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課題

ペプチド溶解特性に応じて溶媒を選択することなく、1種または複数種類のペプチドを同一の溶媒を用いて簡便に製剤化する手段の提供。

解決手段

1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む医薬組成物。塩基性アミノ酸がアルギニンリシンオルニチンヒスチジンヒドロキシリジン及びこれらの塩からなる群から選択される1種または2種以上の組合せであり、塩基が炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム、などからなる群から選択される1種または2種以上の組合せである。また、ペプチドは、T細胞エピトープペプチドである。

概要

背景

ペプチドを含有する注射製剤では、ペプチドが熱に対して不安定であるため、高圧蒸気滅菌による最終滅菌を行うことができない。そのため、無菌化を図るために、無菌ろ過工程が必須である。無菌ろ過工程は、通例絶対口径が保証された0.22 μm以下のメンブランフィルターを通過することにより行う。よって、ろ過前の段階において、ペプチドが完全に溶解したペプチド溶液を調製することが必要となる。しかし、ペプチドは、そのアミノ酸配列により溶解特性が異なるため、ペプチドの溶解特性に応じて適切な溶媒を選択する必要がある。特に疎水性の高いペプチドを極性溶媒に完全に溶解することは困難であり、溶媒の選択に多大な労力を要する。pHを変化させることにより溶解性を高めることも可能であるが、注射製剤として適切なpHの範囲を逸脱したり、ペプチドが不安定となってしまう場合も多い。

また、近年、一種類のペプチドのみではなく、複数種類のペプチドを有効成分として含むペプチドワクチン製剤が注目されている。このようなペプチドワクチン製剤は、特に癌治療用として有利であると考えられる。

癌治療用ペプチドワクチン製剤では、癌細胞に特異的な免疫反応誘導するために、腫瘍特異抗原のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含有する(例えば、特許文献1)。これらのT細胞エピトープペプチドが由来する腫瘍特異抗原は、癌患者臨床サンプルを用いた網羅的な発現解析により、癌種毎に、癌細胞で特異的に高発現し、正常細胞ではほとんど発現のみられない抗原として同定されたものである(例えば、特許文献2)。しかし、このように同定された腫瘍特異抗原であっても、癌細胞の有する多様性により、全ての患者及び全ての癌細胞において、同じように高発現しているとは必ずしもいえない。すなわち、ある患者の癌では高発現している抗原であっても別の患者の癌ではそれほど発現していない場合もあり得る。また、同一患者においても、細胞レベルにおいては、癌細胞は不均一な細胞集団であることが知られており(非特許文献1)、ある癌細胞では発現している抗原であっても別の癌細胞では発現していない場合もあり得る。そのため、一種類のT細胞エピトープペプチドのみを含むワクチン製剤では、十分な抗腫瘍効果を得られない患者が存在する可能性がある。また、抗腫瘍効果を得られた患者においても、殺傷できない癌細胞が存在し得る。一方、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤であれば、癌細胞がいずれかの抗原を発現している可能性が高い。よって、より幅広い患者で抗腫瘍効果を得ることができ、殺傷できない癌細胞が存在する可能性も低くなる。

上記のような複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤の効果は、配合するT細胞エピトープペプチドの種類が多いほど高くなる。しかし、複数種類のT細胞ペプチドを有効量含ませようとすれば、単位量当たりのペプチド含量が増えるため、全ペプチドを完全に溶解することはより困難になる。また、性質の異なる複数種類のペプチドが共存することになるため、全てのペプチドを安定に維持することもより困難となる。

たとえば、欧州公開特許公報第2111867号(特許文献3)には、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含む癌治療用ワクチン製剤の凍結乾燥製剤が開示されている。この凍結乾燥製剤では、凍結乾燥前のペプチド溶液の調製において、各ペプチドをその溶解特性に応じて、ペプチド毎に適切な溶媒に溶解している。さらに、調製した各ペプチド溶液を混合する際には、ペプチドの析出を防ぐために、決められた順番で各ペプチド溶液を混合することが記載されている。このように、ペプチド毎に適切な溶媒を選択し、各ペプチド溶液を混合する順番を検討することは、ペプチドの種類が多くなるほど労力を要する。

上記のような製剤製造上の困難を回避するために、一種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤を、同一患者に複数種類投与する方法も考えられる。しかし、複数種類のワクチン製剤を投与する場合には、身体の複数箇所へのワクチン接種が必要であり、患者への負担が大きくなる。またペプチドワクチン製剤は、接種後にDTH(Delayed Type Hypersensitivity)反応と呼ばれる皮膚反応が生じることが多い。身体の複数箇所での皮膚反応の発生は、患者の不快感を増大させる。したがって、ワクチン接種における患者の負担を軽減するためには、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤であることが望ましい。また、一種類のエピトープペプチドを含むワクチン製剤を複数種類投与する場合であっても、各ペプチド製剤を製造する際には、ペプチド毎に適切な溶媒を選択する作業が必要である。

概要

ペプチドの溶解特性に応じて溶媒を選択することなく、1種または複数種類のペプチドを同一の溶媒を用いて簡便に製剤化する手段の提供。1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む医薬組成物。塩基性アミノ酸がアルギニンリシンオルニチンヒスチジンヒドロキシリジン及びこれらの塩からなる群から選択される1種または2種以上の組合せであり、塩基が炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム、などからなる群から選択される1種または2種以上の組合せである。また、ペプチドは、T細胞エピトープペプチドである。なし

目的

本発明は、ペプチドの溶解特性に応じて溶媒を選択することなく、1種または複数種類のペプチドを同一の溶媒を用いて簡便に製剤化する手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む医薬組成物

請求項2

塩基性アミノ酸がアルギニンリシンオルニチンヒスチジンヒドロキシリジン及びこれらの塩からなる群から選択される1種または2種以上の組合せである、請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

塩基が炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムトリエタノールアミントロメタモール及びメグルミンからなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせである、請求項1または2に記載の医薬組成物。

請求項4

ペプチドがT細胞エピトープペプチドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項5

ペプチドが2種以上のT細胞エピトープペプチドが直接又はリンカーを介して結合されたペプチドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項6

T細胞エピトープペプチドが配列番号1、2、3、4、又は5に示すアミノ酸配列からなるペプチドのいずれか1種または2種以上のペプチドである、請求項4または5に記載の医薬組成物。

請求項7

T細胞エピトープペプチドが配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの全種類のペプチドである、請求項4または5に記載の医薬組成物。

請求項8

腫瘍に対する免疫応答誘導するための医薬組成物である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項9

癌を予防又は治療するための医薬組成物である、請求項8に記載の医薬組成物。

請求項10

非経口製剤の形態に剤形化されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項11

非経口製剤が注射剤であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。

請求項12

請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物を凍結乾燥させた凍結乾燥製剤

請求項13

1種又は2種以上のペプチドを、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液に溶解する工程を含む、請求項11に記載の注射剤である医薬組成物の製造方法。

請求項14

以下の工程を含む、請求項12記載の凍結乾燥製剤の製造方法;(1)1種又は2種以上のペプチドを、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液に溶解する工程;及び(2)(1)で調製されたペプチド溶液を凍結乾燥する工程。

請求項15

ペプチドが、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの全種類のペプチドである、請求項14に記載の凍結乾燥製剤の製造方法。

請求項16

以下の(a)および(b)を含むキット:(a)請求項12に記載の凍結乾燥製剤;及び(b)(a)の凍結乾燥製剤の再構成液

請求項17

以下の(a)および(b)を含むキット:(a)請求項6または7に記載の医薬組成物を凍結乾燥させた凍結乾燥製剤;及び(b)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む(a)の凍結乾燥製剤の再構成液。

請求項18

さらに以下の(c)を含む請求項16または17に記載のキット:(c)1種又は2種以上のアジュバント

請求項19

以下の(a)および(b)を含むキット:(a)請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物;(b)1種又は2種以上のアジュバント。

技術分野

0001

本発明は、ペプチドを含む医薬組成物およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

ペプチドを含有する注射製剤では、ペプチドが熱に対して不安定であるため、高圧蒸気滅菌による最終滅菌を行うことができない。そのため、無菌化を図るために、無菌ろ過工程が必須である。無菌ろ過工程は、通例絶対口径が保証された0.22 μm以下のメンブランフィルターを通過することにより行う。よって、ろ過前の段階において、ペプチドが完全に溶解したペプチド溶液を調製することが必要となる。しかし、ペプチドは、そのアミノ酸配列により溶解特性が異なるため、ペプチドの溶解特性に応じて適切な溶媒を選択する必要がある。特に疎水性の高いペプチドを極性溶媒に完全に溶解することは困難であり、溶媒の選択に多大な労力を要する。pHを変化させることにより溶解性を高めることも可能であるが、注射製剤として適切なpHの範囲を逸脱したり、ペプチドが不安定となってしまう場合も多い。

0003

また、近年、一種類のペプチドのみではなく、複数種類のペプチドを有効成分として含むペプチドワクチン製剤が注目されている。このようなペプチドワクチン製剤は、特に癌治療用として有利であると考えられる。

0004

癌治療用ペプチドワクチン製剤では、癌細胞に特異的な免疫反応誘導するために、腫瘍特異抗原のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含有する(例えば、特許文献1)。これらのT細胞エピトープペプチドが由来する腫瘍特異抗原は、癌患者臨床サンプルを用いた網羅的な発現解析により、癌種毎に、癌細胞で特異的に高発現し、正常細胞ではほとんど発現のみられない抗原として同定されたものである(例えば、特許文献2)。しかし、このように同定された腫瘍特異抗原であっても、癌細胞の有する多様性により、全ての患者及び全ての癌細胞において、同じように高発現しているとは必ずしもいえない。すなわち、ある患者の癌では高発現している抗原であっても別の患者の癌ではそれほど発現していない場合もあり得る。また、同一患者においても、細胞レベルにおいては、癌細胞は不均一な細胞集団であることが知られており(非特許文献1)、ある癌細胞では発現している抗原であっても別の癌細胞では発現していない場合もあり得る。そのため、一種類のT細胞エピトープペプチドのみを含むワクチン製剤では、十分な抗腫瘍効果を得られない患者が存在する可能性がある。また、抗腫瘍効果を得られた患者においても、殺傷できない癌細胞が存在し得る。一方、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤であれば、癌細胞がいずれかの抗原を発現している可能性が高い。よって、より幅広い患者で抗腫瘍効果を得ることができ、殺傷できない癌細胞が存在する可能性も低くなる。

0005

上記のような複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤の効果は、配合するT細胞エピトープペプチドの種類が多いほど高くなる。しかし、複数種類のT細胞ペプチドを有効量含ませようとすれば、単位量当たりのペプチド含量が増えるため、全ペプチドを完全に溶解することはより困難になる。また、性質の異なる複数種類のペプチドが共存することになるため、全てのペプチドを安定に維持することもより困難となる。

0006

たとえば、欧州公開特許公報第2111867号(特許文献3)には、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含む癌治療用ワクチン製剤の凍結乾燥製剤が開示されている。この凍結乾燥製剤では、凍結乾燥前のペプチド溶液の調製において、各ペプチドをその溶解特性に応じて、ペプチド毎に適切な溶媒に溶解している。さらに、調製した各ペプチド溶液を混合する際には、ペプチドの析出を防ぐために、決められた順番で各ペプチド溶液を混合することが記載されている。このように、ペプチド毎に適切な溶媒を選択し、各ペプチド溶液を混合する順番を検討することは、ペプチドの種類が多くなるほど労力を要する。

0007

上記のような製剤製造上の困難を回避するために、一種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤を、同一患者に複数種類投与する方法も考えられる。しかし、複数種類のワクチン製剤を投与する場合には、身体の複数箇所へのワクチン接種が必要であり、患者への負担が大きくなる。またペプチドワクチン製剤は、接種後にDTH(Delayed Type Hypersensitivity)反応と呼ばれる皮膚反応が生じることが多い。身体の複数箇所での皮膚反応の発生は、患者の不快感を増大させる。したがって、ワクチン接種における患者の負担を軽減するためには、複数種類のT細胞エピトープペプチドを含むワクチン製剤であることが望ましい。また、一種類のエピトープペプチドを含むワクチン製剤を複数種類投与する場合であっても、各ペプチド製剤を製造する際には、ペプチド毎に適切な溶媒を選択する作業が必要である。

0008

国際公開公報第2008/102557号
国際公開公報第2004/031413号
欧州公開特許公報第2111867号

先行技術

0009

Kai Wang et al.,BMCBioinformatics 2009, 10: 12.

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、ペプチドの溶解特性に応じて溶媒を選択することなく、1種または複数種類のペプチドを同一の溶媒を用いて簡便に製剤化する手段を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭酸ナトリウム及び/又はアルギニンを含有する水溶液が、水に対する溶解特性が異なる種々のペプチドを溶解可能であることを見出した。また、当該水溶液が、複数種類のペプチドを含む注射製剤の調製にも適していることを見出した。さらに、当該水溶液により調製された注射製剤について、注射製剤として適切なpHの範囲内であることを確認した。本発明はこれらの知見により完成されたものである。

0012

すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む医薬組成物。
[2] 塩基性アミノ酸がアルギニン、リシンオルニチンヒスチジンヒドロキシリジン及びこれらの塩からなる群から選択される1種または2種以上の組合せである、[1]に記載の医薬組成物。
[3] 塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムトリエタノールアミントロメタモール及びメグルミンからなる群から選択される1種又は2種以上の組み合わせである、[1]また[2]に記載の医薬組成物。
[4] ペプチドが、T細胞エピトープペプチドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の医薬組成物。
[5] ペプチドが、2種以上のT細胞エピトープペプチドが直接又はリンカーを介して結合されたペプチドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の医薬組成物。

0013

[6] T細胞エピトープペプチドが、配列番号1、2、3、4、又は5に示すアミノ酸配列からなるペプチドのいずれか1種または2種以上のペプチドである、[4]または[5]に記載の医薬組成物。
[7] T細胞エピトープペプチドが、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの全種類のペプチドである、[4]または[5]に記載の医薬組成物。
[8]腫瘍に対する免疫応答を誘導するための医薬組成物である、[4]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物。
[9] 癌を予防又は治療するための医薬組成物である、[8]に記載の医薬組成物。
[10]非経口製剤の形態に剤形化されることを特徴とする、[1]〜[9]のいずれかに記載の医薬組成物。
[11] 非経口製剤が注射剤であることを特徴とする、[10]に記載の医薬組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の医薬組成物を凍結乾燥させた凍結乾燥製剤。

0014

[13] 1種又は2種以上のペプチドを、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液に溶解する工程を含む、[11]に記載の注射剤である医薬組成物の製造方法。
[14] 以下の工程を含む、[12]に記載の凍結乾燥製剤の製造方法;
(1)1種又は2種以上のペプチドを、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液に溶解する工程;及び
(2)(1)で調製されたペプチド溶液を凍結乾燥する工程。
[15] ペプチドが、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの全種類のペプチドである、[14]に記載の凍結乾燥製剤の製造方法。
[16] 以下の(a)および(b)を含むキット
(a)[12]に記載の凍結乾燥製剤;及び
(b)(a)の凍結乾燥製剤の再構成液
[17] 以下の(a)および(b)を含むキット:
(a)[6]または[7]に記載の医薬組成物を凍結乾燥させた凍結乾燥製剤;及び
(b)配列番号5に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む(a)の凍結乾燥製剤の再構成液。
[18] さらに以下の(c)を含む、[16]または[17]に記載のキット:
(c)1種又は2種以上のアジュバント
[19] 以下の(a)および(b)を含むキット:
(a)[1]〜[11]のいずれかに記載の医薬組成物;
(b)1種又は2種以上のアジュバント。

発明の効果

0015

本発明により、ペプチドの溶解特性に応じて溶媒を選択することなく、1種または複数種類のペプチドを同一の溶媒を用いて簡便に製剤化することができる医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、配合できるペプチドの種類を多くすることができるので、例えば、複数種類のT細胞エピトープペプチドを配合したワクチン製剤として提供すれば、十分な抗腫瘍効果が得られ、癌の治療上非常に有効である。

図面の簡単な説明

0016

本発明の一実施形態にかかるペプチド配合凍結乾燥製剤の安定性を示す。
本発明の一実施形態にかかるペプチド配合凍結乾燥製剤の24カ月後の安定性を回帰分析により予測した図である。

0017

以下、本発明を具体的に説明する。

0018

本明細書で用いる「ペプチド」という用語は、アミノ酸残基ポリマーを指す。本用語は、天然アミノ酸残基からなるアミノ酸ポリマー、天然アミノ酸残基と1個又は複数個アミノ酸類似体またはアミノ酸模倣体等の非天然アミノ酸残基とからなるアミノ酸ポリマー、非天然アミノ酸残基からなるアミノ酸ポリマー、とに適用される。

0019

本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸及び合成アミノ酸、並びに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。アミノ酸は、L−アミノ酸又はD−アミノ酸のいずれであってもよい。「天然アミノ酸」という用語は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、及び細胞内で翻訳後に修飾されたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリン)を指す。「アミノ酸類似体」という用語は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造水素カルボキシ基アミノ基、及びR基に結合したα炭素)を有するが、修飾されたR基又は修飾された骨格を有する化合物(例えば、ホモセリンノルロイシンメチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を指す。「アミノ酸模倣体」という用語は、一般的なアミノ酸とは異なる構造を有するが、同様の機能を有する化合物を指す。アミノ酸は、本明細書において、IUPAC−IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)の推奨する、一般に公知の3文字表記又は1文字表記により記載される。

0020

本明細書で用いる「T細胞エピトープペプチド」という用語は、MHC(主要組織適合複合体:major histocompatibility complex)クラスI又はクラスII分子と結合して細胞表面上に提示され、T細胞受容体を介してT細胞に認識されるペプチドをさす。MHCクラス分子と結合するT細胞エピトープペプチドは通常、8〜14個のアミノ酸からなり、典型的には、9又は10個のアミノ酸からなる。MHCクラスI分子によって細胞表面上に提示されたペプチドは、CD8陽性T細胞により認識され、CD8陽性T細胞を活性化して細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T lymphocyte:CTL)を誘導する。MHCクラスII分子と結合するT細胞エピトープペプチドは通常、12〜30個のアミノ酸からなり、典型的には、15〜24個のアミノ酸からなる。MHCクラスII分子によって細胞表面上に提示されたペプチドは、CD4陽性T細胞により認識され、CD4陽性T細胞を活性化する。

0021

本明細書で用いる「腫瘍特異抗原」という用語は、腫瘍細胞で発現される抗原であって、正常細胞では全く又はほとんど発現されない抗原をさす。腫瘍特異抗原は、ある特定の腫瘍細胞(例えば、胃癌細胞)で発現されるものであってもよく、広範囲の腫瘍細胞で共通して発現されるものであってもよい。また、「腫瘍特異抗原」には、腫瘍細胞と精巣で特異的に発現する癌精巣抗原も含まれる。

0022

1.本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む医薬組成物である。

0023

本発明の医薬組成物に含まれるペプチドは、特に限定されるものではなく、生理活性を有する任意のペプチドであればよい。本発明の医薬組成物に含まれるペプチドの例としては、例えば、T細胞エピトープ及び抗体エピトープ等の免疫原性ペプチドドミナントネガティブペプチド、アプタマー酵素、抗体、scFv、Fab、F(ab’)2及びFv等の抗体断片ホルモン神経伝達物質オピオイドペプチドオータコイド、並びにサイトカイン等が挙げられるが、これらに限定されない。

0024

好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、有効成分として、T細胞エピトープペプチドを1種又は2種以上含む。T細胞エピトープペプチドは、MHCクラスI結合性エピトープ及びMHCクラスII結合性エピトープのいずれも、これまでに複数同定されている。したがって、これら公知のT細胞エピトープペプチドを、単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて、本発明の医薬組成物のペプチドとして用いることができる。なお、2種以上のT細胞エピトープペプチドを組み合わせて用いる場合には、それらのT細胞エピトープペプチドは直接又はリンカーを介して結合させてもよい。使用可能なリンカーとしては、例えば、AAY (P. M. Daftarian et al., J Trans Med 2007, 5:26)、 AAA及びNKRK(R. P. M. Sutmuller et al., J Immunol. 2000, 165: 7308-7315)、並びにポリリジン(S. Ota et al., Can Res. 62, 1471-1476, K. S. Kawamura et al., J Immunol. 2002, 168: 5709-5715)等が挙げられるが、これらに限定されない。

0025

本発明の医薬組成物に使用可能なT細胞エピトープペプチドとしては、例えば、腫瘍特異抗原由来ペプチドHIV等のウイルス抗原由来ペプチド、及びアレルゲン由来ペプチド等が挙げられ、これに限定されないが、腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドが好ましい。腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドは、ヒトのMHC分子であるヒト白血球抗原HLA)に結合するエピトープが、複数同定されており、ヒトでは、MHCクラスI分子は、HLA−A、HLA−B、HLA−Cが存在し、MHCクラスII分子は、HLA−DR、HLA−DQ、HLA−DPが存在する。本発明の医薬組成物に含まれるT細胞エピトープペプチドは、いずれのHLA抗原に結合するT細胞エピトープペプチドであってもよいが、HLA−A抗原に結合するT細胞エピトープペプチドが好ましい。HLA−A抗原に結合する分子はこれまでに多く同定されている。例えば、HLA−A抗原のアリルであるHLA−A2またはHLA−A24に結合する腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドとして、WO2003/104275、WO2004/018667、WO2004/024766、WO2006/090810、WO2006/093030、WO2007/013576、WO2007/018199、WO2008/047473、WO2008/102557、WO2009/025117、WO2009/025196、WO2009/150822、WO2009/153992、WO2010/013485、WO2010/047062、WO2010/064430、WO2010/070877、WO2010/073551、WO2010/095428、WO2010/100878、WO2010/106770、WO2011/067920、WO2011/089921に記載されるペプチド等が挙げられるが、本発明の医薬組成物に使用可能なT細胞エピトープペプチドはこれらに限定されない。

0026

本発明の医薬組成物に使用されるペプチドは、天然タンパク質由来のアミノ酸配列からなるペプチドであってもよく、そのようなペプチドの改変ペプチドであってもよい。一般的に、あるペプチド中の1個、2個、または数個のアミノ酸残基の改変は、該ペプチドの機能に影響を及ぼさず、場合によっては元のペプチドの所望の機能を増強することさえある。実際に、改変ペプチド(すなわち、元の配列と比較して、1個、2個、または数個のアミノ酸残基が改変された(すなわち、置換欠失、付加、及び/又は挿入された)アミノ酸配列からなるペプチド)は、元のペプチドの生物学的活性を保持することが知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci USA 1984, 81: 5662-6;Zoller and Smith, Nucleic AcidsRes 1982, 10: 6487-500;Dalbadie-McFarland et al., Proc Natl Acad Sci USA 1982, 79: 6409-13)。したがって、天然の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドとして同定されたペプチドと同様、その改変ペプチドもまた、本発明の医薬組成物に好ましく使用することができる。なお、本明細書において、「数個」という用語は、好ましくは10個以下、より好ましくは、5個、4個、又は3個を意味する。

0027

業者であれば、元のペプチドの特性を保存する結果をもたらす、アミノ酸残基の置換を理解することができる。そのようなアミノ酸残基の置換は、「保存的置換」と称される。機能的に類似しているアミノ酸を示す保存的置換は、当技術分野において周知である。保存的アミノ酸置換は、例えば構造的電気的、極性もしくは疎水性などの性質が類似したアミノ酸間の置換を意味する。このような性質は、例えばアミノ酸側鎖類似性分類することも可能である。塩基性側鎖を有するアミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンからなり、酸性側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸からなり、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸は、グリシンアスパラギングルタミンセリントレオニンチロシンシステインなどを含み、疎水性側鎖を有するアミノ酸は、アラニンバリンロイシンイソロイシンプロリンフェニルアラニン、メチオニンなどを含み、分岐側鎖を有するアミノ酸はトレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシンからなり、ならびに、芳香族側鎖を有するアミノ酸は、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、ヒスチジンからなる。また、以下の8群はそれぞれ、相互に保存的置換であるとして当技術分野で認められるアミノ酸を含む(例えば、Creighton, Proteins 1984を参照)。
1)アラニン(A)、グリシン(G)
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)
4)アルギニン(R)、リシン(K)
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)

0028

したがって、本発明の医薬組成物は、元のペプチドが保存的置換により改変されたペプチドを有効成分として含むことができる。しかしながら、本発明の医薬組成物に使用可能な改変ペプチドはこれらに限定されず、改変ペプチドが元のペプチドの特性を保持する限り、非保存的な改変を含み得る。ここで、ペプチドの「特性」とは、医薬組成物において期待されるペプチドの生理活性をいう。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合には、改変ペプチドが元のペプチドのCTL誘導活性を保持する限り、改変の種類及び改変されるアミノ酸残基の数は限定されない。

0029

また、アミノ酸残基の置換、付加及び/又は挿入によりペプチドの改変を行う場合には、L-アミノ酸のほか、D−アミノ酸、又はアミノ酸類似体若しくはアミノ酸模倣体等の非天然アミノ酸等により改変を行ってもよい。例えば、ペプチドのインビボ安定性を高めるために、D−アミノ酸、又はアミノ酸類似体若しくはアミノ酸模倣体等の非天然アミノ酸を導入することが当技術分野において知られている。したがって、改変ペプチドが元のペプチドの特性を保持する限り、ペプチドは、D−アミノ酸、及び/又はアミノ酸類似体若しくはアミノ酸模倣体等の非天然アミノ酸を含む改変ペプチドであってよい。

0030

上記のような改変に加えて、元のペプチドの特性が保持される限り、ペプチドに他の物質を連結してもよい。ペプチドに連結可能な他の物質としては、例えば、他のペプチド、脂質、糖もしくは糖鎖アセチル基、天然もしくは合成のポリマー等が挙げられる。また、元のペプチドの特性が保持される限り、ペプチドに、糖鎖付加、側鎖酸化、及びリン酸化等の修飾を行ってもよい。

0031

本発明の医薬組成物は、水などの極性溶媒に難溶なペプチドであっても、有効成分として含有することができる。例えば、注射用に調製された滅菌水(例えば、日本薬局方に規定される注射用水)を溶媒として使用する場合、25℃、1気圧における水に対する溶解度が1mg/mL未満(例えば、0.9mg/mL未満、0.8mg/mL未満、0.7mg/mL未満、0.6mg/mL未満、又は0.5mg/mL未満)のペプチドは、有効量を溶解することが困難である。しかしながら、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解度の低いペプチドであっても、水溶液の状態で有効量を含有することができる。したがって、本発明の医薬組成物においては、ペプチドの水に対する溶解度は、特に限定されない。

0032

また、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解度の異なる複数種類のペプチドを含有することもできる。例えば、免疫応答を誘導するための医薬組成物である場合、1種類のペプチドを含む場合よりも複数種類のペプチドを含む場合の方が、望ましい効果が得られることがある。例えば、腫瘍に対する免疫応答を誘導する場合には、腫瘍細胞の有する多様性のために、複数種類の抗原ペプチドを用いた方が望ましい場合が多い。腫瘍は不均一な細胞集団であるため、ある腫瘍細胞では発現している抗原であっても別の腫瘍細胞では発現していない場合もある。複数種類の抗原ペプチドを用いれば、腫瘍細胞がいずれかの抗原を発現している可能性が高くなるため、腫瘍に対する免疫誘導効果が高くなることが期待できる。注射用水を溶媒として用いた場合には、複数種類の抗原ペプチドを含有させようとするとペプチドの総量が多くなるため、全ペプチドを溶解させることは困難である場合が多い。しかしながら、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解度が異なる複数種類のペプチドであっても、水溶液の状態で、各ペプチドの有効量を含有することができる。例えば、腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを複数種類含む医薬組成物は、腫瘍に対する免疫応答を誘導するための本発明の医薬組成物の好ましい態様である。

0033

好ましい実施態様では、特定の腫瘍に対する免疫応答を誘導するための医薬組成物は、当該腫瘍で高発現することが知られている腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを複数種類含む。例えば、胃癌に対する免疫応答を誘導する医薬組成物は、胃癌で高発現することが知られている腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを複数種類含み得る。他の癌種についても同様である。ここで、「高発現する」とは、対応する正常臓器の細胞と比較して、当該腫瘍細胞における発現量が多いことを意味する。例えば、正常臓器の細胞と比較して発現量が1.5倍以上増加している場合、当該遺伝子は当該腫瘍細胞において高発現しているとみなされる。腫瘍細胞における発現量は、正常臓器の細胞と比較して、2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましい。

0034

例えば、胃癌で高発現することが知られている腫瘍特異抗原としては、これらに限定されるわけではないが、CDH3、URLC10、CXDRL1、GCUD1、VEGR1、VEGFR2、MPHOSPH1、DEPDC1、KIF20A、及びFOXM1等が挙げられる。これらの腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドから選択される複数種類のT細胞エピトープペプチドを含む本発明の医薬組成物は、胃癌に対する免疫応答を誘導するのに適している。例えば、本発明の医薬組成物が胃癌に対する免疫応答を誘導するものである場合、本発明の医薬組成物に含まれる腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドの好適な例としては、配列番号1、2、3、4、又は5に示すアミノ酸配列からなるペプチドのいずれか1種または2種以上のペプチドが挙げられる。また、配列番号1、2、3、4、又は5に示すアミノ酸配列からなるペプチドは、細胞障害性T細胞誘導能を有する限り、その改変ペプチドであってもよく、改変ペプチドとしては、例えば、配列番号1、2、3、4、又は5にアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。ここで、「1〜数個」の範囲は、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個をいう。アミノ酸の欠失とは、配列番号1、2、3、4、又は5に示されるアミノ酸配列の中から任意のアミノ酸を選択して欠失させることをいう。また、アミノ酸の付加とは、配列番号1、2、3、4、又は5に示されるアミノ酸配列のN末端またはC末端側に、1〜数個のアミノを付加させることをいう。アミノ酸の置換としては、例えば前記の保存的アミノ酸置換が挙げられる。

0035

本発明の医薬組成物に含まれるペプチドは、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。薬学的に許容される塩の例としては、アルカリ金属リチウムカリウムナトリウムなど)との塩、アルカリ土類金属カルシウムマグネシウムなど)との塩、有機塩基メチルアミンエチルアミンエタノールアミンなど)との塩、有機酸ギ酸プロピオン酸フマル酸マレイン酸コハク酸酒石酸クエン酸リンゴ酸シュウ酸安息香酸メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸など)との塩、及び無機酸(塩酸リン酸酢酸硫酸臭化水素酸など)との塩が挙げられる。好ましい例としては、例えば、酢酸との塩及び塩酸との塩が挙げられる。

0036

本発明の医薬組成物は、有効量のペプチドを含む。「有効量」とは医薬組成物が所望の効果を生じるために十分なペプチドの量をいう。当業者は、ペプチドの種類に応じて、適切な有効量を選択することができる。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、医薬組成物を投与された対象の体内において、投与していない対象又は投与前と比較して、当該T細胞エピトープペプチドの提示細胞に特異的に反応するT細胞を有意に増加させる量を有効量として決定することができる。ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、ペプチドの有効量は、0.1mg〜100mg、好ましくは0.25mg〜50mg、より好ましくは0.5mg〜20mg、更に好ましくは0.5mg〜10mg、最も好ましくは1mg〜5mgの間の任意の量である。本発明の医薬組成物が注射剤として調製される場合には、本発明の医薬組成物におけるペプチドの濃度は、0.1mg/mL〜100mg/mL、好ましくは0.25mg/mL〜50mg/mL、より好ましくは0.5mg/mL〜20mg/mL、更に好ましくは0.5mg/mL〜10mg/mL、最も好ましくは1mg/mL〜5mg/mLの間の任意の濃度である。

0037

あるいは、ペプチドの有効量は、モル量として選択されてもよい。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、ペプチドの有効量は、0.1μmoL〜100μmoL、好ましくは0.25μmoL〜50μmoL、より好ましくは0.5μmoL〜20μmoL、更に好ましくは1μmoL〜10μmoL、最も好ましくは1μmoL〜5μmoLの間の任意の量である。本発明の医薬組成物が注射剤として調製される場合には、本発明の医薬組成物におけるペプチドの濃度は、0.1μmoL/mL〜100μmoL/mL、好ましくは、0.25μmoL/mL〜50μmoL/mL、より好ましくは0.5μmoL/mL〜20μmoL/mL、更に好ましくは0.5μmoL/mL〜10μmoL/mL、最も好ましくは1μmoL/mL〜5μmoL/mLの間の任意の濃度である。

0038

本発明の医薬組成物が複数種類のペプチドを含む場合には、本発明の医薬組成物は各ペプチドをそれぞれ有効量含む。この場合も、当業者は、ペプチドの種類に応じて、適切な有効量を選択することができる。ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合には、各ペプチドの有効量及び本医薬組成物における濃度は、上記と同様である。

0039

本発明の医薬組成物は、ペプチドに加えて、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む。本発明の医薬組成物は、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含むことにより、水に対する溶解度が低いペプチドであっても、水溶液の状態で有効量を含有することが可能になる。また、複数種類のペプチドであっても、各ペプチドの有効量を含有することが可能になる。

0040

「塩基性アミノ酸」とは、塩基性を示すアミノ酸をいう。具体的には、リシン、アルギニン、オルニチン、及びヒスチジン等が挙げられる。本発明の医薬組成物は、これらの塩基性アミノ酸を1種又は2種以上含むことができる。塩基性アミノ酸は、L型D型のいずれであってもよく、ラセミ体であってもよい。また、塩基性アミノ酸は、塩の形態であってもよい。本発明の医薬組成物に使用される塩基性アミノ酸の好ましい例としては、リシン及びアルギニンが挙げられる。好ましい実施態様では、塩基性アミノ酸はアルギニンである。より好ましい実施態様では、塩基性アミノ酸はL−アルギニンである。本発明の医薬組成物における塩基性アミノ酸の含有量は、特に限定されないが、注射剤である場合には、2mg/mL以上、好ましくは5mg/mL以上、より好ましくは7.5mg/mL以上、更に好ましくは10mg/mL以上、最も好ましくは15mg/mL以上である。含有量の上限は特に限定されないが、使用する塩基性アミノ酸の種類及び投与経路により、例えば、「医薬品添加物事典2007」(医薬品添加剤協会編集薬事日報社)に記載の最大使用量を参照することができる。例えば、皮下注射剤の場合、L−アルギニンの1日の最大使用量は20mgである。したがって、本発明の医薬組成物が皮下注射剤であって、塩基性アミノ酸としてL−アルギニンを含む場合には、本発明の医薬組成物におけるL−アルギニンの濃度として、20mg/mLまでの濃度を選択することができる(本発明の医薬組成物を1mL投与する場合)。

0041

本発明の医薬組成物は、塩基性アミノ酸に替えて、又は塩基性アミノ酸と組み合わせて、塩基を含むことができる。本明細書において、「塩基」とは、アレニウスの定義によれば、 水に溶けたときに水酸化物イオンを生じる物質である。また、ローリーブレンステッドの定義によれば、塩基とはプロトン受容する物質であり、ルイスの定義によれば、塩基とは電子対供与して二重結合を形成し得る物質である。具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタモール、及びメグルミン等が挙げられる。本発明の医薬組成物に使用される塩基の好ましい例としては、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムが挙げられる。炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムは、水和物の形態であってもよい。好ましい実施態様では、塩基は炭酸ナトリウム又はその水和物(例えば、Na2CO3・10H2O)である。本発明の医薬組成物における塩基の含有量は、特に限定されないが、注射剤である場合には、0.5mg/mL以上、好ましくは1mg/mL以上、より好ましくは2mg/mL以上、さらに好ましくは3mg/mL以上、最も好ましくは5mg/mL以上である。含有量の上限は特に限定されないが、使用する塩基の種類及び投与経路により、例えば、「医薬品添加物事典2007」(医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)に記載の最大使用量を参照することができる。例えば、皮下注射剤の場合、炭酸ナトリウム10水和物(炭酸ナトリウム10水和物:Na2CO3・10H2O)の1日の最大使用量は20.8mg(炭酸ナトリウム(Na2CO3)に換算すると7.7mg)である。したがって、本発明の医薬組成物が皮下注射剤であって、塩基として炭酸ナトリウムを含む場合には、本発明の医薬組成物における炭酸ナトリウム10水和物の濃度として20.8mg、炭酸ナトリウムの濃度として7.7mg/mLまでの濃度を選択することができる(本発明の医薬組成物を1mL投与する場合)。

0042

好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び塩基を含む。より好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上のペプチドを有効成分として含み、かつアルギニン及び炭酸ナトリウムを含む。更に好ましい実施態様は、本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含み、かつアルギニン及び炭酸ナトリウムを含む。

0043

本発明の医薬組成物は、必要に応じて、医薬品添加物事典2007(薬事日報社)に記載の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、懸濁化剤塩化ベンザルコニウムラウリル硫酸ナトリウムラウリルアミノプロピオン酸モノステアリン酸グリセリンポリビニルアルコールポリビニルピロリドンメチルセルロースヒドロキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロース等)、分散剤クエン酸ナトリウム軽質酸化アルミニウムポリソルベートマクロゴールデキストリン低置換度ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルセルロース等)、乳化剤(リセリン、プロピレングリコールセタノールレシチンラノリン、ラウリル硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(セタノール、ポリオキシエチレンセチルエーテルラウロマクロゴール等)、等張化剤ブドウ糖D−ソルビトール、D−マンニトールグリセリン塩化ナトリウム等)、pH調整剤リン酸塩酢酸塩炭酸塩クエン酸塩等の緩衝剤、塩酸、リン酸等の無機酸及びその塩、酢酸、クエン酸、乳酸等の有機酸及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物等)、無痛化剤クレアチニンベンジルアルコール等)、安定化剤タウリン、アミノ酸、パラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、結晶セルロース、マクロゴール等)が挙げられる。これらの添加剤は単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。

0044

本発明の医薬組成物は、塩基性アミノ酸及び/又塩基を溶解させた薬学的に許容される水性溶媒に、ペプチドを溶解した後、当技術分野で公知の方法に従って、製剤化することができる。製剤化の際には、上記のような添加剤を添加してもよい。本発明の医薬組成物は、投与経路に応じて、例えば、カプセル剤錠剤顆粒剤散剤シロップ剤乳剤、座剤、注射剤等の形態であることができる。

0045

好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、注射剤として提供される。注射剤は、薬学的に許容される水性溶媒を用いて調製することができる。例えば、溶媒として、水、生理食塩水、及びリン酸緩衝液等を用いることができるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、注射用に調製された滅菌水(注射用水)を溶媒として用いることができる。注射剤は、上述のような緩衝剤、等張化剤、安定剤、保存剤、無痛化剤、及びpH調整剤等を適宜含むことができる。注射剤のpHは、必要に応じて、pH調整剤により調整することができる。本発明の医薬組成物が注射剤である場合、pHは6.0〜11.0の範囲であることが好ましく、7.0〜10.0の範囲であることがより好ましい。また、pH調整剤は、特に限定されないが、水酸化ナトリウム及び塩酸が好ましく用いられる。注射剤として調製された本発明の医薬組成物は、皮下注射、皮内注射静脈内注射、又は筋肉内注射等により、対象に投与することができる。

0046

本発明の医薬組成物は、凍結乾燥製剤として提供されてもよい。凍結乾燥製剤は、上記の注射剤のように調製された組成物バイアル等に充填し、凍結乾燥することによって調製することができる。凍結乾燥の際には、良好な凍結乾燥ケーキの生成やペプチドの安定化を目的として、添加剤として単糖類グルコースエリスロースキシルロースリブロースセドヘプツロースリボースマンノースなど)、二糖類麦芽糖セロビオースゲンチオビオースメリビオース乳糖ツラノースソロホーストレハロースイソトレハロース、ショ糖、イソサッカロースなど)、糖アルコールソルビトールリビトール、マンニトールなど)、及びポリビニルピロリドン糖を添加してもよい。しかしながら、本発明の医薬組成物では、上記のような添加剤を添加しない場合であっても、良好な凍結乾燥ケーキを生成し、かつペプチドの安定性も維持されるため、通常は上記のような添加剤を添加する必要はない。

0047

凍結乾燥製剤は、適切な再構成液を用いて再構成することにより、経口又は非経口的に用いることができる。好ましい実施態様では、凍結乾燥製剤は、再構成後、注射剤として用いられる。再構成後に注射剤として用いる場合には、再構成液として、注射用に調製された滅菌水(注射用水)、生理食塩水等を使用することができる。

0048

本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳類(例えば、マウスラットモルモットウサギネコイヌヒツジヤギブタウシウマサルヒヒ、及びチンパンジーなど)に対して使用することができる。好ましくはヒトに対して使用される。

0049

本発明の医薬組成物は、有効成分として含有されるペプチドの種類に応じて、適用する疾患を適宜選択することができる。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合には、当該T細胞エピトープペプチドが由来する抗原に対する免疫応答を誘導することを目的として、対象に投与することができる。例えば、本発明の医薬組成物が腫瘍特抗原由来のT細胞エピトープペプチドを含む場合には、本発明の医薬組成物は、投与対象の体内において、腫瘍に対する免疫応答を誘導するために使用することができる。この場合、本発明の医薬組成物は、癌を治療又は予防することを目的として、対象に投与することができる。

0050

したがって、別の実施態様では、本発明は、1種又は2種以上の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む、腫瘍に対する免疫応答を誘導するための医薬組成物を提供する。また、別の態様では、本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む、腫瘍に対する免疫応答誘導剤である。また、別の実施態様においては、本発明は、1種又は2種以上の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む、癌を予防又は治療するための医薬組成物を提供する。

0051

また、本発明の医薬組成物が1種又は2種以上の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを含む場合、本発明の医薬組成物は、癌ワクチンとして提供されてもよい。したがって、別の実施態様において、本発明の医薬組成物は、1種又は2種以上の腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを有効成分として含み、かつ塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む、癌ワクチンである。

0052

上記の場合において、本発明の医薬組成物が適用される腫瘍又は癌は、特に限定されず、当該医薬組成物に含まれるT細胞エピトープペプチドの種類に応じて、適宜選択される。本発明の医薬組成物が適用可能な腫瘍又は癌の例としては、例えば、膀胱癌乳癌子宮頸癌子宮体癌胆管癌大腸癌食道癌、胃癌、肝癌肺癌骨肉腫滑膜肉腫卵巣癌膵癌前立腺癌腎癌軟部組織腫瘍、精巣腫瘍中皮腫頭頚部癌皮膚癌リンパ腫慢性骨髄性白血病、及び急性骨髄性白血病等が挙げられるが、これらに限定されない。

0053

本発明の医薬組成物がT細胞エピトープペプチドを有効成分として含む場合、本発明の医薬組成物は、上述の成分に加えて、免疫応答を増強するためのアジュバントを含んでもよい。本明細書で用いる「アジュバント」という用語は、免疫原性を有するタンパク質と共に(又は連続して)投与した場合に、当該タンパク質に対する免疫応答を増強する物質をさす。使用可能なアジュバントの例としては、例えば、不完全フロイントアジュバント完全フロイントアジュバントGMCSFその他の免疫刺激性サイトカインサポニンサポニン誘導体リポ多糖リポペプチドラクトフェリンCpGオリゴヌクレオチドバクテリアDNA、イミダゾキノリン等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、文献(例えば、Clin.Microbiol.Rev., 7:277-289, 1994)に記載のものなども使用することができる。これらのアジュバントは、単独で使用してもよく、2種以上のアジュバントを組み合わせて使用してもよい。

0054

アジュバントが親水性のものである場合には、当該アジュバントは、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液にペプチドを溶解させる前又は溶解させた後に、本発明の医薬組成物に添加することができる。一方、アジュバントが油性アジュバントである場合には、当該アジュバントは、ペプチドを溶解させた後に、本発明の医薬組成物に添加することが好ましい。この場合、アジュバント添加後に撹拌することによって、エマルジョンの形態とすることが好ましい。例えば、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液にペプチドを溶解させてろ過滅菌を行った後、油性アジュバントと混合して撹拌することにより、本発明の医薬組成物を乳化製剤として調製することができる。あるいは、本発明の医薬組成物が凍結乾燥製剤である場合には、当該凍結乾燥製剤の再構成を行った後、油性アジュバントと混合して撹拌することにより、エマルジョンの形態とすることができる。油性アジュバントとの乳化製剤又はエマルジョンは、皮下注射、皮内注射、静脈内注射、又は筋肉内注射等により、対象に投与することができる。好ましい実施態様では、乳化製剤又はエマルジョンは、皮下注射により、対象に投与される。また、本発明の医薬組成物に使用可能な油性アジュバントの典型的な例としては、不完全フロイントアジュバントを挙げることができるが、これに限定されるわけではない。

0055

2.本発明の医薬組成物の製造方法
また、本発明は、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される水性溶媒に塩基性アミノ酸及び/又は塩基を溶解して、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液を作成した後、当該水溶液にペプチドを溶解し、当技術分野で公知の方法に従って製剤化することにより製造することができる。したがって、本発明の医薬組成物の製造方法は、塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液に、1種又は2種以上のペプチドを溶解する工程を含む。

0056

例えば、注射用に調製された滅菌水(例えば、日本薬局方に規定される注射用水)等の薬学的に許容される水性溶媒に、塩基性アミノ酸(例えばL−アルギニン)及び塩基(例えば炭酸ナトリウム又はその水和物)を溶解し、水溶液を作成する。このとき、水溶液中での塩基性アミノ酸及び塩基の濃度は、塩基性アミノ酸及び塩基の種類、ペプチドの水に対する溶解度、並びに最終的な剤形等に応じて、適宜選択することができる。

0057

例えば、塩基性アミノ酸としてL−アルギニンを使用する場合には、0mg/mL〜100mg/mLの濃度を選択することができる。濃度の下限は、好ましくは、2mg/mL、5mg/mL、7.5mg/mL、10mg/mL、又は15mg/mLとすることができる。また、濃度の上限は、例えば、「医薬品添加物事典2007」(医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)に記載の最大使用量を参照し、想定される最終的な投与量に応じて、該水溶液中での濃度を選択してもよい。例えば、T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物である場合、通常、等量の油性アジュバントと混合・撹拌してエマルジョンとした後、1mLのエマルジョンが皮下注射により対象に投与される。また、塩基性アミノ酸としてL−アルギニンを使用した場合、「医薬品添加物事典2007」によれば、皮下注射による1日の最大使用量は20mgである。したがって、塩基性アミノ酸としてL−アルギニンを使用した場合には、上記水溶液中でのL−アルギニンの濃度として、40mg/mL、又はそれ未満の濃度を選択することができる。

0058

また、例えば、塩基として炭酸ナトリウム又はその水和物を使用する場合には、炭酸ナトリウムに換算した濃度として、0mg/mL〜20mg/mLの濃度を選択することができる。濃度の下限は、好ましくは、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、又は5mg/mLとすることができる。また、濃度の上限は、例えば、「医薬品添加物事典2007」(医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)に記載の最大使用量を参照し、想定される最終的な投与量に応じて、上記水溶液中での濃度を選択してもよい。例えば、T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物である場合、通常、等量の油性アジュバントと混合・撹拌してエマルジョンとした後、1mLのエマルジョンが皮下注射により対象に投与される。また、塩基として炭酸ナトリウム10水和物(炭酸ナトリウム10水和物:Na2CO3・10H2O)を使用した場合、「医薬品添加物事典2007」によれば、皮下注射による1日の最大使用量は20.8mg(炭酸ナトリウム(Na2CO3)に換算すると7.7mg)である。したがって、塩基として炭酸ナトリウム10水和物を使用した場合には、上記水溶液中での炭酸ナトリウム10水和物の濃度として、41.6mg/mL(炭酸ナトリウム換算では15.4mg/mL)、又はそれ未満の濃度を選択することができる。

0059

塩基性アミノ酸及び/又は塩基を含む水溶液を作成した後、当該水溶液に、1種又は2種以上のペプチドを溶解する。2種以上のペプチドを溶解する場合には、全種類又は一部のペプチドを同時に溶解することもできるが、1種類毎に溶解させていくことが好ましい。ペプチドを溶解させる順番については、通常、考慮する必要はない。ペプチドを溶解させる際には、必要に応じて、pH調整剤によりpHを調整してもよい。好ましいpHの範囲としては、pH8.0〜11.0の範囲を挙げることができるが、これに限定されるわけではない。なお、ペプチド溶解後の水溶液のpHは通常上記の範囲内であるため、通常はpHを調整する必要はない。

0060

上記水溶液中での各ペプチドの濃度は、最終的な投与量が有効量となるように、剤形に応じ適宜選択することができる。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドの場合、各ペプチドの有効量は、通常、0.1mg〜100mgである。また、T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物である場合、等量の油性アジュバントと混合・撹拌してエマルジョンとした後、1mLのエマルジョンが皮下注射により対象に投与されることが多い。したがって、上記水溶液中での各ペプチドの濃度は、0.2mg/mL〜200mg/mLの範囲から選択することができる。典型的には、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、上記水溶液中における各ペプチドの濃度は、1mg/mL〜20mg/mLの範囲から選択することができる。

0061

あるいは、各ペプチドの有効量は、モル量として算出されてもよい。例えば、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、各ペプチドの有効量は、通常、0.1μmoL〜100μmoLである。また、T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物である場合、等量の油性アジュバントと混合・撹拌してエマルジョンとした後、1mLのエマルジョンが皮下注射により対象に投与されることが多い。したがって、上記水溶液中での各ペプチドの濃度は、0.2μmoL/mL〜200μmoL/mLの範囲から選択することができる。典型的には、ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合、上記水溶液中における各ペプチドの濃度は、1μmoL/mL〜20μmoL/mLの範囲から選択することができる。

0062

2種以上のペプチドを溶解させる場合には、上記水溶液中における各ペプチドの濃度は、同一であってもよく、異なっていてもよい。各ペプチドの濃度を同一とする場合、各ペプチドの濃度は、重量濃度で同一としてもよく、モル濃度で同一としてもよい。本発明の医薬組成物において、各ペプチドが有効量含まれていればよいため、各ペプチドの配合比は特に限定されない。

0063

上記水溶液にペプチドを溶解した後は、当技術分野で公知の方法に従って、製剤化することができる。また、ペプチドの溶解前又は溶解後に、必要に応じて上記のような添加剤及び/又はアジュバントを添加してもよい。

0064

注射剤の場合には、例えば、上記のように調製したペプチド溶解液をろ過滅菌し、アンプル、バイアル、プラスチック容器その他の適切な容器に充填・密封することにより調製することができる。ろ過滅菌には、例えば、0.22μm孔径の無菌ろ過用フィルター等を使用することができる。

0065

また、凍結乾燥製剤の場合には、例えば、上記のように調製したペプチド溶解液をろ過滅菌し、アンプル、バイアル、プラスチック容器その他の適切な容器に充填した後、凍結乾燥を行うことにより調製することができる。凍結乾燥終了後は、復圧し、容器を密封する。凍結乾燥の条件は、当業者であれば、適宜選択可能である。

0066

ペプチドがT細胞エピトープペプチドである場合には、油性アジュバントとのエマルジョン製剤とすることもできる。例えば、上記のように調製したペプチド溶解液をろ過滅菌し、無菌条件下において、ろ過滅菌した油性アジュバントと混合・撹拌することにより、エマルジョン製剤を調製することができる。ペプチド溶解液と油性アジュバントとの混合比は、通常、1:1であるが、これに限定されるわけではない。エマルジョンの調製は、製薬工場等で行う場合には、蒸気滅菌等により滅菌した乳化機を用いて行うことができる。また、エマルジョンの調製は、本発明の医薬組成物の投与対象となる患者が存在する病院等の施設において行ってもよい。病院等の施設においては、投与する直前〜24時間前に、シリンジ等を用いて、上記のように調製された注射剤及び油性アジュバントを混合・撹拌することにより、エマルジョンの調製を行うことができる。あるいは、上記のように調製された凍結乾燥製剤を再構成した後、注射剤と同様に、シリンジ等を用いてエマルジョンを調製することができる。

0067

3.本発明のキット
本発明はまた、(a)本発明の医薬組成物の凍結乾燥製剤、及び(b)当該本発明の医薬組成物の凍結乾燥製剤の再構成液を含むキットを提供する。

0068

本発明のキットに凍結乾燥製剤として含まれる本発明の医薬組成物は、上記のいずれの医薬組成物であってもよい。好ましくは、本発明のキットに含まれる医薬組成物は、ペプチドとしてT細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物であり、より好ましくは、腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物である。凍結乾燥製剤に含まれるT細胞エピトープペプチドは、1種類であっても複数種類であってもよい。

0069

本発明のキットに含まれる再構成液は、特に限定されないが、注射用に調製された滅菌水(注射用水)、生理食塩水等を使用することができる。また、再構成液中に、凍結乾燥製剤に含まれるペプチドとは異なる種類のペプチドを溶解させておいてもよい。

0070

本発明のキットの好適な実施態様は、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの1種又は2種以上を含む凍結乾燥製剤と、再構成液から構成されるキットである。また、本発明のキットの他の好適な実施態様は、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの1種又は2種以上を含む凍結乾燥製剤と、配列番号5に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む再構成液から構成されるキットである。そのようなキットの例として、配列番号1、2、3、又は4に示すアミノ酸配列からなるペプチドの全種類を含む凍結乾燥製剤と、配列番号5に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む再構成液から構成されるキットが挙げられる。

0071

本発明のキットは、上記(a)及び(b)に加えて、(c)1種又は2種以上のアジュバントを含むことができる。アジュバントは、特に限定されないが、不完全フロイントアジュバント、完全フロイントアジュバント等の油性アジュバント等を用いることができる。

0072

上記本発明のキットでは、対象への投与前に、凍結乾燥製剤が再構成液により再構成される。再構成後の再構成組成物における各ペプチドの最終濃度は、0.2mg/mL以上であることが好ましい。好ましい実施態様では、各ペプチドの最終濃度が、1mg/mL〜20mg/mLとなるように再構成を行う。あるいは、凍結乾燥製剤における各ペプチド量が等モルとなるように添加されている場合には、各ペプチドの最終濃度が、1μmoL/mL〜20μmoL/mLとなるように再構成を行ってもよい。

0073

再構成組成物は、例えば、注射剤として対象に投与することができる。本発明のキットがアジュバントを含む場合には、シリンジ等を用いてアジュバントと混合・撹拌した後、対象に投与してもよい。アジュバントが油性アジュバントである場合には、シリンジ等を用いて混合・撹拌することにより、エマルジョンとすることができる。エマルジョンとする場合、再構成組成物と混合するアジュバントの量は、再構成組成物と等量とすることが好ましいが、これに限定されない。調製したエマルジョンは、注射剤として対象に投与することができる。T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物の場合には、例えば、エマルジョン1mLを皮下注射等により、対象に投与することができる。

0074

本発明はまた、(a)本発明の医薬組成物、及び(b)1種又は2種以上のアジュバント、を含むキットを提供する。この場合、キットに含まれる本発明の医薬組成物は、水性の医薬組成物であることが好ましい。好ましくは、医薬組成物はペプチドとして1種又は2種以上のT細胞エピトープペプチドを含み、より好ましくは腫瘍特異抗原由来のT細胞エピトープペプチドを含む。アジュバントは、特に限定されないが、不完全フロイントアジュバント、完全フロイントアジュバント等の油性アジュバントを好ましく用いることができる。医薬組成物とアジュバントは、シリンジ等を用いて混合・撹拌することにより、エマルジョンとすることができる。調製したエマルジョンは、注射剤として対象に投与することができる。T細胞エピトープペプチドを含む医薬組成物の場合には、例えば、エマルジョン1mLを皮下注射等により、対象に投与することができる。

0075

本発明の医薬組成物若しくはその凍結乾燥製剤、再構成液及び/又はアジュバントは、好ましくは適切な容器に封入された形態で、本発明のキットに含まれる。適切な容器の例としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管等が挙げられる。容器は2室式容器であってもよい。容器は、ガラス又はプラスチックのような多様な材料から形成され得る。好ましくは、容器の表面にはラベルが添付される。ラベルは、適用可能な疾患及び投与のための説明等を表示し得る。例えば、ラベルは、凍結乾燥製剤の再構成の方法、エマルジョンの調製方法、エマルジョンの投与方法等を表示し得る。

0076

本発明のキットは、上記以外の他のコンポーネントを含んでもよい。例えば、緩衝剤、希釈剤賦形剤、フィルター、針、シリンジ及び使用方法に関する添付文書等の商業上及び使用者観点から望ましい他のコンポーネントを含み得る。

0077

以下、実施例および試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるべきではない。

0078

注射剤用ペプチド:
注射剤用のペプチドとして、表1に記載のペプチドを合成した。表1に示すとおり、これらのペプチドの予測pIは5.2〜10.4の範囲であり、それぞれ溶解特性が異なることが予想された。これらのペプチドは、細胞障害性T細胞誘導能が確認されている腫瘍特異抗原由来ペプチドである。
注射用水:注射用水は日本薬局方に規定される製造用水を使用した。

0079

0080

(比較例1)注射用水を用いたペプチド単味注射剤の調製
表1に記載のペプチドの単味製剤を調製するために、注射用水1mLに、表1に記載のペプチドをそれぞれ投入した。室温で撹拌することにより投入したペプチドの全量を溶解させ、無色透明のペプチド単一溶液を調製した。その後、得られたペプチド溶液をろ過滅菌(0.22μmフィルター)して注射剤を得た。

0081

ペプチドの投入量は、2〜20mgの範囲で変化させ、各濃度段階で注射剤を調製した。ペプチド−3、5、6、8、9については、試験したいずれの投入量においても、注射剤が得られた。一方、ペプチド−1、2、4、7、10については、試験したいずれの投入量においても注射剤を得ることはできなかった。これらのペプチドについて、注射剤の調製が可能な濃度を確認したところ、ペプチド−7は0.5mg/mLの濃度であれば注射剤を得ることができたが、他のペプチドは0.08mg/mLの濃度でも注射剤を得ることはできなかった。

0082

(実施例1)炭酸ナトリウム溶液を用いたペプチド単味注射剤の調製
炭酸ナトリウム10水和物(Na2CO3・10H20)41mgを注射用水1mLに溶解し、炭酸ナトリウム含有注射用水を得た。比較例1で注射用水に溶解しなかったペプチドについて、各ペプチドの単味製剤を調製するために、炭酸ナトリウム含有注射用水1mLに、ペプチド−1、2、4、7、10をそれぞれ投入した。室温で撹拌することにより投入したペプチドの全量を溶解させ、無色透明のペプチド溶液を調製した。その後、得られたペプチド溶液をろ過滅菌(0.22μmフィルター)して注射剤を得た。

0083

ペプチド投入量は、5〜20mgの範囲で変化させ、各濃度段階で注射剤を調製した。ペプチド−2、4、7、10は、試験したいずれの投入量においても、注射剤が得られた。ペプチド−1については、9mgの投入量まで注射剤が得られることが確認された。なお、得られた注射剤のpHは、いずれも、注射剤として適したpHの範囲内であった(表2)。

0084

(実施例2)アルギニン溶液を用いたペプチド単味注射剤の調製
L−アルギニン40mgを注射用水1mLに溶解し、アルギニン含有注射用水を得た。比較例1で注射用水に溶解しなかったペプチドについて、各ペプチドの単味製剤を調製するために、アルギニン含有注射用水1mLに、ペプチド−1、2、4、7、10をそれぞれ投入した。室温で撹拌することにより投入したペプチドの全量を溶解させ、無色透明のペプチド単一溶液を調製した。その後、得られたペプチド溶液をろ過滅菌(0.22μmフィルター)して注射剤を得た。

0085

ペプチドの投入量は、5〜20mgの範囲で変化させ、各濃度段階で注射剤を調製した。ペプチド−2、4、7、10は、試験したいずれの投入量においても、注射剤が得られた。ペプチド−1については、6mgの投入量まで注射剤が得られることが確認された。得られた注射剤のpHは、いずれも注射剤として適したpHの範囲内であった(表2)。

0086

(実施例3)炭酸ナトリウム/アルギニン溶液を用いた注射剤の調製
炭酸ナトリウム10水和物41mg及びL−アルギニン40mgを注射用水1mLに溶解し、炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水を得た。表1に記載のペプチドの単味製剤を調製するために、炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水1mLに、表1に記載のペプチドをそれぞれ投入した。室温で撹拌することにより投入したペプチドの全量を溶解させ、無色透明のペプチド単一溶液を調製した。その後、得られたペプチド溶液をろ過滅菌(0.22μmフィルター)して注射剤を得た。

0087

ペプチドの投入量は、5〜20mgの範囲で変化させ、各濃度段階で注射剤を調製した。ペプチド−2、4〜10については、試験したいずれの投入量においても、注射剤が得られた。ペプチド−1については10mgの投入量まで注射剤が得られることが確認された。また、ペプチド−3については15mgの投入量まで注射剤が得られることが確認された。得られた注射剤のpHは、いずれも、注射剤として適したpHの範囲内であった(表2)。

0088

実施例1〜3及び比較例1の結果を表2にまとめた。注射用水を用いた場合には注射剤を調製できないペプチドについても、炭酸ナトリウム含有注射用水、アルギニン含有注射用水、または炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水を用いることにより注射剤を調製することができた。これらの3つの注射用水の中では、試験したいずれのペプチドにおいても10mg/mL以上の濃度で注射剤を調製できる炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水が、注射剤用溶媒として最も優れていると考えられる。

0089

0090

(実施例4)アルギニン溶液を用いたペプチド配合注射剤の調製
表1に記載のペプチドの配合注射剤を調製するために、実施例2と同様のアルギニン含有注射用水1mLに、表1に記載の10種のペプチドを1mgずつ投入した。各ペプチドを投入する毎にペプチドを全量溶解させて無色透明の溶液とし、その後、次のペプチドを投入した。10種全てのペプチドを溶解した後、得られたペプチド溶液をろ過滅菌(0.22μmフィルター)して注射剤を得た。得られた注射剤のpHは9.38であり、注射剤として適したpHの範囲内であった。

0091

次に、各ペプチドの投入量を2mgとし、上記と同様の方法で、ペプチド配合注射剤の調製を試みた。ペプチド−1及びペプチド−2を投入後、ペプチド−3の投入により白濁が生じ、無色透明の溶液を得ることができなかったため、その後のペプチドの投入を中止した。

0092

(実施例5)炭酸ナトリウム溶液を用いたペプチド配合注射剤の調製
表1に記載のペプチド配合注射剤を調製するために、実施例1と同様の炭酸ナトリウム含有注射用水1mLに、表1に記載の10種のペプチドを2mgずつ投入した。各ペプチドの投入は実施例4と同様の方法で行った。10種全てのペプチドを投入した時点で無色透明の溶液が得られていたため、さらにペプチド−2を2mg投入したところ白濁が生じ、無色透明の溶液を得ることはできなかった。

0093

(実施例6)炭酸ナトリウム/アルギニン溶液を用いたペプチド配合注射剤の調製
表1に記載のペプチド配合注射剤を調製するために、実施例3と同様の炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水1mLに、表1に記載の10種のペプチドを2mgずつ投入した。各ペプチドの投入は実施例4と同様の方法で行った。10種全てのペプチドを投入した時点で無色透明の溶液が得られていたため、さらにペプチド−2を2mg投入した。無色透明の溶液が得られたため、ろ過滅菌(0.22μmフィルター)により、注射剤を得た。得られた注射剤のpHは9.72であり、注射剤として適したpHの範囲内であった。

0094

実施例4〜6の結果を表3にまとめた。アルギニン含有注射用水では各ペプチドの投入量が1mgであれば10種のペプチド全てを含む配合剤の調製が可能であった。また、炭酸ナトリウム含有注射用水では各ペプチドの投入量を2mgとした場合でも10種のペプチド全てを含む配合剤の調製が可能であった。炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水では、各ペプチドを2mg投入後、さらにペプチドを追加添加しても配合剤を得ることができた。したがって、配合剤の調製においても、炭酸ナトリウム/アルギニン含有注射用水が、注射剤溶媒として最も優れていると考えられる。

0095

0096

(実施例7)ペプチド配合剤の凍結乾燥製剤の製造
ペプチド−1、ペプチド−2、ペプチド−3、ペプチド−4を用いて、凍結乾燥製剤の製造を試みた。

0097

注射用水5500mL中に、L-アルギニン107.7gおよび炭酸ナトリウム水和物110.4gを溶解させた。ここに、ペプチド−1 6.2g、ペプチド−2 7.5g、ペプチド−3 8.7g、ペプチド−4 8.0gを投入し、溶解させた。その後、注射用水を添加し全量7000mLにメスアップし、ペプチド配合溶液を調製した。このペプチド配合溶液を、0.22μmPVDF製フィルターでろ過滅菌した後、洗浄滅菌したバイアルに2.6mずつ充填し、洗浄滅菌したゴム栓を半打栓した(各ペプチド2μmol/2.6mL)。このバイアルを凍結乾燥した後、全打栓およびアルミキャップの巻き締めを行って、凍結乾燥製剤を製造した。

0098

凍結乾燥製剤は、25℃、湿度60%の条件下で保管し、経時的にバイアル中の各ペプチド含量を測定することにより、凍結乾燥製剤の安定性を確認した。バイアル中の各ペプチド含量の測定は、凍結乾燥製剤を生理食塩水で再溶解し、再溶解液中の各ペプチドをHPLC法で検出することにより行った。表4および図1にその結果を示す。バイアル中のペプチド含量は、凍結乾燥製剤製造時と同濃度に調製した比較液で検出されたピーク面積値を100%とした場合の相対値として示した。

0099

0100

表4および図1の結果から、凍結乾燥製剤中のペプチドは、6カ月経過後もほとんど分解されておらず、安定に存在していることが確認された。さらに、24カ月後の安定性を予測するために、上記結果の回帰分析を行った。その結果、凍結乾燥製剤中の各ペプチドは、24カ月後においても安定して存在することが予測された(図2)。以上より、本方法により製造した凍結乾燥製剤は、医薬品として十分な安定性を有していることが確認された。

0101

(実施例8)凍結乾燥製剤の再溶解および乳化
実施例7において製造された凍結乾燥製剤は、癌治療用のペプチドワクチン製剤としての使用が想定される。癌治療用ペプチドワクチンは、癌免疫の誘導を促進するために、油性アジュバントと混合して乳化され、患者に投与される場合が多い。そのため、実施例7において製造した凍結乾燥製剤について、再溶解試験および再溶解液の乳化試験を行った。

0102

まず、実施例7において製造した凍結乾燥製剤バイアルについて、バイアルに2.6mLの生理食塩水を添加して再溶解を試みたところ、速やかに再溶解することが確認された。次に、油性アジュバントと等量で混合することを想定し、バイアルに1.3mLの生理食塩水を添加して再溶解を試みたところ、1.3mLの生理食塩水においても速やかに再溶解することが確認された。

0103

さらに、ペプチドを溶解させた生理食塩水でも凍結乾燥製剤の再溶解が可能かを確認するために、二量体として調製したペプチド−5を2μmoL/mLの濃度で含む生理食塩水1.3mLをバイアルに添加して、凍結乾燥製剤の再溶解を試みた。その結果、ペプチド−5を溶解させた生理食塩水1.3mLでも、速やかに再溶解することが確認された。したがって、患者に投与すべき複数のペプチドがあった場合、ペプチドの性質に応じて、凍結乾燥製剤に含有させるか、再溶解液に溶解させておくかを選択することも可能であると考えられる。

実施例

0104

次に、上記のようにペプチド−5を溶解させた生理食塩水1.3mLに凍結乾燥製剤を再溶解した再溶解液を、Montanide(登録商標ISA720VG(SEPPIC)1.3mLと混合し、コネクタで接続した2本のシリンジで撹拌することにより、乳化を試みた。乳化液の完成をドロップテスト法により評価したところ、均一な乳化液となっていることが確認された。以上より、実施例7で製造された凍結乾燥製剤は、再溶解後に油性アジュバントとの乳化製剤として、患者に投与し得ることが確認された。

0105

本発明はペプチドを含む医薬組成物、特には複数種類のT細胞エピトープペプチドを含む癌治療用ペプチドワクチン製剤の製造分野に利用できる。

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