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図面 (10)

課題

がん併用療法のための薬剤新規用途を提供する。

解決手段

リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を有効成分として含有する抗がん剤効果増強剤

概要

背景

リバビリン(Ribavirin)は複数種のRNAおよびDNAウイルスに対して有効な抗ウイルス薬である。現在日本ではC型肝炎ウィルス(HCV)感染治療に対して認可されており、インターフェロン-αと共に用いる方法が標準的治療法とされている。また、ラッサ熱等のウイルス性出血熱抗ウイルス療法にも有効だと考えられている(Crotty et al., 2000; Davis et al., 1998; Maag et al., 2001; Mangia et al., 2005; McCormick et al., 1986)。

リバビリンは、構造的にはヌクレオシドグアノシン類似体であり、ウイルス核酸合成蛋白質合成を妨害することにより抗ウイルス作用を示すと考えられているが、詳細な作用機序は明らかではない(Graci and Cameron, 2006; Maag et al., 2001)。リバビリンは、経口投与により、最小限の毒性で、数マイクロモル血漿中濃度を得ることができる(Assouline et al., 2009; Kentsis et al., 2004)。また、リバビリンの作用に関しては、がん細胞増殖阻害作用示唆されている(Assouline et al., 2009; Kraljacic et al., 2011; Pettersson et al., 2011)。さらに、リバビリンと同様に、イノシン一リン酸脱水素酵素IMPDH)を阻害すると考えられている物質であるミコフェノール酸(MPA)による、前立腺がん細胞のin vitroの細胞分化誘導活性報告されている(Floryk et al 2004)。しかしながら、リバビリンが臨床上で実用的なレベル抗がん作用を発揮することを示す報告はない。

がんの治療において、化学療法は全例有効ではない。特に、多能性維持に関与する転写因子発現特徴付けられる、胚性ES細胞様のがんは、悪性度が高く、化学療法耐性を示す。また、分化耐性を示す人工多能性幹細胞iPS細胞)は、がん化リスクが高いことも知られている。ES細胞やiPS細胞は、無限に増殖できることなど、がん細胞と共通の性質を持っている。

様々な種類の細胞がそれぞれ特徴的な性質を持つのは、各細胞が特徴的な遺伝子を発現する結果である。POU(Pit-Oct-Unc)ファミリーの転写因子であるOCT4は、いわゆる山中4因子(4 transcription factors: 4TFs)の一つであり、iPS細胞の樹立体細胞リプログラミング)および多能性の維持に中心的な役割を果たす(Nichols et al., 1998; Niwa et al., 2000; Takahashi et al., 2007; Takahashi and Yamanaka, 2006)。

近年、このOCT4が、ヒトの体細胞のがんにおける腫瘍性および悪性の発現と相関することを示す多くの報告がなされている(Gidekel et al., 2003; Hochedlinger et al., 2005; Tai et al., 2005)。ヒトのある種の腫瘍組織においてはOCT4の転写恒常的に認められ、がん幹細胞(cancer stem cells: CSCs)におけるOCT4の発現も報告された(Chiou et al., 2008; Gidekel et al., 2003; Hochedlinger et al., 2005; Levings et al., 2009; Schoenhals et al., 2009; Tai et al., 2005)。転写因子であるOCT4のがん細胞における発現の、作用的・機構的な意義は明らかになっていないが、これらの報告は、腫瘍の発生及び悪性度とOCT4遺伝子発現の関連を示唆するものと思われる。がん組織からOCT4を発現するがん幹細胞集団を抽出し、あるいはがん細胞におけるOCT4の発現を指標として、がんに関連する薬剤探索等の研究に用いることも提案されている(WO2009/061837)。

前立腺がん(Prostate cancer:PCA)は、男性において発症頻度が最も高い悪性のがんの一つであり、がんを原因とする死亡数として米国では第二位である(Freedland, 2011; Wolf et al., 2010)。日本でも食生活などの欧米化や人口の高齢化に伴い、患者数が急増している。前立腺がんの初期治療においては内分泌療法(アンドロゲン除去療法:androgen ablation therapy)が有効だが、次第に内分泌療法に抵抗を持つようになる。内分泌療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer:CRPC)と呼ばれ、難治性である。現在、CRPCに対する一定の効果が認められる化学療法剤ドセタキセルタキソテール(登録商標))が唯一のものである(Berthold et al., 2008; Petrylak et al., 2004; Tannock et al., 2004)。しかしながら、CRCP患者に対する化学療法の効果は限定的で、生存期間は数カ月程度にしかならない。したがって、CRCP患者に対して長期間の治療効果を得ることのできる効果的な治療法の開発が望まれている。

概要

がんの併用療法のための薬剤の新規用途を提供する。リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を有効成分として含有する抗がん剤効果増強剤

目的

したがって、CRCP患者に対して長期間の治療効果を得ることのできる効果的な治療法の開発が望まれている

効果

実績

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請求項1

リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を有効成分として含有する抗がん剤効果増強剤

請求項2

1以上の既知の抗がん剤と組み合わせて併用療法に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項3

前記1以上の既知の抗がん剤が、以下の薬剤:(i)微小管作用抗がん薬(ii)アルキル化薬(iii)抗腫瘍性抗生物質(iv)白金製剤(v)代謝拮抗薬(vi)トポイソメラーゼ阻害剤を含む、請求項2に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項4

微小管作用抗がん薬と組み合わせて併用療法に用いられることを特徴とする、請求項3に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項5

微小管作用抗がん薬がタキサン系抗がん剤である、請求項4に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項6

微小管作用抗がん薬がドセタキセル又はパクリタキセルである、請求項4に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項7

難治性がんの併用療法に用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項8

難治性のがんが化学療法抵抗性である、請求項7に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項9

難治性のがんが化学療法抵抗性の前立腺がんである、請求項7に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項10

微小管作用抗がん薬と組み合わせて化学療法抵抗性の前立腺がんの併用療法に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の抗がん剤効果増強剤。

請求項11

ドセタキセルと組み合わせて化学療法抵抗性の前立腺がんの併用療法に用いられることを特徴とする、請求項10に記載の抗がん剤効果増強剤。

技術分野

0001

本発明は、がん併用療法のための薬剤新規用途に関する。特に、難治性のがんの治療に有効な、既存の抗がん剤との組み合わせに関する。

背景技術

0002

リバビリン(Ribavirin)は複数種のRNAおよびDNAウイルスに対して有効な抗ウイルス薬である。現在日本ではC型肝炎ウィルス(HCV)感染治療に対して認可されており、インターフェロン-αと共に用いる方法が標準的治療法とされている。また、ラッサ熱等のウイルス性出血熱抗ウイルス療法にも有効だと考えられている(Crotty et al., 2000; Davis et al., 1998; Maag et al., 2001; Mangia et al., 2005; McCormick et al., 1986)。

0003

リバビリンは、構造的にはヌクレオシドグアノシン類似体であり、ウイルス核酸合成蛋白質合成を妨害することにより抗ウイルス作用を示すと考えられているが、詳細な作用機序は明らかではない(Graci and Cameron, 2006; Maag et al., 2001)。リバビリンは、経口投与により、最小限の毒性で、数マイクロモル血漿中濃度を得ることができる(Assouline et al., 2009; Kentsis et al., 2004)。また、リバビリンの作用に関しては、がん細胞増殖阻害作用示唆されている(Assouline et al., 2009; Kraljacic et al., 2011; Pettersson et al., 2011)。さらに、リバビリンと同様に、イノシン一リン酸脱水素酵素IMPDH)を阻害すると考えられている物質であるミコフェノール酸(MPA)による、前立腺がん細胞のin vitroの細胞分化誘導活性報告されている(Floryk et al 2004)。しかしながら、リバビリンが臨床上で実用的なレベル抗がん作用を発揮することを示す報告はない。

0004

がんの治療において、化学療法は全例有効ではない。特に、多能性維持に関与する転写因子発現特徴付けられる、胚性ES細胞様のがんは、悪性度が高く、化学療法耐性を示す。また、分化耐性を示す人工多能性幹細胞iPS細胞)は、がん化リスクが高いことも知られている。ES細胞やiPS細胞は、無限に増殖できることなど、がん細胞と共通の性質を持っている。

0005

様々な種類の細胞がそれぞれ特徴的な性質を持つのは、各細胞が特徴的な遺伝子を発現する結果である。POU(Pit-Oct-Unc)ファミリーの転写因子であるOCT4は、いわゆる山中4因子(4 transcription factors: 4TFs)の一つであり、iPS細胞の樹立体細胞リプログラミング)および多能性の維持に中心的な役割を果たす(Nichols et al., 1998; Niwa et al., 2000; Takahashi et al., 2007; Takahashi and Yamanaka, 2006)。

0006

近年、このOCT4が、ヒトの体細胞のがんにおける腫瘍性および悪性の発現と相関することを示す多くの報告がなされている(Gidekel et al., 2003; Hochedlinger et al., 2005; Tai et al., 2005)。ヒトのある種の腫瘍組織においてはOCT4の転写恒常的に認められ、がん幹細胞(cancer stem cells: CSCs)におけるOCT4の発現も報告された(Chiou et al., 2008; Gidekel et al., 2003; Hochedlinger et al., 2005; Levings et al., 2009; Schoenhals et al., 2009; Tai et al., 2005)。転写因子であるOCT4のがん細胞における発現の、作用的・機構的な意義は明らかになっていないが、これらの報告は、腫瘍の発生及び悪性度とOCT4遺伝子発現の関連を示唆するものと思われる。がん組織からOCT4を発現するがん幹細胞集団を抽出し、あるいはがん細胞におけるOCT4の発現を指標として、がんに関連する薬剤探索等の研究に用いることも提案されている(WO2009/061837)。

0007

前立腺がん(Prostate cancer:PCA)は、男性において発症頻度が最も高い悪性のがんの一つであり、がんを原因とする死亡数として米国では第二位である(Freedland, 2011; Wolf et al., 2010)。日本でも食生活などの欧米化や人口の高齢化に伴い、患者数が急増している。前立腺がんの初期治療においては内分泌療法(アンドロゲン除去療法:androgen ablation therapy)が有効だが、次第に内分泌療法に抵抗を持つようになる。内分泌療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer:CRPC)と呼ばれ、難治性である。現在、CRPCに対する一定の効果が認められる化学療法剤ドセタキセルタキソテール(登録商標))が唯一のものである(Berthold et al., 2008; Petrylak et al., 2004; Tannock et al., 2004)。しかしながら、CRCP患者に対する化学療法の効果は限定的で、生存期間は数カ月程度にしかならない。したがって、CRCP患者に対して長期間の治療効果を得ることのできる効果的な治療法の開発が望まれている。

0008

WO2009/061837

先行技術

0009

Crotty, S., Maag, D., Arnold, J. J., Zhong, W., Lau, J. Y., Hong, Z., Andino, R., and Cameron, C. E. (2000). The broad-spectrum antiviral ribonucleoside ribavirin is an RNA virus mutagen. Nat Med 6, 1375-1379
Davis, G. L., Esteban-Mur, R., Rustgi, V., Hoefs, J., Gordon, S. C., Trepo, C., Shiffman, M. L., Zeuzem, S., Craxi, A., Ling, M. H., and Albrecht, J. (1998). Interferon alfa-2b alone or in combination with ribavirin for the treatment of relapse of chronic hepatitis C. International Hepatitis Interventional Therapy Group. N Engl J Med 339, 1493-1499
Maag, D., Castro, C., Hong, Z., and Cameron, C. E. (2001). Hepatitis C virus RNA-dependent RNA polymerase (NS5B) as a mediator of the antiviral activity of ribavirin. J Biol Chem 276, 46094-46098
Mangia, A., Santoro, R., Minerva, N., Ricci, G. L., Carretta, V., Persico, M., Vinelli, F., Scotto, G., Bacca, D., Annese, M., et al. (2005). Peginterferon alfa-2b and ribavirin for 12 vs. 24 weeks in HCVgenotype 2 or 3. N Engl J Med 352, 2609-2617
McCormick, J. B., King, I. J., Webb, P. A., Scribner, C. L., Craven, R. B., Johnson, K. M., Elliott, L. H., and Belmont-Williams, R. (1986). Lassa fever. Effective therapy with ribavirin. N Engl J Med 314, 20-26
Graci, J. D., and Cameron, C. E. (2006). Mechanisms of action of ribavirin against distinct viruses. Rev Med Virol 16, 37-48
Maag, D., Castro, C., Hong, Z., and Cameron, C. E. (2001). Hepatitis C virus RNA-dependent RNA polymerase (NS5B) as a mediator of the antiviral activity of ribavirin. J Biol Chem 276, 46094-46098
Assouline, S., Culjkovic, B., Cocolakis, E., Rousseau, C., Beslu, N., Amri, A., Caplan, S., Leber, B., Roy, D. C., Miller, W. H., Jr., and Borden, K. L. (2009). Molecular targeting of the oncogene eIF4E in acute myeloid leukemia (AML): a proof-of-principle clinical trial with ribavirin. Blood 114, 257-260
Kentsis, A., Topisirovic, I., Culjkovic, B., Shao, L., and Borden, K. L. (2004). Ribavirin suppresses eIF4E-mediated oncogenic transformation by physical mimicry of the 7-methyl guanosinemRNAcap. Proc Natl Acad Sci U S A 101, 18105-18110.
Kraljacic, B. C., Arguello, M., Amri, A., Cormack, G., and Borden, K. (2011). Inhibition of eIF4E with ribavirin cooperates with common chemotherapies in primary acute myeloid leukemia specimens. Leukemia 25, 1197-1200
Pettersson, F., Yau, C., Dobocan, M. C., Culjkovic-Kraljacic, B., Retrouvay, H., Puckett, R., Flores, L. M., Krop, I. E., Rousseau, C., Cocolakis, E., et al. (2011). Ribavirin treatment effects on breast cancers overexpressing eIF4E, a biomarker with prognostic specificity for luminal B-type breast cancer. Clin Cancer Res 17, 2874-2884
Floryk, D., Tollaksen, S. L., Giometti, C. S., and Huberman, E. (2004). Differentiation of human prostate cancer PC-3 cells induced by inhibitors of inosine 5'-monophosphate dehydrogenase. Cancer Res 64, 9049-9056
Nichols, J., Zevnik, B., Anastassiadis, K., Niwa, H., Klewe-Nebenius, D., Chambers, I., Scholer, H., and Smith, A. (1998). Formation of pluripotent stem cells in the mammalian embryo dependson the POU transcription factor Oct4. Cell 95, 379-391
Niwa, H., Miyazaki, J., and Smith, A. G. (2000). Quantitative expression of Oct-3/4 defines differentiation, dedifferentiation or self-renewal ofEScells. Nat Genet 24, 372-376
Takahashi, K., Tanabe, K., Ohnuki, M., Narita, M., Ichisaka, T., Tomoda, K., and Yamanaka, S. (2007). Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factors. Cell 131, 861-872
Takahashi, K., and Yamanaka, S. (2006). Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126, 663-676
Gidekel, S., Pizov, G., Bergman, Y., and Pikarsky, E. (2003). Oct-3/4 is a dose-dependent oncogenic fate determinant. Cancer Cell 4, 361-370
Hochedlinger, K., Yamada, Y., Beard, C., and Jaenisch, R. (2005). Ectopic expression of Oct-4 blocks progenitor-cell differentiation and causes dysplasia in epithelial tissues. Cell 121, 465-477
Tai, M. H., Chang, C. C., Kiupel, M., Webster, J. D., Olson, L. K., and Trosko, J. E. (2005). Oct4 expression in adult human stem cells: evidence in support of the stem cell theory of carcinogenesis. Carcinogenesis 26, 495-502
Chiou, S. H., Yu, C. C., Huang, C. Y., Lin, S. C., Liu, C. J., Tsai, T. H., Chou, S. H., Chien, C. S., Ku, H. H., and Lo, J. F. (2008). Positive correlations of Oct-4 and Nanog in oral cancer stem-like cells and high-grade oral squamous cell carcinoma. Clin Cancer Res 14, 4085-4095
Levings, P. P., McGarry, S. V., Currie, T. P., Nickerson, D. M., McClellan, S., Ghivizzani, S. C., Steindler, D. A., and Gibbs, C. P. (2009). Expression of an exogenous human Oct-4 promoter identifies tumor-initiating cells in osteosarcoma. Cancer Res 69, 5648-5655
Schoenhals, M., Kassambara, A., De Vos, J., Hose, D., Moreaux, J., and Klein, B. (2009). Embryonic stem cell markers expression in cancers. Biochem Biophys Res Commun 383, 157-162
Freedland, S. J. (2011). Screening, risk assessment, and the approach to therapy in patients with prostate cancer. Cancer 117, 1123-1135
Wolf, A. M., Wender, R. C., Etzioni, R. B., Thompson, I. M., D'Amico, A. V., Volk, R. J., Brooks, D. D., Dash, C., Guessous, I., Andrews, K., et al. (2010). American Cancer Society guideline for the early detection of prostate cancer: update 2010. CA Cancer J Clin 60, 70-98
Berthold, D. R., Pond, G. R., Soban, F., de Wit, R., Eisenberger, M., and Tannock, I. F. (2008). Docetaxel plus prednisone or mitoxantrone plus prednisone for advanced prostate cancer: updated survival in the TAX 327 study. J Clin Oncol 26, 242-245
Petrylak, D. P., Tangen, C. M., Hussain, M. H., Lara, P. N., Jr., Jones, J. A., Taplin, M. E., Burch, P. A., Berry, D., Moinpour, C., Kohli, M., et al. (2004). Docetaxel and estramustine compared with mitoxantrone and prednisone for advanced refractory prostate cancer. N Engl J Med 351, 1513-1520
Tannock, I. F., de Wit, R., Berry, W. R., Horti, J., Pluzanska, A., Chi, K. N., Oudard, S., Theodore, C., James, N. D., Turesson, I., et al. (2004). Docetaxel plus prednisone or mitoxantrone plus prednisone for advanced prostate cancer. N Engl J Med 351, 1502-1512

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、例えば去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)のような、難治性のがんに対して、ドセタキセルのような既存の抗がん剤と併用することで、良好な治療効果の得られる療法を提供する。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、意外にも、リバビリンと既存抗がん剤の併用により、抗がん剤の効果が増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を有効成分として含有する抗がん剤効果増強剤
(2)本発明の第二の態様として、上記(1)の抗がん剤効果増強剤は、1以上の抗がん剤と組み合わせて併用療法に用いられる。
(3)上記1以上の抗がん剤には、以下の薬剤が含まれる:
(i)微小管作用抗がん薬
(ii)アルキル化薬
(iii)抗腫瘍性抗生物質
(iv)白金製剤
(v)代謝拮抗薬
(vi)トポイソメラーゼ阻害剤
(4)抗がん剤は微小管作用抗がん薬であることができる。
(5)微小管作用抗がん薬はタキサン系抗がん剤であることができる。
(6)微小管作用抗がん薬はドセタキセル又はパクリタキセルであってもよい。
(7)本発明の第三の態様として、上記(1)の抗がん剤効果増強剤を、難治性のがんの併用療法に用いることができる。
(8)難治性のがんは、化学療法抵抗性のがんであることができる。
(9)本発明の第四の態様として、上記(1)の抗がん剤効果増強剤を、化学療法抵抗性の前立腺がんの併用療法に用いることができる。
(10)上記第四の態様において、抗がん剤効果増強剤は、微小管作用抗がん薬と組み合わせて、化学療法抵抗性の前立腺がんの併用療法に用いられてもよい。
(11)上記第四の態様において、抗がん剤効果増強剤は、ドセタキセルと組み合わせて、化学療法抵抗性の前立腺がんの併用療法に用いられてもよい。
(12)本発明の第五の態様は、リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を抗がん剤と共にがん患者に投与することを含む、がん患者において抗がん剤の効果を増強させる方法である。
(13)上記方法において、リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体と抗がん剤は、
(イ)別々の投薬形態で、同時(一部同時、逐次を含む)に投与される;
(ロ)別々の投薬形態が、時間をおいて投与される;あるいは
(ハ)単一の投与形態で投与される。

発明の効果

0012

薬剤を組み合わせて投与することにより、治療法の最適化を図る手法は医療分野において公知である。例えば、リバビリンは単剤では効果が殆ど発揮されないが、インターフェロンとの併用によりHCV感染治療の特効薬として汎用されている。しかしながら、リバビリンが、インターフェロン以外の薬剤の効果を増強することは知られていなかった。

0013

本発明者らは、抗がん剤単独では治療が困難であった難治性のがん、例えば化学療法抵抗性のがんの治療にリバビリンを併用することにより、良好な治療効果が得られることを見出した。リバビリンが抗がん剤の効果を増強することは本発明者らが初めて見出した知見である。

0014

リバビリンは、経口投与により、最小限の毒性で、数マイクロモルの血漿中濃度を得ることができることから、既存の抗がん剤との併用による副作用を増大させることなく、治療効果を増強させることができる。また、本発明者らは、リバビリンが、悪性のがん細胞のOCT4発現レベルを低下させることを見出した。OCT4を発現するがん細胞は、がん幹細胞に近い性質を有しており、リバビリンと抗がん剤との併用治療ががん幹細胞を標的とすることにより、がんの転移再発の防止にも有用な治療法となることが期待される。

図面の簡単な説明

0015

ヒト前立腺がんにおける4転写因子の発現解析結果を示す。
OCT4の発現レベルと前立腺がんの悪性度との関係を示す。図2aはOCT4発現の免疫組織化学染色像図2b及び図2cは、無憎悪生存(Progression-free survival: PFS)についての解析結果を示す。
EOS(Early transposone Oct3/4 and Sox2 enhancer)選択後のヒトCRPC細胞株DU145におけるOCT4の発現の様子と、当該OCT4発現細胞(DU145-EOS)による腫瘍形成を示す。
OCT4を高発現するDU145細胞に対するドセタキセル投与の効果をin vitro(細胞生存率)及びin vivo(Xenograftモデル)で試験した結果を示す。
DU145-EOS選択細胞におけるOCT4ノックダウン及び非選択DU145細胞におけるOCT4機能獲得(gain of function)の結果を示す。
OCT4を高発現するDU145細胞およびLNCaP細胞に対するドセタキセルとリバビリンの併用投与の効果(細胞障害性反応)を示す。
OCT4を高発現するDU145細胞およびLNCaP細胞のXenograftモデルにおけるドセタキセルとリバビリンの併用投与の効果(腫瘍体積の変化)を示す。
DU145-EOS腫瘍(a,b)およびLNCaP-EOS腫瘍(c,d)のXenograftモデルにおける、ドセタキセルおよび/またはリバビリン投与の影響を示す。
DU145-EOS選択細胞におけるOCT4発現レベルが、リバビリン処理によって低下することを示す。

0016

本発明は、抗ウイルス剤であるリバビリンを抗がん剤と併用することにより、抗がん剤の効果が増強され、特に、難治性のがんに対する治療効果を奏するという、驚くべき知見に基いている。

0017

本明細書では、「がん」という言葉を「癌腫」にかぎらない「悪性腫瘍」という意味で使用する。
「難治性のがん(refractory cancer)」は広い意味で使用され、標準的な治療(外科療法・化学療法・放射線療法)では治療が困難と診断される種々の状態のがんを指す。例えば、全身にがんが転移している場合、または、がん細胞の性質自体が放射線や薬物を用いた療法に抵抗性を示す場合が含まれる。後者は、治療に反応しないという意味で、一般的に抵抗性あるいは耐性(resistant)のがんと称されることもある。がんは、治療初期から抵抗性である場合もあれば、治療を実施している間に抵抗性になる場合もある。用語「難治性のがん」は、悪性度(malignancy)の高いがん(悪性のがん)と同義であることが多い。

0018

発がんメカニズムとして、塩基配列の変異に基づく遺伝情報の異常だけでなく、遺伝子の発現状態の異常が、発がんの要因になり得る可能性が考えられている。さらに、がん幹細胞仮説に関連して、進行がんにおける、体細胞のリプログラミングとの転写過程共通性が示唆されている。例えば、野生型の転写因子タンパク質であるOCT4の発現も、そのような知見の一つである。

0019

本発明者らは、ヒトiPS細胞純化に利用されるセレクション系を用いて、OCT4を発現する前立腺がん細胞を選択的に増殖させた。得られた細胞は化学療法剤に耐性を示し、ヌードマウスに腫瘍を形成させた。本発明者らは、これを悪性度の高いがん(難治性のがん)のモデル系として、併用療法に有用な薬剤の探索に使用した。

0020

そして、本発明者らは、抗ウイルス剤であるリバビリンが、がん細胞の化学療法剤への耐性を低下させるという予想外の作用を有することを見出した。
したがって、本発明は、リバビリンの新たな医薬用途を提供することを特徴とする。具体的には、本発明では、リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を、抗がん剤の効果増強剤としてがんの治療に使用する。

0021

さらに、本発明は、リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体を、既存の抗がん剤と組み合わせて併用療法に用いることを特徴とする。
リバビリンは、1-β-D-リボフラノシル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド分子式:C8H12N4O5):

0022

又はその製薬的許容される塩を指す。

0023

リバビリンのプロドラッグの一例は、ビラミジン(またはヴィラジンviramidine)、1-β-D-リボフラノシル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボアミジン(分子式:C8H13N5O4)

0024

である。(J. Z. Wu, Antivir. Chem. Chemother. 2006 17(1):33-9)。

0025

リバビリンは既に臨床的に使用されており、その投与経路投与間隔、投与量は当業者に明らかである。リバビリンプロドラッグには、現在知られているか又は今後開発される任意の化合物が含まれる。プロドラッグは、ヒトに投与され、体内あるいは目標部位に到達してから薬理活性をもつ化合物(親化合物)に変換され、薬理効果を発揮するように化学的に修飾された薬である。例えば、ビラミジン(リバビリンの3−カルボキシアミジン類似体)は、肝臓中で、アデノシンデアミナーゼによって親化合物であるリバビリンに変換される。リバビリン誘導体には、プロドラッグ並びにプロドラッグ以外の、リバビリンの化学的に修飾された、薬学的に許容可能な形体が含まれる。リバビリン誘導体としては、活性化合物官能性部分生物学的に不安定な保護基が結合した化合物が挙げられる。例えば、糖部分の水酸基アルキル化アシル化又はその他の改変により生じるプロヌクレオシドの形態が考えられ、プロヌクレオシドは、体内で加水分解又は脱アルキルされて、親化合物となることができる。本明細書の以下の記載において、「リバビリン」には、リバビリン又はそのプロドラッグ若しくは誘導体が含まれる。

0026

リバビリンにより効果が増強される抗がん剤(化学療法剤)には化学的に合成された化合物だけでなく、生物由来の薬剤(例えば、抗生物質、植物アルカロイド、抗腫瘍性抗生物質、抗体医薬ホルモン剤サイトカイン免疫賦活剤遺伝子薬品等)も含まれる。また、抗がん剤には、従来型細胞障害性抗がん薬と分子標的薬(例えば抗体医薬、低分子阻害剤等)の両方が含まれる。

0027

本発明において、リバビリンにより効果が増強される抗がん剤(化学療法剤)としては、細胞障害性抗がん薬が好ましい。本発明において、リバビリンと併用可能な既存の抗がん剤を、作用機序による分類(以下で説明)と主な適応がん種とともに下表に示す。

0028

分類と中分類の説明
・(i)微小管作用抗がん薬:(a)ビンアルカロイド;(b)タキサン;(c)エポチロン;(d)その他
・(ii)アルキル化薬
・(iii)抗腫瘍性抗生物質
・(iv)白金製剤
・(v)代謝拮抗薬:(a)フッ化ピリミジン誘導体;(b)シチジン誘導体;(c)プリン拮抗薬;(d)葉酸拮抗薬
・(vi)トポイソメラーゼ阻害剤:(a)トポイソメラーゼI阻害剤;(b)トポイソメラーゼII阻害剤
がん種や症状によって、これらの抗がん剤の好適な用法・用量は異なるが、詳細な情報は米国FDA、日本医薬品医薬機器情報提供ホームページ等、容易にアクセス可能ソースにより入手可能である。但し、本発明において、抗がん剤の適応はこの表に記載されたものに限定されない。リバビリンと併用する抗がん剤は、目的とするがん種に通常用いられる抗がん剤、特に標準療法に用いられる抗がん剤であることが好ましい。例えば、将来的にある特定のがん種の標準療法に用いられるようになった抗がん剤との併用も本発明の範囲内である。標準療法に用いられる抗がん剤(標準治療薬)は、疾患への適応が当局承認された薬剤であることが望ましいが、効能が公知で、国内では未承認の薬剤であってもよい。また、標準療法自体が、2以上の薬剤の併用による療法であってもよい。そのような標準療法に使用される1又は2以上の抗がん剤に加えて、リバビリンを併用することによって、目的とするがん種の治療において、治療効果の増強が期待できる。

0029

あるいは、がん種に係わらず、本発明のさらに具体的な態様として、リバビリンにより効果が増強される抗がん剤は、例えば微小管作用抗がん薬のような細胞周期阻害剤であってもよい。そのような作用を有することが知られている既存の化学療法剤の例としては、ビンクリスチンビンブラスチンビンデシンビノレルビン又はビンフルニンのようなビンアルカロイド系抗がん剤;パクリタキセル又はドセタキセルのようなタキサン系抗がん剤;イクサベビロンのようなエポチロン系抗がん剤;又はエリブリン等が挙げられ、いずれも本発明において使用可能である。

0030

本発明においては、リバビリンと1以上の抗がん剤の併用療法により、抗がん剤の効果が増強される。抗がん剤の効果増強とは、当該抗がん剤での療法に抵抗性のがんが、当該療法に感受性となることを意味する。特に、標準治療薬を用いた化学療法に反応しなくなったがんが、標準治療薬とリバビリンの併用によって治療可能となることが好ましい。

0031

リバビリンと抗がん剤を併用するための投与形態としては、例えば、(1)リバビリンと抗がん剤とを含有する組成物、すなわち、単一の投与形態での投与、(2)リバビリンと抗がん剤とを別々に製剤化して得られる別々の投与形態(すなわち異なる製剤)の同一投与経路での同時投与、(3)別々の投与形態の同一投与経路での時間差をおいての投与(例えばリバビリン、抗がん剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)、(4)別々の投与形態の異なる投与経路での同時投与、(5)別々の投与形態の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えばリバビリン、抗がん剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が挙げられる。

0032

併用療法における好ましい投与形態は、リバビリンと1以上の抗がん剤とを別々に製剤化して得られる製剤をそれぞれに適する投与経路並びに投与頻度で、同時(一部同時、逐次を含む)に、もしくは時間差をおいて投与する方法である。なお、時間差をおいての投与の場合、治療効果を増強するに足る間隔で投与することが必要である。好ましくは、先の薬剤の投与終了から、2週間以内、より好ましくは7日間以内、更に好ましくは3日間以内である。リバビリンと抗がん剤の薬物相互作用が懸念される場合は、相互作用を回避するために必要な間隔を空けて投与することが好ましい。

0033

本発明者らは、タキサン系の微小管作用抗がん薬であるドセタキセルに抵抗性の表現型を示す前立腺がん細胞をリバビリンで処理することによって、ドセタキセル感受性回復することを見出した。

0034

したがって、本発明の好ましい実施態様の一つとして、リバビリンと微小管作用抗がん薬の組み合わせによる併用療法が挙げられる。微小管作用抗がん薬としてはタキサン系抗がん剤が好ましい。さらに好ましくは、リバビリンとドセタキセルの組み合わせによる併用療法が挙げられる。

0035

ドセタキセル(タキソテール(登録商標))は、日本では、乳がん非小細胞肺がん胃がん頭頸部がん卵巣がん食道がん子宮体がん、前立腺がんを含む複数種のがんの治療に用いられている。本発明による、リバビリンとドセタキセルの組み合わせによる併用療法の対象としては、これらのがん種が好ましいが、限定されない。

0036

リバビリン及びドセタキセルは、いずれも既に臨床的に使用されており、その投与経路は当業者に明らかである。リバビリンとドセタキセルを併用投与する場合の投与形態としては、それぞれに適した投与経路、投与頻度及び投与量を採用する限りは特に限定されない。これらの薬剤の具体的な投与形態は、患者の症状を考慮して個々の場合に応じて、適宜決定される。

0037

後述の実施例では、ドセタキセルによる細胞障害性作用がリバビリンの併用によって増強されることが明らかとなった。さらに、in vivoモデルにおいて、リバビリンとドセタキセルを併用投与することにより、ドセタキセル単剤投与に比べて顕著に優れた腫瘍体積縮小作用が観察された。リバビリン単独では抗腫瘍効果が殆ど認められないことから、リバビリンは抗がん剤の作用を増強したと考えられる。

0038

以下、本発明を実施例に基き、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
細胞株および培養
5%CO2、37℃の加湿雰囲気下、10%FBSを補充したRPMI-1640(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で、前立腺がん細胞株であるDU145およびLNCaP細胞を継代培養した。

0039

異種移植(Xenograft)腫瘍形成アッセイ
DU145-PGK、DU145-GFP、sh-OCT4 DU145-EOS、sh-luci DU145-EOSの各細胞を回収し、PBS洗浄し、Matrigel(BD Biosciences)中で再懸濁した。103または104個の細胞を6週齢のBALB/Cヌードマウスの側腹部皮下注射した。注射後5日ごとに腫瘍を測定した。

0040

ST細胞生死判別アッセイ
前立腺がん株化細胞を96ウェルプレート平板培養し、24時間接着させ、薬剤(ドセタキセル、リバビリン)で処理した。培養期間の終わりに、水溶性テトラゾリウム(WST)試薬を各ウェルに添加し、1時間インキュベートした。570nmに設定したプレートリーダーを使用することによって、細胞の生死を比色法で判別した。

0041

ウェスタンブロット分析
全細胞抽出物および核抽出物を、標準的な方法で得た。ウェスタンブロット分析のためにブロットを一晩、抗OCT4抗体、抗βアクチン(Sigma,St. Louis, MO)および抗ラミン(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)抗体とともに培養した。強化化学発光試薬ECLPlus Western Blotting Detection System; Amersham Pharmacia Biotech)によって信号を検知し、LAS3000システム(富士フィルム、東京)を用いて分析した。

0042

リアルタイム定量PCR
RNA全量をRNeasy Mini kit (Qiagen)を用いて単離した。High CapacitycDNAArchive Kit (Applied Biosystems)を用いて、RNAからcDNAへの逆転写を行った。続いて、その反応混合物(1μL)を、TaqMan Fast real-time quantitative PCR assayおよび7500 Fast Real-time PCR system (Applied Biosystems)においてテンプレートとして用いた。ヒトOCT4およびGAPDH固有コントロール(Hs99999903_m1)のプライマーおよびTaqManプローブセット(TaqMan Gene Expression Assays)をApplied Biosystemsから購入した(配列は開示されていない)。試料ごとに、GAPDHmRNAに対する各因子の相対発現比率を計算し、相対mRNA発現量を評価した。

0043

統計的分析
OCT4の発現と臨床病理学的特性との関連は、χ2(カイ二乗検定によって評価された。臨床的因子の各状態におけるOCT4発現レベルの差は、Mann-Whitney U-testにより評価された。無再発生存期間(RFS)曲線は、Kaplan-Meier法によって算出した。Cox比例ハザード回帰分析を使って、年齢、pT stage、グリソンスコア(Gleason Score: GS)およびOCT4発現について予後指標であるかを評価した。統計的有意水準をp<0.05に設定した。これらの分析は、SPSSversion 17.0の統計ソフトウェアパッケージ(SPSS Corporation, Chicago,IL)で行った。計測実験は、3回以上の反復試験(replicate)として行われた。スチューデントt検定によるp<0.05を示す項目間は統計的有意差ありと認められた。

0044

ヒト前立腺がんにおける4転写因子の遺伝子発現の比較
腫瘍細胞薬物抵抗性は不均一であり、がん幹細胞では薬物抵抗性および/または悪性度の上昇が見られることが予測される。Yamanakaらは、OCT4、SOX2、KLF4およびc-MYCという4個の転写因子(4TF)が体細胞における多能性を誘導することを示した(Takahashiら、2007;TakahashiおよびYamanaka、2006)。人工多能性幹(iPS)細胞は、適切な誘導に続いてあらゆる種類の細胞に分化し得る。しかし、これらの細胞を未分化状態動物に導入すると、未分化腫瘍を引き起こす可能性がある(Miuraら、2009、Nat Biotechnol 27, 743-745;MurryおよびKeller、2008、Cell 132, 661-680)。これは、4TFのうち一部の転写因子が体細胞内で腫瘍形成能を強化することを示唆している。

0045

本発明者らは、正常前立腺(NP)、PCA(前立腺癌)、転移性前立腺癌(MET)を含む、マイクロアレイデータの報告(Yuら、2004、 J Clin Oncol 22, 2790-2799)からヒトPCAにおける4TFの発現を分析した(図1a〜1d)。Oncomineでの発現分析は、正常前立腺組織(NP)と比べて、PCAのOCT4は一貫して上方制御されていることを示した。さらに、PCAと比べると、転移性PCA(MET)のOCT4上方制御は、より顕著で一貫性があることを明らかにした。この結果は、4TFのうちOCT4がPCAの発生と進行に作用し得ることを示唆する。

0046

転移性の前立腺がんにおけるOCT4発現亢進の潜在的な意義
現在、予後予測のためにPCA(前立腺がん)を層別化する方法は、グリソン分類、前立腺特異抗原(PSA)レベルおよび病期ステージ)等の臨床病理学的要素を基に構成されている。これらの要素は有用だが不十分だという認識に端を発し、PCAの進行に関して、患者の管理を改善し新たな治療目標をもたらすバイオマーカーの特定を目標とした遺伝子学的および生物学的分析が行われている。

0047

本発明者らは、転移性PCAにおけるOCT4上方制御の潜在的な有意性を評価するために、手術切除された試料から得たヒトPCA細胞におけるOCT4発現を観察した。
試料は、慶応大病院でPCAと診断された患者118人から採取された。患者の中で、手術の前にホルモン療法を受けた者はいない。再発は、連続三回にわたる測定における、血清PSA(前立腺特異抗原)レベルの上昇によって決定した。検体組織学所見は、病理学者2名が個別にHE染色法を用いて評価した。調査参加者全員からインフォームドコンセントを得て、調査計画への承認を倫理委員会で受けた。

0048

ホルマリン固定され、パラフィン包埋された試料の切片(4μm)を免疫組織化学により分析した。これらの切片を、室温で1時間、抗OCT4ウサギポリクローナル抗体希釈率1:500, Abcam, Cambridge, U.K.)と共にインキュベートした。アビジンビオチン複合ペルオキシダーゼ法を使用した。OCT4染色を評価するために、少なくとも10の代表的な視野ポジティブ核染色反応を有するがん細胞数を測定し、OCT4ポジティブがん細胞の平均比率(%)と、0〜3(0:なし(none)、1:弱(minimal)、2:中間(medium)、3:強(strong))に階層化した染色強度とを、半定量的スコアリングシステムを使って推定した。

0049

OCT4の免疫組織化学的染色を図2aに示す。低ステージ(pT2)で低グリソンスコアの腫瘍の核OCT4染色は微弱だった:図2a上:Well differentiatedPCA(low GS)。反対に、高ステージ(pT3a)で高グリソンスコア、つまり低分化型の腫瘍の核OCT4染色は強力だった:図2a下:Poorly differentiated PCA (high GS)。

0050

次に、OCT4発現を年齢、PSA、GSおよび病期を含む臨床病理学的特性との相関を検討した(表2)。OCT4免疫反応性はGSと正の関係を有しており(p=0.013)、高GSのPCA試料のOCT4発現は低GSのPCA試料に比べて著しく高い。また、OCT4発現に応じた無憎悪生存期間(PFS)を分析した。本調査に参加した患者118例中28例は、フォローアップ期間中にPSAを再発した。

0051

図2bは、手術後の患者におけるPSA無再発生存率(RFA)のKaplan-Meier分析の結果を示す。点線はOCT4-low患者を表し、実線はOCT4-high患者を表す。高OCT4発現患者および低OCT4発現患者の5年RFSは、それぞれ60.3%および89.2%である。すなわち、Kaplan-Meier生存分析は、OCT4発現が高い患者の方がOCT4発現の低い患者に比べて予後が著しく悪いことを明らかにした(p<0.001、図2b)。さらに、多変量分析によって、OCT4発現がPCA患者においてRFSの独立した予後指標であることが明らかになった(表2、p<0.001)。

0052

2種類の統計的に有意な変数(pTステージ及びOCT4)に基づき、以下の式を用いて多変量Cox回帰分析を適用して悪化の相対的リスクを算出した。
2.355×病理学的Tステージ+1.404×OCT4。

0053

悪化の相対的リスクに基づき、評価対象患者を、低リスク(相対的リスク=1)、中リスク(1.404 - 2.355)および高リスク(7.511)の3つのリスク群のいずれかに振り分けた。PCAの予後因子に基づくリスク層別化によると、患者の34例が低リスク群(リスク1;OCT4発現)、32例が高リスク群(リスク3;≧pT3かつ高OCT4発現)、52例が中リスク群(リスク2;他)に該当した(図2c)。群の間の無憎悪生存率は著しく相違し、低リスク群における5年無進行生存率は96.8%であり、中リスク群では85.9%、高リスク群では36.5%であった(p<0.001)。

0054

OCT4を高レベルで発現する前立腺がん細胞集団の純化
腫瘍細胞における高OCT4発現および予後におけるその有意性に関する観察は、高OCT4発現の腫瘍細胞が、高い腫瘍形成能並びに抗がん剤耐性を有することを示唆している。この仮説を実証するために、本発明者らは、ヒトPCA細胞株DU145におけるOCT4発現を分析した。DU145細胞の細胞質および核におけるOCT4発現は低レベルであり(データは示さない)、in vivoであれば進行度の低い前立腺がんに相当すると思われた。

0055

そこで、本発明者らは、高OCT4発現の腫瘍細胞が高い腫瘍形成能を示すことを証明するために、ヒトiPS細胞精製のために考案された、EOS(Early transposone promoter, OCT4 andSOX2 enhancer)選択システムを適用して、DU145細胞のOCT4発現を増幅させた(Hottaら、2009、Nat Protoc 4, 1828-1844;Hottaら、2009、Nat Methods6, 370-376)。EOSベクターは、GFPと、OCT4およびSOX2のエンハンサーによって促進されるピューロマイシン耐性遺伝子とを含む。DU145細胞にEOSベクターを導入し、ピューロマイシンで細胞を選択した。コントロールとして、GFPおよびピューロマイシンを促進するユビキタスなPGKプロモーターを含むベクターを用いた。

0056

図3aに、OCT4染色(左)とDAPIによる核染色(中)および結合図(右)を示す。図3bはDU145-PGK(コントロール)およびDU145-EOS選択細胞における核OCT4発現の対比である。核OCT4発現を、強(strong)、中(moderate)、および無〜弱(none−weak)に分類した。各条件における細胞数を200とした。DU145-PGKは、選択前のOCT4発現パターンに近いレベルの不均質で弱い発現パターンを示した(図3a、3b)。それに対して、EOS選択細胞(DU145-EOS)は核内で均一で強いOCT4を示した(図3a、3b)。

0057

図3cは、DU145-PGK細胞およびDU145-EOS選択細胞におけるOCT4の定量RT-PCR分析(qPCR)の結果であり、相対的なmRNA発現量を示す(** p<0.01)。DU145-EOS選択細胞におけるOCT4mRNA発現は、DU145-PGK細胞と比べて著しく高いことが分かった。

0058

図3dは、DU145-PGK細胞およびDU145-EOS選択細胞の全細胞可溶化物または核抽出物OCT4のウェスタンブロット分析である。ウェスタンブロット分析もまた、DU145-EOS細胞内の全細胞可溶化物および核抽出物の両方で、より高いOCT4タンパク質の発現を示した。

0059

次に、DU145-EOS選択細胞およびDU145-PGK細胞の腫瘍形成能を分析した。図3eは、これらの細胞をそれぞれ1000または10000の細胞数で注射されたヌードマウスのin vivoでの腫瘍形成を示す。所定時点での腫瘍体積を算出し(上段グラフ)、腫瘍数を下段パネルに示した。ヌードマウスにDU145-EOS細胞またはDU145-PGK細胞を104個接種したところ、DU145-EOS細胞を注射されたマウス6匹中3匹は8週間以内に検出可能な腫瘍を示したのに対し、DU145-PGK細胞を注射されたマウスは12週間の観察期間中、検出可能な腫瘍を示さなかった。この傾向は、103個の細胞を注射した時にも見られた。わずか103個のDU145-EOS細胞を注射することにより、腫瘍形成が促進される点は注目に値する。これらの結果からDU145-EOS細胞の示す腫瘍形成能が著しく高いことが分かった。

0060

DU145-EOS細胞の化学療法剤に対する抵抗性
悪性のヒト前立腺がんにおける高レベルのOCT4発現は、OCT4発現が亢進した腫瘍細胞が抗がん剤に対してより強い抵抗を示すことを示唆している。この可能性をin vitroおよびin vivoで確認するために、現在認可されているCRPCの化学療法剤であるドセタキセルを用いて試験を行った。

0061

In vitroでDU145-PGKおよびDU145-EOS選択細胞に種々濃度のドセタキセルを添加し、水溶性テトラゾリウム(WST)細胞生死判別アッセイで、細胞傷害性反応を測定した。ドセタキセル処理を受けていないコントロールとの比較で細胞生存率を算出した。WSTアッセイは、DU145-EOS細胞のドセタキセル耐性がDU145-PGK細胞よりも顕著に高いことを明らかにした(図4a、*p<0.01、**p<0.001。)。

0062

次にin vivoでのドセタキセルに対する耐性を試験した。
1×106個のDU145-PGK細胞またはDU145-EOS細胞をヌードマウスに接種し、腫瘍形成を開始させた。5日ごとに腫瘍の大きさを測定した。3週間後、腫瘍の大きさが200mm3に達した時、マウスをコントロール群とドセタキセル処理群(10mg/kg)の2群に分けた。ドセタキセル処理群には、1日目からドセタキセルを腹腔内(IP)投与し、その後の腫瘍の成長を確認した。図4bに、所定の各時点での平均腫瘍体積を示す(n=6、* p<0.01、** p<0.001、# p<0.01)。DU145-PGK細胞を注射され、ドセタキセルを適用された群(DU145 PGK doc 10mg/kg)では、非適用群(DU145 PGK none)と比べて腫瘍体積が大幅に縮小し、ドセタキセル治療が有効であった。しかし、DU145-EOS細胞を注射されたマウス(DU145 EOS doc 10mg/kg)では、非治療群(DU145 EOS none)と比べて腫瘍の規模はわずかに縮小しただけだった。すなわち、OCT4発現が亢進したDU145-EOS細胞により誘導された腫瘍は、ドセタキセル治療に対して抵抗性であった。

0063

以上の結果は、DU145-EOS細胞のドセタキセルに対する耐性がin vitroだけでなくin vivoでも高いことを示している。

0064

DU145-EOS選択細胞におけるOCT4ノックダウンおよび非選択細胞におけるOCT4強制発現
腫瘍形成及び化学療法抵抗性についての高OCT4発現の貢献を明らかにするために、DU145-EOS選択細胞におけるOCT4ノックダウン(図5a〜c)、および非選択細胞におけるOCT4強制発現(図5d〜f)の実験を行った。

0065

OCT4のノックダウンは、Zafarana Gら(Stem cells 2009; 27:776-782)の方法に従い、pSIRENベクター(Clontech)を用いてOCT4特異的sh-RNA配列(sh-OCT4)を細胞に導入することにより実施した。コントロールとしては、ルシフェラーゼ特異的sh-RNA(sh-Luci)を用いて同様のプロトコルを実施した。OCT4用またはルシフェラーゼ用の各sh-RNAをDU145-EOS選択細胞に導入後、ウェスタンブロット分析によってOCT4タンパク質の発現量を測定した。OCT4ノックダウン(DU145-EOSsh-OCT4)細胞において、sh-RNAを導入していないコントロールのDU145-EOS選択細胞と対比したOCT4発現の減少量が80%を超えることが明らかとなった(図5a)。

0066

次に、OCT4ノックダウン後のin vivoでの腫瘍形成能を観察した。細胞数1000〜10000のDU145-EOS sh-LuciまたはDU145-EOS sh-OCT4をヌードマウスに接種した。図5bにおいて、4〜12週目の各時点での腫瘍体積を算出したものを上段グラフに、腫瘍数を下段パネルに示す。OCT4をノックダウンしたDU145-EOSsh-OCT4細胞を注射されたマウスは腫瘍を形成しなかったが、ルシフェラーゼをノックダウンしたDU145-EOSsh-Luci対照細胞を注射されたマウスは、12週間の観察期間中に、検出可能な腫瘍を形成した。

0067

次いで、in vitroでのDU145-EOS sh-LuciまたはDU145-EOS sh-OCT4細胞のドセタキセルに対する感受性を調べた。DU145-EOS、DU145-EOS sh-LuciおよびDU145-EOS sh-OCT4のドセタキセルによる細胞傷害性反応をWSTアッセイによって判定した。細胞生存率は、ドセタキセル処理を受けていないコントロールとの比較により算出された(* p<0.01、** p<0.001)。OCT4をノックダウンしたDU145-EOSsh-OCT4細胞は、DU145-EOSsh-Luci細胞またはDU145-EOS細胞よりも、ドセタキセルへの感受性が著しく高いことが明らかとなった(図5c)。

0068

非選択細胞におけるOCT4強制発現のために、ヒトOCT4遺伝子をpGEM-T-easy plasmid (Promega)にクローニングし、次いでpMXs-IRES-GFPに変換したものをOCT4導入用ベクターとして用いた。DU145細胞にGFPのみのベクター(DU145-GFP)またはOCT4-GFPベクター(DU145-OCT4)を導入して、ベクターが導入された細胞をGFP蛍光によってソートし、OCT4機能獲得試験に使用した。DU145-OCT4導入細胞はOCT4のmRNAを高レベルで発現した(図5d)。コントロールのDU145-GFP導入細胞を注射されたマウスは腫瘍を形成しなかったが、DU145-OCT4導入細胞を注射されたマウスは12週間の観察期間中に、検出可能な腫瘍を形成した(図5e)。そして、DU145-OCT4導入細胞は、ドセタキセル処理に対して著しく高い耐性を示した(図5f)。つまり、OCT4の強制発現は、腫瘍形成能及びドセタキセル耐性を強化した。

0069

上述の結果を総合すると、EOS選択細胞に見られる悪性表現型は、高レベルのOCT4発現に起因すると考えられる。

0070

悪性度の高い前立腺がんの新規治療薬としてのリバビリン
本発明者らの発見は、高レベルのOCT4発現を示す転移性前立腺がんがドセタキセル治療に耐性であることを示唆する。そこで、本発明者らは、EOS選択細胞を難治性の前立腺がんのモデルとして利用し、そのドセタキセル耐性を克服できる薬剤を探索した。そして、驚くべきことに、抗ウイルス剤として知られる薬剤であるリバビリンが、そのような所望の治療効果を奏することを見出した。
(1)In vitro;前立腺がん細胞株(DU145、LNCaP)アッセイ
実施例4と同様に、in vitroでDU145-PGKおよびDU145-EOS選択細胞に種々濃度のドセタキセルを添加し、リバビリン適用有と無の場合で、細胞生存率を測定した。結果を図6aに示す。背景細胞群(DU145 PGK)ではリバビリン(Rib)の有無に関わらず、ドセタキセル用量依存的に抗腫瘍効果がみられた。OCT4発現群(DU145 EOS)では、背景細胞群と比べてドセタキセル感受性が悪いが、リバビリンとの併用により、背景細胞群レベルまで抗腫瘍効果が回復した。

0071

上述の結果の一般性を判断するために、他の周知のPCA細胞株であるLNCaPを培養し、EOSベクターを用いてOCT4発現を増加させた。LNCaP-EOS選択細胞は、DU145-EOS選択細胞と類似のアグレッシブ腫瘍表現型を示し、当該表現型はOCT4 sh-RNAによって低減した。さらに、非選択LNCaP細胞における強制OCT4発現は、EOS選択細胞に匹敵し得る程度にまでLNCaP細胞の悪性度を増加させた(データは示さない)。

0072

LNCaPPGKまたはLNCaP EOS選択細胞に対してドセタキセルとリバビリンの併用試験によるin vitro細胞生存率を測定した結果を図6bに示す。DU145細胞株の試験結果と同様、背景細胞群(LNCaP PGK)と比べて、ドセタキセル単剤適用のOCT4発現群(LNCaP EOS)は治療成績が悪いが、リバビリン併用群(LNCaP EOS + Rib)は、背景細胞群と同等のドセタキセル感受性を示した。

0073

リバビリンの投与はDU145-EOS細胞とLNCaP-EOS細胞の両方に対して、悪性度を緩和することが分かった。
(2)In vivo;OCT4発現細胞群(EOS)のXenograftモデル
実施例4と同様に、Xenograftモデルによる試験を行った。ヌードマウスにEOS選択細胞(DU145-EOS、LNCaP-EOS)を注射して腫瘍形成を開始させた。リバビリンの効果をin vivoで分析するために、腫瘍体積の平均が約200 mm3に達した時点でヌードマウスを以下の6群に分けた:薬剤処理無しのコントロール(no treatment)、ドセタキセル単剤10mg/kg投与(Doc 10mg/kg)、ドセタキセル単剤5mg/kg投与(Doc 5mg/kg)、ドセタキセル10mg/kgとリバビリン投与(Doc 10mg/kg + Rib)、ドセタキセル5mg/kgとリバビリン投与(Doc 5mg/kg + Rib)、およびリバビリン単剤投与(Rib)。各群は6〜8匹のマウスからなる。ドセタキセルは1日目から腹腔内に注射した。経口によるリバビリン投与を1日目に開始し、毎日継続した。40μg/kg/日の量で毎日経口投与されたリバビリンは、平均体内濃度が約1μMとなり、マウスによる耐容が良好であり、マウスに対して毒性を持たない(Kentsis et al.、2004年)
ドセタキセル単剤に比べ、リバビリンおよびドセタキセルの両方を投与されたマウスは、腫瘍体積が著しく低減していた(図7a-b、図8a、図8c)。図8aは、ドセタキセルおよびリバビリンの投与から16日後のDU145-EOS腫瘍の2種類の典型例を示す。図8bはこれらの腫瘍組織のHE染色像である。半定量的に壊死領域を推定した(スケールバーは200μm)。図8cと図8dはLNCaP-EOS腫瘍の例である。リバビリン併用マウスの腫瘍では組織の壊死範囲が顕著に大きかった(図8b、図8d)。したがって、ドセタキセル単剤に比べ、リバビリンとの併用はより高い抗腫瘍効果を示すことがin vivoでも確認された。リバビリン単剤投与では、殆ど効果が認められなかった。

0074

(1)と(2)の結果から、リバビリンが、in vivoおよびin vitroにおいてEOS選択細胞の悪性表現型と拮抗することが明らかとなった。

0075

リバビリンによるOCT4発現レベルの低下
EOS選択細胞により誘導された腫瘍に対するリバビリンの有効性裏付ける機構を評価するために、リバビリンがOCT4発現を変化(modulate)させるか否かを調べた。そのために、異なる濃度のリバビリンの存在下で培養されたDU145-EOS選択細胞のOCT4mRNA及びタンパク質の発現量を測定した。

0076

図9aは、所定濃度のリバビリンで48時間処理後の、DU145-PGKおよびDU145-EOS選択細胞におけるOCT4mRNAの相対発現レベルを示す(** p<0.01、*** p<0.001)。48時間の培養後、EOS選択細胞のOCT4mRNA発現はリバビリンの用量に依存して減少したが、背景コントロール群であるDU145-PGK細胞中のOCT4 mRNA発現はリバビリン処理によって変化しなかった。

0077

図9bは、リバビリンを加えて培養したDU145-EOS選択細胞における所定の各時点でのOCT4mRNAの相対発現レベルを示す(*p<0.05、** p<0.01、*** p<0.001)。EOS選択細胞のOCT4mRNA発現はリバビリン処理の時間経過につれて減少した。

0078

図9cは、EOS選択細胞のリバビリン処理後のOCT4発現のウェスタンブロット分析の結果である。この結果から、リバビリンの投与がEOS選択細胞中のOCT4タンパク質の発現量を減少させることが確認された。

0079

図9dは、リバビリン処理後のDU145-EOS選択細胞内のOCT4発現の免疫蛍光染色像である。リバビリンを投与された細胞の核OCT4発現は、リバビリン処理無しのコントロールと比べて著しく低いことが確認された。

実施例

0080

以上の結果は、リバビリンがEOSシステムで選択された前立腺がん細胞のOCT4発現を低下させる作用を有することを示す。

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