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技術 バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法

出願人 王子ホールディングス株式会社
発明者 内田洋介木皿幸紀佐々木友朗
出願日 2012年3月30日 (8年3ヶ月経過) 出願番号 2012-078499
公開日 2013年10月10日 (6年8ヶ月経過) 公開番号 2013-208056
状態 特許登録済
技術分野 糖工業 フラン系化合物 糖類化合物
主要キーワード 温水状態 未利用地 取出管路 加水分解処理液 移送管路 液排出管路 液取出管 洗浄液供給管路
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

バイオマスを連続的に加水分解して単糖類オリゴ糖類、及びフルフラール類を製造する方法を提供する。

解決手段

バイオマスの水性懸濁液連続式加水分解装置を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧加熱条件加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、前記原料懸濁液供給口と前記排出口の中間位置における上下方向に離れた2箇所以上の位置に形成している固−液分離装置を備えた中間取出口より、加水分解装置内の加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理液を取り出し、同時に各中間取出口の間に形成している水性液供給口より加水分解装置内に水性液を供給して加水分解装置内の加水分解処理条件を維持することを特徴とする。

概要

背景

バイオマス資源は、水と炭酸ガス太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。

バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシ・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。

バイオマスは、セルロースヘミセルロースリグニン細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。
例えば、セルロースは製紙用パルプ、あるいは溶解用パルプとして利用できる。また、セルロースはグルコース重合体であるので、セルロースからグルコースやセロオリゴ糖を得ることができる。グルコースはエタノール乳酸発酵原料、セロオリゴ糖は機能性食品として利用可能である。グルコースを還元して得られた糖アルコールソルビトール)は、冷涼感を有する甘味料として広く利用されており、最近ではバイオマス由来プラスチック原料としても注目されている(非特許文献1)。

一方、ヘミセルロースは、キシランマンナン、あるいはガラクタンなどから構成される高分子ヘテロ多糖類であり、キシロースアラビノースマンノースガラクトース等から構成されている。ヘミセルロースからキシロース、アラビノースなどの単糖キシロオリゴ糖などのオリゴ糖を得ることができる。また、キシロース等の単糖類は、グルコースと同様に発酵原料として用いることも可能である。キシロースを還元して得られるキシリトールは、糖尿病患者用の輸液や、虫歯になりにくい甘味料としてチューインガム等に配合されている。マンノースを還元して得られるマンニトールは、甘味料として利用されており、また、利尿作用脳関門を開き脳圧を低下させる作用、薬剤の脳内への輸送を促進する作用が報告されている(非特許文献2)。

更に、キシロースやアラビノース等の五炭糖フルフラールに変換することが可能であり、グルコースやマンノースなどの六炭糖を5−ヒドロキシメチルフルフラールに変換することが可能である。これらのフルフラール類は、医薬品の中間体プラスチック原料フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である。5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸は、テレフタル酸代替物質としてポリエステルモノマーとしての利用が期待されている。また、5−ヒドロキシメチルフルフラールの水素化分解によって得られる2,5−ジメチルフランは、ガソリン代替燃料としての利用が期待されている。米国エネルギー省では、バイオマス資源からバイオプロセスを主要技術として開発可能であり産業として成立する可能性の高い化学品としてキシリトール、ソルビトール、2,5−フランジカルボン酸などの12種の化成品を挙げている(非特許文献3)。

バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニンテルペン有機酸)や水溶性リグニン回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献4〜6)。

上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。

前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解すると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献7)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的であるため、前加水分解の条件は、溶解パルプの製造に適した条件で実施される。一般的には、原料チップ乾燥重量)に対して2〜5程度の液比で水を加え、150℃〜180℃で1〜数時間処理される。また、原料の種類や目的とする溶解パルプの品質に応じて適した前加水分解条件が設定される。従って、前加水分解後の反応液に含まれるオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の比率は目的の比率にはなっていないため、目的の成分を効率的に生産することができないという問題がある。もし、溶解パルプの前加水分解条件においてもヘミセルロースに由来するオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産効率を向上することができれば、溶解パルプの製造と同時に加水分解液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の工業的規模での実用化が可能となる。

バイオマス原料からキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法として、キシラン含有天然物から110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残渣を前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理する方法(特許文献1)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献2)が報告されている。しかし、バイオマスを前加水分解して同時に得られた単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の各成分の生産性を高める技術に関する報告は開示されていない。

概要

バイオマスを連続的に加水分解して単糖類、オリゴ糖類、及びフルフラール類を製造する方法を提供する。バイオマスの水性懸濁液連続式加水分解装置を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、前記原料懸濁液供給口と前記排出口の中間位置における上下方向に離れた2箇所以上の位置に形成している固−液分離装置を備えた中間取出口より、加水分解装置内の加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理液を取り出し、同時に各中間取出口の間に形成している水性液供給口より加水分解装置内に水性液を供給して加水分解装置内の加水分解処理条件を維持することを特徴とする。

目的

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的である

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

バイオマス水性懸濁液連続式加水分解装置原料懸濁液供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類オリゴ糖類フルフラール類を生成する加圧加熱条件を維持してバイオマスを加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、加水分解装置の前記原料懸濁液供給口と前記排出口の中間位置における上下方向に離れた2箇所以上の位置に形成している固−液分離装置を備えた中間取出口より、加水分解装置内の加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が含まれている加水分解処理液を取り出し、同時に各中間取出口の間に形成している水性液供給口より加水分解装置内に水性液を供給して加水分解装置内の加水分解処理条件を維持することを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法

請求項2

前記各中間取出口の間に形成している水性液供給口より供給する水性液を、該水性液供給口の上部の中間取出口より取出される加水分解処理液の液量に相当する液量として加水分解装置内に供給することを特徴とする請求項1に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項3

前記中間取出口の間に形成している水性液供給口より供給する水性液を温水状態の水性液とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項4

前記連続式の加水分解装置の前記底部の排出口に、固−液分離装置を配置した加水分解処理懸濁液取出管路を接続し、前記底部排出口より取り出される加水分解処理懸濁液を固−液分離して、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が含まれている追加量の加水分解処理液を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項5

前記連続式の加水分解処理装置の中間取出口から取り出す加水分解処理液及び前記底部排出口より取り出される加水分解処理懸濁液を固−液分離して得られる追加量の加水分解処理液を一緒にして蒸留装置送り、全加水分解処理液中に含まれるフルフラール類を蒸気相として糖類含有液相から分離することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項6

前記連続式の加水分解処理装置から取り出した全加水分解処理液を一緒にして、全加水分解処理液中に含まれる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の含有比率を変える二次的な加水分解処理を施して単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類のいずれかの生成物成分の含有比率を高めた加水分解処理液を得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

請求項7

前記バイオマスが木質系バイオマスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

技術分野

0001

本発明は、バイオマス一次加水分解において、加水分解装置の2箇所以上の取出口から単糖類オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液を取り出すことにより、バイオマスより単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を効率的に生産する方法に関する。

背景技術

0002

バイオマス資源は、水と炭酸ガス太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。

0003

バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシ・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。

0004

バイオマスは、セルロースヘミセルロースリグニン細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。
例えば、セルロースは製紙用パルプ、あるいは溶解用パルプとして利用できる。また、セルロースはグルコース重合体であるので、セルロースからグルコースやセロオリゴ糖を得ることができる。グルコースはエタノール乳酸発酵原料、セロオリゴ糖は機能性食品として利用可能である。グルコースを還元して得られた糖アルコールソルビトール)は、冷涼感を有する甘味料として広く利用されており、最近ではバイオマス由来プラスチック原料としても注目されている(非特許文献1)。

0005

一方、ヘミセルロースは、キシランマンナン、あるいはガラクタンなどから構成される高分子ヘテロ多糖類であり、キシロースアラビノースマンノースガラクトース等から構成されている。ヘミセルロースからキシロース、アラビノースなどの単糖キシロオリゴ糖などのオリゴ糖を得ることができる。また、キシロース等の単糖類は、グルコースと同様に発酵原料として用いることも可能である。キシロースを還元して得られるキシリトールは、糖尿病患者用の輸液や、虫歯になりにくい甘味料としてチューインガム等に配合されている。マンノースを還元して得られるマンニトールは、甘味料として利用されており、また、利尿作用脳関門を開き脳圧を低下させる作用、薬剤の脳内への輸送を促進する作用が報告されている(非特許文献2)。

0006

更に、キシロースやアラビノース等の五炭糖フルフラールに変換することが可能であり、グルコースやマンノースなどの六炭糖を5−ヒドロキシメチルフルフラールに変換することが可能である。これらのフルフラール類は、医薬品の中間体プラスチック原料フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である。5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸は、テレフタル酸代替物質としてポリエステルモノマーとしての利用が期待されている。また、5−ヒドロキシメチルフルフラールの水素化分解によって得られる2,5−ジメチルフランは、ガソリン代替燃料としての利用が期待されている。米国エネルギー省では、バイオマス資源からバイオプロセスを主要技術として開発可能であり産業として成立する可能性の高い化学品としてキシリトール、ソルビトール、2,5−フランジカルボン酸などの12種の化成品を挙げている(非特許文献3)。

0007

バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニンテルペン有機酸)や水溶性リグニン回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献4〜6)。

0008

上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。

0009

前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解すると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献7)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。

0010

前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的であるため、前加水分解の条件は、溶解パルプの製造に適した条件で実施される。一般的には、原料チップ乾燥重量)に対して2〜5程度の液比で水を加え、150℃〜180℃で1〜数時間処理される。また、原料の種類や目的とする溶解パルプの品質に応じて適した前加水分解条件が設定される。従って、前加水分解後の反応液に含まれるオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の比率は目的の比率にはなっていないため、目的の成分を効率的に生産することができないという問題がある。もし、溶解パルプの前加水分解条件においてもヘミセルロースに由来するオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産効率を向上することができれば、溶解パルプの製造と同時に加水分解液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の工業的規模での実用化が可能となる。

0011

バイオマス原料からキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法として、キシラン含有天然物から110℃以上140℃以下の熱水で抽出される成分を除去した水不溶性の残渣を前記処理温度以上200℃以下の熱水で処理する方法(特許文献1)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献2)が報告されている。しかし、バイオマスを前加水分解して同時に得られた単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の各成分の生産性を高める技術に関する報告は開示されていない。

0012

特開2000−236899号公報
特開2002—59118号公報

先行技術

0013

望月政嗣、大島一史、「バイオプラスチック素材・技術最前線」p.p.114
岡田弘晃、「製剤設計及び革新薬物送達システムDDS)における創薬」YAKUGAKU ZASSHI、131、p.p.1271 (2011)
Top Value Added Chemicals from Biomass Volume I−Results of Screening for Potential Candidates from Sugars and Synthesis Gas、DOE、Aug.2004
柴田 昌、「バイオマス利用技術の開発を目指して−加圧熱水による処理技術−」、平成13年度産業技術総合研究所九州センター研究講演会要旨集
木 剛、「加圧熱水によるバイオマスの成分分離」Vol.7、ページ245−248、日本エネルギー学会講演要旨集、1998年
浩毅、外5名、「加圧熱水を用いた木質バイオマス分解挙動」、鹿児島県工業技術センター研究報告No.14,ページ、2000
Furfural:Hemicellulose/xylosederived biochemical, Ajit Singh Mamman, Biofuels Bioproducts and Biorefining, Volume 2,Issue 5,p.p.438−454 (2008)

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の課題は、バイオマスを連続的に加水分解して単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に生産することができる方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、原料バイオマスを含有する水性懸濁液連続式加水分解装置の原料供給口から連続的に供給し、加水分解装置内を移動する間に単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧、加熱条件下で加水分解処理し、加水分解処理バイオマスと加水分解生成物含有水溶液からなる加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口から連続的に取り出す方法において、連続式加水分解装置の中間位置における上下方向に離れた2箇所以上に形成している各中間取出口より固−液分離装置を介して加水分解処理液を取り出すと同時に、該各中間取出口間の位置において連続式加水分解装置に形成している水性液供給口より連続加水分解装置内の加水分解処理条件を維持できる水性液を供給することにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率を向上させることができることを見出し、下記の発明を完成するに至ったものである。

0016

(1)バイオマスの水性懸濁液を連続式の加水分解装置の原料懸濁液供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件を維持してバイオマスを加水分解処理し、加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、加水分解装置の前記原料懸濁液供給口と前記排出口の中間位置における上下方向に離れた2箇所以上の位置に形成している固−液分離装置を備えた中間取出口より、加水分解装置内の加水分解処理懸濁液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が含まれている加水分解処理液を取り出すと同時に、各中間取出口の間に形成している水性液供給口より加水分解装置内に水性液を供給して加水分解装置内の加水分解処理条件を維持することを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法

0017

(2)前記各中間取出口の間に形成している水性液供給口より供給する水性液を、該水性液供給口の上部の中間取出口より取出される加水分解処理液の液量に相当する液量として加水分解装置内に供給することを特徴とする(1)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0018

(3)前記中間取出口の間に形成している水性液供給口より供給する水性液を温水状態の水性液とすることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0019

(4)前記連続式の加水分解装置の前記底部の排出口に、固−液分離装置を配置した加水分解処理懸濁液取出管路を接続し、前記底部排出口より取り出される加水分解処理懸濁液を固−液分離して、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が含まれている加水分解処理液を回収することを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0020

(5)前記連続式の加水分解処理装置の中間取出口から取り出す加水分解処理液及び前記底部排出口より取り出される加水分解処理懸濁液を固−液分離して得られる加水分解処理液を一緒にして蒸留装置送り、全加水分解処理液中に含まれるフルフラール類を蒸気相として糖類含有液相から分離することを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0021

(6)前記加水分解処理装置の中間取出口から取り出す加水分解処理液及び前記底部排出口より取り出される加水分解処理懸濁液を固−液分離して得られる加水分解処理液が、加水分解装置内の加水分解処理懸濁液の温度及び圧力を保持した状態で取り出される加水分解処理液であり、前記蒸留装置がフラッシュ蒸留装置であることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0022

(7)前記連続式の加水分解処理装置から取り出した全加水分解処理液を一緒にして、全加水分解処理液中に含まれる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の含有比率を変える二次的な加水分解処理を施して単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類のいずれかの生成物成分の含有比率を高めた加水分解処理液を得ることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

0023

(8)前記バイオマスが木質系バイオマスであることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載の単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法。

発明の効果

0024

本発明によれば、原料バイオマスを含有する水性懸濁液を連続式加水分解装置の原料供給口から連続的に供給し、装置内を移動する間に単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を生成する加圧、加熱条件下で加水分解処理し、加水分解処理バイオマスと加水分解生成物含有水溶液からなる加水分解処理懸濁液を加水分解装置の排出口から連続的に取り出す方法において、連続式加水分解装置の供給口と排出口の中間位置の上下方向に離れた2箇所以上の位置に形成した中間取出口より加水分解処理液のみを取り出すとともに、各中間取出口間に形成した水性液の供給口より連続式加水分解装置内に水性懸濁液用の水性液を供給して加水分解装置内の加水分解処理条件を維持することにより単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に製造することが可能となる。
また、得られる加水分解処理液をさらに二次的な加水分解処理工程で処理することにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の内のいずれかの生成物成分の含有比率を高めた加水分解液を得ることが可能となる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。
図1及び図2とは異なる本発明の一実施態様であるバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法を実施するための装置を示す図である。

0026

以下、本発明のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続的な製造方法をさらに詳しく説明する。

0027

(バイオマスの種類)
本発明で用いるバイオマスとしては、五炭糖を構成糖として含む材料であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、木質系原料であれば、樹木林地残材、間伐材、廃材等のチップ又は樹皮製材工場等から発生するおが街路樹剪定枝葉建築廃材等が挙げられ、広葉樹針葉樹共に用いることができる。草本系として、ケナフ稲藁麦わらコーンコブバガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサスミスカンサスネピアグラス等のリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。

0028

また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジスラッジ下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。
また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。バイオマスが乾燥固形物または水分を含んだ固形物であれば、水と混合させスラリー状態にした後に、連続式加水分解反応装置に供給することが好ましい。

0029

(加水分解装置)
本発明の方法で用いる加水分解装置は、バイオマスを加圧・加熱条件下に維持しつつ装置内を移動させながら連続的に加水分解処理することができると共に、加水分解処理されたバイオマスと、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類及びその他の有機酸等の加水分解生成物を含む水溶液とよりなる加水分解処理懸濁液から、加水分解処理温度と圧力を維持した状態の加水分解生成物を含む水溶液よりなる加水分解処理液を、加水分解装置の中間部において分離して取り出すことができる連続式の加圧、加熱加水分解処理装置である。

0030

本発明で用いる連続式の加水分解装置としては、図1に示すように、バイオマスと水性液よりなる原料懸濁液を供給するための原料懸濁液供給管路1が接続されている頂部の供給口Aと、加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液を排出する、排出管路2が接続されている底部の排出口Bと、供給口Aと排出口Bとの中間部において、原料バイオマス、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を含有する加水分解処理懸濁液から、水溶性の加水分解生成物を含有する加水分解処理液部分のみを分離して装置外に取り出すことができる加水分解処理液1の取出管路3、加水分解処理液2の取出管路4がそれぞれに接続されている、固−液分離装置を備えた中間取出口S1、S2と、中間取出口S1とS2の間の箇所において加水分解装置Rに、水性液供給装置W2から水性液供給管路5を経由して水性液を供給する水性液供給口Eを有し、さらに、加水分解装置Rの底部に洗浄液供給管路6を経由して向流洗浄液を供給する洗浄液供給装置W1を有している式の加水分解装置Rが挙げられる。

0031

図1において、中間取出口S1、S2は加水分解装置Rの円筒部の側面における上下に離れた2箇所に形成されているが、この中間取出口は2箇所に限定されず、3箇所以上の位置に設けることもできる。たとえば、第三の中間取出口(S3)を更に設ける場合には、中間取出口S2と第三の中間取出口(S3)の間にも水性液供給口Eを設けて、必要に応じて水性液を加水分解装置Rに供給できるようにすることが好ましい。

0032

また、加水分解装置Rの底部の排出口Bから加水分解処理懸濁液を取り出す排出管路2に、排出口Bからの加水分解処理懸濁液をそのままの状態か、該懸濁液を脱水濃縮してセルロース成分主体とする固形分の状態で移送することができる固形分移送管路7を接続することにより、セルロース成分を原料とする種々の製造工程、例えばパルプの製造工程等に送られるヘミセルロース成分が低減されているセルロース成分の製造をも目的とした、単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法とすることもできる。このようなるセルロース成分の製造をも目的とした、単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続製造方法とするためには、図2に示されるように、排出管路2に固−液分離装置を配置するとともに、加水分解処理液3の取出管路8と、加水分解処理されたバイオマスからなるセルロース主体の固形分移送管路7を排出管路2から分岐させた装置を使用する方法とすることもできる。

0033

図1及び図2に示される連続的な加水分解装置Rを使用した本発明の「バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の連続的な製造方法」において、加水分解装置Rの中間取出口S1から取出管路3に取り出された加水分解処理液1,中間取出口S2から取出管路4に取り出された加水分解処理液2及び図2に示されている底部の排出口Bから排出管路2に取り出された加水分解処理懸濁液を固−液分離して取出管路8に取り出された加水分解処理液3は、図3に示されるように一緒にされて蒸留装置(フラッシュタンクF)に送ることができる。
そして、フラッシュタンク等による蒸留により蒸気相は蒸気相移送管路9によりコンデンサーCに送られて凝縮液化され、高濃度フルフラール水溶液としてフルフラール水溶液取出管路11により取り出されてフルフラール類が回収され、単糖類、オリゴ糖類等の糖類はタンク底部から糖液取出管路10に取り出されて回収される。

0034

図1に示されている、中間取出口S1,S2が上下方向に離れた2箇所に取り付けられている加水分解装置Rの場合、原料懸濁液供給管路1により供給口Aから加水分解装置R内に、一般的には、バイオマス(乾燥)1質量部当たり0.5〜10質量部、好ましくは
2〜8質量部の水性液体を含有する原料懸濁液として供給され、2箇所の中間取出口S1,S2のうち、最初の中間取出口S1から取出管路3に取り出す加水分解処理液1の液量は、加水分解処理懸濁液中のバイオマス(乾燥)1質量部当たり、0.5〜10質量部の範囲、好ましくは2〜6質量部の範囲に設定される。
第二の中間取出口S2から取出管路4に取り出す加水分解処理液2の液量には特に制限はなく、洗浄液供給装置W1から供給管路6を経て加水分解装置Rの底部に供給される向流洗浄液の供給量等に応じて適宜設定される。

0035

前記、中間取出口S1,S2からの加水分解処理液の取り出し開始と同時に、加水分解装置Rの中間取出口S1とS2の間の位置に形成されている水性液供給口Eに水性液供給装置W2から供給管路5を経て、原料懸濁液に使用する水性液と略同じ組成の水性液を供給することにより加水分解装置R内の懸濁液濃度を調整してバイオマスのさらなる加水分解が進行する条件を維持することが必要であるので、水性液供給口Eは、上方の第一の中間取出口S1とその下方の第二の中間取出口S2の間に設けなければならない。
第二の中間取出口S2の下方の位置に第三の中間取出口(S3)を設ける場合は、第二の中間取出口S2と第三の中間取出口(S3)の間にも水性液供給口Eを設けて加水分解装置内の加水分解処理懸濁液の状態を、目的とする加水分解が良好に進行する状態に適宜調整できるようにすることが好ましい。

0036

水性液供給装置W2から管路5を経由して供給される水性液は、中間取出口S1から加水分解処理液のみが取出された後の加水分解処理懸濁液の濃度、温度、圧力等からなる加水分解処理条件を適正な範囲に維持することができる水性液である限り、特にその組成等に制限はない。また、その供給方法についても、例えば、図1に示す水性液供給装置W2から加水分解装置R内に温水状態とした水性液をポンプで移送して供給する方法等を採用することができる。
加水分解装置Rからの加水分解処理液の取り出し、及び水性液の加水分解装置Rへの供給は、中間取出口からの加水分解処理液の取り出しと水性液供給口Eへの水性液の供給とが同時に且つ略同一液量となるように行われる限り、連続的であっても良いし、断続的でも良い。
加水分解装置Rへ供給する水性液の温度は、90〜200℃が好ましく、150〜180℃がさらに好ましい。

0037

以上の操作で、加水分解装置Rの2箇所以上の中間取出口から加水分解処理液を取り出すと同時に、取り出した加水分解処理液の液量に相当する容量の水性液を加水分解装置Rに供給することにより、加水分解装置R内で処理中のバイオマス原料から溶出する単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の合計量が増加し、加水分解装置Rの1箇所の中間取出口S1のみから取り出す場合よりも高い収率で単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を製造することができる。

0038

中間取出口に配置する固−液分離装置としては、メッシュ網目)が10μm〜5cmの範囲のストレーナーフィルターが採用される。ストレーナーとしては、目詰まりトラブルの回避と分離される水溶液中への懸濁物質随伴を極力避けるために40〜500μmの範囲のストレーナーが好適に採用される。

0039

図1に示されるように、洗浄液供給装置W1から洗浄液供給管路6により加水分解装置Rの底部から洗浄液を供給して、加水分解装置Rの下方側の第二の中間取出口S2の位置から排出口Bに向かって移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させることができる。このように、洗浄液供給管路6から向流洗浄液を供給する場合、下方側の第二の中間取出口S2のさらに下方の位置における加水分解処理懸濁液の濃度、温度、圧力等を調整するための水性液の供給口(E)を第二の中間取出口S2の下方の位置に設けることは必須ではない。しかし、第二中間取出口から下方に領域における加水分解処理懸濁液中のバイオマスの状態がさらに加水分解処理条件を維持することが必要な状態となった場合にも適切に対応可能なように、水性液の供給口(E)を第二の中間取出口S2の下方の位置にも設けることもできる。

0040

洗浄液供給管路6からの洗浄液は、連続的に供給しても良いし、断続的に供給しても良い。洗浄液供給管路6からの洗浄液としては、水や酸を含む水溶液を用いることが望ましいが、2箇所以上の中間取出口から取り出される加水分解処理液に悪影響を及ぼさない水性液体であれば特に制限なく用いることができる。また、向流洗浄液は温水状態で供給することが好ましい。加水分解装置の底部から供給される向流洗浄液は、加水分解処理懸濁液の移動方向とは逆に下方から上方へ移動し、主として装置中間の固−液分離装置を備えた第二の中間取出口S2から加水分解処理液と混合状態で取出管路4に取り出される。

0041

上記のような向流洗浄操作を採用することによって、加水分解装置Rの供給口Aから排出口Bへ移動する加水分解処理されたバイオマスと加水分解処理液とを含有する加水分解処理懸濁液であって、前記固−液分離装置を備えた中間取出口S1、S2で加水分解処理液の一部分が除かれた状態でさらに排出口B方向に移動する加水分解処理懸濁液中の水溶性の加水分解生成物(単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類等)を洗浄液中移行させて、前記下方側の中間取出口S2から取出管路4に取り出される加水分解処理液2として回収できるので、加水分解処理バイオマスに随伴されて加水分解装置Rの底部の排出口Bから排出管路2に排出される加水分解処理懸濁液中のフルフラール類等の加水分解生成物の量を極めて低いレベルにすることができる。

0042

(加水分解処理条件)
本発明の方法において、加水分解装置R内での加水分解処理は、加圧下における熱水処理酸処理アルカリ処理等の方法を用いて行うことができるが、生成する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に回収できる方法としては、加圧、加熱状態の水又は酸水溶液を用いた処理方法が望ましい。加圧、加熱状態の水による処理の場合、バイオマスを水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理の方法としては、バイオマスを酸を含む水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液に用いる酸は特に限定されないが、好適には硫酸塩酸硝酸リン酸、酢酸、シュウ酸等が使用される。

0043

加水分解処理に供するバイオマスを含有する水性懸濁液のpHは0.5〜5.0の範囲が好ましい。
加水分解処理の温度としては、120〜250℃の範囲で設定することができるが、140〜230℃が好ましく、150〜180℃がより好ましい。
加水分解処理時の圧力は、0.35MPa〜2.8MPaであることが好ましい。
バイオマスと混合する水性液とバイオマスの質量比(水性液/バイオマス)は2〜8の範囲が好ましい。バイオマスと水性液を混合して原料懸濁液を調製し、加水分解装置Rに供給して加水分解装置R内で所定の温度と圧力に維持しつつ加水分解処理する。

0044

バイオマスの加水分解処理時間(加水分解処理装置内の滞留時間)は、バイオマスの種類や加水分解装置R内の温度、圧力等に応じて適宜設定できる。例えば、140〜230℃で加水分解処理する場合、加水分解処理時間(装置内滞留時間)は0.5〜180分の範囲で適宜設定される。
以上の条件下での加水分解処理により、セルロースを主体とする加水分解処理バイオマスと、バイオマス由来の加水分解生成物であるフルフラール、オリゴ糖類、単糖類などの水溶性成分を含有する加水分解処理液よりなる加水分解処理懸濁液が得られる。

0045

加水分解処理で生成するフルフラール類としては、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。生成するオリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられ、前記オリゴ糖類にはアラビノース、マンノース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、4−o−メチルグルクロン酸等が側鎖として付加したオリゴ糖も含まれる。生成する単糖類としては、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。

0046

加水分解装置Rの底部排出口Bから排出管路2に排出される加水分解処理懸濁液は、バイオマス由来の有用成分、特にセルロースを主体とする成分を固形分として含んでいるので、排出管路2に固−液分離装置を配置して固−液分離を行って、加水分解処理液部分は排出管路2で水溶性の加水分解生成物の回収装置に送り、セルロース主体の固形分は固形分移送管路7により、例えばパルプの製造原料、溶解パルプの製造原料としてそのまま利用することができる。

0047

加水分解装置Rから取り出された加水分解処理液は、二次的な加水分解処理工程に送ってフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類のそれぞれの生産比率を高めるための加水分解処理を施すことができるし、そのままフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類を分離するための濃縮分離工程に送って各生成物に分離する処理をすることもできる。

0048

底部の排出口Bに接続されている排出管路2における固−液分離装置で分離された固形分はセルロース主体の固形分であるので、本発明の方法は、製紙パルプの製造原料や溶解パルプの製造原料として利用可能な状態のセルロース主体の固形分と、フルフラール類、オリゴ糖類、単糖類とを同時に製造する方法とすることも可能である。このようなセルロース主体の固形分の製造をも主たる目的とする方法とする場合、製紙用パルプや溶解パルプの製造に適した条件(セルロースの過分解を防ぐ条件)は、フルフラール類や単糖類を得るための加水分解条件としては最適条件ではないので、この場合は、得られる加水分解処理液に二次的な加水分解処理を施して加水分解液中のフルフラール類、単糖類の含有量を向上させることによりパルプ原料の生産とフルフラール類、単糖類の生産を併せて遂行できる方法とすることが可能になる。

0049

二次的な加水分解処理を行う場合は、加水分解装置Rから取り出された加水分解処理液を、直接二次的な加水分解装置に供給することもできるし、また、減圧濃縮装置等の濃縮装置を用いて加水分解装置Rからの加水分解処理液を濃縮してから二次的な加水分解装置に供給することもできる。

0050

加水分解装置Rから取出された加水分解処理液と、前記二次的な加水分解処理により得られた加水分解処理液からフルフラール類と糖類とを分離する方法に特に制限はないが、各加水分解処理液を、加水分解処理時の温度と圧力を保持した状態で取り出してそのままフラッシュ蒸留装置に送って、フルフラール類を含有する蒸気相と、糖類を含有する液相とに分離することが好ましい。
フラッシュ蒸留装置としては、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等が使用される。

0051

フラッシュ蒸留装置で液相から分離される蒸気相には、液相よりも高含有率でフルフラールが含まれているので、分離される気相をコンデンサー等の冷却装置により冷却することにより濃度の高いフルフラール水溶液として回収することができる。
フラッシュ蒸留装置の底部からは、水溶性の加水分解生成物であるオリゴ糖類や単糖類からなる糖類や酢酸等の有機酸を含有する水溶液を回収することができる。

0052

(オリゴ糖類、単糖類の分離工程
前記の加水分解装置Rから取出された加水分解処理液や前記の二次的な加水分解処理液を濃縮分離装置で分離した後の水溶液(液相)に含まれる単糖類及びオリゴ糖類は、一般的に糖の精製プロセスで用いられる方法で分離・精製することができる。単糖類やオリゴ糖類を含む糖液の濃縮装置としては、エバポレーター等を用いることができる。また、UF膜限外濾過膜)、RO膜逆浸透膜)、NF膜ナノフィルトレーション)、分子ふるいクロマトグラフィー疑似移動床クロマトグラフィー等を用いてオリゴ糖類を濃縮したり、オリゴ糖類及び単糖類を分離することができる。糖液に含まれる着色成分等の不純物は、活性炭陽イオン交換樹脂陰イオン交換樹脂吸着樹脂等を用いて除去することができる。精製した単糖類を含む水溶液は、結晶化させて精製することができる。また、精製した糖液をスプレードライヤー凍結乾燥装置などを用いて粉末化することも可能である。

0053

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。

0054

製造例1
ユーカリペリータのチップ(厚さ2mm)とイオン交換水とを、チップ(乾燥)1質量部に対してイオン交換水5質量部の割合で混合して原料バイオマスを含有する原料懸濁液を調製した。
図1に示す加水分解装置Rの頂部供給口Aに接続している原料懸濁液供給管路1から上記原料懸濁液を連続的に300質量部/時で供給し、加水分解装置内で165℃、0.70MPaで加水分解処理を行い、加水分解処理された加水分解処理懸濁液を加水分解装置の底部排出口Bより減圧バルブVPを介して排出管路2に排出した。加水分解装置内の滞留時間は100分に設定した。
一方、洗浄液供給装置W1から洗浄液供給管路6のバルブV4を開いて加水分解装置の底部に洗浄水を100質量部/時で供給して、前記目開き300μmのステンレス製金網Sが設置されている加水分解装置Rの中央部の2箇所の中間取出口S1,S2を経て下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた。
供給開始3時間後(定常運転開始後)から、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解装置の上部の側の中間取出口S1(加水分解処理時間40分の位置)から加水分解処理液(100質量部/時)を加水分解処理液の取出管路3のバルブV1を開いて取り出し、加水分解装置の下部の加水分解処理液の中間取出口S2(加水分解処理時間60分の位置)から加水分解処理液(100質量部/時)を加水分解処理液の取出管路4のバルブV2を開いて取り出した。加水分解処理液の取出開始と同時に水性液供給装置W2より95℃の温水(100質量部/時)を水性液供給管路5のバルブV3を開いて取出し、加水分解処理液の中間取出口S1とS2の間の水性液供給口Eから加水分解装置内に供給した。
加水分解処理液の取出管路3から取り出した加水分解液1及び加水分解処理液の取出管路4から取り出した加水分解液2に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を下記の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表1に示す。

0055

[糖分析
糖分析は、DIONEX社製糖分析システム(ICS5000)を用いた。カラムはCarbo Pac PA−1 (2×250mm)を用い、20mM NaOH溶液溶離液とし、0.25ml/minの流速で単糖を溶出させた。検出には、パルスアンペロメトリー検出器を用いた。単糖の標品として、グルコース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロースを用いた。これらの各成分の検量線を作成し、試料中の各単糖の含有量を求めた。

0056

[全糖量の分析]
試料溶液最終濃度が4質量%となるように硫酸を添加し、120℃で1時間加水分解を行った後、糖分析を実施し、試料中の各単糖の含有量を求め、その合計値を全糖量とした。

0057

[オリゴ糖類含有量の計算]
試料中の全糖量から、4質量%硫酸で加水分解を行う前の試料中の各単糖の含有量を差し引いた値をオリゴ糖類の含有量とした。

0058

[フルフラール類の定量]
フルフラール類の定量には、Agilent Technоlоgies社製HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−Rad社製Aminex HPX87P(7.8×300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速でフルフラール類を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。フルフラール類の標品として、フルフラールを用い、検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。

0059

製造例2
製造例1において、加水分解処理液の取出管路3のバルブV1を閉じて、加水分解液1を取り出さないようにするとともに、水性液供給管路のバルブV3も閉じて温水の供給を止めた状態とした以外は、製造例1と同様の方法で加水分解処理を実施した。結果を表1に示す。

0060

0061

表1に示すように、加水分解処理液を加水分解装置の2箇所の中間取出口S1,S2(上部、下部)から取り出した場合(製造例1)は、加水分解処理液を加水分解装置の1箇所の中間取出口S2(下部)のみから取り出した場合(製造例2=参考例)と比較して、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が高かった。
以上の結果から、加水分解装置の2箇所以上の中間取出口から加水分解液を取り出すと同時に取り出した容量と同量の水性液(温水)を供給することにより、加水分解装置内において原料から水溶液中へ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類が溶解し易くなった結果、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上したものと推測される。

0062

製造例3
図2に示す装置により加水分解処理を実施した。加水分解装置内の加水分解処理条件は製造例1と同一条件として実施した。但し、製造例3では、加水分解処理液1、加水分解処理液2を取り出しただけではなく、底部排出口Bから排出管路2に排出される加水分解懸濁液から、排出管路2に設置した目開き300μmのストレーナーにより加水分解処理液3(250質量部/時)を分離し、バルブV5を開いて取出管路8により回収した。取出管路3、取出管路4、取出管路8から取り出した加水分解処理液1〜3に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を製造例1と同様の方法で測定して、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表2に示す。

0063

0064

表2に示すように、加水分解装置の中間取出口の2箇所S1,S2(上部、下部) から取り出される加水分解処理液1,2に加えて、加水分解装置底部の排出口Bから分岐している排出管路2から取り出される加水分解処理液3をも合わせて加水分解処理液を回収した場合(製造例3)は、加水分解処理液を加水分解装置の2箇所の中間取出口S1,S2から取り出した場合(製造例1)と比較して、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上した。
以上の結果から、加水分解処理懸濁液が洗浄液で洗浄される下部側の中間取出口S2と加水分解装置の底部の排出口Bに至る区間を経て排出管路2に排出される加水分解処理懸濁液中に残存する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類をも回収したことが、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率向上に寄与したものと考えられる。

0065

製造例4
図3に示す装置により加水分解処理を実施した。加水分解装置内の加水分解処理条件は製造例3と同一条件として実施した。製造例3と同様の方法で、加水分解装置の2箇所の中間取出口S1,S2から取り出した加水分解処理液1,2と、底部の排出口Bから排出管路2に排出された加水分解処理懸濁液から取出管路8に取り出した加水分解処理液3を一緒にして、フラッシュタンクF[(株)進栄技研製、容量4L]へ移送した。フラッシュタンクF(濃縮分離装置)で分離した蒸気相を蒸気相移送管路9のバルブV6を開いてコンデンサーCに送り、冷却して、取出管路11によりフルフラール水溶液(45質量部/時)を取り出した。また、フラッシュタンクF内の液相として糖類等含有水溶液(405質量部/時)を取出管路10のバルブV7を開いて取り出した。
フラッシュタンクFから得られる各水溶液に含まれる全糖、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の含有量を測定し、原料(乾燥質量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表3に示す。

0066

実施例

0067

表3に示すように、製造例4の方法では、原料懸濁液の加水分解反応装置内での連続的な加水分解処理で生成した各種加水分解生成物の中から、フルフラールの殆どの部分がフラッシュタンクにおけるフラッシュ蒸留によって蒸気相中に含まれた状態でフラッシュタンクから取り出される結果、生成フルフラールの主たる部分を含有している高純度フルフラールの高濃度水溶液を連続的に得ることができた。一方、フラッシュ蒸留後のフラッシュタンク内から排出される液相には、フルフラール類は極めて少量しか含まれておらず、オリゴ糖類、単糖類が高濃度で含まれており、液相からは単糖類及びオリゴ糖類を高濃度で含む水溶液を回収することができた。

0068

本発明の方法は、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される廃棄物系バイオマス、農作物の非食用部や間伐材などの未利用バイオマスを原料として、医薬中間体、フラン樹脂などのプラスチック原料であるフルフリルアルコールの製造原料として用いられるフルフラール類や、食品食品添加物、発酵原料などに用いられる単糖類、オリゴ糖類などの有用物質を化石原料によらずに安定供給することに途を拓くものであるし、山林の保守管理廃棄物処理の分野にも大きく貢献するものである。

0069

1:原料懸濁液供給管路
2:加水分解処理懸濁液排出管路
3:加水分解処理液取出管路
4:加水分解処理液取出管路
5:水性液供給管路
6:洗浄液供給管路
7:固形分移送管路
8:加水分解処理液取出管路
9:蒸気相移送管路
10:液相取出管路
11:フルフラール水溶液取出管路
A:原料懸濁液供給口
B:加水分解処理懸濁液排出口
C:コンデンサー
E:水性液供給口
F:フラッシュタンク
W1:洗浄液供給装置
W2:水性液供給装置
R:連続式の加水分解装置
S1:上部側の中間取出口
S2:下部側の中間取出口
V1〜V7:バルブ
VP:減圧バルブ

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