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技術 ラジカル重合プロセスの制御を通じた制御の改善

出願人 パイロットポリマーテクノロジーズ,インク.
発明者 スパンズウィック,ジェームズジャクバウスキー,ヴォイチエク
出願日 2010年6月21日 (10年4ヶ月経過) 出願番号 2012-544469
公開日 2013年4月25日 (7年6ヶ月経過) 公開番号 2013-514431
状態 特許登録済
技術分野 重合方法(一般) 重合触媒 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 制御度合い 熱電対間 無機性材料 非活性化剤 枝分かれ重合体 ゼロ酸化状態 セグメント化共重合体 内部番号
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年4月25日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

ラジカル重合プロセスを制御するために改善された温度を制御する方法が開示される。一つまたは複数の窓を通して、還元剤またはラジカル前駆物質反応媒体に連続的にまたは断続的に供給することによって、ATRPおよびNMP重合プロセスにおける永続的なラジカルの濃度、およびRAFT重合プロセスにおけるラジカルの濃度を制御することが、上記方法によって導かれる。

概要

背景

概要

ラジカル重合プロセスを制御するために改善された温度を制御する方法が開示される。一つまたは複数の窓を通して、還元剤またはラジカル前駆物質反応媒体に連続的にまたは断続的に供給することによって、ATRPおよびNMP重合プロセスにおける永続的なラジカルの濃度、およびRAFT重合プロセスにおけるラジカルの濃度を制御することが、上記方法によって導かれる。

目的

ラジカル重合は、イオン性重合プロセスと比較して、官能基への耐性があり、そして部位特異的な機能を有する材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

還元剤および重合溶媒の存在下で(共)重合可能モノマーフリーラジカル重合させる重合プロセスを包含し、上記重合溶媒は、少なくとも一つの遷移金属触媒と、原子移動ラジカル重合開始剤と、を始めから含み、上記原子移動ラジカル重合開始剤に対する遷移金属触媒のモル比は0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、上記還元剤は、ラジカル−ラジカル停止反応の速度に比例した速度で重合溶媒に連続的に添加される、ことを特徴とする重合プロセス。

請求項2

上記還元剤は、フリーラジカル開始剤であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。

請求項3

上記還元剤は、非ラジカルを形成した状態の、非ATRP開始剤形成反応の、高酸化状態遷移金属錯体と反応することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。

請求項4

請求項5

上記還元剤またはラジカル重合開始剤は、前もって添加された還元剤またはラジカル重合開始剤の添加後における反応系が示す濃度に近づく濃度になるまで、ラジカル−ラジカル停止反応で形成された高酸化状態の遷移金属の濃度を減少させることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。

請求項6

光応答性ラジカル開始剤および重合溶媒の存在下で(共)重合可能なモノマーのフリーラジカルを重合させる重合プロセスを包含し、上記重合溶媒は、少なくとも一つの遷移金属触媒と、原子移動ラジカル重合開始剤と、を始めから含み、上記原子移動ラジカル重合開始剤に対する遷移金属触媒のモル比は0.10以下であり、好ましくは0.05以下であり、添加された上記光応答性ラジカル開始剤の分率(fraction)は、パルス光によって周期的に分解され、光刺激の強さおよび持続期間は先のパルス光によって起こるラジカル−ラジカル停止反応のモル数に比例する、ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。

請求項7

重合は、バルク重合プロセスで行われ、溶媒の存在下で行われ、固形表面(solid surfaces)から行われ、エマルション重合プロセス、ミニエマルション重合プロセス、ミクロエマルション重合プロセス、逆相エマルション重合プロセス、および懸濁重合プロセスを含む二相性重合プロセスで行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。

請求項8

アルコキシアミンの存在下で(共)重合可能なモノマーのフリーラジカルを重合させる重合プロセスを包含し、形成された窒素酸化物、およびNMP中の難分解性の(persistent)ラジカルの濃度は、安定なフリーラジカルの濃度および伝播(propagation)速度の減少を作り上げる以外の、ラジカル−ラジカル停止反応の速度と釣り合わせるように選択される、添加された開始剤の分解速度によって、添加された開始剤の分解速度に制御される、ことを特徴とする重合プロセス。

請求項9

変性(degenerative)転移剤の存在下で(共)重合可能なモノマーのフリーラジカルを重合させる重合プロセスを包含し、反応速度は、選択された反応温度を維持するように選択される、添加された開始剤の分解速度によって、添加された開始剤の分解速度に制御される、ことを特徴とする重合プロセス。

請求項10

還元剤−ラジカル開始剤の添加速度は、反応速度によって制御された反応の目標とする温度を維持するように連続的に調節される、ことを特徴とする請求項1,8,9に記載の前記制御されたラジカル重合プロセス。

請求項11

還元剤−ラジカル開始剤の添加速度は、目標とする重合速度を維持するように連続的に調節される、ことを特徴とする請求項1,8,9に記載の前記制御されたラジカル重合プロセス。

請求項12

還元剤−ラジカル開始剤の添加速度は、モノマーのポリマーへの転化率が80%を超えるように、好ましくは90%を超えるように、最適には95%を超えるように連続的に調節される、ことを特徴とする請求項1,8,9に記載の前記制御されたラジカル重合プロセス。

請求項13

還元剤−ラジカル開始剤は、複数の添加窓(ports)を通して反応器に添加される、ことを特徴とする請求項1,8,9に記載の前記制御されたラジカル重合プロセス。

請求項14

プロセスは、バルク重合プロセスで行われ、溶媒の存在下で行われ、固形表面(solid surfaces)から行われ、或いは、エマルション重合プロセス、ミニエマルション重合プロセス、ミクロエマルション重合プロセス、逆相エマルション重合プロセス、および懸濁重合プロセスを含む二相性重合プロセスで行われる、ことを特徴とする請求項1,8,9に記載の前記制御されたラジカル重合プロセス。

発明の詳細な説明

0001

〔発明の技術分野〕
現在、高い機能性を有する材料の合成に、ラジカル重合を制御する(CRP)三つの方法が、広く利用されている。その方法とは:原子移動ラジカル重合ATRP)、可逆的不可開裂連鎖移動重合(RAFT)およびニトロキシド媒介重合(NMP)である。根本的に(共)重合可能モノマーの様々なCRPプロセスを制御した、改善されたレベルの方法が開示されている。上記の改善によって、上記三つのCRP方法にて環境負荷を減少させる産業的に拡張性のある方法を定義することに注目が向けられる。原子移動ラジカル重合(ATRP)の場合、改善されたプロセスは、無数遷移金属触媒複合体の、低程度の存在下で行われ、そして高い制御度合いは、還元剤ラジカル開始剤の添加/活性化を制御する条件下にて反応が行われることによって達成される。RAFTの場合、ラジカル開始剤の添加/活性化を制御する条件下にて反応が行われることによって、全体の制御は改善される。ニトロキシド媒介重合(NMP)での重合速度は、ラジカル開始剤の添加/活性化を制御し、難分解性(persistent)のラジカルの濃度を制御する条件下にて制御される。

0002

背景
多くの高性能性材料(特に、セグメント化共重合体または複合構造)は、明確な開始剤を用いている機能性モノマーからの重合体の合成を制御することを必要とする([Macromolecular Engineering. Precise Synthesis, Materials Properties, Applications; Wiley-VCH: Weinheim, 2007.])。最適な性能のために、多くの出願において、上記材料は、分離層領域の大きさおよび位相、ならびに考察する反応速度の動力学を考慮したプロセスを制御することもまた必要とする。

0003

リビングアニオン重合発展によって、明確なブロック共重合体の利用が、1950年代、Szwacによって開示された[Nature 1956, 176, 1168-1169]。この技術の最も大きな制限は、不純物(水分、二酸化炭素)および同等の求電子物質に対する感応性である。その感応性が、狭い範囲のモノマーにプロセスを制限する。重合前に、反応媒体および全ての構成要素は、広く精製されなければならず、それゆえ、高純度での機能性ブロック共重合体および他の明確な高分子材料の調製は、挑戦的であり得る。それにも拘らず、学術研究の場面において最初に実施されたアニオン重合は、瞬時に工業規模に採用され、そして熱可塑性エラストマーとして機能する、いくつもの明確なブロック共重合体(例えば、ポリスチレン−b−ポリブタジエン−b−ポリスチレン)の大量生産を最終的に導いた[Thermoplastic Elastomers, 3rd Ed; Hanser: Munich, 2004]。

0004

アニオン重合が最初であり、実際、30年以上もの間のリビング重合のプロセスにおける唯一の例であり、ビニルモノマーの大変狭い選択から、以前は利用しにくかった、明確な高い性能を有する材料を合成することが可能である、という事実によって、そのような挑戦的な技術の速い産業への採用が説明され得る。それにも拘らず、多くの出願にて求められた性能を有する、修飾されたブロック共重合体に基づく材料は、主にアニオン重合プロセスを拡張したものである[Ionic Polymerization and Living Polymers; Chapman and Hall, New York, 1993, ISBN 0-412-03661-4.]。

0005

1970年代後半から1990年代前半において、リビングカルボカチオン重合が発見され、そして利用された[Adv. Polym. Sci. 1980, 37, 1-144.]。しかし、この方法は、アニオン重合と同様に不純物に対して反応性があり、そしてどちらの技術においても重合可能なモノマーの範囲が、基本的には非極性ビニルモノマーに限定されていた。

0006

多くの初期の試みが、ラジカル重合を制御する(CRP)プロセスを発展させたが、決定的な進歩は、1990年代中旬に行われた。CRPは、機能性モノマーの重合に採用されることができ、そのため多くの異なる部位に特定の機能を有する(共)重合体を調製することは、実行可能(feasable)になった[materials Today 2005, 8, 26-33およびHandbook of Radical Polymerization; Wiley Interscience: Hoboken, 2002.]。工業的な観点からすると、CRPプロセスは、都合の良い温度にて行うことができ、モノマーまたは溶媒の大規模な精製を必要とせず、そして、バルク、溶液緩衝水溶液エマルション等の中にて行われ得る。CRPは、決められた分子量、低い多分散度、および制御された消費、ならびに位相を有する重合体を調製することを可能にする。ラジカル重合は、イオン性重合プロセスと比較して、官能基への耐性があり、そして部位特異的な機能を有する材料を提供する、幅広い範囲の不飽和モノマーが重合され得る。さらに、イオン性重合条件下におけるモノマーの反応率に大きな違いによって、イオン性重合では一般的に挑戦的である、共重合反応が、CRPに基づくラジカルを用いて機能することは容易である。これによって、最終的な製品として生物学的種または無機化学的種を組み込むために用いられ得る、決められた分子量(MW)、低い多分散度(PDI)、制御された消費、部位特異的な機能、選択された鎖の位相、および複合構造を有する高分子材料を合成する機会が提供された。

0007

工業的に約束された、ラジカル重合を制御した最も研究された三つの方法は、ニトロキシド媒介重合(NMP)([Chemical Reviews 2001, 101, 3661-3688])、原子移動ラジカル重合(ATRP)([J. Chem. Rev. 2001, 101, 2921-2990; Progress in Polymer Science 2007, 32, 93-146])、および可逆的不可開裂型連鎖移動重合(RAFT)によるジチオエステルを有する退行形の移動[Progress in Polymer Science 2007, 32, 283-351]である。これらの方法はそれぞれ、活性化した成長鎖の低い濃度と非常に多くの休止鎖との間の動力学的な平衡構築に依存する。

0008

以下、スキーム1に示すように、原子移動ラジカル重合(ATRP)の四つの単純な構成要素は、カーネギメロン大学のMatyjaszewskiによって開示され、彼と彼の同僚は、多くの特許および特許出願において、ATRPおよび基本的なATRPプロセスに対する多くの改善を開示した([米国特許出願第5,763,546;5,807.937;5,789,487;5,945,491;6,111,022;6,121,371;6,124,411;6,162,882;6.624,262;6,407,187;6,512,0602;6,627,314;6,790,919;7,019.082;7,049,373;7,064.166;7,157,530および米国特許出願第09/534,827;PCT/US04/09905;PCT/US05/007264;PCT/US05/007265;PCT/US06/33152;PCT/US2006/033792およびPCT/US2006/048656]、本明細書中において全てが参考文献として組み込まれている)。多くの出願に基づいて、ATRPは、根本的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合/リビング重合のための好ましいプロセスとして挙げられる。典型的には、ATRPプロセスは、遷移金属複合体を使用することを含み、その遷移金属複合体は、一つまたは複数の移動可能な原子または基を有する開始剤から根本的に(共)重合可能なモノマーの重合を制御するために、触媒として機能する。遷移金属触媒は、繰り返しの酸化還元反応に関係するため、低い酸化状態の遷移金属複合体(Mtn/リガンド)は、活性化速度kaを有する活性化反応において、活性化を広めている種(P・n)を形成するための開始剤分子または休止状態高分子鎖(Pn−X)による移動可能な原子または基を均一的に除去する。上記活性化を広めている種(P・n)は、活性化した鎖末端に対して移動可能な原子または基が提供されること(速度kda)(同じ遷移金属複合体からの同じ原子または基である必要はない)によって、より高い酸化状態の遷移金属複合体(Mtn/リガンド)が活性化を広めている種(P・n)を非活性化する前に速度kpにて広がる(スキーム1)。

0009

0010

上記触媒は、重合を調整(coordination)するため、鎖末端と結合しない。それゆえ、上記触媒は、開始剤と比較して準化学量論的な量にて制御された重合/リビング重合プロセスにて用いられ得る。それにも拘らず、ラジカル−ラジカル停止反応の式としては、スキーム1における速度=k1にて進行し、Pn−Pmの形成によって鎖およびX−Mtn+1/リガンドを停止する。

0011

ここ10年間において、ATRPを用いて調製された新たな明確な高分子材料の範囲の例としては、ブロック共重合体、枝分かれ重合体星形重合体(polymeric stars)、ブラシ状重合体(brushes)、網状重合体(networks)が挙げられ、無機性材料または生物複合体を有するハイブリッドと同様のそれぞれ事前に決定し得る部位特異的な機能を有する。しかし、広範囲の工業利用性にはまだ制限がある[Chem. Rev. 2007, 107, 2270-2299]。それにも拘らず、個人医療および化粧品洗浄剤および界面活性剤、絵の具、顔料および塗料接着剤、熱可塑性エラストマー、生体適合性材料ならびに薬物送達システムの範囲において、これらの慣習的に加工した材料は、多くの市販製品の性能を改善する可能性を有する。

0012

当初定義された一般的なATRPプロセスは、高濃度の触媒を必要とし、その濃度は通常、永続的なラジカル(X−Mtn+1/リガンド)といったATRPの平衡を連続的に構築する効果を克服するために、バルクモノマーの重合反応にて約0.1Mであり、典型的にはその濃度の範囲が、モノマーに対して0.5mol%から1mol%([Handbook of Radical Polymerization; Wiley Interscience: Hoboken, 2002])である([Journal of the American Chemical Society 1986, 108, 3925-3927およびMacromolecules 1997, 30, 5666-5672])。より活性化した触媒の複合体に関連している、当初のATRP反応にて用いられていた触媒の高いレベルは、避けることのできないラジカル−ラジカル停止反応のために、より高い酸化状態である触媒の濃度を上昇するといった避けることのできない効果を克服するために必要とされていた。反応器の最終的な生成物が1,000〜10,000ppmの遷移金属複合体を含んでいるので、得られる重合体は、強い色を有しており、緩やかな毒性を有し得る。この触媒のレベルは、多くの出願にて用いられているものよりも優れている最終的な重合体から除去されなければならない。有機溶媒の分離および再利用に加えて、触媒の吸収または抽出に関連する、添加される生成物の費用によって、市場で求められる材料を生成するためのATRPの、産業上の容認を低下させている。急激に酸化することができる触媒複合体を加える前に、これらの系から全ての酸素および酸化物を除去するため、特別な取り扱い方法がよく必要とされている。この精製プロセスに用いられるエネルギー、および/または原核脱酸素した系の必要物は、化学的廃棄物およびさらなる費用の発生に寄与する。それらは、ATRPの工業利用性を抑制する大きな要因である。

0013

ATRPの発明者の一人である、K.Matyjaszewskiと共に本発明者による、近年のATRPにおける進歩が、WO2007/075817として発行されている特許出願PCT/US2006/048656にて開示された。この結果、ATRPにおける技術分野の状態を定義するために、上記文献にて開示された参考文献を援用すること、および本明細書中にて使用されているいくつかの用語を定義することをさらに含んでいる参考文献を援用する。上記出願において、連続的に再構築されるため、反応を通して高い酸化状態の非活性化剤(スキーム2)を蓄積することによって低い酸化状態の活性化剤として機能する還元剤またはフリーラジカル開始剤を添加することによって、ATRPにて用いられる触媒の濃度が、減らされ得ることが開示された。援用した参考文献にて挙げられているいくつかの好適な還元剤としては;亜硫酸塩亜硫酸水素塩チオ亜硫酸メルカプタンヒドロキシルアミンアミンヒドラジン(N2H4)、フェニルヒドラジン(PhNHNH2)、ヒドラゾンヒドロキノン食品保存添加物フラボノイドβカロチンビタミンA、α−トコフェロールビタミンE没食子酸プロピル没食子塩オクチル、BHA、BHTプロピオン酸アスコルビン酸ソルビン酸塩還元糖アルデヒド基を含んでいる糖類、グルコースラクトースフルクトースデキストロース酒石酸カリウム亜硝酸塩デキストリンアルデヒドグリシン、および多くの酸化防止剤が挙げられる。

0014

0015

活性化剤が電子移動によって連続的に再生されることから、ATRPにおける改善は、ARGET ATRPといわれている。スキーム2において、再生が還元剤を添加することによって行われているが、ICAR(連続的な活性化剤の再生のための開始剤)ATRPといわれるプロセスにおいて、非活性化剤がフリーラジカル開始剤の添加によって減少され得る。

0016

これらの新たな開始/触媒の再活性化の方法は、高い転化率のATRPを制御することを行うために必要とする触媒の量を、いくつかの場合にて従来のATRPにて用いられてきた10,000ppmから10ppmまたはそれよりも少ない量へと減少させることを可能にする。ここで、触媒の除去または触媒の再利用は、多くの産業の利用において認められていない。

0017

さらにARGET/ICARATRPプロセスは、酸化的に安定であり、CuII種の扱いおよび貯蔵が容易である(即ち、in situにおいてCuIの状態を還元させる)ことを備えることによって開始し得る。さらに、制限された量の空気の存在によって酸化された場合、低い酸化状態の活性化剤を連続的に再生する還元剤の過剰量(開始剤と比較するとずっと少ない量)によって、開示されたARGET/ICAR ATRPプロセスにおける制御のレベルは、基本的に影響を受けない[Langmuir 2007, 23, 4528-4531]。

0018

ラジカル−ラジカル停止反応の組み合わせによって、および成長ラジカルと触媒複合体;CuI(カルボカチオンへのラジカルの酸化)またはCuII種(カルバニオンへのラジカルの還元)との間で起こる副反応によって、一般のATRPにおける鎖末端の機能性は、失われ得る。それゆえ、新たなARGET/ICAR触媒系の他の重要な特性は、低い濃度の遷移金属複合体の使用によって副反応を抑制する/減少させることである。ICARおよびARGET ATRPにおける、減少した触媒に基づく副反応は、より分子量が大きい重合体、および、純粋(確実に純度の高い)であるブロック共重合体を調製することを可能にする、高い末端機能性を有する重合体を合成することを可能にする。

0019

それは、単純で激しい方法であることが認識された。

0020

出願PCT/US2006/048656において、再活性化剤は、一回の添加で反応液に加えられ、そして制御は、過剰量の還元剤存在下において、KATRPの連続的な適用による反応によって発揮された。連続的な重合は、実験室スケール、10〜50mLのシュレンクフラスコ、一般的なモノマー(例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(nBA)、スチレン(St)およびアクリロニトリル(AN))にて行われた。一般的なモノマー(例えば、MMA、nBA、MAおよびSt)からブロック共重合体の成功した合成が報告された。

0021

上の段落における重要な局面は、改善された方法を定義するための画期的な機能が行われるスケール:10〜50mLを開示する。PCT/US2006/048656にて開示された方法が、いくつかの重要な局面までスケールアップされた場合、出願にて行われた改善に伴って起こる不利益が明らかになった:
a)緩やかな反応(特に、メタクリル酸塩、スチレンの場合)
b)必要としている発熱性のプロセス(特にアクリル酸塩
c)正確な温度を制御する必要性
d)スケールアップのための形態の制限およびプロセスの自動化。

0022

これらの制限(特に大きなスケール)を克服するための方法は、本明細書中にて開示される。実際、ラジカル重合を制御するプロセスを開示した本発明の一つの実施形態において、還元剤/開始剤を添加する割合が連続的に適用される場合、重合体に対するモノマーの転化率が80%を超えること、好ましくは90%を超えること、好ましくは95%を超えることを可能にする。

0023

〔発明の概要
本発明に係る重合プロセスの一つの実施形態は、少なくとも一つの遷移金属触媒および原子移動ラジカル重合の開始剤を最初に含んでいる重合媒体の存在下にて、(共)重合可能なモノマーのフリーラジカルを重合させることに向けられている。重合媒体は、さらに還元剤またはラジカル開示剤を含み得る。重要なリガンドは、遷移金属触媒の溶解性および活性化性緩和するために、反応媒体に加えられるべきである。一つまたは複数の還元剤またはラジカル開始剤は、連続的なまたは断続的な方法にて、重合プロセスの最初にまたは途中に加えられることができ、或いは断続的な方法にて活性化され得る。重合プロセスは、さらに重合プロセスの制御において有意に関連しない化合物を形成するために、ラジカルが移動し得る原子または基を含んでいる酸化状態における、少なくとも一つの遷移金属触媒を有する還元剤を減少させることを含む。ゼロ酸化状態における遷移金属は、還元剤として用いられ得る。

0024

開示されたプロセスの別の実施形態は、NMPにおける難分解性のラジカルの濃度による連続的な制御を目的としている。この実施形態において、反応に連続的にまたは断続的に加えられる開始剤の分解速度は、別の安定したフリーラジカルの濃度を上昇させ、そして伝播速度を低下させる、ラジカル/ラジカル停止反応の速度に適合したものが選択される。

0025

開示されたプロセスのさらに別の実施形態は、RAFT重合と関連する。RAFT重合において、重合速度は、加えた開始剤の分解速度によって制御される。一般的に、全ての開始剤は、反応溶液反応開始時に加えられ、そして反応の各段階にて、重合容器全体を通して反応溶液の温度をうまく制御できない場合に、開始剤の分解速度の上昇を導き得る。ICARATRPにて述べたように、開始剤の連続的な添加および反応溶液の温度の観測は、反応による制御を維持するために、開始剤の添加を止めるべきである場合の情報を提供する。

0026

本発明の重合プロセスの実施形態は、バルク重合プロセス、溶媒の存在下での重合プロセス、固形表面(solid surfaces)から行われる重合プロセス、エマルション重合プロセス、ミニエマルション重合プロセス、ミクロエマルション重合プロセス、逆相エマルション重合プロセス、および懸濁重合プロセスを含む二相性重合プロセスを含む。そのような二相性重合プロセスにおいて、重合プロセスは、さらに懸濁媒体、界面活性剤または反応性のある界面活性剤、およびラジカル重合可能なモノマーの少なくとも一部を含んでいるモノマー層の少なくとも一つを含み得る。

0027

この明細書および添付した請求項にて使用されている、単数形「一つの(a)」、「および」並びに「その」は、はっきりとした別の指示がなければ、複数の対象を含むことに気づかれるべきである。例えば、「一つの重合体」に対応する対象は、一つよりも多い重合体または共重合体を含み得る。

0028

別の指示がなければ、成分、時間、温度および本明細書中および請求項中にて使用されている、量を表している全ての数は、用語「約」によって全ての実施例にて緩和されていることと理解されるべきである。さらに、反対に対する指示が無い場合、以下の明細書および請求項にて述べられる数のパラメータは、本発明によって得られるために求められた所望の特性に依存し得る値に近接している。より少なくとも、そして請求項の範囲に対して等しい原理の適用を制限する試みとしてではなくても、それぞれの数のパラメータは、報告されている重要な桁の数の観点から、および一般的な丸め技法(rounding technique)の適用によって、少なくとも説明されるべきである。

0029

本発明の広がった範囲にて述べられている数の範囲およびパラメータが近接しているにも拘らず、特定の実施例にて述べられた数の値は、可能な限り正確である。しかし、何れの数の値も、それぞれの試験した測定における標準偏差から必然的にもたらせられる、或る間違いを本質的に含み得る。

0030

この発明が、大変変化しているとして本明細書中にて開示された、特定の組成、構成要素またはプロセスの段階を制限しないことは理解されるべきである。また、本明細書中にて用いられる専門用語が、特定の実施形態を表現することを目的としており、制限することを意図していないことが理解されるべきである。

0031

この開示した方法は、活性化剤/非活性化剤の割合、難分解性のラジカルの濃度またはCRP中に存在する開始剤の濃度を連続的に制御することによって、重合プロセスを利用するおよび自動化する(automate)方法を提供する。開示した「求められた供給/活性化(starve feeding/activation)」方法の点は、以下を含む:
a)より少ない量の、触媒およびラジカル開始剤または還元剤の使用、
b)正確な温度制御の必要性の低下、
c)減らした量の溶媒を用いた短時間で高い転化率を可能にする、より高い反応温度
d)プロセス全体の自動化(automation)の可能性、および、
e)熱の除去を必要としない、発熱性の重合反応のための安全な範囲でのプロセスの発展。

0032

CRPにおいて目的とする系を利用して結果的に促された発展は、反応温度を制御する、さらなる方法を提供することによって、生成物を精製する費用の削減、深刻な廃棄物の削減および安全性の改善を可能にするだろう。さらに、還元剤/ラジカル開始剤の添加速度は、反応媒体の粘度および添加した還元剤の融合速度を考慮することによって、モノマーのポリマーへの転化率が80%を超えるように、好ましくは90%を超えるように、最適には95%を超えるように連続的に調節され得る。

0033

以下の実施例および実施例の議論において、ATRPが、模範的なCRPとして用いられるが、開示した方法は、上述されているようにNMPおよびRAFTを適用し得る。

図面の簡単な説明

0034

以下の図は、開示したプロセスの局面を例示するが、議論された例へのプロセスの範囲に限定されない。
nBAのARGETATRP中の1Lのバッチ容器内における温度変化実験条件:nBA/DEBMM/CuBr2/TPMA/Sn(EH)2=500/1/0.025/0.1/0.1、バルク中、60℃。
一連反応条件下でのMMAの重合のコンピュータシミュレーションに用いたパラメータ。
MMAのICAR ATRPのための新たな「供給」方法の、一回目のコンピュータ・シミュレーションの結果。(a)反応速度プロット
MMAのICAR ATRPのための新たな「供給」方法の、一回目のコンピュータ・シミュレーションの結果。(b)転化率に対する分子量およびPDI。
MMAのICAR ATRPのための新たな「供給」方法の、一回目のコンピュータ・シミュレーションの結果。(c)GPCの痕跡(trace)。シミュレーションは下記実験条件下にて行った:MMA/DEBMM/CuIIBr2/TPMA/AIBN=500/1/0.025/0.025/0.05、バルク中、90℃、供給時間10時間。
実施例C1における転化率、MW。
実施例C1におけるGPC曲線
実施例C2における転化率、MW。
実施例C2におけるGPC曲線。
実施例C3における転化率、MW。
実施例C3におけるGPC曲線。
実施例C4における転化率、MW。
実施例C4におけるGPC曲線。
実施例C5における反応速度プロット。
実施例C5における転化率、MW。
実施例C5におけるGPC曲線。
実施例C5における温度特性(profile)。
低い重合度を目的としたMMAの重合における反応速度プロット。
低い重合度を目的としたMMAの重合における転化率、MW。
低い重合度を目的としたMMAの重合におけるGPC曲線。
高い重合度を目的としたMMAの重合における反応速度プロット。
高い重合度を目的としたMMAの重合における転化率、MW。
高い重合度を目的としたMMAの重合におけるGPC曲線。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。反応速度プロット。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。転化率、MW。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。GPC曲線。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。反応速度プロット。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。転化率、MW。
アクリル酸n−ブチルの重合のコンピュータ・シミュレーション。GPC曲線。
実施例2Aにおける反応速度プロット。
実施例2Aにおける転化率、MW。
実施例2AにおけるGPC曲線。
実施例2Aにおける温度特性(profile)。
V−70を用いたnBAのICAR重合における反応速度プロット。
V−70を用いたnBAのICAR重合における転化率、MW。
V−70を用いたnBAのICAR重合におけるGPC曲線。
RUN 08−006−194を用いた温度特性(profile)。
スチレンのICAR重合における反応速度プロット。
スチレンのICAR重合における転化率、MW。
スチレンのICAR重合におけるGPC曲線。
Stの重合(高いDP)。プロセスの自動化。反応速度プロット。
Stの重合(高いDP)。プロセスの自動化。温度特性(profile)。
Stの重合(高いDP)の反応速度。転化率、MW。
Stの重合(高いDP)の反応速度。GPC曲線。

0035

〔発明の実施形態の詳細〕
上述したように、実験室スケールで高分子材料を調製するために、ICARおよびARGETATRPが連続的に用いられるけれども、大きなスケールで合成を行った場合、予測していない問題に直面される。これらの問題は、スケールアップしたICAR系に関連した以下の議論によって実証されるが、それはまた、ARGET ATRP、RAFTおよびNMP系に適用される。
a)反応媒体全体において正確な温度制御が必要とされる。もし温度制御が果たされない場合、温度の上昇によって、より速い速度で分解し、そして全てのCuIIがCuIに還元されるために系に存在するラジカル開始剤を生じる。系からのCuII非活性化剤の損失によって、温度分布(temperature exotherm)に加えて重合が制御されていない結果となる。さらに、発熱性の重合反応における温度による制御は、粘度の高い媒体が増加している熱移動のプロセスにて無効力であるために、大きなスケールにおける重合方法に変化している。標準的なフリーラジカルの重合系において、粘度の高い重合体溶液は、トロムスドルフ効果を導き得る。
b)図1は、1LのスケールでARGETATPRを用いたnBAの重合中の反応温度に従った温度特性を表している。攪拌した反応混合溶液を60℃まで加熱したが、発熱性の重合プロセスであるため、フラスコ内の温度が80℃より高くまで上昇した。重合は過熱のためにうまく制御されなかった。これは、内部を冷却するものの使用(例えば、冷却コイル)が、2〜3℃の温度範囲で温度を均一に維持するには充分な効果ではない可能性があることを示す。
c)長時間反応:ICAR/ARGET、および他のCRP系を議論している出版物にて用いられているよりも低い温度の場合である。より低い温度は、ラジカルの緩やかな発生(ICAR)または反応の初期に添加されるCuII複合体を有する還元剤を添加した緩やかな反応を可能にすることを目的としており、その結果、経済的な産業のプロセスに求められるよりも長い反応時間となる。
d)より低い温度はまた、上記系の粘度を上昇させ、そして高い転化率で重合し得るモノマーの範囲を制限する。例えば、反応温度と近いまたは反応温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有する重合体を形成するモノマーは、高い転化率にてガラス状態に達し、制御は不能となる。
e)図1に示すように、プロセス全体の容易な自動化の欠落は、現在の実験の設定を有するICAR/ARGET ATRPを自動化することが簡単な方法ではなく、そして過剰のラジカル開始剤の存在が良い温度の制御を必要とすることを例証している。
f)少量の触媒およびラジカル開始剤(または還元剤)が用いられるが、さらに還元するための同触媒およびラジカル開始剤の量がまだ求められている。
g)重合体の利用しやすい分子量(MW)が制限される。多くの出願において、高い分子量の重合体;即ち、鎖を巻き込むことによるセグメントを有する重合体を調製することが必要不可欠であり、それゆえ達成できるMWを制限する、成長ラジカルと触媒との間の「副」反応の効果を最小限にすることが大変重要である。ARGETおよびICAR技術は、触媒濃度が低いためにこの問題を部分的に解決し得るが、遷移金属、リガンドおよび還元剤と関連した副反応を有する上記の問題は、さらに一つまたは複数の試薬の濃度を低減することによって解決されるべきである。

0036

新たに開示された方法は、上述した全ての制限を緩和する/解決するだろう。

0037

制御された速度で、ラジカル開始剤(または還元剤)を供給すること、および反応媒体全体を通して試薬に均一に貢献するためのさらなる複数の部分を必要に応じて用いるによって、新たな方法は、ICAR/ARGETATRP中のCuII/CuIの割合を正確に連続して制御すること、またはRAFT重合中のラジカルの瞬間的な濃度、或いはNMPプロセス中に存在する難分解性のラジカルの目標とした濃度に依存する。添加されるまたは発生するラジカル開始剤(または還元剤)の量が、最後の添加によって生じ、そしておおよその量のCuIIをCuIに変換のみ行う、全ての停止反応を適切に補い得る速度にて供給することが、行われるべきである。それゆえ、供給の任意の時間にて添加された、ラジカル開始剤または還元剤の量は、事前の添加によって形成された鎖末端の数(スキーム3)とおおよそ等しい。

0038

0039

本明細書中にて開示されるものとして、開始剤または還元剤が反応溶液全体にゆっくりと加えられる場合、「過剰の」活性化剤の量が制御され、分解または還元の割合における任意の増加は避けられない。反応温度が上昇する場合、添加を停止することによって結果的に反応が止まる。好適な還元剤は、援用される参考文献にて開示されている。

0040

本発明のARGETおよびICARの方法に関連して、一回の添加にて添加される開始剤の量は、CuIに対する反応容器中に存在する全てのCuIIを還元させることを必要とする化学量論量よりも少なくあるべきである。これは、任意のときに反応容器中にて残りの開始剤(または還元剤)の非常に少量の存在、または活性化剤によって達成されるだろう。反応容器に供給した、または発生させた開始剤の量は、事前に添加/活性化するために生じる停止の量と一致している。温度が局所的に上昇した場合、弱い熱交換または局所の加熱によってCuIIからCuIへの過剰な還元が、反応媒体中に局所的に存在する開始剤の量のみ確かに含まれ、そして制限される。このように、CuIIからCuIへの還元速度による温度変化の効果を制御する一方で、反応の初期において全体の量の開始剤/還元剤を添加すること、および制御を維持するための開始剤の分解速度による偶然の制御を期待することの代わりに、全体のプロセス中において、必要とされる(または瞬間的に発生される)多くの還元剤/開始剤が、系に供給されるだろう。

0041

そのような条件が満たされる場合、重合プロセス中の還元剤またはラジカル開始剤の「枯渇させた条件(starving condition)」は達成されるだろうし、そして結果的に求められる、確定したCuIに対するCuIIの割合となるだろう。CuIIの非常に多くの量が、制御されたATRPプロセス(式1)において狭い分子量分布を有する(共)重合体の生産のために必要である。

0042

0043

プロセスの一つの実施形態において、CuII/CuIの求められる割合が達成された後に、ラジカル開始剤(または還元剤)の本当に少ない量のみが、重合系の任意の体積分率において瞬間的に存在する。その結果、CuII/CuIの割合は、狭い分子量分布(式1)を有する重合体を生成するために適切な範囲の中に維持されるだろう。

0044

いくつかの利点は、重合系における大変低いラジカル開始剤(または他の還元剤)の瞬間的な濃度を維持する結果として、新たな「供給」方法から生じる。
a)正確な温度制御を必要としない−唯一必要とすることは、添加したラジカル開始剤を素早く分解するために充分な高温を維持することであろうが、添加後の反応混合液の目標とする体積を通して、開始剤が貢献する充分な時間を可能にしている。活性化剤と反応の他の部分との融合に必要な時間、または反応に利益をもたらす光応答性開始剤の必要量を分解するための重要な光のみを最小限とするために、複数の添加窓(addition ports)は、大きなスケールの工業設備に用いられ得る。
b)発熱性反応の安全なプロセス− 添加した極めて少ない量の開始剤/還元剤は、反応容器中の過剰なCuIIの存在を制圧することができないために、発熱性反応の効果は、ラジカル開始剤(または還元剤)の大変低い瞬間的な濃度によって減少されるだろう。これは、添加した開始剤/活性化剤が存在しないというだけで、制御されたATRP反応は生じることができ、そして過剰のCuIIが成長ラジカル鎖の非活性速度を上昇させるように機能するため、停止反応によってCuIIの濃度が上昇する場合、この反応は、ゆっくりとなるだろう。
c)短い反応時間− 高温での伝播速度定数は、停止時の伝搬速度定数よりも上昇し、そのため「リビング」鎖の高いモル分率が維持されるので、高い反応温度を用いることにより、反応は大変速くなり得る。より高い反応温度はまた、どんな特定の転化率においても低い粘度の系という結果となり、そのため反応は、より高い分子量の重合体を調製するのと同様に高い転化率まで達し得る。それゆえ重合体へのモノマーの転化率が、80%を超え、好ましくは90%を超え、最適には95%を超え得る。
d)自動化の充分な可能性−重合媒体中の任意の瞬間にラジカル開始剤(または還元剤)の僅かな量が存在するとして、供給/活性化が止まるのと同じくらい速く反応が止まるべきである。このように、ラジカル開始剤の分解による(または還元剤の濃度による)ラジカルの発生速度によって、重合速度が制御される。そしてラジカル開始剤、還元剤または添加された光応答性開始剤という活性化剤を添加することを停止するフィードバック環を用いることによって、任意の危急の条件(emergency conditions)において重合速度は単純に停止される。
e)ラジカル開始剤の安定した状態である残りの濃度を最小限にし、それによって副反応に基づく開始剤を減少させるための開始剤/還元剤の連続的な供給。
f)より少ない量の遷移金属およびリガンドが、反応中に必要とされる。モノマー/遷移金属複合体の形成の可能性を妨げるために、過剰のリガンドが、一般的にARGETおよびICAR重合にて用いられる。
g)モノマーの種類および温度に依存する、CuI/CuII比およびkpが上昇することによるPDIによる可能な制御。
h)鎖末端のより高い機能性が維持されるため、ブロック共重合体のワンポット合成

0045

〔以下の実施例で用いた略語
ATRP原子移動ラジカル重合開始剤
ARGET電子移動によって再生されたアクチベータ
ICAR 連続的なアクチベータの再生のための開始剤
DEBMM 2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジエチル
BrPN 2−ブロモプロピオニトリル
TPMAトリス(2−ピリジルメチル)アミン
AIBN 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル
V−70 2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル
〔実施例および実施例の論議
以下に詳細に示すARGET/ICAR ATRPのスケールアップに対する初期の試みを通じて、反応のスケールが増加するに連れて始めに予期したよりも、制御されるべき変化物の数が有意に大きいことが明らかとなった。それゆえ、ICAR ATRPのための新しい「供給」方法における最適な重合条件を明らかにするために、特定のタイプのモノマー、反応温度、ラジカル開始剤のタイプ、濃度、全ての試薬の割合等を考慮して取り入れ、ラジカル開始剤の供給速度を決定するためのパラメータセットを最終的に発生させる。反応速度モデリングは、合成の目的物に到達する初期条件の選択、および、多くの異なる条件下での制御に影響するファクターの理解のために行われる。さらに、例えば溶液に供給した開始剤の拡散速度、反応器のデザインに関連する熱移動、転化率が知られている重合溶液の粘度等の、幾つかの追加のパラメータは、考慮して取り入れられる。

0046

重要なプロセスファクターのコンピュータによるモデリングによって発生する開始点の可能性は、添加された還元剤の単一の出所(source)を伴う1Lスケールの実験を実施することにより検討した。これら全てのファクターは、重合プロセスを介して良好な制御を達成するために、および、工業的スケール設備への更なるスケールアップを要求する反応速度データを規定するために、注意深く研究した。

0047

〔コンピュータ・シミュレーション〕
ICARATRPのための新しい「供給」方法における合成条件は、コンピュータによってモデリングした。同程度の(comprable)ソフトウエアは、通常およびICAR ATRP(Macromolecules 2007, 40, 6464-6472)を含む多くの重合系に首尾よく適用され、反応対時間または転化率での全ての種(中間体を含む)の濃度の正確な予想を与える。これはまた、上記全ての重合種の分子量分布を概算することを許可する。例えば速度定数、全ての反応物質初期濃度、ラジカル開始剤の供給速度等の、全ての要求されるパラメータは、ソフトウエアのワークショップアシスタントによって入力される。コンピュータ・シミュレーションは、簡単に行うことができ、短時間で終了することができるので、広範囲の異なる変化物について、典型的なICAR ATRPの新しい「供給」方法の最適化を研究することができる。特定のモノマーにおける典型的な変化を、以下に論議する。ICARにおいて、重合プロセスを通じて良好な制御を得るために、他のパラメータ(温度、ラジカル開始剤の種類、等)と共にラジカル開始剤(RI)の供給/発生速度が最終的に相互に関連する。

0048

〔メタクリル酸メチルの重合に対するコンピュータ・シミュレーション〕
図2は、異なるDPを目標とする温度のシリーズに対する二つの異なるラジカル開始剤の連続的な供給を伴った、MMAの重合を行うコンピュータ・シミュレーションを用いたパラメータの初期セットを示す。プロセス条件評価へのアプローチを提案する、提案された方法による初期シミュレーションからの予備的な結果は可能である。

0049

Cuの量が50ppmであるICARATRPの新しい「供給」方法である、或る典型的で非限定的な例に対する試薬の一般的な比は、温度Tにおいて、M/R−X/CuBr2/リガンド/RI=X/1/0.01/0.01/0.05(容積比)である(ここで、Mはモノマー、R−Xはハロゲン化アルキル開始剤、RIはラジカル開始剤、Xは100または500)。重合系において、商業的に入手可能なトリス(2−ピリジルメチル)アミン(TPMA)は、開始時の典型的なリガンドとして用い、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジエチル(DEBMM)は、典型的なハロゲン化アルキル開始剤として用いた。他の触媒および開始剤もまた、評価した。RIは、二つの異なる速度で反応溶媒に供給し、目標とする反応時間は6時間または24時間の何れかにセットした。

0050

それゆえ、新しい「供給」方法を用いたMMAの重合に対するシミュレーションの初期セットは、Cuの量が50ppm、試薬の比がMMA/DEBMM/CuIIBr2/TPMA/RI=X/1/0.01/0.01/0.05(容積比)で行われた。二つの異なるラジカル開始剤である、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)(10時間半減分解温度は65℃)、および2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)(10時間半減分解温度は30℃)を用いた。ラジカル開始剤としてAIBNを用いた重合とV−70を用いた重合とで、異なる温度を適用した(AIBNは70℃、80℃、90℃)(V−70は45℃、55℃、70℃)。上記温度における半減分解時間は、それぞれ、300分、70分、20分(AIBN)、60分、15分、3分(V−70)であった。新しい方法における分子量を近づけて、分子量の典型的な範囲をカバーするために、二つの異なる重合度合いを選択(DP=X=100または1000)する。ラジカル開始剤の供給速度は、最終時間として6時間または24時間の何れかにセットする。

0051

反応に供給されるラジカル開始剤溶液の全体の体積は、モノマーの体積(反応体積)に対して10%以下である。即ち、開始剤の希釈溶液が添加される間において、添加される溶媒の合計量は、バルク重合から除去される「モノマー」に伴って除去される溶媒の量までである。最終目的物は、メタクリレートモノマー連なりによる重合の状態で供給される。

0052

広範囲のタイプIおよびタイプIIの光開始剤を用いることができること、および、速度/刺激の強さによる効果の実験をシミュレーションすることが期待される。

0053

遷移金属錯体のための、ラジカル開始剤または還元剤の周期的な添加/形成を実験する重合反応の開始条件を規定するためにデザインされる他のシミュレーションは、以下に示すパラメータの範囲を検討する;
・モノマーのタイプ(異なるタイプのモノマーおよび触媒によって適用される活性化および非活性化と同様に、伝播(propagation)および停止における異なる速度定数)。スチレン、アクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸メチルは、ラジカル重合可能なモノマーの三大分類をカバーしている、初期の三つの典型的なモノマーである。
・ラジカル開始剤のタイプ(分解の異なる速度定数、また温度に依存する)
・触媒のタイプ(活性化および非活性化の異なる速度定数)
・重合の度合い(DP)(低いMWおよび高いMWの両方)
・温度(ラジカル開始剤の分解速度の変化、および他の全ての速度定数)
・ラジカル開始剤/アクチベータの供給速度および供給方法(遅い、速い、周期的)。

0054

試薬の比および濃度等の他のパラメータは、開始時は定数を維持したが、その後は銅および開始剤の量を最小化するために、および重合速度を最適化するために変化させた。

0055

図3は、反応速度プロット、分子量および多分散度(PDI)、対(vs.)、ICARATRPの供給方法を通じて合成されたPMMAにおける転化率およびGPCの痕跡(trace)のシミュレートを示す。図3に示した結果は、実験条件として、供給時間10時間に亘って添加される開始剤の濃度を一定にして、90℃において、MMA/DEBMM/CuIIBr2/TPMA/AIBN=500/1/0.025/0.025/0.05(容積比)でシミュレーションを行った結果である。直線的な反応速度、分子量についての良好な制御、低いPDI、および分子量の単峰性(monomodal)分布は、重合を良好に制御することができることを示している。

0056

シミュレーションのシリーズは、典型的なモノマーであるメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、およびスチレンを用いることで行われた。これら三つのモノマーに対するシミュレーションの初期のシリーズからの結果は、1L反応器内で行われる反応の出発点を規定する。実験結果に基づいて、検討された重合系の充分な最適化のために、シミュレーションにおいて、幾つかの追加の変化を行うことができる。

0057

シミュレーションの同様のシリーズは、光刺激を制御することによってラジカル形成速度を制御することができるのであれば、用いる光応答性開始剤を決定するために行われる。

0058

シミュレーションの同様のシリーズは、「枯渇させた」(starved)供給条件および改善された制御結果の下でARGETATRPを行うことができるのであれば、用いる還元剤を決定するために行われる。

0059

〔重合実験〕
ICARATRPの新しい「供給」方法を用いた重合実験は、加熱マントル攪拌装置および熱電対を備えたAce Glass反応器中、1Lスケールで三つの代表的なモノマー(MMA,nBA,St)について実行された。この反応スケールにおいて、チャレンジは、背景技術の項で論議したように、重要になる発熱性と同様に熱移動および粘度と関連付けられ、そして図1に示す。これらファクターは、コンピュータ・モデリング・ソフトウエアによって考慮することはできない。それゆえ、幾つかの調節は、実際のICAR ATRP実験の実施例における新しい「供給」方法を充分に最適化することによって実施した。

0060

それでもなお、開始時の各モノマーは、コンピュータ・シミュレーションによって条件が開始時に最適化されて重合された。追加の調節は、重合の間、制御をさらに増加することによって実施した。これら調節は、各モノマーの下で明確にした。

0061

以下に記載した実験番号は、実験の内部番号(tracking)として用いられた番号であり、どのような更なる意義を有するものではない。

0062

〔比較例C1〕
還元剤としてSn(EH)2を用いたMMAのARGETATRP:RUN 07−004−83:スケール・1L反応器
条件:MMA/DEBMM/CuBr2/TPMA/Sn(EH)2=2200/1/0.015/0.06/0.1、DMF中(MMAに対して0.05容積当量(volume eq.)),(Cu:7ppm),温度T:65℃
重合はバルクで65℃にて実施した。反応は、Mnを理論値に近づけ、低いPDIとすることで充分に制御した。反応の反応速度、および実験中に取り出したポリマーサンプルのGPCの結果を、図4に示す。27.6時間後の、ポリマーの重合の最終度合い(DP)は890であり、Mn(GPC)=90,000(多分散性:1.17)であった。低分子量の小さなテーリングが、GPCの痕跡として認められた。

0063

〔比較例C2〕
比較例C1で合成したポリマーの鎖延長:RUN 07−004−84:スケール・25mLシュレンクフラスコ
条件:St/PMMA/CuBr2/TPMA/Sn(EH)2=5000/1/0.02/0.06/0.2、アニソール中(Stに対して0.1容積当量),(Cu:4ppm),温度T:80℃(高分子開始剤として07−004−83)
反応の反応速度、および実験のGPCの結果を、図5に示す。実験中に取り出したポリマーサンプルのGPCの結果は、比較例C1で形成したPMMA高分子開始剤のStによる鎖延長が充分に成功しなかったことを示している。このことは、高分子開始剤の狭いPDIにおける鎖末端の機能性は非常に高くないにも拘らず、4000分反応後、一部の高分子開始剤は、二峰性の(bimodal)分子量分布の結果として、鎖を延長しないと断定することができる。

0064

鎖末端の機能性が低い一つの理由は、高分子量かつ鎖末端が高機能性のPMMAを合成するために異なる還元剤を用いなければならないことを示している、Sn(EH)2の成長ラジカルの転移反応である。

0065

〔比較例C3〕
ラジカル開始剤としてAIBNを用いたMMAのICARATRP:RUN 07−004−85:スケール・1L反応器
条件:MMA/DEBMM/CuBr2/TPMA/AIBN=2400/1/0.02/0.025/0.15、アニソール中(MMAに対して0.03容積当量),(Cu:8ppm),温度T:55℃
反応の反応速度、および実験中に取り出したポリマーサンプルのGPCの結果を、図6に示す。この比較例において、MMAの重合は、比較例C2で記載した鎖延長反応の間に明白となったSn(EH)2の転移反応を避けるために、Sn(EH)2に替えてAIBNの存在下、バルクで55℃にて実施した。45.5時間反応後、重合が充分に制御されたことを示す理論値に近いMnおよび低いPDIを伴った、ポリマーのDPは894であり、Mwは89,500であった。テーリングは、GPCの痕跡として認められず、重合プロセスの間に転移反応が起こらなかったことを暗示している。

0066

〔比較例C4〕
比較例C3で合成したポリマーの鎖延長:RUN 07−004−89:スケール・25mLシュレンクフラスコ
条件:St/PMMA/CuBr2/TPMA/Sn(EH)2=5000/1/0.02/0.06/0.2、アニソール中(Stに対して0.1容積当量),(Cu:4ppm),温度T:80℃,反応時間:40.2時間,高分子開始剤としてサンプルC3(07−004−85)
反応の反応速度、および実験中におけるポリマーサンプルのGPCの結果を、図7に示す。C3のPMMAのStによる鎖延長は成功した。C3のPMMAにおける鎖末端の機能性は、C1のPMMAよりもはるかに高く、延長後に二峰性の(bimodal)分子量分布は認められず、実験中に取り出したポリマーサンプルの、ほんの小さなテーリングが、GPCの痕跡として認められた。この結果は、C1のPMMAにおける鎖末端の機能性が低い一つの理由がSn(EH)2の転移反応であることを立証している。ICARATRPか非遷移金属かの何れかをベースとする還元剤は、鎖末端が高機能性のPMMAを得るために用いられなければならないことが示された。

0067

〔比較例C5〕
ラジカル開始剤としてAIBNを用いたMMAのICARATRP:RUN 08−006−48:スケール・1L反応器
条件:MMA/DEBMM/CuBr2/TPMA/AIBN=2400/1/0.025/0.03/0.2、バルク中(内部標準としてアニソール),(Cu:10ppm),温度T:55℃,反応時間:41.6時間
反応の反応速度、および実験中に取り出したポリマーサンプルのGPC曲線を、図8に示す。最終ポリマーのDPは1414であり、Mn(GPC)=141,600であった。重合は初期から充分に制御されていた。最終的なPDIは、サンプル2よりもサンプル3が僅かに高かったが、より高い転化率を試みたときに、フラスコが長時間加熱されたことによって、制御することができない重合が生じ、重大な温度変動遭遇した。このことは、低温度でのガラス状ポリマーの溶液が高粘度となった結果である。高分子量に達したものの、重合溶液の過熱によって生じた固体のガラス状ポリマーおよび攪拌棒の破損によって、鎖末端の機能性は低いかもしれない。

0068

〔実施例1〕メタクリル酸メチル(MMA)の重合
MMAの重合は、ICARATRPのための新しい「供給」方法を初めて用いることにより実行された。最適な重合条件は、コンピュータ・モデリングおよび1Lスケールの反応器でのテストによって選択された。反応器内部の温度は、反応中に温度制御を成し遂げるレベルの追加の情報を供給するために、反応器の壁と加熱マントルとの間における、反応器外部に位置する第二の熱電対と共に、熱電対を用いて追跡した。二つの熱電対間における温度の違いは、この系での熱移動の効率に結び付けることができる。熱移動の効率は、粘度によって有意に変わるかも知れない。また、熱移動の効率は、重合の制御に影響するであろう。

0069

コンピュータ・モデリングで考慮に入れない他の要因は、粘度の高い溶液中に供給した後のラジカル開始剤の拡散速度である。ラジカル開始剤は、有意な分解が起こる前に、一様に分散していなければならない。このことを検討するために、重合の異なる段階(溶液が次第により高い粘度になっていくとき)において、着色染料注入し、その分布時間を(視覚的におよび/または分光学的に)評価する。この検討結果は、大きなスケールの反応器での最適な制御に要求される注入位置分布情報を与える。

0070

本発明に係る方法を用いたMMAの重合
コンピュータ・シミュレーションの結果は、10回のテスト反応の出発点として用いた。これにより、制御された重合を得るために用いられなければならないリガンドの過剰量を決定した。重合は直線的な反応速度を示し、分子量は理論値に近づいた。しかしながら、低いDPを目標としたとき、PDIは全くブロードのままであった(図9)。更なる反応を、開示した供給方法を用いたPMMAの合成の最適化を行うために実施した。初期の実験を通じた結果および所見は、拙い結果、ブロードなPDIの理由が、ICARATRP系におけるDEBMMの非常に低い開始時の効率、数時間の反応の後でさえGCの痕跡として認められる開始剤からのシグナルにあることを示した。高いDPのポリマーのために、分子量は理論値よりも低く、PDIは転化率に伴って初期には減少するものの、高い転化率では増加する(図10)。他の所見は、重合混合物が反応時間の経過と共に濁ってくることである。このことは、おそらく、大部分の重合反応の終点における制御を失う原因である。これは、ATRP開始剤(DEBMM)の選択が、副反応および銅触媒の非常に低い濃度分布の主たる原因であると決定される。

0071

それゆえ、より効率的な開始剤であるBrPNを、AIBNの供給と共にICARATRPにおいてテストして、良好な結果を得た。

0072

MMAを用いた始めの反応を行った後、実験の結果およびシミュレートの結果を比較した。相違点は、熱移動、粘度、開始剤の拡散、不純物、および系内の空気量の影響であるとすることができる。これら所見は、反応器が攪拌装置を備えていなければならないことを示している。拡散および熱移動に関する問題点をさらに減らすために、反応は、(モノマーまたは溶媒を用いて)希釈し、低い転化率で停止する(未反応のモノマー(希釈物)は回収して再利用することができる)ことができる。添加された開始剤の単一の出所を伴う、このスケールでの反応条件を最適化するために、追加の実験を行った。温度、目標とするDP、ラジカル開始剤の供給速度、リガンドの濃度、およびCu触媒の量を含むパラメータを調整した。

0073

〔実施例2〕アクリル酸n−ブチルの重合
アクリル酸n−ブチルの重合についてのコンピュータ・シミュレーション
図2に示すのと同様のコンピュータ・モデルを構築して、アクリル酸n−ブチル(nBA)の重合シミュレーションを行った。シミュレーションの主たる目的は、ソフトウエア内で変化する幾つかの異なるパラメータによる実際の重合実験の開始条件(ラジカル開始剤のタイプ、重合の度合い(DP)、ラジカル開始剤の供給速度)を見出すことである。

0074

開始剤/アクチベータの供給の制御を伴った新しい重合方法の目的の一つは、できるだけ速く、同時に、それでも制御されたプロセスを有する重合反応を作ることである。PMMAの場合において、PnBAについてのシミュレート結果の評価は、これらファクターおよび導入された新しい評価スケールに基づいている。nBAタイプのモノマーにおける比較的速い反応のために、スケールは、MMAについてのスケールと僅かに異なっている。

0075

制御スケールに関する説明
非常に良い:6時間以下での反応後の転化率>99%、および、PDI<1.15、および、直線的な反応速度との相関性>98%
良い:10時間以下での反応後の転化率 95〜99%、または、PDI 1.15〜1.20、または、相関性 95〜98%
中程度:20時間以下での反応後の転化率 80〜95%、または、PDI 1.20〜1.25、または、相関性 85〜95%
悪い:20時間以下での反応後の転化率 <80%、または、PDI >1.25、または、相関性 <85%
それぞれのシミュレートされた重合について調整された、全ての率(rates)および速度定数を、下記表1に示した。

0076

0077

殆ど全てのケースにおいて、結果として生じたポリマーは低いPDIを有し、高い鎖末端の機能性を示し、分子量は理論値に近づいた。高い重合速度は、大抵の反応において(高いDPにおいてさえ)観察され、これが、非直線的な反応速度が観察されてから、大抵のシミュレーションがここで「良い」と評価された理由である。結論として、新しい「供給」方法を用いたnBAの重合についてのシミュレーションは成功し、最適な条件が見出された(例えば、シミュレーション25,25b,(図11参照)26〜29,31,33,37〜43,45,47)。全体的に、これらは、低いT(温度)または高いT、異なるラジカル開始剤または異なる供給速度を用いたときの重合について制御するという観点から、有意な差異が無い。予期されることとして、反応は、V−70、高いT、或いは速い供給速度によって速くなる。アクリル酸塩に対するラジカル開始剤の供給による正の(positive)効果は、後述するMMAまたはStに対する効果よりもはるかに高い。供給しないことを適用(シミュレーション25a)したときの、nBA(高いPDI)の重合は、制御することができない(図1)。

0078

コンピュータ・ソフトウエア・シミュレーションを用いて最適化した条件は、1Lスケールの実験に用いた。nBAについてのこれら実験を通じて得られた結果を以下に示す。

0079

〔実施例2A〕ICARATRP供給の枯渇によるPnBAの調製
四つの最良の重合条件が、モデリング段階および1Lスケールの反応器での最初のテストから選択された。実験のための準備(set up)は、MMA系のときと比較して、一つ異なっている。即ち、反応器は、アクリル酸塩の反応が大量の発熱を伴うので、安全性が必要とされることから、冷却器を備えている。背景技術の項で議論したように、我々は、「枯渇」させた供給方法によって発熱効果が甚だ小さく(much less)なることを予期した。調整されたパラメータは、温度、目標とするDP、ラジカル開始剤の供給速度、リガンドの濃度、およびCu触媒の量である。

0080

RUN:08−006−57
スケール:1L反応器
条件:nBA/DEBMM/CuBr2/TPMA/AIBN=2000/1/0.02/0.04/0.04、バルク中(内部標準としてアニソール),(Cu:10ppm),温度T:90℃,反応時間:7.5時間
15mlのトルエンに34.5mgのAIBNが含まれてなるAIBN溶液の添加速度を、添加されたATRP開始剤の量と比較して0.01当量(eq.)AIBN/hの添加に相当する、2ml/hとした。反応器内の最初の液体量は、840mlであった。3時間10分後、温度特性(profile)によって発熱反応を注意して、AIBNの添加を停止し、冷却水通水を開始した。冷却は1分間係属し、停止した。反応温度はゆっくりと90℃に回復し、速度を1ml/hに減少させてAIBN溶液の添加を4時間後に再開した。更なる発熱反応は観察されなかった。7.5時間後に反応を停止した。

0081

反応の反応速度、および実験のGPCの結果を、図12に示す。最終ポリマーのDPは700であり、Mn(GPC)は89,900(最終PDI:1.26)であった。

0082

最も批判的な観察は、重合の温度が充分に制御されていることであり、図1に示す結果と対照的に、この反応は、最初の3時間を通じて添加されるAIBNの低い絶対(absolute)量の結果として、過度に発熱しないことであり、停止反応によって形成されるCuBr2/TPMA触媒の濃度を開始剤の濃度が即時に(instantaneous)超えるとき、結果として生じる発熱(exotherm)は、開始剤の添加を停止することによって容易に制御することができることである。より高い転化率における停止のより遅い速度は、AIBNのより遅い添加速度を要求する粘度の増加によって生じる。

0083

それゆえ、この実施例では、開始剤の「枯渇」させた供給という考え方が制御の改善を与えるということが決定された。

0084

〔実施例2B〕 nBAの重合
シミュレーション37からの重合条件は、70℃でV−70の供給を伴うRUN 08−006−194の出発点を得る。重合は、初期(誘導期)は非常に遅く、2時間後に重合速度は有意に増加した。転化率は、たった4時間反応後に96%に達した。この速い重合プロセスは、充分に制御できなかった。分子量が理論値に近づいたにも拘らず、PDIは高く(>1.7)、転化率と共に低下しなかった。全てのシミュレーションにおいて、誘導もまた明確に認められた。この結果は、重合速度が増加する前に、有意な量の開始剤が消費されなければならないことを示唆している。それゆえ、RUN:08−006−195において、nBAの開始剤に対する高いモノマー比(DP=1000)を使用した。重合を通じての制御が有意に改善されていることは、図13から判る。前記ケースでは、反応速度プロットは直線的でないものの、分子量は理論値に近づいた。GPCの痕跡は単峰性であり、反応時間に伴ってシフトしていた。合成されたポリマーの分子量分布は、重合の間にPDI=1.78からPDI=1.31に減少した。誘導期はおよそ5時間であり、その後、図14に示すように、強い発熱効果が観察された。温度は70℃から110℃に上昇した。発熱効果は、反応混合物へのV−70の添加を停止することにより、制御した。添加を停止した後、反応器内部の温度の、多少の更なる上昇の上に、重合は停止した。

0085

この実験は、「供給」方法が発熱重合反応に対して安全であることを立証した。発熱効果の制御は、分子量、PDI、および最終ポリマー物質の相関性を通じての制御と同様に、安全性の点から、非常に重要かも知れない。

0086

nBAの重合についての追加の実施例はまた、高いDP、並びに、誘導期を減少させるために重合プロセスの初期に添加されるV−70の少ない量を、目標としている。より低いDPを伴うnBAの重合はまた、銅触媒のより多い量を伴って繰り返される。両方の反応において、良好に制御された重合が観察された。

0087

〔実施例3〕スチレン(St)の重合
ICARATRPのための新しい「供給」方法によるスチレンの重合は、MMAモノマーについての方法(strategy)と同様の方法を用いて行った。四つの最良の重合条件が、コンピュータ・モデリング段階および1Lスケールの反応器でのテストから選択された。予備試験後、表2に詳述する、改良された条件で行った追加の実験の結果が得られた。

0088

調整されたパラメータは、温度、目標とするDP、ラジカル開始剤の供給速度、リガンドの濃度、およびCu触媒の量である。

0089

0090

重合反応速度は、ガスクロマトグラフィー(GC)および/または核磁気共鳴(NMR)によってモノマーの消失速度を測定することによって追った。合成されたポリマーは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって特色付けられるであろう。モノマーMの成功した重合は、単峰性で狭い分子量分布(PDI<1.4)を伴ったポリマーP(M)になるべきである。合成されたポリマーの分子量は、式2から導き出される(predicted)理論値に近づくべきである。

0091

0092

本発明に係る方法を用いたSt重合の実施例
スチレン(St)のために、コンピュータ・モデルを構築し、その重合シミュレーションを行った。AIBNの供給を伴うICARATRPを用いたSt重合の全ての結果を、表2に示す。実験WJ−08−008−190において、Stは、50ppmのCuBr2と共に開始剤としてDEBMMの存在下、およびTPMAの過剰下で重合された。重合は100℃で行い、AIBNをDEBMMに対して一時間あたり0.004当量供給した。重合は、10.5時間で転化率56%に達した。直線的な反応速度が観察され、分子量は理論値に非常に近づいた。この実験において、PDIは反応時間と共に(during)1.35から1.16に減少した。全体的に見て、プロセスは充分に制御された。

0093

第二の反応であるWJ−08−006−192において、重合速度を加速するために、AIBNの高い添加速度を適用した(図15)。加えて、重合の初期段階において大部分のCu(II)をCu(I)に還元するために、t=0において、反応混合物に少量のAIBNを添加した。重合は大方2倍速くなり、9時間で転化率81%に達した。反応速度プロットは一次従属(linear dependence)であり、分子量は理論値に近づいた。GPCの痕跡は単峰性であり、反応時間に伴ってシフトしていた。合成されたポリマーの分子量分布は、重合と共に(during)1.39から1.15に減少した。このデータは、プロセスが充分に制御されていることを立証している。

0094

表2に記載されている最後の反応である反応(WJ−08−006−193)において、Stの重合は、高いDPを目標として行われた。Stは、50ppmのCuBr2と共に開始剤としてDEBMMの存在下、およびTPMAの過剰下で重合された。重合は100℃で行い、AIBNをDEBMMに対して一時間あたり0.008当量供給した。9時間後、AIBNの添加を停止し、加熱を止めた。図16から明らかなように、重合プロセスは、開始剤の添加を停止した後、直ちに停止した。反応器は、一晩(冷却装置を用いないで)放冷させた後、21.6時間後に110℃まで再び加熱した。このとき、AIBNの供給を、同じ添加速度で再開した。反応速度プロット、図17、および、図16の転化率プロットに対する分子量から明らかなように、この反応は、充分に制御された方法で再開された。

0095

反応の第二段階(phase)ではより高い温度のために、重合速度はより速かった。図16は、内側の重合混合物および反応器の外壁上に配置された熱電対による、反応器の外側と同様に内側の温度もまた示している。温度特性(profile)は、両方の熱電対からの温度の差が類似しており、反応を通じて何時でも上昇しないことから、良好な熱移動を示している。

0096

このデータのセットは、新しい「供給」プロセスが充分に自動化することができること、および、制御された供給を伴うICARATRPが、高いDP’sと同様に低いDP’sにおいてもPStの合成にうまく適用することができること、を立証している。

0097

それゆえ、発明の一実施形態において、我々は、ラジカル開始剤を添加しない分解速度が、CRP速度を制御するファクターの一つであること、および、分子量、分子量分布、および、形成された(コ)ポリマーの鎖末端の機能性に亘る制御のレベル、について開示している。

0098

発明の他の実施形態において、我々は、反応媒体の温度が目標とする温度を超えて動いたならば、開始剤/還元剤の添加を終結して更なる発熱をなくすること、および、温度が目標とする温度からひとたび下がると、重合反応を再開するために開始剤/還元剤の供給を開始することができること、について開示している。

0099

開示したプロセスの別の実施形態では、NMP中における難分解性のラジカルの濃度を通じての連続的な制御が教示されている。この実施形態において、添加した開始剤の分解速度は、安定なフリーラジカルの濃度および伝播(propagation)速度の減少を作り上げる以外の、ラジカル/ラジカル停止反応の速度と釣り合わせるように選択される。

0100

開示したプロセスのさらに別の実施形態は、RAFT重合に関する。RAFT重合において、重合速度は、開始剤の添加速度によって制御される。常態では、反応温度が、反応の各段階中、重合容器を通じて充分に制御できないのであれば、開始剤の全ては、反応の開始時に、反応に添加され、これにより開始剤の分解速度の増加を導くことができる。

0101

発明の別の実施形態においては、光応答性ラジカル開始剤が用いられ、ラジカルの発生速度は、光刺激の間欠的な制御によって制御される。

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