図面 (/)

技術 車両用設計支援システム

出願人 マツダ株式会社
発明者 橋本悟大坪智範武田雄策高山雅年竹村和紘
出願日 2012年5月25日 (8年1ヶ月経過) 出願番号 2012-120239
公開日 2013年12月9日 (6年6ヶ月経過) 公開番号 2013-246663
状態 特許登録済
技術分野 CAD 特定用途計算機
主要キーワード 頭部重量 周辺スペース システム設計段階 設定閾 計測設備 数列データ 刻み値 割合データ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年12月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

乗降性を正確に評価するために、人体モデルに実際の人間に近い動きをさせる。

解決手段

車両用設計支援システム100は、乗員を模擬した人体モデルJMに関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶部3と、車両用ドア周辺の仮の設計諸元データを記憶する設計諸元データ記憶部2と、人体特性データ記憶部3により記憶された人体特性データと設計諸元データ記憶部2により記憶された仮の設計諸元データとを基に、仮の設計諸元データに対応する仮想車両に対する乗員の乗降動作を人体モデルJMによりシミュレーションすることでその動作軌跡を算出する乗降動作軌跡算出部5とを備えている。乗降動作軌跡算出部5は、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。

概要

背景

従来より、車両の乗員の乗降動作時の負担感を軽減するために、乗員を人体モデル置換して該人体モデルにより乗員の乗降動作を模擬演算シミュレーション)することで、車両のドア周辺設計諸元データを決定する設計支援システムは知られている。

例えば、特許文献1に示す設計支援システムでは、乗員の乗降動作時の負担感を、乗降動作の開始時から終了時までの間における各関節トルク時間積分値合計値により評価するとともに、この評価した値を最小化するように車両の設計諸元データを決定している。

概要

乗降性を正確に評価するために、人体モデルに実際の人間に近い動きをさせる。車両用設計支援システム100は、乗員を模擬した人体モデルJMに関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶部3と、車両用ドア部周辺の仮の設計諸元データを記憶する設計諸元データ記憶部2と、人体特性データ記憶部3により記憶された人体特性データと設計諸元データ記憶部2により記憶された仮の設計諸元データとを基に、仮の設計諸元データに対応する仮想車両に対する乗員の乗降動作を人体モデルJMによりシミュレーションすることでその動作軌跡を算出する乗降動作軌跡算出部5とを備えている。乗降動作軌跡算出部5は、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。

目的

この技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

車両用ドア周辺設計諸元値を決定するために乗員の乗降動作シミュレーションする車両用設計支援システムであって、上記乗員を模擬した人体モデルに関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶手段と、上記車両用ドア部周辺の仮の設計諸元データを記憶する設計諸元データ記憶手段と、上記人体特性データ記憶手段により記憶された人体特性データと上記設計諸元データ記憶手段により記憶された仮の設計諸元データとを基に、該仮の設計諸元データに対応する仮想車両に対する乗員の乗降動作を上記人体モデルによりシミュレーションすることでその動作軌跡を算出する算出手段とを備え、上記算出手段は、関節の許容度に基づいて上記乗降動作をシミュレーションすることを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項2

請求項1に記載の車両用設計支援システムにおいて、上記関節の許容度は、関節受動抵抗で表されることを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項3

請求項2に記載の車両用設計支援システムにおいて、上記算出手段は、上記関節受動抵抗が所定の閾値以下となる上記動作軌跡を算出することを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項4

請求項2に記載の車両用設計支援システムにおいて、上記人体モデルは、少なくとも関節及び腰関節を有し、上記算出手段は、上記頚関節の関節受動抵抗が所定の第1閾値以下となり且つ、上記腰関節の関節受動抵抗が該第1閾値よりも大きい第2閾値以下となる上記動作軌跡を算出することを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項5

請求項2に記載の車両用設計支援システムにおいて、上記人体モデルは、第1関節及び第2関節を有し、上記算出手段は、上記第1関節を上記第2関節に優先して曲げる第1優先モードと、上記第2関節を上記第1関節に優先して曲げる第2優先モードとを有し、乗降動作に要する上記第1関節の関節角度又は関節受動抵抗に基づいて上記第1優先モードと上記第2優先モードとを使い分けて上記動作軌跡を算出することを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項6

請求項5に記載の車両用設計支援システムにおいて、上記第1関節は、頚関節であり、上記第2関節は、腰関節であり、上記算出手段は、乗降動作に要する上記頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値以下である場合には上記第1優先モードを用い、乗降動作に要する上記頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値を超える場合には上記第2優先モードを用いて上記動作軌跡を算出することを特徴とする車両用設計支援システム。

請求項7

請求項1乃至6の何れか1つに記載の車両用設計支援システムにおいて、上記算出手段により算出された動作軌跡に基づいて上記設計諸元値を決定する諸元値決定手段と、上記諸元値決定手段により決定された設計諸元値を出力する出力手段とをさらに備えている車両用設計支援システム。

技術分野

0001

この技術は、車両用ドア周辺設計諸元値を決定するための車両用設計支援システムに関するものである。

背景技術

0002

従来より、車両の乗員の乗降動作時の負担感を軽減するために、乗員を人体モデル置換して該人体モデルにより乗員の乗降動作を模擬演算シミュレーション)することで、車両のドア部周辺の設計諸元データを決定する設計支援システムは知られている。

0003

例えば、特許文献1に示す設計支援システムでは、乗員の乗降動作時の負担感を、乗降動作の開始時から終了時までの間における各関節トルク時間積分値合計値により評価するとともに、この評価した値を最小化するように車両の設計諸元データを決定している。

先行技術

0004

特開2006−323518号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1の方法では、乗員の乗降動作中の負担感を時間平均では最小化することができるものの、人体モデルが実際の人間には困難な姿勢を取る場合もある。そのような場合には、乗降性を正確に評価することが困難になる。

0006

この技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、乗降性を正確に評価するために、人体モデルに実際の人間に近い動きをさせることにある。

課題を解決するための手段

0007

ここに開示された技術は、車両用ドア部周辺の設計諸元値を決定するために乗員の乗降動作をシミュレーションする車両用設計支援システムが対象である。そして、この車両用設計支援システムは、上記乗員を模擬した人体モデルに関する人体特性データを記憶する人体特性データ記憶手段と、上記車両用ドア部周辺の仮の設計諸元データを記憶する設計諸元データ記憶手段と、上記人体特性データ記憶手段により記憶された人体特性データと上記設計諸元データ記憶手段により記憶された仮の設計諸元データとを基に、該仮の設計諸元データに対応する仮想車両に対する乗員の乗降動作を上記人体モデルによりシミュレーションすることでその動作軌跡を算出する算出手段とを備え、上記算出手段は、関節の許容度に基づいて上記乗降動作をシミュレーションするものとする。

0008

前記の構成によれば、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションすることによって、人間の関節の許容度を超えるような乗降動作を排除することができる。つまり、人体モデルに実際の人間に近い動きをさせることができる。

0009

上記関節の許容度は、関節受動抵抗で表され得る。

0010

すなわち、関節の許容度を表す指標として、関節受動抵抗を用いることができる。関節受動抵抗は、関節の関節角度と一定の関係を有する。そのため、シミュレーションにより算出した動作軌跡から関節角度を求めることによって、さらに関節受動抵抗を求めることができる。その結果、関節の許容度を動作軌跡から定量的に評価することができる。

0011

上記算出手段は、上記関節受動抵抗が所定の閾値以下となる上記動作軌跡を算出するようにしてもよい。

0012

こうすることによって、実際には曲げることが困難な範囲まで関節を曲げるような動作軌跡を排除し、実際の人間の動作に即した動作軌跡を算出することができる。

0013

上記人体モデルは、少なくとも関節及び腰関節を有し、上記算出手段は、上記頚関節の関節受動抵抗が所定の第1閾値以下となり且つ、上記腰関節の関節受動抵抗が該第1閾値よりも大きい第2閾値以下となる上記動作軌跡を算出するようにしてもよい。

0014

こうすることによって、頚関節及び腰関節の動きを実際の人間の動きに即した動きにすることができる。頚関節及び腰関節は乗降動作に大きく影響を与える関節であるので、これらの関節の動きを精度よく算出することにより、実際の人間の動作に即した動作軌跡を精度よく算出することができる。また、負担を感じる関節角度は、頚関節の方が腰関節よりも小さいので、頚関節の関節受動抵抗の閾値(第1閾値)を腰関節の関節受動抵抗の閾値(第2閾値)よりも小さくすることによって、実際の頚関節及び腰関節の痛みに対する感応性を考慮した動作軌跡を算出することができる。

0015

また、上記人体モデルは、第1関節及び第2関節を有し、上記算出手段は、上記第1関節を上記第2関節に優先して曲げる第1優先モードと、上記第2関節を上記第1関節に優先して曲げる第2優先モードとを有し、乗降動作に要する上記第1関節の関節角度又は関節受動抵抗に基づいて上記第1優先モードと上記第2優先モードとを使い分けて上記動作軌跡を算出するようにしてもよい。

0016

この構成によれば、複数の関節を有する人体モデルにおいて、互いの関節の連動性を考慮して動作軌跡を算出することができる。つまり、人体においては、完全に独立して動く関節もあれば、他の関節と連動して(即ち、他の関節と拘束し合いながら)動く関節もある。互いに連動して動く複数の関節の動きをシミュレーションする場合、それらの連動性を考慮しなければ、実際の人間の動作とは異なる動きの動作軌跡を算出してしまう。それに対して、上記の構成によれば、第1関節を優先して曲げる第1優先モードと第2関節を優先して曲げる第2優先モードとを乗降動作に要する第1関節の関節角度又は関節受動抵抗に基づいて使い分けることによって、2つの関節の連動性を考慮して動作軌跡を算出することができる。

0017

上記第1関節は、頚関節であり、上記第2関節は、腰関節であり、上記算出手段は、乗降動作に要する上記頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値以下である場合には上記第1優先モードを用い、乗降動作に要する上記頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値を超える場合には上記第2優先モードを用いて上記動作軌跡を算出するようにしてもよい。

0018

この構成によれば、頚関節と腰関節との連動性を考慮することができる。実際の人間の動作においては、乗降動作に要する頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が小さい場合には、頚関節を優先的に曲げる一方、乗降動作に要する頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が大きい場合には、腰関節を優先的に曲げる。上記の構成によれば、乗降動作に要する頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値以下である場合には頚関節を優先的に曲げる第1優先モードが用いられ、乗降動作に要する頚関節の関節角度又は関節受動抵抗が所定の閾値を越える場合には腰関節を優先的に曲げる第2優先モードが用いられる。これにより、実際の人間の動作に即した乗降動作をシミュレーションすることができる。

0019

上記車両用設計支援システムは、上記算出手段により算出された動作軌跡に基づいて上記設計諸元値を決定する諸元値決定手段と、上記諸元値決定手段により決定された設計諸元値を出力する出力手段とをさらに備えていてもよい。

0020

上記の構成によれば、関節の許容度を考慮して算出した動作軌跡に基づいて設計諸元値が決定され、決定された設計諸元値が出力手段に出力される。ここで、設計諸元値を決定するために検討する動作軌跡は、上述の如く、実際の人間の動きに即したものになっている。そのため、現実的な動作軌跡に基づいて、適切な設計諸元値を決定することができる。それに加えて、設計諸元値の決定に際して、実際の人間が困難な動作軌跡についての検討を省くことができるので、シミュレーションの計算量を低減することができる。

発明の効果

0021

前記設計支援システムによれば、関節の許容度に基づいて動作軌跡を算出することによって、人体モデルに実際の人間に近い動きをさせることができる。その結果、乗降性を正確に評価することができると共に、シミュレーションの計算量を低減することができる。

図面の簡単な説明

0022

実施形態1に係る車両用設計支援システムのブロック図である。
車両用ドア部周辺の設計諸元を示す、車両正面図である。
車両用ドア部周辺の設計諸元を示す、車両側面図である。
車両用設計支援システムにおいて乗員を模擬するための人体モデルを示す図である。
頚関節及び腰関節の関節角度に対する関節受動抵抗の関係を示すグラフである。
乗降動作軌跡算出部にて動作軌跡を算出する際に用いられる遺伝的アルゴリズムの概略を示す、フローチャートである。
遺伝的アルゴリズムにおけるGAオペレーションの説明図である。
乗降動作軌跡算出部にて算出される動作軌跡の例を示すグラフである。
関節トルク算出部において、人体モデルを基に頚関節トルクを算出するための説明図である。
関節トルク算出部において、人体モデルを基に腰関節トルクを算出するための説明図である。
肉体的負担感推定部にて算出される演算結果の例を示すグラフである。
精神負担算出用データの一例を示す図である。
精神負担算出用データを作成するためのアンケート調査に用いるアンケート用紙の一例を示す図である。
乗員の精神的負担感に影響する乗降性評価項目を示す相関図である。
アンケート調査対象となった各車両における各動作フェーズ毎の精神的負担感割合を示すグラフである。
総負担感推定部にて算出された各動作フェーズ毎の総負担感割合を示すグラフである。
主制御部における設計諸元最適化制御処理の前半部を示すフローチャートである。
主制御部における設計諸元最適化制御処理の後半部を示すフローチャートである。
実施形態2に係る車両用設計支援システムのブロック図である。
主制御部における設計諸元最適化制御処理の前半部を示すフローチャートである。
主制御部における設計諸元最適化制御処理の後半部を示すフローチャートである。
関節角度計測におけるマーカ位置を示す説明図である。
計測設備概略構成を示す図である。
ルーフレール高さに応じた乗員の動作パターンを模式的に表した図である。
ルーフレール高さに対する頚関節及び腰関節の関節角度の関係を示すグラフである。
主制御部における設計諸元最適化制御処理の前半部を示すフローチャートである。

実施例

0023

以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

0024

《発明の実施形態1》
図1は、実施形態1に係る車両用設計支援システム100のブロック図である。車両用設計支援システム100(以下、「支援ステム100」という)は、図示しないコンピュータにより具現化されて乗員の乗降動作をシミュレーション(模擬演算)するシステムである。支援システム100は、詳しくは後述するが、関節の許容度に基づいて乗員の乗降動作をシミュレーションする。支援システム100は、さらに、乗員の乗降動作時の負担感を後述の各動作フェーズa1乃至a6毎に評価して車両用ドア部20周辺の設計諸元値(各設計諸元項目Dnの各値Hn)を決定する。

0025

本明細書では、乗員の乗降動作時の負担感には、肉体的負担感と精神的負担感とが含まれる。以下の説明では、肉体的負担感と精神的負担感とを合わせた負担感のことを、肉体的負担感及び精神的負担感と区別して総負担感と呼ぶものとする。尚、予め行った実験等により、乗員が車両乗降時肉体的負担を感じるのは、車両のルーフをよけるために頚やを曲げる動作を行う場合や、その曲げた姿勢を維持せねばならない場合であり、乗降時の負担感の大小は、主にこの頚や腰の動作を行うための上半身筋活動に起因するものであることが分かっている。このため、本実施形態では、上記乗降時の肉体的負担感として上半身にかかる肉体的負担感を評価するものとする。

0026

上記車両乗員の乗降動作とは、図9の上方に示すように車両外部から車両内部に入ってシート22(図3参照)に着座する乗車動作と、上記着座状態から再び車両外部に出る降車動作とを言い、この乗降動作は、その動作の種類に応じて6つの動作フェーズa1乃至a6(段階)に分類することができる。すなわち、上記乗降動作は、内足を車内に入れる内足入れフェーズa1と、シート22に着座する着座フェーズa2と、車外に残っている外足を車内に入れる外足入れフェーズa3とに分類することができ、上記降車動作は、シート22に着座した状態から外足を車外に出す外足出しフェーズa4と、シート22から立ち上がる起立フェーズa5と、車内に残っている内足を車外に出す内足出しフェーズa6とに分類することができる。そして、車両用設計支援システム100は、この6つの動作フェーズa1乃至a6毎に乗員の総負担感を評価するようになっている。

0027

図1に示すように、上記車両用設計支援システム100は、設計諸元データ記憶部2と、人体特性データ記憶部3と、精神負担算出用データ記憶部4と、乗降動作軌跡算出部5と、関節トルク算出部6と、肉体的負担感推定部7と、精神的負担感推定部8と、総負担感推定部25と、設計諸元データ最適化部9と、設計諸元データ最適化部9から出力される設計諸元データQを表示するための結果表示部10と、システム全体を制御する主制御部11とを備えている。設計諸元データ記憶部2、人体特性データ記憶部3、及び精神負担算出用データ記憶部4は、例えばコンピュータのハードディスクやRAM等の記憶装置で構成されている。例えば、コンピュータのCPU(図示省略)は、ハードディスク内に記憶されたシミュレーションプログラムを実行することによって乗降動作軌跡算出部5、関節トルク算出部6、肉体的負担感推定部7、精神的負担感推定部8、総負担感推定部25、設計諸元データ最適化部9及び主制御部11として機能する。

0028

上記設計諸元データ記憶部2は、乗員の乗降動作をシミュレーションする際に対象となる車両(仮想車両)の初期設計諸元データQとシミュレーション途中の仮の設計諸元データQと設計諸元データQの各値に対して優先順位(後述する変更優先順位)を設定する優先順位データとからなる設計諸元設定用データを記憶しておくためのものである。ここで、設計諸元設定用データのうち、設計諸元データQは、各設計諸元項目Dnの値Hnを順に並べてなるデータで、設計諸元データQ=(H1,H2…,H8)と表され、優先順位データは、これらの各値Hnに対してそれぞれ設定される優先順位のデータであり、上記設計諸元設定用データはこれらのデータからなる二次元マトリクスデータで表される。そして、仮の設計諸元データQとは、設計諸元データ最適化部9による後述の設計諸元最適化制御処理の実行により所定の目標条件満足させる設計諸元データQが見つかるまで、シミュレーション用に使用される設計諸元データQであって、該制御処理の実行に伴って順次更新されて新たなデータに書き換えられる。尚、この仮の設計諸元データQの各データ値Hnの初期値は、最適化を図る前のドア部20周辺の設計諸元値である。

0029

上記設計諸元項目Dnとは、ドア部20周辺の設計諸元であり、具体的には、図2及び図3に示すフロア高さD1、シート高さD2、シート位置D3、ルーフレール高さD4、フロントピラー位置D5、フロントピラー傾斜角D6、センターピラー位置D7、センターピラー傾斜角D8である(設計諸元項目Dnのnとは設計諸元の種類を表す変数であり、nを指定することで特定の設計諸元を指定することができるようになっている)。ここで、フロア高さD1、シート高さD2、ルーフレール高さD4とはそれぞれのパーツの地面からの高さである。また、上記シート位置D3とは、シート22の車幅方向の位置でありドア21からシート22までの車幅方向の距離である。また、フロントピラー位置D5及びセンターピラー位置D7とは、それぞれのパーツの車両前後方向の位置であり例えば車両前端部から各パーツまでの車両前後方向の距離である。また、フロントピラー傾斜角D6及びセンターピラー傾斜角D8は、それぞれのパーツの側面視における傾斜角である。これら設計諸元項目Dnはいずれも車両の乗降性に大きく寄与するものである。例えば、ルーフレール高さD1が低くなれば、車両の乗降時に乗員は頚をより大きく曲げねばならないので、肉体的負担感が増し乗降性が低下することになる。

0030

上記人体特性データ記憶部3には、シミュレーション用の乗員の人体モデルJMに関する人体特性データが記憶されている。

0031

この人体モデルJMは、図4に示すように、頭部M1、胸部M2、腰部M3の3剛体をそれぞれ頚関節J1及び腰関節J2を介して連結してなる乗員の上半身の剛体リンクモデル(多関節モデル)とされている。ここで、モデル化される乗員は、シミュレーションで評価したい体格成人男性とされる。上記人体特性データは、上記人体モデルJMの座高、頭部M1の重量m1、胸部M2の重量m2、頭部M1の慣性モーメントI1、胸部M2の慣性モーメントI2等といった乗員の体格に関するデータである。

0032

人体特性データ記憶部3には、上記慣性モーメントI1,I2として、図9,10に示すような車体前後方向をx軸、鉛直方向をz軸、このx軸及びz軸に垂直な方向(紙面に垂直な方向)をy軸とした直交座標系における、各x、y、z軸周りの慣性モーメントの値がそれぞれ記憶されている。

0033

上記乗降動作軌跡算出部5は、上記設計諸元データ記憶部2から読み出した設計諸元データQ(各設計諸元項目Dnの値Hn)及び人体特性データ記憶部3から読み出した人体特性データに基づいて、乗員の車両乗降時の動作軌跡を算出して出力するものである。乗降動作軌跡算出部5は、算出手段を構成する。

0034

ここで、乗降動作軌跡算出部5は、乗員の乗降動作中における所定関節回り(本実施形態においては頚関節及び腰関節回り)の合計関節トルクT(後述する頚関節トルクT1及び腰関節トルクT2の和)の時間積分値を最小化し且つ所定関節(本実施形態においては頚関節及び腰関節)の関節受動抵抗を所定の閾値以下とするべく、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)を用いて該乗降動作中の動作軌跡を算出するようになっている。尚、本実施形態においては、所定関節を、頚関節及び腰関節の2関節としているが、必ずしもこれに限ったものではなく、例えば頚関節のみ(1関節のみ)であってもよいし、3つ以上の関節であってもよい。

0035

より具体的には、上記乗降動作軌跡算出部5は、式(1)に示すように、予め各関節角θiを時間の4次関数として与えておき、式(2)に示す評価関数Vにより得られる関節トルクの時間積分値の合計値を評価値とする。そして、乗降動作軌跡算出部5は、該評価値を最小化し且つ各関節の関節受動抵抗が所定の閾値以下となるパラメータai乃至eiの組合せデータを遺伝的アルゴリズムにより探索することで動作軌跡を算出する。尚、関節トルクの算出は、後述する関節トルク算出部6にて実行される。

0036

0037

この実施形態では、関節受動抵抗については、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を考慮する。関節受動抵抗とは、靱帯関節包、あるいはや筋の弾性による関節相対運動への抵抗である。ここでは、乗降動作を評価するため、頚及び腰を前後方向に延びる軸(x軸)周りに曲げるときの関節受動抵抗を考慮する。関節受動抵抗T(θn)は、一般に、関節の可動限界付近指数関数的に大きくなる傾向があるため、式(3)で近似できる。

0038

0039

ここで、θnは、関節角度である。θaは、頚の関節角度であって、詳しくは、頚関節を前後方向に貫通する軸周りの角度を表す。θbは、腰の関節角度であって、詳しくは、腰関節を前後方向に貫通する軸回りの角度を表す。以下、θaを単に「頚の関節角度」と称し、θbを単に「腰の関節角度」と称する。kn1〜kn3は、関節受動抵抗を表す係数であり、ka1〜ka3は頚の係数を、kb1〜kb3は腰の係数を表す。Cは、定数である。係数と定数の設定は、対象の関節の可動限界角度を測定により求めると共に関節の最大発揮トルクを仮置きすることにより導出することができる。関節角度と関節受動抵抗との関係は、独立行政法人産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センターの靱帯関節受動抵抗データベースを参照して求めることもできる。

0040

図5は、式(3)に基づいて求めた頚関節及び腰関節の関節角度に対する関節受動抵抗の関係を示すグラフである。頚関節及び腰関節ともに、関節角度が小さいときには関節受動抵抗が略に等しく、関節角度が或る閾値を超えると関節受動抵抗が指数関数的に上昇していく。関節受動抵抗が急増する関節角度は、腰関節よりも頚関節の方が小さい。人間が無理なく動作しているときには、関節受動抵抗は略零である。つまり、関節受動抵抗が大きくなる動作は、実際には人間がとり難い動作である。そのため、乗降動作軌跡算出部5は、各関節の関節受動抵抗が所定の閾値以下となるように動作軌跡を算出する。具体的には、パラメータai乃至eiの組合せデータを遺伝的アルゴリズムにより探索する際の拘束条件制約条件)に式(4),(5)を含ませる。

0041

0042

ここで、P1は、頚関節の関節受動抵抗の閾値(第1閾値)であり、P2は、腰関節の関節受動抵抗の閾値(第2閾値)である。閾値P1,P2は、人間が自然な動きをする際に許容できる関節受動抵抗である。閾値P2の方が、閾値P1よりも大きい。

0043

遺伝的アルゴリズムは、進化論的な考え方に基づいてデータ(本実施形態においてはパラメータai乃至eiの組合せデータ)を操作することで最適解最適データ)を探索する手法であり、上記乗降動作軌跡算出部5における遺伝的アルゴリズムに基づくデータ操作の流れを図6を基に説明する。

0044

すなわち、最初のステップSG1では、複数のデータの集合体である初期世代集団を生成する。

0045

ステップSG2では、生成された集団の各固体(各データ)の適合度を計算する。ここで、適合度とは、例えば上記評価値の逆数により算出されるものであって、その値が大きい固体ほど次の世代に受け継がれ易くなる。尚、本実施形態では、適合度が高い場合であっても、各データに対応して式(1)から決まる動作軌跡が、所定の拘束条件を満足していない場合には、適合度を極端に低い値に設定するようにしている。ここで、所定の拘束条件とは、例えば、乗員と車両(仮想車両)が干渉しないように設計諸元データQを基に設定される条件である。

0046

ステップSG3では、適合度を基にその世代全体の評価を行い、ステップSG4では、この評価を基に所定の終了条件を満たしているか否かを判定する。この判定がYESの場合にはデータ操作を終了する一方、NOの場合にはステップSG5に進む。具体的には、この判定は、例えば全固体の適合度の平均値所定値以上にあるという条件(終了条件)を満たしているか否かにより行われる。

0047

ステップSG5では、所謂「ルーレット選択方式」により適合度に比例した割合で個体を選択する。尚、固体の選択方式としては、例えば、集団の中から個体をある個対数(トーナメントサイズ)だけランダム選定し、その中で適合度の最も高いものを選択する「トーナメント選択方式」や、適合度の高い個体のいくつかを、そのまま次の世代に残す「エリート戦略」を採用する等してもよい。

0048

ステップSG6では、各固体をさらに進化させるべくGAオペレーションを実行してステップSG2に戻る。

0049

上記GAオペレーションは、図7に示すように、上記パラメータai乃至eiからなる数列データ2進数に変換することで得られる数列データ(固体)に対して実行される。

0050

GAオペレーションの態様としては、ある世代Gの個体(データ)をそのままコピーするクローン図7(A))と、ある世代Gの個体を、当該世代Gには存在しないパターンに変化させる突然変異図7(B))と、ある世代Gにおける複数の個体の一部を入れ換え交叉図7(C))とがあり、突然変異は、その変更の程度によって大変異と小変異とに分類される。本実施形態においては、クローン:大変異:小変異:交叉=3:35:10:52に設定することにより、シミュレーション結果と人体測定による測定結果とが極めて近似する結果を得られたため、乗降動作軌跡算出部5は、GAオペレーションの実行に際して上記の比率を採用するようになっている。

0051

こうして、この乗降動作軌跡算出部5にて算出された動作軌跡の例を図8に示す。この図は、乗降動作時における乗員の頭部M1の鉛直方向(上記z軸方向)の動作軌跡(図中の実線で示す軌跡)及び胸部M2の鉛直方向の動作軌跡(図中の破線で示す軌跡)、つまり頭部M1の重心位置及び胸部M2の重心位置の時間変化を示している。尚、この図において、横軸は時間を表し、縦軸は各重心位置を表している。

0052

上記関節トルク算出部6は、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される動作軌跡及び上記人体特性データ記憶部3に記憶された人体特性データに基づいて、乗降動作時の各関節(頚関節及び腰関節)にかかる関節トルクを算出するものである。この関節トルク算出部6では、車両乗降時の肉体的負担感との相関が比較的高い頚関節J1にかかる頚関節トルクT1と腰関節J2にかかる腰関節トルクT2とを演算している。

0053

本車両用設計支援システム100では、上述のように、上半身を、頭部M1、胸部M2、腰部M3の3剛体がそれぞれ頚関節J1及び腰関節J2で連結された剛体リンクモデルとして表している。従って、この頚関節J1及び腰関節J2にかかる上記関節トルクT1,T2は、各剛体の並進加速度αから求められる関節間力とその重心回り回転運動方程式から算出することができる。

0054

頚関節J1にかかる頚関節トルクT1の算出方法図9を用いて説明する。ここでは、x、y、z軸の直交座標系におけるy軸周りの頚関節トルクT1yの算出方法について説明する。

0055

まず、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される頭部M1のx軸及びz軸方向の動作軌跡に基づき、頭部M1のx軸方向の並進加速度α1xとz軸方向の並進加速度α1zとを算出する。そして、人体特性データ記憶部3から出力される頭部重量m1及び重力加速度gを用いて、頚関節J1にかかるx軸及びz軸方向の関節間力f1x及びf1zを以下の式(6)及び式(7)のように算出する。

0056

f1x=m1α1x ・・・(6)
f1z=m1α1z−m1g ・・・(7)
次に、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される頭部M1及び頚関節J1のx軸及びz軸方向の動作軌跡に基づき、図4に示すような頭部M1と頚関節J1との距離であるモーメントアーム長さr1のうちのx軸,z軸方向のモーメントアーム長さr1x,r1z(図9参照)と、頭部M1のy軸周りの角加速度θ"1yとを算出する。そして、上記式(6),(7)より算出された頚関節J1にかかるx軸及びz軸方向の関節間力f1x及びf1zと人体特性データから出力される頭部M1のy軸周りの慣性モーメントI1yとを用いて、頚関節J1のy軸周りの頚関節トルクT1yを以下の式(8)のように算出する。

0057

T1y=−f1zr1x+f1xr1z+I1yθ"1y ・・・(8)
同様にして、頚関節J1のx軸周りの頚関節トルクT1xを、乗降動作軌跡算出部5から出力される頭部M1のy軸及びz軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。さらに、頚関節J1のz軸周りの頚関節トルクT1zを、乗降動作軌跡算出部5から出力される頭部M1のx軸及びy軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。そして、これら各軸成分の頚関節トルクT1x,T1y,T1zを以下の式(9)のように合成することで、頚関節トルクT1を算出する。

0058

0059

次に、腰関節トルクT2の算出方法について図10用いて説明する。ここでは、上記と同様にy軸周りの腰関節トルクT2yの算出方法について説明する。

0060

まず、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される胸部M2のx軸及びz軸方向の動作軌跡に基づき、胸部M2のx軸方向の並進加速度α2xとz軸方向の並進加速度α2zとを算出する。そして、人体特性データから出力される胸部重量m2と重力加速度gと上記頚関節J1にかかる関節間力f1x及びf1zとを用いて、腰関節J2にかかるx軸及びz軸方向の関節間力f2x及びf2zを以下の式(10)及び式(11)のように算出する。

0061

f2x=m2α2x−f1x ・・・(10)
f2z=−f1z−m2g+m2α2z ・・・(11)
次に、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される頚関節J1及び腰関節J2のx軸及びz軸方向の動作軌跡に基づき、頚関節J1と腰関節J2との距離であるモーメントアーム長さr2のうちのx軸,z軸方向の距離であるモーメントアーム長さr2x,r2zと、胸部M2のy軸周りの角加速度θ"2yとを算出する。そして、上記頚関節J1にかかる関節間力f1x及びf1zと、上記腰関節J2にかかる関節間力f2x及びf2zと、人体特性データから出力される胸部M2のy軸周りの慣性モーメントI2yとを用いて、腰関節J2のy軸周りの腰関節トルクT2yを以下の式(12)のように算出する。

0062

T2y=−f2zr2x/2+f2xf2z/2−f1zr2x/2+f1xr2z/2+I2yθ"2y+T1y・・・(12)
同様にして、腰関節J2のx軸周りの腰関節トルクT2xを、乗降動作軌跡算出部5から出力される胸部M2のy軸及びz軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。さらに、腰関節J2のz軸周りの腰関節トルクT2zを、乗降動作軌跡算出部5から出力される胸部M2のx軸及びy軸方向の動作軌跡等を用いて算出する。そして、これら各軸成分の腰関節トルクT2x,T2y,T2zを以下の式(13)のように合成することで、腰関節トルクT2を算出する。

0063

0064

このようにして算出された頚関節トルクT1、腰関節トルクT2の演算結果例を図11に示す。この図は、図8に示す乗降動作時の動作軌跡を用いて各トルクT1,T2を演算したものである。図中実線で示したものが腰関節トルクT2であり、破線で示したものが頚関節トルクT1である。ここで、この乗降動作時の頚関節トルクT1の変化は、乗降動作時の乗員の僧帽筋及び胸鎖乳突筋筋電位の変化の測定結果とよい一致を示すことが確認されている。また、腰関節トルクT2の変化は、乗員の体幹起立筋と腹直筋の筋電位の変化の測定結果とよい一致を示すことが確認されている。すなわち、上記のように乗降動作時の筋活動と上記頚関節トルクT1と腰関節トルクT2との間に高い相関があることが確認されている。従って、本車両用設計支援システム100では、これら関節トルクT1,T2に基づいて乗降動作時の肉体的負担感を上記肉体的負担感推定部7にて算出している。

0065

この肉体的負担感推定部7では、上記のように関節トルク算出部6で算出された頚関節トルクT1と腰関節トルクT2とに基づいて、車両乗降時の乗員の各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感を算出するとともに、該各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感を合計した合計肉体的負担感を算出する。具体的には、肉体的負担感推定部7は、頚関節トルクT1及び腰関節トルクT2との和である合計関節トルクT(=T1+T2)を、各動作フェーズa1乃至a6の開始時から終了時までの区間で時間積分することで各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感Wa(a=1,2,・・・6)を算出するとともに、算出した各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感Waを全て足し合わせることで上記合計肉体的負担感Wを算出する。ここで、肉体的負担感W1乃至W6はそれぞれ各動作フェーズa1乃至a6における肉体的負担感を表しており、例えば乗降動作時における動作フェーズa1にて乗員が受ける肉体的負担感W1は以下の式(14)により算出することができ、上記合計肉体的負担感は式(15)により算出することができる。

0066

0067

ここで、上記各演算はコンピュータのCPUにより行われる。従って、上記乗降動作軌跡算出部5から出力される動作軌跡は刻み時間△t毎の離散系データとなり、この動作軌跡に基づいて算出される合計関節トルクT等も△t毎の離散系データとなる。よって、この離散データである合計関節トルクTとΔtとの積により算出される離散算出データを、各動作フェーズa1乃至a6の時間区間内で足し合わせることで、式(14)に示す各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感の算出が可能となる。

0068

肉体的負担感推定部7は、算出(推定)した各動作フェーズ毎a1乃至a6の乗員の肉体的負担感Wa(a=1,2,・・・6)及びこれらの合計である合計肉体的負担感Wに関する情報を総負担感推定部25に出力する。そうして、この肉体的負担感推定部7と上記関節トルク算出部6とで肉体的負担感算出手段を構成している。

0069

上記精神負担算出用データ記憶部4には、精神的負担感推定部8にて乗員の乗降動作時の精神的負担感を推定(算出)する際の基となる精神負担算出用データ30が記憶されている。図12に、精神負担算出用データ30の一例を示す。精神負担算出用データ30の各値は、各設計諸元項目Dnの値Hnの変化が各フェーズにおける乗降性評価項目A1乃至A8に与える影響度を表している。本実施形態においては、この精神負担算出用データ30は、上記設計諸元項目Dnの値Hnが異なる複数の試乗車(本実施形態においては10台の試乗車)に乗車した複数の被験者(本実施形態においては42名の被験者)による、乗降性に関するアンケート調査に対する回答を基に作成される。

0070

このアンケート調査は、図13に示す、予め各被験者配布したアンケート用紙31の回答項目のうち該当すると思われる項目をチェックしてもらうことで行う。具体的には、アンケート用紙31には、各回答項目32に対応してチェック欄33が設けられており、被験者が該当する質問のチェック欄にチェックを施すようになっている。図の例では、被験者が「高くてつらい」という項目に対応するチェック欄33にチェックを施したことを示している。

0071

アンケート用紙31に記載される各回答項目は、図14に示す上記精神的負担感に影響を与える8つの乗降性評価項目A1乃至A8をISM法により予め抽出して該抽出した項目に関連付けて上記各動作フェーズa1乃至a6毎に作成される。ISM法とは、データマイニングの1つでリンク分析に含まれる範疇のものであり、精神的負担感に影響する多くの影響因子(項目)のうち重要な乗降性評価項目A1乃至A8を的確に抽出するための手法である。具体的には、本実施形態では、この乗降性評価項目A1乃至A8として、「身体調和性」、「身体的開放性」、「安定性」、「空間的ゆとり」、「意向実現性」、「動作適合性」、「好触感」、及び「安定感」を抽出している。尚、図14中の矢印は、各乗降性評価項目A1乃至A8の相関関係を示し、各乗降性評価項目A1乃至A7は最終的には「安心感」(乗降性評価項目A8)に結びついている。

0072

そしてアンケート用紙31には、各回答項目が上記8つの評価項目A1乃至A8(乗降性評価項目)のうちのいずれに関連付くものであるかを示す対応表34が設けられており、該関連付く項目に対応するセルには後述する影響数をカウントするためのチェック「1」が記入されている。

0073

尚、この対応表34は、アンケート結果集計分析)を行う集計者の便宜のために設けられるものであって、各被験者はアンケートの回答に際してこの対応表34の記載を考慮する必要はなく、アンケート調査はそのことを予め被験者に伝えた上で実施される。

0074

こうして実施されたアンケート調査結果を集計(分析)することで、例えば図15に示すように、各車両における乗降動作時の精神的負担感に占める各動作フェーズa1乃至a6毎の割合を算出することができる。

0075

すなわち、仮に車両Xに関して被験者Yによるアンケート調査を実施した場合に、アンケート用紙31の動作フェーズa1(内足入れフェーズ)に関する「高くてつらい」という回答項目(以下、回答項目1と呼ぶ)と、動作フェーズa3(外足入れフェーズ)に関する「ドアつけ根下部にあたる」という回答項目(以下、回答項目2と呼ぶ)にチェックが施されていたとすると、回答項目1は、乗降性評価項目A6に対応するセルにのみチェックが記入されているので精神的負担感に影響する影響数が1とカウントされ、項目2は、3つの乗降性評価項目A4,A5,A7に対応するセルにチェックが記入されているので影響数が3とカウントされて、被験者Yが車両Xの乗降動作時に感じる精神的負担感は該影響数に換算して4(=1+3)とカウントすることができる。そして、この精神的負担感のうち動作フェーズa1が占める割合は該動作フェーズa1にてカウントされた影響数1を影響数の合計値4で除することにより25(=1/4×100)%と算出することができ、同様にして、精神的負担感のうち動作フェーズa3が占める割合は75(=3/4×100)%と算出することができる。

0076

そして、本実施形態においては、システム設計者(アンケート集計者)が、このような影響数に基づいた考え方を基にアンケート結果を解析する。具体的には、システム設計者は、各車両における各動作フェーズa1乃至a6毎に又は各乗降性評価項目A1乃至A8毎に影響数をカウントすることで、各車両に対する乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感割合や、更にはその各乗降性評価項目A1乃至A8毎の割合を算出する。

0077

更に、上記システム設計者は、算出した各車両毎における乗降動作時の精神的負担感の各乗降性評価項目A1乃至A8毎の割合データに対して、重回帰分析を行うことで上記精神負担算出用データ30を作成する。具体的には、例えば各車両の各設計諸元項目Dnの値Hnを独立変数として、該各車両における乗降動作時の精神的負担感に占める各乗降性評価項目A1乃至A8毎の割合を従属変数として重回帰分析を行う。そうして、作成された精神負担算出用データ30の各値は、各設計諸元項目Dnの値Hnの変化が乗降性評価項目A1乃至A8に与える影響度を表しており、本実施形態においては、図12に示すように、例えば設計諸元D1の値H1の変化が内足入れフェーズa1において乗降性評価項目A3及びA4に与える影響度はそれぞれ0.7258及び0.7774となっている。このことから、内足入れフェーズa1において設計諸元D1が乗降性評価項目A4に与える影響は乗降性評価項目A3に与える影響に比べて大きいことが分かる。尚、各乗降性評価項目A1乃至A8は、上述したように乗員の乗降動作時の精神的負担感に影響する影響因子であることから、精神負担算出用データ30は、車両用ドア部周辺の各設計諸元項目Dnの値Hnの変化が乗員の乗降動作時の精神的負担感に与える影響度を上記各動作フェーズa1乃至a6毎に数値化したものであるとも言える。

0078

そして、作成された精神負担算出用データ30は、システム設計段階において設計者により、図示しないキーボードから入力されて上記精神負担算出用データ記憶部4に記憶される。

0079

上記精神的負担感推定部8は、上記精神負担算出用データ30から出力される精神負担算出用データ30と、設計諸元データ記憶部2から出力される設計諸元データQとを基に、該設計諸元データQに対応する設計諸元値Hnを有する車両(仮想車両)における、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感及びそれらを合計した合計精神的負担感を算出する。

0080

具体的には、精神的負担感推定部8は、上記精神負担算出用データ30の各データセルの値(影響度)をEajn(a=1,2,…6、n,j=1,2,…8、)として、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Ma及び合計精神的負担感Mをそれぞれ、次式(16)及び(17)により算出する。ここで、添字aは各動作フェーズa1乃至a6に対応し、添字nは、各設計諸元項目Dnに対応し、添字jは、各乗降性評価項目A1乃至A8に対応している。従って、例えば影響度E113は、動作フェーズa1における設計諸元D1の乗降性評価項目A3への影響度を表していて、図12に示すようにその値は0.7258とされている。

0081

0082

精神的負担感推定部8は、算出した各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Ma及び合計精神的負担感Mを総負担感推定部25に出力する。そうして、この精神的負担感推定部8が精神的負担感算出手段を構成することとなる。

0083

上記総負担感推定部25は、肉体的負担感推定部7及び精神的負担感推定部8からそれぞれ出力される、乗員の各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感Wa及び精神的負担感Maを基に、各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感を算出(推定)する。

0084

ここで、肉体的負担感推定部7にて算出される肉体的負担感Waと、精神的負担感推定部8にて算出される精神的負担感Maとでは、それぞれの算出過程から明らかなように単位系が異なる。このため、本実施形態においては、精神的負担感推定部8は、総負担感を算出するに際して、各動作フェーズa1乃至a6の肉体的負担感Waを合計負担感Wで除することにより肉体的負担感割合RWaを算出するとともに、各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを合計精神的負担感Mで除することにより精神的負担感割合RMaを算出した上で、上記乗員の乗降動作の開始から終了までの総負担感に占める肉体的負担感と精神的負担感との割合がそれぞれ50%ずつと仮定して、各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感割合RSa(a=1,2,…6)を算出して該総負担感割合RSaをもって該各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感(総負担感の大きさ)とする(図16参照)。

0085

具体的には、総負担感推定部25は、次式(18)により、肉体的負担感割合RWaを算出し、次式(19)により精神的負担感割合RMaを算出し、次式(20)により総負担感割合RSaを算出する。

0086

ここで、RW1乃至RW6、RM1乃至RM6、及びRS1乃至RS6はそれぞれ、各動作フェーズa1乃至a6における肉体的負担感割合、精神的負担感割合、及び総負担感割合を表している。

0087

RWa=Wa/W ・・・(18)
RMa=Ma/M ・・・(19)
R=(RMa+RWa)/2 ・・・(20)
総負担感推定部25は、算出した肉体的負担感割合RWaに関する情報を設計諸元データ最適化部9に出力する。そして、この総負担感推定部25と肉体的負担感推定部7と精神的負担感推定部8と関節トルク算出部6とが負担感推定部26(図1参照)を構成している。

0088

設計諸元データ最適化部9は、総負担感推定部25からの情報を基に、乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感割合RSa(負担感)が、該各動作フェーズa1乃至a6のそれぞれに対して予め設定された設定閾割合(設定閾値)以下となっているか否かを判定する。尚、この設定閾割合は、オペレータシステム使用者)が予めキーボード(図示省略)から入力することで設定可能になっている。

0089

そして、設計諸元データ最適化部9は、各動作フェーズa1乃至a6における総負担感割合RSaがそれぞれ設定閾割合以下となる目標条件が満足されていると判定した場合には、そのときの設計諸元データQを最適設計諸元データQとして結果表示部10に出力する一方、各動作フェーズa1乃至a6のうち1つでもその総負担感割合RSaが設定閾割合を上回っている場合(図16では、着座フェーズa2及び外足出しフェーズa4における総負担感割合RSaが設定閾割合を上回っている場合を示している)には、そのときの設計諸元データQを後述の変更優先順位に基づいて変更した上でシミュレーション用の新たな設計諸元データQとして上記設計諸元データ記憶部2に出力して記憶させる。

0090

上記主制御部11は、各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感割合RSaが設定閾割合以下となるように設計諸元データQを決定するべく、上記各算出部5,6間のデータの受渡しや、該各算出部5,6における演算処理等のシステム全体を制御する設計諸元最適化制御を実行する。そして、この主制御部11と上記設計諸元データ最適化部9とが設計諸元データ最適化手段を構成することとなる。

0091

上記結果表示部10は、図示しないコンピュータのディスプレイからなるものであって、設計諸元データ最適化部9から出力される最適設計諸元データQを該ディスプレイ上に表示してオペレータに示すものである。

0092

次に、図17,18のフローチャートを参照にしながら、上記主制御部11による設計諸元最適化制御処理について説明する。尚、ステップSA7以降の処理は、主制御部11からの指令を受けた設計諸元データ最適化部9により実行されるものである。

0093

最初のステップSA1では、上記各算出部5,6及び設計諸元データ最適化部9に対して人体特性データ記憶部3内の人体特性データを読込むように指令を出す。

0094

ステップSA2では、上記各算出部5,6及び設計諸元データ最適化部9に対して設計諸元データ記憶部2内に記憶された仮の設計諸元データQを読込むように指令を出す。

0095

ステップSA3では、乗降動作軌跡算出部5に対して、上記人体特性データにより置換された乗員の各関節トルクの積分値が最小となり且つ頚関節及び腰関節の関節受動抵抗がそれぞれの閾値P1,P2以下となる動作軌跡を算出させるべく演算実行指令を出す。

0096

ステップSA4では、肉体的負担感推定部7に対して演算実行指令を行うことで、ステップSA2にて読込んだ設計諸元データQに対応する設計諸元値Hnを有する車両(仮想車両)において乗員が乗降動作時に受ける各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感割合RWaを算出させる。

0097

ステップSA5では、精神的負担感推定部8に対して演算実行指令を行うことで、車両(仮想車両)において乗員が乗降動作時に受ける各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感割合RMaを算出させる。

0098

ステップSA6では、総負担感推定部25に対して演算実行指令を行うことで、車両(仮想車両)において乗員が乗降動作時に受ける各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感割合RSaを算出させる。

0099

ステップSA7では、設計諸元データ最適化部9に対して演算実行指令を行うことで、ステップSA6にて算出した総負担感割合RSaが、該各動作フェーズa1乃至a6毎に設定された設定閾割合以下であるか否かを判定させる。この判定がYESの場合には、ステップSA8に進み、NOの場合にはステップSA9(図18参照)に進む。

0100

ステップSA8では、シミュレーションに使用した上記設計諸元値データQを結果表示部10に出力する。

0101

ステップSA9(図18参照)では、総負担感割合RSaが設定閾割合を上回る動作フェーズa1乃至a6を抽出する。

0102

ステップSA10では、ステップSA9にて抽出した動作フェーズa1乃至a6に関連する設計諸元項目Dnを抽出する。ここで、各動作フェーズa1乃至a6に関連する設計諸元項目Dnは予め設計段階で設定されてハードディスク内に記憶されている。具体的には、例えば着座フェーズa2に関連する設計諸元項目Dnは、シート22に関するものであってシート高さD2及びシート位置D3とされており、本実施形態においては、各動作フェーズa1乃至a6のそれぞれに対して2以上の設計諸元項目Dnが設定されている。

0103

ステップSA11では、ステップSA10にて抽出した設計諸元項目Dnのうち、その値を変更したとしても車両外観に与える影響が最も少ない設計諸元項目Dnを選択する。ここで、各設計諸元項目Dnが外観に与える影響度の大きさは、予め順位付けされて上記設計諸元設定用データの優先順位データとして記憶されている。以下の説明では、この順位のことを変更優先順位と呼ぶ。

0104

ステップSA12では、ステップSA11にて選択した設計諸元項目Dnの値(設計諸元データQにおける設計諸元項目Dnに対応するデータ値Hn)に所定の刻み値加算して新たな設計諸元データQを作成するとともに、作成した設計諸元データQを設計諸元データ記憶部2に出力して記憶させる。

0105

ステップSA13では、刻み値を加算した設計諸元項目Dnの値Hnが、予め設定した許容範囲内にあるか否かを判定し、この判定がYESの場合にはリターンする一方、NOの場合にはステップSA14に進む。

0106

ステップSA14では、ステップSA11にて選択した設計諸元項目Dnの次に変更優先順位が高い設計諸元項目Dnを選択してステップSA12に戻る。尚、刻み値を加算した設計諸元項目Dnの値Hnについては許容範囲を超える直前のデータ値に戻しておく。

0107

以上の如く、上記実施形態1では、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。具体的には、支援システム100は、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗が所定の閾値以下となるように動作軌跡を算出している。これにより、実施の人間には困難な姿勢を取る乗降動作をシミュレーションから排除することができる。その結果、現実的でない乗降動作に基づいて設計諸元値を評価してしまうことを防止することができ、乗降性を正確に評価することができる。さらには、現実的でない乗降動作についての演算を行う必要がないので、シミュレーションにおける計算量を削減することができる。

0108

また、頚関節の関節受動抵抗の閾値と腰関節の関節受動抵抗の閾値とを別々に設定することによって、頚関節と腰関節との両方の関節の許容度を考慮することができる。このとき、頚関節の閾値P1を腰関節の閾値P2よりも小さくすることによって、実際の人間の動きにより近い動作軌跡を算出することができる。

0109

《発明の実施形態2》
続いて、実施形態2に係る支援システム200について説明する。図19は、支援システム200のブロック図である。支援システム200のうち支援システム100と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。

0110

支援システム200は、支援システム100の構成に加えて、関節受動抵抗算出部27を備えている。

0111

まず、支援システム200の乗降動作軌跡算出部5は、式(2)に示す評価関数Vにより得られる関節トルクの時間積分値の合計値である評価値を最小化するパラメータai乃至eiの組合せデータを遺伝的アルゴリズムにより探索することで動作軌跡を算出する。つまり、乗降動作軌跡算出部5は、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を考慮していない。

0112

また、人体特性データ記憶部3には、図5に示す頚関節及び腰関節の関節角度に対する関節受動抵抗の関係(以下、「関節受動抵抗特性」という)が記憶されている。関節受動抵抗特性は、図5のようなグラフの形で記憶されていてもよいし、関数の形で記憶されていてもよい。

0113

関節受動抵抗算出部27は、乗降動作軌跡算出部5から出力される動作軌跡に基づいて、ルーフレールの下を通過する動作をするときの頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を算出する。詳しくは、関節受動抵抗算出部27は、乗降動作軌跡算出部5が算出した動作軌跡から頚関節及び腰関節の関節角度を求める。求めた関節角度を、人体特性データ記憶部3から読み出した関節受動抵抗特性に照らし合わせて、頚関節の関節受動抵抗及び腰関節の関節受動抵抗を求める。関節受動抵抗算出部27は、求めた頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を設計諸元データ最適化部9へ出力する。ここで、頚関節の関節角度及び関節受動抵抗並びに、腰関節の関節角度及び関節受動抵抗は、上述の如く、各関節を前後方向に貫通する軸周りのものである。

0114

設計諸元データ最適化部9は、関節受動抵抗算出部27からの情報を基に、頚関節の関節受動抵抗が所定の第1閾値以下であるか否か、及び、腰関節の関節受動抵抗が所定の第2閾値以下であるか否かを判定する。第1及び第2閾値は、人間が自然な動きをする際に許容できる関節受動抵抗であり、その値は頚関節と腰関節とで異なる。一般的に、頚関節の許容できる関節受動抵抗の方が腰関節に比べて小さいため、第1閾値の方が第2閾値よりも小さい。尚、この第1及び第2閾値合は、オペレータ(システム使用者)が予めキーボード(図示省略)から入力することで設定可能になっており、ハードディスク等に記憶されている。

0115

そして、設計諸元データ最適化部9は、頚関節の関節受動抵抗が所定の第1閾値以下であり且つ腰関節の関節受動抵抗が所定の第2閾値以下である場合には、負担感推定部26は、乗降動作軌跡算出部5から出力される動作軌跡に基づいて負担感を推定する。負担感推定部26の処理及び負担感推定部26の推定結果に基づく設計諸元データ最適化部9の処理は、支援システム100と同様である。一方、頚関節の関節受動抵抗が所定の第1閾値を上回る、又は腰関節の関節受動抵抗が所定の第2閾値を上回る場合には、上述した、総負担感割合RSaが設定閾割合を上回っている場合と同様に、そのときの設計諸元データQを変更優先順位に基づいて変更した上でシミュレーション用の新たな設計諸元データQとして上記設計諸元データ記憶部2に出力して記憶させる。

0116

次に、図20,21のフローチャートを参照しながら、支援システム200の主制御部11による設計諸元最適化制御処理について説明する。

0117

ステップSA1〜SA3までの処理は、支援システム100と同様である。ただし、ステップSA3において演算実行指令を受けた乗降動作軌跡算出部5は、上記人体特性データにより置換された乗員の各関節トルクの積分値が最小となる動作軌跡を算出する。つまり、この時点では、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を考慮していない。

0118

続いて、ステップSB1では、上記関節受動抵抗算出部27に対して、乗降動作軌跡算出部5が算出した動作軌跡及び人体特性データ記憶部3に記憶された関節受動抵抗特性に基づいて頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を算出させるべく演算実行指令を出す。

0119

ステップSB2では、設計諸元データ最適化部9に対して演算実行指令を行うことで、ステップSB1にて算出した頚関節及び腰関節の関節受動抵抗がそれぞれ、第1及び第2閾値以下であるか否かを判定させる。この判定がYESの場合には、ステップSA4に進み、NOの場合にはステップSB3に進む。

0120

ステップSA4以降の処理は、支援システム100と同様である。

0121

ステップSB3では、設計諸元データ最適化部9に対して演算実行指令を行うことで、頚関節の関節受動抵抗が第1閾値を上回る動作フェーズ、又は、腰関節の関節受動抵抗が第2閾値を上回る動作フェーズを抽出させる。その後、ステップSA10へ進む。

0122

以上の如く、実施形態2では、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。具体的には、支援システム200は、設計諸元データに対する動作軌跡を算出した後であって、該動作軌跡を用いて設計諸元データを評価する前に、該動作軌跡における頚関節及び腰関節の関節受動抵抗が所定の閾値以下となるか否かを判定する。そして、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗がそれぞれの対応する閾値以下であれば、支援システム100と同様の処理により設計諸元データの評価を行う。一方、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗の少なくとも一方が対応する閾値を上回っていれば、設計諸元データを変更して、動作軌跡の算出からやり直す。つまり、動作軌跡を算出した後に、該動作軌跡が実際の人間の動きに適合しているか否かを判定し、適合していない動作軌跡を排除し、設計諸元データを変更して動作軌跡の算出をやり直している。これにより、実施の人間には困難な姿勢を取る乗降動作をシミュレーションから排除することができる。その結果、現実的でない乗降動作に基づいて設計諸元値を評価してしまうことを防止することができ、乗降性を正確に評価することができる。さらには、現実的でない乗降動作についての演算を行う必要がないので、シミュレーションにおける計算量を削減することができる。

0123

尚、支援システム200においては、乗降動作軌跡算出部5で算出した動作軌跡から関節受動抵抗を求め、関節受動抵抗により動作軌跡の適否を判定しているが、これに限られるものではない。例えば、図5に示すように関節角度と関節受動抵抗とは一定の関係を有するので、乗降動作軌跡算出部5で算出した動作軌跡から頚関節及び腰関節の関節角度を求め、頚関節及び腰関節の関節角度がそれぞれの閾値以下となっているか否かによって、動作軌跡の適否を判定するようにしてもよい。

0124

また、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗の評価を乗降動作の全区間における動作軌跡について行っているが、これに限られるものではない。頚関節及び腰関節の関節角度が最も大きくなるのはルーフレールの下を通過する動作をするときなので、人体モデルがルーフレールの下を通過する動作をするときの頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を求め、該関節受動抵抗が大きいときにはルーフレールの下を通過する動作に関連する設計諸元値を変更するようにしてもよい。

0125

《発明の実施形態3》
続いて、実施形態3に係る支援システム300について説明する。

0126

支援システム300では、動作軌跡の算出の方法が支援システム100と異なる。支援システム300の構成は、図1に示す支援システム100の構成と同様である。支援システム300は、実際の人間が車両を乗降する際には頚と腰との連動性があることに着目し、頚と腰との連動性を考慮して、乗降動作のシミュレーションを行う。

0127

本発明者は、以下の実験を行うことにより頚と腰との連動性を見出した。詳しくは、車両のドア開口部を想定したモックアップをを用い、降車動作を行う乗員の動きを計測した。一連の乗降動作の中で頚や腰の筋負担が最も大きくなるのは、降車時に頭又は肩がルーフレールの下を通過するときであることがわかっているため、モックアップのルーフレール高さを変動させて、乗員の動きの計測を行った。条件ごとに3回の乗降動作を行い、そのときの乗員の動きを計測した。

0128

図22は、関節角度計測におけるマーカ位置を示す説明図であり、図23は、計測設備の概略構成を示す図である。乗員には、図22に示すマーカ位置に、関節角度計測用マーカを取り付けた。そして、図23に示す計測設備を用いて、乗降動作を行う乗員の動作を計測した。詳しくは、計測設備は、第1及び第2CCDカメラ41,42と、第1及び第2CCDカメラ41,42のそれぞれに電力を供給し且つそれぞれを制御する第1及び第2制御装置43,44と、第1及び第2制御装置43,44から出力される撮影画像を同期させる同期装置45と、第1及び第2CCDカメラ41,42の撮影画像をそれぞれ記録する第1及び第2記録部46,47とを備えている。このような計測設備を用いて、乗降動作を行う乗員の動作を異なる2つの角度から撮影した。

0129

こうして種々のルーフレール高さに対する乗降動作を計測した結果を図24,25に示す。図24は、ルーフレール高さに応じた乗員の動作パターンを模式的に表した図であり、図25は、ルーフレール高さに対する頚関節及び腰関節の関節角度の関係を示すグラフである。図25の頚関節及び腰関節の関節角度は、計測したマーカの軌跡を解析して、乗員がルーフレールの下を通過する際の関節角度を求めたものである。

0130

図24からわかるように、ルーフレール高さが低い場合には、乗員は、頚をほとんど曲げず、腰を少しだけ(約30°)曲げて、ルーフレールの下を通過する。そして、ルーフレール高さが少し低くなると、乗員は、腰の角度(約30°)をあまり変えずに、頚の角度を大きくして(約15°)、ルーフレールの下を通過する。ルーフレール高さがさらに低くなると、乗員は、頚の角度(約15°)をあまり変えずに、腰の角度を大きくして(約40°)、ルーフレールの下を通過する。

0131

このような乗員の動作パターンは、図25を見れば、より明確である。ルーフレール高さが基準高さから少し低下させると、頚の関節角度だけが大きくなり、腰の関節角度はあまり変化しないか、むしろ減少している。そして、ルーフレール高さが或る閾値よりも低くなると、今度は、腰の関節角度が上昇に転じ、頚の関節角度は減少に転じる。ルーフレール高さをさらに低下させると、腰の関節角度は可動限界角度付近まで上昇していく。一方、頚の関節角度は、変動するものの、頚の可動限界角度を超えることはない。このような結果から考察すると、頚と腰では頚を曲げる方が容易であるため、ルーフレール高さがそれほど低くない場合は、乗員は頚を曲げるだけでルーフレールの下を通過しようとする。しかし、乗降動作に要する頚の曲げ量が大きくなり過ぎると、乗員は、腰を曲げてルーフレールの下を通過しようとする。このとき、腰を曲げるのに連動して、頚の関節角度は小さくなる。また、腰は、可動限界角度付近まで曲げ得るのに対し、頚は、可動限界付近まで曲がることはない。つまり、頚は、負担を感じる(即ち、痛みを感じる)関節受動抵抗が小さいのに対し、腰は、負担を感じる関節受動抵抗が大きいと考えられる。

0132

したがって、頚の関節角度が所定閾値以下でよい場合には、乗員は頚を優先的に曲げる一方、頚の関節角度が所定閾値を上回らないといけない場合には、乗員は腰を優先的に曲げるように動作する。

0133

これらを踏まえて、支援システム300の乗降動作軌跡算出部5は、頚を優先的に曲げて動作軌跡を算出する頚優先モードと、腰を優先的に曲げて動作軌跡を算出する腰優先モードとを有している。

0134

詳しくは、乗降動作軌跡算出部5は、頚優先モードの場合は、上記式(2)の評価関数Vの代わりに、式(22)の評価関数V1を用いて動作軌跡を算出する。詳しくは、式(22)に示す評価関数V1により得られる関節トルクの時間積分値の合計値を評価値とし、該評価値を最小化するパラメータai乃至eiの組合せデータを遺伝的アルゴリズムにより探索することで動作軌跡を算出する。一方、乗降動作軌跡算出部5は、腰優先モードの場合は、上記式(2)の評価関数Vの代わりに、式(23)の評価関数V2を用いて動作軌跡を算出する。詳しくは、式(23)に示す評価関数V2により得られる関節トルクの時間積分値の合計値を評価値とし、該評価値を最小化するパラメータai乃至eiの組合せデータを遺伝的アルゴリズムにより探索することで動作軌跡を算出する。

0135

0136

0137

頚優先モードと腰優先モードの切替は、頚関節の関節角度に基づいて行う。詳しくは、乗降動作軌跡算出部5は、算出した動作軌跡から、ルーフレールの下を通過する際の頚関節の関節角度を算出し、該関節角度が所定の閾値以下の場合には頚優先モードとし、該関節角度が所定の閾値を上回る場合には腰優先モードとする。この閾値は、例えば、頚関節の関節受動抵抗が発生する値である。閾値をこのように設定した場合、頚関節に負担がかからない領域では頚優先モードとなり、頚関節に負担がかかってしまう領域では腰優先モードとなる。また、頚関節の関節角度は、上述の如く、頚関節を前後方向に貫通する軸回りの角度である。

0138

以下、図26のフローチャートを参照しながら、支援システム300の主制御部11による設計諸元最適化制御処理について説明する。

0139

ステップSA1〜SA3までの処理は、支援システム100と同様である。ただし、ステップSA3において演算実行指令を受けた乗降動作軌跡算出部5は、上記人体特性データにより置換された乗員の各関節トルクの積分値が最小となる動作軌跡を算出する。つまり、この時点では、頚関節及び腰関節の関節受動抵抗を考慮していない。乗降動作軌跡算出部5は、始めは頚優先モードに設定されており、頚優先モードで動作軌跡を算出する。

0140

続いて、ステップSC1では、乗降動作軌跡算出部5に対して、算出した動作軌跡に基づいて頚関節の関節角度を算出させるべく演算実行指令を出す。

0141

ステップSC2では、乗降動作軌跡算出部5に対して演算実行指令を行うことで、ステップSC1にて算出した頚関節の関節角度が所定の閾値以下であるか否かを判定させる。この判定がYESの場合には、ステップSA4に進み、NOの場合にはステップSC3に進む。

0142

ステップSA4以降の処理は、支援システム100と同様である。

0143

ステップSC3では、乗降動作軌跡算出部5に対して、頚優先モードを腰優先モードに変更させる実行指令を出す。その後、ステップSA3へ進む。つまり、ステップSC3を経由したステップSA3においては、乗降動作軌跡算出部5は、腰優先モードで動作軌跡を算出する。

0144

尚、ステップSA3において腰優先モードで動作軌跡を算出した後は、ステップSC1,SC2をスキップして、ステップSA4へ進んでもよい。

0145

以上の如く、実施形態3では、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。具体的には、支援システム300は、乗降動作に要する頚関節の関節角度が小さい場合(即ち、関節角度が所定閾値以下の場合)には頚優先モードで動作軌跡を算出する一方、乗降動作に要する頚関節の関節角度が大きい場合(即ち、関節角度が所定閾値を超える場合)には腰優先モードで動作軌跡を算出する。つまり、実際の人間の動きに近い乗降動作の動作軌跡を算出することができる。その結果、現実的でない乗降動作に基づいて設計諸元値を評価してしまうことを防止することができ、乗降性を正確に評価することができる。さらには、現実的でない乗降動作についての演算を行う必要がないので、シミュレーションにおける計算量を削減することができる。

0146

《発明の実施形態4》
続いて、実施形態4に係る支援システム400について説明する。

0147

支援システム400では、動作軌跡の算出の方法が支援システム100と異なる。支援システム400の構成は、図1に示す支援システム100の構成と同様である。支援システム400は、支援システム300と同様に、頚と腰との連動性を考慮して乗降動作のシミュレーションを行う。

0148

具体的には、支援システム400の乗降動作軌跡算出部5は、遺伝的アルゴリズムにより動作軌跡を算出する際に、支援システム100と同様に、式(4)、(5)を拘束条件として設定する。そして、式(1)により求めた頚の関節角度θaが式(4)を満たす場合には、乗降動作軌跡算出部5は頚優先モードとなる。頚優先モードでは、乗降動作軌跡算出部5は、式(22)の評価関数V1を用いて動作軌跡を算出する。一方、式(1)により求めた頚の関節角度θaが式(4)を満たさない場合には、乗降動作軌跡算出部5は腰優先モードとなる。腰優先モードでは、乗降動作軌跡算出部5は、式(23)の評価関数V2を用いて動作軌跡を算出する。

0149

以上の如く、実施形態4では、関節の許容度に基づいて乗降動作をシミュレーションする。具体的には、支援システム400は、遺伝的アルゴリズムにより動作軌跡を算出する際に、頚関節の関節角度が小さい場合(即ち、頚関節の関節受動抵抗が所定閾値以下の場合)には頚優先モードで動作軌跡を算出する一方、頚関節の関節角度が大きい場合(即ち、頚関節の関節受動抵抗が所定閾値を超える場合)には腰優先モードで動作軌跡を算出する。つまり、実際の人間の動きに近い乗降動作の動作軌跡を算出することができる。その結果、現実的でない乗降動作に基づいて設計諸元値を評価してしまうことを防止することができ、乗降性を正確に評価することができる。さらには、現実的でない乗降動作についての演算を行う必要がないので、シミュレーションにおける計算量を削減することができる。

0150

《その他の実施形態》
上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。

0151

例えば、上記実施形態では、関節の許容度として関節受動抵抗を考慮しているが、これに限られるものではない。関節の許容度を表す指標であれば、関節受動抵抗以外の値に基づいて動作軌跡を算出してもよい。

0152

上記実施形態では、頚関節と腰関節のみを考慮しているが、これに限られるものではない。頚関節及び腰関節以外の関節の関節受動抵抗を考慮して、人体モデルの動作軌跡を算出してもよい。また、人体の関節は互いに関連し合っているため、頚関節及び腰関節以外の複数の関節についての連動性を考慮して、人体モデルの動作軌跡を算出してもよい。

0153

上記実施形態では、負担感に基づいて設計諸元データを決定しているが、これに限られるものではない。関節の許容度に基づいて動作軌跡を算出する限り、その動作軌跡をどのように用いるかに限定されない。例えば、支援システムは、各種の設計諸元値に対して動作軌跡を算出し、該動作軌跡又は該動作軌跡から算出される関節角度若しくは関節受動抵抗を出力するものであってもよい。つまり、支援システムは、設計諸元値の決定まで行わなくてもよく、ユーザが設計諸元値を決定するために該動作軌跡又は関節角度若しくは関節受動抵抗をユーザへ出力する構成であってもよい。

0154

また、実施形態3,4において、出力(表示)される設計諸元データが、どのモード(頚優先モードと腰優先モード)を用いて演算されたかを表示してもよく、これにより、車両用設計支援システムの情報分析熟練していなくても、乗降姿勢を容易に把握できる。

0155

上記各実施形態では、上記乗降動作軌跡算出部5は、上記設計諸元データ記憶部2から出力された各設計諸元項目Dnの値及び人体特性データ記憶部3から出力された人体特性データに基づいて、ドア21が全開状態にあるものとして乗員の車両乗降時の動作軌跡を出力するようになっているが、これに限ったものではなく、例えば、乗員の乗降動作時の動作軌跡をドア21の開度に応じて算出するようにしてもよい。この場合には、例えば、上記乗降動作軌跡算出部5に対して、車両(仮想車両)のドア開度を設定可能なドア開度設定部(ドア開度設定手段)を設けて、該ドア開度設定部にて設定されたドア開度に応じて、該仮想車両に対する乗員の乗降動作時の動作軌跡を算出するようにすればよい。

0156

こうすることで、ドア開度設定部により仮想車両のドア開度を設定することができるとともに、該乗降動作軌跡算出部5により、該仮想車両に対する乗員の乗降動作時の動作軌跡を該ドア開度に応じて算出することが可能となり、延いては、上記負担感推定部26(総負担感推定部25)により、該仮想車両に対する乗員の乗降動作時の動作軌跡を該ドア開度に応じて推定することが可能となる。そうして、上記設計諸元データ最適化部9により、ドア開度に応じた最適設計諸元データQの決定が可能となる。

0157

従って、例えば、比較的周辺スペースが無い場所での利用を想定した車両に対して、ドア部周辺の最適設計諸元データQを決定する場合に、予測されるドア開度を上記ドア開度設定部により設定することで、設計諸元データ最適化部9において、該車両の用途に適した最適設計諸元データQの決定が可能となる。

0158

また、上記各実施形態では、精神負担算出用データ30を、アンケート結果に基づいて作成するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、複数の被験者を予め用意した複数の車両に乗降させて、該乗降動作時の各被験者の発話内容を、ISM法により抽出した8つの乗降性評価項目A1乃至A8を基に解析することによって作成するようにしてもよい。すなわち、例えば上記各乗降性評価項目A1乃至A8に関連付く発話フレーズ言葉)を予め決めておくとともに、各動作フェーズa1乃至a6においてこの発話フレーズを被験者が発したか否かを調査して該調査結果に基づいて精神負担算出用データ30を作成するようにすればよい。具体的には、まず、各被験者の乗降動作をカメラで撮影するとともに音声マイクにより該各被験者の発する言葉を録音しておく。次に、該カメラにより撮影された映像と音声マイクにより録音された言葉とを基に、各動作フェーズa1乃至a6において被験者が発した発話フレーズをチェックする。そして、このチェックした結果を、上述のアンケート調査結果の解析と同様の手法(影響数に基づく手法)により解析することで上記精神負担算出用データ30を作成することができる。尚、この発話フレーズのチェックは、例えば、音声信号を解析可能な解析装置により行うようにしてもよい。

0159

また、上記各実施形態では、上記総負担感推定部25は、乗員の各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感割合RSaを算出して該総負担感割合RSaをもって各動作フェーズa1乃至a6毎の総負担感(総負担感の大きさ)として算出するようになっているが、これに限ったものではなく、例えば、精神的負担感推定部8にて算出した各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを、肉体的負担感に単位系を合わせるべく換算した上で、肉体的負担感推定部7にて算出した各動作フェーズa1乃至a6毎の肉体的負担感Waと足し合わせて、その足し合わせた値を総負担感として算出するようにしてもよい。具体的には、乗員の乗降動作時の総負担感に占める肉体的負担感と精神的負担感との割合がそれぞれ50%ずつと仮定して、例えば、総負担感推定部25にて、合計肉体的負担感が100(Nms)と算出された場合には、合計精神的負担感は、肉体的負担感に換算して100(Nms)と算出される。そして、総負担感推定部25にて算出された着座フェーズa2における乗員の精神的負担感割合RMaが例えば30%であったとすると、乗員が該着座フェーズa2にて受ける精神的負担感は、肉体的負担感に換算すると30(=100×0.3)(Nms)と算出される。よって、仮に、肉体的負担感推定部7にて算出された着材フェーズa2における乗員の肉体的負担感Waが30(Nms)であったとすると、該着座フェーズa2における乗員の総負担感は60(=30+30)(Nms)と算出される。

0160

上記各実施形態では、各設計諸元項目Dnの変更優先順位を、該各設計諸元項目Dnが車両の外観に与える影響が大きい順に設定するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、値を変更することによる製造コストへの影響が少ない順に設定するようにしてもよい。

0161

また、精神的負担感推定部8による精神的負担感の算出処理図17のステップSA5において主制御部11からの演算指令を受けて精神的負担感推定部8により実行される演算処理)は上記実施形態の処理に限られるものではない。以下に、精神的負担感推定部8の変形例について説明する。

0162

−変形例1−
変形例1に係る精神的負担感推定部8は、乗降動作軌跡算出部5にて算出された乗員(人体モデルJM)の乗降動作軌跡を基に、各動作フェーズa1乃至a6において乗員の視線方向の先にある物を推定するとともに該推定した物と関連性の深い設計諸元項目Dnを各動作フェーズa1乃至a6毎に抽出して、この抽出した設計諸元項目Dnと、精神負担算出用データ記憶部4に記憶された精神負担算出用データ30とを基に各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを算出するように構成されている。その場合、乗降動作軌跡算出部5から精神的負担感推定部8への情報出力が可能になっている。

0163

具体的には、精神的負担感推定部8は、頭部中心JC(図4参照)を通り且つ該頭部中心JCと上記頚関節J1とを結ぶ直線に垂直な直線hが乗員の視線に一致するものとして、この直線と車両(仮想車両)とが交差する座標点を算出し、この算出した座標点にある車両構成要素が該乗員の視線の先にある物と推定する。ここで、各動作フェーズa1乃至a6において乗員の視線の先にあるものが2以上ある場合には、頭部中心からの距離が最も近い物を選択して推定物とする。

0164

そして、精神的負担感推定部8は、上述のように、乗員の視線の先にあるものと推定した推定物に対して深い関連を有する設計諸元項目Dnを関連設諸元項目Dkとして各動作フェーズa1乃至a6毎に抽出する。ここで、推定物に対してどの設計諸元項目Dnを関連設計諸元項目Dkとするかは、システム設計段階で予め設定されてハードディスク内の所定領域に記憶される。本実施形態においては、例えば、上記推定物としてのシート22(シートクッション)に深い関連を有する関連設計諸元項目Dkはシート高さD2とされている。尚、関連設計諸元項目Dkは1つに限ったものではなく、例えば2つ以上であってもよい。

0165

そうして、精神的負担感推定部8は、各動作フェーズa1乃至a6毎に抽出した上記関連設計諸元項目Dkの各乗降性評価項目A1乃至A8への影響度を精神負担算出用データ30から読取る。そして、該読み取ったデータと、設計諸元データ記憶部2に記憶された設計諸元データQにおける該関連設計諸元項目Dkに対応するデータとを基に、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Ma及び合計精神的負担感Mをそれぞれ次式(24)及び式(17)により算出する。

0166

0167

そして、精神的負担感推定部8は、算出した各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Ma及び合計精神的負担感Mに関する情報を総負担感推定部25に出力する。

0168

以上の如く、この例では、精神的負担感推定部8は、乗降動作軌跡算出部5により算出された動作軌跡を基に、各動作フェーズa1乃至a6において、乗員の視線の先にある車両構成要素を推定するとともに、上記設計諸元データQのうち該推定した車両構成要素に関連するデータ(該車両構成要素に関連する関連設計諸元項目Dkに対応するデータ)を抽出して、該抽出したデータと、上記精神負担算出用データ30とを基に、乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感を推定するようになっている。

0169

これにより、精神的負担感推定部8にて乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを精度良く推定することが可能となる。

0170

すなわち、乗員の乗降動作時における精神的負担感は、乗員の眼から脳に伝達される視認情報つまり乗員が乗降動作中に視認する物の影響を強く受ける。精神的負担感推定部8は、上記乗降動作軌跡算出部5により算出された動作軌跡を基に、各動作フェーズa1乃至a6において、設計諸元データQのうち乗員の視線の先にある車両構成要素に関連するデータを抽出して、つまり精神的負担感Maに影響する視認情報に関連するデータを抽出して、該抽出したデータと精神負担算出用データ30とを基に乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを推定するようになっている。従って、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを精神的負担感推定部8にて精度良く確実に推定することが可能となり、延いては、総負担感推定部25にて総負担感をより精度良く算出(推定)することができる。この結果、設計諸元データ最適化部9により、乗員の実際の乗降動作時における総負担感を確実に低減可能な最適設計諸元データQを得ることが可能となる。

0171

−変形例2−
変形例2に係る精神的負担感推定部8は、乗降動作軌跡算出部5にて算出された乗員(人体モデルJM)の乗降動作軌跡を基に、各動作フェーズa1乃至a6において乗員と接触する可能性のある接触物を推定する。

0172

そして、精神的負担感推定部8は、各動作フェーズa1乃至a6毎に、上記推定した接触物に対して深い関連を有する設計諸元項目Dnを関連設計諸元項目Dkとして抽出する。ここで、抽出した接触物がどの設計諸元項目Dnと深い関連を有するかは設計段階において予め設定されてハードディスク内の所定領域に記憶される。本実施形態においては、例えば、上記接触物としてのシート22(シートクッション)に深い関連を有する関連設計諸元項目Dkはシート高さD2とされている。尚、関連設計諸元項目Dkは1つに限ったものではなく、例えば2つ以上であってもよい。

0173

そうして、精神的負担感推定部8は、各動作フェーズa1乃至a6毎に、上記抽出した関連設計諸元項目Dkの各乗降性評価項目A1乃至A8への影響度を精神負担算出用データ30から読取る。そして、該読み取ったデータと、設計諸元データ記憶部2に記憶された設計諸元データQにおける該関連設計諸元項目Dkに対応するデータとを基に、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Ma及び合計精神的負担感Mをそれぞれ、式(21)及び(17)により算出するとともに、その情報を総負担感推定部25に出力する。

0174

以上の如く、この例では、精神的負担感推定部8は、乗降動作軌跡算出部5により算出された乗員の動作軌跡を基に、各動作フェーズa1乃至a6において、該乗員が乗降動作時に接触する可能性のある車両構成要素を推定するとともに上記設計諸元データQのうち該推定した車両構成要素に関連するデータ(該車両構成要素に関連する関連設計諸元項目Dkに対応するデータ)を抽出して、該抽出したデータと上記精神負担算出用データ30とを基に、乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感を推定するように構成されている。

0175

これにより、精神的負担感推定部8にて乗員の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maをより一層精度良く推定することが可能となる。すなわち、乗員の乗降動作時における精神的負担感Maは、乗降動作時に乗員の体に物が接触することによる触感の影響を強く受ける。精神的負担感推定部8は、各動作フェーズa1乃至a6において、該乗員が乗降動作時に接触する可能性のある車両構成要素を推定するとともに上記設計諸元データQのうち該推定した車両構成要素に関連するデータを抽出して、つまり乗員の触感に関連するデータを抽出して、該抽出したデータと上記精神負担算出用データ30とを基に、上記乗員の乗降動作時の各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを推定するようになっている。従って、乗員の乗降動作時における各動作フェーズa1乃至a6毎の精神的負担感Maを精神的負担感推定部8にて精度良く確実に推定することが可能となり、延いては、総負担感推定部25にて総負担感をより精度良く算出(推定)することができる。この結果、設計諸元データ最適化部9により、乗員の実際の乗降動作時における総負担感を確実に低減可能な最適設計諸元データQを得ることが可能となる。

0176

尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。

0177

以上説明したように、この技術は、車両用ドア部周辺の設計諸元値を決定するための車両用設計支援システムについて有用である。

0178

2設計諸元データ記憶部(設計諸元データ記憶手段)
3人体特性データ記憶部(人体特性データ記憶手段)
4精神負担算出用データ記憶部
5乗降動作軌跡算出部(算出手段)
6関節トルク算出部
7肉体的負担感推定部
8精神的負担感推定部
9 設計諸元データ最適化部(設計諸元データ最適化手段)
10結果表示部(出力手段)
11 主制御部(設計諸元データ最適化手段)
21ドア
25 総負担感推定部
26 負担感推定部
30 精神負担算出用データ
100車両用設計支援システム
a1 内足入れフェーズ
a2着座フェーズ
a3外足入れフェーズ
a4 外足出しフェーズ
a5起立フェーズ
a6 内足出しフェーズ
m1頭部重量(人体特性データ)
m2胸部重量(人体特性データ)
r1モーメントアーム長さ(人体特性データ)
r2 モーメントアーム長さ(人体特性データ)
I1 頭部の慣性モーメント
I2 胸部の慣性モーメント
Dn設計諸元
Q 設計諸元データ
JM人体モデル
Ma 精神的負担感
Wa 肉体的負担感

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ