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技術 バイオマスからの糖類及びフルフラール類の連続製造方法

出願人 王子ホールディングス株式会社
発明者 内田洋介木皿幸紀佐々木友朗
出願日 2012年4月17日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2012-093459
公開日 2013年10月28日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2013-220058
状態 特許登録済
技術分野 糖工業 フラン系化合物
主要キーワード 環状管路 温水状態 未利用地 取出管路 加水分解処理液 移送管路 蒸留分離装置 洗浄液供給管路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

解決手段

バイオマス含有水性懸濁液を頂部より供給して底部より加水分解処理バイオマスを含有する懸濁液を排出する加水分解装置Rの上下中間位置における固−液分離装置を備えた中間部取出口S1より装置内を移動する加水分解処理懸濁液から加水分解処理液回収するとともに、底部の排出管路2から取り出される排出懸濁液を、固−液分離装置を備えた取出口S3を有する排出懸濁液移送管路12内を該取出口S3まで移送し、該取出口S3において排出懸濁液から加水分解処理バイオマスを分離して回収し、同時に分離される加水分解処理液を、該加水分解処理液の循環管路13に取り出して前記底部の排出管路2の排出懸濁液に連続的に供給して合流させるとともに、該循環管路13の中間部の取出管路16より循環管路13内の加水分解処理液の一部を適宜回収する。

概要

背景

バイオマス資源は、水と炭酸ガス太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。

バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシ・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。

バイオマスは、セルロースヘミセルロースリグニン細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。
例えば、セルロースは製紙用パルプ、あるいは溶解用パルプとして利用できる。また、セルロースはグルコース重合体であるので、セルロースからグルコースやセロオリゴ糖を得ることができる。グルコースはエタノール乳酸発酵原料、セロオリゴ糖は機能性食品として利用可能である。グルコースを還元して得られた糖アルコールソルビトール)は、冷涼感を有する甘味料として広く利用されており、最近ではバイオマス由来プラスチック原料としても注目されている(非特許文献1)。

一方、ヘミセルロースは、キシランマンナン、あるいはガラクタンなどから構成される高分子ヘテロ多糖類であり、キシロースアラビノースマンノースガラクトース等から構成されている。ヘミセルロースからキシロース、アラビノースなどの単糖キシロオリゴ糖などのオリゴ糖を得ることができる。また、キシロース等の単糖類は、グルコースと同様に発酵原料として用いることも可能である。キシロースを還元して得られるキシリトールは、糖尿病患者用の輸液や、虫歯になりにくい甘味料としてチューインガム等に配合されている。マンノースを還元して得られるマンニトールは、甘味料として利用されており、また、利尿作用脳関門を開き脳圧を低下させる作用、薬剤の脳内への輸送を促進する作用が報告されている(非特許文献2)。

更に、キシロースやアラビノース等の五炭糖フルフラールに変換することが可能であり、グルコースやマンノースなどの六炭糖を5−ヒドロキシメチルフルフラールに変換することが可能である。これらのフルフラール類は、医薬品の中間体プラスチック原料フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である。5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸は、テレフタル酸代替物質としてポリエステルモノマーとしての利用が期待されている。また、5−ヒドロキシメチルフルフラールの水素化分解によって得られる2,5−ジメチルフランは、ガソリン代替燃料としての利用が期待されている。米国エネルギー省では、バイオマス資源からバイオプロセスを主要技術として開発可能であり産業として成立する可能性の高い化学品としてキシリトール、ソルビトール、2,5−フランジカルボン酸などの12種の化成品を挙げている(非特許文献3)。

バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニンテルペン有機酸)や水溶性リグニン回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献4〜6)。

上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。

前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解すると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献7)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的であるため、前加水分解の条件は、溶解パルプの製造に適した条件で実施される。一般的には、原料チップ乾燥重量)に対して2〜5程度の液比で水を加え、150℃〜180℃で1〜数時間処理される。また、原料の種類や目的とする溶解パルプの品質に応じて適した前加水分解条件が設定される。従って、前加水分解後の反応液に含まれるオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の比率は目的の比率にはなっていないため、目的の成分を効率的に生産することができないという問題がある。もし、溶解パルプの前加水分解条件においてもヘミセルロースに由来するオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産効率を向上することができれば、溶解パルプの製造と同時に加水分解液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の工業的規模での実用化が可能となる。

バイオマス原料からキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法として、キシラン含有天然物から110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残渣を前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理する方法(特許文献1)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献2)が報告されている。しかし、溶解パルプの製造工程において、バイオマスに含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の効率的な生産技術に関する報告は開示されていない。

概要

未利用バイオマスを加水分解処理してフルフラール類及び糖類を製造する。バイオマス含有水性懸濁液を頂部より供給して底部より加水分解処理バイオマスを含有する懸濁液を排出する加水分解装置Rの上下中間位置における固−液分離装置を備えた中間部取出口S1より装置内を移動する加水分解処理懸濁液から加水分解処理液を回収するとともに、底部の排出管路2から取り出される排出懸濁液を、固−液分離装置を備えた取出口S3を有する排出懸濁液移送管路12内を該取出口S3まで移送し、該取出口S3において排出懸濁液から加水分解処理バイオマスを分離して回収し、同時に分離される加水分解処理液を、該加水分解処理液の循環管路13に取り出して前記底部の排出管路2の排出懸濁液に連続的に供給して合流させるとともに、該循環管路13の中間部の取出管路16より循環管路13内の加水分解処理液の一部を適宜回収する。

目的

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

バイオマス水性懸濁液よりなる原料懸濁液を、バイオマスから単糖類オリゴ糖類フルフラール類を生成する加水分解処理条件下にある加水分解装置の頂部より連続的に供給し、加水分解装置の中間部取出口より加水分解生成物を含有する加水分解処理液を抜き出しつつ、底部から加水分解処理されたバイオマスと加水分解生成物を含有する排出懸濁液を取出し、該排出懸濁液を排出懸濁液移送管路により加水分解処理されたバイオマスを回収する分離装置移送して加水分解処理されたバイオマスと加水分解生成物を含有する加水分解処理液とに分離し、加水分解処理されたバイオマスを回収し、加水分解処理液は、前記分離装置から該加水分解処理液を加水分解装置底部から排出される排出懸濁液に循環合流させる循環管路に取り出し、該循環管路の中間部からその一部を加水分解生成物を含有する加水分解処理液として回収しながら、残部を加水分解装置底部から排出される排出懸濁液に循環合流させることを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法

請求項2

前記排出懸濁液から分離装置により分離されて加水分解処理液の循環管路に取り出され、その一部を加水分解生成物を含有する加水分解処理液として回収された前記残部の加水分解処理液に該循環管路内において水性液を添加することを特徴とする、請求項1に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項3

前記加水分解装置の中間位置における中間部取出口の下方に位置する水性液供給口より加水分解装置内の加水分解処理懸濁液中に水性液を供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項4

前記加水分解装置の水性液供給口より供給される水性液及び、前記排出懸濁液の移送管路における前記分離装置から加水分解処理液の循環管路に取り出されて反応装置底部からの排出懸濁液に合流循環される加水分解処理液に供給される水性液のいずれか一方又は双方を温水性液とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項5

前記加水分解装置の中間部取出口より下方の前記水性液の供給口よりさらに下方の位置に、第二の中間部取出口を形成して加水分解装置内を移動する加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理液を回収することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項6

前記加水分解装置の底部に、加水分解装置内を底部方向に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触する洗浄液を供給することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項7

前記加水分解装置の中間部取出口から取り出される加水分解処理液及び前記排出懸濁液から分離装置により分離されて加水分解処理液の移送管路に取り出される加水分解処理液を蒸留分離装置に供給してフルフラール類含有留分と糖類含有留分とに分離することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項8

前記蒸留分離装置が、塔頂よりフルフラール類を含有する蒸気留分を取出し、塔底より糖類を含む加水分解生成物含有液体留分を取り出すフラッシュ蒸留装置であることを特徴とする、請求項7に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項9

前記加水分解処理懸濁液から回収した全加水分解処理液を一緒にして、全加水分解処理液中に含まれる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の含有比率を変える二次的な加水分解処理を施して単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類のいずれかの成分の含有比率を高めた加水分解処理液を得ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項10

前記バイオマスが木質系バイオマスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類、及びフルフラール類の連続製造方法。

技術分野

0001

本発明は、バイオマス加水分解処理において、加水分解装置取出口、及び加水分解処理後の加水分解処理懸濁液を次工程へ移送する管路の取出口から単糖類オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液を取り出すことにより、バイオマスより単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を高収率生産する方法に関する。

背景技術

0002

バイオマス資源は、水と炭酸ガス太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。

0003

バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシ・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。

0004

バイオマスは、セルロースヘミセルロースリグニン細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。
例えば、セルロースは製紙用パルプ、あるいは溶解用パルプとして利用できる。また、セルロースはグルコース重合体であるので、セルロースからグルコースやセロオリゴ糖を得ることができる。グルコースはエタノール乳酸発酵原料、セロオリゴ糖は機能性食品として利用可能である。グルコースを還元して得られた糖アルコールソルビトール)は、冷涼感を有する甘味料として広く利用されており、最近ではバイオマス由来プラスチック原料としても注目されている(非特許文献1)。

0005

一方、ヘミセルロースは、キシランマンナン、あるいはガラクタンなどから構成される高分子ヘテロ多糖類であり、キシロースアラビノースマンノースガラクトース等から構成されている。ヘミセルロースからキシロース、アラビノースなどの単糖キシロオリゴ糖などのオリゴ糖を得ることができる。また、キシロース等の単糖類は、グルコースと同様に発酵原料として用いることも可能である。キシロースを還元して得られるキシリトールは、糖尿病患者用の輸液や、虫歯になりにくい甘味料としてチューインガム等に配合されている。マンノースを還元して得られるマンニトールは、甘味料として利用されており、また、利尿作用脳関門を開き脳圧を低下させる作用、薬剤の脳内への輸送を促進する作用が報告されている(非特許文献2)。

0006

更に、キシロースやアラビノース等の五炭糖フルフラールに変換することが可能であり、グルコースやマンノースなどの六炭糖を5−ヒドロキシメチルフルフラールに変換することが可能である。これらのフルフラール類は、医薬品の中間体プラスチック原料フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である。5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸は、テレフタル酸代替物質としてポリエステルモノマーとしての利用が期待されている。また、5−ヒドロキシメチルフルフラールの水素化分解によって得られる2,5−ジメチルフランは、ガソリン代替燃料としての利用が期待されている。米国エネルギー省では、バイオマス資源からバイオプロセスを主要技術として開発可能であり産業として成立する可能性の高い化学品としてキシリトール、ソルビトール、2,5−フランジカルボン酸などの12種の化成品を挙げている(非特許文献3)。

0007

バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニンテルペン有機酸)や水溶性リグニン回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献4〜6)。

0008

上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。

0009

前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解すると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献7)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。

0010

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的であるため、前加水分解の条件は、溶解パルプの製造に適した条件で実施される。一般的には、原料チップ乾燥重量)に対して2〜5程度の液比で水を加え、150℃〜180℃で1〜数時間処理される。また、原料の種類や目的とする溶解パルプの品質に応じて適した前加水分解条件が設定される。従って、前加水分解後の反応液に含まれるオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の比率は目的の比率にはなっていないため、目的の成分を効率的に生産することができないという問題がある。もし、溶解パルプの前加水分解条件においてもヘミセルロースに由来するオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産効率を向上することができれば、溶解パルプの製造と同時に加水分解液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の工業的規模での実用化が可能となる。

0011

バイオマス原料からキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法として、キシラン含有天然物から110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残渣を前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理する方法(特許文献1)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献2)が報告されている。しかし、溶解パルプの製造工程において、バイオマスに含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の効率的な生産技術に関する報告は開示されていない。

0012

特開2000−236899号公報
特開2002—59118号公報

先行技術

0013

望月政嗣、大島一史、「バイオプラスチック素材・技術最前線」p.p.114
岡田弘晃、「製剤設計及び革新薬物送達システムDDS)における創薬」YAKUGAKU ZASSHI、131、p.p.1271 (2011)
Top Value Added Chemicals from Biomass Volume I−Results of Screening for Potential Candidates from Sugars and Synthesis Gas、DOE、Aug.2004
柴田 昌、「バイオマス利用技術の開発を目指して−加圧熱水による処理技術−」、平成13年度産業技術総合研究所九州センター研究講演会要旨集
木 剛、「加圧熱水によるバイオマスの成分分離」Vol.7、ページ245−248、日本エネルギー学会講演要旨集、1998年
浩毅、外5名、「加圧熱水を用いた木質バイオマス分解挙動」、鹿児島県工業技術センター研究報告No.14,ページ、2000
Furfural:Hemicellulose/xylosederived biochemical, Ajit Singh Mamman, Biofuels Bioproducts and Biorefining, Volume 2,Issue 5,p.p.438−454 (2008)

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の課題は、原料バイオマスを連続的に加水分解して単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を高収率で生産する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、連続式の加水分解装置の塔頂よりバイオマスの水性懸濁液を供給し、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件下で加水分解処理し、装置底部から部分的に加水分解処理されているバイオマスと加水分解生成物である単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理懸濁液を排出する方式のバイオマスの加水分解処理方法において、加水分解装置の中間部において、加水分解装置内を移動する加水分解処理懸濁液から、加水分解生成物である単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理液を抜き出して回収するとともに、底部から排出される部分的な加水分解処理バイオマスと水溶性加水分解生成物を含有する排出懸濁液について、該排出懸濁液中に含まれる水溶性加水分解生成物を有効利用した追加的加水分解処理を施すことにより、原料バイオマスの部分加水分解による単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率を顕著に向上させ得るのみならず、部分的に加水分解処理されているバイオマスとして、ヘミセルロース成分含有量が低減されている高品質パルプの製造原料とすることができるバイオマスが得られることを見出し、下記の発明を完成するに至った。

0016

(1)バイオマスの水性懸濁液よりなる原料懸濁液を、バイオマスから単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加水分解処理条件下にある加水分解装置の頂部より連続的に供給し、加水分解装置の中間部取出口より加水分解生成物を含有する加水分解処理液を抜き出しつつ、底部から加水分解処理されたバイオマスと加水分解生成物を含有する排出懸濁液を取出し、該排出懸濁液を排出懸濁液移送管路により加水分解処理されたバイオマスを回収する分離装置に移送して加水分解処理されたバイオマスと加水分解生成物を含有する加水分解処理液とに分離し、加水分解処理されたバイオマスを回収し、加水分解処理液は、前記分離装置から該加水分解処理液を加水分解装置底部から排出されてくる排出懸濁液に循環合流させる循環管路に取り出し、該循環管路の中間部からその一部を加水分解生成物を含有する加水分解処理液として回収しながら、残部を加水分解装置底部から排出されてくる排出懸濁液に循環合流させることを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法

0017

(2)前記排出懸濁液から分離装置により分離されて加水分解処理液の循環管路に取り出され、その一部を加水分解生成物を含有する加水分解処理液として回収された前記残部の加水分解処理液に該循環管路内において水性液を添加することを特徴とする、(1)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0018

(3)前記加水分解装置の中間位置における中間部取出口の下方に位置する水性液供給口より加水分解装置内の加水分解処理懸濁液中に水性液を供給することを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0019

(4)前記加水分解装置の水性液供給口より供給される水性液及び、前記排出懸濁液の移送管路における前記分離装置から加水分解処理液の循環管路に取り出されて反応装置底部からの排出懸濁液に合流循環される加水分解処理液に供給される水性液のいずれか一方又は双方を温水性液とすることを特徴とする、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0020

(5)前記加水分解装置の中間部取出口より下方の前記水性液の供給口よりさらに下方の位置に、第二の中間部取出口を形成して加水分解装置内を移動する加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理液を回収することを特徴とする、(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0021

(6)前記加水分解装置の底部に、加水分解装置内を底部方向に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触する洗浄液を供給することを特徴とする、(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0022

(7)前記加水分解装置の中間部取出口から取り出される加水分解処理液及び前記排出懸濁液から分離装置により分離されて加水分解処理液の移送管路に取り出される加水分解処理液を蒸留分離装置に供給してフルフラール類含有留分と糖類含有留分とに分離することを特徴とする、(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0023

(8)前記蒸留分離装置が、塔頂よりフルフラール類を含有する蒸気留分を取出し、塔底より糖類を含む加水分解生成物含有液体留分を取り出すフラッシュ蒸留装置であることを特徴とする、(7)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0024

(9)前記加水分解処理懸濁液から回収した全加水分解処理液を一緒にして、全加水分解処理液中に含まれる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の含有比率を変える二次的な加水分解処理を施して単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類のいずれかの成分の含有比率を高めた加水分解処理液を得ることを特徴とする、(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0025

(10)前記バイオマスが木質系バイオマスであることを特徴とする、(1)項〜(9)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類、及びフルフラール類の連続製造方法。

発明の効果

0026

本発明によれば、連続式の加水分解装置におけるバイオマスの部分的な加水分解処理を連続的に遂行することによって、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解生成物を高収率で製造することができるとともに、加水分解装置から排出される加水分解処理懸濁液に含まれる部分的に加水分解処理されたバイオマスよりなる、極めて高品質の溶解パルプの製造原料を同時に製造することができるバイオマスの加水分解処理方法が提供される。

図面の簡単な説明

0027

本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1及び図2とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1図2及び図3とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1図2図3及び図4とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。

0028

以下、図面を参照して、本発明のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続的な製造方法をさらに詳しく説明する。

0029

(加水分解装置)
本発明の方法で用いる加水分解装置は、頂部供給口から供給した原料懸濁液を加圧・加熱条件に維持しつつ加水分解装置内を移動させながら原料懸濁液中のバイオマスを連続的に加水分解処理することができると共に、部分的に加水分解処理されたバイオマスと、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類及びその他の有機酸等の加水分解生成物を含む水溶液とよりなる加水分解処理懸濁液から、加水分解生成物を含む水溶液よりなる加水分解処理液を分離して加水分解装置の中間部から取り出すことができる連続式の加圧、加熱加水分解処理装置である。

0030

連続式の加水分解装置Rとしては、図1に示すように、バイオマスと水性液よりなる原料懸濁液を供給するための供給管路1が接続されている頂部Aと、加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液よりなる排出懸濁液の排出管路2が接続されている底部Bと、頂部Aと底部Bの中間部において、部分的に加水分解処理されているバイオマスと加水分解生成物である単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類等とを含有する加水分解処理懸濁液から、水溶性の加水分解生成物を含有する加水分解処理液の一部を分離して装置外に取り出すことができる加水分解処理液(加水分解液1)の取出管路3が接続されている固−液分離装置を備えた中間部取出口S1を有しており、さらに、洗浄液供給装置W1から加水分解装置Rの底部Bに向流洗浄液を供給する洗浄液供給管路6がバルブV4を介して接続されている式の加水分解装置が挙げられる。

0031

図1の加水分解装置Rにおいて、中間部取出口S1から加水分解処理液(加水分解液1)の一部が取り出された後の装置内の加水分解処理懸濁液に、原料懸濁液に使用されている水性液と同種の水性液を補給するために、図2に示されているように、中間部取出口S1の下方位置に水性液供給装置W2からバルブV3を有する水性液供給管路5を経由して水性液を供給する水性液供給口Eを設けることが好ましい。

0032

図1の加水分解装置Rにおいては、加水分解装置Rの円筒部の側面に中間部取出口S1が一箇所だけ設けられているが、この中間部取出口は1箇所に限定されず、2箇所以上の位置に設けることもできる。例えば、図3に示すように、中間部取出口S1の下方の位置に、加水分解処理液部分のみを分離して装置外に取り出すことができる加水分解処理液(加水分解液2)の取出管路4が接続されている固−液分離装置を備えた中間部取出口S2が設けられている加水分解装置であってもよい。また、たとえば、第三の中間部取出口を更に設ける場合には、第二の中間部取出口S2と図示されていない第三の中間部取出口の間にも水性液供給口Eを設けて、必要に応じて水性液を加水分解装置R内に供給できるようにすることができる。

0033

(底部Bからの排出懸濁液の処理装置)
図1に示されるように、加水分解装置Rの底部Bの排出管路2には、該排出管路2に抜き出される部分的に加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液からなる排出懸濁液中のバイオマス部分を蒸解装置D等の原料物質として送る排出懸濁液の移送管路12が減圧バルブVPを介して接続されている。そして、該排出懸濁液の移送管路12には、蒸解装置Dの手前の位置に固−液分離装置を有する加水分解処理液の取出口S3が設置されていて、該取出口S3には、一端が該取出口S3に接続され、他端が前記底部の排出管路2の取出口に接続されている加水分解処理液の循環管路13が接続されている。
また、該排出懸濁液の移送管路12には、前記取出口S3に設置されている固−分離装置によって分離された部分的に加水分解処理されているバイオマスを蒸解装置D等に送るバイオマス移送管路14が接続されている。

0034

また、加水分解処理液の循環管路13の中間部には、該循環管路13内の加水分解処理液の一部を適宜取り出すことができる取出管路16がバルブV9を介して接続されており、該取出管路16の接続箇所の下流側には、水性液供給装置W2から移送管路13内の加水分解処理液に水性液を供給する水性液供給管路15がバルブV8を介して接続されている。

0035

(加水分解生成物の回収装置
図4及び図5に示されるように、加水分解装置Rに接続されている取出管路3、4によって取り出される加水分解処理液(加水分解液1,2)と、前記排出懸濁液移送管路12に接続されている加水分解処理液の循環管路13にさらに接続されている取出管路16から取り出される加水分解処理液(加水分解液3)は、好ましくは混合した状態で蒸留装置Fに送られる。

0036

蒸留装置Fは、たとえば、フラッシュタンクよりなり、その頂部にはバルブV6を有する蒸気留分の移送管路9を介して蒸気留分を凝縮するコンデンサーCが接続されており、該コンデンサーCには凝縮液の取出管路11が接続されている。
また、蒸留装置Fの底部には、蒸留装置における液体留分を取り出す、バルブV7を有する液体留分の取出管路10が接続されている。
なお、蒸留装置Fとしては、フラッシュタンクに限定されるものではなく、加水分解液中に含まれる各成分を効率よく分離できる蒸留装置であれば特に制限なく採用することができる。

0037

(バイオマスからの糖類とフルフラール類の連続製造方法)
図1図5に示される加水分解装置Rと該加水分解装置と一体的に連結されている加水分解生成物の回収装置とによってバイオマスから糖類とフルフラール類を連続製造する本発明の方法について説明する。

0038

図1において、バイオマスを水性液に懸濁させた原料懸濁液は、原料懸濁液の供給管路1により加水分解装置Rの頂部Aに連続的に供給され、バイオマスを加水分解することができる温度及び圧力条件が維持された状態で装置内を底部Bの方向に移動しながら加水分解処理が行われ、部分的に加水分解処理されたバイオマスと水溶性の加水分解生成物を含有する加水分解処理懸濁液からなる排出懸濁液として底部Bから減圧バルブVPを有する取出管路2によって取り出される。
バイオマスを水性液に懸濁させた原料懸濁液は、バイオマス(乾燥)1質量部当たり0.5〜10質量部の水性液を含有する懸濁液として供給される。

0039

加水分解装置Rの前記頂部Aと底部Bの中間部に形成されている固−液分離装置を有する中間部取出口S1において、バイオマスの加水分解処理が進行した状態で装置内を移動する加水分解処理懸濁液から、加水分解生成物を溶解している加水分解液1が取出管路3のバルブV1を開いて抜き出され、同時に、洗浄液供給管路6のバルブV4を開いて洗浄液供給装置W1から底部Bに洗浄液が供給される。供給された洗浄液は、加水分解装置内を下降する加水分解処理懸濁液と向流接触して加水分解処理懸濁液中の加水分解生成物の少なくとも一部を取り込んで前記中間部取出口S1からの加水分解液1に含まれた状態で取出管路3により取り出される。

0040

中間部取出口S1で加水分解反応装置Rから抜き出す加水分解液1の液量は、一般的には、加水分解処理懸濁液中のバイオマス(乾燥)1質量部当たり0.5〜10質量部であり、好ましくは2〜6質量部の範囲である。
前記向流洗浄液の供給量に特に制限はないが、前記取出管路3から取り出される加水分解液1の濃度が極端希薄状態とならない範囲で供給量が適宜設定される。
向流洗浄液としては、原料懸濁液に使用される水性液と同種の水性液、有機酸を含有する酸性水溶液弱アルカリ性水溶液、温水等が使用可能であるが、あらかじめ加温されたものが好ましい。洗浄液供給管路6からの洗浄液は、連続的に供給してもよいし、断続的に供給してもよい。

0041

図2に示されるように、加水分解液1の取出管路3の下方に水性液供給口Eを形成し、上記取出管路3から加水分解液1が取り出されたことによって濃縮されている懸濁液に水性液を適宜供給できるようにすることもできる。
また、図3に示されるように、前記取出管路3の下方の位置に第二の中間部取出口S2に接続した加水分解液2の取出管路4を配置して加水分解液2を取り出すこともできる。このように、第二の中間部取出口S2から加水分解液2を取り出す場合は、第一の中間部取出口S1と第二の中間部取出口S2の間に水性液供給口Eを形成し、水性液供給管路5を設けることが必要である。第一と第二の中間部取出口の間に水性液供給管路5を接続して、第一の中間部取出口S1からの加水分解処理液の取り出し開始と同時に水性液供給口Eに水性液供給装置W2から水性液を供給することにより、加水分解装置R内の懸濁液濃度をバイオマスのさらなる加水分解が進行し易い状態に調整することができる。

0042

水性液供給装置W2から管路5を経由して供給される水性液は、中間部取出口S1から加水分解処理液(加水分解液1)のみが取出された後の加水分解処理懸濁液の濃度、温度、圧力等からなる加水分解処理条件を適正な範囲に維持することができる水性液である限り、特に制限はない。また、その供給方法についても、例えば、図2に示す水性液供給装置W2から加水分解装置R内に温水状態とした水性液をポンプで移送して供給する方法等を採用することができる。

0043

加水分解装置Rからの加水分解処理液の取り出し、及び水性液の加水分解装置Rへの供給は、中間部取出口からの加水分解処理液の取り出しと水性液供給口Eへの水性液の供給と同時且つ略同一液量となるように行われることが好ましく、連続的であってもよいし、断続的でもよい。
加水分解装置Rへ供給する水性液の温度は、一般的には90〜200℃が好ましく、150〜180℃がさらに好ましい。

0044

第二の中間部取出口S2に接続されている取出管路4からの加水分解液2の取り出し液量に特に制限はなく、底部Bに供給される向流洗浄液量との関係等に基づいて適宜設定することができる。
また、2箇所の中間部取出口S1,S2を有する加水分解装置Rの場合は、加水分解装置の底部から供給される向流洗浄液は、加水分解処理懸濁液の移動方向とは逆に下方から上方へ移動し、主として装置中間の固−液分離装置を備えた第二の中間部取出口S2からの加水分解液2と混合した状態で取出管路4に取り出される。

0045

以上のような2箇所の中間部取出口S1,S2を有する加水分解装置Rの場合、第一の中間部取出口S1から加水分解処理液1を取り出すと同時に、取り出した加水分解処理液1の液量に相当する液量の水性液を加水分解装置Rに供給することにより、第一の中間取出口と第二の中間取出口の間におけるバイオマスの加水分解条件が良好に維持されることとなり、第二の中間部取出口S2からの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の取出量が増加するので、加水分解装置Rの1箇所の中間部取出口S1のみから取り出す場合よりも高い収率で単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を製造することができる。

0046

第二の中間部取出口S2の下方の位置に第三の中間部取出口をさらに設けることも可能である。その場合、第二の中間部取出口S2と第三の中間部取出口の間にも水性液供給口Eを設けて加水分解装置内の加水分解処理懸濁液の状態を加水分解が良好に進行する状態となるように適宜調整できるようにしてもよい。

0047

本発明の方法では、前記したような底部Bからの洗浄液の供給による向流洗浄操作を採用することによって、底部Bに移動する加水分解処理懸濁液中の水溶性の加水分解生成物(単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類等)を洗浄液中移行させ、中間部取出口S1(又はS2)から取り出される加水分解処理液(加水分解液1又は加水分解液2)中に含まれた状態で回収できるので、底部Bから排出されて排出懸濁液の移送管路12によって蒸解装置等に送られて蒸解処理される部分的に加水分解処理されているバイオマスに随伴されて失われるフルフラール類等の加水分解生成物の量を低減することができる。

0048

本発明で使用する加水分解装置Rにおける各中間部取出口に配置する固−液分離装置としては、メッシュ網目)が10μm〜5cmの範囲のストレーナーフィルターが採用される。ストレーナーとしては、目詰まりトラブルの回避と分離される水溶液中への懸濁物質の随伴を極力避けるために40〜500μmの範囲のストレーナーが好適に採用される。

0049

(原料懸濁液)
本発明で加水分解処理原料とするバイオマスとしては、五炭糖を構成糖として含む材料であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、木質系原料であれば、樹木林地残材、間伐材、廃材等のチップ又は樹皮製材工場等から発生するおが街路樹剪定枝葉建築廃材等が挙げられ、広葉樹針葉樹共に用いることができる。草本系として、ケナフ稲藁麦わらコーンコブバガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサスミスカンサスネピアグラス等のリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。

0050

また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジスラッジ下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。
また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。バイオマスが乾燥固形物または水分を含んだ固形物であれば、水と混合させスラリー状態にした後に、連続式加水分解反応装置に供給することが好ましい。
バイオマスを水性液に懸濁させた原料懸濁液は、一般的には、バイオマス(乾燥)1質量部当たり0.5〜10質量部の水性液を含有する懸濁液として供給される。

0051

(加水分解処理条件)
本発明の方法において、バイオマスの加水分解処理で生成するフルフラール類としては、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。生成するオリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられ、前記オリゴ糖にアラビノース、マンノース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、4−o−メチルグルクロン酸等が側鎖として付加したオリゴ糖も含まれる。生成する単糖類としては、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。

0052

本発明の方法において、加水分解装置R内での加水分解処理は、加圧下における熱水処理酸処理アルカリ処理等の方法を用いて行うことができる。また、生成する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に回収できる方法としては、加圧、加熱状態の水又は酸水溶液を用いた処理方法が望ましい。加圧、加熱状態の水を用いる加水分解処理の場合は、バイオマスを水と混合し、加圧、加熱して加水分解が行われるし、酸水溶液処理の場合は、バイオマスを酸を含む水と混合し、加圧、加熱して加水分解が行割れる。酸水溶液に用いる酸は特に限定されないが、好適には硫酸塩酸硝酸リン酸、酢酸、シュウ酸等が使用される。

0053

加水分解処理に供するバイオマスを含有する水性懸濁液のpHは0.5〜5.0の範囲が好ましい。
加水分解処理の温度としては、120〜250℃で行うことができるが、140〜230℃が好ましく、150〜180℃がより好ましい。
加水分解処理の圧力は、0.35MPa〜2.8MPaであることが好ましい。
バイオマスと混合する水性液体とバイオマスの質量比(水性液体/バイオマス)は2〜8の範囲が好ましい。

0054

バイオマスの加水分解処理時間(加水分解処理装置内の滞留時間)は、バイオマスの種類や加水分解装置R内の温度、圧力等に応じて適宜設定できる。一般的には、140〜230℃で加水分解処理する場合、加水分解処理時間(装置内滞留時間)は0.5〜180分の範囲で適宜設定される。
以上の条件下での加水分解処理により、セルロースを主体とする加水分解処理バイオマスと、加水分解生成物であるフルフラール、オリゴ糖類、単糖類などの水溶性成分とを含有する加水分解処理液よりなる加水分解処理懸濁液が得られる。

0055

加水分解装置Rで加水分解物が洗浄液で向流洗浄される区間(加水分解装置の下部)で加水分解処理懸濁液に含まれている単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の少なくとも一部を回収することができるため取出管路S1やS2から取出される加水分解生成物の収量が増加する。
本発明の方法によって加水分解装置Rから取り出された加水分解処理液は、加水分解生成物中の特定成分の収量を多くすることが目的である場合は、取出管路に取り出された加水分解液を二次的な加水分解処理工程に送ってフルフラール類、単糖類の含有比率を高めるためのさらなる加水分解処理を施すことができるし、そのままフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類を分離するための濃縮分離工程に送って各生成物に分離する処理をすることもできる。

0056

(底部Bの排出懸濁液の処理)
前記加水分解装置Rから蒸解装置D等に移送される排出懸濁液から加水分解処理液を分離し、分離した加水分解処理液を循環管路13により循環させて排出懸濁液に合流させ、排出懸濁液と混合した状態で移送管路12内を移送することにより、移送中にバイオマスの加水分解が進行してフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類の含有量が増加するが、そのように増加した加水分解生成物を含有する加水分解液3を加水分解処理液の循環管路13から適宜取出すことにより加水分解液生成物の収量がさらに増加する。また、蒸解装置D等へ供給される加水分解処理されたバイオマスに随伴される単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の量を低減することができるので、該加水分解処理されたバイオマスを蒸解工程Dの原料とする場合、黒液のpH低下を抑制し、黒液の中和に必要なアルカリ薬品の削減が可能となるというメリットがある。

0057

(加水分解生成物の分離)
加水分解装置Rから取出された加水分解処理液(加水分解液1,2等)と、前記底部排出懸濁液の排出懸濁液移送管路内での追加的な加水分解処理が行われている加水分解処理液(加水分解液3)からフルフラール類と糖類とを分離する方法に特に制限はないが、各加水分解処理液を、加水分解処理時の温度と圧力を保持した状態で取り出してそのままフラッシュ蒸留装置に送って、フルフラール類を含有する蒸気相からなる塔頂留分と、糖類等を含有する液相からなる塔底留分とに分離することが好ましい。
フラッシュ蒸留装置としては、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等が使用される。

0058

フラッシュ蒸留装置で塔頂留分として得られる蒸気相には、塔底の液体留分よりもはるかに高濃度でフルフラール類が含まれているので、蒸気相をコンデンサー等の冷却装置により冷却するだけで高濃度のフルフラール水溶液としてフルフラール類を回収することができる。
フラッシュ蒸留装置の塔底留分としての液相からは、水溶性の加水分解生成物であるオリゴ糖類や単糖類からなる糖類、酢酸等の有機酸類等を含有する水溶液を回収することができる。

0059

(オリゴ糖類、単糖類の分離工程
加水分解装置Rから取出された加水分解処理液(加水分解液1,2)や前記の底部からの排出懸濁液から回収される加水分解処理液を濃縮分離装置で分離した後の水溶液(液相)に含まれる単糖類及びオリゴ糖類は、一般的な糖の精製プロセスで用いられる方法で分離・精製することができる。単糖類やオリゴ糖類を含む糖液濃縮装置としては、エバポレーター等を用いることができる。また、UF膜限外濾過膜)、RO膜逆浸透膜)、NF膜ナノフィルトレーション)、分子ふるいクロマトグラフィー疑似移動床クロマトグラフィー等を用いてオリゴ糖類を濃縮したり、オリゴ糖類及び単糖類を分離することができる。糖液に含まれる着色成分等の不純物は、活性炭陽イオン交換樹脂陰イオン交換樹脂吸着樹脂等を用いて除去することができる。精製した単糖類を含む水溶液は、結晶化させて精製することができる。また、精製した糖液をスプレードライヤー凍結乾燥装置などを用いて粉末化することも可能である。

0060

(その他)
製紙用パルプや溶解パルプの原料とするセルロース類の製造と同時にフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類を製造することを目的とした場合、製紙用パルプや溶解パルプの製造に適したセルロースを得るための加水分解条件(セルロースの過分解を防ぐ条件)は、フルフラール類や単糖類を得るための加水分解条件としては最適条件ではない。本発明の方法を、製紙用パルプや溶解パルプの製造原料を得ることを主たる目的として実施するとともに、さらにフルフラール等の加水分解生成物の収量を増加させることを意図した場合には、本発明の方法をセルロースの過分解を避ける加水分解条件で行う方法として実施し、得られる水溶性加水分解生成物を含有する加水分解処理液に対して、加水分解液中の各加水分解生成物の成分比率を変えることができる追加の加水分解処理を施すことによって、特定の加水分解生成物、たとえば、フルフラール類等を併産する方法とすることも可能である。

0061

上記のように、加水分解生成物中の特定成分の収量を増加させるための二次的な加水分解処理を行う場合は、加水分解装置Rから取り出された加水分解処理液を、直接二次的な加水分解装置に供給することもできるし、また、減圧濃縮装置等の濃縮装置を用いて加水分解装置Rからの加水分解処理液を濃縮してから二次的な加水分解装置に供給することもできる。

0062

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。

0063

製造例1
ユーカリペリータのチップ(厚さ2mm)とイオン交換水とを、チップ(乾燥)1質量部に対してイオン交換水5質量部の割合で混合して原料バイオマスを含有する原料懸濁液を調製した。
図1に示す加水分解装置Rの頂部Aに接続している原料懸濁液供給管路1から上記原料懸濁液を連続的に300質量部/時で供給し、加水分解装置内で165℃、0.70MPaで加水分解処理を行い、加水分解処理された加水分解処理懸濁液を加水分解装置の底部Bより減圧バルブVPを介して排出管路2に排出した。加水分解装置内の滞留時間は100分に設定した。
一方、洗浄液供給装置W1から洗浄液供給管路6のバルブV4を開いて加水分解装置Rの底部に洗浄水を200質量部/時で供給して、目開き300μmのステンレス製金網が設置されている加水分解装置Rの中央部の中間部取出口S1を経て下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた。
供給開始3時間後(定常運転開始後)から、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解装置の中間部取出口S1(加水分解処理時間50分の位置)から加水分解液1(200質量部/時)を加水分解処理液の取出管路3のバルブV1開いて取り出した。
底部Bの排出管路2に排出された加水分解処理懸濁液を排出懸濁液移送管路12を経由して蒸解装置D側へ移送した。蒸解装置側の排出懸濁液移送管路12の箇所に設置されたストレーナーを備えた取出口S3に接続されている加水分解処理液の移送管路13に、ストレーナー(目開き300μm)により排出懸濁液より固形分として前記原料バイオマスを除いた加水分解処理液(500質量部/時)を取り出し、加水分解装置Rの底部Bに接続している排出管路2へ移送し、加水分解装置Rの底部から排出されてくる排出懸濁液(300質量部/時)に混合し、混合した排出懸濁液(800質量部/時)を排出懸濁液移送管路12により前記ストレーナーに移送した。前記の方法により、前記原料バイオマスを除いた加水分解処理液部分を、排出懸濁液移送管路12−加水分解懸濁液の循環管路13によって構成される環状管路内に供給し循環させた。なお、予め循環開始時に水性液供給装置W2より95℃の温水を加水分解処理液の循環管路13へ供給して循環管路13内に温水を充填しておいた。
定常運転開始後、加水分解処理液液の循環管路13に接続されている取出管路16より加水分解処理液(200質量部/時)を加水分解液3として連続的に取り出し、水性液供給装置W2より温水(200質量部/時)を供給管路15を経由して循環管路13へ連続的に供給した。
取出管路3から取り出した加水分解液1及び取出管路16から取り出した加水分解液3に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表1に示す。

0064

[糖分析
糖分析は、DIONEX社製糖分析システム(ICS5000)を用いた。カラムはCarbo Pac PA−1 (2×250mm)を用い、20mM NaOH溶液溶離液とし、0.25ml/minの流速で単糖を溶出させた。検出には、パルスアンペロメトリー検出器を用いた。単糖の標品として、グルコース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロースを用いた。これらの各成分の検量線を作成し、試料中の各単糖の含有量を求めた。

0065

[全糖量の分析]
試料溶液最終濃度が4質量%となるように硫酸を添加し、120℃で1時間加水分解を行った後、糖分析を実施し、試料中の各単糖の含有量を求め、その合計値を全糖量とした。

0066

[オリゴ糖類含有量の計算]
試料中の全糖量から、4質量%硫酸で加水分解を行う前の試料中の各単糖の含有量を差し引いた値をオリゴ糖類の含有量とした。

0067

[フルフラール類の定量]
フルフラール類の定量にはAgilent Technоlоgies社製HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−Rad社製Aminex HPX87P(7.8×300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速でフルフラール類を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。フルフラール類の標品として、フルフラールを用い、検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。

0068

製造例2
製造例1において、加水分解装置底部から排出された排出懸濁液を排出懸濁液の移送管路12—加水分解処理液の循環管路13によって構成される前記環状管路に循環しない以外の操作は全て製造例1と同様の方法で試験した。取出管路3から取り出した加水分解液1に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表1に示す。

0069

0070

表1に示すように、加水分解装置の底部から排出された加水分解処理された原料バイオマスを含有する加水分解処理懸濁液を蒸解装置へ供給する前で加水分解液のみを取り出し、取り出した加水分解液を、加水分解装置の排出口に接続されている排出管路とともに環状循環系を形成している前記加水分解液の循環管路13からも加水分解液を取り出すことにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率(合計)が高まった。
以上の結果から、加水分解装置の底部から排出された加水分解処理懸濁液中の加水分解液部分を、加水分解装置と蒸解装置の間に形成した、加水分解処理懸濁液の排出懸濁液移送管路と、該排出懸濁液移送管路内の加水分解処理懸濁液から分離した加水分解液の循環管路とを接続した環状管路内を循環させることにより、さらに加水分解が進行し、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上したものと考えられる。また、加水分解生成物が向流洗浄により洗浄される区間(加水分解装置の下部)における加水分解処理懸濁液中に残存する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の相当量が底部に供給される洗浄液との向流洗浄によって回収できたことも収率が向上した原因と考えられる。

0071

製造例3
製造例1と同様の方法でユーカリ・ペリータのチップから原料バイオマスを含有する原料懸濁液を調製し、加水分解処理を行った。
図2に示すように、原料の供給開始3時間後(定常運転開始後)から、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解装置の中間部取出口(加水分解処理時間50分の位置)から加水分解液1(200質量部/時)を取出管路3より取り出した。一方、加水分解液1の排出開始と同時に水性液供給装置W2より95℃の温水(10質量部/時)を水性液供給管路5を経由して水性液供給口Eから加水分解装置R内へ供給した。また、洗浄液供給装置W1から洗浄液供給管路6のバルブV4を開いて加水分解装置Rの底部に洗浄水を100質量部/時で供給して、前記目開き300μmのステンレス製金網が設置されている加水分解装置Rの中央部の中間部取出口S1を経て下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた。
それ以外の操作は全て製造例1と同様の方法で試験した。取出管路3から取り出した加水分解液1及び前記取出管路16から取り出した加水分解液3に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表2に示す。

0072

0073

表2に示すように、加水分解装置の中間部取出口から加水分解液を取り出すと同時に中間部取出口の下方に位置する水性液供給口Eへ温水を供給した場合(製造例3)は、温水を供給しない試験(製造例1)と比較し、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が高まった。
以上の結果から、加水分解装置の中間取出口から加水分解液を取り出すと同時に温水を供給することにより加水分解装置内において原料から水溶液中へ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が溶解し易くなった結果、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上したものと推測される。

0074

製造例4
製造例1と同様の方法でユーカリ・ペリータのチップから原料バイオマスを含有する原料懸濁液を調製し、加水分解処理を行った。
図3に示すように、原料の供給開始3時間後(定常運転開始後)から、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解装置の上部側の中間部取出口(加水分解処理時間50分の位置)から加水分解液1(200質量部/時)を加水分解処理液の取出管路3のバルブV1を開いて取り出し、加水分解装置の下部側の中間部取出口(加水分解処理時間70分の位置)から加水分解液2(200質量部/時)を加水分解処理液の取出管路4のバルブV2を開いて取り出した。加水分解液の取出開始と同時に水性液供給装置W2より95℃の温水(200質量部/時)を水性液供給管路5のバルブ3を開いて取り出し、加水分解液の上部の中間部取出口(S1)と下部の取出口(S2)の間の水性液供給口Eから加水分解装置内に供給した。また、洗浄液供給装置W1から洗浄液供給管路6のバルブV4を開いて加水分解装置の底部に洗浄水を200質量部/時で供給して、前記目開き300μmのステンレス製金網Sが設置されている加水分解装置Rの中央部における下部の中間部取出口(S2)を経て下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた。
それ以外の操作は全て製造例1と同様の方法で試験した。上部の取出管路3から取り出した加水分解液1、下部の取出管路4から取り出した加水分解液2及び、前記環状管路を形成している加水分解処理液の循環管路13から取出管路16により取り出した加水分解液3に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表3に示す。

0075

0076

表3に示すように、加水分解処理液を加水分解装置の2箇所の中間部取出口S1,S2(上部、下部)から取出管路3,4により取出すと共に、前記底部からの加水分解処理懸濁液中の加水分解液を前記環状管路を形成する加水分解処理液の循環管路13の取出管路16からも取出した場合(製造例4)は、加水分解処理液を加水分解装置の1箇所の中間部取出口S1(上部)から取出管路3のみで取り出した場合(製造例2)、2箇所の取出管路から取出した場合(製造例1、製造例3)と比較して、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が高かった。
以上の結果から、加水分解装置の2箇所の取出管路から加水分解液を取り出すと同時に取り出した容量と同量の水性液(温水)を供給し、さらに、前記底部からの加水分解処理懸濁液中の加水分解液を前記環状管路を形成する循環管路13の取出管路16からも取出した場合は、顕著に単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上した。

0077

製造例5
図4に示す装置により試験した。製造例3と同様の方法で試験し、取出管路3から取り出した加水分解液1及び前記環状管路を形成する加水分解処理液の循環管路13の取出管路16から取り出した加水分解液3をフラッシュタンクF((株)進栄技研製、容量4L)へ移送した。フラッシュタンクF(濃縮分離装置)で分離した蒸気相を管路9によりコンデンサーCに送って冷却して凝縮し、凝縮液の取出管路11からフルフラール水溶液(40質量部/時)を取り出した。また、フラッシュタンク内の液相として糖類等含有水溶液(360質量部/時)を取出管路10より取り出した。
フラッシュタンクから得られる各水溶液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を測定し、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表4に示す。

0078

0079

表4に示すように、製造例5の方法では、加水分解処理で生成した各種加水分解生成物の中からフルフラールの殆どの部分がフラッシュタンクにおけるフラッシュ蒸留によって蒸気相中に含まれた状態でフラッシュタンクから取り出される結果、生成フルフラールの主たる部分を含有している高純度フルフラールの高濃度水溶液を連続的に得ることができた。一方、フラッシュ蒸留後のフラッシュタンク内から排出される液相には、フルフラール類は極めて少量しか含まれておらず、オリゴ糖類、単糖類が高濃度で含まれており、液相からは単糖類及びオリゴ糖類を高濃度で含む水溶液を回収することができた。

0080

製造例6
図5に示す装置により試験した。製造例4と同様の方法で試験し、取出管路3から取り出した加水分解液1、取出管路4から取り出した加水分解液2及び前記環状管路を形成する加水分解処理液の循環管路13の取出管路16から取り出した加水分解液3を一緒にしてフラッシュタンクF((株)進栄技研製、容量4L)へ移送した。フラッシュタンクF(濃縮分離装置)で分離した蒸気相をコンデンサーCで冷却して凝縮液取出管路11からフルフラール水溶液(60質量部/時)を取り出した。また、フラッシュタンク内の液相として糖類等含有水溶液(540質量部/時)を液相取出管路10より取り出した。
フラッシュタンクから得られる各水溶液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を測定し、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表5に示す。

0081

実施例

0082

表5に示すように、製造例6の方法においても、加水分解反応で生成した各種加水分解生成物の中からフルフラールの殆どの部分がフラッシュタンクにおけるフラッシュ蒸留によって蒸気相中に含まれた状態でフラッシュタンクから取り出される結果、生成フルフラールの主たる部分を含有している高純度フルフラールの高濃度水溶液を連続的に得ることができた。一方、フラッシュ蒸留後のフラッシュタンク内から排出される液相には、フルフラール類は極めて少量しか含まれておらず、オリゴ糖類、単糖類が高濃度で含まれており、液相からは単糖類及びオリゴ糖類を高濃度で含む水溶液を回収することができた。

0083

本発明の方法は、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される廃棄物系バイオマス、農作物の非食用部や間伐材などの未利用バイオマスを原料として、医薬中間体、フラン樹脂などのプラスチック原料であるフルフリルアルコールの製造原料として用いられるフルフラール類や、食品食品添加物、発酵原料などに用いられる単糖類、オリゴ糖類などの有用物質を化石原料によらずに安定供給することに途を拓くものであるし、山林の保守管理廃棄物処理の分野にも大きく貢献するものである。

0084

1:原料懸濁液供給管路
2:底部排出懸濁液の排出管路
3:加水分解処理液の取出管路
4:加水分解処理液の取出管路
5:水性液供給管路
6:洗浄液供給管路
9:蒸気留分移送管路
10:液体留分取出管路
11:凝縮液取出管路
12:加水分解処理懸濁液の移送管路
13:加水分解処理液の循環管路
14:バイオマス移送管路
15:水性液供給管路
16:加水分解処理液の取出管路
A:加水分解装置塔頂
B:加水分解装置塔底
C:コンデンサー
D:蒸解装置
E:水性液供給口
F:フラッシュタンク
R:連続式の加水分解装置
S1:上部側の中間部取出口
S2:下部側の中間部取出口
S3:取出口
W1:洗浄液供給装置
W2:水性液供給装置
V1〜V9:バルブ
VP:減圧バルブ

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