図面 (/)

技術 熱電変換材料および熱電変換モジュール

出願人 TOTO株式会社
発明者 徳留弘優奥中さゆり
出願日 2012年3月16日 (8年8ヶ月経過) 出願番号 2012-060113
公開日 2013年9月30日 (7年1ヶ月経過) 公開番号 2013-197156
状態 未査定
技術分野 熱電素子
主要キーワード 特性因子 デバイ温度 単位温度差 各温度領域 サンプル密度 結晶相転移 ホットプレス成型 導電率測定装置
関連する未来課題
重要な関連分野

NEWこの技術のポテンシャルをビッグデータで簡単査定!

特許:約8,000万件, クラウドファンディング:約100万年件, 科研費・グラントデータ:約500万件, 発明者・研究者情報:約600万人

この項目の情報は公開日時点(2013年9月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

熱電変換モジュールに用いられる金属酸化物熱電変換材料、および熱電変換材料を有する熱電変換モジュールに関し、熱伝導率が低減でき、さらに高い熱電変換特性を発揮する、酸化亜鉛を主成分とするn型熱電変換素子を提供する。

解決手段

酸化亜鉛を主成分とし、Zn(1−x−y)AlxMyO(式中、MはZn、Al以外の金属元素、x>0、y≧0、0.001<z≦0.05)で表される熱電変換材料であって、平均粒径が5nm以上1μm以下である、酸化亜鉛以外のナノ粒子が内部に均一に包含されてなり、該ナノ粒子はZrO2を主成分とする熱電変換材料とする。

概要

背景

近年、従来の金属化合物系の熱電モジュールで問題となっていた高温耐久性有毒性を解決する技術として、金属酸化物を用いた熱電変換モジュールが提案され、その研究が急速に進展している。通常、熱電変換素子の特性は、単位温度差あたりの熱起電力であるゼーベック係数α(μV・K−1)、導電率σ(S・cm−1)、および熱伝導率κ(W・m−1・K−1)を用いたいくつかの特性因子によって表される。その一つとして、α2σで表わされる熱電出力因子があり、さらに熱電出力因子を熱伝導率で除した性能指数Z(=α2σ/κ)、そして性能指数Zに絶対温度Tを乗じた無次元性能指数ZTが性能指標として用いられる。一般的に、これらの値が大きいほど熱電特性が優れていることになる。

ここで、熱電変換モジュールは通常2種類の金属または半導体を組み合わせることにより作製されるが、高効率に発電するために、キャリア正孔であるp型半導体と、電子がキャリアとなるn型半導体を組み合わせることが求められる。現状の酸化物半導体においては、p型NaCo2O4多結晶体では約0.7、n型AlドープZnOでは約0.3程度のZTが報告されている。近年は実用化に向けて、n型材料の特性向上が活発に研究されており、酸化亜鉛ZnOを主成分とする材料系は、有力な候補材料として知られている。

従来、高い熱電物性を発揮するn型酸化物半導体として、アルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛(Al−ZnO)が知られている(特許文献1)。しかしながら、Al−ZnOでは、デバイ温度が高く、音響フォノンの速度が速いことに起因して、熱伝導率が非常に高いことが、更なるZTの向上を妨げる要因となっている。これまでにAl−ZnOをベースとした材料の熱伝導率を低下させるため、AlとともにMgやNiをZnOに固溶させる等の検討がなされている(非特許文献1)。さらに、Al−ZnOをベースとして、Laをドープした系(特許文献2)、Ceをドープした系(特許文献3)についても報告がある。

また、イットリウム(Y)をドープしたZnO焼結体も検討されている(特許文献4)。また同様にプラセオジウム(Pr)をドープした酸化亜鉛焼結体も検討されている(非特許文献2)。

さらに、本発明者らは、Al−ZnOをベースとして、Yをドープした系(特許文献5)において、高いZTを報告している。

また、CoSb3を主成分とする材料系においては、熱伝導率を低減させることを目的として、空隙率5%以上のCoSb3に対してジルコニアなどの100nm以下のナノ粒子を導入するという方法が知られている(非特許文献3)。

概要

熱電変換モジュールに用いられる金属酸化物の熱電変換材料、および熱電変換材料を有する熱電変換モジュールに関し、熱伝導率が低減でき、さらに高い熱電変換特性を発揮する、酸化亜鉛を主成分とするn型熱電変換素子を提供する。酸化亜鉛を主成分とし、Zn(1−x−y)AlxMyO(式中、MはZn、Al以外の金属元素、x>0、y≧0、0.001<z≦0.05)で表される熱電変換材料であって、平均粒径が5nm以上1μm以下である、酸化亜鉛以外のナノ粒子が内部に均一に包含されてなり、該ナノ粒子はZrO2を主成分とする熱電変換材料とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

酸化亜鉛を主成分とし、Zn(1−x−y)AlxMyO(式中、MはZn、Al以外の金属元素、x>0、y≧0、0.001<z≦0.05)で表される熱電変換材料であって、平均粒径が5nm以上1μm以下である、酸化亜鉛以外のナノ粒子が内部に均一に包含されてなり、該ナノ粒子はZrO2を主成分とすることを特徴とする、熱電変換材料。

請求項2

酸化亜鉛を主成分とする前記熱電変換材料に対する、前記ZrO2を主成分とする粒子添加量モル比が、0.5mol%以上2mol%未満であることを特徴とする、請求項1記載の熱電変換材料。

請求項3

前記ZrO2を主成分とする粒子に、高温におけるZrO2の結晶相転移を抑制する元素ドーパントとして含んでいることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の熱電変換材料。

請求項4

前記ドーパントが、Y、Ce、Laから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換材料。

請求項5

亜鉛イオンを含む溶液ジルコニアイオンを含む溶液との混合溶液を加熱して前駆体を形成する工程とを有する湿式法により作製されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換材料。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換材料を含むことを特徴とする、熱電変換モジュール

技術分野

0001

本発明は、熱電変換モジュールに用いられる金属酸化物熱電変換材料、および熱電変換材料を有する熱電変換モジュールに関する。

背景技術

0002

近年、従来の金属化合物系の熱電モジュールで問題となっていた高温耐久性有毒性を解決する技術として、金属酸化物を用いた熱電変換モジュールが提案され、その研究が急速に進展している。通常、熱電変換素子の特性は、単位温度差あたりの熱起電力であるゼーベック係数α(μV・K−1)、導電率σ(S・cm−1)、および熱伝導率κ(W・m−1・K−1)を用いたいくつかの特性因子によって表される。その一つとして、α2σで表わされる熱電出力因子があり、さらに熱電出力因子を熱伝導率で除した性能指数Z(=α2σ/κ)、そして性能指数Zに絶対温度Tを乗じた無次元性能指数ZTが性能指標として用いられる。一般的に、これらの値が大きいほど熱電特性が優れていることになる。

0003

ここで、熱電変換モジュールは通常2種類の金属または半導体を組み合わせることにより作製されるが、高効率に発電するために、キャリア正孔であるp型半導体と、電子がキャリアとなるn型半導体を組み合わせることが求められる。現状の酸化物半導体においては、p型NaCo2O4多結晶体では約0.7、n型AlドープZnOでは約0.3程度のZTが報告されている。近年は実用化に向けて、n型材料の特性向上が活発に研究されており、酸化亜鉛ZnOを主成分とする材料系は、有力な候補材料として知られている。

0004

従来、高い熱電物性を発揮するn型酸化物半導体として、アルミニウム(Al)をドープした酸化亜鉛(Al−ZnO)が知られている(特許文献1)。しかしながら、Al−ZnOでは、デバイ温度が高く、音響フォノンの速度が速いことに起因して、熱伝導率が非常に高いことが、更なるZTの向上を妨げる要因となっている。これまでにAl−ZnOをベースとした材料の熱伝導率を低下させるため、AlとともにMgやNiをZnOに固溶させる等の検討がなされている(非特許文献1)。さらに、Al−ZnOをベースとして、Laをドープした系(特許文献2)、Ceをドープした系(特許文献3)についても報告がある。

0005

また、イットリウム(Y)をドープしたZnO焼結体も検討されている(特許文献4)。また同様にプラセオジウム(Pr)をドープした酸化亜鉛焼結体も検討されている(非特許文献2)。

0006

さらに、本発明者らは、Al−ZnOをベースとして、Yをドープした系(特許文献5)において、高いZTを報告している。

0007

また、CoSb3を主成分とする材料系においては、熱伝導率を低減させることを目的として、空隙率5%以上のCoSb3に対してジルコニアなどの100nm以下のナノ粒子を導入するという方法が知られている(非特許文献3)。

0008

特開昭62−132380号公報
特開2001−284661号公報
特開2006−347861号公報
特開昭62−179781号公報
WO2010/079841号公報

先行技術

0009

J.Mater.Chem.,1998、 8(2)、409−412
J.Mater.Sci.,(2008)43:368−377
J.Appl.Phys. 2007, 101,043707

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、上記従来技術の提案にもかかわらず、十分な熱電特性を有するn型酸化物半導体(n型熱電変換素子)への希求が依然として存在している。

0011

例えば高い熱電特性を有する酸化亜鉛を主成分とする材料系では、他の熱電変換材料の材料系に比べて熱伝導率が高いため、現在までに大きな出力因子を有するにも関わらず、性能指数ZTを十分に大きくすることができなかった。

0012

本発明は、熱伝導率が低減でき、さらに高い熱電変換特性を発揮する、酸化亜鉛を主成分とするn型熱電変換素子を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決するために本発明に係る熱電変換材料は、酸化亜鉛を主成分とし、平均粒径が5nm以上1μm以下である、酸化亜鉛以外のナノ粒子が内部に均一に包含されてなり、該ナノ粒子はZrO2を主成分としている。

0014

熱電変換材料の熱伝導率を低下させるための手法のひとつとして、平均粒径がナノオーダーであるナノ粒子を添加することが知られている。しかしながら、酸化亜鉛系の熱電変換材料においては、緻密化のために1000℃以上の高温焼成温度が必要となる。そのため、粒径が小さいことに起因して高い反応性を有するナノ粒子を添加した場合、添加したナノ粒子と、酸化亜鉛を主成分とする母相と、が反応してしまう。その結果、ナノ粒子の状態で母相中に分散させることができず、ナノ粒子の添加による熱伝導率低下の効果が得られない恐れがあると言う課題を本発明者らは見出した。すなわち、酸化物系等の高温焼成が必要となる熱電変換材料においては、熱伝導率の低下を目的としてナノ粒子を添加する場合、熱電変換材料とナノ粒子との反応を抑制するための工夫が必要であることを見出した。
本発明では、酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料に、平均粒径が5nm以上1μm以下の粒子を添加し、かつ該粒子をZrO2を主成分としたので、熱電変換材料の焼成時におけるZrO2ナノ粒子と酸化亜鉛を主成分とする母相との反応を抑制することが可能となる。また、添加したZrO2が組織中に高分散することで、ナノ粒子添加による熱伝導率低下の効果を享受することが可能となる。

0015

本発明による熱電変換素子がこのような高い熱電特性を有する理由は定かではないが、次のように推測される。但し、以下の理論はあくまで推測であって、本発明はこの理論に限定されるものではない。

0016

熱伝導率κはキャリアによる熱伝導率κeleとフォノンによる熱伝導率κphの総和で表わされる。通常、キャリアの熱伝導率κeleは、ヴィーデマン−フランツ則(κele=LσT)にて表わされ、ローレンツ数L(2.45×10−8(W・Ω・K—2)、導電率σ(S・cm−1)、作動温度T(K)によって求められる。上式から酸化亜鉛を主成分とする材料系におけるκeleとκphの割合を見積もると、κeleの値は非常に小さく、κにおいてκphが大部分を占めることから、フォノンによる熱伝導率であるκphを制御することにより、熱伝導率を低減させることが可能であると考えられる。

0017

また、フォノンによる熱伝導率であるκphは、結晶格子振動により伝播される熱であり、κph=(1/3)cνlにて表わされ、格子比熱c、音速ν、フォノンの平均自由行程lによって表わされる。
よって、熱伝導率を低減させるためには、κphに起因する因子を小さくすれば良い。すなわち、格子比熱cを低減するためには、複雑な結晶構造(=単位格子胞あたりの原子数が多い)にすることであり、音速νを低減するためには重元素を含むこと、フォノンの平均自由行程lを低減するためには、多元素化合物構成元素数が多い)からなる系にすることが考えられる。
本発明における酸化亜鉛を主成分とする材料系は、酸化亜鉛以外の異種ナノ粒子と酸化亜鉛との界面において、平均自由行程lが変化することで、フォノンが散乱され、フォノンによる熱伝導率であるκphの低減が可能となると考えられる。

0018

酸化亜鉛を主成分とし、Zn(1−x−y)AlxMyO(式中、MはZn、Al以外の金属元素、x>0、y≧0、0.001<z≦0.05)で表される熱電変換材料においては、酸化亜鉛とZrO2との高温焼成時における反応を抑制することができるため、ナノ粒子としてZrO2を選択することで、上記、フォノンによる熱伝導率であるκphの低減が可能となったと考えられる。

0019

また本発明に係る熱電変換材料では酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料に対する、ZrO2を主成分とするナノ粒子の添加量モル比が、0.5mol%以上2mol%未満であることも好ましい。
ナノ粒子の添加量が0.5mol%未満の場合、ナノ粒子の添加によるフォノン散乱に伴う熱伝導率低下という効果を十分に発現させることができない。一方で、該添加量が2mol%以上の場合、フォノンの散乱だけでなく電子まで散乱されてしまい、熱電変換特性が低下する恐れがある。ナノ粒子の添加量を0.5mol%以上2mol%未満とすることで、電子の散乱に比べて、フォノンの散乱を効率的に起こすことが可能となる。

0020

また本発明に係る熱電変換材料では、ZrO2を主成分とするナノ粒子に、高温におけるZrO2の結晶相転移を抑制する元素ドーパントとして含んでいることも好ましい。
それによって、低温だけでなく高温域においても良好な熱伝導率低下の効果を得ることが可能となる。

0021

また本発明に係る熱電変換材料では、ドーパントが、Y、Ce、Laから選ばれる少なくとも1種であることも好ましい。
ZrO2に対するドーパントをY、Ce、Laから選ばれる少なくとも1種とすることで、ZrO2の高温での結晶相転移をより確実に抑制することが可能となる。

0022

また本発明に係る熱電変換材料では、亜鉛イオンを含む溶液とジルコニアイオンを含む溶液との混合溶液を加熱して前駆体を形成する工程とを有する錯体重合法により作製されることも好ましい。
ナノ粒子添加によるフォノン散乱効果を十分に発現させるためには、ZrO2ナノ粒子の凝集を防ぎ、ZnOを主成分とする母相中にナノ粒子の状態で均一に分散させることが好ましい。錯体重合法で作製することで、ZrO2ナノ粒子をより均一に分散させることが可能となる。

0023

また、本発明の酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料を含む熱電変換モジュールであってもよい。
本発明の熱電変換材料は、高い熱電変換特性を有しており、モジュールとしても高い性能を発現させることが可能である。

発明の効果

0024

本発明による熱電変換素子は、高い熱電変換特性を発現できる。したがって、高効率な熱電変換モジュールへの適用が可能となる。

図面の簡単な説明

0025

酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料に対して酸化亜鉛以外のさまざまな異種ナノ粒子を添加したXRDデータを示す図である。
ZrO2およびSnO2をナノ粒子として添加した熱電変換材料の導電率温度依存性を示す図である。
固相法により作成した酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料のXRDデータを示す図である。
錯体重合法により作成した酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料のXRDデータを示す図である。
酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料の導電率σの温度依存性を示す図である。
酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料の熱伝導率の温度依存性を示す図である。

0026

熱電変換材料
本発明による熱電変換材料は、酸化亜鉛を主成分とする母相と、酸化亜鉛以外の異種ナノ粒子からなり、上記2相が均一に複合化したものである。酸化亜鉛を主成分とする母相は、式(I):Zn(1−x−y)AlxMyOで表される熱電変換材料であって、焼結後の相対密度が90%以上であることを特徴とするものである。ここで、Znは亜鉛であり、Alはアルミニウムであり、M1は亜鉛及びアルミニウム以外の金属元素である。また、x>0、y≧0である。
本発明における熱電変換素子第三の金属元素Mは、ZnOに固溶することにより熱伝導率の低減が可能なフォノン散乱中心として機能することが期待できる元素であればよく、具体的には、Mg、Ca、B、Ga,In、Ni、Co、Cu,Ti,Zr,Sn、Si,Ge,Sc,Y、ランタノイド元素(La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm、Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er、Tm,Yb,Lu)からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、導電率の低下を引き起こさずに熱伝導率のみを低減可能な元素として、より好ましくはY、La、Ceから選ばれる1種である。
また、ZnとAlとMとの合計モル量に対するAlとMとの合計モル量の比率(すなわち式(I)のx+y)は0.10より小さいことが好ましい。

0027

また、本発明における熱電変換素子の該異種ナノ粒子は、焼結後も母相の酸化亜鉛に固溶することなく、また、ドーピングしたAlやYと不純物を作らずに、熱伝導率の低減が可能なフォノン散乱中心として機能することが期待できる元素であればよく、具体的には、1000℃以上の高温環境下での焼成条件で、酸化亜鉛を主成分とする母相との反応性が非常に低いZrO2が最も適する。
また、ZnとAlとMとの合計モル量に対するAlとMとの合計モル量の比率(すなわち式(I)のx+yは0.10より小さいことが好ましい。

0028

本発明の好ましい態様によれば、添加する異種ナノ粒子の粒径は5nm〜1μmである。この粒径の範囲では、酸化亜鉛を主成分とする母相中に存在する異種ナノ粒子は、酸化亜鉛との界面でフォノンを散乱させるのに十分な大きさであり、かつ電子を散乱させない程度に小さい。

0029

本発明の好ましい態様によれば、母相の金属イオンの合計モル量に対するナノ粒子の金属イオンのモル量の比率(すなわち式(I)のz)は0.5以上2mol%以下である。この範囲のモル量とすることで、電子の散乱に比べて、フォノンの散乱を効率的に起こすことが可能となる。

0030

本発明の好ましい態様によれば、ZrO2を異種ナノ粒子として用いる場合には、高温での結晶相転移を抑制し、安定な結晶構造となるY,Ce,La、Sc等の安定化ドーパントをZrO2にドープしたものを用いてもよい。

0031

熱電変換素子の製造方法

0032

本発明による熱電変換素子は、そのモジュール形態に合わせて、薄膜状、厚膜状やバル成型体のいずれもの形態をとることが可能であるが、好ましい実用的な熱電素子の形状としてはバルク成型体である。

0033

本発明の熱電変換材料の製造方法としては、固相法等の各種方法を採用することができるが、酸化亜鉛を主成分とする母相と、添加する酸化亜鉛以外の異種ナノ粒子と、が均一に混合されている状態が好ましく、湿式法を用いることが好ましい。

0034

湿式法としては、亜鉛、アルミニウム、およびドーピング金属の硝酸塩水酸化物塩、または塩化物塩などを水に溶解し、亜鉛イオン、アルミニウムイオンドーピング金属イオンおよびジルコニウムイオンを含んでなる水溶液から酸化物前駆体を生成し、この前駆体を焼成することで酸化物とし、これを焼成、加工処理することを含んでなる、金属酸化物を得ることのできる公知または一般的な手法を用いることが可能である。ここで、酸化物前駆体を得るための手法としては、共沈法均一沈殿法クエン酸法、錯体重合法などを挙げることができる。

0035

この方法によって得られた熱電変換材料(母相)にあっては、アルミニウムおよびドーピング金属が、酸化亜鉛の粒内に入り込んで存在するため、すなわち酸化亜鉛の結晶格子中または結晶格子間に存在する構造であるため、より高い熱電特性が実現できているものと考えられる。より具体的には、ZnO粒子中に、ZnAl2O4の組成微粒子が生成しており、このZnOとは異なる組成の微粒子が電子の移動のしやすさを維持(つまり高い伝導率)する一方、この微粒子が熱を反射することで熱伝導率を低下させているものと考えられる。その結果、良好な熱電特性が得られているものと考えられる。

0036

また、他の製造方法として、従来のセラミック成型プロセスを利用することができ、例えば、原料として市販の酸化物粉末を用いて作成することができる。本発明の好ましい態様によれば、酸化亜鉛(ZnO)粉末酸化アルミニウム(Al2O3)粉末、及び更にドーピングの為の他の金属酸化物(MOx)粉末、および酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末を乾式もしくは湿式ミリングにより混合し、成型した後、所定温度で成型体を焼結処理することで、バルク成型体の作成が可能である(以下、本明細書においてこの方法を「固相法」と呼ぶことがある)。また、上記粉末を予め所定温度以上で焼成して、酸化亜鉛中に希土類金属やアルミニウムが十分固溶した後に、成型処理し、焼結処理することで、作成することも可能である。

0037

成型方法としては、乾式成型法、湿式成型法のいずれも好適に用いることができる。乾式成型法としては、例えば、一軸プレス成型法、ホットプレス成型法、ホットフォージ法、等が挙げられる。湿式成型法としては、例えば、射出成型法鋳込成型法、押出し成型法、加圧成型法、遠心成型法、等が挙げられる。また上記成型方法により成型した成型体の充填密度を向上させるために、静水圧プレスCIP)処理を行っても良い。

0038

本発明において、酸化亜鉛を主成分とする基部を製造するための焼成温度は、ZnOが焼結し、さらにドーパントがZnO結晶中に固溶する温度であれば良く、1000〜1500℃が好ましい。また、焼結性を向上させるために、スパークプラズマ焼結SPS)法及び熱間静水圧加圧焼結法HIP)では、1000℃以上であればよい。このような焼成条件によって作製される酸化亜鉛焼結体の相対密度は、90%以上である。

0039

本発明における熱電変換材料および製造方法により、熱伝導率の低い熱電変換材料を得ることができる。

0040

本発明における熱電変換素子の熱電変換材料は、熱電特性測定装置(例えば、オザワ化学製“RZ2001i”)で測定することが可能である。各温度域(例えば、0〜1000℃)で、サンプル両端に温度差をつけた際の導電率(σ)やゼーベック係数(α)の測定が可能となり。これにより熱電出力因子(α2σ)を求めることができる。

0041

またレーザーフラッシュ熱物性測定装置(例えば、京都電子工業製、“LFA−502”)により、熱伝導率κを求めることができる。測定サンプルの表面に、エネルギー密度が均一なレーザービームパルス状に照射し均一に加熱すると、その熱がサンプル裏面に拡散する時間と温度変化を検出することにより熱拡散率が分かり、これとサンプル密度から、熱伝導率を求めることができる。以上の測定により、種々の温度域における導電率、ゼーベック係数、熱伝導率から、ZT(=α2σ/κ)を求めることができる。

0042

また、導電率測定装置(例えば、三菱化学製“ロレスタGP”)を用いて、室温の導電率を求めることができる。

0043

以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0044

各種異種ナノ粒子を添加したZn(1−x−y)AlxYyO焼結体の固相法による作製
酸化亜鉛粉末高純度化学研究所製、粒径約1μm)、酸化アルミニウム粉末(γ—Al2O3、大明化学工業製、粒径約10nm)及び酸化イットリウム粉末(Y2O3、信越化学製、粒径約30nm)と、ナノ粒子として、ZrO2粉末(第一稀元素化学株式会社製、粒径約100nm)、SnO2粉末(シーアイ化成株式会社製、粒径約20〜30nm)、SiO2粉末(日本アエロジル、粒径約20nm)、TiO2粉末(昭和電工製、粒径約15nm)を用意した。
これらの原料を表1に示す所定のモル比になるように量し、その後ポリエチレン製ボトル投入し、ナイロン被覆した鉄球ボールを加えて乾式ボールミル処理を15時間行った。その後、金属メッシュふるいにより粉末を分散し、一軸プレス成型機でプレス処理し、さらに静水圧プレス(CIP)処理することにより、直径25mmで厚み約7mmの円盤ペレットを作成した。この円盤状ペレットを、大気中で1400℃、約10時間焼成することにより焼結させることで、イットリウム及びアルミニウムをドープした酸化亜鉛を主成分とし、各種ナノ粒子を添加した熱電変換材料を得た。

0045

ZrO2ナノ粒子を添加したZn(1−x−y)AlxYyO焼結体の錯体重合法による作製
硝酸亜鉛六水和物和光純薬製)、硝酸アルミニウム水和物(和光純薬製)、硝酸イットリウム(和光純薬製)、クエン酸(和光純薬製)、及びエチレングリコール(和光純薬製)を表1に示す所定のモル比(金属イオンの総モル量:0.125mol、クエン酸:0.625mol)になるように秤量し、これらを500mlビーカーに入れ、250mlの蒸留水に溶解後、約2時間攪拌を行った。
また、ジルコニアゾル10T−ZrO2(第一稀元素化学、粒径10−30nm)およびジルコニアゾル10A−ZrO2(第一稀元素化学、粒径70−90nm)を用意し、クエン酸を加えた蒸留水に加えて10%の濃度の溶液を作成した。この溶液を、前述の亜鉛イオンを含む溶液に加えて撹拌した。さらに、210℃で攪拌しながら水を蒸発させたあと、マントルヒーターで約450℃に加熱し、クエン酸、硝酸等の有機物熱分解し、酸化亜鉛前駆体を得た。その後、800℃で仮焼し、異種ナノ粒子が均一に分散している各種金属イオンをドープした酸化亜鉛粉末を得た。
この粉末を一軸プレス成型機でプレス処理し、さらに静水圧プレス(CIP)処理することにより、直径約25mmで厚み約10mmの円盤状ペレットを作製した。この円盤状ペレットを、大気中1400℃で約10時間焼成し、あるいは窒素雰囲気中1400℃で約5時間焼成することにより焼結させて作製した。

0046

0047

表1のうち、添加するナノ粒子の材料を変化させたサンプル(実施例1、比較例1〜3)について評価を行った。

0048

X線回折測定
表1の各サンプルをカットし、断面を紙やすり(800番及び2000番)で研磨して鏡面状にした後、エタノールおよびアセトン超音波洗浄した。そして、サンプルの断面に対し、X線回折測定を行った。
添加する異種ナノ粒子を異ならせたサンプルのXRDデータを図1に示す。

0049

図1において、本発明の実施形態であるZrO2ナノ粒子を添加したサンプル、および比較例であるTiO2、SnO2、SiO2ナノ粒子を添加したサンプルの全てにおいて、主相は酸化亜鉛のウルツサイト構造に帰属された。すなわち、添加したナノ粒子材料と、母相中のZnOとの間で反応が生じていないことが確認された。それに加え、ZrO2やSnO2を添加した場合には、酸化亜鉛、および単斜晶ZrO2およびSnOのピークのみが見られる。
それに対し、TiO2やSiO2を添加した場合には、母相中に存在するYやAlとナノ粒子とが反応して不純物が形成されていることを示すピークが見られた。このことから、ZrO2やSnO2を添加した場合においてのみ、母相である酸化亜鉛結晶中に固溶せず存在していることが明らかとなった。

0050

熱電特性評価1:導電率(σ)の測定
次に、図1において母相への固溶が見られなかったZrO2、SnO2ナノ粒子を添加したサンプルについて、熱電物性測定装置(オザワ科学製、RZ2001i)を用いて、各温度域(例えば、0〜1000℃)におけるサンプル両端に温度差をつけた際の導電率σの温度依存性を測定した結果を図2に示す。
図1で示したとおりSnO2は母相への固溶はなかったものの、図2に示す通り、少量の添加でも極端に導電率σが低下してしまうことが判明した。
上より、ZrO2は母相に対して非反応性のナノ粒子であること、および各温度領域において導電率の低下を抑制できることが明らかとなった。したがって、酸化亜鉛を主成分とする系において最も適した異種ナノ粒子であると判断した。

0051

続いて、表1のうちZrO2ナノ粒子の添加量を変化させたサンプルについて評価を行った。

0052

X線回折測定
固相法により作製した酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料において、ZrO2ナノ粒子の添加量を変化させたサンプルのXRDデータを図3に、錯体重合法により作製した酸化亜鉛を主成分とする熱電変換材料において、ZrO2ナノ粒子の添加量を変化させたサンプルのXRDデータを図4に示す。

0053

図3図4に示すとおり、異種ナノ粒子としてZrO2を添加したサンプルにおいて、固相法・錯体重合法どちらの製法でも、母相の酸化亜鉛のピークの他にZrO2のピークが見られた。そのことから、ナノ粒子である単斜晶ZrO2が、母相の酸化亜鉛を主成分とする相に固溶することなく存在していることが確認できた。

0054

熱電特性評価1:導電率(σ)の測定
表1のサンプルについて、焼結体を約5mm×約5mm×約1mmの板状に切り出した測定サンプルを作製し、熱電物性測定装置(オザワ科学製、RZ2001i)を用いて、各温度域(例えば、0〜1000℃)における導電率(σ)の測定を行った。その結果を図5に示す。

0055

図5に示すとおり、ZrO2添加量が2%以上では導電率σが著しく低下した。また、ZrO2の添加量が減少するにつれて導電率σの値は大きくなった。

0056

熱電特性評価2熱伝導率(κ)の測定
図5のサンプルのうち、導電率σの低下が著しかった比較例5、6のサンプルを除くサンプルについて、レーザーフラッシュ法熱電物性測定装置(京都電子工業製、LFA−502)を用いて、室温〜約1000℃までの熱伝導率(κ)を測定した。
熱伝導率の測定結果図6に示す。

0057

図6から分かるように、ZrO2の添加により、無添加の酸化亜鉛を主成分とする熱電材料と比べて熱伝導率κを低下させることができた。したがって、ZrO2ナノ粒子の添加により、熱伝導率を低下させられることが分かった。

実施例

0058

次に、図5の導電率σ、および図6の熱伝導率κの測定値より、式κ=κele+κph(κele=LσT)からフォノンによる熱伝導率κphを算出した。その結果、ZrO2を添加することで、フォノンによる熱伝導率κphが低下することが確認された。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • エルジー・ケム・リミテッドの「 熱電材料およびこれを含む熱電素子」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明による熱電材料は、熱電性能を低下させる成分が最少化され、これを含む熱電素子で有用に使用することができる。... 詳細

  • 株式会社KELKの「 熱電モジュール及び光モジュール」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】電気的短絡又は断線の発生を抑制できる熱電モジュールを提供する。【解決手段】熱電モジュール1は、基板2の第1面2Aに設けられる電極4と、電極4と熱電素子3との間に配置される第1拡散防止層5と、電... 詳細

  • 三菱電機株式会社の「 半導体装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】短絡動作時に信号の送受信をせずともゲート電圧を抑制できるため、短絡から保護動作開始までの時間を短縮可能な半導体装置を提供する。【解決手段】半導体装置100は、ドリフト層6の表面に配設されたベー... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ

特許:約8,000万件, クラウドファンディング:約100万年, 科研費・グラントデータ:約500万件, 発明者・研究者情報:約600万人