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技術 レールの表面処理方法およびレール

出願人 株式会社昭和テックス
発明者 吉永克美岩永忠之
出願日 2012年4月18日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2012-094580
公開日 2013年10月28日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2013-221350
状態 特許登録済
技術分野 鉄道軌道
主要キーワード バーナー火口 レール電流 研磨器具 貴金属素材 主荷重 検知区間 検知リレー 黄銅ろう
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年10月28日)のものです。
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図面 (8)

課題

レール種別及び線路の種別を問わず長期間にわたって十分な導電性を維持できるレールの表面処理方法およびレールを提供する。

解決手段

レール表面処理方法は、列車車輪と接触するレール1の頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝3を形成し、前記溝3に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤10を充填して溶着し、溶着された前記金属ろう剤10を自然冷却させて、冷却された前記金属ろう剤10が、前記頭部表面より所定高さ以下の突出となるように研磨する。

概要

背景

線路上には複数の分離したレールが、連続的に敷設されている。列車は、この連続的に敷設されたレール上を走行する。連続するレール同士は、走行可能な程度に連結しているものの、物理的には分離している。レールの底面には、枕木および砂利が設置されている。レールには列車の車体重量がかかるため、レールは充分な強度を有している必要がある。加えて、レールは、列車を走行させるだけでなく、列車の通過や接近を検出する導電体としての役割も必要とする。このため、レールは、高い導電性を有していることが好適である。

例えば、線路上に踏切が設けられている場合には、踏切が自動で反応して動作するように、列車の近接を、レールを通じて踏切が認知することが好ましい。このため一般的に、踏切から所定距離のレールに電流を流し或いは電圧をかけ、列車の車輪が到達しレール電流遮断或いは通電することで、踏切が列車を検出する方法が採られている。

一方で、列車はレール上を走行するので、レール表面は列車の車輪によって研磨されている。しかし、列車間隔がある場合、この研磨されたレール表面は自然に酸化されることにより、酸化物皮膜が生じ、特に小雨等の気象条件下では短時間で皮膜が成長することが知られている。この酸化皮膜は導電性が低く、車輪踏面とレール表面との間に絶縁層を形成し、レールの短絡感度が低下することとなる。このように酸化被膜により短絡感度が低下した場合、列車の到達による電流の遮蔽あるいは通電の検出が不十分となる恐れがある。この場合には、レールが列車の到達を検出できなくなり、踏切装置は、列車を検出できなくなって、誤動作を生じさせる可能性がある。当然ながら、踏切装置の誤動作は、列車事故などを引き起こしかねないので、生じさせることは好ましくない。このため、レールには、レールめっきと呼ばれる表面処理が施されて、レールの導電性を高めることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。

概要

レールの種別及び線路の種別を問わず長期間にわたって十分な導電性を維持できるレールの表面処理方法およびレールを提供する。レール表面処理方法は、列車の車輪と接触するレール1の頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝3を形成し、前記溝3に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤10を充填して溶着し、溶着された前記金属ろう剤10を自然冷却させて、冷却された前記金属ろう剤10が、前記頭部表面より所定高さ以下の突出となるように研磨する。

目的

本発明は、これらの課題に鑑み、列車の走行による磨耗や損耗にも高い耐久性を示して、レールの種別及び線路の種別を問わず長期間にわたって十分な導電性を維持できるレールの表面処理方法およびレールを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

列車車輪と接触するレールの頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝を形成し、前記溝に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤を充填して溶着し、溶着された前記金属ろう剤を自然冷却させて、冷却された前記金属ろう剤が、前記頭部表面より所定高さ以下の突出となるように研磨する、レール表面処理方法

請求項2

前記所定幅は、6mm以上8mm以下であり、前記所定深さは、1.0mm以上1.2mm以下である、請求項1記載のレール表面処理方法。

請求項3

前記所定形状は、前記溝の底部が幅方向全体における曲線により形成される、請求項1又は2記載のレール表面処理方法。

請求項4

前記曲線は、前記溝の底面および端部においても形成されている、請求項3記載のレール表面処理方法。

請求項5

前記溝の底部は、略U字状の曲線を有し、前記溝の端部は、前記溝内部からレール表面につながるR状の曲線を有している、請求項4記載のレール表面処理方法。

請求項6

前記溝の底部の曲線および端部の曲線は、研削および切削の少なくとも一方で、形成される、請求項4又は5記載のレール表面処理方法。

請求項7

前記所定幅は、前記所定深さの6倍以上8倍以下であって、当該所定幅および所定深さの比率によって、前記溝の曲線が定義される、請求項4から6のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項8

前記溝に溶着された金属ろう剤は、前記溝の底部および端部の曲線に沿った曲線を、前記溝との接合面に有する、請求項4から7のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項9

前記金属ろう剤は、銀、銅および亜鉛を含む銀ろうである、請求項1から8のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項10

前記銀ろうは、更に貴金属素材を含む、請求項9記載のレール表面処理方法。

請求項11

前記所定温度条件は、750℃未満である、請求項1から10のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項12

前記所定時間条件は、前記金属ろう剤の溶着が、130mm/分〜150mm/分で行われる条件である、請求項1から11のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項13

前記所定高さは、0.2mm以上0.5mm以下である、請求項1から12のいずれか記載のレール表面処理方法。

請求項14

列車の車輪と接触する頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝を形成し、前記溝に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤を充填して溶着し、溶着された前記金属ろう剤を自然冷却させて、冷却された前記金属ろう剤が、前記頭部表面より所定高さ未満の突出となるように研磨されて得られるレール。

請求項15

列車の車輪と接触する頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で形成された溝と、前記溝に、所定温度条件および所定時間条件で、溶着された銀を主成分とする金属ろう剤と、を、備え、前記金属ろう剤は、溶着後に自然冷却および所定高さ未満での研磨を受ける、レール。

技術分野

0001

本発明は、レール防錆性を向上させたりレールの導電性を向上させたりするためのレールの表面処理方法および当該処理方法によって製造されるレールに関する。

背景技術

0002

線路上には複数の分離したレールが、連続的に敷設されている。列車は、この連続的に敷設されたレール上を走行する。連続するレール同士は、走行可能な程度に連結しているものの、物理的には分離している。レールの底面には、枕木および砂利が設置されている。レールには列車の車体重量がかかるため、レールは充分な強度を有している必要がある。加えて、レールは、列車を走行させるだけでなく、列車の通過や接近を検出する導電体としての役割も必要とする。このため、レールは、高い導電性を有していることが好適である。

0003

例えば、線路上に踏切が設けられている場合には、踏切が自動で反応して動作するように、列車の近接を、レールを通じて踏切が認知することが好ましい。このため一般的に、踏切から所定距離のレールに電流を流し或いは電圧をかけ、列車の車輪が到達しレール電流遮断或いは通電することで、踏切が列車を検出する方法が採られている。

0004

一方で、列車はレール上を走行するので、レール表面は列車の車輪によって研磨されている。しかし、列車間隔がある場合、この研磨されたレール表面は自然に酸化されることにより、酸化物皮膜が生じ、特に小雨等の気象条件下では短時間で皮膜が成長することが知られている。この酸化皮膜は導電性が低く、車輪踏面とレール表面との間に絶縁層を形成し、レールの短絡感度が低下することとなる。このように酸化被膜により短絡感度が低下した場合、列車の到達による電流の遮蔽あるいは通電の検出が不十分となる恐れがある。この場合には、レールが列車の到達を検出できなくなり、踏切装置は、列車を検出できなくなって、誤動作を生じさせる可能性がある。当然ながら、踏切装置の誤動作は、列車事故などを引き起こしかねないので、生じさせることは好ましくない。このため、レールには、レールめっきと呼ばれる表面処理が施されて、レールの導電性を高めることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。

先行技術

0005

実公昭49−15042号公報
特開2006−161454号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1は、電車の車輪と接触するレール頭部上面に溝を形成し、この溝内に銅若しくは銅合金等を溶着させるレールを開示する。特許文献1は、溝が形成された上で、この溝内に銅合金が溶着されることで、レール表面の導電性を高める技術を開示している。

0007

しかしながら、軌道分岐内等に使われる熱処理レールのような炭素含有量が0.80質量%程度のレールに、錆の発生を抑制すべく銅若しくは銅合金を溶着する場合、銅若しくは銅合金を溶着させるために銅若しくは銅合金の溶融温度にまで熱処理レールを加熱すると、炭素含有量が0.80質量%程度のレールではオーステナイト領域に入る温度となり、その後の冷却によって溶着部マルテンサイト組織が生成してしまい、強度低下が問題視されていた。特にHH340やHH370などの品番で特定される熱処理レールではこの傾向が強く、最悪ケースでは列車荷重によりマルテンサイト組織部分からレールが破断する事故が発生する可能性もある。このため、レール破断等の危険懸念から、当該技術の適用範囲は、熱処理されていない普通レールで、しかも列車速度が遅い駅構内等に限られることが多かった。しかし、現在では熱処理レールが主流となってきている。また、冷却速度を遅くしてマルテンサイト組織生成を抑えるべく、溶着時に予熱処理及び後熱処理が行われていたが、その分、レールの表面処理(レールめっきを施す処理)に時間がかかる問題があった。また、充填された金属ろう剤の磨耗や損耗が早く、列車の走行時間の累積と共に、レールの導電性が低下する問題があった。

0008

特許文献2は、特許文献1と同様に、レール表面の長手方向に沿ってU字溝を形成し、このU字溝に金属ろう剤を充填する技術を開示する。この金属ろう剤によって、レールの導電性を向上させる。さらにこの金属ろう材を溝に盛り上げて充填し、盛り上げ部分を車輪で押圧延展し、車輪とろう材との接触面積を大きくすることによって、レールの導電性を向上させる。

0009

しかしながら、特許文献2に開示される技術も、特許文献1の技術と同様に、レールの強度低下をもたらす問題を有していた。加えて、充填された金属ろう剤の磨耗や損耗が早く、列車の走行時間の累積と共に、レールの導電性が低下する問題があった。

0010

特許文献1、2に開示される技術は、レールに導電性の金属ろう剤を充填する工程および金属ろう剤そのものに、不十分さがあり、上述のような問題を生じさせていた。

0011

本発明は、これらの課題に鑑み、列車の走行による磨耗や損耗にも高い耐久性を示して、レールの種別及び線路の種別を問わず長期間にわたって十分な導電性を維持できるレールの表面処理方法およびレールを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上記課題に鑑み、本発明のレール処理方法は、列車の車輪と接触するレールの頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝を形成し、溝に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤を充填して溶着し、溶着された金属ろう剤を自然冷却させて、冷却された金属ろう剤が、頭部表面より所定高さ以下の突出となるように研磨する。

発明の効果

0013

本発明のレール処理方法は、所定の溝であって幅広の溝を形成した上で金属ろう剤を充填するので、十分な導電性をレール表面に確保できる。加えて、金属ろう剤として、銀を主成分とする銀ろう剤を用いるので、溶着温度オーステナイト変態温度以下に抑え、組成変成によるレール強度低下を防止できることで、レール種別や線路種別を問わず施工が可能となるほか、予熱処理及び後熱処理を省略できることから、溶着時間を短縮でき、作業効率を向上させることができる。

0014

また、必要となる燃料も少なくなるので、作業現場敷設済みの線路)に運搬する必要のある燃料タンク燃料ボンベ)も小型化できる。結果として、レール処理に必要な種々の作業効率が向上し、作業の安全性も高まるメリットがある。

0015

特に、レールの種類及び線路の種別を問わず長期間に渡って導電性を維持できることが作業効率の良さと相まって、様々な鉄道現場で、本発明の表面処理が行える。これにより、日本の鉄道のみならず、海外の鉄道のレールの表面処理も可能である。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施の形態1におけるFe−C系平衡状態図である。
本発明の実施の形態1におけるレールの斜視図である。
本発明の実施の形態1における溝の形成工程を示す説明図である。
本発明の実施の形態における溝への金属ろう剤の充填を示す説明図である。
本発明の実験例の結果を示す写真である。
従来例での表面処理の結果を示す写真である。
本発明の実施の形態におけるレールでの列車検知の実験結果を示す説明図である。

実施例

0017

本発明の第1のレール表面処理方法は、列車の車輪と接触するレールの頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝を形成し、溝に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤を充填して溶着し、溶着された金属ろう剤を自然冷却させて、冷却された金属ろう剤が、頭部表面より所定高さ以下の突出となるように研磨する。

0018

この構成により、レールは、導電性を有する部分を、その頭部表面に有するようになる。

0019

本発明の第2のレール表面処理方法では、第1の発明に加えて、所定幅は、6mm以上8mm以下であり、所定深さは、1.0mm以上1.2mm以下である。

0020

この構成により、導電性を十分に発揮しつつ、レールの頭部を損傷させることのない導電部分が形成される。

0021

本発明の第3のレール表面処理方法では、第1又は第2の発明に加えて、所定形状は、溝の底部が幅方向全体における曲線により形成される。

0022

この構成により、溝に角部や屈曲部が生じなくなり、金属ろう剤の充填が、確実に行われる。特に、金属ろう剤と溝表面との間に空隙ができにくくなり、導電性が損なわれにくくなる。

0023

本発明の第4のレール表面処理方法では、第3の発明に加えて、曲線は、溝の底面および端部においても形成されている。

0024

この構成により、金属ろう剤は、溝(レール)となだらかに溶着される。

0025

本発明の第5のレール表面処理方法では、第4の発明に加えて、溝の底部は、略U字状の曲線を有し、溝の端部は、溝内部からレール表面につながるR状の曲線を有している。

0026

この構成により、溶着時の熱の滞留によるレールへの熱影響を軽減し、金属ろう剤は、溝となだらかに溶着される。

0027

本発明の第6のレール表面処理方法では、第4又は第5の発明に加えて、溝の底部の曲線および端部の曲線は、研削および切削の少なくとも一方で、形成される。

0028

この構成により、溝は、効率的かつ高い精度で形成される。

0029

本発明の第7のレール表面処理方法では、第4から第6のいずれかの発明に加えて、所定幅は、所定深さの6倍以上8倍以下であって、当該所定幅および所定深さの比率によって、溝の曲線が定義される。

0030

この構成により、深さと幅の設定によって、溝加工において曲線が自動的に形成できる。

0031

本発明の第8のレール表面処理方法では、第4から第7のいずれかの発明に加えて、溝に溶着された金属ろう剤は、溝の底部および端部の曲線に沿った曲線を、溝との接合面に有する。

0032

この構成により、金属ろう剤は、広い面で溝と接合するので、高い導電性を有する。また、角部や空隙がないことで、損傷も生じにくい。

0033

本発明の第9のレール表面処理方法では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、金属ろう剤は、銀、銅および亜鉛を含む、液相線温度が750℃未満の銀ろうである。

0034

この構成により、金属ろう剤は、オーステナイト変態点未満の温度で、溶融する。

0035

本発明の第10のレール表面処理方法では、第9の発明に加えて、銀ろうは、更に貴金属素材を含む。

0036

この構成により、金属ろう剤は、レール溝接触面との溶着力が強化され、耐久性を向上させることができる。

0037

本発明の第11のレール表面処理方法では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、所定温度条件は、750℃未満である。

0038

この構成により、レールにマルテンサイト組織が生じなくなる。

0039

本発明の第12のレール表面処理方法では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、所定時間条件は、金属ろう剤の溶着が、130mm/分〜150mm/分で行われる条件である。

0040

この構成により、溶着速度が高まり、作業効率が高まる。

0041

本発明の第13のレール表面処理方法では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、所定高さは、0.2mm以上0.5mm以下である。

0042

この構成により、列車のレール走行に影響が及ばない。

0043

以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。

0044

(実施の形態1)
列車の走行による磨耗や損耗にも高い耐久性を示して、レールの種別及び線路の種別を問わず長期間にわたって十分な導電性を維持できるレールの表面処理が必要である。このレールの表面処理の基本は、車輪と接触するレール頭部に、溝を形成して、当該溝に金属ろう剤を充填・溶着することである。このとき、従来技術で説明したように、金属ろう剤を溶着する際の加熱温度が、オーステナイト領域に入る温度であると、冷却時にマルテンサイト組織を生成してしまう危険があり、レールそのものの強度が低下する問題がある。

0045

ここで、オーステナイト変態点未満の温度である場合には、レールにはマルテンサイト組織が発生せずに、十分な強度を維持できる。ここで、オーステナイト変態点とは、図1に示すFe−C系平衡状態図におけるオーテスナイト領域とそれ以外の領域との境界温度である。図1は、本発明の実施の形態1におけるFe−C系平衡状態図である。

0046

マルテンサイト組織は、所定の鉄鋼材料図1に示すオーステナイト領域内の温度にまで加熱された後、急冷水冷徐冷等)されることで生成される。このため、加熱されて溶着させる金属ろう剤がオーステナイト変態点未満の温度で溶融すれば、所定の鉄鋼材料からなるレールは、溶着させる金属を溶融させるために加熱されてもオーステナイト領域内の温度にまで加熱されることはない。結果として、レールが外界露出している際に、雨水などによる急冷を受けても、レールは、マルテンサイト組織を発生させることが無い。

0047

また、レール頭部に形成される溝に金属ろう剤が溶着されるので、溝の形状に従って、溶着後の金属ろう剤の形状が定まる。この形状によっては、損傷や損耗が生じやすいことがあり、溝の形状が、耐久性向上に寄与する。

0048

本発明は、このような状況に鑑みてなされた。

0049

(全体概要
まず、本発明の全体概要を説明する。

0050

図2は、本発明の実施の形態1におけるレールの斜視図である。レール1は、走行する列車の車輪と接触する頭部2を有する。頭部2が車輪と接触するので、頭部2の導電性が、長期間に渡って維持されることが必要である。このため、頭部2にレールめっきと呼ばれる導電性の金属ろう剤を溶着する表面処理がなされる。金属ろう剤は、頭部2表面に形成される溝3に充填されて溶着される。溶着された金属ろう剤が硬化することで、レール1の頭部2の導電性が確保されるようになる。導電性が確保されれば、レール1を走行する列車の車輪との電気的接続電気的短絡)が確実に生じ、列車の通過や到達が、検出できるようになる。

0051

表面処理は、次のステップを含む。
(ステップ1)頭部2表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝3が形成される。
(ステップ2)溝3に、所定温度条件および所定時間条件の銀を主成分とする金属ろう剤が充填されて溶着される。
(ステップ3)溶着された金属ろう剤が自然冷却される。
(ステップ4)自然冷却された金属ろう剤が、頭部2の表面より所定高さ未満の突出となる要に、研磨される。

0052

これらの、ステップ1〜ステップ4によって、レール1が表面処理されることで、耐久性に優れると共にレールの強度低下をもたらさない導電性確保が実現される。特に、金属ろう剤が、銀を主成分とすることで、溶着に必要となる加熱温度がオーステナイト変態点未満とできる。この結果、金属ろう剤の溶着作業において、レールにマルテンサイト組織を発生させることが無くなって、レールの強度低下を防止できる。

0053

次に、各ステップの詳細について説明する。

0054

(ステップ1の詳細)
ステップ1で、レール表面処理方法は、レール1の頭部2に溝3を形成する。溝3は、研削や切削を行う機能を有する溝加工器具が用いられて形成されれば良い。このとき、溝3は、2段階の作業で形成される。図3は、本発明の実施の形態1における溝の形成工程を示す説明図である。

0055

まず、図3の上部に示されるように、溝加工器具で、U字状の溝3Aが形成される。研削や切削によって、溝3Aが形成されれば良い。溝3Aは、溝3Aの底部31はU字状の曲線を有しているが、端部32はそのまま表面21に繋がっているだけである。また、溝3Aは、深さが約1.0mmおよび幅が約6.0mmである。

0056

次に、溝加工器具によって、溝3Aの底部31および端部32が二次加工される。この加工によって、図3の下半分に示すような最終的な溝3が形成される。溝3は、この二次加工によって、幅が8mm、深さが1.2mmとなる。もちろん、二次加工前の状態によっては、最終的な溝3の幅が6mmであり深さが1.0mm程度であっても良い。すなわち、溝3の幅は、6mm以上8mm以下であることが好ましい。また、溝3の深さは、1.0mm以上1.2mm以下であることが好ましい。

0057

このように、溝3は、所定幅として、6mm以上8mm以下を有し、所定深さとして、1.0mm以上1.2mm以下を有することが好適である。もちろん、これらは一例であり、これを外れることを除外するものではない。

0058

また、溝3は、所定形状を有することが好ましい。図3の下半分に示される溝3は、所定形状を有している。所定形状は、溝3の底部31が幅方向図3における横方向)における曲線により形成される。すなわち、溝3の底部31は、幅方向に沿って曲線を有している。図3より明らかな通り、溝3の底部31は、角部や直線部を有さずに、その横断面(幅方向の断面)は、曲線だけで構成される。ここで、角部や直線部を有さないとは、物理的測定での厳密なものを意味するのではなく、一般的な視覚上で角部や直線部を有さないという意味である。製造上のばらつきや精度によって、僅かな角部や直線部が生じていることを除く意図ではない。

0059

この曲線は、溝3の底部31だけでなく端部32にも形成されている。すなわち、溝3の一方の端部32から他方の端部32にかけて(底部31を経由して)、上方向へ膨らむ曲線、下方向に膨らむ曲線、上方向へ膨らむ曲線が、連続して、曲線全体を形成している。このようななだらかな曲線を有することで、溝3の形状が決定される。更に詳述すると、溝3の底部31は、略U字状の曲線を有し、溝3の端部32は、溝3内部からレール1の頭部2表面に繋がるR状の曲線を有している。

0060

この溝3には、金属ろう剤が充填されるので、溝3の形状によって、金属ろう剤の形状も決定される。金属ろう剤は、幅方向全体での曲線に沿って充填されて溶着される。金属ろう剤がこのような構造を有することで、金属ろう剤は、頭部2の表面の幅方向に広がって形成される。特に、端部32が、頭部2表面に広がるような曲線形状を有するので、金属ろう剤がこれに合わせて広がる。頭部2表面の幅方向に金属ろう剤が広がれば、導電性が高まる。

0061

また、溝3に金属ろう剤を溶融充填する際、当然ながら溝3近傍は加熱される。この際、溝3の底部31及び端部32はバーナーによる加熱を受け、その断面形状に角部(Rが小さい曲線部分を含む。)があると、その部分に熱が滞留し温度が上昇してしまう。このため、溝の断面が一様な温度分布とならず、角部ではオーステナイト変態点温度を越えてしまい、マルテンサイトを生成する危険が生じる。

0062

溝3の断面形状に角部が存在しないことで、加熱時に溝3の断面を均等な温度分布とすることが可能となり、この結果、金属ろう剤を、オーステナイト変態点温度未満で、溝3全体に均等に、溶融充填することが可能となる。

0063

また、溝3の断面形状に角部が存在しないことで、レール1と金属ろう剤との接合面の特定の部位に、応力が掛かりにくくなるというメリットもある。この結果、溶着された金属ろう剤は、溝3から剥離しにくくなる。レール1には、列車の走行による圧力や負荷が掛かるが、このような圧力や負荷による剥離にも耐えやすくなる。

0064

このように、溝3が端部32、底部31、端部32にかけて、なだらかな曲線状の断面を有することで、オーステナイト変態点温度未満で金属ろう剤の溶着ができ、溶着された金属ろう剤が、高い導電性と高い耐久性を有するようになる。

0065

また、上述の所定幅と所定深さが定義されることで、この所定形状を有するようになる。すなわち、所定形状は、所定幅と所定深さによって、その形成が実現される。溝加工器具は、この所定幅および所定深さを設定として有して溝3を研削もしくは切削することで、溝3の所定形状を実現する。なお、研削であるか、切削であるかは、特に大きな区別ではなく、レール1の頭部2表面に溝3を形成できる工程であれば何でも良い。

0066

溝加工器具は、種々の要素を設定できる。溝3の所定幅および所定深さをパラメータとして設定可能である。溝加工器具は、設定されたパラメータに従い、レール1の頭部2を研削する。ここで、所定幅と所定深さとを、所定関係として設定することで、溝加工器具は、図3に示されるような所定形状を有する溝3を形成できる。

0067

一例として、所定幅と所定深さの比が、6〜8倍(所定幅の数値が、所定深さの数値の6倍から8倍である)である。所定幅が、所定深さの6〜8倍の数値を有することで、溝加工器具は、図3に示すように、端部32と底部31とが全体としてなだらかな曲線で繋がるようになる。

0068

特に、溝3の所定深さは、1.0mm〜1.2mm程度であるので、余り深いものではない。この余り深くない所定深さを基準に、所定幅がこの所定深さの6倍〜8倍であることで、溝3の端部32および底部31は、自然と曲線状となる。溝加工器具は、このような設定を利用することで、端部32から底部31にかけて連続的かつ全体的に繋がる曲線を、溝3の断面に形成することができる。

0069

(ステップ2の詳細)
次に、ステップ2の詳細について説明する。ステップ2では、溝3に所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤が充填されて溶着される。

0070

溝3は、ステップ1で形成されているので、金属ろう剤が、この溝3に充填される。このとき、レール1および金属ろう剤の少なくとも一方が加熱されることで、金属ろう剤は、融点を越えて溶融する。溶融した金属ろう剤は、溝3内部に充填されるようになる。例えば、(図4のように)金属ろう剤の棒10を溝3の上に斜めから突き立てた状態でバーナー11で加熱することで、金属ろう剤を溶融させながら、ビート状に溝3内部に充填していく。

0071

図4は、本発明の実施の形態における溝への金属ろう剤の充填を示す説明図である。バーナー11で加熱されて溶融した金属ろう剤が、棒10によって溝3内部に充填されていく様子が示されている。

0072

この金属ろう剤を充填する際の所定温度条件は、加熱温度が750℃未満である。750℃未満であることで、オーステナイト変態点未満で留まるからである。一方、ろう接では母材の温度を金属ろう剤の溶融温度以上に加熱しておく必要がある。このため、金属ろう剤の溶着には、先ずレール1をバーナーなどで加熱する。この加熱において、レール1がオーステナイト変態点以上に加熱されると、レール1にマルテンサイト組織が発生してしまう危険性がある。

0073

ここで用いる金属ろう剤の溶融温度は、750℃未満であるので、レール1を750℃以上に加熱する必要は無い。ステップ2で用いられる金属ろう剤は、銀を主成分としているので、銅などを主成分とする金属ろう剤と異なり融点が低い。このため、加熱の際の所定温度を、750℃未満とすることができる。

0074

加熱時のレール1の温度をオーステナイト変態点以下とするために、加熱に用いられるバーナーや加熱器具が、バーナー火口ガス圧などの設定によりその加熱温度を750℃未満としておけば良い。

0075

また、金属ろう剤の溶着は、130mm/分〜150mm/分の速度である所定時間条件で行われれば良い。金属ろう剤の溶融温度が低いことで、加熱して溶融させる時間が節減できることで、溶着速度が高まる。従来技術の一例として、黄銅を主成分とする金属ろう剤では、加熱温度を900℃程度としなければならなかったことで、溶着速度は、70mm/分〜90mm/分程度であった。溶着速度が遅いことは、作業性・安全性の低減という、作業者側の問題だけでなく、レール1の長時間の加熱による損耗を生じさせかねない。

0076

本発明の表面処理方法で用いられる金属ろう剤は、銀を主成分としており、所定温度および所定時間条件が上述の通りであるので、作業性・安全性を高めると共に、レール1の損耗を生じさせにくい。また、溶着速度が速いことで、加熱作業に必要となる燃料(バーナーの燃料)の量を少なくできる。量が少ないことで、運搬作業も効率が高まり、遠隔地での作業も容易化される。

0077

実施の形態1で説明されるレール表面処理方法は、線路が敷設されている場所で行う必要がある。すなわち、鉄道敷に敷設されているレールに、表面処理を施す必要がある。レールが敷設されているのは、山間地や郊外などの不便な場所であったり、頻繁に列車が走行する近傍の側線であったりする。前者の場合には、必要な装置や器具の運搬が用意であることが求められる。後者の場合には、作業時間が短いことが求められる。実施の形態1のレール表面処理方法では、ステップ2が金属ろう剤の溶着に必要な燃料が少ないので、前者の場合にも好適である。また、ステップ2の時間も短いので、後者の場合にも好適である。

0078

このように、実施の形態1のレール表面処理方法は、溶着時間が短いことで、現場作業の効率化が図られる。例えば、レール表面処理は、海外の鉄道に敷設されているレールにも必要であるが、溶着時間が短いことは、このような場合にも好適である。

0079

(金属ろう剤)
このような溶着時間を短縮できるのは、金属ろう剤の融点がオーステナイト変態点以下であることによる。また金属ろう剤の融点や凝固点のほか、導電率などの電気的特性や、硬度、強度や鋼との相性(溶着力)と言った物理的特性は、金属ろう剤の成分や成分比に左右される。

0080

金属ろう剤は、銀を主成分とする。銀を主成分とすることで、黄銅ろうと比較して、先ず電気的特性に優れる、次に、融点が下がる、というメリットがある。またここで、金属ろう剤は、銀、銅および亜鉛を含む銀ろうであることも好適である。銀ろうの場合、溶着後の電気的特性試験において、黄銅ろうとの対比で、約1.7倍の導電率を示している。これにより良好な導電率を保持できる。また、このような成分を含有することで、金属ろう剤は、オーステナイト変態点以下の融点を有するようになる。例えば、銀:銅:亜鉛の比が40:30:30である銀ろう剤は、融点が730℃であり、45:30:25では745℃であることが知られている。したがって、銀、銅および亜鉛の含有割合は、諸条件を案して、適宜定められれば良い。

0081

また、銀ろうは、更に貴金属素材を含むことも好適である。貴金属素材は、銀ろうの融点、強度、耐久性にメリットを与えることが多いからである。貴金属素材は、銀ろうの仕様及び母材である鋼との相性に合わせて、適宜選択されればよい。選択された貴金属素材の特性に応じて、銀ろう(すなわち金属ろう剤)が、溶着された後で、その輝度色味に特徴が生じることもある。

0082

金属ろう剤は、ステップ1で形成された溝3に加熱されつつ充填される。すなわち、金属ろう剤は溶融状態となって溝3に充填される。このため、溝3の内部に十分に拡張しつつ充填される。この結果、金属ろう剤は、溝3の端部32から底面31にかけた曲線にあわせて、充填される。言い換えれば、金属ろう剤とレール1との接合面は、溝3の有する曲線に沿っている。曲線に合っていることで、角部や屈曲部が存在しにくくなり、溶着の耐久性が高まる。

0083

(ステップ3)
次に、ステップ3について説明する。

0084

溝3に充填されて溶着された金属ろう剤は、自然冷却される。レール1は、外界に敷設されているので、外気温に合わせて冷却される。すなわち、自然冷却の一例として溶着された後のレール1をそのまま放置する。金属ろう剤の溶着時の加熱温度は、750℃未満であるので、そのまま放置される場合でも、外気温によって十分に冷却される。また、冷却を加速したり、冷却時の損耗を防止したりするために、レール1に毛布シートが被せられることも好適である。

0085

もちろん、レール1は、溶着された金属ろう材に比べて、圧倒的に比熱容量が大きいため、外界に露出されて外気温で冷却される場合でも、濡れた毛布やシートが被せられて冷却される場合でも、金属ろう剤は、徐々に冷却されることになる。すなわち、急冷されることはない。このため、溶着された金属ろう剤は、結晶構造格子構造欠損させることがない。もちろん、レール1も損耗したりすることがない。これらの結果、溶着された金属ろう剤は、確実に溝3に固着されて、レール1と接合する。

0086

ステップ3により、レール1に形成された溝3に、金属ろう剤が固着される。

0087

(ステップ4)

0088

次に、ステップ4について説明する。ステップ4では、冷却されて固着された金属ろう剤が、レール1の頭部2表面より所定高さ以下の突出となるように、金属ろう剤の突出部分が研磨される。

0089

金属ろう剤は、作業者の作業によって、溝3に溶着される。このとき、作業者は、溝3を加熱し、棒状の金属ろう剤を溝3に触れさせ棒の先端部の金属ろう剤を溶融させる、次にろうが溶着した先の溝3を加熱し、同じようにろうを溶着させる、を繰り返しながら金属ろう剤の溶着を繰り返す。このため、硬化したあとの金属ろう剤は、溝3にビート状に固着しており、レール1の頭部2表面より波状に突出した状態となる。突出状態が大きすぎると、当然ながら列車の走行に支障を来たす。このため、冷却されて硬化したあとで、ステップ4にて、突出部分が研磨される。

0090

研磨には、研磨剤研磨器具などが用いられる。十分に冷却された後で、作業者が研磨剤で研磨したり、研磨器具で研磨したりすることで、突出部分は徐々に平らにならされていく。ただし、レール1の頭部2表面を研磨しすぎてしまわないように注意することも必要である。一方で、研磨が不足することも好ましくない。

0091

このため、所定高さが規定されて、この所定高さ以下となるように研磨されることが好適である。作業工程においてはこの所定高さが規定され、作業者(あるいは作業器具の設定)は、この規定された所定高さ以下となるように、研磨作業を行う。

0092

ここで、所定高さは、0.2mm以上0.5mm以下である。これは、金属ろう剤の溶着面が列車の車輪踏面と確実に接触するためには、レール頭面よりもいくらか高く盛り上げる必要があるが、施工上、高さを0.2mm以下で均一化することは困難であり、一方、金属ろう剤の溶着面は、車輪の主荷重によって押さえつけられ、その際に張り出しが生じて剥離を生成する危険性があるため、頭頂面から高く張り出すことは好ましくないからである。また、この程度の突出であれば、レール1を走行する列車に、異音や衝撃などの支障が出ることがほとんどないからである。

0093

以上のように、所定高さを規定した上で研磨されることで、レール表面処理が完了する。レール表面処理が完了することで、レール1の導電性が確保され、列車の到達や通過が、確実に検出されるようになる。もちろん、レール表面処理方法の実施において、レール1へのオーステナイト変態点以上の加熱がなされないことで、レール1の損耗も生じにくい。結果として、十分な耐久性と導電性を有するレール1が実現できる。これにより、レール種別及び線路の種別を問わず、レールの表面処理が適用できるようになる。

0094

(実施の形態2)

0095

実施の形態1では、レール表面処理方法について説明したが、このレール表面処理方法で製造されるレールも、本発明の対象である。

0096

すなわち、実施の形態2のレールは、列車の車輪と接触する頭部表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で溝を形成し、溝に、所定温度条件および所定時間条件で、銀を主成分とする金属ろう剤を充填して溶着し、溶着された金属ろう剤を自然冷却させて、冷却された金属ろう剤が、頭部表面より所定高さ未満の突出となるように研磨されて得られる。

0097

実施の形態2のレールは、図2で示されるものと同様である。すなわち、レール1には、溝3が形成され、この溝3に金属ろう剤が充填されることで表面処理が施されたレール1が得られる。溝3の形成、金属ろう剤の充填および研磨は、実施の形態1で説明されたとおりである。すなわち、ステップ1〜ステップ4の工程が施されて、実施の形態2におけるレール1が得られる。

0098

このようにして得られるレール1は、十分な耐久性を有しつつ導電性を有する。この導電性によって、レール1は、列車の到達や通過を検出できるようになる。また、実施の形態1で説明した処理方法は、レールの種別を問わず実施することができるので、熱処理が施されたレールや施されていないレールなどの様々なレールでも、このような処理方法によって導電性が確保されるようになる。

0099

レール1の製造工程であるステップ1〜ステップ4は、実施の形態1で説明した通りである。このようにして得られたレール1は、列車の車輪と接触する頭部2表面に、所定幅、所定深さおよび所定形状の少なくとも一つの条件で形成された溝3と、溝3に、所定温度条件および所定時間条件で、溶着された銀を主成分とする金属ろう剤と、を、備える。この金属ろう剤は、溶着後に自然冷却および所定高さ未満での研磨を受ける。この結果、頭部2表面に所定高さ未満の突出を有する金属ろう剤(導電部分)が形成される。このようなレール1は、当然ながら導電性を確保できるので、列車の到達や通過を検出できる。

0100

当然ながら、ステップ1〜ステップ4の特長により、レール1は、高い耐久性、特に導電性の維持を実現できる。結果として、レールを通過する列車の未検出などの問題を引き起こすことが減少し、メンテナンス費用や手間が低減するメリットも生じる。結果として、鉄道システムに対する信頼性も向上する。

0101

(実験例その1)
銀ろうを主成分とする金属ろう剤であって、上記のステップ1〜ステップ4を用いたレール表面処理により、レールにはマルテンサイトが形成されなくなる。図5は、本発明の実験例の結果を示す写真である。図5の写真から明らかな通り、レールの溝3の底面部分には、マルテンサイト組織を生成する可能性がある熱影響層が発生していない。このため、レールの耐久性が減少することもない。また、図5では、溝3の端部32とレール表面との接続部分に角部があり、その周辺のレール組織の一部が熱影響を受けていることを示している。これにより、溝3は、その横断面内に角部を有することが好ましくないことを示している。

0102

一方、図6は、黄銅ろうを主成分とする金属ろう剤であって、ステップ1〜ステップ4とは異なる従来工法で行われたレール表面処理の結果を示している。図6は、従来例での表面処理の結果を示す写真である。図6から明らかな通り、マルテンサイト組織を生成する可能性がある熱影響層が厚く分布しており、金属ろう剤の素材および工程が異なることで、本発明の奏する効果が得られない。逆に言えば、図5に示されるように、本発明は、マルテンサイトを発生させない効果を有している。

0103

(実験例その2)
また、銀ろうを主成分とする金属ろう剤であって、上記のステップ1〜ステップ4を用いたレール表面処理で得られたレールでの実際の列車検知の実験を行った。

0104

図7は、本発明の実施の形態におけるレールでの列車検知の実験結果を示す説明図である。図7に示される実験は、踏切終動点で列車を検知した。この実験では、10日以上列車が運行せずに、レール表面が錆びている状態で、検知結果が採取された。踏切終動点の列車検知には、踏切制御子と呼ばれる開電路型列車検出装置が用いられ、列車検知のための電流には、30.4kHzまたは40.4kHzの周波数が用いられる。

0105

この実験では、列車検知区間である25m部分に、レールめっきである表面処理が施されている。但し、検知区間内にレールの継ぎ目がある場合には、継ぎ目の両サイド50cmずつ、合わせて1mの区間には、表面処理が施されていない。すなわち、金属ろう剤が溶着されていない。

0106

図7の最上段に示されるグラフは、踏切制御子のバンドパスフィルタ(BPF)を通した後の、30.4kHzの信号周波数を示している。図7中段に示されるグラフは、列車検知リレーの電圧を示しており、最下段のグラフは、列車検知リレーの反応リレーの電圧を示している。

0107

導電性の良いレール(レールめっきとの表面処理が施されていなくても)であれば、30.4kHzの信号は、列車が近づくにつれて徐々に大きく検出され、一定レベルになると検知リレーが動作する。一方、列車が遠ざかる際には検知リレーが落下して、次第に30.4kHzの信号が逓減していく。

0108

図7に示される実験例では、列車がレールめっきの施されている区間に入ると即座に列車を検知し、レールめっきの施されている区間を抜けると検知を終了していることが分かる。このように、レールめっきである表面処理が施されていることで、レールは、確実に列車の通過や到達を検知できるようになる。

0109

ところで、本文で使用している「列車」とは、一般的概念で使用したものであり、鉄道関係法や省令で定義する、「列車」及び「車両」との区分で定義されるものではなく、その両方に該当するものである。

0110

なお、実施の形態で説明されたレールの表面処理方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。

0111

1レール
2 頭部
3 溝
31 底部
32 端部

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