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技術 セルロース系繊維を製造する方法およびこれにより得られた繊維

出願人 エスエーピーピーアイネザーランズサーヴィシーズビー.ヴイ
発明者 フィリップターナースリーネエルナンデスカラムヒル
出願日 2011年4月12日 (10年4ヶ月経過) 出願番号 2013-504236
公開日 2013年6月20日 (8年2ヶ月経過) 公開番号 2013-525618
状態 特許登録済
技術分野 合成繊維
主要キーワード 工業ベース 微細破片 連続水流 空気空洞 指数則 単一プラグ 張力処理 横断面概略図
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図面 (20)

課題・解決手段

セルロースナノフィブリル離液性懸濁液から、繊維の主軸に沿って整列しているセルロースナノフィブリルを含む繊維を紡ぐ方法であって、前記ナノフィブリルの整列は、ダイ、紡糸口金または針から押し出された繊維の伸長を通して達成され、前記繊維は、伸長下で乾燥され、前記整列したナノフィブリルは、凝集して連続構造を形成し、固形分濃度が少なくとも7重量%であるナノフィブリルの懸濁液は、その押し出し前に少なくとも1種の機械分配混合プロセスを使用して均質化される、方法。この方法で使用するフィブリルは、木材などのセルロース富む材料から抽出することができる。本発明はまた、この方法により得られたセルロース系繊維および少なくとも90重量%の結晶化セルロースを含むセルロース繊維に関する。

概要

背景

セルロースは、β1−4結合を有するアンヒドログルコース直鎖ポリマーである。多種多様天然材料が、高濃度のセルロースを含む。天然型セルロース繊維は、綿およびのような材料を構成する。合成セルロース繊維は、レーヨン(もしくはビスコース)などの製品およびリヨセル(TENCEL(商標)という名称販売されている)などの高強度繊維を含む。

天然セルロースは、非晶形または結晶形のいずれかで存在する。合成セルロース繊維の製造中、セルロースは、最初に非晶質セルロースに変換される。セルロース繊維の強度は、セルロース結晶の存在および配向に依存するので、次いで、セルロース材料凝集工程中に再結晶して、所与の割合の結晶化セルロースを備える材料を形成することができる。このような繊維はまだ高い量の非晶質セルロースを含んでいる。そのため、結晶化セルロースの含量が高いセルロース系繊維を得るための方法を設計することが非常に望ましい。

繊維を製造するためにセルロースを使用することの利点には、低コスト、広範な入手可能性、生分解性生体適合性、低毒性、寸法安定性、高引張強度、軽量、耐久性、高吸湿性および表面誘導体化についての容易性が含まれる。

天然起源の他のセルロース系材料と共に木材中見出すことができるセルロースの結晶形は、天然材料の剛性および強度に貢献する高強度結晶セルロース凝集体を含み、ナノ繊維またはナノフィブリルとして知られている。これらの結晶ナノフィブリルは、ケブラーの約2倍の高い強度対重量比を有するが、現時点では、これらのフィブリルをはるかに大きな結晶単位に融合することができない限り、全強度能力入手しにくい。これらのナノフィブリルは、植物または木材細胞から単離すると、高アスペクト比を有することができ、適正な条件下で離液性懸濁液を形成することができる。

Macromolecules、38、6181〜6188に公開されたSong, W.、Windle, A.(2005)「Isotropic−nematic phase transition of dispersions of multiwall carbon nanotube」は、ネマチック相単軸に沿った長距離配向秩序)を容易に形成するカーボンナノチューブ液晶懸濁液からの連続繊維紡績を記載した。ネマチック構造は、繊維内の優れた粒子間結合を可能にする。しかしながら、ナノフィブリルの濃度が約5〜8%を超える場合、天然セルロースナノフィブリルは、いったんその天然材料から抽出すると、一般的にキラルネマチック相(周期的にねじれたネマチック構造)を形成するので、ナノフィブリルが紡績繊維主軸に沿って完全に配向するのを防ぐだろう。ナノフィブリル構造中のねじれは、繊維構造固有欠陥につながるだろう。

論文「Effect of trace electrolyte on liquid crystal type of cellulose micro crystals」、Langmuir;(Letter);17(15);4493〜4496、(2001)において、Araki, J.およびKuga, S.は、バクテリアセルロースが、約7日後に静的懸濁液中にネマチック相を形成することができることを示した。しかしながら、このアプローチは、工業ベースでの繊維の製造に実用的ではないだろうし、特に、得るのが困難で高価なバクテリアセルロースに関する。

Kimuraら(2005)「Magnetic alignment of the chiral nematic phase of a cellulose microfibril suspension」Langmuir 21、2034〜2037は、ネマチック様配列を形成するための回転磁界(15時間5T)を使用したセルロースナノフィブリル懸濁液中のキラルねじれの巻き戻しを報告した。しかしながら、この方法は、工業レベル使用可能な繊維を形成するために実際に使用可能でないだろう。

Qizhouら(2006)による研究「Transient rheological behaviour of lyotropic (acetyl)(ethyl) cellulose/m−cresol solutions」、Cellulose 13:213〜223は、せん断力が十分高い場合に、懸濁液中のセルロースナノフィブリルがせん断方向に沿って配向することを示した。キラルネマチック構造は、流れに沿ったネマチック様相に変化する。しかしながら、キラルネマチックドメインは、懸濁液中に分散したままであることが特記されている。連続繊維の形成などの現象の実際的応用に関する言及はなされなかった。

Batchelor, G.(1971)による研究「The stress generated in a non−dilute suspension of elongated particles in pure straining motion」、Journal of Fluid Mechanics、46、813〜829は、棒状粒子(この場合、ガラス繊維)の懸濁液を整列させるための伸長レオロジーの使用を探索した。濃度の増加、特に棒状粒子のアスペクト比の増加が、伸長粘度の増加をもたらすことが示された。液晶懸濁液中に存在するキラルネマチック構造を巻き戻す可能性の言及はなされなかった。

1969年に提出された英国特許GB1322723は、「フィブリル」を使用した繊維の製造を記載している。この特許は、シリカおよび石綿などの無機フィブリルに主に焦点を合わせているが、たとえ仮定的でも、可能な代替物として微結晶セルロースが言及されている。

微結晶セルロースは、セルロースナノフィブリルよりもはるかに粗い粒径である。これは、典型的には、容易には離液性懸濁液を形成しないナノフィブリルの凝集体の形をとる不完全加水分解セルロースからなる。微結晶セルロースはまた、通常は、塩酸を使用して製造されナノフィブリル上の表面電荷をもたらさない。

GB1322723は、一般的に、フィブリルを含む懸濁液から繊維を紡ぐことができることを記載している。しかしながら、GB1322723で使用される懸濁液は、固形分含量が3%以下である。このような固形分含量は、ドローダウンが起こるにはあまりにも低い。実際、GB1322723は、相当量増粘剤を懸濁液に添加することを教示している。増粘剤の使用は、離液性懸濁液の形成を防ぎ、高繊維強度を達成するために望ましいフィブリル間水素結合干渉することに留意すべきである。

また、セルロースナノフィブリル、特に増粘剤を含むものの1〜3%懸濁液は、等方相を形成するだろう。GB1322723は、フィブリルの濃縮懸濁液の使用、特に離液性のフィブリルの懸濁液の使用に関連する問題に対処していない。

概要

セルロースナノフィブリルの離液性懸濁液から、繊維の主軸に沿って整列しているセルロースナノフィブリルを含む繊維を紡ぐ方法であって、前記ナノフィブリルの整列は、ダイ、紡糸口金または針から押し出された繊維の伸長を通して達成され、前記繊維は、伸長下で乾燥され、前記整列したナノフィブリルは、凝集して連続構造を形成し、固形分濃度が少なくとも7重量%であるナノフィブリルの懸濁液は、その押し出し前に少なくとも1種の機械分配混合プロセスを使用して均質化される、方法。この方法で使用するフィブリルは、木材などのセルロースに富む材料から抽出することができる。本発明はまた、この方法により得られたセルロース系繊維および少なくとも90重量%の結晶化セルロースを含むセルロース繊維に関する。

目的

概して、機械的分散および分配混合プロセスの目的は、高程度の均質化を達成することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

セルロースナノフィブリル離液性懸濁液から、繊維の主軸に沿って整列しているセルロースナノフィブリルを含む連続繊維紡糸する方法であって、前記ナノフィブリルの整列は、ダイ、紡糸口金または針から押し出された繊維の伸長を通して達成され、前記繊維は、伸長下で乾燥され、前記整列したナノフィブリルは、凝集して連続構造を形成し、固形分濃度が少なくとも7重量%であるナノフィブリルの懸濁液は、その押し出し前にロール練りなどの少なくとも1種の機械分配および分散混合プロセスを使用して均質化される、方法。

請求項2

前記セルロースナノフィブリルが、木材パルプまたは綿などのセルロース富む材料から抽出される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記懸濁液が水性である、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

硫酸などの酸によるセルロース供給源加水分解を含む抽出工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記抽出工程が、過剰な酸を除去するための少なくとも1つの洗浄工程を含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記抽出工程が、前記洗浄工程の後に、または代わりに、遠心分離透析濾過または相分離により行われる、フィブリル破片および非晶質多糖類を除去するための少なくとも1つの分離工程を含む、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記懸濁液が、濃縮および凝集体を分散させるためのその後の回転前に均質化される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記懸濁液が、前記ナノフィブリルのゼータ電位を調整するために処理される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記処理が、熱による処理を含む、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記処理が、塩化カルシウムなどの対イオンを使用する処理を含む、請求項8または9に記載の方法。

請求項11

前記懸濁液が、−60mV〜−20mVの範囲の平均ゼータ電位を有するセルロースナノフィブリルを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

前記懸濁液が、−35mV〜−27mVの範囲の平均ゼータ電位を有するセルロースナノフィブリルを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

前記懸濁液が、濃縮高粘度懸濁液である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。

請求項14

前記機械的分配および分散混合プロセスが、ロール練りである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

前記懸濁液が、10〜60重量%の範囲のレベルの濃縮固形分を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

そのドローダウン比が1.2より大である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

前記ドローダウン比が、2〜20の範囲となるよう選択される、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記懸濁液の繊維への紡糸を含み、前記押し出された繊維が、紡糸中に実質的に乾燥される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

前記ナノフィブリルの整列が、前記懸濁液のレオロジー特性調和するよう設計された双曲面ダイの使用により改善される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

請求項1から19のいずれか一項に記載の方法により得られたセルロース系繊維

請求項21

少なくとも90重量%の結晶化セルロースを含む、セルロース系繊維。

請求項22

繊維に20cN/texの最小引張強度を与える高度に整列した、または連続的微小構造を含む、請求項21に記載の繊維。

請求項23

少なくとも95%の結晶化セルロースを含む、請求項21または22に記載の繊維。

請求項24

0.02〜20texの範囲の線密度を有する、請求項21から23のいずれか一項に記載の繊維。

技術分野

0001

本発明は、セルロースナノフィブリル、特に木材パルプなどのセルロース材料から抽出したセルロースナノフィブリルを使用した繊維の製造に関する。

背景技術

0002

セルロースは、β1−4結合を有するアンヒドログルコース直鎖ポリマーである。多種多様天然材料が、高濃度のセルロースを含む。天然型セルロース繊維は、綿およびのような材料を構成する。合成セルロース繊維は、レーヨン(もしくはビスコース)などの製品およびリヨセル(TENCEL(商標)という名称販売されている)などの高強度繊維を含む。

0003

天然セルロースは、非晶形または結晶形のいずれかで存在する。合成セルロース繊維の製造中、セルロースは、最初に非晶質セルロースに変換される。セルロース繊維の強度は、セルロース結晶の存在および配向に依存するので、次いで、セルロース材料を凝集工程中に再結晶して、所与の割合の結晶化セルロースを備える材料を形成することができる。このような繊維はまだ高い量の非晶質セルロースを含んでいる。そのため、結晶化セルロースの含量が高いセルロース系繊維を得るための方法を設計することが非常に望ましい。

0004

繊維を製造するためにセルロースを使用することの利点には、低コスト、広範な入手可能性、生分解性生体適合性、低毒性、寸法安定性、高引張強度、軽量、耐久性、高吸湿性および表面誘導体化についての容易性が含まれる。

0005

天然起源の他のセルロース系材料と共に木材中見出すことができるセルロースの結晶形は、天然材料の剛性および強度に貢献する高強度結晶セルロース凝集体を含み、ナノ繊維またはナノフィブリルとして知られている。これらの結晶ナノフィブリルは、ケブラーの約2倍の高い強度対重量比を有するが、現時点では、これらのフィブリルをはるかに大きな結晶単位に融合することができない限り、全強度能力入手しにくい。これらのナノフィブリルは、植物または木材細胞から単離すると、高アスペクト比を有することができ、適正な条件下で離液性懸濁液を形成することができる。

0006

Macromolecules、38、6181〜6188に公開されたSong, W.、Windle, A.(2005)「Isotropic−nematic phase transition of dispersions of multiwall carbon nanotube」は、ネマチック相単軸に沿った長距離配向秩序)を容易に形成するカーボンナノチューブ液晶懸濁液からの連続繊維紡績を記載した。ネマチック構造は、繊維内の優れた粒子間結合を可能にする。しかしながら、ナノフィブリルの濃度が約5〜8%を超える場合、天然セルロースナノフィブリルは、いったんその天然材料から抽出すると、一般的にキラルネマチック相(周期的にねじれたネマチック構造)を形成するので、ナノフィブリルが紡績繊維主軸に沿って完全に配向するのを防ぐだろう。ナノフィブリル構造中のねじれは、繊維構造固有欠陥につながるだろう。

0007

論文「Effect of trace electrolyte on liquid crystal type of cellulose micro crystals」、Langmuir;(Letter);17(15);4493〜4496、(2001)において、Araki, J.およびKuga, S.は、バクテリアセルロースが、約7日後に静的懸濁液中にネマチック相を形成することができることを示した。しかしながら、このアプローチは、工業ベースでの繊維の製造に実用的ではないだろうし、特に、得るのが困難で高価なバクテリアセルロースに関する。

0008

Kimuraら(2005)「Magnetic alignment of the chiral nematic phase of a cellulose microfibril suspension」Langmuir 21、2034〜2037は、ネマチック様配列を形成するための回転磁界(15時間5T)を使用したセルロースナノフィブリル懸濁液中のキラルねじれの巻き戻しを報告した。しかしながら、この方法は、工業レベル使用可能な繊維を形成するために実際に使用可能でないだろう。

0009

Qizhouら(2006)による研究「Transient rheological behaviour of lyotropic (acetyl)(ethyl) cellulose/m−cresol solutions」、Cellulose 13:213〜223は、せん断力が十分高い場合に、懸濁液中のセルロースナノフィブリルがせん断方向に沿って配向することを示した。キラルネマチック構造は、流れに沿ったネマチック様相に変化する。しかしながら、キラルネマチックドメインは、懸濁液中に分散したままであることが特記されている。連続繊維の形成などの現象の実際的応用に関する言及はなされなかった。

0010

Batchelor, G.(1971)による研究「The stress generated in a non−dilute suspension of elongated particles in pure straining motion」、Journal of Fluid Mechanics、46、813〜829は、棒状粒子(この場合、ガラス繊維)の懸濁液を整列させるための伸長レオロジーの使用を探索した。濃度の増加、特に棒状粒子のアスペクト比の増加が、伸長粘度の増加をもたらすことが示された。液晶懸濁液中に存在するキラルネマチック構造を巻き戻す可能性の言及はなされなかった。

0011

1969年に提出された英国特許GB1322723は、「フィブリル」を使用した繊維の製造を記載している。この特許は、シリカおよび石綿などの無機フィブリルに主に焦点を合わせているが、たとえ仮定的でも、可能な代替物として微結晶セルロースが言及されている。

0012

微結晶セルロースは、セルロースナノフィブリルよりもはるかに粗い粒径である。これは、典型的には、容易には離液性懸濁液を形成しないナノフィブリルの凝集体の形をとる不完全加水分解セルロースからなる。微結晶セルロースはまた、通常は、塩酸を使用して製造されナノフィブリル上の表面電荷をもたらさない。

0013

GB1322723は、一般的に、フィブリルを含む懸濁液から繊維を紡ぐことができることを記載している。しかしながら、GB1322723で使用される懸濁液は、固形分含量が3%以下である。このような固形分含量は、ドローダウンが起こるにはあまりにも低い。実際、GB1322723は、相当量増粘剤を懸濁液に添加することを教示している。増粘剤の使用は、離液性懸濁液の形成を防ぎ、高繊維強度を達成するために望ましいフィブリル間水素結合干渉することに留意すべきである。

0014

また、セルロースナノフィブリル、特に増粘剤を含むものの1〜3%懸濁液は、等方相を形成するだろう。GB1322723は、フィブリルの濃縮懸濁液の使用、特に離液性のフィブリルの懸濁液の使用に関連する問題に対処していない。

0015

特に、天然起源の結晶化セルロースを使用して、高結晶化セルロース繊維を製造するために使用することができる方法がここで提供される。

0016

本発明は、セルロースナノフィブリルの離液性懸濁液から、セルロース系繊維、特に、繊維の主軸に沿って整列しているセルロースナノフィブリルの、連続繊維を製造する方法であって、前記ナノフィブリルの整列は、ダイ、紡糸口金または針から押し出された繊維の伸長を通して達成され、前記繊維は、伸長下で乾燥され、整列したナノフィブリルは、凝集して連続構造を形成し、固形分含量が少なくとも7重量%であるナノフィブリルの懸濁液は、その押し出し前にロール練りなどの少なくとも1種の機械分配混合工程を使用して均質化される、方法に関する。

0017

あるいはまたはさらに、非フィブリルの懸濁液を、その押し出し前に加熱することができる。

0018

混合は、一般的に、機械的作用により、または媒体強制的せん断もしくは伸長流により誘導される。2種類の混合、すなわち、分散混合および分配混合が一般的に識別される。分散混合は、所望の最終粒径固体微粒子またはドメインサイズ(滴/lcドメイン)への、凝集体または塊の解体と定義される。他方、分配混合は、媒体中に存在する成分の空間的均一性を提供することと定義される。ここでの問題は、懸濁液に分散および分配混合の両方を与えることである。これは、大規模液晶ドメインを有さない最終懸濁液をもたらす。典型的には、これは、液晶ドメインを懸濁液中に視覚的に観察することができないことを意味する。両方の混合部分が重要であるので、典型的には分配混合も貢献する。離液性懸濁液は、通常、媒体中の粒子の不均質分配(重い/大きい粒子は底面、軽い/小さい粒子は上面)をもたらす先行する遠心分離ステップによって提供され、分配混合は、媒体中の粒子の空間的分配の均質性を増加させるために使用されるので、分配混合は有益である。

0019

上記のような分配混合の作用は、特に、大きいlc凝集体、極めて大規模液晶ドメインを避けるために、媒体中に懸濁している粒径の均質性を増加させることである。

0020

概して、機械的分散および分配混合プロセスの目的は、高程度の均質化を達成することである。

0021

提案された機械的混合工程はまた、ゼータ電位標準偏差を減少させる効果を有する。実際、2mV未満(−35〜−27mVの範囲の平均ゼータ電位について)、好ましくは1mV未満のゼータ電位の標準偏差で特に安定なプロセスを行うことができることを示すことができる。

0022

そのため、言い換えると、混合工程は、固形分含量の変動を低下させる。典型的には、固形分含量の変動は、1〜0.01%の範囲、好ましくは0.25〜0.05%の範囲(それぞれ2gの小口試料で測定される)である。

0023

混合は、典型的には、媒体の高せん断または伸長流により誘導される。これは、典型的には0.1〜2N/mm2の範囲、より好ましくは0.5〜1N/mm2の範囲の圧力下で起こる。上記機械的分散混合工程は、好ましくは10重量%超、好ましくは20〜40重量%の範囲の固形分含量の懸濁液を使用して行われる。

0024

本発明はさらに、高程度で結晶化セルロースを含み、本発明の方法により得ることができるセルロース系繊維に関する。本発明のはるかに好ましい実施形態によると、繊維は、前記繊維に高い強度を提供する高度に整列したまたは連続的微小構造を含む。

0025

ナノフィブリルの抽出
本発明で使用するセルロースナノフィブリルは、セルロースに富む材料から抽出することが非常に好ましい。

0026

木材パルプまたは綿などの、ナノフィブリルを含むすべての天然セルロース系材料を、本発明のための出発物質みなすことができる。対費用効果が高いので木材パルプが好ましいが、キチン、麻またはバクテリアセルロースなどの他のセルロースに富む材料を使用することができる。硬木および軟木の両方からの工業パルプを含む、セルロースナノフィブリルの種々の供給源が十分に試験されてきた。また、後に適当な機械的または酸加水分解工程を通して個々のセルロースナノフィブリルに分解するならば、微結晶セルロース(MCC)をナノフィブリルの可能な供給源とみなすことができる。

0027

そのため、本発明の方法では、種々の種類のナノフィブリルを単離および使用することができる。7より大きい、好ましくは10〜50の範囲のアスペクト比(ナノフィブリルのより長い寸法とより短い寸法の比)を有するナノフィブリルが特に好ましい。

0028

本発明による方法で使用するためのナノフィブリルは、典型的には、70〜1000nmの範囲の長さを有することを特徴とする。好ましくは、ナノフィブリルは、I型セルロースである。

0029

ナノフィブリルの抽出は、最も典型的には、好ましくは微粉または懸濁液に粉砕したセルロース供給源の加水分解を伴う。

0030

最も典型的には、抽出工程は、硫酸などの酸による加水分解を伴う。加水分解工程中、荷電硫酸基がナノフィブリルの表面上に沈着するので、硫酸が特に適している。ナノフィブリルの表面上の表面電荷が、繊維間の斥力を作り出し、これらが懸濁液中で水素結合する(凝集する)のを防ぐ。結果として、これらは互いの中で自由に滑ることができる。十分高濃度でキラルネマチック液晶相の非常に望ましい形成をもたらすのは、ナノフィブリルのアスペクト比と組み合わせたこの斥力である。このキラルネマチック液晶相のピッチは、アスペクト比、多分散性および表面電荷のレベルを含むフィブリル特性によって決定される。

0031

ナノフィブリル抽出の代替法(塩酸の使用など)を使用することができるだろうが、連続繊維への紡糸が有利になるように、表面電荷をナノフィブリルに印加しなければならないだろう。表面電荷が、紡糸工程初期段階(乾燥前)にナノフィブリルを離しておくのに不十分であると、ナノフィブリルは、一緒に凝集して、最終的に紡糸中の懸濁液の流れを妨げ得る。以下にさらに定義する好ましい範囲のゼータ電位に到達させる目的で、硫酸エステルなどの適当な基によりセルロースを官能化することによって、表面電荷を付加することができる。いったん加水分解が行われると、フィブリル破片および水を除去して、濃縮セルロースゲルまたは懸濁液を生成するために、好ましくは、例えば、遠心分離により、少なくとも1つのナノフィブリル分画工程が行われる。

0032

できる限り多くの非晶質セルロースおよび/またはフィブリル破片を除去するために、その後の洗浄工程を任意選択により行うことができる。これらの洗浄工程は、適当な有機溶媒で行うことができるが、水、好ましくは脱イオン水により好都合に行われ、ナノフィブリルを濃縮するために水の除去が必要なので、フィブリル破片および水を除去するために、引き続いて通常は遠心分離により行われる分離工程が行われる。3回の連続洗浄およびその後の遠心分離工程が、好適な結果をもたらした。

0033

あるいはまたはさらに、懸濁液の相挙動を使用してナノフィブリルを分離することができる。臨界濃度、典型的には約5〜8%セルロースで、一方は等方性で、他方は異方性二相性領域が得られる。これらの相は、アスペクト比にしたがって分離する。より高アスペクト比の繊維は、異方相を形成し、非晶質セルロースおよび/またはフィブリル破片から分離することができる。これらの2つの相の相対的割合は、懸濁液の濃度、表面電荷のレベルおよびイオン含量に依存する。この方法は、遠心分離および/または洗浄工程を行う必要性を軽減ならびに/あるいは抑制する。そのためこの分画法は、より単純でより対費用効果が高いので好ましい。

0034

ゼータ電位
本発明の特定の実施形態によると、例えば、透析を使用して、懸濁液のゼータ電位を調整することが好都合であることが分かった。ゼータ電位は、−60mV〜−20mVに及び得るが、好都合には−40mV〜−20mV、好ましくは−35mV〜−27mV、さらにより好ましくは−34mV〜−30mVの範囲に調整される。これらの範囲、特にこの最後の範囲は、10〜50の範囲のアスペクト比を有するナノフィブリルに特に適している。

0035

そうするために、脱イオン水と混合した加水分解セルロース懸濁液を、例えば、好ましくは12000〜14000ダルトンに及ぶ分子量カットオフを有するVisking透析チューブを使用して、脱イオン水に対して透析することができる。約−60〜−50mVから好ましくは−34mV〜−30mVの間まで懸濁液のゼータ電位を増加および安定させるために透析が使用される(図20参照)。

0036

この工程は、加水分解を行うために硫酸を使用した場合に特に好都合である。

0037

ゼータ電位は、Malvern Zetasizer Nano ZSシステムを使用して測定した。−30mVより高いゼータ電位は、通常、紡糸中の懸濁液の流れに妨害し得るナノフィブリルの凝集が起こる高濃度で不安定な懸濁液をもたらす。−35mV未満のゼータ電位は、通常、40%超の高固形分濃度でさえ、紡糸中の繊維の乏しい結合をもたらす。

0038

スパイラル巻型中空繊維接線フロー濾過などの工業規模技術を使用して、透析時間を顕著に減少させることができる。透析膜において孔径を12000〜14000ダルトンから最大300000ダルトンまで増加させると、このような技術を使用して、フィブリル破片および非晶質多糖類を少なくとも部分的に除去することもできる。

0039

ゼータ電位を増加させる代替アプローチとして、懸濁液を、より初期(例えば、3日)に透析から取り出し、その後、(硫酸基のいくらかを除去するため)熱処理するかまたは典型的には0.0065〜0.0075モル濃度の範囲で、対イオン塩化カルシウムなど)を懸濁液に添加して、ゼータ電位を必要とされるレベルまで低下させることができる。

0040

熱処理に関しては、懸濁液を、好適な期間にわたって、70〜100℃の範囲の温度、例えば、90℃に供することができる。このような期間は、例えば、材料を90℃で処理する場合、3〜10日、好ましくは4〜8日の範囲である。

0041

溶媒
ナノフィブリル懸濁液は、有機溶媒を含むことができる。しかしながら、前記懸濁液は、水性であることが好ましい。したがって、溶媒または懸濁液の液相は、少なくとも90重量%水、好ましくは少なくとも95重量%水、さらに好ましくは98重量%水とすることができる。

0042

濃度
紡糸工程に最も適したセルロース懸濁液を得るために、次いで、均質化セルロース懸濁液を、再遠心分離して、紡糸に特に適した濃縮高粘度懸濁液を製造することができる。

0043

有効な手順は、14時間の8000RCF(相対遠心力)、引き続いてさらに14時間の11000RCFを伴う。部分的噴霧乾燥またはゲルを濃縮するための制御蒸発の他の方法などの代替アプローチも考慮することができるだろう。

0044

繊維の紡糸に使用するセルロース懸濁液は、離液性懸濁液(すなわち、キラルネマチック液晶相)である。いったんこのような懸濁液のキラルねじれが巻き戻されると、高強度繊維を得るために望ましい、高度に整列した微小構造の形成が可能となる。

0045

望ましくは、100%異方性キラルネマチック懸濁液が使用される。このような懸濁液は、ナノフィブリルの懸濁液によって入手可能である。綿系セルロースナノフィブリルについては、10%のセルロース濃度が、好適な最小濃度である。バクテリアセルロースなどのより高いアスペクト比を有するナノフィブリルについては、これはより低いだろう。しかしながら、実際、紡糸のために好ましい固形分含量は20%超である。その場合、全てではないにしても、大半のナノフィブリル供給源は、100%異方性キラルネマチック懸濁液であるだろうと考えられる。

0046

ナノフィブリルの望ましくない凝集をもたらし得るので、低いレベルの表面電荷(例えば、−30mV超)またはCaCl2などの対イオンの過量投与などの条件は回避すべきである。

0047

本発明の方法において、紡糸に必要とされる懸濁液の粘度(すなわち、その固形分濃度およびナノフィブリルアスペクト比)は、いくつかの因子に応じて変化し得る。例えば、これは、押出点と繊維のキラル構造が巻き戻されて乾燥される点の間の距離に依存し得る。より大きい距離は、懸濁液の湿潤強度およびそれゆえ粘度が増加しなければならないことを意味する。濃縮固形分の濃度は、10〜60重量%に及び得る。しかしながら、高粘度および20〜50重量%から選択される、より好ましくは約25〜40重量%、最も好ましくは25〜35重量%の固形分含量割合を有する懸濁液を使用することが好ましい。懸濁液の粘度は、5000ポアズより高くすることができる。これらの好ましい濃度では、増粘剤の使用は望ましくない。いかなる場合も、固形分の最小濃度は、二相性領域(等方相および異方相が異なる層に同時に存在する)が生じるレベルよりも大であるべきである。これは、ナノフィブリルのアスペクト比および溶液イオン強度に応じて、通常は4 重量%超、より典型的には6〜10重量%超であるだろう。図21は、綿系セルロースナノフィブリルのセルロース濃度に対する異方相の体積分率の例を与える。

0048

均質化
遠心分離の場合、このプロセスは、固形分含量のグラデーションをもたらし、濃縮される最初の材料はより大きなサイズのナノフィブリルである。この方法で調製したゲルを使用した繊維を紡糸することができるが、通常、濃縮プロセスの最後まで最終的なゲルは不均質である。しかしながら、ゲルの不均質な性質は、スピニングダイ詰まりおよびその後の繊維破断をもたらし得る紡糸プロセスの問題を引き起こし得る。このために、遠心分離の後に、好ましくは分配混合効果を有する混合プロセスが使用される。

0049

したがって、セルロース懸濁液は、より均一なサイズ分布を作り出すために、好都合には分散混合プロセスを使用して紡績前に均質化される。典型的には粒子の長さは、70〜1000nmの範囲である。

0050

したがって、本発明の一実施形態によると、均質化は、機械的混合を使用して行われる。機械的混合という用語は、ロールミルおよび二軸押出機などの分散メカニカルホモジナイザーの使用を包含する。

0051

本発明の方法に使用する懸濁液は、伝統的なパドルミキサーを使用して均質化することができる。しかしながら、この方法は、固体濃度がかなり低い(すなわち、5重量%未満)懸濁液にのみ有効である。

0052

しかしながら、本発明の方法におけるはるかに好ましいものとしての固形分濃度が高い(すなわち、典型的には10〜50重量%の範囲、好ましくは20〜40重量%の範囲)懸濁液のためには、ポンピングおよび混合に使用される伝統的な方法は最適ではない。これは、5%超の固形分濃度での懸濁液の予期しない「せん断降伏」(あるいは、「せん断帯形成」と呼ばれる)特性のためである。この材料は、容易に混合しないまたはきれいに汲み上がらないだろう。(すなわち、大量の停滞した材料がプロセス中に残されるであろう)

0053

したがって、機械的分配均質化および分散均質化技術、特にロール練りは、懸濁液の固形分含量およびナノフィブリルサイズ分布が可能な限り均一であり、確実に紡糸中の流れの均一性および繊維破断を最小限にすることを保証することが分かった。これは、工業プロセスで特に重要である。本文脈中の均質化は、分配混合が顕著に貢献する混合プロセスが使用されることを意味する。

0054

はるかに好ましい実施形態によると、好適な均質化を行うために、ロール練りが使用される。ロール練りは、二本または好ましくは三本ロールミルを使用して行われる。ローラー間のロールギャップ/ニップは、懸濁液の粘度および装置の送り速度に応じて変えることができる。典型的には1〜50ミクロンの範囲のギャップを使用することができる。しかしながら、10ミクロン未満の最終ギャップが好ましく、5ミクロン以下がより好ましい。

0055

例えば、Exakt Technologiesにより販売されている三本ロールミル(「Triple Roller Mill Exakt 80E Electronic」)が、特に適当であることが分かった。この特定の三本ロールミルは、塗料および顔料を混合するために一般的に使用される標準的な回分式製造機械であり、工業規模である。これは、基本的に、2本の回転ローラーの間を流れようとする材料への高せん断応力および高引張応力を作り出す(図23参照)。ニップ(10)を通して流体を引っ張ることにより、流れが作り出される。次いで、第1ニップ(10)を通過した材料は、より高い流速で、第2ニップ(20)に送り込まれる。

0056

典型的には、圧縮加速、圧力降下および衝撃と組み合わせた高乱流およびせん断である、大規模液晶凝集体破壊するための条件が与えられるならば、均質化バルブ技術または二軸押出機などの圧力の使用を伴う他の種類のホモジナイザーも使用することができる。また、所望の程度の均質化を達成するために、上記均質化技術を組み合わせることができる。

0057

懸濁液の繊維への紡糸
したがって、本発明の方法の特に好ましい実施形態は、キラルネマチック相のセルロース懸濁液を使用して行われ、紡糸特性は、キラルネマチック構造をネマチック相に巻き戻して、その後の、ナノフィブリルがより大きな結晶構造に凝集する工業レベルでの連続繊維の形成を可能にすることと定義される。

0058

セルロース懸濁液を繊維に紡糸するために、セルロースのナノフィブリル懸濁液を最初に針、ダイまたは紡糸口金に押し通す。繊維は、空気ギャップを通過して巻取ローラーに行き、そこで伸長させられ、繊維が乾燥する間に、ナノフィブリルは伸長力下で整列させられる。伸長整列のレベルは、繊維がダイから出る際、巻取ローラーの速度が、繊維の速度よりも高いためである。これらの2つの速度の比は、ドローダウン比DDR)と呼ばれる。前記ナノ繊維の整列は、懸濁液のレオロジー特性調和するよう設計された双曲面ダイの使用により好都合に改善される。このようなダイの設計は、パブリックドメインによく記述されている。例えば、図24は、50ミクロンの出口半径および0.612mmの入口点の直径を有するこのような双曲面ダイの横断面を示している。典型的には、出口半径は、25〜75ミクロンの範囲に及び得るが、好都合には40〜50ミクロンの範囲近くである。このようなダイの種々のパラメータの計算に関するさらなる技術的情報を附属1に示す。

0059

繊維が十分に伸長させられ、下方に引っ張られると、フィブリル間結合は、大きな結晶単位を形成するのに十分になるだろう。大きな結晶単位という用語により、結晶化凝集体が、直径0.5ミクロンから好ましくは繊維の直径までに及ぶことを意味している。好ましい繊維サイズは、1〜10ミクロンの範囲である。500ミクロンまでまたはそれより大きい繊維を紡糸することができるだろうが、結晶単位のサイズが5〜10ミクロンを超えることは考えにくい。1〜10ミクロンの範囲の繊維は、より大きな結晶単位およびより少ない結晶欠陥、それゆえより高い強度を示すだろうと予想される。ドローダウンが増加するとより大きい結晶構造が形成され、より強い繊維は、より高いドローダウン比(DDR)の使用により生じるだろう。

0060

好ましくは、DDRは、1.2、好都合には2より上となるよう選択される。より好都合には、DDRは3を超える。大きな結晶単位(1ミクロン超)を有する繊維を得るためには、2〜20の範囲で選択されるドローダウン比が好ましい。より大きい凝集を達成するためには、これを超えるドローダウン比が必要とされ得る。240ミクロンから1ミクロンまでの減少などの、大きな初期繊維直径からのより小さい直径繊維が要求される場合、5000を超えるドローダウン比を使用することができる。しかしながら、必要とされる凝集を達成するために、このような大きなドローダウン比は、必ずしも必要とされない。

0061

乾燥工程
ダイを通して押し出される場合、新たに形成される繊維中に含まれる水または溶媒の大半は、紡糸中に除去されることが望ましい。液相の除去−または乾燥−は、熱またはマイクロ波乾燥などの多くの形をとることができる。好ましいアプローチは、熱を使用して液相を直接除去する。例えば、繊維を、加熱ドラム上に紡糸して乾燥を達成することができる、または押出後、好ましくは繊維がドラムもしくは巻取車輪に到達する前に、繊維に熱気流もしくは放射熱を加えることにより乾燥することができる。

0062

代替アプローチは、湿った繊維を凝集浴槽に通して水の大半を除去し、その後に加熱を通してさらに乾燥させることであろう。このような浴槽は、塩化亜鉛または塩化カルシウムの濃縮溶液を使用して作ることができるだろう。

0063

好ましい実施形態によると、この工程は、いかなる凝固浴槽も使用しないで、担体媒体として水を使用して行われる。

0064

乾燥工程中、紡糸された繊維は伸長させられ、懸濁液中のキラルネマチック構造は巻き戻されて、結果としてナノフィブリルは、ネマチック相中の繊維の軸に沿って配向する。繊維が乾燥し始めるにつれて、ナノフィブリルは、より密接に一緒に移動し、水素結合が形成されて繊維中により大きな結晶単位を作り出して、固相中のネマチック形成を維持する。

0065

本発明の好ましい実施形態によると、水以外の懸濁液への唯一添加剤は、硫酸基などの繊維の表面電荷を制御するよう方向づけられた対イオンであることに留意すべきである。

0066

繊維
本発明による繊維は、好ましくは少なくとも90重量%、好都合には少なくとも95重量%、より好ましくは99重量%超の結晶化セルロースを含む。本発明の変形によると、繊維は、結晶化セルロースから構成される。例えば、固相NMRまたはX線回折の使用を伴う標準的分析法を使用して、結晶および非晶質材料の相対的割合を測定することができるだろう。

0067

本発明の好ましい実施形態によると、ごく微量の非晶質セルロース(約1重量%未満)が、繊維の表面または中心に存在する。

0068

別の好ましい実施形態によると、繊維は、繊維の軸方向に高度に整列した微結晶を含む。「高度に整列した」という用語により、95%超、好ましくは99%超の微結晶が、軸方向に整列していることを意味している。整列のレベルは、電子顕微鏡画像の評価を通して決定することができる。繊維がこのような微結晶から作れられていることがさらに好ましい。

0069

本発明による繊維が、少なくとも20cN/tex超、より好ましくは50〜200 cN/texの範囲の高引張強度であることがさらに好ましい。
本発明によると、繊維は、0.02〜20texの範囲のケブラーおよびカーボンファイバーなどの工業的合成繊維についての業界標準にしたがって計算される線密度を有する。典型的には、このような繊維は、約1000〜1600kg/m3の線密度を有することができる。本発明により製造される繊維の典型的な線密度は、約1500 kg/m3である。

0070

さらなる実施形態によると、本明細書中に記載する本発明の方法を使用して繊維が得られる。

0071

本発明の特に好ましい実施形態によると、この方法は、少なくとも紡糸工程中の有機溶媒の使用を伴わない。有機溶媒が存在しないことは、経済的に有益なだけでなく、環境に優しくもあるので、この特徴は特に好都合である。したがって、本発明の特徴によると、繊維を紡ぐために使用する懸濁液は、実質的に水性であり得るので、方法全体は、水性であり得る。「実質的に水性」という用語により、懸濁液に使用する溶媒の少なくとも90重量%は水であることが意味される。低毒性、低コスト、取扱いの容易性および環境への利点のために、紡績工程中の水性懸濁液の使用は、特に望ましい。

図面の簡単な説明

0072

本発明をより容易に理解し、実際に実行するために、ここで、本発明のいくつかの実施形態のいくつかの態様を説明する添付図面に言及する。

0073

図1は、加水分解および遠心分離による抽出後のセルロースゲルのFEG−SEM画像である。
図2は、加水分解および遠心分離による抽出後の洗浄水のFEG−SEM画像である。
図3は、第1洗浄後のセルロースゲルペレットのFEG−SEM画像である。
図4は、第1洗浄後の洗浄水のFEG−SEM画像である。
図5は、第2洗浄後のセルロースナノフィブリル懸濁液のFEG−SEM画像である。
図6は、第2洗浄後の洗浄水のFEG−SEM画像である。
図7は、第3洗浄後のセルロースナノフィブリルゲルのFEG−SEM画像である。
図8は、第3洗浄後の洗浄水のFEG−SEM画像である。
図9は、繊維を紡糸するために実施例3で使用する装置の写真である。
図10は、針および加熱ドラムのそれぞれの配置を示す図9クローズアップ写真である。
図11は、低DDRを使用して紡いだ繊維の50000倍のFEG−SEM画像である。
図12は、本発明による40ミクロン紡績繊維の低倍率画像(1000倍率)である。
図13は、本発明による40ミクロン紡績繊維のFEG−SEM画像である。
図14は、図13に示す画像の拡大(50000倍のFEG−SEM画像)である。
図15は、破壊した本発明による繊維を示す50000倍率の画像である。
図16は、本発明によるDDRで紡糸した繊維の1つの下面の画像である。
図17aおよび17bは、実施例4で使用するスピンラインレオメータの写真である。
図18は、図17aのスピンラインレオメータを使用して紡糸した繊維の画像である。
図19は、繊維表面および繊維破壊点のナノフィブリルの配向を示す、図18の画像の拡大である。
図20は、透析時間の、セルロースナノフィブリル懸濁液のゼータ電位への影響を示すグラフである。グラフは、絶対値を示している。また、電位は負の帯電を示している。
図21は、12日間平衡させた後の、綿系セルロースナノフィブリルのセルロース濃度に対する異方相の体積分率を示すグラフである。
図22は、200倍率の延伸繊維および未延伸繊維偏光顕微鏡画像の比較である。延伸繊維には複屈折の増加を見ることができ、より整列した構造を示している。未延伸繊維の粗い表面の肌理は、ねじれた(キラル)ドメインのためであり、これは、繊維が一旦乾燥したら繊維の構造の永久的部分となる。
図23は、紡糸前に懸濁液を均質化するのに適した三本ロールミルの概略図である。
図24は、繊維を紡糸するのに適した種類の双曲面ダイの横断面概略図である。

0074

実施例1:セルロースナノフィブリル抽出および調製プロセス
実施例で使用するセルロースナノフィブリルの供給源は、濾紙、より具体的には、ワットマン(Whatman)4番セルロース濾紙とした。当然、実験条件は、セルロースナノフィブリルの供給源により変化し得る。

0075

濾紙を、小片切り分け、次いで、20メッシュサイズ(0.841mm)を通ることができる粉末ボールミル粉砕する。

0076

ボールミル粉砕で得られた粉末を、以下のように硫酸を使用して加水分解する:
10%(w/w)の濃度のセルロース粉末を、一定に攪拌しながら(ホットプレートマグネチックスターラーを使用して)、46℃の温度で75分間、52.5%硫酸を使用して加水分解する。加水分解期間が終了した後、加水分解体積の10倍に等しい過剰の脱イオン水を添加することにより、反応をクエンチする。

0077

加水分解懸濁液を、17000の相対遠心力(RCF)で1時間の遠心分離により濃縮する。次いで、濃縮セルロースを3回追加で洗浄し、それぞれの洗浄後に脱イオン水を使用して再希釈して、引き続いて、1時間遠心分離(RCF値−17000)する。以下の実施例は、フィブリル破片のその後の除去による分画をもたらす洗浄および繰り返しの遠心分離の利点を説明する。

0078

実施例2:洗浄および分画試験
ナノフィブリル懸濁液の分画への遠心分離の影響を示すために、電界放出電子走査電子顕微鏡(FEG−SEM)を使用して、一方の濃縮懸濁液および洗浄水の写真を得た。加水分解および抽出後、3回追加洗浄を行った。この試験で複製した全画像は、25000倍率で示している。

0079

加水分解および抽出
ボールミル粉砕した(ワットマン4番)濾紙に、標準的な加水分解工程を使用した(52.5%硫酸濃度、46℃および75分)。30gのボールミル粉砕した濾紙の加水分解後、希釈したナノフィブリル懸濁液を、6本の500ml瓶に分け、これを遠心分離機に入れた。第1洗浄を、9000rpmで1時間行う(17000G)。この時間の後、加水分解による酸性溶液生成物(洗浄水)および濃縮セルロースゲルペレット(20%セルロース)の2つの異なる相が得られた。

0080

図1は、第1洗浄後に形成したゲルの構造のFEG−SEM画像を示している。個々のセルロースナノフィブリルの構造が、強力なドメイン構造とともに見られる。しかしながら、個々のフィブリルを識別するのは非常に困難である。これは、非晶質セルロースおよび微細破片の存在のためであると考えられる。

0081

図2は、残っている酸性溶液のFEG−SEM画像を示している。個々のセルロースナノフィブリルを同定することは不可能である。画像中にある構造が見られるが、これは、大部分は、この倍率で識別するにはあまりに小さすぎる非晶質セルロースおよびフィブリル破片と考えられるものによりおおわれている。

0082

第1洗浄−この洗浄およびその後の洗浄において、さらに清澄化するために、ゲルペレットを250mlの脱イオン水に分散させた。溶液を遠心分離機中で1時間遠心し、セルロースゲルペレットおよび洗浄水を再評価した。図3は、第1洗浄後のセルロースゲルの構造を示している。セルロースナノフィブリル構造は、第1抽出後よりも明瞭である。これは、第2遠心分離中の非晶質セルロースおよび微細フィブリル破片の多くの抽出のためであると考えられる。図4は、第1洗浄後の洗浄水の画像を示している。これは、図2の画像と類似に見え、まだ主として非晶質セルロースおよび微細フィブリル破片を含んでいると考えられる。材料の非晶質特性は、電子ビーム下で非常に不安定であるという事実によって裏付けられた。材料が破壊する前に画像をとらえることは極めて困難であった。この問題は、結晶ナノフィブリルでは同程度には観察されなかった。

0083

第2洗浄−第2洗浄後、前の洗浄(図3)と比較して、セルロースゲル中のナノフィブリルの構造に大きな違いは存在しないように見える(図5)。しかしながら、この遠心分離からの洗浄水の画像(図6)は、前の洗浄水中よりも多くの構造を有している。これは、前の洗浄における非晶質セルロースの大半の除去のためであると考えられる。ここで残っているのは、より大きな破片およびより小さなセルロースナノフィブリルのいくらかであるように見える。

0084

第3洗浄−第3洗浄後、セルロースナノフィブリルは、識別がより容易であり、ゲルの画像(図7)は、図8に示す洗浄水の画像と類似に見える。第2洗浄後、微細破片の大半は、懸濁液から除去されていることが明らかであり、この時点から、より優れた品質のナノフィブリルが失われ始めている。これらの観測に基づいて、繊維へのさらなる加工のために、第3洗浄後にとったセルロースナノフィブリル懸濁液を使用することを決定した。

0085

セルロースナノフィブリル懸濁液の連続調製:透析
第4遠心分離後、セルロース懸濁液を再度脱イオン水で希釈し、次いで、12000〜14000ダルトンの分子量カットオフを有するVisking透析チューブを使用して脱イオン水に対して透析した。

0086

透析を使用して、懸濁液のゼータ電位を約−60mV〜−50mVから好ましくは−33mV〜−30mVの間まで増加させる。脱イオン水の水流を用いる場合、透析プロセスは、常圧下で約2〜3週間かかる。図20は、Malvern Zetasizer Nano ZSシステムを使用して、ゼータ電位を決定するために、透析していない加水分解直後(D0)を含む、加水分解セルロースナノフィブリルの3つのバッチを毎日分析した4週間透析試験の結果を示している。

0087

データは、少なくとも3つの読みの平均値であり、標準偏差はグラフ上にエラーバーで示している。ゼータ電位データは、バッチ間一貫しており、標準偏差により示されるようにいくらかの分散があるにもかかわらず、透析1日後、−50mV〜−40mVの間のゼータ電位で、比較的安定であるが一時的な平衡が達成されることを示した。5〜10日後(バッチに依存する)、ゼータ値は、透析の約2〜3週間後に約−30mVに到達するまで、明らかな線形傾向で増加する。

0088

スパイラル巻型中空繊維接線フロー濾過などの工業規模技術を使用して、透析時間を数日から数時間まで顕著に減少させることができる。プロセスを迅速化する代替アプローチとして、懸濁液を、より初期(例えば、3日)に透析から取り出し、その後、(硫酸基のいくらかを除去するため)熱または塩化カルシウムなどの対イオンで処理して、ゼータ電位を必要とされるレベルまで低下させることができる。

0089

加水分解を行うために硫酸を使用した場合に、透析は特に好都合である。−27mVより高い、通常は−30mVより高いゼータ電位は、高濃度で不安定な懸濁液をもたらし、ナノフィブリルの凝集が起こり、これが紡糸中の懸濁液の流れの妨害につながり得る。−35mV未満のゼータ電位は、通常、高濃度においてでさえ、紡糸中に湿った繊維(乾燥前)の乏しい結合をもたらす。低い結合は、湿った繊維が、乾燥前に張力処理に耐えず、下に引っ張られない、低粘度流体のように流れることを意味する。キラルねじれが巻き戻される前に繊維が張力を受けて完全に乾燥される場合、繊維は、縦方向収縮して繊維破断をもたらすので、特に好都合な工程は、キラルねじれの巻き戻しである。いったんナノフィブリルが繊維の軸と一直線に整列すると、収縮が側方に起こり、繊維直径を減少させ、繊維密着および強度を増加させる。ナノフィブリルはまた、互いの間をより容易に滑り、ドローダウン工程を促進することができるだろう。

0090

分散およびフィルタリング
透析後、セルロース調製物を、S14 Tipを有するHielscher UP200S超音波処理装置を使用して20分間超音波処理し(過熱を回避するため2回の10分間バースト波で)、凝集体を分散させる。次いで、分散した懸濁液を、再遠心分離して、紡糸に必要とされる濃縮高粘度懸濁液を製造する。

0091

紡糸の第1例では、セルロースナノフィブリルゲルを、遠心分離機を使用して20%固形分まで濃縮した。第2例では、濃縮を40%まで増加させて、湿潤ゲル強度を増加させた。

0092

実施例3:高温ドラム上での結晶化繊維の紡糸
第1紡糸例は、図9に示す装置(10)を使用し、ここではセルロースナノフィブリルゲルが、240ミクロンの針直径を有するシリンジ(12)から押し出される。注入プロセスは、施盤に取り付けられたシリンジポンプ(14)により制御した。シリンジから押し出された繊維を、1600rpmまでで回転することができる研磨したドラム(16)上に注入した。ドラム(16)を約100℃で加熱した。自動シリンジポンプ(14)および回転加熱ドラム(16)を使用することにより、明確に規定された、制御された流速およびドローダウン比(DDR)が可能となった。

0093

図10によく示されるように、シリンジ(12)の針は、ドラムが回転している間、セルロース繊維が注入されている加熱ドラム(16)とほぼ接触しているので、小さな空気ギャップが達成される。加熱ドラム(16)は、繊維を急速に乾燥し、繊維が張力を受けて伸長することを可能にし、セルロースナノフィブリルの伸長整列およびキラルネマチック構造の巻き戻しをもたらす。

0094

繊維がドローダウンなしで紡がれる場合、図11は、繊維表面上のフィブリル整列が多少無秩序であることを示している。顕著に高いDDRでの繊維の紡糸は、より優れたフィブリル整列およびより薄い繊維を可能にする。以下の表1は、繊維をうまく整列させるために使用した2種類の流速の詳細を概説している。この表はまた、ほぼ正確に達成された直径である予測繊維直径も与える。繊維の手動処理もまた、ドローダウン比の増加による繊維強度の明らかな改善を示した。予測通り、繊維直径は、ドローダウン比が増加すると減少した。

0095

0096

より速い延伸条件下では、より優れたドローダウン比と共に優れたフィブリル整列が観察された。図12は、1000倍の倍率でのこのような40μ繊維の上側を示しており、図13は、約4.29のDDRで得られたこの繊維のFEG−SEM画像を示している。繊維の左下端(20)は、加熱ドラム(16)と接触していた。これに隣接して、フィブリルの乱流(22)を見ることができる。画像の右上は、完全には焦点が合っていない。しかしながら、フィブリルの線形流(ネマチック整列)を見ることができる。図14は、
乱流(22)と層流(24)の間の境界についての第1画像の拡大を示している。

0097

ドラムとの接触による乾燥に関連するばらつきを取り除くために、異なる紡糸装置を後の実施例で使用する。

0098

図15は、破壊した「40μ」繊維を示している。ナノフィブリルが、ネマチック構造に配向していることがこの画像から明らかである。この画像は、乾燥前の繊維の伸長により、ナノフィブリルをうまく配向することができることを示している。繊維は、個々のナノフィブリルレベルでは破壊していないが、凝集レベルでは破壊している。凝集体は、通常、1ミクロンを超える(1.34および1.27ミクロンの凝集体(28)を示す図15参照)。この凝集は、ナノフィブリルが、高温条件下で一緒に融合する場合に起こっている。

0099

図16は、より高いドローダウン比で紡いだ繊維の1つの下面を示している。繊維が平坦なドラム上に紡糸されるので、繊維は完全には円柱状ではないことが画像から分かる。ドラムは見かけ上は滑らかであったが、ミクロンレベルでは、いくらかの粗さを有しており、これが、繊維が乾燥した時に繊維の下面の空洞(30)をもたらした。これらの空洞(30)は、繊維の強度に大きな影響を及ぼし、この空洞化工程が、より強度の低い繊維をもたらすだろう。

0100

ダイから出ている繊維を、発明者らが使用した種類のドラムと接触させずに乾燥させる代替アプローチを、以下の本明細書の実施例4に記載する第2紡糸工程で与える。

0101

実施例4
第2紡糸例は、図17aおよび17bに示すスピンラインレオメータ(32)の使用を伴う。このレオメータ(32)は、セルロース懸濁液を含み、ダイ(34)と連通する筒(33)を備える。押し出された繊維は、乾燥チャンバー(35)を通過し、巻取車輪(36)に捕捉される前に、熱気流を使用してチャンバー内で乾燥される。

0102

この紡糸工程と前の例の1つとの間の重要な違いは、以下である:

0103

・繊維押出プロセスがより正確に制御される。
・いったん押し出された繊維は、加熱ドラム上よりもむしろ熱空気で乾燥し、完全な円柱状繊維の製造が可能になる。図18は、図17aのレオメータを使用した250ミクロン針から紡糸した100ミクロン繊維の滑らかな表面の画像を示している(1000倍率)。
・繊維は空気乾燥されるので、繊維にドローダウン(伸長)をもたらす巻取車輪へのその後の収集の前に繊維を乾燥させるために、実質的により大きい空気ギャップが必要とされる。高速での回転が起こり得る前に、「湿った」リーダー繊維をダイから延伸し、巻取車輪に取り付けなければならない。次いで、巻取リール速度およびダイからの送り速度を、繊維を伸長させ、繊維の伸長整列を得るために必要とされるドローダウン比を達成することができる点まで強化する。このドローダウンは、最初のダイまたは針直径(この場合、240ミクロン)から、必要とされるどんな繊維の厚さまでも繊維を菲薄化することにつながる。理想的には、繊維が薄いほど、潜在的な欠陥が少なく、より高強度につながるだろう。5ミクロンの直径を有する繊維は、非常に高い表面積対体積比を有し、迅速な伝熱および乾燥を可能にし、そのため、高強度を備えるだろう。
・このより大きい空気ギャップは、ナノフィブリル懸濁液の湿潤強度が、前の例よりもはるかに高くなければならないことを意味する。より高い湿潤強度を得るために、懸濁液の固形分含量を、20%から40%まで増加させることが必要であり、その結果、非常に高い粘度をもたらした。

0104

示した例においては、(11000rpmで24時間セルロース懸濁液を遠心分離することにより)いったんナノフィブリル懸濁液を約40%固形分まで濃縮したら、これを、シリンジにデカントし、次いで、これを5000rpmで10〜20分間遠心分離して、空気ポケットを除去した。次いで、ゲルを、単一プラグとしてレオメータボア中に注入して、さらなる空気空洞が形成されるのを防いた。ゲル中の空気ポケットは、紡糸中の繊維の破断につながり得るので、回避すべきである。この例で使用したDDRは、約1.5でかなり低く、より優れた整列はより高いDDRから得られるはずである。

0105

図19は、図18のクローズアップ写真であり、破面のナノフィブリルが、繊維の軸に沿って整列していることを示している。精密な調査から、繊維の表面上のナノフィブリルも、繊維軸に沿って配向していることが明らかである。

0106

例示目的のために、図22は、200倍率の延伸および未延伸繊維の偏光顕微鏡画像を示している。未延伸繊維は、延伸繊維と比較して粗い表面を有する。未延伸繊維の粗い表面は、キラルねじれの結果として生じる周期的ねじれドメインによりもたらされる。ナノフィブリルは、乾燥中、マイクロメートルスケールでねじれ構造に凝集する。ドローダウン工程中、キラルねじれは、巻き戻されて滑らかな表面をもたらす。

0107

実施例5
ゼータ電位およびロールミル均質化の効果を減少させる代替方法

0108

紡績のために使用する懸濁液のゼータ電位は、好都合には、−35〜−27mVであるべきである。−27mVより上では、離液性懸濁液は不安定となり得る。3日間の標準的な透析処理後、懸濁液のゼータ電位は、典型的には、−40mV未満となる(図20参照)。これは、濃縮懸濁液の繊維紡糸には最適ではなく、ナノフィブリル間の高斥力のためにより弱い湿潤強度の繊維をもたらす。

0109

この実施例は、遠心分離機中最終濃度になる前に90℃で懸濁液を熱処理することが、長い透析時間および塩化カルシウムの使用(例えば、実施例2)の代替であることを示している。

0110

ビスコースの製造にセルロース供給源として典型的に使用されているユーカリ属(Eucalyptus)系92αセルロースパルプの5つの250gの工業的製造バッチから、セルロースナノフィブリル懸濁液の5つのバッチを調製した。ボールミル粉砕、加水分解およびその後の洗浄を含む最初の調製物は、実施例1に記載したのと同じとした。洗浄後、2%固形分含量の懸濁液の5つのバッチを、12000〜14000ダルトンの分子量カットオフを有する15mm直径のVisking透析チューブに入れた。次いで、懸濁液を、連続水流脱イオン水に対して3日間透析した。

0111

透析時間の最後で、ナノフィブリルの各バッチのゼータ電位を、Malvern Zetasizer Nano ZSシステムを使用して測定した。各バッチを、90℃のオーブンに4〜8日間の間入れた。異なるバッチは、−50mV〜−40mVの間の異なる出発ゼータ電位値を有しており、−34〜−30mVの標的範囲までゼータ電位を増加させるために異なる期間熱処理にさらさなければならなかった。ゼータ電位が−34〜−30mVの標的レベルに到達するまで、毎日、各バッチのゼータ電位を測定した(1バッチ当たり5回の反復測定)。次いで、懸濁液を、遠心分離機中で(8000RCFで14時間およびその後11000RCFで14時間)濃縮して、標的の30%固形分含量を達成した。

0112

表1は、標準偏差に沿った平均ゼータ電位レベルを示している。全ての場合で、平均ゼータ電位は、繊維を紡ぐことができる同一範囲内にあった。

0113

0114

紡糸前にバッチ1の懸濁液を均質化するために、「Triple Roller Mill Exakt 80E Electronic」を使用した。懸濁液のこのバッチを、第1ニップについては15ミクロン設定および第2ニップについては5ミクロン設定を使用して粉砕した。得られた懸濁液を、よい均質化が達成されるまで、5回ロールミルを再通過させた。

0115

次いで濃縮ゲルの5つのバッチ全て(1つは混合で4つは未混合)について、それらから繊維を紡糸することが可能かどうかを決定するために試験した。全ての場合で、発明者らは、紡糸中に優れた繊維結合を観察した。しかしながら、1つ(ロールミルで処理したバッチ1)を除く全ての場合で、ダイの詰まりおよび繊維破断のために繊維の紡糸は一貫していなかった。ダイの詰まりは、ゲルの不均質な性質のためであると考えられた。この仮説は、ロールミルで混合したバッチ1により裏付けられる。この混合手順は、懸濁液中の大規模液晶ドメイン(1mm〜1cm)を目に見えて破壊し、濃縮懸濁液のゼータ電位の一貫性を有意に改善し、ダイの詰まりおよび繊維破断なしに繊維の100mにわたる紡糸を可能にする。表1は、最終的な混合ゲルのゼータ電位の標準偏差の有意な減少を示しており、マイクロスケールでの優れた混合を示している。これは、パドルミキサーまたはスパーテルによる手練りなどの慣用的混合方法により達成することが不可能であると分かった。

0116

実施例6
ロールミル練りの効果
工業的ユーカリ属系92αセルロースパルプの250gのバッチを、実施例1に記載する方法にしたがって、ボールミル粉砕、加水分解および洗浄した。懸濁液の洗浄後、2%固形分含量の懸濁液を、12000〜14000ダルトンの分子量カットオフを有する15mm直径のVisking透析チューブに入れた。次いで、懸濁液を、連続的水流脱イオン水に対して3日間透析した。

0117

3日後、懸濁液は、−45mVのゼータ電位に到達した。次いで、懸濁液が−32mVのゼータ電位に到達するまで、0.075モルのCaCl2を懸濁液に添加した。次いで、CaCl2添加後、懸濁液を遠心分離機中、8000RCFで14時間、引き続いて、11000RCFでさらに14時間濃縮した。

0118

濃縮後、懸濁液は、平均22%固形分含量のセルロースナノフィブリル200mlを生成した。固形分含量は、バッチの材料の5つの小口試料(各2g)から測定し、固形含量を評価した。

0119

次いで、第1ニップについては15ミクロン設定および第2ニップについては5ミクロン設定を使用して、実施例5に記載したのと同じ三本ロールミルを使用して、濃縮懸濁液を混合した。濃縮懸濁液を、合計10回ミルを通して加工した。固形分濃度の増加は、蒸発によるものである。
0、2、4、6、8および10サイクルで、固形分含量決定のために5つの2gの試料をとることにより、固形分含量および固形分含量の変動(均一性の指標)を測定した。

0120

表2は、どのように固形分含量が混合していない平均22.7%から2サイクル後の約25%まで増加して、その後4、6、8および10のその後のサイクル後に比較的安定なままであったかを示している。最も興味深いことには、混合していない時に1.38%であった懸濁液の固形分含量の標準偏差が、10サイクル後に0.03%まで減少し、材料の均一性の有意な改善を示した。均一性のこの改善は、ダイの詰まりおよび繊維破断の有意な減少に反映され、破断なしで繊維の100mにわたる紡糸を可能にした。

0121

0122

結果は、ロール練り(または優れた分配混合を提供することができる同様のプロセス)が、懸濁液の調製に有効であり、均一な紡糸条件をもたらすことを示している。

0123

他の改変は当業者に自明であるだろう、そして、本発明の広範な範囲および領域内に入るとみなされる。特に、ナノフィブリルの整列をさらに一層改善し、繊維直径を減少させるためにDDRを増加させることができる。これは、繊維内の欠陥を最小化するのを助け、整列したナノフィブリルのより大きい凝集体への凝集を増加させる。また、紡糸するセルロース懸濁液のレオロジーを考慮して、双曲面ダイを設計することができる。このようなダイの設計は、リヨセルに使用されるものなどの他の液晶溶液を整列させるための機構としてパブリックドメインによく記述されている。

0124

付属1−双曲面ダイ
界面に滑りを有する双曲面ダイを通って流れる指数則流体については、本質的に一定の伸長流速が得られる。図24に示すものなどの双曲線プロファイルは、出口角および出口半径により記載することができる。伸長率は、指数則指数および体積流量からの追加情報により計算される。

0125

以下の値を使用する:
ダイ出口角(ラジアン):



ダイ出口半径



ダイ流速:



指数則指数(せん断流):



発明者らは、ダイの伸長率を計算することができる:



プロファイルを記載するための関数は:



である。

長さ対直径比」(L/D)は、Lがダイの出口から45度の入口点角度まで測定される場合:



である。
ダイの長さは:



である。
入口点の直径は:



である。
ダイを通過する材料の総伸長ひずみは



である。

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