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技術 動物の骨折治療用外固定具及びそれを用いた動物の骨折治療方法

出願人 池水智博
発明者 池水智博
出願日 2012年4月13日 (7年11ヶ月経過) 出願番号 2012-091542
公開日 2013年10月28日 (6年4ヶ月経過) 公開番号 2013-220123
状態 特許登録済
技術分野 整形外科、看護、避妊 獣医用機器
主要キーワード 環状紐 屈曲負荷 固定紐 横断面形 抜ピン 教育活動 横断面略コ字状 橈骨頭
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

装着が容易であり、安定かつ確実に固定され、創外固定法と容易に併用することができ、骨密度の低下が起こらない範囲で使用して仮骨の形成を促進する骨折治療に好適である、四足動物前肢骨折の治療に好適な外固定具を提供する。

解決手段

四足動物Aの骨折した患肢B1を固定するための骨折治療用外固定具1を、患肢B1を通して肩関節周囲部Cにはめる略円環状の輪部3、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、患肢B1の橈骨頭から中手骨遠位までに添わせる支持部4、輪部3の後部及び支持部4の後壁を連結する連結体6、支持部4の後壁に連結され、支持部の下面開口の下方に位置するとともに、患肢B1を牽引する牽引手段8を備えた接地体7、輪部3を患肢B1と反対側の前肢に連結固定する固定手段9、輪部3の前部から患肢B1の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部10により構成した。

概要

背景

高所からの落下やジャンプ時の着地等の際における衝撃により橈骨尺骨遠位部を骨折しやすく、も高所からの着地や交通事故等の際における衝撃により橈骨尺骨を骨折することがある。
このような犬及び猫の橈骨尺骨骨折の治療法としては、プレートによる内固定法、髄内釘及びキャストによるギプス療法との併用、又は、創外固定法等が実施されることが多い(例えば、非特許文献1〜3参照)。

1958年に創設された、骨折治療に関する研究及び開発並びに教育活動を行っているAO Foundation("AO"は、骨折治療の基礎臨床的研究グループを意味するドイツ語のArbeitsgemeinschaft fur Osteosynthesefragenの頭文字)が、手足機能回復重点を置き、精確な整復及び圧迫によるプレートによる内固定法を長年にわたって広めてきたこと等から、前記橈骨尺骨骨折の治療法の中で最も普及しているのは、プレートによる内固定法である。
このプレートによる内固定法による骨折治療は、骨癒合の強度が非常に弱い一次性治癒であるため、治癒期間も長期に及び、6ヶ月から1年以上の治療期間が必要になる。その上、全身麻酔によるプレートの装着、部分的な抜、並びに、残存した釘及びプレートの除去のための観血的な3回の手術が必要となるため、費用が最も高額になる。
また、癒合遅延癒合不全、プレート除去後の再骨折(例えば、非特許文献1及び2参照)、及び、圧迫無しの最新のプレートを用いても血行障害によるプレート誘因性の骨減少症を引き起こし、創外固定(例えば、非特許文献3参照)及び骨再生医療の併用による治療を施すこともある。

特に小型犬の場合、橈骨尺骨が非常に細く、橈骨尺骨の遠位部にいくに従い、例えば長第1指外転筋及び橈側手根伸筋筋肉からになっていく等、その周囲の筋肉量が徐々に少なくなるため、広く用いられているプレートによる内固定法では、骨折部位における観血的な手術操作インプラントにより橈骨尺骨周囲の軟部組織ダメージを受け、骨折部位周囲での血行障害を受けやすいとともに、体重が1kg以下のチワワやプードルのような超小型犬に適切な大きさのプレートが市販されていないため、適切な大きさのプレートの入手が困難である。
その上、超小型犬の場合、例えば、600gのチワワの橈骨のサイズは爪楊枝から割り箸ほどであり、プレートによる内固定は不可能である。このような場合、創外固定においても、最も細いピンを挿入した部位から橈骨が割れることや、ピンの緩みによる感染の可能性がある。

また、創外固定(例えば、非特許文献3参照)は骨癒合速度も速く癒合強度も強いが、熟練した高度な技術と術後管理に経験を要するとともに、ピンの挿入および抜ピンによる2回以上の全身麻酔による手術が必要となる。
さらに、髄内釘及びキャストによるギプス療法の併用においては、小型犬の髄内腔は非常に狭いために、ピンを内に挿入すると血行障害を発症し、癒合不全となり、断脚となるケースもある。
その上、いずれの手術においても高度な手技と高価な器材が必要であり、高額の費用を要する。

以上のような背景から、特に小型犬の橈骨尺骨遠位骨折治療に有効な外固定法として、患肢肩関節周囲部にはめる輪部と輪部から垂下する前後の杆体を含む略U字状の枠部とにより構成されるトーマススプリントに対し、アルミ合金製の板状副木を前記枠部に斜めに取り付けた骨折治療用外固定具(以下、タイプAの外固定具という。)を用いるもの(例えば、非特許文献4〜7参照)や、前記板状副木に合成樹脂製の状副木を固定して患肢を支持するように改良した骨折治療用外固定具(以下、タイプBの外固定具という。)を用いるもの(例えば、非特許文献8及び9参照)があり、これらによれば、非観血的整復術によって骨折部位を整復した後に前記骨折治療用外固定具を用いて患肢を外固定することにより、比較的安全にかつ比較的確実に小型犬の橈骨尺骨骨折を治療することができる。

概要

装着が容易であり、安定かつ確実に固定され、創外固定法と容易に併用することができ、骨密度の低下が起こらない範囲で使用して仮骨の形成を促進する骨折治療に好適である、四足動物前肢骨折の治療に好適な外固定具を提供する。四足動物Aの骨折した患肢B1を固定するための骨折治療用外固定具1を、患肢B1を通して肩関節周囲部Cにはめる略円環状の輪部3、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、患肢B1の橈骨頭から中手骨遠位までに添わせる支持部4、輪部3の後部及び支持部4の後壁を連結する連結体6、支持部4の後壁に連結され、支持部の下面開口の下方に位置するとともに、患肢B1を牽引する牽引手段8を備えた接地体7、輪部3を患肢B1と反対側の前肢に連結固定する固定手段9、輪部3の前部から患肢B1の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部10により構成した。

目的

本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、患肢への装着が容易であり、安定かつ確実に固定され、創外固定法と容易に併用することができ、治療が進んで一定の仮骨が形成された際に体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を増加させて治療期間を短縮することができる、動物の骨折治療用外固定具及びそれを用いた動物の骨折治療方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

四足動物前肢骨折治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体と、前記支持部の後壁に連結され、前記支持部の下面開口の下方に位置するとともに、前記患肢を牽引する牽引手段を備えた接地体とを備えたことを特徴とする動物の骨折治療用外固定具。

請求項2

四足動物の前肢骨折の治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体と、前記支持部の後壁に連結され、前記支持部の下端部から下方へ行くにしたがって前方へ傾斜して前記患肢の球に添う掌球支持板とを備えたことを特徴とする動物の骨折治療用外固定具。

請求項3

四足動物の前肢骨折の治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体とを備えたことを特徴とする動物の骨折治療用外固定具。

請求項4

前記輪部を前記患肢の肩関節周囲部にはめた状態で、前記輪部を前記患肢と反対側の前肢に連結固定する固定手段を備えてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の動物の骨折治療用外固定具。

請求項5

前記輪部の前部から前記患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を備えてなる請求項1〜4の何れか1項に記載の動物の骨折治療用外固定具。

請求項6

前記支持部が透明合成樹脂製である請求項1〜5の何れか1項に記載の動物の骨折治療用外固定具。

請求項7

四足動物の前肢骨折の治療方法であって、骨折した患肢の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程と、請求項1の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢を前記牽引手段により牽引するとともに前記接地体を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程と、請求項2の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の指球を接地させて体重負荷による刺激骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程と、請求項3の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の掌球及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程と、を備えたことを特徴とする動物の骨折治療方法。

請求項8

四足動物の前肢骨折の治療方法であって、骨折した患肢の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程と、請求項1の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢を前記牽引手段により牽引するとともに前記接地体を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程と、請求項3の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の掌球及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程と、を備えたことを特徴とする動物の骨折治療方法。

請求項9

前記骨折治療用外固定具の輪部を前記患肢の肩関節周囲部にはめた状態で、前記輪部を前記患肢と反対側の前肢に連結固定する固定手段を備えてなる請求項7又は8記載の動物の骨折治療方法。

請求項10

前記骨折治療用外固定具の輪部の前部から前記患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を備えてなる請求項7〜9の何れか1項に記載の動物の骨折治療方法。

請求項11

前記骨折治療用外固定具の支持部が透明合成樹脂製である請求項7〜10の何れか1項に記載の動物の骨折治療用方法。

技術分野

0001

本発明は、特に小型犬等の小型の四足動物橈骨尺骨遠位骨折治療に好適な動物骨折治療用外固定具及びそれを用いた動物の骨折治療方法に関するものである。

背景技術

0002

高所からの落下やジャンプ時の着地等の際における衝撃により橈骨尺骨の遠位部を骨折しやすく、も高所からの着地や交通事故等の際における衝撃により橈骨尺骨を骨折することがある。
このような犬及び猫の橈骨尺骨骨折の治療法としては、プレートによる内固定法、髄内釘及びキャストによるギプス療法との併用、又は、創外固定法等が実施されることが多い(例えば、非特許文献1〜3参照)。

0003

1958年に創設された、骨折治療に関する研究及び開発並びに教育活動を行っているAO Foundation("AO"は、骨折治療の基礎臨床的研究グループを意味するドイツ語のArbeitsgemeinschaft fur Osteosynthesefragenの頭文字)が、手足機能回復重点を置き、精確な整復及び圧迫によるプレートによる内固定法を長年にわたって広めてきたこと等から、前記橈骨尺骨骨折の治療法の中で最も普及しているのは、プレートによる内固定法である。
このプレートによる内固定法による骨折治療は、骨癒合の強度が非常に弱い一次性治癒であるため、治癒期間も長期に及び、6ヶ月から1年以上の治療期間が必要になる。その上、全身麻酔によるプレートの装着、部分的な抜、並びに、残存した釘及びプレートの除去のための観血的な3回の手術が必要となるため、費用が最も高額になる。
また、癒合遅延癒合不全、プレート除去後の再骨折(例えば、非特許文献1及び2参照)、及び、圧迫無しの最新のプレートを用いても血行障害によるプレート誘因性の骨減少症を引き起こし、創外固定(例えば、非特許文献3参照)及び骨再生医療の併用による治療を施すこともある。

0004

特に小型犬の場合、橈骨尺骨が非常に細く、橈骨尺骨の遠位部にいくに従い、例えば長第1指外転筋及び橈側手根伸筋筋肉からになっていく等、その周囲の筋肉量が徐々に少なくなるため、広く用いられているプレートによる内固定法では、骨折部位における観血的な手術操作インプラントにより橈骨尺骨周囲の軟部組織ダメージを受け、骨折部位周囲での血行障害を受けやすいとともに、体重が1kg以下のチワワやプードルのような超小型犬に適切な大きさのプレートが市販されていないため、適切な大きさのプレートの入手が困難である。
その上、超小型犬の場合、例えば、600gのチワワの橈骨のサイズは爪楊枝から割り箸ほどであり、プレートによる内固定は不可能である。このような場合、創外固定においても、最も細いピンを挿入した部位から橈骨が割れることや、ピンの緩みによる感染の可能性がある。

0005

また、創外固定(例えば、非特許文献3参照)は骨癒合速度も速く癒合強度も強いが、熟練した高度な技術と術後管理に経験を要するとともに、ピンの挿入および抜ピンによる2回以上の全身麻酔による手術が必要となる。
さらに、髄内釘及びキャストによるギプス療法の併用においては、小型犬の髄内腔は非常に狭いために、ピンを内に挿入すると血行障害を発症し、癒合不全となり、断脚となるケースもある。
その上、いずれの手術においても高度な手技と高価な器材が必要であり、高額の費用を要する。

0006

以上のような背景から、特に小型犬の橈骨尺骨遠位骨折治療に有効な外固定法として、患肢肩関節周囲部にはめる輪部と輪部から垂下する前後の杆体を含む略U字状の枠部とにより構成されるトーマススプリントに対し、アルミ合金製の板状副木を前記枠部に斜めに取り付けた骨折治療用外固定具(以下、タイプAの外固定具という。)を用いるもの(例えば、非特許文献4〜7参照)や、前記板状副木に合成樹脂製の状副木を固定して患肢を支持するように改良した骨折治療用外固定具(以下、タイプBの外固定具という。)を用いるもの(例えば、非特許文献8及び9参照)があり、これらによれば、非観血的整復術によって骨折部位を整復した後に前記骨折治療用外固定具を用いて患肢を外固定することにより、比較的安全にかつ比較的確実に小型犬の橈骨尺骨骨折を治療することができる。

先行技術

0007

STEPHAN M. PERREN, "Fracture Healing The Evolution of Our Understanding", Acta Chir Orthop Traumatol Cech, 75(4), p.241-246, 2008
原田,湯口,伊,佐々木,安部,澤,「犬の橈尺骨骨折に対するプレート固定法の検討」,北海獣医師雑誌,第52巻,第8号,平成20年8月,p.79
Johnson A L & Egger E L, “Biomechanics and biology of fracture healing with external skeletal fixation", Comp Cont Educ Pract Vet 20, p.487-502, 1998
加藤,池水,室谷,「ポメラニアンの橈骨尺骨骨折にトーマス・スプリント固定変法を施し治癒した1例」,北海道獣医師会雑誌,第52巻,第8号,平成20年8月,p.79
池水,加藤,室谷,「犬及び猫の骨折8症例におけるトーマス・スプリント固定変法の使用経験」,北海道獣医師会雑誌,第52巻,第8号,平成20年8月,p.80
,池水,加藤,室谷,吉岡,「トイ・プードルの橈骨尺骨骨折にシュレーダー・トーマス・スプリント固定変法(i−T法)を施し治癒した2症例」,北海道獣医師会雑誌,第53巻,第8号,平成21年8月,p.76
池水,加藤,室谷,白浜,吉岡,「スムースチワワの左右橈骨尺骨骨折にミニ露出テクニックおよびシュレーダー・トーマス・スプリント固定変法(i−T法)を併用し治癒した1例」,北海道獣医師会雑誌,第53巻,第8号,平成21年8月,p.76
安田,池水,加藤,吉岡,白浜,室谷,森,「Schroeder-Thomas SplintおよびIkemizu-Thomas Splintを用いた外固定法による小型犬橈尺骨遠位骨折の治療成績」,北海道獣医師会雑誌,第54巻,第8号,平成22年8月,p.94
池水,安田,加藤,北森,「Ikemizu-Thomas Splintを用いた弾力的固定法による小型犬橈尺骨遠位骨折の治療成績」北海道獣医師会雑誌,第54巻,第8号,平成22年8月,p.94

発明が解決しようとする課題

0008

タイプAの外固定具及びタイプBの外固定具には、上述の特徴がある反面、患肢の肩関節周囲部にはめる輪部の固定が緩みやすいこと、肘関節及び上腕部周囲の固定が困難であること、アルミ合金製の板状副木及び合成樹脂製の樋状副木が外部からの衝撃により外れやすいこと、橈骨尺骨の前記樋状副木内への固定時に前枠(前側の杆体)が邪魔になること、創外固定法との併用が困難であること、並びに、体重負荷かけられないこと等の問題点が存在するため、改良の余地があるものである。

0009

そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、患肢への装着が容易であり、安定かつ確実に固定され、創外固定法と容易に併用することができ、治療が進んで一定の仮骨が形成された際に体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を増加させて治療期間を短縮することができる、動物の骨折治療用外固定具及びそれを用いた動物の骨折治療方法を提供する点にある。

課題を解決するための手段

0010

本願の発明者は、タイプAの外固定具及びタイプBの外固定具を用いて小型犬の橈骨尺骨遠位骨折の治療を行ってきた経験を活かし、癒合強度が強い仮骨による二次性治癒法として用いる、精確に整復しない弾力的な固定法に最適な外固定具の構造の検討及び具体化を行い、試作を行って改良を加えるとともに治療への適用による評価を行うことにより本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明に係る動物の骨折治療用外固定具(発明1の動物の骨折治療用外固定具)は、前記課題解決のために、四足動物の前肢骨折の治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体と、前記支持部の後壁に連結され、前記支持部の下面開口の下方に位置するとともに、前記患肢を牽引する牽引手段を備えた接地体とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口する支持部内に患肢の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢がその橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部により支持されるので、橈骨頭以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、弾力的な微細振動をし、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができ、骨密度の低下が起こらない範囲で一定期間使用して仮骨の形成を促進する骨折治療に好適である。
その上、接地体が牽引手段を備えているので、患肢が直下へ安定かつ確実に牽引されるため、骨折端を整復しているが精確には整復していない状態を維持することができる。
その上さらに、輪部の後部及び支持部の後壁が連結体により連結されて強固に一体化され、支持部の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0012

また、本発明に係る動物の骨折治療用外固定具(発明2の動物の骨折治療用外固定具)は、前記課題解決のために、四足動物の前肢骨折の治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体と、前記支持部の後壁に連結され、前記支持部の下端部から下方へ行くにしたがって前方へ傾斜して前記患肢の球に添う掌球支持板とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口する支持部内に患肢の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢がその橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部により支持されるので、橈骨頭以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、微細に振動し、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができるとともに、掌球支持板により患肢の掌球が支持された状態で指球接地するため、比較的小さい体重負荷を掛けながら、この体重負荷により生じた微細な振動による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる骨折治療に好適である。
その上、輪部の後部及び支持部の後壁が連結体により連結されて強固に一体化され、支持部の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0013

さらに、本発明に係る動物の骨折治療用外固定具(発明3の動物の骨折治療用外固定具)は、前記課題解決のために、四足動物の前肢骨折の治療に用いる、骨折した患肢を固定するための骨折治療用外固定具であって、前記患肢を通して肩関節周囲部にはめる略円環状の輪部と、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口し、前記患肢の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部と、前記輪部の後部及び前記支持部の後壁を連結する連結体とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、左右壁及び後壁を有して上下面及び前面を開口する支持部内に患肢の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢がその橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部により支持されるので、橈骨頭以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、微細に振動し、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができるとともに、患肢の掌球及び指球が接地するため、比較的大きい体重負荷を掛けながら、この体重負荷により生じた微細な振動による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる骨折治療に好適である。
その上、輪部の後部及び支持部の後壁が連結体により連結されて強固に一体化され、支持部の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0014

ここで、前記輪部を前記患肢の肩関節周囲部にはめた状態で、前記輪部を前記患肢と反対側の前肢に連結固定する固定手段を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、患肢の肩関節周囲部にはめられた輪部が固定手段により患肢と反対側の前肢に連結固定されるので、骨折治療中に動物が痩せた場合等であっても輪部の固定が緩むことを抑制することができる。

0015

また、前記輪部の前部から前記患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を用いて、患肢の肘関節(肘頭)及び上腕部を布絆創膏により上腕支持部に固定することができるので、肘関節及び上腕部周囲を容易に固定した状態で患肢が直下へ牽引されやすくなるため、患肢を安定支持することができる。

0016

さらに、前記支持部が透明合成樹脂製であると好ましい。
このような構成によれば、骨折治療の際における、患肢の皮膚の炎症、腫れ及び鬱血等の確認が容易になる。

0017

本発明に係る動物の骨折治療方法は、前記課題解決のために、四足動物の前肢骨折の治療方法であって、骨折した患肢の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程と、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢を前記牽引手段により牽引するとともに前記接地体を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程と、前記発明2の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程と、前記発明3の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の掌球及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を用いて骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した後、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を外して前記発明2の動物の骨折治療用外固定具に付け替えることにより、掌球支持板により患肢の掌球が支持された状態で指球を接地させて比較的小さい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させ、この段階で効果的な骨折治療を行って仮骨の成熟及び増加が進んで一定量の仮骨が形成された状態で、前記発明2の動物の骨折治療用外固定具を外して前記発明3の動物の骨折治療用外固定具に付け替えることにより、患肢の掌球及び指球を接地させて比較的大きい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させて効果的な骨折治療を行うことができる。
このような発明1の動物の骨折治療用外固定具、発明2の動物の骨折治療用外固定具及び発明3の動物の骨折治療用外固定具を段階的に使用して行う骨折治療方法により、機能の完全回復を伴った安全で早期の治癒を実現することができるとともに再骨折のリスクを最小限にすることができる。
その上、この動物の骨折治療方法に用いる前記動物の骨折治療用外固定具は、輪部の後部及び支持部の後壁が連結体により連結されて強固に一体化され、支持部の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0018

また、本発明に係る動物の骨折治療方法は、前記課題解決のために、四足動物の前肢骨折の治療方法であって、骨折した患肢の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程と、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢を前記牽引手段により牽引するとともに前記接地体を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程と、前記発明3の動物の骨折治療用外固定具を用い、前記患肢の掌球及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程とを備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を用いて骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した状態で既に一定量の仮骨が形成されている場合、すなわち、例えば若い動物の骨折で仮骨の形成が速い場合に、前記発明1の動物の骨折治療用外固定具を外して前記発明3の動物の骨折治療用外固定具に付け替えることにより、患肢の掌球及び指球を接地させて比較的大きい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させて効果的な骨折治療を行うことができる。
このような発明1の動物の骨折治療用外固定具及び発明3の動物の骨折治療用外固定具を段階的に使用して行う骨折治療方法により、機能の完全回復を伴った安全で早期の治癒を実現することができるとともに再骨折のリスクを最小限にすることができる。
その上、この動物の骨折治療方法に用いる前記動物の骨折治療用外固定具は、輪部の後部及び支持部の後壁が連結体により連結されて強固に一体化され、支持部の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0019

ここで、前記動物の骨折治療方法において、前記骨折治療用外固定具の輪部を前記患肢の肩関節周囲部にはめた状態で、前記輪部を前記患肢と反対側の前肢に連結固定する固定手段を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、患肢の肩関節周囲部にはめられた輪部が固定手段により患肢と反対側の前肢に連結固定されるので、骨折治療中に動物が痩せた場合等であっても輪部の固定が緩むことを抑制しながら適切な骨折治療を行うことができる。

0020

また、前記動物の骨折治療方法において、前記骨折治療用外固定具の輪部の前部から前記患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を備えてなると好ましい。
このような構成によれば、患肢の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部を用いて、患肢の肘関節(肘頭)及び上腕部を布絆創膏により上腕支持部に固定することができるので、肘関節及び上腕部周囲を容易に固定した状態で患肢が直下へ牽引されやすくなるため、患肢を安定支持した状態を保持しながら適切な骨折治療を行うことができる。

0021

さらに、前記動物の骨折治療方法において、前記骨折治療用外固定具の支持部が透明合成樹脂製であると好ましい。
このような構成によれば、骨折治療の際における、患肢の皮膚の炎症、腫れ及び鬱血等の確認が容易になる。

発明の効果

0022

以上のように、本発明に係る動物の骨折治療用外固定具及びそれを用いた動物の骨折治療方法によれば、動物の骨折治療用外固定具の支持部内に患肢の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢がその橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせる支持部により支持されるので、橈骨頭以下の固定が安定するとともに、骨折部位は圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができ、発明1の動物の骨折治療用外固定具、発明2の動物の骨折治療用外固定具及び発明3の動物の骨折治療用外固定具を段階的に使用すること、又は、発明1の動物の骨折治療用外固定具及び発明3の動物の骨折治療用外固定具を段階的に使用することにより、四足動物の橈骨尺骨遠位骨折の治療において、機能の完全回復を伴った安全で早期の治癒を実現することができるとともに再骨折のリスクを最小限にすることができ、患肢への装着が容易であり、安定かつ確実に固定され、創外固定法と容易に併用することができるという顕著な効果を奏する。

図面の簡単な説明

0023

本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具を患肢である左前肢に装着した犬を前方から見た図である。
同じく左方から見た図である。
本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具の斜視図である。
同じく左方から見た縦断面図である。
(a)は同じく後方から見た図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。
同じく分解斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具を使用する際に、患肢へ布絆創膏を貼付する方法の一例を示す左方から見た概略図であり、(a)は骨折端の遠位に前後2本の布絆創膏を重ね合わせるように貼付するとともに骨折端の近位に前後2本の布絆創膏を重ね合わせるように貼付した状態、(b)及び(c)はさらに骨折端の遠位及び近位に布絆創膏を水平に巻回し補強した状態を、(d)は骨折治療用外固定具の支持部に固定するために貼付する布絆創膏の例を示している。
本発明の実施の形態2に係る動物の骨折治療用外固定具を患肢である左前肢に装着した犬を前方から見た図である。
同じく左方から見た図である。
本発明の実施の形態2に係る動物の骨折治療用外固定具の斜視図である。
同じく左方から見た縦断面図である。
(a)は同じく後方から見た図、(b)は(a)のX2−X2断面図である。
同じく分解斜視図である。
本発明の実施の形態1の動物の骨折治療用外固定具を外して本発明の実施の形態2又は3の動物の骨折治療用外固定具に付け替える際に、布絆創膏を切断して新たな布絆創膏を貼付する方法の一例を示す左方から見た概略図であり、(a)は布絆創膏の切断箇所を、(b)は布絆創膏を切断した後の状態を、(c)は本発明の実施の形態2又は3の動物の骨折治療用外固定具の支持部に固定するために貼付する布絆創膏の例を示している。
本発明の実施の形態3に係る動物の骨折治療用外固定具を患肢である左前肢に装着した犬を前方から見た図である。
同じく左方から見た図である。
本発明の実施の形態2及び3の動物の骨折治療用外固定具を装着した犬の患肢の接地状態を示す左方から見た要部拡大図であり、(a)は本発明の実施の形態2に係る動物の骨折治療用外固定具を装着した場合、(b)は本発明の実施の形態3に係る動物の骨折治療用外固定具を装着した場合、(c)は本発明の実施の形態2に係る動物の骨折治療用外固定具の掌球支持板を後方へ折り曲げて本発明の実施の形態3に係る動物の骨折治療用外固定具とした場合を示している。
トイ犬種の橈骨遠位端より約20%の部位での屈曲負荷による左橈骨及び尺骨の横骨折における治癒過程を示す前後方向のX線像の模式図であり、(a)は骨折時、(b)は骨折端の整復時、(c)は仮骨の形成期、(d)は骨リモデリング期を示している。
トイ犬種の橈骨遠位端より約20%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折における治癒過程を示す前後方向のX線像の模式図であり、(a)は骨折時、(b)は骨折端の整復時、(c)は仮骨の形成期、(d)は骨リモデリング期を示している。
トイ・プードルの橈骨遠位端より約18%の部位での屈曲負荷による左橈骨及び尺骨の横骨折における治癒過程を示す左右方向(内外方向)のX線像を示す模式図であり、(a)は骨折時、(b)、(c)及び(d)は仮骨の形成期、(e)は骨リモデリング期を示している。
トイ・プードルの橈骨遠位端より約18%の部位での屈曲負荷による左橈骨及び尺骨の横骨折における治癒過程を示す前後方向のX線像の模式図であり、(a)は骨折時、(b)は骨折端の整復時、(c)、(d)及び(e)は仮骨の形成期、(f)は骨リモデリング期を示している。
トイ・プードルの橈骨遠位端より約10%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折における治癒過程を示す左右方向(内外方向)のX線像を示す模式図であり、(a)は骨折時、(b)は骨折端の整復時、(c)、(d)及び(e)は仮骨の形成期、(f)は骨リモデリング期を示している。
トイ・プードルの橈骨遠位端より約10%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折における治癒過程を示す前後方向のX線像の模式図であり、(a)は骨折時、(b)は骨折端の整復時、(c)、(d)及び(e)は仮骨の形成期、(f)は骨リモデリング期を示している。
チワワの橈骨遠位端より約17%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折における治癒過程を示す前後方向のX線像の模式図であり、(a)は癒合不全時、(b)、(c)及び(d)は仮骨の形成期、(e)は骨リモデリング期を示している。
チワワの橈骨遠位端より約17%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折における前後方向のX線像の模式図であり、(a)は骨折時、(b)及び(c)は癒合不全時を示している。

実施例

0024

橈骨尺骨を骨折した近位骨と遠位骨との間隙には、骨折当初は骨折部位からの出血によって形成された血腫が存在する。この血腫は骨折の治癒を開始するきっかけを作る物質であるサイトカイン分泌し、橈骨尺骨周囲の動脈から新生血管の供給を受けて仮骨の足場となるものである。開創手術を施して前記血腫を除去すると、骨折治癒は開始されず、仮骨形成はみられない。
本発明は、癒合強度が強い仮骨による二次性治癒法として用いる、精確に整復しない弾力的な固定法に最適な動物の骨折治療用外固定具を提供することにより、4週間から長くても3ヶ月程度の比較的短い期間での治癒を可能にし、機能の完全回復を伴った安全な治癒と再骨折のリスクを最小限にすることを目指すものである。
なお、以下の説明において、四足動物の例として示す犬を基準にし、動物の骨折治療用外固定具については犬の左前肢に装着した状態を基準にして、犬の尾側から頭側へ向かう方向を前、その反対方向を後とし、前方へ向かって左右をいうものとする。

0025

(実施の形態1)
図1図6に示すように、本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具1は、犬Aの橈骨尺骨遠位骨折をした患肢B1である例えば左前肢に装着され、患肢B1を弾力的に固定するものであり、患肢B1を通して肩関節周囲部Cにはめる略円環状の輪部3、輪部3の下方に位置する、左右壁14A,14B及び後壁14Cを有して上下面及び前面を開口し、患肢B1の橈骨頭から中手骨遠位までに添わせる支持部4、輪部3の後部及び支持部4の後壁14Cを連結する連結体6、並びに、支持部4の後壁14Cに連結され、支持部4の下面開口の下方に位置するとともに、患肢B1を牽引する牽引手段8を備えた接地体7を備えている。なお、支持部4は、患肢B1の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせるものであればよく、上端が橈骨頭よりも上方に位置すると肘頭と支持部4の後壁14Cの内側面とが摩擦し、下端が橈骨遠位端よりも上方に位置すると橈骨頭以下の固定が不安定になりやすい。

0026

次に、図3図6を参照して、骨折治療用外固定具1の構造の詳細について説明する。
輪部3は、アルミニウム合金線ステンレス鋼線又はチタン合金線等の線材円形にしてその周囲に綿包帯を巻いてさらにその上に包帯を巻いたものや、前記円形にした線材の周囲をスポンジ等の緩衝材により被ったもの等からなり、すなわち厚みを持ったクッション性のある略円環状の部材であり、図5に示すように、輪部3の略下半分を右方(犬Aの側)へ約20°屈曲させている。なお、この屈曲角度は、骨折治療用外固定具1を装着する犬に合わせて輪部3を屈曲させるため、通常、10〜30°程度になる。
そして、輪部3の前後部には、例えばアルミニウム合金板製の上腕支持部10及び取付板12が取り付けられ、上腕支持部10は輪部3の前部から垂下し、取付板12は輪部3の後部から垂下する。
また、輪部3の上部の前後には、環状紐18,18が取り付けられ、環状紐18には固定紐19の一端部が繋止され、環状紐18,18及び固定紐19,19が後述する固定手段9を構成する。

0027

支持部4は、左壁14A及び右壁14B並びに後壁14Cからなる、前面を開口した横断面略コ字状であり、患肢B1の橈骨頭から中手骨遠位までに添わせる長さに形成され、患肢B1に添わせた状態で中手骨等と干渉しないように、左右壁14A,14Bの下端部を下方へ行くにつれて左右方向へ拡径しており、図6に示すように、後壁14Cの左右方向中央には、前後方向の通孔4A,4A,…が上下方向に列設される。
また、支持部4は、合成樹脂製であり、特に、塩化ビニル樹脂ポリカーボネート又はアクリル樹脂等の透明合成樹脂製にすることにより、患肢の皮膚の炎症、腫れ及び鬱血等の確認が可能となるため、透明合成樹脂製にすることがより好ましい実施態様である。

0028

図6に示すように、輪部3の後部から垂下する取付板12には前後方向の通孔12A,12A,…が上下方向に列設される。
また、連結板13は、例えばアルミニウム合金板製であり、上部が後方に下部が前方に相対的に変位した段違い状の形状をなし、その上部に前後方向の通孔13A,13A,…が、その下部に前後方向の通孔13B,13B,…が上下方向に列設される。
したがって、取付板12の前面に連結板13の上部後面を当接させた状態で、前方から取付ねじ20を通孔13A及び通孔12A並びに平座金21に挿通してナット22に螺合し、後壁14Cの後面上部に連結板13の前面を当接させた状態で前方から取付ねじ23を通孔4A及び通孔13B並びに平座金24及びばね座金25に挿通して蝶ナット26に螺合することにより、輪部3と支持部4とが連結固定されて強固に一体化される。

0029

ここで、取付板12及び連結板13、並びに、取付ねじ20、平座金21及びナット22、取付ねじ23、平座金24、ばね座金25及び蝶ナット26が、輪部3の後部及び支持部4の後壁14Cを連結する連結体6を構成する。
なお、図5(b)及び図6に示すように、支持部4の後壁14Cの左右方向中央部を後方へ段落ちさせており、この上下方向に長い段落ち部に取付ねじ23,23,…の頭部が収容されるため、患肢B1を支持部4内に収容した際に、取付ねじ23,23,…の頭部が患肢B1を押圧することがない。

0030

接地体7は、例えばアルミニウム合金板製であり、左方から見て略J字状をしており、上下方向に延びる板部には前後方向の通孔7A,7A,…が上下方向に列設されているため、支持部4の後壁14Cの後面下部に接地体7の上下方向に延びる板部の前面を当接させた状態で、前方から取付ねじ23を通孔4A及び通孔7A並びに平座金24及びばね座金25に挿通して蝶ナット26に螺合することにより、支持部4と接地体7とが連結固定されて強固に一体化される。
また、略J字状の接地体7の前後方向に延びる板部上面の、支持部4の左右側壁14A,14Bの前端縁を結ぶ線の前側直下位置(図4及び図5(b)参照)には、左右方向に長い長孔16Aが前後方向に形成された掛け部16が設けられ、接地体7の前端部は上方へ折り曲げられて繋止部17とされ、繋止部17の上下方向中間位置には左右方向に長い長孔17Aが形成されており、掛け部16及び繋止部17が、後述するように患肢B1を牽引する牽引手段8を構成する。

0031

連結板13の上部には4個の通孔13A,13A,…が形成されており、支持部4の後壁14Cにも多数(本実施の形態の例では15個)の通孔4A,4A,…が形成されているため、これらを選択して、連結板13と取付板12の連結固定、連結板13と支持部4の連結固定、及び、支持部4と接地体7の連結固定を行うことにより、患肢B1の長さに合わせた骨折治療用外固定具1のきめ細かな長さ調整を行うことが可能になる。特に、支持部4に対する連結板13及び接地体7の連結箇所の変更は、蝶ナット26,26,…を用いて非常に容易に行うことができる。

0032

次に、骨折治療用外固定具1の使用時に患肢B1へ布絆創膏を貼付する方法の一例について説明する。
先ず、橈骨尺骨遠位骨折をした犬Aに全身麻酔をかけ、患肢B1全体の被毛に丁寧にを入れる。なお、布絆創膏を直接皮膚に貼り付けると皮膚炎になることから、被毛を保護膜とするため、被毛をバリカン等で剃毛しない。
次に、犬Aの患肢B1を骨折治療用外固定具1の輪部3を通して肩関節周囲部Cにはめる。この状態では、図1及び図5に示すように、輪部3の略下半分が右方(犬Aの胸側)へ屈曲しているため、患肢B1の腋窩部位の皮膚と密着した状態となっている。
次に、屈曲や牽引をして骨折端Dを可能な限り整復する。
次に、図7(a)のように、患肢B1の橈骨F及び尺骨Gの遠位を骨折した骨折端Dの遠位約1cmから直下へ前後2本の布絆創膏P1,P2を重ね合わせるように貼付するとともに患肢B1の下方に延出させて重ね合わせた状態として延出部Qを形成し、骨折端Dの近位約1cmから上腕方向へ橈骨頭Jまで前後2本の布絆創膏P3,P4を重ね合わせるように貼付する。
次に、図7(b)及び(c)に示すように、骨折端Dの遠位及び近位に上下2本の布絆創膏P5,P6及びP7,P8を水平に巻回して補強するとともに、それぞれの布絆創膏P5〜P8の端部同士を貼り合わせる。

0033

次に、患肢B1を支持部4内へ緩めに入れ、延出部Qの先端Rを図3に示す掛け部16の長孔16Aを後方から前方へ通し、さらに延出部Qの先端Rを繋止部17の長孔17Aの後方から前方へ通して梃子原理により強く牽引することができ、このように患肢B1を強く牽引した状態を保持しながら、図2に示すように延出部Qを布絆創膏等により繋止部17に貼着して固定し、患肢B1全体を充分に伸張させた状態を保持する。
このように接地体7に設ける牽引手段8は、掛け部16及び繋止部17からなる構成に限定されるものではなく、延出部Qを引張して患肢B1を牽引した状態を保持できる構成であればよい。

0034

次に、図7(d)、図1及び図2に示すように、患肢B1の橈骨頭Jから中手骨Hの遠位までに添わせる支持部4を取り囲むように、上下の布絆創膏P9,P10を貼り付ける。
さらに、輪部3の前部から患肢B1の肘関節(図7(d)の肘頭K参照)及び上腕(図7(d)の上腕骨I参照)の前側に垂下する上腕支持部10を利用して、肘関節の周囲を上下の布絆創膏P11,P12により前方へ牽引した状態で、患肢B1の肘関節が屈曲しないように固定する。
なお、上腕支持部10には、図3に示すように上下方向に長い長孔(縦長四角形状の孔)10Aが形成されているので、上腕支持部10を利用して布絆創膏P11,P12により患肢B1を固定する際に、長孔10Aを通して布絆創膏P11,P12を反転することができるため、布絆創膏P11,P12を用いた固定を容易かつ確実に行って、その固定を強固にすることができる。

0035

次に、図1及び図2に示すように、輪部3を患肢B1の肩関節周囲部Cにはめた状態で、固定手段9により輪部3を患肢B1と反対側の前肢である右前肢B2に連結固定する。
すなわち、輪部3に取り付けられた環状紐18,18に一端が繋止された固定紐19,19を右前肢B2の周囲に通した状態として固定紐19,19の他端同士を結ぶことにより、固定紐19,19により輪部3を右前肢B2に連結固定する。
なお、固定手段9は、環状紐18,18及び固定紐19,19に限定されるものではなく、ベルト等により構成してもよい。
このようにして骨折治療用外固定具1を患肢B1に装着した状態を示す図1において、骨折部位(骨折端Dの前側部分)が剥き出しになっているため、骨折部位の触診がしやすく、レントゲン撮影も容易になる。

0036

以上のような動物の骨折治療用外固定具1の構成によれば、左右壁14A,14B及び後壁14Cを有して上下面及び前面を開口する支持部4内に患肢B1の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢B1がその橈骨頭Jから中手骨H遠位までに添わせる支持部4により支持されるので、橈骨頭J以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、弾力的な微細な振動をし、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができる。
なお、体重負荷が掛からない状態で長期間使用すると骨密度の低下が生じて骨が弱体化するため、骨折治療用外固定具1は、骨密度の低下が起こらない範囲で一定期間使用して仮骨の形成を促進する骨折治療に好適である。
また、接地体7が牽引手段8を備えているので、患肢B1が直下へ安定かつ確実に牽引されるため、骨折端Dを整復しているが精確には整復していない状態を維持することができる。

0037

さらに、輪部3の後部及び支持部4の後壁14Cが連結体6により連結されて強固に一体化され、支持部4の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。
さらにまた、患肢B1の肩関節周囲部Cにはめられた輪部3が固定手段9により患肢B1と反対側の前肢B2に連結固定されるので、骨折治療中に動物(例えば犬A)が痩せた場合等であっても輪部3の固定が緩むことを抑制することができる。
また、患肢B1の肘関節及び上腕の前側に垂下する上腕支持部10を用いて、患肢B1の肘関節(図7(d)の肘頭K参照)及び上腕部(図7(d)の上腕骨I参照)を布絆創膏により上腕支持部10に固定することができるため、肘関節及び上腕部周囲を容易に固定した状態で患肢B1が直下へ牽引されやすくなるため、患肢B1を安定支持することができる。

0038

(実施の形態2)
図8図13に示すように、本発明の実施の形態2に係る動物の骨折治療用外固定具2Aは、犬Aの橈骨尺骨遠位骨折をした患肢B1である例えば左前肢に装着され、患肢B1を弾力的に固定するものであり、患肢B1を通して肩関節周囲部Cにはめる略円環状の輪部3、輪部3の下方に位置する、左右壁15A,15B及び後壁15Cを有して上下面及び前面を開口し、患肢B1の橈骨頭から中手骨近位までに添わせる支持部5、輪部3の後部及び支持部5の後壁15Cを連結する連結体6、並びに、支持部5の後壁15Cに連結され、支持部5の下端部から下方へ行くにしたがって前方へ傾斜して患肢B1の掌球Lに添う掌球支持板11を備えており、本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具1を使用して骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した後に骨折治療用外固定具1を取り外し、付け替えて使用するものである。なお、支持部5は、患肢B1の橈骨頭から少なくとも橈骨遠位端までに添わせるものであればよく、上端が橈骨頭よりも上方に位置すると肘頭と支持部5の後壁15Cの内側面とが摩擦し、下端が橈骨遠位端よりも上方に位置すると橈骨頭以下の固定が不安定になりやすい。

0039

次に、図10図13を参照して、骨折治療用外固定具2Aの構造の詳細について説明するが、実施の形態1の図3図6と同一符号は同一又は相当部分を示しているため、実施の形態1と同一符号のものについての説明は省略する。
実施の形態2の骨折治療用外固定具2Aは、実施の形態1の骨折治療用外固定具1と比較すると、支持部の形態が異なり、接地体7を備えておらず、掌球支持板11を備えている。

0040

支持部5は、左壁15A及び右壁15B並びに後壁15Cからなる、前面を開口した横断面略コ字状であり、患肢B1の橈骨頭から中手骨近位までに添わせる長さに形成され、図13に示すように、後壁15Cの左右方向中央には、前後方向の通孔5A,5A,…が上下方向に列設される。
また、支持部5は、合成樹脂製であり、特に、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート又はアクリル樹脂等の透明合成樹脂製にすることにより、患肢の皮膚の炎症、腫れ及び鬱血等の確認が可能となるため、透明合成樹脂製にすることがより好ましい実施態様である。

0041

掌球支持板11は、例えばアルミニウム合金板製であり、上下方向に延びる板部には前後方向の通孔11A,11Aが上下方向に列設されているため、支持部5の後壁15Cの後面下部に掌球支持板11の上下方向に延びる板部の前面を当接させた状態で、前方から取付ねじ27を通孔5A及び通孔11A並びに平座金28に挿通してナット29に螺合することにより、支持部5と掌球支持板11とが連結固定されて強固に一体化される。

0042

次に、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Aに付け替える際に、布絆創膏を切断して新たな布絆創膏を貼付する方法の一例について説明する。
患肢B1から骨折治療用外固定具1を外した後、図14(a)のように布絆創膏P9〜P12を切断して図14(b)に示す状態にする。
この状態で犬Aの患肢B1を骨折治療用外固定具2Aの輪部3を通して肩関節周囲部Cにはめると、図8及び図12に示すように、輪部3の略下半分が右方(犬Aの胸側)へ屈曲しているため、患肢B1の腋窩部位の皮膚と密着した状態となり、患肢B1を支持部5内へ緩めに入れ、図14(c)、図8及び図9に示すように、患肢B1の橈骨頭Jから中手骨Hの近位までに添わせる支持部5を取り囲むように、上下の布絆創膏P13,P14を貼り付ける。
次に、図8及び図9に示すように、橈骨から手根関節までの長さに略等しい長さの、例えばアルミニウム合金板製の副木30を、再骨折しないように、布絆創膏P16,P17で橈骨の前面側に貼り付けて固定し補強する。
また、輪部3の前部から患肢B1の肘関節(図14(c)の肘頭K参照)及び上腕(図14(c)の上腕骨I参照)の前側に垂下する上腕支持部10を利用して、肘関節の周囲を布絆創膏P15により前方へ牽引した状態で、患肢B1の肘関節が屈曲しないように固定する。

0043

以上のような動物の骨折治療用外固定具2Aの構成によれば、左右壁15A,15B及び後壁15Cを有して上下面及び前面を開口する支持部5内に患肢B1の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢B1がその橈骨頭Jから中手骨H近位までに添わせる支持部5により支持されるので、橈骨頭J以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、微細に振動し、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができるとともに、掌球支持板11により患肢B1の掌球Lが支持された状態で指球が接地するため、比較的小さい体重負荷を掛けながら、この体重負荷により生じた微細な振動による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる骨折治療に好適である。

0044

(実施の形態3)
図15及び図16に示すように、本発明の実施の形態3に係る動物の骨折治療用外固定具2Bは、図8図13の実施の形態2の動物の骨折治療用外固定具2Aにおいて、掌球支持板11が無いものであり、骨折治療用外固定具2Aを用いて掌球支持板11により患肢B1の掌球Lが支持された状態で指球を接地させて比較的小さい体重負荷による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させ、この段階で効果的な骨折治療を行って仮骨の成熟及び増加が進んで一定量の仮骨が形成された後に骨折治療用外固定具2Aを取り外し、付け替えて使用するか、あるいは、本発明の実施の形態1に係る動物の骨折治療用外固定具1を使用して骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した後に骨折治療用外固定具1を取り外し、付け替えて使用するものである。
骨折治療用外固定具2Bは、図15図16及び図17(b)のように掌球支持板11が無いものであるが、図8図9及び図17(a)のような骨折治療用外固定具2Aを使用した後に骨折治療用外固定具2Bを用いる場合は、図17(c)のように掌球支持板11を後方へ折り曲げた状態にしたものを、骨折治療用外固定具2Bとして使用することができる。

0045

以上のような動物の骨折治療用外固定具2Bの構成によれば、左右壁15A,15B及び後壁15Cを有して上下面及び前面を開口する支持部5内に患肢B1の骨折部位を緩めに入れた状態で、患肢B1がその橈骨頭Jから中手骨H近位までに添わせる支持部5により支持されるので、橈骨頭J以下の固定が安定するとともに、骨折部位は、微細に振動し、圧迫されずに血行が温存されるため、仮骨の形成を促進することができるとともに、患肢B1の掌球L以下の掌球L及び指球が接地するため、比較的大きい体重負荷を掛けながら、この体重負荷により生じた微細な振動による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる骨折治療に好適である。

0046

以上の説明においては、左壁14A及び右壁14B並びに後壁14Cからなる支持部4、並びに、左壁15A及び右壁15B並びに後壁15Cからなる支持部5の横断面形状が、略コ字状である場合を示したが、支持部4,5は、このような横断面形状のものに限定されるものではなく、前面を開口した横断面略U字状又は略C字状(略樋状)等であってもよい。

0047

次に、本発明の実施の形態に係る動物の骨折治療用外固定具1,2A,2Bを用いた動物の骨折治療方法について説明する。
(第1の骨折治療方法)
本発明の第1の骨折治療方法は、
(1)骨折した患肢B1の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程、
(2)実施の形態1の動物の骨折治療用外固定具1を用い、患肢B1を牽引手段8により牽引するとともに接地体7を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程、
(3)実施の形態2の動物の骨折治療用外固定具2Aを用い、患肢B1の指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程、
(4)実施の形態3の動物の骨折治療用外固定具2Bを用い、患肢B1の掌球L及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程、
を備えたものである。
なお、(1)の整復工程は、軽度の全身麻酔下又は鎮静下で行い、犬A等の四足動物が従順である場合は無麻酔下でも整復可能である。創外固定を併用する場合は、全身麻酔下でこの時に施す。
また、患肢B1への布絆創膏の貼付や、骨折治療用外固定具1,2A,2Bの装着も、軽度の全身麻酔下又は鎮静下で行い、犬A等の四足動物が従順である場合は無麻酔下でも行うことができる。

0048

このような骨折治療方法によれば、骨折治療用外固定具1を用いて骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した後、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Aに付け替えることにより、掌球支持板11により患肢B1の掌球Lが支持された状態で指球を接地させて比較的小さい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させ、この段階で効果的な骨折治療を行って仮骨の成熟及び増加が進んで一定量の仮骨が形成された状態で、骨折治療用外固定具2Aを外して骨折治療用外固定具2Bに付け替えることにより、患肢B1の掌球L及び指球を接地させて比較的大きい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させることができる。
このような骨折治療用外固定具1、骨折治療用外固定具2A及び骨折治療用外固定具2Bを段階的に使用して行う骨折治療方法により、機能の完全回復を伴った安全で早期の治癒を実現することができるとともに再骨折のリスクを最小限にすることができる。

0049

(第2の骨折治療方法)
本発明の第2の骨折治療方法は、
(1)骨折した患肢B1の骨折端を牽引又は屈曲させて整復する整復工程、
(2)実施の形態1の動物の骨折治療用外固定具1を用い、患肢B1を牽引手段8により牽引するとともに接地体7を接地させ、骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進する仮骨形成促進工程、
(3)実施の形態3の動物の骨折治療用外固定具2Bを用い、患肢B1の掌球L及び指球を接地させて体重負荷による刺激を骨折部位に与えることにより仮骨を成熟及び増加させる体重負荷による仮骨成熟増加工程、
を備えたものである。
なお、(1)の整復工程は、軽度の全身麻酔下又は鎮静下で行い、犬A等の四足動物が従順である場合は無麻酔下でも整復可能である。創外固定を併用する場合は、全身麻酔下でこの時に施す。
また、患肢B1への布絆創膏の貼付や、骨折治療用外固定具1,2A,2Bの装着も、軽度の全身麻酔下又は鎮静下で行い、犬A等の四足動物が従順である場合は無麻酔下でも行うことができる。

0050

このような骨折治療方法によれば、骨折治療用外固定具1を用いて骨密度の低下が起こらない範囲で仮骨の形成を促進した状態で既に一定量の仮骨が形成されている場合、すなわち、例えば若い犬の骨折で仮骨の形成が速い場合に、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Bに付け替えることにより、患肢B1の掌球L及び指球を接地させて比較的大きい体重負荷により生じた微細な振動による刺激を与えながら仮骨を成熟及び増加させて効果的な骨折治療を行うことができる。
このような骨折治療用外固定具1及び骨折治療用外固定具2Bを段階的に使用して行う骨折治療方法により、機能の完全回復を伴った安全で早期の治癒を実現することができるとともに再骨折のリスクを最小限にすることができる。

0051

その上、以上のような第1の骨折治療方法又は第2の骨折治療方法によれば、これらの骨折治療方法に用いる骨折治療用外固定具1,2A,2Bが、輪部3の後部及び支持部4,5の後壁14C,15Cが連結体6により連結されて強固に一体化され、支持部4,5の前面が開口であるとともに、この開口の前方には枠体等の障害物がないため、獣医師の診察及び処置並びにレントゲン検査等が行いやすく、創外固定法との併用も可能になる。

0052

図18及び図19のX線像の模式図に示すように、図18(a)及び図19(a)のように橈骨Fの遠位端を骨折(骨折端D)した場合において、本発明の第1の骨折治療方法又は第2の骨折治療方法の前記整復工程(1)を行うと、図18(b)及び図19(b)の状態になり、本発明の第1の骨折治療方法の前記仮骨形成促進工程(2)並びに前記体重負荷による仮骨成熟増加工程(3)及び(4)、又は、本発明の第2の骨折治療方法の前記仮骨形成促進工程(2)及び前記体重負荷による仮骨成熟増加工程(3)を行うと、図18(c)及び図19(c)に示すようなブリッジ状の仮骨Eが形成され、その後、図18(d)及び図19(d)に示すように骨がリモデリングされる。

0053

<実施例1>
治療対象
(1)犬種:トイ・プードル
(2)性別:雄
(3)体重:3.0kg
(4)受傷時の月齢:10ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約18%の部位での屈曲負荷による左橈骨及び尺骨の横骨折(図20(a)及び図21(a)の骨折端D参照)

0054

(治療方法及び経過)
先ず、図21(b)のように可能な限りの整復を施した後、骨折治療用外固定具1を用いた治療を施したところ、図20(b)及び図21(c)の状態を経て、第28病日において、図20(c)及び図21(d)に示すような仮骨Eの形成に至った。
次に、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Bに付け替えて治療を行ったところ、第42病日において、図20(d)及び図21(e)に示すような十分な仮骨Eが形成されたため、骨折治療用外固定具2Bを外し、治癒に至った。
6ヶ月後、図20(e)及び図21(f)に示すように、橈骨F及び尺骨G間において、不正癒合は観察されず、橈骨F及び尺骨Gが分離した状態に骨リモデリングされた。

0055

<実施例2>
(治療対象)
(1)犬種:トイ・プードル
(2)性別:雄
(3)体重:2.1kg
(4)受傷時の月齢:10ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約10%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折(図22(a)及び図23(a)の骨折端D参照)

0056

(治療方法及び経過)
先ず、図22(b)及び図23(b)のように可能な限りの整復を施した後、骨折治療用外固定具1を用いた治療を施したところ、第42病日において、図22(c)及び図23(c)に示すような仮骨Eの形成に至った。
次に、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Aに付け替えて治療を行ったところ、第63病日において、図22(d)及び図23(d)に示すような仮骨Eの形成に至った。
次に、骨折治療用外固定具2Aを外して骨折治療用外固定具2Bに付け替えて治療を行ったところ、第91病日において、図22(e)及び図23(e)に示すような十分な仮骨Eが形成されたため、骨折治療用外固定具2Bを外し、治癒に至った。
6ヶ月後、図22(f)及び図23(f)に示すように、橈骨F及び尺骨G間において、不正癒合は観察されず、橈骨F及び尺骨Gが分離した状態に骨リモデリングされた。

0057

<実施例3>
(治療対象)
(1)犬種:チワワ
(2)性別:雌
(3)体重:2.0kg
(4)受傷時の月齢:11ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約17%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折(図24(a)の骨折端D参照)

0058

(治療方法及び経過)
先ず、後述する比較例1の骨折治療を経た癒合不全である図24(a)の状態から、骨折治療用外固定具1を用いた治療を施したところ、第21病日において、図24(b)に示すような仮骨Eの形成に至った。
次に、骨折治療用外固定具1を外して骨折治療用外固定具2Aに付け替えて治療を行ったところ、第42病日において、図24(c)に示すような仮骨Eの形成に至った。
次に、骨折治療用外固定具2Aを外して骨折治療用外固定具2Bに付け替えて治療を行ったところ、第56病日において、図24(d)に示すような十分な仮骨Eが形成されたため、骨折治療用外固定具2Bを外し、治癒に至った。
3ヶ月後、図24(e)に示すように、橈骨F及び尺骨G間において、不正癒合は観察されず、橈骨F及び尺骨Gが分離した状態に骨リモデリングされた。

0059

<比較例1>
(治療対象)
(1)犬種:チワワ
(2)性別:雌
(3)体重:2.0kg
(4)受傷時の月齢:11ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約17%の部位での圧迫負荷による右橈骨及び尺骨の斜骨折(図25(a)の骨折端D参照)

0060

(治療方法及び経過)
先ず、整復後、従来のタイプAの外固定具を用いた治療を施したところ、第35病日において、図25(b)に示すように仮骨の形成が観察されなかったため、タイプAの外固定具を外して合成樹脂製の樋状(水平断面C字状)の副木のみによる固定に変更した。
第42病日において、図25(c)に示すように仮骨の形成は認められず、癒合不全となった。

0061

<比較例2>
(治療対象)
(1)犬種:トイ・プードル
(2)性別:雌
(3)体重:3.0kg
(4)受傷時の月齢:24ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約13%の部位での右橈骨及び尺骨の斜骨折

0062

(治療方法及び経過)
整復後、従来のタイプAの外固定具を用いた治療を施したが、第42病日において、仮骨の形成は認められず、癒合不全となった。

0063

<比較例3>
(治療対象)
(1)犬種:キャバリ
(2)性別:雄
(3)体重:8.0kg
(4)受傷時の月齢:12ヶ月
(5)骨折の種別:橈骨遠位端より約1/3の部位で左橈骨及び尺骨の粉砕骨折

0064

(治療方法及び経過)
プレートによる内固定法による手術を施したが、第28病日において、プレートの穴に挿入したスクリュウが緩み、同時にプレートも緩んで癒合不全となった。

0065

以上において、四足動物として犬Aを例にとって説明したが、本発明が適用される四足動物としては、犬及び猫の他、出産時や出生後における前肢骨折により、その経済価値が著しく損なわれる子子馬、子等も含まれる。
すなわち、本発明によれば、小型犬や子猫等のペットにおいて、骨折の治療期間の短縮及び再骨折の防止並びに治療コストの低減等により、実用的な価値が非常に高いものであるとともに、産業動物に適用することにより、従来は廃用になっていたものを、より短期間に安価に治癒させることができるため、その経済的効果が非常に大きいものである。

0066

A犬(四足動物) B1患肢(左前肢)
B2右前肢 C肩関節周囲部
D骨折端 E仮骨
F橈骨G尺骨
H中手骨I上腕骨
J橈骨頭K肘頭
L掌球 P1〜P17 布絆創膏
Q延出部 R 先端
1,2A,2B骨折治療用外固定具 3 輪部
4,5 支持部 4A,5A通孔
6連結体7接地体
7A 通孔 8牽引手段
9 固定手段 10上腕支持部
10A長孔11 掌球支持板
11A 通孔 12取付板
12A 通孔 13連結板
13A,13B 通孔 14A左壁
14B右壁14C後壁
15A 左壁 15B 右壁
15C 後壁 16掛け部
16A 長孔 17繋止部
17A 長孔 18環状紐
19固定紐20取付ねじ
21平座金22ナット
23 取付ねじ 24 平座金
25ばね座金26蝶ナット
27 取付ねじ 28 平座金
29 ナット 30 副木

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