他の局面において、SpA変種はSpAシグナルペプチドセグメント、SpA領域Xセグメントおよび/またはSpA選別シグナルセグメントを含まない。ある種の局面において、変種AドメインはSEQ ID NO:4の7、8、34および/または35位に置換を含む。別の局面において、変種BドメインはSEQ ID NO:6の7、8、34および/または35位に置換を含む。別の局面において、変種CドメインはSEQ ID NO:5の7、8、34および/または35位に置換を含む。ある種の局面において、変種DドメインはSEQ ID NO:2の9、10、36および/または37位に置換を含む。さらなる局面において、変種EドメインはSEQ ID NO:3の6、7、33および/または34位に置換を含む。

0016

ある種の局面において、SpAドメインD変種またはその同等物はSEQID NO:2の位置9および36; 9および37; 9および10; 36および37; 10および36; 10および37; 9、36、および37; 10、36、および37、9、10および36; または9、10および37に変異を含みうる。さらなる局面において、類似の変異がドメインA、B、C、またはEの一つまたは複数に含まれうる。

0017

さらなる局面において、SEQID NO:2の位置9にあるアミノ酸グルタミン(Q) (または他のSpAドメインにおけるその類似アミノ酸)をアラニン(A)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)と置き換えることができる。いくつかの局面において、位置9のグルタミンをアルギニン(R)と置換することができる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置9のグルタミン、またはその同等物をリジンまたはグリシンと置換することができる。任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の置換を明示的に除外することができる。

0018

別の局面において、SEQID NO:2の位置10にあるアミノ酸グルタミン(Q) (または他のSpAドメインにおけるその類似アミノ酸)をアラニン(A)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)と置き換えることができる。いくつかの局面において、位置10のグルタミンをアルギニン(R)と置換することができる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置10のグルタミン、またはその同等物をリジンまたはグリシンと置換することができる。任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の置換を明示的に除外することができる。

0019

ある種の局面において、SEQID NO:2の位置36にあるアスパラギン酸(D) (または他のSpAドメインにおけるその類似アミノ酸)をアラニン(A)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)と置き換えることができる。いくつかの局面において、位置36のアスパラギン酸をグルタミン酸(E)と置換することができる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置36のアスパラギン酸、またはその同等物をアラニンまたはセリンと置換することができる。任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の置換を明示的に除外することができる。

0020

別の局面において、SEQID NO:2の位置37にあるアスパラギン酸(D) (または他のSpAドメインにおけるその類似アミノ酸)をアラニン(A)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、またはチロシン(Y)と置き換えることができる。いくつかの局面において、位置37のアスパラギン酸をグルタミン酸(E)と置換することができる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置37のアスパラギン酸、またはその同等物をアラニンまたはセリンと置換することができる。任意の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の置換を明示的に除外することができる。

0021

特定の態様において、SEQID NO:2の位置9にあるアミノ酸(または別のSpAドメインにおける類似アミノ酸)がアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、プロリン(P)、セリン(S)、またはバリン(V)に置き換えられる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置9にあるアミノ酸がグリシンに置き換えられる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置9にあるアミノ酸がリジンに置き換えられる。

0022

特定の態様において、SEQID NO:2の位置10にあるアミノ酸(または別のSpAドメインにおける類似アミノ酸)がアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、プロリン(P)、セリン(S)、またはバリン(V)に置き換えられる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置10にあるアミノ酸がグリシンに置き換えられる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置10にあるアミノ酸がリジンに置き換えられる。

0023

特定の態様において、SEQID NO:2の位置36にあるアミノ酸(または別のSpAドメインにおける類似アミノ酸)がアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、プロリン(P)、セリン(S)、またはバリン(V)に置き換えられる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置36にあるアミノ酸がセリンに置き換えられる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置36にあるアミノ酸がアラニンに置き換えられる。

0024

特定の態様において、SEQID NO:2の位置37にあるアミノ酸(または別のSpAドメインにおける類似アミノ酸)がアラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、プロリン(P)、セリン(S)、またはバリン(V)に置き換えられる。ある種の局面において、SEQ ID NO:2の位置37にあるアミノ酸がセリンに置き換えられる。さらなる局面において、SEQ ID NO:2の位置37にあるアミノ酸がアラニンに置き換えられる。

0025

ある種の局面において、SpA変種は、(a)IgGFcとの結合を破壊するまたは低減するSpAドメインA、B、C、Dおよび/またはEのIgG Fc結合サブドメインにおける一つまたは複数のアミノ酸置換、ならびに(b) VH3との結合を破壊するまたは低減するSpAドメインA、B、C、Dおよび/またはEのVH3結合サブドメインにおける一つまたは複数のアミノ酸置換の置換を含む。さらなる局面において、SpA変種のアミノ酸配列はSEQID NO:2〜6のアミノ酸配列に対して、以下の間の全ての値および範囲を含め、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列を含む。

0026

さらなる局面において、SpA変種は、(a)IgGFcとの結合を破壊するまたは低減する、SpAドメインDのIgG Fc結合サブドメインにおける、または他のIgGドメイン中の対応するアミノ酸位置における、一つまたは複数のアミノ酸置換、ならびに(b) VH3との結合を破壊するまたは低減する、SpAドメインDのVH3結合サブドメインにおける、または他のIgGドメイン中の対応するアミノ酸位置における、一つまたは複数のアミノ酸置換を含む。ある種の局面において、ドメインDのIgG Fc結合サブドメインのアミノ酸残基F5、Q9、Q10、S11、F13、Y14、L17、N28、I31および/またはK35

が修飾または置換される。ある種の局面において、ドメインDのVH3結合サブドメインのアミノ酸残基Q26、G29、F30、S33、D36、D37、Q40、N43および/またはE47 (SEQID NO:2)は、FcまたはVH3との結合が弱められるように修飾または置換される。さらなる局面において、対応する修飾または置換は、ドメインA、B、Cおよび/またはEの対応する位置において操作されてもよい。対応する位置は、ドメインDアミノ酸配列と、SpAの他のIgG結合ドメイン由来のアミノ酸配列の一つまたは複数とのアライメントによって規定され、例えば、図2Aを参照されたい。ある種の局面において、アミノ酸置換はその他20種のアミノ酸のいずれかであることができる。さらなる局面において、保存的アミノ酸置換を可能なアミノ酸置換から特に除外することができる。他の局面において、非保存的置換しか含まれない。いずれにしても、SpA毒性が顕著に低減されるようにドメインの結合を低減する任意の置換または置換の組み合わせが企図される。結合の低減の意義は、対象に導入され、本明細書において記述されるインビトロの方法を用いて評価されうる場合に、最低毒性から無毒性を生じる変種をいう。

0027

ある種の態様において、変種SpAは、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上の変種SpAドメインDペプチドを含む。ある種の局面において、ドメインDのIgGFc結合サブドメインのアミノ酸F5、Q9、Q10、S11、F13、Y14、L17、N28、I31および/またはK35 (SEQID NO:2)、ならびにドメインDのVH3結合サブドメインのアミノ酸残基Q26、G29、F30、S33、D36、D37、Q40、N43および/またはE47 (SEQ ID NO:2)を含むがこれらに限定されない、変種SpAの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18もしくは19個またはそれ以上のアミノ酸残基が置換または修飾される。本発明の一つの局面において、SEQ ID NO:2の9および/もしくは10位(または他のドメイン中の対応する位置)のグルタミン残基突然変異される。別の局面において、SEQ ID NO:2のアスパラギン酸残基36および/もしくは37 (または他のドメイン中の対応する位置)が突然変異される。さらなる局面において、グルタミン9および10、ならびにアスパラギン酸残基36および37が突然変異される。本明細書において記述される精製された毒素非産生性SpAまたはSpA-D変異体/変種は、もはやFcγまたはF(ab)2 VH3を有意に結合することができず(すなわち、弱力化または破壊された結合親和性を示し)、またB細胞アポトーシスを刺激しない。これらの毒素非産生性プロテインA変種はサブユニットワクチンとして用いられ、体液性免疫反応を引き起こし、黄色ブドウ球菌投与に対する防御免疫を与えうる。野生型全長プロテインAまたは野生型SpA-ドメインDと比べて、SpA-D変種による免疫はプロテインA特異的抗体の増加をもたらした。ブドウ球菌投与および膿瘍形成マウスモデルを用いて、毒素非産生性プロテインA変種による免疫が、ブドウ球菌感染および膿瘍形成からの顕著な防御を生み出すことを認めた。ほぼ全ての黄色ブドウ球菌株がプロテインAを発現するので、毒素非産生性プロテインA変種でヒトを免疫することによって、この病毒性因子を中和し、それによって防御免疫を確立することができる。ある種の局面において、防御免疫はUSA300および他のMRSA菌株のような、ブドウ球菌の薬物耐性菌株による感染を防御または改善する。

0028

態様には、細菌感染および/またはブドウ球菌感染の処置のための方法および組成物におけるプロテインA変種の使用が含まれる。本出願では、プロテインA変種またはその免疫原性断片を含む免疫原性組成物も提供する。ある種の局面において、免疫原性断片はプロテインAドメインDセグメントである。さらに、本発明は、細菌感染の処置(例えば、対象におけるブドウ球菌性膿瘍形成および/または存続の限定)または予防のために使用できる方法および組成物を提供する。場合によっては、免疫反応を刺激するための方法は、プロテインA変種ポリペプチドまたは抗原、ならびにある種の局面において他の細菌タンパク質の全部または一部を含むまたはコードする組成物の有効量を対象に投与する段階を伴う。他の細菌タンパク質には、(i)分泌病毒性因子および/または細胞表面タンパク質もしくはペプチド、あるいは(ii) 分泌病毒性因子および/または細胞表面タンパク質もしくはペプチドをコードする組み換え核酸分子が含まれるが、これらに限定されることはない。

0029

他の局面において、対象に変種プロテインAドメインDセグメントなどの、プロテインA変種の全部または一部を投与することができる。本発明のポリペプチドは、薬学的に許容される組成物に処方することができる。組成物は、少なくともまたはせいぜい1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19種のさらなるブドウ球菌抗原またはその免疫原性断片(例えば、Eap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla (例えば、H35変異体)、IsdC、SasF、vWbpまたはvWh)の一つまたは複数をさらに含むことができる。プロテインA変種と組み合わせて使用できるさらなるブドウ球菌抗原には、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa (GenBankCAC80837)、Aap (GenBankアクセッションAJ249487)、Ant (GenBankアクセッションNP_372518)、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない(PCT公開番号WO2007/113222、WO2007/113223、WO2006/032472、WO2006/032475、WO2006/032500を参照されたく、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。ブドウ球菌抗原または免疫原性断片をプロテインA変種と同時に投与することができる。ブドウ球菌抗原または免疫原性断片およびプロテインA変種を同一組成物で投与することができる。プロテインA変種は、プロテインA変種をコードする組み換え核酸分子であってもよい。組み換え核酸分子は、プロテインA変種および少なくとも一つのブドウ球菌抗原またはその免疫原性断片をコードすることができる。本明細書において用いられる場合、「修飾する」または「修飾」という用語は「増強する」または「阻害する」という単語の意味を包含する。活性の「修飾」は活性の増加または減少のどちらであってもよい。本明細書において用いられる場合、「修飾因子」という用語は、タンパク質、核酸、遺伝子、生物などの上方制御、阻害、刺激、増強、阻害、下方制御または抑制を含めて、部分の機能をもたらす化合物をいう。

0030

ある種の態様において、本方法および組成物では、プロテインA変種または抗原の全部または一部を使用するか、または含むか、またはコードする。他の局面において、プロテインA変種を単離されたEap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbpもしくはvWhポリペプチドまたはその免疫原性セグメントの一つまたは複数を含むが、これらに限定されない分泌因子または表面抗原と組み合わせて用いることができる。プロテインA変種と組み合わせて使用できるさらなるブドウ球菌抗原には、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。ある種の態様において、Eap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbp、vWh、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHC II類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパクの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上が本発明の処方物から明確に除外されてもよい。

0031

以下の表は、SpA変種および他の様々なブドウ球菌抗原の様々な組み合わせを列挙している。

0032

(表1)SpAおよびブドウ球菌抗原の組み合わせ

0033

さらなる局面において、単離されたプロテインA変種は多量体化され、例えば二量体化され、または二つもしくはそれ以上のポリペプチドもしくはペプチドセグメントの直鎖状融合体である。本発明のある種の局面において、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20種またはそれ以上の単離された細胞表面タンパク質またはそのセグメントの多量体または鎖状体を含む。鎖状体は、一つまたは複数の反復ペプチド単位を有する直鎖状ポリペプチドである。SpAポリペプチドまたは断片は連続的であっても、またはスペーサーもしくは他のペプチド配列、例えば、一つもしくは複数のさらなる細菌ペプチドによって分離されてもよい。さらなる局面において、多量体または鎖状体に含まれる他のポリペプチドまたはペプチドはEap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbp、vWhまたはその免疫原性断片の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種を含むことができるが、これらに限定されることはない。プロテインA変種と組み合わせて使用できるさらなるブドウ球菌抗原には、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。

0034

「プロテインA変種」または「SpA変種」という用語は、FcおよびVH3との結合を破壊する二つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有するSpAIgGドメインを含むポリペプチドをいう。ある種の局面において、SpA変種は、変種ドメインDペプチド、ならびに毒素非産生性であり、かつブドウ球菌プロテインAおよび/またはそれを発現する細菌に対する免疫反応を刺激するSpAポリペプチドおよびそのセグメントの変種を含む。

0035

本発明の態様には、プロテインA変種またはそのセグメントの有効量を対象に提供する段階を含む、対象においてブドウ球菌に対する免疫反応を誘発するための方法が含まれる。ある種の局面において、対象においてブドウ球菌に対する免疫反応を誘発するための方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種またはそれ以上の分泌タンパク質および/もしくは細胞表面タンパク質またはそのセグメント/断片の有効量を対象に提供する段階を含む。分泌タンパク質または細胞表面タンパク質は、Eap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbpおよび/またはvWhタンパク質ならびにその免疫原性断片を含むが、これらに限定されることはない。プロテインA変種と組み合わせて使用できるさらなるブドウ球菌抗原には、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。

0036

本発明の態様には、プロテインA、または分泌細菌タンパク質もしくは細菌細胞表面タンパク質である第二のタンパク質もしくはペプチドに対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含む組成物が含まれる。本発明のさらなる態様において、組成物は、プロテインAドメインDポリペプチド(SEQID NO:2)、ドメインEポリペプチド(SEQ ID NO:3)、ドメインAポリペプチド(SEQ ID NO:4)、ドメインCポリペプチド(SEQ ID NO:5)、ドメインBポリペプチド(SEQ ID NO:6)、またはプロテインAドメインD、ドメインE、ドメインA、ドメインCもしくはドメインBポリペプチドをコードする核酸配列に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、プロテインAポリペプチドセグメントは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有するであろう。類似性または同一性は、同一性が好ましいが、当技術分野において公知であり、いくつかの異なるプログラムを用いて、タンパク質(または核酸)が公知の配列に対して配列同一性または類似性を有するかどうかを特定することができる。配列同一性および/または類似性は、Smith & Waterman (1981)の局所配列同一性アルゴリズムを含むが、これに限定されない、当技術分野において公知の標準的な技術を用いて、Needleman & Wunsch (1970)の配列同一性アライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman (1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実行(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wis.)により、Devereux et al. (1984)によって記述されているBest Fit配列プログラムにより、好ましくは初期設定を用いて、または検査により判定される。好ましくは、同一性の割合は当業者にとって、公知のかつ容易に確認できるアライメントツールを用いることにより計算される。同一性の割合は、本質的には、同一のアミノ酸の数/比較されるアミノ酸の総数×100である。

0037

さらなる態様には、(i) SpA変種、例えば、変種SpAドメインDポリペプチドもしくはそのペプチド、または(ii) そのようなSpA変種ポリペプチドもしくはそのペプチドをコードする核酸分子を含む組成物の有効量を対象に投与する段階、あるいは(iii) 本明細書において記述される細菌タンパク質の任意の組み合わせまたは順列でSpA変種ドメインDポリペプチドを投与する段階を含む、ブドウ球菌に対する防御的または治療的免疫反応を対象において刺激するための方法が含まれる。好ましい態様において、組成物はブドウ球菌ではない。ある種の局面において、対象はヒトまたはウシである。さらなる局面において、組成物は薬学的に許容される処方物に処方される。ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌であることができる。

0038

さらなる態様には、単離されたSpA変種ポリペプチド、または本明細書において記述されるその他任意の組み合わせもしくは順列のタンパク質もしくはペプチドを有する薬学的に許容される組成物であって、ブドウ球菌に対する免疫反応を刺激できる該組成物を含むワクチンが含まれる。ワクチンは、単離されたSpA変種ポリペプチド、または記述されるその他任意の組み合わせもしくは順列のタンパク質もしくはペプチドを含みうる。本発明のある種の局面において、単離されたSpA変種ポリペプチド、または記述されるその他任意の組み合わせもしくは順列のタンパク質もしくはペプチドは多量体化され、例えば、二量体化されまたは鎖状体化される。さらなる局面において、ワクチン組成物には約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、0.05% (またはその中で導出される任意の範囲)未満の他のブドウ球菌タンパク質混入している。組成物は、単離された非SpAポリペプチドをさらに含みうる。典型的には、ワクチンはアジュバントを含む。ある種の局面において、本発明のタンパク質またはペプチドはアジュバントに(共有結合的にまたは非共有結合的に)連結され、好ましくはアジュバントはタンパク質に化学的抱合される。

0039

さらなる態様において、ワクチン組成物は、全部もしくは一部のSpA変種ポリペプチド、または本明細書において記述されるその他任意の組み合わせもしくは順列のタンパク質もしくはペプチドをコードする組み換え核酸を有する薬学的に許容される組成物であって、ブドウ球菌に対する免疫反応を刺激できる該組成物である。ワクチン組成物は、全部もしくは一部のSpA変種ポリペプチド、または本明細書において記述されるその他任意の組み合わせもしくは順列のタンパク質もしくはペプチドをコードする組み換え核酸を含みうる。ある種の態様において、組み換え核酸は異種プロモーターを含む。好ましくは、組み換え核酸はベクターである。より好ましくは、ベクターはプラスミドまたはウイルスベクターである。いくつかの局面において、ワクチンは、該核酸を含んだ組み換え非ブドウ球菌を含む。組み換え非ブドウ球菌はサルモネラ菌(Salmonella)または別のグラム陽性細菌でありうる。ワクチンは薬学的に許容される賦形剤、より好ましくはアジュバントを含みうる。

0040

さらなる態様には、SpA変種ポリペプチドまたはそのセグメント/断片の、かつEap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbpまたはvWhタンパク質またはそのペプチドの一つまたは複数をさらに含む組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、ブドウ球菌に対する防御的または治療的免疫反応を対象において刺激するための方法が含まれる。好ましい態様において、組成物は非ブドウ球菌を含む。さらなる局面において、組成物は薬学的に許容される処方物に処方される。対象が処置されているブドウ球菌は、黄色ブドウ球菌でありうる。本発明の方法には、さまざまな組み合わせでEap、Ebh、Emp、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbpまたはvWhのような、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種またはそれ以上の分泌病毒性因子および/または細胞表面タンパク質を含むSpA変種組成物も含まれる。ある種の局面において、ワクチン処方物はEap、Ebh、Emp、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbpおよびvWhを含む。ある種の局面において、抗原の組み合わせは、(1) SpA変種およびIsdA; (2) SpA変種およびClfB; (3) SpA変種およびSdrD; (4) SpA変種およびHlaもしくはHla変種; (5) SpA変種ならびにClfB、SdrDおよびHlaもしくはHla変種; (6) SpA変種、IsdA、SdrDおよびHlaもしくはHla変種; (7) SpA変種、IsdA、ClfBおよびHlaもしくはHla変種; (8) SpA変種、IsdA、ClfBおよびSdrD; (9) SpA変種、IsdA、ClfB、SdrDおよびHlaもしくはHla変種; (10) SpA変種、IsdA、ClfBおよびSdrD; (11) SpA変種、IsdA、SdrDおよびHlaもしくはHla変種; (12) SpA変種、IsdAおよびHlaもしくはHla変種; (13) SpA変種、IsdA、ClfBおよびHlaもしくはHla変種; (14) SpA変種、ClfBおよびSdrD; (15) SpA変種、ClfBおよびHlaもしくはHla変種; または(16) SpA変種、SdrDおよびHlaもしくはHla変種を含むことができる。

0041

ある種の局面において、本発明の組成物を送達する細菌は、長期的もしくは持続的増殖または膿瘍形成に関して抑制または弱力化されるであろう。さらなる局面において、SpA変種は弱毒化された細菌で過剰発現されて、免疫反応またはワクチン処方物をさらに増強または補完することができる。

0042

「EsxAタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型EsxAポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌EsxAタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0043

「EsxBタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型EsxBポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌EsxBタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0044

「SdrDタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型SdrDポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌SdrDタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0045

「SdrEタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型SdrEポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌SdrEタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0046

「IsdAタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型IsdAポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌IsdAタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0047

「IsdBタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型IsdBポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌IsdBタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0048

「Eapタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型Eapポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌Eapタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0049

「Ebhタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型Ebhポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌Ebhタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0050

「Empタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型Empポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌Empタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0051

「EsaBタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型EsaBポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌EsaBタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0052

「EsaCタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型EsaCポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌EsaCタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0053

「SdrCタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型SdrCポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌SdrCタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0054

「ClfAタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型ClfAポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌ClfAタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0055

「ClfBタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型ClfBポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌ClfBタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0056

「Coaタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型Coaポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌Coaタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0057

「Hlaタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型Hlaポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌Hlaタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0058

「IsdCタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型IsdCポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌IsdCタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0059

「SasFタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型SasFポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌SasFタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0060

「vWbpタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型vWbp (フォンウィルブランド因子結合タンパク質)ポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌vWbpタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0061

「vWhタンパク質」という用語は、ブドウ球菌由来の単離された野生型vWh (フォンウィルブランド因子結合タンパク質相同体)ポリペプチドおよびそのセグメントを含むタンパク質、ならびにブドウ球菌vWhタンパク質に対する免疫反応を刺激する変種をいう。

0062

免疫反応は、生物における体液性反応、細胞性反応、または体液性および細胞性反応の両方をいう。免疫反応は、タンパク質もしくは細胞表面タンパク質を特異的に認識する抗体の存在もしくは量を測定するアッセイ法、T細胞活性化もしくは増殖を測定するアッセイ法、および/または一つもしくは複数のサイトカインの活性もしくは発現に関しての修飾を測定するアッセイ法を含むが、これらに限定されないアッセイ法によって測定することができる。

0063

本発明のさらなる態様において、組成物は、EsxAタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、EsxAタンパク質はSEQID NO: 11のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0064

本発明のさらなる態様において、組成物は、EsxBタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、EsxBタンパク質はSEQID NO: 12のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0065

本発明のさらなる態様において、組成物は、SdrDタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、SdrDタンパク質はSEQID NO: 13のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0066

本発明のさらなる態様において、組成物は、SdrEタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、SdrEタンパク質はSEQID NO: 14のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0067

本発明のさらなる態様において、組成物は、IsdAタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、IsdAタンパク質はSEQID NO: 15のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0068

本発明のさらなる態様において、組成物は、IsdBタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、IsdBタンパク質はSEQID NO: 16のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0069

本発明の態様には、EsaBタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含む組成物が含まれる。ある種の局面において、EsaBタンパク質はSEQID NO: 17のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0070

本発明のさらなる態様において、組成物は、ClfBタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、ClfBタンパク質はSEQID NO: 18のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0071

本発明のさらなる態様において、組成物は、IsdCタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、IsdCタンパク質はSEQID NO: 19のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0072

本発明のさらなる態様において、組成物は、SasFタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、SasFタンパク質はSEQID NO: 20のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0073

本発明のさらなる態様において、組成物は、SdrCタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、SdrCタンパク質はSEQID NO: 21のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0074

本発明のさらなる態様において、組成物は、ClfAタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、ClfAタンパク質はSEQID NO: 22のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0075

本発明のさらなる態様において、組成物は、Eapタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、Eapタンパク質はSEQID NO: 23のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0076

本発明のさらなる態様において、組成物は、Ebhタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、Ebhタンパク質はSEQID NO: 24のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0077

本発明のさらなる態様において、組成物は、Empタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、Empタンパク質はSEQID NO: 25のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0078

本発明のさらなる態様において、組成物は、EsaCタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、EsaCタンパク質はSEQID NO: 26のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。EsaCポリペプチドの配列はタンパク質データベースのなかで見出すことができ、アクセッション番号ZP_02760162 (GI: 168727885)、NP_645081.1 (GI: 21281993)およびNP_370813.1 (GI: 15923279)を含むが、これらに限定されることはなく、これらの各々が本出願の優先日の時点で参照により本明細書に組み入れられる。

0079

本発明のさらなる態様において、組成物は、Coaタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、Coaタンパク質はSEQID NO: 27のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0080

本発明のさらなる態様において、組成物は、Hlaタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、Hlaタンパク質はSEQID NO: 28のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0081

本発明のさらなる態様において、組成物は、vWaタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、vWaタンパク質はSEQID NO: 29のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0082

本発明のさらなる態様において、組成物は、vWbpタンパク質に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似である、または少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一もしくは類似であるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質を含みうる。ある種の局面において、vWbpタンパク質はSEQID NO: 32のアミノ酸配列の全部または一部を有するであろう。

0083

ある種の局面において、ポリペプチドまたはセグメント/断片は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%またはそれ以上同一である配列を有することができる。「類似性」という用語は、参照ポリペプチドと同一であるか、または参照ポリペプチドと保存的置換を構成するかのいずれかの、アミノ酸の一定の割合を有する配列を持ったポリペプチドをいう。

0084

本明細書において記述されるポリペプチドは、SEQID NO:2〜30またはSEQ ID NO:32〜34の少なくとも、またはせいぜい3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上の、またはその中で導出される任意の範囲の、連続アミノ酸のなかに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個またはそれ以上の変種アミノ酸を含みうる。

0085

本明細書において記述されるポリペプチドセグメントは、SEQID NO:2〜30またはSEQ ID NO:33〜34の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上の、またはその中で導出される任意の範囲の、連続アミノ酸を含みうる。

0086

組成物は薬学的に許容される組成物に処方されうる。本発明のある種の局面において、ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌である。

0087

さらなる局面において、組成物は、二回以上対象に投与されてもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20回またはそれ以上の回数で投与されてもよい。組成物の投与は、吸入または吸引を含めて、経口投与非経口投与皮下投与筋肉内投与静脈内投与、またはその各種組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。

0088

さらなる態様において、組成物は、本明細書において記述されるポリペプチドまたはそのセグメント/断片をコードする組み換え核酸分子を含む。典型的には、本明細書において記述されるポリペプチドをコードする組み換え核酸分子は異種プロモーターを含む。ある種の局面において、本発明の組み換え核酸分子はベクターであり、他の局面においてベクターはプラスミドである。ある種の態様において、ベクターはウイルスベクターである。ある種の局面において、組成物は、本明細書において記述されるポリペプチドを含有するまたは発現する組み換え非ブドウ球菌を含む。特定の局面において、組み換え非ブドウ球菌はサルモネラ菌または別のグラム陽性細菌である。組成物は、典型的には、ヒト対象のような、哺乳類に投与されるが、免疫反応を誘発できる他の動物への投与が企図される。さらなる局面において、該ポリペプチドを含有するまたは発現するブドウ球菌は黄色ブドウ球菌である。さらなる態様において、免疫反応は防御免疫反応である。

0089

さらなる態様において、組成物は、Eap、Ebh、Emp、EsaB、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、SpA、vWbpもしくはvWhタンパク質もしくはペプチドまたはその変種の一つまたは複数の全部または一部をコードする組み換え核酸分子を含む。本明細書において記述されるポリペプチドと組み合わせて使用できるさらなるブドウ球菌抗原には、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。特定の局面において、細菌はサルモネラ菌または他のグラム陽性細菌のような、組み換え非ブドウ球菌である。

0090

本発明の組成物は、典型的には、ヒト対象に投与されるが、ブドウ球菌に対する免疫反応を誘発できる他の動物、特にウシ、ウマヤギヒツジおよび他の家畜、すなわち、哺乳類への投与が企図される。

0091

ある種の局面において、ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌である。さらなる態様において、免疫反応は防御免疫反応である。さらなる局面において、本発明の方法および組成物は、組織または、例えば、乳腺の感染、特に乳腺炎および他の感染を予防する、改善する、軽減するまたは処置するために用いることができる。他の方法は、感染の兆候を呈していない対象、特に標的細菌に侵されていると疑われるまたは標的細菌に侵されるリスクのある対象、例えば、入院、処置および/または回復の間に感染のリスクまたは影響のあるまたはありうる患者における細菌負荷の予防的軽減を含むが、これに限定されることはない。

0092

本発明の一つの局面に関して論じられているいずれの態様も、同様に本発明の他の局面に当てはまる。具体的には、SpA変種ポリペプチドもしくはペプチドまたは核酸との関連で論じられているいずれの態様も、Eap、Ebh、Emp、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbp、vWh、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHCII類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質(または核酸)のような、他の抗原に関して実施することが可能であり、逆の場合も同じである。Eap、Ebh、Emp、EsaC、EsxA、EsxB、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、Coa、Hla、IsdC、SasF、vWbp、vWh、52 kDaのビトロネクチン結合タンパク質(WO 01/60852)、Aaa、Aap、Ant、自己溶菌酵素グルコサミニダーゼ、自己溶菌酵素アミダーゼ、Cna、コラーゲン結合タンパク質(US6288214)、EFB (FIB)、エラスチン結合タンパク質(EbpS)、EPB、FbpA、フィブリノゲン結合タンパク質(US6008341)、フィブロネクチン結合タンパク質(US5840846)、FnbA、FnbB、GehD (US 2002/0169288)、HarA、HBP、免疫優性ABC輸送体、IsaA/PisA、ラミニン受容体、リパーゼGehD、MAP、Mg2+輸送体、MHC II類似体(US5648240)、MRPII、Npase、RNA III活性化タンパク質(RAP)、SasA、SasB、SasC、SasD、SasK、SBI、SdrF(WO 00/12689)、SdrG / Fig (WO 00/12689)、SdrH (WO 00/12689)、SEA外毒素(WO 00/02523)、SEB外毒素(WO 00/02523)、SitCおよびNi ABC輸送体、SitC/MntC/唾液結合タンパク質(US5,801,234)、SsaA、SSP-1、SSP-2、および/またはビトロネクチン結合タンパク質のいずれか一つまたは複数を、主張される組成物から明確に除外できることも理解されたい。

0093

本発明の態様は、細菌を含有するまたは含有しない組成物を含む。組成物は、弱毒化されたまたは生存可能なまたはインタクトなブドウ球菌を含んでもまたは含まなくてもよい。ある種の局面において、組成物は、ブドウ球菌ではない細菌を含むか、またはブドウ球菌を含有しない。ある種の態様において、細菌組成物は、単離されたもしくは組み換え発現されたブドウ球菌プロテインA変種またはそれをコードするヌクレオチドを含む。組成物は、分泌病毒性因子または細胞表面タンパク質に関して細菌を特異的に変化させることを含むようなやり方で変化されている、組み換えによって遺伝子操作されたブドウ球菌であってもまたはそれを含んでもよい。例えば、細菌は、未修飾ならば発現すると考えられるよりも多くの病毒性因子または細胞表面タンパク質を発現するように組み換えによって修飾されてもよい。

0094

「単離される」という用語は、その起源細胞物質細菌物質ウイルス物質もしくは培地(組み換えDNA技術により産生される場合)、または化学的前駆物質もしくは他の化学物質(化学的に合成される場合)を実質的に含んでいない核酸またはポリペプチドをいうことができる。さらに、単離化合物とは、単離された化合物として対象に投与できるものをいい、換言すれば、化合物は、カラムに付着されているなら、またはアガロースゲルに埋め込まれているなら単純に「単離されている」と考えられない。さらに、「単離核酸断片」または「単離ペプチド」とは、断片として天然には存在していない、および/または典型的には機能的な状態にない、核酸またはタンパク質断片である。

0095

ポリペプチド、ペプチド、抗原または免疫原などの、本発明の部分をアジュバント、タンパク質、ペプチド、支持体蛍光部分または標識などの、他の部分に共有結合的または非共有結合的に抱合または連結させることができる。「抱合体」または「免疫抱合体」という用語は、一つの部分と他の薬剤との機能的結合を定義するように広く用いられており、任意のタイプの機能的結合を単にいうようには意図されておらず、化学的「抱合」に特に限定されることはない。組み換え融合タンパク質が特に企図される。本発明の組成物はアジュバントまたは薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。アジュバントは本発明のポリペプチドまたはペプチドに共有結合的または非共有結合的にカップリングされてもよい。ある種の局面において、アジュバントはタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに化学的に抱合される。

0096

「提供する」という用語は、その通常の意味にしたがって「使用のために供給するまたは与えること」を示すように用いられる。いくつかの態様では、タンパク質を投与することによってタンパク質は直接的に提供されるが、他の態様では、タンパク質をコードする核酸を投与することによってタンパク質は効果的に提供される。ある種の局面において、本発明は、さまざまな組み合わせの核酸、抗原、ペプチドおよび/またはエピトープを含む組成物を企図する。

0097

対象は、ブドウ球菌感染を有する(例えば、ブドウ球菌感染と診断されている)、ブドウ球菌感染を有することが疑われる、またはブドウ球菌感染を発症するリスクがあるであろう。本発明の組成物には、意図した目的を達成するのに有効な量で抗原またはエピトープが含有されている免疫原性組成物が含まれる。
より具体的には、有効量とは、免疫反応を刺激するもしくは誘発するのに、または感染に対する耐性、感染の改善もしくは感染の緩和をもたらすのに必要な活性成分の量を意味する。より具体的な局面において、有効量は、疾患もしくは感染の症状を阻止する、軽減するもしくは改善する、または処置される対象の生存を引き延ばす。有効量の判定は十分に、とりわけ本明細書において提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。本発明の方法において用いられるどの調製物についても、有効な量または用量は、インビトロ研究、細胞培養および/または動物モデルアッセイ法から最初に推定することができる。例えば、所望の免疫反応または循環血中抗体の濃度もしくは力価を達成するため、動物モデルにおいて用量を処方することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をさらに正確に判定することができる。

0098

実施例の項における態様は、本発明の全ての局面に適用可能な本発明の態様であると理解される。

0099

特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物だけをいうように明記されていない限りまたは代替物が相互排他的でない限り「および/または」を意味するように用いられるが、本開示では、代替物のみと「および/または」とをいうという定義を支持する。「または」という用語を用いて記載されているどんなものでも明確に除外できることも企図される。

0100

本出願の全体を通じて、「約」という用語は、値にはその値を決定するために利用される装置または方法に対しての誤差標準偏差が含まれることを示すために用いられる。

0101

長年にわたる特許法にしたがって、「一つの(a)」および「一つの(an)」という単語は、特許請求の範囲または明細書において「含む(comprising)」という単語とともに用いられる場合、特に断りのない限り、一つまたは複数を意味する。

0102

本発明の他の目標、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な例は、本発明の特定の態様を示しているが、この詳細な説明から当業者には本発明の趣旨および範囲のなかで種々の変更および修正が明らかになると考えられるので、単なる例示として与えられるものと理解されるべきである。

図面の簡単な説明

0103

本発明の上記の特徴、利点および目標、ならびにこれ以外に明らかになるものをつかみ、詳細に理解できるように、上記に簡単に要約した本発明の、より具体的な説明およびある種の態様を添付図面に示す。これらの図面は明細書の一部をなす。しかしながら、添付図面は本発明のある種の態様を示すものであり、それゆえ、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
(図1A)N末端YSIRKモチーフシグナルペプチドと、E、D、A、B、Cと名付けられた、縦列反復としての5つの免疫グロブリン結合ドメインと、領域Xと、LPXTG選別シグナルとを有する、プロテインA前駆体の一次構造。(図1B) プロテインA前駆体の合成の後、ブドウ球菌はSec経路を介してこの産物を分泌し、ソルターゼAがT残基とG残基との間でLPXTG選別シグナルを切断する。ソルターゼ-プロテインAチオエステル結合中間体での、脂質II内のアミノ基の求核攻撃アミド結合を形成し、これがプロテインAを細胞壁外膜に結び付けて、細菌表面でのその提示を可能にする。
プロテインAのSpAドメインD、B細胞受容体のVH3Fabドメイン、および免疫グロブリンのFcγドメイン間の分子相互作用三次元モデル。このモデルは、これらの複合体を可能にするイオン結合の形成に関わる側鎖残基を明らかにした2つの結晶構造(Graille et al., 2000およびGouda et al., 1992)に由来する。SpA-DのGln-9およびGln-10はFcγへの結合を促進し、その一方でAsp-36およびAsp-37はVH3 Fabとの複合体形成を可能にする。
左パネル-クマシーブルー染色されたSDS-PAGEは、精製されたHisタグ付SpA、SpA-D、SpA-DQ9,10K;D36,37A、ヒトIgG、および対照タンパク質であるソルターゼA (SrtA)の移動位置を明らかにする。右パネル- Hisタグ付SpA、SpA-D、SpA-DQ9,10K;D36,37A、またはSrtAで予め充填されたNi-NTAカラムでの、ヒトIgGのアフィニティークロマトグラフィー後に溶出された、プロテインA免疫グロブリン複合体の溶出を明らかにする、クマシーブルー染色されたSDS-PAGE。
ヒト免疫グロブリン(hIgG)、ヒトF(ab)2 IgG断片および免疫グロブリンのヒトFc断片(hFc)を定量化するELISAアッセイ法。プレートを等量のHisタグ付SpA、SpA-D、SpA-DQ9,10K;D36,37AまたはSrtAでコーティングした。hIgG-HRP、F(ab)2-HRPおよびhFc-HRPをプレートに加え、1時間インキュベートした。450 nmでの吸光度を記録し、プロットして最大半量の力価を判定した。
精製されたSpA-D、SpA-DQ9,10K;D36,37AまたはPBSモック対照をマウスの腹膜へ注射し、実験BALB/cマウスの脾臓においてB細胞集団を減らすその能力について分析した。注射から4時間後に動物を殺処理し、その脾臓を除去し、組織をホモジナイズし、B細胞に対して作製されたCD19抗体で染色した。B細胞の数をFACS選別によって定量化した。
毒素非産生性プロテインAワクチンの作製。a: N末端シグナルペプチド(白四角)、5つの免疫グロブリン結合ドメイン(E、D、A、BおよびCと命名されたIgBD)、可変領域XならびにC末端選別シグナル(黒四角)を有する黄色ブドウ球菌NewmanおよびUSA300 LACの翻訳プロテインA (SpA)産物。b: 5つのIgBDおよび毒素非産生性SpA-DKKAAのアミノ酸配列であり、三重α-ヘリックスバンドル(H1、H2およびH3)ならびにグルタミン(Q) 9、10およびアスパラギン酸(D) 36, 37が示されている。c: ヒト免疫グロブリン(hIgG)の存在下または非存在下においてNi-NTAセファロース上で精製されたSpA、SpA-D、SpA-DKKAAまたはSrtAのクマシーブルー染色SDS-PAGE。d:固定化されたSpA、SpA-DまたはSpA-DKKAAとヒトIgGおよびそのFcまたはF(ab)2断片ならびにフォンウィルブランド因子(vWF)との結合を調べるELISA。e; モック免疫されまたはSpA-DもしくはSpA-DKKAAで処置されていたBALB/cマウスの脾臓組織におけるCD19+Bリンパ球をFACSによって定量化した。
毒素非産生性プロテインAワクチンは膿瘍形成を防ぐ。モック免疫(PBS)されまたはSpA、SpA-DおよびSpA-DKKAAでワクチン接種されかつ黄色ブドウ球菌Newmanにより攻撃されたBALB/cマウスの剖検の間に単離された腎組織の組織病理診断薄切片にした組織をヘマトキシリンエオシンで染色した。白矢印は多形核白血球(PMN)浸潤物を特定している。黒矢印はブドウ球菌膿瘍群集を特定している。
毒素非産生性プロテインAワクチンによって作製された抗体は、SpAのB細胞超抗原機能を遮断する。a: SpA-DKKAAに対して作製されたウサギ抗体を、固定化抗原を有する基材上で精製し、クマシーブルー染色SDS-PAGEによって分析した。抗体をペプシンで切断し、F(ab)2断片をSpA-DKKAA基材上での2回目のアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。b: SpA-DKKAA特異的なF(ab)2はSpAもしくはSpA-Dの、ヒト免疫グロブリン(hIgG)との、またはc: フォンウィルブランド因子(vWF)との結合を妨げる。
全長の毒素非産生性プロテインAは改善された免疫反応を生み出す。a: 全長SpAKKAAをNi-NTAセファロース上で精製し、クマシーブルー染色されたSDS-PAGEによって分析した。b: モック免疫されまたはSpAもしくはSpAKKAAで処置されたBALB/cマウスの脾臓組織におけるCD19+ Bリンパ球をFACSによって定量化した。c: 固定化されたSpAまたはSpAKKAAとヒトIgGおよびそのFcもしくはF(ab)2断片またはフォンウィルブランド因子(vWF)との結合を調べるELISA。d:ジフテリアトキソイド(CRM197)および毒素非産生性SpAKKAAまたはSpA-DKKAAに対するヒトまたはマウス血清抗体力価。DTaP免疫およびブドウ球菌感染の経歴を有するヒト志願者(n=16)および黄色ブドウ球菌NewmanもしくはUSA 300 LACで感染されまたはSpAKKAAもしくはSpA-DKKAAで免疫されていたマウス(n=20)を定量的ドットブロットによって調べた。
ブドウ球菌感染は防御免疫を生み出さない。BALB/cマウス(n=20)に30日間、黄色ブドウ球菌Newmanを感染させるかまたはモックを投与(PBS)し、クロラムフェニコール処置で感染を治した。両コホートの動物を次に、黄色ブドウ球菌Newmanにより攻撃し、腎臓組織ホモジネートにおける細菌負荷(CFU)を4日目に剖検の後で分析した。
PBS、SpA、SpA-DおよびSpA-DKKAAで処置されたマウスにおける膿瘍形成の比較。
(A) ヒトIgGおよびそのFcまたはF(ab)2断片ならびにIgMとの固定化されたSpA、SpA-D、SpA-DKKAAまたはSpA-DGGSSの結合を調べるELISA。各リガンドへのSpA-DKKAAおよびSpA-DGGSSの結合の統計的有意性をSpA-Dに対して比較した; SpA-Dの結合をSpAに対して比較した(n=3); *はP<0.05を表す; **はP<0.01を表す。(B) SpA-D、SpA-DKKAAおよびSpA-DGGSSで能動的に免疫されたマウス(n=5)から集めた過免疫血清サンプルの交差反応性抗体のレベルを調べるELISA。(C) PBS、SpA-D、SpA-DKKAAおよびSpA-DGGSSで処置されたマウスにおける膿瘍形成。

0104

詳細な説明
黄色ブドウ球菌は、ヒト皮膚および鼻孔片利共生生物であり、血流、皮膚および軟組織感染の主因である(Klevens et al., 2007)。ブドウ球菌疾患の死亡率の最近の劇的な増加は、抗生物質に対して感受性を示さないことが多いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株の広がりに起因する(Kennedy et al., 2008)。大規模遡及的研究において、米国ではMRSA感染発生率が全入院の4.6%であった(Klevens et al., 2007)。米国では94,300人のMRSA感染個体のための年間医療費は24億ドルを超える(Klevens et al., 2007)。現在のMRSA流行病は、予防ワクチンの開発によって取り組む必要がある公衆衛生危機を引き起こしている(Boucher and Corey, 2008)。これまでに、黄色ブドウ球菌疾患を予防するFDA認可済みワクチンは利用可能ではない。

0105

本発明者らは本明細書で、サブユニットワクチンとなりうる変種の作製のために、ブドウ球菌の細胞壁固定表面タンパク質であるプロテインAを用いることについて記述する。ブドウ球菌感染の発病は、外傷手術創傷または医療装置を介して細菌が皮膚または血流に侵入する際に始まる(Lowy, 1998)。侵入病原菌は食菌され殺処理されうるが、ブドウ球菌は先天性免疫防御を回避し、器官組織において感染の種をまき、マクロファージ好中球および他の食細胞誘引する炎症反応誘導することもできる(Lowy, 1998)。感染部位への免疫細胞応答性浸潤には、宿主がブドウ球菌のまん延を阻止し壊死組織残屑の除去を可能にしようとするので、液化壊死付随して起こる(Lam et al., 1963)。そのような病変部は顕微鏡検査により壊死組織、白血球および中央の細菌病を含む富細胞性域として観察することができる(Lam et al., 1963)。ブドウ球菌性膿瘍が外科手術で排出され、抗生物質で処置されなければ、播種性感染および敗血症が致命的結末をもたらす(Sheagren, 1984)。

0106

II.ブドウ球菌抗原
A. ブドウ球菌プロテインA(SpA)
黄色ブドウ球菌株はどれも、プロテインA、つまり細胞壁固定表面タンパク質産物(SpA)がE、D、A、BおよびCと命名された5つの高度に相同的な免疫グロブリン結合ドメインを包含するよく特徴付けられた病毒性因子に対する構造遺伝子(spa) (Jensen, 1958; Said-Salim et al., 2003)を発現する(Sjodahl, 1977)。これらのドメインはアミノ酸のレベルでおよそ80%の同一性を示し、長さが56〜61残基であり、縦列反復配列として組織化される(Uhlen et al., 1984)。SpAは、N末端YSIRK/GSシグナルペプチドおよびC末端LPXTGモチーフ選別シグナルを有する前駆体タンパク質として合成される(DeDent et al., 2008; Schneewind et al., 1992)。細胞壁固定プロテインAは、ブドウ球菌表面に非常に豊富に提示される(DeDent et al., 2007; Sjoquist et al., 1972)。その免疫グロブリン結合ドメインの各々が、3ヘリックスバンドル集合しかつ免疫グロブリンG(IgG)のFcドメインを結合する逆平行α-ヘリックス(Deisenhofer, 1981; Deisenhofer et al., 1978)、IgMのVH3重鎖(Fab) (すなわち、B細胞受容体) (Graille et al., 2000)、そのA1ドメインのフォンウィルブランド因子[vWFAIは血小板に対するリガンドである] (O'Seaghdha et al., 2006)、および気道上皮の表面に提示される(Gomez et al., 2004; Gomez et al., 2007)腫瘍壊死因子α(TNF-α)受容体I (TNFRI) (Gomez et al., 2006)から構成される。

0107

SpAは、IgGのFc成分を結合するというその特質を通じて好中球によるブドウ球菌の食作用を妨げる(Jensen, 1958; Uhlen et al., 1984)。さらに、SpAはフォンウィルブランド因子AIドメインとのその結合を介して血管内凝固を活性化することができる(Hartleib et al., 2000)。フィブリノゲンおよびフィブロネクチンのような血漿タンパク質は、ブドウ球菌(ClfAおよびClfB)と血小板インテグリンGPIIb/IIIa (O'Brien et al., 2002)との間の、つまりvWF AIとのプロテインAの結び付きを通じて補完される活性の間の橋渡しの役目をし、これによってブドウ球菌はGPIb-α血小板受容体を介して血小板を捕捉することができる(Foster, 2005; O'Seaghdha et al., 2006)。SpAはまた、TNFRIを結合し、この相互作用がブドウ球菌性肺炎の発病に寄与する(Gomez et al., 2004)。SpAはTNFR1を介したTRAF2、p38/c-Junキナーゼ分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)およびRel転写因子NF-KBの活性化を通じて炎症性シグナル伝達を活性化する。SpAの結合はTNFR1の切断、つまりTNF変換酵素(TACE)を要するように思われる活性をさらに誘導する(Gomez et al., 2007)。上記のSpA活性の全てがその5つのIgG結合ドメインを通じて媒介され、プロテインAとヒトIgG1との間の相互作用に対するその必要によって最初に規定された、同じアミノ酸の置換によって撹乱されうる(Cedergren et al., 1993)。

0108

SpAはまた、VH3を持つIgMのFab領域、B細胞受容体を捕捉することによりB細胞超抗原として機能する(Gomez et al., 2007; Goodyear et al., 2003; Goodyear and Silverman, 2004; Roben et al., 1995)。静脈内投与の後、ブドウ球菌プロテインA(SpA)変異は、器官組織においてブドウ球菌負荷の低減を示し、(本明細書において記述される)膿瘍形成能を劇的に弱めた。野生型黄色ブドウ球菌による感染の間に、膿瘍は48時間以内に形成され、ヘマトキシリン・エオシン染色し、薄切片にした腎臓組織の光学顕微鏡検査によって検出可能であり、病初では多形核白血球(PMN)の流入が目立つ。感染5日目に、膿瘍はサイズが増大し、好酸球性の無形性物質の層および大きなPMNカフで囲まれた、中心のブドウ球菌集団を含んでいた。病理組織診断によって、膿瘍病変部の中心にあるブドウ球菌巣のすぐ近くでのPMNの大量壊死および一面の正常食細胞が明らかになった。本発明者らはまた、正常腎組織を感染病変部と区別する好酸球性の被膜に隣接する、膿瘍病変部周辺の壊死PMNの縁を観察した。プロテインAを欠いたブドウ球菌変種は、膿瘍の組織病理学的特徴を確立することができず、感染の間に除去される。

0109

過去の研究で、Cedergrenら(1993)は、SpAのBドメインのFc断片結合サブドメインにおいて5つの個別の置換L17D、N28A、I31AおよびK35Aを設計した。これらの著者らは、これらのタンパク質を作製して、SpAの一つのドメインとFc1との間の複合体の三次元構造から集められたデータを検証した。Cedergrenらは、安定性および結合に及ぼすこれらの変異の効果を判定したが、しかしワクチン抗原の産生のためにそのような置換を用いることを企図していなかった。

0110

Brownら(1998)は、親和性リガンドとして用いられた場合にいっそう好ましい溶出条件の使用を可能にするSpAに基づいた新しいタンパク質を操作するためにデザインされた研究について記述している。研究された変異には、Q13A、Q14H、N15A、N15H、F17H、Y18F、L21H、N32HまたはK39Hの単一変異が含まれた。Brownらは、Q13A、N15A、N15HおよびN32H置換が解離定数値に差異をほとんど生じなかったこと、ならびに、Y18F置換が野生型SpAと比べて結合親和性の2倍の減少をもたらしたことを報告している。Brownらは、L21HおよびF17H置換が結合親和性をそれぞれ5倍および100倍低減することも報告している。著者らは、二つのタンデムドメインにおける類似の置換についても研究している。このように、Brownらの研究は、より好ましい溶出プロファイルを有するSpAの作製、ゆえに結合親和性のpH感受性変化をもたらすためのHis置換の使用を対象としていた。Brownらは、ワクチン抗原としてのSpAの使用については何も語っていない。

0111

Grailleら(2000)はSpAのドメインDおよびヒトIgM抗体Fab断片の結晶構造について記述している。Grailleらは結晶構造の解析によって、ドメインDサブドメイン間で界面を形成するアミノ酸残基のほかに、残基Q26、G29、F30、Q32、S33、D36、D37、Q40、N43、E47またはL51として、Fab断片と相互作用するDドメインアミノ酸残基を規定している。Grailleらは、これらの二つのタンパク質の分子相互作用を規定しているが、しかしワクチン抗原の産生での相互作用残基における置換のいかなる使用に関しても何も語っていない。

0112

O'Seaghdhaら(2006)は、ドメインDのどのサブドメインがvWFに結合するかの解明に向けた研究について記述している。著者らは、FcまたはVH3結合サブドメインのいずれかにおいて単一の変異、すなわち、アミノ酸残基F5A、Q9A、Q10A、F13A、Y14A、L17A、N28A、I31A、K35A、G29A、F30A、S33A、D36A、D37A、Q40A、E47AまたはQ32Aを作製した。著者らは、vWFが、Fcに結合する同じサブドメインに結合することを発見した。O'Seaghdaらは、vWFの結合に関与するドメインDのサブドメインを規定しているが、しかしワクチン抗原の産生での相互作用残基における置換のいかなる使用に関しても何も語っていない。

0113

Gomezら(2006)は、F5A、F13A、Y14A、L17A、N21A、I31A、Q32AおよびK35Aの単一変異を用いることによりTNFR1の活性化に関与する残基を特定することについて記述している。Gomezらは、ワクチン抗原の産生での相互作用残基における置換のいかなる使用に関しても何も語っていない。

0114

組み換え親和性タグ付きのプロテインA、つまり5つのIgGドメイン(EDCAB) (Sjodahl, 1977)を含むがC末端の領域X (Guss et al., 1984)を欠くポリペプチドを組み換え大腸菌から精製し、ワクチン抗原として用いた(Stranger-Jones et al., 2006)。IgGのFc部分に結合する際のSpAの特質のため、プロテインAに対する特異的な体液性免疫反応を測定することができなかった(Stranger-Jones et al., 2006)。本発明者らは、SpA-DQ9,10K;D36,37Aの作製を通じてこの障害を克服した。組み換えプロテインA (SpA)で免疫されたBALB/cマウスは、黄色ブドウ球菌株の静脈内投与に対して顕著な防御を示した;野生型と比べてブドウ球菌負荷の2.951 logの低下(P > 0.005;スチューデントt検定) (Stranger-Jones et al., 2006)。SpA特異的抗体は膿瘍形成の前に食細胞除去を引き起こし、および/またはブドウ球菌群集を免疫細胞と区別する膿瘍における前述の好酸球性障壁の形成に、これらがプロテインA変異体菌株の感染中には生じないことから、影響を与えうる。5つのSpAドメイン(すなわち、3つのヘリックスバンドルから形成され、E、D、A、BおよびCと命名されたドメイン)の各々が類似の結合特性を及ぼす(Jansson et al., 1998)。プロテインAに異なる部位で非競合的に結合するFcおよびVH3 (Fab)リガンドの有る状態でも無い状態でも、ドメインDの溶液・結晶構造が解析されている(Graille et al., 2000)。IgG結合に関与することが知られている残基(FS、Q9、Q10、S11、F13、Y14、L17、N28、I31およびK35)における変異も、vWFAIおよびTNFR1の結合に必要とされる(Cedergren et al,, 1993; Gomez et al., 2006; O'Seaghdha et al., 2006)が、VH3相互作用に重要な残基(Q26、G29、F30、S33、D36、D37、Q40、N43、E47)は他の結合活性に影響を与えないように思われる(Graille et al., 2000; Jansson et al., 1998)。SpAは、表面にVH3ファミリー関連のIgM、すなわち、VH3型B細胞受容体を発現するB細胞のサブセットを特異的に標的とする(Roben et al., 1995)。SpAとの相互作用によって、これらのB細胞は増殖し、アポトーシスに傾倒し、先天性様Bリンパ球(すなわち、辺縁帯B細胞および濾胞性B2細胞)の選択的かつ持続的欠失を引き起こす(Goodyear et al., 2003; Goodyear et al., 2004)。

0115

プロテインA表面提示および機能の分子基盤
プロテインAは、細菌細胞質中で前駆体として合成され、そのYSIRKシグナルペプチドを介して隔壁、すなわち、ブドウ球菌の細胞分裂隔壁の位置で分泌される(図1) (DeDent et al., 2007; DeDent et al., 2008)。C末端LPXTG選別シグナルの切断の後、プロテインAはソルターゼAによって細菌ペプチドグリカン架橋に固定される(Mazmanian et al., 1999; Schneewind et al., 1995; Mazmanian et al., 2000)。プロテインAは最も豊富なブドウ球菌表面タンパク質である。この分子はほぼ全ての黄色ブドウ球菌株によって発現される(Cespedes et al., 2005; Kennedy et al., 2008; Said-Salim et al., 2003)。ブドウ球菌は分裂周期1回につきその細胞壁の15〜20%を代謝する(Navarre and Schneewind 1999)。ネズミヒドロラーゼペプチドグリカンのグリカン鎖および壁ペプチドを切断し、それにより、付着されたC末端細胞壁二糖類テトラペプチドを有するプロテインAを細胞外培地へ放出する(Ton-That et al., 1999)。このように、生理学的デザインによって、プロテインAは細胞壁に固定もされ、細菌表面に提示もされるが、宿主感染の間に周辺組織中に放出もされる(Marraffini et al., 2006)。

0116

プロテインAは免疫グロブリンを細菌表面に捕捉し、この生化学的活性によって宿主先天性および後天性免疫反応からのブドウ球菌による回避が可能とされる(Jensen, 1958; Goodyear et al., 2004)。興味深いことに、プロテインAの領域X (Guss et al., 1984)、つまりLPXTG選別シグナル/細胞壁アンカーにIgG結合ドメインをつなぎ止める繰り返しドメインは、おそらく、ブドウ球菌ゲノムのなかで最も可変的な部分である(Said-Salim, 2003; Schneewind et al., 1992)。3つのヘリックスバンドルから形成され、E、D、A、BおよびCと命名された、プロテインA (SpA)の5つの免疫グロブリン結合ドメインの各々が類似の構造的および機能的特性を及ぼす(Sjodahl 1977; Jansson et al., 1998)。プロテインAに異なる部位で非競合的に結合するFcおよびVH3 (Fab)リガンドの有る状態でも無い状態でも、ドメインDの溶液・結晶構造が解析されている(Graille 2000)。

0117

結晶構造複合体において、Fabは、4本のVH領域β鎖から構成される表面を介してドメインDのヘリックスIIおよびヘリックスIIIと相互作用する(Graille 2000)。ドメインDのヘリックスIIの主軸は鎖の方向に対しておよそ50°であり、ドメインDのヘリックス間部分はC0鎖の最も近位にある。Fab上の相互作用の部位は、Ig軽鎖および重鎖定常領域から離れている。この相互作用には以下のドメインD残基が含まれる: ヘリックスIIのAsp-36、ヘリックスIIとヘリックスIIIとの間のループ中のAsp-37およびGln-40およびいくつかの他の残基(Graille 2000)。どちらの相互作用表面も、極性側鎖から主に構成されており、相互作用によってドメインD上の3つの陰性荷電残基および2A2 Fab上の2つの陽性荷電残基が沈み込み、二分子間の全体的な静電気引力をもたらす。FabとドメインDとの間で特定された5つの極性相互作用のうち、3つが側鎖間である。塩橋がArg-H19とAsp-36との間で形成され、二つの水素結合がTyr-H59とAsp-37との間でおよびAsn-H82aとSer-33との間で作製される。プロテインAの全5つのIgG結合ドメインにおけるAsp-36およびAsp-37の保存を理由に、本発明者らはこれらの残基を変異させた。

0118

Fab結合に関わるSpA-D部位は、Fcγ結合を媒介するドメイン表面から構造的に離れている。FcγとドメインDとの相互作用には主に、ヘリックスI中の残基が関与し、ヘリックスIIの関与はもっと低い(Gouda et al., 1992; Deisenhofer, 1981)。両方の複合体における接触面積の狭い界面のGln-32を除いて、Fcγ相互作用を媒介する残基のどれもFab結合には関与しない。これらの異なるIg結合部位の間の空間関係を調べるため、これらの複合体におけるSpAドメインを重ね合わせてFab、SpA-ドメインDおよびFcγ分子の間の複合体のモデルを構築した。この三成分モデルにおいて、FabおよびFcγはいずれの相互作用の立体障害証拠なしにヘリックスIIの反対面周囲にサンドイッチを形成する。これらの所見は、SpAドメインが、その小さなサイズ(すなわち、56〜61 aa)にもかかわらず、いかにして両方の活性を同時に示しうるかを例証し、Fabと個々のドメインとの相互作用が非競合的であるという実験的証拠を説明している。SpA-DとFcγとの間の相互作用のための残基はGln-9およびGln-10である。

0119

対照的に、ドメインD上でのIgGのFc部分の占有によって、vWF A1およびおそらく同様にTNFR1とのその相互作用が遮断される(O'Seaghdha et al., 2006)。IgG Fc結合に不可欠な残基(F5、Q9、Q10、S11、F13、Y14、L17、N28、I31およびK35)における変異はまた、vWF A1およびTNFR1の結合に必要である(O'Seaghdha et al., 2006; Cedergren et al., 1993; Gomez et al., 2006)のに対し、VH3相互作用に極めて重要な残基(Q26、G29、F30、S33、D36、D37、Q40、N43、E47)はIgG Fc、vWF A1またはTNFR1の結合活性に影響を与えない(Jansson et al., 1998; Graille et al., 2000)。プロテインA免疫グロブリンFab結合活性は、表面にVH3ファミリー関連のIgMを発現するB細胞のサブセットを標的とし、すなわちこれらの分子はVH3型B細胞受容体として機能する(Roben et al., 1995)。SpAとの相互作用によって、これらのB細胞は素早く増殖し、次いでアポトーシスに傾倒し、先天性様Bリンパ球(すなわち、辺縁帯B細胞および濾胞性B2細胞)の選択的かつ持続的欠失を引き起こす(Goodyear and Silverman 2003; Goodyear and Silverman 2004)。40%超の循環血中B細胞がプロテインA相互作用により標的化され、VH3ファミリーが、病原菌に対する防御体液性反応を与える最も大きなファミリーのヒトB細胞受容体に相当する(Goodyear and Silverman, 2004; Goodyear and Silverman, 2003)。かくして、プロテインAはブドウ球菌超抗原に対しても同じように機能する(Roben et al., 1995)が、これは後者のクラスの分子、例えばSEB、TSST-1、TSST-2がT細胞受容体と複合体を形成して宿主免疫反応を不適切に刺激し、それによってブドウ球菌感染に特有疾患特徴を誘発するにもかかわらずである(Roben et al., 1995; Tiedemann et al., 1995)。総合して、これらの所見はブドウ球菌感染の樹立でのおよび宿主免疫反応の調節でのプロテインAの寄与を立証するものである。

0120

要するに、プロテインAドメインは宿主分子との結合のために二つの異なる界面を提示すると見なすことができ、プロテインAに基づくワクチンのいかなる開発であれ、宿主細胞シグナル伝達血小板凝集、免疫グロブリンの分画またはB細胞増殖およびアポトーシスの誘導を撹乱しないワクチンの作製を考慮しなければならない。そのようなプロテインA変種はまた、前述のSpA活性を遮断しかつその二重の結合界面の5つの繰り返しドメインを占有する抗体を作製する能力についてワクチンを分析するうえで有用なはずである。この目標について本明細書で初めて明示かつ追跡し、ヒトのために安全なワクチンとして使用できるプロテインA変種の作製のための方法について詳細に記述する。IgGFcγ、vWFAIおよびTNFR1の結合を撹乱するために、グルタミン(Q) 9および10 [Uhlen et al., 1984に記述されているSpAドメインDに由来する付番]を変異させ、両方のグルタミンに代えてリジンの置換を作製したが、これらによって第一の結合界面でのリガンドの特質がなくされるという思惑からであった。IgMFabVH3結合を撹乱するために、B細胞受容体との結合に各々が必要なアスパラギン酸(D) 36および37を変異させた。D36およびD37をアラニンでともに置換した。Q9,10KおよびD36,37A変異をここで、組み換え分子SpA-DQ9,10K;D36,37A中で組み合わせ、プロテインAの結合特質について試験した。さらにSpA-DおよびSpA-DQ9,10K;D36,37Aをマウスおよびウサギにおける免疫研究に供し、[1]特異的抗体(SpA-D Ab)の産生; [2] プロテインAおよびその4つの異なるリガンドの間の結合を遮断するSpA-D Abの能力; ならびに、[3]ブドウ球菌感染に対する防御免疫を生み出すSpA-D Abの特質について分析した(以下の実施例の項を参照のこと)。

0121

B.ブドウ球菌コアグラーゼ
コアグラーゼはブドウ球菌によって産生される酵素であり、フィブリノゲンをフィブリンに変換する。CoaおよびvWhは、タンパク質分解なしでプロトロンビンを活性化する(Friedrich et al., 2003)。コアグラーゼ・プロトロンビン複合体はフィブリノゲンを特異的基質として認識し、フィブリノゲンを直接的にフィブリンへ変換する。活性複合体の結晶構造によって、D1およびD2ドメインのプロトロンビンとの結合ならびにそのIle1-Val2N末端のIle16ポケットへの挿入、その結果、立体構造変化を通じた酵素前駆体における機能的な活性部位の誘導が明らかとなった(Friedrich et al., 2003)。α-トロンビンエキソイトI、フィブリノゲン認識部位、およびプロトロンビン上のプロエキソサイトIはCoaのD2によって遮断される(Friedrich et al., 2003)。それにもかかわらず、四量体(Coa・プロトロンビン)2複合体の結合により、高い親和性で新しい部位にてフィブリノゲンを結合する(Panizzi et al., 2006)。このモデルから、コアグラーゼによる凝固性および効率的なフィブリノゲン変換が説明される(Panizzi et al., 2006)。

0122

フィブリノゲンは、「三量体二量体」を形成するように共有結合的に連結されたAα-鎖、Bβ-鎖およびγ-鎖の3つの対によって形成される大きな糖タンパク質(Mrおよそ340,000)であり、ここでAおよびBは、トロンビン切断によって放出されるフィブリノペプチド指し示す(Panizzi et al., 2006)。この伸長分子は3つの別個のドメイン、つまり全6本の鎖のN末端を含む中央の断片EならびにBβ-鎖およびγ-鎖のC末端によって主に形成される2つの隣接断片Dに折り重なる。これらの球状ドメインは長い三重らせん構造によってつながれる。ヒトフィブリノゲン自己重合性のフィブリンに変換するコアグラーゼ・プロトロンビン複合体は、循環血中トロンビン阻害剤によって標的化されない(Panizzi et al., 2006)。かくして、ブドウ球菌コアグラーゼは生理学的な血液凝固経路を迂回する。

0123

全ての黄色ブドウ球菌株はコアグラーゼおよびvWbpを分泌する(Bjerketorp et al., 2004; Field and Smith, 1945)。以前の取り組みによって、ブドウ球菌感染の発病に対してのコアグラーゼの重要な寄与が報告された(Ekstedt and Yotis, 1960; Smith et al., 1947)が、分子遺伝学のツールを用いたもっと最近の研究ではマウスの心内膜炎、皮膚膿瘍および乳腺炎モデルで病毒性の表現型がないことを認めることにより、この考えに異議が唱えられている(Moreillon et al., 1995; Phonimdaeng et al., 1990)。十分に病毒性の臨床分離株である黄色ブドウ球菌Newmanの同質遺伝子変種の作製(Duthie et al., 1952)により、coa変異体が実際に、マウスの致死的菌血症および腎膿瘍モデルにおいて病毒性の欠損を呈することが本明細書において記述される。本発明者らの経験では、黄色ブドウ球菌8325-4は十分に病毒性ではなく、この菌株における変異病変がインビボで病毒性の欠損を明らかにできないかもしれないと推測される。さらに、CoaまたはvWbpに対して作製された抗体は、遺伝子欠失の影響を反映する程度にまで黄色ブドウ球菌Newman感染の発病を撹乱する。CoaおよびvWbpはブドウ球菌膿瘍形成および致死的菌血症に寄与し、サブユニットワクチンにおける防御抗原として機能することもできる。

0124

生化学的研究によってCoaおよびvWbpに対する抗体の生物学的価値が立証される。抗原との結合および凝固因子とのその会合の遮断によって、抗体はCoa・プロトロンビンおよびvWbp・プロトロンビン複合体の形成を阻止する。受動移入研究から、CoaおよびvWbp抗体による、ブドウ球菌性の膿瘍形成および致死的攻撃からの、実験動物の防御が明らかになった。かくして、CoaおよびvWbp中和抗体はブドウ球菌疾患に対する免疫防御を生み出す。

0125

以前の研究によって、血中での食作用に耐えるのにコアグラーゼが要求されることが明らかとなり(Smith et al., 1947)、本発明者らは、レピルジン処理マウス血液にてΔcoa変異体に対して類似の表現型を認めた(以下の実施例3を参照のこと)。vWbpはヒトプロトロンビンに対しマウス対応物よりも高い親和性を示すので、同じことがヒト血液中でのΔvWbp変種にも当てはまりうるのではないかと疑われる。さらに、膿瘍病変部におけるCoaおよびvWbpの発現、ならびにブドウ球菌膿瘍群集(SAC)周囲の好酸球性の偽被膜または末梢フィブリン壁におけるその顕著な分布から、分泌されたコアグラーゼがこれらの病変部の樹立に寄与することが示唆される。この仮説について試験したところ、実際に、Δcoa変異体は膿瘍の樹立において不完全であった。特異的抗体でCoa機能を遮断する、対応した試験によって同じ効果が生み出された。その結果として、予防ワクチンの開発のために標的化されうるブドウ球菌膿瘍の樹立においてはフィブリンの凝固が極めて重要な事象であるものと提案される。CoaもvWbpもともに、ヒトプロトロンビンに対するその重複機能から、ワクチン開発のための優れた候補であるものと考えられる。

0126

C. 他のブドウ球菌抗原
過去数十年の間にわたる研究から、重要な病毒性因子として黄色ブドウ球菌外毒素、表面タンパク質および調節分子が特定された(Foster, 2005; Mazmanian et al., 2001; Novick, 2003)。これらの遺伝子の調節に関して相当な進歩が達成された。例えば、ブドウ球菌は、同族受容体に閾値濃度で結合し、それによってリン酸リレイ反応の活性化および外毒素遺伝子の多くの転写活性化を行う自己誘導性ペプチドの分泌を介して細菌個体数調査を行う(Novick, 2003)。ブドウ球菌感染の発病はこれらの病毒性因子(分泌された外毒素、エキソ多糖類および表面付着因子)に依る。ブドウ球菌ワクチンの開発は、ブドウ球菌浸潤機構の多面性によって妨げられる。弱毒化生微生物は極めて効果的なワクチンであることが十分に確立されている。このようなワクチンによって誘発される免疫反応は多くの場合、複製しない免疫原によってもたらされる免疫反応よりも大きなものであり、長い作用時間のものである。これに対する一つの説明は、弱毒化生菌株が宿主において限定的な感染を樹立し、自然感染初期段階模倣するということでありうる。本発明の態様では、変種SpAポリペプチドおよびペプチド、ならびに感染に対しての軽減または免疫で用いるグラム陽性細菌の他の免疫原性細胞外タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド(分泌タンパク質またはペプチドも細胞表面タンパク質またはペプチドもともに含む)を含む、組成物および方法に関する。特定の態様において、細菌はブドウ球菌細菌である。細胞外タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドには、標的細菌の分泌タンパク質および細胞表面タンパク質が含まれるが、これらに限定されることはない。

0127

ヒト病原菌である黄色ブドウ球菌は細菌外被を越えて、EsxAおよびEsxB、二つのESAT-6様タンパク質を分泌する(参照により本明細書に組み入れられるBurts et al., 2005)。ブドウ球菌esxAおよびesxBは転写の順に6種の他の遺伝子: esxA esaA essA esaB essB essC esaC esxBとクラスタ形成される。頭文字esa、essおよびesxは、コードされるタンパク質が分泌に関して補助的(esa)もしくは直接的(ess)な役割を果たすか、または細胞外環境中に分泌される(esx)かどうかに依って、それぞれ、ESAT-6分泌の補助、系および細胞外を表す。8種の遺伝子のクラスタ全体は本明細書においてEssクラスタといわれる。esxA、esxB、essA、essBおよびessCは全て、EsxAおよびEsxBの合成または分泌に必要とされる。EsxA、EsxBおよびEssCを産生できない変異体は、黄色ブドウ球菌によるネズミ膿瘍の発病の欠損を示し、この特化された分泌系がヒト細菌性病因全般的戦略となりうることを示唆している。ESX-1経路による非WXG100基質の分泌が、EspA、EspB、Rv3483cおよびRv3615cを含むいくつかの抗原について報告されている(Fortune et al., 2005; MacGurn et al., 2005; McLaughlin et al., 2007; Xu et al., 2007)。代替的なESX-5経路も病原性ミコバクテリアにおいてWXG100タンパク質と非WXG100タンパク質の両方を分泌することが示されている(Abdallah et al., 2007; Abdallah et al., 2006)。

0128

黄色ブドウ球菌Ess経路は、特殊化した運搬成分(Ess)、補助因子(Esa)および同族分泌基質(Esx)を備えた分泌モジュールと見なすことができる。EssA、EssBおよびEssCはEsxAおよびEsxBの分泌に必要とされる。EssA、EssBおよびEssCは膜貫通タンパク質であると予測されるので、これらのタンパク質は分泌装置を形成するものと考えられる。ess遺伝子クラスタにおけるタンパク質のなかには分泌基質を(モーターとして働き)能動的に運搬するものもあるが、運搬を調節するもの(調節因子)もある。調節は分泌ポリペプチドに対する転写機構もしくは翻訳後機構、特異的基質の規定部位(例えば、細胞外培地もしくは宿主細胞)への選別、または感染中の分泌事象のタイミングによって達成されうるが、これらに限定される必要はない。現時点では、分泌Esxタンパク質の全てが毒素として機能するか、または発病に間接的に寄与するかどうかは不明である。

0129

ブドウ球菌は免疫防御からの回避に向けた戦略として表面タンパク質を介した宿主細胞への接着または組織浸潤に依っている。さらに、黄色ブドウ球菌は感染中に表面タンパク質を利用して、宿主から鉄を隔離する。ブドウ球菌発病に関わる表面タンパク質の大部分はC末端局在化シグナルを保有しており、すなわち、それらはソルターゼによって細胞壁外膜に共有結合的に連結される。さらに、表面タンパク質の固定に必要な遺伝子、すなわち、ソルターゼAおよびBを欠くブドウ球菌株は、いくつかの異なる疾患マウスモデルにおいて病毒性の劇的な欠損を示す。このように、表面タンパク質抗原は、その対応遺伝子がブドウ球菌疾患の発現に不可欠であり、本発明のさまざまな態様において利用可能であるため、有効なワクチン標的になる。ソルターゼ酵素スーパーファミリーは、表面タンパク質病毒性因子をペプチドグリカン細胞壁層に固定するのに関わるグラム陽性トランスペプチダーゼである。黄色ブドウ球菌において2つのソルターゼアイソフォームSrtAおよびSrtBが同定されている。これらの酵素は基質タンパク質中のLPXTGモチーフを認識することが示されている。SrtBアイソフォームはヘム鉄獲得および鉄恒常性において重要であるように思えるが、SrtAアイソフォームは細胞壁ペプチドグリカンへの付着因子および他のタンパク質の共有結合的固定を介して細菌が宿主組織に付着する能力を修飾することによりグラム陽性細菌の発病において重要な役割を果たす。ある種の態様において、本明細書において記述されるSpA変種をCoa、Eap、Ebh、Emp、EsaC、EsaB、EsxA、EsxB、Hla、SdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、IsdC、SasF、vWbpおよび/またはvWhタンパク質のような他のブドウ球菌タンパク質と組み合わせて用いることができる。

0130

本発明のある種の局面では、SpA変種および他のブドウ球菌抗原、例えばEss経路によって運搬される他のタンパク質、またはソルターゼ基質をコードするポリペプチド、ペプチド、または核酸を含んだタンパク質性組成物に関する方法および組成物を含む。これらのタンパク質は欠失、挿入および/または置換によって修飾されてもよい。

0131

Esxポリペプチドはブドウ球菌属における細菌由来のEsxタンパク質のアミノ酸配列を含む。Esx配列は黄色ブドウ球菌などの、特定のブドウ球菌種由来であってよく、Newmanなどの、特定の菌株由来であってよい。ある種の態様において、EsxA配列は菌株Mu50由来のSAV0282 (これはNewmanの場合と同じアミノ酸配列である)であり、参照により本明細書に組み入れられるGenbankアクセッション番号Q99WU4 (gi|68565539)を用いてアクセスすることができる。他の態様において、EsxB配列は菌株Mu50由来のSAV0290 (これはNewmanの場合と同じアミノ酸配列である)であり、参照により本明細書に組み入れられるGenbankアクセッション番号Q99WT7 (gi|68565532)を用いてアクセスすることができる。さらなる態様において、Ess経路により運搬される他のポリペプチドを用いることができ、当業者はデータベースおよびインターネットアクセス可能な情報源を用いてその配列を同定することができる。

0132

ソルターゼ基質ポリペプチドはブドウ球菌属における細菌由来のSdrC、SdrD、SdrE、IsdA、IsdB、ClfA、ClfB、IsdCまたはSasFタンパク質のアミノ酸配列を含むが、これらに限定されることはない。ソルターゼ基質ポリペプチド配列は黄色ブドウ球菌などの、特定のブドウ球菌種由来であってよく、Newmanなどの、特定の菌株由来であってよい。ある種の態様において、SdrD配列は菌株N315由来であり、参照により組み入れられるGenBankアクセッション番号NP_373773.1 (gi|15926240)を用いてアクセスすることができる。他の態様において、SdrE配列は菌株N315由来であり、参照により組み入れられるGenBankアクセッション番号NP_373774.1 (gi|15926241)を用いてアクセスすることができる。他の態様において、IsdA配列は菌株Mu50由来のSAV1130 (これはNewmanの場合と同じアミノ酸配列である)であり、参照により組み入れられるGenBankアクセッション番号NP_371654.1 (gi|15924120)を用いてアクセスすることができる。他の態様において、IsdB配列は菌株Mu50由来のSAV1129 (これはNewmanの場合と同じアミノ酸配列である)であり、参照により組み入れられるGenBankアクセッション番号NP_371653.1 (gi|15924119)を用いてアクセスすることができる。さらなる態様において、Ess経路により運搬されまたはソルターゼによりプロセッシングされる他のポリペプチドを用いることができ、当業者はデータベースおよびインターネットアクセス可能な情報源を用いてその配列を同定することができる。

0133

本発明の関連において使用できるさまざまなタンパク質の例は、各々が参照により組み入れられるアクセッション番号NC_002951 (GI:57650036およびGenBankCP000046)、NC_002758 (GI:57634611およびGenBank BA000017)、NC_002745 (GI:29165615およびGenBank BA000018)、NC_003923 (GI:21281729およびGenBank BA000033)、NC_002952 (GI:49482253およびGenBank BX571856)、NC_002953 (GI:49484912およびGenBank BX571857)、NC_007793 (GI:87125858およびGenBank CP000255)、NC_007795 (GI:87201381およびGenBank CP000253)を含むが、これらに限定されない細菌ゲノムのデータベース寄託物の分析によって同定することができる。

0134

本明細書において用いられる場合「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、少なくとも10個のアミノ酸残基を含む分子をいう。いくつかの態様において、タンパク質またはポリペプチドの野生型が利用されるが、しかし、本発明の多くの態様において、免疫反応を生じさせるために修飾されたタンパク質またはポリペプチドが利用される。上記の用語は互換的に用いることができる。「修飾タンパク質」もしくは「修飾ポリペプチド」または「変種」とは、その化学構造、特にそのアミノ酸配列が野生型のタンパク質またはポリペプチドに対して改変されているタンパク質またはポリペプチドをいう。いくつかの態様において、修飾/変種タンパク質またはポリペプチドは少なくとも一つの修飾された活性または機能を有する(タンパク質またはポリペプチドが複数の活性または機能を持ちうることを認識して)。具体的には、修飾/変種タンパク質またはポリペプチドは一つの活性または機能に関して改変されうるが、それでも免疫原性のような、その他の点では野生型の活性または機能を保持しているものと考えられる。

0135

ある種の態様において、(野生型または修飾)タンパク質またはポリペプチドのサイズは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1750、2000、2250、2500もしくはそれ以上の、およびその中で導き出せる任意の範囲のアミノ分子、または本明細書において記述されるもしくは参照される対応アミノ配列の派生体を含むことができるが、これらに限定されることはない。ポリペプチドを切断によって突然変異させ、それらを、対応するその野生型よりも短くさせてもよいが、それらを(例えば、標的化または局在化のために、免疫原性の増強のために、精製目的のために、など)特定の機能を有する異種タンパク質配列に融合または結合させることによって変化させることもできると考えられる。

0136

本明細書において用いられる場合、「アミノ分子」とは、当技術分野において公知の任意のアミノ酸、アミノ酸誘導体またはアミノ酸模倣体をいう。ある種の態様において、タンパク質性分子の残基は逐次的であり、アミノ分子残基の配列を中断するいかなる非アミノ分子も含まれない。他の態様において、その配列は一つまたは複数の非アミノ分子部分を含むことができる。特定の態様において、タンパク質性分子の残基の配列は一つまたは複数の非アミノ分子部分によって中断されることができる。

0137

したがって、「タンパク質性組成物」という用語は、天然に合成されたタンパク質における20種の共通アミノ酸の少なくとも一つ、または少なくとも一つの修飾もしくは異常アミノ酸を含むアミノ分子配列を包含する。

0138

タンパク質性組成物は、(i)標準的な分子生物学的技術を通じたタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、(ii)天然源からのタンパク質性化合物の単離、または(iii)タンパク質性物質化学的合成を含めて、当業者に公知の任意の技術により作製することができる。さまざまな遺伝子に対するヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列がこれまでに開示されており、公認のコンピュータ化されたデータベースにおいて見出される可能性がある。そのようなデータベースの一つが全米バイオテクノロジー情報センターのGenbankおよびGenPeptデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/の)である。これらの公知の遺伝子に対するコード領域は、本明細書において開示される技術を用いてまたは当業者に周知であるように、増幅されおよび/または発現されうる。

0139

本発明のSpA、コアグラーゼおよび他のポリペプチドのアミノ酸配列変種は置換変種、挿入変種または欠失変種でありうる。本発明のポリペプチドの変化は野生型と比べて、ポリペプチドの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個またはそれ以上の非連続または連続アミノ酸に影響を与えうる。変種は、本明細書において提供または参照されるいずれかの配列、例えば、SEQID NO:2〜8またはSEQ ID NO:11〜30に対して、以下の間の全ての値および範囲を含め、少なくとも50%、60%、70%、80%または90%同一であるアミノ酸配列を含みうる。変種は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の置換アミノ酸を含みうる。本明細書において記述される組成物および方法で用いるために、Ess経路によってプロセッシングもしくは分泌されるポリペプチドまたは他の表面タンパク質(表1参照)あるいはいずれかのブドウ球菌種および株由来のソルターゼ基質が企図される。

0140

欠失変種は、典型的には、天然または野生型タンパク質の一つまたは複数の残基を欠損している。個々の残基を欠失させてもよく、またはいくつかの隣接アミノ酸を欠失させてもよい。終止コドンを(置換または挿入により)コード化核酸配列に導入して、切断型タンパク質を作製することができる。挿入変異体は、典型的には、ポリペプチドにおける非末端点での物質の付加を伴う。これには一つまたは複数の残基の挿入を含めることができる。融合タンパク質と呼ばれる、末端付加体を作製することもできる。これらの融合タンパク質は、本明細書において記述または参照される一つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドの多量体または鎖状体を含む。

0141

置換変種は、典型的には、タンパク質内の一つまたは複数の部位での一つのアミノ酸と別のアミノ酸との交換を含み、他の機能または特性を失うかまたは失うことなく、ポリペプチドの一つまたは複数の特性を修飾するようにデザインされてもよい。置換は保存的であってもよく、すなわち、一つのアミノ酸が類似の形状および電荷のアミノ酸に置換されてもよい。保存的置換は当技術分野において周知であり、これには、例えば、アラニンのセリンへの、アルギニンのリジンへの、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの、アスパラギン酸塩グルタミン酸塩への、システインのセリンへの、グルタミンのアスパラギンへの、グルタミン酸塩のアスパラギン酸塩への、グリシンのプロリンへの、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの、リジンのアルギニンへの、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの、フェニルアラニンのチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの、セリンのトレオニンへの、トレオニンのセリンへの、トリプトファンのチロシンへの、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの、およびバリンのイソロイシンまたはロイシンへの変化が含まれる。あるいは、置換はポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように非保存的であってもよい。非保存的変化は、典型的には、非極性または非荷電アミノ酸の代わりに極性または荷電アミノ酸を用いるような、およびその逆のような、一つの残基を化学的に異なる残基に置換することを伴う。

0142

(表2)黄色ブドウ球菌株の例示的な表面タンパク質

0143

本発明のタンパク質は組み換えであっても、またはインビトロで合成されてもよい。あるいは、非組み換えまたは組み換えタンパク質を細菌から単離してもよい。そのような変種を含有する細菌を、本発明の組成物および方法のなかで実践できることも考えられる。結果的に、タンパク質は単離されなくてもよい。

0144

「機能的に同等なコドン」という用語は、アルギニンまたはセリンに対する6種のコドンのような、同じアミノ酸をコードするコドンをいうように本明細書において用いられ、同様に、生物学的に同等のアミノ酸をコードするコドンもいう(以下の表2を参照のこと)。

0145

(表3)コドン表

0146

アミノ酸および核酸配列は、タンパク質の発現が関与している生物学的タンパク質活性(例えば、免疫原性)の維持を含めて、上記の基準を満たす限り、それぞれ、さらなるN末端もしくはC末端アミノ酸、または5'もしくは3'配列のような、さらなる残基を含むこともあり、それでも本質的には、本明細書において開示されている配列の一つに記載の通りでありうることも理解されよう。末端配列の付加は核酸配列に特に当てはまり、例えば、コード領域の5'または3'部分のどちらかに隣接する種々の非コード配列を含むことができる。

0147

以下は、変種ポリペプチドまたはペプチドを作製するためにタンパク質のアミノ酸を変化させることに基づく考察である。例えば、ある種のアミノ酸を、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位のような構造との相互作用結合能をかなり失うようにまたはさほど失わないようにタンパク質構造中の他のアミノ酸の代わりに用いることができる。タンパク質の機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用能および性質であることから、タンパク質配列の中に、およびその基礎となるDNAコード配列の中にある種のアミノ酸置換を施し、それでも、所望の特性を有するタンパク質を産生させることができる。このように、遺伝子のDNA配列において種々の変化を施すことができるものと本発明者らは企図している。

0148

本発明の組成物においては、1 mlあたり約0.001 mg〜約10 mgの総ポリペプチド、ペプチド、および/またはタンパク質が存在することが企図される。組成物中のタンパク質の濃度は約、少なくとも約またはせいぜい約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0 mg/mlまたはそれ以上(またはその中で導き出せる任意の範囲)でありうる。このうち、約、少なくとも約、またはせいぜい約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%がSpA変種またはコアグラーゼであってよく、他の細菌ペプチドおよび/または抗原のような、他のペプチドまたはポリペプチドと組み合わせて用いられてもよい。

0149

本発明は、ブドウ球菌病原菌による感染と関連する疾患または状態の発症に対する予防的治療または治療効果に影響を与えるための変種SpAポリペプチドまたはペプチドの投与を企図する。

0150

ある種の局面において、ブドウ球菌感染の処置または予防に有効である免疫原性組成物の作製においてブドウ球菌抗原の組み合わせが用いられる。ブドウ球菌感染はいくつかの異なる段階を経て進行する。例えば、ブドウ球菌の生活環には、片利共生定着、隣接する組織もしくは血流に接近することによる感染の開始、および/または血液中での嫌気的増殖が含まれる。黄色ブドウ球菌病原性決定因子宿主防御機構との間の相互作用は、心内膜炎、転移性膿瘍形成および敗血症候群のような合併症を誘発しうる。細菌表面上の異なる分子が感染サイクルの異なる段階に関与する。ある種の抗原の組み合わせによって、多段のブドウ球菌感染を防御する免疫反応が引き起こされる可能性がある。免疫反応の有効性は動物モデルアッセイ法においておよび/またはオプソニン作用アッセイ法を用いて測定することができる。

0151

D.ポリペプチドおよびポリペプチド産生
本発明は、本発明のさまざまな態様で用いるためのポリペプチド、ペプチドおよびタンパク質ならびにそれらの免疫原性断片について記述する。例えば、特定のポリペプチドを、免疫反応を誘発するかアッセイし、または免疫反応を誘発するために用いる。特定の態様において、本発明のタンパク質の全部または一部を、従来の技術にしたがって溶液中でまたは固体支持体上で合成することもできる。各種の自動合成機が市販されており、それらを公知のプロトコルにしたがって用いることができる。例えば、Stewart and Young, (1984); Tarn et al., (1983); Merrifield, (1986); およびBarany and Merrifield (1979)を参照されたく、これらの各々が参照により本明細書に組み入れられる。

0152

あるいは、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列発現ベクターに挿入し、これを適切な宿主細胞に形質転換または形質移入し、これを発現に適した条件の下で培養する組み換えDNA技術を利用することもできる。

0153

本発明の一つの態様では、ポリペプチドまたはペプチドの産生および/または提示のための、微生物を含む、細胞への遺伝子移入の使用を含む。関心対象のポリペプチドまたはペプチドに対する遺伝子を適切な宿主細胞に移入し、引き続いて適切な条件下での細胞の培養を行うことができる。組み換え発現ベクターの作製、およびそのベクターに含まれる要素は、当技術分野において周知であり、本明細書において手短に論じられている。あるいは、産生されるタンパク質は、単離かつ精製される細胞によって通常合成される内因性タンパク質であってもよい。

0154

本発明の別の態様では、免疫原産物、より具体的には、免疫原性活性を有するタンパク質を発現するウイルスベクターにより形質移入された、自己Bリンパ球細胞株を用いる。哺乳類宿主細胞株の他の例としては、VeroおよびHeLa細胞、CEM、721.221、H9、Jurkat、Rajiなどの、他のB-およびT-細胞株、ならびにチャイニーズハムスター卵巣細胞株、W138、BHK、COS-7、293、HepG2、3T3、RINおよびMDCK細胞が挙げられるが、これらに限定されることはない。さらに、挿入された配列の発現を調節する、または所望とされる様式で遺伝子産物を修飾およびプロセッシングする宿主細胞株を選択することもできる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセッシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要でありうる。異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳後プロセッシングおよび修飾の特徴的かつ特異的な機構を有する。発現される外来タンパク質の的確な修飾およびプロセッシングを確実とするために、適切な細胞株または宿主系を選択することができる。

0155

tk-、hgprt-またはaprt-細胞での、それぞれ、HSVチミジンキナーゼヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼおよびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を含むが、これらに限定されない、いくつかの選択系を用いることができる。同様に、選択の基礎として抗代謝物耐性:トリメトプリムおよびメトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr;ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt;アミノグリコシドG418に対する耐性を付与するneo; ならびにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygroを用いることもできる。

0156

動物細胞はインビトロにおいて二つの様式で、つまり培養の大半を通じて浮遊状態で増殖する非足場依存性細胞として、または増殖のためには固体基材への付着を要する足場依存性細胞として増殖させることができる(すなわち、単層型の細胞増殖)。

0157

連続樹立細胞株由来の非足場依存性培養または浮遊培養は、細胞および細胞産物の、最も広く使われている大規模産生手段である。しかしながら、浮遊培養細胞には、腫瘍形成能および接着細胞よりも低いタンパク質産生のような制限がある。

0158

タンパク質を本明細書において具体的に述べる場合、それは、好ましくは、天然もしくは組み換えタンパク質、または場合により任意のシグナル配列が除去されたタンパク質への言及である。タンパク質は、ブドウ球菌株から直接単離されてもよく、または組み換えDNA技術によって産生されてもよい。タンパク質の免疫原性断片を本発明の免疫原性組成物に含めてもよい。これらは、タンパク質のアミノ酸配列から連続的に取り出される、少なくとも10アミノ酸、20アミノ酸、30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、または100アミノ酸を、その間の全ての値および範囲を含めて、含む断片である。さらに、そのような免疫原性断片は、ブドウ球菌タンパク質に対して作製された抗体と免疫学的反応性であり、またはブドウ球菌による哺乳類宿主の感染によって作製された抗体と免疫学的に反応性である。免疫原性断片はまた、有効量で(単独でまたは担体に結合されたハプテンとしてのいずれかで)投与される場合に、ブドウ球菌感染に対する防御的または治療的免疫反応を誘発する断片も含み、ある種の局面において、それは黄色ブドウ球菌および/または表皮ブドウ球菌感染を防ぐ。そのような免疫原性断片は、例えば、N末端リーダー配列、ならびに/あるいは膜貫通ドメインおよび/またはC末端アンカードメインを欠損するタンパク質を含むことができる。好ましい局面において、本発明による免疫原性断片は、本明細書において記述または参照されるポリペプチドの配列選択セグメントに対し、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも97〜99%の同一性を、その間の全ての値および範囲を含めて、有するタンパク質の細胞外ドメインの実質的に全てを含む。

0159

本発明の免疫原性組成物の中に同様に含まれるのは、一つもしくは複数のブドウ球菌タンパク質、またはブドウ球菌タンパク質の免疫原性断片から構成される融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組み換えによって作製することができ、少なくとも1、2、3、4、5または6種のブドウ球菌タンパク質またはセグメントの一部分を含むことができる。あるいは、融合タンパク質は、少なくとも1、2、3、4または5種のブドウ球菌タンパク質の複数部分を含むこともできる。これらは、異なるブドウ球菌タンパク質および/または同一のタンパク質もしくはタンパク質断片の複数のもの、あるいは同一タンパク質における免疫原性断片を組み合わせ(多量体または鎖状体を形成させ)ることができる。あるいは、本発明はまた、T細胞エピトープまたは精製タグ供与体のような異種配列、例えばβガラクトシダーゼグルタチオン-S-トランスフェラーゼ緑色蛍光タンパク質(GFP)、エピトープタグ、例えばFLAG、mycタグ、ポリヒスチジン、またはウイルス表面タンパク質、例えばインフルエンザウイルス赤血球凝集素、または細菌タンパク質、例えば破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドもしくはCRM197との融合タンパク質としての、ブドウ球菌タンパク質またはその免疫原性断片の個々の融合タンパク質も含む。

0160

II.核酸
ある種の態様において、本発明は、本発明のタンパク質、ポリペプチド、ペプチドをコードする組み換えポリヌクレオチドに関する。SpA、コアグラーゼおよび他の細菌タンパク質に対する核酸配列が含まれ、これらの全てが参照により組み入れられ、これらを用いてペプチドまたはポリペプチドを調製することができる。

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