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技術 情報処理装置

出願人 三菱化学株式会社
発明者 米山満
出願日 2012年5月23日 (8年7ヶ月経過) 出願番号 2012-117984
公開日 2013年12月9日 (7年0ヶ月経過) 公開番号 2013-244055
状態 拒絶査定
技術分野 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定
主要キーワード 専用ベルト 積分体 評価方向 積分操作 バランス評価 リズム運動 評価指標算出 流水プール
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

二相性を有する運動時のバランスの評価を行う手段を提供する。

解決手段

運動する生体動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求め、複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求め、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求める。

概要

背景

歩行や、ランニング自転車走行など、左右のバランスを保ちながら行う運動は多い。例えば歩く際の足運びは、ほぼ左右対称となるのが理想である。ところが、実際には左右のバランスが崩れた癖のある歩き方をしていることもある。歩くといった日常的な動作は、無意識に行っているため、歩いている本人は、例え癖があっても、バランスが崩れていることに気づきにくい。そこで簡便な手法により体動のバランスを客観的に評価できれば、左右のバランスがとれた美しい歩き方を身につける助けになる

また、ランニングや自転車走行などにおいて、左右のバランスが崩れた動作は、理想的な動きから外れ、効率の悪い動作となっていることが多い。このため、体動のバランスを評価できれば、左右のバランスがとれた動作が行え、ランニングや自転車走行などを行う際の速度や持続性といった運動能力を向上させるのに有効である。

更に、怪我疾病により片方の脚の機能が衰える左右バランスは崩れてしまう。バランスの悪い歩き方や走り方を続けていると、筋力の弱い脚側障害が発生したり、転倒したりする可能性が増えてくる。そこで体動のバランスを評価できれば、日々の健康増進にも役立つ。また、左右バランスの評価は、崩れた左右バランスをリハビリによって回復させる際の過程モニターすることにも応用できる。

また、加速度センサを用いて、ヒトの身体の繰り返しリズム運動を検出し、情報処理を行なう方法や、歩行の同調性に着目して情報処理を行なう方法が知られている。

本願発明に関連する先行技術として、例えば、下記の特許文献に開示される技術がある。

概要

二相性を有する運動時のバランスの評価を行う手段を提供する。運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求め、複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求め、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求める。

目的

本発明は、1周期毎のステップが精度よく抽出できないような体動についても精度よくバランスを評価できる装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

運動時の体動バランスを評価する情報処理装置であって、運動する生体動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める周期性決定部と、前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める二相性評価部と、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるバランス評価部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。

請求項2

前記周期的な体動の値を体動の周期性を表わす所定の関数を用いて求めることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。

請求項3

前記体動の周期性を表わす所定の関数が、自己相関スペクトルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。

請求項4

前記体動信号から生体の移動方向を求める移動方向推定部を備えることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。

請求項5

前記バランス評価部が、前記移動方向に対する所定の方向を推定評価方向とし、当該推定評価方向に対する前記バランス評価方向のずれ量と、前記特定の直線方向に対する前記バランス評価方向のずれ量とに応じて、前記体動信号を検出する体動信号検出装置の設置位置のズレを検出することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。

請求項6

運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求めるステップと、前記複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求めるステップと、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるステップと、を情報処理装置が実行することを特徴とする情報処理方法

請求項7

運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求めるステップと、前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求めるステップと、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるステップと、を情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム

請求項8

体動信号検出装置及び情報処理装置を有する評価システムであって、前記体動信号検出装置が、運動時の生体の動きを検出して体動信号とする体動信号検出部と、前記体動信号を前記情報処理装置に伝達するためのインターフェイス部とを備え、前記情報処理装置が、前記体動信号の伝達を受けるインターフェイス部と、前記体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める周期性決定部と、前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める二相性評価部と、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるバランス評価部とを備える、ことを特徴とする評価システム。

請求項9

前記体動信号検出部が加速度センサであることを特徴とする請求項8に記載の評価システム。

技術分野

0001

本発明は、体動バランスを評価する技術に関する。

背景技術

0002

歩行や、ランニング自転車走行など、左右のバランスを保ちながら行う運動は多い。例えば歩く際の足運びは、ほぼ左右対称となるのが理想である。ところが、実際には左右のバランスが崩れた癖のある歩き方をしていることもある。歩くといった日常的な動作は、無意識に行っているため、歩いている本人は、例え癖があっても、バランスが崩れていることに気づきにくい。そこで簡便な手法により体動のバランスを客観的に評価できれば、左右のバランスがとれた美しい歩き方を身につける助けになる

0003

また、ランニングや自転車走行などにおいて、左右のバランスが崩れた動作は、理想的な動きから外れ、効率の悪い動作となっていることが多い。このため、体動のバランスを評価できれば、左右のバランスがとれた動作が行え、ランニングや自転車走行などを行う際の速度や持続性といった運動能力を向上させるのに有効である。

0004

更に、怪我疾病により片方の脚の機能が衰える左右バランスは崩れてしまう。バランスの悪い歩き方や走り方を続けていると、筋力の弱い脚側障害が発生したり、転倒したりする可能性が増えてくる。そこで体動のバランスを評価できれば、日々の健康増進にも役立つ。また、左右バランスの評価は、崩れた左右バランスをリハビリによって回復させる際の過程モニターすることにも応用できる。

0005

また、加速度センサを用いて、ヒトの身体の繰り返しリズム運動を検出し、情報処理を行なう方法や、歩行の同調性に着目して情報処理を行なう方法が知られている。

0006

本願発明に関連する先行技術として、例えば、下記の特許文献に開示される技術がある。

先行技術

0007

特開2010−119500号公報
特開2010−5033号公報
特開2010−268968号公報
国際公開第2011/040259号パンフレット
国際公開第2012/036135号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0008

文献1,2では、歩行時の加速度信号から歩行の一歩単位の波形を抽出した後、波形の振幅や一歩の所要時間を算出して左右バランスを評価している。この方法では一歩単位で波形を認識できることが前提となっており、例えば片麻痺患者の歩行のように障害のある脚に起因する加速度信号が微弱で精度よく計測できない場合には対応できない。また、自転車走行のように、路面から伝わるノイズ評価対象の動作(ペダルを漕ぐ動作)と類似した波形として検出されてしまう場合も精度良く計測できない場合がある。

0009

文献3では加速度値周波数解析により左右ステップピッチの差を判定しているので、ピッチに差が出ないような左右バランスの崩れには対応できない。
また、文献4,5では、運動時の左右バランスの評価に関しては検討がなされていない。

0010

そこで、本発明は、1周期毎のステップが精度よく抽出できないような体動についても精度よくバランスを評価できる装置を提供する。また、左右のピッチに差が出ないような信号についても左右バランスの崩れを評価できる装置を提供する。

0011

開示の技術の課題は、二相性を有する運動時のバランスの評価を行う手段を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

開示の技術の一側面は、次の情報処理装置の構成によって例示される。すなわち、本情報処理装置は、
運動時の体動のバランスを評価する情報処理装置であって、
運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める周期性決定部と、
前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める二相性評価部と、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるバランス評価部と、
を備えることを特徴とする。

0013

開示の技術の一側面は、次の情報処理方法の構成によって例示される。すなわち、本情報処理方法は、
運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求めるステップと、
前記複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求めるステップと、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるステップと、
を情報処理装置が実行する。

0014

また、開示の技術の一側面は、上記情報処理方法をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムによって例示される。更に、開示の技術の一側面は、この情報処理プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録したものによって例示される。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。

0015

ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク光磁気ディスク、CD(Compact Disc)、CD−R/W、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)、DAT、8mmテープフラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。

発明の効果

0016

開示の技術によれば、二相性を有する運動時のバランスの評価を行う手段を提供できる。

図面の簡単な説明

0017

図1は、実施形態1に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図2は、体動信号検出装置被験者に装着した状態を示す図である。
図3は、実施形態1の情報処理装置が情報処理プログラムに基づいて実行する情報処理方法の説明である。
図4は、二相性評価指標の説明図である。
図5は、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を示す図である。
図6は、バランス方向のバランス評価方向とのズレの大きさの表示例を示す図である。
図7は、本実施形態2に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図8は、本実施形態2の情報処理装置が情報処理プログラムに基づいて実行する情報処理方法について説明する図である。
図9は、異方性軌道を描いた例を示す図である。
図10は、デバイス位置ずれについて判定するフローの一例を示す図である。
図11は、異方性の軌道および移動方向と推定評価方向を求めた結果を示す図である。
図12は、XYZ方向の加速度信号(体動信号)を示す図である。
図13は、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を示す図である。
図14は、異方性の軌道および移動方向と推定評価方向を求めた結果を示す図である。
図15は、XYZ方向の加速度信号(体動信号)を示す図である。
図16は、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を示す図である。
図17は、異方性の軌道および移動方向と推定評価方向を求めた結果を示す図である。
図18は、XYZ方向の加速度信号(体動信号)を示す図である。
図19は、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を示す図である。
図20は、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を示す図である。
図21は、異方性の軌道および移動方向と推定評価方向を求めた結果を示す図である。

0018

〈実施形態1〉
以下、図1から図6の図面に基づいて、本実施形態1に係る情報処理システムを説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本情報処理システムは実施形態の構成には限定されない。

0019

装置構成
図1は、本実施形態1に係る情報処理システムの構成を示す図である。情報処理システム1は、体動信号検出装置10と情報処理装置20とを備える。

0020

体動信号検出装置10は、例えば、被験者(生体)が二相性を有する運動を行った際の
被験者の動き(体動)を体動信号として非侵襲的かつ連続的に検出(測定)するものである。情報処理装置20は、体動信号検出装置10で検出した体動信号に基づいて体動バランスを評価するものである。

0021

ここで、二相性を有する運動とは、直交する二つの方向における被験者の体動の周期が所定の比(本実施形態では2:1)となる運動を云う。例えば歩行運動を行う被験者の体動を加速度センサで計測した場合、同じ足(例えば右足)が着地してからその次に着地するまでの時間内に、左右方向の加速度波形はちょうど1周期のパターンを示すが、同じ時間内に上下方向あるいは前後方向の加速度については類似の波形が2回繰り返される、すなわち2周期のパターンが現れる。

0022

二相性を有する随意運動としては、例えば、歩行、走行ジョギング、ランニング)、自転車走行、水泳体操ダンス体力測定踏み台昇降、反復横とび)、ジャグリング(お手玉サッカーボールリフティング)等が挙げられる。また、二相性を有する不随意運動としては、疾病が原因で体が勝手に動いてしまう運動、例えばジスキネジア等が挙げられる。

0023

二相性を有する運動は、二つの方向において周期的な動作が行われるものであるが、完全に同じ動作が繰り返されることのみではなく、略同じ動作が繰り返されることを含む。また、ダンスのように手足不規則に動作させる運動であっても、この手足の動作によって測定部位(例えば体幹)が周期的に動く運動であっても良い。

0024

非侵襲的とは、例えば、被験者の体に傷をつけないこと、または、被験者に対して負担を与えないことを意味する。

0025

生体は、人(被験者)に限らず、二相性を有する運動を行う生物であれば良い。
体動信号検出装置10は、例えば、携帯可能に構成される。なお、体動信号検出装置10の被験者への取り付け位置は、体の動きを検知できる部位であれば、特に制限はない。

0026

体動信号検出装置10は、図1に示すように、例えば、体動信号検出部11,記憶部12およびインターフェイス部13を備える。体動信号検出部11,記憶部12およびインターフェイス部13は、相互に通信可能に接続されている。

0027

体動信号検出部11は、二相性を有する運動時の被験者の動きを検出して体動信号とする。具体的には、被験者の運動による、力の変化、空間的な身体の位置の変化、身体から発する音、電磁波等の波または微細エネルギーの変化または身体の周りにおける場の変化等を体動信号として検出(測定)する。

0028

ここで、体動信号検出部11は、例えば、加速度センサ,速度センサジャイロセンサ等の慣性センサにより実現される。上記体動信号を検出する慣性センサについては、例えば、検出する信号の種類に応じて適宜選択される。通常、歩行リズムを検出する場合には、体の動きの加速度を測定する加速度センサが好ましく用いられるが、加速度センサに限定されるものではない。

0029

また、加速度センサとしては、一軸〜三軸のものを任意に用いることができる。加速度センサとしては、歩行時における鉛直方向、水平前後方向、及び水平左右方向の三方向へ作用する加速度を検出するための三軸加速度センサを用いることが好ましいが、三軸加速度センサに限定されるものではない。

0030

体動信号検出部11は、慣性センサに限らず、被験者をカメラ撮影し、撮影された映
像を解析して被験者の動きを動作信号として求める構成や、被験者に装着したマーカーの動きを光学式機械式磁気式等のトラッカーセンサ)で検出して動作信号とする装置、所謂モーションキャプチャを行う装置であっても良い。

0031

なお、体動信号検出部11は、例えば、所定のサンプリング周波数(例えば、100=z)で体動信号を測定する。体動を計測するサンプリング周波数は、体動の速度に追随できる周波数であれば特に制限はないが、1〜1000Hzの範囲であることが好ましい。特に20〜200Hzの値であることが好ましい。

0032

記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory),HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive),フラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。記憶部12は、例えば、体動信号検出部11によって得られた体動信号を記憶する。また、記憶部12は、例えば、体動信号検出装置10に対して着脱自在に設けられてもよいし、体動信号検出装置10に固定されてもよい。

0033

インターフェイス部13は、例えば、情報処理装置20へ体動信号を伝達するインターフェイスである。インターフェイス部13は、例えば、挿抜可能な記憶媒体(メモリカード等)へ体動信号を書き込む(記憶させる)書き込み装置である。インターフェイス部13が記憶媒体の書き込み装置であった場合、書き込み後の記憶媒体を取り出し、情報処理装置20で体動信号を読み出すことにより、体動信号を情報処理装置へ伝達できる。インターフェイス部13が記憶媒体の書き込み装置である場合、記憶部12はインターフェイス部13に装着される記憶媒体であっても良い。

0034

また、インターフェイス部13は、USBやIEEE1394等の通信線インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークといった有線または無線LANやBluetooth(登録商標)といった無線により情報処理装置20と通信する通信インターフェイスであっても良い。

0035

体動信号検出装置10が情報処理装置20と無線回線を介して接続されている場合、インターフェイス部13は例えばアンテナ変調回路を含むものである。また、体動信号検出装置10が情報処理装置20と有線を介して接続されている場合、例えば、インターフェイス部13は、有線に接続可能な接続端子である。

0036

情報処理装置20は、例えば、PC(Personal Computer)であり、
体動信号検出装置10により得られた体動信号から体動バランスの評価値を算出する。

0037

情報処理装置20は、例えば、中央処理部21,記憶部22,出力部23、インターフェイス部24及び通信制御部(CCU:Communication Control Unit)25を備える。ここで、中央処理部(CPU)21,記憶部22,出力部23、インターフェイス部24及びCCU25は、相互に通信可能に接続されている。

0038

記憶部22は、例えば、RAM,HDD,SSD等の記憶装置であり、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム(情報処理プログラム等)及
びデータ等の各種情報を記憶する。

0039

出力部23は、表示装置ディスプレイ)や、プリンタスピーカ、記憶媒体への書き込み装置等、中央処理部21の処理結果を出力するものである。

0040

インターフェイス部24は、例えば体動信号検出装置10から体動信号の伝達を受ける
インターフェイスである。インターフェイス部24は、例えば、挿抜可能な記憶媒体(メモリカード等)から体動信号を読み取る読み取り装置である。インターフェイス部24が記憶媒体の読み取り装置であった場合、体動信号検出装置10から記憶媒体を取り出して情報処理装置20のインターフェイス部24に挿入し、インターフェイス部24で体動信号を記憶媒体から読み出すことにより、体動信号検出装置10から体動信号の伝達を受けることができる。

0041

また、インターフェイス部24は、有線または無線により体動信号検出装置10と通信する通信インターフェイスであっても良い。

0042

CCU25は、インターネットやLAN等のネットワークを介して、他の装置との通信を制御するものである。CCU25は、例えばネットワークカードや、モデム携帯電話回線を用いた通信モジュールである。なお、体動信号検出装置10のインターフェイス部13がインターネットやLAN等のネットワークを介して通信を行うものである場合、情報処理装置20のCCU25は、インターフェイス部24を兼ねても良い。

0043

中央処理部21は、例えば、記憶部22に記憶された各種アプリケーションプログラムを実行することにより種々の演算や制御等の処理を行ない、これにより、各種機能を実現する処理装置である。

0044

例えば、中央処理部21は、記憶部22に記憶された情報処理プログラムを実行することにより、周期性決定部211,二相性評価部212,バランス評価部213及び出力制御部214として機能する。すなわち、情報処理プログラムは、中央処理部21を、周期性決定部211,二相性評価部212,バランス評価部213及び出力制御部214等として機能させるプログラムである。

0045

周期性決定部211は、運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める。周期的な体動の値は、自己相関関数を用いて整えたものでも良い。

0046

二相性評価部212は、周期性決定部211で求めた複数の直線方向における体動の周期性を表す関数から、複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向(以下単に特定方向とも称す)における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める。

0047

バランス評価部213は、二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とする所定方向(バランス評価方向)とのずれ量に応じた評価値を求める。バランス評価部213は、例えば、二相性評価部212で求めた二方向の相関の程度が最も低い方向、即ち他の方向と比べて最も二相性が失われている方向(一相性を示す方向)を特定の直線方向として選択し、この第一方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量(角度)を評価値として求める。

0048

出力制御部214は、バランス評価部213で求めた評価値を出力部23やCCU25等の出力手段から出力させる。出力制御部214は、例えば評価値或いは評価値に基づく図などを表示装置に表示させることにより、被験者や被験者の家族、医師等に提示する。また、出力制御部214による出力は、表示出力に限らず、スピーカによる音声出力、プリンタによる印刷出力、記憶媒体への書き出し、他の装置への送信であっても良い。

0049

《体動バランスの評価方法
図2図6を用い、本実施形態1の情報処理装置20が情報処理プログラムに基づいて
実行する情報処理方法(体動バランスの評価方法)について説明する。本実施形態1では、直流成分(重力成分)を測ることのできる3軸の加速度センサを体動信号検出部11として使用し、歩行運動を体動として計測した場合における情報処理過程を説明する。

0050

図2は、体動信号検出装置10を被験者に装着した状態を示す図である。本実施形態1では、図2に示すように体動信号検出装置10をベルト91に入れ、体動信号検出装置10が被験者90の腹部中央に位置するようにベルト91を被験者90に装着する。なお、体動信号検出装置10の取り付け位置は、背中中央部であっても良い。

0051

はじめに、バランスを評価する基準となる方向(以下、バランス評価方向とも称す)を一つ決め、このバランス評価方向と体動信号検出装置10の体動信号検出部11が検出する加速度の軸方向とが所定の関係となるように体動信号検出装置10を装着する。

0052

例えば歩行や走行では左右のバランスが特に重要なので、被験者の左右方向をバランス評価方法と定める。バランス評価方向は通常、他の方向に比べて二相性が失われている方向、すなわち一相性を示す方向を選ぶ。この方向は通常、体の移動方向に直交する方向である。

0053

体動信号検出装置10は、体動信号検出部11が検出する加速度のX軸方向が左右方向(左がプラス方向)、Y軸方向が上下方向(上がプラス方向)、Z軸方向が前後歩行(前がプラス方向)となるように装着される。

0054

被験者が歩行を開始し、不図示のスイッチをONする等により測定開始が指示されると、体動信号検出装置10は、図3に示す処理を開始して、歩行に伴う被験者の動きを各XYZ軸方向の加速度として検出し、各XYZ軸方向の体動信号として記憶部12に記憶する(ステップS10)。

0055

体動信号の計測後、記憶部(記憶媒体)12を体動信号検出装置10から抜き出して情報処理装置20に挿入する或いはインターフェイス部13,24間の通信により体動信号を体動信号検出装置10から情報処理装置20へ伝達する(ステップS20)。

0056

情報処理装置20は、各XYZ軸方向の体動信号について時間を変数として−1階以上の積分操作を行う(ステップS30)。ここで−1階積分とは1階微分と等価である。また0階微分とは元の信号をそのまま使用することと等価である。積分の階数は好ましくは0〜2階である。特に1階が好ましい。

0057

また、情報処理装置20は、0階以上の積分を行った後、ドリフト成分を除去するため、ハイパスフィルタをかけても良い。ハイパスフィルタの種類に制限はないが、計算量が少なく、実際のデータ処理に適している時間幅TH秒のゼロ位相移動平均フィルタを用いるのが好ましい。すなわち、元の信号Xについてゼロ位相移動平均フィルタを施した後の信号をYとするとき、X−Yをハイパスフィルタ処理後の信号とみなす。なお、最適なTHの決め方は後述する。

0058

次に、情報処理装置20は、体動信号に基づいて、直線方向における周期的な体動の値を異なる複数の方向について求める(ステップS40)。例えば、ステップS30で−1階以上の積分を行った後の体動信号(積分体動信号)を適当な長さの部分時系列に分割する。この長さは、目的とする体動が連続的に継続している長さであれば特に制限はないが、目的とする動作が周期的に繰り返される場合、その目的とする動作が数周期程度含まれる長さが好ましい。歩行運動の場合は例えば、5〜10秒程度が望ましい。

0059

そして、前記XYZ軸で定義される3次元空間の原点を通る直線の方向において周期的に変化する体動の値を前記部分時系列に分割した体動信号(積分体動信号)から算出する。ここで、直線方向において周期的に変化する体動の値とは、例えば3次元空間の原点を通る直線に、前記部分時系列のXYZ軸の成分を射影したものである。なお、直線の方向を指数iで識別する。周期的に変化する体動の値は、周期性を表す任意の関数fi(t)を
用いて整えたものでも良い。周期性を表す関数は、例えば参考文献に記載の自己相関関数を用いることができる。特に、バイアスのない自己相関関数を用いるのが好適である。

0060

参考文献:R. Moe-Nilssen and J. L. Helbostad, “Estimation of gait cycle characteristics by trunk accelerometry,” J. Biomech., vol. 37, no. 1, p.p. 121-126, 2004.
次に、情報処理装置20は、このような直線と関数のペアをn組用意し、特定方向i=1、およびその他の方向との間の二相性評価指標BPを求める(ステップS50)。二相性評価指標BPは、例えば以下の式で計算できる。

0061

ここでmは任意の正数である。式(1)によれば、i=1なる直線上での射影成分時間周期が、そのほかの直線i=2上での射影成分の時間周期のちょうど2倍である場合にFi=0となり、その時に限り二相性評価指標BPは最大値1をとる。このようにi=1なる方向とその他の方向(i=2なる方向)の体動の時間周期が2:1に近づくに従って次第に大きくあるいは小さくなるような指標であれば、fi(t)から二相性評価指標を計
算する方法は式(1)に限定されない。

0062

例えばfi(t),i=1,2から二相性評価指標を計算する場合、次の式で求めてもよ
い。

0063

また、図4に示すようにf2(t)のt>0における最初のピーク位置に相当する時間を
t0とするとき、二相性評価指標BPは式(3)から求めてもよい。この値の場合も、i=1方向の時間周期がi=2方向の時間周期の2倍に近くなると、最大値1に近づく。

0064

BP=[f2(t0)−f1(t0)]/2 (3)
また、情報処理装置20は、i=2なる直線iの方向を変えて二相性評価指標BPを求める。例えば、i=1の直線は固定し、その他の一つあるいは二つの直線をi=1の直線軸周りに回転させながら二相性評価指標を次々と計算し、その値が最も大きくなるような場合を探す。その場合の二相性評価指標をi=1の方向に対応する二相性評価指標とする。次にi=1なる直線の方向を順次変えて同じ操作を繰り返す。このような処理により、最終的に3次元空間内のあらゆる方向に対応する二相性評価指標BPが求まる。

0065

これらの二相性評価指標BPの中で最も大きな値を与える直線の方向(特定方向)をバランス方向と称する。この方向の体動は他の方向の体動に比べ最も二相性が欠如している方向、すなわち一相性を有する方向、になる。この方向は、正常なバランスの歩行運動であれば左右方向(X方向)に一致する。

0066

情報処理装置20は、これらの二相性評価指標BPに基づいてバランス方向を選択し、当該バランス方向が、評価の基準として定めたバランス評価方向からどの程度ずれているか、によって体動バランスの評価値を求める(ステップS60)。即ち、ズレがなければ完璧なバランスが保たれており、ズレが大きいほどバランスが悪化している。評価値は、後述のようにバランス方向とバランス評価方向とのなす角度等の数値であっても良いし、バランス方向とバランス評価方向とのズレを図等で描画するための描画データや信号であっても良い。

0067

情報処理装置20は、ステップS60で求めた評価値を表示装置への表示出力やプリンタによる印刷出力、電子メールによる他の情報処理装置への送信などの出力を行い、被験者や医師等に提示する(ステップS70)。これにより運動のバランスを客観的に評価することができる。

0068

《二相性に基づく評価方法の詳細》
二相性評価指標の算出方法をさらに具体的に説明する。

0069

まず原点を通る水平面を考える。最初の定義によれば水平面はXZ平面に相当するが、体動信号検出部(加速度センサ)11が垂直方向から傾いて装着されている場合を想定して、次のようにして水平面を求め直してもよい。すなわち、部分時系列のXYZ各成分の平均値を求める。これはベクトルVであり、この方向が上方向に相当する。従って、このベクトルVと直交する水平な平面が求める水平面になる。

0070

次に水平面内で原点を通る直線iを考え、この直線上に加速度信号のXYZ成分を射影して1次元の加速度信号を得る。

0071

この加速度信号について最大時間ずれTmax秒のバイアスなし自己相関関数を計算する
。Tmaxとしては歩行周期の2倍程度の値に設定する。例えば歩行周期が1秒の場合、Tmax=2秒とする。直線を垂直軸(すなわちベクトルV)の周りに回転させて以上の操作を繰り返すと、水平面内における2次元の自己相関スペクトルが得られる。健常被験者の5秒間の歩行加速度について1階積分を行い、TH=1秒のハイパスフィルタをかけた信号について、XZ平面内の2次元自己相関スペクトルを計算した例を図5(a)に示す。ここで自己相関関数の大きさはグレースケールで示されており、白が1、黒が−1に相当する。

0072

このようにして自己相関関数を求めた直線の中から一つ選び、その指数をi=1とする。この直線に直交する水平面内の直線の指数をi=2とする。双方の直線上で求めた自己相関関数をそれぞれf1(t),f2(t)とするとき、式(2)によって二相性評価指標BPを計算する。この指標は直線i=1がバランス評価方向(ここではX軸方向)となす角度の関数になる。

0073

図5(a)の自己相関スペクトルから二相性評価指標の角度依存性を算出した結果を図5(b)に示す。

0074

なお、i=2の直線としては水平面内の直線ではなく、ベクトルV方向の直線を選んでもよい。

0075

図5(b)では水平面内で原点を通る直線i=1とそれに直交する一つの直線から二相性評価指標を求めた。ここで二相性評価指標が最大となる点を黒丸95で示しており、その時の角度は6度である。この角度ずれに相当する直線がバランス方向であり、図5(c)内の白線96で示してある。6度のずれは非常に小さいので、歩行の左右バランスは良好と判断できる。

0076

角度のずれの表記方法に特に制限はない。例えば図6に示すように、0〜90度の値と回転方向で表すと分かりやすい。例えば図6実線のように、バランス方向が右上方向であれば、右方向を基準として反時計回りにθ1度とする。反対に、図6破線のように、バランス方向が左上を向いていれば、左方向を基準として時計回りにθ2度とする。

0077

この表記方法によれば、例えば角度ずれの値が10度以下であれば左右対称の運動をしている(バランスが良い)、30度以上であれば左右バランスが良くない、60度以上であれば左右バランスが崩れている、と判断できる。

0078

また角度ずれが反時計回りであれば右足のステップが左足のステップに比べて力強い、あるいは歩幅が長い、と判断できる。逆に、角度ずれが時計回りであれば左足のステップが右足のステップに比べて力強い、あるいは歩幅が長い、と判断できる。

0079

フィルタ時定数の決定》
体動信号に積分操作を加えた後は、ドリフト成分を除去するためにハイパスフィルタをかけるのが好ましい。特に1階以上の積分操作を加える場合である。その時定数THの決め方は例えば次のようにする。

0080

THを0〜Tmax/2の間で順次変化させて積分信号を処理する。時定数THを変化さ
せて求めたそれぞれの積分信号について上述の方法によりバランス方向の二相性評価指標を算出する。二相性評価指標が最も大きくなるTHの値を、求める時定数THとして決定する。

0081

以上のように、本実施形態によれば、二相性を有する運動時のバランスを客観的に評価できる。

0082

また、本実施形態によれば、二相性評価指標を用いてバランスの評価を行うので、対象とする動作が加速度の波形やピッチから判断できないような場合でも精度良くバランスの評価を行うことができる。従って、審美性・運動能力の向上や、日々の健康増進等に役立つ。

0083

〈実施形態2〉
以下、図7から図11の図面に基づいて、本実施形態2に係る情報処理システムを説明する。本実施形態2は、前述の実施形態1と比べて生体の移動方向を求める構成、また、移動方向に基づいて体動信号検出装置の位置ズレを検出する構成が異なっている。なお、その他の構成は同じであるため、同一の要素に同符号を付すなどして再度の説明を省略する。

0084

図7は、本実施形態2に係る情報処理システムの構成を示す図である。図7の情報処理システム1は、図1に示す情報処理システム1と比べて情報処理装置20が移動方向推定部215を更に備えた構成が異なっている。即ち、情報処理装置20の中央処理部21は、情報処理プログラムを実行することにより、移動方向推定部215としても機能する。

0085

移動方向推定部215は、二相性を有する運動が生体の移動を伴う場合、体動信号の偏りから生体の移動方向を求める。

0086

生体の移動とは、生体と周囲の環境との相対的な移動を意味する。即ち、生体の移動を伴う運動とは、生体が移動する通常の歩行,走行,水泳または自転車走行(サイクリング)等の運動の他に、トレッドミル等の歩行面が移動する歩行装置,同様の走行装置,自転車走行装置または流水プール等を用いた運動があげられる。

0087

また、バランス評価部213は、前記移動方向に対する所定の方向を推定評価方向とし、当該推定評価方向に対する前記評価方向のずれ量と、前記特定方向に対する前記評価方向のずれ量とに応じて、前記体動信号を検出する体動信号検出装置の設置位置のズレを検出する。

0088

《体動バランスの評価方法》
図8は、本実施形態2の情報処理装置20が情報処理プログラムに基づいて実行する情報処理方法(体動バランスの評価方法)について説明する図である。なお、ステップS10からS60までは、前述の図3と同じである。

0089

情報処理装置20は、以下の手順により、生体の移動方向の推定を行う(ステップS63)。
まず、二相性評価指標の算出と同様に、−1階以上の積分体動信号を適当な長さの部分時系列とする。ただし、積分の階数は二相性評価指標算出の場合と同じでも異なっていてもよい。好ましくは−1階あるいは1階に設定する。

0090

次に部分時系列にローパスフィルターをかけて平滑化する。ローパスフィルターの種類に制限はないが、計算量が少なく、実際のデータ処理に適している時間幅TL秒のゼロ位相移動平均フィルタを用いるのが好ましい。TLは後述の方法により、0〜Tmax/10
の間でいろいろと変化させて最適化させる。

0091

平滑化した部分時系列について異方性を算出する。異方性は時系列信号がプラスの値に偏っているか、マイナスの値に偏っているかを定量化したものであり、例えば以下の二つの方法で計算できるが、この方法に限られるものではない。

0092

1.データのうち、正の値を持つデータの数をP、負の値を持つデータの数をMとしたとき、異方性=(P−M)/(P+M)とする。
2.データのうち、正の値を持つデータの平均値をP、負の値を持つデータの平均値をMとしたとき、異方性=(P+M)/(M−P)とする。

0093

異方性が正ならばデータはプラスに偏っており、負ならばマイナスに偏っている。例えば歩行加速度の前後方向(Z方向)信号の−1階積分を部分時系列とした場合、歩行ステップ毎に過渡的に大きな負の値をとること以外、データはほとんど正なので、異方性は正になる。1階積分の場合には反対に異方性は負になる。

0094

異方性の計算に基づいて以下のようにして移動方向の推定を行う。
水平面内で原点から出る単位ベクトルUを考え、このベクトルU上に部分時系列のXYZ成分を射影して1次元の時系列信号を得る。この時系列信号について異方性ANを計算し、AN*Uの位置の点を求める。ベクトルUをY軸あるいはベクトルVの周りに回転させて以上の操作を繰り返すと、水平面内に異方性の軌道が求まる。図9はベクトルUをY軸あるいはベクトルVの周りに回転させて水平面内にAN*Uの位置の点をプロットして異方性の軌道を描いた例を示す図である。最適なローパスフィルターの時定数TLは、得
られる異方性の軌道が最大となるように、0〜Tmax/10の間から選ぶ。

0095

原点からこの軌道上の点に向かうベクトルの中で、軌道の面積をちょうど半分に分割するベクトルを求める。−1階積分を部分時系列とした場合、このベクトルの方向が推定移動方向である。1階積分を部分時系列とした場合は、このベクトルと反対方向が推定移動方向である。

0096

次に情報処理装置20は、体動信号検出装置10の設置位置ズレを判定する(ステップS65)。

0097

歩行運動の場合、推定された移動方向に垂直でかつ水平面内に存在する直線方向が真の左右方向(以下、推定評価方向とも称する)を与える。正常な歩行であれば推定評価方向は最初の定義、すなわちバランス評価方向と一致するので、もしも推定評価方向がバランス評価方向からずれていれば、加速度センサ自体の装着部位がずれているためと判断される。

0098

二相性評価指標から求めたバランス方向Xと推定評価方向Yとの振る舞いの比較から体動バランスおよび計測デバイスの位置ずれについて判定するステップS65の具体的なフローの一例を図10に示す。

0099

情報処理装置20は、X<10、Y<10であれば(ステップS651)、バランスが正常であり、デバイスのずれも小さい(10度以下)と判定する(ステップS652)。

0100

また、情報処理装置20は、バランス方向Xと推定評価方向Yとのズレがいずれも大きい場合(X>30、Y>30)であって、バランス方向Xと推定評価方向Yがほぼ等しければ(X≒Y)(ステップS653)、角度のずれは主としてデバイスの設置位置のズレによるものであると判定する。バランスのずれは|X−Y|程度と判定される(ステップS654)。ここでXとYとがほぼ等しいとは、角度ずれの方向が同じであり、かつずれの差が例えば20度以下の場合をいう。この条件を満たさない場合、情報処理装置20は、X≠Yとし(ステップS655)、大きな角度ずれ(X>30)が主としてバランスの悪さによるものと判定する(ステップS656)。

0101

図5歩行データについて、−1階積分から最適な異方性の軌道および移動方向と推定評価方向を求めた結果を図11に示す。推定評価方向がX軸となす角度は6度である。この角度は図3の体動信号に基づいてステップS60において求めたバランス方向の角度と一致する。このように、角度ずれ自体が小さく、しかも二つの方法で求めた角度がほぼ一致する場合は、この角度ずれを加速度センサ位置の微妙なずれによるものと判断する。

0102

以上のように本実施形態2によれば、体動信号からバランスの評価を行うと共に、生体の移動方向を推定することができる。また、推定した移動方向から体動信号検出装置10の取り付け位置のズレを検出することができる。

0103

以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

0104

体動信号検出装置10として三菱化学社製加速度レコーダー(MG−M1100)により脳卒中後右片麻痺となった被験者の腹部患者歩行中の体動信号を100Hzで30秒間サンプリングした。レコーダー10は専用ベルト91に入れて腹部中央に設置するようにした。被験者は左手に杖を持って介助者なしに歩いた。歩行中の様子はビデオで同時に
モニターした。

0105

図12に10秒間のXYZ方向の加速度信号(体動信号)を示す。いずれのグラフでも大きいスパイク状のピークは右足ステップに相当する波形である。一方、左足ステップに相当するピークはビデオとの同時観察でようやく同定できたが、加速度波形だけから左足ステップを判定するのは極めて困難であった。左足のステップが弱くなっているのは、左足を動かす間、麻痺している右足で体を支えきれないためである。

0106

このデータについて図5の手順と同様に、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を算出した結果を図13に示す。二相性評価指標が最大となる点は図13(b)の黒丸で示されている。この点が、バランス方向とバランス評価方向(X方向)とがなす角度を与える。実際のバランス方向を図13(c)に示す。角度のずれは78度と非常に大きくなっており、左右バランスが大きく崩れていることが示される。また、右片麻痺の場合は角度ずれが反時計回りであることがわかる。

0107

次に、図8のステップS63,S65と同様に、加速度の−1階積分信号を用いて異方性軌道、移動方向および推定評価方向を求めた。結果を図14に示す。推定評価方向とバランス評価方向のなす角度は12度であり、しかも時計回りである。これはバランス方向の振る舞いと大きく異なっている。従ってバランス方向のずれは体動バランスが悪いためであり、加速度センサのずれのためはないと判断できる。

0108

実施例1と同様の方法で健常被験者の歩行中の加速度を計測した。その際、被験者は80ビート/分のメトロノームに合わせて歩行し、左片麻痺を模擬するために左足を大きく踏み出して歩くようにした。図15に10秒間のXYZ方向の加速度信号を示す。

0109

いずれのグラフでも大きいスパイク状のピークは左足ステップに相当する波形である。一方、右足ステップに相当するピークはメトロノームに合わせて歩いているため左足ステップ間隔のちょうど中間に位置しているが、加速度波形の情報だけから右足ステップを判定するのは極めて困難であった。

0110

このデータについて図5での手順と同様に、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を算出した結果を図16に示す。二相性評価指標が最大となる点は図16(b)の黒丸で示されている。この点がバランス方向とバランス評価方向(X方向)とがなす角度を与える。実際のバランス方向を図16(c)に示す。角度のずれは60度と非常に大きくなっており、左右のピッチには差がないにもかかわらず左右バランスが大きく崩れていることを示している。また、左片麻痺模擬の場合は角度のずれが時計回りであることがわかる。

0111

次に、図8のステップS63,S65と同様に、加速度の−1階積分信号を用いて異方性軌道、移動方向および推定評価方向を求めた。結果を図17に示す。推定評価方向とバランス評価方向のなす角度は12度であり、しかも反時計回りである。これはバランス方向の振る舞いと大きく異なっている。従ってバランス方向のずれは体動バランスが悪いためであり、加速度センサのずれのためはないと判断できる。

0112

実施例1と同様の方法でパーキンソン病患者座位中の加速度を計測した。この患者は激しいジスキネジアを呈し、特に上半身右側の動きが強かった。図18に10秒間のXYZ方向の加速度信号を示す。このデータについて図3での手順と同様に、XZ平面内での
2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を算出した結果を図19に示す。二相性評価指標が最大となる点は図19(b)の黒丸で示されている。この点がバランス方向とバランス評価方向(X方向)とがなす角度を与える。実際のバランス方向を図19(c)に示す。角度のずれは18度であり、若干の左右差があることを示している。また、上半身右側の動きが強いことを反映して角度のずれが反時計回りになっていることがわかる。

0113

三菱化学社製加速度レコーダー(MG−M1100)により、健常者の歩行中の体動信号を100Hzで5秒間サンプリングした。レコーダー10は専用ベルトに入れて腹部中央からやや左側にずらして設置するようにした。

0114

図3での手順と同様に、XZ平面内での2次元自己相関スペクトル、二相性評価指標の角度依存性、およびバランス方向を算出した結果を図20に示す。二相性評価指標が最大となる点は図20(b)の黒丸95で示されている。この点が、バランス方向とバランス評価方向(X方向)とがなす角度を与える。実際のバランス方向を図20(c)に示す。角度のずれは時計回りに42度である。

0115

次に、図8のステップS63,S65と同様に、加速度の−1階積分信号を用いて異方性軌道、移動方向および推定評価方向を求めた。結果を図21に示す。推定評価方向とバランス評価方向のなす角度は時計回りに30度である。いずれも大きな角度ずれではあるが、双方のふるまいは類似しているので、このずれは主としてデバイスずれによるものと判断できる。

0116

《その他》
以上の実施形態は、さらに以下の付記と呼ぶ態様を含む。以下の各付記に含まれる構成要素は、他の付記に含まれる構成と組み合わせることができる。

0117

(付記1)
運動時の体動のバランスを評価する情報処理装置であって、
運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める周期性決定部と、
前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める二相性評価部と、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるバランス評価部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。

0118

(付記2)
前記周期的な体動の値を体動の周期性を表わす所定の関数を用いて求めることを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。

0119

(付記3)
前記体動の周期性を表わす所定の関数が、自己相関スペクトルであることを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置。

0120

(付記4)
前記体動信号から生体の移動方向を求める移動方向推定部を備えることを特徴とする、付記1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。

0121

(付記5)
前記バランス評価部が、前記移動方向に対する所定の方向を推定評価方向とし、当該推定評価方向に対する前記バランス評価方向のずれ量と、前記特定の直線方向に対する前記バランス評価方向のずれ量とに応じて、前記体動信号を検出する体動信号検出装置の設置位置のズレを検出することを特徴とする付記4に記載の情報処理装置。

0122

(付記6)
運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求めるステップと、
前記複数の直線方向における体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求めるステップと、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるステップと、
を情報処理装置が実行することを特徴とする情報処理方法。

0123

(付記7)
前記周期的な体動の値を体動の周期性を表わす所定の関数を用いて求めることを特徴とする付記6に記載の情報処理方法。

0124

(付記8)
前記体動の周期性を表わす所定の関数が、自己相関スペクトルであることを特徴とする付記6又は7に記載の情報処理方法。

0125

(付記9)
前記体動信号から生体の移動方向を求めることを特徴とする、付記6から8の何れか一項に記載の情報処理方法。

0126

(付記10)
前記移動方向に対する所定の方向を推定評価方向とし、当該推定評価方向に対する前記バランス評価方向のずれ量と、前記特定の直線方向に対する前記バランス評価方向のずれ量とに応じて、前記体動信号を検出する体動信号検出装置の設置位置のズレを検出することを特徴とする付記9に記載の情報処理方法。

0127

(付記11)
運動する生体の動きを示す体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求めるステップと、
前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求めるステップと、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるステップと、
を情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。

0128

(付記12)
前記周期的な体動の値を体動の周期性を表わす所定の関数を用いて求めることを特徴とする付記11に記載の情報処理プログラム。

0129

(付記13)
前記体動の周期性を表わす所定の関数が、自己相関スペクトルであることを特徴とする付記11又は12に記載の情報処理プログラム。

0130

(付記14)
前記体動信号から生体の移動方向を求めることを特徴とする、付記11から13の何れか一項に記載の情報処理プログラム。

0131

(付記15)
前記移動方向に対する所定の方向を推定評価方向とし、当該推定評価方向に対する前記バランス評価方向のずれ量と、前記特定の直線方向に対する前記バランス評価方向のずれ量とに応じて、前記体動信号を検出する体動信号検出装置の設置位置のズレを検出することを特徴とする付記14に記載の情報処理プログラム。

0132

(付記16)
体動信号検出装置及び情報処理装置を有する評価システムであって、
前記体動信号検出装置が、
運動時の生体の動きを検出して体動信号とする体動信号検出部と、
前記体動信号を前記情報処理装置に伝達するためのインターフェイス部とを備え、
前記情報処理装置が、
前記体動信号の伝達を受けるインターフェイス部と、
前記体動信号に基づき、直線方向において−1階以上積分を行って得られる周期的な体動の値を異なる複数の直線方向について求める周期性決定部と、
前記複数の直線方向における周期的な体動の値のうち、特定の直線方向における周期的な体動の値と他の直線方向における周期的な体動の値との相関の程度を示す二相性評価指標を異なる複数の特定の直線方向について求める二相性評価部と、
二相性評価指標に基づいて選択した特定の直線方向と評価の基準とするバランス評価方向とのずれ量に応じてバランスの評価値を求めるバランス評価部とを備える、
ことを特徴とする評価システム。

実施例

0133

(付記17)
前記体動信号検出部が加速度センサであることを特徴とする付記16に記載の評価システム。

0134

1情報処理システム
10体動信号検出装置
20 情報処理装置

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