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図面 (20)

課題

ヘテロ接合積層体及び受光素子に関し、新規な構造で新規な特性を有するオリゴマー或いはオリゴマーと同様の結合を有するヘテロ接合積層体を提供する。

解決手段

金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するアルカリ様超原子一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するハロゲン様超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と積層して積層体とし、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記ハロゲン様超原子とを結合させる。

概要

背景

半導体材料として有用なケイ素は、PやB等の導電型決定不純物元素のドープによって電気特性を向上させることができる。そのため、遷移金属をドープすることによってケイ素クラスターの生成分布とは分布が変化する金属−ケイ素クラスターは興味深い研究対象である。理論や実験による研究から,金属を内包したケイ素クラスターが生成することが示され、金属内包ケイ素クラスターの顕著な生成は,主に幾何構造由来するとされてきた。

例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等の遷移金属を含有するシリコンクラスター発見は、シリコンだけをベースとした材料に代わる代替材料の鍵として注目を集めている。

本発明者は、Sc,V,Ti等をドープしたシリコンクラスターの生成に成功しており、特に、16個のシリコンの骨格の中に金属が内包されたM@Si16を安定して生成することに成功している(例えば、非特許文献1或いは非特許文献2参照)。

このM@Si16の構造としては、図19に示すように、いくつかの対称構造が存在すると考えられるが、この内、D4d対称性を有する分子構造が最も安定であり、次いで、C3V対称性或いはTd(FK)対称性を有する分子構造が安定である。

図20は、D4d対称構造を有する分子構造の説明図であり、図20(a)と図20(b)とは互いに90°ずれた位置から見た側面図に相当する。このM@Si16は、図20(a)の両側に示す矢印の位置の2つの四角形格子とその他の8つの五角形格子とが組み合わさったシリコン骨格を有している。

このシリコン骨格の中に金属原子Mを内包することで、シリコンクラスターに存在するダングリングボンドが減少するために、シリコンクラスターだけは生成しない安定なカゴ型構造となっている。

また、見方を変えると、図20(a)に示した各矢印の位置でそれぞれ四角形(Si4)を形成していると見ることもでき、その場合には4枚の正方形に近い四角形によりシリコン骨格が構成されていることになる。なお、両側の2枚の四角形は実際にSiが互いに共有結合しているが、内側の二枚の四角形は四角形を構成するSiが直接互いに共有結合していない。

これらのM@Si16のうち、Ti@Si16は電気的に中性の時に、Tiより3d電子が1つ少ないScでは負イオン(Si16Sc−)の時に、また、Tiより3d電子が1つ多いVでは正イオン(Si16V+)の時に顕著に生成する。このSc@Si16はハロゲン様の超原子と見做せ、一方、V@Si16はアルカリ様の超原子と見做せる。

概要

ヘテロ接合積層体及び受光素子に関し、新規な構造で新規な特性を有するオリゴマー或いはオリゴマーと同様の結合を有するヘテロ接合積層体を提供する。金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するアルカリ様超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するハロゲン様超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と積層して積層体とし、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記ハロゲン様超原子とを結合させる。

目的

本発明は、金属内包した16個のシリコンからなる骨格を有する超原子から新規な構造と新規な特性を有するオリゴマー(多量体)或いはオリゴマーと同様の結合を有するヘテロ接合積層体を提供する

効果

実績

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請求項1

基板上に、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するアルカリ様超原子或いは金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するハロゲン様超原子の一方が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と、前記アルカリ様超原子或いはハロゲン様超原子の他方が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層とを順次積層した積層体からなり、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記ハロゲン様超原子とが結合していることを特徴とするヘテロ接合積層体。

請求項2

前記アルカリ様超原子からなる単超原子層と前記ハロゲン様超原子からなる単超原子層との間に、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有する中性超原子が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層を有し、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記中性ハロゲン様超原子とが結合しているとともに、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記中性超原子と前記ハロゲン様超原子とが結合していることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合積層体。

請求項3

前記アルカリ様超原子に内包される金属原子がタンタルであり、前記ハロゲン様超原子に内包される金属原子がスカンジウムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘテロ接合積層体。

請求項4

前記中性超原子に内包される金属原子がチタンであることを特徴とする請求項2に記載のヘテロ接合積層体。

請求項5

請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のヘテロ接合積層体の前記基板の表面に第1の電極層を有するとともに、前記ヘテロ接合積層体の積層表面に第2の電極層とを有し、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも一方が可視光に対して透明或いは半透明であることを特徴とする受光素子

技術分野

0001

本発明は、ヘテロ接合積層体及び受光素子に関するものであり、特に、金属原子内包ケイ素ケージ化合物を超原子(super atom)として、異なった超原子を超原子層単位で積層した新規な特性を有するヘテロ接合積層体及び受光素子に関するものである。

背景技術

0002

半導体材料として有用なケイ素は、PやB等の導電型決定不純物元素のドープによって電気特性を向上させることができる。そのため、遷移金属をドープすることによってケイ素クラスターの生成分布とは分布が変化する金属−ケイ素クラスターは興味深い研究対象である。理論や実験による研究から,金属を内包したケイ素クラスターが生成することが示され、金属内包ケイ素クラスターの顕著な生成は,主に幾何構造由来するとされてきた。

0003

例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等の遷移金属を含有するシリコンクラスター発見は、シリコンだけをベースとした材料に代わる代替材料の鍵として注目を集めている。

0004

本発明者は、Sc,V,Ti等をドープしたシリコンクラスターの生成に成功しており、特に、16個のシリコンの骨格の中に金属が内包されたM@Si16を安定して生成することに成功している(例えば、非特許文献1或いは非特許文献2参照)。

0005

このM@Si16の構造としては、図19に示すように、いくつかの対称構造が存在すると考えられるが、この内、D4d対称性を有する分子構造が最も安定であり、次いで、C3V対称性或いはTd(FK)対称性を有する分子構造が安定である。

0006

図20は、D4d対称構造を有する分子構造の説明図であり、図20(a)と図20(b)とは互いに90°ずれた位置から見た側面図に相当する。このM@Si16は、図20(a)の両側に示す矢印の位置の2つの四角形格子とその他の8つの五角形格子とが組み合わさったシリコン骨格を有している。

0007

このシリコン骨格の中に金属原子Mを内包することで、シリコンクラスターに存在するダングリングボンドが減少するために、シリコンクラスターだけは生成しない安定なカゴ型構造となっている。

0008

また、見方を変えると、図20(a)に示した各矢印の位置でそれぞれ四角形(Si4)を形成していると見ることもでき、その場合には4枚の正方形に近い四角形によりシリコン骨格が構成されていることになる。なお、両側の2枚の四角形は実際にSiが互いに共有結合しているが、内側の二枚の四角形は四角形を構成するSiが直接互いに共有結合していない。

0009

これらのM@Si16のうち、Ti@Si16は電気的に中性の時に、Tiより3d電子が1つ少ないScでは負イオン(Si16Sc−)の時に、また、Tiより3d電子が1つ多いVでは正イオン(Si16V+)の時に顕著に生成する。このSc@Si16はハロゲン様の超原子と見做せ、一方、V@Si16はアルカリ様の超原子と見做せる。

先行技術

0010

www.molsci.jp/discussion_past/2004/BK2004/Abs/2P/2P032.pdf
www.molsci.jp/discussion_past/2005/papers/3B03_w.pdf

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、これらの超原子を単量体モノマー)として用いた場合には、その特性や用途が限られたものになり、機能素子の実現が困難であるという問題がある。

0012

したがって、本発明は、金属内包した16個のシリコンからなる骨格を有する超原子から新規な構造と新規な特性を有するオリゴマー多量体)或いはオリゴマーと同様の結合を有するヘテロ接合積層体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

(1)本発明は、上記の課題を解決するために、ヘテロ接合積層体において、基板上に、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するアルカリ様超原子或いは金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有するハロゲン様超原子の一方が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層と、前記アルカリ様超原子或いはハロゲン様超原子の他方が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層を順次積層した積層体からなり、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記ハロゲン様超原子とが結合していることを特徴とする。

0014

このように、電気的特性の異なるアルカリ様超原子とハロゲン様超原子のヘテロ接合を形成して二量体(dimer)或いは二量体に近い構造とすることにより、分子軌道偏在して内殻の分子軌道よりもエネルギー的に浅い所にある占有軌道はアルカリ様超原子側に偏り、一方非占有軌道はハロゲン様超原子側に偏るので、光吸収によりエネルギー的に低いアルカリ様超原子からエネルギー的に高いハロゲン様超原子への電荷移動が可能になる。

0015

(2)また、本発明は、上記(1)において、前記アルカリ様超原子からなる単超原子層と前記ハロゲン様超原子からなる単超原子層との間に、金属原子を内包する16個のシリコンからなる骨格を有する中性超原子が前記超原子が一個分の超原子の厚さに堆積した単超原子層を有し、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記アルカリ様超原子と前記中性ハロゲン様超原子とが結合しているとともに、前記積層体の少なくとも一部において、前記積層体の積層方向において、前記中性超原子と前記ハロゲン様超原子とが結合していることを特徴とする。

0016

このように、アルカリ様超原子からなる単超原子層とハロゲン様超原子からなる単超原子層との間に、中性超原子からなる単超原子層を挿入して三量体(trimer)或いは三量体に近い構造とすることによって、占有側においても非占有側においても分子軌道の局在性を高めることができ、それによって、アルカリ様超原子とハロゲン様超原子の両側に電荷を確実に分離することが可能になる。

0017

(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、前記アルカリ様超原子に内包される金属原子がタンタルであり、前記ハロゲン様超原子に内包される金属原子がスカンジウムであることを特徴とする。

0018

アルカリ様超原子に内包される金属原子としては、3d遷移金属であるV(〔Ar〕(3d)3(4s)2)、4d遷移金属であるNb(〔Kr〕(4d)3(5s)2)或いは5d遷移金属であるTa(〔Xe〕(5d)3(4f)14(6s)2)が好適であるが、超原子の生成容易性の観点からTa(タンタル)が好適である。一方、ハロゲン様超原子の内包される金属原子としては、3d遷移金属であるSc(〔Ar〕(3d)1(4s)2)或いは4d遷移金属であるY(〔Kr〕(4d)1(5s)2)が好適であるが、超原子の生成容易性の観点からSc(スカンジウム)が好適である。

0019

(4)また、本発明は、上記(2)において、中性超原子に内包される金属原子としては、閉殻電子配置を取る3d遷移金属であるTi(〔Ar〕(3d)2(4s)2)或いは閉殻電子配置を取る4d遷移金属であるZr(〔Kr〕(4d)2(5s)2)が好適であるが、超原子の生成容易性の観点からTi(チタン)が好適である。

0020

(5)また、本発明は、受光素子において、上記(1)乃至(4)のいずれかのヘテロ接合積層体の前記基板の表面に第1の電極層を有するとともに、前記ヘテロ接合積層体の積層表面に第2の電極層とを有し、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の少なくとも一方が可視光に対して透明或いは半透明であることを特徴とする。

0021

このように、ヘテロ接合積層体を少なくとも一方が可視光に対して透明或いは半透明である第1の電極層と第2の電極層とにより挟み込むことによって、光吸収により電荷の遷移が生じた場合に、電流の変化或いは電圧の変化として検出することができ、pnフォトダイオード、pin光スイッチ素子或いは光起電力素子等として用いることが可能になる。

発明の効果

0022

開示のヘテロ接合積層体及び受光素子によれば、新規な構造で新規な特性を有するオリゴマー(重合体)或いはオリゴマーと同様の結合を有するヘテロ接合積層体を提供することが可能になる。

図面の簡単な説明

0023

二量体構造のヘテロ接合積層体の形成方法の説明図である。
二量体の分子モデル最適化構造である。
二量体の内殻の分子軌道である。
二量体の占有軌道及び非占有軌道の説明図である。
二量体の状態密度の説明図である。
二量体の吸収スペクトルの説明図である。
二量体について計算した原子間距離とワイバーグ結合指標である。
三量体構造のヘテロ接合積層体の形成方法の説明図である。
三量体の分子モデルの最適化構造である。
三量体の占有軌道の説明図である。
三量体の非占有軌道の説明図である。
三量体の状態密度の説明図である。
三量体の吸収スペクトルの説明図である。
三量体について計算した原子間距離とワイバーグ結合指標である。
単量体(Ti@Si16)の分子軌道の説明図である。
単量体の吸収スペクトルである。
本発明の実施例1の受光素子の概念的断面図である。
本発明の実施例2の受光素子の概念的断面図である。
M@Si16の分子構造図である。
D4d対称構造を有する分子構造の説明図である。

0024

ここで、図1乃至図16を参照して、本発明の実施の形態のヘテロ接合積層体を説明するが、まず、図1乃至図7を参照して二量体によるヘテロ接合を説明する。図1は、二量体構造のヘテロ接合積層体の形成方法を説明図であり、まず、基板1上にアルカリ様超原子2を蒸着して単超原子層3を形成する。この場合のアルカリ様超原子2は、V、Nb或いはTaを内包した16個のシリコンからなる骨格を有するV@Si16、Nb@Si16或いはTa@Si16を用いる。

0025

次いで、Sc或いはYを内包したハロゲン様超原子4を蒸着して単超原子層5を形成してヘテロ接合を形成する。この時、このヘテロ接合積層体の少なくとも一部において、アルカリ様超原子2とハロゲン様超原子4とが結合して二量体或いは二量体に近い構造を形成する。或いは、成膜後に可視光の波長帯レーザ光照射したり、各超原子における分子軌道間遷移エネルギーに等しいエネルギーを有する電子線を照射してヘテロ接合を形成する。この場合も、このヘテロ接合積層体の少なくとも一部において、アルカリ様超原子2とハロゲン様超原子4とが結合して二量体或いは二量体に近い構造を形成する。なお、アルカリ様超原子2とハロゲン様超原子4の積層順序は逆でも良い。結合の態様としては、共有結合やファンデルワース結合であり、さらには、イオン結合金属結合配位結合でも良い。

0026

なお、各超原子を生成するためには、例えば、真空中でSiと内包金属となるMの試料棒YAGレーザの第2高調波を照射して蒸発させてSiとMとを反応させた後、高圧パルスバルブから噴射させたヘリウムガスで冷却して生成する。或いは、真空中でSiと内包金属となるMのディスクマグネトロンスパッタリングして蒸発させてSiとMとを反応させた後、ガスセル内でヘリウムガスで冷却して生成する。

0027

図2は、二量体の分子モデルの最適化構造であり、構造的に最も安定なD4d対称構造のアルカリ様超原子2とハロゲン様超原子4とが4角形格子が互いに対向した状態で共有結合した構造になる。ここでは、図20(a)に示したモノマーと同様に、4つのSi原子で構成される四角形構造(Si4)を順に、a〜hまで番号付けしている。ここで、a,d,e,hに位置する4角形構造の各Siはその面内で互いに共有結合しており、一方、b,c,f,gに位置する4角形構造の各Siはその面内で直接共有結合はしていない。

0028

図3は、二量体の内殻の分子軌道であり、ここでは、内包金属をVとScにして実際に分子軌道法計算プログラムを用いた結果をしている。なお、Kohn−Sham密度汎関数による電子状態の計算による幾何学構造の最適化のためには、B3LYP汎関数及びdef−SV(P)basis setsを採用したプログラムTURBOMOLE6.2及び6.3を用いた。構造最適化した二量体及び三量体に対する自然結合軌道(NBO)解析と吸収スペクトルについては、6−31G(d,p) basis setsとCAM−B3LYP汎関数を採用したGaussian09を用いた。

0029

図に示すように、超原子の場合にも通常の原子と同様にs軌道、p軌道d軌道を有しており、下から順にS軌道、Pz軌道、Dz2軌道を示している。なお、左側の3つは分子軌道同士が同位相相互作用する結合性軌道(bonding)を表し、右側の3つは分子軌道同士が逆位相で相互作用する反結合性軌道(ant−bonding)を表している。

0030

図4は二量体の占有軌道及び非占有軌道の説明図であり、左側は占有軌道であり、右側は非占有軌道である。図3に示した内殻の分子軌道よりもエネルギー的に浅い所にある占有軌道は右側のV@Si16側に偏っている。エネルギー的には上のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)から順に、HOMO−1、HOMO−2へと低くなっている。

0031

一方、非占有軌道は左側のSc@Si16側に偏っている。エネルギー的には上のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)から順に、LUMO+1、LUMO+2へと高くなっている。

0032

したがって、占有軌道のいずれかと非占有軌道のいずれかとの間のエネルギー差に等しいエネルギーの光が入射した場合に、光が吸収されてV@Si16側からSc@Si16側へ電荷の移動が生ずることになる。この電荷の移動を電流或いは電圧の変化として検出すれば受光素子として動作することになる。なお、受光素子とする場合には、ヘテロ接合積層体の表裏にITO等の透明電極を成膜しても良いし、或いは、平坦金属プレートで表裏からヘテロ接合積層体を押さえ付けるようにしても良い。

0033

図5は、二量体の状態密度の説明図であり、ここでは、V@Si16とSc@Si16の分子軌道のエネルギーと状態密度の相関を表したものである。右側に行くほどエネルギー的に浅くなっている。ここでは、まず、マリケン密度解析(Mulliken population analysis)を実行し、p(i)で表記されるV@Si16の軌道iの密度を計算する。この値とk番目吸収ピーク強度I(k)を用いてV@Si16における電荷の増減をそれぞれ、pincrease=Σap(a)(xia)2とpdecrease=Σip(i)(xia)2として表わす。なお、i,j・・・は占有軌道を表し、a,b・・・は非占有軌道を表す。なお、系数xiaは、Kohn−Sham軌道における占有軌道iから非占有軌道aへの遷移を意味し、これらの係数二乗の総和が1になるように規格化したものである。

0034

V@Si16における電荷の全体として増加は、pincrease−pdecreaseとして計算する。なお、この値が負の場合には、Sc@Si16の電荷が増加したことを意味する。最後に、得られた値を上記のI(k)と掛け合わせて、シミュレーションを行った紫外可視帯域の吸収スペクトルに重ねてプロットした。

0035

図6は、二量体の吸収スペクトルの説明図であり、左側は太い実線で示したのが上述のように計算した吸収スペクトルであり、その内部に書き込んだベタ塗り波形がV@Si16側からSc@Si16側へ電荷移動と、逆にSc@Si16側からV@Si16側へ電荷移動を示している。なお、この場合の吸収スペクトルは計算により得た吸収線スペクトルローレンツ関数により畳み込んだものである。

0036

図から明らかなように、可視光領域でヘテロ接合において光吸収が生じた場合には、主に、V@Si16側からSc@Si16側へ電荷移動が生ずることを意味する。このことは、図4において、占有軌道がV@Si16側に偏り、非占有軌道がSc@Si16側に偏っていることに対応する。

0037

図7は、二量体について計算した原子間距離〔Å〕とワイバーグ結合指標(Wiberg bond indices)であり、ワイバーグ結合指標は括弧内に示している。なお、図におけるSia等のサフィックスaは、図2に示した四角形構造(Si4)の位置を表している。

0038

次に、図8乃至図14を参照して三量体によるヘテロ接合を説明する。図8は、三量体構造のヘテロ接合積層体の形成方法を説明図であり、まず、基板1上にアルカリ様超原子2を蒸着して単超原子層3を形成する。この場合のアルカリ様超原子2は、V、Nb或いはTaを内包した16個のシリコンからなる骨格を有するV@Si16、Nb@Si16或いはTa@Si16用いる。

0039

次いで、Ti或いはZrを内包する中性超原子6を蒸着して単超原子層7を形成したのち、Sc或いはYを内包するハロゲン様超原子4を蒸着して単超原子層5を形成してヘテロ接合を形成する。この時、このヘテロ接合積層体の少なくとも一部において、アルカリ様超原子2と中性超原子7とが結合するとともに、中性超原子7とハロゲン様超原子4とが結合して直線状の三量体或いは三量体に近い構造を形成する。或いは、成膜後に可視光の波長帯のレーザ光を照射したり、各超原子における分子軌道間の遷移エネルギーに等しいエネルギーを有する電子線を照射してヘテロ接合を形成する。この場合も、このヘテロ接合積層体の少なくとも一部において、アルカリ様超原子2と中性超原子7とが結合するとともに、中性超原子7とハロゲン様超原子4とが結合して直線状の三量体或いは三量体に近い構造を形成する。なお、各超原子の積層順序は逆でも良い。結合の態様としては、共有結合やファンデルワース結合であり、さらには、[Ta@Si16]+・・・[Sc@Si16]−等のイオン結合や、金属結合や配位結合でも良い。

0040

図9は、三量体の分子モデルの最適化構造であり、構造的に最も安定なD4d対称構造のアルカリ様超原子2、中性超原子6及びハロゲン様超原子4とが4角形格子が互いに対向した状態で共有結合した構造になる。ここでも4つのSi原子で構成される四角形構造(Si4)を順に、a〜lまで番号付けしている。ここで、a,d,e,h,i,lに位置する4角形構造の各Siはその面内で互いに共有結合しており、一方、b,c,f,g,j,kに位置する4角形構造の各Siはその面内で直接共有結合はしていない。

0041

図10は、三量体の占有軌道の説明図であり、エネルギー的には右上のHOMOから順に、HOMO−1、HOMO−2・・・HOMO−5へと低くなっている。図から明らかにように、Ti@Si16を挿入したことにより、右側のV@Si16側に局在した分子軌道が一つ増えて四つになっている。

0042

図11は、三量体の非占有軌道の説明図であり、エネルギー的には右下のLUMOから順に、LUMO+1、LUMO+2・・・LUMO+5へと高くなっている。この場合も、Ti@Si16を挿入したことにより、左側のSc@Si16側に局在した分子軌道が二つ増えて五つになっている。

0043

このように、Ti@Si16を挿入したことにより、分子軌道の局在性を高めることができ、言い換えれば双極子モーメントが大きくなったことを意味している。このことは、半導体におけるpin接合が形成されたのと同様であり、絶縁層であるTi@Si16により電荷の分離ができている。

0044

図12は,三量体の状態密度の説明図であり、ここでは、V@Si16、Ti@Si16及びSc@Si16の分子軌道のエネルギーと状態密度の相関を表したものである。右側に行くほどエネルギー的に浅くなっている。

0045

図13は、三量体の吸収スペクトルの説明図であり、左側は太い実線で示したのが計算した吸収スペクトルであり、その内部に書き込んだベタ塗りの波形がV@Si16側からSc@Si16側へ電荷移動を示している。なお、Sc@Si16側からV@Si16側への逆方向の電荷移動はなく、完全に一方向になっている。

0046

図14は、三量体について計算した原子間距離〔Å〕とワイバーグ結合指標(Wiberg bond indices)であり、ワイバーグ結合指標は括弧内に示している。なお、図におけるSia等のサフィックスaは、図8に示した四角形格子(Si4)の位置を表している。

0047

図15は、単量体(Ti@Si16)の分子軌道の説明図であり、エネルギーの並びは深い方から順にHOMO−5<HOMO−4<・・・HOMO−1<HOMO<LUMO<LUMO+<・・・<LUMO+5となる。ここで、図において矢印で示したLUMO+1,LUMO+2,LUMO+4,LUMO+5の4つがオリゴマーの結合方向、即ち、四角形格子の対向方向に伸びた軌道の形をしている。したがって、光照射によって、これらの矢印で示した軌道へと選択的に励起することで図2或いは図8に示した二量体或いは三量体の形成が容易になる。

0048

図16は、単量体の吸収スペクトルであり、太い実線は吸収スペクトルであり、吸収スペクトル内の濃いベタ波形は図15に示した分子軌道への遷移を示しており、薄い波形は吸収線スペクトルである。なお、太い実線は吸収スペクトルは吸収線スペクトルをローレンツ関数により畳み込んだものである。

0049

図から明らかなように、1eV〜3eVのエネルギー帯に上記の分子軌道への遷移が大部分を占める光吸収を示している。したがって、これらの波長帯の光を複数種の単量体を積層した表面に照射することで共有結合を誘起してヘテロ接合とすることが可能である。

0050

次に、図17を参照して、本発明の実施例1の受光素子を説明する。図17は、本発明の実施例1の受光素子の概念的断面図であり、ガラス基板11上にITO膜12を堆積した成膜基板を用意する。次いで、マグネトロンスパッタリング法を用いてTa@Si16からなる単超原子層13とSc@Si16からなる単超原子層14を順次積層する。

0051

次いで、図16に示した単量体の分子軌道の遷移が大部分を示す吸収スペクトルに合致した波長のレーザ光を照射して、Ta@Si16とSc@Si16とを共有結合して二量体を形成する。最後に、単超原子層14の表面に再びITO膜15を成膜することによって受光素子となる。

0052

このように、本発明の実施例1においては、新規な二量体を用いて受光素子を構成することができる。また、この受光素子は個々の二量体がそれぞれ受光素子要素となるので、1個のフォトン等の微弱な光に反応するナノクラスタサイズの受光素子を構成することが可能になる。

0053

次に、図18を参照して、本発明の実施例2の受光素子を説明する。図18は、本発明の実施例2の受光素子の概念的断面図であり、ガラス基板11上にITO膜12を堆積した成膜基板を用意する。次いで、マグネトロンスパッタリング法を用いてTa@Si16からなる単超原子層13、Ti@Si16からなる単超原子層16及びSc@Si16からなる単超原子層14を順次積層する。

0054

次いで、図16に示した単量体の分子軌道の遷移が大部分を示す吸収スペクトルに合致した波長のレーザ光を照射して、Ta@Si16とTi@Si16及びTi@Si16とSc@Si16とを共有結合して直線状の三量体を形成する。最後に、単超原子層14の表面に再びITO膜15を成膜することによって受光素子となる。

実施例

0055

このように、本発明の実施例2においても、新規な三量体を用いて受光素子を構成することができる。また、この受光素子は個々の三量体がそれぞれ受光素子要素となるので、1個のフォトン等の微弱な光に反応するナノクラスタサイズの受光素子を構成することが可能になる。さらに、この実施例2においては、中間に絶縁性のTi@Si16からなる単超原子層16を挟んでいるので、耐圧が高くなり、リーク電流を低減することができる。

0056

1基板
2アルカリ様超原子
3 単超原子層
4ハロゲン様超原子
5 単超原子層
6中性超原子
7 単超原子層
11ガラス基板
12ITO膜
13 単超原子層
14 単超原子層
15 ITO膜
16 単超原子層

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