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技術 卵割球の分裂および運動に基づく胚品質の評価

出願人 ウニセンスフェルティリテックアー/エス
発明者 ニールスベー.ラムシングイェルゲンベルンセン
出願日 2013年7月5日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2013-141334
公開日 2013年10月3日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2013-198503
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 微生物・酵素関連装置 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 連続場 比率パラメータ 手動判定 定常作業 差分パラメータ 擬似ゲル フラッシュ形式 ガス洗浄瓶
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2013年10月3日)のものです。
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図面 (13)

課題

卵割球分裂および運動に基づく胚品質の評価の提供。

解決手段

本発明は、胚品質を判定するためのシステムおよび方法に関し、これは、一定期間にわたってモニタリングする工程であって、前記期間が少なくとも1つの細胞分裂期分裂間期の少なくとも一部とを含むのに十分な長さを有する、工程と、i)少なくとも1つの細胞分裂期の長さを判定する工程、および/またはii)細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定する工程、および/またはiii)分裂間期の継続期間、および/またはiv)分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定を判定する工程とを含み、それによって胚品質の指標を得る。

概要

背景

不妊症は、世界中で8000万人を超える人々に影響を及ぼしている。全夫婦の10%が原発性または続発性不妊症を経験していると推測されている(Vayena et at.2001)。体外受精(IVF)は、処置しなければ妊娠できない夫婦に妊娠する機会を提供する場合がある選択的な治療法である。体外受精とは、女性卵巣から取り出した卵子卵母細胞)を、実験室精子受精させるプロセスである。その後、このプロセスで生成したを、着床の可能性を求めて子宮に戻す。多胎妊娠および多子出産を回避するため、移植する胚はごく少数である(通常4個未満、理想的には1個のみ(Bhattacharyaら、2004))。移植に適切な胚を選択することは、いずれのIVF治療においても極めて重要な工程である。現行の選択工程は、発育時の異なる時点に行う胚の形態評価、具体的には標準的な実体顕微鏡を使用して移植時に行う評価にほとんどすべて基づいている。しかし、評価工程には、定量的な改善と同様に定性的な改善が必要であることが広く認識されている。

期細胞分裂:有望な新しい手法には、2細胞期への「早期分裂」(すなわち、授精注入後25〜27時間以前)を品質指標として使用する手法がある。この手法では、受精の25〜27時間後に胚を視覚的に検査し、最初の細胞分裂が完了したかどうかを判定する。いくつかの研究では、早期の卵割と個々の胚のその後の発育能力との間に強い相関性があることが実証されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;Bos‐M
ikichら、2001;Lundinら、2001;Petersenら、2001;Fenwickら、2002;Neuberら、2003;Salumetsら、2003;Windtら、2004)。また、より頻繁な観察の必要性が何人かの観察者により
指摘されている。しかし、インキュベータから倒立顕微鏡までの移動を伴う頻繁な視覚的観察は、胚の発育を妨げ、さらには停止させる場合がある肉体的ストレスを誘発する。また、IVF診療所日常的な定常作業組み入れるには、時間がかかり、困難を伴う。

何人かの研究者胚発育時の微速度画像取得を実施している。これは主に、インキュベータ内に研究用顕微鏡を設置するか、または画像の取得が自動化された「インキュベータステージ」を顕微鏡ステージ上に構築することによって行われている。「インキュベータ」は、許容される温度(37℃)、湿度(90%超)およびガス組成(5%のCO2および場合によっては低酸素濃度)を維持する。微速度画像の手動評価により、連続した細胞分裂が開始する時期や時間間隔に関する重要な情報が得られている(非特許文献4,非特許文献5,Majerusら、2000,Holmら、2002,Holmら、2003,Lequarreら、2003,Motosugiら、2005)。

また、本願または本願で引用する特許文献および非特許文献はすべて、全体が参考として本明細書で援用される。

概要

卵割球の分裂および運動に基づく胚品質の評価の提供。本発明は、胚品質を判定するためのシステムおよび方法に関し、これは、一定期間にわたって胚をモニタリングする工程であって、前記期間が少なくとも1つの細胞分裂期分裂間期の少なくとも一部とを含むのに十分な長さを有する、工程と、i)少なくとも1つの細胞分裂期の長さを判定する工程、および/またはii)細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定する工程、および/またはiii)分裂間期の継続期間、および/またはiv)分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定を判定する工程とを含み、それによって胚品質の指標を得る。

目的

体外受精(IVF)は、処置しなければ妊娠できない夫婦に妊娠する機会を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

本願明細書に記載された発明。

技術分野

0001

本発明は、観察した細胞分裂ならびに関連する細胞運動および細胞小器官運動の時期、継続期間、空間的分布および程度に基づき体外受精用のを選択するための方法およびシステムに関する。

背景技術

0002

不妊症は、世界中で8000万人を超える人々に影響を及ぼしている。全夫婦の10%が原発性または続発性不妊症を経験していると推測されている(Vayena et at.2001)。体外受精(IVF)は、処置しなければ妊娠できない夫婦に妊娠する機会を提供する場合がある選択的な治療法である。体外受精とは、女性卵巣から取り出した卵子卵母細胞)を、実験室精子受精させるプロセスである。その後、このプロセスで生成した胚を、着床の可能性を求めて子宮に戻す。多胎妊娠および多子出産を回避するため、移植する胚はごく少数である(通常4個未満、理想的には1個のみ(Bhattacharyaら、2004))。移植に適切な胚を選択することは、いずれのIVF治療においても極めて重要な工程である。現行の選択工程は、発育時の異なる時点に行う胚の形態評価、具体的には標準的な実体顕微鏡を使用して移植時に行う評価にほとんどすべて基づいている。しかし、評価工程には、定量的な改善と同様に定性的な改善が必要であることが広く認識されている。

0003

期細胞分裂:有望な新しい手法には、2細胞期への「早期分裂」(すなわち、授精注入後25〜27時間以前)を品質指標として使用する手法がある。この手法では、受精の25〜27時間後に胚を視覚的に検査し、最初の細胞分裂が完了したかどうかを判定する。いくつかの研究では、早期の卵割と個々の胚のその後の発育能力との間に強い相関性があることが実証されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;Bos‐M
ikichら、2001;Lundinら、2001;Petersenら、2001;Fenwickら、2002;Neuberら、2003;Salumetsら、2003;Windtら、2004)。また、より頻繁な観察の必要性が何人かの観察者により
指摘されている。しかし、インキュベータから倒立顕微鏡までの移動を伴う頻繁な視覚的観察は、胚の発育を妨げ、さらには停止させる場合がある肉体的ストレスを誘発する。また、IVF診療所日常的な定常作業組み入れるには、時間がかかり、困難を伴う。

0004

何人かの研究者胚発育時の微速度画像取得を実施している。これは主に、インキュベータ内に研究用顕微鏡を設置するか、または画像の取得が自動化された「インキュベータステージ」を顕微鏡ステージ上に構築することによって行われている。「インキュベータ」は、許容される温度(37℃)、湿度(90%超)およびガス組成(5%のCO2および場合によっては低酸素濃度)を維持する。微速度画像の手動評価により、連続した細胞分裂が開始する時期や時間間隔に関する重要な情報が得られている(非特許文献4,非特許文献5,Majerusら、2000,Holmら、2002,Holmら、2003,Lequarreら、2003,Motosugiら、2005)。

0005

また、本願または本願で引用する特許文献および非特許文献はすべて、全体が参考として本明細書で援用される。

先行技術

0006

Shoukirら、Hum Reprod(1997)12、1531〜1536
Sakkasら、Hum Reprod(1998)13、182〜187
Sakkasら、Fertil Steril(2001)12、1150〜1156
Grisartら、J.Reprod fertile(1994)101(2):257〜64
Holmら、Theriogenology(1998)50、1285〜1299

課題を解決するための手段

0007

要旨
本発明は、観察した細胞分裂ならびに関連する細胞運動および細胞小器官運動の時期、継続期間、空間的分布および程度を基に、体外受精後の移植に最適な胚の選択を容易にする方法およびシステムに関する。

0008

したがって、第1の態様において、本発明は、胚品質を判定する方法であって、一定期間にわたって胚をモニタリングする工程であって、前記一定期間が少なくとも1つの細胞分裂期分裂間期の少なくとも一部とを含むのに十分な長さを有する、工程と、i)少なくとも1つの細胞分裂期の継続期間、および/またはii)細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布、および/またはiii)分裂間期の継続期間、および/またはiv)分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定し、それによって胚品質の指標を得る工程と、を含む方法に関する。

0009

その後、妊娠および生産児をもたらすために、得られた胚品質の指標を使用して、女性の子宮への移植に好適な胚を特定および選択する場合がある。

0010

したがって、さらなる態様において、本発明は、移植に好適な胚を選択する方法であって、上に定義した通りに胚をモニタリングして、胚品質の指標を得る工程と、胚品質の指標が最高の胚を選択する工程とを含む。

0011

さらなる態様において、本発明は、上述の方法を実施する手段を有するシステムに関する。前記システムは、上述の方法を実行する手段を構成するコンピュータコード部分を含むコンピュータなどのいずれかの好適なシステムである場合がある。前記システムは、2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願に記載のシステムなど、異なる時間間隔で胚の画像を取得する手段もさらに含む場合がある。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
胚品質を判定するための方法であって、一定期間にわたってこの胚をモニタリングする工程であって、この一定期間が少なくとも1つの細胞分裂期と分裂間期の少なくとも一部とを含むのに十分な長さを有する、工程と、i)この少なくとも1つの細胞分裂期の長さを判定する工程、および/またはii)この細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定する工程、および/またはiii)分裂間期の継続期間を判定する工程、および/またはiv)この分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定する工程とを含み、それによって胚品質の指標を得る、方法。
(項目2)
上記胚が、少なくとも2つの細胞分裂期を含む一定期間にわたってモニタリングされる、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記胚が、少なくとも3つの細胞分裂期を含む一定期間にわたってモニタリングされる、項目1に記載の方法。
(項目4)
各細胞分裂期の長さが判定される、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
各分裂間期の長さが判定される、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
少なくとも2つの分裂間期における細胞運動の期間が判定される、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
少なくとも2つの分裂間期における細胞運動の程度が判定される、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
上記少なくとも2つの分裂間期が、連続した分裂間期である、項目6または7に記載の方法。
(項目9)
上記少なくとも1つの細胞分裂期の長さの判定と、上記分裂間期の間の細胞運動の判定とが実施される、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
上記少なくとも1つの細胞分裂期の長さの判定と、上記分裂間期の間の細胞運動の期間の判定とが実施される、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
上記少なくとも1つの細胞分裂期の長さの判定と、上記分裂間期の間の細胞運動の判定と、この分裂間期の間の細胞運動の期間の判定とが実施される、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
移植に好適な胚を選択するための方法であって、項目1〜11のいずれか一項に記載の胚をモニタリングする工程と、胚品質の指標を得る工程と、最高胚品質の指標を有する胚を選択する工程とを含む、方法。
(項目13)
一定期間にわたって胚をモニタリングするための手段を含む胚品質を判定するためのシステムであって、この一定期間が少なくとも1つの細胞分裂期と分裂間期の少なくとも一部とを含むのに十分な長さを有し、このシステムは、さらに、この少なくとも1つの細胞分裂期の長さを判定する、および/またはこの分裂間期の間の細胞運動を判定する、および/または分裂間期の間の細胞運動の期間の長さを判定するための手段と、この細胞分裂期およびこの分裂間期におけるこの判定を基に胚品質の指標を判定するための手段とを有する、システム。
(項目14)
項目1〜11のいずれか一項に記載の特徴の1つ以上を判定するための手段を含む、項目13に記載のシステム。

0012

尚さらなる態様において、本発明は、上述の方法を実行する手段を構成するコンピュータコード部分を含むデータ媒体に関する。

図面の簡単な説明

0013

2つの代表的なウシ胚の卵割球活性を示す。「良好」は、孵化し始めた胚盤胞に発育した。「不良」は、胚盤胞に全く発育しなかった。
41個のウシ胚の卵割球活性を示す。卵割球活性は擬似ゲル画像として示されており、運動性ピーク黒色の帯で、不活性のピークを白色の帯で示し、各レーンが1つの胚に対応している。黒色の帯パターンスミアが胚内の細胞運動性の期間を表す。「良好」な胚は、上述の通り胚盤胞に発育しており、「不良」な胚は胚盤胞期に発育しなかった。良好な胚の方が、より多く(通常3つ)の鮮明な帯が最初見られる。
13個の代表的なウシ胚の卵割球活性を示す。孵化し始めた胚盤胞に発育した「良好」な胚は緑色の曲線で表し、胚盤胞に全く発育しなかった「不良」な胚は赤色の曲線で表す。X軸はフレーム番号、Y軸は卵割球活性である。画像取得は、受精後24時間に開始し、毎時2フレームで行った。緑色の曲線は、卵割球活性値に30を足してy軸の位置をずらした。
取得した全画像フレーム(明領域=高卵割球活性、暗領域=低卵割球活性)の平均卵割球活性を示す。
品質の胚盤胞に発育しなかった21個のウシ胚の卵割球活性を示す。卵割球活性パターンの分類に使用する3つの部分からなる曲線を示す。
高品質の胚盤胞に発育しなかった18個のウシ胚の卵割球活性を示す。卵割球活性パターンの分類に使用する3つの部分からなる曲線を示す。
13個の代表的な胚において手動で検出した細胞分裂と自動で検出した細胞分裂との相関性を示す。このアルゴリズムで約10%の細胞分裂が検出されなかったものの、それを除けば相関性はきわめて高い。
手動で検出した良好な胚と不良な胚の細胞分裂を示す。
得られるパラメータ推定図を示す。右上角グラフは、フレーム番号を関数とした元の卵割球活性を示す。緑色と青色の線は、それぞれ第2および第3の時間間隔の開始を示す。右下角のグラフは、上述のような得られたパラメータを示す。赤色の縦線は、ピークまたはバレー(valley)内の最高または最低活性値の時間と値をそれぞれ示す。
94個の胚の卵割球活性分析から得られたパラメータ(上図を参照)を示す。高品質の増殖芽細胞に発育する胚を赤色(良好な例)で示し、発育しないものを青色(不良な例)で示す。
最初の5つのPCAを軸としたPCAグラフを示す。赤色の点が高品質の胚で、青色の点が低品質の胚である。
時間区分3(すなわち、受精後76〜96時間)における、94種類の胚の卵割球活性のベースライン値を示す。等級は、7日間のインキュベーション後における所定のウシ胚の卵割球品質の指標である。1等級の胚が最高品質であり、品質が最低で閉鎖的なことが多い5等級よりもベースライン値がはるかに高い。

0014

定義
細胞分裂期:(細胞質分裂の開始を示す)細胞膜のへこみが最初に観察されてから、細胞質の細胞分裂が完了して、その後の娘細胞の細胞質が2つの別個の細胞に分離するまでの期間。

0015

分裂間期:1つの細胞分裂期が終了してから次の細胞分裂期が開始するまでの期間。

0016

分裂周期:連続した細胞分裂が開始する時間間隔、すなわち、1つの細胞分裂期が開始してからから次の細胞分裂が開始するまでの時間間隔。

0017

細胞位置再配置=細胞運動(以下を参照)。

0018

細胞運動:細胞中心および細胞外膜運動。細胞内の細胞小器官の内部運動は細胞運動ではない。細胞外膜は動的な構造であるため、細胞の境界絶えずわずかに位置を変化させる。しかし、これらのわずかな変動は細胞運動とは見なさない。細胞運動とは、細胞の重心や細胞の位置が他の細胞に対して変わる場合、ならびに細胞が分裂する場合である。細胞運動は、運動している細胞の2枚の連続したデジタル画像の差を計算することにより定量化することができる。このような定量化の一例については、2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願に詳述されている。一方で、例えば、胚の連続した光学横断で各卵割球の境界の輪郭半自動で描画するFertiMorphソフトウェア(ImageHouse Medical、デンマークペンハーゲン)を使用することにより、細胞の重心および/または細胞質膜の位置の運動を判定する他の方法も構想される場合がある。

0019

細胞小器官運動:顕微鏡検査法により確認される場合がある胚内の内部細胞小器官および細胞小器官膜の運動。細胞小器官運動は、本願における細胞運動ではない。

0020

運動:対象物の空間的な再配置。運動は、運動の程度、運動に関与する面積および/または容積回旋並進ベクトル、運動の配向性、運動の速度、大きさの変化、膨張収縮などを含むがこれらに限定されない多くの異なるパラメータを特徴とし、および/またはこれにより定量化され、および/またはこれにより説明される。したがって、細胞または細胞小器官運動の種々の測定が、種々の目的に使用される場合があり、これらの中には運動の程度または規模を反映するものもあれば、運動している対象物の空間的分布を反映するものもあり、運動が影響を及ぼしている軌道や容積を反映するものもある。

0021

胚:場合により、「胚」という用語は、胚が胎児となる段階での受精後8週間までに子宮に着床した後の受精卵母細胞を説明するために使用される。この定義によると、受精卵母細胞は、着床するまで前胚と呼ばれることが多い。しかし、本特許出願全体では、前胚期を包含した胚という用語のより広義の定義を、本発明者等は使用する。したがって、本用語は、卵母細胞の受精から、桑実胚、胚盤胞期、孵化および着床までの全発育段階を包含する。

0022

胚品質とは、着床に成功して、移植後に子宮で発育することができる前記胚の能力を示す指標である。高品質の胚は着床に成功して、移植後に子宮で発育するのに対して、低品質の胚は着床に成功せず、発育しない。

0023

胚の発育能力とは、着床に成功して、移植後に子宮で発育することができる前記胚の能力を示す指標である。発育能力の高い胚は着床に成功して、移植後に子宮で発育するのに対して、発育能力の低い胚は着床に成功せず、発育しない。発育能力と品質は、本書において交換可能に使用される。

0024

胚品質(または発育能力)の測定値とは、品質パラメータの値が高い胚は、品質(または発育能力)が高くなる可能性が高く、品質(または発育能力)が低くなる可能性が低いというように、胚の品質(または発育能力)を反映することが意図されたパラメータである。一方、品質(または発育能力)パラメータの関連する値のみが低い胚は、品質(または発育能力)が高くなる可能性が低く、品質(または発育能力)が低くなる可能性が高い。

0025


胚はほぼ球形をしており、透明帯として知られる無細胞マトリックスであるゼラチン状外皮で覆われた1つ以上の細胞(卵割球)で構成される。透明帯は、胚が孵化するまで種々の機能を発揮し、胚評価に好適な指標である。透明帯は球形で半透明をしており、細胞残屑と明確に区別できなければならない。

0026

精子細胞(精子)の融合または注入により卵母細胞が受精すると、胚が形成される。本用語は、孵化(すなわち、透明帯の破裂)後やその後の着床後にも従来より使用されている。ヒトの受精した卵母細胞は、従来より最初の8週間は胚と呼ばれている。それ以降(すなわち、8週間後や、主要な器官がすべて形成された時)は、胎児と呼ばれる。しかし、胚と胎児の区別は一般的に十分に定義されていない。

0027

胚の発育時に、卵割球数は幾何学的に(例えば、1→2→4→8→16→)増加する。同期の細胞分裂は、一般的に胚の16細胞期まで維持される。その後、細胞分裂は非同期になり、最終的には個々の細胞が固有細胞周期を有する。ウシ胚の場合は、胚を構成する卵割球が、少なくとも16細胞期までは球形細胞として容易に特定できなければならない。約32細胞期(桑実期)では、接着タンパク質発現時に細胞間接着が生じることで、胚が緊密化を起こす。その結果、この段階以降に、胚の個々の細胞を評価し数え上げるのは難しい。ヒト胚の場合は、緊密化が幾分早く生じ、16細胞期で個々の卵割球を容易には特定できない。不妊治療時に産生されたヒト胚は、桑実期以前に受容者に移植されるのが通常であるのに対し、他の哺乳類胚は、受容体への移植前や放出前に、さらなる発育段階(増殖胚盤胞)にまで実験により培養されることが多い。また、場合によっては、ヒト胚が移植前に胚盤胞期まで培養されるが、これは、良質な胚が多数利用可能な場合や、着床前の遺伝子診断PGD)の結果が出るまで長期間のインキュベーションが必要な場合に行われるのが好ましい。したがって、胚という用語は、受精卵母細胞、接合子、2細胞、4細胞、8細胞、16細胞、桑実胚、胚盤胞、増殖卵割球および孵化胚盤胞の各段階、ならびにこれらの間の全段階(例えば、3細胞または5細胞)を指すものとして以下で使用される。

0028

品質の判定
本発明は、i)少なくとも1つの細胞分裂期の継続期間、および/またはii)細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布、および/またはiii)分裂間期の継続期間、および/またはiv)分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間的分布を判定して、それにより胚品質の指標を得る工程など、1つ以上の胚の判定に基づく胚品質の測定値[上記の胚品質の測定値の定義を参照]を提供する。

0029

本発明は、通常の場合、細胞の位置は細胞分裂間で比較的変わらない(すなわち、ほとんど細胞運動が行われない)が、但し、各細胞分裂前後の時間間隔は短く、1個の細胞が2つに分裂すると、分裂細胞だけでなく周囲の細胞までもが短期間に大幅に再配置される(すなわち、顕著な細胞運動が行われる)という所見に基づいている。

0030

本発明の特定用途の一つに、発育胚の画像系列(微速度画像)を評価する用途がある。これらの微速度画像は、差分画像化法により分析される場合がある(2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願を参照)。得られた差分画像は、画像系列の連続したフレーム間に生じる変化の量を定量化するのに使用できる。

0031

本発明は、差分画像データの分析に適用される場合がある。この分析では、細胞運動の結果として生じる細胞境界(すなわち、細胞膜)の位置の変化によって、差分画像から得られる範囲パラメータの一時的な上昇が引き起こされる(2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願を参照)。これらのパラメータには、平均絶対強度または分散の上昇が含まれる(が、これらに限定されない)。したがって、細胞分裂および細胞分裂の継続期間、ならびに関連する細胞の再配置は、差分画像中の全ピクセル標準偏差における、あるいは2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願に列挙される「卵割球活性」のその他いずれかのパラメータにおける、一時的な変化、増加または減少により検出することができる。しかし、前記選択基準はまた、2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題とする係属中のPCT出願に定義される「卵割球活性」とは関連しない、胚発育に関する微速度画像およびその他の時間分解データ(例えば、代謝産物排泄または摂取、物理的または化学的外見回折散乱、吸収などの変化)の視覚的観察および分析にも適用される場合がある。

0032

特に興味深い点は、得られたパラメータ値においてピークまたはバレーとして定量化される場合がある細胞分裂の開始、規模および継続期間である。これらの極値(ピークまたはバレー)は、高い頻度で細胞分裂の事象を指す。これらの事象の時期および継続期間、ならびにこれらの事象時および事象間に観察されるパラメータ値を使用して、胚の特徴を評価し、胚の発育能力を評価する。また、ピークの大きさで一般的に得られるのと同じように、各ピークの形状でも追加の情報が得られる。ピークは、卵割球の急激な崩壊とそれと同時に起こる細胞死を示す場合もある。しかし、事象前後のピーク形状とベースライン値の変化により、細胞分裂事象と細胞死事象とを区別できる場合がある。通常、ほとんどのパラメータの基線は細胞分裂による影響を受けないが、細胞溶解は、高い頻繁でベースライン値の著しい変化を伴う(ほとんどのパラメータが溶解後に低下する)。

0033

これとは別に特に興味深い点は、細胞運動および細胞小器官運動の両方の空間的分布である。運動が見られない透明帯内の容積(または同様に、静止したままである胚の2次元投影画像内の面積)は、胚内の「死亡区域を示す指標である。これらの静止した「死亡」区域が多く、大きいほど、胚の発育に成功する可能性は低くなる。いかなる種類の運動も見られない(すなわち、細胞運動と細胞小器官運動のいずれも見られない)大きな面積が胚の微速度画像系列に見られる場合は、発育能力が低いことを示す。一般的に、細胞小器官運動は、2つまたは少数の連続するフレームを単に比較しさえすれば、胚全体で検出できなければならない。細胞運動は特に胚発育の後期においてより局所化する場合があるが、多くの連続したフレームを評価する場合には、透明帯内の容積全体で細胞運動が検出できなければならず、これによって、胚内のすべての卵割球が分裂し、位置を変化させていることが示される。

0034

したがって、胚品質の指標は、i)少なくとも1つの細胞分裂期の継続期間、および/またはii)細胞分裂期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間分布、および/またはiii)分裂間期の継続期間、および/またはiv)分裂間期の間の細胞運動または細胞小器官運動の程度および/または空間分布など、少なくとも1つの細胞分裂時および/または1つの分裂間期の少なくとも一部における細胞運動または細胞小器官運動に関する情報を含む。好ましい実施形態において、胚品質の指標は、本明細書に記載の2つ以上の判定(例えば、本明細書に記載の3つ以上の判定)に関する情報を含む。より好ましい実施形態において、胚品質の指標は、本明細書に記載のすべての判定に関する情報を含む。具体的に、胚品質の指標は、細胞分裂期の長さおよび分裂間期の長さに関する情報を含むか、あるいは胚品質の指標は、細胞分裂期における運動および分裂間期における運動に関する情報を含む。別の実施形態において、胚品質の指標は、期間の長さおよび同一期間における運動に関する情報を含む。

0035

胚品質の指標は、以下の所見に基づく。
a)実際の細胞質分裂が急速に進行し、他の卵割球位置のその後の再配置が急速に起こる急激な細胞分裂(例えば、卵割球活性のピークの幅が狭い場合)は、高品質の胚であることを示し、細胞質分裂の継続期間が長期にわたり、他の卵割球のその後の空間的再配置(すなわち、細胞運動)が広範囲に及ぶ場合は、低品質の胚であることを示す(例えば、卵割球活性のピークの幅が広い場合)。(実施例1)
b)細胞分裂間の卵割球位置の再配置がほとんど見られない場合は、高品質の胚であることを示すのに対し、可視できる細胞分裂間に運動が見られる場合は、低品質の胚であることを示すことが多い。(実施例1)
c)細胞分裂間の細胞位置の再配置が長期にわたる場合(例えば、卵割球活性のピークの幅が広い場合)は、低い胚品質、非同期の細胞分裂、および広範な断片化を伴うことが多い。(実施例1)
d)胚ゲノムが活性化され、タンパク質の合成が母性転写から胚性転写に切り換わる際には、細胞運動がほとんど見られない静止期間がほとんどの哺乳類で認められる。この期間において、i)開始が早く、ii)活性がきわめて低く(=細胞運動がほとんど見られない=静止している)、およびiii)終了が早い場合には、高品質の胚であることを強く示す。低品質の胚では、静止期間の開始が遅れることが多く、その期間が細胞運動により中断されることがある。低品質の胚はまた、検出可能な細胞分裂が見られない「静止」期間に細胞運動の基線レベルの上昇を示す場合もある。(実施例2)
e)それ以降の発育が止まる低品質の胚では、常に静止した特定の領域が認められることが多く、この状態が続くと最終的には発育の停止につながる。このような静止領域には、広範な断片化や卵割球の死亡および溶解を伴う場合がある。これらの領域が所定の発育段階で所定の割合よりも大きいと、胚が生存する可能性がきわめて低くなる。高品質の胚では、各細胞質分裂事象の後にしばらく生じる細胞運動性が、最初に胚表面全体広がり(すなわち、すべての卵割球がわずかに動く)、桑実期の緊密化後にのみ局所的な運動が見られる(実施例3)。
f)発育可能な高品質の胚では、細胞小器官運動の均一な空間的分布が一般的に見られるのに対して、低品質の胚では、運動性が見られない「死亡」区域が見られることが多い。類似の観察が細胞運動についても行われているが、細胞運動の空間的な均一性を判定するには、より長い時間枠での観察が必要となる(実施例3)。
g)種々の時間間隔における細胞運動量は、胚品質を示す良い指標である。品質に関連するパラメータは、種々の時間区分における平均運動比率から、および/または種々の時間区分における標準偏差の比率から計算することができる。これらのパラメータの値に基づき、胚の選択工程を確立することができる(実施例4)。
h)細胞運動性および細胞小器官運動性の基線レベルの緩徐なまたは急激な低下は、低い胚品質や、発育停止の高い可能性を伴うことが多い。基線レベルの変化は、不活性区域/領域の出現を伴う場合がある(上記の(e)および(f)を参照)。(実施例6)
i)最初の細胞分裂の開始が早い場合は、胚品質が高いことを示す。最初(およびそれ以降)の細胞分裂の開始が遅い場合は、低品質の胚であることを示す。しかし、ほとんどの胚の場合、最初の細胞分裂の正確な開始だけでは、胚品質の明確な指標とはならない(実施例4)。
j)細胞運動および細胞小器官運動を説明する得られたパラメータのほとんどでは、正常範囲から外れる値(例えば、異常に高い値や異常に低い値)がいずれも胚品質が低いことを示すように、正常範囲を定義することができる。(実施例6)
k)連続する細胞分裂の間の間隔は、胚の発育能力を示す重要な(および種特異的な)指標である。例としては、1細胞から2細胞への分裂と2細胞から4細胞への分裂の間の間隔と、2細胞から4細胞への分裂と2細胞から8細胞への分裂の間の間隔とを比べた比率が考えられる。これらの間隔の比率は、発育可能な胚では所定の範囲内になければならない。
l)後期の同期細胞分裂(例えば、2細胞→4細胞、4細胞→8細胞)は、主に高品質の胚に見られるのに対して、非同期細胞分裂(例えば、2細胞→3細胞→4細胞→5細胞→6細胞→7細胞→8細胞)は、低品質の胚に見られることが多い(実施例1)。

0036

以下の判定が、胚品質の最も高い指標となる。
・細胞分裂期が短い(ここで「短い」とは、2時間未満として定義される)。
・分裂間期に細胞運動がほとんど見られない(ここで「ほとんど見られない」とは、常に差分画像に寄与する通常の周期的変動や細胞小器官運動以外に、細胞位置の変化がほとんど見られないこととして定義される)。細胞運動がほとんど見られないということは、細胞の重心が静止しており(運動量が3μm未満)、細胞質膜がほとんど動かない(運動量が3μm未満)ことを示す。
・最初の細胞分裂期の開始が早い(すなわち、ヒト胚の場合は受精後25時間以前(ウシ胚の場合は受精後30時間以前))。
・分裂間期の間の細胞運動の期間が短い(ここで「短い」とは、3時間未満として定義される)。
・一定期間にわたる透明帯内の細胞運動の均一な分布。すなわち、より長期間(すなわち、24時間超)にわたり細胞運動が見られない、胚の不活性面積/区域/容積の不在。このような静止区域は、卵割球や断片が死亡しているか、死亡しつつあることが原因である可能性があり、これによってさらなる発育が妨げられる場合がある。
・細胞運動性のベースライン値が一定してまたはわずかに上昇している。
・得られたパラメータすべてが、特定の胚の正常範囲内にある。

0037

胚品質の指標が最高品質の指標に近づくほど、胚の品質が高くなる。

0038

ニューラルネットワークまたはその他の定量パターン認識アルゴリズムが、上述の複雑な細胞運動性パターンの評価に使用される場合がある。このようなネットワークは、IVF治療における移植に最高の品質の胚を見出すのに使用される場合がある。実施例6では、胚発育時の「卵割球活性」(2006年10月16日出願の“Determination of a change in a cell population”と題する係属中のPCT出願を参照)から胚発育の重要なパラメータを導き出し、その後、種々の数学的モデル線形主成分分析マルコフモデルなど)を使用して、得られたパラメータを評価する手法が説明されている。

0039

その他の測定
最終分析工程には、得られた所見と、品質や発育能力の異なる胚の類似の所見とを比較する工程、ならびに所定の胚のパラメータ値と、同じ胚で得た他の定量的測定値とを比較する工程が含まれると考えられる。これには、卵割球運動性、呼吸数アミノ酸摂取などのオンライン測定値との比較が含まれる場合がある。卵割球運動性分析、呼吸数および他の定量パラメータを組み合わせたデータセットにより、胚の選択が改善され、発生学者が移植に最適な胚を確実に選択できるようになる可能性がある。

0040

したがって、一実施形態において、本発明に基づく方法は、対象となる胚を評価するために他の測定値と組み合わせる場合があり、受容者への移植に有望な胚の選択に使用される場合がある。

0041

このような他の測定値は、呼吸数、アミノ酸摂取、運動性分析、卵割球運動性、形態、卵割球の大きさ、卵割球の顆粒化、断片化、卵割球色、極体配向性、核生成紡錘体形成および完全性、ならびにその他数多くの定性的測定値からなる群から選択される場合がある。呼吸測定は、PCT公開第2004/056265号に記載の通りに実施される場合がある。

0042

培地
好ましい実施形態において、観察は、細胞集団を培地に入れた時など、細胞集団の培養時に行われる。細胞集団を培養する手段は、当該技術分野で既知である。胚培養の例は、PCT公開第2004/056265号に記載されている。

0043

データ媒体
本発明はさらに、デジタル処理装置メモリ直接ロードすることができるコンピュータプログラムを含み、上述の通りに本発明の方法を実行する手段を構成するコンピュータコード部分を含むデータ媒体に関する。

0044

前記データ媒体は、磁気または光ディスクである場合もあれば、EEPROMまたはフラッシュ形式電子カードの形態で、既存のデジタル処理手段にロードするように設計される場合もある。

0045

胚の選択または特定
本発明はさらに、移植用の胚を選択する方法も提供する。本方法は、細胞分裂が発生した時期や、場合によっては細胞死の発生の有無、ならびに細胞分裂の品質や胚の全体的な品質を判定する目的で、上述のように胚の変化を判定するために、胚がモニタリングされていることを示す。実質的に同期の細胞分裂によってはっきりとした差分画像のパラメータが得られる胚を選択するのが好ましく、細胞死を生じない胚を選択するのがより好ましい。

0046

選択または特定方法は、胚の品質を評価するために、上述の他の測定値と組み合わせる場合がある。胚の形態学的評価における重要な基準としては、(1)卵割球の数や断片化の程度を含めた胚の形状、(2)透明帯の存在および品質、(3)大きさ、(4)色および質感、(5)発育段階と関連する胚の年齢に関する知識、および(6)卵割球膜の完全性がある。

0047

その後、当業者に既知のいずれかの好適な方法により、移植が行われる場合がある。

0048

(実施例1)
材料および方法:ウシ未熟卵丘卵母細胞複合体(COC)を、屠殺場から入手した卵巣から吸引して、選択し、4ウェルプレート(Nunc、デンマークロスキレ)で24時間成熟させた。各ウェルは、15%のウシ血清(CS;Danish Veterinary Institute、デンマークフレゼリクスベア)、10IU/mLのeCG、および5IU/mLのhCG(Suigonan Vet;Intervet Scandinavia、デンマークスコルンデ)を補充した、400μLの炭酸水素緩衝TCM‐199培地(GibcoBRL、英国ペイズリー)を含有した。胚は、5%CO2の加湿空気中で、38.5℃にて、鉱油下で成熟させた。受精は、修正イロード培地中で、凍結融解させてパーコール法で選択した精子を使用して実施した。22時間後、卵丘細胞ボルテックス攪拌により除去した後、抗生物質硫酸ゲンタマイシン、10mg/mL)と5%のCSを補充したアミノ酸、クエン酸塩およびイノシトールを含む合成卵管液培地(SOFaaci)で構成される400μLの培地に、予定接合子を移し、5%CO2、5%O2、90%N2雰囲気中で、38.5℃にてインキュベートした。

0049

このインキュベータ装置については、過去に詳述しており、体外胚培養に好適であることが証明されている(Holmら、1998)。簡単に言うと、4ウェル培養プレートを、ニコンTMD倒立顕微鏡(Diaphot、DFA A/S、デンマークコペンハーゲン)の顕微鏡ステージ(MultiControl 2000走査ステージ、ドイツメルホイザー)に設置し、このステージの周辺に、空気温度調節器(Air‐Therm(登録商標)、World Precision Instruments、英国アストン)により制御された黒色プレキシガラスインキュベータボックスを装着した。底が開いたプラスチックカバーを培養プレートの上に被せて、加湿した混合ガスを、インキュベータボックス内に設置したガス洗浄瓶に通した後、この半密閉培養チャンバー送出した。

0050

この培養ボックスは、体外胚培養に有用であることがすでに証明されており(Holmら、1998,2003)、安定した温湿度条件を提供する。実験中に本発明者等が毎週定期的に行った体外胚生産は、基本培養系の完全性に関する対照としての役割を果たした。

0051

カメラ装置:微速度録画は、画像分析ソフトウェア(ImagePro(登録商標)、Unit One、デンマークビアオル)が指示しており、このソフトウェアは、微速度連続場面の録画やコンピュータハードディスクへの保存だけでなく、走査ステージのx軸、y軸およびz軸における移動や、接続する高光感度ビデオカメラ(WAT‐902H、Watec、DFA A/S、デンマーク コペンハーゲン)の操作を制御した。

0052

各胚の微速度画像(総合倍率:265倍)は、7日間の培養期間を通して30分間隔にて最小光量連続録画した。各録画の間に、胚を光照射野の外に移動させた。

0053

微速度画像系列の手動分析は、以下の卵割/胚期(2細胞、4細胞、8細胞、16細胞)が最初に出現した時間と、一団細胞塊が確認できる桑実胚や胚盤胞の場合は、最大限に緊密化した桑実胚、胚盤胞の最初の拡大、胚盤胞の崩壊、および胚盤胞の孵化が最初に出現した時間とを記録することにより構成されていた。

0054

コンピュータに基づく自動分析は、連続した2つのフレーム間の差として計算される差分画像の標準偏差を計算することにより構成されていた。アラインメントアーチファクトやその他の問題を回避するため、以下の複雑な工程を使用した。
1)画像を取得する(上記の説明を参照)。
2)系列中の全画像から焦点ぼけアーチファクト基準画像を差し引くことにより、固定位置のアーチファクト(カメラの埃)を除去する。
3)不正確ステージ移動補正するために転置する。画像のアラインメントを行うきわめて簡単な方法としては、元の差分画像と、元の差分画像の1つを所定の方向に1ピクセルずらしてから計算した差分画像とを比較する方法がある。転置後に計算した差分画像の分散が元の差分画像の分散よりも低い場合は、転置によってアラインメントが向上したことになる。すべての可能な転置方向とすべての関連する転置規模を系統立て試みることによって、アラインメントを行った時間系列を得ることが可能となるが、本願の場合は、Thevenaz等が1998年に開発した画像アラインメント用の高度なImageJマクロを使用した。
4)対象領域(ROI)および外部基準区域を特定する。胚内部の細胞運動と、胚外部の「運動」とを比較することは、ブラウン運動のアラインメントの問題などから有利である。これは、胚の輪郭を描画し、胚内部の差分画像と胚外部の類似区域の計算した差分とを比較することにより行われる。胚の輪郭の描画は手動で行った。本発明者等が選択した標準区域は、胚のない画像領域であった。
5)強度差を計算する。
6)各差分画像で得たパラメータを計算する。いくつかの差分パラメータを計算したが、最も有益であることが判明したパラメータは、差分画像の全ピクセルにおける強度の標準偏差であった。このパラメータを以下では「卵割球活性」と呼ぶ。
7)卵割球活性のピークの形状を特定および判定する。
8)診断に適切な時間間隔で卵割球活性の標準偏差および平均値を計算する。実施例4を参照されたい。

0055

実験計画:7日間にわたり30分毎に画像を取得しながら、Nunc‐4ウェルプレートの1つのウェルにおいて約20個のウシ胚を一緒にインキュベートした。この実験を合計5回繰り返し、99個のウシ胚の微速度画像系列を得た。

0056

結果:
発育する胚の微速度画像系列の定性的評価により(基本的には、これらの画像系列を動画として何度も再生して観察し、変化に着目することにより)、本発明者等は以下のことを観察した。まず、高品質の胚の指標は、急激な細胞分裂であり、この分裂では、実際の細胞質分裂が急速に進行して、他の卵割球の位置のその後の再配置が急速に生じ、その後、次の細胞質分裂が急激に始まるまでは細胞位置の再配置がほとんど見られない「静止」期間が続く。それに対し、低品質の胚は、細胞質分裂後や細胞質の細胞分裂間に卵割球位置の長期にわたる再配置を示すことが多い。これらの所見を定量化し、証拠を得るため、本発明者等は、上述のPCT出願に記載の通りに微速度画像系列から卵割球活性を計算した。代表的な卵割球活性を図2に示す。

0057

観察した活性のいくつかは、高品質の胚で観察した同期細胞分裂(例えば、2細胞→4細胞、4細胞→8細胞)とは対照的に、非同期細胞分裂(例えば、2細胞→3細胞→4細胞→5細胞→6細胞→7細胞→8細胞)と断片化によるものである。

0058

図1には、擬似ゲル画像として41個の胚の卵割球活性を示しており、運動性のピークを黒色の帯で示し、不活性のピークを白色の帯で示している。

0059

(実施例2)
材料および方法:実施例1と同じ。

0060

結果:
哺乳類の胚の最初のタンパク質合成では、卵母細胞に由来する母系mRNAを使用するが、数回の細胞分裂後は胚ゲノムが活性化、転写および翻訳される。母系ゲノムから胚ゲノムへの切り換えは、胚の発育の重要な段階である。ウシの場合は8細胞期にこの期間があり、継続期間が比較的長いが、ヒト胚の場合はこの切り換えがより早期の4〜8細胞期にあり、継続期間もより短い。

0061

ほとんどの哺乳類では、胚ゲノムが活性化され、タンパク質合成によって母系から胚ゲノムへ切り替わる時に、細胞運動がほとんど見られない静止期間が認められる。この期間において、i)開始が早く、ii)活性がきわめて低く(=細胞運動がほとんど見られない=静止している)、およびiii)終了が早い場合には、高品質の胚であることを強く示す。低品質の胚では、静止期間の開始が遅れることが多く、その期間が細胞運動により中断されることがある。13種類の胚の卵割球活性を示すこの一例を図4に示す。

0062

(実施例3)
材料および方法:実施例1と同じ。

0063

結果:それ以降の発育が止まる低品質の胚では、常に静止した特定の領域が認められることが多く、この状態が続くと最終的には発育の停止につながる。このような静止領域には、広範な断片化や卵割球の死亡および溶解を伴う場合がある。これらの領域が所定の発育段階で所定の割合よりも大きいと、胚が生存する可能性がきわめて低くなる。高品質の胚では、各細胞質分裂事象の後にしばらく生じる細胞運動性が、最初に胚表面全体に広がり(すなわち、すべての卵割球がわずかに動く)、桑実期の緊密化後にのみ局所的な運動が見られる。

0064

図5の左側の図のように胚盤胞に発育する胚では、卵割球活性が均一に分布している。図5の右側の図のように卵割球活性が均一に分布していない胚は、胚盤胞に全く発育しない。

0065

(実施例4)
材料および方法:実施例1と同じ。

0066

結果:種々の時間間隔における細胞運動量は、胚品質を示す良い指標である。品質に関連するパラメータは、種々の時間区分における平均運動の比率から、および/または種々の時間区分における標準偏差の比率から計算することができる。これらのパラメータの値に基づき、胚の選択工程を確立することができる。種々の区分(=部分)の例を図6および7に示す。この場合、部分1は受精後32〜60時間の時間区分であり、部分2は受精後60〜75時間の時間区分であり、部分3は受精後75〜96時間の時間区分である。

0067

各部分における平均卵割球活性および/または卵割球活性の標準偏差を基に、胚を分類することが可能である。本願の場合は、以下に基づく選択基準を使用した。
・R1=所定の胚の胚盤胞活性パターンの部分1および部分3における平均胚盤胞活性間の比率
・R2=所定の胚の胚盤胞活性パターンの部分2および部分3における胚盤胞活性の標準偏差間の比率
計算値を以下の表1に示す。

0068

(Rl<1.15およびR2<0.50)の場合は「良好」な胚となり、それ以外の場合は「不良」な胚となる。これらの基準を使用して、39個中36個の胚を、それ以降どのように発育したかに従って正しく分類した。

0069

(実施例5)
材料および方法:実施例1と同じ。

0070

結果:以下のの図8は、細胞分裂開始の自動判定手動判定の優れた相関性を示す。最初の細胞分裂の開始が早い場合は、胚品質が高いことを示す。最初(およびそれ以降)の細胞分裂の開始が遅い場合は、低品質の胚であることを示す。しかし、ほとんどの胚の場合、最初の細胞分裂の正確な開始だけでは、以下の図8に示すように胚品質の明確な指標とはならない。不良な胚では細胞分裂の平均的な開始が遅くなるが、標準偏差が固有に大きいため、その絶対値は極端な場合を除いて不良な選択基準となる(例えば、30時間以前に最初の細胞分裂が開始する場合は、良好な胚であることを示し、35時間以降に最初の分裂が開始する場合は、不良な胚であることを示すが、調査したウシ胚の大部分では、解釈が容易ではない中間の分裂時間となった)。

0071

(実施例6a)
材料および方法:実施例1と同じ。

0072

結果:卵割球活性の典型的な時系列は、インキュベーション時の毎時数回の測定値(例えば、診断に適した時間枠である最初の2〜3日間に測定した、各胚につき約150のデータポイント)からなる。ほとんどの統計法では、このように高次元のデータの分析が困難である。したがって、得られたパラメータを抽出することによって次元下げ堅牢な方法を見出すことが重要である。これを行うため、卵割球活性を、画像取得開始後0〜32時間、32〜52時間および52〜72時間という3つの間隔に分割した(図9)。これらの間隔それぞれの中で、以下の方法に基づき3つのピークを見出した。すなわち、第1のピークは、最も高い卵割球活性とし、第2のピークは、第1のピークの少なくとも3.5時間前または3.5時間後の最も高い活性値とし、第3のピークは、第1および第2の両方のピークから少なくとも3.5時間の最も高い活性とした。各ピークから、時間、ピークの値、およびピークの0.5時間前からピークの1.5時間後までの活性値の平均値のパラメータを導き出した。さらに、2つのピークの間のバレーは、最低値、最低値の時間、および平均値で表した(得られたパラメータの例については、図10を参照)。種々の胚で得られたパラメータ値を等しい分散と平均値に正規化すると、適切に発育しない胚(図11の不良な胚=青色の点)に異常値(すなわち、高すぎる値または低すぎる値)が認められることが明らかになる。適切に発育する胚(赤色の点)では、値の範囲がより狭い。上記の得られたパラメータを基に、胚品質の統計モデルを開発することができる。各胚を最終的な発育に基づき評価した場合には、得られたパラメータと最終的な発育との関係を分析する統計法がいくつか存在する。これらの方法には、線形および非線形モデルベイジアンネットワーク、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル最近隣法主成分分析法などが含まれる。以下の図12には、データの主成分分析法(PCA)の例を示す。

0073

新しいデータが生成されたら、統計モデルを評価および/または増殖することができる。これを容易にするには、堅牢なデータ構造と得られたパラメータ一式を見出すことが重要となる。

0074

パラメータ39(=第3時間区分(受精後76〜96時間)における卵割球活性のベースライン値)などの個々のパラメータをごく簡単に分析するだけでも、異常な発育不能の胚をある程度分類することができる。このようにして、この単一のパラメータを基に、72%の精度で高品質の胚を自動的に選択することが可能となる。

0075

(実施例6B)
材料および方法:実施例1と同じ。

0076

結果:卵割球活性の典型的な時系列は、インキュベーション時の毎時数回の測定(例えば、診断的に適切な時間枠である最初の2〜3日間に測定した、各胚につき約150のデータポイント)からなる。ほとんどの統計法では、このように高次元のデータの分析が困難である。したがって、得られたパラメータを抽出することによって次元を下げる堅牢な方法を見出すことが重要である。これを行うため、卵割球活性を、画像取得開始後0〜32時間、32〜52時間および52〜72時間という3つの間隔に分割した(図9)。これらの3つの時間間隔は、ウシ胚の3つの発育段階を反映するために選択した。区分1:1細胞から8細胞への最初の細胞分裂。区分2:活性と運動が比較的少ない休止期。胚ゲノムはこの段階で活性化されると考えられている。胚によって休止期が8細胞の段階から始まるものもあれば、16細胞期から始まるものもあるが、発育中の胚すべてにおいて、細胞分裂の起こらない期間が長い。区分3:細胞分裂の再開および桑実胚への発育。この段階では個々の卵割球を数えられないことが多いものの、細胞分裂が再開したことが微速度画像により明らかにされている。3つの発育段階を反映したこれら3つの時間間隔それぞれの中で、以下の方法に基づき卵割球活性の3つのピークを特定した。すなわち、第1のピークは、最も高い卵割球活性とし、第2のピークは、第1のピークの少なくとも3.5時間前または3.5時間後の最も高い活性値とし、第3のピークは、第1および第2の両方のピークから少なくとも3.5時間の最も高い活性とした。

0077

各ピークから、発育時間、ピークの値、ピークの0.5時間前からピークの1.5時間後までの活性値の平均値のパラメータを導き出した。さらに、2つのピークの間のバレーは、最低値、最低値の時間、および平均値で表した(得られたパラメータの例については、図9を参照)。

0078

このようにして、本発明者等は、3つの区分それぞれで以下のパラメータを得た:
1ピーク1の値
2 ピーク1の時間
3 ピーク1の平均値
4バレー1の値
5 バレー1の時間
6 バレー1の平均値
7 ピーク2の値
8 ピーク2の時間
9 ピーク2の平均値
10 バレー2の値
11 バレー2の時間
12 バレー2の平均値
13 ピーク3の値
14 ピーク3の時間
15 ピーク3の平均値。

0079

さらに、本発明者等は、当該区分の卵割球活性の平均値と標準偏差を計算した。
16 平均値
17 標準偏差。

0080

また、本発明者等は、上記のパラメータのいくつかを使用して、主な細胞分裂事象の継続期間または同期性を反映するピークの形状を表した。卵割球活性の鋭いピーク(すなわち、速い同期細胞分裂)は、ピーク値に対するピークの平均値の比率が低いことを特徴とするが、比率が高いほどピークの幅が広くなり、ピークの平均値とピーク値とがより類似する。ピーク値で除算したピークの平均値は常に1未満となり、1に近い値は幅の広いピークを示し、0に近い値は幅のきわめて狭いピークを示す。
18 (ピーク1の平均値−平均値)/(ピーク1の値−平均値)=(P1−P16)/(P3−P16)
19 (ピーク2の平均値−平均値)/(ピーク2の値−平均値)=(P7−P16)/(P9−P16)
20 (ピーク3の平均値−平均値)/(ピーク3の値−平均値)=(P13−P16)/(P15−P16)。

0081

最後に、本発明者等は、第1のピークと第2のピークの間の時間の比率、ならびに第2のピークと第3のピークの間の時間の比率を計算した。
21 (ピーク2の時間−ピーク1の時間)/(ピーク3の時間−ピーク2の時間)=(P8−P2)/(P14−P8)。

0082

上に示した21個のパラメータからなるパラメータセットは、第1の区分(すなわち、インキュベーション後32時間)から得られる情報しか含んでいないため、高速分析に使用される。

0083

この小規模のセットは、胚を発育可能なものと発育不能なものとに分類するのに使用できる重要な情報が含んでいるが、それ以降の2つの時間間隔のデータがある場合は、これら2つの以降の区分の分析を繰り返し行うことができる。本発明者等は、これらの以降の区分の比率(すなわち、形状の特徴とピークの間隔)は計算せず、ピークとバレーの比率(すなわち、1区分当たり15個のパラメータ)のみを計算した。最後に、全体の平均値、全体の標準偏差、ならびに全体の最小値および最大値を、以下に示す59個のパラメータの全パラメータセットに含めた。
全体の平均値
卵割球活性の全体の標準偏差
卵割球活性の全体の最小値
卵割球活性の全体の最大値
区分1の平均値
区分1の標準偏差
区分1のピーク1の値
区分1のピーク1の位置
区分1のピーク1の平均値
区分1のバレー1の値
区分1のバレー1の位置
区分1のバレー1の平均値
区分1のピーク2の値
区分1のピーク2の位置
区分1のピーク2の平均値
区分1のバレー2の値
区分1のバレー2の位置
区分1のバレー2の平均値
区分1のピーク3の値
区分1のピーク3の位置
区分1のピーク3の平均値
区分2の平均値
区分2の標準偏差
区分2のピーク1の値
区分2のピーク1の位置
区分2のピーク1の平均値
区分2のバレー1の値
区分2のバレー1の位置
区分2のバレー1の平均値
区分2のピーク2の値
区分2のピーク2の位置
区分2のピーク2の平均値
区分2のバレー2の値
区分2のバレー2の位置
区分2のバレー2の平均値
区分2のピーク3の値
区分2のピーク3の位置
区分2のピーク3の平均値
区分3の平均値
区分3の標準偏差
区分3のピーク1の値
区分3のピーク1の位置
区分3のピーク1の平均値
区分3のバレー1の値
区分3のバレー1の位置
区分3のバレー1の平均値
区分3のピーク2の値
区分3のピーク2の位置
区分3のピーク2の平均値
区分3のバレー2の値
区分3のバレー2の位置
区分3のバレー2の平均値
区分3のピーク3の値
区分3のピーク3の位置
区分3のピーク3の平均値
区分1のピーク1の比率
区分1のピーク2の比率
区分1のピーク3の比率
区分1の値1と値2の比率。

0084

種々の胚で得られたパラメータ値を等しい分散と平均値に正規化すると、適切に発育しない胚(図11の不良な胚=青色の点)に異常値(すなわち、高すぎる値または低すぎる値)が認められることが明らかになる。図中のパラメータは上記と同じ順序であるが、最後にある4つの比率パラメータ割愛されている。適切に発育する胚(赤色の点)では、値の範囲がより狭い。

0085

上記の得られたパラメータを基に、胚品質の統計モデルを開発することができる。各胚を最終的な発育に基づき評価した場合には、得られたパラメータと最終的な発育との関係を分析する統計法がいくつか存在する。これらの方法には、線形および非線形モデル、ベイジアンネットワーク、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル、最近隣法、主成分分析法などが含まれる。以下の図11には、データの主成分分析法(PCA)の例を示す。

0086

線形モデルの使用例は実施例7に示す。

0087

新しいデータが生成されたら、統計モデルを評価および/または増殖することができる。これを容易にするには、堅牢なデータ構造と得られたパラメータ一式を見出すことが重要となる。

0088

パラメータ39(=第3時間区分(受精後76〜96時間)における卵割球活性のベースライン値)などの個々のパラメータをごく簡単に分析するだけでも、異常な発育不能の胚をある程度分類することができる。このようにして、この単一のパラメータを基に、72%の精度で高品質の胚を自動的に選択することが可能となる。

0089

(実施例7)自動検出または発育学者による検出に基づいた胚選択の比較
設計:95個のウシ胚を、7日間一定の温度、湿度およびCO2の下で微速度顕微鏡に設置した。受精後24時間から96時間まで毎時2回ずつ画像を取得した。その後(すなわち7日後)増殖した卵割球に発育した38個の胚を正確に特定する画像分析工程の能力を評価し、各胚の同じ145枚の画像を基に訓練を受けた発育学者が行った品質評価と比較した。

0090

材料および方法:ウシ未熟卵丘母細胞複合体を、屠殺場から入手した卵巣から吸引して、22時間の受精前に24時間成熟させた。その後、卵丘細胞を除去し、予定接合子を合成卵管液培地に移して培養した。微速度画像は、高感度ビデオカメラを装備したニコン倒立顕微鏡ステージ上に装着したインキュベータボックス内で取得した。

0091

結果:全自動画像分析工程により、微速度系列の連続画像間で観察した運動を基に、卵割球活性の定量的な指標を生成した。卵割球活性と細胞分裂との相関性は、微速度画像系列の自動分析と手動分析とを比較することにより確認した。卵割球活性の顕著なピークは、細胞分裂に関連することが明らかになった。記録したピークの位置、形状および大きさを基に、細胞分裂の正確な開始と継続期間を定量化することができた。このようにして、所定の胚の卵割球活性パターンを、突出したピークの高さ、位置および幅に対応した1組の主要パラメータと、ピークの間の卵割球活性レベルを表す類似のパラメータとに減らすことができた。胚を「発育可能」または「発育不能」として分類するため、各胚につき合計55個のパラメータを単純な線形モデルで使用した。このモデルを、観察した胚パターンのサブセットで訓練し、種々の独立したサブセットで評価した。同じ微速度系列の画像を熟練した発育学者が評価し、増殖した卵割球に胚が発育するかどうかの予測を試みた。

0092

このモデルは精度に限界があるごく単純な線形モデルではあったものの、どの胚が増殖した卵割球に発育するかの予測においては、訓練を受けた発育学者(誤認率:26%、95個中19個)よりも全自動解析(誤認率:20%、94個中24個)の方が優れていることが認められた。さらにまた、自動解析(45個中13個=29%)の方が手動分析(60個中23個、38%)よりも偽陽性が少なかった。偽陽性とは、高い発育能力を有すると考えられるにもかかわらず、発育が止まり、7日間の観察期間内に増殖胚盤胞期に全く到達しない胚である。このような胚を移植しても、妊娠に至る可能性は低い。

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実施例

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