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課題・解決手段

質量分析システムには、低圧分離領域および微分移動度分光計が含まれる。微分移動度分光計には、イオンフロー経路画定する少なくとも一対のフィルタ電極が含まれ、このイオンフロー経路において、フィルタ電極は、サンプルイオンイオン移動度特性に基づいてサンプルイオンの選択された部分を通過させるための電界を生成する。微分移動度分光計にはまた、DCおよびRF電圧をフィルタ電極の少なくとも1つに供給して、電界を生成する電圧源と、低圧分離領域を通過したサンプルイオンを受け取るイオン入口と、サンプルイオンの選択された部分を出力するイオン出口と、が含まれる。質量分光計は、サンプルイオンの選択された部分のいくらかまたは全てを受け取る。

概要

背景

電界非対称波形イオン移動度分光計FAIMS)または電界イオン分光計(FIS)と呼ばれる微分移動度分光計(DMS)は、典型的には気相イオンサンプル分離および分析を実行する。状況によっては、DMSは、質量分光計(MS)とインターフェースされて、DMSの大気圧気相、および連続イオン分離能力、ならびにMSの検出精度を利用する。

DMSをMSとインターフェースすることによって、プロテオミクスペプチドタンパク質構造薬物動態、および代謝分析を含むサンプル分析の多数の分野が強化された。製薬およびバイオテクノロジ用途に加えて、DMSベース分析器は、痕跡レベル爆発物検出および石油監視用に使用されてきた。

DMSは、イオン移動度分光計(IMS)のように、イオン移動度ベースの分析器と見なされる。なぜなら、DMSが、イオンの移動度特性に基づいてイオンを分離および分析するからである。IMSにおいて、イオンは、定電界にさらされている間に、ドリフト管の中にパルスされ、そこを通過する。イオンは、ドリフト管におけるドリフトガス相互作用し、その相互作用は、サンプルイオンがドリフト管を通過するために必要な時間(例えば飛行時間)(TOF)に影響する。これらの相互作用は、サンプルの各検体イオン特有であり、単なる質量/電荷比を超えるものに基づいたイオン分離につながる。対照的に、TOF MSにおいて、MSのドリフト領域には真空が存在し、したがってMSドリフト領域を通るイオンの時間は、真空の無衝突環境においてイオンの質量対電荷比(m/z)に基づいている。

DMSは、イオンがドリフトガスの中で分離されるという点でIMSに似ている。しかしながら、IMSと異なり、DMSは、典型的には連続的にイオンが通過する少なくとも2つの平行電極間印加される非対称電界波形を用いる。電界波形は、典型的には、一極性における高電界期間および次に反対極性における低電界期間を有する。高電界および低電界部分の期間は、DMSフィルタ電極に印加される正味電圧が0であるように印加される。

図1Aは、非対称電界を生成するために印加できる時変RFならびに/または非対称高電圧および低電圧波形101(例えばVrf)のプロット100を示す。図1Bは、非対称電圧波形101に起因する非対称電界にイオンM+の経路がさらされるDMSフィルタ102の図を示す。非対称電界におけるイオンの移動度は、DMSフィルタ102の底部電極プレートへ向かう正味移動103を示す。この例は、DMSにおいて、イオンの移動度が、高電界と比較して低電界の影響下では一定でないことを示す。イオンが、プレート間におけるその移動中に、フィルタ電極プレートの1つへ向けた正味移動を経験する可能性があるので、フィルタ電極の1つに当たることなくDMSフィルタ102を通過するイオンのための安全な軌道104を維持するために、補償電圧(Vc)が、フィルタ電極に印加される。イオンは、フィルタ電極上流加圧ガスフローで押されて通るか、またはフィルタ電極下流のポンプに引かれて通ることによって、2つのフィルタ電極間を通過する。

DMSまたはIMSにおいて、イオンは、典型的には、サンプルイオンと中性ドリフトガス分子との間の衝突を可能にする十分な圧力でガス中において分離される。イオンが小さければ小さいほど、それが、引かれてドリフトガスを通過するときに経験する衝突はそれだけ小さい。その理由で、イオンの断面積は、ドリフトガスを通るイオンの移動度を達成することができる。図1Bに示すように、イオンの移動度は、高電界と比較して、低電界の影響下では一定ではない。移動度におけるこの差は、イオンが弱および強電界を経験するときに生じるクラスタリングデクラスタリング反応に関連する可能性がある。イオンは、典型的には、波形の弱電界部分の間にドリフトガスにおける中性分子とのクラスタリングを経験し、断面積の増加に帰着する。波形の強電界部分の間に、クラスタは、分離され、イオンの断面積を低減する可能性がある。代わりに、高および低電界の移動度挙動間の差は、イオン並進エネルギにおいて発生する変化ゆえの異なる衝突力学による可能性がある。

MSとDMSの統合は、化学的ノイズの低減および同重体干渉の排除などの目的に使用できる追加の選択性を提供することができる。化学的背景のこの一般的な低減は、様々な分析用検出限界(例えば、3σ/校正曲線の傾きとして定義される)における改善をもたらすことができる。MS分析を備えたDMS技術の一般的な適用可能性を制限する主要な要因の1つは、DMSを取り付けると観察される計器感度の低下である。実験によれば、DMSによる観察される感度低下は、フローレート依存性を有し、典型的な値は、低溶媒フロー(10μL/min)で3倍低下し、高フロー(500μL/min)で10倍低下することが示された。これらの感度低下は、3つの異なる現象、すなわち、1)DMS自体における拡散損失、2)DMSの中へ、およびそこから外へのイオン輸送における非効率、および3)イオンクラスタリングの結果として発生する可能性がある。我々の実験によって、次の強い証拠がもたらされた。すなわち、高溶媒フローにおいてDMSで現在観察される損失の大部分が、「ウェットスプレー」をDMSの中にサンプリングすること、および続いて、非クラスタ化された親イオンと同じVcでは伝達しないクラスタをフィルタリングすることの結果であるという強い証拠がもたらされた。この仮説は、追加ヒータをDMSの前に配置した場合の伝達係数における改善を示す実験データと同様に、拡散挙動モデリングによってサポートされる。

既存のDMS−MSシステムにおいて、1)ターボヒータを750℃まで動作させ得る源領域と、2)加熱されたカーテンガスによって確立される逆流ガスフロー領域と、3)入口オリフィスと第1の真空レンズ要素との間の電位差が、いくらかのデクラスタリングを提供する第1の真空ステージ内のデクラスタリング領域とを含む、脱溶媒和またはデクラスタリングが利用されるいくつかのアプローチが存在する。既存のDMS−MSシステムは、典型的には、MSのオリフィスの前にDMSを配置するが、これは、イオンおよびクラスタが、オリフィスの前でフィルタリングされ、第1の真空ステージ内でデクラスタリングする能力を取り除くという点で制限に帰着する。このデクラスタリングステージの排除は、DMSに伴う感度低下に帰着し、より高い溶媒フローが最も問題である。しかしながら、DMSの前に追加の加熱を加え、かつ追加の脱溶媒和を提供しようとする努力によって、次のことが示された。すなわち、感度におけるいくらかの改善が、非常に高いAC電位のすぐ近くで一定の温度を維持することの決定的な重要性および温度を監視することの困難さゆえに、商業化に関して非常に大きな難題をもたらすことが示された。DMSを用いて検出限界の改善を示すことができる分析の範囲は、DMS装置を用いて観察される感度低下の大きさによって制限される。例えば、10倍の感度低下を伴う例に関して、この数は、5〜10%ほどの低さになり得る。移動度ベースの分離はまた、低分解能であることが知られており、ピーク出力において制限される。

概要

質量分析システムには、低圧分離領域および微分移動度分光計が含まれる。微分移動度分光計には、イオンフロー経路を画定する少なくとも一対のフィルタ電極が含まれ、このイオンフロー経路において、フィルタ電極は、サンプルイオンのイオン移動度特性に基づいてサンプルイオンの選択された部分を通過させるための電界を生成する。微分移動度分光計にはまた、DCおよびRF電圧をフィルタ電極の少なくとも1つに供給して、電界を生成する電圧源と、低圧分離領域を通過したサンプルイオンを受け取るイオン入口と、サンプルイオンの選択された部分を出力するイオン出口と、が含まれる。質量分光計は、サンプルイオンの選択された部分のいくらかまたは全てを受け取る。

目的

MSとDMSの統合は、化学的ノイズの低減および同重体干渉の排除などの目的に使用できる追加の選択性を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

低圧分離領域と、微分移動度分光計であって、少なくとも一対のフィルタ電極であって、前記フィルタ電極間にイオンフロー経路画定し、サンプルイオン移動度特性に基づいて前記サンプルイオンの選択された部分を通過させるための電界を生成するフィルタ電極と、前記フィルタ電極の少なくとも1つにRFおよびDC電圧を供給して前記電界を生成する電圧源と、前記低圧分離領域を通過したサンプルイオンを受け取るためのイオン入口と、前記サンプルイオンの前記選択された部分を出力するためのイオン出口と、含む微分移動度分光計と、前記サンプルイオンにおける前記選択された部分のいくらかまたは全てを受け取るための質量分光計と、を含む質量分析システム

請求項2

前記分離領域が、衝突領域脱溶媒和領域、およびデクラスタリング領域の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム

請求項3

前記低圧分離領域が、前記サンプルイオンを加速するように構成される、請求項2に記載のシステム。

請求項4

前記低圧分離領域が、前記サンプルイオンのデクラスタリングおよび断片化の少なくとも1つを実行するように構成される、請求項3に記載のシステム。

請求項5

前記微分移動度分光計、および前記低圧分離領域の一部における圧力が、ほぼ大気圧より低い、請求項1に記載のシステム。

請求項6

前記微分移動度分光計および前記低圧分離領域の一部における前記圧力が、約100Torr未満である、請求項5に記載のシステム。

請求項7

前記イオンフロー経路の圧力が、前記低圧分離領域の一部における前記圧力とほぼ同じである、請求項1に記載のシステム。

請求項8

前記低圧分離領域、および前記微分移動度分光計と前記低圧分離領域との間の中間領域の少なくとも1つに位置する少なくとも1つのイオンガイドを含む、請求項1に記載のシステム。

請求項9

前記少なくとも1つのイオンガイドが、少なくとも1つのイオン集束要素を含む、請求項7に記載のシステム。

請求項10

前記イオン集束要素が、RFロッド、RFリング、RFレンズDCレンズ、DCリング、偏向板、およびグリッドの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のシステム。

請求項11

前記低圧分離領域が、イオン源から前記サンプルイオンのフローを受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。

請求項12

前記フローが、前記分離領域から真空抵抗によって形成される、請求項11に記載のシステム。

請求項13

前記イオン源が、第2の微分移動度分光計を含む、請求項10に記載のシステム。

請求項14

前記第2の微分移動度分光計が、ほぼ大気圧またはその上の圧力で動作する、請求項11に記載のシステム。

請求項15

前記低圧分離領域が、自由噴流膨張内でイオンを加速するように構成される、請求項10に記載のシステム。

請求項16

ハウジングであって、前記微分移動度分光計をほぼ取り囲むハウジングを含む、請求項1に記載のシステム。

請求項17

前記ハウジングが、前記低圧分離領域をほぼ取り囲む、請求項16に記載のシステム。

請求項18

前記ハウジングが、前記サンプルイオンを受け取るためのハウジング入口を含む、請求項17に記載のシステム。

請求項19

前記ハウジングが、選択されたサンプルイオンの前記部分を前記質量分光計に出力するために、前記イオン出口と連通したハウジング出口を含む、請求項16に記載のシステム。

請求項20

前記質量分光計が、前記ハウジング出口を介して、前記サンプルイオンの前記選択された部分を受け取るための少なくとも1つのイオン光学要素を含む、請求項19に記載のシステム。

請求項21

前記質量分光計が、前記少なくとも1つのイオン光学要素と連通した質量分析器を含む、請求項20に記載のシステム。

請求項22

前記フィルタ電極の少なくとも1つと通じた絶縁材料を含む、請求項1に記載のシステム。

請求項23

i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いたイオンの再クラスタリングの加速、およびiv)ドーパントまたは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡シフト、の少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つの加熱領域を含む、請求項1に記載のシステム。

請求項24

前記微分移動度分光計、および前記低圧分離領域の一部における圧力が、約50〜約760Torrである、請求項1に記載のシステム。

請求項25

前記微分移動度分光計が4つの電極を含む、請求項1に記載のシステム。

請求項26

サンプルを分析するための方法であって、低圧分離領域にサンプルイオンを通過させることと、少なくとも一対のフィルタ電極の少なくとも一電極にRFおよびDC電圧を印加することと、前記少なくとも一対のフィルタ電極間のフロー経路に電界を生成することと、前記サンプルイオンの移動度特性に基づいて前記サンプルイオンの選択された部分を電界に通過させることと、前記質量分光計において、前記サンプルイオンの前記選択された部分のいくらかまたは全てを受け取ることと、を含む方法。

請求項27

前記低圧分離領域において前記サンプルイオンを加速することを含む、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記低圧分離領域における前記サンプルイオンのデクラスタリングおよび断片化の少なくとも1つを実行することを含む、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記フロー経路、および前記低圧分離領域の一部における圧力が、約760Torr未満である、請求項26に記載の方法。

請求項30

前記フロー経路、および前記低圧分離領域の一部における圧力が、約100Torr未満である、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記イオンフロー経路の圧力が、前記低圧分離領域の圧力の一部とほぼ同じである、請求項26に記載の方法。

請求項32

前記低圧分離領域および中間領域の少なくとも1つを通して前記サンプルイオンを案内することを含む、請求項26に記載の方法。

請求項33

前記案内が、少なくとも1つのイオン集束要素を含むイオンガイドによって実行される、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記イオン集束要素が、RFロッド、RFリング、RFレンズ、DCリング、DCレンズ、偏向板、およびグリッドの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。

請求項35

イオン源からの前記サンプルイオンのフローを前記低圧分離領域において受け取ることを含む、請求項26に記載の方法。

請求項36

i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いたイオンの再クラスタリングの加速、およびiv)ドーパントまたは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡のシフト、の少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つの加熱領域を設けることを含む、請求項26に記載の方法。

請求項37

前記少なくとも一対のフィルタ電極が、4つの電極を含む、請求項26に記載の方法。

請求項38

ほぼ大気圧またはそれを超えた圧力で動作する第1の圧力領域であって、イオン源からサンプルイオンを受け取り、かつ選択されたサンプルイオンの第1のセットを通過させるための第1のDMSフィルタを含む第1の圧力領域と、ほぼ大気圧より低い圧力で動作する、前記第1の圧力領域と連通した第2の圧力領域であって、選択されたサンプルイオンの前記第1のセットを加速するための分離領域と、選択されたサンプルイオンの第2のセットを通過させるための第2のDMSフィルタと、を含む第2の圧力領域と、を含むサンプル分析システム。

請求項39

約1Torr未満で動作する、前記第2の圧力領域と連通した第3の圧力領域であって、選択されたサンプルイオンの前記第2のセットを受け取るためのイオン光学要素を含む第3の圧力領域を含む、請求項38に記載のシステム。

請求項40

約10−4Torr未満で動作する、前記第3の圧力領域と連通した第4の圧力領域であって、質量分析器を含む第4の圧力領域を含む、請求項39に記載のシステム。

請求項41

少なくとも1つの試薬を導入するための、前記第1の圧力領域と連通したドーパント入口を含む、請求項38に記載のシステム。

請求項42

カーテンガスおよび搬送ガスの少なくとも1つを導入するための、前記第1の圧力領域と連通したガス入口を含む、請求項38に記載のシステム。

請求項43

i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いた、イオンの再クラスタリングの加速、およびiv)ドーパントまたは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡のシフト、の少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つの加熱領域を含む、請求項38に記載のシステム。

請求項44

前記少なくとも1つの加熱領域における温度を制御するための少なくとも1つの調整可能な加熱要素を含む、請求項43に記載のシステム。

請求項45

前記第1または第2の圧力領域内に加熱領域を含み、前記加熱領域が、前記サンプルイオンの望ましくないクラスタの除去、および少なくとも1つの試薬を用いた前記サンプルイオンの再クラスタリングの加速の少なくとも1つを実行するように構成される、請求項41に記載のシステム。

請求項46

前記少なくとも1つの試薬を用いて、前記サンプルイオンの一部をクラスタリングするために前記第1の圧力領域に反応領域を含む、請求項41に記載のシステム。

請求項47

イオン源と、前記イオン源からのイオンフローと、少なくとも1つの修飾剤を前記イオンフローに導入するための反応領域と、前記反応領域から前記イオンフローを受け取るための、ほぼ大気圧で動作する第1のDMSであって、第1の移動度ベースフィルタ動作を前記イオンフローに対して実行する第1のDMSと、前記第1のDMSから前記イオンフローを受け取るための、大気圧より低い圧力で動作するデクラスタリング領域と、前記デクラスタリング領域から前記イオンフローを受け取り、かつ第2の移動度ベースのフィルタ動作を前記イオンフローに対して実行するための、大気圧より低い圧力で動作する第2のDMSと、を含むイオン分析器

請求項48

前記第2のDMSから前記イオンフローを受け取るための質量分光計を含む、請求項47に記載の分析器

請求項49

前記質量分光計が質量分析器を含む、請求項48に記載の分析器。

請求項50

i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いた、イオンの再クラスタリングの加速、およびiv)ドーパントまたは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡のシフト、の少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つの加熱領域を含む、請求項47に記載の分析器。

請求項51

前記第1のDMSが、クラスタリングモデル機構に基づいて分離を実行する、請求項47に記載の分析器。

請求項52

前記第2のDMSが、剛体球衝突モデル機構に基づいて分離を実行する、請求項51に記載の分析器。

請求項53

前記イオンフローを前記第2のDMSに供給するために、前記第2のDMSの上流にイオンガイドを含む、請求項47に記載の分析器。

請求項54

イオン源と、前記イオン源からのイオンフローと、前記イオンフローからのイオンの第1の部分を修飾して、イオンの前記第1の部分に関連するα関数を変更するための第1の手段と、イオンの前記第1の部分を受け取り、微分移動度分離を行い、かつイオンの第2の部分を出力する第1のDMSと、イオンの前記第2の部分を修飾して、イオンの前記第2の部分に関連する前記α関数を変更するための第2の手段と、イオンの前記第2の部分を受け取り、微分移動度分離を行い、かつイオンの第3の部分を出力する第2のDMSと、を含むイオン分析システム

請求項55

修飾するための前記手段が、反応領域、クラスタリング領域、分離領域、およびデクラスタリング領域の少なくとも1つを含む、請求項54に記載のシステム。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本出願は、「Mass Analysis System With Low Pressure Differential Mobility Spectrometer(低圧微分移動度分光計を備えた質量分析システム)」と題された、2010年1月28日に出願された米国仮特許出願第61/299,086号の利益を主張し、その仮特許出願の全体が、参照によって本明細書に援用される。

背景技術

0002

電界非対称波形イオン移動度分光計FAIMS)または電界イオン分光計(FIS)と呼ばれる微分移動度分光計(DMS)は、典型的には気相イオンサンプル分離および分析を実行する。状況によっては、DMSは、質量分光計(MS)とインターフェースされて、DMSの大気圧気相、および連続イオン分離能力、ならびにMSの検出精度を利用する。

0003

DMSをMSとインターフェースすることによって、プロテオミクスペプチドタンパク質構造薬物動態、および代謝分析を含むサンプル分析の多数の分野が強化された。製薬およびバイオテクノロジ用途に加えて、DMSベース分析器は、痕跡レベル爆発物検出および石油監視用に使用されてきた。

0004

DMSは、イオン移動度分光計(IMS)のように、イオン移動度ベースの分析器と見なされる。なぜなら、DMSが、イオンの移動度特性に基づいてイオンを分離および分析するからである。IMSにおいて、イオンは、定電界にさらされている間に、ドリフト管の中にパルスされ、そこを通過する。イオンは、ドリフト管におけるドリフトガス相互作用し、その相互作用は、サンプルイオンがドリフト管を通過するために必要な時間(例えば飛行時間)(TOF)に影響する。これらの相互作用は、サンプルの各検体イオン特有であり、単なる質量/電荷比を超えるものに基づいたイオン分離につながる。対照的に、TOF MSにおいて、MSのドリフト領域には真空が存在し、したがってMSドリフト領域を通るイオンの時間は、真空の無衝突環境においてイオンの質量対電荷比(m/z)に基づいている。

0005

DMSは、イオンがドリフトガスの中で分離されるという点でIMSに似ている。しかしながら、IMSと異なり、DMSは、典型的には連続的にイオンが通過する少なくとも2つの平行電極間印加される非対称電界波形を用いる。電界波形は、典型的には、一極性における高電界期間および次に反対極性における低電界期間を有する。高電界および低電界部分の期間は、DMSフィルタ電極に印加される正味電圧が0であるように印加される。

0006

図1Aは、非対称電界を生成するために印加できる時変RFならびに/または非対称高電圧および低電圧波形101(例えばVrf)のプロット100を示す。図1Bは、非対称電圧波形101に起因する非対称電界にイオンM+の経路がさらされるDMSフィルタ102の図を示す。非対称電界におけるイオンの移動度は、DMSフィルタ102の底部電極プレートへ向かう正味移動103を示す。この例は、DMSにおいて、イオンの移動度が、高電界と比較して低電界の影響下では一定でないことを示す。イオンが、プレート間におけるその移動中に、フィルタ電極プレートの1つへ向けた正味移動を経験する可能性があるので、フィルタ電極の1つに当たることなくDMSフィルタ102を通過するイオンのための安全な軌道104を維持するために、補償電圧(Vc)が、フィルタ電極に印加される。イオンは、フィルタ電極上流加圧ガスフローで押されて通るか、またはフィルタ電極下流のポンプに引かれて通ることによって、2つのフィルタ電極間を通過する。

0007

DMSまたはIMSにおいて、イオンは、典型的には、サンプルイオンと中性ドリフトガス分子との間の衝突を可能にする十分な圧力でガス中において分離される。イオンが小さければ小さいほど、それが、引かれてドリフトガスを通過するときに経験する衝突はそれだけ小さい。その理由で、イオンの断面積は、ドリフトガスを通るイオンの移動度を達成することができる。図1Bに示すように、イオンの移動度は、高電界と比較して、低電界の影響下では一定ではない。移動度におけるこの差は、イオンが弱および強電界を経験するときに生じるクラスタリングデクラスタリング反応に関連する可能性がある。イオンは、典型的には、波形の弱電界部分の間にドリフトガスにおける中性分子とのクラスタリングを経験し、断面積の増加に帰着する。波形の強電界部分の間に、クラスタは、分離され、イオンの断面積を低減する可能性がある。代わりに、高および低電界の移動度挙動間の差は、イオン並進エネルギにおいて発生する変化ゆえの異なる衝突力学による可能性がある。

0008

MSとDMSの統合は、化学的ノイズの低減および同重体干渉の排除などの目的に使用できる追加の選択性を提供することができる。化学的背景のこの一般的な低減は、様々な分析用検出限界(例えば、3σ/校正曲線の傾きとして定義される)における改善をもたらすことができる。MS分析を備えたDMS技術の一般的な適用可能性を制限する主要な要因の1つは、DMSを取り付けると観察される計器感度の低下である。実験によれば、DMSによる観察される感度低下は、フローレート依存性を有し、典型的な値は、低溶媒フロー(10μL/min)で3倍低下し、高フロー(500μL/min)で10倍低下することが示された。これらの感度低下は、3つの異なる現象、すなわち、1)DMS自体における拡散損失、2)DMSの中へ、およびそこから外へのイオン輸送における非効率、および3)イオンクラスタリングの結果として発生する可能性がある。我々の実験によって、次の強い証拠がもたらされた。すなわち、高溶媒フローにおいてDMSで現在観察される損失の大部分が、「ウェットスプレー」をDMSの中にサンプリングすること、および続いて、非クラスタ化された親イオンと同じVcでは伝達しないクラスタをフィルタリングすることの結果であるという強い証拠がもたらされた。この仮説は、追加ヒータをDMSの前に配置した場合の伝達係数における改善を示す実験データと同様に、拡散挙動モデリングによってサポートされる。

0009

既存のDMS−MSシステムにおいて、1)ターボヒータを750℃まで動作させ得る源領域と、2)加熱されたカーテンガスによって確立される逆流ガスフロー領域と、3)入口オリフィスと第1の真空レンズ要素との間の電位差が、いくらかのデクラスタリングを提供する第1の真空ステージ内のデクラスタリング領域とを含む、脱溶媒和またはデクラスタリングが利用されるいくつかのアプローチが存在する。既存のDMS−MSシステムは、典型的には、MSのオリフィスの前にDMSを配置するが、これは、イオンおよびクラスタが、オリフィスの前でフィルタリングされ、第1の真空ステージ内でデクラスタリングする能力を取り除くという点で制限に帰着する。このデクラスタリングステージの排除は、DMSに伴う感度低下に帰着し、より高い溶媒フローが最も問題である。しかしながら、DMSの前に追加の加熱を加え、かつ追加の脱溶媒和を提供しようとする努力によって、次のことが示された。すなわち、感度におけるいくらかの改善が、非常に高いAC電位のすぐ近くで一定の温度を維持することの決定的な重要性および温度を監視することの困難さゆえに、商業化に関して非常に大きな難題をもたらすことが示された。DMSを用いて検出限界の改善を示すことができる分析の範囲は、DMS装置を用いて観察される感度低下の大きさによって制限される。例えば、10倍の感度低下を伴う例に関して、この数は、5〜10%ほどの低さになり得る。移動度ベースの分離はまた、低分解能であることが知られており、ピーク出力において制限される。

発明が解決しようとする課題

0010

したがって、移動度ベースの分解能および特定性を改善するための、および高フロー分析用を含めて、感度および選択性の改善を提供することによってDMS−MS分析の適用可能性を向上させるための必要性が存在する。

課題を解決するための手段

0011

本出願は、様々な実施形態において、サンプル分析感度および/または選択性の向上を可能にするために、MSを低圧DMSと組み合わせる質量分析システムを含むシステムおよび方法を提供することによって、現在のDMS−MSシステムの欠陥対処する。ある態様において、有利なことに、タンデムDMS装置には、2つの異なる分離モデルに基づいた分離機構を利用する第1および第2のDMSフィルタが含まれる。

0012

タンデム装置を用いると、第1のDMSを含むセルが、クラスタリングが効率的に行われるほぼ大気において動作し、第2のDMSを含む第2のセルが、イオンへのデクラスタリングが効率的に行われる真空において動作する。ほぼ大気における分離は、「クラスタ化モデル」に従って行われるが、このモデルは、その特定性を、イオンおよびその近接する環境の化学的相互作用における差から引き出す。例えば水素結合ファンデルワース力立体障害であり、これらの作用の全てが、クラスタ化モデルに関与する。搬送ガスへの修飾剤(例えばドーパント)の追加によって、この機構により分離が発生すると保証することができる。

0013

真空において、タンデム装置は、クラスタを背景ガスの中へ加速することにより、例えば自由噴流膨張における活発な衝突を用いて乾燥イオンを生成する。イオンを加速し衝突させるために、大気と比較して真空下ではかなり大きな平均自由行程が存在するので、デクラスタリングは、自由噴流ガス膨張においてかまたはその近くで最も効率的に行うことができる。次に、デクラスタリングされたイオンは、「剛体球衝突モデル」に従って第2の真空DMSにおいて分離される。この機構は、より「物理的な」プロセス、すなわち、イオン移動度が、不活性背景ガス分子との衝突中におけるイオンの相互作用および散乱と関連するより「物理的な」プロセスに基づいている。有利なことに、両方のモデルの組み合わせを用いたイオン移動度ベースの分離は、従来の技術に関連するイオン分析をかなり向上させる直交分離機構を提供する。本出願人の教示のこれらや他の特徴が、本明細書で説明されている。

0014

一態様において、質量分析システムには、低圧分離領域、サンプルイオンをフィルタリングする低圧DMS、およびサンプルイオンにおける選択された部分のいくらかまたは全てを受け取る質量分光計が含まれる。分離領域には、限定するわけではないが、衝突領域断片化領域膨張領域、脱溶媒和領域、放射領域高温領域等を含んでもよい。分離領域は、レーザ線源衝突ガス源、熱源ガス膨張機構などを用いて、分離プロセスを達成してもよい。一構成において、DMSには、イオンフロー経路を画定する少なくとも一対のフィルタ電極が含まれ、このイオンフロー経路において、フィルタ電極は、サンプルイオンのイオン移動度特性に基づいてサンプルイオンの選択された部分を通過させるための電界を生成する。ある実施形態において、DMSには、複数のフィルタ電極対を含むことができる。DMSにはまた、フィルタ電極の少なくとも1つにRFおよびDC電圧を供給して電界を生成する電圧源が含まれる。DMSには、さらに、低圧衝突領域を通過したサンプルイオンを受け取るイオン入口、およびサンプルイオンの選択された部分を出力するイオン出口が含まれる。

0015

一特徴において、低圧分離領域は、サンプルイオンを加速し、かつサンプルイオンを衝突ガスと衝突させるように構成される。低圧分離領域は、サンプルイオンのデクラスタリングおよび断片化の少なくとも1つを実行するように構成してもよい。DMS、および/または低圧分離領域の一部における圧力は、ほぼ大気圧より低く設定してもよい。DMS、および/または低圧分離領域の一部における圧力は、約50〜約760Torrに設定してもよい。DMS、および/または低圧分離領域の一部における圧力は、約100Torr未満に設定してもよい。ある構成において、DMSは、約200〜約500Torrで動作する。ある構成において、DMSは、約200Torrで動作する。ある構成において、DMSは、約50Torr未満、約25Torr未満、約15Torr未満、約5Torr未満、約3Torr未満、および約1Torr未満で動作することができる。DMSは、約2〜4Torrで動作させてもよい。一構成において、DMSにおけるイオンフロー経路の圧力は、低圧分離領域の一部における圧力とほぼ同じである。

0016

別の特徴において、質量分析システムには、少なくとも低圧分離領域か、または低圧DMSと低圧分離領域との間の中間領域に位置する少なくとも1つのイオンガイドが含まれる。イオンガイドには、少なくとも1つのイオン集束要素を含んでもよい。イオン集束要素には、RFロッド、RFリング、RFレンズDCレンズ、DCリング、偏向板、および/またはグリッドを含んでもよい。

0017

低圧分離領域は、イオン源からのサンプルイオンのフローを受け取るように構成してもよい。イオン源には、ほぼ大気圧またはその上の圧力で動作する第2のDMSを含んでもよい。低圧分離領域は、自由噴流膨張内でイオンを加速するように構成してもよい。一構成において、ハウジングは、低圧DMSおよび低圧分離領域をほぼ取り囲む。ハウジングには、サンプルイオンを受け取るためのハウジング入口または真空入口を含んでもよい。ハウジングにはまた、選択されたサンプルイオンの一部を質量分光計に出力するための、低圧DMSの出口と連通したハウジング出口を含んでもよい。様々な態様において、低圧分離領域に位置するイオンガイドは、除去することができ、低圧DMSには、4つの電極を含むことができる。

0018

別の構成において、質量分光計には、ハウジング出口を介してサンプルイオンの選択された部分を受け取る少なくとも1つのイオン光学要素が含まれる。質量分光計には、少なくとも1つのイオン光学要素と連通する質量分析器を含んでもよい。ある特徴において、絶縁材料が、DMSフィルタ電極の少なくとも1つと通じているかまたはそれを支持する。ある構成において、質量分析システムには、i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いたイオンの再クラスタリングの加速、および/またはiv)ドーパントもしくは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡シフト、の少なくとも1つを実行するように構成された1つまたは複数の加熱領域が含まれる。

0019

別の態様において、サンプル分析装置には、ほぼ大気圧またはそれを超える圧力で動作する第1の圧力領域が含まれる。第1の圧力領域には、イオン源からサンプルイオンを受け取り、かつ選択されたサンプルイオンの第1のセットを通過させる第1のDMSフィルタが含まれる。システムにはまた、ほぼ大気圧より低い圧力で動作する、第1の圧力領域と連通した第2の圧力領域が含まれる。第2の圧力領域には、分離および/または衝突領域が含まれ、そこでは、選択されたサンプルイオンの第1のセットが、加速されて衝突ガスと衝突され、サンプルイオンを脱溶媒和および/または断片化する。第2の圧力領域にはまた、選択されたサンプルイオンの第2のセットを、それらのイオン移動度特性に基づいて通過させる第2のDMSフィルタが含まれる。

0020

一構成において、システムには、約1Torr未満で動作する、第2の圧力領域と連通した第3の圧力領域が含まれる。第3の圧力領域には、選択されたサンプルイオンの第2のセットを受け取るイオン光学要素を含んでもよい。別の構成において、システムには、約10−4Torr未満で動作し、かつ質量分析器を含む、第3の圧力領域と連通した第4の圧力領域が含まれる。ある実施形態において、真空抵抗が、より低い圧力領域からより高い圧力領域へ確立され、イオンの輸送を促進する。例えば、真空抵抗を利用して、第1および/または第2のDMSの中へ、かつ/またはそれらを通して、あるいはイオン分析器の他のコンポーネントを通してイオンを引っ張ってもよい。

0021

別の態様において、イオン分析システムには、イオン入口と、第1の分離領域および微分移動度分光計を含む、約50〜約760Torr範囲の圧力に維持された第1の低圧領域と、が含まれる。質量分析器を含む第4の低圧領域にイオンを誘導するためのRFイオンガイドを備えた第2および第3の低圧領域は、約50Torr未満および約1Torr未満にそれぞれ維持される。

0022

さらなる態様において、イオン分析器には、イオン源と、イオン源からのイオンフローと、少なくとも1つの化学修飾剤をイオンフローに導入する反応領域と、ほぼ大気圧で動作する第1のDMSであって、反応領域からイオンフローを受け取り、かつイオンフローに対して第1の移動度ベースのフィルタ動作を実行する第1のDMSと、が含まれる。分析器にはまた、第1のDMSからのイオンフローを受け取る、大気圧より低い圧力で動作するデクラスタリング領域が含まれる。分析器には、さらに、大気圧より低い圧力で動作する第2のDMSであって、デクラスタリング領域からイオンフローを受け取り、かつイオンフローに対して第2の移動度ベースのフィルタ動作を実行する第2のDMSが含まれる。上記のように、有利なことに、イオン分析器は、直交分離アプローチを用いてもよく、このアプローチでは、ほぼ大気圧で動作する第1のDMSは、クラスタ化モデルに基づいてイオン移動度ベースの分離を実行し、一方で大気圧より低い圧力で動作する第2のDMSは、剛体(hardまたはrigid)球衝突モデルに基づいてイオン移動度ベースの分離を実行する。これらの分離モデルに関するさらなる詳細は、後で本明細書で提供される。

0023

一構成において、イオン分析器には、第2のDMSからイオンフローを受け取る質量分光計が含まれる。別の構成において、質量分光計には、質量分析器が含まれる。イオン分析器には、i)イオンのデクラスタリング、ii)イオンの脱溶媒和、iii)試薬を用いたイオンの再クラスタリングの加速、および/またはiv)ドーパントもしくは試薬を用いた、イオン用のクラスタリング平衡のシフト、の少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つの加熱領域を含んでもよい。

0024

さらに別の態様において、イオン分析システムには、イオン源と、イオン源からのイオンフローと、イオンフローからのイオンの第1の部分を修飾して、イオンの第1の部分に関連するイオン種のそれぞれに対して特定のα関数を提供するための第1の手段と、イオンの第1の部分を受け取り、微分移動度分離を行い、かつイオンの第2の部分を出力するように構成された第1のDMSと、イオンの第2の部分を修飾して、イオンの第2の部分に関連するα関数を変更する第2の手段と、イオンの第2の部分を受け取り、微分移動度分離を行い、かつイオンの第3の部分を出力するように構成された第2のDMSと、が含まれる。修飾用の手段には、反応領域、クラスタリング領域、分離領域、および/またはデクラスタリング領域を含んでもよい。

0025

本発明の前述ならびに他の目的および利点は、添付の図面に関連した、本発明の以下のさらなる説明からより完全に理解されよう。当業者は、以下で説明する図面が、例示だけを目的としていることを理解されよう。図面は、本出願人の教示の範囲を限定するようには決して意図されていない。

図面の簡単な説明

0026

図1Aは、微分移動度分光計(DMS)において非対称電界を生成するために印加可能な時変ならびに/または非対称高および低電圧波形のプロットを示す。図1Bは、図1Aの非対称電圧波形に起因する非対称電界にイオンM+の経路がさらされるDMSフィルタの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、DMSおよび衝突領域を含む真空チャンバを備えた質量分析システムの図を示す。
本発明の例示的な実施形態による、図2のシステムを用いてイオンを分析するためのプロセスの流れ図である。
本発明の例示的な実施形態に従って、イオンガイドを備えた、図2におけるような質量分析システムの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、大気圧DMS前置フィルタを備えた、図4におけるような質量分析システムの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、図5AのようだがRFイオンガイドのない質量分析システム、および4つの電極を含むDMSの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、大気圧DMSの前にクラスタリングおよび/または反応領域を備えた、図5Aにおけるような質量分析システムの図を示す。
様々なVrf設定において試薬修飾剤(reagent modifier)なしに、DMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
様々なVrf設定において試薬修飾剤(reagent modifier)なしに、DMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
様々なVrf設定において試薬修飾剤(reagent modifier)なしに、DMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
試薬修飾剤が様々なVrf設定において導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
試薬修飾剤が様々なVrf設定において導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
試薬修飾剤が様々なVrf設定において導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
試薬修飾剤が様々なVrf設定において導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
試薬修飾剤が様々なVrf設定において導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロットを含む。
本発明の例示的な実施形態に従って、混合チャンバを介したドーパント導入システムの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、代替ドーパント導入システムの図を示す。
本発明の例示的な実施形態に従って、乱流加熱領域を備えた、図6におけるような質量分析システムの図を示す。
大気圧DMSへの入口がそれぞれ加熱された場合および加熱されない場合における、正規化されたイオン強度対補償電圧のプロットを含むグラフである。
タイプA、BおよびCイオン移動度挙動用のアルファ挙動のグラフである。
不活性搬送ガスを備えた、およびクラスタリング修飾剤を含むノルフェンタニルのサンプルに対してアルファ関数において発生する劇的な変化を示すグラフである。
異なる条件下における36の化合物用のアルファ関数データを示す一連のグラフを含む。

実施例

0027

様々な実施形態に関連して本出願人の教示を説明するが、本出願人の教示が、かかる実施形態に限定されるようには意図されていない。反対に、当業者によって理解されるであろうように、本出願人の教示には、様々な代替案修正および均等物が含まれる。

0028

エレクトロスプレーイオン源に関する共通の問題は、それらが、典型的には、イオン分析システムの分解能に悪影響を及ぼす可能性がある異種イオンクラスタを生成するということである。イオンおよび中性気相分子のクラスタリングは、典型的には、大気圧におけるイオン化に起因する。エレクトロスプレープロセス中に生成されるイオンは、裸分子イオンと、エレクトロスプレー溶媒の小液滴においてクラスタリングされるかまたはそれらに含まれるイオンとの組み合わせである。イオン、イオンクラスタ、および帯電液滴の相対的比率は、帯電した霧状の液体が脱溶媒和される程度に大きく依存する。

0029

DMSなどの移動度ベースの分析器が、エレクトロスプレーイオン源と共に用いられる場合に、これらの異種クラスタイオン集団生成範囲は、移動相導入フローレートに関連する。移動相フローレートが、毎分数マイクロリットルの範囲に及ぶ場合に、イオン蒸発プロセスによって生成されるイオンの大部分は、多種多様組成のクラスタおよび小液滴として生成される。このように形成されたクラスタイオン集団は、非常に異種性であり、背景搬送ガスとイオンの相互作用中に気相において形成される比較的同種のクラスタイオン集団とは異なる。

0030

特定のイオンが、分子量および化学成分の広範囲分布カバーする種々様々の異なるクラスタ状態で存在する可能性がある。これは、空気圧で霧状にされたエレクトロスプレーを蒸発させるために、高い脱溶媒和温度が用いられても用いられなくても発生するが、しかしその問題は、低温で悪化する。大気圧で動作する、DMSなどの移動度ベースの分析器は、分布の成分を分離することができる。しかしながら、例えばMSによって検出されるような標的検体用の感度は、移動度分解能およびピーク出力に加えて低下される。不完全なエレクトロスプレー脱溶媒和の条件下において、異なるサイズおよび組成の異種クラスタが、小液滴に加えて存在する可能性がある。これらのクラスタは、はるかに大きな範囲の微分移動度値および対応する、より大きなピーク幅を示す。

0031

毎分ナノリットルから低マイクロリットルの範囲における液体フローで動作するエレクトロスプレー源は、生成するクラスタがより少なく、検体および溶媒化学に依存して、MSの真空入口の前に非クラスタ化された分子イオンを生成することが多い。これは、標準化合物のエレクトロスプレーされた溶液におけるVcスキャンが、高および低液体フローレートで行われる場合に明白である。フローレートが上昇するのにつれた分解能の明白な損失は、ますます異種性になる検体/クラスタイオン集団の形成、および恐らく移動度ベース分析器内の小液滴の持続性に帰することができる。

0032

比較的高フローレートにおける分解能問題に取り組む一アプローチは、移動度ベースのフィルタリングの前にイオンクラスタを分離することによる。ある実施形態において、分離領域が、イオン移動度ベースのフィルタリングの前に確立される。いくつかの実施形態において、低圧DMSが、イオンクラスタの分離後に剛体球衝突(または散乱)モデルに基づいてイオンをフィルタリングするために用いられる。イオンクラスタのイオン移動度ベースのフィルタが望ましい他の実施形態において、大気圧DMSが、クラスタリングモデルに基づいてイオン移動度ベースのフィルタを設ける。さらなる実施形態において、イオン分析システムには、両方のモデルを用いてイオン移動度ベースのフィルタリングの利点を組み合わせた低圧DMSおよび大気圧DMSの両方が含まれる。剛体球衝突およびクラスタリングモデルに関するさらなる詳細は、後で図12に関連して本明細書で提供される。

0033

図2は、本発明の例示的な実施形態に従って、DMS204および分離領域206を含む真空チャンバ202を備えた質量分析システム200の図を示す。システム200にはまた、イオン源208、真空チャンバ入口および/またはオリフィス210、真空プレート212、出口オリフィス214、質量分光計224、電圧源226、およびコントローラ228が含まれる。DMS204には、フィルタ電極216および218、DMS入口220、ならびにDMS出口222が含まれる。質量分光計224には、イオン光学アセンブリ230および質量分析器232、ならびにイオン検出部(図示せず)が含まれる。ある実施形態において、分離領域206には、衝突領域、デクラスタリング領域、脱溶媒和領域、およびガス膨張領域の少なくとも1つが含まれる。

0034

真空チャンバ入口210は、イオン源208と連通しており、かつオリフィス、パイプ、加熱された毛細管抵抗毛細管、または当業者に周知である任意の適切なサンプル入口構成を含んでもよい。真空チャンバ入口210は、サンプル入口210を介して真空チャンバ202内へのイオン導入を促進するために、源拡張リングなどのコンポーネントを含むサンプル入口システムの一部であってもよい。イオン源208は、真空チャンバ入口210もしくは入口システムと統合してもよく、または代替として入口システムと別個であってもよい。イオン源208は、当業者に周知である任意の適切なイオン源であってもよい。例えば、イオン源208には、溶液に溶解されたサンプル検体からイオンを生成する能力を備えたエレクトロスプレーイオン源を含んでもよい。イオン源208の他の例示的な構成には、大気圧化学イオン化法(APCI)、大気圧光イオン化法APPI)、実時間直接分析(DART)、脱離エレクトロスプレー(DESI)、大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化(AP MALDI)、液体クロマトグラフィー(LC)カラムガスクロマトグラフィーGC)カラム、マルチモードイオン源表面分析源(surface analysis sources)、または多数の入口システムおよび/もしくは源を備えた構成を含んでもよい。

0035

ある実施形態において、真空チャンバ202は、DMS204の上流に位置する低圧分離領域206および/またはデクラスタリング領域を含むように構成される。低圧分離領域206は、自由噴流膨張内のサンプルイオンを真空チャンバ入口210から加速するように構成してもよい。真空チャンバ202は、真空プレート212および/またはハウジングによって画定するかまたは境界を定めてもよい。サンプルイオンは、入口210を通って移動するが、入口210において、真空膨張が、入口210の両側における圧力差の結果として発生する。低圧分離領域206は、サンプルイオンフロー経路234に沿った圧力勾配を含んでもよく、それによって圧力は、真空チャンバ入口210近くのほぼ大気圧から、DMS入口220近くの大気圧未満の設定圧力に低下される。DMS入口近くの圧力は、約1Torrから大気圧(例えば760Torr)未満までであってもよい。いくつかの実施形態において、DMSは、約50〜約760Torrで動作することができる。ある構成において、DMSは、約200〜約500Torrで動作することができる。ある構成において、DMSは、約200Torrで動作することができる。いくつかの実施形態において、圧力は、約1Torr〜約100Torr以下であってもよい。ある状況において、DMS204にサンプルイオンを送り出す前に、サンプルイオンは、電圧を用いて低圧分離領域206において加速し、背景ガスと衝突させ、デクラスタリングおよび/または断片化を達成してもよい。

0036

DMS滞留時間およびギャップ高さは、動作圧力によって影響され、より低い圧力は、より広いギャップおよびより長い滞留時間を必要とする場合がある。例えば、以下の表1は、異なる動作圧力におけるDMS用の典型的なギャップ幅および滞留時間を示す。長い滞留時間は、サンプルスループットを制限する可能性があり、したがって約100〜約760Torrの圧力領域においてDMSを動作させることが有利になり得る。

0037

0038

電界非対称イオン移動度分光計(FAIMS)とも呼ばれるDMS204には、平行プレート、湾曲プレート同心リング/表面等として形成および/または構成されるフィルタ電極216および218を含んでもよい。DMS204には、複数のフィルタ電極対を含んでもよい。フィルタ電極216および218は、絶縁表面またはコンポーネント上に形成するか、またはそれらに接続してもよい。DMS204は、略平面円形、同心、または湾曲構造を含む形状因子を有してもよい。電圧源226は、フィルタ電極216および218の少なくとも1つにRFおよびDC電圧を印加して、サンプルイオン種がDMS204を通過する間にその移動度特性に基づいたサンプルイオンフィルタリングを可能にする電界を生成する。DC電圧は、補償電圧Vcと呼ばれる。なぜなら、Vcは、DMS204を通過する所望のイオン種を選択するように調整可能であるからである。コントローラ228は、次のように電圧226を制御してもよい。すなわち、電圧源226が、DC電圧の範囲にわたってVcを掃引して、DMS204を通過可能にされたサンプルイオン種のイオノグラムまたはスペクトルを生成するように制御してもよい。限定するわけではないが、イオン移動度分光測定法(IMS)、微分移動度分析器DMA)、ハイブリッドイオン移動度ベースの分析器、高電界/低電界フィルタなどの他のイオン移動度ベースの分離装置および/またはフィルタを、システム200において使用可能であることが理解されよう。アパーチャ214を通るガス抵抗が、DMS204を通る層状ガスフローを確立するために、出口アパーチャ214に真空シールを提供するようにDMSアセンブリ204を取り付けてもよい。さらに、DMS204とアパーチャ214との間のDCオフセット電位を調整するように、DC電位を電極216および/または218に供給して、透過を最適化してもよい。

0039

イオン光学アセンブリ230は、RF電界を用いて、オリフィス214からのサンプルイオンをイオン光学経路集束させ、かつイオンを質量分析器232に誘導してもよい。システム200で用いられるイオン光学アセンブリ230は、限定するわけではないが、多極アレイリングガイド、抵抗イオンガイド、イオンファンネル進行波イオンガイドなど、当業者に周知の任意のイオン光学装置で構成可能であることが理解されよう。ある実施形態において、イオン光学アセンブリは、約1〜10ミリトールの範囲の圧力で動作される。

0040

いくつかの実施形態において、イオン光学アセンブリ230は、質量分析器232と接続され、サンプルイオンが、イオン光学経路を介して質量分析器232に移動し、そこでイオンが、それらの質量対電荷比(m/z)に基づいて分離され、検出され得るようにする。検出されたイオンデータは、メモリに記憶し、プロセッサまたはコンピュータソフトウェアによって分析してもよい。ある実施形態において、コントローラ228には、プロセッサおよびメモリまたはデータ記憶装置が含まれる。コントローラ228はまた、質量分析器232の動作を制御してもよい。質量分析器232は、線形イオントラップおよび四重極分析器、飛行時間MSの少なくとも1つとして機能してもよく、または多数の質量分析器を含んでもよい。ある実施形態において、イオン光学アセンブリには、Q0RFイオンガイドまたは任意の同様のイオンガイドを含んでもよい。イオンガイドは、気体力学および無線周波電界の組み合わせを用いて、オリフィス214からのサンプルイオンを捕捉および集束するために用いてもよい。次に、Q0などのイオンガイドは、オリフィス214から、後続のイオン光学装置または質量分析器232にサンプルイオンを移送してもよい。

0041

AB Sciexによって製造されたAPI5000(商標)システムは、質量分析システム200によって利用可能な一タイプの例示的な質量分光計224である。かかる質量分光計には、典型的には、計測光学装置、質量分析器、カーテンプレート、およびオリフィスが含まれる。計測光学装置には、IQ0レンズによって分離されたQJET(登録商標)RFイオンガイドおよびQ0 RFイオンガイドが含まれる。QJET(登録商標)RFイオンガイドは、気体力学および無線周波電界の組み合わせを用いて、イオンを捕捉および集束するために用いられる。QJET(登録商標)は、オリフィスから、Q0 RFイオンガイドなどの後続のイオン光学装置までイオンを移送する。Q0 RFイオンガイドは、中間圧力領域(例えば、約≒6mTorrにおける)を通してイオンを輸送し、IQ1レンズを通して、質量分析器を含む高真空チャンバにイオンを送出する。質量分析器領域には、Q1四重極分析器、Q2四重極衝突セル、Q3四重極分析器、およびCEM検出器が含まれる。

0042

イオンガイドおよび/またはQ0RFイオンガイドを含む計測光学装置は、図2のイオン光学アセンブリ230において使用できる光学装置の例である。しかしながら、いくつかの実施形態において、これらの要素は、個別に、もしくは他のタイプのイオン光学装置と組み合わせて用いるか、または質量分光計システム224において全く使用しないことができる。いくつかの例において、Q0イオンガイドは、Q1またはQ3四重極のいずれかと容量結合してもよい。いくつかの構成において、イオン光学装置および質量分析器には、様々な圧力範囲で動作する、アパーチャによって分離された1つまたは複数の圧力領域を含んでもよい。例えば、第1の領域は、2.5Torrに設定してもよく、Q0は、6mTorrに設定してもよく、Q1、Q2およびQ3を含む質量分析器は、10−5Torrに設定してもよい。Q2には、イオンを断片化するための衝突セルを含むことができ、かつQ2セル内のガス圧力が、API5000(商標)装置のQ1およびQ3における圧力よりかなり高くてもよいことが、当業者には明らかであろう。

0043

短い滞留時間を必要とするいくつかの実施形態において、第1の領域は、50〜760Torrに設定することができ、第2のQJET(登録商標)領域は、2.5Torrに設定することができ、Q0は、6mTorrに設定することができ、Q1、Q2およびQ3を含むmas分析器は、10−5Torrに設定することができる。

0044

ある実施形態において、コントローラ220には、DMS204、電圧源226、イオン源208、質量分光計224、ならびに特にイオン光学装置230および質量分析器232を含む、質量分析システム200の様々なコンポーネントの制御を可能にするプロセッサが含まれる。コントローラには、ユーザインターフェースネットワークインターフェース、およびデータ記憶装置を含んでもよい。プロセッサには、システム200の制御を可能にするように構成されたソフトウェアおよび/またはハードウェアコードを有するメモリとのインターフェースを含んでもよい。コントローラ228には、システム200の制御、および/またはシステム200の動作から取得されたデータの分析または処理を達成するための命令をプロセッサが実行できるようにするための、プログラム媒体に埋め込まれたプログラムコードを含んでもよい。

0045

質量分光計224には、イオン光学アセンブリ230のすぐ近くに少なくとも1つの電極、例えば線形加速器(LINAC)を含んでもよい。1つまたは複数の電極を、RF多重極を通るイオンを加速するか、またはRF多重極から残留イオンを追い出すために用いてもよい。電圧源226(例えば電源)は、電極に接続し、電極にDC電位を印加して、システム200のイオン光学アセンブリ230からかまたは別のコンポーネントから、残留イオンを含むイオンを軸方向に追い出す電界を、電極に生成させてもよい。電極はまた、イオンを加速してイオン光学アセンブリ230内の滞留時間を縮小し、それによって、イオンビーム拡散を低減するか、実質的に除去してもよい。

0046

電圧源226には、RFおよび/もしくはDC信号ならびに/または補助AC信号を質量分析器232の四重極ロッドセットに供給するRF/DC補助交流(AC)電源を含んでもよい。システム200には、短縮された四重極ロッドセットを含んでもよく、このセットは、システム200の質量分析器232または他のコンポーネントに隣接するBrubaker(ブルベーカー)レンズとして働くことができる。

0047

ある実施形態において、質量分光計224には、イオンの衝突誘起分離(CID)を開始するために衝突セルに送り込むことができる不活性ガス(例えば、ヘリウム窒素アルゴン等)を有する衝突セルを含んでもよい。親イオンなど、衝突セルにおけるイオンは、ガス分子と衝突し、娘イオンと呼ばれる断片に砕けることが可能である。ある実施形態において、質量分光計224のコンポーネントが、イオントラップモードで機能する場合に、RF電源は、イオントラップの四重極ロッドセット内で電界を生成するために用いることができる。印加される電界の振幅および波形を変更することによって、選択されたm/zのイオンを、四重極ロッドセット内で捕捉することができる。いくつかの構成において、質量分析システム200は、多重反応モニタリングMRM)を実行する。

0048

図3は、本発明の例示的な実施形態による、図2のシステム200を用いてイオンを分析するためのプロセス300の流れ図である。一実施形態において、イオン源208には、溶液から真空入口210にサンプルイオンを送出するエレクトロスプレーイオン源が含まれる。前述のように、特に高フローレートにおけるエレクトロスプレーイオン化は、望ましくない異種イオンを生成する可能性がある。異種クラスタの悪影響を軽減する一アプローチは、イオン移動度ベースのフィルタリングの前にイオンクラスタを分離することである。

0049

イオン源208における圧力は、ほぼ大気圧であってもよく、一方で真空チャンバの内部の圧力は、大気圧より低い圧力であってもよい。したがって、真空入口210をわたる圧力差は、真空チャンバ202内に自由噴流を生成し、DMS入口に向かうフロー経路234に沿い、低圧衝突領域206を通してサンプルイオンを通過および加速させることができる(ステップ302)。有利なことに、低圧衝突領域206の配置および使用によって、異種サンプル/溶媒クラスタイオンのデクラスタリングが可能になる。なぜなら、イオン源208からのウェットスプレーにおけるサンプルイオンクラスタが、低圧衝突領域206の自由噴流膨張内で加速されるからである。DMS204に入る前に、低圧衝突領域206においてサンプルイオンをデクラスタリングおよび/または脱溶媒和することによって、有利なことにシステム200の感度が改善される。なぜなら、DMS204は、クラスタをフィルタリングすることとは異なって、所望のサンプルイオンをフィルタリングすることが可能になるからである。

0050

前述のように、エレクトロスプレーイオン化中とは異なり、気相においてクラスタを生成する場合に、クラスタは同種であり、したがって明確な構造および結果としての明確な検出ピークを形成する。異種イオンクラスタと異なり、同種クラスタイオン集団は、背景搬送ガス(例えば中性分子)とイオンの相互作用の間に、気相で形成される。ある例において、所望の同種クラスタイオン集団の方へ平衡を移動させる修飾剤および/またはドーパントをガスフローに導入してもよい。同種クラスタは、明確なDMS特性を有する。

0051

ひとたびサンプルイオンがDMS入口220に入ると、電圧源は、フィルタ電極216および218の対の少なくとも1つにRF(Vrf)およびDC(Vc)電圧を印加する(ステップ304)。印加されたRFおよびDC電圧を用いて、フィルタ電極216および218は、フィルタ電極216および218の対の間のフロー経路に電界を生成する(ステップ306)。ある実施形態において、コントローラ228は、電圧源226からフィルタ電極216および218に印加されるRFおよびDC電圧を制御して、サンプルイオンの移動度特性に基づいて、サンプルイオンの選択された部分を電界に通過させる(ステップ308)。次に、DMS出口222を出るサンプルイオンにおける選択された部分のいくらかまたは全ては、オリフィス214を介して質量分光計224で受け取ってもよい(ステップ310)。DMSから質量分光計224へのイオンの移送を、アパーチャ214と共にDMSの出口を密閉することによって達成し、DMS204から質量分光計224へのガスの真空抵抗を確立してもよい。質量分光計224は、イオン光学アセンブリ230および質量分析器232を使用し、任意の数の周知の技術および操作を用いて、DMS204からのサンプルイオンを分析および検出してもよい。

0052

図4は、本発明の例示的な実施形態に従って、イオンガイド402を追加した、図2におけるシステム200のような質量分析システム400の図を示す。ある実施形態において、イオンガイド402は、真空入口210からのサンプルイオンを集束および誘導するために、低圧衝突領域206に含まれる。アパーチャ210とイオンガイド402との間の領域において、DMS204に入る前にサンプルイオンを加速し、かつサンプルイオンのデクラスタリングおよび/または脱溶媒和を促進するために、電位を印加してもよい。イオンガイドには、QJET(登録商標)を含んでもよい。ある条件下において、真空入口とQJET(登録商標)との間の電位差によって、イオン源208からのサンプルイオンの加速およびデクラスタリングが可能になり得る。システムにはまた、イオンガイド402を通りDMS入口220へ向けてイオンをまた推進する、真空入口/オリフィス210をわたる圧力差ゆえの自由噴流膨張を含んでもよい。一実施形態において、イオンガイド402には、四重極イオンガイドを含んでもよい。別の実施形態において、イオンガイド402には、サンプルイオンの加速およびデクラスタリングを達成するために、二重イオンガイドまたは複数のイオンガイドを含んでもよい。イオンガイド402を含むことによって、DMS入口220へのほぼ乾燥したサンプルイオンの導入が可能になる。イオン集束要素として動作するイオンガイド402は、真空入口210を介して真空チャンバ202に入るサンプルイオンをDMS入口220へ向けて集束および案内してもよい。サンプルイオンと衝突ガスとの間の衝突は、イオンガイド402の前、内、または後で発生してもよい。イオンガイド402には、RFロッド、DCレンズ、および/またはRFレンズを含んでもよい。

0053

一実施形態において、真空チャンバ202には、イオンガイド402の下流、かつDMS204の上流に位置する中間領域406が含まれる。中間領域には、真空チャンバ202におけるサンプルイオンの制御をさらに達成するために、限定するわけではないが、第2のイオンガイドおよび/またはRF多重極などのあるタイプのイオン制御要素を含んでもよい。さらに、イオンガイド402およびDMS204に印加されるRF電位に対する電気的干渉を制限するために、レンズ要素を領域406に含んでもよい。

0054

したがって、ある実施形態において、DMS204は、大気圧源領域404内の位置から、システム400における真空領域および/またはチャンバ202内の新しい位置に移動される。これは、QJET(登録商標)または二重QJET(登録商標)イオン光学構成を含むシステム上で達成してもよい。例えば、AB Sciex5500QTRAPプラットホームにおいて、DMS204は、わずかに短縮されたQJET四重極イオンガイドの下流における第1の真空領域に位置することが可能である。この構成を用いると、システム400などのDMS/MSシステムは、標準5500QTRAP(登録商標)プラットホームの同一の脱溶媒和/デクラスタリング構成を保持するであろうが、しかしながらイオンフィルタリングは、QJET(登録商標)の下流で乾燥イオンに対して達成することができる。低圧DMS204の上流で低圧衝突領域206および/またはイオンガイド402を使用することの他の利益および利点には、以下のことが含まれ得る。
● 源領域およびイオン源208内の溶媒クラスタリングによる感度損失の完全な除去。
● 同じE/N比率が、はるかに低い数密度の領域で達成されることになるので、はるかに低いAC振幅を必要とする劇的に単純化されたDMS電源。
● QJET(登録商標)領域内のあらゆるイオン光学装置漏話の除去。なぜなら、イオンフィルタリングが、この光学装置の下流で行われることになるからである。
● 「ドープされた分離」としてのタンデムDMSの設計における単純化が、標準DMSを備えた大気圧カーテンチャンバにおいて実行可能である。
●修飾剤(ドーパント)の存在下の分離が、後で本明細書で説明するクラスタ/デクラスタモデルおよび/またはプロセスに従って行われる。クラスタを解体し、次に、後で本明細書で説明する第2の異なる分離機構、例えば剛体球衝突モデルに基づいた第2の移動度ベースの分離を可能にする衝突領域。2つの直交分離機構の使用によって、分析プロセスの特定性が向上される。

0055

ある実施形態において、真空チャンバ202および/またはDMS204の少なくとも一部は、約50〜約760Torrで動作することができる。ある構成において、DMSは、約200〜約500Torrで動作することができる。ある構成において、DMSは、約200Torrで動作することができる。ある実施形態において、DMSは、約2〜4Torrで動作することができる。DMS204は、約100Torr、50Torr、25Torr、10Torr、5Torr、4Torr、2Torr、1Torr、0.5Torr、0.3Torrおよび/または0.1Torr以下で動作することができる。しかしながら、ある圧力設定において、いくらかの信号損失ゆえに、Vrf波周波数ならびに/またはDMSフィルタ電極216および218間のギャップ高さは、低減された圧力ゆえに発生する可能性がある、DMS204におけるサンプルイオンの発振振幅の増加に対処するために、調整する必要があり得る。

0056

代替として、ある実施形態において、領域202の前に追加真空ステージを含むことができる。圧力は、約50〜760Torrに設定することができ、その領域には、オプションのイオンガイドと同様にDMSおよびデクラスタリング領域を含むことができる。この構成を用いると、領域202は、DMSを含まないことになろう。

0057

図5Aは、本発明の例示的な実施形態に従って、追加大気圧DMS502前置フィルタを備えた、図4に示すシステム400のような質量分析システム500の図を示す。DMS502は、大気圧源領域404に位置し、DMS入口504において、イオン源208からサンプルイオンを受け取る。DMS204と同じ方法で、DMS502は、非対称RF電界およびDC補償電界を印加することによって、選択されたサンプルイオンをDMSフィルタ電極506および508間に通過させる。電圧源は、コントローラ228の制御下で、DMSフィルタ電極506および508の少なくとも1つにVrfおよびVc電圧の両方を印加して、RFおよびDC電界を生成する。DMS502のフィルタリング電界を通過するサンプルイオンは、DMS502のドリフトガスおよび電界におけるサンプルイオンのイオン移動度特性に基づいて分離される。図5Aはまた、低圧衝突領域206におけるイオンフロー234が、大気圧またはその近くで動作するDMS502、および約1Torr〜ほぼ大気圧で動作する真空チャンバ202における圧力差によって生成される真空抵抗に少なくとも部分的に起因することを示す。

0058

質量分析システム500は、大気圧DMS502を低圧DMS204と有利に組み合わせて、両方の条件においてイオン移動度ベースの分離を実行する利点を結び付ける。これは、分離条件が2つの移動度分析器において異なる場合に、分離能力およびピーク出力における劇的な改善をもたらすことができる。

0059

DMSにおけるイオン分離は、高および低電界におけるイオン移動度の差の結果として行われる。イオン移動度の電界依存は、以下の式、



に示すように、α関数として象徴的に表すことができ、この式で、K(E)は、高電界移動度であり、K(0)は、低電界移動度である。したがって、アルファ関数は、一定のガス数密度において、電界強度と共に、移動度係数に発生する変化を示す。図12は、単調に増加するα(タイプA)、単調に減少するα(タイプC)、最初に増加し、次に減少するα(タイプB)を含む、DMSにおいて観察される3つのタイプの移動度挙動を示す。

0060

DMSセル内の搬送ガスへの極性修飾剤の追加は、クラスタ形成の結果として選択性を改善することができる。異なる化学種が、様々な程度で化学修飾剤とクラスタリングし、それが、追加的な選択性を与える。DMSにおいて用いられる非対称波形は、MHz範囲の速度で、高電界および低電界領域間で変化する。この変化は、大気圧における高衝突頻度ゆえに、Vrf電界と同期する電界依存性有効温度としてモデル化することができる。イオン中性クラスタリングが、かなりの程度で発生している場合に、時変有効温度は、イオンサイズにおける時変変化、およびしたがってイオンの移動断面における同期的変化を引き起こす可能性がある。イオンは、波形の低電界部分の間にクラスタリングされ、波形の高電界部分の間における加熱ゆえにデクラスタリングを経験する。クラスタリングの程度、およびクラスタリングによる移動度の相対変化は、化合物に対して観察されるVcシフトの大きさを示し、化合物の構造および化学的差異は、クラスタリング修飾剤またはドーパントが存在する状態で、ピーク位置における広がりにつながる。この可逆的なクラスタ形成は、DMSにおける異なる移動度効果の増幅のための方法を提供する。クラスタ数における変化が、DMSにおけるSV波形中に、低および高電界領域間で発生するので、異なる移動度が、非常に強調される。

0061

クラスタリング修飾剤がない状態で、剛体球衝突モデルを用いて、高分離電界における衝突粒子運動予測することができる。かかる予測は、粒子レベルにおける物理システムの特性を理解および予測するために、分子力学(MD)において広く用いられている。剛体球衝突モデルは、気体分子運動論に基づいており、そこでは、粘性減衰モデルと異なり、イオンとガス粒子との間の個々の衝突がモデル化される。距離(平均自由行程)として測定される予測衝突頻度は、周知の圧力、温度、および衝突粒子の衝突断面に応じて、気体分子運動論によって予測される。イオンとガス粒子との間の衝突は、散乱(イオン速度ベクトルの偏向)と同様に正および負のエネルギ移動、または吸収(例えば電子−ガス衝突における)にさえ帰着する。エネルギ移動は、高速で移動するイオンの運動力学的冷却と同様に、ゆっくり移動するイオンの運動力学的加熱も提供する。通常、衝突粒子は、剛体球として扱われる。一般に、背景ガスは、非定常的であり、速度のマクスウェルボルツマン分布を有するが、その分布は、温度の関数することができる。

0062

質量分光計224と組み合わせて低圧DMS204を備えた大気圧DMS502のかかる構成は、システム500分析選択性の向上を提供する。システム500におけるようなかかる解決法は、例えばQTRAP(登録商標)5500システムなどの既存の分析手段へのDMSの組み込みを単純化し、検出限界におけるかなりの改善をもたらすことができる。これによって、DMSおよびイオン移動度ベースのフィルタリングが有用である分析数が増加される。

0063

いくつかの実施形態において、領域202には、RFイオンガイドを含まなくてもよい。これらの実施形態用には、DMSだけが含まれることになろう。DMSには、複数のフィルタ電極対を含むことができる。図5Bの質量分析システム550に示すように、DMSは4つの電極を含むことができ、分離電圧は、これらの電極のうちの2つに印加することができる。集束電位は、他の2つの電極に印加することができる。

0064

図6は、本発明の例示的な実施形態に従って、大気圧DMS502の前にクラスタリングおよび/または反応領域612を備えた、図5Aに示すシステム500のような質量分析システム600の図を示す。質量分析システム600にはまた、カーテンプレート602、カーテンチャンバ604、カーテンガス入口606、カーテンガス制御バルブ608、カーテンガス源610、およびアパーチャ614が含まれる。

0065

カーテンプレート602は、カーテンガスフロー616および618を、アパーチャ614からイオン源208の方へ誘導するように構成してもよい。一実施形態において、高純度カーテンガス(例えばN2)が、カーテンプレート602と真空プレート212との間を、オリフィス614から外へ流れ、大きな中性粒子の脱溶媒和および排出によって質量分析システム600をクリーンに保つ支援をする逆流ガスを供給する。逆流ガスフロー(例えばカーテンガス)は、イオンをデクラスタリングし、かつ中立粒子がカーテンチャンバ604および反応領域612に入るのを防ぐ役目をする。

0066

動作において、カーテンガスが、制御バルブ608および入口606を介して、源610からカーテンチャンバ604に送られる。カーテンガスに加えて、源610は、カーテンガスを伴うクラスタリング試薬(clustering reagent)(例えば、ドーパントまたは修飾剤)を供給してもよい。試薬は、ガス、蒸気、および/または液体の形態であってもよい。クラスタリング試薬を含むことによって、システム600は、DMS502によるイオン移動度ベースのフィルタリングの前に、反応/クラスタリング領域612においてサンプルイオンの選択的クラスタリングを可能にする。

0067

したがって、DMS502は、クラスタリングモデルと一致するイオン移動度ベースのフィルタリングおよび/または分離を実行する。クラスタリングモデル(図12にタイプA曲線として示すような)下で、アルファ関数は、ますます正になり、イオンがデクラスタリング量の増加と共により小さくなるにつれて、高電界条件下の移動度がより大きくなることを示す。波形の低電界部分の間の移動度は、高電界条件に比べてより小さくなる。なぜなら、イオンが、より大きく、かつより高度にクラスタリングされるからである。デクラスタリング機構が、分離プロセスを支配し、達成される選択性は、イオンの近接する環境に対するイオンの化学的特性によって非常に影響される。より高い電界は、典型的には、2つの電界条件下で、イオンの状態における差異を強めるデクラスタリング、およびしたがって移動度を改善する。クラスタリングモデルの分離は、化学的に支配された分離(タイプA)であると考えられる。

0068

質量分析システム600は、大気圧DMS502および低圧DMS204を用いて、タンデムDMS動作を可能にし、この場合に、有利なことにDMS502は、クラスタリング試薬との混合ゆえに反応/クラスタリング領域612において形成された、ドープされたサンプルイオン(例えば、試薬でクラスタリングされたサンプルイオン)をフィルタリングする。しかし、DMS502によるフィルタリング後、次に、サンプルイオンは、クラスタリング試薬および/または他のクラスタリングを取り除くために、低圧衝突領域206においてデクラスタリングされる。ひとたびデクラスタリング/脱溶媒和が実行されると、次に、乾燥サンプルイオンおよび/またはデクラスタリングされたサンプルイオンは、低圧DMS204によって、さらなるイオン移動度ベースのフィルタリングにさらされる。

0069

したがって、DMS204は、剛体球衝突モデルと一致するイオン移動度ベースのフィルタリングおよび/または分離を実行する。クラスタリングおよび付加イオン形成が最小化されるか存在しない搬送ガス条件下で、サンプルイオンの挙動は、タイプC分類の方へシフトする。高電界条件下において、移動度は、一定のままである低電界条件に対して減少する。高電界において、かつクラスタがない状態で、剛体球衝突(または剛体球散乱)機構が、支配的になる。高相互作用エネルギにおいて、短距離発電位が有力になり、移動度の減少に帰着する。修飾剤が存在する状況とは対照的に、達成される分離プロセスおよび選択性は、これらの条件下ではより少ない。なぜなら、それが、衝突力学とより関係があるからである。αにおける負値のシフトは、クラスタリング現象が支配する場合に観察されるのとは反対方向に補償電圧をシフトする。次に、第2のDMS204を通過したサンプルイオンは、質量分光計224によって分析および検出される。

0070

したがって、システム600の構成は、タンデムDMSシステム用の設計概念の向上を示す。したがって、DMS分析器、例えばDMS204は、第1の低下された真空圧ステージ、例えば真空チャンバ202内に位置してもよく、追加DMS分析器、例えばDMS502は、カーテンプレート602とガス制限オリフィス210との間の大気圧領域内に位置してもよい。この方法において、修飾剤は、クラスタリング修飾剤に基づいたDMS分離を提供するために、典型的な方法でカーテンガスフローに加えてもよい。例示のように、クラスタは、第1の真空チャンバ202の中への膨張で失われるが、これは、オリフィス210とQJET(登録商標)イオンガイド402との間の電位差を増加させることによって、さらに促進することができる。続いて、第2のイオン移動度ベースの分離が、修飾剤がない状態において第1の真空チャンバ202内で達成可能である。タンデム移動度分析器、例えばシステム600は、単一DMS構成に勝る、移動度ピーク出力のかなりの改善をもたらすことができる。したがって、送出されたイオン集団は、DMS移動度ベースの分離ステージ間で修飾される。さらに、必要に応じて、イオンは、オリフィス210とQJETイオンガイド402との間の高電位差の印加によって断片化して、追加の選択性を提供してもよい。このワークフローは、DMS502における特定のイオンの移動度選択、続いてインターフェース、例えば低圧衝突領域206における断片化、続いてDMS204における特定の娘イオンの移動度選択を伴うことになろう。RFイオンガイド402を除去することができ、DMSには図5Bに示すような電極を含み得ることが、当業者には明らかであろう。

0071

図7Aには、様々なVrf設定で試薬修飾剤なしの、DMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロット702、704および706が含まれる。プロット702、704、706に示すように、DMS502などのDMSを通過するサンプルイオンにドーパントも修飾剤も追加されない条件下で、この特定の一連の同重体化合物に関連するイオン強度ピークを区別または分離するのは、困難になり得る。図7Aに示すように、これらの「乾燥イオン」条件下でテストされた全ての化合物において、正のVc値へのシフトが存在する。

0072

図7Bには、様々なVrf設定において試薬修飾剤が導入されたDMSにおける正規化されたイオン強度ピークのプロット708、710、712、714および716が含まれる。様々なプロット708、710、712、714、716は、修飾剤、例えばn−プロパノール2−プロパノール、および/または水をカーテンガスに加えることの有利な結果を示し、それらは、DMS502などのDMSにおける多くの化合物に対して、ピーク出力のかなりの改善およびピーク分離のかなりの改善を示す。図7Bに示すように、搬送ガスに修飾剤および/またはドーパントを加えてテストされた全ての化合物において、クラスタ化モデルに基づいて示された負のVc値へのシフトが存在する。

0073

図8は、本発明の例示的な実施形態に従って、混合チャンバ802を介したドーパント導入システム800の図を示す。システム800は、図6の源610に含んでもよく、または源610に加えてシステム600に含んでもよい。システム800にはまた、カーテン/搬送ガス入口804、クラスタリング試薬貯蔵所806、およびカーテンチャンバ入口808が含まれる。

0074

動作において、クラスタリング試薬は、液体貯蔵所806に保存され、混合チャンバ802においてカーテン/搬送ガスと混合される。次に、カーテンガスおよび修飾剤の混合物は、入口808を介して、カーテンガスチャンバ604、および特に反応/クラスタリング領域612に送出される。反対に、クラスタリング試薬は、混合チャンバ802への導入の前に、キャリア/搬送ガスに追加してもよい。

0075

図9は、本発明の例示的な実施形態に従って、代替のドーパント導入システム900の図を示す。システム900には、カーテンチャンバ604内の混合領域902、カーテン/搬送ガス入口904、およびクラスタリング試薬貯蔵所906が含まれる。図8により混合チャンバ802においてカーテンおよび試薬を予め混合する代わりに、この実施形態において、クラスタリング試薬およびカーテンガスは、カーテンガスチャンバ604の混合領域902において混合される。反対に、クラスタリング試薬は、混合チャンバ902に導入する前に、キャリア/搬送ガスに加えてもよい。

0076

図10は、本発明の例示的な実施形態に従って、乱流加熱領域1002を備えた、図6におけるシステム600のような質量分析システム1000の図を示す。システム1000にはまた、クラスタリング試薬入口1004、カーテンガス入口1006、および試薬/カーテンガス混合領域1008が含まれる。いくつかの実施形態において、システム1000は、図9のシステム900のようなドーパント導入システムを用いる。他の実施形態において、システム1000は、図8のシステム800のようなドーパント導入システムを用いる。代替として、クラスタリング試薬は、システムへの導入の前に、キャリア/搬送ガスに直接追加してもよい。システム1000はまた、イオン源208からのサンプルイオンの乱流加熱を可能にするために、乱流加熱領域1002を有利に用いる。

0077

サンプルイオンを加熱することによって、サンプルイオンのデクラスタリングおよび/または脱溶媒和は、DMS502へのサンプルイオンの導入前に強化される。1つまたは複数の加熱要素1010を加熱領域1002に含んで、サンプルイオンを加熱するための選択された温度を生成してもよい。加熱要素1010には、抵抗素子を含んでもよい。コントローラ228は、電圧源226を介した、加熱要素1010への電流および/または電圧の印加を制御して、加熱領域1002における温度を規制してもよい。1つまたは複数の温度センサは、コントローラが加熱領域の温度を規制できるようにするために、コントローラ228と通信してもよい。

0078

加熱要素の数および位置は、システム1000において異なってもよい。例えば、1つまたは複数の加熱要素が、大気圧イオン源領域404、カーテンチャンバ604、真空チャンバ202、中間領域406、低圧衝突領域206、またはシステム1000内の領域/位置の任意の組み合わせに位置してもよい。乱流加熱領域1002などの1つまたは複数の加熱領域を用いるによって、システム1000の感度は、システム1000内の所望の位置でデクラスタリング/脱溶媒和を改善することにより向上される。RF多重極402は、除去することができ、DMSには、図5Bに示すように4つの電極を含むことができる。

0079

図11は、大気圧DMSへの入口が、それぞれ加熱されない場合および加熱される場合の、正規化されたイオン強度対補償電圧のプロット1102および1104を含むグラフ1100である(1102が、加熱なしのデータを含む)。プロット1102は、水分、例えばエレクトロスプレーイオン源からのウェットスプレーによる望ましくないクラスタリングに恐らく起因するかなりのピークテーリングを備えた、約−2.5ボルトにおけるVc(CV)を示す。プロット1104は、DMS入口が加熱された後で、イオン強度の増加およびピーク形状の改善を伴う、約0ボルトへのVcのシフトを示し、それは、加熱が、どのようにデクラスタリングおよび/または脱溶媒和を改善し、かつシステム1000用などの分析システム感度を向上させることができるかを示す。前述のように、異種クラスタは、加熱技術を用いることによって除去または低減することができる。

0080

DMSにおけるRFイオン加熱およびバルクガス加熱効果は、密接に関連している。例えば、バルク加熱は、イオン分析システムにおける異種クラスタイオン集団を低減することができる。目標は、エレクトロスプレーで生成されたクラスタを脱溶媒和/デクラスタリングし、次に、DMSセルおよび/またはフィルタにおいて同種集団を形成する所望の気相反応を用いて再クラスタリングすることである。熱伝達は、分子衝突高頻度および放射熱伝達ゆえに、大気圧において非常に効率的である。DMSフィルタの入口の前でガス中のイオンクラスタを加熱するための様々な手段を、ちょうど説明したRF加熱に加えて想定することができる。一アプローチは、これを達成するために、逆流ガスフローを伴う壁なし混合領域を用いる。修飾剤/ドーパントを備えた不活性窒素カーテン/搬送ガスの混合物を含む熱い脱溶媒和ガスが、壁なしエリアにおいて、入ってくるイオンクラスタおよび源ガスと反対に流れる。

0081

この領域、すなわち、加熱領域におけるクラスタイオン種の滞留時間を最大限にするこの領域において、フローは、非層流として、可能な限り脱溶媒和を駆動することができる。背景ガスは、所望の同種クラスタイオン集団の方へ平衡を移動させる高濃度の修飾剤/ドーパントを有してもよい。DMS分析器領域の前における乾燥ガスの流出はまた、中性溶媒および非常に大きな液滴が移動度分析器領域に入って汚染するのを防止する助けとなる。異種イオンクラスタは、このアプローチを用いて低減することができる。ある実施形態において、コントローラ228は、限定するわけではないが、システム1000などの分析システムの様々な部分内におけるドーパント濃度、温度、フローレート、Vc、Vrfおよび圧力などの分析プロセスの様々なパラメータを制御する。

0082

図12は、タイプA、BおよびCイオン移動度挙動用のアルファ挙動のグラフである。タイプA曲線は、クラスタ化モデルに関連し、かつ電界強度における増加につれてアルファ(α)における単調な増加を示す。タイプC曲線は、剛体球衝突モデルに関連し、電界強度における増加につれてアルファ(α)における単調な低下を示す。タイプB曲線は、バイモデルモード(最初にタイプA、次にタイプCの組み合わせ)に関連するが、このモードでは、アルファにおいて最初に増加が、次に低下が、電界強度の増加につれて発生する。これらの曲線に示されているように、この分類は、働いている支配的な分離機構を示すが、この分離機構は、次に、イオンがクラスタリングされるかまたは中性分子に付加される程度によって制御される。タイプAおよびCは、1つの機構が支配する境界(両極端)を表し、タイプBは、機構の混合が明らかなような条件下で観察される。
タイプA
タイプA条件および/またはクラスタ化モデル下において、アルファ関数は、ますます正になり、デクラスタリング量の増加と共にイオンがより小さくなるにつれて高電界条件下の移動度がより大きくなることを示す。波形の低電界部分における移動度は、イオンがより大きく、かつ高度にクラスタリングされるので、高電界条件に比べてより小さくなる。デクラスタリング機構が、分離プロセスを支配し、達成される選択性は、イオンの近接する環境に対するイオンの化学的特性によって非常に影響される。アルファ関数は、増加するRf電界と共に急速に上昇する。
タイプC
クラスタリングおよび付加イオン形成が最小化されるか、または存在しない搬送ガス条件(例えば低圧条件)下で、サンプルイオンの挙動は、タイプC分類および/または剛体球衝突モデルにシフトする。電界強度の増加と共に、アルファ関数は、ますます負になる。高電界条件下で、移動度は、一定のままである低電界条件に比べて低下する。高電界において、かつクラスタがない状態で、剛体球散乱機構が、支配的になる。高い相互作用エネルギにおいて、短距離反発電位が有力になり、移動度の低下に帰着する。修飾剤が存在する状況とは対照的に、達成される分離プロセスおよび選択性は、これらの条件下ではより少なくなる。なぜなら、それが、衝突力学とより関連するからである。
タイプB
不活性搬送ガス条件下で、分離機構は、低Rf振幅におけるデクラスタリング挙動を示す。この挙動を示す化合物は、乾燥搬送ガス条件下でさえ付加物またはクラスタとして存在する。電界強度が増加するにつれて、Vcは、方向を逆転し、正値の方へシフトし、アルファにおいて負の傾向を示す。このバイモーダル挙動は、図12のタイプBアルファプロットに示されている。

0083

乾燥不活性ガスフローにおいて、DMS内における所与のイオン用のアルファ関数は、電位および圧力などの計測変動にかかわらず一定である。この校長は、イオン電流検出器と組み合わせて、ニッケル63ベータ放射体などのイオン源を用いるDMSセンサ用の基礎を形成する。世界の様々な場所における様々なVc位置におけるピークの相関関係が、これを必要とする。この実際的な結論は、単に、2つのDMSフィルタを設け、かつ同じイオン集団に対して1つではなく2つの分離を行うことによって、DMSピーク出力を著しく改善することはできないということである。ピーク出力における劇的な改善は、2つの分離間において、所与のイオン集団用のアルファ関数の著しい変更を必要とする場合がある。したがって、本発明の一実施形態において、イオン集団は、反応/クラスタ領域を通過し、クラスタリング修飾剤を含む搬送ガスを備えた第1のDMSを通って運ばれる。クラスタリングされたイオン用のα関数は、図12に示すタイプA挙動の形態を有してもよい。次に、イオン集団における選択されたサブセットが、分離領域を通過するが、この領域では、平衡が、デクラスタリングされたイオン種の方へ移動される。最後に、第2のDMS分離が、イオンのサブセットに対して実行され、この場合に、α関数は、タイプBまたはタイプC挙動を示す可能性がある。図13は、ノルフェンタニルイオン用のα関数の変形例を示す。i)の名称を付けられたトレースは、1.5%の2−プロパノールが窒素搬送ガスに追加された、修飾されたDMS分離下で、このイオン用のアルファ関数を示す。ii)の名称を付けられたトレースは、窒素搬送ガスと共に動作する場合に得られる根本的に異なるアルファ関数を示す。2つの異なる条件下のアルファ関数において観察される化合物依存性は、ピーク出力を劇的に改善する機会を提示する。

0084

図14A−Cは、DMSにおける一連のイオン分離用のアルファ関数を示す。図14Aは、2−プロパノール修飾剤を用いる化学的に修飾された分離を示し、一方で図14Bおよび14Cは、不活性窒素搬送ガスを用いた分離をそれぞれ示す。クラスタリング修飾剤が存在する状態で、36の化合物が、アルファ関数用に正値を備えたタイプA挙動を主に示した。クラスタリング修飾剤がない状態で、36のイオンのどれも、タイプA挙動を示さず、それらの全ては、高電界において負のアルファ値へのシフトを示した。これらのデータポイント収集するために用いられる計測条件下において、化学種用の観察された補償電圧Vcは、修飾された分離に対しては主に負であり、不活性ガス分離に対しては正だった。多くの場合において、修飾剤がない状態で分離されなかったピークは、搬送ガスフローに修飾剤を有するDMSにおいて分離された。少数の場合において、化学的に修飾された分離を用いて分離されなかったピークは、不活性搬送ガスを用いたDMSにおいて分離された。この単純な例は、イオン集団用のアルファ関数が、タンデム装置におけるDMS分離間で劇的に変更される場合に可能なピーク出力の改善を示す。この例は、搬送ガスフローにおいてクラスタリング修飾剤の濃度を変更することによってアルファ関数を変更することを示すが、アルファ関数がまた、限定するわけではないが、a)クラスタリング修飾剤の一定の濃度を維持し、かつ2つのDMS分析器内の温度を変えて、クラスタリングの程度に影響を及ぼすことと、液体修飾剤を追加せずに搬送ガス組成を変更することと、第2のDMSにおいて監視されるイオンが、第1のDMSセルにおいて監視されるイオンとは異なるm/zを有するように、分離領域において、関心のあるイオンを断片化することと、を含む他の方法で変更可能であることが、当業者には明らかであろう。

0085

コントローラ228の動作に含まれるある態様が、コンピュータ使用可能および/または可読媒体を含むコンピュータプログラムプロダクトにおいて具体化可能であることが、当業者には明らかであろう。例えば、かかるコンピュータ使用可能媒体は、CDROMディスクもしくは従来のROM装置などの読み取り専用メモリ装置、ハードドライブ装置もしくはフロッピー(登録商標)ディスクなどのランダムアクセスメモリ、またはコンピュータ可読プログラムコードを自身に記憶したフラッシュメモリ装置からなってもよい。分離領域には、レーザなどの線源を含む、イオンを加熱するための他の手段、または他の装置を含んでもよいことが、当業者には明らかであろう。

0086

当業者は、本明細書で説明する実施形態および実践に対する多くの均等物を、単に通常の実験を用いて理解し、または確認することができるであろう。したがって、本発明が、本明細書で開示する実施形態に限定されるべきではなく、法律の下で可能なだけ広く解釈されることになる添付の特許請求の範囲から理解されるべきであることが、理解されよう。

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