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図面 (8)

課題

クラッドの発生を防止しつつCo、Mn及びNiを分離回収できる方法を提供すること。

解決手段

本発明の有価金属分離方法では、Co、Mn及びNiを含む被処理液からなる水相酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Co及びMnを有機相に抽出するとともにNiを水相に残留させることで、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離する。Niが除去された後の、Co及びMnを主として含む前記有機相と、0.01〜12Nの鉱酸を含む水相又はMnを含む水相とを接触させ、該有機相からCoを該水相に逆抽出することで、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する。

概要

背景

Co、Mn及びNiを含む被処理液からこれらの金属を分離する従来の技術としては、例えば特許文献1及び2に記載の技術が知られている。これらの文献においては、Co、Mn及びNiを含む水相と、酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Mnを含む有機相とCo及びNiを含む水相とに分離する。次いで、Co及びNiを含む水相と、別の酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Coを含む有機相とNiを含む水相とに分離する。このようにして、Co、Mn及びNiをそれぞれ分離することができる。

概要

クラッドの発生を防止しつつCo、Mn及びNiを分離回収できる方法を提供すること。本発明の有価金属分離方法では、Co、Mn及びNiを含む被処理液からなる水相と酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Co及びMnを有機相に抽出するとともにNiを水相に残留させることで、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離する。Niが除去された後の、Co及びMnを主として含む前記有機相と、0.01〜12Nの鉱酸を含む水相又はMnを含む水相とを接触させ、該有機相からCoを該水相に逆抽出することで、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する。

目的

本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る有価金属の分離方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

Co、Mn及びNiを含む被処理液からなる水相酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Co及びMnを有機相に抽出するとともにNiを水相に残留させることで、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離することを特徴とする有価金属分離方法

請求項2

二段以上のミキサーセトラーを用い、該ミキサーセトラーの一方の側から前記水相を供給するとともに、他方の側から前記有機相を供給して、両相を向流接触させ、前記ミキサーセトラーに供給する前記水相に含まれるMn及びCoの合計量に対して1倍当量以上のアルカリ物質を、前記有機相が供給される前記ミキサーセトラーにおけるミキサー部に添加する、請求項1に記載の分離方法。

請求項3

前記有機相として、Mn濃度が0.5g/L未満のものを用いる請求項1又は2に記載の分離方法。

請求項4

前記被処理液から分離された、Co及びMnを主として含む前記有機相と、0.01〜12Nの鉱酸を含む水相、Mnを含む水相、Coを含む水相、又はMn及びCoを含む水相とを接触させ、該有機相に含まれる微量のNiを該水相側へ移行させる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の分離方法。

請求項5

二段以上のミキサーセトラーを用い、該ミキサーセトラーの一方の側からCo及びMnを主として含む前記有機相を供給するとともに、他方の側から0.01〜12Nの鉱酸を含む前記水相、Mnを含む前記水相、Coを含む前記水相、又はMn及びCoを含む前記水相を供給し両者を向流接触させることで、該有機相に含まれる微量のNiを該水相側へ除去する、請求項4に記載の分離方法。

請求項6

Niが除去された後の、Co及びMnを主として含む前記有機相と、0.01〜12Nの鉱酸を含む水相又はMnを含む水相とを接触させ、該有機相からCoを該水相に逆抽出することで、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する、請求項5に記載の分離方法。

請求項7

二段以上のミキサーセトラーを用い、該ミキサーセトラーの一方の側から、Niが除去された後の、Co及びMnを主として含む前記有機相を供給するとともに、他方の側から0.01〜12Nの鉱酸を含む前記水相又はMnを含む前記水相を供給し両者を向流接触させることで、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する、請求項6に記載の分離方法。

請求項8

Coを主として含む前記水相と、酸性抽出剤を含む有機相とを接触させることで、該水相中に含まれる微量のMnを該有機相へ移行させて、該水相のCoを精製する請求項6又は7に記載の分離方法。

請求項9

二段以上のミキサーセトラーを用い、該ミキサーセトラーの一方の側から、Coを主として含む前記水相を供給するとともに、他方の側から酸性抽出剤を含む前記有機相を供給し両者を向流接触させ、かつ該ミキサーセトラーに供給する該水相に含まれる微量のMnに対して1倍当量以上のアルカリ物質を、該有機相が供給されるミキサーセトラーのミキサー部に添加する、請求項8に記載の分離方法。

請求項10

酸性抽出剤を含む前記有機相として、Mn濃度が0.5g/L未満のものを用いる請求項8又は9に記載の分離方法。

請求項11

Mnを主として含む前記有機相と0.1N以上の鉱酸を含む水相とを接触させて、該有機相に含まれるMnを該水相へ逆抽出して、該水相に移行したMnを回収する請求項6に記載の分離方法。

技術分野

0001

本発明は、Co、Mn及びNiを含む被処理液からこれらの金属を分離する有価金属分離方法に関する。

背景技術

0002

Co、Mn及びNiを含む被処理液からこれらの金属を分離する従来の技術としては、例えば特許文献1及び2に記載の技術が知られている。これらの文献においては、Co、Mn及びNiを含む水相と、酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Mnを含む有機相とCo及びNiを含む水相とに分離する。次いで、Co及びNiを含む水相と、別の酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Coを含む有機相とNiを含む水相とに分離する。このようにして、Co、Mn及びNiをそれぞれ分離することができる。

先行技術

0003

特開2008−231522号公報
特開2009−193778号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、Co、Mn及びNiの中から先ずMnのみを抽出する特許文献1及び2に記載の方法では、Mnを抽出する際に、pHの調整に用いられるアルカリと、処理液中のMnとが反応して発生する固体マンガン酸化物に起因するクラッドという固体と有機相が混在した第三相が有機相と水相の中間に意図せず生成してしまう。クラッドの生成は分離効率収率に悪影響を及ぼす一因となる。

0005

したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る有価金属の分離方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、Co、Mn及びNiを含む被処理液からなる水相と酸性抽出剤を含む有機相とを接触させ、Co及びMnを有機相に抽出するとともにNiを水相に残留させることで、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離することを特徴とする有価金属の分離方法を提供するものである。

発明の効果

0007

本発明によれば、クラッドの発生を防止しつつCo、Mn及びNiを分離回収することができる。また本発明によれば、従来よりも少ない分離段数で、Mn及びNiを分離回収することができる。

図面の簡単な説明

0008

図1は、本発明の有価金属の回収方法において、Co、Mn及びNiを含む被処理液を調製する工程を示すフローチャートである。
図2は、図1に示す工程で調製された被処理液からCo、Mn及びNiを分離する工程を示すフローチャートである。
図3(a)は、従来技術に従い被処理液からMnのみを有機相に抽出するときの被処理液中のMn濃度抽出段数との関係を示すグラフであり、図3(b)は、本発明に従い被処理液からCo及びMnを有機相に抽出するときの被処理液中のCo濃度及びMn濃度と抽出段数との関係を示すグラフである。
図4は、ミキサーセトラーを用い、本発明に従いCo、Mn及びNiを含む被処理液からCo、Mn及びNiを分離する工程を示す工程図である。
図5は、ミキサーセトラーを用い、実施例1で行ったCo、Mn及びNiを分離する工程を示す工程図である。
図6は、ミキサーセトラーを用い、実施例2で行ったCo、Mn及びNiを分離する工程を示す工程図である。
図7は、ミキサーセトラーを用い、比較例1で行ったCo、Mn及びNiを分離する工程を示す工程図である。

0009

以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。図1及び図2には、本発明の分離方法のフローチャートが記載されている。これらのフローチャートを参照しながら、本発明の分離方法を詳細に説明する。先ず、図1を参照しながら、Co、Mn及びNiを含む被処理液の調製工程を説明する。本発明における処理の対象物としては、Co、Mn及びNiを含む物質であれば特に制限はない。そのような対象物の例としては、Co、Mn及びNiを含むリチウムイオン二次電池正極材料が代表的なものとして挙げられる。かかる正極材料は、一般にLi(CoxMnyNiz)O2(式中、x>0、y>0及びz>0であり、x+y+z=1である。)で表される三元系のものである。

0010

Co、Mn及びNiを含む三元系正極材料は水不溶性のものであるので、先ずこれを還元浸出する。還元浸出には還元剤及び硫酸を用いる。還元剤としては、例えば過酸化水素アルミニウムを用いることができる。還元剤との反応によって三元系正極材料中のCoは三価から二価に還元され、硫酸中に浸出可能になる。Mn及びNiも二価の状態で硫酸中に浸出可能である。還元剤の添加量は、三元系正極材料に含まれる三価のCoに対して好ましくは1倍当量以上、更に好ましくは1〜3倍当量とする。ここでいう1倍当量とは、1モルの三価のCoを二価のCoに還元するために1モルの還元剤が必要な場合は、1モルが1倍当量であり、0.5モルの還元剤で足りる場合には、0.5モルが1倍当量である。一方、硫酸の添加量は、浸出液中における硫酸の濃度が好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%になるような量とする。

0011

三元系正極材料、還元剤及び硫酸を混合して還元反応を生じさせるとともに、Co、Mn及びNiを液中に浸出させる。この操作によって固液共存スラリーが得られる。このスラリーを濾過することで、濾液である還元浸出液と残渣とが分離させる。

0012

還元浸出液中には、Co、Mn及びNiが溶解した状態で含まれている。また還元浸出液中には微量のCuが溶解した状態で含まれている。Cuはリチウムイオン二次電池の集電体等に由来している。Cuは、本発明の分離方法における処理の対象外の元素なので、この時点で除去することが好適である。Cuの除去には、例えばFeを用いたセメンテーションが好適に用いられる。具体的には、CuとFeとのイオン化傾向の差を利用し、Fe粉を還元浸出液に添加することで、Cuを金属に還元して沈殿させる。Fe粉は二価のイオンの状態で還元浸出液中に溶解する。セメンテーションによって脱Cu液(この液はCo、Mn、Ni及びFeを含む)と、粗Cuとが生じ、両者を濾過して分離する。

0013

次に脱Cu液中に含まれている二価のFeの脱Feを行う。脱Feには、酸化中和処理を行う(この処理を、その後に行う2回目の酸化・中和処理と区別するために「酸化・中和処理(1)」という。)。酸化・中和処理(1)においては、脱Cu液に酸化剤を添加して、該Cu液中に含まれる二価のFeを三価のFeに酸化する。酸化剤としては、例えば過酸化水素を用いることができる。酸化剤の添加量は、二価のFeに対して好ましくは1倍当量以上、更に好ましくは1〜2倍当量とする。ここでいう1倍当量とは、1モルの二価のFeを三価のFeに酸化するために1モルの酸化剤が必要な場合は、1モルが1倍当量であり、0.5モルの酸化剤で足りる場合には、0.5モルが1倍当量である。

0014

脱Cu液中に含まれるFeを三価に酸化したのち、該脱Cu液に中和剤を添加することで、三価のFeをFe(OH)3の形で沈殿させる。中和剤としては、例えばNaOH等のアルカリ金属水酸化物や、Ca(OH)2等のアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。中和剤の添加量は、脱Cu液のpHが好ましくは3〜7、更に好ましくは4〜6になるような量とする。なお、沈殿物にはFeのほかにAlも含まれる。沈殿物は濾別され、濾液が2回目の酸化・中和処理に付される。

0015

次に、2回目の酸化・中和処理である酸化・中和処理(2)を行う。本処理では、脱Cu液中に含まれる微量の三価のAlを、Al(OH)3の形で沈殿させる。Alは、三元系正極材料の還元浸出に用いられる還元剤に由来するほか、リチウムイオン二次電池の集電体に由来する。中和剤としては、例えばNaOH等のアルカリ金属水酸化物や、Ca(OH)2等のアルカリ土類金属酸化物を用いることができる。中和剤の添加量は、脱Cu液のpHが好ましくは4〜8、更に好ましくは5〜7になるような量とする。

0016

なお、本処理によって沈殿するAl(OH)3中には共沈物としてCoが相当量含有されている。そこでCoの歩留まりを高くする観点から、このCo・Al沈殿物を濾別して、酸化・中和処理(1)に戻すことが好適である。

0017

Co・Al沈殿物と分離された濾液中におけるFe及びAlの濃度は低減しており、該濾液は、Co、Mn及びNiを主成分として含有するものとなる。このようにして、Co、Mn及びNiを含む被処理液が調製される。

0018

次に、図2を参照しながら、Co、Mn及びNiを含む被処理液から、これら三者を分離する方法について説明する。この方法は、以下の工程I及び工程IIに大別される。
工程I:Co、Mn及びNiを含む被処理液を、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離する。
工程II:Co及びMnを主として含む有機相を、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する。
なお、図2において、二重の四角形で囲った部分は有機相であることを示し、一重の四角形で囲った部分は水相であることを示す。

0019

本方法において特徴的な工程の一つとして、工程I、すなわちCo、Mn及びNiを含む被処理液から先ずCo及びMnを有機相に抽出するとともに、Niを水相に残留させる工程が挙げられる。これとは対照的に、先に述べた特許文献1及び2に記載の従来技術では、Co、Mn及びNiを含む被処理液から先ずMnのみを有機相に抽出している。

0020

被処理液からMnのみを有機相に抽出せず、Co及びMnを有機相に抽出することの利点は次に述べるとおりである。従来技術に従い被処理液からMnのみを有機相に抽出する場合、図3(a)に示すとおり、溶媒抽出段数の増加とともに被処理液中のMnの濃度は漸次低減していく。つまり、有機相中のMnの濃度は漸次増加していく。そして、被処理液中のMn濃度が実質的にゼロになりきっていない時点で、NaOHを添加する。この方法では、被処理液中でのMn濃度の低下が元々少ないので、被処理液中でMnとNaOHが接触しやすく、そのことに起因してクラッドが生成しやすい。その上、被処理液中でのMn濃度が少しでも変動すると、被処理液中でMnとNaOHが接触する機会が多く発生し、そのことに起因してもクラッドが生成しやすい。これに対して、本発明に従い被処理液からCo及びMnを有機相に抽出する場合、図3(b)に示すとおり、溶媒抽出の段数の増加とともに、先ず抽出されやすい元素であるMnの濃度が漸次低減していき、その後にCoの濃度が漸次低減していく。したがって、被処理液中のCo濃度が実質的にゼロになった時点でNaOHを添加した場合、被処理液中でのMn濃度が少々変動しても、該被処理液中でのMn濃度は既に実質的にゼロであることが確保されるので、被処理液中でMnとNaOHが接触する機会は非常に少なくなる。その結果、本分離方法によればクラッドが発生しづらくなる。

0021

被処理液からCo及びMnを有機相に抽出するために用いられる酸性抽出剤としては、当該技術分野において従来用いられていたものを用いることができる。例えばジ−2−エチルヘキシルリン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ジ(2,4,4−トリメチルペンチルホスフィン酸などを用いることができる。また酸性抽出剤として市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えばランクセス株式会社から入手可能なBAYSOLVEX D2EHPA(商品名)、大八化学株式会社から入手可能なPC88A(商品名)、米国サイテックインダストリーズ・インコーポレーテッド社から入手可能なCyanex 272(商品名)などが挙げられる。

0022

酸性抽出剤は、有機溶媒からなる希釈剤と併用することができる。希釈剤としては、例えばケロシンイソパラフィン系溶剤を用いることができる。また希釈剤として市販品を用いることができる。そのような市販品としては、例えば出光興産株式会社から入手可能なIPソルベント2028(商品名)などが挙げられる。酸性抽出剤を希釈剤で希釈して用いる場合、該酸性抽出剤の濃度は5〜40体積%、特に15〜30体積%とすることが好ましい。

0023

工程Iにおける抽出には、当該技術分野において従来用いられていた装置を用いることができる。例えばミキサーセトラーを用いることができる。抽出は一段で行うこともでき、必要に応じ多段で行うこともできる。

0024

工程Iにおける抽出では、pH及び温度を適切に調整してCo及びMnを優先的に有機相に抽出させるとともに、Niを水相(被処理液)に残留させることが好ましい。至適pH値は使用する酸性抽出剤の種類に応じて異なる。酸性抽出剤として例えば上述した大八化学株式会社から入手可能なPC88A(商品名)を用いる場合、pHを好ましくは3〜7に設定し、更に好ましくは4〜6に設定する。温度は好ましくは10〜50℃に設定し、更に好ましくは20〜40℃に設定する。

0025

工程Iによって、Co、Mn及びNiは、Co及びMnを主として含む有機相と、Niを主として含む水相とに分離される。水相に残留したNiは常法に従い処理される。次に工程IIによって、Co及びMnを主として含む有機相を、Mnを主として含む有機相と、Coを主として含む水相とに分離する。詳細には、Co及びMnを主として含む有機相からCoを水相に逆抽出する。CoとMnを比較した場合、MnよりもCoの方が逆抽出されやすいので、Mnを有機相に残留させつつ、Coを水相に抽出することができる。逆抽出には、各種の鉱酸、例えば硫酸、塩酸及び硝酸等を含む水相を用いることができる。水相中での鉱酸の濃度は好ましくは0.01〜12N、更に好ましくは0.5〜6Nとする。なお、鉱酸として塩酸や硝酸を用いる場合、1N=1mol/Lであり、鉱酸として硫酸を用いる場合、1N=0.5mol/Lである。水相に移行したCoは常法に従い処理される。

0026

上述の逆抽出によって有機相からCoが除去されることで、該有機相中にはMnのみが残留する。このMnを有機相から水相に逆抽出する。この逆抽出操作は、上述したCoの逆抽出操作と同様の条件で行うことができる。水相に移行したMnは常法に従い処理される。

0027

Mnが水相に移行した後の有機相においては、Co、Mn及びNiが除去されている。この有機相は、必要に応じ水洗等の操作を経て、溶媒抽出に再使用される。

0028

上述の溶媒抽出に再使用される有機相においては、該有機相中にMnが残留すると、該有機相とアルカリ物質とが接触したときにクラッドを生成する原因となることがある。そのためアルカリ物質が添加されるミキサーへ供給する有機相としては、それに含まれるMn濃度が0.5g/L未満に低減されたものを使用することが好ましく、0.1g/L未満へ低減されたものを使用することが更に好ましい。

0029

図4には、上述した図2に示すフローチャートに従い、ミキサーセトラーを用いて被処理からCo、Mn及びNiを分離する方法が示されている。同図中、実線は水相の流れを示し、点線は有機相の流れを示している。同図に示す方法では、直列配置されたミキサーセトラーを複数用い、一方の側から水相を供給するとともに、他方の側から有機相を供給する多段向流接触方式を採用している。各ミキサーセトラーは、常法に従い、隣り合うミキサーセトラーにおいてミキサー部とセトラー部とが互い違いの位置となるように配置される。同図中、No.7からNo.10のミキサーセトラーにおいて工程Iが行われ、No.1からNo.6のミキサーセトラーにおいて工程IIが行われる。なお以下の説明では、簡便のために、各ミキサーセトラーをその番号のみで呼称することがある。

0030

水相である被処理液はNo.9におけるミキサー部に供給される。このミキサー部には、No.8のセトラー部から排出された水相も供給される(この水相の詳細については後述する。)。No.9に供給された被処理液はNo.10に向かって流れる。一方、酸性抽出剤を含む有機相は、No.10のセトラー部に供給される。この有機相は、本分離方法の工程中で再生されたものであり、クラッドの生成を抑制するためMn濃度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満に低減されている。Co及びNiについても、それらの濃度も0.1g/L未満に低減されている。No.10に供給された有機相はNo.9に向かって流れる。なお、図4においてはCo及びMnの有機相への抽出のためにNo.9及びNo.10の二段のミキサーセトラーを用いたが、これに代えて、例えば後述する実施例で述べるとおり三段以上のミキサーセトラーを用いてもよい。

0031

有機相を供給するミキサーセトラーであるNo.10には、そのミキサー部にアルカリ物質が添加される。アルカリ物質としては、NaOH等のアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)2等のアルカリ土類金属酸化物、Na2CO3及びCa2CO3等の炭酸塩、並びにアンモニアなどを用いることができる。アルカリ物質の添加量は、No.9に供給される被処理液に含まれるMn及びCoの合計量に対して1倍当量以上とすることが好ましく、1〜2倍当量とすることが更に好ましく、1.01〜1.6倍当量とすることが一層好ましい。アルカリ物質として例えばNaOHを用いる場合、二価のCoイオン及びMnイオン(Co2+, Mn2+)1molに対して2molのNaOHを1倍当量とする。アルカリ物質の添加によって、有機相を供給するミキサーセトラーであるNo.10のセトラー部のpHを好ましくは3〜7、更に好ましくは4〜6とする。

0032

No.9及びNo.10のミキサーセトラーによって溶媒抽出が行われ、被処理液中のCo及びMnが有機相に移行するとともに、Niが水相に残留する。水相に残留したNiは、No.10のセトラー部から取り出されて公知の回収工程に付される。一方、Co及びMnを含む有機相には微量のNiが混入しているので、この微量のNiを回収する操作をNo.7及びNo.8のミキサーセトラーによって行う。詳細にはNo.7のミキサー部に、目的物であるCo液、すなわち精製されたCo液(例えば硫酸コバルト水溶液:水相)の一部を供給する。一方、No.8のミキサー部にNo.9のセトラー部から排出される有機相の全量を供給する。Co及びMnを含む有機相は、No.8からNo.7に向けて流れる。一方、Co液はNo.7からNo.8に向けて流れる。この二段のミキサーセトラーによる向流接触によって、Co液からCoが有機相に移行するとともに、有機相に混入しているNiが水相に移行する。移行したNiを含有する水相は、No.8のセトラー部から排出されて、先に述べたとおり、No.9のミキサー部に、被処理液とともに供給される。

0033

No.7及びNo.8の二段のミキサーセトラーを用いたNiの回収工程においては、必要に応じ、例えば実施例で述べるとおり三段以上のミキサーセトラーを用いてもよい。また、Niの回収工程においては、上述したCo液に代えて、硫酸等の鉱酸を0.01〜12N含む水相、Mnを含む水相(例えば硫酸マンガン水溶液)、又はMn及びCoを含む水相(例えば硫酸マンガン及び硫酸コバルト混合水溶液)を用いることもできる。

0034

Ni回収工程においては、水相の流量が多いほど、有機相に含まれるNiの水相への回収率が上がる。しかし、それに伴って水相に移行するMn及びCoの量も増加する。水相に移行したMn及びCoは、先に述べたNo.9及びNo.10のミキサーセトラーで行われるCo,Mn抽出工程において再び有機相に移行することになる。したがって、Ni回収工程、及びCo,Mn抽出工程のミキサーセトラー内を循環するMn及びCoの量が増加するので生産性が低下する傾向になる。これらのことを考慮すると、Ni回収工程における水相の流量は、被処理液の流量の好ましくは1/300〜1/2の範囲、更に好ましくは1/30 〜1/3の範囲に抑えることが望ましい。

0035

Niの回収工程においてNo.7のセトラー部から排出された有機相(この有機相はCo及びMnを主成分として含んでいる)は、工程IIに付される。工程IIにおいては先ず、図4に示すとおり、No.3及びNo.4の二段のミキサーセトラーからなるMn精製工程が行われる。このMn精製工程においては、有機相に含まれるCoを逆抽出して水相に移行させる。詳細には以下に述べる操作を行う。

0036

No.3のミキサー部に、目的物であるMn液、すなわち精製されたMn液(例えば硫酸マンガン水溶液:水相)の一部を供給する。一方、No.4のミキサー部にNo.7のセトラー部から排出される、Co及びMnを含む有機相の全量を供給する。更にNo.5のセトラー部から排出される有機相の全量もNo.4のミキサー部に供給する(この有機相の詳細については後述する)。Co及びMnを含む有機相は、No.4からNo.3に向けて流れる。一方、Mn液はNo.3からNo.4に向けて流れる。この二段のミキサーセトラーによる向流接触によって、有機相からCoがMn液に逆抽出されて移行する。これとともに、Mn液中のMnが有機相に移行する。その結果、有機相中のCoの量が減少し、Mnの精製が進行する。

0037

Mnの精製工程において、No.3のミキサー部に供給される水相は、被処理液に含まれるCoの量に対して好ましくは1〜3倍当量、更に好ましくは1.1〜2倍当量のMnを含むMn液、又は0.1〜6Nの鉱酸の濃度の液である。被処理液に含まれるCoの量1molに対して、Mn液の場合はそれに含まれるMn1molが1当量であり、硫酸の場合は1molが1当量である。塩酸の場合は2molが1当量である。Mn液に過剰の鉱酸が混じった液の場合は、Mnと鉱酸分の加味した量である。

0038

Mn精製工程においては、pHを、Mn液が供給されるNo.3のミキサーセトラーにおけるミキサー部において測定し、該ミキサー部に供給するMn液の増減でpHを加減することが好ましい。例えば該ミキサー部におけるpHが過度に低下したら、供給するMn液の量を減少させることが好ましい。逆にpHが過度に上昇したら、供給するMn液の量を増加させることが好ましい。Mn液の増減で調節するpHの値(No.3のミキサー部でのpHの値)は1〜5に維持することが好ましく、2〜4に維持することが更に好ましい。

0039

No.3及びNo.4の二段のミキサーセトラーを用いたMnの精製工程においては、必要に応じ、例えば実施例で述べるとおり三段以上のミキサーセトラーを用いてもよい。また、Mnの精製工程においては、上述したMn液に代えて、0.01〜12Nの硫酸等の鉱酸を含む水相を用いることもできる。

0040

上述したMnの精製工程においてNo.4のセトラー部から排出された水相は、Coを主成分として含有するものであり、更に微量のMnも含有している。そこで、この微量のMnを、図4に示すとおり、No.5及びNo.6からなる二段のミキサーセトラーによって有機相に移行させ、水相のCoを精製することが好ましい。詳細には、以下に述べる操作を行う。

0041

No.5のミキサー部に、No.4のセトラー部から排出されるCo含有の水相を供給する。一方、No.6のミキサー部に、酸性抽出剤を希釈剤で希釈してなる有機相を供給する。この有機相は、本分離方法の工程中で再生されたものであり、クラッドの生成を抑制するため、Mn濃度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満に低減されている。Co及びNiについても、それらの濃度が0.1g/L未満に低減されている。

0042

有機相が供給されるミキサーセトラーであるNo.6には、そのミキサー部にアルカリ物質が添加される。このアルカリ物質としては、先に述べたNo.10のミキサー部に添加されるアルカリ物質と同様のものを用いることができる。アルカリ物質の添加量は、No.5に供給する水相に含まれるMnの量に対して1倍当量以上とすることが好ましく、1〜2倍当量とすることが更に好ましく、1〜1.6倍当量とすることが一層好ましい。アルカリ物質として例えばNaOHを用いる場合、二価のMnイオン(Mn2+)1molに対して2molのNaOHを1倍当量とする。アルカリ物質の添加によって、有機相が供給されるミキサーセトラーであるNo.6のミキサー部のpHを好ましくは2〜6、更に好ましくは3〜5とする。

0043

Co及び微量のMnを含む水相は、No.5からNo.6に向けて流れる。一方、有機相はNo.6からNo.5に向けて流れる。この二段のミキサーセトラーによる向流接触によって、Mnが水相から有機相に抽出されて移行する。Coは水相に残留したままとなる。その結果、水相中のMnの量が減少し、Coの精製が進行し、目的とする精製Co液が得られる。No.5のセトラー部から排出された有機相は、その全量がNo.4のミキサー部に供給される。

0044

Coの精製工程においては、処理の進行に伴い液のpHが変化する。pHは、有機相が供給されるNo.6のミキサーセトラーにおけるミキサー部において測定し、該ミキサー部に供給するアルカリ物質の増減で加減することが好ましい。例えば該ミキサー部におけるpHが過度に低下したら、供給するアルカリ物質の量を増加させることが好ましい。逆にpHが過度に上昇したら、供給するアルカリ物質の量を減少させることが好ましい。アルカリ物質の増減で調節するpHの値(No.6のミキサー部でのpHの値)は2〜6に維持することが好ましく、3〜5に維持することが更に好ましい。No.6のミキサー部においては、水相にMnがほとんど存在していないので、供給する有機相中のMn濃度を0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満とすることで、アルカリ物質を添加しても、アルカリ物質と水相中及び有機相中のMnとが直接の接触する機会が非常に少ないので、クラッドの発生が効果的に抑制される。

0045

No.5及びNo.6の二段のミキサーセトラーを用いたCoの精製工程においては、必要に応じ、例えば実施例で述べるとおり三段以上のミキサーセトラーを用いてもよい。

0046

先に述べたMnの精製工程において、No.3のセトラー部から排出された有機相(この有機相は、Mnを主成分として含んでいる。)は、No.1及びN.2の二段のミキサーセトラーからなる逆抽出工程に付される。この逆抽出工程においては、No.3のセトラー部から排出されたMn含有の有機相の全量がNo.2のミキサー部に供給される。一方、No.1のミキサー部に逆抽出のための水相が供給される。この水相は、好ましくは0.1N以上、更に好ましくは1〜12Nの鉱酸を含むものである。鉱酸としては、例えば硫酸、塩酸及び硝酸等が用いられる。

0047

Mnを含む有機相は、No.2からNo.1に向けて流れる。一方、鉱酸を含む水相はNo.1からNo.2に向けて流れる。この二段のミキサーセトラーによる向流接触によって、Mnが有機相から水相に逆抽出されて移行する。その結果、目的とする精製Mn液が水相として得られる。一方、有機相からはMnを含め、分離対象となるすべての元素が除去される。逆抽出後の有機相においては、Mnの濃度は0.5g/L未満に低減されていることが好ましく、Co及びNiの濃度は0.1g/L未満に低減されていることが好ましく、Co、Mn及びNiのいずれもその濃度が0.1g/L未満に低減されていることが更に好ましい。これによって、該有機相を容易に再使用することができる。場合によっては、有機相を水で洗浄した後に再使用してもよい。水相に逆抽出されたMnは公知の方法によって回収される。Co、Mn及びNiの濃度が所定の濃度未満に低減された有機相は、好適には工程Iに戻される。

0048

Mnの逆抽出工程においては、処理の進行に伴い液のpHが変化する。pHは、有機相が供給されるNo.2のミキサーセトラーにおけるミキサー部において測定する。そして測定されたpHに応じて、No.1のミキサー部に供給する水相(すなわち鉱酸)の量を加減することが好ましい。例えばNo.2のミキサー部におけるpHが過度に低下したら、供給する水相の量を減少させることが好ましい。逆にpHが過度に上昇したら、供給する水相の量を増加させることが好ましい。水相(すなわち鉱酸)の増減で調節するpHの値(No.2のミキサー部でのpHの値)は0〜3.5に維持することが好ましく、0.5〜2.5に維持することが更に好ましい。

0049

No.1及びNo.2の二段のミキサーセトラーを用いたMnの逆抽出工程においては、必要に応じ、例えば実施例で述べるとおり三段以上のミキサーセトラーを用いてもよく、あるいはミキサーセトラーを一段のみ用いてもよい。

0050

以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、上述した各工程において用いられるミキサーセトラーの段数は、上述した数に限られず、被処理液に含まれるCo、Mn及びNiの濃度等に応じ適切に設定することができる。

0051

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。

0052

〔実施例1〕
<1>Co、Mn及びMnを含む被処理液の調製
Co、Ni及びMnを含むリチウムイオン二次電池滓200gに対して、水1リットルの割合で懸濁させたものに、95%硫酸とリチウムイオン滓に含まれるCoに対して1.2倍当量の過酸化水素を添加して浸出を行った。

0053

浸出後の固液共存のスラリーを濾過して得られた浸出液に、鉄粉を添加して液中のCu(II)イオンを金属銅置換した。その後、濾過してCu(II)イオンをほとんど含まず、かつCo、Ni及びMnを含む液(以下「脱Cu液」という。)を得た。この脱Cu液に含まれるFe(II)イオンに対して1.2倍当量の過酸化水素を該脱Cu液に添加して、Fe(II)イオンをFe(III)に酸化した。

0054

次に、脱Cu液にNaOHを添加してpHを5.5に調整し、該脱Cu液に含まれるFe(III)イオンとAl(III)イオンを水酸化物の状態で沈殿させた。沈殿物を濾別して、Co、Mn及びNiを含む400Lの被処理液を得た。この被処理液中でのCo2+の濃度は16.0g/L(=0.2715mol/L)、Mn2+の濃度は14.1g/L(=0.2566mol/L)、Ni2+の濃度は6.5g/L(=0.1108mol/L)であった。また不純物元素であるFe、Al、Cu及びZnの濃度はいずれも0.001g/L未満であった。被処理液のpHは5.5であった。

0055

<2>被処理液からのCo、Mn及びNiの分離
ミキサー部の容積が0.5Lであり、セトラー部の容積が6Lであるミキサーセトラーを19段用い、これを図5に示すとおりに配置して、以下に述べる方法で被処理液からCo、Ni及びMnを分離した。同図中、実線は水相の流れを示し、点線は有機相の流れを示している。酸性抽出剤としては、大八化学株式会社のPC88A(商品名)を用い、これを出光興産株式会社のIPソルベント2028(商品名)で希釈して有機相として用いた。この有機相における酸性抽出剤を希釈剤の濃度は25体積%とした。

0056

〔工程I〕
〔I−1.Mn・Co抽出工程(Ni精製工程)〕
No.16からNo.19のミキサーセトラー四段で、被処理液からCo及びMnを有機相に抽出するとともに、水相側にNiを残留させてNiを回収した(以下、この水相の液を「回収Ni液」ともいう。)。No.16のミキサーセトラーのミキサー部に、被処理液を34ml/minで供給した。更に、Ni回収工程のNo.15のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出される水相全量を8ml/minで添加した。No.19のミキサー部に、再生した有機相を150ml/minで供給するとともに、12.5%NaOH(3.55mol/L)水溶液を12ml/minで添加した。有機相は、No.1、2及び3のミキサーセトラーにおいて10%硫酸と接触させ金属を除去して再生され、Co、Mn及びNiの濃度がいずれも0.1g/L未満に低減されたものであった(以下、この再生した有機相のことを「再生PC88A」ともいう。)。また、NaOH水溶液は、被処理液中のCo2+及びMn2+に対して1.27倍当量の割合で添加した。処理の途中、No.19のミキサーセトラーにおけるセトラー部の水相でのpHが4ないし6の範囲になるようにNaOH水溶液の添加量を増減してpHを調整した。水相はNo.16、17、18、19のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.19、18、17、16のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.19のミキサーセトラーのセトラー部から回収される水相(回収Ni液)においては、Niの濃度が3.8g/Lであり、Co及びMnの濃度がいずれも0.01g/L未満であった。pHは5.8であった。180Lの被処理液を処理した後、NaOH水溶液を添加したNo.19のミキサーセトラーを観察したところ、クラッドはほとんど発生していなかったことが確認された。以上の工程は、液温30℃で行った。

0057

〔I−2.Ni回収工程(スクラブ工程)〕
No.13からNo.15のミキサーセトラー三段で、Mn・Co抽出工程でMnとCoを抽出した有機相から微量のNiを水相側に移行させた。No.13のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.12のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された回収Co液の一部を8ml/minで供給した。一方、No.15のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.16のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を150ml/minで供給した。水相はNo.13、14、15のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.15、14、13のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.13のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相では、Coの濃度が3.6g/Lであり、Mnの濃度が3.1g/Lであった。Niの濃度は0.01g/L未満であった。

0058

〔工程II〕
〔II−1.Mn精製工程〕
No.4からNo.8のミキサーセトラー五段で、Ni回収工程(スクラブ工程)で得られた、MnとCoを抽出した有機相から、水相側にCoを逆抽出させた。No.4のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された回収Mn液の一部を13ml/minで供給した。一方、No.8のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.13のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を150ml/minで供給するとともに、No.9のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を30ml/minで供給した。処理の途中、No.4のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが2よりも低下したら、回収Mn液の流量を減らす一方、pHが4よりも増加したら、回収Mn液の流量を増加させて、No.4のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.4、5、6、7、8のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.8、7、6、5、4のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.8のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(Co液)では、Coの濃度が67.0g/Lであり、Mnの濃度が4.8g/Lであった。Niの濃度は0.01g/L未満であった。pHは3.5であった。一方、No.4のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相では、Coの濃度が0.05g/Lであり、Mnの濃度が2.7g/Lであった。Niの濃度は0.01g/L未満であった。

0059

〔II−2.Co精製工程〕
No.9からNo.12のミキサーセトラー四段で、Mn精製工程で排出された水相のCo液から、該Co液に含まれる微量のMnを有機相に抽出した。No.9のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.8のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(Co液)の全量を13ml/minで供給した。一方、No.12のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、再生PC88Aを30ml/minで供給するとともに、12.5%NaOH水溶液を1ml/minで供給した。NaOH水溶液の供給量は、No.9のミキサーセトラーにおけるミキサー部に供給されるCo液中のMn2+に対して1.6倍当量とした。処理の途中、No.12のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが3よりも低下したら、NaOH水溶液の供給量を増やす一方、pHが5よりも増加したら、NaOH水溶液の供給量を減らして、No.12のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.9、10、11、12のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.12、11、10、9のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.12のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(回収Co液)では、Coの濃度が37.1g/Lであり、Mnの濃度が0.02g/Lであった。Niの濃度は0.01g/L未満であった。pHは3.6であった。180Lの処理液を処理した後、NaOH液を添加したNo.12のミキサーセトラーを観察したところ、クラッドはほとんど発生していなかったことが確認された。

0060

〔Mn逆抽出工程(有機相の再生)〕
No.1からNo.3のミキサーセトラー三段で、Mn精製工程で得られた、Mnを抽出した有機相と希硫酸水溶液(水相)とを接触させて有機相のMnを水相側に逆抽出した。No.1のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、10%硫酸水溶液を45ml/minで供給した。一方、No.3のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.4のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を180ml/minで供給した。処理の途中、No.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが0.5よりも低下したら、硫酸水溶液の供給量を減らす一方、pHが2.5よりも増加したら、硫酸水溶液の供給量を増やしてNo.3のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.1、2、3のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.3、2、1のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(回収Mn液)では、Mnの濃度が45.2g/Lであり、Coの濃度は0.14g/Lであった。Niの濃度は0.01g/L未満であった。一方、No.1のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相(再生PC88A)では、Co及びMnの濃度がいずれも0.01g/L未満であり、Niの濃度は0.01g/L未満であった。結果を以下の表1に示す。

0061

〔実施例2〕
Co=12.9g/L、Mn=13.2g/L、Ni=12.8g/Lの濃度の被処理液を用い、図6に示すように全工程を17段(Mn・Co抽出工程:4段、Ni回収工程:2段、Mn精製工程:4段、Co精製工程:4段、Mn逆抽出工程:3段)へ減らし、その他の条件は実施例1における「<2>被処理液からのCo、Mn及びNiの分離」に従ってCo、Mn及びNiを分離した。結果を以下の表1に示す。180Lの被処理液を処理した結果、クラッドの発生はなく、17段と少ない段数において、以下の表1に示すとおり、回収Co液中のMn濃度、Co濃度、Ni濃度はそれぞれ0.5g/L、41.0g/L、0.01g/L未満であり、回収Ni液中のMn濃度、Co濃度、Ni濃度はそれぞれ0.01g/L未満、0.01g/L未満、9.4g/Lであり、回収Mn液中のMn濃度、Co濃度、Ni濃度はそれぞれ53.8g/L、0.30g/L、0.01g/L未満であった。

0062

〔比較例1〕
実施例2と同じ被処理液を用い、図7に示すように、全工程20段(Mn抽出工程:4段、Mn精製工程:4段、Mn逆抽出工程:3段、Co抽出工程:4段、Ni回収工程(スクラブ工程):2段、Co逆抽出工程:4段、の合計20段で、実施例2の各工程に相応する段数)で、Mn、Co及びNiをこの順で逐次分離した。具体的には以下の工程を行った。

0063

〔Mn抽出工程〕
No.8からNo.11のミキサーセトラー四段で、被処理液からMnを有機相に抽出するとともに、水相側にCoとNiを残留させた(以下、この水相の液を「Co−Ni液」ともいう。)。No.8のミキサーセトラーのミキサー部に、被処理液を63ml/minで供給した。更に、Mn精製工程のNo.7のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出される水相全量を3ml/minで添加した。No.11のミキサー部に、再生した有機相を90ml/minで供給するとともに、12.5%NaOH(3.55mol/L)水溶液を10ml/minで添加した。以上の工程は、液温30℃で行った。

0064

有機相は、No.1、2及び3のミキサーセトラーにおいて10%硫酸との接触によって金属が除去されて再生され、Co、Mn及びNiの濃度がいずれも0.1g/L未満に低減されたものであった(以下、この再生した有機相のことを「再生PC88A」ともいう。)。処理の途中、No.11のミキサーセトラーにおけるセトラー部の水相でのpHが4ないし6の範囲になるようにNaOH水溶液の添加量を増減してpHを調整した。水相はNo.8、9、10、11のミキサーセトラーの方向に流れる。No.11のセトラー部から排出される水相(「Co−Ni液」)はCo抽出工程のNo.17のミキサー部に供給される。有機相はNo.11、10、9、8のミキサーセトラーの方向に流れ、Mn精製工程のNo.7のミキサー部に供給される。90時間経過後、No.11のセトラー部から排出される水相の組成は、Co=10.1g/L、Ni=10.5g/L、Mn=0.4g/L、pH=4.1であった。

0065

No.11のミキサーセトラーにおいてクラッドが生成したため、8時間毎にクラッドを抜出す必要があった。90時間の通液で合計30リットルのクラッドが生成した。

0066

〔Mn精製工程〕
No.4からNo.7のミキサーセトラー四段で、Mn抽出工程で得られた、Mnを抽出した有機相から、水相側にCoを逆抽出させた。No.4のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された回収Mn液の一部を3ml/minで供給した。一方、No.7のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.8のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を90ml/minで供給した。処理の途中、No.4のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが2よりも低下したら、回収Mn液の流量を減らす一方、pHが4よりも増加したら、回収Mn液の流量を増加させて、No.4のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.4、5、6、7、8のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.8、7、6、5、4のミキサーセトラーの方向に流れていく。

0067

〔Mn逆抽出工程(有機相の再生)〕
No.1からNo.3のミキサーセトラー三段で、Mn精製工程で得られた、Mnを抽出した有機相と希硫酸水溶液(水相)とを接触させて有機相のMnを水相側に逆抽出した。No.1のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、10%硫酸水溶液を16ml/minで供給した。一方、No.3のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.4のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を90ml/minで供給した。処理の途中、No.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが0.5よりも低下したら、硫酸水溶液の供給量を減らす一方、pHが2.5よりも増加したら、硫酸水溶液の供給量を増やしてNo.3のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.1、2、3のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.3、2、1のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間後にNo.3のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(回収Mn液)では、Mnの濃度が50.1g/Lであり、Coの濃度は1.5g/Lであった。Niの濃度は0.3g/Lであった。一方、No.1のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相(再生PC88A)では、Co、Mn及びNiの濃度がいずれも0.01g/L未満であった。

0068

〔Co抽出工程〕
No.17からNo.20のミキサーセトラー四段で、Mn抽出工程で排出された水相のCo−Ni液から、Coを有機相に抽出した。No.17のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.11のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(Co−Ni液)の全量を76ml/minで供給した。一方、No.20のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、再生PC88Aを90ml/minで供給するとともに、12.5%NaOH水溶液を10ml/minで供給した。NaOH水溶液の供給量は、被処理液中のCo2+に対して1.3倍当量とした。処理の途中、No.20のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが4よりも低下したら、NaOH水溶液の供給量を増やす一方、pHが6よりも増加したら、NaOH水溶液の供給量を減らして、No.20のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.17、18、19、20のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.20、19、18、17のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間経過後に、No.20のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(回収Ni液)では、Niの濃度が8.7g/Lであり、Mnの濃度が0.05g/L、Coの濃度は0.3g/Lであった。pHは5.4であった。

0069

〔Ni回収工程(スクラブ工程)〕
No.15及びNo.16のミキサーセトラー二段で、Co抽出工程でCoを抽出した有機相から微量のNiを水相側に移行させ有機相中のCoを精製した。No.15のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.14のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された回収Co液の一部を6ml/minで供給した。

0070

一方、No.16のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.17のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を90ml/minで供給した。水相はNo.15、16のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.16、15のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間経過後にNo.15のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相では、Coの濃度が11.0g/Lであり、Mnの濃度が0.3g/L、Niの濃度は0.1g/L未満であった。No.16のミキサーセトラーのセトラー部から排出される水相では、Coの濃度が28.8g/Lであり、Mnの濃度が0.05g/L、Niの濃度は4.3g/L、pH=3.9であった。

0071

〔Co逆抽出工程(有機相の再生)〕
No.12からNo.14のミキサーセトラー三段で、Ni回収工程(スクラブ工程)で得られた、Coを抽出した有機相と希硫酸水溶液(水相)とを接触させて有機相のCoを水相側に逆抽出した。No.12のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、5%硫酸水溶液を32ml/minで供給した。一方、No.14のミキサーセトラーにおけるミキサー部に、No.15のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相の全量を90ml/minで供給した。処理の途中、No.15のミキサーセトラーにおけるセトラー部のpHが1.5よりも低下したら、硫酸水溶液の供給量を減らす一方、pHが3.5よりも増加したら、硫酸水溶液の供給量を増やしてNo.3のミキサーセトラーのpHを調整した。水相はNo.12、13、14のミキサーセトラーの方向に流れ、有機相はNo.14、13、12のミキサーセトラーの方向に流れていく。被処理液を流してから90時間経過後にNo.14のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された水相(回収Co液)ではCoの濃度が29.2g/Lであり、Mnの濃度は1.5g/Lであった。Niの濃度は0.01g/Lであった。一方、No.12のミキサーセトラーにおけるセトラー部から排出された有機相(再生PC88A)では、Co及びMnの濃度がいずれも0.01g/L未満であった。結果を以下の表1に示す。

0072

実施例

0073

表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例ではクラッドの発生をほとんど伴うことなく、Co、Mn及びNiを首尾よく分離できることが判る。また段数も少なくて済むことが判る。これに対して、Mn、Co及びNiをこの順で逐次分離した比較例1では、クラッドの甚だしい発生が観察されることが判る。

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