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技術 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 加藤宙光牧野俊晴小倉政彦大串秀世山崎聡
出願日 2013年7月5日 (7年5ヶ月経過) 出願番号 2013-141218
公開日 2013年12月26日 (7年0ヶ月経過) 公開番号 2013-258407
状態 特許登録済
技術分野 発光ダイオード 半導体のドライエッチング 気相成長(金属層を除く) LED素子(パッケージ以外)
主要キーワード ダイヤモンド領域 ボロンドープダイヤモンド ダイヤモンド素子 間接遷移半導体 粒子位置 紫外線受光素子 JFET 薄膜マスク
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重要な関連分野

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図面 (18)

課題

製造工程を簡素化するとともに、良好なpn接合界面を備えるダイヤモンド半導体装置及びその製造方法を提供する。

解決手段

{100}面を有するダイヤモンド基板10と基板上に形成したp型ダイヤモンド層20と基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状底角50を起点に成長したn型ダイヤモンド層30とを備えるダイヤモンド半導体素子と、ダイヤモンド素子間を分離するため、基板に形成した側面{100}、底面{100}面を有する段差形状の底角を起点に成長した分離領域とを備える。

概要

背景

ダイヤモンドは、ワイドバンドギャップであり、熱伝導度物質の中で最高化学的定性も高く、半導体装置への応用研究遂行されている。ダイヤモンドを用いた半導体デバイスは、高温環境下宇宙環境下でも安定に動作し、高速、高出力な動作にも耐え得るため、その必要性は高い。また、ダイヤモンドの特異な特徴を生かした深紫外線発光素子電子放出源など、他の材料で成し得ない高性能電子デバイスの作製が可能となる。

ダイヤモンドは室温で5.47eVという大きなバンドギャップを持ち、室温以上の高温下でも自由励起子による波長235nmの深紫外線発光することが可能である。また、AlGaNといった化合物半導体で困難とされているp型ドーピングはもちろんのこと、ダイヤモンドで困難とされてきたn型ドーピングについても、近年キャリア移動度の高いものが実現している。これより、pn接合型、pin接合型などの半導体素子に関する研究開発進展し、整流比が6桁以上の良好な電気特性を兼ね備えたものが既に報告されている(非特許文献1、2参照)。

ダイヤモンド半導体単元素から構成されていることより、AlGaN系化合物半導体に特有構造欠陥などの問題がない。さらに、ダイヤモンドは、その機械的、化学的、及び熱的特性(物質中で最高の熱伝導率)に加え、優れた半導体特性光学特性を兼ね備えている。さらに、室温でも安手に存在できる励起子を発光に用いることで、間接遷移半導体でありながら、直接遷移半導体と同程度の高い内部量子効率を持つ、紫外線発光素子の作製ができることが知られている(特許文献1、非特許文献3参照)。

一方で、ダイヤモンド半導体を用いた深紫外線発光素子において、外部量子効率、すなわち光の取り出し効率に関して課題が残されている。これまでの報告によれば、ダイヤモンドを用いた発光素子構造として、図1に示すような積層型縦型)pn接合が実施構造として用いられている。(10)はダイヤモンド基板、(20)はp型半導体領域、(30)はn型半導体領域、(40)は電極金属をそれぞれ表す。このような縦型pn接合構造では、電流注入による光は横方向にのみ強く放射されることになり、上方への発光は金属電極により妨げられ、絶対的照度を得ることが極めて困難とされている。一方で、図2に示すように、基板面内方向にpn接合(横型pn接合)を作製することにより、金属電極に妨げられることなく、上方へ光を取り出すことが容易となる。しかしながら、現状のダイヤモンド半導体合成技術及びドーピング技術では、良好なpn接合界面を有する横型pn接合素子を製造することは不可能である。

一般の半導体合成技術において、特定の場所に半導体を形成する技術や選択成長技術は極めて重要となる。シリコンを代表とする他の半導体材料は、熱拡散法イオン注入法によるp型、n型半導体の合成が可能であり、成長後に選択的に埋め込み半導体領域の形成が可能となっている。このため、縦型pn接合、横型pn接合、又は埋め込みドーピング層など、種々のデバイス構造の作製が容易となる。一方で、ダイヤモンド半導体においては、イオン注入した際に発生する欠陥熱処理により回復させることが困難なこと、注入した不純物置換位置に取り込まれないことなどから、選択的に半導体領域の作製は、不可能とされている。イオン注入で不純物を注入できたとしても電気的に不純部が活性化しn型半導体として振る舞うといった報告例はない。また、製造工程が複雑になることやpn接合界面が粗悪になるといった問題点がある。

概要

製造工程を簡素化するとともに、良好なpn接合界面を備えるダイヤモンド半導体装置及びその製造方法を提供する。{100}面を有するダイヤモンド基板10と基板上に形成したp型ダイヤモンド層20と基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状底角50を起点に成長したn型ダイヤモンド層30とを備えるダイヤモンド半導体素子と、ダイヤモンド素子間を分離するため、基板に形成した側面{100}、底面{100}面を有する段差形状の底角を起点に成長した分離領域とを備える。

目的

本発明は、上記の問題点を解決し、ダイヤモンド半導体装置の製造工程を簡素化するとともに良好なpn接合界面を得ることを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

{100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状底角を起点に<111>方向へ成長したn型ダイヤモンド層とを有する横型pnダイヤモンド半導体素子を備えるダイヤモンド半導体装置。

請求項2

{100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{100}、底面が{100}面を有する段差形状の底角を起点に<110>方向へ成長した絶縁分離領域を備えるダイヤモンド半導体装置。

請求項3

{100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形成する工程と、底面が{100}面、側面が{110}面の段差形状を選択的に形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを<111>方向へエピタキシャル成長させ不純物ドープダイヤモンド領域を形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。

請求項4

{100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形成する工程と、底面{100}、側面{100}面の段差形状を選択的に形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを<110>方向へエピタキシャル成長させ絶縁分離領域を形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。

請求項5

前記不純物は、リンであることを特徴とする請求項3乃至4のいずれか1項に記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、横型pn接合を有するダイヤモンド半導体装置及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

ダイヤモンドは、ワイドバンドギャップであり、熱伝導度物質の中で最高化学的定性も高く、半導体装置への応用研究遂行されている。ダイヤモンドを用いた半導体デバイスは、高温環境下宇宙環境下でも安定に動作し、高速、高出力な動作にも耐え得るため、その必要性は高い。また、ダイヤモンドの特異な特徴を生かした深紫外線発光素子電子放出源など、他の材料で成し得ない高性能電子デバイスの作製が可能となる。

0003

ダイヤモンドは室温で5.47eVという大きなバンドギャップを持ち、室温以上の高温下でも自由励起子による波長235nmの深紫外線発光することが可能である。また、AlGaNといった化合物半導体で困難とされているp型ドーピングはもちろんのこと、ダイヤモンドで困難とされてきたn型ドーピングについても、近年キャリア移動度の高いものが実現している。これより、pn接合型、pin接合型などの半導体素子に関する研究開発進展し、整流比が6桁以上の良好な電気特性を兼ね備えたものが既に報告されている(非特許文献1、2参照)。

0004

ダイヤモンド半導体は単元素から構成されていることより、AlGaN系化合物半導体に特有構造欠陥などの問題がない。さらに、ダイヤモンドは、その機械的、化学的、及び熱的特性(物質中で最高の熱伝導率)に加え、優れた半導体特性光学特性を兼ね備えている。さらに、室温でも安手に存在できる励起子を発光に用いることで、間接遷移半導体でありながら、直接遷移半導体と同程度の高い内部量子効率を持つ、紫外線発光素子の作製ができることが知られている(特許文献1、非特許文献3参照)。

0005

一方で、ダイヤモンド半導体を用いた深紫外線発光素子において、外部量子効率、すなわち光の取り出し効率に関して課題が残されている。これまでの報告によれば、ダイヤモンドを用いた発光素子構造として、図1に示すような積層型縦型)pn接合が実施構造として用いられている。(10)はダイヤモンド基板、(20)はp型半導体領域、(30)はn型半導体領域、(40)は電極金属をそれぞれ表す。このような縦型pn接合構造では、電流注入による光は横方向にのみ強く放射されることになり、上方への発光は金属電極により妨げられ、絶対的照度を得ることが極めて困難とされている。一方で、図2に示すように、基板面内方向にpn接合(横型pn接合)を作製することにより、金属電極に妨げられることなく、上方へ光を取り出すことが容易となる。しかしながら、現状のダイヤモンド半導体合成技術及びドーピング技術では、良好なpn接合界面を有する横型pn接合素子を製造することは不可能である。

0006

一般の半導体合成技術において、特定の場所に半導体を形成する技術や選択成長技術は極めて重要となる。シリコンを代表とする他の半導体材料は、熱拡散法イオン注入法によるp型、n型半導体の合成が可能であり、成長後に選択的に埋め込み半導体領域の形成が可能となっている。このため、縦型pn接合、横型pn接合、又は埋め込みドーピング層など、種々のデバイス構造の作製が容易となる。一方で、ダイヤモンド半導体においては、イオン注入した際に発生する欠陥熱処理により回復させることが困難なこと、注入した不純物置換位置に取り込まれないことなどから、選択的に半導体領域の作製は、不可能とされている。イオン注入で不純物を注入できたとしても電気的に不純部が活性化しn型半導体として振る舞うといった報告例はない。また、製造工程が複雑になることやpn接合界面が粗悪になるといった問題点がある。

0007

特開2008−78611号公報

先行技術

0008

S.Koizumi, et. al.: Science 292, 1899(2001).
T.Makino, et. al.: Jpn. J. Appl. Phys. 44, L1190(2005).
T.Makino, et. al.: Jpn. J. Appl. Phys. 45, L1045(2006).

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記の問題点を解決し、ダイヤモンド半導体装置の製造工程を簡素化するとともに良好なpn接合界面を得ることを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題は次のような手段により解決される。
(1){100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{110}、底面が{100}面を有する段差形状底角を起点に<111>方向へ成長したn型ダイヤモンド層とを有する横型pnダイヤモンド半導体素子を備えるダイヤモンド半導体装置。
(2){100}面を有するダイヤモンド基板と該基板上に形成したp型ダイヤモンド層と該基板に形成した側面{100}、底面が{100}面を有する段差形状の底角を起点に<110>方向へ成長した絶縁分離領域を備えるダイヤモンド半導体装置。
(3){100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形成する工程と、底面が{100}面、側面が{110}面の段差形状を選択的に形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを<111>方向へエピタキシャル成長させ不純物ドープダイヤモンド領域を形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
(4){100}面ダイヤモンド半導体基板に、p型ダイヤモンド層を形成する工程と、底面{100}、側面{100}面の段差形状を選択的に形成する工程と、該段差形状の底角を起点に不純物をドープしながらダイヤモンドを<110>方向へエピタキシャル成長させ絶縁分離領域を形成させる工程とを含むダイヤモンド半導体装置の製造方法。
(5)前記不純物は、リンであることを特徴とする(3)乃至(4)のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。

発明の効果

0011

半導体領域の選択成長技術は、半導体装置を作製する際に必須であり、その有無によって、半導体装置応用の幅が大きく異なってくる。
本発明のダイヤモンド半導体装置及びその製造方法によれば、ダイヤモンド基板に形成した段差形状の底角を起点に、選択された領域に不純物ドープダイヤモンド半導体を成長させることができる。

0012

このため製造工程を簡素化できるだけでなく、pn接合界面がエピタキシャル成長により形成されるため、良好な界面が得られる。また、例えば、横型pn接合素子を作製することで、光の取り出し方向を上方に変えることができ、光取り出し効率の改善が期待できる。逆に、紫外線受光素子の場合においても、受光面となるpn接合界面が金属電極などで妨害されないため、その受光効率改善が望める。
この他、横型接合を用いたJFETなどパワーデバイスにおいても、電流経路に基板(厚さ500μm前後)を含まない構造が作製できることから、オン抵抗の低減が望める。

図面の簡単な説明

0013

縦型pn接合半導体装置の構造
横型pn接合半導体装置の構造
横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の構造
横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の光学顕微鏡像
横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の概略図(a)平面図、(b)A−A’間の断面図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
本発明に係る実施例の工程説明図
横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の電流電圧特性
横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の電流注入発光特性

実施例

0014

本発明の説明図を図3に示す。
本発明は、ダイヤモンド基板(10)及び(20)上に、選択的に形成した段差形状の底角を起点に成長した不純物ドープダイヤモンド領域(30)を有するダイヤモンド半導体装置及びその製造方法に係るものである。
本発明の好ましい実施例では、ダイヤモンド{100}面単結晶基板(10)にまずボロンドープp型ダイヤモンド半導体領域(20)を形成する。その後に、p型半導体層(20)を含むダイヤモンド{100}面単結晶基板(10)を加工し、段差形状を形成する。この形成した段差形状の底角(50)からダイヤモンド半導体を<111>方向へ成長させ、かつ不純物ドーピングを同時に行うことで、断面が三角形状のリンドープダイヤモンド領域(30)を形成する。
ダイヤモンド基板(10)は、ノンドープ、ボロンドープ、リンドープ、窒素ドープ、p型、n型のいずれかの{100}面基板、又は{100}面成長膜である。選択成長する不純物ドープダイヤモンド領域(30)は、リンを代表とするV族元素、及びその他n型ダイヤモンド半導体ができる不純物元素を有する。

0015

本発明のダイヤモンド半導体基板製造方法は、{100}面ダイヤモンド半導体上の特定の領域に、側面が{110}面、底面が{100}面で挟まれる段差形状を形成する工程と、不純物をドープしながらダイヤモンドを<111>方向へエピタキシャル成長させることにより、横型pn接合を形成する工程を有する。ここで、{100}面基板上で<111>方向へ成長させる際に、{100}面と{110}面で交わる底角(50)が成長の起点となる。

0016

ドープ不純物として、ここではリン元素を例に挙げるが、この取り込み効率は、基板の面方位に強く依存する。{111}面基板を用いた{111}面成長の際(<111>方向への成長)、リンの取り込み効率は0.02%程度であるのに対して、{110}面基板を用いた{110}面成長の際は(<110>方向への成長)、0.0002%、{100}面基板を用いた{100}面成長の際は(<100>方向への成長)、0.00001%未満となる。この成長方向に対する取り込み効率の圧倒的な差を利用することで、選択的に{100}面上の特定領域にn型半導体領域を形成可能にした。
なおリンの取り込み効率は、次の数式により算出される。
リンの取り込み効率=ダイヤモンド中炭素原子に対するリン原子濃度([P]/[C])/気相中のメタンに対するホスフィン濃度([PH3]/[CH4])

0017

本発明の不純物ドープダイヤモンド半導体は、{100}面ダイヤモンド単結晶基板上に形成された段差形状の底角を起点に、選択的に成長することを特徴とする。段差形状側面の面方位を{110}面にすることで、<111>方向へエピタキシャル成長させているため、リンの取り込み効率が比較的高く、リン濃度を1016cm-3〜1020cm-3レベルの広い範囲で制御可能となる。一方、段差形状側面の面方位を{100}にすることで、<110>方向へのエピタキシャル成長が生じ、リン濃度を抑えた領域(絶縁層)の形成が可能となる。つまり、段差形状の側面方向を制御することで、選択的にリンドープn型ダイヤモンド半導体領域を形成することも、リン濃度が低い絶縁層を形成することも可能となる。
これら全て、ダイヤモンド半導体を用いたデバイス開発で必須とされている{100}面方位基板上での不純物ドープダイヤモンド半導体合成技術であるため、実用性が極めて高い。
加工する{100}面ダイヤモンド単結晶基板は、高温高圧法により形成された{100}面基板、化学気相成長CVD)法で形成された基板及び成長膜のいずれでもよく、また不純物がドープされた導電性基板上の成長膜でもよい。

0018

なお、上記の選択成長した不純物ドープダイヤモンド領域の識別は、適当な領域を劈開し、SIMS測定又はカソードルミネセンス測定などを用いた面内分布測定により容易に確認することができる。また、横型pn接合の段差形状又はリンドープn型ダイヤモンド半導体領域の断面構造が三角形であることが特徴的となるため、その識別は容易である。

0019

<実施例>
下図4乃至図17引用して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図6乃至図15において、それぞれ左図はダイヤモンド半導体装置の平面図、右図はその断面図である。

0020

実際に作製した横型pn接合を有するダイヤモンド半導体装置の光学顕微鏡写真図4に、概略図を図5に示す。本装置は、ダイヤモンド基板上(10)に形成したp型ダイヤモンド領域(20)と段差形状の底角(50)を起点に成長したn型ダイヤモンド領域(30)と横型pnダイヤモンド半導体素子間を絶縁分離するための成長した分離領域(31)と金属電極(40)とコンタクトアシスト領域(60)から構成されている。コンタクトアシスト領域とは、n型ダイヤモンド半導体領域を拡張するために形成されるp型ダイヤモンド半導体領域であり、成長の起点を供給する役割を果たす。電極形成プロセスの精度が上がれば、コンタクトアシスト領域は無くてもよい。
段差形状の底角(50)を起点に成長したn型ダイヤモンド領域(30)の形成法、及び横型pnダイヤモンド半導体素子間を絶縁分離するための成長した分離領域(31)の形成法をそれぞれ以下に記す。

0021

段差形状の底角を起点に成長したn型ダイヤモンド領域(30)の形成法である。図6に示すような表面が{100}面を有するダイヤモンド単結晶基板(10)を用意する。マイクロ波プラズマCVD装置を使用して、H2:397sccm、CH4:1.2sccm、B2H6/H2ガス=100ppm:0.6sccm、圧力:3.25×103Pa、マイクロ波パワー:750W、基板ヒータ温度:800℃、成長時間2時間の条件で、ボロンドープダイヤモンドの合成を行った。
図7のように、約700nm程度の膜厚のボロンドープp型ダイヤモンド半導体(20)を形成した。ホール効果測定から、室温から700℃付近まで安定してp型判定が得られ、温度依存性の傾きからボロンアクセプターの370meVの活性化エネルギー見積もられ、{100}面ダイヤモンド単結晶基板上にボロンドープp型ダイヤモンド半導体が形成されたことを確認した。

0022

図8に示すように、フォトリソグラフィ法及びリフトオフ法により、{100}面ダイヤモンド単結晶基板の表面の一部にAu/Ti薄膜マスク(Au300nm/Ti10nm)(40)を形成した。マスクの方向は以下に述べる段差形状の側面が{110}面、底面が{100}面となるように配置した。

0023

図8に示すAu/Ti薄膜マスクをパターニングした{100}面ダイヤモンド単結晶基板を誘導結合プラズマエッチング装置によりエッチングした。エッチングガスの条件は、O2:95sccm、CF4:2sccm、RFパワー:300W、バイアス:50W、圧力:2Paであり、エッチング深さは1μmである。この時の{100}面ダイヤモンド単結晶基板とAuのエッチングの選択比は1:8程度である。その後、熱王水処理(HNO3:HCl=1:3、80℃)、硫酸加水(H2SO4:H2O2:H20=3:1:1、120℃)、熱混酸(HNO3:H2SO4=1:3、240℃)処理を施し、Au/Tiマスクを除去した。これにより図9の断面図に示すように、{100}面ダイヤモンド単結晶基板の表層に段差形状が形成された。この側面は{110}面、底面は{100}である。

0024

マイクロ波プラズマCVD装置を使用して、H2:398sccm、CH4:0.2sccm、PH3:0.1sccm、圧力:9.75×103Pa、マイクロ波パワー:750W、基板ヒータ温度:800℃、成長時間2時間の条件で、リンドープダイヤモンドの合成を行った。図10に示すように、段差形状の周囲に、選択的にリンドープダイヤモンド領域(30)が形成された。この時、リンドープダイヤモンドは段差形状の底角(50)({110}面と{100}面の交わる角)を起点に<111>方向へ成長している。

0025

図10に示すように、選択的に形成されたリンドープダイヤモンド半導体層(30)により、横型pn接合を有するダイヤモンド半導体素子が形成できる。選択成長されたリンドープダイヤモンド半導体領域(30)のリン濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)測定から、5×1019cm-3程度となった。

0026

この横型pn接合の電気伝導性を測るために、Ti(30nm)/Pt(30nm)/(Au100nm)の電極図11のように蒸着した。その2電極間電流電圧特性から明瞭なpn接合に起因する明瞭な整流特性が得られ、その整流比は8桁程度であった。

0027

次に横型pnダイヤモンド半導体素子間を絶縁分離するための成長した分離領域(31)の形成法を記す。上述の図6に示すような表面が{100}面を有するダイヤモンド単結晶基板(10)を用意する。マイクロ波プラズマCVD装置を使用して、H2:397sccm、CH4:1.2sccm、B2H6/H2ガス=100ppm:0.6sccm、圧力:3.25×103Pa、マイクロ波パワー:750W、基板ヒータ温度:800℃、成長時間2時間の条件で、ボロンドープダイヤモンドの合成を行った。図7のように、約700nm程度の膜厚のボロンドープp型ダイヤモンド半導体(20)を形成した。ホール効果測定から、室温から700℃付近まで安定してp型判定が得られ、温度依存性の傾きからボロンアクセプターの370meVの活性化エネルギーが見積もられ、{100}面ダイヤモンド単結晶基板上にボロンドープp型ダイヤモンド半導体が形成されたことを確認した。

0028

図12に示すように、フォトリソグラフィ法及びリフトオフ法により、{100}面ダイヤモンド単結晶基板の表面の一部にAu/Ti薄膜マスク(Au300nm/Ti10nm)(40)を形成した。マスクの方向は以下に述べる段差形状の側面が{100}面、底面が{100}面となるように配置した。

0029

図12に示すAu/Ti薄膜マスクをパターニングした{100}面ダイヤモンド単結晶基板を誘導結合プラズマエッチング装置によりエッチングした。エッチングガスの条件は、O2:95sccm、CF4:2sccm、RFパワー:300W、バイアス:50W、圧力:2Paであり、エッチング深さは1μmである。この時の{100}面ダイヤモンド単結晶基板とAuのエッチングの選択比は1:8程度である。
その後、熱王水処理(HNO3:HCl=1:3、80℃)、硫酸加水(H2SO4:H2O2:H20=3:1:1、120℃)、熱混酸(HNO3:H2SO4=1:3、240℃)処理を施し、Au/Tiマスクを除去した。これにより図13の断面図に示すように、{100}面ダイヤモンド単結晶基板の表層に段差形状が形成された。この側面は{100}面、底面も{100}面である。

0030

マイクロ波プラズマCVD装置を使用して、H2:398sccm、CH4:0.2sccm、PH3:0.1sccm、圧力:9.75×103Pa、マイクロ波パワー:750W、基板ヒータ温度:800℃、成長時間2時間の条件で、リンドープダイヤモンドの合成を行った。
図14に示すように、段差形状の周囲に、選択的にリンドープダイヤモンド領域(31)が形成された。この時、リンドープダイヤモンドは段差形状の底角(50)(側面{100}面と底面{100}面の交わる角)を起点に<110>方向へ成長している。

0031

図14に示すように、選択的に形成されたリンドープダイヤモンド半導体層(31)により、横型pn接合が形成できる。選択成長されたリンドープダイヤモンド半導体領域(31)のリン濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)測定から、1×1017cm-3程度となった。成長方向が<110>方向であるため、リンの取り込み効率が悪い。

0032

この横型pn接合の電気伝導性を測るために、Ti(30nm)/Pt(30nm)/(Au100nm)の電極を図15のように蒸着した。その2電極間からは、明瞭な電流—電圧特性が得られず、選択成長した低濃度リンドープ領域絶縁体であることを確認した。

0033

このように、段差形状の側面面方位を制御することで、導電性のあるリンドープn型ダイヤモンド半導体領域と絶縁分離領域とを作り分けることが可能となる。これらの組み合わせにより図5に記す横型pn接合ダイヤモンド半導体装置が製造できる。

0034

実際にこの横型pn接合ダイヤモンド半導体装置の動作確認を行ったところ、図16に記すような綺麗なダイオード特性が得られた。整流比8桁程度、最大電流密度1A/cm2、逆方向リーク電流もかなり抑えられており、良好な横型pn接合が形成されていることがわかる。

0035

さらに、図17に示すように、順方向電圧を30V以上に印加し、電流を数μA以上にあげると微弱ながら発光を検出することができた。発光が検出されることは、この横型pn接合素子において両極性キャリアが電極より注入されていることを示唆している。現状の系において、発光領域が5×0.7μm2程度と非常に小さな領域であるため、絶対的な発光強度は弱い。横型pn接合素子の特徴として集積化が容易なことであり、集積化により発光強度の改善は可能となる。

0036

以上好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されないことはいうまでもない。
例えば本発明に係るダイヤモンド半導体基板には、セラミック等の基板上、あるいはダイヤモンド基板上にダイヤモンド膜が形成された基板も含まれる。
また、{100}面等の面方位には、製造上の精度の問題により、オフ面となることもあるが、このオフ面も含まれる。

0037

本発明のダイヤモンド半導体装置は、パワー半導体素子高周波半導体素子などの半導体装置のみならず、紫外発光デバイス、電子放出源、X線粒子線センサー、X線・粒子位置センサーなど、各種電子デバイスに応用することができる。

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