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技術 焼結原料の事前処理方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 長田淳治八ヶ代健一大山浩一樫村茂石山理
出願日 2012年5月23日 (8年6ヶ月経過) 出願番号 2012-117841
公開日 2013年12月9日 (6年11ヶ月経過) 公開番号 2013-245358
状態 特許登録済
技術分野 金属の製造または精製
主要キーワード 比重選鉱 固形バインダー 消化量 金属製網 試験用ふるい 凝結材 造粒水 理論水量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年12月9日)のものです。
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図面 (3)

課題

バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料使用可能にする焼結原料事前処理方法を提供する。

解決手段

生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の微粉原料を用いる焼結原料とを、撹拌機装入して撹拌するに際し、該撹拌機の撹拌羽根周速を2m/秒以上にし、撹拌時に、前記生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の水を添加する。

概要

背景

焼結原料鉄鉱石からなる粉鉱石であり、必要に応じて成分調整する副原料凝結材を配合し、焼成前に、この粉鉱石に水とバインダーを混合し造粒処理することで、焼結機装入する微粉量を低減している。この造粒は、焼結生産性の維持改善に重要な操作であり、従来から各種の造粒技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、焼結原料(混合原料)の水分を目標水分値に調整するため、ミキサーでの散水量を、フィードフォワード制御系フィードバック制御系とを組合せて制御する方法が開示されている。これにより、焼結原料中の水分を精度よく、時間遅れなく連続的に目標値に制御できるため、品質の安定した焼結鉱を効率的に製造できる。

概要

バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料使用可能にする焼結原料の事前処理方法を提供する。生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の微粉原料を用いる焼結原料とを、撹拌機に装入して撹拌するに際し、該撹拌機の撹拌羽根周速を2m/秒以上にし、撹拌時に、前記生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の水を添加する。

目的

本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料を使用可能にする焼結原料の事前処理方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度微粉原料を用いる焼結原料とを、撹拌機装入して撹拌するに際し、該撹拌機の撹拌羽根周速を2m/秒以上にし、撹拌時に、前記生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の水を添加することを特徴とする焼結原料の事前処理方法

技術分野

0001

本発明は、焼結原料を混合(撹拌)し造粒する際の焼結原料の事前処理方法に関する。

背景技術

0002

焼結原料は鉄鉱石からなる粉鉱石であり、必要に応じて成分調整する副原料凝結材を配合し、焼成前に、この粉鉱石に水とバインダーを混合し造粒処理することで、焼結機装入する微粉量を低減している。この造粒は、焼結生産性の維持改善に重要な操作であり、従来から各種の造粒技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、焼結原料(混合原料)の水分を目標水分値に調整するため、ミキサーでの散水量を、フィードフォワード制御系フィードバック制御系とを組合せて制御する方法が開示されている。これにより、焼結原料中の水分を精度よく、時間遅れなく連続的に目標値に制御できるため、品質の安定した焼結鉱を効率的に製造できる。

先行技術

0003

特開平10−17946号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、近年、劣質な鉄鉱石を粉砕処理浮遊選鉱処理して得られる難造粒性の粉鉱石(即ち、微粉原料)が増加してきており、この微粉原料を従来の方法で造粒処理しようとすると、高価なバインダーの添加量を大幅に増加させる必要があった。

0005

本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料を使用可能にする焼結原料の事前処理方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

前記目的に沿う本発明に係る焼結原料の事前処理方法は、生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度の微粉原料を用いる焼結原料とを、撹拌機に装入して撹拌するに際し、該撹拌機の撹拌羽根周速を2m/秒以上にし、撹拌時に、前記生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の水を添加する。

発明の効果

0007

本発明に係る焼結原料の事前処理方法は、生石灰と、鉄鉱石として難造粒性となる粒度の微粉原料を用いる焼結原料との撹拌時に、生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の水を添加するので、水分の過剰添加による消石灰凝集を抑制、更には防止しながら、生石灰の消化及び均一分散を可能にする十分な量の水を供給できる。
また、生石灰と難造粒性となる粒度の微粉原料を用いる焼結原料との撹拌に、撹拌機を使用し、しかもこの撹拌羽根の周速を2m/秒以上にするので、生成する消石灰を焼結原料全体に分散させると共に、この消石灰を各焼結原料の粒子表面に極力付着させることができる。
従って、バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善して、難造粒性を有する微粉原料を使用できる。

図面の簡単な説明

0008

添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響を示すグラフである。
原料への添加水量と撹拌羽根の周速が造粒物の造粒性に及ぼす影響を示すグラフである。

0009

続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明に想到した経緯について説明する。
はじめに、粉鉱石(鉄鉱石)のうち、難造粒性を示す微粉原料の造粒性について説明する。
本発明が造粒の対象とする焼結原料は、篩目10μmアンダーの粒子(微粒子)が5質量%以下と極めて少なく、500μmアンダーの粒子が50質量%以上と非常に多い、難造粒性を示す微粉原料(鉄鉱石)である。この微粉原料が、通常の鉄鉱石と異なる点は、10μmアンダーの微粒子が極めて少ない点であり、例えば、鉄鉱石の粉砕処理と水による比重選鉱処理を繰り返すことで、この特徴が得られることがわかった。なお、500μmアンダーの粒子の質量%の測定に際しては、微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mm(500μm)の篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、篩下の質量%を求めた。また、10μmアンダーの微粒子の質量%の測定に際しては、上記乾燥後の微粉原料を対象に、レーザー回折散乱法測定機器(日機装株式会社製MICROTRAC(登録商標MT3300型、測定範囲:0.02〜1400μm)を用いた。

0010

ここで、鉄鉱石として少なくとも1種又は複数種の粉鉱石(微粉原料の場合を含む)を含むものが焼結原料であり、この焼結原料に、副原料(成分調整用原料)や凝結材(例えば、コークス粉石炭粉等)が含まれるか否かは任意であり、本実施の形態での焼結原料とは、生石灰と消石灰(バインダー)を含まないものをさす。なお、焼結原料に副原料や凝結材が含まれる場合、焼結原料中の副原料と凝結材の合計量が質量比で30質量%以下程度(焼結原料中の鉄鉱石量:例えば、焼結原料の70〜100質量%程度)となるように、鉄鉱石に副原料と凝結材を添加する場合があるが、焼結原料の造粒性や造粒物の強度は、これらの添加量では改善しにくい。

0011

上記した粒度構成、即ち10μmオーバーかつ500μmアンダー程度に概ね揃った微粉原料を造粒すると、隣接する原料粒子の間に空間が形成される。
しかし、上記したように、微粉原料中には、この空間を充填する10μmアンダーの微粒子が極めて少ないため、微粉原料は空間を内包したまま造粒され、造粒物の強度が極めて低くなる。このため、例えセルロース等の粘着質のバインダーを用いて微粉原料を造粒し、隣接する微粉原料の粒子同士を粘着できたとしても、造粒物内部には空間が残留するため、造粒物の強度を向上しにくい。
更に一般に、粉鉱石は水を用いて造粒するが、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を、微粉原料に30質量%以上60質量%以下含む場合、高結晶水鉱石の気孔に水が吸収され、造粒物強度が経時劣化(低下)する問題もある。
上記状況において、上記した微粉原料の造粒に用いるバインダーには、10μmアンダーの微粒子を供給でき、上記した空間を充填できるものが好ましいことに想到した。

0012

なお、固形バインダーには、ベントナイト炭酸カルシウム等があるが、通常の撹拌処理程度では、上記した微粉原料へ固形バインダーを均一分散させるのが難しいことが判明した。
これは、上記したように、微粉原料の粒径が10μmオーバーかつ500μmアンダー程度の大きさに概ね揃っており、一般には広範囲粒度分布を持つことで撹拌(混練)による原料の混合が進むため、粒子が微粒化せず溶解もしないベントナイトや炭酸カルシウム等を添加しても分散が進まないものと考えられ、この観点からも、別の手段で10μmアンダーの微粒子を添加することが好ましいと考えられた。
以上のことから、本発明者らは、鉄鉱石として、500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である微粉原料を用いた焼結原料を造粒するに際し、撹拌や造粒を容易化するバインダーとして、生石灰に想到した。なお、生石灰の添加量は、焼結原料に対する外掛けで、通常、0.1質量%以上6.0質量%以下である。

0013

次に、生石灰による微粉原料を用いた焼結原料の造粒メカニズムについて説明する。
生石灰は、撹拌や造粒中に水と接触することで一部が吸湿し消化(消石灰化)して微粒化し、水と共に微粉原料に均一に混ざり易くなるものであると考えられる。なお、生石灰としては、CaOが例えば84質量%以上のものが多用されている。
ここで、生成した消石灰の一部については、水に溶解することでも、微粉原料に均一に混ざり易くなる。

0014

生石灰の消化で生成する消石灰や、水の蒸発等によって再晶出する消石灰は、粒径が10μmアンダーの微粒子であり、更にはサブミクロンオーダーの微粒子も多く含まれており、固体架橋によって上記微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与する。
従って、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解すること、等で、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、生成する消石灰を微粉原料全体に分散させ(マクロに分散させ)、各微粉原料の粒子表面に極力付着させる(ミクロに分散させる)こと、が重要となる。
上記したことから、難造粒性の微粉原料と、その他の原料(例えば、造粒が容易な易造粒性原料)を混合する場合は、難造粒性の微粉原料に対して、粒径を小さくする処理を施した生石灰の添加や、その添加量を多くすること等も重要となる。

0015

なお、炭酸カルシウム(分子式:CaCO3)は、生石灰と同様にCaOを含み、そのCaO含有率が56質量%程度のものであり、石灰石あるいは単に石灰と称される場合がある。しかし、炭酸カルシウムは、化学的に安定な物質であって、吸湿による消化や水への溶解は起こりにくい。
従って、上記した生石灰に、炭酸カルシウムは含まれない。
ここで、添加するバインダーの種類が造粒物の造粒性に及ぼす影響について、図1を参照しながら説明する。

0016

なお、試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を0又は0を超え10質量%以下配合した500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下の粒度である難造粒性の微粉原料(焼結原料)に、バインダー(炭酸カルシウム、生石灰)を外掛けで2質量%添加し、これを万能ミキサー(自転する撹拌羽根の軸を公転させる竪型ミキサー)で撹拌した後、ドラムミキサーで造粒処理した。ここでは、バインダー添加の評価基準として、バインダーを添加していない難造粒性の微粉原料(原料)のみのものについても、万能ミキサーで撹拌した後、ドラムミキサーで造粒処理した。
細条件は、水分:9〜12質量%の範囲で一定、撹拌:周速2.2m/秒、処理時間90秒、造粒:周速1.0m/秒、処理時間60秒、である。なお、使用した原料に含まれる水分は、通常3〜10質量%の範囲である。この水分は、(原料中の水分量)/{(絶乾後の原料質量)+(原料中の水分量)}×100(質量%)、で算出した。また、周速は、万能ミキサー(撹拌機)とドラムミキサー(造粒機)において、回転するもの(羽根ドラム等)で、一番速い部分の速度を意味する。

0017

そして、評価は、以下の手順で行った。
まず、上記した造粒処理した微粉原料(2kg)を、150℃で1時間乾燥した後、0.5mmの篩目(JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に拠る)で分級し、0.5mmアンダーの割合を粉率と定義した。なお、粉率は、バインダーを添加していない微粉原料のみの粉率を「1.0」として、それぞれ算出した。
図1から、微粉原料に対して炭酸カルシウムを添加した場合、造粒性の改善が小さい(粉率:0.70)のに対し、微粉原料に対して生石灰を添加した場合、造粒性が著しく改善(生石灰:0.41)することを、本発明者らは初めて発見した。
これは、生石灰が水と接触することにより微粒化し、更に生成した消石灰の一部が水に溶解することで、微粉原料に均一に混ざり易くなり、固体架橋によって微粉原料の造粒性向上や造粒物の強度向上に大きく寄与したためと考えられる。

0018

上記粉率は平均値であり、いずれのバインダーを用いた場合も、粉率値は5%程度のばらつきをもった。
一方、上記試験に用いた微粉原料として、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合したものを用いた場合、粉率が全体的に悪化(増加)し、特に、バインダーとして炭酸カルシウムを用いた場合は、概ね2〜3割程度のばらつきを示すのに対し、バインダーとして生石灰を用いた場合は、炭酸カルシウムの粉率値のばらつきよりも小さな1割程度であった。これは、造粒時や造粒後に気孔に水が吸収され得る高結晶水鉱石を用いたとしても、バインダーとして炭酸カルシウムを用いると上記した固体架橋が安定せず、一方、生石灰を用いると上記した固体架橋が安定するものと推定され、吸湿による消化や水への溶解が起きると、気孔への吸水が起こっても固体架橋が比較的安定しているものと推定された。

0019

以上のことから、本発明者らは、難造粒性を有する微粉原料の造粒性を向上できる焼結原料の事前処理方法に想到した。即ち、生石灰と、鉄鉱石として500μmアンダーが50質量%(更には60質量%)以上かつ10μmアンダーが5質量%(更には4質量%)以下の粒度の微粉原料を用いる焼結原料(難造粒性微粉原料)とを、撹拌機に装入して撹拌するに際し、撹拌機の撹拌羽根の周速を2m/秒以上にし、撹拌時に、生石灰中のCaO成分の質量をMとして(18/56×2×M)以上(18/56×6×M)以下の量の水を添加する方法である。なお、500μmアンダーの上限値を規定していないのは100質量%でもよく、また10μmアンダーの下限値を規定していないのは0質量%でもよいためである。
以下、詳しく説明する。

0020

生石灰の水和反応消化反応)に消費される水分量を理論水量とし、生石灰中のCaO成分の質量をMとすると、理論水量は、「18/56×M」(CaO+H2O
→ Ca(OH)2)で表される。従って、上記した(18/56×2×M)とは理論水量の2倍の水量を、また(18/56×6×M)とは理論水量の6倍の水量を、それぞれ意味するため、撹拌機による撹拌時に添加する水の量は、生石灰との水和反応に使用される理論水量の2倍以上6倍以下の量となる。

0021

ここで、撹拌時に添加する水の量が理論水量の2倍未満では、未反応の生石灰が多量に発生することになる。即ち、理論水量の2倍以上とすることで、生石灰の消化及び均一分散に必要な水を十分に供給することができ、極力多くの生石灰を消化させること、生成する消石灰の粒径を小さくすること、極力多くの消石灰を造粒水に溶解すること、ができる。
しかしながら、撹拌時に添加する水の量が理論水量の6倍超になると、生石灰が消化した後に、生成した消石灰が水分過多で凝集し、その均一拡散阻害される。
なお、焼結原料に始めから含まれている水分については、焼結原料の一部表面上にある水分が、生石灰の消化反応に寄与するが、上記した添加する水と比較すると、その効果は著しく小さい。つまり、消化反応は添加水量に大きく左右される。

0022

上記したように、本発明は、撹拌時に添加する水の量を、理論水量を基にして、その倍数で規定するものである。
一方、前記した特許文献1には、「各原料による持込み水分の算定量は、前記各原料中の生石灰による水和反応により消費される水分量を差し引いた値を用いる」との記載がある。この記載を、本発明の観点から推測すると、撹拌時に添加する水の量は、理論水量の1倍と考えることができる。
しかし、前記したように、特許文献1は、そもそも焼結原料の水分を目標水分値に調整するための制御方法であるため、本発明のように、添加する水の量を理論水量で規定するという技術思想はなく、このため理論水量の倍数で規定するという概念もない。
従って、本発明は、本発明者らが、撹拌時に添加する水の量を、理論水量を基にして、その倍数で規定するということに想到して得られた極めて優れた発明である。

0023

また、上記した生石灰と焼結原料を、撹拌機を用いて撹拌するに際しては、撹拌羽根の周速を2m/秒(更に好ましくは、3m/秒)以上にする。
ここで、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にすることで、生成する消石灰を焼結原料全体(マクロ)に分散させ、各焼結原料の粒子表面に極力付着(ミクロに分散)させることができる。
従って、撹拌機は、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、前記した万能ミキサー等を使用できる。なお、撹拌羽根の周速の上限値は、上記した記載から特に限定していないが、世の中で一般的に使用されている撹拌機を考慮すれば、例えば、35m/秒程度である。また、撹拌羽根の直径は、0.1〜1.5m程度である。

0024

以上のことから、生石灰と焼結原料とを撹拌機を用いて撹拌するに際し、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にし、撹拌時に添加する水の量を、生石灰の消化反応に使用される理論水量の2倍以上6倍以下にすることで、造粒に寄与する消石灰を多量に生成させて、生成する消石灰を焼結原料全体に分散させ、各焼結原料の粒子表面に極力付着させることができ、焼結原料の造粒性を向上させることができる。
なお、撹拌時に添加する水の量は、焼結原料の造粒性を向上させるため、下限を、2.5倍、更には3倍とし、上限を、5.5倍、更には5倍とすることが望ましい。
上記した方法で、生石灰と焼結原料を撹拌した後、更に造粒機(例えば、ドラムミキサー)で造粒して、焼結パレットに装入し、焼結鉱を製造する。

0025

次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
試験は、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した難造粒性微粉原料と、結晶水を4質量%以上含む高結晶水鉱石を30〜60質量%配合した易造粒性原料に、それぞれ生石灰を、外掛けで2質量%添加し、更に水分を添加して前記した万能ミキサー(撹拌機)で撹拌した後、ドラムミキサーで造粒して行った。なお、詳細条件は、使用した原料に含まれる水分量:7〜8質量%、造粒時の水分量:8〜12質量%、造粒時の周速:1.0m/秒(処理時間60秒)、である。また、難造粒性微粉原料(500μmアンダーが50質量%以上かつ10μmアンダーが5質量%以下、造粒性:難)と易造粒性原料(難造粒性微粉原料の粒度を除く粒度、即ち500μmアンダーが50質量%未満又は10μmアンダーが5質量%超、造粒性:易)には、表1に示す粒度条件の鉄鉱石を使用した。

0026

0027

上記した条件のもと、万能ミキサーでの撹拌時に添加する水(水温:15℃(常温))の量を種々変更し、また万能ミキサーの撹拌羽根の周速を、0.5m/秒、2m/秒、6m/秒で変更して(撹拌時間:90秒)、造粒後の粉率を評価した。
なお、評価は、前記した0.5mmアンダーの質量割合を粉率と定義して行った。ここで、粉率は、易造粒性原料の撹拌に際し、撹拌羽根の周速が2m/秒で、原料への添加水量を理論水量で除した値α(=(添加水の質量)/(理論水の質量))が「1」の場合を、粉率「1.0」として算出し、この粉率(図2中の点線)以下を合格とした。

0028

図2に示すように、値αが1から2までの範囲における粉率低下の勾配(傾き)は、易造粒性原料(▲)よりも難造粒性微粉原料(図1中の○、■、×)の方が、大きくなることがわかった。
難造粒性微粉原料と易造粒性原料のいずれの撹拌についても、値αを2以上とした水量を添加することで、生石灰の消化が同程度生じて微粒子が生成する。しかし、難造粒性微粉原料は、前記したように、10μmアンダーの粒子が極めて少ないため、生石灰の消化の有無で粉率が極端増減する。一方、易造粒性原料は、もともと10μmアンダーの粒子を含むため、生石灰の消化量が多少増減しても粉率の急激な増減はない。
このように、図2から、難造粒性微粉原料を撹拌するに際し、値αを2以上6以下とすることで、粉率の低下が顕著になる(造粒性が顕著に変わる)という知見が得られた。

0029

また、難造粒性微粉原料の撹拌に際し、万能ミキサーを用い、その撹拌羽根の周速を速くすることで、造粒後の粉率の発生量を低下できることがわかった。特に、撹拌羽根の周速を2m/秒以上にすることで、易造粒性原料を撹拌した場合と同程度まで、粉率を低減できた(造粒性を改善できた)。
これは、万能ミキサーを使用し、しかもこの撹拌羽根の周速を2m/秒以上にすることで、生成する消石灰を焼結原料全体に分散させると共に、この消石灰を各焼結原料の粒子表面に極力付着させることができることによる。

0030

以上のことから、本発明の焼結原料の事前処理方法を用いることで、バインダーの使用量を増加させることなく、焼結鉱の製造時における造粒性を効率的に改善してして、難造粒性を有する微粉原料を使用できることを確認できた。

実施例

0031

以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結原料の事前処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。

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