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技術 乳酸ステレオブロック共重合体組成物およびその製造方法

出願人 学校法人立教学院三井化学株式会社
発明者 大山秀子安部早紀柴野桂宇杉真一
出願日 2012年5月10日 (8年6ヶ月経過) 出願番号 2012-108250
公開日 2013年11月21日 (7年0ヶ月経過) 公開番号 2013-234277
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 ポリエステル、ポリカーボネート 生分解性ポリマー
主要キーワード 長軸直径 コニカル型 適合型 スクリュー溝 モノマー換算 シリンダー内径 ステレオブロック ドライブレンド物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年11月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法を提供する。

解決手段

ポリL−乳酸25〜75質量%とポリD−乳酸75〜25質量%とを、下記式で定義される温度T: Th<T<Ts(Thは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶融点のうち高い方の融点であり、Tsは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を、200℃にてエステル交換触媒非存在下で混練して得た生成物の融点である)において混練する混練工程を含む、乳酸ステレオブロック共重合体組成物の製造方法。

概要

背景

近年、地球環境の改善のため、環境適合型樹脂に対するニーズが非常に高まっている。ポリL−乳酸は安価な植物由来の樹脂として知られているが、耐熱性機械的性質が十分ではないという問題がある。

ポリL−乳酸はポリD−乳酸と混合することにより耐熱性に優れたステレオコンプレックスを形成することが知られており、このことを利用してポリ乳酸の耐熱性等を改善する試みがなされている。例えば特許文献1(特開2007−191625号公報)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸を溶液中でブレンドしてキャストフィルムを得ることが開示されている。しかしながら、このような溶液キャスト法は多量の溶媒を使用し、手間、時間、およびコストがかかるため工業化には適さない。

特許文献2(特開2005−325286号公報)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸とを含む、ステレオコンプレックスを含まない延伸フィルムの製造方法が開示されている。

特許文献3(特開2008−163111号公報)には、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを二軸押出し機により高温(220℃)で溶融混練し、熱処理することでステレオコンプレックスを形成したことが記載されている。この混練温度は得られた樹脂のステレオコンプレックスの融点よりも高い温度である。また、この方法では長時間の熱処理が必要であり、また生成物中には乳酸ステレオブロック共重合体以外の低融点成分も多く含まれている。

特許文献4(特開2008−63455号公報)には、分子量を規定したポリL−乳酸とポリD−乳酸とをフラスコ中で240〜300℃で加熱してステレオコンプレックスを形成したことが記載されている。この加熱温度は得られた樹脂の融点よりも高い温度である。また、この方法はフラスコ中で反応を行うので煩雑な操作と長時間の処理が必要である。

特許文献5(国際公開2008/096895号)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸を混練して結晶化させる工程と、得られた固体を溶融混練する工程からなるポリ乳酸ステレオコンプレックス製法が記載されている。溶融混練温度は250℃であり、得られた樹脂のステレオコンプレックスの融点よりも高い温度である。また、この方法は、2段階の複雑なプロセスからなり、しかも1段階では二軸押出し機、2段階では一軸押出し機というように別種溶融混練装置を用いるので工程が煩雑である。

概要

耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法を提供する。ポリL−乳酸25〜75質量%とポリD−乳酸75〜25質量%とを、下記式で定義される温度T: Th<T<Ts(Thは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶の融点のうち高い方の融点であり、Tsは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を、200℃にてエステル交換触媒非存在下で混練して得た生成物の融点である)において混練する混練工程を含む、乳酸ステレオブロック共重合体組成物の製造方法。なし

目的

本発明は、耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ポリL−乳酸25〜75質量%とポリD−乳酸75〜25質量%とを、下記式で定義される温度T:Th<T<Ts(Thは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶融点のうち高い方の融点であり、Tsは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を、200℃にてエステル交換触媒を添加せずに混練して得た生成物の融点である)において混練する混練工程を含む、乳酸ステレオブロック共重合体組成物の製造方法。

請求項2

前記T(℃)が、下記式:Th<(Ts−50)<T<(Ts−15)を満たす温度である、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記混練工程において、エステル交換触媒を、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸の合計量100質量部に対して、0.01〜0.8質量部添加する、請求項1または2に記載の製造方法。

請求項4

前記エステル交換触媒が、塩化スズチタンテトライソプロポキシドチタンテトラブトキシド酢酸亜鉛、または酸化亜鉛を含む、請求項3に記載の製造方法。

請求項5

前記混練工程における混練時間が2〜20分である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。

請求項6

前記混練工程におけるせん断速度が600sec−1以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。

請求項7

得られた組成物は、DSCを用いたファーストスキャンでの測定において、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶に起因する融解ピークが検出されない、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。

請求項8

請求項1〜7のいずれかの方法で得た乳酸ステレオブロック共重合体組成物。

技術分野

0001

本発明は、乳酸ステレオブロック共重合体組成物およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境の改善のため、環境適合型樹脂に対するニーズが非常に高まっている。ポリL−乳酸は安価な植物由来の樹脂として知られているが、耐熱性機械的性質が十分ではないという問題がある。

0003

ポリL−乳酸はポリD−乳酸と混合することにより耐熱性に優れたステレオコンプレックスを形成することが知られており、このことを利用してポリ乳酸の耐熱性等を改善する試みがなされている。例えば特許文献1(特開2007−191625号公報)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸を溶液中でブレンドしてキャストフィルムを得ることが開示されている。しかしながら、このような溶液キャスト法は多量の溶媒を使用し、手間、時間、およびコストがかかるため工業化には適さない。

0004

特許文献2(特開2005−325286号公報)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸とを含む、ステレオコンプレックスを含まない延伸フィルムの製造方法が開示されている。

0005

特許文献3(特開2008−163111号公報)には、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを二軸押出し機により高温(220℃)で溶融混練し、熱処理することでステレオコンプレックスを形成したことが記載されている。この混練温度は得られた樹脂のステレオコンプレックスの融点よりも高い温度である。また、この方法では長時間の熱処理が必要であり、また生成物中には乳酸ステレオブロック共重合体以外の低融点成分も多く含まれている。

0006

特許文献4(特開2008−63455号公報)には、分子量を規定したポリL−乳酸とポリD−乳酸とをフラスコ中で240〜300℃で加熱してステレオコンプレックスを形成したことが記載されている。この加熱温度は得られた樹脂の融点よりも高い温度である。また、この方法はフラスコ中で反応を行うので煩雑な操作と長時間の処理が必要である。

0007

特許文献5(国際公開2008/096895号)にはポリL−乳酸とポリD−乳酸を混練して結晶化させる工程と、得られた固体を溶融混練する工程からなるポリ乳酸ステレオコンプレックス製法が記載されている。溶融混練温度は250℃であり、得られた樹脂のステレオコンプレックスの融点よりも高い温度である。また、この方法は、2段階の複雑なプロセスからなり、しかも1段階では二軸押出し機、2段階では一軸押出し機というように別種溶融混練装置を用いるので工程が煩雑である。

先行技術

0008

特開2007−191625号公報
特開2005−325286号公報
特開2008−163111号公報
特開2008−63455号公報
国際公開2008/096895号

発明が解決しようとする課題

0009

耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法が求められていたが、上述のとおり、未だ満足の行く方法は達成されていない。当該事情を鑑み、本発明は、耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を特定の温度で溶融混練することで、前記課題が解決されることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明により解決される。
[1]ポリL−乳酸25〜75質量%とポリD−乳酸75〜25質量%とを、
下記式で定義される温度T:
Th<T<Ts
(Thは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶の融点のうち高い方の融点であり、
Tsは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を、200℃にてエステル交換触媒を添加せずに混練して得た生成物の融点である)
において混練する混練工程を含む、
乳酸ステレオブロック共重合体組成物の製造方法;および
[2]上記方法で得た乳酸ステレオブロック共重合体組成物。

発明の効果

0011

耐熱性に優れた乳酸ステレオブロック共重合体組成物を簡便に製造する方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0012

ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のDSC曲線
実施例および比較例で得た組成物のDSC曲線

0013

以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「〜」は両端の値を含む。

0014

1.製造方法
本発明の乳酸ステレオブロック共重合体組成物の製造方法は、ポリL−乳酸25〜75質量%と、ポリD−乳酸75〜25質量%を、前記式で定義される温度Tにおいて混練する混練工程を含む。一般にステレオブロック共重合体とは、2以上の立体規則性ブロックを含むブロック共重合体である。本発明において乳酸ステレオブロック共重合体とは、「ポリL−乳酸ブロック」と「ポリD−乳酸ブロック」を含むブロック共重合体であり、これら以外の部分を含んでいてもよい。詳細は後述する。

0015

(1)ポリL−乳酸
ポリL−乳酸は、L−乳酸を重合してなる重合体またはL−乳酸を主成分として他成分と共重合してなる共重合体である。ポリL−乳酸の重量平均分子量は5万〜100万が好ましく、8万〜80万がより好ましく、10万〜70万がさらに好ましい。当該重量平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械的特性が不十分となる傾向にある。また、重量平均分子量が上限値を超えると、成形加工性が低下する傾向にある。

0016

ポリL−乳酸の製造方法は特に制限されず、L−乳酸を直接重合してもよく、乳酸の環状2量体であるL−ラクチド開環重合してもよい。また、これらの原料に加えて、グリコリドカプロラクトン等の異種モノマーを共重合してもよい。当該共重合体における異種モノマー由来の成分が占める割合は、モノマー換算で30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましい。

0017

ポリL−乳酸のホモキラル結晶の融点は分子量に依存するが、本発明においては、当該融点の上限は180℃未満が好ましく、170℃以下がより好ましい。また融点の下限は140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。この理由は後で説明する。

0018

(2)ポリD−乳酸
ポリD−乳酸は、D−乳酸を重合してなる重合体またはD−乳酸を主成分として他成分と共重合してなる共重合体である。ポリD−乳酸の重量平均分子量は、ポリL−乳酸について述べた値であることが好ましい。当該重量平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械的特性が不十分となる傾向にある。また、重量平均分子量が上限値を超えると、成形加工性が低下する傾向にある。

0019

ポリD−乳酸の製造方法は特に制限されず、D−乳酸を直接重合してもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチドを開環重合してもよい。また、これらの原料に加えて、グリコリド、カプロラクトン等の異種モノマーを共重合してもよい。当該共重合体における、異種モノマー由来の成分が占める割合は、ポリL−乳酸について述べた値であることが好ましい。

0020

ポリD−乳酸のホモキラル結晶の融点は分子量に依存するが、本発明においては、当該融点の上限は180℃未満が好ましく、170℃以下がより好ましい。また融点の下限は140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。この理由は後で説明する。

0021

(3)混合比
本発明では、ポリL−乳酸25〜75質量%とポリD−乳酸75〜25質量%を混合する。ポリL−乳酸とポリD−乳酸は、それぞれらせん構造を有し、互いにらせん構造が噛み合うことでステレオコンプレックス結晶を形成する。ステレオコンプレックス結晶の量は、L−乳酸由来の単位とD−乳酸由来の単位のmol比が1:1の時に最大となる。従って、耐熱性の高いステレオブロック共重合体組成物を得る際には、L−乳酸由来の単位とD−乳酸由来の単位のmol比が1:1となるように、ポリL−乳酸とポリD−乳酸の混合比を調整することが好ましい。この場合、両者の質量比は「45〜55」:「55〜45」が好ましく、「47〜53」:「53〜47」がさらに好ましい。

0022

一方、フィルム等の用途においては、ステレオコンプレックス結晶の量が多いと、フィルムが脆くなることがある。よって、ステレオコンプレックス結晶の量が所望の量となるように、前記範囲で両者の質量比を調整することが好ましい。例えば、両者の質量比は「60〜75」:「40〜25」または「40〜25」:「60〜75」が好ましい。

0023

(4)混練温度
本発明は温度Tで前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を混練する。温度Tは、Th<T<Tsと定義される。Thは、前記ポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶の融点のうち高い方の融点である。本発明において融点は示差走査熱量分析DSC)により測定できる。測定は定法によるが、昇温速度10℃/分で測定することが好ましい。

0024

Tsは、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を、200℃にてエステル交換触媒を新たに添加せずに混練して得た生成物の融点である。ポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、モノマーを重合した際の触媒残渣を含んでいる場合があるが、本発明において、触媒残渣を含むポリL−乳酸およびポリD−乳酸を混練することは、エステル交換触媒を添加せずに混練することに該当する。

0025

すなわちTsは、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸を単純に混練して形成したステレオコンプレックス結晶の融点である。融点が複数存在する場合は、その最高の温度をTsとする。Tsは、用いるポリL−乳酸およびポリD−乳酸の分子量、配合比等により変動するが、通常は、210〜240℃の範囲であり、好ましくは225〜235℃の範囲である。

0026

本発明では、Tsよりもかなり低い温度TでポリL−乳酸およびポリD−乳酸を混練する点に特徴がある。具体的にT(℃)は、Th<(Ts−50)<T<(Ts−15)の関係を満たすことが好ましい。前述のとおり、Thは180℃未満が好ましく、170℃以下がより好ましい。よって、Tの下限は170℃を超えることが好ましく、180℃以上がより好ましい。

0027

本発明では、Thより高くTsより低い温度で混練を行なう。Thより高い温度で混練するのでホモキラル結晶は融解し、エステル交換反応によりステレオブロック共重合体が形成される。またTsより低い温度で混練するのでステレオブロック共重合体がステレオコンプレックス結晶を形成し、当該ステレオコンプレックス結晶は融解せずに維持されると考えられる。

0028

従来の技術は、いずれもTs以上の温度で混練するので、ステレオコンプレックス結晶が融解し、さらに分子の運動が自由になるのでエステル部分加水分解が進行して分子量低下を引き起こす、またはエステル交換反応が過度に生じてポリL−乳酸、ポリD−乳酸のランダム共重合体を生成する可能性があると考えられる。ランダム共重合体は非晶性であるのでステレオコンプレックス結晶の生成を妨げると考えられる。本発明は、Ts未満の温度で混練するので、このような不具合が生じないと考えられる。

0029

一方、混練温度が過度に低いと、乳酸ステレオブロック共重合体は形成されにくく、LポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶が多数残存する。よって、生成物の耐熱性は低下する。

0030

すなわち、本発明は、前記温度Tで混練を行なうことにより、原料であるポリL−乳酸およびポリD−乳酸のホモキラル結晶を消失させるとともにステレオブロック共重合体の形成を促し、かつステレオコンプレックス結晶を形成しさらにこれを維持すると考えられる。そして、本発明では、従来の方法よりも低温で混練を行なうことで、ステレオコンプレックス結晶部の運動性を極力抑制しながら、エステル交換反応を進められるので、ポリ乳酸のエステル結合が加水分解して分子量低下を引き起こす問題を最大限に抑制できると考えられる。この機序により、本発明においては、分子量が高く、結晶化度の高い乳酸ステレオブロック共重合体を含む組成物を形成できる。ホモキラル結晶の消失を速やかにする観点から、原料のホモキラル結晶の融点は前述の範囲が好ましい。

0031

(5)エステル交換触媒
混練工程においては、適度なエステル交換反応が生じるのでステレオブロック共重合体を形成できる。この反応を促進するためにエステル交換触媒を添加してもよい。エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物アルカリ土類金属化合物スズ化合物亜鉛化合物チタン化合物などが挙げられる。アルカリ金属化合物の例としては、リチウム化合物ナトリウム化合物カリウム化合物が挙げられる。アルカリ土類金属化合物の例としては、マグネシウム化合物カルシウム化合物が挙げられる。スズ化合物の例としては、オクチル酸スズ塩化スズスズアルコキシドエトキシスズ、メトキシスズ、酸化スズが挙げられる。チタン化合物の例としてはチタンテトライソプロポキシドチタンテトラブトキシドが挙げられる。亜鉛化合物の例としては、酢酸亜鉛酸化亜鉛が挙げられる。中でも、スズ化合物、亜鉛化合物、およびチタン化合物が好ましい。

0032

エステル交換触媒の量は、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸の合計量100質量部に対して、0.01〜0.8質量部が好ましい。

0033

(6)混練条件
混練時のせん断速度が過度に高いと、加水分解等が起きやすくなるので、せん断速度は1200sec−1以下が好ましく、800sec−1以下がより好ましく、600sec−1以下がさらに好ましい。せん断速度の下限値は100sec−1以上が好ましい。

0034

混練機のせん断速度Sは、下記式(i)で定義される。

0035

S=π・Dm・N/h (i)
Sはせん断速度、Nはスクリュー毎秒回転数、hはクリアランスである。混練機が一軸または二軸押出し機である場合は、Dmはスクリュー溝平均径である。スクリュー溝の平均径とは、スクリューの各溝部分(凹部)におけるスクリュー径平均値である。

0036

また、混練機がラボプラストミルのようなディスクを使用したバッチ式の混練機の場合には、Dmは、シリンダー内径とディスク長軸直径の差で定義される。

0037

クリアランスとは、スクリューまたはディスクと混練機壁面との間の距離であり、チップクリアランスともいう。スクリューは、一部にニーディング部分を含む場合等があり、そのクリアランスはスクリューの長手方向で異なる場合がある。このような場合、本発明においては、クリアランスはスクリュー全体の平均値とするか、またはニーディング部分以外のクリアランスの平均値として計算することもできる。

0038

通常の溶融混練工程においては、Dmとhは変更されないため、Nの回転数によって、せん断速度Sは調整される。

0039

本発明で使用する混練機としては、せん断力の調整が容易である二軸の押出機が好ましい。

0040

混練時間は適宜調整してよいが、2〜20分が好ましい。上限値よりも混練時間が長いとポリL−乳酸等が分解しやすくなることがある。また下限値より混練時間が短いと、乳酸ステレオブロック共重合体の形成が十分でない場合がある。

0041

2.乳酸ステレオブロック共重合体組成物
(1)乳酸ステレオブロック共重合体組成物
乳酸ステレオブロック共重合体組成物とは、乳酸ステレオブロック共重合体を主成分とする組成物である。乳酸ステレオブロック共重合体が主成分であるとは、当該共重合体が、組成物中、70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であることをいう。

0042

前述のとおり、乳酸ステレオブロック共重合体は、ポリL−乳酸ブロックとポリD−乳酸ブロックを含むブロック共重合体であり、これら以外の部分を含んでいてもよい。ポリL−乳酸ブロックとポリD−乳酸ブロック(以下「ステレオブロック部分」ともいう)は主鎖中、70mol%以上、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上を占めることが好ましい。また、ステレオブロック部分でない部分とは、L−乳酸とポリD−乳酸とのランダム共重合部分が好ましい。ステレオブロック部分の存在は、X線回折熱分析により確認できるが、本発明においては、DSCによりステレオコンプレックス結晶に由来する融点を測定することで確認できる。

0043

他の成分としては、L−乳酸およびD−乳酸のランダム共重合体や単独重合体が挙げられる。単独のポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、ステレオコンプレックスを形成していることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法においては、単独のポリL−乳酸およびポリD−乳酸に起因するホモキラル結晶を含まない乳酸ステレオブロック共重合体組成物を得ることができる。このような組成物が得られたかどうかは、当該組成物を製造後、放冷して室温まで冷却した後、速やかにDSCで分析して確認できる。具体的には、DSCのファーストスキャンにおいて単独のポリL−乳酸およびポリD−乳酸に起因するホモキラル結晶に由来する融解ピークが観察されないことで確認できる。ファーストスキャンにおける昇温速度は10℃/分が好ましい。

0044

(2)特性
本発明で得られた乳酸ステレオブロック共重合体組成物の、ステレオコンプレックス結晶に由来する融点T’は、前述のとおりDSCで測定できる。また、当該融点がステレオコンプレックス結晶に由来するかどうかは、X線回折により特定できる。具体的には、CuKα線源を用いた場合、X線回折において、12°、21°、24°付近ピークから、当該融点がステレオコンプレックス結晶に由来するかどうかを特定できる。

0045

乳酸ステレオブロック共重合体組成物のステレオコンプレックス結晶の結晶化度は40%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。この結晶化度は公知の方法で求められる。例えば、結晶化度はDSCを用いてステレオコンプレックス結晶の融解熱量から求めることができる。非特許文献1(Loomis GL, Murdoch JR, Gardner KH. Polym. Prepr. 1990;31:55.)によれば、結晶化度100%のステレオコンプレックス結晶の融解熱量は142J/gである。よって、本発明の組成物のステレオコンプレックス結晶の融解熱量をDSCによって求め、その値を142J/gで除することによって結晶化度を求めることができる。

0046

乳酸ステレオブロック共重合体組成物の重量平均分子量は、原料として用いたポリL−乳酸およびポリD−乳酸の分子量よりも低下しないことが好ましい。本発明においてはポリL−乳酸およびポリD−乳酸の分子量は5万以上が好ましいので、乳酸ステレオブロック共重合体組成物の重量平均分子量も5万以上が好ましい。分子量は前述のとおりGPC等で測定できる。

0047

3.用途
本発明で得られる乳酸ステレオブロック共重合体組成物中の乳酸ステレオブロック共重合体の割合は非常に高いので、当該組成物から乳酸ステレオブロック共重合体を単離せずに、組成物をこのまま種々の用途に用いることができる。

0048

本発明の乳酸ステレオブロック共重合体組成物は、高い融点を有するので、耐熱性が要求される電子部品機械部品、フィルム等の用途に好適である。さらに、乳酸ステレオブロック共重合体組成物は、他の一般的な高分子材料、または無機もしくは有機充填剤組合せて使用することもできる。

0049

1.原料
以下のポリ乳酸を使用した。
試料L:ポリL−乳酸(レイシアH400、三井化学株式会社製)
試料D:ポリD−乳酸(HIGHIV、PURAC株式会社製)

0050

2.物性測定
(1)分子量
GPC:DG−2080−53 型(JASCO社製)を使用した。カラムにはTSKgelGMHXLφ 7.8 x 300 mm (東ソー株式会社製)、ガードカラムにはTSKguardcolumn HXL φ 6.0 x 40mm (東ソー株式会社製)を使用した。

0051

屈折率検出器としてRI−2031 Plus (JASCO製)を用いた。

0052

溶離液にはクロロホルム高速液体クロマトグラム用試薬和光純薬株式会社製)を使用し、流速1.0ml/分、測定温度40℃で測定した。

0053

原料のポリ乳酸の分子量は、ポリ乳酸をクロロホルムに溶解して測定した。

0054

得られた組成物の分子量は、組成物0.05gを1mlのヘキサフルオロイソプロパノールに溶解した後、クロロホルム5mlを加えて溶液を調製し、当該溶液を用いて測定した。

0055

得られた分子量をポリスチレン換算して重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。

0056

(2)融点、結晶化度
示差走査熱量計(DSC):DSC−Q200(TAインスツルメント製)を用い、JIS K 7121に準拠して求めた。温度範囲は25〜250℃とし、昇温速度10℃/分、窒素ガス流量50ml/分、サンプル量4〜6mgとした。

0057

融点は、DSC曲線のピークから求めた。また、結晶化度はDSC分析によりステレオコンプレックス結晶の融解熱量を測定し、その熱量を142J/gで割ることによって求めた。

0058

[参考例1、2]
原料である試料Lおよび試料Dについて、上記の方法によりDSC分析を行なった。結果を図1に示す。図1において、210℃以上の範囲ではピークが出現しなかったので省略した。結果を、分子量とともに表1にまとめた。表1から、Thは176℃であった。

0059

[参考例3]
試料L/試料Dを50/50(質量比)の割合で、株式会社井元製作所製コニカル型二軸押出機(コニカスクリューIMC−117C型(スクリュー根元径2cm、L/D=6.5))を用いて200℃で混練して組成物を得た。当該組成物の融点Tcは215.5℃であった。

0060

0061

[実施例1]
原料である試料Lおよび試料Dを60℃で一晩真空乾燥した後、さらに110℃で2時間真空乾燥し、ポリマー中に含まれる水分を完全に除去した。試料L/試料D/エステル交換触媒としての塩化スズ(SnCl2)を50/50/0.1(質量比)の割合でドライブレンドした。株式会社井元製作所製コニカル型二軸押出機(コニカスクリューIMC−117C型(スクリュー根元径2cm、L/D=6.5))を用いて、当該ブレンド物設定温度180℃で5分間溶融混練を行った。この温度Tは、Th<T<Tsの関係を満たしていた。

0062

得られた組成物のDSC曲線を図2(a)に示す。参考例1、2で観察されたピーク(図1)は観察されず、228.4℃に新たにステレオコンプレックス結晶の融点のピークが観察された。当該組成物の分子量は、表2に示すとおり、原料の分子量に比べてあまり低下しなかった。

0063

[実施例2]
設定温度を190℃とした以外は実施例1と同様にして溶融混練を行った。得られた組成物のDSC曲線を図2(b)に示す。参考例1、2で観察されたピーク(図1)は観察されず、新たにステレオコンプレックス結晶に由来する融点のピークが観察された。表2に当該組成物の物性を示す。

0064

[実施例3]
設定温度を200℃とした以外は実施例1と同様にして溶融混練を行った。DSC分析を行なったところ、参考例1、2で観察されたピークは観察されず、新たにステレオコンプレックス結晶に由来する融点のピークが観察された。表2に当該組成物の物性を示す。

0065

[比較例1]
設定温度を220℃とした以外は実施例1と同様にして溶融混練を行った。得られた組成物のDSC曲線を図2(c)に、物性値を表2に示す。図2(c)から原料とした試料Lおよび試料Dのピークが存在することが明らかである。

0066

[比較例2]
設定温度を240℃とした以外は実施例1と同様にして溶融混練を行った。得られた組成物の物性値を表2に示す。

0067

[実施例4]
塩化スズを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物の物性値を表2に示す。DSC分析を行なったところ、参考例1、2で観察されたピークは観察されず、新たにステレオコンプレックス結晶に由来する融点のピークが観察された。エステル交換触媒を使用しなかったため、当該組成物の分子量は、エステル交換触媒を使用した実施例1の組成物に比べて高かった。

0068

[比較例3]
試料Lと思料Dをクロロホルムに溶解して溶液ブレンドしたのち、キャスト法にてフィルムを製造した。得られたフィルムのDSC測定を行ったところ、150〜180℃に原料由来の大きな融解ピークが観察され、220℃付近に比較的小さなステレオコンプレックス結晶の融解ピークが観察された。

0069

実施例で得た組成物は高融点のステレオコンプレックス結晶の融点のみが存在し、比較例で得た組成物は低融点のホモキラル結晶の融点が観察された。よって、本発明の乳酸ステレオブロック共重合体組成物は耐熱性に優れていた。

0070

0071

[実施例5〜7]
実施例1で準備したドライブレンド物を、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル4M150型を使用して混練した。混練温度は200℃、スクリュー回転数は10、50、100rpm、混練時間は5分とした。

0072

混練機の混練部は、内容積が約70mL、シリンダー内径が47.7mm、ディスク長軸外径が46.9mm、ディスク単軸外径が29.3mm、ディスクと混練機壁面のクリアランスが0.4mm、軸間距離が38.5mm、噛み合い比(ディスク長径/ディスク短径)が1.6であった。前述の式(i)におけるDmは0.8mmであり、hは0.4mmである。よって、せん断速度Sは、スクリュー回転数10rpmの時には1.2×102(sec−1)であった。結果を表3に示す。

0073

せん断速度が600sec−1以下であると、分子量の低下が抑制できることが明らかである。

実施例

0074

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