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課題・解決手段
本発明は、高圧端子(9)と、この高圧端子(9)を点火プラグ(3)に電気的に接続するためのバネ(15)とを有する点火コイルに関する。ここで、点火プラグ(3)に面している、バネ(15)の接触部分(15.3)は、バネ(15)の他の部分(15.1,15.2)よりも小さな外周を有している。また、本発明は、点火コイル(3)のバネ(15)に接触させるための接触領域(30)を含む点火プラグにも関する。ここで、この接触領域(30)は、環状に閉じた壁部領域(32)に取り囲まれた凹陥部(31)を有しており、この凹陥部(31)は点火コイルのバネ接触部分(15.3)を収容するために用いられる。さらに、本発明は、本発明による点火プラグ及び/又は点火コイルを含む点火装置に関する。
概要
背景
点火コイル、点火プラグ並びにこれらの点火コイル及び点火プラグから成る点火装置は、種々異なる実施形態の従来技術から公知である。例えば、DE102007026669A1には、高圧端子を有し、該高圧端子と点火プラグとの間の電気的な接続のためのバネを備えた点火コイルが開示されている。ここでのバネは、保護カバーによって覆われている。そのため、当該バネと、点火プラグの接触領域との間のコンタクトが次のように形成されている。すなわち、前記バネが円すい状に拡張された接触部分を有し、この接触部分が点火プラグの接触領域にかぶさるように形成されている。いずれにせよこの種の点火プラグは、基本的には、最新エンジンの構造空間を一層狭めることがわかっている。また、プラグホールの直径を小さくすることも1つの可能性として存在する。ただし、バネ端部の角が鋭くなってしまうと、このバネ端部とプラグホールとの間の電界強度を不所望に高めてしまい、このことと、この箇所での比較的高い電圧要求とに基づいて、絶縁破壊を起こしてしまう危険性が高まる。このようなことは絶対に避けなければならない。それ故に、特に構造空間を縮小しつつも点火プラグと点火コイルの間の接続を良好に保つことが望まれている。
発明の開示
本発明の請求項1の特徴を有する点火コイルの利点は、簡単且つ確実に点火コイルと点火プラグとの接触を形成することができ、この点火コイルを特に簡単且つ低コストで作製することができる点にある。また、本発明による点火コイルによって保証されることは、とりわけ、点火プラグとの接触領域において、特に点火コイルのバネの半径方向で非常に小さな構造空間しか必要としないことである。さらに、点火コイルのバネ端部における接触部分の確実な遮蔽を実現することができる。この遮蔽は、本発明によれば、点火コイルが点火プラグに向いているバネの次のような接触部分を有することによって実現されている。すなわち、残りのバネ部分よりも小さな外周しか持たない接触部分である。この小さな接触部分の外周により、アースされたシリンダーヘッドに対する半径方向で非常に良好な遮蔽が実現される。有利には、この遮蔽は点火プラグの接触領域に設けられている凹陥部によって行われる。この凹陥部は環状に取り囲む壁部領域を有しており、この壁部領域が、点火コイルの取り付けられた状態において外周の狭められたバネ接触部分を収容し遮蔽する。
従属請求項は本発明の有利な実施形態に示されている。
有利には、バネの外径の小さな接触部分は、先細、特に円すい状に先細になるように形成されている。これによって、点火コイルを点火プラグに取り付ける間、バネの先細の接触部分による付加的なセンタリング効果が実現される。さらに、この先細の領域は付加的に、取り付けられた状態においてバネを良好に固定するために用いられており、これによって、例えばエンジン内で振動が発生してもバネの先細の接触部分での動きが小さいことにより摩耗は低減されてしか生じない。バネ接触部分が円すい状に形成されている場合には、この接触部分は実質的に円すい台状の外面を有する。ここで、この円すい台状の外面は、有利には40°と60°との間の開度(α)、特に有利には50°の開度(α)を成している。
代替的には、外周の狭められたバネ接触部分は円筒状であり、実質的にバネの別の部分の外径より小さな外径を有している。これによって、バネ接触部分の遮蔽も良好に保つことができる。また、この接触部分を相応に形成された点火プラグの凹陥部内に特に確実に載置することができる。
バネ接触部分における動きの生じるすきまをできる限り小さくするために、有利には、このバネ接触部分がひとかたまりになるように、すなわちバネ接触部分の隣接する巻回部が相互に密着するように配置されている。
また、本発明は、点火コイルのバネに接触させるための接触領域を含む、請求項7の特徴を有する点火プラグにも関する。この点火プラグの接触領域は、環状に閉じた壁部領域に取り囲まれた凹陥部を有している。この凹陥部は点火コイルのバネ接触部分を収容するために用いられており、この壁部領域は半径方向におけるバネ接触部分を遮蔽する。有利には、点火プラグの凹陥部の開口部はバネの中心軸線に対して垂直に向いており、これによって、凹陥部内でのバネの収容が確実且つ簡単に実現される。したがって、本発明によれば、凹陥部を設けることによってバネ端部の遮蔽を非常に低コスト且つ確実に実現することができ、バネ端部における電界強度が不所望に高められることがなくなるのである。この場合、とりわけ、点火プラグの半径方向の構造空間を節約することができるので、例えば点火プラグのためのシリンダーヘッド内の孔を一層小さな直径にすることができる。
有利には、凹陥部は点火プラグの中心軸線の方向で先細になっており、点火コイルのバネ接触部分を簡単に誘導することができる。この凹陥部の先細形態は、有利には円すい状であり、特に40°と60°との間の開度を有する、特に有利には50°の開度を有する。代替的に、点火プラグの接触領域における凹陥部を円筒状に形成しても、同様に凹陥部を簡単且つ低コストで作製することができる。別の代替形態によれば、この接触部分は球欠又は放物面として形成してもよい。
さらに有利には、凹陥部の深さは、前記点火コイルのバネのバネワイヤの直径に等しいか、又はより大きい。これによって保証されるのは、バネ端部の少なくとも1つの完全な巻回部分が点火プラグの凹陥部内に配置されるということである。しかしながら、有利には、この凹陥部の深さは、バネの少なくとも2つの完全な巻回部分が収容可能なように選択される。さらに有利には、この凹陥部を取り囲む壁部領域の最小の厚さはバネのワイヤ径に相当する。
点火コイルのバネと点火プラグとの間の接触を特に確実に実現するために、凹陥部は環状の底部領域を有する。これによって、バネの最後の巻回部分を凹陥部の底部領域に確実に載置することができる。この場合、さらに有利には、凹陥部の底部領域から壁部領域への移行部分が面取り処理部を有するようにされている。特に有利には、点火コイルのバネのワイヤの半径に相当する半径を有する面取り処理部が選択される。この半径は、有利には0.3mmと0.5mmとの間であり、特に有利には0.4mmである。さらに有利には、凹陥部の深さは底部領域の半径より小さい。これによって保証されるのは、軸線方向における点火プラグの接触領域を過度に長くしないということである。代替的には、底部領域と壁部領域との間の移行部分は角のとがった形状にしてもよい。
さらに、本発明は、本発明による点火プラグ及び/又は本発明による点火コイルを含む点火装置にも関する。この点火プラグは、環状に閉じた壁部領域に取り囲まれた凹陥部を有する接触領域を備えている。上記点火コイルは、点火プラグの凹陥部内に配置された接触部分を有するバネを含む。これによって、本発明による点火装置はバネ端部と点火プラグとの間での接触が優れたものとなり、また、バネ接触部分は凹陥部内に確実に収容される。この場合、凹陥部の底部領域を介しても、この凹陥部を取り囲む壁部領域を介してもバネ端部と点火プラグとの間で接触を行うことができる。これによって、バネ端部を取り囲む、点火プラグの壁部領域は、接触を良好に保つだけでなく、良好な遮蔽も保証する。この場合、本発明による点火装置は、点火プラグの半径方向にはり出す構造空間は持たず、有利にはさらに小さな形態となることができる。これによって、最新エンジンにおける特に厳しい構造空間に関する要求を守ることができ、点火プラグ及び点火コイルのために、シリンダーヘッド内で必要とされる孔部を相応に小さくすることができる。
有利には、本発明による点火装置は、点火プラグの凹陥部の外面が点火コイルのバネ接触部分の外面に対して相補的であるように構成されている。これによって、凹陥部の形状とバネ接触部分の形状とが対応するため、点火プラグと点火コイルとの両方の接触領域が相互に適合するような形態となる。このことは、取り付け以外に両方の部材間での接触も簡単にする。代替的には、例えば接触部分を円筒状にする且つ凹陥部を円すい状にするように、凹陥部の外面と接触部分の外面とを相互に非相補的に設けてもよい。
有利には、軸線方向の凹陥部の深さは少なくとも点火コイルのバネのワイヤ径に等しいか、又はより大きい。有利には、この凹陥部の深さは、バネのワイヤ径の2倍から3倍大きい。さらに有利には、壁部領域の厚さはバネのワイヤ径に等しいか、又はより大きい。軸線方向における凹陥部の深さは、有利には1.2mmと1.6mmとの間であり、特に有利には1.5mmである。バネワイヤの直径は、有利には0.5mmと0.8mmとの間であり、特に有利には0.6mmである。
本発明の別の有利な実施形態によれば、バネ接触部分は点火プラグの壁部領域にしか接触しない。これによって、摩耗を最小限にすることが保証され、ただ1つの箇所での接触が可能になる。
次に、本発明の有利な実施例を添付の図面に関連して詳細に説明する。
概要
本発明は、高圧端子(9)と、この高圧端子(9)を点火プラグ(3)に電気的に接続するためのバネ(15)とを有する点火コイルに関する。ここで、点火プラグ(3)に面している、バネ(15)の接触部分(15.3)は、バネ(15)の他の部分(15.1,15.2)よりも小さな外周を有している。また、本発明は、点火コイル(3)のバネ(15)に接触させるための接触領域(30)を含む点火プラグにも関する。ここで、この接触領域(30)は、環状に閉じた壁部領域(32)に取り囲まれた凹陥部(31)を有しており、この凹陥部(31)は点火コイルのバネ接触部分(15.3)を収容するために用いられる。さらに、本発明は、本発明による点火プラグ及び/又は点火コイルを含む点火装置に関する。
目的
それ故に、特に構造空間を縮小しつつも点火プラグと点火コイルの間の接続を良好に保つことが望まれている
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
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請求項1
高圧端子(9)と、該高圧端子(9)を点火プラグ(3)に電気的に接続するためのバネ(15)とを有する点火コイルであって、前記点火プラグ(3)に向いている、前記バネ(15)の接触部分(15.3)は、前記バネ(15)の他の部分(15.1,15.2)よりも小さな外周を有している、ことを特徴とする点火コイル。
請求項2
請求項3
請求項4
請求項5
請求項6
前記バネ(15)の接触部分(15.3)は正確に2つの巻回部分又は3つの巻回部分を含んでいる、請求項1から5のいずれか1項記載の点火コイル。
請求項7
点火コイル(2)のバネ(15)に接触させるための接触領域(30)を含む点火プラグであって、前記接触領域(30)は環状に閉じた壁部領域(32)に取り囲まれた凹陥部(31)を有しており、該凹陥部(31)は前記点火コイルのバネ接触部分(15.3)を収容するために用いられることを特徴とする点火プラグ。
請求項8
前記凹陥部(31)は前記点火プラグの中心軸線(12)の方向で先細になっている、請求項7記載の点火プラグ。
請求項9
前記凹陥部(31)は円すい状に先細になっている、有利には40°と60°との間の開度(α)で先細になっている、特に有利には50°の開度(α)で先細になっている、請求項8記載の点火プラグ。
請求項10
前記凹陥部(31)は円筒状に形成されている、請求項7記載の点火プラグ。
請求項11
前記凹陥部(31)の深さ(T)は、前記点火コイルのバネ(15)のバネワイヤの直径(D)に等しいか、又はより大きい、請求項7から10のいずれか1項記載の点火プラグ。
請求項12
前記凹陥部(31)は環状の底部領域(33)を有している、及び/又は前記凹陥部(31)は前記点火プラグの中心軸線(12)に同心的である、請求項7から11のいずれか1項記載の点火プラグ。
請求項13
前記壁部領域(32)の最小の厚さは、前記点火コイルのバネ(15)のバネワイヤの直径(D)に等しいか、又はより大きい、請求項7から12のいずれか1項記載の点火プラグ。
請求項14
請求項1から6のいずれか1項記載の点火コイル(2)及び/又は請求項7から13のいずれか1項記載の点火プラグ(3)を含む点火装置であって、前記点火プラグ(3)は、前記点火コイル(2)に接触するための接触領域(30)を有しており、該接触領域(30)は、環状に閉じた壁部領域(32)を有する凹陥部(31)を備えており、前記点火コイル(2)のバネ(15)の接触部分(15.3)は前記凹陥部(31)内に配置されている、ことを特徴とする点火装置。
請求項15
前記凹陥部(31)の外面は、前記点火コイル(2)のバネ接触部分(15.3)の外面に対して相補的である、請求項14記載の点火装置。
請求項16
前記点火プラグ(3)の凹陥部(31)の深さ(T)は、前記バネ(15)のバネワイヤの直径(D)に等しいか、又はより大きく、有利には前記バネワイヤの直径(D)の2倍又は3倍大きい、請求項14又は15記載の点火装置。
請求項17
前記点火コイルのバネ(15)の接触部分(15.3)は前記凹陥部(31)の壁部領域(32)にのみ接触している、請求項14から16のいずれか1項記載の点火装置。
技術分野
背景技術
0002
点火コイル、点火プラグ並びにこれらの点火コイル及び点火プラグから成る点火装置は、種々異なる実施形態の従来技術から公知である。例えば、DE102007026669A1には、高圧端子を有し、該高圧端子と点火プラグとの間の電気的な接続のためのバネを備えた点火コイルが開示されている。ここでのバネは、保護カバーによって覆われている。そのため、当該バネと、点火プラグの接触領域との間のコンタクトが次のように形成されている。すなわち、前記バネが円すい状に拡張された接触部分を有し、この接触部分が点火プラグの接触領域にかぶさるように形成されている。いずれにせよこの種の点火プラグは、基本的には、最新エンジンの構造空間を一層狭めることがわかっている。また、プラグホールの直径を小さくすることも1つの可能性として存在する。ただし、バネ端部の角が鋭くなってしまうと、このバネ端部とプラグホールとの間の電界強度を不所望に高めてしまい、このことと、この箇所での比較的高い電圧要求とに基づいて、絶縁破壊を起こしてしまう危険性が高まる。このようなことは絶対に避けなければならない。それ故に、特に構造空間を縮小しつつも点火プラグと点火コイルの間の接続を良好に保つことが望まれている。
0003
発明の開示
本発明の請求項1の特徴を有する点火コイルの利点は、簡単且つ確実に点火コイルと点火プラグとの接触を形成することができ、この点火コイルを特に簡単且つ低コストで作製することができる点にある。また、本発明による点火コイルによって保証されることは、とりわけ、点火プラグとの接触領域において、特に点火コイルのバネの半径方向で非常に小さな構造空間しか必要としないことである。さらに、点火コイルのバネ端部における接触部分の確実な遮蔽を実現することができる。この遮蔽は、本発明によれば、点火コイルが点火プラグに向いているバネの次のような接触部分を有することによって実現されている。すなわち、残りのバネ部分よりも小さな外周しか持たない接触部分である。この小さな接触部分の外周により、アースされたシリンダーヘッドに対する半径方向で非常に良好な遮蔽が実現される。有利には、この遮蔽は点火プラグの接触領域に設けられている凹陥部によって行われる。この凹陥部は環状に取り囲む壁部領域を有しており、この壁部領域が、点火コイルの取り付けられた状態において外周の狭められたバネ接触部分を収容し遮蔽する。
0004
従属請求項は本発明の有利な実施形態に示されている。
0005
有利には、バネの外径の小さな接触部分は、先細、特に円すい状に先細になるように形成されている。これによって、点火コイルを点火プラグに取り付ける間、バネの先細の接触部分による付加的なセンタリング効果が実現される。さらに、この先細の領域は付加的に、取り付けられた状態においてバネを良好に固定するために用いられており、これによって、例えばエンジン内で振動が発生してもバネの先細の接触部分での動きが小さいことにより摩耗は低減されてしか生じない。バネ接触部分が円すい状に形成されている場合には、この接触部分は実質的に円すい台状の外面を有する。ここで、この円すい台状の外面は、有利には40°と60°との間の開度(α)、特に有利には50°の開度(α)を成している。
0006
代替的には、外周の狭められたバネ接触部分は円筒状であり、実質的にバネの別の部分の外径より小さな外径を有している。これによって、バネ接触部分の遮蔽も良好に保つことができる。また、この接触部分を相応に形成された点火プラグの凹陥部内に特に確実に載置することができる。
0007
バネ接触部分における動きの生じるすきまをできる限り小さくするために、有利には、このバネ接触部分がひとかたまりになるように、すなわちバネ接触部分の隣接する巻回部が相互に密着するように配置されている。
0008
また、本発明は、点火コイルのバネに接触させるための接触領域を含む、請求項7の特徴を有する点火プラグにも関する。この点火プラグの接触領域は、環状に閉じた壁部領域に取り囲まれた凹陥部を有している。この凹陥部は点火コイルのバネ接触部分を収容するために用いられており、この壁部領域は半径方向におけるバネ接触部分を遮蔽する。有利には、点火プラグの凹陥部の開口部はバネの中心軸線に対して垂直に向いており、これによって、凹陥部内でのバネの収容が確実且つ簡単に実現される。したがって、本発明によれば、凹陥部を設けることによってバネ端部の遮蔽を非常に低コスト且つ確実に実現することができ、バネ端部における電界強度が不所望に高められることがなくなるのである。この場合、とりわけ、点火プラグの半径方向の構造空間を節約することができるので、例えば点火プラグのためのシリンダーヘッド内の孔を一層小さな直径にすることができる。
0009
有利には、凹陥部は点火プラグの中心軸線の方向で先細になっており、点火コイルのバネ接触部分を簡単に誘導することができる。この凹陥部の先細形態は、有利には円すい状であり、特に40°と60°との間の開度を有する、特に有利には50°の開度を有する。代替的に、点火プラグの接触領域における凹陥部を円筒状に形成しても、同様に凹陥部を簡単且つ低コストで作製することができる。別の代替形態によれば、この接触部分は球欠又は放物面として形成してもよい。
0010
さらに有利には、凹陥部の深さは、前記点火コイルのバネのバネワイヤの直径に等しいか、又はより大きい。これによって保証されるのは、バネ端部の少なくとも1つの完全な巻回部分が点火プラグの凹陥部内に配置されるということである。しかしながら、有利には、この凹陥部の深さは、バネの少なくとも2つの完全な巻回部分が収容可能なように選択される。さらに有利には、この凹陥部を取り囲む壁部領域の最小の厚さはバネのワイヤ径に相当する。
0011
点火コイルのバネと点火プラグとの間の接触を特に確実に実現するために、凹陥部は環状の底部領域を有する。これによって、バネの最後の巻回部分を凹陥部の底部領域に確実に載置することができる。この場合、さらに有利には、凹陥部の底部領域から壁部領域への移行部分が面取り処理部を有するようにされている。特に有利には、点火コイルのバネのワイヤの半径に相当する半径を有する面取り処理部が選択される。この半径は、有利には0.3mmと0.5mmとの間であり、特に有利には0.4mmである。さらに有利には、凹陥部の深さは底部領域の半径より小さい。これによって保証されるのは、軸線方向における点火プラグの接触領域を過度に長くしないということである。代替的には、底部領域と壁部領域との間の移行部分は角のとがった形状にしてもよい。
0012
さらに、本発明は、本発明による点火プラグ及び/又は本発明による点火コイルを含む点火装置にも関する。この点火プラグは、環状に閉じた壁部領域に取り囲まれた凹陥部を有する接触領域を備えている。上記点火コイルは、点火プラグの凹陥部内に配置された接触部分を有するバネを含む。これによって、本発明による点火装置はバネ端部と点火プラグとの間での接触が優れたものとなり、また、バネ接触部分は凹陥部内に確実に収容される。この場合、凹陥部の底部領域を介しても、この凹陥部を取り囲む壁部領域を介してもバネ端部と点火プラグとの間で接触を行うことができる。これによって、バネ端部を取り囲む、点火プラグの壁部領域は、接触を良好に保つだけでなく、良好な遮蔽も保証する。この場合、本発明による点火装置は、点火プラグの半径方向にはり出す構造空間は持たず、有利にはさらに小さな形態となることができる。これによって、最新エンジンにおける特に厳しい構造空間に関する要求を守ることができ、点火プラグ及び点火コイルのために、シリンダーヘッド内で必要とされる孔部を相応に小さくすることができる。
0013
有利には、本発明による点火装置は、点火プラグの凹陥部の外面が点火コイルのバネ接触部分の外面に対して相補的であるように構成されている。これによって、凹陥部の形状とバネ接触部分の形状とが対応するため、点火プラグと点火コイルとの両方の接触領域が相互に適合するような形態となる。このことは、取り付け以外に両方の部材間での接触も簡単にする。代替的には、例えば接触部分を円筒状にする且つ凹陥部を円すい状にするように、凹陥部の外面と接触部分の外面とを相互に非相補的に設けてもよい。
0014
有利には、軸線方向の凹陥部の深さは少なくとも点火コイルのバネのワイヤ径に等しいか、又はより大きい。有利には、この凹陥部の深さは、バネのワイヤ径の2倍から3倍大きい。さらに有利には、壁部領域の厚さはバネのワイヤ径に等しいか、又はより大きい。軸線方向における凹陥部の深さは、有利には1.2mmと1.6mmとの間であり、特に有利には1.5mmである。バネワイヤの直径は、有利には0.5mmと0.8mmとの間であり、特に有利には0.6mmである。
0015
本発明の別の有利な実施形態によれば、バネ接触部分は点火プラグの壁部領域にしか接触しない。これによって、摩耗を最小限にすることが保証され、ただ1つの箇所での接触が可能になる。
0016
次に、本発明の有利な実施例を添付の図面に関連して詳細に説明する。
図面の簡単な説明
0017
本発明の第1実施例による点火装置の概略的な断面図
図1の点火装置の点火コイルと点火プラグとの接触領域の拡大図
点火プラグの接触領域の拡大図
本発明の第2実施例による点火コイルと点火プラグとの接触領域の概略的な断面図
0018
発明を実施するための形態
次に、図1から3に関連して、本発明の第1実施例による、点火コイル2及び点火プラグ3を備えた点火装置1を説明する。
0019
図1からは、点火コイル2がコイルケース5を含むことが明らかである。コイルケース5内では、一次コイル6と二次コイル7とが協働し、バッテリ4の低い直流電圧から点火プラグ3のための高い電圧を形成している。一次コイル6は低圧端子8を介してバッテリ4に電気的に接続され、且つ、高圧端子9を介して点火プラグ3に電気的に接続される。点火プラグ3は内燃機関のシリンダーヘッド11のホール10内に配置されている。点火プラグ及び点火コイルの中心軸線には参照符号12が付されている。
0020
また、点火コイル2は、接触部材として絶縁性の保護カバー16に取り囲まれたバネ15を含む。ここで、この絶縁性の保護カバーは高圧端子9も点火プラグ3の接触領域30も取り囲んでいる。接触領域30は点火プラグ3の、長手軸線12方向で点火プラグ3に向いている領域である。図2及び3からは、この点火プラグの接触領域30が凹陥部31を有することが明らかである。凹陥部31は接触領域30の最外縁部に配置されている。凹陥部31は、底部領域33と、この底部領域33を完全に環状に取り囲む壁部領域32とを有している。図3から明らかであるのは、壁部領域32が、凹陥部31の開口部から見て底部領域33の方向に向かって先細に形成されていることである。厳密には、凹陥部31は円すい状に先細になっており、この先細の開度αは50°である。また、点火プラグの接触領域30には半径方向で見て外側を向いている支持肩部34が形成されている。図2からは、この支持肩部34が保護カバー16のための支持を行っていることが明らかである。
0021
また、図1及び2からは、バネ15が3つの主要な部分、つまり密着部分15.1、jバネ部分15.2及び接触部分15.3を有していることが明らかである。ここで、密着部分15.1は、jバネ部分15.2と接触部分15.3とを合計したものよりも数倍長い。代替的に、密着した部分15.1をなくして、その代わりにその部分全体をjバネ部分として形成してもよい。この場合、jバネ部分のピッチをその長さに亘って変化させてもよい。図2から明らかであるのは、接触部分15.3も同様にその端部の方向で先細に形成されているということである。この実施例では、先細の接触部分15.3は正確にバネ15の3つの巻回部分を含んでいる。したがって、接触部分15.3は、点火プラグ3に接触するために形成された、実質的に円すい台形状のバネ端部を形成している。この場合、接触部分15.3の先細部分の開度は、点火プラグにおける凹陥部31の壁部領域の開度αに相当する。バネ接触部分15.3の最後の巻回部分は底部領域33に接することができるが、この接触部分は凹陥部31を取り囲む壁部領域32にも確実に接している。この場合、接触部分と壁部領域との間の接触箇所は1つで十分である。この実施例では、接触部分15.3の第2巻回部分及び第3巻回部分が壁部領域32に接している。これによって、接触部分15.3と点火プラグの接触領域30との間で特に良好な接触が実現される。また、接触部分15.3の巻回部は相互に密着してひとかたまりになるように形成されており、これによって接触が良好に保たれ、バネ接触部分15.3の安定性が確実に向上するようになる。さらに、壁部領域32がバネ端部を取り囲む遮蔽部を有することによって、壁部領域32は、角のとがったバネ端部領域において電界強度の過度な高まりに対する抜群の遮蔽効果を奏するのである。この場合、接触領域30の外周は、従来の点火プラグの場合より大きくはならず、逆に一層小さく形成される。これによって、バネ端部の遮蔽のための構造空間を節約し、ひいてはホール10の直径を小さくできるようになる。
0022
したがって、本発明によれば、点火プラグ、詳細にはその壁部領域32は、点火プラグの接触領域30においてバネ端部を遮蔽するために、別の付加的な部材を必要としない。また、軸線方向における、点火プラグの接触領域30の長さを短くできることにより、軸線方向における構造空間の縮小ももたらす。さらに、点火プラグの接触領域30における材料の節約がもたらされる。これによって、点火プラグのコストがさらに低減されるようになる。代替的に、この領域は絶縁体領域の拡張のために用いてもよい。また、円すい形状の凹陥部31は取り付けの際に、接触部分15.3のいとも簡単な誘導を保証する。さらに、この凹陥部31は、内燃機関が振動している場合であっても凹陥部31内への接触部分15.3の良好な固定を可能にする。その結果として、摩耗が低減され、ひいては点火コイルと点火プラグとの間の接触領域の寿命を伸ばすことにつながる。これにより、点火プラグと点火コイルとの間の本発明による接触手段は簡単且つ低コストで実現可能な目覚ましい改善をもたらす。また、支持肩部34を設けることによって、点火プラグ3への保護カバー16の簡単な固定も可能になる。
0023
図3には、点火プラグ3の接触領域30が詳細に示されており、凹陥部31の深さTはワイヤ径D(図2参照)の約3倍を有する。この実施例では、深さは1.5mmであり、接触領域30は軸線方向で2.8mmの総厚さAを有している。支持肩部34の最大外径Bは7.7mmであり、壁部領域32の外径Cは6.4mmであり、凹陥部31の開口部の直径Eは5mmである。また、壁部領域32の内側壁面から底部領域33への移行部分には丸みR(Radius)がつけられており、この場合、壁部領域32は凹陥部31の開口部においても面取り処理部を有しているので、とりわけ、バネ接触部分15.3を簡単に挿入することができ、保護カバー16も壁部領域32に簡単にかぶせることができる。このことは特に簡単な取り付けを実現する。
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次に、図4に関連して本発明の第2実施例を詳細に説明する。ここで、同じ部材乃至は機能が同じ部材には第1実施例と同じ参照符号が付されている。
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図4からは、第2実施例が実質的に第1実施例に相当することが明らかである。ここで、第1実施例とは異なり、第2実施例では凹陥部31が円すい状ではなく、円筒状に形成されている。これに対応して、バネ15の接触部分15.3も、接触部分15.3のバネの巻回部が円筒状の外面を形成するように構成されている。したがって、接触部分15.3は直径D1の外面を有している。直径D1はバネ15の残りの部分の直径D2よりも小さい。この場合凹陥部31の直径は、接触部分15.3が凹陥部31内に相対的に安定且つ確実に載置されるように選択されている。この実施例でも、壁部領域32はバネ端部を遮蔽するが、そのために付加的な構造空間は必要ない。第2実施例の凹陥部31は特に簡単且つ低コストで作製することができる。点火コイル方向に向いている、壁部領域32の角を面取りすることによって、取り付けの際の、センタリングの確実な補助も同様に実現することができる。この実施例でも同様に、バネ接触部分15.3の巻回部を密着させることによって、特に良好な接触が実現される。その他の点では、この実施例が先行する実施例に相応しているため、そこに記載されている説明を参照することができる。