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技術 チューナブルフィルタ

出願人 株式会社村田製作所
発明者 門田道雄小林英晃小上貴史
出願日 2013年8月7日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-163997
公開日 2013年10月31日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2013-225945
状態 特許登録済
技術分野 弾性表面波素子とその回路網 圧電・機械振動子,遅延・フィルタ回路
主要キーワード 双峰特性 漏洩成分 フェイスダウンタイプ 各可変コンデンサ 電極短絡 グラウンド側 通過帯域中心周波数 可変周波数範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年10月31日)のものです。
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図面 (20)

課題

通過帯域幅を拡大したり、周波数可変量を大きくしたりすることができるチューナブルフィルタを提供する。

解決手段

直列腕に設けられた直列腕共振子S1,S2と、並列腕に設けられた並列腕共振子P1と、直列腕共振子S1,S2及び並列腕共振子P1の少なくとも一方に接続された可変コンデンサCss,Cpsとを備えるラダー型回路構成のチューナブルフィルタにおいて、前記直列腕共振子S1,S2の共振周波数及び反共振周波数をFrS、FaS、前記並列腕共振子P1の共振周波数及び反共振周波数をFrP、FaPとしたときに、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nかつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数である、チューナブルフィルタ601。

概要

背景

通信ステムに用いられる帯域フィルタにおいて、通過帯域を調整し得ることが求められることがある。このような要求を満たす帯域フィルタ、すなわちチューナブルフィルタが種々提案されている。

例えば下記の特許文献1には、複数の弾性表面波共振子可変コンデンサとを用いたチューナブルフィルタが開示されている。図46は、特許文献1に記載のチューナブルフィルタの回路図である。

チューナブルフィルタ1101では、入力端1102と出力端1103との間を結ぶ直列腕に、複数の直列腕共振子1104,1105が互いに直列に接続されている。また、直列腕とグラウンド電位との間の複数の並列腕において、それぞれ、並列腕共振子1106,1107が接続されている。直列腕共振子1104,1105及び並列腕共振子1106,1107は、弾性表面波共振子により形成されている。

上記直列腕共振子1104,1105及び並列腕共振子1106,1107を有するラダー型フィルタ回路が構成されている。さらに、通過帯域を調整することを可能とするために、可変コンデンサ1108〜1115が接続されている。すなわち、直列腕共振子1104に並列に、可変コンデンサ1108が接続されており、該直列腕共振子1104及び可変コンデンサ1108に直列に可変コンデンサ1110が接続されている。同様に、直列腕共振子1105にも、並列に可変コンデンサ1109が接続されており、直列に可変コンデンサ1111が接続されている。

並列腕においても、並列腕共振子1106に並列に可変コンデンサ1112が接続されており、並列腕共振子1106及び可変コンデンサ1112に直列に可変コンデンサ1114が接続されている。同様に、並列腕共振子1107に並列に可変コンデンサ1113が接続されており、直列に可変コンデンサ1115が接続されている。

概要

通過帯域幅を拡大したり、周波数可変量を大きくしたりすることができるチューナブルフィルタを提供する。直列腕に設けられた直列腕共振子S1,S2と、並列腕に設けられた並列腕共振子P1と、直列腕共振子S1,S2及び並列腕共振子P1の少なくとも一方に接続された可変コンデンサCss,Cpsとを備えるラダー型回路構成のチューナブルフィルタにおいて、前記直列腕共振子S1,S2の共振周波数及び反共振周波数をFrS、FaS、前記並列腕共振子P1の共振周波数及び反共振周波数をFrP、FaPとしたときに、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nかつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数である、チューナブルフィルタ601。

目的

本発明の目的は、通過帯域幅を拡大したり、通過帯域幅を可変し得るチューナブルフィルタを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

直列腕に設けられた直列腕共振子と、並列腕に設けられた並列腕共振子と、直列腕共振子及び並列腕共振子の少なくとも一方に接続された可変コンデンサとを備えるラダー型回路構成チューナブルフィルタにおいて、前記直列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrS、FaS、前記並列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrP、FaPとしたときに、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nかつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数である、チューナブルフィルタ。

請求項2

FrS≦(FrP+FaP)/2、FaP>FrS及びFaP<FaSを満たす、請求項1に記載のチューナブルフィルタ。

請求項3

FrS≦(2FrP+FaP)/3、FaP>FrS及びFaP<FaSである、請求項1に記載のチューナブルフィルタ。

請求項4

チューナブルフィルタの周波数可変幅を(FaP+FrS)/2で規格化してなる値をt、直列腕共振子及び並列腕共振子の共振周波数と反共振周波数の差の絶対値をそれぞれの共振周波数で規格化した値をyとしたときに、Δfr=FrS−FrPのFrPに対する比であるΔfr/FrPを比帯域幅yで規格化した値が、以下の式(1)で示す値以下とされている、請求項1に記載のチューナブルフィルタ。{(2−t/0.9)×(1+y)−(2+t/0.9)}/{(2+t/0.9)×y}×100(%)・・・(1)

請求項5

前記直列腕共振子の共振周波数FrSと、前記並列腕共振子の共振周波数FrPの差の直列腕共振子の帯域幅に対する割合の最大値が下記の表1に示す範囲とされている、請求項1に記載のチューナブルフィルタ。

請求項6

前記直列腕共振子の共振周波数FrSと、前記並列腕共振子の共振周波数FrPの差の直列腕共振子の帯域幅に対する割合の最大値が下記の表2に示す範囲とされている、請求項1に記載のチューナブルフィルタ。

請求項7

最小の3dB帯域幅が、(FrS−FrP)×0.9あるいは(FaS−FaP)×0.9のいずれか小さいほうで、最大周波数可変幅が140×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)から180×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)の範囲とされている、請求項5または6に記載のチューナブルフィルタ。

請求項8

直列腕共振子の比帯域幅及び並列腕共振子の比帯域幅がいずれも13%以上、60%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューナブルフィルタ。

請求項9

LiNbO3のオイラー角が(0°,70°〜115°,0°)であり、デューティ比をXとしたときに、電極規格化膜厚が下記の表3に示す範囲である、弾性表面波共振子を用いた、請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューナブルフィルタ。

請求項10

前記直列腕共振子及び並列腕共振子が、バルク波共振子からなり、該バルク波共振子が、上面に開いたキャビティを有する基板と、前記基板のキャビティを覆うように基板上に設けられた圧電薄膜あるいは圧電薄板と、前記圧電薄膜の下面であって前記キャビティに臨む部分に設けられた第1の励振電極と、前記圧電薄膜の上面に設けられており、かつ前記第1の励振電極と圧電薄膜を介して対向するように配置されている第2の励振電極とを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューナブルフィルタ。

請求項11

前記バルク波共振子が厚みすべり振動共振子である、請求項10に記載のチューナブルフィルタ。

請求項12

前記バルク波共振子が厚み縦振動共振子である、請求項10に記載のチューナブルフィルタ。

請求項13

前記バルク波共振子が、LiNbO3からなる圧電薄膜あるいは圧電薄板を用いた厚みすべり振動共振子であって、そのオイラー角が以下の表4に示すいずれかの範囲内にある、請求項11に記載のチューナブルフィルタ。

請求項14

前記バルク波共振子が、LiNbO3からなる圧電薄膜あるいは圧電薄板を用いた厚み縦振動共振子であって、そのオイラー角が(0±5°、107°〜137°、ψ)、(10±5°、112°〜133°、ψ)、(50±5°、47°〜69°、ψ)または(60±5°、43°〜73°、ψ)の範囲内である、請求項12に記載のチューナブルフィルタ。

技術分野

0001

本発明は、通信ステムにおける帯域フィルタとして用いられるチューナブルフィルタに関し、より詳細には、弾性波共振子を用いて構成されているチューナブルフィルタに関する。

背景技術

0002

通信システムに用いられる帯域フィルタにおいて、通過帯域を調整し得ることが求められることがある。このような要求を満たす帯域フィルタ、すなわちチューナブルフィルタが種々提案されている。

0003

例えば下記の特許文献1には、複数の弾性表面波共振子可変コンデンサとを用いたチューナブルフィルタが開示されている。図46は、特許文献1に記載のチューナブルフィルタの回路図である。

0004

チューナブルフィルタ1101では、入力端1102と出力端1103との間を結ぶ直列腕に、複数の直列腕共振子1104,1105が互いに直列に接続されている。また、直列腕とグラウンド電位との間の複数の並列腕において、それぞれ、並列腕共振子1106,1107が接続されている。直列腕共振子1104,1105及び並列腕共振子1106,1107は、弾性表面波共振子により形成されている。

0005

上記直列腕共振子1104,1105及び並列腕共振子1106,1107を有するラダー型フィルタ回路が構成されている。さらに、通過帯域を調整することを可能とするために、可変コンデンサ1108〜1115が接続されている。すなわち、直列腕共振子1104に並列に、可変コンデンサ1108が接続されており、該直列腕共振子1104及び可変コンデンサ1108に直列に可変コンデンサ1110が接続されている。同様に、直列腕共振子1105にも、並列に可変コンデンサ1109が接続されており、直列に可変コンデンサ1111が接続されている。

0006

並列腕においても、並列腕共振子1106に並列に可変コンデンサ1112が接続されており、並列腕共振子1106及び可変コンデンサ1112に直列に可変コンデンサ1114が接続されている。同様に、並列腕共振子1107に並列に可変コンデンサ1113が接続されており、直列に可変コンデンサ1115が接続されている。

先行技術

0007

特開2005−217852号公報

発明が解決しようとする課題

0008

チューナブルフィルタ1101においては、直列腕の回路部分における共振周波数FrSは、可変コンデンサ1110,1111の容量、すなわち直列容量が小さくなるほど高めることができる。また、並列容量、すなわち可変コンデンサ1108,1109による静電容量が大きくなるほど直列腕における反共振周波数FaSを低めることができる。

0009

同様に、並列腕の回路部分の共振周波数FrP及び反共振周波数FaPについても、並列に接続される可変コンデンサ1112,1113及び直列に接続される可変コンデンサ1114,1115の容量を変化させることにより、変化させることができる。そのため、チューナブルフィルタ1101全体の中心周波数を、上記可変コンデンサ1108〜1115の容量を変化させることにより変化させることができる。

0010

しかしながら、特許文献1に記載のチューナブルフィルタ1101では、直列腕共振子1104,1105や並列腕共振子1106,1107に用いられている弾性表面波共振子の電気機械結合係数が小さいこと、並びに周波数温度係数TCFの絶対値が大きいという問題があった。また、並列腕共振子及び直列腕共振子の周波数特性の具体的な組み合わせなどは記載されていない。

0011

本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、弾性波共振子と可変コンデンサとを接続した回路構成を備えるチューナブルフィルタを改良するものである。

0012

本発明の目的は、通過帯域幅を拡大したり、通過帯域幅を可変し得るチューナブルフィルタを提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本願の第1の発明に係るチューナブルフィルタは、入力端子出力端子とを接続する直列腕及び該直列腕とグラウンド電位との間の並列腕の少なくとも一方に設けられた共振子回路部と、前記共振子回路部に直列に接続された第1の可変コンデンサと、前記共振子回路部に並列に接続された第2の可変コンデンサとを備え、前記共振子回路部が、LiNbO3またはLiTaO3からなる圧電基板と、前記圧電基板上に形成された電極とを有する弾性波共振子と、前記弾性波共振子に接続された帯域幅拡大用インダクタンスとを備える。

0014

第1の発明に係るチューナブルフィルタのある特定の局面では、前記共振子回路部が、直列腕に設けられた複数の直列腕共振子回路部であり、複数の前記直列腕共振子回路部間の接続点とグラウンド電位との間に接続された結合素子と、入力端子とグラウンド電位間及び出力端子とグラウンド電位間に接続された整合素子とをさらに備える。

0015

第1の発明に係るチューナブルフィルタの別の特定の局面では、前記共振子回路部として、直列腕と並列腕の両方にそれぞれ設けられた直列腕共振子回路部と並列腕共振子回路部とを有し、前記直列腕共振子回路部と前記並列腕共振子回路部とによりラダー型フィルタが構成されている。

0016

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに別の特定の局面では、共振子回路部が、複数の並列共振子からなり、前記複数の並列共振子に前記帯域幅拡大用インダクタンスが接続されている。

0017

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに別の特定の局面では、前記圧電基板の上面に凹部が形成されており、圧電基板上に形成された電極がIDT電極であり、前記弾性波共振子が弾性表面波共振子であって、前記IDT電極が前記凹部に充填された金属からなる。この場合には、弾性表面波共振子の電気機械結合係数を高めることができる。従って、帯域幅を広げることができ、かつチューナブルフィルタの可変周波数範囲を広げることができる。

0018

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、前記弾性表面波共振子が、前記圧電基板の上面を覆うように設けられたSiO2膜をさらに備える。この場合には、弾性表面波共振子の周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。従って、チューナブルフィルタの温度特性を改善することができる。

0019

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、入力端子と出力端子との間に接続されているコンデンサをさらに備えている。

0020

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、前記整合素子及び前記結合素子のチューナブルフィルタの通過帯域におけるインピーダンスが20〜105Ωである。一般に、マッチングインピーダンスは50Ωまたは75Ωが用いられる。挿入損失的にそれに近い値のインピーダンスにすることが望ましく、±30Ωの20〜105Ωが好ましい。

0021

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、前記帯域幅拡大用インダクタンスがスパイラル状もしくはミアンダ状導体パターン及びボンディングワイヤのうちのいずれか1つである。

0022

第1の発明に係るチューナブルフィルタのさらに別の特定の局面では、前記帯域幅拡大用インダクタンスがスパイラル状もしくはミアンダ状の導体パターンであり、パッケージをさらに備え、前記スパイラル状またはミアンダ状の導体パターンが前記圧電基板上または前記パッケージに形成されている。この場合には、帯域幅拡大用インダクタンスを圧電基板上またはパッケージに形成された導体パターンにより形成することができるので、チューナブルフィルタの小型化を図ることができる。

0023

第2の発明に係るチューナブルフィルタでは、直列腕に設けられた直列腕共振子と、並列腕に設けられた並列腕共振子と、直列腕共振子及び並列腕共振子の少なくとも一方に接続された可変コンデンサとを備えるラダー型回路構成のチューナブルフィルタにおいて、前記直列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrS、FaS、前記並列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrP、FaPとしたときに、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nかつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数である。

0024

第2の発明に係るチューナブルフィルタのある特定の局面では、FrS≦(FrP+FaP)/2、FaP>FrS及びFaP<FaSである。

0025

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、FrS≦(2FrP+FaP)/3、FaP>FrS及びFaP<FaSである。

0026

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに別の特定の局面では、チューナブルフィルタの周波数可変幅を(FaP+FrS)/2で規格化してなる値をt、直列腕共振子及び並列腕共振子の共振周波数と反共振周波数の差の絶対値をそれぞれの共振周波数で規格化した値をyとしたときに、Δfr=FrS−FrPのFrPに対する比であるΔfr/FrPを比帯域幅yで規格化した値が、以下の式(1)で示す値以下とされている。
{(2−t/0.9)×(1+y)−(2+t/0.9)}/{(2+t/0.9)×y}×100(%) ・・・(1)

0027

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、前記直列腕共振子の共振周波数FrSと、前記並列腕共振子の共振周波数FrPの差の直列腕共振子の帯域幅に対する割合の最大値が下記の表1に示す範囲とされている。

0028

0029

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに別の特定の局面では、前記直列腕共振子の共振周波数FrSと、前記並列腕共振子の共振周波数FrPの差の直列腕共振子の帯域幅に対する割合の最大値が下記の表2に示す範囲とされている。この範囲とされたとき可変幅の大きいチューナブルフィルタが構成される。

0030

0031

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、最小の3dB帯域幅が、(FrS−FrP)×0.9あるいは(FaS−FaP)×0.9のいずれか小さいほうで、最大周波数可変幅が140×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)から180×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)の範囲とされている。

0032

第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、直列腕共振子の比帯域幅及び並列腕共振子の比帯域幅がいずれも13%以上、60%以下である。この場合には、周波数可変量をより一層大きくすることができる。より好ましくは、直列腕共振子及び並列腕共振子の比帯域幅は、いずれも15%以上である。その場合には、周波数可変量をより一層大きくすることができる。

0033

第1,第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、LiNbO3のオイラー角が(0°,70°〜115°,0°)であり、デューティ比をXとしたときに、電極規格化膜厚が下記の表3に示す範囲である。

0034

0035

なお、本明細書及び添付の図面においては、LiNbO3を、場合によってはLNと略すこととする。またLiTaO3を場合によってはLTと略すこととする。

0036

また、第2の発明に係るチューナブルフィルタのさらに他の特定の局面では、前記直列腕共振子及び並列腕共振子が、バルク波共振子からなり、該バルク波共振子が、上面に開いたキャビティを有する基板と、前記基板のキャビティを覆うように基板上に設けられた圧電薄膜あるいは圧電薄板と、前記圧電薄膜の下面であって前記キャビティに臨む部分に設けられた第1の励振電極と、前記圧電薄膜の上面に設けられており、かつ前記第1の励振電極と圧電薄膜を介して対向するように配置されている第2の励振電極とを有する。このように、第2の発明においては、上記直列腕共振子及び並列腕共振子は、バルク波共振子により構成されてもよい。

0037

上記第1の励振電極及び第2の励振電極の一方は2分割されていてもよく、他方が2分割された励振電極と圧電薄膜を介して対向している共通励振電極であってもよい。

0038

また、上記バルク波共振子としては、厚みすべり振動共振子を用いてもよく、厚み縦振動共振子を用いてもよい。

0039

本願の第3の発明に係るチューナブルフィルタでは、入力端子と出力端子とを接続する直列腕および該直列腕とグラウンド電位との間の並列腕の少なくとも一方に設けられた共振子回路部と、前記共振子回路部に直列に接続された第1の可変コンデンサと、前記共振子回路部に並列に接続された第2の可変コンデンサとを備え、前記共振子回路部が、バルク波共振子と、該バルク波共振子に接続された帯域幅拡大用インダクタンスとを備え、前記バルク波共振子が、上面に開いたキャビティを有する基板と、前記基板のキャビティを覆うように基板上に設けられた圧電薄膜あるいは圧電薄板と、前記圧電薄膜の下面であって前記キャビティに臨む部分に設けられた第1の励振電極と、前記圧電薄膜の上面に設けられており、かつ前記第1の励振電極と圧電薄膜を介して対向するように配置されている第2の励振電極とを有する、チューナブルフィルタが提供される。ここでも、バルク波共振子としては、厚みすべり振動共振子を用いてもよく、厚み縦振動共振子を用いてもよい。

0040

第3の発明に係るチューナブルフィルタでは、上記バルク波共振子が厚みすべり振動共振子であってもよい。この場合、好ましくは、厚みすべり振動共振子がLiNbO3からなる圧電薄膜あるいは圧電薄板を用いており、そのオイラー角が以下の表4の範囲である。

0041

0042

第3の発明に係るチューナブルフィルタでは、上記バルク波共振子が厚み縦振動共振子であってもよい。この場合、好ましくは、厚み縦振動共振子がLiNbO3からなる圧電薄膜あるいは圧電薄板を用いており、そのオイラー角が(0±5°、107°〜137°、ψ)、(10±5°、112°〜133°、ψ)、(50±5°、47°〜69°、ψ)または(60±5°、43°〜73°、ψ)の範囲内である。

発明の効果

0043

第1の発明に係るチューナブルフィルタでは、共振子回路部が、LiNbO3またはLiTaO3からなる圧電基板を有する弾性波共振子と、弾性波共振子に接続された帯域幅拡大用インダクタンスとを備えるため、通過帯域幅を拡大することができる。

0044

第2の発明に係るチューナブルフィルタでは、FrS≦(FrP+FaP)/2、FaP>FrS及びFaP<FaSを満たすので、通過帯域の周波数、例えば通過帯域の中心周波数の可変量を大きくすることができる。よって、周波数可変範囲の広いチューナブルフィルタを提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

0045

図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るチューナブルフィルタの回路構成を示す図であり、(b)は、実施形態で用いられる弾性表面波共振子を示す模式的平面図であり、(c)は、(b)中のI−I線に沿う部分の正面断面図である。(d)は、(c)中のSiO2膜が存在しない構造の正面断面図である。
図2は、第1の実験例で測定された弾性表面波共振子の周波数特性を示す図であり、実線がSiO2膜が形成されている弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示し、破線がSiO2膜が形成されていない弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。
図3(a)は、LN基板上にIDT電極が形成されており、かつSiO2膜がさらに積層されている弾性表面波共振子を示す正面断面図である。(b)は、(a)中のSiO2膜が存在しない構造の正面断面図である。
図4は、第2の実験例において、36°YX−LiTaO3における弾性表面波共振子のIDT電極の規格化膜厚H/λを変化させた場合の反射係数の変化を示す図である。
図5は、第2の実験例において、36°YX−LiTaO3における弾性表面波共振子のIDT電極の規格化膜厚H/λを変化させた場合の電気機械結合係数k2の変化を示す図である。
図6は、第1の実施形態に係るチューナブルフィルタの回路において、可変コンデンサC2と可変コンデンサC3との容量を等しくし、可変コンデンサCP1と可変コンデンサCP2との容量を等しくし、可変コンデンサC2の容量を0.7pF、1pFまたは2pFとした場合のチューナブルフィルタのフィルタ特性の変化を示す図である。
図7は、図6で用いたチューナブルフィルタの回路図である。
図8は、LiNbO3基板上の溝に金属を充填してなる埋め込み電極型の弾性表面波共振子及びLiNbO3基板上に電極が形成されている比較のための弾性表面波共振子のインピーダンス特性を示す図である。
図9は、直列腕共振子S1,S2として埋め込み電極型の弾性表面波共振子を用いた場合の比較例のチューナブルフィルタの周波数特性を示す図である。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るチューナブルフィルタを説明するための略図的平面断面図であり、ここでは、直列腕共振子S1,S2の圧電基板上における実際のレイアウトと、圧電基板がパッケージに収納されている状態が示されている。
図11は、第1の実施形態で測定された弾性表面波共振子の周波数特性を示す図であり、実線がボンディングワイヤが接続されていない弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示し、破線がボンディングワイヤが接続されている弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。
図12(a)は、本発明の第1の実施形態の他の変形例において、パッケージに形成されたミアンダ状の導体パターンからなる帯域幅拡大用インダクタンスを説明するための模式的平面図であり、(b)は、圧電基板上に形成されたスパイラル状またはミアンダ状の導体パターンからなる帯域幅拡大用インダクタンスを説明するための模式的平面図である。
図13(a)は第1の実施形態の変形例に係るチューナブルフィルタの回路構成を示す図であり、(b)はコンデンサCFの容量を変化させた場合の周波数特性を示す図である。
図14は、図13(a)に示したチューナブルフィルタにおいてコンデンサCFを接続せず、コンデンサC2,C3の容量を0.7pF、1pFまたは2pFとし、コンデンサCP1,CP2の静電容量を0または2pFとした場合の周波数特性を示す図である。
図15(a)は本発明の変形例に係るチューナブルフィルタに接続される第2のチューナブルフィルタの回路図であり、(b)は(a)の可変コンデンサの静電容量を変化させた場合の周波数特性の変化を示す図である。
図16(a)は図14(a)に示したチューナブルフィルタに図15(a)に示した第2のチューナブルフィルタを縦続接続してなる変形例のチューナブルフィルタを示す回路図であり、(b)は本変形例のチューナブルフィルタの周波数特性を示す図である。
図17は、Alからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°Yカット伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図18は、Moからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図19は、Cuからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図20は、Niからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図21は、Agからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図22は、Auからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図23は、Wからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図24は、Taからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図25は、Ptからなり、デューティが0.5であるIDT電極が、10°YカットX伝搬のLN基板上に形成されている弾性表面波共振子における弾性表面波の音速と、IDT電極の規格化膜厚H/λとの関係を示す図である。
図26は、Cuからなり、厚みが0.05λであり、デューティが0.5であるIDT電極がLiNbO3基板上に形成されている弾性表面波共振子のLN基板のオイラー角(0°,θ,0°)のθと、反射係数との関係を示す図である。
図27は、Cuからなり、厚みが0.05λであり、デューティが0.5であるIDT電極がLiNbO3基板上に形成されている弾性表面波共振子のLN基板のオイラー角(0°,θ,0°)のθと、電気機械結合係数k2との関係を示す図である。
図28は、本発明の第2の実施形態のチューナブルフィルタの回路図である。
図29は、ラダー型フィルタの回路構成例を示す図であり、(a)は入力端子側に直列腕共振子が配置されているラダー型フィルタの回路図であり、(b)は入力端子側に並列腕共振子が配置されているラダー型フィルタを示す回路図である。
図30は、従来のラダー型フィルタにおける並列腕共振子の共振特性と、直列腕共振子の共振特性との関係を示す図である。
図31は、本発明の一実施形態のチューナブルフィルタにおける並列腕共振子の共振特性と、直列腕共振子の共振特性との関係を示す図である。
図32は、本発明の第2の実施形態のラダー型チューナブルフィルタのフィルタ特性を示し、周波数を変化させ得ることを示す図である。
図33は、Al,Mo,Cu,Ni,Ag,Au,W,TaまたはPtからなる電極においてデューティが変わったときのfaがバル横波音速に一致する電極膜厚を示す図である。
図34は、FrPとFaSの差が45MHzとして構成された第2の実施形態のラダー型チューナブルフィルタの特性である。
図35は、本発明の第2の実施形態の変形例における、ラダー型チューナブルフィルタに用いられているバルク波共振子を説明するための正面断面図である。
図36は、本発明の第2の実施形態の変形例におけるラダー型チューナブルフィルタの模式的平面図である。
図37は、本発明の第2の実施形態の変形例におけるラダー型チューナブルフィルタの回路図である。
図38は、第2の実施形態の変形例におけるラダー型チューナブルフィルタにおける直列腕共振子及び並列腕共振子のインピーダンス特性を示す図である。
図39は、第2の実施形態の変形例におけるラダー型チューナブルフィルタの減衰量周波数特性と、調整可能範囲を示す図である。
図40(a)及び(b)は、本発明で用いられるバルク波共振子の変形例を示す各正面断面図である。
図41は、本発明の第2の実施形態の他の変形例に係るラダー型チューナブルフィルタに用いられている厚みすべりバルク波共振子のインピーダンス特性を示す図である。
図42は、本発明の第2の実施形態の他の変形例に係るラダー型チューナブルフィルタにおいて、LiNbO3からなる厚みすべり振動共振子であるバルク波共振子にコイルを接続した場合の帯域の変化を示すインピーダンス−周波数特性図である。
図43は、本発明の第2の実施形態の他の変形例に係るラダー型チューナブルフィルタに用いられているオイラー角(φ,θ,ψ)のLiNbO3を用いた厚みすべり振動共振子であるバルク波共振子におけるオイラー角のφおよびθと、比帯域幅との関係を示す図である。
図44は、本発明の第2の実施形態の他の変形例に係るラダー型チューナブルフィルタであって、(30°,90°,ψ)のオイラー角のLiNbO3からなる厚みすべり振動共振子であるバルク波共振子を用いた場合の減衰量周波数特性を示す図である。
図45は、LiNbO3からなる圧電材料を用いた厚み縦共振子であるバルク波共振子のオイラー角のθ及びφと比帯域幅との関係を示す図である。
図46は、従来のチューナブルフィルタを説明するための回路図である。

実施例

0046

以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。

0047

(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るチューナブルフィルタの回路図であり、(b)は、該チューナブルフィルタに用いられる弾性表面波共振子の模式的平面図であり、(c)は、(b)中のI−I線に沿う部分の正面断面図である。(d)は、(c)中のSiO2膜が存在しない構造の正面断面図である。

0048

図1(a)のチューナブルフィルタ1では、入力端子22と出力端子23とを結ぶ直列腕において、直列腕共振子回路部S11,S12が互いに直列に接続されている。直列腕共振子回路部S11では、直列腕共振子S1の両側に、直列腕共振子S1に直列にインダクタンスLx,Lxが接続されている。同様に、直列腕共振子回路部S12では、直列腕共振子S2の両側に、直列腕共振子S2に直列にインダクタンスLx,Lxが接続されている。直列腕共振子回路部S11の入力側において、直列腕共振子回路部S11に直列に可変コンデンサC2が接続されている。また、直列腕共振子回路部S11の入力側においては、直列腕とグラウンド電位とを結ぶ第1の並列腕に、コンデンサC1が設けられている。

0049

直列腕共振子回路部S11及びS12間の接続点とグラウンド電位とを結ぶ第2の並列腕に、インダクタンスL1が設けられている。直列腕共振子回路部S12の出力側においては、可変コンデンサC3が直列腕共振子回路部S12に接続されている。出力端子23とグラウンド電位との間を結ぶ第3の並列腕にコンデンサC4が設けられている。

0050

コンデンサC1及びC4は、チューナブルフィルタと前後の回路とのインピーダンスマッチングを図るための整合素子である。

0051

インダクタンスL1は直列腕共振子回路部S11及びS12間のインピーダンスマッチングを図るための結合素子である。

0052

本実施形態では整合素子がコンデンサ、結合素子がインダクタンスで構成されているが、結合素子はコンデンサで構成されていてもよい。

0053

さらに、直列腕共振子回路部S11に並列に可変コンデンサCP1が接続されている。直列腕共振子回路部S12に並列に可変コンデンサCP2が接続されている。

0054

すなわち、直列腕共振子回路部S11,S12に直列に接続されている可変コンデンサC2,C3が本発明における第1の可変コンデンサである。また、直列腕共振子回路部S11及びS12にそれぞれ並列に接続されている可変コンデンサCP1,CP2が、本発明における第2の可変コンデンサである。本実施形態では、全ての直列腕共振子回路部S11,S12に、それぞれ、第1の可変コンデンサC2,C3及び第2の可変コンデンサCP1,CP2がそれぞれ接続されている。

0055

本発明においては、少なくとも1つの直列腕共振子回路部に第1の可変コンデンサ及び第2の可変コンデンサが接続されておればよい。また、本実施形態では、上記直列腕共振子回路部S11,S12が設けられていたが、並列腕に同様の共振子回路部が設けられていてもよい。すなわち、並列腕共振子と直列に帯域幅拡大用インダクタンスが接続されている共振子回路部が並列腕に設けられていてもよい。また、直列腕に設けずに、並列腕にのみ上記共振子回路部を構成してもよい。また、並列腕に設けられた複数の共振子に共通に帯域幅拡大用インダクタンスが接続されていてもよい。このように接続することで、帯域幅拡大用インダクタンスの個数を減らすことができる。ここで、並列腕とは、上記直列腕とグラウンド電位とを接続する回路部を有し、図1では、並列腕に上記コンデンサC1やコンデンサC4が設けられていたが、このコンデンサC1やC4が設けられている構成と同様にして並列腕を構成し、該並列腕に上記共振子回路部を設ければよい。

0056

本実施形態では、上記直列腕共振子S1,S2は、弾性表面波共振子からなる。この弾性表面波共振子の構造を、直列腕共振子S1を代表して説明する。図1(b)、(c)及び(d)に示すように、直列腕共振子S1を構成している弾性表面波共振子は、圧電基板11を有する。圧電基板11は、本実施形態では、オイラー角で(0°,105°,0°)のLiNbO3基板が圧電基板11として用いられている。

0057

圧電基板11の上面11aには、凹部として複数本の溝11bが形成されている。この溝11b内に電極材料を充填することにより、IDT電極12が形成されている。図1(b)に示すように、本実施形態では、IDT電極12の弾性表面波伝搬方向両側に、反射器13,14が形成されている。従って、1ポート型弾性表面波共振子が構成されている。

0058

反射器13,14もまた、圧電基板11の上面11a上に設けられた凹部、すなわち複数本の溝に電極材料を充填することにより形成されている。

0059

図1(c)、(d)に示すように、上記IDT電極12の上面すなわち電極指部分の上面は、圧電基板11の上面11aと面一とされている。

0060

従って、上記IDT電極12及び反射器13,14を形成した後に、圧電基板11の上面11aは平坦とされている。図1(c)の構造では、この圧電基板11の上面11aを覆うようにSiO2膜15が形成されている。図1(d)の構造では、SiO2膜を形成しない。

0061

以下、図1(c)や(d)に示す弾性表面波共振子を、埋め込み電極型の弾性表面波共振子とする。

0062

本実施形態のチューナブルフィルタ1では、直列腕共振子S1,S2が上記埋め込み電極型の弾性表面波共振子からなるため、弾性表面波共振子の電気機械結合係数k2を高めることができ、それによって、比帯域幅を広げることが可能となる。加えて、SiO2膜が成膜されているため、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくし、温度変化による特性の変化を小さくすることが可能となる。これを、以下の第1の実験例及び第2の実験例により説明する。

0063

(第1の実験例)
図2の実線は、15°YカットX伝搬のLiNbO3基板、すなわちオイラー角で(0°,105°,0°)のLiNbO3基板を用い、電極材料としてAlを用い、弾性表面波共振子の波長をλとしたときに、IDT電極12の膜厚を0.17λとし、SiO2膜の膜厚を0.22λとしたときの弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す図である。比較のために、SiO2膜が形成されていないことを除いては、同様に形成された図1(d)に示す弾性表面波共振子のインピーダンス−周波数特性及び位相特性を図2に破線で示す。

0064

図2から明らかなように、反共振点におけるインピーダンスの共振周波数におけるインピーダンスに対する比である山谷比は、SiO2膜を形成しなかった場合には、57.5dBであったのに対し、SiO2膜を形成した構造では、60.2dBと大きくすることが可能であった。さらに、周波数温度係数TCFについては、SiO2膜を有しない場合には−120ppm/℃であったが、SiO2膜の形成により、−10〜−30ppm/℃とその絶対値を小さくすることが可能であった。

0065

従って、SiO2膜の形成により電気機械結合係数k2は多少小さくなるが、山谷比を大きくすることができることがわかる。加えて、温度特性を改善することができることがわかる。

0066

(第2の実験例)
オイラー角が(0°,126°,0°)のLiTaO3基板を圧電基板として用い、電極材料としてAuを用い、圧電基板を覆うようにSiO2膜を成膜し、種々の構造の弾性表面波共振子を作製した。弾性表面波共振子のIDT電極の電極指ピッチで定まる波長をλとしたときに、SiO2膜の厚みhを波長λで規格化してなる規格化厚みh/λは0.3とした。用意した弾性表面波共振子としては、以下の第1〜第5の弾性表面波共振子A〜Eを用意した。

0067

第1の弾性表面波共振子A:図3(a)に示すように、圧電基板11の上面にIDT電極12を形成し、SiO2膜15をさらに形成した構造。SiO2膜の上面には、電極が下方に位置している部分に下地の電極の厚みに相当する高さの凸部が形成されている。

0068

第2の弾性表面波共振子B:SiO2膜の上面の凸部が存在しないことを除いては第1の弾性表面波共振子Aと同様。SiO2膜の上面は平坦化されている。

0069

第3の弾性表面波共振子C:圧電基板の上面に設けられた溝に電極材料を充填することによりIDT電極及び反射器が形成されている構造。電極の上面と圧電基板の上面が面一とされている。SiO2膜の上面には、電極が下方に存在する部分において、電極の厚みとほぼ等しい高さの凸部が形成されている構造。

0070

第4の弾性表面波共振子D:SiO2膜の上面に凸部が形成されておらず、SiO2膜の上面が平坦とされていることを除いては、第3の弾性表面波共振子Cと同一の構造。

0071

第5の弾性表面波共振子E:基板上に電極のみが形成されSiO2が形成されていない構造。

0072

図4に、上記第1〜第5の弾性表面波共振子A〜Eにおいて、SiO2膜の規格化膜厚が0.3のときの、Au電極の規格化膜厚H/λを変化させた場合の反射係数の変化を示す。また、図5は、上記第1〜第5の弾性表面波共振子において、電極の規格化膜厚H/λを変化させた場合の電気機械結合係数k2の変化を示す図である。周知のように、SiO2膜の周波数温度係数TCFは正の値を有し、LiTaO3基板の周波数温度係数TCFは負の値を有する。従って、いずれの場合においても、SiO2膜の成膜により、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができ、温度特性を改善することが可能である。

0073

もっとも、図4及び図5から明らかなように、SiO2膜を形成した場合、第1の弾性表面波共振子A、第2の弾性表面波共振子B及び第3の弾性表面波共振子Cでは、電気機械結合係数k2が小さくなり、IDT電極の規格化膜厚H/λが増加するにつれて電気機械結合係数k2が小さくなることがわかる。

0074

これに対して、第4及び第5のタイプの弾性表面波共振子D及びEでは、IDT電極の規格化膜厚を特定の範囲とすることにより、電気機械結合係数k2を高め得ることがわかる。SiO2膜の上面が平坦である第4のタイプの弾性表面波共振子Dでは、IDT電極の規格化膜厚を0.01〜0.09とすることにより電気機械結合係数k2を効果的に高め得ることがわかる。第5のタイプの弾性表面波共振子EではIDT電極の規格化膜厚0.01〜0.04で大きな電気機械結合係数k2が得られることがわかる。

0075

また、図4から明らかなように、第1〜第5のいずれのタイプの弾性表面波共振子A〜Eにおいても、IDT電極の膜厚が厚くなるにつれて、反射係数が高くなることがわかる。

0076

第3〜第4の弾性表面波共振子C〜Dの結果を比較すれば、上面に凸部が設けられている第3の弾性表面波共振子Cにおいて、第4の弾性表面波共振子Dよりも、IDT電極の規格化膜厚が同じであれば、反射係数を高め得ることがわかる。従って、反射係数を高めるには、SiO2膜の上面に凸部を形成することが望ましいことがわかる。

0077

もっとも、反射係数は用途によりある程度(たとえば0.02)以上あればよいのでIDT電極の膜厚のばらつきによる反射係数のばらつきを低めたり、広い帯域の共振子を構成する上では、SiO2膜の上面が平坦化された第4のタイプの弾性表面波共振子Dが望ましいことがわかる。

0078

上記のように、本実験例によれば、オイラー角(0°,126°,0°)のLiTaO3の圧電基板の上面に設けられた溝にAuを埋め込み、IDT電極を形成し、SiO2膜を形成した構造においては、SiO2膜の表面が平坦である場合には、IDT電極の規格化膜厚を0.01〜0.09とすることにより、電気機械結合係数を効果的に高め得ることがわかる。従って、比帯域幅を広げ得ることがわかる。よって、チューナブルフィルタの直列腕共振子や並列腕共振子に用いた場合、より一層効果的にチューナブルフィルタの周波数特性を調整し得ることがわかる。またAu以外の電極でも同じような結果が得られている。

0079

(チューナブルフィルタ1の周波数特性)
後述の図8の実線で示した弾性表面波共振子を用いた上記チューナブルフィルタ1の周波数特性を図6に示す。ここでは、可変コンデンサC2と可変コンデンサC3との容量を等しくし、可変コンデンサCP1と可変コンデンサCP2との容量を等しくした構造において、静電容量を図6に示すように変化させた場合の周波数特性を図6に示す。なお、帯域幅拡大用インダクタンスLxのインダクタンス値は4.5nHとした。

0080

図6から明らかなように、可変コンデンサC2及びCP1の容量の大きさを、C2=0.7pF及びCP1=0(CP1を接続しない)、C2=1pFかつCP1=0並びに、C2=2pFかつCP1=4pFと変化させた場合、中心周波数を1790MHz、1680MHz及び1460MHzと20%変化させることができる。従って、周波数可変量を極めて大きくすることができる。

0081

次に、図1(a)における帯域幅拡大用インダクタンスLxを接続しなかったこと並びに以下に述べる第3のコンデンサCfを接続したことを除いては、上記実施形態と同様にして構成された、すなわち図7に示す比較例のチューナブルフィルタ41を作製した。なお、第3のコンデンサCfを接続しない場合にも、第3のコンデンサCfを接続した場合と同様の結果が得られている。従って、比較例のチューナブルフィルタ41は第3のコンデンサCfを有するが、上記実施形態との対比に用いることができるものである。

0082

この比較例のチューナブルフィルタ41では、通過帯域幅を変化させずかつ通過帯域よりも高域側における減衰量を劣化させることなく、中心周波数を変化させることができる。図8及び図9を参照してこれを説明する。図8の実線は、LiNbO3基板上の溝に金属を充填した弾性表面波共振子の一例のインピーダンス−周波数特性を示し、破線は、LiNbO3基板上に電極が形成されている比較のための弾性表面波共振子のインピーダンス特性を示す。

0083

上記比較例のチューナブルフィルタ41において、直列腕共振子S1,S2として上記埋め込み電極型の弾性表面波共振子を用いた場合の周波数特性を図9に示す。ここでも、可変コンデンサC2と可変コンデンサC3との容量を等しくし、可変コンデンサCP1と可変コンデンサCP2との容量を等しくした。

0084

図9から明らかなように、C2=0.5pF及びCP1=0(CP1を接続しない)、C2=0.75pFかつCP1=1pF並びに、C2=1.0pFかつCP1=3pFと変化させた場合、中心周波数を1858MHz、1798MHz及び1733MHzと周波数を7%しか変化させることができない。

0085

また、図6図9の比較から明らかなように、本実施形態のチューナブルフィルタ1は帯域幅拡大用インダクタンスLxを備えているので、比較例のチューナブルフィルタ41よりも広帯域化を図り得る。

0086

なお、コンデンサC1、C4の静電容量が2.5pFである場合のインピーダンス値は1800MHzにおいて35Ωとなり、外部からのインピーダンス50Ωとほぼ整合するので、挿入損失を小さくすることができる。また、上記インダクタンスL1(インダクタンス値4.5nH)の1800MHz付近におけるインピーダンスは45Ωである。

0087

なお、図7の回路から第3のコンデンサCfを省略しても、第3のコンデンサCfを有する場合と同様の結果が得られる。

0088

前述のように、図8は、LN基板に埋め込まれた電極を有する弾性表面波共振子のインピーダンス−周波数特性と、LN基板上に電極が形成されている従来型の弾性表面波共振子のインピーダンス−周波数特性との比較を示す図である。埋め込み電極型の弾性表面波共振子と、埋め込み電極型ではない弾性表面波共振子とのいずれにおいても規格化膜厚H/λが0.1のCuのIDT電極及び反射器が形成されている。

0089

図8から明らかなように、埋め込み電極型ではない弾性表面波共振子では比帯域幅13%である。従って、埋め込み電極型の弾性表面波共振子の比帯域幅17%に比べて埋め込み電極型ではない弾性表面波共振子では比帯域幅が狭くなっていることがわかる。このような比帯域幅の小さい埋め込み電極型ではない弾性表面波共振子であっても、帯域幅拡大用インダクタンスにより共振点シフトすれば比帯域幅を拡大することができる。従って、チューナブルフィルタにおいて大きな周波数可変量を得ることができる。なお、ここで比帯域幅とは、共振周波数と反共振周波数の差の絶対値を共振周波数で除算して得られた値である。

0090

(帯域幅拡大用インダクタンスLxの構成例)
本実施形態のチューナブルフィルタ1では、弾性表面波共振子をパッケージと電気的に接続するボンディングワイヤにより帯域幅拡大用インダクタンスLxが構成されている。この場合には、帯域幅拡大用インダクタンスLxを構成するための余分な部品を必要としないので、小型化を図ることができる。このようなボンディングワイヤにより帯域幅拡大用インダクタンスLxを構成した具体的な構造の例を、図10及び図11を参照して説明する。

0091

図10は、第1の実施形態に係るチューナブルフィルタを説明するための略図的平面断面図である。ここでは、直列腕共振子S1,S2の圧電基板200上における実際のレイアウトと、該圧電基板200がパッケージに収納されている状態とが示されている。

0092

より具体的には、15°YカットLiNbO3基板からなる圧電基板200が用いられている。圧電基板200上において、直列腕共振子S1,S2が構成されている。

0093

直列腕共振子S1は、IDT電極12を有する1ポート型弾性表面波共振子である。IDT電極12は、くし歯電極12a,12bを有する。IDT電極12の弾性表面波伝搬方向両側に反射器13,14が形成されている。IDT電極12及び反射器13,14は、圧電基板200の上面に形成された溝に電極材料を埋め込むことにより設けられている。電極材料としては、Cu電極が用いられている。IDT電極12及び反射器13,14の電極指の規格化膜厚は0.07、デューティは0.6とされている。

0094

直列腕共振子S2も直列腕共振子S1と同様に構成されている。

0095

また、圧電基板200上には、電極膜からなる端子201,202,203が形成されている。端子201がIDT電極12のくし歯電極12bに接続されている。端子202,203は、くし歯電極12aに電気的に接続されている。

0096

直列腕共振子S2においても、IDT電極の一端が端子201Aに接続されている。IDT電極の他端が端子202A及び203Aに接続されている。端子201〜203及び201A〜203Aは、IDT電極を構成する材料と同じ電極材料で形成されている。

0097

上記圧電基板200がパッケージ205内に収納されている。パッケージ205側には、電極206〜209が形成されている。端子201がボンディングワイヤ211により電極206に接続されている。同様に、端子202がボンディングワイヤ212により電極207に接続されている。また、端子201Aがボンディングワイヤ213により電極208に接続されており、端子202Aがボンディングワイヤ214により電極209に接続されている。いま、ボンディングワイヤ211,212による影響を説明するために、直列腕共振子S1を代表して説明する。

0098

図11の実線は、ボンディングワイヤ211,212が接続される前の直列腕共振子S1すなわち弾性表面波共振子のインピーダンス特性及び位相特性を示す。なお、実際には、個々の圧電基板200に分割する前のマザーウエハにおいて、端子201にシグナル電位側のプローブを接触させ、端子202にグラウンド電位側のプローブの先端を接触させて測定を行った。

0099

また、図11の破線は、上記パッケージ205に圧電基板200を搭載し、ボンディングワイヤ211,212により端子201,202を電極206,207に接続した後の電極206,207間のインピーダンス特性及び位相特性を示す。この場合には、マザーのウエハを分割し、圧電基板200を得た後、ボンディングワイヤ211,212による接続を行った後に測定を行った。

0100

図11の破線から明らかなように、電極206,207の間のインピーダンス特性ではボンディングワイヤのインダクタンスにより共振点が低周波数側へシフトされており、従って、反共振周波数と共振周波数の差である帯域幅が拡大していることがわかる。すなわち、ボンディングワイヤが帯域幅拡大用インダクタンスとして機能している。

0101

(帯域幅拡大用インダクタンスの変形例)
上記第1の実施形態では、ボンディングワイヤからなる帯域幅拡大用インダクタンスを用いたが、図12(a)に示すようにパッケージ205に形成されたミアンダ状の導体パターンからなる帯域幅拡大用インダクタンス221を用いてもよい。

0102

また、図12(b)に示すように、パッケージ205ではなく、圧電基板200上に形成されたスパイラル状の導体パターンからなる帯域幅拡大用インダクタンス221Aを用いてもよい。

0103

図12(a),(b)に示したように、帯域幅拡大用インダクタンスはスパイラル状またはミアンダ状の導体パターンであってもよい。

0104

図12(a),(b)では圧電基板の電極形成面が上方に向いた、いわゆるフェイスアップタイプの弾性表面波共振子素子チップが示されていた。本発明では、弾性表面波共振子素子チップのIDT電極形成面がパッケージの実装電極面に対向されているフェイスダウンタイプの弾性表面波共振子素子チップを用いてもよい。

0105

フェイスダウンタイプの弾性表面波共振子の帯域幅拡大用インダクタンスLxとしては図12(a),(b)に示したようなスパイラル状またはミアンダ状の導体パターンが用いられる。

0106

(第1の実施形態の変形例)
以下、図13〜16を参照しつつ、第1の実施形態のチューナブルフィルタにおける変形例を説明する。

0107

上記のように、第1の実施形態では、図7に示した比較例のチューナブルフィルタ41で用いられていた第3のコンデンサCfは接続されていない。この場合、第3のコンデンサCfを接続した場合と同様に、通過帯域幅を拡大することができ、かつ周波数可変量を大きくすることができる。しかしながら、図6に示した第1の実施形態の周波数特性では、通過帯域高域側におけるフィルタ特性の急峻性は高くすることはできるが、低域側における急峻性はあまり高くなっていない。

0108

一方、デュプレクサの相対的に高周波数側の帯域通過フィルタにおいては、低域側におけるフィルタ特性の急峻性の高いことが要求される。そこで、低域側におけるフィルタ特性の急峻性を高めることのできるチューナブルフィルタの回路を検討した。

0109

すなわち、図1の回路に第3のコンデンサCfを追加し、図13(a)に示すチューナブルフィルタ51を設計した。このチューナブルフィルタ51において、第3のコンデンサCfの容量を、0pF、1pF、2pF、5pFまたは10pFと変化させた場合の周波数特性を図13(b)に示す。図13(b)から明らかなように、低域側におけるフィルタ特性の急峻性を高くすることができることがわかる。

0110

また、チューナブルフィルタ51では図13(b)に示したように、減衰極の高域側での跳ね返りが大きく、2400MHz近傍の減衰量が悪化する。コンデンサC2,C3の静電容量を等しくし、コンデンサC2の容量を0.7pF、1pFまたは2pFとし、かつ、コンデンサCP1,CP2の静電容量を等しくし、コンデンサCP1の容量を0または2pFとした場合のチューナブルフィルタ51の周波数特性を図14に示す。図14から明らかなように、コンデンサC2,C3、CP1及びCP2の容量値を変化させたとしても、2400MHz近傍の減衰量が悪化することに変わりはないことがわかる。

0111

そこで、チューナブルフィルタ51に、図15(a)に示す回路の第2のチューナブルフィルタ301を縦続接続することにより、帯域外減衰量の改善を検討した。この第2のチューナブルフィルタ301では、インダクタンス302と、可変コンデンサ303とが直列に接続されている。

0112

第2のチューナブルフィルタ301において、インダクタンス302のインダクタンス値を60nHに固定し、可変コンデンサ303の静電容量を、0.13pF、0.15pF及び0.19pFと変化させた場合の周波数特性の変化を図15(b)に示す。図15(b)から明らかなように、可変コンデンサの静電容量を上記のように変化させることにより、中心周波数を1800MHz、1700MHz及び1530MHzと周波数を変化させ得ることがわかる。従って、可変コンデンサ303の静電容量を調整することにより第2のチューナブルフィルタ301の中心周波数をチューナブルフィルタ51の中心周波数にほぼ一致させることができる。中心周波数がチューナブルフィルタ51の中心周波数にほぼ一致されるように構成された第2のチューナブルフィルタ301を、図16(a)に示すようにチューナブルフィルタ51に縦続接続し、チューナブルフィルタ304を作製した。該チューナブルフィルタ304の周波数特性を図16(b)に示す。

0113

図14図16(b)との比較から明らかなように、第2のチューナブルフィルタ301をチューナブルフィルタ1に縦続接続した場合、通過帯域から高域側に離れた位置である2400MHz近傍の減衰量を大きくし得ることがわかる。

0114

上述した各実験例では、弾性表面波共振子に帯域幅拡大用インダクタンスが接続された直列腕共振子回路部に可変コンデンサが接続されているチューナブルフィルタにつき説明したが、可変コンデンサの構造については特に限定されない。機械的あるいは電気的に静電容量を変化させ得る適宜の可変コンデンサを用いることができる。

0115

また、第1の実施形態では、埋め込み電極型の弾性表面波共振子を用いたが、図3(b)に示したように、圧電基板の上面にIDT電極が形成されている弾性表面波共振子を用いてもよい。図17〜25は、10°YカットX伝搬すなわちオイラー角で(0°,100°,0°)のLiNbO3の上面にAl,Mo,Cu,Ni,Ag,Au,W,TaまたはPtからなり、デューティが0.5のIDT電極を形成した図3(b)の構造の弾性表面波共振子の特性を示す図である。図17図25では、IDT電極の規格化膜厚H/λと、電極開放時のストップバンド上端及び下端、並びに電極短絡時のストップバンドの上端及び下端における各弾性表面波の音速との関係が示されている。図17図25において、共振周波数に相当する音速をfr、反共振周波数に相当する音速をfaの記号を付して示す。

0116

図3(b)は、(a)中のSiO2膜が存在しない構造である。

0117

図17に示すように、電極がAlからなる場合、fr及びfaの双方が遅いバルク横波の音速である4060m/秒より速くあるいは遅くなるAl電極の規格化膜厚範囲は0.001〜0.03及び0.115以上である。また、図18に示すように、Moからなる電極の場合には、Moからなる電極の規格化膜厚範囲は、0.001〜0.008及び0.045以上であればよい。他の電極金属の場合も含めてまとめると下記の表5に示す通りとなる。

0118

すなわち、表5の第1欄に示されている金属からなる電極の場合、第2欄または第3欄に示す規格化膜厚範囲となるようにIDT電極の膜厚を設定すればよい。

0119

0120

共振周波数と反共振周波数とに相当する音速frとfaとの間に、遅いバルク横波音速が位置しないようにするためには、表5の第2欄の規格化膜厚範囲とすればよい。さらに漏洩成分の影響をなくすためには表5の第3欄の規格化膜厚範囲を用いればよい。

0121

図33にfaがバルク波音速4060m/秒に一致するときのAl,Mo,Cu,Ni,Ag,Au,W,TaまたはPtからなる電極のデューティと電極の規格化膜厚(H/λ)との関係を示す。またこのデューティをXとしたときの各電極の規格化膜厚(H/λ)が満たすべき条件を表6に示す。すなわち図33の線以上あるいは下記の表6に示す電極膜厚範囲のときfaが4060m/秒以下になり、従って、バルク波の影響を受けない。

0122

0123

図26及び図27に、LN基板を用い、CuからなるIDT電極の規格化膜厚が0.05であり、デューティが0.5である場合の弾性表面波共振子のオイラー角(0°,θ,0°)のθと、反射係数及び電気機械結合係数k2との関係を示す。図17〜25では、10°YカットX伝搬すなわちオイラー角で(0°,100°,0°)のLiNbO3の場合の結果を示したが、図26及び図27からわかるようにθ=70〜115°の範囲で反射係数や電気機械結合係数k2はあまり変化しない。よって、LiNbO3のオイラー角は(0°,70°〜115°,0°)の範囲であればよい。

0124

デューティ0.5を中心に示したが、高周波になると耐電力性に優れていることが求められる。従って、耐電力性を高めることができるので、デューティは0.5未満、より好ましくは、0.15〜0.49の範囲とするのが有利である。

0125

この場合においても、帯域幅拡大用インダクタンスにより帯域幅を広げることができる。

0126

(第2の実施形態)
図28は、本発明の第2の実施形態のチューナブルフィルタを示す回路図である。第2の実施形態は、本願の第2の発明の実施形態である。第2の実施形態のチューナブルフィルタ601では、入力端子602と出力端子603とを結ぶ直列腕において、直列腕共振子S1及びS2が互いに直列に接続されている。直列腕共振子S1の入力側には、可変コンデンサCssが接続されており、直列腕共振子S2の出力側には、他の可変コンデンサCssが接続されている。また、直列腕共振子S1に並列に可変コンデンサCspが接続されており、直列腕共振子S2にも並列に可変コンデンサCspが接続されている。

0127

直列腕共振子S1と直列腕共振子S2との間の接続点とグラウンド電位とを結ぶ並列腕に並列腕共振子P1が設けられている。並列腕共振子P1のグラウンド側には、並列腕共振子P1に直列にコンデンサCpsが接続されている。また、並列腕共振子P1に並列にコンデンサCppが接続されている。第2の実施形態のチューナブルフィルタ601では、直列腕共振子S1,S2を有する直列腕と、並列腕共振子P1を有する並列腕とを備えるラダー型回路構成のチューナブルフィルタである。

0128

ラダー型回路構成のチューナブルフィルタ601において、直列腕共振子S1,S2の共振周波数及び反共振周波数をそれぞれFrS及びFaSとする。また、並列腕共振子P1の共振周波数及び反共振周波数をそれぞれFrP及びFaPとする。この場合、第2の発明では、FrS、FaS、FrP及びFaPが、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nであり、かつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数であるように構成されている。直列腕共振子及び並列腕共振子の少なくとも一方に接続された可変コンデンサと接続してラダー型のチューナブルフィルタが構成されている。そのため、チューナブルフィルタの周波数可変量を大きくすることができる。これを以下において詳細に説明する。

0129

一般に、ラダー型フィルタは、図29(a)または(b)に示す回路構成を有する。すなわち、図29(a)に示すラダー型フィルタ701では、入力端子702に直列腕共振子S1が接続されている。また、入力端子702に最も近い並列腕共振子P1は、直列腕共振子S1と、次の直列腕共振子S2との間の接続点とグラウンド電位とを結ぶ並列腕に設けられている。

0130

他方、図29(b)に示すラダー型フィルタ704では、入力端子705に、並列腕共振子P1が接続されている。

0131

上記ラダー型フィルタ701及び704のいずれにおいても、直列腕共振子の周波数特性及び並列腕共振子の周波数特性は以下のようにして設定されている。図30は、直列腕共振子及び並列腕共振子のインピーダンス特性を示す図である。図30の実線で示すように、並列腕共振子の反共振周波数FaPと、破線で示す直列腕共振子の共振周波数FrSとが一致されている。このようにして、通過帯域内の挿入損失の低減が図られている。

0132

しかしながら、このような構成では、直列腕共振子や並列腕共振子に、それぞれ静電容量を直列または並列に接続したとしても、チューナブルフィルタを構成することはできない。以下で説明する。

0133

上記のように、並列腕共振子の反共振周波数FaPと、直列腕共振子の共振周波数FrSとが一致された周波数を中心にして通過帯域が形成される。通過帯域両側の減衰極は、並列腕共振子の共振周波数FrPと、直列腕共振子の反共振周波数FaSとに発生する。

0134

並列腕共振子に静電容量を直列に接続すると、並列腕共振子の共振周波数FrPが上昇する。従って、通過帯域の低周波数側の減衰極の周波数は高くなるが、通過帯域は変化しない。

0135

また、直列腕共振子に静電容量を並列に接続すると、直列腕共振子の反共振周波数FaSが低下する。従って、通過帯域の高周波数側の減衰極の周波数が低くなるが、通過帯域は変化しない。

0136

一方、並列腕共振子に静電容量を並列に接続すると、並列腕共振子の反共振周波数FaPが低下する。その結果、並列腕共振子の反共振周波数FaPと直列腕共振子の共振周波数FrSそれぞれで挿入損失が小さくなるフィルタ特性、いわゆる双峰特性となる。従って、フィルタ特性が劣化する。直列腕共振子の共振周波数FrSを低くすることができれば上記フィルタ特性の劣化を是正できるが、静電容量を接続する手段では上記フィルタ特性の劣化を是正することは不可能である。

0137

また、直列腕共振子に静電容量を直列に接続すると、直列腕共振子の共振周波数FrSが上昇する。そして、並列腕共振子の反共振周波数FaPと直列腕共振子の共振周波数FrSそれぞれで挿入損失が小さいフィルタ特性、すなわち双峰特性となる。従って、フィルタ特性が劣化する。並列腕共振子の反共振周波数FaPを高くすることができれば上記フィルタ特性の劣化を是正できるが、静電容量を接続する手段では上記フィルタ特性の劣化を是正することは不可能である。

0138

本実施形態でn=2の場合には、FrS≦(FrP+FaP)/2、FaP>FrS及びFaP<FaSを満たすように設定されることが好ましい。

0139

この場合、並列腕共振子に静電容量を並列に接続されているので、並列腕共振子の反共振周波数FaPが低下し、直列腕共振子に静電容量が直列に接続されているので、直列腕共振子の共振周波数FrSが上昇されている。また、並列腕共振子の反共振周波数FaPと直列腕共振子の共振周波数FrSとを一致させることにより、静電容量を接続する前のFrSとFaPとの間の周波数帯域に中心周波数を持つフィルタ特性を得ることができる。従って、フィルタ特性が双峰特性とはならない。よって、接続される静電容量の値を調整することにより、FrSとFaPの間でフィルタの中心周波数を可変できるチューナブルフィルタが得られる。

0140

この状態で並列腕共振子に静電容量を直列に接続すると、並列腕共振子の共振周波数FrPが上昇する。よって、通過帯域の低周波数側の減衰極が通過帯域に近づき、従って、チューナブルフィルタの通過帯域低域側の急峻性を良くすることができる。直列腕共振子に静電容量を並列に接続すると、直列腕共振子の反共振周波数FaSが低くなる。よって、通過帯域の高周波数側の減衰極が通過帯域に近づき、従って、チューナブルフィルタの通過帯域高域側の急峻性を良くすることができる。

0141

n=2の場合には、反共振周波数と共振周波数の差であるΔfが略同じ弾性表面波共振子を直列腕及び並列腕共振子として用いることができるので、設計が容易である。

0142

より好ましくは、n=3であり、FrS≦(2FrP+FaP)/3、FaP>FrS及びFaP<FaSを満たすように設定される。反共振周波数と共振周波数の差であるΔfが略同じ弾性表面波共振子を直列腕及び並列腕共振子として用いることができるので、設計が容易である。

0143

一般的に示すと、前述のように、FrS≦{(n−1)FrP+FaP}/nであり、かつFaP≦{(n−1)FaS+FrS}/nであり、nが2以上、30以下の整数である。

0144

上記の説明から明らかなように、並列腕共振子に静電容量を直列に接続しないで、かつ直列腕共振子に静電容量を並列に接続しない場合に、通過帯域両側の減衰極が最も通過帯域から遠ざかり、かつ最も広い3dB帯域幅が得られる。このときの3dB帯域幅は|FrP−FrS|である。従って、nが大きくなるほど実現できる3dB帯域幅が狭くなる。チューナブルフィルタの仕様によってnを選択すればよい。

0145

以上のように、周波数可変範囲を大きくすることができ、かつ通過帯域の幅を広くすることができるチューナブルフィルタを実現するには、広帯域の共振子を用意し、かつ直列腕共振子の周波数特性と、並列腕共振子の周波数との組み合わせ方を工夫しなければならない。以下において具体例を説明する。

0146

図31は、前述した埋め込み型電極を有する弾性表面波共振子を用いて構成された並列腕共振子及び直列腕共振子のインピーダンス特性を示す図である。ここでは、IDT電極のピッチで定まる波長と交差幅とを調整し、並列腕共振子及び直列腕共振子のインピーダンス特性を調整した。

0147

図31から明らかなように、実線で示す並列腕共振子のインピーダンス特性では、共振周波数FrPは1629MHzであり、反共振周波数FaPは、1903MHzである。これに対して、直列腕共振子の共振周波数FrSを、1629MHzよりも91MHz高い1720MHzとした。そして、直列腕共振子の比帯域幅を並列腕共振子の比帯域幅と同様に17%となるように設計した。なお、共振子の比帯域幅とは、反共振周波数と共振周波数との差を共振周波数で除算した値である。

0148

図31に示すインピーダンス特性を有する並列腕共振子及び直列腕共振子を用いて、図28に示したチューナブルフィルタ601における直列腕共振子S1,S2及び並列腕共振子P1を構成した。この場合、直列腕共振子S1,S2の反共振周波数FaSは、図31から明らかなように、2010MHzとした。

0149

図32は、可変コンデンサCss,Csp、コンデンサCps,Cppの静電容量を以下の第1〜第3の組み合わせとした場合のチューナブルフィルタ601のフィルタ特性を示す。

0150

第1の組み合わせ:Css=0pF、Csp=2pF、Cpp=8pF、Cps=17pF
第2の組み合わせ:Css=1.5pF、Csp=0.5pF、Cps=7pF、Cpp=2.3pF
第3の組み合わせ:Css=0.5pF、Csp=0pF、Cps=2.3pF、Cpp=0pF

0151

図32では、第1の組み合わせの結果を破線で、第2の組み合わせの結果を実線で、第3の組み合わせの結果を一点鎖線で示す。

0152

図32から明らかなように、Css、Csp、Cps及びCppの大きさを調節することにより、通過帯域を大きく変化させ得ることがわかる。すなわち、中心周波数を約9%と非常に大きく変化させることができた。また、第1〜第3の組み合わせのいずれの場合においても、3dB帯域幅は92MHzである。

0153

3dB帯域幅とは、通過帯域内における最小挿入損失より3dB大きい挿入損失を有する周波数域の幅である。この周波数域の一端の周波数をF1、他端の周波数をF2とすると、3dB帯域幅は、周波数F1と周波数F2との差の絶対値である。チューナブルフィルタ601の中心周波数とは、(F1+F2)/2で表わされる。

0154

ここでは、3dB帯域幅が92MHzの場合、上記のように、周波数可変量を9%とすることが可能であった。

0155

また図34は、FrPとFrSとの差を45MHzにして上記チューナブルフィルタ601と同様にしてラダー型チューナブルフィルタのフィルタ特性を示す。ここでは3dB帯域幅が46MHzとされている。また、周波数可変幅も11.5%と大きくされている。

0156

そこで、本実施形態において、直列腕共振子の共振周波数FrSと並列腕共振子の共振周波数FrPとの差を種々変化させた場合の、3dB帯域幅と周波数可変量とを同様にして求めた。結果を下記の表7に示す。表7から明らかなように、直列腕共振子の共振周波数FrSと並列腕共振子の共振周波数FrPとの差を変化させることにより、チューナブルフィルタ601の3dB帯域幅を変化させるとともに、周波数可変量を変化させることができる。このときのチューナブルフィルタの中心周波数は約1820MHzである。

0157

0158

なお、周波数可変量とは、最も中心周波数が低い第1の組み合わせの場合の中心周波数と、最も中心周波数が高い第3の組み合わせの場合の中心周波数との差の両中心周波数間中点の周波数に対する割合(%)をいうものとする。

0159

表7から明らかなように、直列腕共振子の共振周波数FrSと、並列腕共振子の共振周波数FrPとの差を変更することにより、3dB帯域幅及び周波数可変量を大きく変化させ得ることがわかる。なお、直列腕共振子の反共振周波数FaSと、並列腕共振子の反共振周波数FaPの差は、FrSとFrPの差と略同等とした。

0160

上記のように、例えば直列腕共振子及び並列腕共振子の比帯域幅が17%である場合、チューナブルフィルタの周波数可変範囲を6.2%以上とするには、FrSとFrPの共振周波数差を137MHz以下とすればよいことがわかる。すなわち、共振周波数差Δfr=FrS−FrPを、並列腕共振子及び直列腕共振子の比帯域幅である17%=274MHzの1/2である137MHz以下とすればよいことがわかる。また、このときのΔfrはチューナブルフィルタの3dB帯域幅にほぼ近い値となる。

0161

また、言い方を換えると、周波数可変幅6.8%以上を実現するには、弾性表面波共振子の比帯域幅が13〜25%の場合、下記の表8に示すように、FrS−FrPの共振子の帯域幅に対する割合を下記の表8に示すように設定すればよい。

0162

0163

また、周波数可変幅を9%以上とした場合には、下記の表9に示すように、FrS−FrPの共振子の帯域幅に対する割合を表9に示す値以下とすればよいことがわかる。

0164

0165

従って、直列腕共振子の比帯域幅及び並列腕共振子の比帯域幅は、好ましくは、13%以上である。それによって、上記のように、周波数可変量をより一層大きくすることができる。より好ましくは、直列腕共振子及び並列腕共振子の比帯域幅は、15%以上であり、それによって周波数可変量をより一層大きくすることができる。なお、比帯域幅60%を超える弾性波共振子は帯域通過フィルタでは一般に用いられていない。よって、比帯域幅は、好ましくは、13%以上、60%以下である。

0166

上記表7〜表9の値を式で表わすと、以下の通りとなる。すなわち、実現したいチューナブルフィルタの周波数可変幅をt、直列腕共振子及び並列腕共振子の比帯域幅をyとする。

0167

tは、周波数が変動可能な幅(FaP−FrS)を(FaP+FrS)/2で規格化してなる値であり、また、直列腕共振子及び並列腕共振子の比帯域幅yは、帯域幅をそれぞれの共振周波数で規格化した値とする。このとき、Δfr=FrS−FrPのFrPに対する比であるΔfr/FrPを比帯域幅yで規格化した値が、以下の式(1)で示す値以下とすればよいことがわかる。すなわち、
{(2−t/0.9)×(1+y)−(2+t/0.9)}/{(2+t/0.9)×y}×100(%) ・・・(1)

0168

なお、周波数可変幅tは、実験的に最大で、
t≒2×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)×0.9×100(%)
である。従って、適した可変幅は、得られるフィルタ特性を考慮すると、0.7×t〜0.9×tの間である。よって、最小の3dB帯域幅は、(FrS−FrP)×0.9あるいは(FaS−FaP)×0.9のいずれか小さいほうで、最大周波数可変幅は140×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)から180×(FaP−FrS)/(FaP+FrS)(%)、が得られる。

0169

上記のように、チューナブルフィルタ601において、直列腕共振子S1,S2及び並列腕共振子P1の周波数特性を組み合わせることにより、周波数可変幅を大きくし得ることがわかる。

0170

埋め込み型電極を有する弾性表面波共振子を用いて構成された直列腕及び並列腕の共振子を用いたラダー型のチューナブルフィルタについて説明したが、LN基板上にIDT電極が形成されている弾性表面波共振子を用いて構成された直列腕及び並列腕の共振子を用いてもよい。この場合も上記のように、直列腕共振子S1,S2及び並列腕共振子P1の周波数特性を組み合わせることにより、周波数可変幅を大きくし得る。

0171

ラダー型のチューナブルフィルタでは、直列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrS、FaS、並列腕共振子の共振周波数及び反共振周波数をFrP、FaPとしたときに|FrS−FaS|と|FrP−FaP|とが大きいほど、チューナブルフィルタの通過帯域の可変量を大きくすることができるので好ましい。上記実施形態では、図31に示すインピーダンス特性を有する並列腕共振子及び直列腕共振子を用いて説明したが、並列腕共振子及び直列腕共振子に代えて直列腕と並列腕の両方にそれぞれ直列腕共振子回路部と並列腕共振子回路部とを設けて、直列腕共振子回路部と並列腕共振子回路部とによりラダー型フィルタを構成してもよい。

0172

なお、図3に示したように圧電基板11上にIDT電極12が形成されている場合には、レイリー波によるスプリアスが共振周波数と反共振周波数との間、あるいは反共振周波数よりも高い周波数位置に現れる。これに対して、前述した埋め込み型電極を用いた構造では、レイリー波によるスプリアスは共振周波数よりも低い周波数位置に出現する。従って、埋め込み型ではない弾性表面波共振子を直列腕共振子とし、埋め込み電極型弾性表面波共振子を並列腕共振子として用いることが望ましい。それによって、通過帯域内にスプリアスが生じ難いチューナブルフィルタを得ることができる。

0173

また、第1の実施形態のように、ボンディングワイヤなどを用いて帯域幅拡大用インダクタンスが形成されている場合にも上記式(1)に示すように直列腕共振子の周波数特性及び並列腕共振子の周波数特性を組み合わせて帯域幅を拡大することにより、周波数可変幅を大きくすることができる。

0174

(第2の実施形態の変形例)
図35図39を参照して、第2の実施形態の変形例に係るラダー型チューナブルフィルタを説明する。図37に回路図で示すように、本実施形態のラダー型チューナブルフィルタ61は、入力端子62と出力端子63と、グラウンド電位に接続されるグラウンド端子64とを有する。入力端子62と出力端子63とを結ぶ直列腕に、第1,第2のバルク波共振子65,66が互いに直列に挿入されている。また、入力端子62と第1のバルク波共振子65との間に、第1の可変コンデンサCSs1が接続されている。第1のバルク波共振子65に並列に可変コンデンサCSp1が接続されている。

0175

第2のバルク波共振子66に並列に可変コンデンサCSp2が接続されている。バルク波共振子66と出力端子63との間に可変コンデンサCSs2が接続されている。他方、第1,第2のバルク波共振子65,66間の接続点Nとグラウンド端子64とを結ぶ並列腕に、並列腕共振子として第3のバルク波共振子67が接続されている。

0176

第3のバルク波共振子67と第1,第2のバルク波共振子65,66間の接続点Nとの間には、可変コンデンサCPsが接続されている。また、第3のバルク波共振子67に並列に、可変コンデンサCPpが接続されている。本実施形態のチューナブルフィルタ61では、上記可変コンデンサCSs1,CSs2、CSp1,CSp2、CPs及びCPpの静電容量を調整することにより通過帯域の周波数位置を調整することができる。

0177

上記バルク波共振子65〜67は、圧電薄膜あるいは圧電薄板を励振することにより発生したバルク波による共振を利用するものである。図35は、第1のバルク波共振子65の正面断面図である。バルク波共振子65は、Siなどの適宜の絶縁材料または半導体材料からなる基板68を有する。基板68は、貫通孔68aからなるキャビティを有する。基板68上に、圧電薄膜69が積層されている。圧電薄膜69は、貫通孔68aを覆うように設けられている。この圧電薄膜69は、本実施形態では、KNbO3からなる。もっとも、圧電薄膜69は圧電薄板でもよいし、他の圧電材料により形成されていてもよい。

0178

圧電薄膜69の貫通孔68aを覆っている部分において、圧電薄膜69の下面に第2の励振電極70Aが形成されている。また、第2の励振電極70Aと、圧電薄膜69を介して対向するように、第1の励振電極71Aが設けられている。第1,第2の励振電極71A,70Aは、本実施形態では、Alからなる。もっとも、励振電極70A,71Aは、Cu、Ag、Au,Pt、Mo,Niまたはこれらを主体とする合金などの適宜の金属により形成することができる。

0179

第1,第2の励振電極71A,70Aが対向している部分が励振部を構成している。励振部では、下方に貫通孔68aからなるキャビティが位置している。従って、圧電薄膜69は励振部においてその振動が妨げられ難い。

0180

バルク波共振子の振動モードとしては、厚みすべり振動と厚み縦振動がある。利用する振動モードに応じて、励振電極の寸法を適宜調整すればよい。厚みすべり振動は、図35で言えば、圧電薄膜69に形成された励振電極70Aと71A間に電圧印加した際、バルク波の伝搬方向、すなわち圧電薄膜の厚み方向とバルク波の変位の方向が略垂直である、振動モードである。一方、厚み縦振動は、圧電薄膜69に形成された励振電極70Aと71A間に電圧を印加した際、バルク波の伝搬方向、すなわち圧電薄膜の厚み方向とバルク波の変位の方向が略平行である、振動モードである。

0181

バルク波共振子65につき説明したが、第2,第3のバルク波共振子66,67も同様の構造を有する。

0182

図37に示すバルク波共振子65は、入力端子62と、前述した接続点とに接続されているが、上記第1の励振電極71AがCSs1を介して入力端子62に、第2の励振電極70Aが前述した接続点Nに接続されている。

0183

図36は、上記チューナブルフィルタの模式的平面図である。図36では、基板68上に、上記バルク波共振子65が構成されている部分において、第1の励振電極71Aが図示されている。第2の励振電極70Aは圧電薄膜の下面に位置しているので、破線で示す。第2,第3のバルク波共振子66,67が構成されている部分においても、同様に第1の励振電極71Aが基板68の上面に設けられている。

0184

なお、図36においては、可変コンデンサCSs1,CSp1、CSp2,CSs2、CPs及びCPpが設けられている部分を矩形ブロックで略図的に示すこととする。このような各可変コンデンサの構造は、前述した第1,第2の実施形態と同様にして、すなわち、従来より公知の可変コンデンサにより構成することができる。

0185

本実施形態のように、本発明のチューナブルフィルタでは、直列腕共振子及び並列腕共振子として、バルク波共振子を用いてもよい。

0186

図38は、上記チューナブルフィルタ61における直列腕共振子及び並列腕共振子の各インピーダンス特性を示す。すなわち、第1,第2のバルク波共振子65,66は、図38に破線で示す直列腕共振子のインピーダンス特性を有する。他方、第3のバルク波共振子67は、図38に実線で示す並列腕共振子のインピーダンス特性を有する。

0187

このような第1〜第3のバルク波共振子65〜67を用いたチューナブルフィルタ61の減衰量周波数特性を図39に示す。

0188

なお、図39においては、上述した可変コンデンサの静電容量を種々変更した場合の周波数特性を示す。本実施形態では、可変コンデンサCSs1及びCSs2の静電容量は等しくしており、このような静電容量を、S−Csとする。また、可変コンデンサCSp1及び可変コンデンサCSP2の静電容量も等しくされており、これらの可変コンデンサの静電容量を、S−Cpとする。

0189

また、並列腕に接続されている可変コンデンサCPsの静電容量をP−Csとし、可変コンデンサCPpの静電容量をP−Cpとする。図39では、可変コンデンサの静電容量を以下の3通りの組み合わせとした場合の周波数特性を示す。

0190

第1の組み合わせ:S−Cs=0pF、S−Cp=5pF、P−Cs=0pF、P−Cp=22pF。
第2の組み合わせ:S−Cs=0.6pF、S−Cp=0.6pF、P−Cs=4.0pF、P−Cp=3.0pF。
第3の組み合わせ:S−Cs=0.2pF、S−Cp=0pF,P−Cs=0.8pF、P−Cp=0pF。

0191

図39から明らかなように、第1の組み合わせの場合、通過帯域の中心周波数は、約1.67GHzにあり、第2の組み合わせの場合通過帯域中心周波数は約1.79GHzにあり、第3の組み合わせの場合、通過帯域中心周波数は約1.91GHzにあることがわかる。すなわち、可変コンデンサの静電容量を調整することにより、通過帯域の中心周波数を、1.91−1.67=0.24GHz=240MHzに変化させ得ることがわかる。従って、設計中心周波数1.8GHzに対し、周波数調整可能範囲は14%と非常に大きいことがわかる。

0192

すなわち、本発明においては、弾性表面波共振子に限らず、上記のようなバルク波共振子65〜67を用いてもよく、その場合においても、本発明に従って、周波数調整可能範囲を広げ得ることがわかる。

0193

図40(a)及び(b)は、バルク波共振子の変形例を示す各正面断面図である。図35に示したバルク波共振子65では、基板68に貫通孔68aからなるキャビティが設けられていた。これに対して、図40(a)に示すように、基板68の上面に貫通孔ではない凹部68bを設けることによりキャビティを形成してもよい。

0194

また、図40(b)に示すように、圧電薄膜69の上面の第1の励振電極71Aが、ギャップを隔てて対向された分割励振電極71,72からなり、第2の励振電極70Aが、上記分割励振電極71,72と圧電薄膜69を介して対向されていてもよい。

0195

すなわち、図35に示したバルク波共振子65に代えて、図40(a)及び(b)に示したバルク波共振子81,82をそれぞれ用いてもよい。

0196

次に、図35に示したバルク波共振子65の他の変形例として、LiNbO3からなる圧電薄膜69を用い、さらにバルク波として厚みすべり振動を用いた共振子につき説明する。

0197

図41は、オイラー角(0°,95°,ψ)のLiNbO3及びオイラー角(30°,90°ψ)のLiNbO3をそれぞれ用い、厚みすべり振動を利用したバルク波共振子65のインピーダンス特性を示す図である。ここでは、LiNbO3の厚みをそれぞれ1.45μmとした。第1,第2の励振電極71A,70AをAl膜により形成した。第1,第2の励振電極71A,70Aの厚みは0.1μmとし、平面形状は半径50μmの円形とした。

0198

図41から明らかなように、LiNbO3からなる圧電薄膜のオイラー角が(30°,90°,ψ)では、30%の比帯域幅の得られることがわかる。他方、オイラー角(0°,95°,ψ)のLiNbO3からなる圧電薄膜を用いた場合、厚みすべり振動子では、21%の比帯域幅の得られることがわかる。このように、バルク波共振子65において厚みすべり振動モードを利用した場合に、圧電薄膜としてLiNbO3を用いかつそのオイラー角を変更することにより帯域幅を制御し得ることがわかる。

0199

図42は、オイラー角(30°,0°,ψ)のLiNbO3からなる圧電薄膜を用いたバルク波共振子65であって、厚みすべり振動モードを利用したバルク波共振子に直列にインダクタンスを接続した場合のインダクタンスの大きさと、インピーダンス特性の変化とを示す図である。

0200

図42から明らかなように、インダクタンスすなわち帯域幅拡大用インダクタンスを接続しない場合に比べ、5nH、10nH及び20nHのインダクタンス値の帯域幅拡大用インダクタンスを接続することにより、帯域幅を広げ得ることがわかる。

0201

図43は、上記オイラー角(φ,θ,ψ)のLiNbO3からなる圧電薄膜を用いたバルク波共振子65であって、厚みすべり振動モードを利用した共振子におけるオイラー角と、比帯域幅Δf/frとの関係を示す図である。

0202

図43より、厚みすべりモードを利用した場合、オイラー角を以下のように特定の範囲に選択することにより、比帯域幅を20%以上、25%以上または30%以上と非常に広くし得ることがわかる。

0203

0204

図44は、上記厚みすべり振動モードを利用したバルク波共振子65を用いて、図37に示したチューナブルフィルタを図37と同様にして構成した場合の減衰量周波数特性及び周波数可変幅を示す図である。ここでは、図37のチューナブルフィルタにおいて、共振子として、オイラー角(30°,90°,ψ)のLiNbO3からなる圧電薄膜を用い、厚みすべり振動モードを利用したことを除いては、図37と同様にしてチューナブルフィルタ61を構成する。なお、図44では、図39の場合と同様に、可変コンデンサの静電容量を種々変更した場合の周波数特性を示す。図44では、可変コンデンサの静電容量を下記の3通りの組み合わせとした場合の周波数特性を示す。

0205

第1の組み合わせ:S−Cs=0pF、S−Cp=2pF、P−Cs=0pF、P−Cp=8pF。
第2の組み合わせ:S−Cs=0.2pF、S−Cp=0.26pF、P−Cs=0.8pF、P−Cp=1.0pF。
第3の組み合わせ:S−Cs=0.08pF、S−Cp=0.2pF、P−Cs=0.3pF、P−Cp=0pF。

0206

図44から明らかなように、第1の組み合わせの場合、通過帯域の中心周波数は約1.25GHzに位置しており、第2の組み合わせの場合、中心周波数は約1.38GHz付近にあり、第3の組み合わせの場合、中心周波数は約1.54GHz付近に位置していることがわかる。従って、1.54〜1.25=0.29GHzの範囲で中心周波数を変化させ得ることがわかる。よって、設計中心周波数1.395GHzに対し、周波数調整可能範囲は21%と非常に大きいことがわかる。

0207

なお、本発明では、バルク波共振子65として厚み縦振動モードを利用した厚み縦共振子を用いてもよい。図45は、オイラー角(φ,θ,ψ)のLiNbO3からなる圧電薄膜を用いてバルク波共振子65を構成し、厚み縦振動モードを利用した場合、比帯域幅Δf/frとオイラー角との関係を示す図である。

0208

図45から明らかなように、厚み縦振動モードを利用したバルク波共振子を用いた場合においても、LiNbO3のオイラー角を、(0±5°、107°〜137°、ψ)、(10±5°、112°〜133°、ψ)、(50±5°、47°〜69°、ψ)または(60±5°、43°〜73°、ψ)のいずれかの範囲とすれば帯域幅を10%以上とし得ることがわかる。

0209

1…チューナブルフィルタ
11…圧電基板
11a…上面
11b…溝
12…IDT電極
12a,12b…くし歯電極
13,14…反射器
15…SiO2膜
22…入力端子
23…出力端子
41…チューナブルフィルタ
51…チューナブルフィルタ
61…チューナブルフィルタ
62…入力端子
63…出力端子
64…グラウンド端子
65〜67…第1〜第3のバルク波共振子
68…基板
68a…貫通孔
68b…凹部
69…圧電薄膜
70…共通励振電極
70A…第2の励振電極
71A…第1の励振電極
71,72…分割励振電極
81,82…バルク波共振子
200…圧電基板
201〜203…端子
201A…端子
202A…端子
205…パッケージ
206〜209…電極
211〜214…ボンディングワイヤ
221…帯域幅拡大用インダクタンス
221A…帯域幅拡大用インダクタンス
301…第2のチューナブルフィルタ
302…インダクタンス
303…可変コンデンサ
304…チューナブルフィルタ
601…チューナブルフィルタ
602…入力端子
603…出力端子
701…ラダー型フィルタ
702…入力端子
704…ラダー型フィルタ
705…入力端子
C1〜C4…コンデンサ
CP1,CP2…コンデンサ
L1…インダクタンス
P1…並列腕共振子
S1,S2…直列腕共振子
S11,S12…直列腕共振子回路部

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