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技術 植物細胞プロトプラストにおける二本鎖アクセプタDNA配列の標的化改変の方法

出願人 キージーンナムローゼフェンノートシャップ
発明者 ブンドク,パウルデボース,ミヒールテオドールヤンルイッシール,フランク
出願日 2013年8月21日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2013-171297
公開日 2013年12月12日 (6年6ヶ月経過) 公開番号 2013-247961
状態 拒絶査定
技術分野 微生物、その培養処理 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 高圧ガス供給源 PCモジュール 食品品質 ワットマン紙 修飾領域 原形質分離 封入形態 安定形
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課題

植物細胞において標的化突然変異誘発を行なううえで、形質転換法のなかで、最も効率的な方法を見出すこと。

解決手段

植物細胞プロトプラストにおける二本鎖アクセプタDNA配列の標的化改変の方法であって、二本鎖アクセプタDNA配列をドナー変異原性核酸塩基と合わせることを含み、二本鎖アクセプタDNA配列が、第1のDNA配列及び第1のDNA配列に相補的な第2のDNA配列を含有し、ドナー変異原性核酸塩基が、改変される二本鎖アクセプタDNA配列、好ましくは第1のDNA配列に関して少なくとも1つのミスマッチを含み、且つ該方法がドナー変異原性核酸塩基を、ポリエチレングリコール(PEG)介在形質転換を用いて細胞プロトプラストに導入する工程をさらに含む、方法、及び標的化突然変異誘発率を向上させるためのPEGプロトプラスト形質転換の使用。

概要

背景

生細胞遺伝物質において意図的に変化を作り出すプロセスは、この細胞、又はこの細胞が一部を形成するか、若しくはこの細胞から再生され得る生体の1つ又は複数の遺伝的にコードされた生物学的特性を変更することを目的とする。これらの変化は、遺伝物質の一部の欠失外来性の遺伝物質の付加、又は遺伝物質の既存のヌクレオチド配列における変化の形態をとり得る。真核生物の遺伝物質を改変する方法は、20年以上前から知られており、農業、ヒトの健康、食品品質、及び環境保護の分野における改良のために植物、ヒト、及び動物の細胞並びに微生物において広く利用されている。最も一般的な方法は、外来性のDNA断片を細胞のゲノムに付加させることから成り、これにより既存の遺伝子によってコードされる特性に勝る(over and above)新たな特性がこの細胞又はその生体に付与される(それにより既存の遺伝子の発現が抑制される用途を含む)。かかる例の多くは所望の特性を得るうえで効果的ではあるが、外来性のDNA断片が挿入されるゲノムの位置(したがって発現の最高レベル)が制御されず、所望の効果は元のバランスのとれたゲノムによってコードされる自然の特性を超えて現れる必要があるため、これらの方法はあまり正確でない。これに対し、規定のゲノム座においてヌクレオチドの付加、欠失、又は変換をもたらす標的化突然変異誘発法は、既存の遺伝子の正確な修飾を可能にする。また、標的化突然変異誘発の正確性によって、この方法により得られる新規植物系統は、より容易に消費者受け入れられることが期待される。

標的化突然変異誘発とは、合成変異原性核酸塩基ワトソンクリック塩基対合特性という点でDNAに類似するが、DNAとは化学的に異なり得るヌクレオチド様部分の短いストレッチから成る分子)を真核細胞の核へと送達することに基づく部位特異的(site-directed)突然変異誘発法である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。かかる変異原性核酸塩基は細胞に導入されると、標的遺伝子座相補的配列と塩基対合する。核酸塩基においてミスマッチを意図的に設計することにより、そのミスマッチによって標的ゲノム配列中の対応する位置にヌクレオチド変換が生じる。この方法は、内因性遺伝子座において単一の又は多くとも数個のヌクレオチドしか変換しないが、既存の遺伝子座において終止コドンを作り出して、それらの機能を破壊するため、又はコドンの変化を作り出して、アミノ酸組成が変更されたタンパク質をコードする遺伝子をもたらすために適用することができる(タンパク質工学)。

植物細胞動物細胞、及び酵母細胞における標的化突然変異誘発が記載されている。キメラDNA:RNA核酸塩基又は一本鎖核酸塩基という2つの異なる種類の合成変異原性核酸塩基が、これらの研究において使用されている。

キメラDNA:RNA核酸塩基(キメラ)は、25bpのDNAのみの領域、及び5bpのDNAのコア領域(そのいずれかの側に、細胞内でのキメラの安定性補助すると考えられる10bpの2’−O−メチル化RNAが隣接する)から構成される25bpの相補的配列から成る自己相補的分子である。5bpのコア領域はその中心に、ゲノムの標的DNA配列において改変されるヌクレオチドとの操作されたミスマッチを含む。これらの領域は共に4bpのチミジンヘアピンにより連結される。細胞内へ導入されると、キメラはその標的配列と二重Dループを形成すると考えられ、キメラと標的ヌクレオチドとの間にミスマッチが形成される。このミスマッチはその後、内因性の細胞DNA修復タンパク質によるゲノムヌクレオチドの変換によって解消される。キメラを用いた標的化突然変異誘発の最初の例は、動物細胞において行なわれ(非特許文献4に掲載される)、その後、植物細胞においても標的化突然変異誘発を達成するために使用されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9)。ヒト細胞とは異なり、標的化突然変異誘発事象が起こった植物細胞は、無傷植物へと再生することができ、突然変異は次の世代へと伝達されるため、キメラを用いた標的化突然変異誘発は重要な食用作物の研究及び商業的突然変異誘発の両方にとって理想的な手段(tool)とされる。しかしながら、多くの研究機関による広範な研究は、キメラを用いた標的化突然変異誘発頻度は、極めて低く、変動し易いか、又は検出可能でさえなく(非特許文献10、非特許文献11)、標的の転写状態細胞周期における細胞の位置、標的の配列、及びキメラ(合成が困難である)の品質等の因子に依存することを示している。当該技術分野で既知の方法による標的化突然変異誘発の頻度は比較的低いため、かかる事象は、ゲノム標的の単一のヌクレオチド改変が優性選択可能な表現型を生じる場合にしか検出することができない。植物細胞において、特異的点突然変異が、分岐鎖アミノ酸であるロイシンイソロイシン、及びバリンの合成に共通する初期段階触媒するアセト乳酸合成酵素ALSトウモロコシではAHAS)遺伝子のオープンリーディングフレームに導入された。タバコにおいては、コドン変換P194Q又はW571Lを生じさせるには単一のヌクレオチド改変で十分である。これらのコドン変換のいずれかの後に産生されるALSタンパク質は、スルホニル尿素系除草剤による阻害に対して感度が低いため、染色体座での単一のヌクレオチド変換に関する選択法がもたらされる。

キメラを用いた作業は困難であるため、より信頼性の高い代替的なオリゴヌクレオチド設計が求められている。幾つかの研究機関では、標的化突然変異誘発を行なう一本鎖(ss)核酸塩基の能力調査している。これらの核酸塩基はより再現性の高い結果をもたらし、より簡単に合成され、また、細胞における変異原性核酸塩基の性能を改善する修飾ヌクレオチドを含むことが見出されている(非特許文献12、非特許文献13(レビュー)、非特許文献14、非特許文献15)。

標的化突然変異誘発は、Kmiecの様々な特許出願、とりわけ特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている。特許文献1では、未修飾の核酸塩基を用いて得られる遺伝子改変の効率の低さは、反応混合物又は標的細胞中に存在するヌクレアーゼによるそれらの分解によるところが大きいと考えられる。この問題点を改善するために、得られる核酸塩基をヌクレアーゼに対して抵抗性にする修飾ヌクレオチドを組み入れることが提案される。かかる修飾ヌクレオチドの典型的な例としては、ホスホロチオエート結合又は2’−O−メチル類縁体が挙げられる。これらの修飾は、標的塩基の周囲の中央の未修飾領域を残したまま、核酸塩基の末端に位置させるのが好ましい。この裏付けとして、特許出願の特許文献7は、核酸塩基の細胞内寿命を高める或る特定の修飾ヌクレオチドは、in vitro試験システム及び同様に哺乳類染色体標的において標的化突然変異誘発の効率を向上させることを示している。ヌクレアーゼ抵抗性だけでなく、ss変異原性核酸塩基のその相補的標的DNAとの結合親和性も、標的化突然変異誘発の頻度を劇的に向上させる可能性がある。その結合親和性を向上させる修飾ヌクレオチドを含有するss核酸塩基は、複雑なゲノムにおいてより効率的にその相補的標的を見つけるか、及び/又はより長い期間その標的との結合を維持することができ、DNAの転写及び複製を調節するタンパク質により除去される可能性が低い。突然変異誘発プロセスの効率を改善するために、多くの修飾ヌクレオチドがin vitro標的化突然変異誘発アッセイを用いて試験されてきた。ロックト核酸(Locked nucleic acids)(LNA)及びC5−プロピンピリミジンは、糖部分及び塩基のそれぞれに二本鎖形成を安定化させ、二本鎖融解温度を上昇させる修飾を有する。これらの修飾ヌクレオチドをss核酸塩基に組み入れた場合、標的化突然変異誘発の効率が、配列の同じ未修飾の核酸塩基を用いて得られる効率よりも最大13倍向上する。これに関しては、本出願人名義国際公開第2007073166号パンフレット及び国際公開第2007073170号パンフレットを参照されたい。

本発明者らは、変異原性核酸塩基を植物細胞に導入するために使用される方法を最適化することにより、植物細胞における標的化突然変異誘発の頻度の改善に着手した。最も広く使用される植物細胞の形質転換法であるアグロバクテリウム介在形質転換では、その腫瘍誘発(Ti)プラスミドの一部、いわゆるT−DNAを植物細胞に移入させ、そこで植物ゲノムランダムな位置に効率的に組み込む。T−DNAの両末端には、標的配列と相同性を有しない、Tiプラスミド由来する最大で22bpの「境界」配列が隣接する。標的化突然変異誘発に使用されるss変異原性核酸塩基の短さを鑑みると、境界配列はプロセスを妨げる可能性がある。したがって、標的化突然変異誘発は、植物細胞においては化学的方法又は物理的方法を用いた直接DNA移入によってのみ達成することができる。

かかる直接DNA移入技法が文献において幾つか報告されており、エレクトロポレーションプロトプラストポリエチレングリコール(PEG)処理、植物カルス材料の遺伝子銃法、及びDNAの個々のプロトプラスト又は組織へのマイクロインジェクションが挙げられる。この技術分野では、標的化突然変異誘発のためのss核酸塩基の移入、特に植物又は植物プロトプラストへのDNA移入にとって好適な方法は指摘されていない。

植物において可能な限り高い標的化突然変異誘発の効率を達成するために、本発明者らは調査の過程で、最適化すべき4つの因子を同定した。第1に、変異原性核酸塩基は高い形質転換効率をもって、すなわち可能な限り多くの植物細胞に導入するのが好ましい。第2に、処理が大半の細胞に対して致死的でなく、形質転換される細胞の可能な限り多くが、形質転換手順にも確実に耐えることが好ましい(生存効率)。第3に、形質転換法が、形質転換植物細胞ミクロカルスを形成するその後の分裂に悪影響を与えないことが好ましく(再生/平板効率)、最後に、標的化突然変異誘発事象に由来する個々の再生された植物を、選択を適用することなく同定可能であることが好ましい(同定効率)。

個々の植物細胞に対するDNAの形質転換法の多くは、葉に直接由来するプロトプラスト(葉肉細胞プロトプラスト)又は細胞懸濁液に由来するプロトプラストを使用する(非特許文献16に掲載される)。プロトプラストは、一時的発現研究(この場合、遺伝子発現又はタンパク質局在化を形質転換の直後に評価することができる)、又は安定形転換植物の作製(この場合、プロトプラストをカルス形成及び器官形成を促進する培地成長させる)に使用することができる。

エレクトロポレーションを用いた植物プロトプラストの形質転換は、既に報告されている(非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21)。一般に、最高の形質転換効率をもたらす電界強度(V/cm)では、プロトプラスト生存率は50%未満である(非特許文献21)。本発明者らは、タバコのエレクトロポレーション研究において、試料中の全タバコプロトプラストの約10%しかGFPを発現するプラスミドによって形質転換されないことを見出したが、この比較的低い形質転換効率は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)プロトプラストのエレクトロポレーションの後にも観察されている(非特許文献22)。一般に、最適なエレクトロポレーション条件は、植物種の各々について実験的に決定する必要があり、これらの条件はエレクトロポレーション装置のタイプ、並びにプロトプラスト単離に使用される方法及びバッファーによっても変化し得る。エレクトロポレーションは、多くの植物種に首尾よく適用されてきたが、依然として特に再現性に関して幾つか重大な制限のある困難な技法のままである(非特許文献23において論じられる)。したがって、エレクトロポレーションは、標的化突然変異誘発のTNEに対する全体的効率を向上させるにはあまり望ましくない。

遺伝子銃送達を用いた直接遺伝子移入は、遺伝子組み換え作物の作製において大きな成功を収めており、導入遺伝子の安定した組み込みのために日常的に使用されている。細胞懸濁液をカルス誘導のために固体培地に移し、この材料に高圧ガス供給源により駆動される金粒子衝突させる。その形質転換頻度は低く、形質転換される細胞は全細胞のうち約0.01%であることが報告されている。この形質転換効率の低さのために、形質転換細胞の生存率を評価するのは困難である。対照的に、遺伝子銃法後の再生効率は、処理された材料が強く分裂することから高い可能性がある。しかしながら、TNEは単一のカルスの単一の細胞において起こるため、かかる事象はその細胞を選択しない限り、或いは再生される植物が標的化突然変異誘発事象に関してキメラでない限り、容易に失われる。このため、遺伝子銃法は選択不可能な遺伝子座において標的化突然変異誘発を行なうには実際的ではない。対照的に、各々のミクロカルスは単一のプロトプラストに由来するため、プロトプラストを用いて標的化突然変異誘発事象を回復させることが可能である。

キメラによるALSでの単一ヌクレオチド変換の誘導によって、タバコ、トウモロコシ、及びイネの細胞において標的化突然変異誘発が検出可能であることが実証されている。タバコ(非特許文献5、非特許文献8)、トウモロコシ(非特許文献6)、及びイネ(非特許文献9)に対して遺伝子銃法が使用されている。非特許文献5は、キメラを直接移入した後の除草剤抵抗性の頻度が、バックグラウンド突然変異率(10−7〜10−8であると推測される)と比較して20倍増大することを報告している。非特許文献8は、タバコ葉肉細胞プロトプラストにおいて同様にエレクトロポレーションを使用して標的化突然変異誘発実験を行なっている。本発明者らは、除草剤抵抗性タバコカルスを、非特許文献5により得られた頻度に匹敵する0.0001%という頻度で得ることができた。このことにより、この場合と同じ植物種及び同じ標的ヌクレオチドを扱う場合、直接DNA送達法は標的化突然変異誘発効率に対して大きな影響を与えず、効率は望ましくない低いレベルのままであることが示唆される。しかしながら、非特許文献10は、タバコ及びアブラナの両方において遺伝子銃法及びエレクトロポレーション実験の両方を行なったが、キメラの効果を全く検出することができなかった。

トウモロコシ及びイネの両方のカルスの遺伝子銃法においては、細胞が0.01%という効率で形質転換されることが報告されている(非特許文献6、非特許文献9)。しかしながら、これは選択可能な遺伝子座でしか実行することができない。

PEG介在プロトプラスト形質転換自体は、1985年から既に知られている。プロトプラスト形質転換の最初の方法は、PEGを利用するものであった(非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26)。この技法は、多くの異なる植物に由来するプロトプラストに適用可能である(非特許文献27)。PEGは二価陽イオンの存在下で、DNAをプロトプラストの表面(そこからDNAが取り込まれる)に沈殿させることにより形質転換を刺激すると考えられる(非特許文献28)。PEG形質転換は、シロイヌナズナプロトプラストの形質転換に関する選択法であり(非特許文献23、非特許文献29)、効率的なTNEのための形質転換法に関して規定される4つの要件によく適合する。タバコプロトプラストをPEGで処理した場合、検査した全ての細胞においてビオチン標識ssオリゴヌクレオチドを検出することができる。フルオレセイン二酢酸を用いた生体染色により評価される生存率は、PEG処理後では90%超である。全てのプロトプラストが分裂してミクロカルスを形成する能力を保持している訳ではない。未処理タバコプロトプラストの単離の典型例では、約25%がミクロカルスを形成する。PEG処理は再生効率に対し、わずかに影響するが(約10%に低下する)、これは他の形質転換法と比較して劇的なものではない。上述の先行技術のいずれも、部位特異的突然変異誘発、特にTNEにおけるPEG形質転換の使用を意図していない。

概要

植物細胞において標的化突然変異誘発を行なううえで、形質転換法のなかで、最も効率的な方法を見出すこと。植物細胞プロトプラストにおける二本鎖アクセプタDNA配列の標的化改変の方法であって、二本鎖アクセプタDNA配列をドナー変異原性核酸塩基と合わせることを含み、二本鎖アクセプタDNA配列が、第1のDNA配列及び第1のDNA配列に相補的な第2のDNA配列を含有し、ドナー変異原性核酸塩基が、改変される二本鎖アクセプタDNA配列、好ましくは第1のDNA配列に関して少なくとも1つのミスマッチを含み、且つ該方法がドナー変異原性核酸塩基を、ポリエチレングリコール(PEG)介在形質転換を用いて細胞プロトプラストに導入する工程をさらに含む、方法、及び標的化突然変異誘発率を向上させるためのPEGプロトプラスト形質転換の使用。なし

目的

生細胞の遺伝物質において意図的に変化を作り出すプロセスは、この細胞、又はこの細胞が一部を形成するか、若しくはこの細胞から再生され得る生体の1つ又は複数の遺伝的にコードされた生物学的特性を変更することを目的とする

効果

実績

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請求項1

植物細胞プロトプラストにおける二本鎖アクセプタDNA配列の標的化改変の方法であって、前記二本鎖アクセプタDNA配列をドナー変異原性核酸塩基と合わせることを含み、前記二本鎖アクセプタDNA配列が、第1のDNA配列と前記第1のDNA配列に相補的な第2のDNA配列とを含有し、前記ドナー変異原性核酸塩基が、前記第1のDNA配列に関して、少なくとも1つのミスマッチを含み、且つ該方法が前記変異原性核酸塩基を、ポリエチレングリコール(PEG)介在形質転換を用いて前記細胞プロトプラストに導入する工程をさらに含むことを特徴とする方法。

請求項2

請求項1に記載の方法において、前記変異原性核酸塩基は、一本鎖変異原性核酸塩基であることを特徴とする方法。

請求項3

請求項2に記載の方法において、前記一本鎖変異原性核酸塩基は、10−60ヌクレオチド長の長さを有することを特徴とする方法。

請求項4

請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載の方法において、前記変異原性核酸塩基が、前記標的ミスマッチから少なくとも1ヌクレオチド任意選択的に前記変異原性核酸塩基の5’末端及び3’末端から少なくとも3,4又は5ヌクレオチド、離間したロックト核酸(LNA)を含むことを特徴とする方法。

請求項5

請求項4に記載の方法において、前記一本鎖変異原性核酸塩基が、前記標的ミスマッチのどちらかの側から少なくとも1ヌクレオチド離間している2つのLNAを含むことを特徴とする方法。

請求項6

請求項1乃至4の内のいずれか一項に記載の方法において、前記変異原性核酸塩基がプロピンを含むことを特徴とする方法。

請求項7

請求項2乃至6の内のいずれか一項に記載の方法において、前記一本鎖変異原性核酸塩基は、核局在化シグナル接合していることを特徴とする方法。

請求項8

請求項1乃至7の内のいずれか一項に記載の方法において、前記アクセプタDNA配列がゲノムDNA、線状DNA、哺乳類人工染色体細菌人工染色体酵母人工染色体、植物人工染色体、核染色体DNA、オルガネラ染色体DNA、及びエピソームDNAのいずれかに由来することを特徴とする方法。

請求項9

請求項1乃至8の内のいずれか一項に記載の方法において、前記方法は、細胞を改変すること、野生型への回復により突然変異修復すること、突然変異を誘発すること、コード領域の破壊により酵素不活性化すること、コード領域の改変により酵素の生物活性を変更すること、コード領域の破壊によりタンパク質を修飾することの内のいずれかを目的とすることを特徴とする方法。

請求項10

変異原性核酸塩基を使用し、植物プロトプラストにおける標的化突然変異誘発の効率をエレクトロポレーションに基づく形質転換と比較して10倍向上させるために、PEG介在形質転換を使用することを特徴とする使用方法

請求項11

請求項10に記載の使用方法において、前記変異原性核酸塩基は、一本鎖変異原性核酸塩基であり、好ましくは、前記変異原性核酸塩基は10−60ヌクレオチド長の長さを有することを特徴とする使用方法。

請求項12

請求項10又は11に記載の使用方法において、前記変異原性核酸塩基が、前記標的ミスマッチから少なくとも1ヌクレオチド離間し、任意選択的に前記変異原性核酸塩基の5’末端及び3’末端から少なくとも3,4又は5ヌクレオチド、離間したLNAを含むことを特徴とする使用方法。

請求項13

請求項12に記載の使用方法において、前記一本鎖変異原性核酸塩基が、前記ミスマッチのどちらかの側から少なくとも1ヌクレオチド離間している2つのLNAを含むことを特徴とする使用方法。

請求項14

請求項10乃至12の内のいずれか一項に記載の使用方法において、前記変異原性核酸塩基がプロピンを含むことを特徴とする使用方法。

請求項15

請求項10乃至14の内のいずれか一項に記載の使用方法において、前記アクセプタDNA配列がゲノムDNA、線状DNA、哺乳類人工染色体、細菌人工染色体、酵母人工染色体、植物人工染色体、核染色体DNA、オルガネラ染色体DNA、及びエピソームDNAのいずれかに由来することを特徴とする使用方法。

請求項16

請求項10乃至14の内のいずれか一項に記載の使用方法において、前記使用方法は、細胞を改変するため、野生型への回復により突然変異を修復するため、突然変異を誘発するため、コード領域の破壊により酵素を不活性化するため、コード領域の改変により酵素の生物活性を変更するため、コード領域の破壊によりタンパク質を修飾するためのいずれか一つの目的を有することを特徴とする使用方法。

請求項17

請求項1乃至9の内のいずれか一項に記載の方法又は請求項10乃至16の内のいずれか一項に記載の使用方法を用いて得られた生産物であって、前記産物は、植物、植物細胞、植物細胞プラトプラスト植物カルス及び植物の内の選択されたいずれかであることを特徴とする生産物。

技術分野

0001

本発明は、細胞への一本鎖DNAオリゴヌクレオチド変異原性核酸塩基の導入により、標的細胞においてヌクレオチド配列をDNAの特異的部位で特異的且つ選択的に改変する方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて変異原性核酸塩基を植物プロトプラストに導入することによる標的化突然変異誘発のプロセスに関する。本発明はさらに、変異原性核酸塩基及びPEGを含有するキットに関する。本発明は、標的化突然変異誘発を向上させるためのPEGの使用にも関する。

背景技術

0002

生細胞遺伝物質において意図的に変化を作り出すプロセスは、この細胞、又はこの細胞が一部を形成するか、若しくはこの細胞から再生され得る生体の1つ又は複数の遺伝的にコードされた生物学的特性を変更することを目的とする。これらの変化は、遺伝物質の一部の欠失外来性の遺伝物質の付加、又は遺伝物質の既存のヌクレオチド配列における変化の形態をとり得る。真核生物の遺伝物質を改変する方法は、20年以上前から知られており、農業、ヒトの健康、食品品質、及び環境保護の分野における改良のために植物、ヒト、及び動物の細胞並びに微生物において広く利用されている。最も一般的な方法は、外来性のDNA断片を細胞のゲノムに付加させることから成り、これにより既存の遺伝子によってコードされる特性に勝る(over and above)新たな特性がこの細胞又はその生体に付与される(それにより既存の遺伝子の発現が抑制される用途を含む)。かかる例の多くは所望の特性を得るうえで効果的ではあるが、外来性のDNA断片が挿入されるゲノムの位置(したがって発現の最高レベル)が制御されず、所望の効果は元のバランスのとれたゲノムによってコードされる自然の特性を超えて現れる必要があるため、これらの方法はあまり正確でない。これに対し、規定のゲノム座においてヌクレオチドの付加、欠失、又は変換をもたらす標的化突然変異誘発法は、既存の遺伝子の正確な修飾を可能にする。また、標的化突然変異誘発の正確性によって、この方法により得られる新規植物系統は、より容易に消費者受け入れられることが期待される。

0003

標的化突然変異誘発とは、合成変異原性核酸塩基(ワトソンクリック塩基対合特性という点でDNAに類似するが、DNAとは化学的に異なり得るヌクレオチド様部分の短いストレッチから成る分子)を真核細胞の核へと送達することに基づく部位特異的(site-directed)突然変異誘発法である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。かかる変異原性核酸塩基は細胞に導入されると、標的遺伝子座相補的配列と塩基対合する。核酸塩基においてミスマッチを意図的に設計することにより、そのミスマッチによって標的ゲノム配列中の対応する位置にヌクレオチド変換が生じる。この方法は、内因性遺伝子座において単一の又は多くとも数個のヌクレオチドしか変換しないが、既存の遺伝子座において終止コドンを作り出して、それらの機能を破壊するため、又はコドンの変化を作り出して、アミノ酸組成が変更されたタンパク質をコードする遺伝子をもたらすために適用することができる(タンパク質工学)。

0004

植物細胞動物細胞、及び酵母細胞における標的化突然変異誘発が記載されている。キメラDNA:RNA核酸塩基又は一本鎖核酸塩基という2つの異なる種類の合成変異原性核酸塩基が、これらの研究において使用されている。

0005

キメラDNA:RNA核酸塩基(キメラ)は、25bpのDNAのみの領域、及び5bpのDNAのコア領域(そのいずれかの側に、細胞内でのキメラの安定性補助すると考えられる10bpの2’−O−メチル化RNAが隣接する)から構成される25bpの相補的配列から成る自己相補的分子である。5bpのコア領域はその中心に、ゲノムの標的DNA配列において改変されるヌクレオチドとの操作されたミスマッチを含む。これらの領域は共に4bpのチミジンヘアピンにより連結される。細胞内へ導入されると、キメラはその標的配列と二重Dループを形成すると考えられ、キメラと標的ヌクレオチドとの間にミスマッチが形成される。このミスマッチはその後、内因性の細胞DNA修復タンパク質によるゲノムヌクレオチドの変換によって解消される。キメラを用いた標的化突然変異誘発の最初の例は、動物細胞において行なわれ(非特許文献4に掲載される)、その後、植物細胞においても標的化突然変異誘発を達成するために使用されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9)。ヒト細胞とは異なり、標的化突然変異誘発事象が起こった植物細胞は、無傷植物へと再生することができ、突然変異は次の世代へと伝達されるため、キメラを用いた標的化突然変異誘発は重要な食用作物の研究及び商業的突然変異誘発の両方にとって理想的な手段(tool)とされる。しかしながら、多くの研究機関による広範な研究は、キメラを用いた標的化突然変異誘発頻度は、極めて低く、変動し易いか、又は検出可能でさえなく(非特許文献10、非特許文献11)、標的の転写状態細胞周期における細胞の位置、標的の配列、及びキメラ(合成が困難である)の品質等の因子に依存することを示している。当該技術分野で既知の方法による標的化突然変異誘発の頻度は比較的低いため、かかる事象は、ゲノム標的の単一のヌクレオチド改変が優性選択可能な表現型を生じる場合にしか検出することができない。植物細胞において、特異的点突然変異が、分岐鎖アミノ酸であるロイシンイソロイシン、及びバリンの合成に共通する初期段階触媒するアセト乳酸合成酵素ALSトウモロコシではAHAS)遺伝子のオープンリーディングフレームに導入された。タバコにおいては、コドン変換P194Q又はW571Lを生じさせるには単一のヌクレオチド改変で十分である。これらのコドン変換のいずれかの後に産生されるALSタンパク質は、スルホニル尿素系除草剤による阻害に対して感度が低いため、染色体座での単一のヌクレオチド変換に関する選択法がもたらされる。

0006

キメラを用いた作業は困難であるため、より信頼性の高い代替的なオリゴヌクレオチド設計が求められている。幾つかの研究機関では、標的化突然変異誘発を行なう一本鎖(ss)核酸塩基の能力調査している。これらの核酸塩基はより再現性の高い結果をもたらし、より簡単に合成され、また、細胞における変異原性核酸塩基の性能を改善する修飾ヌクレオチドを含むことが見出されている(非特許文献12、非特許文献13(レビュー)、非特許文献14、非特許文献15)。

0007

標的化突然変異誘発は、Kmiecの様々な特許出願、とりわけ特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に記載されている。特許文献1では、未修飾の核酸塩基を用いて得られる遺伝子改変の効率の低さは、反応混合物又は標的細胞中に存在するヌクレアーゼによるそれらの分解によるところが大きいと考えられる。この問題点を改善するために、得られる核酸塩基をヌクレアーゼに対して抵抗性にする修飾ヌクレオチドを組み入れることが提案される。かかる修飾ヌクレオチドの典型的な例としては、ホスホロチオエート結合又は2’−O−メチル類縁体が挙げられる。これらの修飾は、標的塩基の周囲の中央の未修飾領域を残したまま、核酸塩基の末端に位置させるのが好ましい。この裏付けとして、特許出願の特許文献7は、核酸塩基の細胞内寿命を高める或る特定の修飾ヌクレオチドは、in vitro試験システム及び同様に哺乳類染色体標的において標的化突然変異誘発の効率を向上させることを示している。ヌクレアーゼ抵抗性だけでなく、ss変異原性核酸塩基のその相補的標的DNAとの結合親和性も、標的化突然変異誘発の頻度を劇的に向上させる可能性がある。その結合親和性を向上させる修飾ヌクレオチドを含有するss核酸塩基は、複雑なゲノムにおいてより効率的にその相補的標的を見つけるか、及び/又はより長い期間その標的との結合を維持することができ、DNAの転写及び複製を調節するタンパク質により除去される可能性が低い。突然変異誘発プロセスの効率を改善するために、多くの修飾ヌクレオチドがin vitro標的化突然変異誘発アッセイを用いて試験されてきた。ロックト核酸(Locked nucleic acids)(LNA)及びC5−プロピンピリミジンは、糖部分及び塩基のそれぞれに二本鎖形成を安定化させ、二本鎖融解温度を上昇させる修飾を有する。これらの修飾ヌクレオチドをss核酸塩基に組み入れた場合、標的化突然変異誘発の効率が、配列の同じ未修飾の核酸塩基を用いて得られる効率よりも最大13倍向上する。これに関しては、本出願人名義国際公開第2007073166号パンフレット及び国際公開第2007073170号パンフレットを参照されたい。

0008

本発明者らは、変異原性核酸塩基を植物細胞に導入するために使用される方法を最適化することにより、植物細胞における標的化突然変異誘発の頻度の改善に着手した。最も広く使用される植物細胞の形質転換法であるアグロバクテリウム介在形質転換では、その腫瘍誘発(Ti)プラスミドの一部、いわゆるT−DNAを植物細胞に移入させ、そこで植物ゲノムランダムな位置に効率的に組み込む。T−DNAの両末端には、標的配列と相同性を有しない、Tiプラスミド由来する最大で22bpの「境界」配列が隣接する。標的化突然変異誘発に使用されるss変異原性核酸塩基の短さを鑑みると、境界配列はプロセスを妨げる可能性がある。したがって、標的化突然変異誘発は、植物細胞においては化学的方法又は物理的方法を用いた直接DNA移入によってのみ達成することができる。

0009

かかる直接DNA移入技法が文献において幾つか報告されており、エレクトロポレーション、プロトプラストのポリエチレングリコール(PEG)処理、植物カルス材料の遺伝子銃法、及びDNAの個々のプロトプラスト又は組織へのマイクロインジェクションが挙げられる。この技術分野では、標的化突然変異誘発のためのss核酸塩基の移入、特に植物又は植物プロトプラストへのDNA移入にとって好適な方法は指摘されていない。

0010

植物において可能な限り高い標的化突然変異誘発の効率を達成するために、本発明者らは調査の過程で、最適化すべき4つの因子を同定した。第1に、変異原性核酸塩基は高い形質転換効率をもって、すなわち可能な限り多くの植物細胞に導入するのが好ましい。第2に、処理が大半の細胞に対して致死的でなく、形質転換される細胞の可能な限り多くが、形質転換手順にも確実に耐えることが好ましい(生存効率)。第3に、形質転換法が、形質転換植物細胞ミクロカルスを形成するその後の分裂に悪影響を与えないことが好ましく(再生/平板効率)、最後に、標的化突然変異誘発事象に由来する個々の再生された植物を、選択を適用することなく同定可能であることが好ましい(同定効率)。

0011

個々の植物細胞に対するDNAの形質転換法の多くは、葉に直接由来するプロトプラスト(葉肉細胞プロトプラスト)又は細胞懸濁液に由来するプロトプラストを使用する(非特許文献16に掲載される)。プロトプラストは、一時的発現研究(この場合、遺伝子発現又はタンパク質局在化を形質転換の直後に評価することができる)、又は安定形転換植物の作製(この場合、プロトプラストをカルス形成及び器官形成を促進する培地成長させる)に使用することができる。

0012

エレクトロポレーションを用いた植物プロトプラストの形質転換は、既に報告されている(非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21)。一般に、最高の形質転換効率をもたらす電界強度(V/cm)では、プロトプラスト生存率は50%未満である(非特許文献21)。本発明者らは、タバコのエレクトロポレーション研究において、試料中の全タバコプロトプラストの約10%しかGFPを発現するプラスミドによって形質転換されないことを見出したが、この比較的低い形質転換効率は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)プロトプラストのエレクトロポレーションの後にも観察されている(非特許文献22)。一般に、最適なエレクトロポレーション条件は、植物種の各々について実験的に決定する必要があり、これらの条件はエレクトロポレーション装置のタイプ、並びにプロトプラスト単離に使用される方法及びバッファーによっても変化し得る。エレクトロポレーションは、多くの植物種に首尾よく適用されてきたが、依然として特に再現性に関して幾つか重大な制限のある困難な技法のままである(非特許文献23において論じられる)。したがって、エレクトロポレーションは、標的化突然変異誘発のTNEに対する全体的効率を向上させるにはあまり望ましくない。

0013

遺伝子銃送達を用いた直接遺伝子移入は、遺伝子組み換え作物の作製において大きな成功を収めており、導入遺伝子の安定した組み込みのために日常的に使用されている。細胞懸濁液をカルス誘導のために固体培地に移し、この材料に高圧ガス供給源により駆動される金粒子衝突させる。その形質転換頻度は低く、形質転換される細胞は全細胞のうち約0.01%であることが報告されている。この形質転換効率の低さのために、形質転換細胞の生存率を評価するのは困難である。対照的に、遺伝子銃法後の再生効率は、処理された材料が強く分裂することから高い可能性がある。しかしながら、TNEは単一のカルスの単一の細胞において起こるため、かかる事象はその細胞を選択しない限り、或いは再生される植物が標的化突然変異誘発事象に関してキメラでない限り、容易に失われる。このため、遺伝子銃法は選択不可能な遺伝子座において標的化突然変異誘発を行なうには実際的ではない。対照的に、各々のミクロカルスは単一のプロトプラストに由来するため、プロトプラストを用いて標的化突然変異誘発事象を回復させることが可能である。

0014

キメラによるALSでの単一ヌクレオチド変換の誘導によって、タバコ、トウモロコシ、及びイネの細胞において標的化突然変異誘発が検出可能であることが実証されている。タバコ(非特許文献5、非特許文献8)、トウモロコシ(非特許文献6)、及びイネ(非特許文献9)に対して遺伝子銃法が使用されている。非特許文献5は、キメラを直接移入した後の除草剤抵抗性の頻度が、バックグラウンド突然変異率(10−7〜10−8であると推測される)と比較して20倍増大することを報告している。非特許文献8は、タバコ葉肉細胞プロトプラストにおいて同様にエレクトロポレーションを使用して標的化突然変異誘発実験を行なっている。本発明者らは、除草剤抵抗性タバコカルスを、非特許文献5により得られた頻度に匹敵する0.0001%という頻度で得ることができた。このことにより、この場合と同じ植物種及び同じ標的ヌクレオチドを扱う場合、直接DNA送達法は標的化突然変異誘発効率に対して大きな影響を与えず、効率は望ましくない低いレベルのままであることが示唆される。しかしながら、非特許文献10は、タバコ及びアブラナの両方において遺伝子銃法及びエレクトロポレーション実験の両方を行なったが、キメラの効果を全く検出することができなかった。

0015

トウモロコシ及びイネの両方のカルスの遺伝子銃法においては、細胞が0.01%という効率で形質転換されることが報告されている(非特許文献6、非特許文献9)。しかしながら、これは選択可能な遺伝子座でしか実行することができない。

0016

PEG介在プロトプラスト形質転換自体は、1985年から既に知られている。プロトプラスト形質転換の最初の方法は、PEGを利用するものであった(非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26)。この技法は、多くの異なる植物に由来するプロトプラストに適用可能である(非特許文献27)。PEGは二価陽イオンの存在下で、DNAをプロトプラストの表面(そこからDNAが取り込まれる)に沈殿させることにより形質転換を刺激すると考えられる(非特許文献28)。PEG形質転換は、シロイヌナズナプロトプラストの形質転換に関する選択法であり(非特許文献23、非特許文献29)、効率的なTNEのための形質転換法に関して規定される4つの要件によく適合する。タバコプロトプラストをPEGで処理した場合、検査した全ての細胞においてビオチン標識ssオリゴヌクレオチドを検出することができる。フルオレセイン二酢酸を用いた生体染色により評価される生存率は、PEG処理後では90%超である。全てのプロトプラストが分裂してミクロカルスを形成する能力を保持している訳ではない。未処理タバコプロトプラストの単離の典型例では、約25%がミクロカルスを形成する。PEG処理は再生効率に対し、わずかに影響するが(約10%に低下する)、これは他の形質転換法と比較して劇的なものではない。上述の先行技術のいずれも、部位特異的突然変異誘発、特にTNEにおけるPEG形質転換の使用を意図していない。

0017

国際公開第01/73002号パンフレット
国際公開第03/027265号パンフレット
国際公開第01/87914号パンフレット
国際公開第99/58702号パンフレット
国際公開第97/48714号パンフレット
国際公開第02/10364号パンフレット
国際公開第02/26967号パンフレット
国際公開第2007/073166号パンフレット
国際公開第2007/073170号パンフレット

先行技術

0018

Alexeev and Yoon, Nature Biotechnol. 16: 1343, 1998
Rice, Nature Biotechnol. 19: 321, 2001
Kmiec, J. Clin. Invest. 112: 632, 2003
Igoucheva et al. 2001 Gene Therapy 8, 391-399
Beetham et al. 1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 8774-8778
Zhu et al. 1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 8768-8773
Zhu et al. 2000 Nature Biotech. 18, 555-558
Kochevenko et al. 2003 Plant Phys. 132: 174-184
Okuzaki et al. 2004 Plant Cell Rep. 22: 509-512
Ruiter et al. 2003 Plant Mol. Biol. 53, 715-729
Van der Steege et al. (2001) Nature Biotech. 19: 305-306
Liu et al. 2002 Nucl. AcidsRes. 30: 2742-2750
Parekh-Olmedo et al. 2005 Gene Therapy 12: 639-646
Dong et al. 2006 Plant Cell Rep. 25: 457-65
De Piedoue et al. 2007 Oligonucleotides 27: 258-263
Sheen, J. (2001) Plant Phys. 127: 1466-1475
Fromm et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5824-5828
Nishiguchi et al. (1986) Plant Cell Rep. 5: 57-60
Ou-Lee et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 6815-6819
Hauptmann et al. (1987) Plant Cell Rep. 6: 265-270
Jones et al. (1989) Plant Mol. Biol. 13: 503-511
Miao et al. (2007) Nature Protocols 10: 2348-2353
http://genetics.mgh.harvard.edu/sheenweb/faq.html
Krens et al. (1982) Nature 296: 72-74
Potyrykus et al. (1985) Plant Mol. Biol. Rep. 3: 117-128
Negrutiu et al. (1987) Plant Mol. Biol. 8: 363-373
Rasmussen et al. (1993) Plant Sci. 89: 199-207
Maas & Werr (1989) Plant Cell Rep. 8: 148-151
Mathur et al. Methods in molecular biology, vol. 82, 267-276

発明が解決しようとする課題

0019

本発明者らは、植物細胞において効率的な標的化突然変異誘発を得るために、直接DNA移入法の改善に着手した。本発明者らは、本明細書中で他に記載される形質転換技術のうち、PEGプロトプラスト形質転換が、エレクトロポレーション及び遺伝子銃法と比較して全体的標的化突然変異誘発効率を有意に向上させることを見出した。これは、植物におけるこれまでの標的化突然変異誘発の技術では、エレクトロポレーションがそれに付随する低い効率性とともに好まれているようであったため、驚くべきことである。さらに、この技術における最大の改善は、変異原性核酸塩基をゲノム標的DNAへと送達する送達システムではなく、変異原性核酸塩基の改善へと向けられた。

0020

比較のために、本発明者らは、ALS遺伝子座においてP194Q変換を生じさせ、除草剤抵抗性をもたらすように設計したss変異原性核酸塩基を使用した。同一のss変異原性核酸塩基を、PEG介在形質転換又はエレクトロポレーションのいずれかを用いてタバコ葉肉細胞プロトプラストに導入し、同一の選択条件を用いて除草剤抵抗性細胞を選択した。これにより本発明者らは、植物細胞のPEG介在形質転換が、植物細胞において標的化突然変異誘発を行なううえで、既知の形質転換法と比較して最も効率的な方法であることを見出した。

課題を解決するための手段

0021

一態様において、本発明は、植物細胞プロトプラストにおける二本鎖アクセプタDNA配列の標的化改変の方法であって、二本鎖アクセプタDNA配列をss変異原性核酸塩基と合わせることを含み、二本鎖アクセプタDNA配列が、第1のDNA配列及び第1のDNA配列に相補的な第2のDNA配列を含有し、ドナーss変異原性核酸塩基が、改変される二本鎖アクセプタDNA配列、好ましくは第1のDNA配列に関して少なくとも1つのミスマッチを含み、且つ該方法がss変異原性核酸塩基を、ポリエチレングリコール(PEG)介在形質転換を用いて細胞プロトプラストに導入する工程をさらに含む、方法に関する。

0022

ss変異原性核酸塩基を、PEG形質転換に基づく技術を用いて形質転換される植物のプロトプラストと接触させる。PEG介在形質転換技術自体は広く知られており、当業者は必要に応じて、本発明の要旨を逸脱することなく、特定のプロトコル幾らか変更を加えることができる。

0023

本発明において使用されるss変異原性核酸塩基は、標的化突然変異誘発において使用される他の(キメラ)ss変異原性核酸塩基と合わせて、典型的には10ヌクレオチド長〜60ヌクレオチド長、好ましくは20ヌクレオチド長〜55ヌクレオチド長、より好ましくは25ヌクレオチド長〜50ヌクレオチド長である。本発明の或る特定の実施の形態では、本発明において使用されるss変異原性核酸塩基は、例えば、出願人の特許文献8及び特許文献9に記載されるように、LNA修飾及び/又はプロピニル修飾により修飾されていてもよい。このため、或る特定の実施の形態では、ss変異原性核酸塩基は、標的ミスマッチから少なくとも1ヌクレオチド離間した位置に位置するLNA、好ましくはミスマッチ末端のいずれかの側から少なくとも1ヌクレオチド離間している位置の2つのLNAを含有する。さらに、これらのLNAは、ss変異原性核酸塩基の5’末端及び/又は3’末端から少なくとも3、4、又は5のヌクレオチド離間した位置にある。或る特定の実施の形態では、ss変異原性核酸塩基は、特許文献8及び特許文献9に実質的に記載されるように、1つ又は複数のプロピン置換を含み得る。或る特定の実施の形態では、ドナーss変異原性核酸塩基は、核局在シグナル等のタンパク質と共役していてもよい。この実施の形態では、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、出願人の同時係属中の出願である国際出願PCT/NL2007/000279号明細書に実質的に記載されるように、従来の技術(リンカー)によって核局在シグナル、例えばSV40ラージT抗原、GATA転写因子11、DNA修復ヘリカーゼXBP1、光介在(Light mediated)タンパク質DET1、ERF転写因子、PR関連転写活性化因子PTI6、及び核コイルドコイルタンパク質の既知の(NLS)ペプチドに連結させる。オリゴヌクレオチド−核局在シグナル複合体を、本明細書中に記載されるPEGに基づく形質転換手法において使用することができる。

0024

本発明の方法により生じさせる変化は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換、又は挿入である。好ましくは変化は置換である。1つのオリゴヌクレオチド中で複数の(More)ヌクレオチドを改変してもよいが、効率の低下が予想されるため、1つのヌクレオチドを改変するのが好ましい。

0025

標的DNA(又は二本鎖アクセプタDNA)は任意の供給源に由来してもよいが、好ましくは標的DNAは植物に由来する。好ましくは、標的DNAはゲノムDNA、線状DNA、人工染色体核染色体DNA、オルガネラ染色体DNA、エピソームDNAに由来する。本発明による方法は、細胞を改変するため、野生型への回復により突然変異を修復するため、突然変異を誘発するため、コード領域の破壊により酵素不活性化するため、コード領域の改変により酵素の生物活性を変更するため、コード領域の破壊によりタンパク質を修飾するために使用することができる。

0026

一態様では、本発明は、植物プロトプラストにおける標的化突然変異誘発の効率を向上させるためのPEG介在形質転換の使用に関する。

0027

理論に束縛されるものではないが、PEG介在形質転換の使用は、DNAをプロトプラストの細胞膜上に沈殿させると考えられる。沈殿したDNAは細胞膜により封入され、遮蔽された状態でプロトプラスト中に導入される。プロトプラストは、その正常な細胞周期の過程で、細胞壁の除去により形成された直後から、その正常細胞壁再生プロセスを開始する。細胞分裂は、典型的にはその後(数時間〜最大で数日)に開始する。標的化ヌクレオチド交換は通常、細胞の修復機構を用いて細胞分裂中に起こる。ドナーDNAのプロトプラストへの導入から細胞分裂の開始までの期間中に、ドナーDNAは、エクソヌクレアーゼ等の細胞の防御機構により、攻撃され易く、変性することにより、TNEに対して効果がなくなる可能性がある。PEG介在形質転換技術を使用すると、ドナーDNAは、エンドサイトーシスにより封入されることにより、エンドヌクレアーゼ変性作用から少なくとも一時的に遮蔽される。DNAがその封入形態から放出される時点(細胞分裂の瞬間又はその前後である可能性が高い)で、DNA(すなわちss変異原性核酸塩基)を、アクセプタ細胞のDNAからその相補体を見つけ出し、且つ一般的な標的化突然変異誘発機構のようにヌクレオチドを交換するために利用可能である。

0028

以下、詳細に説明する。

0029

PEG介在形質転換又はエレクトロポレーションのいずれかを用いた標的化突然変異誘発頻度の比較
プロトプラスト単離
タバコ(Nicotiana tabacum)の栽培品種Petit Havana株SR1のin vitroシュート培養を、背の高い(high)ガラスビン中の0.8% Difcoアガーを含むMS20培地において、2000ルクスで16時間/8時間の光周期、25℃、60%RH〜70%RHで維持する。MS20培地は、2%(w/v)スクロース及び0.8% Difcoアガーを含有するホルモン無添加の基本的なムラシゲ−スクーグ培地(Murashige, T. and Skoog, F., Physiologia Plantarum, 15: 473-497, 1962)である。3週齢〜6週齢のシュート培養物の完全に展開した葉を採取する。葉を1mmの細片スライスし、これを次に、30分間の前原形質分離(preplasmolysis)処理のために、45mlのMDE基本培地を含有する大きな(100mm×100mm)ペトリ皿に移す。MDE基本培地は900mlの全容量中に、0.25gのKCl、1.0gのMgSO4・7H2O、0.136gのKH2PO4、2.5gのポリビニルピロリドン(分子量10000)、6mgのナフタレン酢酸、及び2mgの6−ベンジルアミノプリンを含有するものであった。溶液オスモル濃度を、ソルビトールを用いて600mOsm/kgに調節し、pHを5.7とする。次いで5mLの酵素原液SR1を添加する。酵素原液は、100ml当たり750mgのCellulase Onozuka R10、500mgのドリセラーゼ、及び250mgのマセロザイムR10から成り、ワットマン紙濾過して濾過滅菌したものである。暗所、25℃で一晩消化を進行させる。消化させた葉を50μmのナイロンを通して濾過し、滅菌ビーカーに入れる。等量の冷KCl洗浄培地を使用して篩を洗浄し、プロトプラスト懸濁液と共にプールする。KCl洗浄培地は、1L当たり2.0gのCaCl2・2H2O、及びオスモル濃度を540mOsm/kgとするのに十分な量のKClから成るものであった。懸濁液を10mL容の試験管に移し、プロトプラストを4℃、85×gで10分間ペレット化する。上清を捨て、プロトプラストペレットを5mLの冷MLm洗浄培地中に慎重再懸濁する。MLm洗浄培地は、正常濃度の2分の1の量のMS培地(Murashige, T. and Skoog, F., Physiologia Plantarum, 15: 473-497, 1962)の主要栄養素、1L当たり2.2gのCaCl2・2H2O、及びオスモル濃度を540mOsm/kgとする量のマンニトールを含むものである。2本の試験管の内容物を合わせ、4℃、85×gで10分間遠心分離する。上清を捨て、プロトプラストペレットを5mLの冷MLs洗浄培地中に慎重に再懸濁する。MLs洗浄培地は、MLm培地のマンニトールをスクロースに置き換えたものである。2本の試験管の内容物をプールし、1mLのKCl洗浄培地を、下相を乱すことのないよう注意しながらスクロース溶液に添加する。プロトプラストを4℃、85×gで10分間遠心分離する。生プロトプラストを含有するスクロースとKCl溶液との間の中間相を慎重に回収する。等量のKCl洗浄培地を添加し、慎重に混合する。プロトプラスト密度血球計算器を用いて測定する。

0030

PEG形質転換
プロトプラスト懸濁液を5℃、85×gで10分間遠心分離する。上清を捨て、プロトプラストペレットをKCl洗浄培地中に、最終濃度が1×106個/mLとなるよう再懸濁した。10mL容の試験管中で、250μLのプロトプラスト懸濁液、1.6nmolのss変異原性核酸塩基、及び250μlのPEG溶液を穏やかに且つ十分に混合する。室温で20分間のインキュベーション後、5mLの0.275M 冷Ca(NO3)2を滴下する。プロトプラスト懸濁液を4℃、85×gで10分間遠心分離する。上清を捨て、プロトプラストペレットを、50μg/mLのセフォタキシム及び50μg/mLのバンコマイシンを添加した1.25mLのT0培養培地中に慎重に再懸濁した。ss変異原性核酸塩基培養培地は、950mgのKNO3、825mgのNH4NO3、220mgのCaCl2・2H2O、185mgのMgSO4・7H2O、85mgのKH2PO4、27.85mgのFeSO4・7H2O、37.25mgのNa2EDTA・2H2O、へラー(Heller's)培地(Heller, R., Ann Sci Nat Bot Biol Veg 14: 1-223, 1953)による主要栄養素、モレル−ウェットモア(Morel and Wetmore's)培地(Morel, G. and R.H. Wetmore, Amer. J. Bot. 38: 138-40, 1951)によるビタミン、2%(w/v)スクロース、3mgのナフタレン酢酸、1mgの6−ベンジルアミノプリン、及びオスモル濃度を540mOsm/kgとする量のマンニトールを含有するものであった(1L当たり、pH5.7)。懸濁液を35mmペトリ皿に移す。等量のT0アガロース培地を添加し、穏やかに混合する。試料を暗所、25℃でインキュベートし、さらに下記に記載されるように培養する。

0031

エレクトロポレーション
プロトプラストを5℃、85×gで10分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを10mMHEES、80mM NaCl、0.04mM CaCl2、0.4Mマンニトールから成る氷冷エレクトロポレーションバッファー(pH5.7、マンニトールを用いて540mOsm/Kgに調節した)中に、最終濃度が1×106個/mLとなるよう再懸濁する。プロトプラストは手順の間中上に維持する。0.4cm幅のエレクトロポレーションキュベットに、4.5nmolのss変異原性核酸塩基及び700μLのプロトプラスト懸濁液を添加する。PCモジュール及びCEモジュールを備えるBioradのGenePulser XCellエレクトロポレーションシステムを用いて、以下のパラメータに従って細胞懸濁液に単一の減衰(exponential decay)パルスを送達する:
電界強度500V/cm
静電容量 950μF
これらの条件下で、試料の抵抗は約30オームであり、得られる時定数は約30msである。これらのパラメータを、エレクトロポレーションの24時間後にタバコプロトプラストにおいて最高レベルのGFPの一時的発現を与えるパラメータとして選択した。パルスを加えた後、プロトプラストをキュベットにおいて室温で30分間回復させる。次いでプロトプラストを1mLのT0培養培地に回収し、10mL容の試験管に移す。キュベットをさらに5mLのT0培養培地で洗浄し、プロトプラスト懸濁液と共にプールする。十分に且つ穏やかに混合した後、50μg/mLのセフォタキシム及び50μg/mLのバンコマイシンを添加し、1.25mLのプロトプラスト懸濁液を35mmペトリ皿に移す。等量のT0アガロース培地を添加し、混合物を穏やかにホモジナイズする。試料を暗所、25℃でインキュベートし、さらに下記に記載されるように培養する。

0032

プロトプラスト培養
10日間の培養の後、アガローススラブを6等分し、20nMクロルスルフロンを添加した22.5mLのMAP1AO培地を含有するペトリ皿に移す。この培地は、950mgのKNO3、825mgのNH4NO3、220mgのCaCl2・2H2O、185mgのMgSO4・7H2O、85mgのKH2PO4、27.85mgのFeSO4・7H2O、37.25mgのNa2EDTA・2H2O、元の濃度の10分の1のムラシゲ−スクーグ培地(Murashige, T. and Skoog, F., Physiologia Plantarum, 15: 473-497, 1962)による主要栄養素、モレル−ウェットモア培地(Morel, G. and R.H. Wetmore, Amer. J. Bot. 38: 138-40, 1951)によるビタミン、6mgのピルビン酸塩、各12mgのリンゴ酸フマル酸及びクエン酸、3%(w/v)スクロース、6%(w/v)マンニトール、0.03mgのナフタレン酢酸、並びに0.1mgの6−ベンジルアミノプリンから成るものであった(1L当たり、pH5.7)。試料を微光下、25℃で6週間〜8週間インキュベートする。次いで成長中のカルスをMAP1培地に移し、さらに2週間〜3週間発生させる。MAP1培地はMAP1AO培地と同じ組成を有するが、6%ではなく3%(w/v)のマンニトール、及び46.2mg/lのヒスチジンを含む(pH5.7)。MAP1培地は0.8%(w/v)Difcoアガーを用いて凝固させた。カルスを次に滅菌鉗子を用いてRP培地に移す。RP培地は、273mgのKNO3、416mgのCa(NO3)2・4H2O、392mgのMg(NO3)2・6H2O、57mgのMgSO4・7H2O、233mgの(NH4)2SO4、271mgのKH2PO4、27.85mgのFeSO4・7H2O、37.25mgのNa2EDTA・2H2O、公開された濃度の5分の1のムラシゲ−スクーグ培地による主要栄養素、モレル−ウェットモア培地(Morel, G. and R.H. Wetmore, Amer. J. Bot. 38: 138-40, 1951)によるビタミン、0.05%(w/v)スクロース、1.8%(w/v)マンニトール、0.25mgのゼアチン、及び41nM クロルスルフロンから成り(1L当たり、pH5.7)、0.8%(w/v)Difcoアガーを用いて凝固させてある。2週間〜3週間後、成熟した発根培地に移す。

0033

ss変異原性核酸塩基
全てのss変異原性核酸塩基は、Eurogentec(Seraing,Belgium)により合成されたものであり、逆相HPLCにより精製し、滅菌ミリQ水中に再懸濁した。使用の前に、ss変異原性核酸塩基を95℃まで5分間加熱した。ss変異原性核酸塩基06Q262は、単一のミスマッチ(下線を引いたヌクレオチド)をタバコALS遺伝子(アクセッション番号:X07644)のコドン位置P194に導入するよう設計したものであり、CCAからCAA(P194Q)への変換をもたらし得る。ss変異原性核酸塩基06Q261は、タバコALS遺伝子配列と完全に一致し、陰性対照とされる。ss変異原性核酸塩基06Q263は、40個のヌクレオチドのランダムな組み合わせから成り、陰性対照とされる。

0034

06Q261 5’−TCAGTACCTATCATCCTACGTGCACTTGACCTGTTATAG[配列番号1]
06Q262 5’−TCAGTACCTATCATCCTACGTTGCACTTGACCTGTTATAG[配列番号2]
06Q263 5’−ATCGATCGATCGATCGATCGATCGATCGATCGATCGATCG[配列番号3]

0035

各処理によるプロトプラスト生存率
PEG形質転換及びエレクトロポレーションの両方の後のプロトプラスト生存率を、形質転換の24時間後に、蛍光生体染色色素フルオレセイン二酢酸(FDA)を用いてエステラーゼ活性により評価する。アセトン中5mg/mLの原液FDA 2μLを、1mLの形質転換プロトプラストに添加する。全集団のうち蛍光プロトプラストの割合を血球計算器を用いて計数する。GFPLP(EX480/40、DM505、BA510)フィルターセットを備える、NikonのEclipse E600正立落射蛍光顕微鏡を用いて観察を行なう。100Wの超高圧水銀ランプによって励起が行なわれる。NIS Elementの画像取得分析ソフトウェアを実行するPCに取り付けたDS−U1コントローラに接続されたDS−2MBWcCCDカメラを用いて画像を取得する。

0036

結果
PEG形質転換及びエレクトロポレーションの両方を用いた形質転換の結果の概要を表1に示す。PEG形質転換を用いた場合、プロトプラスト生存率はエレクトロポレーションと比較して有意に高い。エレクトロポレーション自体の性質は、PEG形質転換よりもプロトプラスト生存率に対する悪影響が大きく、PEG形質転換ははるかに高い回復/生存率と共により高い標的化突然変異誘発効率をもたらす。標的化突然変異誘発効率は、クロルスルフロン存在下でのプロトプラストのインキュベーションの後、スコア付けする。

0037

**回収されたプロトプラスト集団のうち、FDA染色後の蛍光プロトプラストの百分率として表す。
結果は3回の独立した反復試験の平均±SDである。

実施例

0038

ALSのPCR増幅及びシークエンシング
クロルスルフロン抵抗性タバコ微小コロニーからDNAをDNeasyキット(Qiagen)を用いて単離し、PCR反応において鋳型として使用する。タバコALS遺伝子における標的コドンの変換を、この遺伝子のコドン194を含む776bpの断片を増幅するプライマー5’−GGTCAAGTGCCACGTAGGAT[配列番号4]及び5’−GGGTGCTTCACTTTCTGCTC[配列番号5]を用いて検出する。除草剤抵抗性タバコカルスにおけるヌクレオチド変換を、PCR産物をpCR2.1::TOPO(Invitrogen)にクローニングし、且つ個々のプラスミドをシークエンシングすることにより確認する。タバコは2つのALSの対立遺伝子(SurA及びSurB)を含有する。これらの遺伝子座のいずれかのP194コドンでのヌクレオチド変換は、クロルスルフロンに対する抵抗性を付与するのに十分である。タバコは異質四倍体種であるため、タバコにおいてはTNEが起こり得る潜在的標的は8つ存在する。これを踏まえると、CCAからCAAへの変換を有する遺伝子を検出するためには、PCR産物を含有するプラスミドクローンを10個超シークエンシングすることが必要であった。このことから、各々の抵抗性カルスにおいて、8つのALS対立遺伝子のうち1つしか標的化突然変異誘発介在ヌクレオチド変換を受けなかったことが示唆される。この研究において作製した全てのカルスについては、期待されるCCAからCAAへのヌクレオチド変換が観察された。

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